説明

装飾ステッカー及びその製造方法

【課題】その使用目的に対応した多種多様な装飾ステッカーを提供する。
【解決手段】この発明の装飾ステッカー10は、表面シート12と、接着シート20とを備え、前記接着シート20は、前記表面シートを接着するための接着層22と、前記接着層における表面シートが接着される面とは反対側の面に積層された支持層24と、前記支持層における接着層を積層された面とは反対側の面に積層されたアンカー層26と、前記アンカー層における支持層が積層された面とは反対側の面に積層された吸着層28とを有し、前記表面シート12は、接着シートの接着層22に積層され、前記接着シートの吸着層は、被着体Xに吸着されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、装飾ステッカー及びその製造方法に関し、特に例えば住宅等の建築物の内外装材や、家具什器類や家電製品等の化粧材として使用される装飾ステッカー及びその製造方法である。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅等の建築物の内外装材や、家具什器類や家電製品等の表面化粧材として使用されるワッペンとして、粘着力により貼り付けるタックシート型がある。
【0003】
装飾ステッカーは、用途等に対応した各種多様なものが望まれ、また、貼り付けられる面も平滑な面や凹凸のある面といったように様々な面があるので、それに対応するものが望まれている。
しかしながら、従来の装飾ステッカーは、その表面の形状が限られ、複数層からなるために容易に変更をすることができない構造であった。したがって、従来の装飾ステッカーは、それらの要望にこたえられないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3133578号
【特許文献2】実用新案登録第3110777号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、その使用目的に対応した多種多様な装飾ステッカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の請求項1にかかる装飾ステッカーは、表面シートと、接着シートとを備え、前記接着シートは、前記表面シートを接着するための接着層と、前記接着層における表面シートが接着される面とは反対側の面に積層された支持層と、前記支持層における接着層を積層された面とは反対側の面に積層されたアンカー層と、前記アンカー層における支持層が積層された面とは反対側の面に積層された吸着層とを有し、前記表面シートは、接着シートの接着層に積層され、前記接着シートの吸着層は、被着体に吸着されるように構成されたことを特徴とする、装飾ステッカーである。
この発明の請求項2にかかる装飾ステッカーは、表面シートを積層するための接着シートであって、前記接着シートは、前記表面シートを接着するための接着層と、前記接着層における表面シートが接着される面とは反対側の面に積層された支持層と、前記支持層における接着層を積層された面とは反対側の面に積層されたアンカー層と、前記アンカー層における支持層が積層された面とは反対側の面に積層された吸着層とを有し、前記接着シートの吸着層は、被着体に吸着されるように構成されたことを特徴とする、装飾ステッカーである。
この発明の請求項3にかかる装飾ステッカーにおいては、前記接着シートの吸着層の表面シートを接着する面に、剥離シートが仮着された、請求項1又は2に記載の装飾ステッカーである。
この発明の請求項4にかかる装飾ステッカーにおいては、前記接着シートは、前記剥離シートの表面に前記接着シートの吸着層が重なるように、巻き重ねられた、請求項1ないし3のいずれかに記載の装飾ステッカーである。
この発明の請求項5にかかる装飾ステッカーにおいては、前記接着シートの接着層における支持層を積層された面とは反対側の面に、剥離シートが仮着された、請求項1ないし4のいずれかにに記載の装飾ステッカーである。
この発明の請求項6にかかる装飾ステッカーにおいては、表面シートは、短く切った繊維を静電気及び接着剤によって固着されたシート材であって、画線に沿ってカッティングできるように構成された、請求項1ないし5のいずれかに記載の装飾ステッカーである。
この発明の請求項7にかかる装飾ステッカーにおいては、支持層は、不織布からなる、請求項1ないし6のいずれかに記載の装飾ステッカーである。
この発明の請求項8にかかる装飾ステッカーにおいては、吸着層は、被着体に接着される面に、真空吸着されるための微細な穴が発泡により開いた発泡吸着樹脂材で形成された、請求項1ないし7のいずれかに記載の装飾ステッカーである。
この発明の請求項9にかかる装飾ステッカーにおいては、アンカー層は、支持層に吸着層を積層するために形成された、請求項1ないし8のいずれかに記載の装飾ステッカーである。
