説明

被検査体内部流路毎の流量配分比率測定方法及びそれを利用した被検査体間の個体差判別方法並びに装置

【課題】被検査体の複数の内部流路の流路抵抗に関与するデータが不明あるいは同データが変化する可能性がある条件下において、被検査体を破壊することなく流量配分比率の測定及びそれを利用した被検査体間の個体差の判別を行うことを可能とする。
【解決手段】複数の内部流路を有する被検査体における個体差を非破壊で求める方法において、各流路毎に、流量を段階的に変化させた流体を流し、そのときの流量の変化に伴う流路入口と流路出口の流体の圧力差の変化を計測し、流量と圧力差との関係から内部流路の特性係数を求め、特性係数の比により流路毎の流量配分比率を求めて同種被検査体間における個体差の判別を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体内の複数の流路に分配される流量の配分比率を非破壊で求める方法並びに装置及びそれを利用した被検査体間の個体差判別方法並びに装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、被検査体の複数の内部流路の流路抵抗に関与するデータが不明あるいは同データが変化する可能性がある条件下に適用可能な流量配分比率測定方法並びに装置及びそれを利用した被検査体間の個体差判別方法並びに装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に複数の流路を有する被検査体の内部流路に関与する不具合を調べる方法としては、例えばガスタービン翼の冷却穴の目詰まりを検知する方法並びに装置がある(特許文献1)。この検知方法並びに装置は、図7に示すように、被検査体たるガスタービン翼(静翼30)の表面に設けられた冷却穴37の一部若しくは全部を通気性がありかつ熱伝導率が低い媒体80で覆う一方、この媒体80を加熱装置60により加熱しながら、噴出装置70から供給される気体(通常温度の気体)をガスタービン翼(静翼30)に導入して冷却穴37から噴出させるようにしている。そして、媒体80で覆われた冷却穴37から気体(通常温度の気体)が噴出されることを計測装置(赤外線映像装置50)により該媒体80の表面の温度分布の変化として計測し、この温度分布の差に基づいて冷却穴37の目詰まりを検知するようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−322001号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この検査方法では、冷却穴の目詰まりを検知することはできても、複数の内部流路にどのように流体が分配されるのかは測定することはできない。このような流量の配分比率は、予め内部流路の流路抵抗に関与するデータ即ち内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径などが明らかになっている場合には、それに基づいて流路抵抗を計算し、導入流体の分配比を算出することができるが、被検査体の複数の内部流路の流路抵抗に関与するデータが不明あるいは同データが変化する可能性がある条件下では、計算で求めることができず、またそれら内部流路に関するデータを被検査体そのものを破壊せずに得ることができないため、製造後の確認手法としては上述のような目詰まり検知などの手法に依るしか無かった。
【0005】
また、特許文献1の目詰まりを検知する方法並びに装置によれば、目詰まりが起きて冷却穴が完全に若しくはほぼ完全に塞がっている場合には異常を検知することができる。しかしながら、例えば、製造ミスあるいは使用に伴う劣化などにより、被検査体内部の流路が設計とは異なる形で湾曲しているなどの内部形状の異常や、完全には塞がっていないものの狭小になっている場合、あるいは流路壁の破損による隣接流路との貫通、さらには流路壁面の裂傷や仕上げの異常(滑らかさの欠如)など、流路出口からは流体が流出しながらも被検査体内部で異常が発生している場合には該異常を検知することができない。このため、前記異常事象も対象とする、より精度の高い検査が可能であるとは言い難い。
【0006】
さらに、上述の目詰まりなどの欠陥がなかったとしても、同種の製品の間において複数の内部流路間における流量の配分比率や流体の流れが被検査体の表面温度に与える影響において個体差が生じることがある。この個体差の存在は、同じ環境下において同種の製品・被検査体が多数使用される場合、例えばガスタービンのように同じ段に100枚前後のタービン翼が使われる場合において顕著な影響を与え、一部の製品の寿命低下が全体の寿命を引き下げてしまうという問題を生じる。すなわち、同じ冷却条件、同じ稼働条件でタービン翼を使用していても、一部の翼の寿命が短くなることによって寿命が残っている他の翼も同時に廃棄しなければならない場合もあり、無駄が生じてしまう。タービン翼は1枚当たり数百万円もする極めて高価なものであることから、同種タービン翼間での個体差をなくして使用することが望まれる。
【0007】
