説明

被記録媒体搬送装置、記録装置、液体噴射装置

【課題】案内部材と搬送駆動ローラとの位置関係を用紙幅方向で均一にすることで、用紙送り精度の向上、特にスキューの発生を防止する。
【解決手段】両端を軸受部によって軸支されるとともに回転駆動される搬送駆動ローラ41には、搬送従動ローラ42が弾接する。搬送駆動ローラ41の下流側には、用紙幅方向に延びる形状を成し、用紙を支持するとともに下流側へ案内する紙案内前45が設けられる。中間支持部材31は、搬送駆動ローラ41を両端の軸受部の間で支持することにより、搬送駆動ローラ41中間部の、用紙記録面と直交する方向の位置を規制する。中間支持部材31には凹部31bが形成されるとともに、紙案内前45には凸部45aが形成され、凹部31bに凸部45aが嵌入することにより、紙案内前45の、用紙記録面と直交する方向の位置が、中間支持部材31によって規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
被記録媒体に記録を行う記録装置において被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送装置およびこれを備えた記録装置に関する。また、本発明は液体噴射装置に関する。
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンタ、複写機およびファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0002】
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
記録装置或いは液体噴射装置の一例としてインクジェットプリンタがある。インクジェットプリンタは被記録媒体(被噴射媒体)としての記録用紙にインク(液体)を吐出するインクジェット記録ヘッドと対向する位置に、記録用紙を下から支持することによりインクジェット記録ヘッドと記録用紙とのギャップを規定する案内部材(プラテンとも言う)を備えている。
【0004】
案内部材の上流側には、記録用紙を搬送する搬送手段が設けられる。搬送手段は、例えば回転駆動される搬送駆動ローラと、当該搬送駆動ローラに上方から圧接する搬送従動ローラとを備えて構成される。ここで、搬送駆動ローラは、それ自身の自重により、或いは搬送従動ローラから受ける荷重の為に、中央部分に撓みが生じる場合があり、その結果用紙送り精度が低下する場合がある。そこでこの様な搬送駆動ローラの撓みによる用紙送り精度の低下を防止する為に、特許文献1には、搬送駆動ローラ(送り駆動ローラ)を中支えする中支え部を設けた記録装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−281255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インクジェットプリンタにおいて記録用紙は、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとによって案内部材に押し付けられながら搬送される場合がある。これは、記録用紙の案内部材からの浮き上がりを抑止し、ヘッド擦れの発生や、記録ヘッドと記録用紙との間のギャップの変化を防止して、記録品質の低下を防止する為である。
【0007】
従って案内部材と搬送駆動ローラとの位置関係が用紙幅方向で不均一であると、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとによる案内部材への用紙押し付け力が、用紙幅方向で不均一となり、その結果スキューが発生する虞がある。しかしこの様な問題は、上記特許文献1記載の記録装置の様に、搬送駆動ローラの中支え部を設けるのみでは解消することができなかった。
【0008】
そこで本発明はこの様な問題に鑑みなされたものであり、その目的は、案内部材と搬送駆動ローラとの位置関係を用紙幅方向で均一にすることで、用紙送り精度の向上、特にスキューの発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する為に、本発明の第1の態様は、両端を軸受部によって軸支されるとともに回転駆動される搬送駆動ローラ及び当該搬送駆動ローラに弾接して従動回転する搬送従動ローラを備えた被記録媒体搬送手段と、前記搬送駆動ローラによって搬送される被記録媒体の幅方向に延びる形状を成し、前記被記録媒体搬送手段の上流側或いは下流側に設けられて被記録媒体を支持するとともに下流側