説明

装眼具用の二重湾曲光学デバイス及びその製造方法

【課題】本発明は湾曲した光学デバイス及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】湾曲光学デバイスは、最初は平坦な対向するフレキシブルな一対の基板、その基板の間に配置されたスペーサ及びシールされた流体材料を含む。基板は均一に制御された間隔を有する。基板は、制御された間隔を維持しながら型に熱及び圧力を印加することによって永久的に曲げられる。流体材料は光学デバイスに強化された光学特性を与えるための液晶である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して光学デバイスの分野に関する。特に、本発明は湾曲した光学デバイス及びその製造方法に関する。特定的に、本発明は液状媒体が内部に取り込まれた二重または複合的に湾曲した光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの光学要素のひとつの典型的な態様は該要素表面の曲率である。屈折レンズは、その表面及び裏面の曲率の違いから光線を収束または発散させる能力を引き出す。同様に、湾曲した鏡の焦点面は鏡の曲率によって決定される。ほとんどのレンズ及び鏡に対して、問題の表面は球面形状を有する。この例外のひとつは、球面及び円筒面の組合せである曲率を有する乱視矯正用レンズである。これらの要素の特徴は、それらが2次元面を有し、それらが2つの主曲率を有するということである。例えば、平面は両方ともゼロの曲率を有する。円筒面は、片方の曲率はゼロであるが、他方の曲率はゼロではない。球面は互いに等しいゼロ以外の曲率を有すると定義される。したがって、ほとんど例外なく、光学要素はゼロ以外でかつ異なる曲率を有する面を使用して構成されていることがわかる。よって当業者はこの種の光学要素を二重湾曲(doubly curved)と呼ぶ。
【0003】
最も普通の光学要素は眼鏡で使用される視力矯正レンズである。最も重症な場合を除き、これらのレンズはメニスクスレンズであり、その両面は二重に湾曲している。矯正レンズは一方が二重湾曲で他方が平坦な面で組み立てられているが、人間の顔も二重湾曲しているため、この構成は美感の面で不所望である。視力矯正に加え、二重湾曲レンズを有する眼鏡は、太陽光線、まぶしさ及び外の物から目を保護するために掛けられており、もちろんファッションアクセサリーとしても使用される。二重湾曲面を有する他の種類の装眼具は、ゴーグル、バイザー及びヘルメットのフェースプレートである。光が通過するかまたは反射する二重湾曲面の他の例は、風防ガラス、ガラスブロック窓、自動車ヘッドランプ、天窓及び関連する光学デバイスである。
【0004】
これら及び他の多くの応用に対して、光学要素の表面上に固体層を貼り付けるのが通常である。当該層はしばしば、透過光制御、または反射防止特性のような付加的な光学機能を与えるために貼り付けられる。したがって、付加的層の各々はそれ自身光学要素として働き、他の要素へ付加されると、複合要素となる。光学要素を製造しかつこれらの層のひとつを二重湾曲面に取付けようとすると、さまざまな困難が生じる。特に、二重湾曲面へ貼り付けるべき層は最初は平坦である。例えば、通常の一対のガラスレンズ上にアルミ処理されたMylar(商標)を貼り付けることにより一対の鏡面サングラスを作ることができる。最初に平坦なMylarを展ばすかまたは切断しなければ、二重湾曲レンズ面へ合致させて取り付けることは不可能であることがすぐわかる。または、最初に平坦な層は貼り付け処理中に層材料の状態を変化させることによって貼り付けても良い。層が軟化されまたは溶かされ、かつその状態に固定されれば、合致させて取り付けることが可能である。明らかに、生成された複合光学要素は、層が貼り付けられた温度以下の温度で動作しなければならない。
【0005】
上記方法で固体層を貼り付けることはできたが、光学要素へ複数の層を貼り付けたい場合、特に2つの層が制御された距離だけ互いに離されている場合に、多くの困難が生じる。言い換えれば、この制御された距離は2つの光学層の間にギャップを与え、このギャップが光学要素全体に渡って広がり、囲まれた体積を作る。この囲まれた体積は、所望の光学、保護または他の機能を実行する流体物質によって占められる。そのようなデバイスのひとつがここに参考文献として組み込む米国特許第6,239,778号に開示されている。生成された複合光学素子は電気的に制御可能な透光性を有する。当業者は、正確な動作を保証するためにはデバイス内でギャップを維持することが重要であることを知っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,239,778号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
