説明

被検体増幅とレポーターを用いる生体分子のナノ電子的検出

生体分子の検出法であって、酵素(例えば、ヌクレアーゼ及びポリメラーゼ等)の被検体−誘発作用による標的レポーター及び被検体標的種の増幅法を含む該検出法が開示される。増幅された標的種(例えば、アンプリコン及びレポーター等)は、本発明の観点を有するナノ電子的センサーのいくつかの態様及び別の常套の生体分子検出法によって検出可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ電子的センサー装置を用いる生体分子用検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願のクロス・レファレンス
この出願は、米国特許法35USC第119条(e)による下記の米国仮特許出願に基づく優先権を主張する出願であり、これらの出願の明細書に開示された内容も本願明細書の一部を成すものである:
1)米国仮特許出願第60/901538号(出願日:2007年2月14日、発明の名称:生体分子検出用電気化学的ナノセンサー)、
2)米国仮特許出願第60/850217号(出願日:2006年10月6日、発明の名称:生体分子検出用電気化学的ナノセンサー)、及び
3)米国仮特許出願第60/789022号(出願日:2006年4月4日、発明の名称:被検体増幅とレポーター及びポリヌクレオチドとその他の生体分子のナノ電子的検出)。
【0003】
この出願は、特に下記の米国仮特許出願に基づいて優先権を主張する米国特許出願第11/318354号(WO2006/071895に対応する)(出願日:2005年12月23日、発明の名称:DNA検出とポリヌクレオチド配列の認識のためのナノ電子的センサー装置)の一部継続出願であって、該出願に基づいて優先権を主張する出願である:
1)米国仮特許出願第60/748834号(出願日:2005年12月9日)、
2)米国仮特許出願第60/738694号(出願日:2005年11月21日)、
3)米国仮特許出願第60/730905号(出願日:2006年10月27日)、
4)米国仮特許出願第60/668879号(出願日:2005年4月5日)、
5)米国仮特許出願第60/657275号(出願日:2005年2月28日)、
6)米国仮特許出願第60/639954号(出願日:2004年12月28日)。
【0004】
この出願は、特に下記の米国仮特許出願に基づいて優先権を主張する米国特許出願第11/212026号(WO2006/024023に対応する)(出願日:2005年8月24日、発明の名称:DNA検出用ナノチューブセンサー装置)の一部継続出願であって、該出願に基づいて優先権を主張する出願である:
1)米国仮特許出願第60/629604号(出願日:2004年11月19日)、
2)米国仮特許出願第60/604293号(出願日:2004年8月24日)。
【0005】
この出願は、下記の米国仮特許出願に基づいて優先権を主張する米国特許出願第11/588845号(出願日:2006年10月26日、発明の名称:麻酔モニター、キャパシタンス・ナノセンサー及び動的検出サンプリング法)の一部継続出願であって、該出願に基づいて優先権を主張する出願である:
1)米国仮特許出願第60/850217号(出願日:2006年10月6日)、
2)米国仮特許出願第60/773138号(出願日:2006年2月13日)、
3)米国仮特許出願第60/748834号(出願日:2005年12月9日)、
4)米国仮特許出願第60/730905号(出願日:2005年10月27日)。
【0006】
この出願は、米国仮出願第60/700953号(出願日:2005年7月19日)に基づいて優先権を主張する米国特許出願第11/488465号(公報:2007/0045756)(出願日:2006年7月18日、発明の名称:懸垂状一体化マイクロヒーターを備えたナノ電子的センサー)の一部継続出願であって、該出願に基づいて優先権を主張する出願である
【0007】
この出願の内容は下記の米国特許出願に関連するものであり、これらの出願の開示内容は本願明細書の一部を成すものである。
1)米国特許出願第10/704066号(公報:2004/013070)(出願日:2003年11月7日、発明の名称:生体分子のナノチューブに基づく電子的検出)、
2)米国特許出願第10/388701号(特許:第6905655)(出願日:2003年3月14日、発明の名称:ナノ構造装置アレイ用の検出選択性の修正)、
3)米国特許出願第10/345783号(公報:2003/0134433)(出願日:2003年1月16日、発明の名称:機能化ナノ構造を用いる生物化学的試薬の電子的検出)、
4)米国特許出願第10/280265号(特許:第6894359号)(出願日:2002年10月26日、発明の名称:ナノチューブセンサーのための感度調整)、及び
5)米国特許出願第10/177929号(WO 04/040671に対応)(出願日:2002年6月21日、発明の名称:基体上でのナノチューブの分散増加)。
【0008】
従来技術の説明
ポリヌクレオチド中の塩基配列は遺伝情報をコードするので、これらの配列の解読性は生物工学の多くの進歩に寄与している。この研究によって、医療条件に関連する多くの重要な配列が確認されている。例えば、BRCA遺伝子は、通常は乳癌で患う女性の体内に存在する。医療的検査において、このような関連性を利用する目的で、特定の重要な配列が発現するかどうかを調べるために組織試料を走査する多くの技術が開発されている。これらの技術は、コスト高で、遅く、複雑であるために日常的な医療検査に適用するには不適当であるという難点がある。
【0009】
一般にこれらの技術は、ポリヌクレオチドがハイブリッドを形成するという傾向に依存する。溶液中の短鎖DNA(ssDNA)の鎖は、ssDNA中の各々の塩基と対を形成する反対塩基を含む相補鎖DNA(cDNA)と容易に結合する。この結合の結果、二重鎖DNA(dsDNA)が形成される。dsDNAは加工処理によってssDNAから分離することができる。従って、特定の標的配列を走査するためには、実験者はプローブ(probe)配列として適当なcDNAを準備する。標的配列が試料中に存在するときには、標的ssDNAはプローブssDNAとハイブリッドを形成してdsDNAを生成する。このハイブリッド形成はいくつかの方法によって検出することができる。
【0010】
現在行われている方法は、色素による蛍光−標識化オリゴヌクレオチド、量子ドット(quantum dot)又はオリゴヌクレオチド−改質金ナノ粒子による吸光度増加を利用することによる主として光学的な検出法に注目が集まっている。例えば、DNAハイブリッド形成の電気化学的検出法は、電極としてナノ構造体を用いておこなってもよい。しかしながら、電気化学的方法は、標識の電気化学的挙動によって左右される。
【0011】
この場合の第1の問題点は、このハイブリッド形成を検知するための多くの方法には、ハイブリッド形成前に試料中のssDNAを変性させる過程が含まれるということに起因する。ssDNAに対して蛍光分子を結合させることがしばしばおこなわれている。標識(label)として知られているこのような分子は光学的機器(例えば、顕微鏡及び分光器等)によるssDNAの検知を可能にする。標識化は、ハイブリッド形成後のDNA試料を検知するために利用されている。標的配列が標識化試料中に存在するときには、標識化されたssDNAは標識化されたdsDNAに組み込まれので、該dsDNAは光学的機器を用いて検知することが可能となる。光学的検出法の利用により、上記方法は簡便なものとなるが、DNAを標識化する化学反応はコスト高で長時間を要する。標識化を必要としない検出法は、日常的な医療検査に対するDNA走査法の有用性を著しく増大させるであろう。
【0012】
第2の問題点は、伝統的な検出法の感度が低いことに起因する。この種の方法の一部の方法は低濃度のDNAに対して感度を示すが、該方法においては、絶対数として多数のDNA分子を必要とする。医療的用途においては、通常は僅かな細胞のみが入手できるにすぎないため、試料中に存在する標的配列のDNA分子は僅かである。この問題は、標的DNAの量を百万倍増幅させることができるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の利用によって改良されている。しかしながら、標識化法の場合と同様に、PCRは複雑な化学反応であるために、検査に要するコストが高くなり、また、時間もかかる。
【0013】
標的被検体を、一般的には光学的検出法又は蛍光検出法を使用して検出するためのシステムにおいてオリゴヌクレオチドを利用する研究が知られている。例えば、次の特許文献(これらの特許文献も本願明細書の一部を構成するものである)を参照されたい:米国出願公開2006−0040286;「標的被検体のバイオ−バーコードに基づく検出」、及び米国特許第6750016;「オリゴヌクレオチドが付着したナノ粒子とその使用」。しかしながら、これらの方法は、未変性の標的被検体(例えば、非−PCR増幅被検体)に応答する増幅反応をもたらさず、また、電子的検出をもたらさない。
【0014】
未変性の標的被検体に対する増幅応答について検討した研究も知られている。例えば、次の文献を参照されたい(これらの特許文献も本願明細書の一部を構成するものである):H.F.リー、Y.リ、A.W.ワーク及びR.M.コーン、「DNAマイクロアレイのエキソヌクレアーゼIII消化によるDNAの酵素的に増幅されたSPRイメージ化検出」、Analytical Chem. 、第77巻、第5096頁〜第5100頁(2005年)、及び米国出願公開2005−0048501:「DNAの検出又は同定のための方法と装置」。しかしながら、これらの方法は、電子的検出をもたらさない。
【0015】
DNAと共に他の生体分子は、生物学的プロセス及び医学的な診断と治療に関する科学的理解において重要性が増大している。生体分子、例えば、タンパク質、多糖及びRNA等を検出する必要性がある。タンパク質のような被検体の検出法に関する研究も知られている。例えば、次の特許文献(該文献も本願明細書の一部を成すものである)を参照されたい:米国出願公開2006−0014172;「アプタマー−ナノ粒子結合体及び標的被検体を検出するための該結合体の用法」。しかしながら、このような方法も、未変性の標的被検体の標的部位の増幅をもたらさず、また、電子的検出をもたらさない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
このため、当該分野においては、特定の標的生体分子を高感度で迅速に検知できる強力な技術が明らかに要請されている。このような技術は、PCR又はその他の標的被検体の増幅法を使用せず、かつ被検体種の標識化を必要とせずに操作されるべきである。また、この種の技術は増幅された検出反応と電子的検出をもたらすべきである。さらに、この種の技術は、被検体試料の濃縮及び/又は単一化若しくは精製をもたらすだけでなく、感度と選択性を高めることが望ましい。
【0017】
被検体種の標識化又は増幅の必要性を回避すると共に電子的信号をもたらす方法を提供する顕著な目的は、簡単化された自動化バイオ検出能を迅速かつ低コストの介護時点での診断的用途に対して適用できるようにすることであり、好ましくは、該方法は非実験室的な臨床的又は家庭的な状況下で行ってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の観点を有する装置と方法の付加的な説明と概要は、前記の「関連出願のクロス・レファレンス」において例示した共同発明に係る仮出願及び非仮出願の明細書に記載されており、これらの出願明細書の記載内容も本願明細書の一部を成すものである。本願は、これらの出願明細書の開示内容と記載と共に理解されるべきである。特に、これらの出願明細書には、ナノ電子装置及び標識を使用せずにポリヌクレオチドと他の被検体種を検出して同定する方法の多数の代替的な実施態様が記載されている。
【0019】
ナノ電子的検出装置(nanoelectronic detector device)
ナノ構造体(nanostructure)は、センサーとしての用途においては特有の特性を発揮する。即ち、ナノ構造体は実質的に一次元的であって、電子的摂動に対して著しく高い感度を示すと共に、容易に機能化させることができ、また、多くの半導体製造法に適合させることができる。本発明の観点による実施態様においては、表面上に存在する原子によって大きな影響を受ける特性を有するナノ構造体を使用するので、高感度の電子的検出のための基礎がもたらされる。例示的な実施態様においては、好ましくは1又は複数のカーボンナノチューブを含み、より好ましくは1又は複数の単層カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotube;SWNT)を含む。
【0020】
別の装置の実施態様には、一般的には、標的被検体との相互作用に対して高い感度を示す電子的特性を有する少なくとも1つのナノ構造体(ナノ構造体素子)を具有する素子が含まれていてもよい。1又は複数の導電性素子はナノ構造体素子と連絡していてもよく、これによって、装置の1又は複数の電子的特性であって、被検体の媒体に曝されたときのナノ構造体素子の応答によって影響を受ける電子的特性を測定するための信号を得ることができる。
【0021】
一般的には、ナノ構造体素子と導体は支持用基体に隣接して配置される。該基体は、一般的には、少なくとも1つの誘電性表面(又は表面コーティング)を含んでおり、これによって装置素子の電気的絶縁がもたらされる。基板は剛直であってもよく、あるいは可撓性であってもよく、あるいは多孔性若しくは非多孔性であってもよい。一般的には平面状又は平坦状であるが、機能的な形態(例えば、管状形態)を有していてもよい。別の多数の基体の化学的組成としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、ポリイミド及びポリカーボネート等が例示される。本明細書に記載の多くの実施例において、基体は、酸化ケイ素、SiO、及びSi等の材料を含む1又は複数の層、フィルム又はコーティングをシリコンウェーハ又はシリコンチップ上に具有する。
【0022】
ナノチューブネットワーク(nanotube network)装置
ナノセンサー装置の1つの実施態様においては、ナノ構造体素子は、複数のナノ構造体、例えば、集合的構造を形成するように配置されるSWNT又はその他のナノチューブ等を含んでいてもよい。ナノセンサー装置の多くの好ましい実施態様においては、ナノ構造体素子は、基体又は基体に隣接して配置されて少なくとも1つの導線と連絡するナノチューブがランダムに相互連結されたネットワーク(ナノチューブネットワーク)を含むことが有利である。
【0023】
ナノチューブネットワークは、伝統的なリソグラフィーを用いる化学蒸着(CVD)法、溶剤懸濁沈着法及び真空蒸着法等によって調製してもよい。この点に関しては、下記の文献を参照されたい:米国特許出願第10/177929号明細書(該明細書はWO2004/040671に対応する);同第10/280265号明細書;同第10/846072号明細書;L.フーら、ナノ・レターズ(2004年)、第4巻、第12号、第2513頁〜第2517頁(「透明な導電性カーボンナノチューブネットワークにおけるパーコレーション」)。これらの文献の開示内容も本明細書の一部を成すものである。
【0024】
ナノ構造体素子(例えば、ナノチューブネットワーク)の特性は、1又は複数の接触子(contact)を用いて測定してもよい。接触子は、ナノチューブネットワークのようなナノ構造体素子と電気的に接続するように配置させた導電性素子を含む。例えば、接触子は、基板の表面上へ直接的に配置させてもよく、あるいは、ナノチューブネットワーク上に配置させてもよい。ナノチューブネットワークを流れる電流は、ナノチューブネットワークの特定の領域内において該ネットワークと電気的に接続させた少なくとも2つの接触子を用いて測定してもよい。
【0025】
トランジスターの実施態様
本発明の一部の実施態様においては、ゲート電極又は対(counter)電極と呼ばれる付加的な導電性素子が配置される。即ち、該導電性素子は、ナノ構造体素子(例えば、少なくとも1つのナノチューブ)とは電気的に接続しないが、ケート電極とナノ構造体素子との間に電気的キャパシタンスが存在するように配置される。
【0026】
例示的な装置は、トランジスターのチャンネルがナノチューブを含む電界効果トランジスターを具備しているので、該装置はナノチューブ電界効果トランジスター又はNTFETと呼んでもよい。例えば、ゲート電極は、酸化ケイ素の下方の基板内の導電性平面である。あるいは、ゲート電極又は対電極は、ナノ構造体素子に隣接した状態(例えば、下部、上部又は側部に隣接した状態)であって、該素子から電気的に絶縁された状態で配置された導電性層、例えば、可撓性基板上に沈着された導電性ポリマー材料層を含んでいてもよい。ナノチューブの抵抗、インピーダンス、相互コンダクタンス又はその他の特性は、選定されるか又は可変性のゲート電圧の影響下で測定してもよい。
【0027】
この種のナノチューブ電子装置としては、特に下記の文献に記載されているものが例示される:米国特許出願第10/656898号(出願日:2003年9月5日)及び同第10/704066号(出願日:2003年11月7日)(該出願は、US2004/0132070として公開された)。これらの文献の記載内容も本明細書の一部を成すものである。
【0028】
トランジスター装置は、ゲート電圧(例えば、G/Vg信号等)の関数としてのチャンネルの相互コンダクタンスを測定するために役立つ。トランジスターは最大のコンダクタンス、即ち、所定範囲のゲート電圧を用いて測定された最も大きなコンダクタンス、及び最少のコンダクタンス、即ち、所定範囲のゲート電圧を有いて測定された最も小さなカンダクタンスを有する。トランジスターは、最大コンダクタンスと最小コンダクタンスとの比であるオン−オフ比を有する。高感度の化学センサーを製造するためには、ナノチューブトランジスターのオン−オフ比は、好ましくは1.2よりも大きな値であり、より好ましくは2よりも大きな値であり、最も好ましくは10よりも大きな値である。
【0029】
被検体の認識
標的種や雑種汚染物等を含む被検体含有媒体と装置素子との相互作用を仲介させるために、ナノ構造体素子(例えば、1又は複数のナノ構造体素子への付着種若しくは付着層又は吸着種若しくは吸着層、基板、及び導体等)に関連して付加的な物質を含めてもよい。このような物質としては、1又は複数の認識層又は分子トランスデューサー(例えば、後述の実施例において説明するssDNAオリゴマープローブ等)、触媒物質、不活性化物質、抑制物質、保護物質、フィルター、被検体吸引剤、濃縮剤及び結合性種等が例示される。この種の物質と素子は、選択性、特異性及び/又は装置の使用特性を改良する機能を果たすことができる。
【0030】
ポリヌクレオチド種
本発明は、ポリヌクレオチドの特異的な標的配列を検出するための電子センサー装置を提供する。特定の実施態様においては、該センサーは、ポリヌクレオチドと相互作用して検出性素子として作用するナノ構造体素子(例えば、単層及び/又は多層カーボンナノチューブ及び/又は該ナノチューブを含有する相互連結性ネットワーク等)を含有する。以下において詳述する実施例においては、ナノ構造体素子はカーボンナノチューブ、特にランダムに配向したカーボンナノチューブのネットワークを含有する。これらの実施例においては、検出前に、ナノチューブはssDNAプローブ配列の吸着によって改質される。DNAの標識化は不要である。さらに、本発明は、該センサー装置の使用法を提供する。
【0031】
本明細書で使用する「DNA」という用語はポリヌクレオチドを意味する。ポリヌクレオチドとしては、特に限定的ではないが、デオキシリボ核酸、リボ核酸、メッセンジャーリボ核酸、転移リボ核酸及びペプチド核酸が例示される。ポリヌクレオチドの明確な特徴は、核酸の鎖と塩基の配列であり、各々の塩基は核酸に化学的に結合し、また、各々の塩基は整合性配列(matching sequence)上で適当な塩基と対を形成する。
【0032】
当業者であれば、これらの明確な特徴を有するポリヌクレオチドのその他の変形誘導体を調製することができる。従って、「単鎖DNA」(以下においては、「ssDNA」で表示する)はデオキシリボ核酸、リボ核酸又はその他の前記のポリヌクレオチドの単鎖であってもよい。「二重鎖DNA」(以下においては、「dsDNA」で表示する)は上記のいずれかのポリヌクレオチドの二重鎖であってもよい。「相補的DNA」(以下においては、「cDNA」で表示する)は、既に言及した単鎖配列に対して相補的な単鎖配列である前記のポリヌクレオチドのいずれの鎖であってもよい。
【0033】
特定のセンサー装置中のssDNAは、特定の標的配列のためのcDNAになるように選択してもよい。標的配列は、センッサー装置によって検出されるべき塩基配列である。標的配列用のcDNAは、プローブ(probe)配列として知られている。標的配列が特定されたならば、プローブ配列を有する一定量のDNAを入手しなければならない。特定配列を有するDNAの合成及び所定の配列に対して相補的なDNAの合成に関しては種々の技術が知られている。当業者であれば、これらの技術に関する知識を有している。所望の標的配列に対して特異的なプローブを調製するのに適当なcDNA又はその他のポリヌクレオチドは、バイオテクノロジー工業に関連する既知の商業的製造業者から一般的に入手することができる。
【0034】
センサー装置は、試料ssDNAを含有する溶液にナノチューブネットワークを接触させることによって使用してもよい。ネットワークは、ハイブリッド形成がおこなわれるのに充分に長い時間にわたって該溶液と接触させるべきである。この接触時間は、試料DNAの濃度、該溶液の量、室内の温度、溶液のpH、及びその他の可変要因によって左右される。当業者であれば、DNAのハイブリッド形成に対するこれらの可変要因の効果について精通しており、適当な接触時間、溶液の組成、温度及びその他のハイブリッド形成に関連する条件を過度の実験を伴うことなく選定することができる。
【0035】
