説明

被検体情報取得装置

【課題】簡素な送信回路構成を持つ被検体情報取得装置での弾性波ビーム走査において、送信アポダイゼーションを適用して画質を向上させる。
【解決手段】複数のトランスデューサ素子と、トランスデューサ素子から駆動パルスのパルス幅および振幅に応じた弾性波を発生させる複数のパルサと、送信開口のトランスデューサ素子を選択してパルサと接続するスイッチと、パルサブロックごとに駆動パルスの振幅を決定し、パルサごとに駆動パルスのパルス幅および送信タイミングを決定するパルス制御手段と、送信開口で形成された弾性波ビームの反射波から被検体の画像を生成する画像処理手段を有し、制御手段は、駆動パルスの振幅に応じて駆動パルスの幅と振幅を決定する被検体情報取得装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、非侵襲に被検体内部の情報を画像化して得るために医療分野で広く用いられている。一般に超音波診断装置は、超音波を被検体に送信し、被検体内部で反射された超音波エコー波を受信して演算を行うことで、被検体内部の2次元画像や3次元画像を形成する。
【0003】
超音波診断装置は、複数のトランスデューサ素子からなるトランスデューサ配列(アレイ)を有する超音波プローブと、複数のトランスデューサ素子それぞれを駆動させるための駆動信号を形成するパルス発生器(以下パルサと称する)とを備える。パルサで生成された駆動信号は、それぞれのトランスデューサ素子に送られる。駆動信号により駆動されたそれぞれのトランスデューサ素子は、超音波を発生させて被検体に送信する。複数のトランスデューサ素子で発生された超音波が合成されて、超音波送信ビームを形成する。
【0004】
超音波を発生させるトランスデューサ素子の駆動には数十〜百V程度の高電圧の駆動信号が必要となる。そのため超音波診断装置には、パルサで発生する高電圧を高精度に制御可能な高価な回路が必要となる。このため近年では、複数のパルサの出力電圧を同一の出力制御回路で制御し、回路の小型化を図ることが行われている。
【0005】
一方、超音波送信ビームにサイドローブやグレーティングローブが含まれると超音波画像の画質を劣化させるため、これらを抑制することが必要である。サイドローブとグレーティングローブを減らす方法として、駆動信号のパワー波形を制御するアポダイゼーション法が広く用いられている。しかしながら上記のようにパルサ出力電圧制御が高価であるため、このアポダイゼーションはパルサを制御するパルサ制御信号のパルス幅を変調するパルス幅変調(PWM)を用いても行うことができる。
PWM法を用いる場合、駆動信号のパワーを調節できる段階の数は送信制御クロックと送信周波数により決まる。送信制御クロックが低く送信周波数が高い場合には、パワーの段階数は少なくなる。
【0006】
特許文献1(特開2010−162351号公報)には、互いに異なる電圧で動作する多重パルサを備える超音波システムが記載されている。この超音波システムでは、パルサ制御信号に応じて、パルス幅の制御と同時に多重パルサを用いた制御を行うことにより、駆動信号のパワー調節の段階数を増やしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−162351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1のように多重のパルサを用いると、パルサの数が増加して回路が複雑化してしまう。パルサの駆動の際にパルス幅と印加電圧の両方の制御を行うことで、パルサの数を増加させずに特許文献1と同様の効果を得ることができる。しかし、その場合には個々のパルサで、高電圧を独立に制御する必要があるため、多数の高電圧制御回路が必要となり、回路の複雑化は避けられない。特に近年行われているように複数パルサ
を同一の出力制御回路で行い回路の小型化を図る構成には適用できない。さらに回路規模の増大や、高電圧に適用できる高品質な部品の使用によるコスト増大の原因になりかねない。
【0009】
また複数パルサの同一出力制御を行う構成では、超音波送信ビームをリニア走査する際に、以下のような課題を有する。なお超音波ビームは、弾性波ビームとも呼べる。
図1Aにトランスデューサ配列の構成を示す。1は超音波プローブ内に配置された複数のトランスデューサ素子からなるトランスデューサ配列(アレイ)であり、20は超音波送信ビームである。超音波送信ビーム20は、トランスデューサ配列から選択された一部のトランスデューサ素子からなる、送信開口21より送信される。送信開口21に用いるトランスデューサ素子の選択を順次変えていくことで、超音波送信ビーム20を配列方向へ走査できる。具体的には、送信チャネルとトランスデューサチャネルの接続をスイッチングで切り替えることで、超音波送信ビーム20を走査する。
【0010】
この接続切り替えは通常、走査時に切り替えるスイッチの数が少なくなるように、以下のような、巡回的なバレルシフト方式で行われる。
図1Bの符号(i)〜(iv)は、超音波送信ビームのリニア走査に伴う送信チャネル22とトランスデューサチャネル23の接続の変更を模式的に示す図である。送信パルサのパルサ数をM個(Mチャネル)、トランスデューサ配列のトランスデューサ数をN個(Nチャネル)とする。