2つの二重湾曲面の間の制御されたギャップに流体材料を与える試みは問題が多いことがわかった。この問題を解決するひとつの試みは、所望のギャップ間隔のスペーサによって分離された二重湾曲ハーフレンズを使用することである。しかし、そのようなデバイスに要求される小さいセルギャップ(ミクロンのオーダー)のせいで、レンズの全面にわたって要求されたギャップ間隔を維持しながら両方のレンズを適正に位置合わせすることは困難である。もし適当なギャップ間隔が維持されないと、所望の光学特性は得がたい。隣接する光学要素の形状に一致するようにそのようなデバイスの外面を適当に成形するのは非常に困難であることがわかった。
【0008】
他に眼鏡レンズを得るための方法は変更され、生成された複合レンズが正しい特性を有するように、2つのハーフレンズを一緒に接合することによって個人の視力を矯正するよう変えられる。ラミネートされたレンズを製造するこの方法は米国特許第4,883,548号及び6,180,033号に説明されている。しかし、これらの開示は、流体材料が光の透過または反射特性を制御するために使用されるには、レンズ間の制御されたギャップ距離を維持する必要がある点を言っていない。したがって、湾曲面の間でギャップが維持されるところの湾曲面を与えるデバイス及びその製造方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記を考慮して、本発明の第1の態様は装眼具用の湾曲した光学デバイス及びその製造方法を与えることである。
【0010】
本発明の他の態様は、制御された間隔を有する対向基板を組み込む湾曲した光学デバイスを与えることである。
【0011】
本発明のさらに他の態様は、スペーサを使用することで基板間の制御された間隔を維持するための湾曲した光学デバイスを与えることである。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、基板間に取り込まれた流体材料の特性を制御するべく基板にコーティングを与えることであり、該コーティングは電極、アライメント層などである。
【0013】
本発明のさらに他の態様は、基板が少なくともひとつの次元で10ジオプトリーまでの曲率で湾曲されるところの湾曲光学デバイスを与えることである。
【0014】
本発明のさらに他の態様は、所望の湾曲形状に一致するように基板に制御された圧力を与える前、間または後に、制御された間隔を有する一対の最初は平坦な対向基板の温度を所定の温度まで加熱する処理によって形成されるところの湾曲光学デバイスを与えることである。
【0015】
本発明の付加的な態様は、基板間で所望の制御された間隔を維持しながら湾曲形状が残るような方法で圧力及び熱が除去されると同時に所望の湾曲形状が形成されるように、対向する基板を一致させるための対向する型面を与える、湾曲光学デバイス及びその製造方法を与えることである。
【0016】
本発明のさらに他の態様は、流体材料が基板間に取り込まれるところの、湾曲光学デバイス及びその製造方法を与えることである。本発明のこの態様に関して、流体材料は形成処理の前または後に充満される。
【0017】
本発明のさらに他の態様は、制御された間隔を有する基板を含む最初に湾曲している光学デバイスが、当該デバイスに付加的な曲率を与えるために上記した熱及び圧力を与えられるところの、湾曲した光学デバイスを与えることである。
【0018】
本発明のさらに他の態様は、湾曲したデバイスの一方の面に実質的に合致するハーフレンズへ基板が取り付けられるところの、湾曲した光学デバイスを与えることである。
【0019】
本発明のさらに他の態様は、湾曲したデバイスの他方の面に実質的に合致する第2のハーフレンズが取り付けられるところの、湾曲した光学デバイスを与えることである。
【0020】
詳細な説明で明らかになるであろう本発明の上記及び他の態様は、一対の最初は平坦な対向するフレキシブルな基板及び一対の基板の間に配置されかつシールされた複数のスペーサを含む湾曲した光学デバイスによって達成され、当該基板は制御された間隔を有し、制御された間隔を維持しながら永久に湾曲したままである。
【0021】
本発明の他の態様は、対向するフレキシブルな基板を有する分離層スタックにギャップを形成するべく制御された間隔を与える工程と、湾曲した形状を与えるべく分離層スタックを熱成形する工程とを含む湾曲した光学デバイスを製造するための方法によって達成される。
