説明

被服

【目的】胸の谷間の汗を吸収することができる吸汗部材を有する被服を提供することを目的とするものである。
【構成】本体部2と、該本体部2の内側に設けられ、かつ、左右のバストに対応する2つのカップ6,6を有し、汗を吸収することができる吸汗部材10を前記本体部2の内側に設け、更に、前記吸汗部材10を出し入れ可能に収納できる収納部9を前記本体部2に設け、前記吸汗部材10を、前記収納部9から取り出した際に、この吸汗部材10が、少なくとも前記両カップ6,6間の上部に位置することができるように備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被服に関し、より詳しくは、ブラ付き被服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、女性の胸の谷間に生じる汗を吸収する汗取りシートとして、被服とは別体の長方形状に形成された吸水性の不織布シートからなるものが知られている。この汗取りシートは、胸の谷間に差し込んで使用することで、胸の汗を吸い取ることができるものである(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−130621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の汗取りシートは、ブラジャー等の被服とは別体であり、この汗取りシートを胸の谷間に差し込んで使用するため、使用中に汗取りシートがずれたり、落下したりして、胸の谷間の汗を吸収しない虞がある。
【0005】
また、この汗取りシートが不要な場合には、別途収納する袋等を用意しておく必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点を解決した吸汗部材を有する被服を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、本体部と、該本体部の内側に設けられ、かつ、左右のバストに対応する2つのカップを有し、
汗を吸収することができる吸汗部材を前記本体部の内側に設け、更に、前記吸汗部材を出し入れ可能に収納できる収納部を前記本体部に設け、
前記吸汗部材を、前記収納部から取り出した際に、この吸汗部材が、少なくとも前記両カップ間の上部に位置することができるように備えたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記吸汗部材を、収納部から取り出した際に、この吸汗部材の一部が、前記両カップ間の内側に位置することができるように備えたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記本体部が、汗を吸収することができる布地からなることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2又は3記載の発明において、前記本体部の両脇部に、汗を吸収することができる脇吸汗部材を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の発明において、前記被服が、ハーフトップブラであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、吸汗部材を、収納部から取り出した際に、少なくとも前記両カップの間で、かつ、その上部に位置することができるようにしたことにより、胸の谷間の汗を吸汗部材で吸収することができ、快適な着心地とすることができる。
【0013】
また、吸汗部材を、収納部内に出し入れ可能に収納できることにより、汗をかかないときや、吸汗部材が汗を多量に吸っているときなど吸汗部材が不要な場合には、吸汗部材を収納部内に収納することで、吸汗部材が肌に当ることがなく、吸汗部材のゴワ付き感が生じない。また、収納部を、本体部に設けたことにより、前記従来技術のように、被服とは別の収納袋等を用意する必要がない。
【0014】
また、吸汗部材を本体部に設けたことにより、前記従来技術のように、吸汗部材が、落下してしまう虞がない。
【0015】
また、請求項2記載の発明によれば、更に、前記吸汗部材を、収納部から取り出した際に、この吸汗部材の一部が、前記両カップ間の内側に位置することができるように備えたことにより、吸汗部材をバストとカップとで挟持することができ、吸汗部材の使用時に、それを胸の谷間からずれることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明をハーフトップブラに適用した実施例における斜視図。
【図2】吸汗部材を、収納部から取り出した状態の図1のA−A線、図4のD−D線の断面図に相当する。
【図3】吸汗部材を、収納部に収納した状態の図1のA−A線、図5のE−E線の断面図に相当する。
【図4】図2のB−B線断面図。
【図5】図3のC−C線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の被服を、ハーフトップブラに適用した図1乃至図5に示す実施例に基づいて説明する。
【0018】