【0011】
(i)は送信開口がトランスデューサ配列の端に位置する場合であり、送信チャネル1〜Mが、トランスデューサチャネル1〜Mに対応して接続されている。続いて、(i)から(ii)に超音波送信ビームを走査する際には、送信チャネル1を、トランスデューサチャネル(M+1)に接続し直す。同様に、(ii)から(iii)に走査する際には、送信チャネル2を、トランスデューサチャネル(M+2)に接続しなおす。このように、送信開口を構成する最小の番号の側の端のトランスデューサチャネルに接続されている送信チャネルを、最大の番号のトランスデューサチャネルの次のトランスデューサチャネルへ接続し直す。その結果、トランスデューサ配列のチャネル数が増大する方向へ超音波送信ビームを走査できる。
なお、逆方向に走査する場合は逆順に接続を変えていく。すなわち、トランスデューサ配列のチャネル数が減少する方向に走査する場合、送信開口を構成する最大の番号の側の端のトランスデューサチャネルに接続されている送信チャネルを、最小の番号より1つ少ない番号のトランスデューサチャネルに接続する。
【0012】
このようにバレルシフト方式で接続を切り替えれば、走査時の1ステップに切り替えるチャネルの数が送信チャネルのうち1チャネル分だけで済むので、走査に伴う切り替えスイッチ動作が簡便に高速に行える。
【0013】
バレルシフト方式においては、送信開口の物理的な位置に対応する送信チャネルは、送信ビーム走査に伴って循環的に変化していく。その結果、送信チャネルを個別に見ると、その送信チャネルに適用されるパルサ制御の内容は1ステップごとに変化する。したがって、超音波送信ビームのアポダイゼーションを行うためのパルサ制御も順次変更していく必要がある。そのためには個別パルサ出力制御を送信ビーム走査に伴って高速で切り替える必要があり、複雑で高価な回路構成が必要となる。特に近年行われているような、複数パルサを同一の出力制御回路で制御して回路の小型化を図る構成には適用できないという課題を有していた。
【0014】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、簡素な送信回路構成を持つ被検体情報取得装置での弾性波ビーム走査において、送信アポダイゼーションを適用
して画質を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は以下の構成を採用する。すなわち、複数のトランスデューサ素子を含むトランスデューサ配列と、前記トランスデューサ素子に駆動パルスを送信して、当該駆動パルスのパルス幅およびパルス振幅に応じた強度の弾性波を発生させる複数のパルサと、前記トランスデューサ配列から、弾性波ビームを形成する送信開口に含まれるトランスデューサ素子を選択して前記複数のパルサの送信チャネルと接続するスイッチと、前記複数のパルサに対して、所定数のパルサを含むパルサブロックごとに、前記駆動パルスのパルス振幅を決定するパルス出力制御信号を与え、かつ、パルサごとに、前記駆動パルスのパルス幅および送信タイミングを決定するパルス波形タイミング制御信号を与えることにより、前記複数のパルサのそれぞれから、前記送信開口に含まれるトランスデューサ素子に対して、強度およびタイミングが制御された弾性波を発生させるような駆動パルスを送信させて、アポダイゼーションのかかった弾性波ビームを形成する制御手段と、前記弾性波ビームが被検体内部で反射した反射波に基づいて、被検体情報を取得する処理手段と、を有し、前記制御手段は、前記パルサブロックに与える前記パルス出力制御信号に応じて、当該パルサブロックに含まれるパルサに与えるパルス波形タイミング制御信号を決定することを特徴とする被検体情報取得装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡素な送信回路構成を持つ被検体情報取得装置での弾性波ビーム走査において、送信アポダイゼーションを適用して画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】トランスデューサ配列と超音波ビームを示す図。
【図1B】送信開口の走査を説明する図。
【図2】送信チャネルとトランスデューサチャネルの接続スイッチを示す図。
【図3】アポダイゼーション曲線を示す図。
【図4】パルサ出力制御値およびパルス幅と、超音波送信振幅との関係を示す図。
【図5】パルサ出力制御値とパルス幅設定値の組み合わせを示す図。
【図6】パルサ出力制御値およびパルス幅と、超音波送信振幅との関係を示す別の図。
【図7】超音波装置の構成を示す図。
【図8】送信手段の構成を示す図。
【図9】送信フォーカスを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状及びそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0019】
以下の記載においては、本発明の超音波装置の例として、超音波診断装置について説明する。本発明の超音波装置は、被検体に超音波を送信し、被検体内部で反射した反射波(超音波エコー波)を受信して、被検体情報を画像データや数値データとして取得する超音波エコー技術を利用した装置である。取得される被検体情報とは、被検体内部の組織の音響インピーダンスの違いを反映した情報である。従って本発明の超音波装置は、被検体情報取得装置であるとも言える。