へ案内する被記録媒体案内部材と、を備えた被記録媒体搬送装置であって、前記搬送駆動ローラを両端の軸受部の間で支持することにより、前記搬送駆動ローラ中間部の、被記録媒体記録面と直交する方向の位置を規制する中間支持部を備え、前記被記録媒体案内部材に、前記中間支持部と係合する係合部が設けられるとともに、前記中間支持部には前記係合部が係合する被係合部が設けられ、前記係合部と前記被係合部とが係合することにより、前記被記録媒体案内部材の、被記録媒体記録面と直交する方向の位置が、前記中間支持部によって規制される様構成されていることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、中間支持部によって搬送駆動ローラと被記録媒体案内部材との双方が、被記録媒体記録面と直交する方向の位置を規制されるので、被記録媒体案内部材と搬送駆動ローラとの位置関係を被記録媒体の幅方向で均一とすることができ、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとによって被記録媒体を被記録媒体案内部材へ押し付けながら送る際の前記押し付け力を、被記録媒体幅方向で均一とすることができ、もってスキューの発生が防止され、被記録媒体を精度良く搬送することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の被記録媒体搬送装置において、前記被記録媒体案内部材に設けられた係合部が、前記搬送駆動ローラの回転軸線方向に延びる凸部又は凹部によって構成されるとともに、前記中間支持部材に設けられた被係合部が、前記搬送駆動ローラの回転軸線方向に延びる、前記凸部が嵌入可能な凹部、又は前記凹部に嵌入可能な凸部、によって構成され、前記被記録媒体案内部材の長手方向端部の少なくとも一方側には、前記被記録媒体案内部材を支持するフレーム材が配置され、前記被記録媒体案内部材を前記搬送駆動ローラの回転軸線方向にスライドさせることにより、前記被記録媒体案内部材を前記フレーム材に支持させつつ、前記凸部を前記凹部に嵌入可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、被記録媒体案内部材を前記搬送駆動ローラの回転軸線方向にスライドさせることにより、前記被記録媒体案内部材を前記フレーム材に支持させつつ、前記凸部を前記凹部に嵌入可能に構成されているので、被記録媒体案内部材の取付作業性が極めて容易となる。
【0013】
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載の被記録媒体搬送装置において、前記凹部において前記凸部の位置を規制する規制面に対し、前記凸部の側の前記規制面と当接する当接面が凸曲面を成していることを特徴とする。
本態様によれば、前記凹部において前記凸部の位置を規制する規制面に対し、前記凸部の側の当接面が凸曲面を成しているので、凸部の凹部内における姿勢が拘束されず、即ち被記録媒体案内部材の姿勢が中間支持部材によって拘束されることがなく、よって被記録媒体案内部材の取付姿勢を適切な状態にすることができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、第1から第3の態様のいずれかに記載の被記録媒体搬送装置において、前記中間支持部が前記搬送駆動ローラを支持する支持位置を調整可能に構成されていることを特徴とする。本態様によれば、中間支持部が搬送駆動ローラを支持する支持位置を調整可能に構成されているので、中間支持部の部品単体での寸法精度や組立時の寸法精度が低下しても、これに拘わらず搬送駆動ローラを適切な位置で支持することが可能となる。
【0015】
本発明の第5の態様は、被記録媒体に記録を行う記録手段を備えた記録装置であって、上記第1から第4の態様のいずれかに記載の前記被記録媒体搬送装置を備えていることを特徴とする。本態様によれば、記録装置において、上記第1から第4の態様のいずれかと同様な作用効果を得ることができる。
【0016】