ハーフトップブラ(被服)1は、図1に示すように、使用者の上半身の胸部と、その胸部の背との全周を覆う、周方向が無端状の筒状に形成された本体部2を有する。該本体部2は、胸部側を覆う前側部材2aと、背中側を覆う後側部材2bとで形成されている。前記前側部材2aは、前方に膨出する曲面状に形成され、着用した状態において、使用者のバスト全体を覆い、その上端は、胸部上方に位置するように形成されている。
【0019】
この本体部2は、汗を吸収することができる布地(生地)で形成されている。この布地としては、汗を吸収することができる布地であれば任意の布地を用いることができ、例えば、綿、ポリエステル、レーヨン等の繊維からなる布地を用いることができる。本体部2には、本実施例においては、モダールクールプラス(モリリン(株)社製、繊維配合率:綿60%、ポリエステル35%、ポリウレタン5%)を用いた。
【0020】
前記前側部材2aの両側部の上部には、図1〜5に示すように、前側から後側に至るほど下側に向う円弧状の切欠部2dが形成され、前記後側部材2bの両側部の上部には、図1,4,5に示すように、前側から後側に至るほど上側に向う円弧状の切欠部2eが形成されている。この前後の切欠部2d,2eで、使用者の腕を挿通することができる脇部7が形成されている。また、両切欠部2d,2eを、円弧状に形成したことで、脇部7が使用者の脇の下部にフィットするようになっている。
【0021】
この両脇部7,7には、図1〜5に示すように、汗を吸収することができる脇吸汗部材3,3が縫着されている。該両脇吸汗部材3,3は、その上端が、前側から後側に向うほど、下方に傾斜するように形成され、この上端の前端は、前側部材2aの切欠部2dの上端部に位置し、その下端は、後側部材2bの切欠部2eの下部中央部に位置するように形成されて、脇吸汗部材3が使用者の脇の下部にフィットするようなっている。該吸汗部材3には、汗を吸収することができる布地であれば任意の布地を用いることができ、例えば、綿、ポリエステル、レーヨン等の繊維からなる布地を用いることができる。本実施例では、脇吸汗部材3に、前記本体部2と同じモダールクールプラスを用いた。
【0022】
前記本体部2の上部左右には、肩紐4,4が設けられている。また、前記本体部2の下端部の全周に亘ってゴムテープ2cが設けられている。
【0023】
前記前側部材2aの内側の下部には、図2,3に示すように、土台部5が設けられている。該土台部5の下端部5aと両端部5b,5bが、夫々、前側部材2aに対して縫着されている。前記土台部5の上部の左右には、左右のバストを被覆して保形するカップ6,6が設けられており、該カップ6,6の下半分は、その端部6aが土台部5に対して縫着されている。前記右カップ6の右端は、生地片6bを介して前記本体部2に対して取付られ、前記左カップ6の左端は、生地片6bを介して前記本体部2に対して取付られている。
【0024】
前記左右のカップ6,6の上縁は前側部材2aに対して固着されておらず、両カップ6,6及び土台部5と、前側部材2aとの間11は、図4、5に示すように、その上方のみが開口するポケット状に形成されている。
【0025】
前記前側部材2aの内側には、収納部9が、図4,5に示すように設けられている。該収納部9は、図2,3に示すように、方形状の生地9aが、その両側端部9b,9bと下端部9cを、前側部材2a対して縫着し、上端9dは縫着しない状態で設けられて、その上方のみが開口するポケット状に形成されている。前記生地9aは、前記本体部2と同じ生地で形成されている。
【0026】
前記前側部材2aの内側には、汗を吸収することができる吸汗部材10が設けられている。該吸汗部材10には、汗を吸収することができる布地であれば任意の布地を用いることができ、例えば、綿、ポリエステル、レーヨン等の繊維からなる布地を用いることができる。吸汗部材10に用いる布地として、吸水性、速乾性、通気性の良い布地(生地)を用いることが好ましく、本実施例においては、前記本体部2と同じ、モダールクールプラスを使用した。
【0027】
前記吸汗部材10は、図2,3に示すように、略方形状に形成され、この吸汗部材10の横幅は、前記収納部9内の横幅よりも短く設定されている。吸汗部材10は、その上端部10aのみが、前記前側部材2aの上部に対して縫着されて備えられており、この縫着部10a以外の部分は縫着されていない。前記吸汗部材10の本体部2との縫着部10aは、図2〜5に示すように、収納部9の上端9dよりも上方に位置し、前記吸汗部材10の主体部が、収納部9内に出し入れ可能に収納できるようになっている。
【0028】
なお、前記収納部9は、前記のように上方が開口するポケット状に形成することが好ましいが、前記吸汗部材10の主体部を収納できる形状であれば、任意の形状とすることができ、たとえば、生地9aの両側端部9b,9bのみを前側部材2a対して縫着し、上方と下方が開口するように形成しても良い。
【0029】
