説明

装着型情報入力装置

【課題】人体の帯電量もしくは電位等の変化パターンを検出することができるようにして、センサの装着位置を制限しないこと。
【解決手段】装着型入力装置120は、センサ121、プリアンプ201、フィルタ202、パルスディテクタ203、リズム検出器204、リズムメモリ903、出力モジュール205を備える。センサ121は、人体が周囲の物体に触れる動作を行うことにより人体に誘導される電磁ノイズの変化パターンを検出する。センサ121で検出された電磁ノイズの変化パターンは、プリアンプ201およびフィルタ202を介してパルスディテクタ203で信号として検出され、リズム検出器204でリズムメモリ903に記憶された変化パターンとマッチングされ、どのような動作であるか特定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着型情報入力装置に関し、特に人体に装着して使用者の動作状態を検出することによりコンピュータへの情報入力を可能とする装着型情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パソコン等の電子機器への入力をキーボードやマウスなどに替えて代替の入力手段を提供する装置が提案されている(例えば、特許文献1または2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−198479号公報
【特許文献2】特開2003−58857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の装着型機器を操作する場合には、以下のような問題点がある。
(1)装着型機器に設置されたスイッチなどに直接触れる方式では、手が届きにくい場所への機器装着が困難である。
(2)装着型機器に設置されたマイクに声などの音を入力する方式では、足首や背中など、装着場所が口から離れる場合には周囲騒音との切り分けが困難になり、また公共空間など使用場所によっては周囲の迷惑になる。
(3)身体を動かして、装着型機器に設置された振動加速度センサを駆動する方式(万歩計(登録商標)など)では、装着場所(体幹部など)によっては大きな動作が必要とされる。
(4)指先などを叩いて、衝撃を骨伝導を用いて装着型機器に設置された振動加速度センサに伝えるという、特許文献1の単一センサ型常装着入力装置では、伝達距離が30センチ程度しかないので、近接した位置にセンサを装着しなければならならず、装着場所が制限される。
【0005】
本発明はこのような問題を解決するものであり、導電体である人体を利用して、人体のどの部分にセンサを装着しても、人体の帯電量もしくは電位等の変化パターンを検出することができるようにして、センサの装着位置を制限しない装着型情報入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明に係る着型情報入力装置は、人体が周囲の物体に触れる動作の態様と関連付けて、前記動作に伴って前記人体に誘導される電磁ノイズの変化パターンを示す情報を記憶する記憶手段と、人体に装着されて、前記人体が周囲の物体に触れる動作に伴って前記人体に誘導される電磁ノイズの変化パターンを検出する検出手段と、前記検出手段により検出された変化パターンと、前記記憶手段から読み出された変化パターンとを比較して、前記検出された変化パターンがいずれの動作態様に伴って発生したかを特定する特定手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る着型情報入力装置は、人体が周囲の物体に触れる動作の態様と関連付けて、前記動作に伴って前記人体に発生する静電容量の変化パターンを示す情報を記憶する記憶手段と、人体に装着されて、前記人体が周囲の物体に触れる動作に伴って前記人体に発生する静電容量の変化パターンを検出する検出手段と、前記検出手段により検出された変化パターンと、前記記憶手段から読み出された変化パターンとを比較して、前記検出された変化パターンがいずれの動作態様に伴って発生したかを特定する特定手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
なお、本発明は、着型情報入力装置であって、予め人体の動作に伴って発生する電磁気情報を動作の態様と関連付けて格納する電磁気情報記憶手段と、人体に装着されて電磁気情報を検出する電磁気情報検出手段と、電磁気情報検出手段により検出された電磁気情報と、電磁気情報記憶手段から読み出された電磁気情報とを比較して、電磁気情報がいずれの動作態様に伴って発生したかを特定する動作態様特定手段とを備えてもよい。
【0009】