本発明の第6の態様は、被噴射媒体に液体噴射を行う液体噴射手段と、両端を軸受部によって軸支されるとともに回転駆動される搬送駆動ローラ及び当該搬送駆動ローラに弾接して従動回転する搬送従動ローラを備えた被噴射媒体搬送手段と、前記搬送駆動ローラによって搬送される被噴射媒体の幅方向に延びる形状を成し、前記被噴射媒体搬送手段の上流側或いは下流側に設けられて被噴射媒体を支持するとともに下流側へ案内する被噴射媒体案内部材と、を備えた液体噴射装置であって、前記被噴射媒体搬送装置が、前記搬送駆動ローラを両端の軸受部の間で支持することにより、前記搬送駆動ローラ中間部の、被噴射媒体液体噴射面と直交する方向の位置を規制する中間支持部を備え、前記被噴射媒体案内部材に、前記中間支持部と係合する係合部が設けられるとともに、前記中間支持部には前記係合部が係合する被係合部が設けられ、前記係合部と前記被係合部とが係合することにより、前記被噴射媒体案内部材の、被噴射媒体液体噴射面と直交する方向の位置が、前記中間支持部によって規制される様構成されていることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1乃至図10を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。図1は本発明に係る「記録装置」或いは「液体噴射装置」の一実施形態であるインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と言う)1の側断面概略図、図2はメインフレーム7によって基体が構成されるプリンタ1本体の斜視図、図3は同紙案内前45を取り外した状態の斜視図、図4はメインフレーム7単体の斜視図、図5(A)(B)はメインフレーム7の部分拡大斜視図である。
【0018】
また、図6は紙案内前45の斜視図、図7は中間支持部材31近傍の斜視図、図8は紙案内前45と中間支持部材31との係合状態を示す斜視図、図9は中間支持部材31とカム部材32との係合状態を示す斜視図、図10は中間支持部材31と紙案内前45の側断面図である。
尚、図1乃至図10に示すx−y−z座標系は、x方向が主走査方向(記録ヘッド48の移動方向)、y方向が用紙搬送方向、z方向が垂直方向(用紙記録面に直交する方向)を示しており、以下「x方向」、「y方向」、「z方向」と記載するときは、これらを意味するものとする。
【0019】
以下、図1を参照しつつプリンタ1の全体構成について概説する。プリンタ1は、装置後部にリア給送装置2を、装置底部にフロント給送装置3をそれぞれ備え、これら2つの給送装置から、搬送手段5へと「被記録媒体」或いは「被噴射媒体」としての記録用紙を給送する。記録用紙は搬送手段5によって記録手段4(記録ヘッド48)へと搬送され、記録が実行された後、排出手段6によって図示しないスタッカへと排出される。
【0020】
以下、用紙搬送経路上の構成要素について更に詳説する。
リア給送装置2は、ホッパ12と、給送ローラ11と、リタードローラ13と、戻しレバー14と、更に図示しないその他の構成要素を備えている。
ホッパ12は板状体から成り、上部の揺動支点12aを中心に揺動可能に設けられ、揺動することにより、ホッパ12上に傾斜姿勢に支持された用紙Pを給送ローラ11に圧接させる圧接姿勢と、給送ローラ11から離間させる離間姿勢と、を切り換える。
【0021】
給送ローラ11は円形状を成し、回転することにより、圧接した最上位の用紙Pを下流側へ給送する。リタードローラ13は外周が弾性材によって形成されるとともに給送ローラ11と圧接可能に設けられ、且つ、トルクリミッタ機構により、所定の回転抵抗が与えられた状態に設けられていて、給送ロ−ラ11との間で用紙Pを挟圧することにより、用紙の重送を防止する。用紙戻しレバー14は、給送ロ−ラ11とリタードローラ13との間に滞留する用紙(重送されようとした次位以降の用紙)の先端をホッパ12上に戻す。
【0022】
一方、プリンタ1の底部に設けられ、用紙を装置前方からセットする様構成されたフロント給送装置3は、給紙カセット25と、ピックアップローラ26と、給送ローラ28と、分離ローラ29と、アシストローラ30と、を備えている。
図示しないモータによって回転駆動されるピックアップローラ26は、装置前方側から装着及び取り外し可能な給紙カセット25にセットされた用紙Pの最上位のものと接して回転することにより、当該最上位の用紙Pを給紙カセット25から繰り出す。給送ローラ28は図示しないモータによって回転駆動され、給紙カセット25から繰り出された最上位の用紙Pを湾曲反転させて、紙案内後44を経て搬送駆動ローラ41へと給送する。
【0023】
給送ローラ28の外周面と対向する位置には、給送ローラ28に対して進退可能となるよう分離ローラ29が設けられており、給紙カセット25から最上位の用紙Pが繰り出される際には、給送ローラ28に圧接してニップ点を形成することにより、給送されるべき最上位の用紙Pに連られて給紙カセット25から繰り出された次位以降の用紙P先端を当該ニップ点近傍に留める。アシストローラ30は、給送ローラ28の外周面と接する様設けられており、用紙Pを給送ローラ28との間でニップすることにより、給送ローラ28の回転に伴う用紙Pの給送をアシストする。
