説明

被加熱流体の温度調整システム

【課題】湯切れが発生した場合においても、被加熱流体の温度をユーザーが望む設定温度に追従させることができ、ユーザーが快適に使用することが可能な被加熱流体の温度調整システムを安価に提供する。
【解決手段】温度調整システム10は、タンク30内に発生した低温域a1と高温域a2とを区分けする温度境界bを検知して、湯切れが発生する前に補助加熱部50に導かれる被加熱流体f5の温度を徐々に低下させて、補助加熱部に要求される単位時間当たりの加熱量が急激に変化することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱流体の温度調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
加熱された高温水をタンク内に保持しつつ、ユーザーの使用に応じてタンクから高温水を排出させて、その高温水と水とを混合調整して提供する給湯システムが広く知られている(特許文献1参照)。このような給湯システムにあっては、一般的に、ユーザーによって給湯温度に設定可能な補助加熱源が設置されており、混合調整された湯水を加温調整して提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−109188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タンク内の高温水を浴槽や給湯蛇口によって使用すると、使用した相当量の水がタンクの下部から供給される。単位時間当たりに大量の高温水を使用すると、タンク内の下部は比較的温度の低い低温域となり、タンク内の上部は高温水からなる比較的温度の高い高温域となり、両者の間に温度境界が発生する。
【0005】
一般的に、タンクからの出湯は、高温域であるタンクの上部から供給する。このため、高温水を大量に使用し続けると、温度境界が徐々にタンクの下部からタンクの上部へ遷移する。最終的には、低温域からの出湯を行うことになる。この時、タンクからの出湯温度が急激に変化する湯切れが発生する。上述したように、タンクから出湯した湯は、補助加熱源によって給湯温度に設定するが、湯切れの場合には、出湯温度が急激に変化するため、設定温度に追従できない状態が発生する。また、補助加熱源に要求される加熱出力が大きくなるため、オーバーシュートが発生して、給湯温度よりも高い温度で給湯される虞がある。
【0006】
このように、湯切れが発生すると、ユーザーが望む給湯温度を安定的に維持することが困難になる。これによって、ユーザーに不快感を与えることになってしまう。このような問題を解決するために、湯切れ時の急激な温度変化に対応することが可能な補助加熱源を利用したり、複雑な回路や制御システムを導入させたりすると、給湯システムを構成するためのコストの大幅な増加を招いてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、湯切れが発生した場合においても、被加熱流体の温度をユーザーが望む設定温度に追従させることができ、ユーザーが快適に使用することが可能な被加熱流体の温度調整システムを安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の被加熱流体の温度調整システムは、被加熱流体を供給する供給部と、下層側から供給される前記被加熱流体を保持して、上層側から排出するタンクと、前記タンクに供給された前記被加熱流体を加熱する主加熱部と、前記タンクに設置され、前記被加熱流体の供給に伴って前記タンク内の下層側から上層側へ遷移するとともに低温域と高温域とを区分けする温度境界を検知する検知部と、前記タンクから排出された前記被加熱流体を設定温度に加熱する補助加熱部と、前記タンクと前記補助加熱部とを接続して、前記タンクから排出された前記被加熱流体を前記補助加熱部へ導く第1ラインと、前記第1ラインの途上に配置され、前記タンクから排出された前記被加熱流体と前記供給部から供給される被加熱流体とを混合調整して、前記タンクから排出された前記被加熱流体の温度を、前記供給部から供給される前記被加熱流体の温度よりも高く、かつ、前記設定温度よりも低い第1温度に調整する第1調整弁と、前記第1ラインの途上における前記第1調整弁と前記補助加熱部との間に配置され、前記第1温度に調整された前記被加熱流体と前記供給部から供給される被加熱流体とを混合調整して、前記補助加熱部に導かれる被加熱流体の温度を調整する第2調整弁と、前記タンクから排出され前記第1調整弁へ導かれる前記被加熱流体の温度に基づいて前記第1調整弁を作動させる第1制御部と、前記検知部が前記温度境界を検知したときに前記第2調整弁を作動させる第2制御部と、前記供給部と前記第1調整弁とを接続して、前記供給部から前記第1調整弁へ前記被加熱流体を導く第2ラインと、前記供給部と前記第2調整弁とを接続して、前記供給部から前記第2調整弁へ前記被加熱流体を導く第3ラインと、を有している。前記第2制御部は、前記検知部が前記温度境界を検知したときに前記第2調整弁の作動を開始して、前記第1温度に調整された前記被加熱流体と前記第3ラインから導かれる前記被加熱流体とを混合調整する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の被加熱流体の温度調整システムによれば、タンク内に発生した低温域と高温域とを区分けする温度境界を検知して、湯切れが発生する前に補助加熱部に導かれる被加熱流体の温度を徐々に低下させるため、補助加熱部に要求される単位時間当たりの加熱量が急激に変化することがない。このため、湯切れが発生した場合においても、被加熱流体の温度をユーザーが望む設定温度に追従させることができ、ユーザーが快適に使用することができる。複雑な回路や制御システムを導入することなく、好適に設定温度に追従させることができるため、安価に温度制御システムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る被加熱流体の温度調整システムを簡略化して示す図である。