前記の全てのセンサーの実施態様におけるポリヌクレオチドのハイブリッド形成の発生、速度及び特異性が種々の条件に左右されることに留意すべきである。各々のハイブリッド形成過程においては、dsDNAの結合エネルギーは緊縮技術(stringency technique)によって測定することができる。このような測定は、温度を増加させるか、又は緩衝液を、例えば、水酸化ナトリウム等に変更することによっておこなうことができる。
【0036】
付加的な緊縮対照は、ハイブリッド形成媒体の種々のイオン性成分(例えば、ナトリウムイオン又はマグネシウムイオン等)を含有していてもよい。あるいは、又は、さらに、ハイブリッドの形成前、形成中及び/又は形成後において、センサーの素子(例えば、ナノチューブネットワーク)に電圧を印加することによって、ポリヌクレオチドの挙動に影響を及ぼしてもよい。例えば、cDNAのようなポリヌクレオチドはホスフェートに基づく骨格を有しており、該骨格は、一般的にはハイブリッド形成媒体中においてはイオン化されており、局在化された負電荷を保有する。選択的に帯電させたセンサー素子は、例えば、対応する完全に整合化した(matched)プローブの対応するハイブリッドに対してSNP−不整合化(mismatched)プローブのハイブリッドを不安定化させるために、例えば、インキュベーション中又はすすぎ処理中において、牽引性又は反発性の緊縮因子を付与するために使用してもよい。
【0037】
緊縮因子を変化させることによって、完全または不完全な相補的塩基対と鎖との結合を差別化することが可能である。緊縮過程に応答してナノチューブの電気的特性が変化することによって、特に、単一塩基の不整合(SNP)の差別化が可能となる。当業者であれば、標的配列の完全なハイブリッド形成と不完全なハイブリッド形成に対する感度の選択度を得るために、本発明によるセンサーの特定の実施態様の操作を適合させるように、ハイブリッド形成の条件を変化させることができる。
【0038】
例えば、特定の対立遺伝子に対して同型のDNA試料を、該対立遺伝子に対して異型の他の比較試料と区別するためのアッセイにおいては、ハイブリッド形成の緊縮条件を、例えば、温度を変化させることにより調整することによって、同型試料と異型試料との間において明確に異なる装置の測定応答が得られるようにしてもよい。
【0039】
本発明の観点による各々のセンサーの実施態様においては、これらのセンサーはアレイ(array)(例えば、複数の異なる標的DNAフラグメントに対して機能化されたトランジスターセンサーのアレイ)として構築させてもよい。これに関しては、下記の文献を参照されたい:米国特許出願第10/388701号(特許公報2003−0175161)(発明の名称:ナノ構造体装置アレイの検出感度の修正)。この文献の記載内容も本明細書の一部を成すものである。
【0040】
電気化学的検出器の実施態様
本発明の一部の実施態様においては、ナノ構造化素子、例えば、カーボンナノチューブネットワークを含む電極等は、試料中の1種又は複数種の被検体の存在と濃度の測定を可能にするように、本願明細書に記載の被検体標的種及び/又はレポーターの電気化学的相互作用を検出するために使用してもよい。この点に関しては、例えば、本願発明と同時になされた発明に関する次の米国特許出願(発明の名称はいずれも「生体分子検出用電気化学的ナノセンサー」である)の明細書に記載されている検出方法と装置を参照されたい:第60/901538号(出願日:2007年2月14日)及び第60/850217号(出願日:2006年10月6日)。これらの特許出願の明細書に記載内容も本願明細書の一部を成すものである。
【0041】
キャパシタンス検出器の実施態様
本発明の一部の実施態様においては、ナノ構造化容量性素子を含む検出器は、試料中の1種又は複数種の被検体の存在と濃度の測定を可能にするように、本願明細書に記載の被検体標的種及び/又はレポーターの電気化学的相互作用を検出するために使用してもよい。この点に関しては、例えば、本願発明と同時になされた発明(発明の名称:麻酔モニター、キャパシタンスナノセンサー及び動的検出サンプリング法)に関する米国特許出願第11/588845号(出願日:2006年10月26日)の明細書に記載されている検出方法と装置を参照されたい。なお、この特許出願は次の米国特許出願に基づく優先権を主張する出願である:第60/850217号(出願日:2006年10月6日)、第60/773138号(出願日:2006年2月13日)、第60/748834号(出願日:2005年12月9日)及び第60/730905号(出願日:2005年10月27日)。これらの特許出願の明細書に記載内容も本願明細書の一部を成すものである。
【0042】
検出のための代替的な方法、標識、マーカー及び装置
詳細に記載された例示的な実施態様においては、科学的又は光学的に活性な標識又はマーカーに左右されない電子的信号によって検出できるという利点を有するレポーターに焦点があてられているが、本発明の技術的思想を逸脱することなく、別の方法を利用することも可能である。
【0043】
例えば、本願明細書に記載のいずれかの増幅法から誘導されるアンプリコン(amplicon)、種又はレポーターフラグメントは、当該分野において知られている多数の異なるレポーター又は被検体の検出法を実行に移すように設計された特定のマーカー、標識又は検出エンハンサー、例えば、蛍光性マーカー、消光基、質量改変、光学的検出、分光分析、電気泳動的移動度の改変、及びレポーター親和性の改変等を含んでいてもよい。同様に、本発明によるいずれかの増幅法によって誘導されるアンプリコン、種又はレポーターフラグメントは二次的な生体分子反応に関与させることによって、例えば、触媒的効果によるか、又は蛍光性プローブが独立的な酵素的な攻撃若しくは再配置等を受けやすくするように誘発することにより検出可能な効果がもたらされるように設計してもよい。
【0044】
非−PCRレポーター増幅
本発明の1つの観点によれば、非常に少量の標的被検体に応答してレポーター分子、例えば、特異的DNAオリゴマー等を増幅して放出させた後に、該レポーター分子の量を電子的に検出する方法が提供される。本発明による観点を有する特定の実施態様においては、ポリヌクレオチドに対して特異的な活性を有する酵素は、選択された被検体の存在を表示するレポーター部分であって、本発明による観点を有するナノセンサーの使用によって電子的に検出可能な該レポーター部分の非−PCR増幅を達成するために使用してもよい。この種の実施態様は、非循環的増幅を行う態様として記載されてもよい。即ち、該実施態様においては、増幅過程においては、例えば、PCRの場合のように反応条件を循環的に変化させるための複雑な制御システムは不要である。
【0045】
本発明による観点を有する第1の実施態様においては、プローブ集合体は、1種又は複数種のオリゴヌクレオチドプローブが結合した基体、例えば、磁性ビーズ及び滴定ウェル等を具有する。例えば、ビーズ基体は、ビーズ表面上に区分されて別々に機能する複数のオリゴヌクレオチドプローブを保持することによって、複数のプローブ集合体を形成してもよい。各々のこの種のオリゴヌクレオチドプローブは、ナノコード配列部分と捕獲配列部分を含む。ナノコード配列部分は、レポーターオリゴヌクレオチド上の対応する配列に対して相補的になるように選択される。プローブ集合体の調製に際しては、レポーターオリゴヌクレオチドは、適当な条件下においてハイブリッド形成されてナノコード配列となる。捕獲配列部分は、標的被検体ポリヌクレオチド上の対応する配列(標的配列)に対して相補的になるように選択される。捕獲配列とナノコードを有するオリゴヌクレオチドプローブは、既知の方法によって所定の配列を有するように調製した後、既知の方法によって基体、例えば、磁性ビーズの表面又はその他の不動化表面上へ付着させてもよい。
【0046】
操作に際しては、各々の標的被検体はプローブと結合して被検体/プローブ複合体を形成する。この場合、過剰のプローブが存在してもよい。例えば、磁性ビーズあたり多くのプローブが存在してもよい。特定の実施態様(例えば、磁性ビーズ又はその他の基体を使用する態様)においては、結合した被検体/プローブ複合体を有する基体の不動化によって、該複合体の精製又すすぎが可能となるので、試料又は溶解混合物を単純化することができる。好ましい実施態様においては、すすぎ後に添加されるエキソヌクレアーゼは、被検体/プローブ複合体のプローブ集合体部分の捕獲配列とナノコードのみを分解させ、標的被検体ポリヌクレオチド又はレポーターオリゴヌクレオチド(又はプリスチンプローブ)は分解させないという特異的な活性を有する。エキソヌクレアーゼ活性により、標的被検体ポリヌクレオチドとレポーターオリゴヌクレオチドの両方が放出されるので、(a)被検体ポリヌクレオチドは遊離して付加的なプリスチンプローブと反応し、(b)レポーターオリゴヌクレオチドは反応緩衝液中に高濃度で蓄積する。単純な媒体中に蓄積された(増幅された)レポーターオリゴヌクレオチドは、著しい交差反応性をもたらすことなく、本願明細書に記載のような本発明によるナノ電子的検出器によって電子的に検出してもよい。
【0047】
以下において説明するレポーターの被検体により誘発された放出に関する第1実施態様
における実施例においては、非突出状3’末端(例えば、平滑又は陥凹3’末端)を有する二重鎖ポリヌクレオチドの分解(例えば、ホスフェート主鎖結合の加水分解)に対して特異的な活性を有するエキソヌクレアーゼを使用する。代替的な装置と方法は、「鏡像」の実施例(この場合は、ポリヌクレオチドとオリゴヌクレオチドの3’と5’は逆に配置されており、エキソヌクレアーゼは5’末端特異性を示す)のようなその他のエキソヌクレアーゼ活性を利用するように設計してもよいことも理解されるべきである。さらに別の代替的な装置と方法も、本発明の技術的思想を逸脱することなく適用することができる。
【0048】
さらにまた別の実施態様においては、5’反応性エキソヌクレアーゼ、及び付着末端エキソヌクレアーゼ等を使用することができ、また、他の不動化表面(例えば、ポリマー又はSi表面、及び他のタイプのビーズ等)、プローブ間の開裂性リンカー、媒体容量の低減化、及びビーズの濾過等の手段等を使用することができる。
【0049】
別の実施態様においては、選択的なエキソヌクレアーゼ活性が達成されるように選択された条件下においてその他の酵素を使用してもよい。例えば、ヌクレオチドトリホスフェートを奪う媒体中において種々のタイプのDNAポリメラーゼを使用することによって、ポリメラーゼ活性を犠牲にして「校正(proof-reading)」活性を優先させてヌクレアーゼとして機能させてもよい。
【0050】
別の実施態様においては、プローブの構成要素は、合成塩基類似体を有するポリヌクレオチド、例えばロックされた核酸(例えば、LNAオリゴマー又は2’−O、4’−Cメチレンブリッジを含む核酸、例えば、シグマ−アルドリッチ社の市販品)を含んでいてもよい。LNAオリゴマーは、プローブ分子の選択された部位におけるエキソヌクレアーゼ活性を阻止するか又は制限し、ハイブリッド形成された重複部位の安定性を制御してもよい。
【0051】
さらに別の実施態様においては、タンパク質、多糖若しくはその他の生体分子標的被検体のための抗体複合プローブ及び/又はアプタマーに基づくプローブを使用することによって、非ポリヌクレオチド被検体の検出を可能にしてもよい。
【0052】
好ましくは、本発明の観点を含む例示的な検出法と装置には、センサーの応答、感度及び/又は選択性を増大させるための濃縮過程と単純化過程が含まれていてもよい。プローブは、いずれかの固体状支持体又はオリゴマーの結合のために適した基体へ付着させることによって、分離過程又はすすぎ過程のために結合又は不動化させてもよい。適当な基体用材料としては、特に限定的ではないが、ガラス、プラスチック、ポリエチレン、セルロース、ポリメタクリレート、ラテックス、ゴム、フルオロカーボン樹脂及び金属等が例示される。基体材料の形態は、スライド、ウェル若しくはその他のエンクロジャー(enclosure)、又は微小球若しくはマイクロビーズのような粒子等であってもよい。常磁性被覆物によって、ビーズを磁気的に応答するようにすることができる。共役結合性物質又は錯体形成性物質を使用することによって、オリゴヌクレオチド又はその他のプローブ種を基体、例えば、ビオチン又はビオチン誘導体の結合に適したアビジン又はアビジン誘導体等へ結合させてもよい。
【0053】
磁性ビーズの共役と分離/不動化のための技術は周知であり、このための構成成分と付属品は市販されている。これに関しては、例えば、インビトロゲン・コーポレーション社(旧名称:ダイナル・ビオテク社)(カールスバード、カリフォルニア州)のホームページ(http://www.invitrogen.com)を参照されたい。また、次の特許文献に記載されている分離方法と装置も参照されたい(これらの特許文献の開示内容も本願明細書の一部を成すものである):
1)米国出願公開第2005−0147822(発明の名称:プロセス)、
2)米国特許第5512439号(発明の名称:オリゴヌクレオチドが結合した磁性粒子とその使用)、
3)米国特許第6994971号(発明の名称:生体分子の定量化のための粒子分析アッセイ)、及び
4)米国特許第5851770号(発明の名称:磁性ビーズ担体を用いるレゾルヴェイス開裂によるミスマッチの検出)。
1ミクロン以下の磁性ビーズを入手することができ、該ビーズは結合性成分、例えば、共有結合したストレプタビジン(例えば、アビジンで処理したオリゴヌクレオチドへ結合させるための結合性成分)及び細菌壁(bacterial wall)タンパク質(例えば、抗体へ結合させるための結合性成分)を用いる前処理に付してもよい。
【0054】
粒状のプローブ基体に対する別の分離/不動化法、例えば、電気泳動的分離法を使用してもよい。正荷電基(例えば、アミノ基)又は負荷電基(例えば、カルボン酸基)を有するビーズ又は粒子は電場の力によって分離させるか、又は不動化させてもよい。さらに別の態様においては、粒子状又はビーズ状の基体は、反応媒体から濾過によって分離させてもよい。
【0055】
試料中の被検体ポリヌクレオチドの検出方法の1つの実施態様においては、該方法は下記の過程(a)〜(e)を含む:
(a)下記の要素(i)〜(iv)を含む少なくとも1つの第1プローブ集合体を供給する:
(i)基体;
(ii)隣接位の5’−末端ヌクレオチドと遠位の3’−末端ヌクレオチドを含む少なくとも1つのプローブポリヌクレオチドであって、該隣接位の5’−末端ヌクレオチドが基体に隣接して結合すると共に少なくとも1つのナノコードヌクレオチド配列部分及び被検体ポリヌクレオチドの対応する標的ヌクレオチド配列に対して相補的なヌクレオチド配列を有する捕獲ヌクレオチド配列部分を含む該プローブポリヌクレオチド;
(iii)プローブポリヌクレオチドのナノコード配列に対して相補的なヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの第1レポーターポリヌクレオチドであって、ナノコード配列とハイブリッド形成することによってプローブポリヌクレオチドと重複部分を形成する該第1レポーターポリヌクレオチド;
(iv)捕獲ヌクレオチド配列部分と3’−末端ヌクレオチドが第1レポーターポリヌクレオチドの重複部分から遠位へ延びるように設計されたプローブポリヌクレオチド;
(b)被検体ポリヌクレオチドの標的ヌクレオチド配列をプローブポリヌクレオチドの捕獲ヌクレオチド配列部分と結合させることによって、下記の成分(i)〜(iii)を含有する重複第1プローブ/被検体複合体を形成させるために有効な条件下において、第1プローブ集合体を被検体であるポリヌクレオチドを含有すると推定される試料と接触させる:
(i)第1プローブ集合体;
(ii)少なくとも1種の被検体ポリヌクレオチド;
(iii)遠位へ延びて平滑な遠位の5’−末端(1)又は突出する遠位の5’−末端(2)を形成する被検体ポリヌクレオチド;
(c)第1プローブ/被検体複合体を、二重鎖DNAへの特異的結合とその後のDNA重複部の3’−末端ストランドの選択的加水分解を含む3’−対−5’エキソ−デオキシリボヌクレアーゼ活性を有するエキソヌクレアーゼと接触させる;
(d)エキソヌクレアーゼを第1プローブ/被検体複合体へ結合させるために有効であると共に、第1プローブ/被検体複合体の遠位の3’−末端ストランドをエキソヌクレアーゼで加水分解させることによってポリヌクレオチド被検体と少なくとも第1レポーターポリヌクレオチドを第1の重複プローブ/被検体複合体から放出させるために有効な条件を維持する;
(e)エキソヌクレアーゼによる加水分解によって放出される少なくとも第1レポーターポリヌクレオチドの存在を検出することによって、試料中のポリヌクレオチド被検体の存在を測定する。
【0056】
試料中の被検体ポリヌクレオチドの検出法の別の実施態様は、直前の節に記載の方法に対して「鏡像法」の関係にある過程を含む。この場合、3’末端と5’末端は該方法の規定の全体にわたって逆転し、該方法は下記の要件(a)〜(e)によって規定される:
(a)基体は、プローブポリヌクレオチドの隣接位の3’末端に隣接して結合する。
(b)第1プローブ/被検体複合体の遠位の末端はポリヌクレオチド被検体を含み、該被検体は遠位へ延びて平滑な遠位の3’−末端(1)又は突出する遠位の3’−末端(2)を形成する。
(c)エキソヌクレアーゼは、二重鎖DNAと特異的に結合した後、DNA重複体の5’末端ストランドの選択的加水分解を含む5’−対−3’エキソ−デオキシリボヌクレアーゼ活性を有する。
(d)この方法は、プローブ/被検体の5’末端ストランドを加水分解してポリヌクレオチド被検体と少なくとも第1レポーターポリヌクレオチドを放出するために有効な条件を維持することを含む。
(e)この方法は、エキソヌクレアーゼによる5’−対−3’加水分解によって放出されるレポーターポリヌクレオチドの存在を検出することによって、試料中のポリヌクレオチド被検体の存在を測定することを含む。
【0057】
指数関数的な非−PCR標的増幅
本発明の1つの観点によれば、希薄な試料又は少量の試料被検体の検出範囲を拡張するために標的被検体ポリヌクレオチド関連種を増幅させる方法が提供される。代替的な増幅方法と装置は下記の要素(1)及び/又は(2)を含んでいてもよい:
(1)同族レポーター。試料中に標的被検体ポリヌクレオチドが存在することを示す検出可能種を、アンプリファイア/試薬複合種からエキソヌクレアーゼ−媒介反応を介して、対応する合成標的オリゴヌクレオチドの被検体による誘発化放出によって増幅させる。この場合、放出された合成標的オリゴヌクレオチドは、標的被検体ポリヌクレオチド配列の一部の検出可能なコピー(同族又は準同族のオリゴヌクレオチド類似体)を含有する。
(2)非同族レポーター。試料中に標的被検体ポリヌクレオチドが存在することを示す検出可能種を、アンプリファイア/試薬複合種からエキソヌクレアーゼ−媒介反応を介して、対応する合成標的オリゴヌクレオチドの被検体による誘発化放出によって増幅させる。この場合、放出された合成標的オリゴヌクレオチドは、標的被検体ポリヌクレオチド配列には厳密には類似しない配列(非同族のオリゴヌクレオチド類似体)を含有する。
【0058】
以下に記載の増幅方法と装置の第1実施態様の実施例においては、非突出状の3’末端(例えば、平滑又は陥凹3’末端)を有する二重鎖ポリヌクレオチドの分解(例えば、ホスフェート主鎖の結合の加水分解による分解)に対して特異的な活性を有するエキソヌクレアーゼを使用する。別のエキソヌクレアーゼ活性、例えば、「鏡像」の実施例を利用できるように別の装置と方法を設計してもよいことを理解すべきである。この場合の実施例においては、ポリヌクレオチドとオリゴヌクレオチドにおける3’と5’の配置が逆転し、エキソヌクレアーゼは5’末端特異性を有する。また、本発明の技術的思想を逸脱することなく、さらに別の実施態様も可能である。
【0059】
二重標的アンプリファイア
本発明の観点を有する実施態様においては、一重鎖被検体ポリヌクレオチドの2つの異なる部分の配列(便宜上、「標的A」及び「標的B」で表示する)が選択される。アンプリファイア試薬は、少なくとも下記の2種のアンプリファイアを包含するように配合してもよい:
(1)標的Bに対して相補的な第1捕獲配列(捕獲B’)及び標的Aに対して相補的な第2捕獲配列(捕獲A’)を有するオリゴヌクレオチドを含むアンプリファイアA。
(2)標的Aに対して相補的な第1捕獲配列(捕獲A’)及び標的Bに対して相補的な第2捕獲配列(捕獲B’)を有するオリゴヌクレオチドを含むアンプリファイアB。
【0060】
コンパニオンを含む重複アンプリファイア
試薬中のプリスチンのアンプリファイアA及びアンプリファイアBの各々は重複又は二重鎖形態を含む。この場合、アンプリファイアオリゴヌクレオチドは、非突出状3’末端を欠く複合体を生成するように設計されたコンパニオンオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成することによって、プリスチン形態におけるエキソヌクレアーゼ活性から保護される。コンパニオンオリゴヌクレオチドは、以下のように、被検体分子の対応する標的配列と類似する配列(合成標的)を含む:
(1)アンプリファイアAのコンパニオンオリゴヌクレオチドオは、被検体の標的Aと同一又は類似する合成標的配列(合成標的A'')を含んでおり、該合成標的A'' は、プリスチン試薬中においては、第2捕獲配列(捕獲A’)とハイブリッド形成する。
(2)アンプリファイアBのコンパニオンオリゴヌクレオチドオは、被検体の標的Bと同一又は類似する合成標的配列(合成標的B'')を含んでおり、該合成標的B'' は、プリスチン試薬中においては、第2捕獲配列(捕獲B’)とハイブリッド形成する。
【0061】
標的とハイブリッド形成するアンプリファイア
アンプリファイアA及びアンプリファイアBの各々は、プリスチン複式形態においては、構成要素である捕獲配列を露出させるような形態を有しているので、該捕獲配列は、ポリヌクレオチドのハイブリッド形成を促進するために有効な条件下において、被検体ポリヌクレオチドの対応する標的配列とハイブリッド形成することによって、対応するアンプリファイア/被検体複合体を生成してもよい。従って、例えば、