本発明でいう超音波とは、一種の弾性波であり、音波、超音波、音響波などと呼ばれる。
【0020】
図2を用いて、送信用パルサとトランスデューサ配列(アレイ)との接続関係を説明する。送信用のパルサは、複数個(本図での所定数は4つ)集まってパルサブロック10を構成している。同じパルサブロック10に含まれる複数のパルサに対して同一の出力制御を行うことで、回路の小型化が図られている。ここで言う出力制御とは、トランスデューサ素子から発生する超音波の強度を所望の値とするために、パルサからトランスデューサ素子に送信される駆動パルスを制御することを言い、例えばパルサに印加する電圧やパルサに流す電流の制御により行われる。
各パルサからの出力が各々送信チャネルとなり、全体でM個の送信チャネルを形成する。一方、N個のトランスデューサからなるトランスデューサ配列は、Nチャネルのトランスデューサチャネルを形成する。各送信チャネルは複数のトランスデューサチャネルとスイッチ回路2を介して接続されている。スイッチの接続を順次切り替えることで、図1Bに示したような超音波ビーム(弾性波ビーム)の走査、すなわち送信開口の移動が行われる。スイッチ接続の順次切り替えにおいては、送信開口の一方の端に位置するトランスデューサ素子に接続されていたチャネルが、他方の端に位置するトランスデューサ素子に隣接するトランスデューサ素子に接続し直される。
【0021】
図3にアポダイゼーション曲線の例を示す。図3のアポダイゼーション曲線において、横軸は送信開口における各送信チャネルの番号を示しており、図1Bの(i)〜(iv)に対応した4通りの送信チャネルの順列に対応する。縦軸は各送信開口における個々のトランスデューサ素子からの送信超音波振幅の大きさを示す。ここでは説明を簡単にするために、送信開口に対して対称型のアポダイゼーションを行う例を示したが、本発明が適用されるのはこれに限られない。
【0022】
送信アポダイゼーションを行う場合、M個の送信チャネルの各々からの送信超音波振幅をアポダイゼーション曲線に一致させつつ、超音波ビーム走査が行われるように制御する。すなわち、トランスデューサチャネルと送信チャネルの接続をバレルシフト方式で順次切り替えて送信開口を移動させる際に、各送信チャネルからの送信超音波振幅の大きさを送信開口位置に応じて変更することにより、アポダイゼーションの効果が得られる。
説明を簡単にするため、図3には、送信開口両端部に相当する各々8つの送信チャネル(横軸)と、それらの送信チャネルで取り得る送信超音波振幅A1〜A8(縦軸)の対応のみを示した。ただし、具体的にチャネル番号を記載していないアポダイゼーション曲線の中央部分にも、両端部と同様に振幅が割り当てられている。
【0023】
トランスデューサ配列上の送信開口がトランスデューサチャネル1側の端に位置する送信開口位置(i)では、図1Bに示したように、トランスデューサの1〜Mチャネルと送信の1〜Mチャネルが一致する。この場合には、送信チャネル1〜8に送信超音波振幅A1〜A8を、送信チャネルM−7〜Mに送信超音波振幅A8〜A1を対応させる。不図示の他の送信チャネル9〜M−8に関しても、アポダイゼーション曲線の大きさに応じた送信超音波振幅を対応させればよい。
送信開口位置(ii)では、送信チャネル2〜9に送信超音波振幅A1〜A8を対応させる。そして、送信チャネルM−6〜Mに送信超音波振幅A8〜A2を、送信チャネル1に送信超音波振幅A1を対応させる。
同様に送信開口位置(iii)以降でも、各送信チャネルにバレルシフト方式によってずらした送信超音波振幅を対応させて送信を行えばよい。
【0024】
本発明ではアポダイゼーションを行うために、各トランスデューサからの送信超音波振幅を、パルサのパルス幅制御と出力制御を組み合わせることで制御する。所望の送信超音波振幅を得るために、各パルサにパルス波形タイミング制御を行うことによりパルス幅を制御する。同時にパルサブロック10を構成する4つのパルサに対して、同一の駆動電圧
を印加するか、あるいは駆動電流を流して出力制御を行う。
【0025】
図4に、パルサへのパルス幅制御値および出力制御値に対する、トランスデューサからの送信超音波振幅の関係の例を示す。ここでは出力制御値をC1、C2、C3の3段階として、それぞれの出力制御値ごとに、出力制御値とパルス幅の組み合わせが指し示す送信超音波振幅を示した。なお、パルス幅と対応する送信超音波振幅の関係は、使用するトランスデューサ素子やパルサの周波数特性によって決定される。
【0026】
例えばA1〜A4の送信超音波振幅を得るためには、パルサ出力制御値C1でパルス幅をそれぞれP1〜P4として与えればよい。またA5〜A8の送信超音波振幅を得るためには、パルサ出力制御値C2でパルス幅をそれぞれP5〜P8として与えればよい。
一方でA2〜A4の送信超音波振幅を得るために、パルサ出力制御値C2でパルス幅をそれぞれQ2〜Q4として与えてもよい。また、A6〜A8の送信超音波振幅を得るために、パルサ出力制御値C3でパルス幅をそれぞれQ6〜Q8としてもよい。このように、異なるパルサ出力制御値に対して同じ送信超音波振幅を与える、二通りのパルス幅の系列を得ることができる。このように、パルサ出力制御値とパルス幅により、超音波の強度を複数の段階から調節できる。