この場合、電磁気情報検出手段は、人体の電位を電磁気関連量として測定する電位測定手段を含み、電磁気情報は、人体の電位の変化パターンであってもよい。
【0010】
また、電磁気情報検出手段は、人体の帯電量を電磁気関連量として測定する帯電量測定手段を含み、電磁気情報は、帯電量の変化パターンであってもよい。
【0011】
また、電磁気情報検出手段は、人体に誘導される電磁ノイズを電磁気関連量として測定する電磁ノイズ測定手段を含み、電磁気情報は、人体に誘導される電磁ノイズの変化パターンであってもよい。
【0012】
また、電磁気情報検出手段は、人体の静電容量を電磁気関連量として測定する静電容量測定手段を含み、電磁気情報は、静電容量の変化パターンであってもよい。
【0013】
また、電磁気情報検出手段は、測定される電磁気関連量の急激な増減を前記電磁気情報として検出してもよい。
【0014】
また、変化パターンは、所定のリズムを有してもよい。
【0015】
また、検出対象の人体に装着される正の静電量を発生させる材料を含む正電気発生手段をさらに備え、電磁気情報検出手段は、検出対象の人体に装着されていてもよい。
【0016】
また、検出対象の人体に装着される負の静電量を発生させる材料を含む負電気発生手段をさらに備え、電磁気情報検出手段は、検出対象の人体に装着されていてもよい。
【0017】
また、検出対象の人体に装着される圧力により電気を発生する圧電材料を含む圧電発生手段をさらに備え、電磁気情報検出手段は、検出対象の人体に装着されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、導電体である人体を利用して、人体のどの部分にセンサを装着しても、人体の帯電量もしくは電位等の変化パターンを検出することができるようにして、センサの装着位置を制限しない装着型情報入力装置を提供することができる。
【0019】
また、足先や指先等の簡単な動きて、所望の変化パターンを生じさせることにより、機器をコントロールすることができ、簡単なリズムを用いて機器をコントロールすることができる。
【0020】
さらに、既に産業用に使用されている安価なセンサ機構が利用可能であり、より簡単に変化パターンの生成が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態としての装着型入力装置の概要を説明するための図である。
【図2】本実施形態の装着型入力装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の装着型入力装置を用いた入力システムの構成を示す図である。
【図4】本実施形態のリズム検出部のモジュール構成を示す図である。
【図5】本実施形態のセンサの実施例としてのチャージアンプタイプのセンサの一例を示す図である。
【図6】本実施形態のセンサの実施例としての帯電量測定タイプのセンサの一例を示す図である。
【図7】本実施例の帯電量を効率良く変化させるための例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態としての装着型入力装置である。
【図9】本実施形態の装着型入力装置の内部構成を示すブロック図である。
【図10】本実施形態のセンサの一例を示す図である。
【図11】本実施形態の装着型入力装置の内部構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の一実施形態としての装着型入力装置の概要を説明するための図である。
【図13】本発明の第4実施形態としての装着型活動量把握装置である。
【図14】本実施形態の装着型入力装置の内部構成を示すブロック図である。
【図15】本実施形態の変化パターンの一例を示す図である。
【図16】本実施形態の変化パターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態としての装着型入力装置の概要を説明するための図であり、(a)は、人体110に装着型入力装置120が装着され、足130を動かす様子を示している。図1(b)は、装着型入力装置120が衣服(シャツ111および下着112)を介して人体110に装着されており、装着型入力装置120内部では絶縁板122を介してセンサ121が取り付けられている様子を示しており、(c)は、人体110の足130がソックス132を介して靴133をはいて足指134を動かしている様子を示している。図1(b)を参照すると、センサ121は、人体110に装着されているが、間に絶縁板122を介しており、金属部分が人体110に触れることは無いことが理解できる。このような絶縁板122があれば、衣服(シャツ111および下着112)がなくても直接センサ121が接触することを避けるようにすることができる。