【0024】
次に、リア給送装置2及びフロント給送装置3の下流側には、給送される用紙Pを搬送手段5へと案内する紙案内後44と、紙案内上ユニット9と、が設けられており、リア給送装置2及びフロント給送装置3によって給送される用紙Pは、紙案内上ユニット9と紙案内後44とによって搬送手段5へ案内される。尚、符号40は、リア給送装置2から給送される用紙Pの給送姿勢を形成するガイドローラを示している。
【0025】
搬送手段5は、両端をメインフレーム7の曲げ起こし部(後述するサイドフレーム部7cと中間フレーム部7d)に軸支されるとともに図示しないモータによって回転駆動される搬送駆動ローラ41と、該搬送駆動ローラ41に上方から弾接して従動回転する搬送従動ローラ42とを備えて構成されている。搬送駆動ローラ41は用紙幅方向に延びる金属軸の外周面に耐摩耗性粒子がほぼ均一に分散されて成る付着層を備えて成され、搬送従動ローラ42は外周面がポリアセタール樹脂等の低摩擦材料によって成され、搬送駆動ローラ41の軸線方向に複数配設されている。
【0026】
搬送従動ローラ41を軸支する紙案内上43は、サブフレーム8とともに紙案内上ユニット9を構成し、この紙案内ユニット9が、本実施形態において用紙幅方向に2つ、図2に示す様にメインフレーム7に取り付けられる。紙案内ユニット9の紙案内上43は用紙搬送経路を側視して揺動可能となる様サブフレーム8に設けられるとともに、付勢手段(本実施形態ではコイルばね)によって搬送従動ローラ42が搬送駆動ローラ41に弾接する様付勢された状態に設けられる。
【0027】
搬送手段5に到達した用紙Pは、搬送駆動ローラ41と搬送従動ローラ42とによってニップされた状態で搬送駆動ローラ41が回転することにより、下流側の記録手段4(記録ヘッド48)の側へと搬送される。
記録ヘッド48はキャリッジ46の底部に設けられ、当該キャリッジ46は主走査方向(図1の紙面表裏方向)に延びるとともにメインフレーム7に支持されるキャリッジガイド軸47にガイドされながら、図示しない駆動モータによって主走査方向に往復動する様に駆動される。また、キャリッジ46は、複数の色毎に独立したインクカートリッジ(図示せず)を搭載し、このインクカートリッジから記録ヘッド48へとインクが供給される。
【0028】
記録ヘッド48と対向する位置には、用紙幅方向に延びる形状を成し、用紙を下から支持するとともに下流側へ案内する「被記録媒体案内部材」としての紙案内前45が設けられ、当該紙案内前45によって、用紙Pと記録ヘッド48との間の間隔が規定される。
記録手段4の下流側には、記録の行われた用紙Pを排出する排出手段6が設けられている。排出手段6は図示しないモータによって回転駆動される排出駆動ローラ55と、当該排出駆動ローラ55に接して従動回転する排出従動ローラ56とを備えて構成され、記録手段4によって記録の行われた用紙Pは、排出駆動ローラ55と排出従動ローラ56とによってニップされた状態で排出駆動ローラ55が回転駆動されることにより、装置前方側に設けられた図示しないスタッカへと排出される。
【0029】
尚、用紙Pには、搬送手段5と排出手段6との間で下に凸となる様な湾曲姿勢が形成され、これによって用紙Pの紙案内前45からの浮き上がりが防止され、用紙Pの記録面と記録ヘッド48との距離が一定に保たれる様になっている。その為、搬送駆動ローラ41及び搬送従動ローラ42の両ローラの軸芯を通る直線が、用紙搬送方向に対して傾き角を有する様に、搬送従動ローラ42の軸芯位置がやや下流側に設定されている。また、排紙手段6の近傍では、補助ローラ57により、紙案内前45からの浮き上がりが防止される。
【0030】
以上がプリンタ1の概要であり、以下図2乃至図10を参照しながら搬送駆動ローラ41及び紙案内前45の支持構造について詳説する。
図4に示す様にプリンタ1の基体を構成するメインフレーム7は金属板材の曲げ加工によって平面視略コの字形の形状を成すように一体的に形成される。より具体的には、主走査方向に延びるとともに用紙搬送方向と直交するフレーム面、即ちx−z平面に平行なフレーム面を形成する中央フレーム部7aと、その両端部において中央フレーム部7aと直交するフレーム面、即ちy−z平面に平行なフレーム面を形成するサイドフレーム部7b、7cと、その間において中央フレーム7aと直交するフレーム面、即ちy−z平面に平行なフレーム面を形成する中間フレーム部7d、7eと、中央フレーム部7aの下端が装置前方側に向けて折り曲げられて形成されたローラ支持フレーム部7f(x−y平面に平行)及び7g(x−z平面に平行)と、を備えている。