【0027】
以下に、本発明の特徴であるパルス出力制御とパルス幅制御の方法について説明する。
図5に、パルサ出力制御とパルス幅制御を用いてアポダイゼーションを達成するための、パルサ出力制御値とパルス幅設定値の組み合わせの表を示す。ここでは煩雑さを避けるため、図3のアポダイゼーション曲線における送信超音波振幅A1〜A8を得るための組み合わせのみを記載する。
【0028】
まず、送信開口位置(i)について検討する。
送信チャネル1〜4を構成するパルサブロック(#1)に対し、パルサ出力制御値C1で出力制御を行う。このとき送信チャネル1〜4には、それぞれP1〜P4のパルス幅で送信チャネルの駆動パルスを生成する。
また送信チャネル5〜8を構成するパルサブロック(#2)に対し、パルサ出力制御値C2で出力制御を行う。このとき送信チャネル5〜8には、それぞれP5〜P8のパルス幅で送信チャネルの駆動パルスを生成する。
【0029】
このように、出力制御に関してはパルサブロックごとにパルス出力制御値を決定し、パルス幅制御に関してはパルサごとに駆動パルス幅を決定する。その結果、送信チャネル1〜8へ所望の駆動パルスが送信される。送信チャネル1〜8は各々トランスデューサチャネル1〜8に接続されているため、トランスデューサ配列上の送信開口のトランスデューサチャネル1〜8の素子から、振幅A1〜A8の超音波が送信される。トランスデューサ配列の9チャネル以降に関しても同様に制御を行えば、トランスデューサ配列上の送信開口で、アポダイゼーション曲線に応じた振幅を持つ超音波が送信できる。
【0030】
次に、送信開口位置(ii)について検討する。
バレルシフト方式の接続スイッチの切り替えにより、送信チャネル1とトランスデューサチャネル(M+1)が接続され、送信チャネル2〜Mは、トランスデューサチャネル2〜Mに接続されている。
送信チャネル1〜4を構成するパルサブロック(#1)に対し、パルサ出力制御値C1で出力制御を行う。パルサブロック(#1)のうち、送信チャネル2〜4に関しては、バレルシフト方式のシフトに従って、パルス幅P1〜P3で駆動パルスを生成する。これにより、送信開口位置(i)より1チャネル分ずれたトランスデューサチャネル2〜4から振幅A1〜A3の超音波が送信される。
【0031】
一方、送信チャネル1は、バレルシフトの巡回的な動作によってトランスデューサチャネル(M+1)に接続されている。よって送信チャネル1には、送信開口位置(i)における送信チャネルMでの振幅に相当する超音波を送信させる。アポダイゼーション曲線が左右対称な場合には、この振幅は送信開口位置(i)における送信チャネル1での送信超音波振幅A1と同等である。そこで、送信チャネル1が付属するパルサブロックにパルサ出力制御値C1が与えられた時には、パルス幅P1で駆動波形を生成すればよい。
【0032】
送信チャネル5〜8を構成するパルサブロック(#2)に対しては、パルサ出力制御値C2で出力制御を行う。パルサブロック(#2)のうち、送信チャネル6〜8に関しては、バレルシフト方式のシフトに従って、P5〜P7のパルス幅でそれぞれの送信チャネルの駆動パルスを生成する。これにより、送信開口位置(i)より1チャネル分ずれたトランスデューサチャネル6〜8から送信超音波振幅A5〜A7をもつ超音波が送信される。
【0033】
一方、送信チャネル5は、バレルシフト方式の巡回的な動作によって送信超音波振幅A4に対応している。ここで、図4を用いて説明したように、振幅A4の超音波を発生させる駆動波形を生成するようなパルサ出力制御値とパルス幅の組み合わせには、二系統がある。すなわち、パルサ出力制御値C1に対してはパルス幅P4を、パルサ出力制御値C2に対してはパルス幅Q4を用いることで、いずれも振幅A4の超音波送信ができる。そこで、パルサ出力制御値がC2であることから、パルス幅Q4の駆動波形を発生させる。これにより、送信チャネル5から、振幅A4の超音波が送信される。
【0034】
送信チャネル9に関しても同様に、出力制御とパルス幅制御の組み合わせにより駆動パルスを生成する。送信開口位置(ii)では、振幅A8の超音波を送信する送信チャネル9は、トランスデューサチャネル9に接続されている。送信チャネル9が含まれるパルサブロック(#3)はパルサ出力制御値としてC3を適用するので、振幅A8を実現するためには、パルス幅Q8の駆動パルスを生成させればよい。
【0035】
以上のようにパルサブロックに与えるパルサ出力制御値と各バルサに与える駆動パルス幅を決定することにより、チャネル2〜(M+1)チャネルに配置された送信開口において、アポダイゼーション曲線に沿った超音波ビーム送信が実行できる。
【0036】
このように、送信開口位置(i)から送信開口位置(ii)へバレルシフト方式でパルサの駆動条件をシフトしていく際に、パルサ出力制御値が異なるパルサブロックをまたいでシフトを行う送信チャネルが存在する。かかる送信チャネルについては、異なるパルサ出力制御値に対して同じ送信超音波振幅を与えるような、二通りのパルス幅の系列を活用してパルス幅を設定する。これにより、アポダイゼーション曲線に沿った送信超音波振幅の分布を保ったまま、送信開口のシフトが行える。