(1)アンプリファイアAの第1捕獲配列(捕獲B’)は、被検体の標的配列Bと結合し、また、
(2)アンプリファイアBの第1捕獲配列(捕獲A’)は、被検体の標的配列Aと結合する。
【0062】
各々のアンプリファイア/被検体複合体の生成には、アンプリファイアAとアンプリファイアBの一方又は両方と各々の被検体ポリヌクレオチドとのハイブリッド形成が含まれていてもよく、この点に留意すべきである。この形成過程は同時に進行させる必要はない。何故ならば、これらのアンプリファイアの種類は、上記の生成過程において、相互に独立して反応するように選定されるからである。
【0063】
アンプリファイア/被検体複合体の酵素的分解
これらの酵素的分解におけるいずれの場合においても、標的配列の位置及び/又はアンプリファイアの配置の選択によって、アンプリファイアA、アンプリファイアB又はこれらの両方を含むアンプリファイア/被検体複合体が各々のアンプリファイアオリゴヌクレオチドの露出した非突出状3’末端を含むようにすることができるので、試薬中に存在するか、又は外部から添加されるエキソヌクレアーゼは、アンプリファイアオリゴヌクレオチドの分解を開始させてもよい。アンプリファイアオリゴヌクレオチドの分解が続行すると、両方の捕獲配列が除去されることによって、以下のようにして、アンプリファイアオリゴヌクレオチドから標的被検体が放出されると共に、合成標的配列を有する対応するコンパニオンオリゴヌクレオチドがアンプリファイアオリゴヌクレオチドから放出される:
(1)アンプリファイア/被検体複合体中のアンプリファイアAのアンプリファイアオリゴヌクレオチドが分解され、被検体の標的配列Aが放出されると共に、コンパニオンオリゴヌクレオチドの合成標的A''が放出される。
(2)アンプリファイア/被検体複合体中のアンプリファイアBのアンプリファイアオリゴヌクレオチドが分解され、被検体の標的配列Bが放出されると共に、コンパニオンオリゴヌクレオチドの合成標的B''が放出される。
【0064】
従って、各々の元の被検体分子に対しては、上記の増幅過程によって、元の非分解被検体ポリヌクレオチド分子(元の標的A及び標的Bを含む)、アンプリファイア試薬から誘導される2種の単鎖合成標的(合成標的A及び合成標的B)及び反応を仲介したエキソヌクレアーゼ酵素が放出される。
【0065】
放出された標的のその後の増幅
付加的なプリスチンアンプリファイアAとアンプリファイアB及びエキソヌクレアーゼの存在下においては、各々のこれらの標的配列(合成又は未変性被検体)は、前述のような増幅のさらなる過程に関与してもよい。何故ならば、各々のアンプリファイアは、ポリヌクレオチドのハイブリッド形成を促進するために有効な条件下においては、未変性標的の場合と同じ効果をもたらす合成標的とハイブリッド形成するように設計されているからである:
(1)プリスチンアンプリファイアAの第1捕獲配列(捕獲B’)は、予め分解されたアンプリファイアBの放出されたコンパニオンオリゴヌクレオチドの合成標的B''と結合して、全てが合成のアンプリファイア/標的複合体を形成し、次いで、該複合体はヌクレアーゼ活性によって分解され、元の合成標的B''と付加的なコンパニオンオリゴヌクレオチド(合成標的A''を含む)の両方が放出される。
(2)プリスチンアンプリファイアBの第1捕獲配列(捕獲A’)は、予め分解されたアンプリファイアAの放出されたコンパニオンオリゴヌクレオチドの合成標的A''と結合して、全てが合成のアンプリファイア/標的複合体を形成し、次いで、該複合体はヌクレアーゼ活性によって分解され、元の合成標的A''と付加的なコンパニオンオリゴヌクレオチド(合成標的B''を含む)の両方が放出される。
【0066】
増幅の各々の「サイクル」においては、元の標的と対応する新たな標的が生成して放出され、これらの各標的は付加的な増幅現象を誘発することができる。この結果、連続する増幅過程中において、媒体が十分なアンプリファイア試薬とエキソヌクレアーゼを含有する間は、元の被検体ポリヌクレオチドの数は一定に維持される傾向にあり、一方、合成標的A''と合成標的B''の数は指数関数的に増大する傾向にある。本明細書において使用する「サイクル」という用語は、温度のような環境条件の特定の周期的な変化を意味するのではなく、PCRにおいて一般的に使用され、また、媒体の条件は、ポリヌクレオチドのハイブリッド形成と酵素的分解活性が同時に連続的に促進されるように選択されて調整される。
【0067】
多段階アンプリファイア
本発明の観点を有する実施態様には、生体分子のテンプレート種を含有する媒体中へのレポーター種の導入方法であって、該テンプレート種に対して結合親和性を有するプローブ集合体から非−PCR/テンプレート−誘発化/酵素活性化によって該レポーター種を放出させることを含み、下記の過程(a)〜(c)を任意の操作順で含む該導入方法が含まれる:
(a)下記の要件(i)〜(iv)を満たす少なくとも1つの第1プローブ集合体を供給する:
(i)テンプレート種の標的部分に対して選択的な結合親和性を付与する捕獲ヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの第1プローブストランドを含む;
(ii)プローブストランドの対応する結合部分とハイブリッド形成するように設計されたポリヌクレオチド配列を有する結合部分を含む少なくとも1つの第1レポーター種を含む;
(iii)第1プローブ集合体は、ポリヌクレオチドの重複プローブ集合体を含むようにハイブリッド形成された少なくとも1つの第1プローブストランドと少なくとも1つの第1レポーター種を含む;
(iv)重複プローブ集合体は、プローブストランドの全部又は一部を分解してプローブ集合体から第1レポーター種を放出させるのに十分なヌクレアーゼ活性を有する選択された酵素の作用を促進するのに適合した少なくとも1つの酵素−開始部位であって、捕獲ヌクレオチド配列がテンプレート種の選択された標的部分の全部又は一部と結合してテンプレート−プローブ複合体を形成するときに形成される該酵素−開始部位を有するように設計された;
(b)テンプレート種の選択された標的部分をプローブポリヌクレオチドの捕獲ヌクレオチド配列部分へ結合させることによって酵素−開始部位を有する第1テンプレート−プローブ複合体を形成させる反応を促進するために有効な条件下において、媒体を少なくとも1つの第1プローブ集合体と接触させる:
(c)酵素−開始部位における酵素のヌクレアーゼ活性を促進するために有効な条件下において、媒体を少なくとも選択された酵素と接触させ、第1テンプレート−プローブ複合体が過程(b)において形成されたときに第1プローブストランドが分解され、第1レポーター種がプローブ集合体から放出される。
【0068】
この実施態様の増幅は付加的な過程による多段階を含むようにして行ってもよい。この場合、第1レポーター種は、第1レポーター種のテンプレート部分に対して結合親和性を有する第2プローブ集合体から第2レポーター種を少なくとも1つの第2の非PCR/テンプレート−誘発/酵素活性化方式で放出させることに対する標的テンプレートとして作用するように設計されたテンプレート部分を含む。この態様は、第3段階又はより上位の段階を含むようにしてさらなるレポーター種が放出されるように拡張してもよい。
【0069】
生体分子検出法においては、多段階増幅法を使用することによって、被検体、例えば、ポリヌクレオチド、タンパク質、多糖及びその他の生体分子種を検出してもよい。いくつかの実施態様においては、第1プローブ集合体は、テンプレートの標的配列に対して相補的な捕獲ヌクレオチド配列を含む(例えば、テンプレートはDNA鎖を含む)。別の実施態様においては、第1プローブ集合体は、捕獲ヌクレオチド配列としてアプタマーを含み、該アプタマーは、テンプレートの標的部分に対する親和性を有する(例えば、テンプレートはポリペプチド又は多糖の標的部分を有する)。
【0070】
1つの実施態様においては、生体分子のテンプレート種は試料中の被検体種を含み、第1レポーター種は、プローブ集合体から放出されたときに直接的又は間接的に検出可能なように設計され、下記の過程(d)及び(e)がさらに含まれる:
(d)放出される第1レポーター種を直接的又は間接的に検出する;
(e)第1レポーター種の直接的又は間接的な検出に基づいて、試料中の被検体種の少なくとも存在又は濃度を測定する。
【0071】
例えば、第1レポーター種は、第1プローブ集合体から放出されたときに直接的に検出されるように設計され(一段階検出)、例えば、検出可能なポリヌクレオチド配列又は検出可能な標識基を有する検出部分を含ませる。同様に、第1レポーター種は、第1プローブ集合体から放出されたときに、別のレポーター種が検出可能な付加的な増幅段階を介して間接的に検出できるようにしてもよい。
【0072】
ヘアピンプローブ集合体(hairpin probe assembly)
本発明の観点を有するさらに別の実施態様においては、プローブ集合体のレポーター部分と個別の捕獲を省略してもよい。1つの実施態様においては、第1プローブ鎖と第1レポーター種は共線的ポリヌクレオチド鎖を含む。この場合、該共線的ポリヌクレオチド鎖の一部は、テンプレート種の標的部分と関連しないときには自己ハイブリッド形成することによって、選択された酵素による分解から保護されるように設計される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
当業者であれば、以下の好ましい実施態様に関する詳細な説明を考慮することによって、本発明の観点を有する装置と方法についてより完全に理解すると共に、これらの付加的な利点を得ると共に、付加的な目的を実現することができるであろう。
【0074】
添付図面について簡単に説明する。
図1A〜図1Hは、本発明の観点を有する装置と方法であって、非常に少量の標的被検体に応答してレポーター分子が増幅して放出された後に、該レポーター分子(例えば、特異的DNAオリゴマー等)の量を電子的に検出する該装置と方法の実施態様を模式的に示す。
図2A〜図2Hは、本発明の観点を有する装置と方法であって、非直線的又は指数関数的な被検体−応答増幅をもたらす電子的検出用の該装置と方法の実施態様を模式的に示す。
図3A及び図3Bは、図2A〜図2Hに示す増幅方法の2つの実施例をまとめて模式的に示すもので、一方の実施例においては2種の被検体標的(二重標的)を使用し、他方の実施例においては1種の被検体標的(単一標的)を使用した。
【0075】
図3Cは、表1及び表2に示すデータをプロットしたグラフであり、単一標的スキームと二重標的スキームを使用することによる合成標的の増加又は増幅を示す。
図4A及び図4Bは、レポーターの増幅と精製のための別の装置と方法を模式的に示す。
図5A〜図5Eは、本発明の観点を有するさらに別の装置と方法であって、予備的な増幅精製過程を含む指数関数的な被検体−応答増幅をもたらす該装置と方法の実施態様を模式的に示す。
図6A〜図6Cは、本発明の観点を有する装置と方法であって、分析用媒体からエキソヌクレアーゼを除去した後で指数関数的な被検体−応答増幅をもたらす該装置と方法の実施態様を模式的に示す。
【0076】
図7A〜図7Fは、本発明の観点を有するレポータープローブであって、内部阻害基(該内部阻害基は該基の配列位置におけるエキソヌクレアーゼのプロセッシングを停止させる)を含む該レポータープローブの実施例を模式的に示す。
図8A及び図8Bは、本発明の観点を有する装置と方法であって、多重型レポーターとマトリックス検出セルを用いる多種被検体アッセイを含む該装置と方法の実施態様を模式的に示す。
図9A〜図9Cは、本発明の観点を有する方法であって、生体分子を検出するためのアプタマー部分を含むプローブ集合体を使用する該方法の実施態様を模式的に示す。
図10a〜図10iを含む図10は、アンプリコン及び/又はレポーター種を生成させるように標的によって開始される増幅の二段階法の実施態様を模式的に示す。
【0077】
図11は、図10に示す方法に対応する実験データをプロットしたグラフである。
図12A〜図12Cは、アンプリコン及び/又はレポーター種を生成させるように標的によって開始される増幅の三段階法の実施態様を模式的に示す。
図13は、図12A〜図12Cに示す方法に対応する実験データをプロットしたグラフである。
図14A〜図14Cは、本発明の観点(例えば、図3A参照)を有する単一標的増幅法であって、蛍光検出法を利用する該増幅法の実施態様を模式的に示す。図14Aは、アンプリファイア/被検体複合体の模式図である。図14Bは、当該方法による結果と増幅生成物を示す電気泳動ゲルの写真である。図14Cは、図14Bに示す写真の陰画であり、該陰画は特許図面としては適当な写真再現性画像であって、データをより明確に示している。
図15A〜図15Cは、「ヘアピン」型のプローブ集合体の実施態様を模式的に示す。
【0078】
以下においては、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。
本発明は、標的DNA配列を検出するナノチューブセンサー装置(nanotube sensor device)を提供する。該装置は、標的DNAの標識化を必要とせず、標的DNAの存在に対して電子的に応答する。該装置の実施態様について以下に説明する。
【0079】
被検体によって誘発されるレポーターの増幅
図1A〜図1Hは、本発明の観点を有する装置と方法であって、非常に少量の標的被検体に応答してレポーター分子が増幅して放出された後に、該レポーター分子(例えば、特異的DNAオリゴマー等)の量を電子的に検出する該装置と方法の実施態様を模式的に示す。本発明の観点を有する特定の実施態様においては、ポリヌクレオチドに対して特異的な活性を有する酵素を使用することによって、選択される被検体の存在を示すレポーター部分であって、本発明の観点を有するナノセンサーの使用によって電子的に検出可能な該レポーター部分のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によらない増幅を達成してもよい。この種の実施態様は、増幅過程において、例えばPCRの場合のような反応条件を周期的に変化させるための複雑な制御システムを必要としない点で非周期的増幅法として記載してもよい。
【0080】
図1Aは、試料を捕集して調製する過程10を模式的に示す図であって、容器13の内部の溶解緩衝液又は媒体12を接種して細胞性又はウイルス性物質14を放出させるための試料アプリケーター(例えば、咽喉用スワブ等)11が図示される。放出された細胞性又はウイルス性物質は溶解されて試料であるポリヌクレオチド物質15を放出する。
【0081】
図1Bは、溶解された試料媒体を入口22へ塗布するためのアプリケーター(例えば、ピペット等)21を具備する流状系20の内部において試料を処理する装置を模式的に示す。該入口は導管24のパターン(例えば、微量流体用カートリッジ等)と連絡し、該導管は閉鎖状のセル又は容器23と連絡する。
【0082】
図1C(i)及び図1C(ii)は、1又は複数のプローブ集合体(probe assembly)30を保有する容器23の内部に収容されたポリヌクレオチド物質15を含有する試料媒体16を示し、各々のプローブ集合体は基体32及び該基体に付着した1又は複数の捕獲プローブ31を具有する。
【0083】
図示する実施例に示す基体32は磁性ビーズを含有するが、その他の粒子状又は非粒子状の捕獲基体(例えば、非磁性粒子、固定プレート、閉鎖壁、及び滴定ウェル等)を使用してもよいことに留意すべきである。例えば、ビーズ状の基体は、複数の別個独立に機能するプローブを該ビーズの表面上に担持してもよく、これによってビーズが中心に位置する多重プローブ集合体が形成される。
【0084】
図1C(ii)は、プローブ集合体30と標的被検体33を詳細に示す。標的被検体は、3’末端鎖の端部と5’末端鎖の端部との間の標的ヌクレオチド配列Xを有する単一鎖ポリヌクレオチドである。プローブ集合体30は、例えば、ビオチン−ストレプタビジン結合によって基体32へ結合した捕獲プローブポリヌクレオチド34を含有する。あるいは、プローブ30のようなプローブは、相補的な「サンドウィッチ」型のオリゴヌクレオチド構造、例えば、図4Bに関連して後述する相補的な「サンドウィッチ」プローブ79の構造等によって基体へ結合していてもよい。
【0085】
この実施例においては、プローブポリヌクレオチド34は近接する5’末端ヌクレオチドに隣接する基体32に結合し、また、ナノコード配列Yと捕獲配列X’を含む。該捕獲配列は、被検体ポリヌクレオチド33の標的配列Xに対して相補的である。プローブ31は、相補的配列Y’を有する1又は複数のレポーターオリゴヌクレオチド35も含み、該相補的配列は、プローブ集合体内においては、プローブポリヌクレオチド34のナノコード配列Yとハイブリッド形成する。図1C(ii)においては、ナノコード配列Yは捕獲配列X’に関して、基体32に対して隣接して示されているが、必ずしもこのようにする必要はないことに留意すべきである。
【0086】
選択された捕獲配列とナノコード配列を有するプローブオリゴヌクレオチド34及びレポーターオリゴヌクレオチド35は、例えば、市販されている合成セット一式に用いる既知の方法に従って調製してもよい。同様に、指定された塩基を有するビオチニル化オリゴヌクレオチドは市販品として入手することができ、また、基体は、既知の方法により、ストレプタビジンを用いて処理してもよい。ポリヌクレオチドを基体へ付着させる別の適当な方法、例えば、細胞の表面リガンドを用いる方法等は既知である。レポーター35は、プローブ集合体30を形成させるために適当な条件下において、ポリヌクレオチド34とハイブリッド形成させてもよい。
【0087】
特定の目的のためにより明確に規定しない限り、本明細書においては、「ポリヌクレオチド」と「オリゴヌクレオチド」という用語は一般的には互換的に使用される。特定の配列の選択される長さは当該分子のハイブリッド形成特性に関連するが、本発明の原理は、本発明の技術的思想を逸脱することなく、広範囲の配列の長さと分子量に対して適用される。文脈又は用法から判断して、ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに言及していることが明らかである場合には、このような種(species)は、明確性を失うことなく、「分子」若しくは「種」又は分子の機能、例えば、「被検体(analyte)」又は「レポーター(reporter)」にも関連していてもよい。
【0088】
この実施例においては、各々のプローブオリゴヌクレオチドはナノコード配列部分と捕獲配列部分を含む。ナノコード配列部分はレポーターオリゴヌクレオチドの対応する配列に対して相補的になるように選択される。プローブ集合体の調製においては、レポーターオリゴヌクレオチドは、適当な条件下において、ナノコード配列とハイブリッド形成する。捕獲配列部分は、標的被検体ポリヌクレオチドの対応する配列(標的配列)に対して相補的になるように選択されて設計される。捕獲配列とナノコード配列を有するプローブオリゴヌクレオチドは既知の方法に従って調製した後、既知の方法によって基体(例えば、磁性ビーズ又はその他の不動化表面等)へ付着させてもよい。
【0089】
図1D(i)及び図1D(ii)は液状系20の容器又はセル23を示す。該液状系内においては、標的被検体ポリヌクレオチド33はプローブ31のプローブヌクレオチド34とハイブリッド形成することによって1又は複数のプローブ/被検体複合体36を形成する。該プローブ/被検体複合体36は、被検体33の標的配列Xと少なくとも1つのプローブポリヌクレオチド34の捕獲配列X’とのハイブリッド形成によって被検体ポリヌクレオチドへ結合したプローブ集合体30を含む。図1D(ii)はプローブ/被検体複合体36を詳細に示しており、標的被検体33は、プローブポリヌクレオチド34の遠位3’末端を超えて重なり合う遠位5’末端を有する。
【0090】
図1Eは、1回又は複数回の所望によるすすぎ過程又は洗浄過程が可能となるように不動化又は固定的に配置された1又は複数の基体32を示す。該すすぎ過程又は洗浄過程においては、未反応種15を含む試料媒体16が除去されて反応媒体17によって置き換えられ、1又は複数のプローブ/被検体複合体36及び未反応のプローブ又はプローブ集合体が容器23の内部に残留する。この実施例においては、1又は複数の基体は調整可能な磁石18によって不動化された磁性ビーズが使用される。
【0091】
プローブ集合体30が複数のプローブ31を含む場合には、複数の被検体33は、各々のプローブ集合体30の各プローブ31と結合してもよい。検出系20においては、全体として過剰のプローブ31を有する1又は複数のプローブ集合体30が存在するようにすることにより、試料中の被検体33が図1Dに示す過程において利用可能な捕獲プローブ31と効率よく結合するようにすることが有利である。図1Eに示すすすぎ/洗浄過程によって非標的ポリヌクレオチド及び最初の試料又は溶解混合物に含まれるその他の汚染物を除去することが有利であり、これによって、検出過程における非特異的結合又は交差反応の可能性又は程度は最小になる。
【0092】
図1F(i)〜図1F(iii)及び図1G(i)は、プローブ/被検体複合体をエキソヌクレアーゼ37で処理する状態を模式的に示す。この実施例においては、エキソヌクレアーゼ37は、露出した平滑状又は陥凹状(非突出状)の3’末端を有するハイブリッド形成されたポリヌクレオチドの重複鎖の分解(例えば、ホスフェート結合の加水分解)に対して特異的活性を示す。この実施例においては、プローブポリヌクレオチド34の遠位の非突出状3’末端は漸進的に攻撃されて分解される。好ましい実施態様においては、所望によるすすぎ過程の後に添加されるエキソヌクレアーゼの特異的活性は、被検体/プローブ複合体のプローブ集合体部分のナノコードと捕獲配列のみの分解に作用し、標的被検体ポリヌクレオチド33又はレポーターオリゴヌクレオチド35あるいはプリスチン若しくは未反応プローブ31には作用しない。
【0093】