【図2】第2調整弁による混合調整が行われる状態を示す図である。
【図3】検知部を拡大して示す図である。
【図4】補助加熱部の入口における被加熱流体の温度変化を示す図である。
【図5】補助加熱部の出口における被加熱流体の温度変化を示す図である。
【図6】変形例1に係る検知部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
図2を参照して、実施形態に係る被加熱流体の温度調整システム10(以下、単に「温度調整システム」という)は、被加熱流体fを供給する供給部20と、下層側35から供給される被加熱流体fを保持して、上層側37から排出するタンク30と、タンク30に供給された被加熱流体f1を加熱する主加熱部40と、タンク30に設置され、被加熱流体fの供給に伴ってタンク30内の下層側35から上層側37へ遷移するとともに低温域a1と高温域a2とを区分けする温度境界bを検知する検知部60と、タンク30から排出された被加熱流体f4を設定温度に加熱する補助加熱部50と、タンク30と補助加熱部50とを接続して、タンク30から排出された被加熱流体f2を補助加熱部50へ導く第1ライン71と、第1ライン71の途上に配置され、タンク30から排出された被加熱流体f2と供給部20から供給される被加熱流体fとを混合調整して、タンク30から排出された被加熱流体f2の温度を、供給部20から供給される被加熱流体fの温度よりも高く、かつ、設定温度よりも低い第1温度に調整する第1調整弁80と、第1ライン71の途上における第1調整弁80と補助加熱部50との間に配置され、第1温度に調整された被加熱流体f3と供給部20から供給される被加熱流体fとを混合調整して、補助加熱部50に導かれる被加熱流体f4の温度を調整する第2調整弁90と、タンク30から排出され第1調整弁80へ導かれる被加熱流体f2の温度に基づいて第1調整弁80を作動させる第1制御部85と、検知部60が温度境界bを検知したときに第2調整弁90を作動させる第2制御部95と、供給部20と第1調整弁80とを接続して、供給部20から第1調整弁80へ被加熱流体fを導く第2ライン72と、供給部20と第2調整弁90とを接続して、供給部20から第2調整弁90へ被加熱流体fを導く第3ライン73と、を有している。第2制御部95は、検知部60が温度境界bを検知したときに第2調整弁90の作動を開始して、第1温度に調整された被加熱流体f3と第3ライン73から導かれる被加熱流体fとを混合調整する。
【0013】
以下、実施形態について詳述する。
【0014】
図1〜3を参照して、タンク30は、内部に流体を保持可能に設けられており、円柱形状に近似した縦長の形状を有している。タンク30には、壁面部38が金属材料からなる流体保持用の汎用のタンクを利用している。他の材質から構成されるタンクの利用を妨げるものではないが、金属製の汎用のタンクを利用することによって、温度調整システム10を構成するためのコストの低減を図ることができる。タンク30には、例えば、湯水を保持することを目的とした貯湯タンクを適用することが可能である。その他にも流体の保持を目的とする種々のタンクを適用するが可能である。
【0015】
供給部20から供給された被加熱流体fは、タンク30の下層側35(図中のタンク下側)に位置する入口31からタンク30内部に流れ込む。タンク30内部に設けられた主加熱部40は、被加熱流体f1を加熱する。加熱された被加熱流体f1は、タンク30の上層側37(図中のタンク上側)に位置する出口33から排出させ、第1ライン71を介して補助加熱部50に流し込む。実施形態において、タンク30の下層側35とは、タンク30内に供給された被加熱流体f1が滞留し始めるタンク30の下部側であり、タンク30の上層側37とは、タンク30内に供給された被加熱流体f1が排出される出口33が設けられたタンク30の上部側のことである。
【0016】
第1ライン71には、流体用の配管を利用している。配管には、流体の導流に一般的に利用される鋼管等を適宜選択することができる。第1ライン71上における第1調整弁80と第2調整弁90との間には、被加熱流体f3の逆流を防止するための逆止弁25を設けている。
【0017】
主加熱部40は、タンク30内に保持された被加熱流体f1を加熱して温度を制御する。主加熱部40には、流体を加熱するために用いられるヒータを利用することが可能である。ヒータには、例えば、ヒートポンプ式熱交換システムや、ソーラー式熱交換システム、排熱利用式システム等に組み込まれた循環式の熱交換器等を利用することが可能である。タンク30内に供給された被加熱流体f1は、主加熱部40によって90℃程度まで加熱している。タンク30内が満水状態となった場合には、設定された90℃を維持するように保温を行う。主加熱部40が調整する被加熱流体f1の温度は、使用用途に応じて適宜変更することが可能である。
【0018】