本発明はかかる要望に応えるもので、被検査体の複数の内部流路の流路抵抗に関与するデータが不明あるいは同データが変化する可能性がある条件下において、被検査体を破壊することなく該被検査体の内部流路毎の流量配分比率を測定する方法並びに装置を提供することを目的とする。さらに本発明は、該内部流路毎の流量配分比率を利用することにより、被検査体を破壊することなく該被検査体間の個体差を判別する方法並びに装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の流量配分比率測定方法は、単一の流路入口から供給された流体を分流させて流し各々流路出口から流出させる複数の内部流路を有する被検査体における前記内部流路毎の流体の流量配分比率を非破壊で求める方法において、前記各流路毎に、流量を段階的に変化させた流体を流し、そのときの流量の変化に伴う前記流路入口と前記流路出口の流体の圧力差の変化を計測し、該流量と前記圧力差との関係から前記各内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径により決定される前記内部流路の特性係数を求め、該特性係数の比により流路毎の流量配分比率を求めるようにしている。
【0009】
したがって、この流路毎の流量配分比率の測定方法によると、被検査体の内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径等の明らかにされていない設計事項があっても、あるいは設計通り製造されていない構造であっても、これらを含めた流路の特性係数として求め、この流路の特性係数の比として流量配分比率を求めることができる。そして、この流量配分比率を求めることにより、同じ構造(同種)の被検査体間における個体差を判別することができる。
【0010】
また、請求項2記載の被検査体間の個体差判別方法は、請求項1記載の流量配分比率測定方法によって求められた前記流量配分比率の差異から同種の被検査体の個体差を判別するようにしている。したがって、この個体差判別方法によると、前記内部流路の特性係数により表される流路毎の流量配分比率を用いて個体差の判別を行うため、該特性係数に影響を与える流路の摩擦すなわち流路壁面の仕上げ状況、流路の長さや形状、流路の径のいずれに係る個体差であっても判別することが可能となる。
【0011】
さらにまた、請求項3記載の発明は、単一の流路入口から供給された流体を分流させて流し各々流路出口から流出させる複数の内部流路を有する被検査体における個体差を非破壊で求める方法において、前記各流路毎に、流量を段階的に変化させた流体を流し、そのときの流量の変化に伴う前記流路入口と前記流路出口の流体の圧力差の変化を計測し、該流量と前記圧力差との関係から前記各内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径により決定される前記内部流路の特性係数を求め、該特性係数の比により流路毎の流量配分比率を求める工程と、全ての前記内部流路に加熱流体又は冷却流体を同時に流し、前記被検査体の表面に表れる温度変化を計測して表面温度の分布を求める工程と、前記表面温度分布と前記流量配分比率との双方を判断基準として同種被検査体間における個体差の判別を行うようにしている。この場合には、前記流量配分比率の差異による個体差の判別に加え、該表面温度分布計測を行うことにより、前記流量配分比率の差違から分かる個体差(若しくは異常)の有無だけでなく、該表面温度分布から異常箇所の絞り込みあるいは特定及び異常事象の絞り込みあるいは特定をすることが可能となる。また、該流量配分比率が同じでも、流体の流れ方や伝熱などに起因する表面温度分布の差異から、より厳密な個体差を判別することも可能である。
【0012】
請求項4記載の流量配分比率測定装置は、単一の流路入口から供給された流体を分流させて流し各々流路出口から流出させる複数の内部流路を有する被検査体における前記内部流路毎の流体の流量配分比率を非破壊で求める装置において、前記複数の内部流路のうちの特定の流路にのみ流体を流すように制御する流路入口カバーと、該流体を前記内部流路へ供給する圧縮機と、前記内部流路へ供給する前記流体の流量を調整する流量調整弁と、該流量の変化に伴う前記流路入口の流体の圧力の変化を計測する圧力計と、該流量と前記流路入口と前記流路出口の流体の圧力差との関係から前記各内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径により決定される前記内部流路の特性係数を求めて該特性係数の比により流路毎の流量配分比率を求める処理装置とを有するようにしている。
【0013】
したがって、この流路毎の流量配分比率の測定装置によると、被検査体の内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径等の明らかにされていない設計事項があっても、あるいは設計通り製造されていない構造であっても、これらを含めた流路の特性係数として求め、この流路の特性係数の比として流量配分比率を求めることができる。そして、この流量配分比率を求めることにより、同じ構造(同種)の被検査体間における個体差を判別することができる。
【0014】
また、請求項5記載の被検査体間の個体差判別装置は、単一の流路入口から供給された流体を分流させて流し各々流路出口から流出させる複数の内部流路を有する被検査体における個体差を非破壊で求める装置において、前記複数の内部流路のうちの特定の流路にのみ流体を流すように制御する流路入口カバーと、該流体を前記内部流路へ供給する圧縮機と、前記内部流路へ供給する前記流体の流量を調整する流量調整弁と、該流量の変化に伴う前記流路入口の流体の圧力の変化を計測する圧力計と、該流量と前記流路入口と前記流路出口の流体の圧力差との関係から前記各内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径により決定される前記内部流路の特性係数を求めて該特性係数の比により流路毎の流量配分比率を求める処理装置と、該流量配分比率の差異から同種の被検査体の個体差を判別する処理装置とを有するようにしている。したがって、この個体差判別装置によると、前記内部流路の特性係数により表される流路毎の流量配分比率を用いて個体差の判別を行うため、該特性係数に影響を与える流路の摩擦すなわち流路壁面の仕上げ状況、流路の長さや形状、流路の径のいずれに係る個体差であっても判別することが可能となる。