他の酵素としてのヌクレアーゼは、種類と環境に応じて種々のプロセッシング性(processivity)を示し、連続的な分解過程として図示した好適な態様は、ヌクレアーゼがオリゴヌクレオチド基質へ拡散するとき又は該基質から拡散するときは不連続的又は挿入的であってもよいことも理解すべきである。同様に、ヌクレアーゼは一次活性と二次活性(例えば、エンドヌクレアーゼ活性)を有していてもよく、当業者であれば、所望のエキソヌクレアーゼ活性が優先的におこなわれるように濃度と条件を適宜調節できる。
【0094】
前述のように、別の実施態様においては、近位及び遠位の末端鎖端部の順位を逆転させたプローブ(5’末端に対する3’末端)を採用し、非突出状5’重複末端に対して特異的な対応する逆活性を有するエキソヌクレアーゼを適用してもよい。同様に、さらに別の実施態様においては、非特異的活性が調節されるか、又は非干渉的である場合には、特異的なエンドヌクレアーゼ以外の多重活性様式を示す酵素系を使用することができる。例えば、ヌクレオチドホスフェートを含有しない媒体中において種々のタイプのDNAポリメラーゼを使用することによって、ポリメラーゼ活性を犠牲にして、「校正」活性を優先させてヌクレアーゼとして機能させてもよい。
【0095】
図1F(iii)は、捕獲配列X’の脱離によって被検体分子33が放出されるように進行中のプローブ分子34の分解過程を示す。
図1G(i)は、ナノコード配列Yの脱離によってレポーター分子35が放出されたプローブ分子34の完結した分解を示す。
【0096】
図1F(iii)に示す過程において放出された被検体分子33は媒体17の内部において自由に拡散し、残存する未反応のプローブ(プリスチン)31とハイブリッド形成することによって付加的なプローブ/被検体複合体36を生成する。このようにして事後的に形成される複合体36もエキソヌクレアーゼの分解作用を受けやすく、付加的なレポーターが放出される。過剰のプローブ31の生成により、有利な増幅過程がもたらされる。この場合、各々の被検体分子33は、被検体によって刺激される複数の対応するプローブ31の分解に起因して複数のレポーター分子を逐次的に放出させる。
【0097】
このようにして、反応緩衝液中においては比較的高濃度のレポーターオリゴヌクレオチドが蓄積され、該レポーターオリゴヌクレオチドは所望によるすすぎ処理によって予め精製するか又は単純化する。この結果、当初は試料中に非常に低濃度で含まれる被検体は、ナノ電子的検出器による顕著な交差反応性を伴うことなく、本明細書に記載のようにして電子的に検出される。
【0098】
図1G(ii)は、蓄積したレポーター35が、本願明細書に記載のようなナノ電子的センサー40(本願明細書の一部を成す前記の特許出願の明細書に記載のこの種のセンサー及び後述する別の態様のセンサーを参照されたい)を1個又は複数個有する隣接する検出セル25へ流れる状態を示す。センサー40は、例えば、レポーター35の配列の少なくとも一部に対して相補的であるオリゴヌクレオチドを含む検出プローブ41を1個又は複数個具有することによって、レポータープローブ35に対して感度を示す。あるいは、センサー40は反応セル23の内部に含まれていてもよい。
【0099】
図1Hに示すように、レポーター35と検出プローブ41とのハイブリッド形成によって、センサー40の電子的特性に特異的な検出可能な変化がもたらされ、これに起因して、下記の過程a)〜d)を含む測定回路42の操作によってレポーター35の存在の測定が可能となる:
a)レポーターを検出プローブとハイブリッド形成させる。
b)所望により、反応用緩衝液を、例えば、センサーにおけるヌクレアーゼ活性を抑制するために、測定用緩衝液と交換する。
c)信号(例えば、トランジスター又は容量性特性等)を得る。
d)レポーターを検出する。
【0100】
所望により、反応媒体17を除去し(例えば、測定用緩衝液18と交換する)、次いで、回路42により信号を得る前に、検出プローブのハイブリッド形成を行う。
【0101】
PCRによらない指数関数的な増幅
図2A〜図2Hは、本発明の観点を有する電子的検出のための方法と装置の実施態様を模式的に示す(多数の別の方法においては共通の観点が含まれる)。この実施態様によれば、被検体に対する応答性の非直線的又は指数関数的な増幅がもたらされる(試料中の被検体の存在に応答して、付加的な非試料標的が得られるか、又は出現し、該標的は、例えば、レポーターの放出の誘発に関与する)。図2A〜図2Hに示すような方法は、単独で使用してもよく、あるいは図1A〜図1Hに示すような方法、即ち、被検体に対する応答性の直線的増幅(例えば、当初の試料中に存在する標的被検体のみがレポーターの放出の誘発に関与する増幅)をもたらすことによって特徴付けられる方法と組み合わせて使用してもよい。
【0102】
特定の実施態様においては、被検体に応答して酵素により仲介される初期の反応によって、合成のオリゴヌクレオチド標的(即ち、試料中に存在しない予備調製された天然又は合成されたオリゴヌクレオチド)が放出される。該オリゴヌクレオチド標的は付加的な酵素により仲介される反応に関与し、該反応は別の合成標的をもたらす。合成オリゴヌクレオチド標的は、試料中に被検体ポリヌクレオチドが存在しないときのエキソヌクレアーゼ活性から保護されるような重複形態でもたらされてもよい。
【0103】
一部の実施態様においては、合成標的は、標的被検体の疑似天然配列であってもよい。別の実施態様においては、合成標的は完全な非天然配列であってもよく、あるいは、天然配列と非天然配列との組み合わせ配列であってもよい。反応媒体中においてこの種の標的を非直線的又は指数関数的に増加させる方法を使用することによって、例えば、図1A〜図1Hに示す方法によるレポータープローブの放出を誘発させてもよい。
【0104】
「増幅(amplification)」という用語に関しては、本願明細書においては、PCRにおける該用語の用い方とは幾分異なる意味で使用する。PCRアッセイ法の実施例においては、配列の新たなコピーがポリメラーゼ活性を介して創製され、プライマーを試料中の被検体と結合させることによって放出が誘発される。本願明細書に記載の本発明の観点を有する方法と装置の実施例においては、選択された標的配列のコピーは予備合成され、アンプリファイア基、例えば、試薬物質として予備配合される。予備合成標的の放出は、アッセイにおいて該試薬物質を使用するときに被検体によって特異的に誘発される。反応媒体中において放出された当該分子の増加は、被検体の存在を表示する増幅信号を事実上発生させる。
【0105】
図2Aは、標的被検体ポリヌクレオチド50を含む試料媒体を示す。該ポリヌクレオチドは標的配列A(標的A)と標的配列B(標的B)を含む。エキソヌクレアーゼ37、Aアンプリファイア51及びBアンプリファイア54を含有する混合物を用いて処理した試料が図示される。本願明細書に記載のようなアンプリファイア処理の前に、所望により、試料媒体を精製処理に付してもよいことに留意すべきである。この実施例においては、エキソヌクレアーゼ37は、図1A〜図1Hに示す実施例の場合と同一又は類似する酵素であって、非突出状3’二重鎖末端に対して特異的な活性を示す該酵素であってもよい(上記の方法に類似する3’/5’逆方向法も可能であることに留意すべきである)。被検体53は2種の重なり合わない選択された配列、即ち、標的Aと標的Bを含む。
【0106】
Aアンプリファイア51は合成オリゴヌクレオチド52を含んでおり、該合成オリゴヌクレオチドは、天然の標的配列B(標的B)に対して相補的な配列B’(捕獲B’) 及び標的配列A(標的A)に対して相補的な配列A’(捕獲A’)を有する。
【0107】
Aアンプリファイア51は第2オリゴヌクレオチド53をさらに含んでおり、該第2オリゴヌクレオチドは、天然標的配列A(標的A)に対して相補的な配列A''(合成標的A'')を有する。第2オリゴヌクレオチド53はその3’末端に「尾」配列を有するので、該第2オリゴヌクレオチドは突出状3’付着末端(即ち、平滑状又は陥凹状の3’末端を含まない)を有し、その結果、該第2オリゴヌクレオチドは、3’特異的エキソヌクレアーゼ37に対する攻撃点を形成しない。あるいは、この目的のための「尾」配列の代わりにキャッピング基を既知の方法によって使用してもよい。
【0108】
オリゴヌクレオチド53は、合成標的A''と捕獲A’とのハイブリッド形成によって、オリゴヌクレオチド52と結合する。Aアンプリファイア51もこのように表示されることに留意すべきである。何故ならば、該アンプリファイアは、被検体50の天然標的配列Aと同一又は類似する配列(合成標的A'')を発現できるからである。
【0109】
逆に、Bアンプリファイア54は合成オリゴヌクレオチド55を含んでおり、該合成オリゴヌクレオチドは、天然の標的配列A(標的A)に対して相補的な配列A’(捕獲A’) 及び標的配列B(標的B)に対して相補的な配列B’(捕獲B’)を有する。Bアンプリファイア54は第2オリゴヌクレオチド56をさらに含んでおり、該第2オリゴヌクレオチドは、天然標的配列B(標的B)に対して相補的な配列B''(合成標的B'')を有する。第2オリゴヌクレオチド56はその3’末端に「尾」配列(又はその他のキャッピング基)を有する。オリゴヌクレオチド56は、合成標的B''と捕獲B’とのハイブリッド形成によって、オリゴヌクレオチド55と結合する。Bアンプリファイア54もこのように表示されることに留意すべきである。何故ならば、該アンプリファイアは、被検体50の天然標的配列Bと同一又は類似する配列(合成標的B'')を発現できるからである
【0110】
この文脈において使用される「天然」及び「合成」という用語は、試料中に存在すると推定される標的被検体又は「天然」ポリヌクレオチド及び例示的なアッセイ法を実施するためのアンプリファイア試薬中に含まれる「合成」オリゴヌクレオチドを区別するためにのみ使用されるということに留意すべきである。試料の標的被検体又は「未変性」ポリヌクレオチドは、多くの場合は天然源に起因するが、必ずしもその必要性はない。試薬アンプリファイアとなるオリゴヌクレオチドは合成的に調製する手法が簡便であるが、必ずしもその必要性はない。
【0111】
図2Bは図2Aの要素を示す。この場合、Aアンプリファイア51及びBアンプリファイア54は被検体50の標的B及び標的Aとそれぞれハイブリッド形成するように反応することによって被検体/アンプリファイア複合体57を形成する。この態様においては、Aアンプリファイア51とBアンプリファイア54は単一の被検体分子50と同時に反応するように図示されているが、必ずしもその必要性はなく、各々のアンプリファイアが関連するように記載されている増幅過程は、各アンプリファイアが他方のアンプリファイアとは無関係に作用するように進行してもよいことに留意すべきである。例えば、各アンプリファイアは別々に被検体分子と結合してもよい。
【0112】
図2Cは、図2Bの被検体/アンプリファイア複合体57を示す。この場合、Aアンプリファイア51のオリゴヌクレオチド52の非突出状3’末端及びBアンプリファイア54のオリゴヌクレオチド55の対応する非突出状3’末端は一対のエキソヌクレアーゼ37の作用によって分解を開始している(両方の部位における酵素の作用が同時に行われる必要がないことに留意すべきである)。
【0113】
図2Dは、図2Cの被検体/アンプリファイア複合体57を示す。この場合、エキソヌクレアーゼ37の活性は、オリゴヌクレオチド52の捕獲B’配列とオリゴヌクレオチド55の捕獲A’配列の脱離が行われるように作用し、これによって未変性の被検体であるポリヌクレオチド50が放出される。
【0114】
図2Eは、図2Cの被検体/アンプリファイア複合体57を示す。この場合、エキソヌクレアーゼ37の活性は、オリゴヌクレオチド52の捕獲A’配列とオリゴヌクレオチド55の捕獲B’配列の脱離が行われるように作用し、これによって対応するオリゴヌクレオチド53及び56が放出され、対応する合成標的A''及び合成標的B''は単一鎖形態で露出又は発現する。
【0115】
図2Fは図2Eの要素を示す。この場合、放出された未変性被検体ポリヌクレオチド50及び放出された合成標的AとB(それぞれ対応する標的A''とB''を有するオリゴヌクレオチド53と56)は付加的なAアンプリファイア51とBアンプリファイア54と反応し、これによって、付加的なハイブリッド化重複体並びに付加的なアンプリファイア/被検体複合体57、合成A標的/アンプリファイア複合体58及び合成B標的/アンプリファイア複合体59が形成される。
【0116】
図2Gは図2Fの要素を示す。この場合、エキソヌクレアーゼ37のさらなる活性に起因して、複合体57、58及び59の露出された非突出状3’末端の分解が図2D〜図2Eに示すようにして開始され、これによって、付加的な合成標的AとB、未変性被検体50及び先に放出された合成標的AとBが放出される。
【0117】
図2Hは図2Gの要素を示す。この場合、最初に蓄積された未変性被検体50及び蓄積された合成標的AとBは、一般的には図1A〜図1Hに例示した方法に関連して記載したものと一般的に類似する捕獲/レポータープローブ集合体を用いて処理した。この特定の実施例においては、2種の異なるプローブ集合体が使用された。第1プローブ集合体は、未変性被検体50又は合成標的A(53)の標的配列Aに対して特異的なプローブ60を有する。第2プローブ集合体は、未変性被検体50又は合成標的B(56)の標的配列Bに対して特異的なプローブ61を有する。レポーター分子35を放出させるための方法と装置が示される。
【0118】
図3A及び図3Bは、増幅過程に関する2つの実施例をまとめたものである。一方の実施例は2種の被検体標的を用いた実施例(図2A〜図2Hに示す実施例)であり、他方の実施例は単一の被検体標的を用いた別の実施例である。
【0119】
単一標的
図3Aは、合成標的の放出を誘発させるために単一の被検体捕獲配列を使用する増幅方法の結果を模式的に示す。被検体50は、単一の選択された標的配列部分A(標的A)を有する。アンプリファイア75は、図2Aに示すアンプリファイア51と類似する。但し、この場合には、両方の捕獲配列が標的Aに対して相補的である。
【0120】
第1段階においては、単一の被検体50は単一のアンプリファイア75と反応して被検体/アンプリファイア複合体76を生成する。エキソヌクレアーゼ37は複合体76を分解して被検体50と合成標的A(53)を放出する。従って、2種の標的が放出される。
【0121】
第2段階においては、被検体50と合成標的A(53)は2つの付加的なアンプリファイア75と反応して被検体/アンプリファイア複合体76及び合成標的A/アンプリファイア複合体77を生成する。エキソヌクレアーゼ37は両方の複合体76及び複合体77を分解して被検体50と3つの合成標的A(53)を放出する。従って、4種の標的が放出される。
【0122】
各々の標的配列が各々の段階において付加的なアンプリファイアとハイブリッド形成し、その結果、放出される標的の量は指数関数的に増加することが理解される。この方法の5つの段階における結果を以下の表1に示す。
【0123】
【表1】

【0124】
二重標的
図3Aとは対照的に、図3Bは、複数の被検体捕獲配列を用いて合成標的の放出を誘発させる増幅方法の結果を模式的に示す。この実施例においては、増幅方法として、図2A〜図2Hに示す方法と同じ方法を使用したが、別の方法を使用することも可能である。例えば、標的Aと標的Bは、試料被検体であるポリヌクレオチド中に存在するように選択する必要はなく、補助被検体(co-analyte)の一部になるように選択してもよい。この場合、増幅された標的応答は試料中に共存する両方の補助被検体によって誘発される。この態様は、例えば、陽性の結果が複数のマーカー(例えば、複数のフラグメント又は分子から誘導されるもの)の存在として定義される選択的アッセイにおいて特に有用である。
【0125】
図2A〜図2Hにも記載のように、被検体50は2つの選択された標的配列部分を含んでおり、該標的配列部分は2種の異なるアンプリファイア(51及び54)と反応して複合体57を生成する。次いで、エキソヌクレアーゼ反応によってこれらのアンプリファイアは分解され、被検体50(2種の標的)と2種の異なる合成標的(53及び56)が放出される。各段階においては、放出された標的配列の重複化(doubling)がもたらされるので、増幅も指数関数的に行われることが理解される。この方法の5つの段階における結果を以下の表2に示す。
【0126】
【表2】

【0127】
図3Cは、表1と表2のデータをプロットしたグラフであり、単一標的法と二重標的法による合成標的の増加又は増幅を示す。
【0128】
図4A及び図4Bは、レポーターの増幅と精製のための装置と方法を示す。
図4Aは、一般的には、図2Hに図示する要素を示すが、この場合は修飾されたレポータープローブ(61及び62)を示す。この実施例においては、該レポータープローブは実質的な基体には結合せず、また、レポーターオリゴヌクレオチド35の3’末端上にキャッピング基78を有する。2種の異なるプローブを示す。一方のプローブにおいては、相補的レポーター配列35''の末端上にキャッピング基が存在し、他方のプローブにおいては、短い尾配列の末端上にキャッピング基が存在する。キャッピング基は、当該分野において知られている多数の適当な種であって、エキソヌクレアーゼの付着及び/又はプロセシングに対して耐性を示す該種から選択されるいずれであってもよい(例えば、ヌクレオチド類似体、及び共有結合した種等)。この種のキャッピング基は、常套のオリゴヌクレオチド合成過程中において簡便に導入することができる。修飾されたレポータープローブは、溶液相中において被検体によって誘発されるレポーターの放出のために使用してもよい。
【0129】
図4Bは、ナノ電子的検出の前に、放出されたレポーター(35’及び35'')を精製することによって、検出環境を単純化すると共に感度と選択性を改善する(例えば、ノイズの低減化等)ための本発明の観点を有する方法と装置の別の実施例を示す。検出操作の前に、高分子量のポリヌクレオチドを除去することは有利である。基体は磁性ビーズ又は本願明細書に記載のその他のいずれかの基体を含有している態様が有利である。少なくともレポーター35’又は35''に対して相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含む1又は複数の「サンドウィッチ型」プローブ79は、図1A〜図1Hに関連して記載したようにして、例えば、ビオチン/ストレプタビジン結合等によって基体へ結合される。レポーター35’は、短い尾領域をプローブ79とハイブリッド形成させた状態で図示されている。レポーター35'は、プローブ(60及び61)のナノコードに対して相補的なレポーター配列の少なくとも一部によってハイブリッド形成された状態で図示されている。
【0130】
本願明細書に記載のように、基体に結合したレポーター(35’及び35'')をすすぎ処理又は洗浄処理に付すことによって、未結合種を含む酵素反応媒体を除去した後、緩衝液で置き換えてもよく、また、該レポーターはナノ電子的検出操作のために、例えば、ビーズの磁気的不動化等によって最適化させてもよい。プローブ79は、洗浄過程中のレポーターの安定な結合を可能にすると共にその後の検出用レポーターの放出のための簡便な変性を可能にするように選択されるヌクレオチド配列を有していてもよい。
【0131】
図8A及び図8Bに関連して後述する多重被検体アッセイとマトリックス検出器の実施態様に留意すべきである。図4Bに示すレポーターの精製法においては、レポーター35の共通の配列部分に対して相補的な「サンドウィッチ型」プローブ79を用いる態様が簡便である。この場合、該レポーターの配列のその他の部分は複数の被検体の1種に対して特異的である。アッセイ反応においてどのような種類のレポーターが放出されようとも、該レポーターは、マトリックス検出器との接触の前に、集合的に精製処理に付してもよい。
【0132】
PCRによらない標的の指数関数的な増幅とレポーターの累積増幅
図5A〜図5Eは、共通の観点を有する多数の別の方法から選択された本発明の観点を有する例示的な方法と装置の実施態様を示す。この実施態様によれば、予備増幅による精製過程を含む被検体に応答する指数関数的な増幅がもたらされる。なお、この実施態様は、図2A〜図2Hに示す方法と装置と共通する多くの観点を有しており、また、多くの場合は共通する参照番号が使用されている。図5A〜図5Eに示すような方法と装置は独立して使用してもよく、あるいは、本願明細書に記載の別の方法と装置、特に図1A〜図1Hによって例示される方法と装置と組み合わせて使用してもよい。
【0133】
初期固定化
図5Aは、標的配列A(標的A)と標的配列B(標的B)を含む標的被検体ポリヌクレオチド50、及び種々の試料汚染物(例えば、被検体でないポリヌクレオチド、干渉性酵素、望ましくない化学的成分及び過剰の希釈剤等)を含有する試料媒体を示す。この試料は、ポリヌクレオチドのハイブリッド形成が行われるために十分な条件下において、分析系70と接触させる。該分析系は基体71及び該基体と、例えばビオチン/ストレプタビジン結合62によって結合した複数の捕獲プローブ(60及び61)を具有する。
【0134】
プローブはAプローブ(60)とBプローブ(61)を含む。これらのAプローブ及びBプローブは、図2A〜図2Hに示すプローブ60及び61と実質上同一であってもよい。Aプローブ(60)は、被検体ポリヌクレオチド50の標的配列Aに対して相補的な捕獲配列A’を含み、また、Bプローブ(61)は、被検体ポリヌクレオチド50の標的配列Bに対して相補的な捕獲配列B’を含む。好ましくは、特に試料が非常に少量の被検体種を含有する場合には、分析系70が、試料中に存在する実質的な量の被検体分子50と結合するために十分な数のAプローブ(60)及び/又はBプローブ(61)を含むようにし、これによって、希薄試料に対する感度を最大にする。図2Aにおいて模式的に示される実施態様においては、全ての被検体50の分子はプローブ60又はプローブ61と結合する。過剰のプローブ60及び61は以下に記載の段階のために機能する。
1.過剰のAレポータープローブ及びBレポータープローブは大部分の被検体分子と結合する。
2.プローブの種類の空間的分離(例えば、ビーズの分離や基体の固定等)によって、アグルチネーション(aglutination)/架橋が回避されると共に被検体Aの約半分と標的サイトはハイブリッド形成されない状態で残存する。