【0023】
使用者の人体110が動くと、着衣が擦れ合って静電気が発生する。静電気は、人物の足130が床から離合する際にも床との間で発生するほか、蓄積された電荷の充放電も行なわれる。静電気は、通常の歩行時以外にも、足130の踵を床に接触させたままで、爪先を床に離合させるなど、微小な動きでも発生する。また、靴の中で足指134を握る動作によっても発生させることができる。特に、足先を急激に床に接触させたり、足指134を急激に動かしたりすることで、パルス状の変化を生じさせることができる。これらの動作によって発生した静電気は、人体の電位、もしくは電荷量の変化となって現れ、センサ121では、これらの変化量を測定する。
【0024】
図2は、本実施形態の装着型入力装置120の内部構成を示すブロック図である。装着型入力装置120は、センサ121、プリアンプ201、フィルタ202、パルスディテクタ203、リズム検出器204、リズムメモリ207、出力モジュール205を備える。図2を参照すると理解できるように、センサ121で読み取った電磁気関連情報をプリアンプ201およびフィルタ202を介してパルスディテクタ203で信号として検出し、リズム検出器204でリズムメモリ207に記憶されたリズムパターンとマッチングをとって、どのような動作であるかを判定する。このように判定された動作の内容を出力モジュール205からアンテナ206を介して無線でシステムに送信することができる。ここで、信号をリズムパターンとマッチングを取るが、リズムという語に限定されることなくいずれの変化パターンも含むものとする。また、上位システムへの通信は無線に限らず種々の本技術分野で知られた方法を用いることができる。
【0025】
図3は、本実施形態の装着型入力装置を用いた入力システムの構成を示す図である。この入力システムは、一例としてパーソナルコンピュータ301、無線基地局302およびデータベース303がLANで接続されたものを示すが、これに限られず種々の形態のシステムとすることができる。通常このようなシステムのデータ入力はパーソナルコンピュータ301のキーボードやマウスを使用して行われるが、本実施形態では、装着型入力装置120から無線を使用して無線基地局302を介し入力する動作態様に基づき、入力データを決定することができる。データベース303にこのための動作態様とその解釈についてのルールを格納しておくこともできる。また、後述するように装着型入力装置120にこのような機能を持たせることもでき、また分担して機能させることもできる。
【0026】
図4は、本実施形態のリズム検出器204のモジュール構成を示す図である。図4に示すようにリズム検出器204は、電磁気関連情報を受信するデータ受信部401、リズムメモリ207からリズムパターンを読み出すアクセス部402、マッチングを取って変化パターンを判定する電位変化パターン判定部403および変化パターンに対応する動作態様をいずれかの方法で出力するデータ入力変換部404を備える。
【0027】
図5は、本実施形態のセンサの実施例としてのチャージアンプタイプのセンサの一例を示す図であり、電磁気関連情報である人体110の電荷量を検出する。電極501は、絶縁板122を介して人体110と接触しており、人体110との間でキャパシタを構成する。キャパシタの電荷量は、OPアンプ502で増幅されて後段の回路に送られる。なお、検出回路のグラウンドは人体110とは接続されていないため、キャパシタのリターン側は人体110との浮遊容量のみとなるが、回路の人体110への装着状態が安定していれば、人体110の蓄積電荷量の変化分の検出が可能である。チャージアンプ回路自体は産業用に広く利用されており、安価に実現できる。
【0028】
同様に、図6は、本実施形態のセンサの実施例としての帯電量測定タイプのセンサの一例を示す図である。電極501は、絶縁板122を介して人体110と接触している。電極501の電位は、高入力インピーダンスのFET(電界効果トランジスタ)603でバッファリングされ、後段の回路に送られる。電極501には、一定の分極電位を持つエレクトレット膜601が設置されている。従って、電極501の電位は、エレクトレット膜601の分極電位を基準に、近接する人体110の電位に従って変化するため、人体110の電位を検出できる。なお、検出回路のグラウンドは人体110とは接続されていないため、電位の「絶対量」は検出できないが、極めて低周波までの「変化量」が検出可能である。このタイプの帯電量測定センサは、例えば特許文献2(歩行検出方法)等で用いられているものである。この他にも、「非接触型検電器」等で用いられている電位測定センサも同様に使用可能である。