この発明の請求項10にかかる装飾ステッカーの製造方法は、表面シートと、接着シートとを備えた装飾ステッカーの製造方法であって、前記接着シートを形成する方法は、前記表面シートを接着するための接着層を、支持層に形成するステップと、前記接着層における表面シートが接着される面とは反対側の面に支持層を形成するステップと、前記支持層における接着層を積層された面とは反対側の面にアンカー層を形成するステップと、前記アンカー層における支持層が積層された面とは反対側の面に吸着層を形成するステップとを有し、前記表面シートは、接着シートの接着層に積層され、前記接着シートの吸着層は、被着体に吸着されるように構成されたことを特徴とする、装飾ステッカーの製造方法である。
この発明の請求項11にかかる装飾ステッカーの製造方法においては、前記接着シートの吸着層の表面シートを接着する面に、剥離シートを仮着するステップを含む、請求項10に記載の装飾ステッカーの製造方法である。
この発明の請求項12にかかる装飾ステッカーの製造方法においては、前記接着シートは、前記剥離シートの表面に前記接着シートの吸着層が重なるように、巻き重ねられるステップを含む、請求項10又は11に記載の装飾ステッカーの製造方法である。
この発明の請求項13にかかる装飾ステッカーの製造方法においては、前記接着シートの接着層における支持層を積層された面とは反対側の面に、剥離シートを仮着するステップを含む、請求項10ないし12のいずれかにに記載の装飾ステッカーの製造方法である。
この発明の請求項14にかかる装飾ステッカーの製造方法においては、表面シートは、短く切った繊維を静電気及び接着剤によって固着されたシート材であって、画線に沿ってカッティングできるように構成された、請求項10ないし13のいずれかに記載の装飾ステッカーの製造方法である。
この発明の請求項15にかかる装飾ステッカーの製造方法においては、支持層は、不織布からなる、請求項10ないし14のいずれかに記載の装飾ステッカーの製造方法である。
この発明の請求項16にかかる装飾ステッカーの製造方法においては、吸着層は、被着体に接着される面に、真空吸着されるための微細な穴が発泡により開いた発泡吸着樹脂材で形成される、請求項10ないし15のいずれかに記載の装飾ステッカーの製造方法である。
この発明の請求項17にかかる装飾ステッカーの製造方法においては、アンカー層は、支持層に吸着層を積層するために形成される、請求項10ないし16のいずれかに記載の装飾ステッカーの製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
この発明にかかる装飾ステッカーによれば、表面シートと、接着シートとを備え、前記接着シートは、前記表面シートを接着するための接着層と、前記接着層における表面シートが接着される面とは反対側の面に積層された支持層と、前記支持層における接着層を積層された面とは反対側の面に積層されたアンカー層と、前記アンカー層における支持層が積層された面とは反対側の面に積層された吸着層とを有し、前記表面シートは、接着シートの接着層に積層され、前記接着シートの吸着層は、被着体に吸着されるように構成されているので、表面シートを適宜変更して、その使用目的に対応した多種多様な装飾ステッカーを得ることができる。表面シートを多種そろえることにより、手軽に同性能、多品種の装飾ステッカーを作ることが可能である。
この発明の請求項2にかかる装飾ステッカーによれば、表面シートを積層するための接着シートであって、前記接着シートは、前記表面シートを接着するための接着層と、前記接着層における表面シートが接着される面とは反対側の面に積層された支持層と、前記支持層における接着層を積層された面とは反対側の面に積層されたアンカー層と、前記アンカー層における支持層が積層された面とは反対側の面に積層された吸着層とを有し、前記接着シートの吸着層は、被着体に吸着されるように構成されているので、その使用目的に対応した表面シートを適宜選択して接着シートに接着でき、多種多様な装飾ステッカーを得ることができる。表面シートを多種そろえることにより、手軽に同性能、多品種の装飾ステッカーを作ることが可能である。
この発明の請求項3にかかる装飾ステッカーによれば、前記接着シートの吸着層の表面シートを接着する面に、剥離シートが仮着されているので、吸着層の表面が保護され、接着シートの保存にも適し、取り扱いも容易となる。
この発明の請求項4にかかる装飾ステッカーによれば、前記接着シートは、前記剥離シートの表面に前記接着シートの吸着層が重なるように、巻き重ねられているので、吸着層の表面が保護され、接着シートの保存にも適し、取り扱いも容易となる。
この発明の請求項5にかかる装飾ステッカーによれば、前記接着シートの接着層における支持層を積層された面とは反対側の面に、剥離シートが仮着されているので、接着層の表面が保護され、表面シートの接着に適するように保存するために適し、取り扱いも容易となる。