【0015】
さらにまた、請求項6記載の発明は、単一の流路入口から供給された流体を分流させて流し各々流路出口から流出させる複数の内部流路を有する被検査体における個体差を非破壊で求める装置において、前記複数の内部流路のうちの特定の流路にのみ流体を流すように制御する流路入口カバーと、該流体を前記内部流路へ供給する圧縮機と、前記内部流路へ供給する前記流体の流量を調整する流量調整弁と、該流量の変化に伴う前記流路入口の流体の圧力の変化を計測する圧力計と、該流量と前記流路入口と前記流路出口の流体の圧力差との関係から前記各内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径により決定される前記内部流路の特性係数を求めて該特性係数の比により流路毎の流量配分比率を求める処理装置と、該流量配分比率の差異から同種の被検査体の個体差を判別する処理装置と、前記流体を加熱又は冷却する加熱器又は冷却器と、前記被検査体の表面に表れる温度変化を計測して表面温度の分布を計測する温度計測装置と、該表面温度分布と前記流量配分比率との双方を判断基準として同種被検査体間における個体差の判別を行う処理装置とを有するようにしている。この場合には、前記流量配分比率の差異による個体差の判別に加え、該表面温度分布計測を行うことにより、前記流量配分比率の差違から分かる個体差(若しくは異常)の有無だけでなく、該表面温度分布から異常箇所の絞り込みあるいは特定及び異常事象の絞り込みあるいは特定をすることが可能となる。また、該流量配分比率が同じでも、流体の流れ方や伝熱などに起因する表面温度分布の差異から、より厳密な個体差を判別することも可能である。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、請求項1記載の流路毎の流量配分比率の測定方法によれば、被検査体の内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径等の明らかにされていない設計事項があっても、あるいは設計通り製造されていない構造であっても、これらを含めた流路の特性係数として求め、この流路の特性係数の比として流量配分比率を求めることができる。
【0017】
また、請求項2記載の被検査体間の個体差判別方法によれば、前記内部流路の特性係数により表される流路毎の流量配分比率を用いて個体差の判別を行うので、該特性係数に影響を与える流路の摩擦すなわち流路壁面の仕上げ状況、流路の長さや形状、流路の径のいずれに係る個体差であっても判別することが可能となり、被検査体の内部構造に係る多種多様な異常事象を検知可能なより精度の高い検査が可能となる。
【0018】
さらにまた、請求項3記載の個体差判別方法によれば、前記流量配分比率の差異による個体差の判別と表面温度分布を用いた個体差の判別を行うので、前記流量配分比率の差違から分かる個体差(若しくは異常)の有無だけでなく、該表面温度分布から異常箇所の絞り込みあるいは特定及び異常事象の絞り込みあるいは特定をすることが可能である。また、該流量配分比率が同じでも、流体の流れ方や伝熱などに起因する表面温度分布の差異から、より厳密な個体差を判別することも可能である。
【0019】
請求項4記載の流路毎の流量配分比率の測定装置によれば、被検査体の内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径等の明らかにされていない設計事項があっても、あるいは設計通り製造されていない構造であっても、これらを含めた流路の特性係数として求め、この流路の特性係数の比として流量配分比率を求めることができる。
【0020】
また、請求項5記載の被検査体間の個体差判別装置によれば、前記内部流路の特性係数により表される流路毎の流量配分比率を用いて個体差の判別を行うので、該特性係数に影響を与える流路の摩擦すなわち流路壁面の仕上げ状況、流路の長さや形状、流路の径のいずれに係る個体差であっても判別することが可能となり、被検査体の内部構造に係る多種多様な異常事象を検知可能なより精度の高い検査が可能となる。
【0021】
さらにまた、請求項6記載の個体差判別装置によれば、被検査体の表面温度分布と前記流量配分比率との双方を判断基準として同種被検査体間における個体差の判別を行うので、前記流量配分比率の差違から分かる個体差(若しくは異常)の有無だけでなく、該表面温度分布から異常箇所の絞り込みあるいは特定及び異常事象の絞り込みあるいは特定をすることが可能である。また、該流量配分比率が同じでも、流体の流れ方や伝熱などに起因する表面温度分布の差異から、より厳密な個体差を判別することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1に、本発明の被検査体内部流路毎の流量配分比率測定方法及びそれを利用した被検査体間の個体差判別方法並びに装置の実施形態の一例を示す。なお、本実施形態では、複数の流路及び流路出口を有する被検査体として、ガスタービン翼8を例に挙げている。
【0024】
