説明

被操縦体の無線操縦装置

【課題】カメラを使用せずにモデルデータと被操縦体の画像データを関連付けて記憶させることができる無線操縦装置を提供する。
【解決手段】無線操縦装置1は、被操縦体の操作部2と、各被操縦体に対応した複数のモデルデータを記憶する記憶部4と、被操縦体を撮影して画像データを取得するカメラモジュール3と、被操縦体の画像データを対応する被操縦体のモデルデータと関連付けて記憶部に記憶させる制御部5を有している。モデルデータの呼び出し後、カメラモジュール3で被操縦体を撮影すれば、モデルデータと画像データをリンクして記憶させることができる。呼出し時には、被操縦体の画像を選択すれば、その画像に対応したモデルデータを装置に設定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被操縦体の無線操縦装置(ラジオコントロール装置とも呼ぶ。)に係り、特に被操縦体ごとに操縦に必要なモデルデータと、これに対応する被操縦体とを容易に関連付けて装置に記憶させることができるとともに、複数の中から選択した被操縦体に対応するモデルデータを間違いなく装置から呼び出して操縦に使用できるようにした使い勝手の良い無線操縦装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飛行機やヘリコプター等の被操縦体を無線操縦するための無線操縦装置は、被操縦体を操縦するためにスティックレバー等の操作部を備えており、エンジン等の駆動源や、舵等を駆動するサーボモータを当該操作部の操作によって制御することにより、被操縦体を操縦することができる。これらの各種被操縦体は、その種類、すなわち飛行機、グライダー、ヘリコプター等の別によって、操作部に与えられる役割(制御対象の別)や、操作部を操作した際の操縦特性(制御対象を制御する際の操作量と制御対象の動作量等の関係等)が異なっている。ここで、操作部に与えられる役割とは、操作部に割り当てられた制御対象のことであり、例えば、とあるスティックレバーがエルロンの制御に使用されるのか、ラダーの制御に使用されるのかといった区別を意味する。また操作部を操作した際の操縦特性とは、例えば制御対象であるサーボモータを制御するスティックレバーの操作量と、当該サーボモータによる舵等の動作量等の関係を意味し、例えばその関係は直線的な比例関係であったり、二次関数的な関係であったりする。そして、これら操作部に与えられる役割や操作部の操縦特性は、被操縦体の使用目的、すなわちホビーとしての競技用、産業用の別や、また競技用においても規定競技か速度競技かといった種目の違いによって異なるのが普通である。このような無線操縦装置の各操作部の役割や操縦特性のように、被操縦体ごとに操縦に必要とされる情報のことを、一般にモデルデータと称している。
【0003】
そこで、複数の被操縦体を1台の無線操縦装置で操縦しようとする場合には、各被操縦体ごとにモデルデータを用意して予めその無線操縦装置のメモリに記憶させておき、被操縦体を操縦する際には、使用する被操縦体に対応するモデルデータをメモリから呼び出して装置に設定し、その被操縦体を適切な状態で操縦できるようにするのが通常である。
【0004】
特許文献1は、モデルデータを被操縦体に対応して任意に切り替えて使用に供することができる無線操縦装置の発明が記載されている。すなわち、同文献には、被操縦物を変更する場合に、容易に設定変更できること目的としたラジオ・コントロール送信機が開示されている。この発明のラジコン送信機には、スティックレバーやスイッチレバーの操作内容と被操縦物の動作内容との関係を示す設定が予め複数記憶されている。ユーザが3つのダイレクトボタンのいずれかを押しながら電源スイッチをオンする操作を行うと、各ダイレクトボタンに対応付けられている設定が読み出される。その結果、ユーザは、電源オンと同時に設定を切り替えることができ、すぐに操縦を行うことができるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−233725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の無線操縦装置では、あるモデルデータと、そのモデルデータを利用して操縦する被操縦体との間に対応関係を付け、これを装置に記憶させるための操作が煩雑で解りにくいという問題があった。また、そのような煩雑な作業を厭わずに、複数のモデルデータと複数の被操縦体の名称を正規に対応させる作業を行なって装置のメモリに記憶させたとしても、使用時にユーザーがある被操縦体を操縦するために、その被操縦体に対応したモデルデータをメモリから呼び出そうとした場合には、被操縦体のモデル名等とモデルデータが対応した表形式の情報が表示部に表示され、これを参考にしてモデルデータを選択するため、ユーザーが被操縦体の名称や型番等を忘れている場合には、被操縦体に対応したモデルデータを速やかに選択することが困難となる場合があった。