この発明の請求項6にかかる装飾ステッカーによれば、表面シートは、短く切った繊維を静電気及び接着剤によって固着されたシート材であって、画線に沿ってカッティングできるように構成されているので、装飾性に優れ、使用目的に沿ってカッティングして利用できる。
この発明の請求項7にかかる装飾ステッカーによれば、支持層は、不織布からなるので、柔軟性に優れた装飾ステッカーを得ることができ、被着体の表面に沿って密着させることができる。
この発明の請求項8にかかる装飾ステッカーによれば、吸着層は、被着体に接着される面に、真空吸着されるための微細な穴が発泡により開いた発泡吸着樹脂材で形成されているので、被着体の表面に沿って密着させることができる。
この発明の請求項9にかかる装飾ステッカーによれば、アンカー層は、支持層に吸着層を積層するために形成されているので、吸着層を支持層に最適な状態で積層することができる。
この発明にかかる装飾ステッカーの製造方法によれば、表面シートと、接着シートとを備えた装飾ステッカーの製造方法であって、前記接着シートを形成する方法は、前記表面シートを接着するための接着層を、支持層に形成するステップと、前記接着層における表面シートが接着される面とは反対側の面に支持層を形成するステップと、前記支持層における接着層を積層された面とは反対側の面にアンカー層を形成するステップと、前記アンカー層における支持層が積層された面とは反対側の面に吸着層を形成するステップとを有し、前記表面シートは、接着シートの接着層に積層され、前記接着シートの吸着層は、被着体に吸着されるように構成されているので、使用目的に対応した多種多様な装飾ステッカーを得ることができる。
この発明の請求項11にかかる装飾ステッカーの製造方法によれば、前記接着シートの吸着層の表面シートを接着する面に、剥離シートを仮着するステップを含むので、吸着層の表面が保護され、接着シートの保存にも適し、取り扱いも容易となる装飾ステッカーを得ることができる。
この発明の請求項12にかかる装飾ステッカーの製造方法によれば、前記接着シートは、前記剥離シートの表面に前記接着シートの吸着層が重なるように、巻き重ねられるステップを含むので、吸着層の表面が保護され、接着シートの保存にも適し、取り扱いも容易となる装飾ステッカーを得ることができる。
この発明の請求項13にかかる装飾ステッカーの製造方法によれば、前記接着シートの接着層における支持層を積層された面とは反対側の面に、剥離シートを仮着するステップを含むので、接着層の表面が保護され、表面シートの接着に適するように保存するために適し、取り扱いも容易となる装飾ステッカーを得ることができる。
この発明の請求項14にかかる装飾ステッカーの製造方法によれば、表面シートは、短く切った繊維を静電気及び接着剤によって固着されたシート材であって、画線に沿ってカッティングできるように構成されているので、装飾性に優れ、使用目的に沿ってカッティングして利用できる装飾ステッカーを得ることができる。
この発明の請求項15にかかる装飾ステッカーの製造方法によれば、支持層は、不織布からなるので、柔軟性に優れ、被着体の表面に沿って密着させることができる装飾ステッカーを得ることができる。
この発明の請求項16にかかる装飾ステッカーの製造方法によれば、吸着層は、被着体に接着される面に、真空吸着されるための微細な穴が発泡により開いた発泡吸着樹脂材で形成されているので、被着体の表面に沿って密着させることができる装飾ステッカーを得ることができる。
この発明の請求項17にかかる装飾ステッカーの製造方法によれば、アンカー層は、支持層に吸着層を積層するために形成されているので、吸着層を支持層に最適な状態で密着させた装飾ステッカーを得ることができる。
【0008】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】本発明の一実施の形態である装飾ステッカーの断面図解図である。
【図1B】本発明の一実施の形態である装飾ステッカーの使用方法を示す断面図解図である。
【図1C】本発明の一実施の形態である装飾ステッカーの使用方法を示す断面図解図である。
【図2】図1図示装飾ステッカーの平面図解図である。
【図3】図1図示装飾ステッカーの製造方法を示す図解図である。
【図4】図1図示装飾ステッカーの製造方法を示す図解図である。
【図5A】図1図示装飾ステッカーの変形例の断面図解図である。
【図5B】図5A図示装飾ステッカーの使用方法を示す断面図解図である。
【図5C】図5A図示装飾ステッカーの使用方法を示す断面図解図である。
【図6】図5図示装飾ステッカーの製造方法を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態である装飾ステッカーの断面図解図であり、図2は、図1図示装飾ステッカーの平面図解図であり、図3は、図1図示装飾ステッカーの製造方法を示す図解図であり、図4は、図1図示装飾ステッカーの製造方法を示す図解図である。