補助加熱部50は、第1ライン71を介してタンク30から導かれる被加熱流体f4を、ユーザーが望む設定温度に加温調整して提供する。補助加熱部50は、第1ライン71から導かれた被加熱流体f4の温度を入口温度として検知する。第1ライン71の途上に配置された第1調整弁80、および所定の条件で作動する第2調整弁90によって混合調整された被加熱流体f4が補助加熱部50の入口51へ導かれる。補助加熱部50の入口51で検知された被加熱流体f4の温度が設定温度よりも低い場合には、設定温度まで加温調整する。加温調整させた被加熱流体f5は、補助加熱部50の出口53から排出させて、ユーザーに提供する。補助加熱部50には、例えば、ユーザーによって直接温度設定が可能な公知の給湯器用ヒータ等を利用することが可能である。
【0019】
供給部20は、温度調整システム10内のタンク30、第1調整弁80、および第2調整弁90のそれぞれに被加熱流体fを供給する。被加熱流体fには、例えば、常温の上水を利用することが可能である。被加熱流体fの種類、および供給時の温度等は、温度調整システム10の使用目的に応じて適宜変更することが可能であり、特に限定されるものではない。
【0020】
供給部20からタンク30への被加熱流体fの供給には、タンク用ライン74を利用する。タンク用ライン74は、供給部20から延びてタンク30の下端部に接続されている。このため、供給部20からタンク30へ被加熱流体fを供給すると、タンク30内の下層側35から上層側37へ被加熱流体fが徐々に満たされる。
【0021】
供給部20から第1調整弁80への被加熱流体fの供給には、タンク用ライン74から分岐する第2ライン72を利用する。供給部20から供給された被加熱流体fは、第2ライン72を介して、第1ライン71の途上に設けられた第1調整弁80へ導かれる。第1調整弁80へ供給する被加熱流体fの流量は、第1制御部85によって制御する。
【0022】
供給部20から第2調整弁90への被加熱流体fの供給には、第2ライン72から分岐する第3ライン73を利用する。供給部20から供給された被加熱流体fは、第3ライン73を介して第1調整弁80と補助加熱部50との間に設けられた第2調整弁90へ導かれる。第2調整弁90へ供給する被加熱流体fの流量は、第2制御部95によって制御する。
【0023】
第2ライン72、第3ライン73、およびタンク用ライン74には、流体用の配管を利用している。配管には、流体の導流用に一般的に利用される鋼管等を適宜選択することが可能である。
【0024】
供給部20は、ユーザーによるタンク30内の被加熱流体f1の使用に伴って、使用量に応じた量の被加熱流体fをタンク30に随時供給する。主加熱部40によって90℃まで加熱した被加熱流体f1を単位時間当たりに大量に使用すると、タンク30内には90℃の被加熱流体f1と供給部20から供給された比較的低温の被加熱流体fとによって温度境界bが形成される。この温度境界bは、下層側35から供給された被加熱流体fによって形成される低温域a1と、低温域a1よりも上層側37に位置する加熱された90℃の被加熱流体f1によって形成される高温域a2とを区分けするものである。単位時間当たりにおける被加熱流体の大量の使用が続くと、高温域a2の被加熱流体の残量が低下し、低温域a1の被加熱流体の量が増加する。温度境界bは、下層側35から徐々に上層側37へ遷移する。使用がさらに続くと、温度境界bがタンク30の出口まで到達し、タンク30から排出される被加熱流体f2の温度が急激に低下する湯切れが発生する。湯切れ状態になった場合においても、主加熱部40による加熱は継続して行われる。単位時間当たりにおける被加熱流体f1の使用量が減少すると、タンク30内の被加熱流体f1の加熱が進み、タンク内には90℃の被加熱流体が再び満たされることになる。
【0025】
タンク30の外壁39には、タンク30内に保持された被加熱流体f1の温度を検知する検知部60を設置している(図3を参照)。検知部60には、ガスを封入した感温筒を利用している。検知部60は、タンク30内の被加熱流体f1からタンク30の外壁39に伝わった熱量を取得する。この熱量に基づいて被加熱流体f1の温度境界bを検知する。検知部60は、温度境界bを検知すると、封入したガスを凝縮させて液化させる。この液体は、キャピラリチューブ63を介して第2制御部95へ圧送される。第2制御部95は、検知部60が温度境界bを検知したことをトリガーとして、第2調整弁90の作動を開始する。検知部60が検知する温度境界の閾値や、温度境界を形成する低温域の温度、および高温域の温度等は、特に限定されるものではなく、任意の値に設定することが可能である。また、検知部60として利用される感温筒の外形形状や、内部に封入されるガスの種類等は、特に限定されるものではなく公知のものを適宜利用することが可能である。
【0026】
第1ライン71の途上に設けられた第1調整弁80には、タンク30の側から見て上流側に位置する第1口81と、供給部20から供給された被加熱流体fを受け入れる第2口82と、タンク30の側から見て第1口81よりも下流側に位置する第3口83とを備えた三方弁を利用している。第1調整弁80は、タンク30から排出された被加熱流体f2と、供給部20から供給された被加熱流体fとを混合調整して、タンク30から排出された被加熱流体f2を所定の第1温度に調整する。第1温度に調整した被加熱流体f3は第3口83から排出させて、第1ライン71に流し込む。
【0027】