【0135】
基体71は粒状であってもよく(例えば、1又は複数のビーズ等)、あるいは、非粒状であってもよい(例えば、ウェル、プレート及びベルト等)。特定の実施態様においては、基体71は、多重結合被検体であるポリヌクレオチド50に対するポテンシャルを低減させるように設計される(被検体は、標的A配列と標的B配列において対応するプローブ60及び61とハイブリッド形成する)。図示する実施例においては、この態様は、1又は複数のAプローブ(60)とBプローブ(61)に対して異なる領域を提供する右手の区域と左手の区域によって別々に表示されているが、多くの別の態様が可能である。例えば、別の装置は異なる種類のビーズ(例えば、所望によりビーズ分離機構を用いてもよい)、固定プレート又はルーメン帯域、可変性の緊縮条件、及び異なる溶融特性/変性特性等を具有していてもよい。さらに別の実施態様においては、基71は電子的検出器の素子と一体化されていてもよく(この態様に関しては後述する)、あるいは、該検出器から分離して配設させてもよい。
【0136】
精製
図5Bは図5Aの要素を示す。この場合、すすぎ及び/又は洗浄過程が行われ、これによって、過剰の試料媒体と汚染物63が除去されるが、プローブ60及び61によって基体へ結合された被検体50は保持される(不動化/分離技術を使用することによって、系中に存在する粒子状物質は保持される)。
【0137】
インキュベーション
図5Cは図5Bの要素を示す。この場合、エキソヌクレアーゼ37(例えば、図2A〜図2Hに示すような活性を有するエキソヌクレアーゼ等)及びアンプリファイア重複オリゴヌクレオチド(該オリゴヌクレオチドは、図2Aに示すAアンプリファイア51及びBアンプリファイア54と実質上同一であってもよい)を含有する緩衝液によって交換されている。
【0138】
増幅
図5Dは図5Cの要素を示す。この場合、ハイブリッド形成と酵素活性に対して適した条件下において、Aアンプリファイア51、Bアンプリファイア54及びエキソヌクレアーゼ37は、図2B〜図2Gに記載のようにして、被検体50とその後の合成標的と反応することによって、合成A標的53と合成B標的56を緩衝液媒体中へ放出する。
【0139】
図示する実施例においては、合成A標的53と合成B標的56は、図5Aの過程において供給される過剰の複数のプリスチンAプローブ60とBプローブ61とハイブリッド形成する。あるいは、図5Dの過程において、付加的なプローブが提供されてもよい。この反応によって、図2Hに記載のようにして、複数の合成標的/プローブ複合体が生成する。特定の実施態様においては、過剰のアンプリファイア51及び54が供給され、エキソヌクレアーゼによって仲介される増幅が行われ、これによって十分な量の合成A標的及び合成B標的の生成反応が続行され、複数のプローブ60及びプローブ61はハイブリッド複合体の形成反応を介してそれぞれ飽和される。
【0140】
レポーターの放出
図5Eは図5Dの要素を示す。この場合、エキソヌクレアーゼ37は、酵素活性に対して適当な条件下において、図2Hに記載のようにして、合成標的/プローブ複合体及び未変性被検体/プローブ複合体と反応してプローブ60と61を分解させることによって、レポーターオリゴヌクレオチド35及び標的種を緩衝液媒体中へ放出させる。
【0141】
図示する実施例においては、エキソヌクレアーゼは全てのプローブを分解させることによって、検出用のレポーターを放出する。存在するポリヌクレオチドの実質的な母集団は未変性被検体及び被検体の存在に応答して放出される種(合成標的及びレポーター)であり、交差反応性は最小限に抑制されるか、又は回避される。レポーターは、検出器の応答に対して、例えば、大きさ又は組成等の点で最適化させることができる。許容される条件下では、図5Eに示す反応は、一般的には図5Dに示す反応と同時に進行させてもよいということに留意すべきである。あるいは、緊縮調節及びプローブの分離等を利用してこれらの反応過程を分離してもよい。
【0142】
レポーター35は、図1G及び図1Hに関連して説明したようにして、分離されたナノ電子的検出器40又は反応領域と連絡する一体化ナノ電子的検出器を介して検出してもよいことに留意すべきである。
【0143】
別の特定の実施態様においては、基体71は、プローブ60及び61の分解を直接的に検出するように設計された1又は複数のナノ電子的検出素子を含んでいてもよい。例えば、基体71は1又は複数のナノ粒子の領域、例えば、電気接点と連絡するカーボンナノチューブ素子等を含んでいてもよい。例えば、プローブの分解に起因する1又は複数のナノチューブの性質の変化は、本願明細書及び本願明細書に組み込まれた特許出願の実施例A〜Iに記載のようにして検出可能である。
【0144】
さらに別の実施態様においては、基体71は、1又は複数の電極(例えば、間隔を設けて配置された少なくとも1対のソース電極/ドレイン電極)と接触するカーボンナノチューブのようなナノ粒子の連動ネットワークを含む1又は複数の領域を具有する。ナノ粒子のネットワークはウェファー様基体構造材(例えば、ケイ素、SiO,Si、PET及び対電極材等又はこれらの任意の混合物)によって支持されていてもよい。本願明細書に組み込まれた特許出願の明細書には、この種の装置に関する調製例と操作例が記載されている。プローブ60及び61の分解(この分解により残存するリガンド部分62’が脱離する場合がある)によって、適当な回路(図示せず)によって検出可能なナノ粒子素子の電気的、機械的及び/又は電気化学的な環境における少なくとも1つの変化(例えば、対電極に対するナノ粒子のキャパシタンスの変化、及びゲート電極の影響下でのトランジスター特性の変化等)がもたらされる。
【0145】
後続の酵素除去による増幅
図6A〜図6Cは、共通の観点を有する多数の別の方法に含まれる本発明による観点を有する1つの例示的な方法と装置の実施態様を示す。この実施態様によれば、被検体に応答する指数関数的な増幅がもたらされた後、分析媒体からエキソヌクレアーゼが除去される。図示する方法と装置は、図2A〜図2H及び図5A〜図5Eに示す方法と装置と比較した場合、多くの共通の観点を有し、多くの共通の参照番号を伴う。
【0146】
エキソヌクレアーゼ増幅
図6Aは、標的配列A(標的A)と標的配列B(標的B)を含む標的被検体ポリヌクレオチド50を含有する試料媒体を示す。試料は、一般的には図5A〜図5Dに示す過程と同一又は類似するようにして処理することにより、ハイブリッド形成と酵素活性に対して適当な条件下において、被検体50をAアンプリファイア51、Bアンプリファイア54及びエキソヌクレアーゼ37と反応させ、これによって複数の合成A標的53と合成B標的56を緩衝液媒体中へ放出させてもよい。
【0147】
本発明の観点を有するこの別の実施態様においては、エキソヌクレアーゼによって仲介される増幅をおこなうことによって、1又は複数の変性Aプローブ81及び/又は82並びに1又は複数の変性Bプローブ83及び/又は84を接触させる。これらの変性プローブは保護性3’尾を有しており、該尾は非突出性3’末端(例えば、平滑状又は陥凹状の3’末端)を脱離させることによって、エキソヌクレアーゼ37の3’二重特異的活性による分解を防止する。このようにして、図5Eに示す反応は防止される。図示する実施例においては、過剰のアンプリファイアは、過剰の合成A標的とB標的による変性プローブ81〜84の飽和を可能にする。
【0148】
第1の別の態様においては、変性Aプローブ81及び変性Bプローブ83は、結合した合成A標的及び合成B標的の隣接部分に対してそれぞれ非相補的な保護性3’尾を有しているので、プローブ/標的ハイブリッド複合体においては、保護性尾は単一鎖3’末端部分を有する。第2の別の態様においては、変性Aプローブ82及び変性Bプローブ84は、結合した合成A標的及び合成B標的の隣接部分に対してそれぞれ相補的な保護性3’尾を有しているので、プローブ/標的ハイブリッド複合体においては、保護性尾は二重鎖3’末端部分を有し、該3’末端部分は各々の合成標的オリゴヌクレオチドの隣接5’末端を超えて突出する(付着3’末端)。
【0149】
精製
図6Bは図6Aの要素を示す。この場合、プローブ/標的複合体が形成された後、すすぎ及び/洗浄過程がおこなわれ(例えば、交換用緩衝液を用いて、基体に結合したプローブ/標的複合体からエキソヌクレアーゼ緩衝液をすすぎ流す)、エキソヌクレアーゼ37を含む過剰の試薬物質は媒体から除去される。交換された媒体は、図1Gに示す過程の場合のように、検出操作のために最適化させてもよい(この場合、酵素活性のために適するようにする必要はない)。
【0150】
プローブの変性
図6Cは図6Bのプローブ/標的要素及び基体71を示す。この場合、例えば、熱、電場又は緊縮調節等を利用して変性過程を行うことによってプローブ/標的複合体を変性させ、これによってレポーター分子35及び/又は合成標的分子53及び56を放出させる。緊縮調節とオリゴヌクレオチド配列の設計に応じて、該変性過程を全体的又は選択的に行ってもよいことに留意すべきである。従って、検出器は、レポーター35、標的53、標的56又はこれらの混合物を検出するように最適化させてもよい(別のプローブにおいては、所望によりレポーター35を省略してもよい)。
【0151】
1又は複数のプローブの骨格種81’、82’、83’及び/又は84’は基体71に結合した状態にあってもよい(図示する実施例においては、該骨格種は単一鎖オリゴヌクレオチドである)。図5Eに示す実施例の場合のように、基体71は、本願明細書に記載のようなナノ電子的検出器であって、変性状態を直接的に検出するように設計されたナノ電子的検出器を含んでいてもよい(直接的な基体装置の検出)。例えば、直接的な基体装置の検出には、プリスチンプローブ81〜84を含む変性現象(試料中には被検体50は存在しない)(例えば、変性前、変性中及び変性後の比較)及びプローブ/標的複合体を含む変性現象(被検体50の存在に応答してもたらされる)との間の差異を検出することが含まれていてもよい。同様に、付加的な実施態様においては、このような直接的な基体装置の検出は、遠隔ナノ検出器(例えば、図1Hに記載のような)と組み合わせて行ってもよい。
【0152】
内部ヌクレアーゼ耐性ブロック基を有するレポータープローブ
図7A〜図7Fは、本発明の観点を有するレポータープローブであって、ブロック基の配列位置におけるエキソヌクレアーゼのプロセシングを停止させる内部ブロック基を含むレポータープローブの実施例を示す。この種のブロック基は当該分野においては既知であって、例えば、天然核酸が共有結合した種の類似体を含んでいてもよい。
【0153】
ハイブリッド形成プローブ
図7Aは、プローブ90が被検体ポリヌクレオチド50の標的配列Aとハイブリッド形成して被検体/プローブ複合体を生成するように、該プローブ90を用いて処理した被検体ポリヌクレオチド50を示す。プローブ90は、連鎖レポーターオリゴヌクレオチド91及びコンパニオンオリゴヌクレオチド92を含む。
【0154】
連鎖レポーターオリゴヌクレオチド91は、被検体50の標的Aの少なくとも一部に対して相補的な近位捕獲配列部分94、及びコンパニオンオリゴヌクレオチド92の少なくとも一部に対して相補的な遠位レポーター配列部分95を含む。捕獲配列94及びレポーター配列95は、介在する耐性連結基93によって連結される。この実施例における「近位」と「遠位」という用語は、3’末端を近位とし、5’末端を遠位とするように任意的に使用するものであり、「鏡像」オリゴヌクレオチド構造においては、3’対5’の意味は逆転する。
【0155】
コンパニオンオリゴヌクレオチド92は、レポーター配列95の少なくとも一部に対して相補的な近位アンカー配列96、及び被検体50の少なくとも一部に対して相補的な遠位捕獲配列97を含む。
【0156】
特定の実施態様においては、連鎖レポーター91とコンパニオン92のハイブリッド複合体を含む集合プローブ90は、例えば試薬溶液中へ導入し、被検体50を含む試料と反応させてもよい。別の実施態様においては、単一鎖状の連鎖レポーター91及び単一鎖状コンパニオン92を供給して被検体50と接触させてその場で被検体50と相互にハイブリッド形成させることによって、図7Aに示すように、被検体/プローブ複合体が生成する。
【0157】
プローブの分解
図7Bは図7Aの要素を示す。この場合、非突出状3’末端を有する二重ポリヌクレオチドを分解させる活性を有するエキソヌクレアーゼ37が更に付加される。エキsドヌクレアーゼは、捕獲配列94を含む連鎖レポーター91の近位部分へ結合して該近位部分分解を開始させる。
【0158】
図7Cは図7Bの要素を示す。この場合、エキソヌクレアーゼは連鎖レポーター91の分解を続行し、連鎖レポーター91の耐性結合93に近い部分を除去する。
【0159】
レポーターの放出
図7Dは図7Cの要素を示す。この場合、エキソヌクレアーゼ37は、耐性結合93に達すると、プローブ/被検体複合体から離脱し、レポーター配列35は該酵素の影響を受けない。レポーター配列95は変性され、コンパニオン92から離脱する。好ましくは、i)反応媒体の条件(温度、pH、及びイオン組成等)、及びii)レポーター配列35とコンパニオンアンカー配列96の対応する相補的部分の長さとヌクレオチド組成の一方又は両方は、残存するレポーター配列95が、オリゴヌクレオチド91の近位部分が分解したときに二重形態として一般的に不安定になるように選択してもよい。あるいは、酵素分解後の反応媒体の条件を調整することによって、二重のレポーター95の変性を促進してもよい。
【0160】
特定の実施態様においては、レポーター95の脱離後、コンパニオン92は被検体50に結合した状態を保持するように設計される。別の実施態様においては、コンパニオン92も変性されて被検体から脱離してもよい。いずれの場合においても、コンパニオン92は、媒体中の付加的なプリスチンが結合したレポーターオリゴヌクレオチド91と結合させることによって再循環させ、図7Aに記載のようにして、付加的なプローブ/被検体複合体を形成させてもよい。
【0161】
精製
図7Eは、1又は複数の相補的な「サンドウィッチ型」プローブ79を用いる所望による精製過程を示す。この場合、基体に結合した1又は複数のプローブオリゴヌクレオチドの各々は、例えば、図4Bに記載のように、レポーター配列95に対して相補的な配列を有する。レポーター95をプローブ79へ結合させた後、基体32のすすぎ/洗浄処理を行うことによって、変性によるレポーター95の放出の際の試料媒体を非常に単純化させることができる。
【0162】
検出
図7Fは、図1G〜図1Hに関連して記載したような本願発明の観点を有するナノ電子的センサー42によってレポーター95を検出する態様を示す。前述のように、本発明による観点を有するレポーターは、常套の光学的方法を含む種々の別の検出手段によって検出してもよい。検出器42は1又は複数の結合された検出プローブ98を有しており、該プローブは相補的配列を介してレポーター95とハイブリッド形成し、これによってセンサーの特性に関して検出可能な変化がもたらされる。例えば、図7Eに示す所望による精製過程によるエキソヌクレアーゼ37の除去又は失活によって、プローブ/レポーター複合体の形態に関連する制約、即ち、センサーに関して遠位の非突出状3’末端が分解されないという制約を排除することができる(センサー42による迅速な検出によってもこの制約を排除することができる)。あるいは、プローブ98が、図示するように、遠位の突出状3’末端を有するように設計してもよい。他の検出プローブ99は遠位の5’末端を有する。図示する実施例においては、耐性結合93はレポーター95の3’末端上又は該末端に隣接する位置に存在するので、二重のプローブ/レポーター複合体におけるエンドヌクレアーゼ活性に対して耐性がもたらされる。
【0163】
多重レポーターとマトリックス検出セルを用いる多被検体アッセイ
図8Aと図8Bは、多重レポーターとマトリックス検出セルを用いる多被検体アッセイを含む本発明の観点を有する例示的な方法と装置の実施態様を示す。この方法には、複数のプローブを供給することが含まれる。該プローブは、複数の異なる被検体に対応する検出種(例えば、レポーター等)を増幅して供給するように設計される。
【0164】
図8Aは、多重レポータープローブ及び所望による精製過程と多重アンプリファイアを利用する多被検体アッセイを示すフローチャートである。この実施例においては、レポータープローブ及び想定される被検体1、2、3及び4にそれぞれ対応するアンプリファイアを含有する試薬混合物が配合される。被検体2及び4のみを含有する試料媒体を、ハイブリッド形成と酵素活性を促進するために有効な条件下において、該試薬混合物とエキソヌクレアーゼ37と接触させる。前述のようにして増幅とレポーターの放出が行われた後、被検体1と2に対応するレポーター及び合成標的が放出される。被検体1と3に対応するアンプリファイア及びレポータープローブは未反応状態に保持される。レポータープローブとアンプリファイア及びすすぎ又は精製過程は本願明細書に記載のいずれかの実施態様(例えば、図1〜図7に記載の実施態様)又は本願発明の技術的思想を逸脱することのないいずれかの類似の実施態様であってもよいことに留意すべきである。
【0165】
図8Bは、包囲壁101、1又は複数の出入口102及びセンサーのマトリックスを具備する検出セル100を示す。各センサーは、異なる被検体であるレポーター分子に対応する異なる検出感度を有する。図8Bにおいては、4つのセンサー42a、42b、42c及び42dが図示されている。これらのセンサーには、本願明細書に記載のいずれかのセンサー及び本願明細書に組み入れられる特許出願の明細書に記載のいずれかのセンサーを含んでいてもよいことに留意すべきである。この実施例においては、各センサー42は基体(例えば、誘電層107を有する共通の基体106、例えば、シリコンウェファー、SiO表面層又はポリマーシート等)、基体に隣接して配置されたナノ構造素子104(この実施例においては、相互に連絡されたCNTネットワークである)、及び該ナノ構造素子104と電気的に接続する少なくとも1つの接点(この実施例においては、相互に組み合わされたソース/ドレイン電極対が図示されている)を具備する。トランジスターの実施例においては、分離したゲート電極を含めてもよく、あるいは、Siをドープしたウェファーのような基体材料をマトリックス用の共通のゲート電極として使用してもよい。各センサーにおけるナノ構造素子104は、アッセイの想定される被検体の1種に対して特異的な異なる認識材料(この実施例においては、被検体1、2、3及び4のそれぞれに対応するレポーターオリゴヌクレオチドから選択される1種に対して相補的なオリゴヌクレオチドプローブである)を用いて感作される。
【0166】
検出溶液103(この実施例の場合には、図8Aに示す反応混合物から誘導される精製されたレポーター溶液である)をセル100に含まれるセンサー42と接触させる。適当な測定回路(図示せず)によって、対応するレポーターとのハイブリッド形成が発生するセンサー42a〜42dの性質の変化が測定される
【0167】
図示する態様のマトリックスセル100においては、センサー42は異なるレポーター分子を検出するように設計されているが、本願発明の技術的思想を逸脱することなく、その他の態様を採用することも可能であることに留意すべきである。例えば、センサーは、合成標的又は被検体の分子に対して感度を示すプローブを含んでいてもよい。
【0168】
アプタマー/レポーター複合体
図9A〜図9Cは、本発明の観点を有する1つの例示的な方法であって、生体分子を含む被検体を検出するためのアプタマー部分を含むプローブ集合体を示す。アプタマー/塩基配列複合体は、アプタマー112が被検体111と結合したときに正角的変化(conformal change)がもたらされるように選択される。図示する実施例においては、アプタマー/レポーター複合体は、例えば、前述のような方法によってビーズ等の基体上へ固定化される。図9Bに示すように、プローブ集合体110は、塩基配列114へ結合された二重形態のレポーター113を含む。プローブ110は、一般的には本願明細書に記載のいずれかの実施例に示すものと類似する。図示する実施例においては、プローブ110は、一般的には図7A〜図7Fに示すものと類似し、塩基配列114は被検体50の場合と同様に作用する。塩基配列は、標的被検体111に対して特異的な結合能を示すアプタマー配列112と接続される。本発明の観点を有する実施態様においては、被検体は、アプタマー又は類似のポリヌクレオチド構造体(例えば、球状タンパク質及び多糖等)に対して特異的な親和性又は反応性を示す多数の物質から選択されるいずれの物質であってもよい。
【0169】
プローブの保護に適合したアプタマー
図9Aに示すように、アプタマー112が被検体111と結合しないときには、エンドヌクレアーゼ37がプローブ110を実質上分解させないように該プローブの立体配座は保護される。
【0170】
アプタマーの被検体への結合とプローブの暴露
図9Bに示すように、アプタマー112が被検体111に結合すると、結合体の立体配座はプローブ110をエンドヌクレアーゼ37へ暴露させるので、該プローブ110はエンドヌクレアーゼ37によって攻撃される。
【0171】
プローブの分解とレポーターの放出
図9Cに示すように、酵素37によってプローブ110が分解された後、レポーターが放出されるので、該レポーターは、図1〜図8に示す実施態様に関連して記載した方法によって検出してもよい。
【0172】
ポリヌクレオチドの検出用ナノ電子的センサー:実施例A〜I
本発明の観点を有する付加的な実施態様は、共同で発明された米国特許出願第11/318354号(出願日:2005年12月23日)の明細書(WO2006−071895参照)及び米国特許出願第11/212026号(出願日:2005年8月24日)の明細書(WO2006−024023参照)に開示されている実施例A〜Iに記載されており、これらの明細書も本願明細書の一部を成すものである。
【0173】
多段階的アンプリファイア [指数法則(power-law)増幅]