【0031】
ローラ支持フレーム部7f、7gには、図5(A)、(B)に示す様に両サイドに位置する中間フレーム部7d、7eのフレーム面と平行となる様に舌片部7h、7hが曲げ加工されており、この舌片部7h、7hがねじ39、39を介して中間フレーム部7d、7eにそれぞれ固定されて、略箱形の形状を形成する様になっている。ローラ支持フレーム部7f、7gがメインフレーム7に一体的に形成されたことにより、後述する中間支持部材31のy方向取付位置が正確に定まるとともに、略箱形の形状を成すように形成されたことによって剛性が向上し、その結果後述する中間支持部材31のz方向取付位置が経年変化等によって狂うことなく正しい位置に維持される様になっている。
【0032】
次に、紙案内前45の長手方向端部の一方側には、図6に示す様な突起45b、45cが形成されており、中間フレーム部7dには突起45b、45cが嵌入する穴が形成されていて(図示は省略)、紙案内前45をx方向(搬送駆動ローラ41の回転軸線方向)にスライドさせることにより、紙案内前45の1桁側(図2の右側)の端部が中間フレーム部7dに支持される様になっている。即ち、紙案内前45の1桁側におけるz方向位置が、中間フレーム部7dによって規制される。尚、紙案内前45の80桁側(図2の左側)におけるz方向位置は、掛止部45dが搬送駆動ローラ41に掛止するとともに、掛止部45eが排出駆動ローラ45の回転軸45aに掛止することによって規制される。また、中央部におけるz方向位置が、後述する中間支持部材31によって規制される。
【0033】
次に、ローラ支持フレーム部7f、7gには、図3、図7に示す様に中間支持部材31が設けられる。中間支持部材31には、図9に示す様に係止片31d、31dと突起31e、31fが形成されており、係止片31d、31dが図7に示すローラ支持フレーム部7gに形成されたガイド穴7j、7jに係止し、突起31e、31fがそれぞれガイド穴7k、7mに遊挿される様になっている。ここで、ローラ支持フレーム部7gに形成された前記複数のガイド穴は上下方向に延びており、これにより中間支持部材31が上下方向(z方向)に移動可能となっている。尚、中間支持部材31のz方向位置は、固定ねじ33によって固定される。
【0034】
中間支持部材31の下部には図8、図9に示す様にカムフォロワ31cが形成されており、このカムフォロワ31cが、カム部材32のカム面32aと係合する様になっている。カム部材32は、ローラ支持フレーム部7fにおいてx方向にスライド可能に設けられており、カム面32aは、x方向に傾斜する斜面によって形成されていて、カム部材32をx方向にスライド移動させると、中間支持部材31のz方向位置が変化する様になっている。
【0035】
この中間支持部材31は、搬送駆動ローラ41を両端の軸受部の間、即ち中間フレーム部7dとサイドフレーム部7cとの間で支持することにより、搬送駆動ローラ41中間部の、用紙記録面と直交する方向の位置(z方向位置)を規制する。より具体的には、搬送駆動ローラ41は両端を中間フレーム部7dとサイドフレーム部7cとに各々設けられた軸受部(図示せず)によって支持される。搬送駆動ローラ41の中間部には図7に示す様に縮径部41aが形成されており、この縮径部41aの外周面には、耐摩耗性粒子が付着されておらず、滑らかな面となっている。
【0036】
そして、この縮径部41aが、中間支持部材31のローラ支持面31aによって支持される。この為、搬送駆動ローラ41の、自重による撓みや搬送従動ローラ42から受ける荷重による撓みが規制される。尚、搬送駆動ローラ41の縮径部41aは、搬送駆動ローラ41の自重に起因する撓み傾向や搬送従動ローラ42から受ける荷重に起因する撓み傾向により、通常はローラ支持面31aに圧接した状態となる。
【0037】
次に、紙案内前45には中間支持部材31と係合する係合部が設けられるとともに、中間支持部材31には、前記係合部が係合する被係合部が設けられている。より具体的には、紙案内前45には、図6及び図8に示す様にx方向に延びる前記係合部としての凸部45aが形成されており、中間支持部材31には、図8及び図9に示す様にx方向に延びる前記被係合部としての凹部31bが形成されている。従って紙案内前45をx方向にスライドさせることにより紙案内前45を中間フレーム部7dに支持させる際には、紙案内前45の凸部45aを中間支持部材31の凹部31bに嵌入させる様にする。これにより、中間支持部材31と紙案内前45との係合状態が形成される。