【0007】
このような問題を解決し、モデルデータと、そのモデルデータを利用して操縦される被操縦体との対応関係を分かりやすくするため、本願出願人は、被操縦体の画像データを記憶した外部記憶媒体を利用する無線操縦装置を提案している。この無線操縦装置を用いたシステムによれば、まずユーザーは、デジタルカメラによって被操縦体の写真を撮り、その画像データを格納した外部記録媒体を無線操縦装置に装着する。この無線操縦装置は、装着された外部記録媒体中の画像データを画像として表示することができ、さらにその時装置において選択中であったモデルデータを、当該表示させた画像の画像データとリンクして対応関係をメモリに記憶することができる。従って、このような画像データとモデルデータとの対応関係の設定が行なわれた後には、外部記録媒体を装置に装着して画像データを表示手段に表示させ、その中から使用する予定の被操縦体を選択すれば、これに対応したモデルデータを操縦用としてメモリから呼び出して装置に設定することができる。
【0008】
しかしながら、本願出願人による上記提案の無線操縦装置によれば、無線操縦装置とは別にデジタルカメラを用意して被操縦体の写真を撮る必要があった。また、デジタルカメラによる画像データを、無線操縦装置に読み込ませるためには、当該画像データを前述のように外部記録媒体に格納して取り扱う必要があった。また、この場合、デジタルカメラで使用する外部記録媒体と、無線操縦装置で使用する外部記録媒体とが異なれば、デジタルカメラの画像データをパソコンを介して無線操縦装置で使用可能な外部記録媒体に記憶させる必要があった。さらに、デジタルカメラによる画像データの種類が、無線操縦装置で読み込み可能な画像データの種類と異なれば、パソコンで画像データを別の外部記録媒体に移す際に、デジタルカメラによる画像データを無線操縦装置で読み込み可能な形態に変換する必要があった。
【0009】
このように、本願出願人による上記提案の無線操縦装置によれば、無線操縦装置以外のデジタルカメラやパソコンを使用する必要があり、さらに、被操縦体のモデルデータと被操縦体自体との関連付けをするための操作乃至作業が煩雑で解りにくいという問題があった。
【0010】
本発明は、以上説明した従来技術における問題点及び本願出願人による上記提案の無線操縦装置の課題を解決するためになされたものであり、無線操縦装置以外の外部装置を使用する必要がなく、モデルデータとこれに対応する被操縦体とを容易に関連付けて装置に記憶させることができるとともに、使用したい被操縦体に対応するモデルデータを間違いなく装置から呼び出して速やかに使用できるように装置に設定できる使い勝手に優れた無線操縦装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載された被操縦体の無線操縦装置は、
被操縦体を操縦するために操作される操作部と、
複数の被操縦体を操縦するために各被操縦体に対応した複数のモデルデータを記憶する記憶部と、
前記記憶部のモデルデータを用いて前記操作部の操作により被操縦体を制御する制御部とを有する被操縦体の無線操縦装置において、
被操縦体を特定する特定データを取得するためのカメラモジュールを有し、
前記制御部は、前記カメラモジュールによって取得された被操縦体の特定データを、当該特定データに係る被操縦体のモデルデータと関連付けて、前記記憶部に呼び出し可能に記憶させることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載された被操縦体の無線操縦装置は、請求項1記載の被操縦体の無線操縦装置において、
前記記憶部に記憶されたモデルデータの呼び出し又は前記記憶部から呼び出されたモデルデータの修正を行う設定部と、
互いに関連付けられて前記記憶部に記憶されている被操縦体の特定データとモデルデータを同時に表示する表示部と、