【0029】
これらのセンサ121によって検出された、人体110の電位もしくは蓄積電荷量は、プリアンプ201で増幅された後、フィルタ202で電源ハム等のノイズを除去したあと、パルスディテクタ203でパルス成分の検出を行なう。パルス状の成分だけを抽出することにより、人間によって行なわれた意図的な入力動作のみを取り出すことが容易になる。このようにして取り出されたパルス状の変化分から、さらに「特定のリズムを持つパルス列」を抽出する。
【0030】
特定のリズムパターンは、あらかじめリズムメモリ207に蓄積されているので、これをテンプレートとして比較する。リズムによる入力は、例えば特許文献1(単一センサ型常装着入力装置)等で用いられている。本実施形態では、このような変化パターンとして使用する信号波形の一例として図15および16にタッピング等で生成される信号波形を示す。図15および16に示すような方法で、人体の動作の態様を一定の確かさで判定することができる。
【0031】
特定のリズムパターンが検出された場合、あらかじめ定められたコマンドが出力モジュール205に送出され、アンテナ206を通じて外部機器に伝えられる。コマンドは外部機器に伝える他にも、装着型入力装置120内部の別の機器をコントロールしても構わない。これによって、足先等でリズミカルに床を叩く動作(タップ動作)によって、図3に示すシステム以外にも、身体に装着した機器を装着部位によることなく操作することができる他、携帯端末への入力とすることもできる。なお、これ以外の手法によって静電気の変化を発生させても同じように入力が可能である。
【0032】
図7に、帯電量を効率良く変化させるための例を示す。図7(a)に示すように、衣服701の一部を素早く動かしたり、摘んで離したりしても良い。この場合、衣服701がウールやアクリル等のように、静電気を発生しやすい材質であればなお良い。また、図7(b)のように、衣服701と手袋702を素早く擦り併せるのも良い。この場合、衣服701と手袋702の材質は、互いに正負の静電気を発生させやすい組合せ(例:衣服701はウールかナイロン、手袋702はアクリルかポリエステル など)であればなお良い。
【0033】
図7(c)は、手袋を二重構造にした例である。上記のような、「静電気を発生しやすい組合せ」の材料で2重構造を形成することにより、手を握るなど簡単な動作で静電気を発生できる。図7(d)は、身体の一部にPZTやPVDF のような圧電材料704を設置した例である。圧電材料704に対して急激な圧力や歪みを加えることで、電荷を発生させ、前述のセンサで変化量を検出することができる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、本発明の別の実施形態について説明する。図8は、本発明の第2実施形態としての装着型入力装置120であり、図9はそのブロック図である。装着型入力装置120は、センサ121、プリアンプ201、フィルタ202、パルスディテクタ203、リズム検出器204、リズムメモリ903、出力モジュール205を備える。
【0035】
センサ121は、人体110に装着されているが、間に絶縁板122を介しており、金属部分が人体110に触れることは無い。また、人体110との間に下着112 やシャツ111 等の薄い布を介していても構わない。
【0036】
図10は、センサ121の構造の一例である。電極501は高入力インピーダンスのバッファに接続されている。電極501は、人体110とAC結合されており、人体110に誘導された外来ノイズを検出している。人体110が指先801等で机802等の周囲の物体に触れると、人体110に誘導される外来ノイズが変化する。外来ノイズは、プリアンプ201で増幅された後、フィルタ202で特に目的とする周波数のノイズ成分を取り出したあと、検波器901で目的成分の増減値として抽出し、さらにパルスディテクタ203でパルス成分の検出を行なう。
【0037】
パルス状の成分だけを抽出することにより、人間によって行なわれた意図的な入力動作のみを取り出すことが容易になる。このようにして取り出されたパルス状の変化分から、さらに「特定のリズムを持つパルス列」を抽出する。特定のリズムパターンは、あらかじめリズムメモリ903に蓄積されているので、これをテンプレートとして比較する。リズムによる入力は、例えば特許文献1(単一センサ型常装着入力装置)等で用いられているものである。
【0038】
特定のリズムパターンが検出された場合には、あらかじめ定められたコマンドが出力モジュール205に送出され、アンテナ206を通じて外部機器に伝えられる。コマンドは外部機器に伝える他にも、装着型入力装置120内部の別の機器をコントロールしても構わない。これによって、指先等でリズミカルに周囲物体(机や柱や壁)を叩く動作(タップ動作)によって、身体に装着した機器を、装着部位によることなく、操作することができる。
