説明

被写体撮影装置

【課題】 遠方で常に移動している鳥などの飛翔体を追いかけて容易に撮影する技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 望遠レンズ(10)を備えて遠方の被写体(90)を撮影可能なカメラ(11)と、 前記望遠レンズ(10)に固定された等倍ファインダ(20)と、 前記望遠レンズ(10)が捉えた画像を写すモニタ(30)と、 そのモニタ(30)に写った画像を前記等倍ファインダ(20)の画像と合成するためのハーフミラー(40)と、を備えた被写体撮影装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遠方を飛翔する鳥などを撮影するのに適した被写体撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遠方において、常に移動している鳥などの飛翔体を追いかけて撮影するのは、困難である。遠方の小さな被写体を詳細に撮影するためには望遠レンズが必要であるが、その望遠レンズは画角が小さいために、不規則な動きを交えながら移動している飛翔体が画面から外れやすいからである。
また、いったん外れてしまうと、画角が小さいために再び画面に戻すのが困難である。
【0003】
本件に関連する先行技術を調査したところ、特許文献1および特許文献2を抽出した。
特許文献1には、 『画像圧縮伸張処理で遅延時間が発生しても、現在カメラが被写体に対して、どの程度の位置と大きさで撮影しているかを操作者が容易に認識できることを目的としたカメラ操作補助機能を搭載した遠隔画像操作システム』 が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、 『前処理としての校正器具の設置・撤去作業を必要とせず、カメラの位置・姿勢や焦点距離を変えても、当該カメラの位置・姿勢や焦点距離変化に伴うカメラパラメータが精度良く校正されて撮影が行えるカメラ校正手法』 が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−165212号公報
【特許文献2】特開2006−30157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2の技術を組み合わせても、遠方で常に移動している鳥などの飛翔体を追いかけて容易に撮影する技術には至らない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、遠方で常に移動している鳥などの飛翔体を追いかけて容易に撮影可能な被写体撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(第一の発明)
本願の第一の発明は、 望遠レンズ(10)を備えて遠方の被写体(90)を撮影可能なカメラ(11)と、 前記望遠レンズ(10)に固定された等倍ファインダ(20)と、 前記望遠レンズ(10)が捉えた画像を写すモニタ(30)と、 そのモニタ(30)に写った画像を前記等倍ファインダ(20)の画像と合成するためのハーフミラー(40)と、を備えた被写体撮影装置である。
【0009】
(用語説明)
「等倍ファインダ」とは、スケールに十字線が刻まれたファインダであり、画像の拡大や縮小は行わない。そのため、肉眼と同じ明るさの被写体を捉える。
「合成する」とは、一目した際の視界に入るようにすることである。
【0010】
(作用)
遠方の被写体(90)を望遠レンズ(10)が捉え、その被写体(90)の画像をモニタ(30)が写す。モニタ(30)に写った画像は、ハーフミラー(40)によって等倍ファインダ(20)の画像と合成される。必要に応じて、カメラ(11)にて被写体(90)を撮影する。
被写体(90)の移動は、等倍ファインダ(20)の画像を目視しながら望遠レンズ(10)にて容易に追いかけることができる。また、被写体(90)を追跡しつつ被写体(90)の画像を確認する場合に、視線を等倍ファインダ(20)とモニタ(30)の間で移動させる必要がないため、被写体(90)の画像確認が容易になる。
【0011】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明に係る被写体撮影装置は、前記等倍ファインダ(20)のターゲット表示位置をハーフミラー(40)の中心位置とすることができる。
本装置の操作に慣れると、あるいは被写体(90)の性質により、等倍ファインダ(20)のターゲット表示位置がハーフミラー(40)の中心位置にあるものが使いやすく、被写体の追跡がしやすいと感じるようになる場合があるからである。
【0012】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明に係る被写体撮影装置は、前記モニタ(30)の表示画像(31)は、ハーフミラー(40)による縮尺を予め補正するように表示させることもできる。
【0013】
補正により、ハーフミラー(40)に写る被写体(90)の画像を、例えばモニタ(30)の表示画像(31)の等倍にできるため、被写体(40)の特徴を確認しやすくなる。
表示画像(31)の補正は、たとえば、望遠レンズ(10)が捉える被写体(90)の画像を入力し、モニタ(30)への表示画像(31)を出力させる制御装置(50)が担う。ハーフミラー(40)や望遠レンズ(10)に補正手段を備えることとしても良い。
【0014】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明に係る被写体撮影装置は、前記望遠レンズ(10)にレーザ距離計(60)を備え、 前記ハーフミラー(40)に写される映像には、そのレーザ距離計(60)が計測した距離を出力させることもできる。
【0015】
レーザ距離計(60)が計測した距離により、被写体(90)とのおおよその距離を把握できる場合は、被写体(90)を捉え続けるために、望遠レンズ(10)をどの程度操作すればよいかを距離に応じて予測することができ、追跡が容易になる。
レーザ距離計(60)が計測した距離をハーフミラー(40)に出力させるには、ハーフミラー(40)へ直接出力する方式、モニタ(30)へ出力させる方式、等倍ファインダ(20)へ出力させる方式のいずれでもよい。