この発明の一実施の形態である、装飾ステッカー10は、装飾ステッカー10の外表面を形成するための表面シート12と、前記表面シート12を、住宅等の建築物の内外装材や家具什器類や家電製品等の被着体Xの表面等に接着するための接着シート20とを備える。
【0011】
前記接着シート20は、前記表面シート12を接着シート20に接着するための接着層22と、前記接着層22における表面シート12が接着される面とは反対側の面に積層された支持層24と、前記支持層24における接着層22を積層された面とは反対側の面に積層されたアンカー層26と、前記アンカー層26における支持層24が積層された面とは反対側の面に積層された吸着層28とを有する。
【0012】
前記接着シート20の吸着層28は、被着体Xに吸着されるように構成されている。
前記接着シート20の吸着層28の表面シート12を吸着する面に、その外表面を被覆保護するための剥離シート30が仮着されている。
剥離シート30は、紙等の基材の両面に剥離剤等をコーティングしてなる剥離層が形成されており、前記接着シート20は、前記剥離シート30の表面に前記接着シート20の接着層22が重なるように、巻き重ねられている。そして、必要に応じて、接着シート20は巻き戻しができるように構成されている。巻き重ねることにより、使用(貼り合わせ加工)後の廃材を減らせる。また、場合によっては加工性の向上につながる。
【0013】
前記吸着層28の上に設けられる剥離シート30は、剥離シート基体と剥離剤層とを有するものである。剥離シート基体としては、上質紙、グラシン紙または顔料コート紙、上述の紙にポリエチレン等をラミネートしたポリラミ紙、ポリプロピレンを主成分とした合成紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム等が用いられる。
剥離剤層に用いられる剥離剤は、シリコン化合物、長鎖アルキル系化合物、フッ素化合物等が挙げられるが、剥離特性や経済性の面から公知のシリコン系化合物が好ましい。
剥離剤の剥離シート基体への塗工方法は、グラビアコーターやバーコーター等によって行うことができる。
特に、剥離シート基体を紙タイプにすることにより、加工性(カッティング適正)を向上することができる。
【0014】
表面シート12は、基材12aに短く切った繊維を静電気及び接着剤によって固着されたフロッキー加工層12bを有する、布等のシート材であって、画線に沿ってカッティングできるように構成され、用途等に応じて、カッター,カッティングプロッタ又はダイカッタ等でカッティングされて、適宜な形状に成形される。
又、その表面は、例えば熱転写プリンタにより、適宜画線をインクで施すことができるように構成されている。又、フロッキー加工層12bにアクリル樹脂等の合成樹脂がコーティングされて形成されたインク受理層が有る場合には、該インク受理層にインクジェットプリンタで適宜画線をインクで施すことができる。
【0015】
表面シート12は、基材12aに形成されたフロッキー加工層12bによって、その外表面を形成される。
フロッキー加工により形成された表面シート12の表面を指で触ると、毛羽立ったような独特の触感を得ることができる。そして、厚紙やポリ系のフィルムと違い、固着された繊維によって立体感や質感を向上できる。
ここで、フロッキー加工とは、静電気植毛加工と言われ、静電塗装等と同じ原理で高圧静電界における静電吸引力を利用したものである。植毛手順として、基材に接着剤を塗布し、その上にパイルを垂直に立たせ(投錨させ)、その後、接着剤を乾燥させることにより投錨したパイルを固定させる加工である。
【0016】
パイルとしては、レーヨン、ナイロン、アクリル、ポリエステルなどを使用することとし、長さは0.01mm〜4.0mm程度の範囲で使用する。パイルの太さが細く、カットの長いパイルの方が風合いは良い。しかし、極端に細く長いパイルを使用すると、パイル同士が絡み合ってしまう可能性があるため、使用するパイルの太さに応じた長さにカットして使用することが好ましい。
また、パイルは所望の色に着色することが可能である。
表面シート12の形状に関しては、円形状、多角形、棒状、図柄、模様、文字、記号など特に限定はない。
【0017】
表面シート12は、接着シート20の接着層22に接着された後、図1(B)で示すように適宜ダイカッタ等で支持層24とともにカッティングしてスリット状溝40で区画する。
そのとき、剥離シート30は、カッティングされないで、元の形状(帯状など)を保っている。従って、表面シート12は、剥離シート30に仮着された状態で、適宜な形状に成形された装飾ステッカー10が形成される。
【0018】
接着シート20を構成する接着層22は、表面シート12を接着シート20に接着するために形成され、表面シート12を接着するに適する、例えばアクリル系接着剤を、支持層24の表面に塗工してなる。