被検査体の内部流路毎の流量配分比率測定装置は、被検査体であるガスタービン翼8内の複数の内部流路のうちの特定の流路にのみ流体を流すように制御する流路入口カバー7と、該流体を前記内部流路へ供給する圧縮機1と、前記内部流路へ供給する前記流体の流量を調整する流量調整弁3と、該流量の変化に伴う前記流路入口の流体の圧力の変化を計測する圧力計5と、該流量と前記流路入口と前記流路出口の流体の圧力差との関係から前記各内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径により決定される前記内部流路の特性係数を求めて該特性係数の比により流路毎の流量配分比率を求める処理装置(図示省略)とを備えている。また、被検査体間の個体差判別装置の構成としては、前記流量配分比率測定装置の構成に加え、測定された流量配分比率の差異から同種の被検査体の個体差を判別する処理装置(図示省略)を備えている。
【0025】
図3に、前記ガスタービン翼8の縦断面図を示す。該ガスタービン翼8は、例えば、下端部に3つの流路入口21a、22a、23aと、それぞれの流路入口から続く流路21、22、23と、上端部に3つの流路出口21b、22b、23bを有する。また、該ガスタービン翼8の下端部には、該ガスタービン翼8をガスタービンに固定するためのフリンジ24が設けられている。
【0026】
前記流路入口カバー7は、計測の際に使用する流体を透過させず、また、供給する流体の温度に対して変形や変質を生じない材質が適当である。例えば、テフロン(登録商標)の使用が好ましい。
【0027】
また、前記流路入口カバー7は、前記ガスタービン翼8の下端部に当てたときに、前記3つの流路入口21a、22a、23a部分のうちの特定の流路入口(21a、22a、23a)部分は開口され、その他の流路入口(21a、22a、23a)部分は遮蔽されているものが必要である。具体的には、該3つの流路入口21a、22a、23aそれぞれについて、1つの流路入口(21a、22a、23a)部分のみが開口され、その他の流路入口(21a、22a、23a)部分は遮蔽されている3種類の入口カバー7が必要である。さらに、本実施形態では、該3つの流路入口21a、22a、23a部分全てが開口している入口カバー7も準備した。
【0028】
ここで、被検査体の内部流路に供給する流体は気体であっても液体であっても構わない。被検査体の種類その他の計測条件により適宜選択することが可能である。従って、前記圧縮機1は、被検査体の種類その他の計測条件により気体若しくは液体を供給可能なものを選択する。本実施形態では、空気を供給する圧縮機を用いている。
【0029】
前記流量調整弁3は、前記圧縮機1から前記ガスタービン翼8へ供給される空気の流量を調整する。
【0030】
また、本実施形態では、前記ガスタービン翼8に供給される流量を一定に保つため、前記圧縮機1と前記流量調整弁3との間にリザーバータンク9を設けている。
【0031】
前記圧縮機1、前記リザーバータンク9、前記流量調整弁3及びヘッダ4は管路2で接続され、該管路2は、前記ガスタービン翼8の3つの流路それぞれに対して流体を供給するように該ヘッダ4から3本に分岐している。なお、該ヘッダ4から分岐する管路2の本数(3本)は、本実施形態の前記ガスタービン翼8の流路入口21a、22a、23aの箇所数に合わせたものである。すなわち、該分岐する管路の本数は被検査体の有する流路入口の箇所数によって変わるものであり、3本に限られるものではない。
【0032】
被検査体固定部6は、前記流路入口カバー7を所定の位置に固定し、該流路入口カバー7の上に前記ガスタービン翼8を、該ガスタービン翼8のフリンジ24を留め具で挟むことにより固定している。なお、被検査体を該被検査体固定部6に固定する方法はこれに限られるものではなく、例えば被検査体がフリンジ24を有さない場合であっても、被検査体の流路入口及び流路出口を塞ぐことがない固定方法であれば良い。
【0033】
前記圧力計5は、前記ガスタービン翼8に供給される流体の圧力を計測する。なお、図示は省略しているが、該圧力計5は、前記ヘッダ4から分岐した管路2毎それぞれに設置されている。
【0034】
以下に、図4に示すフローチャートに基づいて流路毎の流量配分比率の測定方法について説明する。
【0035】
まず、流路21の特性係数は、該流路21にのみ流体を流すことにより求める。そのため、ガスタービン翼8の下端部に当てたときに、流路入口21a部分は開口され、流路入口22a及び流路入口23a部分は遮蔽されている流路入口カバー7を被検査体固定部6に設置し、その上にガスタービン翼8を固定する。
【0036】
その状態で、圧縮機1により空気を供給し、所定の流量がガスタービン翼8内に流入するように流量調整弁3により流量を調整する。なお、流路入口21aからガスタービン翼8内に流入した空気は、流路21を通過して流路出口21bから大気中へ放出される。
【0037】
流量が安定した状態で、圧力計5により該流路21に供給される空気の圧力を計測する(S1−1)。
【0038】
同様に、該流量調整弁3を調整することにより該流路21に供給する空気の流量を段階的に変化させ、該空気流量を変化させた状態毎に該流路21に供給される空気の圧力を計測する(S1−1)。
【0039】
次に、流路22についても、流路入口22a部分のみが開口された流路入口カバー7を用い、該流路22に供給する空気の流量を段階的に変化させた状態毎に流路22に供給される空気の圧力を計測する(S1−2)。
【0040】