をさらに有することを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載された被操縦体の無線操縦装置は、請求項1又は2に記載の被操縦体の無線操縦装置において、
前記特定データが、被操縦体の画像データであることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載された被操縦体の無線操縦装置は、請求項1又は2に記載の被操縦体の無線操縦装置において、
前記特定データが、被操縦体に付された当該被操縦体に固有の識別コードから読み込まれる識別データであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された無線操縦装置によれば、ユーザーが無線操縦装置のカメラモジュールで被操縦体を撮影することにより、無線操縦装置は、その被操縦体を特定する特定データを取得することができる。無線操縦装置の制御部は、カメラモジュールで取得した被操縦体の特定データを、当該特定データに係る被操縦体のモデルデータと関連付けて記憶部に記憶させる。複数の被操縦体と各モデルデータが関連付けられて記憶部に記憶された後において、ある被操縦体を操縦するために無線操縦装置にモデルデータを設定する場合には、ユーザーは、記憶部に保存されている特定データを基準として被操縦体を選択することにより、前記被操縦体に対応した特定データに関連付けられているモデルデータを記憶部から呼び出して、前記被操縦体の操縦のために装置に設定することができる。被操縦体の特定データを取得する作業を無線操縦装置だけで行うことができ、またこの特定データを被操縦体と関連付ける作業も容易であり、さらに使用時には、操縦しようとしている被操縦体に対応したモデルデータを間違いなく確実に呼び出して設定できる。
【0016】
請求項2に記載された無線操縦装置によれば、カメラモジュールで取得した被操縦体の特定データとモデルデータを関連付ける作業を行う場合には、特定データを表示部に実際に表示し、ユーザーが視認することにより被操縦体の確認を行うことができるので、関連付け乃至対応関係の誤りが少なくなる。その際、ユーザーは、設定部を操作することにより、記憶部に予め記憶されている複数のモデルデータの中から前記被操縦体に対応するモデルデータを呼び出し、前記特定データと関連付ける作業を行うことができる。
また、複数の特定データと各モデルデータが関連付けられて記憶部に記憶された後において、ある被操縦体を操縦するために無線操縦装置にモデルデータを設定する場合には、記憶部に保存されている複数の特定データを表示部に実際に表示させ、ユーザーがこれを視認して各被操縦体を確認した上で、求める被操縦体を選択することができるので、操縦しようとする被操縦体に対応するモデルデータを間違いなく呼び出して装置に設定することができる。また、ユーザーは、このようにして呼び出したモデルデータを、設定部を操作することにより適宜に改変することができる。
【0017】
請求項3に記載された無線操縦装置によれば、被操縦体の画像データによって被操縦体を特定するようにしたので、カメラモジュールで取得した被操縦体の画像データとモデルデータを関連付ける作業を行う場合、また画像データと各モデルデータが関連付けられて記憶部に記憶された後において、ある被操縦体を操縦するために無線操縦装置にモデルデータを設定する場合には、当該被操縦体の画像を表示部に実際に表示させ、イメージで対象を確認して選択することができるので、モデルデータの選択ミスが発生しにくい。
【0018】
請求項4に記載された無線操縦装置によれば、被操縦体に付された固有の識別コードをカメラモジュールが読み取ることにより、無線操縦装置は、その被操縦体を特定する識別データを取得することができる。