【0019】
支持層24の一方の面に設けられる接着層22を構成する接着剤の一例である粘着剤としては、従来粘着紙に用いられている粘着剤の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
例えば、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、シリコーン樹脂等の合成高分子や、天然ゴム、合成ゴム系粘着剤などの溶剤型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、ホットメルト型粘着剤などの無溶剤型粘着剤を挙げることができる。
粘着剤の塗工方法としては、例えば、コンマコーター,ナイフコーター、ロールナイフコーター、ロールコーター、リップコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター等の一般の塗工装置が適用できる。粘着剤層は、5〜30g/m2程度の塗工量範囲で、一般的な粘着物性を損なわない範囲で設けることができる。
【0020】
支持層24は、製織しないで各種の方法によって繊維をシート状にした不織布をもって構成されている。不織布は、しなやかな性質を有し、被着体Xの表面の凹凸形状に対応して、接着シート20の密着度を上げることができる。
支持層24は、しなやかな材料で、装飾ステッカー10の外郭を構成する画線に沿ってカッティングできるように構成され、用途に応じてカッター又はダイカッタ等でカッティングされて、適宜な形状に成形される材料、例えば不織布のほか、織布、プラスチックシートで構成されるのが好ましい。
【0021】
アンカー層26は、支持層24に吸着層28をつなぎ合わせるもので、例えば、アクリル系接着剤を、支持層24の表面に塗工してなる。アンカー層26を構成する接着剤としては、接着層22を構成する粘着剤等と同種のものが用いられる。
アンカー層26は、吸着層28を構成する吸着剤を支持層24の表面に満遍無く流動させて、吸着層28を、支持層24の表面に形成できるように構成されている。
【0022】
吸着層28は、被着体Xに接着される面に、真空吸着されるための微細な穴が発泡により開いた発泡吸着樹脂材で形成された層である。
吸着層28により、壁面などの凹凸面に柔軟に対応でき、更に、再剥離性能も向上し、被着体Xを汚染しにくい再剥離性能の向上につなげることができる。
【0023】
吸着層28は、表面が平坦又は凹凸を有する、ガラス,金属,プラスチック,紙等の被着体Xの面に着脱自在に固定するように構成され、アクリル系共重合体エマルジョンを機械発泡させて得られる連続又は独立気泡構造であり、かつ粘着力が0.5〜1N、密度が0.36〜0.42g/cm3である。そして、吸着層28の発泡倍率は、2〜2.4倍である。
粘着力が、0.5N未満のときは、被着体Xに接着されず、1Nを超えると、被着体Xから剥がすときに被着体Xを傷めたり被着体Xに吸着層28が残存するという不都合がある。
【0024】
上記の発泡吸着層28の具体例としては、(a)アクリル系樹脂を発泡させて得られる発泡吸着層28の表面を切断および/または切削により除去して形成した吸盤層表面を有する発泡吸着層28、(b)アクリル系樹脂エマルジョンとウレタン系樹脂エマルジョンとの混合物に、整泡剤、増粘剤、架橋剤を添加し、機械発泡させて発泡樹脂エマルジョンとし、この発泡樹脂エマルジョンをコーティングし、このコーティング層の表面を削いで気泡を開口させ表面平滑にし、加熱架橋してなる発泡吸着層28、(c)ガラス転移点が−40〜+10℃のアクリル系重合体からなる発泡吸着層28であって、一表面から他表面へとセル径が厚さ方向に小さくなる傾向にあり、該一表面におけるセルの平均開口径(Db)と、該他表面におけるセルの平均開口径(Ds)との比(Db/Ds)が1.25以上であるアクリル系発泡吸着層28、(d)分子中にN−メチロール基を有しない(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、及びオキサゾリン架橋剤を含有してなる樹脂組成物を発泡させて得られる発泡吸着層28などが挙げられる。
【0025】
また、直径300μm以下の開口を有する穴の数に関しては、十分な吸盤効果が得られる限り特に限定はない。例えば、180度剥離試験により測定した剥離力が、好ましくは0.01〜0.3N/cm、より好ましくは0.03〜0.25N/cm、特に好ましくは0.05〜0.2N/cmになるような数の穴を形成すればよい。180度剥離試験においては、JIS Z0237 粘着テープ・粘着シート試験法に準じて、常温下での以下のテストを行う。長さ125mm、幅50mmのアルミ板被着体に、長さ250mm、幅25mmの試験片を、両者の長手方向が平行になるように、両者の一端部が一致するように、かつ両者の幅方向の中心部が一致するように、貼着する。これをJIS K6301に規定する圧着装置を用いて1往復圧着する。30分経過後に、引き剥がし速度300mm/分の引き剥がし速度で、試験片を180度剥離し、そのときの剥離力(単位:N/cm)を求める。
