説明

袋詰め装置

【課題】トレイに薄い袋状の物品を安定的に載せるための袋詰め装置。
【解決手段】チャネル状に形成されトレイ12の底部にスリット26が形成され、トレイ12底面にバネ板25Bの一端を固定し、突起25Bがトレイ底部に形成されたスリット26から出退可能とし、バネ板25Bを昇降機構27により昇降させ、突起25Bがスリット26から出退する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子類、食料品類等の種々の物品を、横方向に配置された袋口から挿入して袋に詰めるための袋詰め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、袋口が側方に位置するように水平に配置された袋を水平状態でベルトコンベヤに載置して、このベルトコンベヤに併設されたベルトコンベヤと同方向に同期して間欠移動するトレイ搬送手段にトレイ取り付け手段を介してトレイ部材を配設し、トレイ部材内の物品を、前記同期して移動するベルトコンベヤ上の袋の袋口からプッシャーにより押し込む包装装置が開示されている。
【特許文献1】特開平9−58617号公報
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の袋詰め装置のトレイは底面がフラットで滑りやすい為、シート状の物品、例えばソースや味噌を収納した小袋などを起立した状態で袋内に押し込もうとすると、小袋が転倒して、収納ミスが発生するおそれがあり、袋詰め作業で困難であるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、シート状の物品であっても安定的に袋内に押し込んで包装することができる袋詰め装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、不安定な物品を安定的に袋内に収納することができる袋詰め装置を開示するものであり、横方向に支持された袋の袋口にトレイを差し入れて、トレイに載せられた物品を袋内にプッシャーで押し込んでシールする包装装置の袋詰め装置であって、前記トレイはチャネル状に形成され、該トレイの底部にスリットが形成され、物品の滑り止めとなる突起が前記スリットから出退するストッパー機構を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は前記構成により、物品の滑り止めとなる突起がトレイ底部に形成されたスリットから出退するため、不安定なシート状の物品であっても、この突起が物品の滑りを止めて転倒することを防止する。このため、不安定なシート状の物品であっても安定的に物品の袋詰め作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
【実施例1】
【0009】
図1の本発明の袋詰め装置を配備したロータリー型包装装置の概略平面図、図2の袋詰め装置のトレイの取り付け構造を示す正面図、図3の袋詰め装置の取り付け構造を示す部分図、図4の袋詰め装置のトレイのストッパー機構の突起の作動部の拡大図、図5の袋詰め装置のトレイの先端部の支持構造の拡大断面図、図6の袋詰め装置のトレイの動作を説明するための平面図を用いて以下に本発明の袋詰め装置を説明する。
【0010】
図1において、ロータリー型包装装置1に隣接して袋詰め装置2が配置されている。本発明の袋詰め装置2はこのようなロータリー型包装装置用に限定されるものではなく、袋3の袋口3Aを水平な状態に保持して袋詰めできる種々の包装装置に対応することが可能である。
【0011】
まず、図1のロータリー型包装装置1の概略を説明する。このロータリー型包装装置1は45度毎に何らかの包装作業を行うことができる。例えば、(A)のポジションにおいて給袋装置4から回転する吸着装置5を介してチャック6に袋3の受け渡しが行われる。
【0012】
(B)のポジションで、チャック6により袋口3Aを吸引、開口すると供に、ノズル7からエアーを吹き込んで袋3を膨らませる。(C)から(D)のポジションで、チャック6の作動部6Aがヒンジ部6Bで下方に折れ曲がり、袋3を垂直から水平姿勢に変換して袋口3Aを横方向に向ける。袋全体は水平な状態を維持するために下から櫛歯状の支持具(図示せず)で支持されている。
【0013】
(D)のポジションで、メインプッシャー8を用いて袋内へ物品9の充填が行われる。(E)のポジションで袋3の折り目を整え、(F)のポジションでシール装置10により袋口3Aをシールする。(E)のポジションで袋口3Aをシールした袋3を排出用コンベヤ11により排出する。
【0014】
次に、袋詰め装置2について説明する。図1に示すように、並列に複数配置されたトレイ12が無限軌道13を周回する。即ち、この袋詰め装置2にはスプロケット14、15が軸支されており、このスプロケット14、15にチェン16,17が掛け渡されている。この両サイドのチェン16,17に、取り付けプレート18,19を介して2本の平行に配置されたスライドバー20,21が架設されている。このスライドバー20,21に、後述するようにトレイ12がスライド可能に配備されている。スプロケット14,15がモータ(図示せず)により回転するとチェン16,17が回転してそれに伴ってスライドバー20,21と共にトレイ12も無限軌道13上を回転する。
【0015】