一般的に、家庭の浴槽等において湯水を使用する場合には、ユーザーは40〜43℃程度に温度調整して使用する。温度調整システム10にあっては、タンク30において90℃程度まで被加熱流体f1を加熱させて保持した後、第1調整弁80によって35℃程度まで低下させる。最終的に、補助加熱部50を使用して設定温度である40〜43℃程度まで加温調整する。この40〜43℃に加温調整した被加熱流体f5をユーザーに提供する。タンク30から排出した被加熱流体f2の温度を一旦第1温度まで低下させることによって、補助加熱部50による設定温度への加温調整を行うことが可能になる。このため、第1調整弁80によって調整される第1温度は、供給部20から供給される被加熱流体fの温度よりも高く、かつ、ユーザーが望む設定温度よりも低い温度に設定している。供給部20から供給した被加熱流体fを混合調整させるため、第1温度が供給部20から供給される被加熱流体fの温度よりも低くなることはない。
【0028】
第1制御部85は、被加熱流体f3が第1温度に維持されるように、第1調整弁80の作動を制御する。第1調整弁80は、第1口81から入り込む被加熱流体f2の温度に基づいて、第2口82の弁の開度を機械的に調整するワックスサーモアクチュエータを備えている。この機構を第1制御部85として機能させている。タンク30から導かれた被加熱流体f2の温度が低下すると、第2口82の開度を絞って、供給部20からの被加熱流体fの供給量を低下させる。タンク30から導かれた被加熱流体f2の温度が高くなると、第2口82の開度を大きくして、供給部20からの被加熱流体fの供給量を増加させる。このように、第1制御部85は、第1口81から入り込む被加熱流体f2の温度に基づいて、第1温度が維持されるように第1調整弁80の作動を機械的に制御する。
【0029】
第1調整弁80と補助加熱部50との間に配置された第2調整弁90には、第1調整弁80の側から見て上流側に位置する第1口91と、供給部20から供給された被加熱流体fを受け入れる第2口92と、第1調整弁80の側から見て第1口91よりも下流側に位置する第3口93とを備えた三方弁を利用している。第1調整弁80によって第1温度に調整された被加熱流体f3と、供給部20から供給される被加熱流体fとを混合調整する。これによって、補助加熱部50へ導かれる被加熱流体f4の温度を調整する。第2調整弁90によって混合調整された被加熱流体f4は、第3口93から排出させて、第1ライン71に流し込む。第1ライン71へ流し込まれた被加熱流体f4は、補助加熱部50の入口51へ流れ込む。
【0030】
第2制御部95は、検知部60がタンク30内の温度境界bを検知したときに、第2調整弁90を作動させる。実施形態にあっては、第2調整弁90に、検知部60が検知した熱量に基づいて第2口92の開度を機械的に制御する温度式制水弁としての機構を付加している。この機構が、第2制御部95として機能する。
【0031】
第2調整弁90は、検知部60に封入したガスが液化してなる作動流体61を駆動源として作動する。検知部60が、低温域a1からの熱、すなわち冷熱を取得すると、封入したガスが液化して作動流体61となる。作動流体61は、キャピラリチューブ63を介して第2調整弁90へ流れ込み、第2口92の開動作を駆動する。検知部60が低温域a1から取得する冷熱量が増加すると、封入したガスの液化量が増加する。これに伴って第2口92の開度が大きくなる。供給部20から供給される被加熱流体fの流量が増加し、補助加熱部60へ導かれる被加熱流体f5の温度が低下する。このように、第2制御部95は、検知部60が取得した熱量に基づいて第2調整弁90の作動を機械的な方式によって制御する。電気的な制御システムによって第2調整弁90を制御させる構成を付加する場合と比較して、安価に温度制御システム10を構成することが可能になっている。第1制御部85とともに、第2制御部95が簡易な機械式の制御システムによって構成されているため、第1、第2制御部85、95および第1、第2調整弁80、90を組み合わせたユニットを既存の温度制御システムに簡便かつ安価に組み込むことが可能になっている。
【0032】
検知部60が温度境界bを検知したときには、タンク30内に低温域a1と高温域a2が発生した状態となっている。湯切れが発生すると、加熱された高温域a2の被加熱流体に続いて、供給部20から供給された被加熱流体fと同程度の温度を有する低温域a1の被加熱流体が排出される。このため、高温域a2から低温域a1へ変化した被加熱流体f4が第1ライン71を介して補助加熱部50へ流れ込み、補助加熱部50へ流れ込む被加熱流体f4の単位時間当たりの温度変化が大きくなる。これによって、補助加熱部50に要求される単位時間当たりの加熱量が増加する。このため、従来の温度調整システムにあっては、単位時間当たりに要求される加熱量が急激に変化することによって、補助加熱部による加温調整が追従できず、設定温度よりも低い温度で被加熱流体をユーザーに提供してしまうことがある。また、補助加熱部による急激な加熱によって、設定温度よりも高い温度で被加熱流体を提供してしまうこともある。したがって、湯切れが発生すると、設定温度に調整された被加熱流体を安定的に提供することが困難になる。
【0033】