図10〜図13は、本発明の観点を有する実施態様であって、図2及び図3に関連して先に説明した実施態様の場合と多くの関連性と操作手順の点で類似する方法に従って、被検体に応答して酵素で仲介される増幅をもたらす実施態様を示す。この場合、アンプリファイア試薬種の多段階的シリーズが使用される。
【0174】
図10〜図13に示す実施態様においては、初期段階のアンプリファイアの被検体に応答する酵素反応による生成物は、第2段階のアンプリファイアの増幅用基体を形成し、その後の酵素反応において第2増幅生成物がもたらされる。付加的な段階を含めてもよい。
【0175】
これらの実施例においては、予め選択された被検体の標的配列Aを用いるハイブリッド形成を介して、増幅の初期段階のみが被検体の存在によって直接的に誘発される。その後の段階のアンプリファイアは増幅生成物によって誘発される。増幅生成物(誘導鎖又はレポーターフラグメント)の蓄積は、逐次的なアンプリファイア段階の数(n=2、3、......)に基づく指数法則の関係式に従う。
【0176】
このような多段階的増幅スキームを採用する検出装置を用いてこの種の増幅生成物(レポーター)の一部又は全部を検出することによって、試料中の生体分子被検体の存在又は濃度の測定が可能となる。このような検出においては、本願明細書に記載のいずれかのナノ電子的装置を使用してもよい。
【0177】
本発明の観点を例証するために、図10〜図13に示す実施例においては、オリゴヌクレオチド複合体と酵素は、3’−エキソヌクレアーゼによる分解が、1つの鎖上に非突出状3’末端を有する二重DNA上において選択的に開始されるように設計され、該分解は、非突出状鎖に沿って3’から5’の方向へ進行する。しかしながら、図2及び図3に関連して先に説明した実施例の場合のように、本発明による技術的思想を逸脱することなく、その他の立体配置を採用することも可能であり、また、その他の酵素(例えば、5’エキソヌクレアーゼ及びDNAポリメラーゼ等)を使用し、これに応じてアンプリファイア試薬種を設計してもよい。
【0178】
2段階増幅
例えば、図10及び図11は2段階法(n=2)の実施態様を示す。別の実施態様の場合のように、被検体に応答して最初に行われる酵素仲介反応によって、合成標的(即ち、試料中に存在せず、予め調製されて選択された天然の又は合成されたオリゴヌクレオチド)が放出される。該合成標的は、別の合成鎖又はフラグメントの放出をもたらす付加的な酵素仲介反応に関与する。合成オリゴヌクレオチドは、試料中に被検体ポリヌクレオチドが不存在のときのエキソヌクレアーゼ活性から保護されるように設計された二重形態で供給される。
【0179】
初期条件
図10に示す実施例における第1の図(図10a)は、試料測定の初期状態を示す。この初期状態には下記の要件a)〜d)を伴う:
a)予め選択された配列Aを有する被検体ポリヌクレオチド鎖120は、ポリヌクレオチドのハイブリッド形成が行われるために十分な条件下において、少なくともアンプリファイアIを含む試薬/緩衝液へ暴露される。
b)アンプリファイアIは、捕獲鎖121とコンパニオン鎖122を含む二重構造を含む。
c)捕獲鎖121は、捕獲配列A’(標的Aの一部又は全部に対して相補的な配列)及び2つの付加的な配列B’とC’を3’から5’の順位で含む。
d)コンパニオン鎖122は2つのコンパニオン配列CとBを3’から5’の順序で含む。該配列C及びBはそれぞれ捕獲鎖121のコンパニオン配列C’及びB’の一部又は全部に対して相補的であって該一部又は全部とハイブリッド形成し、暴露された鎖121の捕獲配列A’は残存する。
【0180】
段階1
図10bにおいては、アンプリファイアIは、鎖121の捕獲配列A’と被検体鎖120の標的配列Aとのハイブリッド形成による被検体鎖120との二重会合状態で示される。エキソヌクレアーゼ種は必要ないずれかの補因子と共に試薬中へ添加するか、又は試薬中に存在させることによって、捕獲配列121の3’末端における分解を開始させる。
【0181】
図10cにおいては、段階1の酵素分解が完結した状態が示されており、未分解の被検体鎖120(原鎖)とコンパニオン鎖122(コンパニオンI又はBC)は溶液中へ放出される。この時点(段階1の終了時点)においては、1つの原鎖と1つの誘導鎖(例えば、レポーター等)が溶液中に存在する。
【0182】
段階2
図10dは当該方法の段階2の開始状態を示す。この場合、段階1の生成物(鎖120及び鎖122)は、試薬/緩衝液媒体中において、付加的なアンプリファイアIとアンプリファイアII に暴露される。この段階には下記の要件a)〜c)が伴う:
a)アンプリファイアII は、捕獲鎖123とコンパニオン鎖122を含む二重構造を含む。
b)捕獲鎖123は、捕獲配列C''(コンパニオン鎖122の配列Cの一部又は全部に対して相補的な配列)及び付加的な配列B''を3’から5’の順位で含む。
c)コンパニオン鎖124はコンパニオン配列B'''を含む。該配列は捕獲鎖123のコンパニオン配列B''の一部又は全部に対して相補的であって該一部又は全部とハイブリッド形成し、暴露された鎖123の捕獲配列C''は残存する。
【0183】
図10eにおいては、アンプリファイアII は、鎖123の捕獲配列C''とコンパニオン鎖122の配列Cとのハイブリッド形成によるコンパニオン鎖122との二重会合状態で示される。エキソヌクレアーゼ種は必要ないずれかの補因子と共に試薬中へ添加するか、又は試薬中に存在させることによって、捕獲配列123の3’末端における分解を開始させる。同時に、付加的なアンプリファイアIは、段階1に関して記載したように、被検体鎖120との二重会合状態で示される。
【0184】
図10fにおいては、段階2の酵素分解が完結した状態が示されており、未分解の被検体鎖120(原鎖)、2つのコンパニオン鎖122(第1誘導鎖と第2誘導鎖)及びコンパニオン鎖124(コンパニオンII 又はB)は溶液中へ放出される。この時点(段階2の終了時点)においては、1つの原鎖と3つの誘導鎖(例えば、アンプリコン又はレポーター等)が溶液中に存在する。
【0185】
付加的段階(相1及び相2)
図10gは当該方法のその後の段階3の開始状態を示す。段階1の生成物(鎖120と鎖122)及び段階2の生成物(鎖124)は、試薬/緩衝液媒体中において、付加的なアンプリファイアI及びアンプリファイアII に暴露される。
【0186】
図10hにおいては、アンプリファイアIは、段階1の被検体鎖120との二重会合体として示されており、また、アンプリファイアII は、段階2のコンパニオン鎖120との二重会合体として示されている。エキソヌクレアーゼは、被検体の重複部位の捕獲鎖120及びコンパニオンIの各々の重複部位の捕獲鎖123の分解を開始させる。
【0187】
図10iにおいては、酵素的分解は完結しており、また、未分解の被検体鎖120、3つのコンパニオン鎖122、及び3つのコンパニオン鎖124(1つは段階2から得られたものであり、2つは新たに誘導されたものである)は溶液中へ放出される。この時点(段階3の終了時点)においては、1つの原鎖と6つの誘導鎖(例えば、アンプリコン及びレポーター等)が溶液中に存在する。
【0188】
この方法の6つの相又は段階において得られた結果を以下の表3に示す。
【表3】

【0189】
図11は、2段階増幅に関する表3の結果をプロットしたグラフを示す。
【0190】
3段階増幅
別の実施例に関する図12A〜図12C及び図13は、3段階法(n=3)の実施態様を示す。この実施態様は、多くの点で、図11〜図12に示す2段階の実施例の場合と類似する。簡便化のために、以下においては、各々の増幅段階の操作様式のみについて説明する。この実施態様の基礎となる原理と構成は、前述の関連する記載内容に基づけば明らかになる事項である。前述の実施例の場合のように、特定の前駆体標的及び十分な増幅試薬と酵素が存在する場合には、各段階は同時に進行させてもよいことに留意すべきである。
【0191】
段階1
図12Aは、アンプリファイア#1の漸進的活性(progressive activity)を示す矢印で連結される3つの部分を示す。この段階には下記の要件a)〜f)が含まれる:
a)アンプリファイア#1は、捕獲鎖125とコンパニオン鎖126を含む二重構造を有する。
b)捕獲鎖125は、捕獲配列A’(該配列は、標的Aの全部又は一部に対して相補的である)及び3つの付加的配列B’、C’及びD’を3’から5’の順位で含む。
c)コンパニオン鎖126は、3つのコンパニオン配列D、C及びBを3’から5’の順位で含むので、捕獲鎖125の捕獲配列A’は暴露される。なお、これらの3つのコンパニオン配列D、C及びBは、それぞれ捕獲鎖125のコンパニオン配列D’、C’及びB’の全部又は一部に対して相補的であって該全部又は一部とハイブリッド形成する。
d)予め選択された配列Aを有する被検体であるポリヌクレオチドの鎖120は、ポリヌクレオチドのハイブリッド形成がおこなわれるために十分な条件下において、少なくともアンプリファイア#1を含有する試薬/緩衝液に暴露され、これと結合して二重被検体/アンプリファイア#1複合体を生成する。
e)エキソヌクレアーゼ種をいずれかの必要な補因子と共に試薬へ添加するか、又は試薬中に存在させることによって、捕獲鎖125の3’末端における分解を開始させる。
f)酵素的分解反応を完結するまで続行することによって、未分解の被検体鎖120及びコンパニオン鎖126(コンパニオン#1又はBCD)を溶液中へ放出させる。
【0192】
段階2
図12Bは、アンプリファイア#2の漸進的活性を示す矢印で連結される3つの部分を示す。この段階には下記の要件a)〜f)が含まれる:
a)アンプリファイア#2は、捕獲鎖127とコンパニオン鎖128を含む二重構造を有する。
b)捕獲鎖127は、捕獲配列C''(該配列は、鎖126の配列Cの全部又は一部に対して相補的である)及び2つの付加的配列D''及びB''を3’から5’の順位で含む。
c)コンパニオン鎖128は、2つのコンパニオン配列B'''及びD'''を3’から5’の順位で含むので、捕獲鎖127の捕獲配列C''は暴露される。なお、これらの2つのコンパニオン配列B'''及びD'''は、それぞれ捕獲鎖127のコンパニオン配列B''及びD''の全部又は一部に対して相補的であって該全部又は一部とハイブリッド形成する。
d)コンパニオン#1(鎖126)は、ポリヌクレオチドのハイブリッド形成がおこなわれるために十分な条件下において、少なくともアンプリファイア#2を含有する試薬/緩衝液に暴露され、これと結合して二重コンパニオン#1/アンプリファイア#2複合体を生成する。
e)エキソヌクレアーゼ種をいずれかの必要な補因子と共に試薬へ添加するか、又は試薬中に存在させることによって、捕獲鎖127の3’末端における分解を開始させる。
f)酵素的分解反応を完結するまで続行することによって、未分解のコンパニオン#1(126)及びコンパニオン鎖128(コンパニオン#2又はBD)を溶液中へ放出させる。
【0193】
段階3
図12Cは、アンプリファイア#3の漸進的活性を示す矢印で連結される3つの部分を示す。この段階には下記の要件a)〜f)が含まれる:
a)アンプリファイア#3は、捕獲鎖129とコンパニオン鎖130を含む二重構造を有する。
b)捕獲鎖129は、捕獲配列D(該配列は、鎖128の配列C'''の全部又は一部に対して相補的である)及び付加的配列Bを3’から5’の順位で含む。
c)コンパニオン鎖130は、コンパニオン配列B含むので、捕獲鎖129の捕獲配列Dは暴露される。なお、該コンパニオン配列は、捕獲鎖129のコンパニオン配列Bの全部又は一部に対して相補的であって該全部又は一部とハイブリッド形成する。
d)コンパニオン#2(鎖128)は、ポリヌクレオチドのハイブリッド形成がおこなわれるために十分な条件下において、少なくともアンプリファイア#3を含有する試薬/緩衝液に暴露され、これと結合して二重コンパニオン#2/アンプリファイア#3複合体を生成する。
e)エキソヌクレアーゼ種をいずれかの必要な補因子と共に試薬へ添加するか、又は試薬中に存在させることによって、捕獲鎖129の3’末端における分解を開始させる。
f)酵素的分解反応を完結するまで続行することによって、未分解のコンパニオン#2(126)及びコンパニオン鎖130(コンパニオン#2又はB)を溶液中へ放出させる。
【0194】
この方法の6つの相又は段階における結果を以下の表4に示す。
【表4】

【0195】
図13は、3段階増幅に関連する表4のデータをプロットしたグラフを示す。
【0196】
相同配列
本願明細書に記載の実施例(特に図10〜図13に示す多段階の実施例)に関しては、1種よりも多くの増幅試薬種中に存在する配列に対応する相同配列の個々の指定は、この種の相同配列がヌクレオチドの長さや配列の点、又は全体的な化学的組成の点で同一であるということを必ず意味するものではないということに留意すべきである。この種の相同配列は同一であってもよいが、多くの点で異なっていてもよい。
【0197】
例えば、図12B及び図12Cにおいては、鎖128の配列D'''は配列D''(アンプリファイア#2における鎖127)とハイブリッド形成していてもよく、また、配列D(アンプリファイア#3/コンパニオン#2複合体における鎖129)ともハイブリッド形成していてもよい。このような相同配列は、本発明による方法において個々のハイブリッド形成機能を発揮するために有効な程度の相補的特性を有するように設計してもよい。この場合、配列、長さ又は付加的な化学基の組み込みの点で必ずしも同一でなくてもよい。従って、例えば、配列D''と配列Dは、ハイブリッド形成の異なる完結度を有するように設計してもよく、あるいは、これらの配列は異なる変性特性又はアニーリング緊縮特性を有していてもよい。同様に、配列D''とDは、異なる長さ、末端基又は非天然ヌクレオチド等を有するように設計することによって、例えば、所望により酵素活性の開始、停止、特異性又はブロッキング等を調節してもよい。
【0198】
別の選択肢においては、アンプリコン又はレポーター種における相同配列(例えば、鎖128におけるB'''及び鎖130におけるB)は異なる標識、マーカー又はその他の検出能増大特性を有するように設計することによって、例えば、明確で個別的な検出(例えば、定量的増幅の追跡における検出)又は異なる装置若しくは方法による検出を可能にしてもよい。特定の実施態様においては、多重及び/又は定量的検出法を採用することによって、例えば、偽陽性の低減化及び類似被検体間の区別等を可能にしてもよい。
【0199】
実施例:蛍光検出を用いる単一標的増幅
図14A〜図14Cは、本発明の観点(例えば、図3A参照)を有する単一標的増幅法であって、該方法の1つの過程において蛍光検出法を採用する該単一標的増幅法の実施例を示す。
【0200】
この実施例においては、増幅捕獲プローブ配列は被検体/アンプリファイア複合体を形成するように設計され、これによって捕獲鎖は、5’>>3’エキソヌクレアーゼ活性による分解作用を受ける非突出状5’末端を有するようになる。この実施例で使用した酵素は、5’>>3’エキソヌクレアーゼ活性T7ポリメラーゼである。
【0201】
前述のように、本発明の観点を有する増幅と検出のいくつかの別の実施態様は、3’−エキソヌクレアーゼ、5’−エキソヌクレアーゼ及びDNAポリメラーゼ(例えば、校正又はヌクレアーゼ活性を介するポリメラーゼ等)等を含む種々のヌクレオチド酵素を用いて実施してもよい。例えば、T7DNAポリメラーゼは、本発明による方法を使用して例証されている。同様に、本発明の観点を有する増幅系においては、適当な酵素の開始部位を有する被検体/アンプリファイア複合体を形成するように設計されている場合には、本発明の技術的思想を逸脱することなく、エンドヌクレアーゼ活性を利用してもよい。
【0202】
図14Aは、被検体141を含む被検体/アンプリファイア系140の構成成分を示す模式図である。該被検体は、標的配列A(この実施例の場合には、約54個の塩基を有する配列である)、捕獲鎖142(この実施例の場合には、約102個の塩基を有する鎖である)、相補的配列A’、延長配列B及びレポーター鎖147(この実施例の場合には、約19個の塩基を有する鎖である)を有する。この実施例におけるアンプリファイア/被検体複合体は約121個の塩基対を有する。
【0203】
レポーター鎖147は、相補的配列B’を有する鎖143を含む。該相補的配列は、鎖142の延長配列B’と結合すると共に、この実施例においては、常套法によって鎖143へ結合されたFAM蛍光性基144も含んでおり、これによって、光学的方法による簡便な検出が可能となる。
【0204】
図14Bと図14Cは、当該方法における種々の反応成分の電気泳動的ゲル分離の結果を示す写真である。図14Bは、分離後の電気泳動的ゲルのポジ写真であり、また、図14Cは、図14Bの写真のネガ写真である。図14Bは、特許明細書に添付する図面として適当な再現性のある無彩色スケールの写真画像におけるデータをより明瞭に示す。当該方法に関する実施例においては、比較の目的のために、反応成分又は試薬成分の種々の組み合わせについて試験した。ゲルは、10個の平行なチャネルを有するように調製した。各々のチャネル内の緩衝液を以下のリストに示す。
【0205】
1:約10個の塩基対(bp)単位を有するオリゴマーの校正はしご(「明線」で示す成分は100bpに対応する)
2:被検体オリゴマー141(約54bp)
3:捕獲配列142(約102bp)とハイブリッド形成された被検体141
4:配列142とハイブリッド形成された被検体141(低濃度の酵素を含む)
5:配列142とハイブリッド形成された被検体141(高濃度の酵素を含む)
6:被検体オリゴマー141
7:アンプリファイア/被検体複合体145(約121bp)
8:アンプリファイア/被検体複合体145(低濃度の酵素を含む)
9:アンプリファイア/被検体複合体145(高濃度の酵素を含む)
10:オリゴマーの校正はしご
【0206】
図14Bと図14Cから理解されるように、酵素による消化生成物であるレポーター147は、酵素を含まない複合体に対応するチャネル7の内部においては識別されないが、酵素による消化反応混合物に対応するチャネル8と9の内部における19量体のレベルにおいては容易に識別される。当業者であれば、酵素の濃度やその他の反応条件を、過度の実験を行うことなく、この種の被検体の簡便で感度と選択性の高い検出を促進するために最適化できることを容易に認識できる。
【0207】
ヘアピン型プローブ集合体
本発明の観点を有する別の実施態様においては、プローブ集合体の個々の捕獲部分とレポーター部分を省略してもよい。図15A〜図15Cは、ヘアピン型プローブ集合体の例を示す。この実施例においては、該プローブ集合体は共線的ポリヌクレオチド鎖152を含んでおり、該ポリヌクレオチド鎖は捕獲部分A’(該捕獲部分は、被検体鎖151の標的Aに対して相補的である)とレポーター部分を含む。該レポーター部分は、鎖152のいずれかの簡便な部位上に配置されるか、又は該部位に隣接する1又は複数の標識又はその他の検出強化体(例えば、蛍光性マーカー基等)を有していてもよい。この実施例においては、マーカー154は鎖152の中央部分に配置されているが、その他の部分、例えば3’末端に隣接する部分に配置させてもよい。
【0208】
図15Aに示すように、鎖152は少なくとも1つの付加的部分A''を含んでおり、該付加的部分は、テンプレート種151の標的部分Aと会合しないときに部分A’とA''が自己ハイブリッド形成することによって、例えば、ヘアピン様の立体構造体を形成するような程度のハイブリッド形成に対する親和性を有するので、選択された酵素による分解から保護される。この実施例においては、ヘアピン形態の鎖152は突出状5’末端を有するので、活性開始のためには非突出状5’末端を有する複合体を必要とする酵素146(例えば、エンドヌクレアーゼ等)から保護される。
【0209】
図15Bに示すように、プローブ鎖152が標的鎖151と会合すると、標的Aに対するA’の親和性は、酵素146によって攻撃される非突出状5’末端を有するように鎖151と鎖152が会合した状態の複合体150の生成が有意になるように平衡を移動させる。
【0210】
図15Cに示すように、酵素分解反応は、短鎖152が放出されるまで続行する。次いで、標的151はさらなる増幅のために利用される。多段階法においては、放出される鎖152’は、適当に設計されたアンプリファイアのためのテンプレートとして利用してもよい。
【0211】
以上の記載においては、本発明の好ましい実施態様と方法に関して説明したが、当業者には明らかなように、一定の利点が達成されている。また、本発明の技術的思想の範囲内においてこれらの実施態様の種々の修正、改変及び代替的態様を実行してもよいことは当業者には理解できる事項である。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1A】非常に少量の標的被検体に応答してレポーター分子が増幅して放出された後に、該レポーター分子の量を電子的に検出する装置と方法に係る模式図であり、試料を捕集して調製する過程を示す。
【図1B】試料媒体を入口へ塗布するためのアプリケーターを具備する液体系の内部において試料を処理する装置の模式図である。
【図1C(i)】プローブ集合体を保有する容器の内部に収容されたポリヌクレオチド物質を含有する試料媒体の模式図である。
【図1C(ii)】プローブ集合体と標的被検体の詳細な模式図である。
【図1D(i)】プローブ/被検体複合体を形成する液状系を保有する容器又はセルの模式図である。
【図1D(ii)】プローブ/被検体の詳細な模式図である。
【図1E】図1D(i)に示す容器又はセルの内部において、所望によるすすぎ過程又は洗浄過程が可能となるように、基体が不動化又は固定的に配置された状態を示す模式図である。
【図1F(i)】容器又はセルの内部において、プローブ/被検体複合体をエキソヌクレアーゼで処理する状態の模式図である。
【図1F(ii)】プローブ/被検体複合体にエキソヌクレアーゼが作用する状態の詳細な模式図である。
【図1F(iii)】捕獲配列の脱離によって被検体分子が放出されるように進行中のプローブ分子の分解過程を示す模式図である。
【図1G(i)】ナノコード配列の脱離によってレポーター分子が放出されたプローブ分子の完結した分解を示す模式図である。