【0022】
本発明のこれら及び他の態様並びに以下の詳細な説明で明らかとなる従来技術に対する利点は、以下に説明される改良によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、湾曲した光学デバイスの形成に使用される分離層スタックの略示図である。
【図2】図2は、光学デバイスを形成するための装置を示す略示図である。
【図3】図3は、形成処理後の光学装置の断面略示図である。
【図4】図4は、2つのハーフレンズ間に配置された光学デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照すると、本発明の製造に利用される分離層スタック10が示されている。概して、スタック10は一対の対向基板12を含む。好適実施例において、基板12は熱成形ポリマーの実質的に平坦なシートである。各基板には完成した光学デバイスの適当な光学動作に必要な任意の数のコーティングが適用される。これらのコーティングは、光電力素子用にパターン化されたインジウム・スズ酸化物のような導体または電極層14を含む。アライメント層16が基板間に配置されたあらゆる液晶材料の方向を制御するために電極層14上に与えられる。他のコーティングとして、装眼具デバイス用の反射防止コーティング、太陽光線保護用の紫外線ブロック層等を含んでもよい。そのようなコーティングは完成したデバイスの組み立て中に影響を受けないことがわかる。コーティングが適用される基板は、包囲された体積を与える面である内側面17を有し、一方基板の外側面は包囲された体積を与えない面である。シール材料18は基板12の内側面17の外周またはエッジの周りに与えられ、基板12の間から液体が漏れるのを防止するべく最後にシールされる。
【0025】
同一サイズのスペーサ材20が一方または両方の基板12の内側面17上に導入される。スペーサ20は2つの内側基板表面17が互いにスペーサのサイズより近づくことを防止する。該スペーサは製造工程の各ステージでの基板材料より堅い材料からできている。使用されるスペーサは、所望の光学デバイスが得られるように選択される。2つの平坦な基板12は、内側面17と内側面17とが互いに対面するように配置され、その間にスペーサを有しサンドイッチ構造を形成する。スペーサは約3μmから約2mmの間のあらゆるサイズである。所望により、流体材料26がギャップまたは制御された間隔24内に毛管作用または真空充填によって導入される。他に、所望の流体材料26はスペーサが適用されかつ他の基板が配置される前または後に一方の内側面に適用されてもよい。また、スペーサは合体され所望の流体内に組み込まれても良く、この組合せは他の基板が配置される前に一方の内側面に適用される。流体材料26はしばしば液晶材料であるが、フォトクロミック染料のような染料、エレクトロクロミック電解液、または樹脂を含む溶液であってもよい。シール材18は流体材料26を保持するためにスタック10全体を包囲する。シール材18は基板の熱成形ポリマー材料と相容れる接着剤であり、製造処理の他の工程と両立する温度を有する。以下に説明されるように、流体材料は、スタックに対し曲率が付加された後基板間に満たされる。
【0026】
図2を参照して、湾曲した光学デバイスを製造するための形成装置30が示されている。装置30は、製造処理中に必要なように温度を上下することができる加熱チャンバ32を含む。加熱チャンバ32内に含まれるのは、従来の方法でプラテン34の開閉を許すよう圧力35を受けるべく適応可能な一対の対向するプラテン34である。圧力の印加は以下で説明する方法で加熱することにより制御されかつ調整される。加熱要素37はプラテン34または型36、40によって保持される。他に、スタックは他のチャンバ内で加熱され、その後ただちに形成用の型へ転送されてもよい。上部プラテンに取り付けられているのは、型面38を与える半型36である。同様に、下部プラテンに取り付けられているのは、型面42を有する第2の半型40である。
【0027】