これに対して、温度調整システム10は、検知部60がタンク30内の温度境界bを検知した時点において、すなわち湯切れが発生する前に第2調整弁90による被加熱流体fの混合調整を開始する。第2調整弁90は、第1温度に調整された被加熱流体f3の温度を除々に低下させることによって、補助加熱部50へ流れ込む被加熱流体f4の温度が急激に低下することを防止する。これによって、補助加熱部50に要求される単位時間当たりの加熱量が急激に変化することを防止して、設定温度に調整された被加熱流体f5を安定的に提供することを可能にする。第2調整弁90を付加して補助加熱部50に要求される単位時間当たりの加熱量が急激に変化することを防止しているため、補助加熱部50自体の応答性等の性能を向上させる必要がなく、補助加熱部50には従来から利用されているものを適用することができる。したがって、補助加熱部50に要求される単位時間当たりの加熱量が急激に変化することを防止する機能を安価に付加することができ、温度調整システム10全体におけるコストの増加を抑制することが可能になる。例えば、タンク径が280mmの場合において、ユーザーが19リットル/minの被加熱流体を使用すると、温度境界bは5.2mm/sの速度で遷移する。タンク30上端から200mmの位置において温度境界bを検知させ、第2調整弁90による混合調整を開始させた場合、ユーザーが19リットル/minの被加熱流体を引き続き使用すると、温度境界bがタンク30上端まで遷移するのに38秒程度かかる。したがって、補助加熱部50へ導かれる被加熱流体f5の温度は、第1調整弁80によって調整された第1温度から、供給部20から導かれる被加熱流体fの温度まで38秒の時間をかけて低下することになる。
【0034】
タンク30の外壁39には、タンク30の上層側37から下層側35に向けて漸次的に表面積が大きくなるように形成されたプレート101を設置している。プレート101には、タンク30の上層側37に位置するように検知部60を取り付けている(図3を参照)。
【0035】
タンク30内に保持された被加熱流体f1の低温域a1から伝わる熱量に基づいて、機械的に第2調整弁90の作動を制御する場合には、検知部60が低温域a1から取得する熱量を徐々に増加させることが望ましい。温度境界bを検知した時点から第2調整弁90の第2口92の開度を徐々に大きくすることが可能になり、補助加熱部50へ導かれる被加熱流体f5の温度を徐々に低下させることが可能になるためである。
【0036】
タンク30の外壁39に設置されたプレート101は、タンク30内に保持された被加熱流体f1から伝わる熱を集熱し、その熱を検知部60へ伝える。プレート101が、タンク30の上層側37から下層側35に向けて漸次的に表面積が大きくなるように形成されているため、下層側35から上層側37へ低温域a1が遷移すると、これに比例して低温域a1からプレート101全体へ伝わる冷熱量が徐々に増加する。これによって、プレート101から検知部60へ伝わる冷熱量も徐々に増加する。検知部60へ伝わる冷熱量の増加に伴って、封入したガスの液化量が増加して、第2調整弁90の第2口92の開度が大きくなる。このように、プレート101を利用することによって、プレート101が取得する熱量に比例させて第2調整弁90の第2口92の開度を徐々に大きくさせることが可能となり、補助加熱部50へ導かれる被加熱流体f5の温度を徐々に低下させることができる。プレート101には、例えば、ステンレスや、アルミ、銅等の金属製のものを利用することができる。また、これらの材質のものに限定されず、タンク30の外壁39から伝わる熱を検知部60に伝達することが可能な材質のものを適宜選択することが可能である。検知部60による温度境界bの検知、および低温域a1からの熱量の検知をより感度良く行わせるために、例えば、図示されるように、プレート101において検知部60が設置された箇所の背面となる位置に、部分的に断熱部材103を配置させることが望ましい。
【0037】
次に、実施形態に係る温度調整システム10の作用について説明する。
【0038】
図1を参照して、湯切れが発生していない場合には、第2調整弁90の第2口92が全閉状態を維持する。
【0039】
第1調整弁80は、タンク30から排出された被加熱流体f2を、第1温度として設定された35℃程度に混合調整する。
【0040】
補助加熱部50には、35℃に調整された被加熱流体f4が入口51から流れ込む。
【0041】
補助加熱部50は、35℃に混合調整された被加熱流体f4を設定温度まで加温調整して、加温調整された被加熱流体f5を出口52を介してユーザーに提供する。
【0042】
図2を参照して、ユーザーの使用に伴ってタンク30内に保持した被加熱流体f1内に低温域a1と高温域a2が形成されると、検知部60が温度境界bを検知する。検知部60が温度境界bを検知したときに、第2制御部95は、第2調整弁90の作動を開始する。
【0043】
第1調整弁80は、第2調整弁90の作動に関わらず、タンク30から排出された被加熱流体f2が第1温度となるように混合調整を継続して行う。
【0044】
第2調整弁90は、第1温度に調整された被加熱流体f3と、供給部20から供給された被加熱流体fとを混合調整する。これによって、補助加熱部50へ導かれる被加熱流体f4の温度を低下させる。
【0045】
第2制御部95は、プレート101から検知部60へ伝わる冷熱量に基づいて、第2調整弁90の第2口92の開度を調整する。
【0046】
プレート101が取得する熱量に比例して、第2調整90による第2口92の開度が徐々に大きくなる。これに伴って、補助加熱部50へ導かれる被加熱流体f5の温度が徐々に低下する。
【0047】
ユーザーによる被加熱流体の使用が続くと、温度境界bは次第に下層側35から上層側37へ遷移する。
【0048】
温度境界bがタンク30の出口まで到達すると、タンク30から排出される被加熱流体f2の温度が急激に低下する湯切れが発生する。
【0049】