【0037】
ここでは、パルサブロック(#1、#2)が異なる値のパルサ出力制御値(C1、C2)で制御される例を示した。しかし、送信開口走査を伴うシフトの前後で同一のパルサ出力制御値をとる場合には、シフト前のパルス幅をバレルシフト方式でシフトさせた後でも適用すればよい。
【0038】
以下、送信開口位置(iii)、送信開口位置(iv)の場合にも同様に、パルサブロックをまたいでシフトを行う送信チャネルについては、異なるパルサ出力制御値に対して同じ送信超音波振幅を与えるパルス幅を用いてパルスを制御すれば良い。
【0039】
送信開口走査が送信開口位置(v)に達する場合には、パルサブロックごとについての出力制御値をシフトする。これにより、送信開口に対するアポダイゼーションを保持して超音波ビーム送信することができる。図5に示したように、送信開口位置(v)では送信
開口位置(i)に比べ、1パルサブロック分、すなわち4送信チャネル分のバレルシフトが行われている。よって、1パルサブロック分ずらしたパルサ出力制御値とパルス幅の組み合わせで駆動パルスを生成すればよい。
【0040】
これ以降の送信開口位置に関しても、4送信チャネル分、すなわち1パルサブロック分のシフトごとにパルサ出力制御値とパルス幅の組み合わせを同時にずらして、パルス幅とパルサ出力制御値を設定しておけばよい。
一方、4送信チャネル未満のシフトでは、シフトにより隣接するパルサブロックを超える送信チャネルが発生し、そのときパルサ出力制御値が変わる可能性がある。その場合、上で述べたように、同じ送信超音波振幅を与える二通りのパルス幅の系列を用いてパルサ幅の値を設定する。
【0041】
図6に、上記の例とは異なる特性を持つトランスデューサの送信超音波振幅制御に関する図を記載する。本図に見られるように、パルサ出力制御値はC1(=C2)と、C3の二種類である。この場合であっても、パルサ出力制御値C1=C2とすることにより、図5の表をそのまま適用できる。そのとき、Q2=P2、Q3=P3、Q4=P4、となる。この場合、隣接するパルサブロック(#1、#2)が同じパルサ出力制御値の場合にも実質的にパルス幅を変更せずに送信チャネルに対してバレルシフトを行うことになる。また異なるパルサ出力制御値をもつパルサブロック(#2、#3)間で送信開口走査に伴うシフトがあり、送信チャネルがパルサブロックをまたがる場合、P8からQ8へ、P7からQ7へ、P6からQ6へと実質的に順次パルス幅が変更されていく。
【0042】
このように、トランスデューサ素子やパルサなどの周波数特性と、与えられたアポダイゼーション形状によって、出力制御値や、各系列のパルス幅の具体的な値が決定される。例えば図5の表であれば、パルサ出力制御値C1〜C3、第一の系列のパルス幅P1〜P8、第二の系列のパルス幅Q2〜Q4およびQ6〜Q8の具体的な値が決定される。値が決定されれば、送信開口走査に従って機械的にその値を適用すればよい。
【0043】
以上述べたように、本発明では、二つもしくはそれ以上の系列のパルス幅データを用意しておく。そして、送信開口走査に伴うバレルシフトにより隣接するパルサブロックを超える送信チャネルに対してパルス幅データを切り替えることで、隣接するパルサブロックのパルサ出力制御値の値が同じか否かにかかわらずパルサ出力制御が行える。
【0044】
ここでは1パルサブロックを4送信チャネルとしたが、本発明は2チャネル以上のパルサを含むパルサブロックに対して適用可能である。また、アポダイゼーション曲線の形状を対称なものとして関して説明を加えたが、非対称形状に関しても、隣接するパルサ出力制御値に対して同じ送信超音波振幅を与える二通りのパルス幅のデータ列を用いてパルサ幅の値を設定すれば良い。
【0045】
<実施例>
図7に本発明に基づく超音波装置の構成を示す。1は超音波の送受信を行うトランスデューサ配列を備えたプローブである。2は送信開口および受信開口を構成するために選択されたトランスデューサ素子を、それぞれ送信チャネル、受信チャンネルに接続するためのスイッチ回路であり、送信/受信に用いるトランスデューサ素子の組を切り替える。3
は送受信の切り替えを行う送受信切り替え回路、4はトランスデューサを駆動し超音波送信するための送信手段、5はトランスデューサで受信した超音波エコー信号を処理する受信手段である。6は受信手段からの出力をもとに超音波断層画像を作成する画像処理手段、7は画像処理手段で作成された超音波断層画像を表示する表示手段、8は装置各部の制御を行う制御手段である。
【0046】
制御手段8は、超音波ビームのリニア走査を行うために、スイッチ回路2を切り替えて、プローブ1のトランスデューサ配列から送受信を行うトランスデューサ素子を選択する。送信手段4は、制御手段8からの送信制御信号を受けて、プローブ1のトランスデューサ配列上の選択されたトランスデューサを駆動する送信駆動波形100を出力する。
【0047】
図8に送信手段4の構成例を示す。送信手段4は複数のパルサブロック10と送信制御手段9から構成される。パルサブロック10は、複数個(ここでの所定数は4つ)のパルサ12とこれらを制御するパルサ出力制御回路11を含んでいる。各々のパルサ12からは、送信駆動波形100が出力される。