【0039】
外来ノイズの成分としては、建物内や街路であれば商用交流電源の 50Hz もしくは60Hz 成分が利用できる。この他にも、インバータ機器の発生する数十〜数百KHz のノイズや、中波や短波の放送波を用いることもできる。指先で触れる物体としては、なるべく大きな物体か、導電性の高い物体である方が、誘導ノイズの変化量が大きくなるので都合が良い。
【0040】
また、物体が大地アースと接続されている場合には、より大きな変化量を得ることができる。なお、第1実施形態とは異なり、指先などは露出していた方が変化量が大きくなる。本実施形態では、単なる電圧増幅器をセンサとして用いているが、ハイインピーダンスの入力機構であれば、この他のセンサを用いても同様の効果が得られる。
【0041】
例えば、第1実施形態で示したチャージアンプや帯電量センサを用いることも可能である。これによって、単一のセンサを双方に用いることができ、経済性が向上する。
【0042】
本実施形態で示したセンサは、(パッシブ方式の)タッチスイッチとして用いられていることがある。従来のタッチスイッチは、「人間が機器にタッチしたか」を検出するものであるのに対して、本発明は、「機器を装着した人間が、さらに別の物体にタッチしたか」を検出するものである。
【0043】
両者は目的が異なるが、センサ部分は共用化が可能である。なお、使用者の動作以外でパターンを生成する、例えば特定の周波数成分を発生する発信器を設置した物体を、周囲環境にあらかじめ設置しておき、その物体を触ることにより、より確実に動作させることもできる。発信器の周波数にのみ反応するようにフィルタ202を設定すれば、その他のノイズによる誤動作を避けることができるほか、異なった発信周波数を持つ発信器を複数個設置しておけば、触れる場所によって異なったコマンドを実行することも可能である。
【0044】
(第3実施形態)
次に、本発明のさらに別の実施形態について述べる。本発明の第3実施形態としての装着型入力装置は第2実施形態と同様に図8および図12に示されており、図11はそのブロック図である。装着型入力装置120は、センサ121、オシレータ1201、プリアンプ201、フィルタ202、パルスディテクタ203、リズム検出器204、リズムメモリ207、出力モジュール205を備えている。
【0045】
センサ121は、人体110に装着されているが、間に絶縁板122を介しており、金属部分が人体110に触れることは無い。また、人体110との間に下着112やシャツ111等の薄い布を介していても構わない。
【0046】
オシレータ1201は数十Kz - 数100kHz の間の周波数で発振しており、その発振波形が極板501を通じて人体110に印加されている。人体110が指先801等で机802等の周囲物体に接触すると、極板501と人体110で構成されるキャパシタの容量が増えるため、アンプ1202で観測される波形の振幅が減少する。
【0047】
これらの変化量を検出し、第1および第2実施形態と同様に、パルス状の変化量のみを抽出し、リズムパターンからコマンドを決定し、実行する。本実施形態で示したセンサは、(アクティブ方式の)タッチスイッチとして用いられていることがある。
【0048】
従来のタッチスイッチは、「人間が機器にタッチしたか」を検出するものであるのに対して、本発明は、「機器を装着した人間が、さらに別の物体にタッチしたか」を検出するものである。両者は目的が異なるが、センサ部分は共用化が可能である。
【0049】
なお、第1実施形態(帯電量変化)と、第2および3実施形態(外来ノイズ変化、静電容量変化)を同時に用いることができる。
【0050】
従って、足先でのタップと、指先でのタップを分離し、異なったコマンドとして用いることができる。
【0051】
(第4実施形態)
次に、本発明のさらにまた別の実施形態について述べる。図13は、本発明の第4実施形態としての装着型活動量把握装置であり、図14はそのブロック図である。装着型入力装置120は、センサ121、プリアンプ201、フィルタ(1)1401、フィルタ(2)1402、パルスディテクタ(1)1403、パルスディテクタ(2)1404、処理ユニット1405、メモリ1407、出力モジュール205を備えている。
【0052】