カメラモジュールで取得した被操縦体の識別データとモデルデータを関連付ける作業を行う場合、また識別データと各モデルデータが関連付けられて記憶部に記憶された後において、ある被操縦体を操縦するために無線操縦装置にモデルデータを設定する場合には、当該被操縦体の識別データを表示部に実際に表示させ、対象を確認して選択することができるので、モデルデータの選択ミスが発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る無線操縦装置の機能ブロック構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無線操縦装置の正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る無線操縦装置の背面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る無線操縦装置において、特に記憶部の構成及びそのデータ構造と、記憶部を中心としたデータ乃至信号の流れを説明するための模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係る無線操縦装置において、表示部の画面を示す図であって、モデルデータの新規登録時における操作手順及び操作画面の遷移を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る無線操縦装置において、表示部の画面を示す図であって、複数の被操縦体の画像データを登録した後に、各画像データに対応する被操縦体とモデルデータを関連付けて登録する場合の操作手順及び操作画面の遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る無線操縦装置の第1実施形態を図1〜図6を参照して説明する。
まず、図1〜図3を参照して、この無線操縦装置の構成について説明する。
図1の機能ブロック図に示すように、無線操縦装置1は、被操縦体を操縦するためにユーザーが操作する操作部2を備えている。操作部2の具体例としては、図2に示すように、左右一対のスティックレバー2aや、図2では6個が設けられているトリムスイッチ2b、その他のスイッチ、ボタン、レバー等が挙げられる。ユーザーは、これらの操作部2を操作することにより、図示しない被操縦体である飛行機等に搭載されたエンジン等の駆動源や、舵等を駆動するサーボモータ等を制御して、被操縦体を操縦することができる。なお、この操作部2は、後述する表示部9のタッチパネルであってもよい。
【0021】
図1に示すように、無線操縦装置1は、被操縦体を特定する特定データを取得するためのカメラモジュール3を備えている。ここで、特定データとは、操縦しようとする被操縦体が複数存在する場合において、個々の被操縦体を区別するためのデータを意味しており、本実施形態では被操縦体の画像データである。ユーザーは、操縦しようとする被操縦体の名称や型番を忘れても、画像を見ることによって所望の被操縦体を選択することができる。このカメラモジュール3は、前記操作部2のいずれかにより操作することができる。なお、いずれの操作部2を用いてカメラモジュール3の操作を行なうことができるかは、後述する設定ボタン等の操作によって任意に設定し、その設定は後述する記憶部に記憶させておくことができる。
【0022】
図1に示すように、無線操縦装置1は、複数の被操縦体を操縦するためのデータを記憶する記憶部4を備えている。記憶部4は、FROMやEEPROM等の不揮発性メモリ4aと、RAM等の揮発メモリ4bを有している。記憶部4の不揮発性メモリ4aには、ユーザーが操縦しようとする複数種類の被操縦体の各々に対応した複数のモデルデータや、無線操縦装置1による制御を実行するために全モデルデータに共通なシステムデータが記憶されて保存される。なお、モデルデータの意味は、[背景技術]の項で説明した通りであり、本実施形態では、一つの無線操縦装置1で複数の被操縦体を操縦することを想定し、複数種類のモデルデータが予め記憶されている。これらモデルデータはデフォルト値のままで使用してもよいが、実際の被操縦体の用途その他の条件に合わせて、後述する設定ボタンの操作によってカスタマイズしてもよい。さらに、後述するカメラモジュール3で撮影した被操縦体の画像データや、後述する各モデルデータと各画像データの関連性乃至対応付けを示すデータも、不揮発性メモリ4aに記憶されて保存されるようになっている。なお、モデルデータと各画像データの関連性を示すデータが不揮発性メモリ4aに記憶されるということは、換言すれば、モデルデータと各画像データが互いに関連付けられた状態で不揮発性メモリ4aに記憶されることを意味している。揮発メモリ4bは、これらの各種データを展開し、制御手段によって利用、処理するためのスペースとして使用される。
【0023】
図1に示すように、無線操縦装置1は制御部5を備えている。制御部5は、記憶部4のシステムデータ及びモデルデータと、操作部2から送られる操作信号とにより、被操縦体を制御するための制御信号を生成し、送信部6(RF回路)を駆動してアンテナ7から被操縦体に電波を送信させ、被操縦体の操縦制御を行なう機能を有している。