図4を参照して、温度調整システム10による被加熱流体の温度変化を示す。図中において、(イ)は、タンク出口33における被加熱流体f2の温度変化を示し、(ロ)は、補助加熱部50の入口51における被加熱流体f4の温度変化を示し、(ハ)は、供給部20から供給される被加熱流体fの温度変化を示す。温度差(Q)は、第2調整弁90が作動する前における補助加熱部50の入口51における被加熱流体f4の温度と、供給部20から供給される被加熱流体fの温度との温度差を示す。
【0050】
温度調整システム10にあっては、検知部60が温度境界bを検知したとき時間(T1)の時点から第2調整弁90による混合調整を開始する。補助加熱部50の入口51における被加熱流体f4の温度は、徐々に低下し、時間(T2)において供給部20から供給される被加熱流体fの温度と一致する。
【0051】
第2調整弁90による混合調整を行なわない場合、時間(T3)において湯切れが発生すると、タンクの出口における被加熱流体の温度の低下に伴って、補助加熱部の入口における被加熱流体の温度が時間(T4)の間に急激に低下する。これによって、補助加熱部に求められる加熱量も時間(T4)の間に急激に変化する。
【0052】
温度調整システム10にあっては、補助加熱部50の入口51における被加熱流体f4の温度は、第2調整弁90による混合調整を行わない場合と比較して、図中に示す時間(T5)の時間を余分にかけて徐々に低下することになる。第2調整弁90による混合調整を行わない場合と比較して、補助加熱部50の入口51における被加熱流体f4の温度の低下は緩やかになる。したがって、補助加熱部50による単位時間当たりの加熱量の増加も緩やかに変化する。
【0053】
図5を参照して、温度調整システム10による設定温度への追従性を示す。図中において、(ニ)は、温度調整システム10の補助加熱部50の出口53における被加熱流体f5の温度を示し、(ホ)は、第2調整弁90による混合調整を行わない従来のシステムにおける補助加熱部の出口における被加熱流体の温度変化を示す。なお、(イ)、および(ロ)は、第4図と同様にそれぞれ、タンク30の出口33における被加熱流体f2の温度変化、補助加熱部50の入口51における被加熱流体f5の温度変化を示す。
【0054】
温度調整システム10にあっては、補助加熱部50の入口51における被加熱流体f4の温度を比較的長い時間をかけて緩やかに低下させるため、湯切れが発生しても設定温度に追従させて精度よく加温調整を行うことが可能になる。このため、ユーザーが望む設定温度に追従させることができ、設定温度の被加熱流体f5を安定的に提供することが可能になる。ユーザーは、湯切れによる不快さを感じることなく、設定温度に調整された被加熱流体f5を使用し続けることができる。
【0055】
一方、第2調整弁90による混合調整を行わずに加温調整を行う場合、補助加熱部に要求される単位時間当たりの加熱量が急激に変化する。設定温度に追従させて加温調整を行うことが困難になるため、図示されるように補助加熱部から提供される被加熱流体の温度が安定しない状態が続き、ユーザーに不快感を与えることになる。
【0056】
以上のように、温度調整システム10によれば、タンク30内に保持された被加熱流体f1の低温域a1と高温域a2とを区分けする温度境界bを検知して、湯切れが発生する前に補助加熱部50に導かれる被加熱流体f4の温度を徐々に低下させるため、補助加熱部50に要求される単位時間当たりの加熱量が急激に変化することがない。このため、湯切れが発生した場合においても、被加熱流体f5の温度をユーザーが望む設定温度に追従させることができ、ユーザーが快適に使用することができる。第2調整弁90を付加した簡易な構成によって設定温度への追従性を維持させることが可能となり、複雑な回路構成や電気的な制御システムを導入する必要がない。したがって、安価に温度調整システム10を提供することができる。
【0057】
第2制御部95は、検知部60が取得した熱量に基づいて第2調整弁90の作動を機械的な方式によって制御する。電気的な制御システムによって第2調整弁90を制御させる構成を付加する場合と比較して、安価に温度制御システム10を構成することが可能になる。
【0058】
タンク30の外壁39には、タンク30の上層側37から下層側35に向けて漸次的に表面積が大きくなるように形成されたプレート101を設置している。プレート101を利用することによって、検知部60が取得する熱量に比例させて第2調整弁90の第2口92の開度を調整することができ、温度境界bを検知した時点から第2調整弁90の第2口92の開度を徐々に大きくすることができる。これによって補助加熱部50へ導かれる被加熱流体f5の温度を徐々に低下させることが可能になる。
【0059】
タンク30には、壁面部38が金属材料からなる流体保持用のタンクを利用している。このため、温度調整システム10を構成するためのコストを低減することができる。
【0060】
本実施形態は、適宜改変することが可能である。
【0061】
実施形態にあっては、第1、第2調整弁80、90の作動を機械的に制御しているが、これを電気的な制御システムによって制御させることも可能である。第1、第2調整弁80、90の制御システムに要するコストが増加することになるが、補助加熱部50へ導かれる被加熱流体f4の温度をより精度よく制御することが可能になる。
【0062】