【0048】
送信制御手段9は、制御手段8からの送信制御信号に基づき、各送信チャネルの送信駆動波形100を発生させるための、パルス波形タイミング制御信号112とパルス出力制御信号111を生成する。パルス波形タイミング制御信号112は、各パルサ12が出力する送信駆動波形100の波形および送信タイミングを制御する。パルス出力制御信号111は、各パルサブロック10に対して、パルサブロック10内の複数のパルサ12の駆動パルス振幅を決める出力制御を一括して行う。
パルサ出力制御回路11は、パルス出力制御信号111をもとに、ブロック内の各パルサ12へ同一の駆動電圧110を印加する。パルサ12はパルス波形タイミング制御信号112をもとに駆動電圧110のオン・オフを行い、パルス状の送信駆動波形100を生成する。
【0049】
より詳しく言えば、パルサ12は、CMOS型FETなどで構成されたプッシュプル型の両極性のスイッチング回路を含んで構成できる。また駆動電圧110は、各々正・負の数十〜百V程度の二種類の高電圧とすることができる。パルス波形タイミング制御信号112には、正極側がON/OFFとなるタイミング情報と負極側がON/OFFとなるタイミング情報が含まれる。これらの制御情報をもとに、パルサ12のプッシュプル型の両極性のスイッチング回路により、送信駆動波形100が生成される。このとき正極/負極が各々ON/OFFとなるタイミングの差により正極/負極のパルス幅が制御され、また各パルサに対して送信駆動波形100の開始/終了するタイミングを制御することで後述の送信フォーカスを行う。またこのとき、駆動電圧110の電圧値をパルサ出力制御回路11が制御することで、各パルサ12から出力される送信駆動波形100の駆動パルスのパルス振幅が制御される。
【0050】
ここでは、パルス出力制御信号111はパルサ12への入力電圧である駆動電圧110を制御するものとした。ただし、送信駆動波形100の駆動パルスのパルス振幅を制御できる構成であれば、制御方法はこれに限らない。
例えば上記の説明ではパルサ12を両極スイッチとしたが、パルサ12内にこれ以外にコンデンサを含み、電流蓄積により高電圧を発生する構成も考えられる。かかる構成の場合には、蓄積電流を制限することで出力駆動パルスのパルス振幅を制御できる。このためパルス出力制御信号111で駆動パルスの振幅制御を行うことができる。この場合パルサ12へ入力する高電圧を制御するため回路が複雑となったり、高電圧に耐える高品質な部品が必要になったりする一方、複数パルサ12に対する入力する駆動電圧110を一つのパルサ出力制御回路11で制御するため構成が簡略化できる。また電流制限を行う場合にも、複数パルサ12に対し同一の電流制限を行えばよいため構成が簡略化できる。
また、パルサ出力制御回路11をパルサブロック10内の各パルサ12の出力側に設け、一括してパルサブロック10内のパルサ出力を行う構成も考えられる。
【0051】
パルス波形タイミング制御信号112は、各パルサ12で生成するパルスの幅とパルスのタイミング(例えばパルスの立ち上がまたは好ましくはパルス中心の時間)に関する情報を含む。パルス幅は、当該パルサが属するパルサブロック10に与えられるパルス出力
制御信号111と組み合わせられて、送信アポダイゼーションにおける送信超音波の振幅強度の制御に用いられる(図4を参照)。またパルスのタイミングは、各トランスデューサから超音波が送信されるタイミングの制御に用いられる。このタイミング制御を適切に行うことにより、送信超音波ビームが集束(フォーカシング)する。
【0052】
図9に送信フォーカスの概要を示す。ここではプローブ1のトランスデューサ配列上の送信開口23を構成するトランスデューサ素子への送信駆動波形200と、その送信タイミングの概略を図示する。ただし説明を簡単にするため、アポダイゼーションを行うためのパルス幅の制御は省略する。フォーカシングにおいては、図中の焦点Fへ送信超音波を集束させるために、各トランスデューサから送信した超音波が焦点Fで同時刻に到達するように、各トランスデューサに与える送信駆動波形のタイミングが調節される。すなわち、各トランスデューサの駆動パルスに対して、各トランスデューサから焦点Fまでの超音波経路を超音波の音速で割った時間の差異を遅延量として与えればよい。この遅延量は開口の物理的な位置に応じて決まるため、アポダイゼーションを行うためのパルス幅と対応がつく。すなわち、送信開口から超音波ビームを送信する際に、パルス幅とパルスのタイミングを組としたパルス波形タイミング制御信号112を送信チャネルごとに設定することで、送信フォーカシングと送信アポダイゼーションができるようになる。
【0053】
具体的には以下のような構成をとることで実装が可能である。制御手段8は、送信波形メモリテーブルとパルス出力テーブルを有するものとする。