前記吸汗部材10は、収納部9から取り出した使用状態において、使用者の胸部に位置し、しかも吸汗部材10の下部が、使用者の胸の谷間に位置するようになっている。すなわち、該吸汗部材10は、図2,4に示すように、これを収納部9から取り出して収納部9よりも内側に垂下させた場合に、その下部は、前記両カップ6と6との間の上部6cで、かつ、両カップ6、6の内側に位置し、すなわち、胸の谷間に位置するようになっている。該吸汗部材10は、収納部9から取り出した使用状態において、少なくとも、その一部が両カップ6と6との間の上部6cで、かつ、両カップ6、6の内側に位置することができればよく、その形状は任意に設定するものである。また、吸汗部材10として、本実施例においては、3枚の布地(生地)を重ね合わせて形成したが、その枚数は、使用する布地が汗を吸収できる量等に応じて任意に設定することができる。
【0030】
本発明のハーフトップブラ(被服)1は、上記のような構造、構成により次のような作用、効果を発揮することができる。
【0031】
吸汗部材10を使用する際には、吸汗部材10を収納部9から取り出して、図2,4に示すように、両カップ6,6の内側に位置するように垂らす。この際に、吸汗部材10が、両カップ6と6との間の上部6cで、かつ、両カップ6、6の内側に位置することで、胸の谷間の汗を吸汗部材10で吸収することができる。
【0032】
また、吸汗部材10を使用する際には、吸汗部材10が、両カップ6、6の内側に位置することで、吸汗部材10を、バストとカップ6,6とで挟持することができ、吸汗部材10がバストと確実に接触して、胸の谷間の汗を吸収することができるとともに、吸汗部材10の使用時には、吸汗部材10が胸の谷間からずれることを抑制できる。また、吸汗部材10を本体部2の内側に縫着して設けたことにより、前記従来技術の汗取りシートのように、吸汗部材10が使用時に落下する虞がない。
【0033】
また、吸汗部材10を、収納部9内に出し入れ可能に収納できることにより、汗をかかないときや、吸汗部材10が汗を多量に吸っているときなど吸汗部材10が不要な場合には、吸汗部材10を収納部9内に収納することで、吸汗部材10が肌に当ることがなく、吸汗部材10のゴワ付き感等がない。
【0034】
また、収納部9を、本体部2の内側に設けたことにより、前記従来技術の汗取りシートように、汗取りシートを収納する袋等を別途用意する必要がない。
【0035】
本体部2が、汗を吸収することができる布地で形成したことにより、この被服1で覆われた上半身で発生した汗を被服1全体で吸収することができる。また、汗の発生量が多い胸の谷間部や脇部に、吸汗部材10と脇吸汗部材3を設けて、汗を吸収することで、快適な着心地とすることができる。
【0036】
なお、上記実施例においては、吸汗部材10と、収納部9と、脇吸汗部材3と、本体部2とを全て同じ布地で形成したが、夫々を、異なる布地で形成しても良い。
【0037】
なお、上記実施例は、本発明の被服としてハーフトップブラに適用した例であるが、本体部2に対して、カップ6、吸汗部材10、収納部9を前記実施例と同様に取り付けることができる被服であれば、任意の被服に対して、本発明を適用することができ、例えば、ブラ付きTシャツ、ブラ付きインナー、ブラ付きキャミソール、ブラ付きタンクトップ、ブラ付きワンピース等の被服に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 被服
2 本体部
3 脇吸汗部材
6 カップ
9 収納部
10 吸汗部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、該本体部の内側に設けられ、かつ、左右のバストに対応する2つのカップを有し、
汗を吸収することができる吸汗部材を前記本体部の内側に設け、更に、前記吸汗部材を出し入れ可能に収納できる収納部を前記本体部に設け、
前記吸汗部材を、前記収納部から取り出した際に、この吸汗部材が、少なくとも前記両カップ間の上部に位置することができるように備えたことを特徴とする被服。
【請求項2】
前記吸汗部材を、収納部から取り出した際に、この吸汗部材の一部が、前記両カップ間の内側に位置することができるように備えたことを特徴とする請求項1記載の被服。
【請求項3】
前記本体部が、汗を吸収することができる布地からなることを特徴とする請求項1又は2記載の被服。
【請求項4】
前記本体部の両脇部に、汗を吸収することができる脇吸汗部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の被服。
【請求項5】
前記被服が、ハーフトップブラであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の被服。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−236531(P2011−236531A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110411(P2010−110411)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(593069897)モリリン株式会社 (29)
【Fターム(参考)】