【0038】
中間支持部材31と紙案内前45との係合状態が形成されると、中間支持部材31によって、搬送駆動ローラ41と紙案内前45との双方が、用紙記録面と直交する方向の位置(本実施形態においてz方向位置)を規制されるので、紙案内前45と搬送駆動ローラ41との位置関係を用紙幅方向で均一とすることができ、搬送駆動ローラ41と搬送従動ローラ42とによる紙案内前45への用紙押し付け力を、用紙幅方向で均一とすることができる。その結果、スキューの発生が防止され、用紙を精度良く搬送することが可能となる。
【0039】
即ち、搬送駆動ローラ41と紙案内前45との位置関係が用紙幅方向で不均一であると、搬送駆動ローラ41と搬送従動ローラ42とによる紙案内前45への用紙押し付け力が用紙幅方向で不均一となり、その結果スキューが発生する虞がある。特に搬送駆動ローラ41の中間部位では搬送駆動ローラ41の自重や搬送従動ローラ42から受ける荷重により撓み量が大きくなり易く、紙案内前45との位置関係が狂い易い。
【0040】
しかし、上述の通り用紙支持部材31によって搬送駆動ローラ41と紙案内前45の双方が支持されるので、その様な不具合を防止することが可能となる。また、紙案内前45を樹脂材料によって形成する場合には、長手方向(x方向)の反りが形成され、これによって搬送駆動ローラ41との位置関係が用紙幅方向で不均一となり易いが、用紙支持部材31によって中央部のz方向位置が規制されるので、長手方向の反りが矯正され、もって用紙スキューの発生を防止することができる。また、紙案内前45は、熱によるクリープ変形によって長手方向中央部が下方に変位する様に撓む虞もあるが、用紙支持部材31によってこの様な変形(反り)も規制することができる。
【0041】
また、図10に示す様に、凹部31bにおいて凸部45aの位置を規制する規制面31g、31hに対し、凸部45aの側の当接面が凸曲面を成している。図10の例では、紙案内前45に、上に凸となる様な撓み傾向が生じている為、凸部45aが上方の規制面31hに圧接した状態となっている。
【0042】
ここで、仮に凸部45aにおいて規制面31hに当接する当接面が平坦面であると、紙案内前45の図10における時計回り方向/反時計回り方向の姿勢が規制面31hからの影響を受けることとなり、記録ヘッド48と用紙記録面との間のギャップが不適正となる虞がある。しかし、上述の通り凸部45aの当接面は凸曲面を成しているので、紙案内前45が凹部31g(中間支持部材31)からの影響を受けず、記録ヘッド48と用紙記録面との間のギャップを適正なものとすることができる。
尚、以上説明した中間支持部材31は、本実施形態では搬送駆動ローラ41の両端部の間に1つのみ設けているが、複数設けても構わないことは言うまでもない。また、排出駆動ローラ55の回転軸55aの撓みを防止する為に、当該回転軸55aに適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るプリンタの側断面概略図。
【図2】本発明に係るプリンタ本体の斜視図。
【図3】本発明に係るプリンタ本体の、紙案内前を取り外した状態の斜視図。
【図4】メインフレームの斜視図。
【図5】(A)、(B)共にメインフレームの部分拡大斜視図。
【図6】紙案内前の斜視図。
【図7】中間支持部材近傍の斜視図。
【図8】紙案内前と中間支持部材との係合状態を示す斜視図。
【図9】中間支持部材とカム部材との係合状態を示す斜視図。
【図10】中間支持部材と紙案内前の側断面図。
【符号の説明】
【0044】
1 インクジェットプリンタ、2 リア給送装置、3 フロント給送装置、4 記録手段、5 搬送手段、6 排出手段、7 メインフレーム、7a 中央フレーム部、7b、7c サイドフレーム部、7d、7e 中間フレーム部、7f、7g ローラ支持フレーム部、8 サブフレーム、9 紙案内上ユニット、11 給送ローラ、12 ホッパ、13 リタードローラ、14 戻しレバ−、25 給紙カセット、26 ピックアップローラ、28 給送ローラ、30 アシストローラ、31 中間支持部材、31a ローラ支持面、31b 凹部、31c カムフォロワ、31d、31e 31f 突起、31g、31h 規制面、32 カム部材、40 ガイドローラ、41 搬送駆動ローラ、42 搬送従動ローラ、43 紙案内上、44 紙案内後、45 紙案内前、45a 凸部、45b、45c 突起部、46 キャリッジ、47 キャリッジガイド軸、48 記録ヘッド、55 排出駆動ローラ、56 排出従動ローラ、57 補助ローラ、P 記録用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端を軸受部によって軸支されるとともに回転駆動される搬送駆動ローラ及び当該搬送駆動ローラに弾接して従動回転する搬送従動ローラを備えた被記録媒体搬送手段と、