最初は平坦な分離層スタック10は2つの型面38及び42の間に挿入される。それぞれの型面は光学デバイスの一方側の所望の最終形状を有する。型面は、一方が他方とぴったりフィットするように、互いにつがいを為す。または、デバイスの使用目的に応じて一方の型面が他方の型面とわずかに異なる曲率を有しても良い。型面38、42は製造処理中は堅くかつ変形不能である。層スタック10はチャンバ32によって温度が上昇され、プラテン34によってスタック10へ圧縮力35が与えられる。該圧縮力は平坦な層に対し本質的に垂直である。温度及び圧縮力は最終製品を形成する際に大きく関連していると思われる。温度及び圧力の組合せは、基板12が型面38、42と一致し、温度が下げられかつ圧力が除去された後にそれが型面形状を永久に保持するように、十分に大きくなければならない。言い換えれば、光学デバイスの湾曲形状を維持するのに他の拘束力は必要ない。しかし、温度及び圧力は、基板の内側面がスペーサのサイズよりも互いに近づくほどに大きくてはならない。温度及び圧力が大きすぎると、基板同士が近づきすぎて、基板は個々のスペーサの直近で軟らかくなりへこんでしまうことがわかった。したがって、温度及び圧力の組合せ並びに印加の割合は、最初に平坦な層スタック10に所望の湾曲形状を与えるために十分に大きくなければならないが、基板の内側面17間の分離間隔を変えるほど大きくてはならない。処理温度が高くなるほど、必要な圧縮力は小さい。逆に、処理温度が低いほど、必要な圧縮力は大きい。処理温度は基板の融解温度を超えてはならないことがわかる。本方法で製造された光学デバイスの動作温度は熱形成温度より下である。力が除去されかつ温度が下げられた後でもスタック10が型によって与えられた形状を維持するように、圧縮力及び上昇温度は十分な時間でスタック10へ印加される。また、形状は他の力が印加されなければ維持される。
【0028】
図3に示されるように、スタック10が形成装置30から除去された後、二重湾曲光学デバイス50が与えられる。形成装置30は単純湾曲デバイスのみを形成してもよいが、二重湾曲デバイスはほとんどの機能を与えると思われる。上記処理は、0から10ジオプトリーに対応する第1曲率52及び0から10ジオプトリーに対応する第2曲率54を有するデバイス50を生成することができる。この処理を使った上限ジオプトリーはまだ分かっていない。上記処理は、光の透過及び/または反射を制御するのに使用する所望の光学特性が均一かつ許容できるものであるように、デバイスの全面を通じて内側面の間隔を制御維持することがわかった。
【0029】
好適実施例で説明された要素内の包囲された体積は、温度及び圧縮力を形成する装置において流体である物質を含む。この物質はデバイスの動作温度において流体であってもなくてもよい。ある場合には、包囲された体積中に何も含まれないことが所望される。シール材料18は熱成形処理の前ではなく熱成形処理中にシールされる。したがって、サンドイッチまたはスタック10が形成される際、接着剤のパターンは所望の包囲された体積の周囲の内側基板のひとつにプリントされる。湾曲形状を形成する前に基板間に流体材料が満たされなかった場合、形成処理後にシール材の開口部を通じて与えられる。
【0030】
完成したデバイス50は平坦ではなく最初から湾曲した基板を使って製造することもできる。最初から湾曲した基板を使うことによって、最初に平坦な基板を使うよりも大きな最終曲率または大きな要素面積を得ることができる。したがって、トータルの曲率が改善される。したがって、この実施例はヘルメットのフェースプレートに応用されるような大きい曲率を要するデバイスを製造するのに有用である。さらに、ゴーグル製造の際の鼻周辺のブリッジ部分のような複雑な曲線が得られる。
【0031】
例1
電極14を有する直径約2インチの2つの被覆された熱可塑性ポリエステル基板12(例えば、CPFilmsインコーポレイテッド製のOC−100)がアライメント層材料溶液(例えば、日本合成ゴム株式会社製のJALS204−R40)でコーティングされ、そのコーティングが乾燥した後0.1μmの好適厚さを有するアライメント層16が形成される。直径5μmのスペーサ20(例えば、EM Industries, Inc.のLicristar 50)がスタック10を通じてギャップ24を均一に制御するために提供される。好適には、スペーサ20は、熱成形処理中に外圧35の存在下で、スペーサ20が移動し互いに集まるのを防止するために、少なくともひとつのアライメント層16内に埋め込まれる。少なくともひとつのアライメント層16は、液晶材料26の方向を一致させるためにベルベット布を使ってこすられる。接着剤(例えば、Loctite Corp.製のLoctite349)のようなシール材18が少なくともひとつの開口部を残してセルの端に沿った少なくともひとつの面17に分配された後、アライメント層が互いに対向するように2つの基板を組み合わせることによってスタック10が構成される。接着材は基板間隔を維持するために硬化される。セルは開口部を通じて液晶材料26(例えば、EM Industries, Inc.のZLI2806)で満たされる。開口部はエッジシール接着剤でシールされ、接着剤は液晶材料26を包むよう硬化される。