【図1G(ii)】蓄積したレポーター分子が、ナノ電子的センサーを具備する隣接する検出セル内へ流れる状態を示す模式図である。
【図1H】レポーター分子と検出プローブとのハイブリッド形成に起因するセンサーの電子的特性の変化に基づいてレポーター分子を検出するための測定系の模式図である。
【図2A】標的被検体ポリヌクレオチドを含む試料媒体の模式図である。
【図2B】図2Aの構成要素を示す模式図である。
【図2C】図2Bに示す被検体/アンプリファイア複合体へエキソヌクレアーゼが作用する状態を示す模式図である。
【図2D】図2Cに示す被検体/アンプリファ9ア複合体から未変性被検体が放出される状態を示す模式図である。
【図2E】図2Cに示す被検体/アンプリファ9ア複合体からオリゴヌクレオチドが放出される状態を示す模式図である。
【図2F】図2Eの構成要素を示す模式図である。
【図2G】図2Fの構成要素を示す模式図である。
【図2H】図2Gの構成要素を示す模式図である。
【図3A】合成標的の放出を誘発させるために単一の被検体捕獲配列を使用する増幅方法の結果を示す模式図である。
【図3B】合成標的の放出を誘発させるために複数の被検体捕獲配列を使用する増幅方法の結果を示す模式図である。
【図3C】表1と表2に示すデータを用いて作製したグラフである。
【図4A】レポーターの増幅と精製のための装置と方法に係る模式図であり、基体に結合しない修飾されたレポータープローブが使用される。
【図4B】レポーターの増幅と精製のための装置と方法に係る模式図であり、ナノ電子的検出の前に、放出されたレポーターは精製される。
【図5A】予備的増幅精製過程を含む指数関数的な被検体−応答増幅をもたらす装置と方法に係る模式図であり、初期固定化段階を示す。
【図5B】予備的増幅精製過程を含む指数関数的な被検体−応答増幅をもたらす装置と方法に係る模式図であり、精製段階を示す。
【図5C】予備的増幅精製過程を含む指数関数的な被検体−応答増幅をもたらす装置と方法に係る模式図であり、インキュベーション段階を示す。
【図5D】予備的増幅精製過程を含む指数関数的な被検体−応答増幅をもたらす装置と方法に係る模式図であり、エキソヌクレアーゼ増幅段階を示す。
【図5E】予備的増幅精製過程を含む指数関数的な被検体−応答増幅をもたらす装置と方法に係る模式図であり、レポーター放出段階を示す。
【図6A】分析用媒体からエキソヌクレアーゼを除去した後で指数関数的な被検体−応答増幅をもたらす装置と方法に係る模式図であり、エキソヌクレアーゼ増幅段階を示す。
【図6B】分析用媒体からエキソヌクレアーゼを除去した後で指数関数的な被検体−応答増幅をもたらす装置と方法に係る模式図であり、精製段階を示す。
【図6C】分析用媒体からエキソヌクレアーゼを除去した後で指数関数的な被検体−応答増幅をもたらす装置と方法に係る模式図であり、プローブ変性段階を示す。
【図7】図7Aは本発明に係る内部阻害基を含むレポータープローブの模式図である。 図7Bは図7Aの構成要素を示す模式図であり、エキソヌクレアーゼがさらに付加される。 図7Cは図7Bの構成要素を示す模式図であり、エキソヌクレアーゼは連鎖レポーターの分解を続行する。 図7Dは図7Cの構成要素を示す模式図であり、エキソヌクレアーゼは、耐性結合に達すると、プローブ/被検体複合体から離脱する。 図7Eは相補的なサンドウィッチ型プローブを用いる所望による精製過程に係る模式図である。 図7Fはナノ電子的センサーによってレポーターを検出するための装置の模式図である。
【図8A】多重型レポーターとマトリックスと検出器セルを用いる多種被検体アッセイを含む装置と方法に係る模式図であり、多被検体アッセイのフローチャートを示す。
【図8B】多種被検体アッセイ用のマトリックス検出セルを示す模式図である。
【図9A】生体分子を検出するためのアプタマー部分を含むプローブ集合体を使用する方法に係る模式図であり、プローブの保護に適合したアプタマーを示す。
【図9B】生体分子を検出するためのアプタマー部分を含むプローブ集合体を使用する方法に係る模式図であり、アプタマーの被検体への結合とプローブの暴露を示す。
【図9C】生体分子を検出するためのアプタマー部分を含むプローブ集合体を使用する方法に係る模式図であり、プローブの分解とレポーターの放出を示す。
【図10−1】図10aはアンプリコン及び/又はレポーター種を生成させるように標的によって開始される増幅の二段階法の実施態様を示す模式図であり、試料測定の初期状態を示す。 図10bはアンプリコン及び/又はレポーター種を生成させるように標的によって開始される増幅の二段階法の実施態様を示す模式図であり、アンプリファイアIは被検体鎖との二重会合状態で示される。 図10cはアンプリコン及び/又はレポーター種を生成させるように標的によって開始される増幅の二段階法の実施態様を示す模式図であり、当該方法の段階1の酵素分解が完結した状態を示す。
【図10−2】図10dはアンプリコン及び/又はレポーター種を生成させるように標的によって開始される増幅の二段階法の実施態様を示す模式図であり、当該方法の段階2の開始状態を示す。 図10eはアンプリコン及び/又はレポーター種を生成させるように標的によって開始される増幅の二段階法の実施態様を示す模式図であり、アンプリファイアIIはコンパニオン鎖との二重会合状態で示される。 図10fはアンプリコン及び/又はレポーター種を生成させるように標的によって開始される増幅の二段階法の実施態様を示す模式図であり、当該方法の段階2の酵素分解が完結した状態を示す。
【図10−3】図10gはアンプリコン及び/又はレポーター種を生成させるように標的によって開始される増幅の二段階法の実施態様を示す模式図であり、当該方法の段階3の開始状態を示す。 図10hはアンプリコン及び/又はレポーター種を生成させるように標的によって開始される増幅の二段階法の実施態様を示す模式図であり、アンプリファイアIは被検体鎖との二重会合状態で示され、また、アンプリファイアIIはコンパニオン鎖との二重会合状態で示される。 図10iはアンプリコン及び/又はレポーター種を生成させるように標的によって開始される増幅の二段階法の実施態様を示す模式図であり、当該方法の段階3の酵素分解が完結した状態を示す。
【図11】図10a〜図10iに示す方法に対応する実験データに基づいて作製したグラフである。
【図12A】アンプリコン及び/又はレポーター種を生成させるように標的によって開始される増幅の三段階法の実施態様を示す模式図であり、アンプリファイア#1の使用状態を示す。
【図12B】アンプリコン及び/又はレポーター種を生成させるように標的によって開始される増幅の三段階法の実施態様を示す模式図であり、アンプリファイア#2の使用状態を示す。
【図12C】アンプリコン及び/又はレポーター種を生成させるように標的によって開始される増幅の三段階法の実施態様を示す模式図であり、アンプリファイア#3の使用状態を示す。
【図13】図12A〜図12Cに示す方法に対応する実験データに基づいて作製したグラフである。
【図14】図14Aは蛍光検出法を利用する単一標的増幅法の実施態様を示す模式図であり、アンプリファイア/被検体複合体を示す。 図14Bは蛍光検出法を利用する単一標的増幅法による結果と増幅生成物を示す電気泳動ゲルの写真である。 図14Cは図14Bに示す写真の陰画である。
【図15A】ヘアピン型のプローブ集合体の実施態様を示す模式図であり、プローブ鎖は少なくとも1つの付加的部分を有する。
【図15B】ヘアピン型のプローブ集合体の実施態様を示す模式図であり、プローブ鎖は標的鎖と会合する。
【図15C】ヘアピン型のプローブ集合体の実施態様を示す模式図であり、酵素分解反応はプローブ鎖が放出されるまで続行する。
【符号の説明】
【0213】
11 試料アプリケーター
12 溶解緩衝液又は媒体
13 容器
14 ウイルス性物質
15 ポリヌクレオチド物質
17 反応媒体
20 液状系
23 反応セル
25 検出セル
30 プローブ集合体
32 基体
34 プローブポリヌクレオチド
35 レポーターオリゴヌクレオチド
36 プローブ/被検体複合体
37 エキソヌクレアーゼ
40 ナノ電子的センサー
41 検出プローブ
42 回路
50 被検体ポリヌクレオチド
51 Aアンプリファイア
52 合成オリゴヌクレオチド
53 第2オリゴヌクレオチド
54 Bアンプリファイア
57 アンプリファイア/被検体複合体
58 合成A標的/アンプリファイア複合体
59 合成B標的/アンプリファイア複合体
61 レポータープローブ
62 レポータープローブ
71 基体
76 被検体/アンプリファイア複合体
77 合成標的A/アンプリファイア複合体
79 サンドウィッチ型プローブ
81 プロスチンプローブ
90 プローブ
91 連鎖レポーターオリゴヌクレオチド
92 コンパニオンオリゴヌクレオチド
95 レポーター配列
96 コンパニオンアンカー配列
100 検出セル
104 ナノ構造素子
106 基体
107 誘電層
110 プローブ集合体
111 被検体
112 アプタマー
114 塩基配列
120 被検体ポリヌクレオチド鎖
121 捕獲鎖
122 コンパニオン鎖
123 捕獲鎖
124 コンパニオン鎖
125 捕獲鎖
126 コンパニオン鎖
127 捕獲鎖
128 コンパニオン鎖
129 捕獲鎖
130 コンパニオン鎖
141 被検体
142 捕獲鎖
147 レポーター鎖
144 FAM蛍光性基
151 標的鎖
152 共線的ポリヌクレオチド鎖
154 マーカー
【図1A−1C(i)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体分子のテンプレート種を含有する媒体中へのレポーター種の導入方法であって、該テンプレート種に対して結合親和性を有するプローブ集合体から非−PCR/テンプレート−誘発/酵素活性化によって該レポーター種を放出させることを含み、下記の操作過程(a)〜(c)を含む該導入方法:
(a)下記の要件(i)〜(iv)を満たす第1プローブ集合体を少なくとも1つ供給する:
(i)テンプレート種の標的部分に対して選択的な結合親和性を付与する捕獲ヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの第1プローブ鎖を含む;
(ii)プローブ鎖の対応する結合部分とハイブリッド形成するように設計されたポリヌクレオチド配列を有する結合部分を含む少なくとも1つの第1レポーター種を含む;
(iii)第1プローブ集合体は、ポリヌクレオチド重複プローブ集合体を含むようにハイブリッド形成された少なくとも1つの第1プローブ鎖と少なくとも1つの第1レポーター種を含む;
(iv)重複プローブ集合体は、プローブ鎖の全部又は一部を分解してプローブ集合体から第1レポーター種を放出させるのに十分なヌクレアーゼ活性を有する選択された酵素の作用を促進するのに適合した少なくとも1つの酵素−開始部位であって、捕獲ヌクレオチド配列がテンプレート種の選択された標的部分の全部又は一部と結合してテンプレート−プローブ複合体を形成するときに形成される該酵素−開始部位を有するように設計される;
(b)テンプレート種の選択された標的部分をプローブポリヌクレオチドの捕獲ヌクレオチド配列部分へ結合させることによって酵素−開始部位を有する第1テンプレート−プローブ複合体を形成させる反応を促進するために有効な条件下において、媒体を少なくとも1つの第1プローブ集合体と接触させる:
(c)酵素−開始部位における酵素のヌクレアーゼ活性を促進するために有効な条件下において、媒体を少なくとも選択された酵素と接触させ、第1テンプレート−プローブ複合体が過程(b)において形成されたときに第1プローブ鎖が分解され、第1レポーター種がプローブ集合体から放出される。
【請求項2】
生体分子のテンプレート種が試料中に被検体種を含み、第1レポーター種が、プローブ集合体から放出されたときに直接的又は間接的に検出されるように設計され、下記の過程(d)及び(e)をさらに含む請求項1記載の方法:
(d)放出される第1レポーター種を直接的又は間接的に検出する;
(e)第1レポーター種の直接的又は間接的検出に基づいて、試料中の被検体種の少なくとも存在又は濃度を測定する。
【請求項3】
第1レポーター種が、第1プローブ集合体から放出されたときに直接的に検出されるように設計される請求項2記載の方法。
【請求項4】
第1レポーター種が、少なくとも1つの検出可能なポリヌクレオチド配列又は検出可能な標識基を含む少なくとも1つの検出部分を含む請求項3記載の方法。
【請求項5】
第1レポーター種が、第1プローブ集合体から放出されたときに間接的に検出されるように設計される請求項2記載の方法。
【請求項6】
第1レポーター種が、第1レポーター種のテンプレート部分に対して結合親和性を有する第2プローブ集合体から第2レポーター種を少なくとも1つの第2の非PCR/テンプレート−誘導化/酵素活性化方式で放出させることに対する標的テンプレートとして作用するよう設計されたテンプレート部分を含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
第2レポーター種が、第2プローブ集合体から放出されたときに直接的に検出されるように設計される請求項6記載の方法。
【請求項8】
第1レポーター種が、第1プローブ集合体から放出されたときに間接的に検出されるような形態を有し、第2レポーター種が、第2レポーター種のテンプレート部分に対して結合親和性を有する第3プローブ集合体から第3レポーター種を少なくとも1つの第3の非PCR/テンプレート−誘導化/酵素活性化方式で放出させることに対する標的テンプレートとして作用するような形態を有するテンプレート部分を含む請求項6記載の方法。
【請求項9】
生体分子テンプレート種が少なくとも非ポリヌクレオチド部分を含み、第1プローブ集合体の捕獲ヌクレオチド配列がアプタマーを含み、選択的結合親和性が、アプタマーと少なくとも非ポリヌクレオチドとの結合相互作用を含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
生体分子のテンプレート種が少なくともポリヌクレオチド部分を含み、第1プローブ鎖の捕獲ヌクレオチド配列が、相補的ヌクレオチドのハイブリッド形成によってテンプレート種の標的部分に対して選択的結合親和性を付与する請求項1記載の方法。
【請求項11】
第1プローブ鎖と第1レポーター種が共直線性ポリヌクレオチド鎖を含み、該共直線性ポリヌクレオチド鎖の複数の部分が、テンプレート種の標的部分と結合せずに選択された酵素による分解から保護されるように自己ハイブリッド形成するような形態を有する請求項1記載の方法。
【請求項12】
下記の過程(a)〜(e)を含む、試料中の被検体であるポリヌクレオチドの検出方法:
(a)下記の要件(i)〜(iv)を満たす第1プローブ集合体を少なくとも1つ供給する:
(i)被検体の選択された標的ヌクレオチド部分に対して選択的なハイブリッド形成親和性を付与する捕獲ヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの第1ポリヌクレオチドプローブストランド;
(ii)プローブストランドの対応する結合部分とハイブリッド形成するように設計されたポリヌクレオチド配列を有する結合部分を含む少なくとも1つの第1レポーター鎖を含む;
(iii)第1プローブ集合体は、ポリヌクレオチド重複プローブ集合体を含むようにハイブリッド形成された少なくとも1つの第1プローブ鎖と少なくとも1つの第1レポーターを含む;
(iv)重複プローブ集合体は、プローブ鎖の全部又は一部を分解してプローブ集合体から第1レポーター鎖を放出させるのに十分なヌクレアーゼ活性を有する選択された酵素の作用を促進するのに適合した少なくとも1つの酵素−開始部位であって、捕獲ヌクレオチド配列が被検体の標的ヌクレオチド部分の全部又は一部とハイブリッド形成して重複被検体−プローブ複合体を形成するときに形成される該酵素−開始部位を有するように設計される;
(b)標的ヌクレオチド部分をプローブポリヌクレオチドの捕獲ヌクレオチド配列部分へ結合させることによって酵素−開始部位を有する第1被検体−プローブ複合体を形成させる反応を促進するために有効な条件下において、試料を少なくとも1つの第1プローブ集合体と接触させる;
(c)酵素−開始部位における酵素のヌクレアーゼ活性を促進するために有効な条件下において、試料を少なくとも選択された酵素と接触させ、第1被検体−プローブ複合体が過程(b)において形成されたときに第1プローブ鎖が分解され、第1レポーター鎖がプローブ集合体から放出される;
(d)放出されたレポーター鎖を直接的又は間接的に検出する;
(e)レポーター鎖の直接的又は間接的検出に基づいて、被検体の少なくとも存在又は濃度を測定する。
【請求項13】
下記の過程(a)〜(e)を含む、試料中の被検体であるポリヌクレオチドの検出方法:
(a)下記の要素(i)〜(iv)を含む第1プローブ集合体を少なくとも1つ供給する:
(i)基体;
(ii)隣接位の5’−末端ヌクレオチドと遠位の3’−末端ヌクレオチドを含む少なくとも1種のプローブポリヌクレオチドであって、該隣接位の5’−末端ヌクレオチドが基体に隣接して結合すると共に少なくとも1種のナノコードヌクレオチド配列部分及び被検体であるポリヌクレオチドの対応する標的ヌクレオチド配列に対して相補的なヌクレオチド配列を有する捕獲ヌクレオチド配列部分を含む該プローブポリヌクレオチド;
(iii)プローブポリヌクレオチドのナノコード配列に対して相補的はヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの第1レポーターポリヌクレオチドであって、ナノコード配列とハイブリッド形成することによってプローブポリヌクレオチドと重複部分を形成する該第1レポーターポリヌクレオチド;
(iv)捕獲ヌクレオチド配列部分と3’−末端ヌクレオチドが第1レポーターポリヌクレオチドの重複部分から遠位へ延びるように配置されたプローブポリヌクレオチド;
(b)被検体であるポリヌクレオチドの標的ヌクレオチド配列をプローブポリヌクレオチドの捕獲ヌクレオチド配列部分と結合させることによって、下記の成分(i)〜(iii)を含有する重複第1プローブ/被検体複合体を形成させるために有効な条件下において、第1プローブ集合体を被検体であるポリヌクレオチドを含有すると推定される試料と接触させる:
(i)第1プローブ集合体;
(ii)少なくとも1種のポリヌクレオチド被検体;
(iii)遠位へ延びて平滑な遠位の5’−末端(1)又は突出する遠位の5’−末端(2)を形成するポリヌクレオチド被検体;
(c)第1プローブ/被検体複合体を、二重鎖DNAへの特異的結合とその後のDNA重複部の3’−末端鎖の選択的加水分解を含む3’−対−5’エキソ−デオキシリボヌクレアーゼ活性を有するエキソヌクレアーゼと接触させる;
(d)エキソヌクレアーゼを第1プローブ/被検体複合体へ結合させるために有効であると共に、第1プローブ/被検体複合体の遠位の3’−末端鎖をエキソヌクレアーゼで加水分解させることによってポリヌクレオチド被検体と少なくとも第1レポーターポリヌクレオチドを第1の重複プローブ/被検体複合体から放出させるために有効な条件を維持する;
(e)エキソヌクレアーゼによる加水分解によって放出される少なくとも第1レポーターポリヌクレオチドの存在を検出することによって、試料中のポリヌクレオチド被検体の存在を測定する。
【請求項14】
下記の過程(f)〜(j)をさらに含む請求項13記載の方法:
(f)下記の要素(i)〜(iv)を含む第2プローブ集合体を少なくとも1つ供給する;
(i)第1プローブ集合体の場合と同一の基体(1)又は第1プローブ集合体の場合と異なる基体(2);
(ii)隣接位の5’−末端ヌクレオチドと遠位の3’−末端ヌクレオチドを含む少なくとも1つのプローブポリヌクレオチドであって、該隣接位の5’−末端ヌクレオチドが基体に隣接して結合すると共に少なくとも1つのナノコードヌクレオチド配列部分及び被検体であるポリヌクレオチドの対応する標的ヌクレオチド配列に対して相補的なヌクレオチド配列を有する捕獲ヌクレオチド配列部分を含む該プローブポリヌクレオチド;
(iii)プローブポリヌクレオチドのナノコード配列に対して相補的はヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの第2レポーターポリヌクレオチドであって、ナノコード配列とハイブリッド形成することによってプローブポリヌクレオチドと重複部分を形成する該第2レポーターポリヌクレオチド;
(iv)捕獲ヌクレオチド配列部分と3’−末端ヌクレオチドが第2レポーターポリヌクレオチドの重複部分から遠位へ延びるように配置されたプローブポリヌクレオチド;
(g)過程(d)においてポリヌクレオチド被検体を放出させた後、放出されたポリヌクレオチド被検体の標的ヌクレオチド配列を第2プローブ集合体のプローブポリヌクレオチドの捕獲ヌクレオチド配列部分と結合させることによって第2重複プローブ/被検体複合体を形成させるために有効な条件下において、過程(d)で放出されたポリヌクレオチド被検体を含有する試料を第2プローブ集合体と接触させる;
(h)第2プローブ/被検体複合体を、二重鎖DNAへの特異的結合とその後のDNA重複部の3’−末端鎖の選択的加水分解を含む3’−対−5’エキソ−デオキシリボヌクレアーゼ活性を有するエキソヌクレアーゼと接触させる;
(i)エキソヌクレアーゼを第2プローブ/被検体複合体へ結合させるために有効であると共に、第2プローブ/被検体複合体の遠位の3’−末端ストランドをエキソヌクレアーゼで加水分解させることによってポリヌクレオチド被検体と少なくとも第2レポーターポリヌクレオチドを第2重複プローブ/被検体複合体から放出させるために有効な条件を維持する;
(j)過程(e)の場合のように、第1重複プローブ/被検体複合体から放出された第1レポーターポリヌクレオチド及び第2重複プローブ/被検体複合体から放出された第2レポーターポリヌクレオチドの少なくとも両方の存在を検出することによって、試料中のポリヌクレオチド被検体の存在を測定する。
【請求項15】
下記の過程(k)及び(l)をさらに含む請求項14記載の方法:
(k)過程(d)の後に放出されたレポーターポリヌクレオチドの存在量に比べて、放出されたレポーターポリヌクレオチドの存在量が少なくとも約1桁増加するまで請求項2記載の過程(f)〜(i)の操作を反復することによって、増幅された量の放出レポーターポリヌクレオチドを存在させる;
(l)過程(e)の場合のように、増幅された量の放出レポーターポリヌクレオチドの存在を検出することによって、試料中のポリヌクレオチド被検体の存在を測定する。
【請求項16】
方法が、3’末端と5’末端が請求項13の定義とは逆転する下記の要件(a)〜(e)によって規定される鏡像法である請求項14記載の方法:
(a)基体は、プローブポリヌクレオチドの隣接位の3’末端に隣接して結合する。
(b)第1プローブ/被検体複合体の遠位の末端はポリヌクレオチド被検体を含み、該被検体は遠位へ延びて平滑な遠位の3’−末端(1)又は突出する遠位の3’−末端(2)を形成する。
(c)エキソヌクレアーゼは、二重鎖DNAと特異的に結合した後、DNA重複体の5’末端鎖の選択的加水分解を含む5’−対−3’エキソ−デオキシリボヌクレアーゼ活性を有する。
(d)この方法は、プローブ/被検体の5’末端ストランドを加水分解してポリヌクレオチド被検体と少なくとも第1レポーターポリヌクレオチドを放出するために有効な条件を維持することを含む。
(e)この方法は、エキソヌクレアーゼによる5’−対−3’加水分解によって放出されるレポーターポリヌクレオチドの存在を検出することによって、試料中のポリヌクレオチド被検体の存在を測定することを含む。
【請求項17】
過程(e)におけるレポーターポリヌクレオチドの検出を、下記の構成要素(a)及び(b)を具備する電子的センサーシステムの操作によって行う請求項13記載の方法:
(a)少なくとも1種の電気的特性を有する少なくとも1つのセンサープラットホームであって、下記の構成要素(i)〜(iv)を具備する該センサープラットホーム:
(i)基体、
(ii)該基体に隣接して配設された少なくとも1つの電極、
(iii)該基体に隣接して配設されると共に該電極と電気的に接続する少なくとも1つのナノ構造化素子、及び
(iv)ナノ構造化素子と機能的に連絡する少なくとも1つの検出プローブであって、レポーターポリヌクレオチドの対応するヌクレオチド配列に対して相補的な少なくとも1つのヌクレオチド配列を有すると共に、少なくとも第1レポーターポリヌクレオチドと結合するような構造を有する検出ポリヌクレオチドを含む該検出プローブ、並びに
(b)少なくとも1つの電極に接続されると共に、検出プローブと少なくともレポーターポリヌクレオチドとの結合に起因するセンサープラットホームの少なくとも1つの電気的特性の変化を測定するような構造を有する電子的測定用回路部品。
【請求項18】
過程(b)における第1プローブ/被検体複合体の形成後の下記の過程をさらに含む請求項13記載の方法:
(m)第1プローブ/被検体複合体から試料を分離させ、
(n)その後の過程を、試料とは異なる1種又は複数種の媒体中でおこなう。
【請求項19】
過程(n)における試料の分離後の下記の過程(o)をさらに含む請求項18記載の方法:
(o)過程(p)の前に、第1プローブ/被検体複合体をすすぐ。
【請求項20】
過程(a)における少なくとも1つの第1プローブ集合体を供給することが複数のプローブ集合体を供給することを含み、
(i)各々のプローブ集合体の基体が、(1)複数のプローブ集合体の別のプローブ集合体と共通の基体であるか、又は(2)複数のプローブ集合体の別のプローブ集合体の基体とは異なる基体であり、
(ii)複数のプローブ集合体が、試料中に存在する被検体であるポリヌクレオチド分子の実質的な量の分子が過程(b)の実施において結合して対応する複数のプローブ/被検体複合体を形成するために十分である。
【請求項21】
1よりも多い複数のプローブ集合体が共通の基体を含む請求項18記載の方法。
【請求項22】
基体が磁気ビーズを含有し、過程(m)において第1プローブ/被検体複合体から試料を分離させる過程が、該ビーズに磁気的な作用を及ぼすことを含む請求項18記載の方法。
【請求項23】
基体が荷電種を含む粒子を含有し、過程(m)において第1プローブ/被検体複合体から試料を分離させる過程が、該粒子に電気泳動的な作用を及ぼすことを含む請求項18記載の方法。
【請求項24】
基体が選択されたサイズを有する粒子を含有し、過程(m)において第1プローブ/被検体複合体から試料を分離させる過程が、試料から該粒子を濾過することを含む請求項18記載の方法。
【請求項25】
基体が表面を有し、過程(m)において第1プローブ/被検体複合体から試料を分離させる過程が、該表面に対して試料を流動させることを含む請求項18記載の方法。
【請求項26】
表面が微少量な液状収容物の少なくとも一部を含む請求項25記載の方法。
【請求項27】
第1プローブ集合体が、過程(d)で放出される複数のレポーターポリヌクレオチドを含む請求項13記載の方法。
【請求項28】
過程(c)の前に、試料を処理することによって、試料中に含まれるエキソヌクレアーゼを不活性化するか、又は該酵素を除去する過程をさらに含む請求項13記載の方法。
【請求項29】
試料中の複数の被検ポリヌクレオチド種を検出して区別する方法であって、下記の過程(a)〜(e)を含む該方法:
(a)請求項13に規定された第1プローブ集合体であって、第1型のレポーターポリヌクレオチド及び第1被検ポリヌクレオチド種に対して特異的な標的ヌクレオチド配列に対して相補的な捕獲ヌクレオチド配列を含む該第1プローブ集合体を供給し、
(b)請求項1に規定された第2プローブ集合体であって、第2型のレポーターポリヌクレオチド及び第2被検ポリヌクレオチド種に対して特異的な標的ヌクレオチド配列に対して相補的な捕獲ヌクレオチド配列を含む該第2プローブ集合体を少なくとも1つ供給し、
(c)請求項1記載の過程(b)〜(d)を実行することによって、第1被検体が存在するときには試料中の第1被検ポリヌクレオチド種の存在に応答して第1型のレポーターポリヌクレオチド種を放出させ、第2被検体が存在するときには試料中の第2被検ポリヌクレオチド種の存在に応答して第2型のレポーターポリヌクレオチド種を放出させ、
(d)エキソヌクレアーゼによる加水分解によって放出された第1型のレポーターポリヌクレオチドの存在を検出することにより、試料中の第1被検ポリヌクレオチドの存在を決定し、
(e)過程(d)における第1型のレポーターポリヌクレオチドの検出とは異なる検出であって、エキソヌクレアーゼによる加水分解によって放出された第2型のレポーターポリヌクレオチドの存在の検出により、試料中の第2被検ポリヌクレオチドの存在を決定する。
【請求項30】
過程(d)及び(e)におけるレポーターポリヌクレオチドの検出を、下記の構成要素1)〜3)を具備する電子的センサーシステムの操作によって行う請求項29記載の方法:
1)少なくとも1種の電気的特性を有する第1センサープラットホームであって、下記の構成要素(i)〜(iv)を具備する該第1センサープラットホーム:
(i)基体、
(ii)該基体に隣接して配設された少なくとも1つの電極、
(iii)該基体に隣接して配設されると共に該電極と電気的に接続する少なくとも1つのナノ構造化素子、及び
(iv)ナノ構造化素子と機能的に連絡する少なくとも1つの検出プローブであって、第1型のレポーターポリヌクレオチドの対応するヌクレオチド配列に対して相補的な少なくとも1つのヌクレオチド配列を有すると共に、少なくとも第1型のレポーターポリヌクレオチドと結合するような構造を有する第1型の検出ポリヌクレオチドを含む該検出プローブ;
2)少なくとも1種の電気的特性を有する第2センサープラットホームであって、下記の構成要素(i)〜(iv)を具備する該第2センサープラットホーム:
(i)基体であって、(1)第1センサープラットホームと共通の基体又は(2)第1センサープラットホームの基体とは異なる基体である該基体、
(ii)該基体に隣接して配設された少なくとも1つの電極、
(iii)該基体に隣接して配設されると共に該電極と電気的に接続する少なくとも1つのナノ構造化素子、及び
(iv)ナノ構造化素子と機能的に連絡する少なくとも1つの検出プローブであって、第1型のレポーターポリヌクレオチドの対応するヌクレオチド配列に対して相補的な少なくとも1つのヌクレオチド配列を有すると共に、少なくとも第1型のレポーターポリヌクレオチドと結合するような構造を有する第1型の検出ポリヌクレオチドを含む該検出プローブ;
3)第1センサープラットホームと第2センサープラットホームの少なくとも1つの電極に接続されると共に、下記の機能(i)及び(ii)を有するような構造を有する電子的測定用回路部品:
(i)検出プローブと少なくとも第1型のレポーターポリヌクレオチドとの結合に起因する第1センサープラットホームの少なくとも1つの電気的特性の変化の少なくとも第1測定を行う;
(ii)該第1測定とは異なる第2測定であって、検出プローブと少なくとも第2型のレポーターポリヌクレオチドとの結合に起因する第2センサープラットホームの少なくとも1つの電気的特性の変化の第2測定を少なくとも行う。
【請求項31】
試料中の複数の被検ポリヌクレオチド種を検出して区別する方法であって、下記の過程(a)〜(e)を含む該方法:
(a)請求項16に規定された第1プローブ集合体であって、第1型のレポーターポリヌクレオチド及び第1被検ポリヌクレオチド種に対して特異的な標的ヌクレオチド配列に対して相補的な捕獲ヌクレオチド配列を含む該第1プローブ集合体を供給し、
(b)請求項4に規定された第2プローブ集合体であって、第2型のレポーターポリヌクレオチド及び第2被検ポリヌクレオチド種に対して特異的な標的ヌクレオチド配列に対して相補的な捕獲ヌクレオチド配列を含む該第2プローブ集合体を少なくとも1つ供給し、
(c)請求項4記載の過程(b)〜(d)を実行することによって、試料中の第1被検ポリヌクレオチド種の存在に応答して第1型のレポーターポリヌクレオチド種を放出させ、試料中の第2被検ポリヌクレオチド種の存在に応答して第2型のレポーターポリヌクレオチド種を放出させ、
(d)エキソヌクレアーゼによる加水分解によって放出された第1型のレポーターポリヌクレオチドの存在を検出することにより、試料中の第1被検ポリヌクレオチドの存在を決定し、
(e)過程(d)における第1型のレポーターポリヌクレオチドの検出とは異なる検出であって、エキソヌクレアーゼによる加水分解によって放出された第2型のレポーターポリヌクレオチドの存在の検出により、試料中の第2被検ポリヌクレオチドの存在を決定する。
【請求項32】
過程(d)及び(e)におけるレポーターポリヌクレオチドの検出を、下記の構成要素1)〜3)を具備する電子的センサーシステムの操作によって行う請求項31記載の方法:
(A)少なくとも1種の電気的特性を有する第1センサープラットホームであって、下記の構成要素(i)〜(iv)を具備する該第1センサープラットホーム:
(i)基体、
(ii)該基体に隣接して配設された少なくとも1つの電極、
(iii)該基体に隣接して配設されると共に該電極と電気的に接続する少なくとも1つのナノ構造化素子、及び
(iv)ナノ構造化素子と機能的に連絡する少なくとも1つの検出プローブであって、第1型のレポーターポリヌクレオチドの対応するヌクレオチド配列に対して相補的な少なくとも1つのヌクレオチド配列を有すると共に、少なくとも第1型のレポーターポリヌクレオチドと結合するような構造を有する第1型の検出ポリヌクレオチドを含む該検出プローブ;
2)少なくとも1種の電気的特性を有する第2センサープラットホームであって、下記の構成要素(i)〜(iv)を具備する該第2センサープラットホーム:
(i)基体であって、(1)第1センサープラットホームと共通の基体又は(2)第1センサープラットホームの基体とは異なる基体である該基体、
(ii)該基体に隣接して配設された少なくとも1つの電極、
(iii)該基体に隣接して配設されると共に該電極と電気的に接続する少なくとも1つのナノ構造化素子、及び
(iv)ナノ構造化素子と機能的に連絡する少なくとも1つの検出プローブであって、第1型のレポーターポリヌクレオチドの対応するヌクレオチド配列に対して相補的な少なくとも1つのヌクレオチド配列を有すると共に、少なくとも第1型のレポーターポリヌクレオチドと結合するような構造を有する第1型の検出ポリヌクレオチドを含む該検出プローブ;
3)第1センサープラットホームと第2センサープラットホームの少なくとも1つの電極に接続されると共に、下記の機能(i)及び(ii)を有するような構造を有する電子的測定用回路部品:
(i)検出プローブと少なくとも第1型のレポーターポリヌクレオチドとの結合に起因する第1センサープラットホームの少なくとも1つの電気的特性の変化の少なくとも第1測定を行う;
(ii)該第1測定とは異なる第2測定であって、検出プローブと少なくとも第2型のレポーターポリヌクレオチドとの結合に起因する第2センサープラットホームの少なくとも1つの電気的特性の変化の第2測定を少なくとも行う。
【請求項33】
試料中の被検ポリヌクレオチドの存在に応答することによって代表的な標的オリゴヌクレオチドを増幅して検出する方法であって、下記の過程(a)〜(e)を含む該方法:
(a)被検ポリヌクレオチドの第1標的配列部分とハイブリッド形成するような構造を有すると共に、第1の代表的な標的オリゴヌクレオチド種を含む第1の重複オリゴヌクレオチドアンプリファイア集合体を少なくとも1つ供給し、
(b)被検ポリヌクレオチドの第2標的配列部分とハイブリッド形成するような構造を有すると共に、第2の代表的な標的オリゴヌクレオチド種を含む第2の重複オリゴヌクレオチドアンプリファイア集合体を少なくとも1つ供給し、
(c)配列のハイブリッド形成を促進するために有効な条件下において、第1アンプリファイア集合体と第2アンプリファイア集合体を被検ポリヌクレオチドと接触させることによって、第1アンプリファイア集合体及び第2アンプリファイア集合体の少なくとも一部分をそれぞれ被検ポリヌクレオチドの第1標的配列部分及び第2標的配列部分とハイブリッド形成させることにより、少なくとも1つのアンプリファイア/被検体複合体を形成させ、
(d)ヌクレアーゼ活性を促進するために有効な条件下において、ヌクレアーゼを用いて少なくとも1つのアンプリファイア/被検体複合体を処理することによって、第1及び第2の代表的な標的オリグヌクレオチド種の少なくとも1つを、対応するアンプリファイア集合体とアンプリファイア/被検体複合体から放出させ、
(e)少なくとも放出された代表的な標的オリゴヌクレオチソ種の存在を検出することによって、試料中の被検ポリヌクレオチドの存在を決定する。
【請求項34】
下記の特徴1)及び2)を有する請求項33記載の方法:
1)過程(a)における第1アンプリファイアポリヌクレオチド集合体が下記の構成要素(i)及び(ii)を含む:
(i)隣接する5’−末端ヌクレオチドと遠位の3’−末端ヌクレオチドを含む少なくとも1つの第1アンプリファイアポリヌクレオチドであって、a)被検ポリヌクレオチドの対応する標的配列部分(B)に対して相補的な少なくとも1つの遠位の捕獲配列部分(B’)、及びb)該捕獲配列部分(B’)とは異なる隣接する捕獲配列部分(A’)であって、被検ポリヌクレオチドの対応する標的配列部分(A)に対して相補的な少なくとも1つの該隣接捕獲配列部分を含む少なくとも1つの該第1アンプリファイアポリヌクレオチド、及び
(ii)隣接する3’−末端ヌクレオチドと遠位の5’−末端ヌクレオチドを含む第1コンパニオンポリヌクレオチドであって、第1アンプリファイアポリヌクレオチドの隣接捕獲配列部分(A’)に対して相補的であると共に該隣接捕獲部分とハイブリッド形成する少なくとも1つの標的配列部分(A'')を含む少なくとも1つの該第1コンパニオンポリヌクレオチド;
2)過程(b)における第2アンプリファイア集合体が下記の構成要素(i)及び(ii)を含む:
(i)隣接する5’−末端ヌクレオチドと遠位の3’−末端ヌクレオチドを含む第2アンプリファイアポリヌクレオチドであって、a)第1アンプリファイアポリヌクレオチドの捕獲配列部分(A’)の配列を実質的に有する少なくとも1つの遠位の捕獲配列部分、及びb)該遠位の捕獲配列部分とは異なる隣接する捕獲配列部分であって、第1アンプリファイアポリヌクレオチドの捕獲配列部分を実質的に含む該隣接捕獲配列部分を含む少なくとも1つの該第2アンプリファイアポリヌクレオチド、及び
(ii)隣接する3’−末端ヌクレオチドと遠位の5’−末端ヌクレオチドを含む第2コンパニオンポリヌクレオチドであって、第2アンプリファイアポリヌクレオチドの隣接捕獲配列部分に対して相補的であると共に該隣接捕獲部分とハイブリッド形成する少なくとも1つの標的配列部分(B'')を含む少なくとも1つの該第2コンパニオンポリヌクレオチド。
【請求項35】
試料中の複数の被検ポリヌクレオチド種を検出して区別するためのアレイシステムであって、下記の構成要素(a)〜(d)を具備する該アレイシステム:
(a)レポータープローブ及び/又はアンプリファイアと1種又は複数種の被検体種を含有すると推定される試料とを反応させるために適合した構造を有する反応セル、
(b)レポーター及び/又は合成標的の少なくとも1つを精製するために、該反応セル又は別のセルの内部に配設された少なくとも1つの精製機構、
(c)本願明細書に記載のナノ電子センサーのアレイ又はマトリックスであって、各々のセンサーが、複数の被検体から選択された1種を代表するレポーター又は合成標的に感知する認識材料(例えば、オリゴヌクレオチド相補的オリゴヌクレオチドを含有する検出プローブ)を含む該アレイ又はマトリックス。
(d)試料中に複数の被検体が存在すると推定されたとしても、各々のセンサーに対して得られる信号から測定を行うような構造を有する測定用回路部品。
【請求項36】
試料中の被検体を検出する方法であって、下記の過程(a)〜(e)を含む該方法:
(a)選択されたヌクレアーゼを供給し、
(b)被検体の標的部分へ結合するように適合した捕獲オリゴヌクレオチド配列及び被検体を代表するレポーターオリゴヌクレオチド配列を含むプローブ集合体を少なくとも1つ供給し(この場合、レポーターオリゴヌクレオチド配列と捕獲オリゴヌクレオチド配列が二重鎖部分を有する重複形態で供給され、該重複形態が単離においてヌクレアーゼへ提供されたときにヌクレアーゼによる分解に対して比較的高い耐性を示すような構造を有し、また、該重複形態が、捕獲オリゴヌクレオチド配列が被検体の標的部分へ結合して被検体/プローブ複合体を形成する形態中においてヌクレアーゼへ提供されたときにヌクレアーゼによる分解作用を比較的受けやすい構造を有し、さらに、ヌクレアーゼによる分解は、被検体/プローブ複合体から少なくともレポーターオリゴヌクレオチド配列が放出されるように十分に行われる)、
(c)被検体の標的部分への捕獲オリゴヌクレオチド配列の結合を促進するために有効な条件下において、プローブ集合体を被検体と接触させることによって、被検体/プローブ複合体を形成させ、
(d)ヌクレアーゼの活性を促進させるために有効な条件下において、被検体/プローブ複合体を被検体とヌクレアーゼと接触させることによって、プローブ集合体の二重鎖部分を分解させ、これによって、被検体/プローブ複合体から少なくともレポーターオリゴヌクレオチド配列を放出させ、
(e)少なくとも放出されたレポーターオリゴヌクレオチド配列の存在を検出することによって、試料中の被検体の存在を測定する。
【請求項37】
被検体がポリヌクレオチドを含有し、捕獲配列が、被検体の対応する標的配列に対して相補的な配列を含む請求項36記載の方法。
【請求項38】
被検体が非ヌクレオチド生体分子を含有し、捕獲配列が、被検体の標的部分に対して特異的な結合能を有するアプタマーを含み、生体分子へアダプターを結合させる過程には、プローブ集合体の二重鎖部分をヌクレアーゼによる分解作用に付すことによって、被検体/プローブ複合体から少なくともレポーターオリゴヌクレオチドを放出させるようにアプタマーを変化させることが含まれる請求項36記載の方法。

【図1C(ii)】
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【図1D(i)】
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【図1D(ii)】
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【図1E】
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【図1F(i)】
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【図1F(ii)】
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【図1F(iii)】
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【図1G(i)】
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【図1G(ii)】
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【図1H】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図10−3】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【公表番号】特表2009−532064(P2009−532064A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504284(P2009−504284)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/008422
【国際公開番号】WO2007/114931
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(504468470)ナノミックス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】