前記搬送駆動ローラによって搬送される被記録媒体の幅方向に延びる形状を成し、前記被記録媒体搬送手段の上流側或いは下流側に設けられて被記録媒体を支持するとともに下流側へ案内する被記録媒体案内部材と、を備えた被記録媒体搬送装置であって、
前記搬送駆動ローラを両端の軸受部の間で支持することにより、前記搬送駆動ローラ中間部の、被記録媒体記録面と直交する方向の位置を規制する中間支持部を備え、
前記被記録媒体案内部材に、前記中間支持部と係合する係合部が設けられるとともに、前記中間支持部には前記係合部が係合する被係合部が設けられ、
前記係合部と前記被係合部とが係合することにより、前記被記録媒体案内部材の、被記録媒体記録面と直交する方向の位置が、前記中間支持部によって規制される様構成されている、
ことを特徴とする被記録媒体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の被記録媒体搬送装置において、前記被記録媒体案内部材に設けられた係合部が、前記搬送駆動ローラの回転軸線方向に延びる凸部又は凹部によって構成されるとともに、前記中間支持部材に設けられた被係合部が、前記搬送駆動ローラの回転軸線方向に延びる、前記凸部が嵌入可能な凹部、又は前記凹部に嵌入可能な凸部、によって構成され、
前記被記録媒体案内部材の長手方向端部の少なくとも一方側には、前記被記録媒体案内部材を支持するフレーム材が配置され、
前記被記録媒体案内部材を前記搬送駆動ローラの回転軸線方向にスライドさせることにより、前記被記録媒体案内部材を前記フレーム材に支持させつつ、前記凸部を前記凹部に嵌入可能に構成されている、
ことを特徴とする被記録媒体搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の被記録媒体搬送装置において、前記凹部において前記凸部の位置を規制する規制面に対し、前記凸部の側の前記規制面と当接する当接面が凸曲面を成している、
ことを特徴とする被記録媒体搬送装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の被記録媒体搬送装置において、前記中間支持部が前記搬送駆動ローラを支持する支持位置を調整可能に構成されている、
ことを特徴とする被記録媒体搬送装置。
【請求項5】
被記録媒体に記録を行う記録手段を備えた記録装置であって、請求項1から4のいずれか1項に記載の前記被記録媒体搬送装置を備えていることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
被噴射媒体に液体噴射を行う液体噴射手段と、
両端を軸受部によって軸支されるとともに回転駆動される搬送駆動ローラ及び当該搬送駆動ローラに弾接して従動回転する搬送従動ローラを備えた被噴射媒体搬送手段と、
前記搬送駆動ローラによって搬送される被噴射媒体の幅方向に延びる形状を成し、前記被噴射媒体搬送手段の上流側或いは下流側に設けられて被噴射媒体を支持するとともに下流側へ案内する被噴射媒体案内部材と、を備えた液体噴射装置であって、
前記被噴射媒体搬送装置が、前記搬送駆動ローラを両端の軸受部の間で支持することにより、前記搬送駆動ローラ中間部の、被噴射媒体液体噴射面と直交する方向の位置を規制する中間支持部を備え、
前記被噴射媒体案内部材に、前記中間支持部と係合する係合部が設けられるとともに、前記中間支持部には前記係合部が係合する被係合部が設けられ、
前記係合部と前記被係合部とが係合することにより、前記被噴射媒体案内部材の、被噴射媒体液体噴射面と直交する方向の位置が、前記中間支持部によって規制される様構成されている、
ことを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−44752(P2008−44752A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−223357(P2006−223357)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】