【0024】
また、本実施形態の特徴として、この制御部5は、操作部2の操作によりカメラモジュール3で被操縦体の撮影を行なう撮影制御機能を有している。さらに、制御部5は、撮影した被操縦体の画像データと記憶部4にあるモデルデータを関連づけて記憶部4に記憶させる設定機能と、さらに必要に応じて記憶部4の画像データを選択することにより、対応するモデルデータを操縦のために装置に設定するモデルデータ選択機能等を有している。なお、制御部5は、これらの制御に伴い、後述する表示部9に必要な表示を行なわせる表示制御機能も備えている。
【0025】
図1に示すように、無線操縦装置1は、記憶部4に記憶されたモデルデータの呼び出し又は記憶部4から呼び出されたモデルデータの修正を行う設定部として、設定ボタン8を備えている。この設定ボタン8は、図2又は図3に示すような無線操縦装置1の本体の何れかの位置に設けられた専用のボタン(ダイアル8a、操作スイッチ8b等)であってもよいし、又は後述する表示部9のタッチパネルであってもよい。
【0026】
図1に示すように、無線操縦装置1は表示部9を備えている。この表示部9には、無線操縦装置1を使用する際に必要又は有用な種々の情報(画像を含む)が表示される。具体例は後述するが、例えば表示部9は、現在使用可能な被操縦体の画像データと、そのモデルデータを同時に表示したり、記憶部4に格納されている被操縦体の複数の画像データを一つずつ又はサムネイル形式で表示したり、さらにカメラモジュール3で被操縦体を撮影する際のファインダーとなったり、撮影後には撮影した被操縦体の画像を表示することもできる。また、この表示部9には、タッチパネル方式のボタンを設けることもでき、このタッチパネルの少なくとも一部を前述した操作部2や設定ボタン8として使用してもよい。
【0027】
次に、図4を参照して、この無線操縦装置1の特徴である制御部5の設定機能、すなわち被操縦体の画像データと対応するモデルデータを関連づけて記憶部4に記憶させる機能について説明する。
図4は、不揮発性メモリ4a(FROM)に記憶されているデータの内容を示すとともに、不揮発性メモリ4a(FROM)と揮発メモリ4b(RAM)の間におけるデータのやり取りと、表示部9(ディスプレイ)及び設定ボタン8(表示部9のタッチパネル、ダイアル8a、操作スイッチ8b等)と揮発メモリ4b(RAM)との間のデータ及び信号のやり取りを、それぞれ矢印で示した図である。以下に説明するこれらデータ及び信号のやり取りは、制御部5を介して行われるものであり、従って上記図4中の矢印は制御部5の機能を示している。
【0028】
不揮発性メモリ4a(FROM)には、システムデータと、複数のモデルデータ(本例ではNo.1からNo.30までの30種類のモデルデータ)が予め記憶されおり、システムデータにはデフォルトで使用されるNo.1のモデルデータが予めリンクされている。モデルデータと画像データのリンクがまだ行なわれていない無線操縦装置1を最初に使用する場合、まず電源を投入すると、不揮発性メモリ4aのシステムデータ及びこれにリンクされたNo.1のモデルデータが揮発メモリ4b(RAM)に読み込まれる。
【0029】
ここで、設定ボタン8を操作することにより、揮発メモリ4b(RAM)上のモデルデータ、システムデータの内容を変更して設定することができる。この変更したデータを不揮発性メモリ4a(FROM)に保存することもできる。また、モデルデータ、システムデータの内容は、設定ボタン8の操作によって表示部9(ディスプレイ)に表示することができる。
【0030】
また、図4には示さないが、カメラモジュール3を図1に示す操作部2で操作することにより、カメラモジュール3が取得した被操縦体の画像データを不揮発性メモリ4a(FROM)に保存することもできる。また、設定ボタン8の操作により、不揮発性メモリ4a(FROM)からモデルデータを揮発メモリ4b(RAM)上に呼び出している状態において、操作部2の操作によってカメラモジュール3が取得した被操縦体の画像データを揮発メモリ4b(RAM)上に展開すると、これらモデルデータと画像データは対応付けられた状態となって不揮発性メモリ4a(FROM)に記憶される。なお、モデルデータ、システムデータ、画像データ及びこれらデータの対応関係のデータ等は、不揮発性メモリ4a(FROM)に記憶する他、無線操縦装置1に着脱可能とされた外部の記憶媒体(メモリーカード等)に保存することもできる。