この数値が大きいほど、吸着層28の吸着力が大きい。
【0026】
その他、具体的には、次のような発泡吸着樹脂材がある。
吸着層28のアクリル系共重合体エマルジョンは、アクリル酸エステル単量体及び/又はメタクリル酸エステル単量体と、官能基を有する単量体とで合成されたアクリル系共重合体を含むものであってよく、またこのアクリル系共重合体エマルジョンは、架橋剤を含むものであってよい。
なお、機械発泡には、エマルジョン中にエアーを送り込む方法又は撹拌羽根等で機械的に周囲の空気を微細化してエマルジョン中に混入させる発泡方法を含む。
【0027】
上記のアクリル系共重合体としては、一般に行われている乳化重合手法によって重合されるものが好ましく用いられる。
具体的には、アクリル酸エステル単量体及び/又はメタクリル酸エステル単量体(以下、これらを纏めて「(メタ)アクリル酸単量体」と記す)を乳化剤の存在下、水を溶媒として重合したアクリル系共重合体、あるいはこれらの単量体と、該単量体と共重合可能であって、架橋剤と反応して架橋構造を形成することができる官能基を有する単量体を乳化剤の存在下、水を溶媒として重合したアクリル系共重合体である。
また、吸着層28の物性を調整するために、(メタ)アクリル酸エステル単量体及び上記の官能基を有する単量体と共重合可能な他の単量体を加えて重合したものであってもよい。
この重合の際、必要に応じて、発泡剤、重合開始剤、連鎖移動剤等を加え、同時に温度条件を調整しながら、重合反応を行い、目的とするエマルジョンを調製する。
【0028】
吸着層28は、ガラス,金属,プラスチック,紙等の被着体Xに着脱自在に固定させることができる粘着力に調整して、被着体Xからこの装飾ステッカー10を剥がす場合には、被着体Xに粘着剤や他の固定手段を残存させることがなく、さらには、一度貼着し剥離した後の装飾ステッカー10を、所要の貼着・剥離性を有して再使用することができるように構成することができる。
【0029】
剥離シート30は、接着層22を内側にしてロール状に巻き重ねられたとき、接着層22の露出面すなわち支持層24と接着した面とは反対側の面に接し合わされ、接着される。
ロール状に巻き重ねられた装飾ステッカー10を巻き戻したとき、剥離シート30は、吸着層28の表面に仮着され且つ接着層22の表面からは剥離するように、吸着層28の側の表面の吸着層28との接着力は大きく(すなわち剥離の重さは重く)、接着層22の側の接着層22との接着力は小さく(すなわち剥離の重さは軽く)なるように構成されている。
剥離シート30は、紙等の基材の表面に、シリコン系、フッ素系及び長鎖脂肪族系剥離剤を、塗布して、剥離性を有するように構成され、剥離剤の硬化皮膜中の単位容積当たりのポリマー架橋の数を変化させる等により、剥離の重さを変化させる。
【0030】
次に、接着シート20の製造方法について、主として図3及び図4に基づいて説明する。
まず、剥離シート30を準備し、図3に示すように、吸着層28を形成するための水性アクリル系エマルジョンに適宜発泡剤を混合した吸着剤に、エアーを吹き込み、剥離シート30の表面にコーティングする。
更に、乾燥装置で吸着剤を適宜な温度で乾燥させて、発泡された吸着剤を剥離シート30の剥離剤層面に積層する。
【0031】
一方、前記した剥離シート30と同様な紙等の基材の表面に剥離剤が塗布された第1工程紙130を準備し、第1工程紙130の剥離剤層面に接着層22を構成する水性アクリル系エマルジョンタイプの粘着剤を塗工し、後に接着層22を形成できるように構成する。
【0032】
次に、図4に示すように、支持層24を構成する不織布を、前記第1工程紙130の表面に形成された接着層22の表面に重ね合わせ、接着する。
【0033】
次に、前記した剥離シート30と同様な紙等の基材の表面に剥離剤が塗布された第2工程紙132を準備し、第2工程紙132の剥離剤層面にアンカー層26を構成する水性アクリル系エマルジョンタイプの粘着剤を塗工し、後にアンカー層26を形成できるように、構成する。
【0034】
次に、支持層24を構成するための不織布が流れるライン上に、前記第2工程紙132のアンカー層26を支持層24に積層するための準備をし、図4に示すように、前記第2工程紙132の表面に形成されたアンカー層26を、不織布の表面に重ね合わせ、アンカー層26を形成する。
第2工程紙132の表面のアンカー層26を支持層24の表面に転移させた後、第2工程紙132は、アンカー層26の表面から剥離して、取り除く。
【0035】
次に、第1工程紙130を内にして、接着層22,支持層24及びアンカー層26を積層された第1工程紙130をロール状に巻き上げる。