センサ121、プリアンプ201、フィルタ(1)1401、パルスディテクタ(1)1403の構造及び動作は第1実施形態と同様である。一方、センサ121、プリアンプ201、フィルタ(2)1402、パルスディテクタ(2)1404の構造及び動作は第2実施形態と同様である。なお、センサ121、プリアンプ201は共用している。歩行や体全体の動きに伴う静電気の変化(以下「出力A」)は、フィルタ(1)1401、パルスディテクタ(1)1403で検出される。一方、手で周囲の物体(机802やパソコン1301)に触れた場合の誘導ノイズの変化(以下「出力B」)は、フィルタ(2)1402、パルスディテクタ(2)1404で検出される。
【0053】
両者は同じセンサ121を利用しているが、例えばフィルタ(1)1401では電源ハムノイズより低い30Hz以下の変化量を抽出し、逆にフィルタ(2)1402では電源ハムノイズや周囲の支配的な空間ノイズ「のみ」を抽出した後に検波器901で変化量として検出することで、両者の分離が可能である。
【0054】
抽出された各々の出力A/B は、処理ユニット1405に送られる。また、アナログ量ではなく、パルスディテクタ1403,1404を通してパルスの頻度情報に変換することで、情報量の圧縮が可能である。
【0055】
処理ユニット1405は、タイマ1406とメモリ1407を持っており、各時刻毎の出力A及びBを記録するほか、出力モジュール205とアンテナ206を通じて外部機器に伝達する。これ以外にも、GPSなど他のセンサ類の出力も同時に蓄積&報告しても構わない。
【0056】
なお、メモリ1407に「装着者の平常時の活動の際の信号パターン」、あるいは「典型的な異常パターン」を記録しておき、これと入力波形を比較することで、緊急通報を行なわせることもできる。
【0057】
以上のように、従来の加速度センサを用いた活動量把握装置では、装置の取付位置によっては十分な測定ができなかったり、足先や手先の小さい動きに反応しにくいなどの問題があったが、本実施形態では、身体のいずれの場所に装着しても同じような出力が得られるほか、従来は困難であった「マウスを動かす」などの微小な動きの検出が可能である。
【符号の説明】
【0058】
110 人体
111 シャツ
112 下着
120 装着型入力装置
121 センサ
122 絶縁板
130 足
132 ソックス
133 靴
134 足指
201 プリアンプ
202 フィルタ
203 パルスディテクタ
204 リズム検出器
205 出力モジュール
206 アンテナ
207 リズムメモリ
301 パーソナルコンピュータ
302 無線基地局
303 データベース
501 電極
502 OPアンプ
601 エレクトレット膜
603 FET(電界効果トランジスタ)
701 衣服
702 手袋
704 圧電材料
801 指先
802 机
901 検波器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体が周囲の物体に触れる動作の態様と関連付けて、前記動作に伴って前記人体に誘導される電磁ノイズの変化パターンを示す情報を記憶する記憶手段と、
人体に装着されて、前記人体が周囲の物体に触れる動作に伴って前記人体に誘導される電磁ノイズの変化パターンを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された変化パターンと、前記記憶手段から読み出された変化パターンとを比較して、前記検出された変化パターンがいずれの動作態様に伴って発生したかを特定する特定手段と
を備えたことを特徴とする装着型情報入力装置。
【請求項2】
人体が周囲の物体に触れる動作の態様と関連付けて、前記動作に伴って前記人体に発生する静電容量の変化パターンを示す情報を記憶する記憶手段と、
人体に装着されて、前記人体が周囲の物体に触れる動作に伴って前記人体に発生する静電容量の変化パターンを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された変化パターンと、前記記憶手段から読み出された変化パターンとを比較して、前記検出された変化パターンがいずれの動作態様に伴って発生したかを特定する特定手段と
を備えたことを特徴とする装着型情報入力装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−253560(P2011−253560A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178895(P2011−178895)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【分割の表示】特願2007−30666(P2007−30666)の分割
【原出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】