第1、第2調整弁80、90の形態を適宜改変することが可能である。例えば、第1、第2調整弁80、90に、流体の温度に基づいて封入したガスを膨張、凝縮させてアクチュエータを駆動する流体駆動式の弁を利用することが可能である。また、例えば、第2調整弁90に、第1調整弁80として利用されたワックスサーモアクチュエータを備えた弁を利用することも可能である。このように、第1、第2調整弁80、90には、検知した流体の温度に基づいて機械的に弁の作動を制御する公知の形態のものを広く適用することが可能である。
【0063】
タンク30の形状や、検知部60を設置する場所も実施形態において説明したものに限定されるものではない。タンク内において発生した温度境界を検知し、これに基づいて第2調整弁の作動を開始させることが可能な限りにおいて適宜変更することが可能である。例えば、タンク30の外壁39の所定の範囲における面積から取得した熱量に基づいて温度境界bを検知させる形態とすることも可能である。タンク30の下層側35、上層側37に設置した2点間における温度差に基づいて温度境界bを検知させる形態とすることも可能である。
【0064】
プレート101の利用形態についても適宜変更することが可能である。プレート101を利用することによって、タンクのより下層側35から温度境界bを検知させることが可能になるため、例えば、温度境界bが遷移する速度よりもプレート101内部を伝わる熱の速度が速くなるような材質のものをプレート101に適用することによって、プレート101を利用しない場合と比較して第2調整弁90を作動させるタイミングを早めることが可能になる。これに伴って、プレート101の材質や形状、プレート101における検知部60を設置する位置等を適宜調整することによって、第2調整弁90を作動させるタイミング、および第2口92の開閉速度を任意に調整することが可能になっている。
【0065】
(変形例1)
図6を参照して、変形例1にあっては、タンク30の壁面部38の熱伝達率よりも小さな熱伝達率を有する材料からなるケーシング105に検知部60を収納している。このような点において、タンク30の外壁39に設置したプレート101に検知部60を取り付けた上記の実施形態と相違している。以下、変形例1について説明する。なお、上述した実施形態と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を一部省略する。
【0066】
検知部60がケーシング105内に収納されているため、タンク30の外壁39から検知部60の内部へ熱が伝わりにくくなる。
【0067】
検知部60が温度境界bを検知すると、第2調整弁90の混合調整が開始する。ケーシング105の熱伝達率がタンク30の壁面部38の熱伝達率よりも小さいため、タンク30内の被加熱流体f1からタンク30の外壁39に伝わる熱量よりも、タンク30の外壁39から検知部60内に伝わる熱量の方が小さくなる。低温域a1から伝わる熱によってタンク30の外壁39の温度が急激に低下する場合においても、検知部60内の温度の急激な低下が生じることを防止できる。
【0068】
下層側35から上層側37へ低温域a1が遷移すると、これに比例して低温域a1からケーシング105全体に伝わる熱量が徐々に増加する。検知部60内に封入したガスの液化量が増加して、第2調整弁90の第2口92の開度が徐々に大きくなる。したがって、検知部60が温度境界bを検知した時点から比較的長い時間をかけて補助加熱部50へ導かれる被加熱流体f4の温度を低下させることが可能になる。
【0069】
このように、タンク30の壁面部38の熱伝達率よりも小さな熱伝達率を有する材料からなるケーシング105に検知部60を収納することによって、補助加熱部50へ導かれる被加熱流体f5の温度を徐々に低下させることが可能になる。プレート101を使用することを妨げるものではないが、プレート101を使用する場合と同様の効果を得ることができ、プレート101を使用する手間を省くことが可能になる。検知部60の設置作業の作業性の向上や、プレート101の作製に要する材料費の削減を図ることができる。
【0070】
ケーシング105は、例えば、断熱性の優れた樹脂材料などから構成することが可能である。その他、タンク30の壁面部38の熱伝達率よりも小さな熱伝達率を有する材料を適宜選択することが可能である。形状等も図示されたものに限定されず、検知部60やタンク30の外壁39の形状に合わせて変更することが可能である。ケーシング105の材質や形状等を選択して、第2調整弁90を作動させるタイミング、および第2口92の開閉速度を任意に調整することが可能になっている。
【0071】
(変形例2)
変形例2にあっては、タンク30の壁面部38を樹脂材料によって構成している。このような点において、タンク30の壁面部38を金属材料によって構成している上記の実施形態と異なる。なお、上述した実施形態と同様の部材については、その説明を一部省略する。
【0072】
樹脂材料は、一般的に金属材料よりも断熱性能に優れているため、タンク30内に保持された被加熱流体f1の保温性が高い。したがって、主加熱部30によって加熱した被加熱流体f1をより効率的に高温の状態で保持しておくことが可能になる。
【0073】
壁面部38の熱伝達率が小さいため、タンク30内の被加熱流体f1からタンク30の外壁39に伝わる熱量が小さくなる。タンク30の外壁39に設置された検知部60に伝達する熱量も小さくなる。このため、低温域a1から伝わる熱によってタンク30の外壁39の温度が急激に低下する場合においても、検知部60内の温度の急激な低下が生じることを防止できる。
【0074】