【0031】
次に、この無線操縦装置1におけるモデルデータの新規登録の手順について図5を参照して説明する。
図5(a)はホーム画面を示す。無線操縦装置1の電源スイッチをONにすると、表示部9にこのホーム画面が表示される。図5(a)のホーム画面が表示されると、前述したように、システムデータと、これにリンクしたNo.1のモデルデータが不揮発性メモリ4aから呼び出されてデフォルトの状態で揮発メモリ4b上に展開され、デフォルトのNo.1のモデルデータであれば操縦が可能な状態となる。本例では、まだ実際の被操縦体についてはモデルデータの登録をしていないことを前提としており、このホーム画面を出発点として新規の登録を行なう。まず、右上のリンケージボタン10又は下段に移動メニュー中のリンケージメニュー11を押し、図5(b)のリンケージメニュー画面に移動する。
【0032】
図5(b)のリンケージメニュー画面には、種々のメニューボタンが表示されるが、その中でモデルセレクトボタン12を押すと、図5(c)のモデルセレクト画面に移動する。
【0033】
図5(c)のモデルセレクト画面は、不揮発性メモリ4aから呼び出され、デフォルトの状態で揮発メモリ4b上に展開されたNo.1のモデルデータを改変するための画面である。このモデルセレクト画面中の新モデル作成ボタン13を押すと、図5(d)に示す新モデル作成画面に移動する。
【0034】
図5(d)の新モデル作成画面中、左欄に示す飛行機の画像は、本モデルデータに対応する被操縦体の画像であり、ここではデフォルトの画像が表示されている。同じく、中欄は、主翼における舵類の設定・組み合わせ等のバリエーション(ウイングタイプ)を選択・設定するための画像であり、右欄は、尾翼における舵類の設定・組み合わせ等のバリエーション(テイルタイプ)を選択・設定するための画像であり、それぞれ画面の指示に従って必要なタイプを選択・設定していくことができる。図示した主翼や尾翼の設定の他、スティックレバーの操作量とサーボモータによる舵の作動量の対応関係(直線的関係、二次曲線的関係その他から選択する等)を選択する等の設定も可能である。なお、この新モデル作成画面で、特にデータの変更乃至新規の設定を行なわなければ、これらデータはデフォルトのままである。この画面での操作が終了すると、図5(e)に示す撮影画面に移動する。
【0035】
図5(e)の撮影画面では、画面の一部がファインダー14として機能し、カメラモジュール3が捉えた被操縦体の画像を表示する。ユーザーは、これを見ながらシャッターに割り当てられた設定ボタン8を操作することにより、カメラモジュール3で被操縦体の写真を撮る。撮影された被操縦体の画像データは表示部9に表示され、同時に、モデルデータが揮発メモリ4b(RAM)上に展開されている状態で、画像データが揮発メモリ4b(RAM)上に展開されると、これらモデルデータと画像データは対応付けられた状態となって不揮発性メモリ4a(FROM)に自動的に記憶格納される。そして、表示部9の画面は、前述した図5(c)のモデルセレクト画面に移行するが、その小ウインドウ15に表示されている飛行機の画像は、図5(e)の撮影画面で実際に撮影した被操縦体の画像(グライダーの画像)に切り替わっている。
【0036】
図5(c)〜(e)の操作を複数回行い、複数のモデルデータを複数の異なる被操縦体の画像データとリンクさせる。これら複数の被操縦体は、この無線操縦装置1のユーザーが、この無線操縦装置1で操縦しようとしている手持ちの被操縦体である。
【0037】
図5(f)は、ユーザーが画像から被操縦体を選択するためのサムネイル画面であり、図5(c)のモデルセレクト画面でサムネイルボタン16を押すことによって表示される。ユーザーは、この画面を見ながら、自分が操縦しようとする被操縦体をビジュアル的に選択し、その画像を選択する。これによって、その被操縦体にリンクしているモデルデータが不揮発性メモリ4a(FROM)から呼び出されて揮発メモリ4b(RAM)上に展開され、この無線操縦装置1は、このモデルデータで被操縦体を操縦できる状態となる。
【0038】
次に、この無線操縦装置1において、先に複数種類の被操縦体の画像データを蓄積した後に、これら各画像データと各モデルデータを関連付けて登録する手順について主として図6を参照して説明する。