【0036】
そして、図3に示すように、前記吸着層28を形成された剥離シート30のライン上に、前記ロール状の第1工程紙130の表面に積層されたものをおき、アンカー層26面を、剥離シート30の表面の吸着層28の表面に対向させて、アンカー層26と吸着層28とを接し合わせ、積層する。
【0037】
引き続き、第1工程紙130を接着層22の表面から引き剥がしながら、剥離シート30の表面に吸着層28,アンカー層26,支持層24,接着層22が積層された接着シート20を、剥離シート30を内側にしてロール状に巻き重ねる。
【0038】
ロール状に巻き重ねられた接着シート20は、巻き戻し、接着層22の表面に、表面シート12を重ね合わせ、装飾ステッカー10材を形成する。
装飾ステッカー10は、表面シート12の表面にインクジェットプリンタ,熱転写プリンタ等により適宜画線を印刷し、更にダイカッタ等により表面シート12側から吸着層28までカッティングして、適宜な形状に成形して装飾ステッカー10として用いる。
【0039】
前記実施の形態においては、図5に示すように、接着層22の表面から、第1工程紙130を剥離して、剥離シート30の片面を接着層22の表面に重ね合わせてロール状にしたが、第1工程紙130を接着層22の表面に残存させて、剥離シート30の上に接着層22,支持層24,アンカー層26,吸着層28を積層された接着シート20として用いてもよい。
接着シート20の吸着層28の表面には、剥離シート30が仮着されている。
【0040】
次に、主として図6に基づいて、接着シート20の別の製造方法について説明する。
【0041】
まず、前記した剥離シート30と同様な紙等の基材の表面に剥離剤が塗布された第2工程紙132を準備し、第2工程紙132の剥離剤層面にアンカー層26を構成する水性アクリル系エマルジョンタイプの粘着剤を塗工し、後にアンカー層26を形成できるように、構成する。
【0042】
次に、支持層24を構成するための不織布を準備し、前記第2工程紙132の表面に形成されたアンカー層26を、不織布の表面に重ね合わせ、第2工程紙132から支持層24に転移させてアンカー層26を形成する。
【0043】
次に、支持層24を構成する不織布に形成されたアンカー層26の表面から第2工程紙132を取り除き、吸着層28を形成するための水性アクリル系エマルジョンタイプの吸着剤を、攪拌羽根等で機械的に周囲の空気を微細化してエマルジョン中に混入させて発泡させながら、アンカー層26の表面に塗工する。
【0044】
次に、前記吸着層28を形成するための吸着剤を塗工し、1〜2分間100℃〜120℃で乾燥させた後、吸着剤が乾燥したところで、剥離シート30を構成する紙等の基材の表面にシリコン等の剥離剤が塗工されてなる剥離紙を吸着剤の表面に重ね合わせ、更に吸着剤を乾燥させる。このとき、気泡状のものも潰れて、真空吸着されるための微細な穴が発泡により開いた発泡吸着樹脂材からなる吸着層28が形成される。
【0045】
別に、前記した剥離シート30と同様な紙等の基材の表面に剥離剤が塗布された第1工程紙130を準備し、第1工程紙130の剥離剤層面に接着層22を構成する水性アクリル系エマルジョンタイプの粘着剤を塗工し、第1工程紙130の表面に接着層22が仮着されたものを作成し、後に接着層22を形成できるように構成する。
【0046】
次に、支持層24を構成する不織布の表面(アンカー層26が形成された面とは反対側の面)に、前記第1工程紙130の表面に形成された接着層22を、重ね合わせる。
次に、第1工程紙130の表面から不織布の表面に接着層22を転移させる。
このようにして、不織布の表面に接着層22を形成し、その上に支持層24,アンカー層26,吸着層28及び剥離シート30が積層された接着シート20を形成する。そして、第1工程紙130を内側にして、ロール状に巻き重ねる。
もっとも、第1工程紙130は、接着層22の表面から剥離しながら、接着層22を内側にして接着層22の表面に剥離シート30が重ね合わさるようにしてロール状に巻き重ね、接着シート20を用い易くすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
この発明にかかる装飾ステッカーは、住宅等の建築物の内外装材や、家具什器類や家電製品等の化粧材として使用されるほか、文房具,日用品,電子機器等の小物の表面に貼着して装飾用として利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 装飾ステッカー
12 表面シート
12a 基材
12b 層
20 接着シート
22 接着層
24 支持層
26 アンカー層
28 吸着層
30 剥離シート
40 溝
130 第1工程紙
132 第2工程紙
X 被着体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シートと、接着シートとを備え、