トレイ12は、図5に示すように、両側に側板12Aが直角に立設してチャネル状に形成されており、先端部と後端部は開放されている。なお、先端部は平面視において台形状をしている。トレイ12の後部底面に、ブロック22が固定されて、このブロック22から下方にローラ23が突出して軸支されている。このローラ23は後述する誘導溝24に沿って移動するため、誘導溝24の曲がり具合に応じて、トレイ12がスライドバー20,21に支持されながら摺動する。
【0016】
トレイ12の先端側は図5に示すように、支持部材24により支持されており、無限軌道13の幅方向、即ち、トレイ12が搬送される方向と直角に交差する方向にスライド可能に配置されている。
【0017】
支持部材24は、トレイ12を合成樹脂製の支持ブロック24Aで、下方からスライド可能に支持している。この一対の支持ブロック24Aの下端部が支持金具24Bに連結されている。即ち、支持金具24Bの上面に突出する取付片24Cに支持ブロック24Aが嵌め込まれ、両者を連結ロッド24Dで連結している。支持金具24Bは、スライドバー20、21に挿入されて固定され、さらに、取り付けプレート19によりチェン16に固定されている。前記の構成により、チェン16,17の回転によりスライドバー20,21とトレイ12がチェン16,17と同方向に無限軌道を移動するが、トレイ12は無限軌道13の幅方向にスライド可能である。
【0018】
トレイ12の裏面底部には、トレイ12内に起立して載置された薄手の袋状の物品9Aが滑ってずれないように、ストッパー機構25が設けられている。本実施の形態では、突起25Aがトレイ12の底部表面側に出退可能に配置され、細幅なバネ板25Bが浅く下方に「く」の字形に折り曲げられてトレイ12の裏面中央にネジ止めされている。バネ板25Bの先端側は固定されておらずフリーであって常時はこのバネ板25Bがトレイ12の裏面から離間する状態に取り付けられている。このバネ板25Bの先端側約1/3の位置に突起25Aが上方に突出して設けられている。この突起25Aと対応するトレイ12の底部には、突起25Aが上下方向に出退するためのスリット26が形成されている。
【0019】
前記突起25Aを上下方向に出退するための昇降機構27を図2乃至図4を用いて説明する。前記のように、ストッパー機構27のバネ板25Bはトレイ12の裏面から離間する方向に取り付けられているので、通常、図3に示すように、突起25Aはスリット26から抜け出した状態にある。このストッパー機構25の突起25Aをスリット26に挿通するための機構が図4に示す昇降機構27である。
【0020】
前記昇降機構27は、前記のスライドバー20,21に固定された固定ブロック30により支持されたL字金具31の端部に、縦軸32が立設しており、この縦軸32に昇降ブロック33がスライド可能に嵌め込まれており、さらにこの昇降ブロック33に平面視がコの字形の固定プレート34が取り付けられ、この固定プレート34に昇降ローラ29が水平方向に軸支されている。
【0021】
前記昇降ブロック33の下部には、誘導ローラ35が軸支されており、この誘導ローラ35が昇降台28の高低差に応じて昇降動し、この誘導ローラ35の昇降動に伴って昇降ローラ29が昇降する。この昇降ローラ29の昇降に伴って前記ストッパー機構25のバネ板25Bの先端を上下動させる。
【0022】
前記昇降ローラ29及び誘導ローラ35は、前記L字金具31に立設した軸36に設けられたバネ37により、常時は下方に付勢されている。図4に示すように、昇降台28の有る箇所では誘導ローラ35が上方に押し上げられて、バネ37は圧縮された状態となりバネ板25Bを押し上げるが、昇降台28の無い箇所ではバネ37により前記昇降ローラ29及び誘導ローラ35は押し下げられる。この昇降ローラ29の昇降により、ストッパー機構25の突起25Aがトレイ12のスリット26から出退する。
【0023】
次に、図6を用いて本発明の袋詰め装置の作動を説明する。
図6の説明図では無限軌道13の移動は左から右方向に移動し、トレイ12も左から右方向に搬送される。前記誘導溝24は、図2に示すように、トレイ12の後部の下方に敷設されており、ローラ23を誘導する。
【0024】
図6の図示しない無限軌道13の左側部分で、物品9が作業者の手作業か、機械による詰め込み作業によりトレイ12上に載置される。手作業による場合は、図2に示すように、トレイ12の上方に、ガイド壁38を設けることにより、トレイ12への物品の載置作業の効率を上げることができる。このガイド壁38は物品9の大きさに応じてその間隔を調整できる。
【0025】
図6の(I)のポジションでは、トレイ12上に載置された物品9、例えば、食品の春雨と調味料等の複数の小袋9Aが立てた状態で載置されている。小袋9Aの先端部分は、ストッパー機構25の突起25Aにより係止されており、不安定な状態でも前方へ滑って倒れない。
【0026】
図6の(II)のポジションから(III)のポジションでは、誘導溝24がセンター方向に曲がっており、(II)から(III)のポジションではローラ23を介してトレイ12をセンター方向に誘導してトレイ12の先端が無限軌道13の側縁から突出している。
【0027】
(III)のポジションでは、昇降台28が切れているので、バネ37により誘導ローラ35は押し下げられ、図3に示すように、昇降ローラ29も下方に下降し、それに伴い突起25Aはバネ板25Bの力でスリット26から抜け出している。突起25Aが下方に退いたので、サブプッシャー39のプッシャー39Aは前方に物品9を押し出す。その際、トレイ12の先端から物品9が落下しないように、図3に示すようにカバー体40がトレイ12を覆う。(III)のポジションのサブプッシャー39による物品9の前方への移動動作は、袋3への押し込み動作時間を短くして包装時間を短縮するものである。