図6(a)はホーム画面を示す。このホーム画面中の右上のリンケージボタン10又は下段に移動メニュー中のリンケージメニュー11を押し、図5(b)に示したリンケージメニュー画面に移動し、リンケージメニュー画面中のカメラボタン17を押して図6(b−1)、(b−2)、(b−3)に示すような撮影画面に移動する。
【0039】
図6(b)の各撮影画面では、画面の一部がファインダー14として機能し、カメラモジュール3が捉えた被操縦体の画像を表示する。ユーザーは、これを見ながらシャッターに割り当てられた設定ボタン8を操作することにより、カメラモジュール3で被操縦体の写真を撮る。撮影された被操縦体の画像データは表示部9に表示され、同時に、不揮発性メモリ4a(FROM)に自動的に記憶格納される。この例では、図6(b−1)、(b−2)、(b−3)にそれぞれ例示するように、グライダー、飛行機、ヘリコプター等を撮影している。その後、図5(b)に示したリンケージメニュー画面に移動し、リンケージメニュー画面中のモデルセレクトボタン12を押して図6(c)に示すモデルセレクト画面に移動する。
【0040】
図6(c)に示したモデルセレクト画面では、不揮発性メモリ4aから呼び出されたデフォルト状態のNo.1のモデルデータだけが選択可能に表示されているが、すでに画像データにリンクしたモデルデータが記憶部4に記憶されている場合には、それらのモデルデータが選択可能に表示される。このようなモデルセレクト画面の表示から、所望のモデルデータを選択すると、表示部9は自動的に図6(d)のサムネイル画面に移動する。なお、本例では、図6(c)のモデルセレクト画面におけるNo.1のモデルデータは、ユーザーが有するグライダーの操縦に適したモデルデータであるものとする。
【0041】
図6(d)に示すサムネイル画面は、図6(b)で例示したカメラ撮影画面で撮影した画像データを表示したものであり、まだモデルデータとは関連付けられていない。この画面で、ユーザーは、図6(c)のモデルセレクト画面で選択したモデルデータに適合した被操縦体として、左上隅のグライダーの画像を選択する。これによって、グライダーの画像データと、先に選択したグライダー用のモデルデータが互いに関連付けられ、同時に不揮発性メモリ4a(FROM)に自動的に記憶格納される。そして図6(e)に示すように、表示部9はモデルセレクト画面に切り替わり、その小ウインドウ15には、No.1のモデルデータと関連付けられたグライダーの画像データが表示されている。
【0042】
なお、以上説明した実施形態の無線操縦装置1では、被操縦体の画像データとモデルデータが一対一で対応してもよいし、2以上の被操縦体の画像データと一のモデルデータが対応してもよい。例えば、同一機種・同一設定で色だけが異なる2機の飛行機をユーザーが保有している場合は、サムネイル画面上では、ユーザーが使用目的等に応じてビジュアル的に何れかの機体を選択するが、その結果、選択されるモデルデータとしては同一になる。このようなケースでは、モデルデータとして同一のものを2つ用意しておき、同一機種・同一設定で色だけが異なる2機の飛行機の各々が、内容的には同一であるが、データ番号としては異なる2つのモデルデータにそれぞれ対応するようにしてもよい。
【0043】
また、画像データとモデルデータが関連付けられて記憶されている場合は、このデータを呼び出して他の画像データと関連付けた場合には、先の画像データとのリンクが外れ、後の画像データと関連付けられて記憶されるようにしてもよいし、先後2つの画像データが同一のモデルデータと関連付けられて記憶されるものとしてもよい。
【0044】
以上説明したように、この実施形態によれば、使用している複数の被操縦体を実施に撮影して得た画像に基づいて使用する被操縦体を選択しているので、モデルデータの設定ミスが起きにくいという効果がある。
【0045】
本発明に係る無線操縦装置の第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と共通の部分については説明を省略し、第1実施形態の説明を援用するものとする。
この無線操縦装置は、被操縦体を識別・特定するための前記特定データが、被操縦体に付された固有の識別コードから読み込まれる識別データであることを特徴としている。この実施形態では、無線操縦装置に予め記憶されている複数のモデルデータに対応して、複数の識別コードがラベルに印刷されて用意されている。例えば、無線操縦装置に予め記憶されたNo.1〜No.30のモデルデータにそれぞれ対応して、30種類の識別コードがバーコード形式でラベルにそれぞれ印刷されてセットで用意されている。