【0016】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明に係る被写体撮影装置は、前記モニタ(30)に映された画像(31)における被写体(90)の画像と、前記レーザ距離計(60)が計測した距離とを用いて、当該被写体(90)の大きさを算出する大きさ算出手段(50)を備えることもできる。
レーザ距離計(60)が計測した距離により、被写体(90)とのおおよその距離を把握できる場合は、被写体(90)を捉え続けるために、望遠レンズ(10)をどの程度操作すればよいかを距離に応じて予測することができ、追跡が容易になる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1から請求項5に記載の発明によれば、遠方で常に移動している鳥などの飛翔体を追いかけて容易に撮影可能な被写体撮影装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一の実施形態の被写体撮影装置を示す概略的な斜視図である。
【図2】第一の実施形態の被写体撮影装置によって合成された画像例である。
【図3】第二の実施形態の被写体撮影装置を示す概略的な斜視図である。
【図4】第二の実施形態の被写体撮影装置によって合成された画像例である。
【図5】第二の実施形態の被写体撮影装置を示すハードウェア構成図である。
【図6】第三の実施形態の被写体撮影装置を示す概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示す第一の実施形態は、 望遠レンズ10を備えて遠方の被写体90である飛翔体を撮影可能なカメラ11と、 前記望遠レンズ10と同じ方向を向くように固定された等倍ファインダ20と、 前記望遠レンズ10が捉えた画像を写すモニタ30と、 そのモニタ30に写った画像(モニタ画像31)を前記等倍ファインダ20の画像と合成するためのハーフミラー40と、を備えた被写体撮影装置である。
【0020】
ハーフミラー40によって合成された画像は、図2のように見える。
すなわち、モニタ30には望遠レンズ10にて捉えられた拡大された被写体90bが出力され(図1参照)、そのモニタ画像31と等倍ファインダ20越しに見える実物大の被写体90aとを、ハーフミラー40が一つの画面に納めるのである。
【0021】
被写体90である飛翔体の移動は、操作者が等倍ファインダ20の画像を目視しながら望遠レンズ10を操作し、追いかけることができる。
また、操作者は、ハーフミラー40の映像41を見ながら、必要に応じてカメラ11にて被写体90を撮影することができる。
【0022】
なお、望遠レンズ10が捉えた画像をモニタ30に写したり、カメラ11にて撮影をしたりするための情報処理は、制御装置50が担っている。
また、その制御装置50は、モニタ30の表示画像31がハーフミラーによる映像41に対する縮尺を予め補正するように表示させるように制御している。
【0023】
続いて、図3に基づいて、第二の実施形態を説明する。
第二の実施形態が第一の実施形態と異なっているのは、被写体90までの距離を測定することができるレーザ距離計60を備えている点である。また、図4に示すように、前述の制御装置50によって、ハーフミラー40に写される映像41には、そのレーザ距離計60が計測した距離表示41aを出力させることとしている。
【0024】
また、制御装置50には、モニタ30に映された表示画像31における被写体90と、前記レーザ距離計60が測定した距離とを用いて、当該被写体90の大きさを算出する大きさ算出手段を備える。
算出した被写体90の大きさは、大きさ表示41bとしてハーフミラー40に出力させる。
【0025】
図5には、第二の実施形態のハードウェア構成図を示す。
望遠レンズ10は、被写体90の拡大画像の信号を制御装置50に送っており、レーザ距離計60は、距離信号と外形計測信号とを制御装置50に送っている。また、制御装置50は、画像信号をモニタ30に送っている。
【0026】
図6には、第三の実施形態の被写体撮影装置を示す。設置型ではあるが、被写体撮影装置を一体として、水平方向および垂直方向に回転可能であり、第一および第二の実施形態よりも、操作性に優れた被写体撮影装置となっている。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本願発明は、カメラ製造業、防衛機器の製造業、野生生物の観察を使命とする研究所や大学、などにおいて利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0028】
10 望遠レンズ 11 カメラ
20 等倍ファインダ
30 モニタ 31 モニタ画像
40 ハーフミラー 41 ハーフミラー映像
41a 距離表示 41b 大きさ表示
50 制御装置(大きさ算出手段等)
60 レーザ距離計
90 被写体 90a 実物大の被写体
90b 拡大された被写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
望遠レンズを備えて遠方の被写体を撮影可能なカメラと、
前記望遠レンズに固定された等倍ファインダと、
前記望遠レンズが捉えた画像を写すモニタと、
そのモニタに写った画像を前記等倍ファインダの画像と合成するためのハーフミラーと、
を備えた被写体撮影装置。
【請求項2】
前記等倍ファインダのターゲット表示位置をハーフミラーの中心位置とした請求項1に記載の被写体撮影装置。
【請求項3】
前記モニタの表示画像は、ハーフミラーによる縮尺を予め補正するように表示させた請求項1または請求項2のいずれかに記載の被写体撮影装置。
【請求項4】
前記望遠レンズには、レーザ距離計を備え、
前記ハーフミラーに写される映像には、そのレーザ距離計が計測した距離を出力させることとした請求項1から請求項3のいずれかに記載の被写体撮影装置。
【請求項5】
前記モニタに映された画像における被写体と、前記レーザ距離計が計測した距離とを用いて、当該被写体の大きさを算出する大きさ算出手段を備えた請求項4に記載の被写体撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−219599(P2010−219599A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60609(P2009−60609)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】