さらに、流路23についても同様の計測を行う(S1−3)。
【0041】
ここで、一般に、流路入口における流体の圧力と流路出口における流体の圧力の差である流路の圧力損失ΔP[Pa]は、流路の長さL[m]、流路の等価直径D[m]、流路と流体との摩擦係数f[-]、流体の密度ρ[kg/m3]、流体の流速u[m/s]を用いて次式により表される。
ΔP=f×(L/D)×(1/2)×ρ×u2 (数式1)
【0042】
また、単位時間あたりの流量Q[m3/s]は、次式により表される。
Q=π×(D/2)2×u (数式2)
数式2より、流速u[m/s]は次式のようになる。
u=Q/π×(2/D)2 (数式3)
【0043】
したがって、数式1の流速u[m/s]に数式3を代入することにより次式が得られる。
ΔP=f×(L/D)×(1/2)×ρ×Q2/π2×(2/D)4
=f×8/π2×L/D5×ρ×Q2 (数式4)
【0044】
ゆえに、流路の特性係数Cを、流路と流体との摩擦係数f[-]、流路の長さL[m]、流路の等価直径D[m]、流体の密度ρ[kg/m3]により決定される流路の特性を表す係数として、
C=f×8/π2×L/D5×ρ (数式5)
とすることにより、数式4から、流路の圧力損失ΔP[Pa]は次式のように表すことができる。
ΔP=C×Q2 (数式5)
【0045】
すなわち、数式5より、流路の圧力損失ΔP[Pa]は、流路の特性係数Cを係数として流量Q[m3/s]の2乗に比例するものとして表すことができる。
【0046】
以上より、前記により収集された、ガスタービン翼8内の流路それぞれについての、段階的に変化させた空気流量Q[m3/s]のデータと該空気流量Q[m3/s]毎の該流路に供給される空気の圧力のデータ、並びに、数式5により表される流路の圧力損失ΔP[Pa]と特性係数C及び流量Q[m3/s]の関係式を用い、該流路それぞれの特性係数Cを求めることができる。
【0047】
例えば、流路21の特性係数C21(下付文字は流路の符号を表す)を求める場合には、まず、該流路21に供給される空気の圧力(流路入口21aにおける空気の圧力)が前記の通り圧力計5により計測され、また、該空気は流路出口21bから大気中へ放出されるので該流路出口21bにおける空気の圧力は大気圧となるので、圧力計5により計測された圧力と大気圧の差をとることによって、該流路21の圧力損失ΔP[Pa]を求めることができる。
【0048】
すなわち、段階的に変化させた空気流量Q[m3/s]と、該空気流量Q[m3/s]それぞれに対応する流路の圧力損失ΔP[Pa]とがペアになっている複数組のデータが整理される(S2)。
【0049】
ここで、数式5より、流路の圧力損失ΔP[Pa]は、流路の特性係数Cを係数として流量Q[m3/s]の2乗に比例するので、流量Q[m3/s]と圧力損失ΔP[Pa]の複数組のデータは、流量Q[m3/s]を横軸、圧力損失ΔP[Pa]を縦軸とした座標軸上において原点を通る2次放物線となるはずである。すなわち、流量Q[m3/s]と圧力損失ΔP[Pa]の複数組のデータを用い、最も誤差が少なくなるように、例えば最小二乗法により原点を通る2次放物線を推定した場合の流量Q[m3/s]の2乗の係数として、流路の特性係数C21を求めることができる(S3)。
【0050】
流路22及び流路23についても同様にして、流路の特性係数C22及びC23を求めることができる(S3)。
【0051】
次に、本実施形態のガスタービン翼8について、数式5から、流路毎に以下の関係が成り立つ(下付文字は流路の符号を表す)。
ΔP21=C21×Q212 (数式6−1)
ΔP22=C22×Q222 (数式6−2)
ΔP23=C23×Q232 (数式6−3)
【0052】
すなわち、流路毎の流量の比は、以下の式により表される。
21:Q22:Q23=√(ΔP21/C21):√(ΔP22/C22):√(ΔP23/C23) (数式7)
【0053】
ここで、流路の特性係数を求める際には、特定の流路にのみ流体を流入させるようにするため、該特定の流路以外の流路入口を遮蔽したが、実機状態では、ガスタービン翼のいずれの流路入口も遮蔽されることなく、単一の管路から全ての該流路入口に冷却空気が供給される。また、該冷却空気は該ガスタービン翼内の流路を通過して該流路毎の出口から大気中へ放出される。したがって、実機状態では、いずれの該流路入口における該冷却空気の圧力も、単一の管路から該流路入口に供給される冷却空気の圧力で同一となり、かつ、いずれの流路出口における該冷却空気の圧力も大気圧で同一となる。すなわち、流路入口における流体の圧力と流路出口における流体の圧力の差である流路の圧力損失ΔP[Pa]はいずれの流路についても同一であり、ΔP21=ΔP22=ΔP23となっている。
【0054】
したがって、前記数式7は以下の通りとなり、流路毎の流量比は、前記流路の特性係数Cの逆数の平方根で表すことができる。
21:Q22:Q23=√(1/C21):√(1/C22):√(1/C23) (数式8)
【0055】
ゆえに、流路毎の流量配分比率q[%]は以下の通りとなり、前記流路の特性係数Cを用いて流量配分比率を求めることができる(S4)。
21(%)=√(1/C21)/{√(1/C21)+√(1/C22)+√(1/C23)}×100 (数式9−1)
22(%)=√(1/C22)/{√(1/C21)+√(1/C22)+√(1/C23)}×100 (数式9−2)
23(%)=√(1/C23)/{√(1/C21)+√(1/C22)+√(1/C23)}×100 (数式9−3)
【0056】