セル面全体が熱成形処理中に面38、42との接触を通じて圧力35にさらされるように、スタック10は型36、40として使用されるガラスレンズ(例えば、OptoSigma, Inc.のPlano CVX BK7及びPlano CNCV BK7)の間に配置される。2インチの平凸及び平凹ガラスレンズは6.8ジオプトリーに対応する±150mmの焦点距離を有する。型36の頂面には、セル10を押し続けるよう0.5から2kgの負荷を有する圧力が印加される。スタック全体が115℃のチャンバ32内に転送され、熱成形により所望の曲率を達成するべく1から20時間の間保持される。スタック全体はチャンバ32から除去され50℃以下の温度まで冷却され、二重湾曲液晶セル50が形成される。
【0032】
生成された曲率は、熱成形温度、圧力、及び使用されるガラスレンズの頂面及び底面のジオプトリーに依存する。8ジオプトリーまでの曲率はこの技術によってすでに製造された。キラル材のゲスト−ホスト剤(例えば、EM Industries, Inc.のZLI2806)、染料(例えば、Mitsui Toatsu Chemicals, Inc.のS−428)及び液晶材料(例えば、EM Industries, Inc.のZLI2806)でセルが満たされると、セルは熱成形の前後で同じ電気光学特性(52〜12%の光透過性及び3%以下のヘーズ)を示した。
【0033】
例2
電極14を有する直径約2インチの2つのコーティングされた熱可塑性ポリカーボネート基板12(例えば、N.I. Teijin Shoji Co., Ltd.のHA120−B60)がアライメント層材料溶液(例えば、Japan Synthetic Rubber Co.のJALS204−R40)でコーティングされ、乾燥後0.1μmの好適厚さを有するアライメント層16が形成される。直径5μmのスペーサ20(例えば、EM Industries, Inc.のLicristar50)がスタック10全体でギャップ24を均一に制御するよう分配される。好適には、スペーサ20は、熱成形処理中に外圧35下でスペーサが移動し互いに近づかないように少なくともひとつのアライメント層16内に埋め込まれている。少なくともひとつのアライメント層16は液晶材料の方向を一致させるようベルベット布を使ってこすられる。少なくともひとつの開口部を残してセルのエッジに沿った少なくともひとつの面17上に接着材料(例えば、Loctite Corp.のLoctite349)のようなシール剤18が分配された後、アライメント層が互いに対向するように2つの基板を組み立てることによってスタック10が構成される。接着剤は基板間隔24を維持するよう硬化される。セルは開口部を通じて液晶材料26(例えば、EM Industries, Inc.のZLI2806)で満たされる。開口部は接着剤でシールされ、液晶材料26を包むべく硬化される。熱成形処理中に面38、42との接触を通じてセル全面が圧力35にさらされるように、セル10はプラテン36、40として使用されるガラスレンズ(例えば、OptoSigma, IncのCVX BK7及びPlano CNCV BK7)の間に配置される。2インチの平凹及び平凸ガラスレンズは6.8ジオプトリーに対応する±150mmの焦点距離を有する。スタックは115℃のチャンバ32内に転送され、軟らかくなるよう1〜2時間の間維持される。型36の頂部において、0.5〜2kgの負荷を有する圧力35がスタック10を熱成形するのに印加される。スタック全体はチャンバ32から除去されて50℃以下の温度まで冷却され、二重湾曲液晶セル50が形成される。
【0034】
生成された曲率は熱形成温度、圧力及び使用されるガラスレンズの頂面及び底面のジオプトリーに依存する。8ジオプトリーまでの曲率はこの技術を使ってすでに製造された。キラル材のゲスト−ホスト剤(例えば、EM Industries, Inc.のS−811)、染料(例えば、Mitsui Toatsu Chemicals, Inc.のS−428)及び液晶材料(例えば、EM Industries, Inc.のZLI2806)でセルが満たされると、セルは熱成形の前後で同じ電気光学特性(60〜13%の光透過性及び3%以下のヘーズ)を示した。
【0035】
例3