低温域a1が上層側37に遷移すると、低温域a1から検知部60全体に伝わる熱量が徐々に増加する。これに伴って検知部60内に封入したガスの液化量が徐々に増加する。したがって、検知部60が温度境界bを検知した時点から比較的長い時間をかけて補助加熱部50へ導かれる被加熱流体f4の温度を低下させることが可能になる。
【0075】
このように、タンク30の壁面部38を樹脂材料によって構成しているため、補助加熱部50へ導かれる被加熱流体f5の温度を徐々に低下させることが可能になる。プレート101を使用する場合と同様の効果を得ることができ、上述した変形例1と同様にプレート101を使用する手間を省くことができ、検知部60の設置作業の作業性の向上や、プレート101の作製に要する材料費の削減を図ることができる。
【0076】
タンク30の壁面部38を構成する樹脂材料は特に限定されるものではなく、タンク30内に加熱した被加熱流体f1を保持する機能を発揮する限りにおいて自由に選択することができる。例えば、壁面部38が単層構造に形成されたものや、複数の層からなる積層構造に形成されたものを利用することが可能である。また、検知部60をタンク30の壁面部38内に部分的に埋め込んで設置し、樹脂材料を断熱部材として機能させて、変形例1に係るケーシング105と同様の機能を壁面部38に発揮させることも可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 温度調整システム(被加熱流体の温度調整システム)、
20 供給部、
30 タンク、
31 タンクの入口、
33 タンクの出口、
35 タンクの下層側、
37 タンクの上層側、
38 壁面部、
39 タンクの外壁、
40 主加熱部、
50 補助加熱部、
51 補助加熱部の入口、
53 補助加熱部の出口、
60 検知部、
61 作動流体、
71 第1ライン、
72 第2ライン、
73 第3ライン、
74 タンク用ライン、
80 第1調整弁、
85 第1制御部、
90 第2調整弁、
95 第2制御部、
101 プレート、
105 ケーシング、
f、f1、f2、f3、f4、f5 被加熱流体、
a1 低温域、
a2 高温域、
b 温度境界。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱流体を供給する供給部と、
下層側から供給される前記被加熱流体を保持して、上層側から排出するタンクと、
前記タンクに供給された前記被加熱流体を加熱する主加熱部と、
前記タンクに設置され、前記被加熱流体の供給に伴って前記タンク内の下層側から上層側へ遷移するとともに低温域と高温域とを区分けする温度境界を検知する検知部と、
前記タンクから排出された前記被加熱流体を設定温度に加熱する補助加熱部と、
前記タンクと前記補助加熱部とを接続して、前記タンクから排出された前記被加熱流体を前記補助加熱部へ導く第1ラインと、
前記第1ラインの途上に配置され、前記タンクから排出された前記被加熱流体と前記供給部から供給される被加熱流体とを混合調整して、前記タンクから排出された前記被加熱流体の温度を、前記供給部から供給される前記被加熱流体の温度よりも高く、かつ、前記設定温度よりも低い第1温度に調整する第1調整弁と、
前記第1ラインの途上における前記第1調整弁と前記補助加熱部との間に配置され、前記第1温度に調整された前記被加熱流体と前記供給部から供給される被加熱流体とを混合調整して、前記補助加熱部に導かれる被加熱流体の温度を調整する第2調整弁と、
前記タンクから排出され前記第1調整弁へ導かれる前記被加熱流体の温度に基づいて前記第1調整弁を作動させる第1制御部と、
前記検知部が前記温度境界を検知したときに前記第2調整弁を作動させる第2制御部と、
前記供給部と前記第1調整弁とを接続して、前記供給部から前記第1調整弁へ前記被加熱流体を導く第2ラインと、
前記供給部と前記第2調整弁とを接続して、前記供給部から前記第2調整弁へ前記被加熱流体を導く第3ラインと、を有し、
前記第2制御部は、前記検知部が前記温度境界を検知したときに前記第2調整弁の作動を開始して、前記第1温度に調整された前記被加熱流体と前記第3ラインから導かれる前記被加熱流体とを混合調整する、被加熱流体の温度調整システム。
【請求項2】
前記第2制御部は、前記検知部が取得した熱量に基づいて前記第2調整弁を機械的に制御する、請求項1に記載の被加熱流体の温度調整システム。
【請求項3】
前記タンクの外壁に設置され、前記タンクの前記上層側から前記下層側に向けて漸次的に表面積が大きくなるように形成されたプレートをさらに有し、
前記検知部が、前記タンクの上層側に位置するように前記プレートを介して前記タンクの外壁に設置された請求項2に記載の被加熱流体の温度調整システム。
【請求項4】
前記検知部が、前記タンクの壁面部の熱伝達率よりも小さな熱伝達率を有する材料からなるケーシングに収納された請求項2または請求項3に記載の被加熱流体の温度調整システム。
【請求項5】
前記タンクの壁面部が金属材料からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の被加熱流体の温度調整システム。
【請求項6】
前記タンクの壁面部が樹脂材料からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の被加熱流体の温度調整システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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