前記処理装置は、前記数式5から数式9を用い、上述の流路毎の流量配分比率の計算(S3、S4)を行う。
【0057】
ところで、同種のガスタービン翼であれば、数式9により表される流量配分比率qは、流路毎にいずれのガスタービン翼であっても一定となっているはずである。したがって、複数の同種のガスタービン翼それぞれについて流量配分比率を求め、該流量配分比率を比較し(S5)、あるガスタービン翼の流量配分比率が他のガスタービン翼の流量配分比率と比べて差違がある場合には(S6;Yes)、該ガスタービン翼は個体差もしくは異常があると判断する(S7−1)ことが可能である。
【0058】
例えば、同じ段(同種)のガスタービン翼の全てについて流量配分比率を求め、該ガスタービン翼毎の流量配分比率を用い、母平均の区間推定や分散分析などにより母集団である同種のガスタービン翼群に対する特定のガスタービン翼の個体差の有無を判別することにより、該ガスタービン翼内の流路に異常があると判断することができる。
【0059】
前記処理装置は、例えば母平均の区間推定や分散分析等の統計的手法を用い、上述のガスタービン翼の個体差もしくは異常の有無の判断(S5〜S7)を行う。なお、前記母平均の区間推定による個体差もしくは異常の有無の判断は、例えば、前記ガスタービン翼ごとの流量配分比率の母平均の区間推定を行い、該母平均の区間から外れるガスタービン翼は個体差もしくは異常があると判断する等により行う。
【0060】
したがって、例えば、新たに製造した同種のガスタービン翼群について、ガスタービン翼毎の流量配分比率を比較して個体差(若しくは異常)の有無を判別することにより、ガスタービン翼の製造時の品質チェックを行うことができる。また、同じ段に取り付けるガスタービン翼の流量配分比率を揃えることにより、個体差をなくし、同じ段のガスタービン翼に対して、冷却空気配分に起因する寿命のばらつきを抑えることができる。
【0061】
さらに、すでに使用中の同種のガスタービン翼群について、ガスタービン翼毎の流量配分比率を比較して個体差(若しくは異常)の有無を判別することにより、ガスタービン翼の使用に伴う劣化のチェックを行うことができる。
【0062】
さらにまた、使用開始前のガスタービン翼の流量配分比率を計測しておいて、該使用開始前流量配分比率と一定期間使用した後の流量配分比率を比較して変化の有無を検証することにより、ガスタービン翼の使用に伴う異常の発生の有無をチェックすることができる。即ち、使用前後の流量配分比率を比較することにより、ガスタービン翼の定期点検を行うこともできる。
【0063】
続いて、図2に、加熱流体又は冷却流体を被検査体に供給し、前記被検査体に表れる表面温度の分布を計測し、該表面温度分布と前記流量配分比率を用いて個体差を判別する方法並びに装置の実施形態の一例を示す。
【0064】
前記図2に示す個体差判別装置は、図1に示した個体差判別装置の構成に加え、圧縮機1とヘッダ4の間に流体を加熱又は冷却する加熱器又は冷却器と、前記被検査体の表面温度分布を計測する温度計測装置を設けている。
【0065】
前記流体を加熱又は冷却する加熱器又は冷却器は、本実施形態では、空気加熱器11を用いている。該空気加熱器11は、例えば電気ヒーターのような加熱器を用いることが可能である。また、前記圧縮機1から供給される空気を摂氏数百度のオーダーまで加熱可能なものが適当である。更に本実施形態では、該空気加熱器11を前記流量調整弁3と前記ヘッダ4の間に設けている。
【0066】
なお、前記空気加熱器11により加熱された空気温度を一定に保つため、前記空気加熱器11から前記被検査体固定部6の間の管路2は断熱材により覆われている。
【0067】
また、前記被検査体の表面温度分布を計測する温度計測装置は、例えば前記被検査体の温度分布をサーモグラフ等として画像化可能なものが適当である。本実施形態では、計測結果を表示するモニターを有する赤外線温度計13を用いている。
【0068】
以下に、被検査体の表面温度分布と前記流量配分比率を用いて個体差を判別する方法について説明する。
【0069】
まず、ガスタービン翼8の表面温度分布(の変化)を計測するために、該ガスタービン翼8内に流す空気の流量及び温度を設定する。本実施形態では、常温(摂氏20度程度)状態からの表面温度分布状態の変化の分かり易さ等を考慮して、摂氏110度かつ流量10[Nm3/h]の空気を供給することとした。
【0070】
次に、前記方法により求めた流路毎の流量配分比率と、ガスタービン翼8に供給する前記空気流量(10[Nm3/h])とから、流路毎の空気流量を計算する。次に、該流路毎空気流量と供給する空気温度(摂氏110度)に基づいて、該加熱空気を所定時間(例えば10分程度)、常温(摂氏20度程度)状態のガスタービン翼8内に流したときの表面温度分布の(変化の)傾向を予測する。
【0071】
ここで、ガスタービン翼8の表面温度分布状態を赤外線温度計13により正確に計測するため、本実施形態では、表面全体を黒色塗料により塗装している。なお、該処理は表面の放射率を一定にするためであり、黒色には限られない。
【0072】
次に、ガスタービン翼8を被検査体固定部6に固定する。ここで、表面温度分布計測においては全ての流路に同時に流体を流すため、全ての流路入口部分が開口している流路入口カバー7を用いる。なお、流路入口カバー7の代わりに流路入口カバー7の外縁部と同じ形状のガスケットを用いるか、流路入口カバー7を用いずにガスタービン翼8を直接被検査体固定部6に固定しても良い。
【0073】