送信波形メモリテーブルには、送信開口を構成するトランスデューサへのパルス波形タイミング制御信号112が格納されている。パルス波形タイミング制御信号112は、パルサの正極・負極各々のオン・オフを示すバイナリの信号であり、送信波形のクロックに応じた時系列の信号である。各パルス波形タイミング制御信号112は、送信開口の物理的位置に対応しており、送信フォーカスを行うためのパルス遅延量とアポダイゼーションを行うためのパルス幅とを含む、パルサのオン・オフ信号である。ここには、送信開口上の1つの位置にあるトランスデューサに対して、同じ遅延量を持ち、隣接する(あるいは異なる)パルサ出力制御値111に対して同じ送信超音波振幅を与えるパルス幅を有する、二種類の信号列が格納されている。二種類の信号列は、隣接するパルサ出力制御値111が同じ値のときには同一内容の信号列である。また、隣接するパルサ出力制御値111が異なる値のときには、図4に示すように、パルサ出力制御値との組み合わせによって同じ送信超音波振幅を与えられるような、異なるパルス幅をもつ信号列である。
【0054】
パルス出力テーブルには、パルサブロック10ごとに存在するパルサ出力制御回路11に対し、駆動電圧によりアポダイゼーションの制御を行うためのパルス出力制御信号111の値が格納されている。以降、これらのデータ列を送信波形データと呼ぶ。
さらに制御手段8は、トランスデューサ配列上での送信開口位置に応じて、図5に示したようなパルサ出力制御値とパルス幅の対応テーブルを含んでもよい。
制御手段8は送信開口の走査を行うためにスイッチ回路2の切り替えを行い、送信チャネルと選択されたトランスデューサチャネルの接続を確保する。同時に、それぞれの送信開口位置に対応するパルサ出力制御回路11とパルサ12に対して、図5に示したパルサ出力制御値とパルス幅設定値の組み合わせになるように、パルス出力制御信号111とパルス波形タイミング制御信号112を与える。このときパルサ出力制御値とパルス幅の対応テーブルを利用できる。
【0055】
また、トランスデューサ配列の1チャネルごとの移動を1ステップとした送信開口走査では、パルサ出力制御回路11に対しては、4ステップごとにバレルシフト方式でパルス出力制御信号111の値をずらせばよい。
【0056】
各パルサに対するパルス波形タイミング制御信号112については、送信開口位置に応
じて1ステップごとにバレルシフトを行うとともに、二種類の送信波形データのいずれを用いるか選択する。このとき走査ステップ数に対する4の剰余類(mod4)に応じて、以下の4通りのいずれかの制御を行う。
(1)走査ステップ1(mod)以上では第二種類目の送信波形データを、それ以外では第一種類目の送信波形データを用いる。
(2)走査ステップ2(mod)以上では第二種類目の送信波形データを、それ以外では第一種類目の送信波形データを用いる。
(3)走査ステップ3(mod)以上では第二種類目の送信波形データを、それ以外では第一種類目の送信波形データを用いる。
(4)全ての走査ステップで第一種類目のパルス幅の送信波形を用いる。
(1)〜(4)のいずれの制御を行うかは、送信開口上の対応する物理的な位置に応じて決定される。
これらの制御に基づいて送信波形メモリテーブルから選択されたパルス波形タイミング制御信号112のパターンが、送信チャネルのパルサへ入力される。
【0057】
以上の説明では、トランスデューサ配列の1チャネルごとの移動を1ステップとした送信開口走査について述べた。しかし、複数チャネルを1ステップとした場合にも、4の剰余類に応じてパルス幅選択の制御を行えばよい。またパルサ出力制御値とパルス幅の対応テーブルを利用する場合は、任意の走査ステップに対してパルス幅選択の制御が可能である。
【0058】
また、上の説明では、パルス波形タイミング制御信号112として、送信クロックに応じてパルサのオン・オフを記述した時系列信号(送信波形)を用いたが、パルス幅とパルスタイミングを制御する信号であればこれに限られない。例えば、送信クロックの単位でパルサのオン・オフの時刻を指定したデータを用いてもよい。
【0059】
以上の動作を行うことで、プローブ1上の送信開口の走査において、送信アポダイゼーションを行った超音波送信ビームを形成できる。このとき、多重パルサのような複雑な回路は必要とされず、また、複数のパルサをパルサブロックとして同一の駆動電圧で制御できるので、簡素化された回路構成により送信アポダイゼーションのかかった超音波送信が実現できる。従って、サイドローブやグレーティングローブの抑制された高品質な超音波画像を提供し、診断等に役立てることができる。
【0060】
プローブ1から送信された超音波ビームは、被検体の内部の各部位で反射して超音波エコー波となる。送信終了後、送受信切り替え回路3を切り替えてプローブ1でこの超音波エコー波を受信する。プローブ1内のトランスデューサ素子のうちスイッチ回路2で選択されたトランスデューサが受信した超音波エコー信号は、受信手段6で処理され、超音波断層画像を形成するための輝度信号へ変換される。受信に用いる受信開口を構成するトランスデューサ素子の組みは送信時に送信開口を構成するトランスデューサ素子の組みと同一でもよく、送信開口より、異なる数のトランスデューサ素子で受信開口を構成してもよい。ただし、送信開口と受信開口の中心位置は同じに設定されることが好ましい。
【0061】