【0028】
(IV)のポジションでは、誘導溝24に在ったローラ23をメインプッシャー8の押出しバー8Aによりトレイ12をロータリー包装装置1に支持された袋3の袋口3A側に押し出す。同時にメインプッシャー8のプッシャー8Aは物品9を袋内に押し込む。
【0029】
(IV)のポジションの後で、メインプッシャー8とトレイ12は後退し、トレイ12はチェン16,17により搬送されながら、次の物品9の載置工程へと移動する。物品9が詰められた袋3は図1の(E)のポジションで袋3が整えられ、(F)のポジションで袋口3Aがシール装置10によりシールされる。
【0030】
前記の実施の形態では、ストッパー機構25の突起25Aは一片だけであったが、この突起25Aは一片に限定されるものではなく、図7に示すように、トレイの長手方向の2箇所、特にトレイ12の先端部分に設けてもよい。これにより、図6の(III)のポジションから(IV)のポジションにトレイ12が異動するときに、プッシャー39Aの押し出し後の移動により物品9がトレイ12から落下する心配がない。また、突起25Aの形状についても図8に示すように、トレイの底部の横に広く形成したものであってもよいし、2分割、3分割したものであってもよい。さらに、トレイの底面に物品の滑りを抑えるための塗装を塗布したり、シートを貼り付けてもよい。
【0031】
さらに、前記の実施の形態では、ストッパー機構はバネ板25Bと、昇降ローラ29の昇降により突起25Aが昇降するように構成しているが、本発明の袋詰め装置のストッパー機構の突起25Aはかかる昇降の機構に限定されるものではなく、その他の機構、例えば、ソレノイド、電磁石、サーボモータ等により、突起がトレイ12の底部から出退するようにしてもよい。この場合の出退の制御はマイクロコンピュータで行う。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、ロータリー包装装置に限らず、物品を水平姿勢の袋の袋口から押し込む際の袋詰め装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の袋詰め装置を配備したロータリー型包装装置の概略平面図
【図2】袋詰め装置のトレイの取り付け構造を示す正面図
【図3】袋詰め装置の取り付け構造を示す部分図
【図4】袋詰め装置のトレイの起立突起部の作動部の拡大図
【図5】袋詰め装置のトレイの先端部の支持構造の拡大図
【図6】袋詰め装置のトレイの動作を説明するための平面図
【図7】他の実施の形態のトレイの底面図
【図8】他の実施のトレイの断面図
【符号の説明】
【0034】
1 ロータリー型包装装置
2 袋詰め装置
3 袋
3A 袋口
4 給袋装置
5 吸着装置
6 チャック
6A 作動部
6B ヒンジ部
7 ノズル
8 メインプッシャー
8A 押出しバー
9 物品
9A 薄手の袋状の物品
10 シール装置
11 排出用コンベヤ
12 トレイ
12A 側板
13 無限軌道
14 スプロケット
15 スプロケット
16 チェン
17 チェン
18 取り付けプレート
19 取り付けプレート
20 スライドバー
21 スライドバー
22 ブロック
23 ローラ
24 支持部材
24A 支持ブロック
24B 支持金具
24C 取付片
24D 連結ロッド
25 ストッパー機構
25A 突起
25B バネ板
26 スリット
27 昇降機構
28 昇降台
29 昇降ローラ
30 固定ブロック
31 L字金具
32 縦軸
33 昇降ブロック
34 固定プレート
35 誘導ローラ
36 軸
37 バネ
38 ガイド壁
39 サブプッシャー
39A プッシャー
40 カバー体
41 誘導溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に支持された袋の袋口にトレイを差し入れて、トレイに載せられた物品を袋内にプッシャーで押し込んでシールする包装装置の袋詰め装置であって、
前記トレイはチャネル状に形成され、該トレイの底部にスリットが形成され、物品の滑り止めとなる突起が前記スリットから出退するストッパー機構を設けたことを特徴とする袋詰め装置。
【請求項2】
ストッパー機構は、バネ板に突起を設け、トレイ底面に該バネ板の一端を固定し、前記突起がトレイ底部に形成されたスリットから出退可能とし、前記バネ板を昇降機構により昇降させ、前記突起が前記スリットから出退することを特徴とする請求項1に記載の袋詰め装置。
【請求項3】
前記昇降機構は、高低差を有する昇降台上を誘導ローラが転動し、この誘導ローラの昇降動と連動して、バネ板に当接する昇降ローラを昇降させてバネ板を上下動させる請求項2に記載の袋詰め装置。
【請求項4】
無限軌道を周回する複数のトレイに、複数の物品を載せるために、トレイ上方に物品を整頓して載せるためのガイドを設けたことを特徴とする請求項1に記載の袋詰め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−51653(P2011−51653A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217982(P2009−217982)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000142850)株式会社古川製作所 (76)
【Fターム(参考)】