前記空気流量(10[Nm3/h])及び温度(摂氏110度)となるように、流量調整弁3により流量を調整し、温度計12により空気温度を計測しながら空気加熱器11により温度を調整し、ガスタービン翼8内に加熱空気を流入させる。
【0074】
所定時間(例えば10分程度)経過後、赤外線温度計13によりガスタービン翼8の表面温度分布を計測して、前記表面温度分布傾向の予測と比較し、計測値と予測値との相違を検証することにより、該ガスタービン翼8の個体差の判別を行う。
【0075】
具体的には例えば、表面温度分布傾向の予測値と計測値との比較により、予測と異なる温度分布の状況から、ガスタービン翼内の流路の製造ミスを発見することが可能である。
【0076】
また、前記流量配分比率を用いて個体差があると判別されたガスタービン翼8の表面温度分布の計測結果と、個体差はなく平均的であると判別されたガスタービン翼8の表面温度分布の計測結果との比較を行うことにより、流量配分比率から分かる個体差(若しくは異常)の有無だけでなく、該表面温度分布の比較から異常箇所の絞り込みあるいは特定及び異常事象(例えば、流路の詰まり、流路形状の異常など)の絞り込みあるいは特定をすることが可能である。
【0077】
さらに、表面温度分布からホットスポットやコールドスポットが発見された場合には、亀裂などの損傷が発生する前に対策をとることが可能となる。また、稼働中の部品の点検時に亀裂等の発見にも使うことが可能である。
【0078】
また、同種のガスタービン翼群について、ガスタービン翼毎の表面温度分布状況を比較して個体差を判別することにより、製造時品質チェックや使用に伴う劣化のチェックを行うことも可能である。
【0079】
ここで、上述の表面温度分布の検証やチェックは、例えばサーモグラフとして表現された温度分布を検査員が見比べて経験に基づいて行っても良いし、表面温度分布画像(サーモグラフ)の電子データを既存の画像処理技術を用いて比較して行っても良い。
【0080】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、複数の流路及び流路出口を有する被検査体としてガスタービン翼を採用しているが、これに限られず、複数の流路及び流路出口を有する被検査体に対して適用することが可能である。
【0081】
また、本実施形態では、被検査体の内部流路に空気を供給しているが、これに限られず、その他の気体若しくは液体であっても構わない。被検査体の種類その他の計測条件により適宜選択することが可能である。
【0082】
更に、本実施形態では、流量Q[m3/s]と圧力損失ΔP[Pa]の複数組のデータから、最小二乗法により原点を通る2次放物線を推定することにより流路の特性係数を求めたが、圧力損失ΔP[Pa]を流量Q[m3/s]の2乗で除したものの平均値として求めることも可能である。また、流量Q[m3/s]と圧力損失ΔP[Pa]のデータが1組だけであっても、圧力損失ΔP[Pa]を流量Q[m3/s]の2乗で除したものとして流路の特性係数を求めることも可能である。
【実施例1】
【0083】
以下に、実際のガスタービン翼を用いた流量配分比率の計算結果について説明する。
【0084】
図5は、3つの流路を有するガスタービン翼を用い、該流路別に、供給する空気流量を段階的に変化させたときの流路の圧力損失を計測し、横軸を空気流量、縦軸を圧力損失(差圧)とする座標軸上に計測結果をプロットしたものである。本実施例では、該流路に供給する空気流量を、3[Nm3/h]から10[Nm3/h]まで1[Nm3/h]ピッチで変化させ、各空気流量に対する流路の圧力損失を計測した。
【0085】
前記計測データを用い、偏差を最小とする原点を通る2次放物線を推定することによって、流路の特性係数として、C21=0.335、C22=0.263、C23=0.0984を得た。
【0086】
上記特性係数の値と、数式9−1から9−3とにより、流量配分比は、q21=25.2[%]、q22=28.4[%]、q23=46.4[%]となった。
【0087】
また、図6は実施例のガスタービン翼背側の表面温度分布計測結果(赤外線温度計により取得した温度分布画像)を線図化し濃淡を付けたもの(灰色が濃い部分ほど表面温度が高い)である。この結果から、ガスタービン翼一番下の後縁からの噴出し孔部分周辺(図6中の点線丸部分)の温度が低く、かつ温度勾配も大きくなっており、該部分に亀裂が生じていることが分かる。なお、該表面温度分布計測の条件はいずれも、空気流量が10[Nm3/h]、流路入口における空気温度は摂氏110度とした。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の個体差判別方法並びに装置の実施形態の一例を示す構成図である。
【図2】本発明の個体差判別方法並びに装置の実施形態の一例であって、被検査体の表面温度分布の計測を合わせて行う場合を示す構成図である。
【図3】実施形態のガスタービン翼の縦断面図である。
【図4】流路毎の流量配分比率の測定方法のフローチャートである。
【図5】実施例の流量と圧力損失(差圧)の計測結果のグラフである。
【図6】実施例のガスタービン翼背側の表面温度分布計測結果の線図であって、内部に亀裂がある場合である。
【図7】従来のガスタービン翼の冷却穴の目詰まり検知装置の概略構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1 圧縮機
2 管路
3 流量調整弁
4 ヘッダ
5 圧力計
6 被検査体固定部
7 流路入口カバー
8 ガスタービン翼