【0046】
ユーザーは、第1実施形態で示したような手順で無線操縦装置を操作し、ある特定のモデルデータを呼び出し、ある特定の被操縦体に適した又は必要なカスタマイズを行う。次に、あるラベルを選択して前記特定の被操縦体に付し、これをカメラモジュール3で読み取る。これによって、その特定の被操縦体を特定する識別データと、その特定の被操縦体のモデルデータが互いに関連付けられて記憶部4に記憶される。その他の被操縦体についても、それぞれ同様の手順でモデルデータを作成してラベルを貼り、これを読み取ってモデルデータと識別データの関連付けを行なう操作を繰り返す。
【0047】
モデルデータを呼び出す際には、カメラモジュール3で被操縦体のラベルの識別コードを読み取り、識別データを取得すれば、この識別データに対応したモデルデータが自動的に読み出されて装置に設定される。このように、この実施形態によれば、使用している複数の被操縦体ごとに異なる識別コードのラベルを貼って個体識別を行なっているので、モデルデータの設定に誤りが少ないという効果がある。
【0048】
なお、第2実施形態においてモデルデータを読み出すための特定データとして、ラベルに印刷した識別コードから読み取る識別データを利用したが、カメラモジュール3で撮影した被操縦体の画像データ自体を識別コードとして利用してもよい。すなわち、被操縦体の外形上の特徴等を画像認識技術により画像データから抽出してコード化し、これを各被操縦体を個別認識する特定データとして用いることもできる。
【0049】
また、第2実施形態において、各無線操縦装置に固有のシリアル番号をコード化して前記ラベルに加えておき、当該無線操縦装置に記憶された各モデルデータにも前記シリアル番号のデータを照合可能に付加しておけば、この被操縦体に貼ったラベルの識別コードを他の無線操縦装置のカメラモジュール3で読み込んでモデルデータと対応させることはできなくなる。従って、他人が誤って自分のものでない被操縦体についてモデルデータを設定したり、他人の被操縦体を操縦してしまうといった不都合が発生するのを防止することができる。
【0050】
以上説明した各実施形態では、被操縦体としてグライダー、飛行機、ヘリコプター等を例示したが、これらはホビー用の模型でもよいし、産業上の実用的な目的によって使用される実機であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…無線操縦装置
2…操作部
3…カメラモジュール
4…記憶部
5…制御部
8…設定部としての設定ボタン
9…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被操縦体を操縦するために操作される操作部と、
複数の被操縦体を操縦するために各被操縦体に対応した複数のモデルデータを記憶する記憶部と、
前記記憶部のモデルデータを用いて前記操作部の操作により被操縦体を制御する制御部とを有する被操縦体の無線操縦装置において、
被操縦体を特定する特定データを取得するためのカメラモジュールを有し、
前記制御部は、前記カメラモジュールによって取得された被操縦体の特定データを、当該特定データに係る被操縦体のモデルデータと関連付けて、前記記憶部に呼び出し可能に記憶させることを特徴とする被操縦体の無線操縦装置。
【請求項2】
前記記憶部に記憶されたモデルデータの呼び出し又は前記記憶部から呼び出されたモデルデータの修正を行う設定部と、
互いに関連付けられて前記記憶部に記憶されている被操縦体の特定データとモデルデータを同時に表示する表示部と、
をさらに有することを特徴とする請求項1記載の被操縦体の無線操縦装置。
【請求項3】
前記特定データが、被操縦体の画像データであることを特徴とする請求項1又は2に記載の被操縦体の無線操縦装置。
【請求項4】
前記特定データが、被操縦体に付された当該被操縦体に固有の識別コードから読み込まれる識別データであることを特徴とする請求項1又は2に記載の被操縦体の無線操縦装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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