受信手段6には超音波エコー信号を増幅する増幅器、デジタル信号化するAD変換器などを含む。さらに各トランスデューサからの超音波エコー信号を集束させるために位相をそろえて加算する整相加算回路、フィルタリング回路、検波回路などを含む。受信開口を構成する各トランスデューサからの超音波エコー信号は、これらの回路により超音波ビームに対応した走査線上の輝度信号へ変換され、画像処理手段6へ入力される。なお受信時にもサイドローブの抑制を行うための受信アポダイゼーションを行うことができる。受信アポダイゼーションにおいては整相加算の演算において、受信チャネルの信号に振幅を乗じて加算すればよいので、送信時のパルサブロックによるバレルシフトの影響とは無関係
に実行できる。
【0062】
超音波ビームの走査に伴って取得された走査線上の輝度信号は、画像処理手段6内のフレームメモリにフレーム画像として格納される。画像処理手段6は、画像フィルタリング手段によってフレーム画像に対して各種画像フィルタリングを行って画像調整を行い、デジタル走査変換器によって走査線上の輝度信号の並びを表示手段7用の走査線の並びに変換する。場合によっては、デジタル輝度信号を表示手段7の駆動用アナログ信号に変換するDA変換器を画像処理手段に具備させても良い。また画像処理手段6は、CPU上で動作するプログラムとして構成されても良い。
表示手段7は、画像処理手段6で処理された超音波断層画像を表示する。これにより送信アポダイゼーションが行われ、サイドローブやグレーティングローブが抑制された高品質な被検体の画像を提示できる。
【符号の説明】
【0063】
1:プローブ,2:スイッチ回路,4:送信手段,8:制御手段,9:送信制御手段,10:パルサブロック,11:パルサ出力制御回路,12:パルサ,20:超音波送信ビーム,21:送信開口,22:送信チャネル,23:トランスデューサチャネル,100:送信駆動波形,110:駆動電圧,111:パルス出力制御信号,112:パルス波形タイミング制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトランスデューサ素子を含むトランスデューサ配列と、
前記トランスデューサ素子に駆動パルスを送信して、当該駆動パルスのパルス幅およびパルス振幅に応じた強度の弾性波を発生させる複数のパルサと、
前記トランスデューサ配列から、弾性波ビームを形成する送信開口に含まれるトランスデューサ素子を選択して前記複数のパルサの送信チャネルと接続するスイッチと、
前記複数のパルサに対して、所定数のパルサを含むパルサブロックごとに、前記駆動パルスのパルス振幅を決定するパルス出力制御信号を与え、かつ、パルサごとに、前記駆動パルスのパルス幅および送信タイミングを決定するパルス波形タイミング制御信号を与えることにより、前記複数のパルサのそれぞれから、前記送信開口に含まれるトランスデューサ素子に対して、強度およびタイミングが制御された弾性波を発生させるような駆動パルスを送信させて、アポダイゼーションのかかった弾性波ビームを形成する制御手段と、
前記弾性波ビームが被検体内部で反射した反射波に基づいて、被検体情報を取得する処理手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記パルサブロックに与える前記パルス出力制御信号に応じて、当該パルサブロックに含まれるパルサに与えるパルス波形タイミング制御信号を決定する
ことを特徴とする被検体情報取得装置。
【請求項2】
前記スイッチは、前記複数のトランスデューサ素子と前記送信チャネルとの接続を巡回的に変更することで、前記送信開口を前記トランスデューサ配列上で移動させて前記弾性波ビームを走査する
ことを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
【請求項3】
前記スイッチは、前記送信開口に含まれるトランスデューサ素子が弾性波ビームを形成するたびに、前記送信開口の一方の端に位置するトランスデューサ素子に代えて、前記送信開口の他方の端に位置するトランスデューサ素子に隣接するトランスデューサ素子を新たに選択し、当該新たに選択されたトランスデューサ素子に、前記送信開口の一方の端に位置するトランスデューサ素子に接続されていた送信チャネルを接続し直すことにより、前記送信開口を前記トランスデューサ配列上で移動させて前記弾性波ビームを走査する
ことを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
【請求項4】
前記トランスデューサ素子が発生させる弾性波の強度は、所定の複数の段階に調節できるものであり、
前記複数の段階の強度それぞれについて、前記トランスデューサ素子に当該強度を持つ弾性波を発生させるような、前記パルサからの前記駆動パルスのパルス幅およびパルス振幅の組み合わせが複数ある
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項5】
前記送信開口における前記トランスデューサの位置ごとに決定される、アポダイゼーションに応じた弾性波の強度と、当該アポダイゼーションに応じた強度を持つ弾性波を発生させるような、前記駆動パルスのパルス幅およびパルス振幅の組み合わせが格納されたテーブルをさらに有する
ことを特徴とする請求項4に記載の被検体情報取得装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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