電極14を有する直径約2インチの2つのコーティングされた熱可塑性ポリエステル基板12(例えば、CPFilms, Inc.のOC−100)がアライメント層材料溶液(例えば、Japan Synthetic Rubber Co.のJALS204−R40)でコーティングされ、乾燥後0.1μmの好適厚さを有するアライメント層16が形成される。直径5μmのスペーサ20(例えば、EM Industries, Inc.のLicristar50)がスタック10全体でギャップ24を均一に制御するよう分配される。好適には、スペーサ20は、熱成形処理中に外圧35下でスペーサが移動し互いに近づかないように少なくともひとつのアライメント層16内に埋め込まれている。少なくともひとつのアライメント層16は液晶材料の方向を一致させるようベルベット布を使ってこすられる。少なくともひとつの開口部を残してセルのエッジに沿った少なくともひとつの面17上に接着剤(例えば、Loctite Corp.のLoctite349)のようなシール剤18が分配された後、アライメント層が互いに対向するように2つの基板を組み立てることによってスタック10が構成される。接着剤は基板間隔24を維持するよう硬化される。熱成形処理中に型面38、42との接触を通じてセル全面が圧力35にさらされるように、空のセル10はガラスレンズ形式(例えば、OptoSigma, IncのCVX BK7及びPlano CNCV BK7)の型36、40の間に配置される。2インチの平凹及び平凸ガラスレンズは6.8ジオプトリーに対応する±150mmの焦点距離を有する。型36の頂部において、0.5〜2kgの負荷を有する圧力35が空のスタック10をプレスするよう印加される。スタックは115℃のチャンバ32内に転送され、熱成形により所望の曲率を達成するよう1〜15時間の間維持される。スタック全体はチャンバ32から除去されて50℃以下の温度まで冷却され、二重湾曲セル50が形成される。生成された曲率は熱形成温度、時間、圧力及び使用されるガラスレンズの頂面及び底面のジオプトリーに依存する。8ジオプトリーまでの曲率はこの技術を使ってすでに製造された。
【0036】
二重湾曲セル50は開口部を通じて液晶材料26(例えば、EM Industries, Inc.のZLI2806)で満たされる。開口部はエッジシール接着剤でシールされ、該接着剤は液晶材料26を包むべく硬化される。キラル材のゲスト−ホスト剤(例えば、EM Industries, Inc.のS−811)、染料(例えば、Mitsui Toatsu Chemicals, Inc.のS−428)及び液晶材料(例えば、EM Industries, Inc.のZLI2806)でセルが満たされると、セルは硬化の前後で同じ電気光学特性(52〜12%の光透過性及び3%以下のヘーズ)を示した。
【0037】
上記デバイス及び方法の利点は明白である。この方法により、図4に示されるように既存のハーフレンズ56及び58に固定できる光学要素50を大量生産することが可能になる。任意の数の光学要素50が互いにスタック可能であり、ひとつのレンズの横またはハーフレンズの間に配置される。これにより、単一のデバイスにより与えられるべき光学的性質を複数組み合わせることができるようになる。例えば、第1のスタックは液晶材料を含み、その隣りの第2のスタックは染料を有することもできる。そのようなデバイスは、液晶材料のような流体媒体によってのみ与えられる機能をもたらす。また、既存形状と一致するそのようなデバイスは、軽量のままで機能的である装眼具ファッションと相容れるよう与えられる。上記方法及びデバイスは、所望の光学特性を与える一方、デバイスの有効動作を保証することが要求される、湾曲しかつ基板間で制御されたギャップ間隔を維持するデバイスを与える。
【0038】
したがって、本発明の目的は上記構造及び使用方法によって満足された。好適実施例が与えられかつ詳細に説明されてきたが、発明はそれに限定されないことを理解すべきである。したがって、発明の態様及び範囲は特許請求の範囲を参照して認識されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱形成された光学デバイスであって、本願明細書に記載の光学デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−15171(P2010−15171A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223518(P2009−223518)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【分割の表示】特願2003−529231(P2003−529231)の分割
【原出願日】平成14年9月5日(2002.9.5)
【出願人】(503021803)アルファミクロン・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】AlphaMicron,Inc.
【Fターム(参考)】