前記接着シートは、
前記表面シートを接着するための接着層と、
前記接着層における表面シートが接着される面とは反対側の面に積層された支持層と、
前記支持層における接着層を積層された面とは反対側の面に積層されたアンカー層と、
前記アンカー層における支持層が積層された面とは反対側の面に積層された吸着層とを有し、
前記表面シートは、接着シートの接着層に積層され、
前記接着シートの吸着層は、被着体に吸着されるように構成されたことを特徴とする、装飾ステッカー。
【請求項2】
表面シートを積層するための接着シートであって、
前記接着シートは、
前記表面シートを接着するための接着層と、
前記接着層における表面シートが接着される面とは反対側の面に積層された支持層と、
前記支持層における接着層を積層された面とは反対側の面に積層されたアンカー層と、
前記アンカー層における支持層が積層された面とは反対側の面に積層された吸着層とを有し、
前記接着シートの吸着層は、被着体に吸着されるように構成されたことを特徴とする、装飾ステッカー。
【請求項3】
前記接着シートの吸着層の表面シートを接着する面に、剥離シートが仮着された、請求項1又は2に記載の装飾ステッカー。
【請求項4】
前記接着シートは、前記剥離シートの表面に前記接着シートの吸着層が重なるように、巻き重ねられた、請求項1ないし3のいずれかに記載の装飾ステッカー。
【請求項5】
前記接着シートの接着層における支持層を積層された面とは反対側の面に、剥離シートが仮着された、請求項1ないし4のいずれかにに記載の装飾ステッカー。
【請求項6】
表面シートは、短く切った繊維を静電気及び接着剤によって固着されたシート材であって、画線に沿ってカッティングできるように構成された、請求項1ないし5のいずれかに記載の装飾ステッカー。
【請求項7】
支持層は、不織布からなる、請求項1ないし6のいずれかに記載の装飾ステッカー。
【請求項8】
吸着層は、被着体に接着される面に、真空吸着されるための微細な穴が発泡により開いた発泡吸着樹脂材で形成された、請求項1ないし7のいずれかに記載の装飾ステッカー。
【請求項9】
アンカー層は、支持層に吸着層を積層するために形成された、請求項1ないし8のいずれかに記載の装飾ステッカー。
【請求項10】
表面シートと、接着シートとを備えた装飾ステッカーの製造方法であって、
前記接着シートを形成する方法は、
前記表面シートを接着するための接着層を、支持層に形成するステップと、
前記接着層における表面シートが接着される面とは反対側の面に支持層を形成するステップと、
前記支持層における接着層を積層された面とは反対側の面にアンカー層を形成するステップと、
前記アンカー層における支持層が積層された面とは反対側の面に吸着層を形成するステップとを有し、
前記表面シートは、接着シートの接着層に積層され、
前記接着シートの吸着層は、被着体に吸着されるように構成されたことを特徴とする、装飾ステッカーの製造方法。
【請求項11】
前記接着シートの吸着層の表面シートを接着する面に、剥離シートを仮着するステップを含む、請求項10に記載の装飾ステッカーの製造方法。
【請求項12】
前記接着シートは、前記剥離シートの表面に前記接着シートの吸着層が重なるように、巻き重ねられるステップを含む、請求項10又は11に記載の装飾ステッカーの製造方法。
【請求項13】
前記接着シートの接着層における支持層を積層された面とは反対側の面に、剥離シートを仮着するステップを含む、請求項10ないし12のいずれかにに記載の装飾ステッカーの製造方法。
【請求項14】
表面シートは、短く切った繊維を静電気及び接着剤によって固着されたシート材であって、画線に沿ってカッティングできるように構成された、請求項10ないし13のいずれかに記載の装飾ステッカーの製造方法。
【請求項15】
支持層は、不織布からなる、請求項10ないし14のいずれかに記載の装飾ステッカーの製造方法。
【請求項16】
吸着層は、被着体に接着される面に、真空吸着されるための微細な穴が発泡により開いた発泡吸着樹脂材で形成される、請求項10ないし15のいずれかに記載の装飾ステッカーの製造方法。
【請求項17】
アンカー層は、支持層に吸着層を積層するために形成される、請求項10ないし16のいずれかに記載の装飾ステッカーの製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−45721(P2012−45721A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187150(P2010−187150)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(500186804)ニチエ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】