9 リザーバータンク
11 空気加熱器
12 温度計
13 赤外線温度計
21、22、23 流路
24 フリンジ
30 静翼
31 外側シュラウド
32 内側シュラウド
37 冷却穴
50 赤外線映像装置
60 加熱装置
70 噴出装置
80 媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の流路入口から供給された流体を分流させて流し各々流路出口から流出させる複数の内部流路を有する被検査体における前記内部流路毎の流体の流量配分比率を非破壊で求める方法において、前記各流路毎に、流量を段階的に変化させた流体を流し、そのときの流量の変化に伴う前記流路入口と前記流路出口の流体の圧力差の変化を計測し、該流量と前記圧力差との関係から前記各内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径により決定される前記内部流路の特性係数を求め、該特性係数の比により流路毎の流量配分比率を求めることを特徴とする流量配分比率測定方法。
【請求項2】
請求項1記載の流量配分比率測定方法によって求められた前記流量配分比率の差異から同種の被検査体の個体差を判別するものである被検査体間の個体差判別方法。
【請求項3】
単一の流路入口から供給された流体を分流させて流し各々流路出口から流出させる複数の内部流路を有する被検査体における個体差を非破壊で求める方法において、前記各流路毎に、流量を段階的に変化させた流体を流し、そのときの流量の変化に伴う前記流路入口と前記流路出口の流体の圧力差の変化を計測し、該流量と前記圧力差との関係から前記各内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径により決定される前記内部流路の特性係数を求め、該特性係数の比により流路毎の流量配分比率を求める工程と、全ての前記内部流路に加熱流体又は冷却流体を同時に流し、前記被検査体の表面に表れる温度変化を計測して表面温度の分布を求める工程と、前記表面温度分布と前記流量配分比率との双方を判断基準として同種被検査体間における個体差の判別を行うことを特徴とする被検査体間の個体差判別方法。
【請求項4】
単一の流路入口から供給された流体を分流させて流し各々流路出口から流出させる複数の内部流路を有する被検査体における前記内部流路毎の流体の流量配分比率を非破壊で求める装置において、前記複数の内部流路のうちの特定の流路にのみ流体を流すように制御する流路入口カバーと、該流体を前記内部流路へ供給する圧縮機と、前記内部流路へ供給する前記流体の流量を調整する流量調整弁と、該流量の変化に伴う前記流路入口の流体の圧力の変化を計測する圧力計と、該流量と前記流路入口と前記流路出口の流体の圧力差との関係から前記各内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径により決定される前記内部流路の特性係数を求めて該特性係数の比により流路毎の流量配分比率を求める処理装置とを有する流量配分比率測定装置。
【請求項5】
単一の流路入口から供給された流体を分流させて流し各々流路出口から流出させる複数の内部流路を有する被検査体における個体差を非破壊で求める装置において、前記複数の内部流路のうちの特定の流路にのみ流体を流すように制御する流路入口カバーと、該流体を前記内部流路へ供給する圧縮機と、前記内部流路へ供給する前記流体の流量を調整する流量調整弁と、該流量の変化に伴う前記流路入口の流体の圧力の変化を計測する圧力計と、該流量と前記流路入口と前記流路出口の流体の圧力差との関係から前記各内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径により決定される前記内部流路の特性係数を求めて該特性係数の比により流路毎の流量配分比率を求める処理装置と、該流量配分比率の差異から同種の被検査体の個体差を判別する処理装置とを有する被検査体間の個体差判別装置。
【請求項6】
単一の流路入口から供給された流体を分流させて流し各々流路出口から流出させる複数の内部流路を有する被検査体における個体差を非破壊で求める装置において、前記複数の内部流路のうちの特定の流路にのみ流体を流すように制御する流路入口カバーと、該流体を前記内部流路へ供給する圧縮機と、前記内部流路へ供給する前記流体の流量を調整する流量調整弁と、該流量の変化に伴う前記流路入口の流体の圧力の変化を計測する圧力計と、該流量と前記流路入口と前記流路出口の流体の圧力差との関係から前記各内部流路の摩擦係数、流路長さ、流路の等価直径により決定される前記内部流路の特性係数を求めて該特性係数の比により流路毎の流量配分比率を求める処理装置と、該流量配分比率の差異から同種の被検査体の個体差を判別する処理装置と、前記流体を加熱又は冷却する加熱器又は冷却器と、前記被検査体の表面に表れる温度変化を計測して表面温度の分布を計測する温度計測装置と、該表面温度分布と前記流量配分比率との双方を判断基準として同種被検査体間における個体差の判別を行う処理装置とを有する被検査体間の個体差判別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−208309(P2006−208309A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−23857(P2005−23857)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】