説明

装飾加工品の製造方法及び装飾加工品

【課題】比較的少量の装飾材により高い装飾効果を発揮することができる装飾加工品の製造方法及び装飾加工品を提供すること。
【解決手段】基材1の表面に接着層3を形成する接着層形成工程と、少なくとも一部の面に装飾面を備えた装飾材2を帯電させて基材1の表面に起立した状態で付着させる装飾材付着工程と、付着した装飾材2を基材1の表面に沿って傾倒させる傾倒工程と、基材1の表面に沿って傾倒した装飾材2の上にコーティングを施すコーティング工程と、を有する装飾加工品5の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に装飾材により形成された装飾加工面を有する装飾加工品の製造方法及び装飾加工品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、例えば下記の特許文献1に示すものがある。
特許文献1には、樹脂及び有機溶媒中に顔料としてマイカ粉末等の装飾材を含有させた塗料を、例えば自動車の外板等に塗布して光沢性のある外観を得るパール仕上げ塗装に関する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特公平5−212345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記の方法では、マイカ粉末等の装飾材の姿勢が均一にならないこと、及び塗料中の樹脂の内部に装飾材が埋もれてしまうことにより、塗装面の鮮やかさ、光沢等が十分でない等、装飾材が十分に装飾効果を発揮できないという問題があった。
また、これを補って装飾効果を高めるためには塗装面に多量の塗料を塗布して塗膜表面に存在する装飾材の量を増加させる必要があるが、その結果、塗膜が厚くなってしまうという問題があった。
さらに、塗膜が厚くなると樹脂中に埋もれる装飾材や他の装飾材と重なり合う装飾材が増加し、塗膜中には基材表面の装飾に関与しない装飾材が存在することになり、コスト的にも無駄が多かった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的少量の装飾材により高い装飾効果を発揮することができる装飾加工品の製造方法及び装飾加工品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る装飾加工品の製造方法の特徴構成は、基材の表面に接着層を形成する接着層形成工程と、少なくとも一部の面に装飾面を備えた装飾材を帯電させて前記基材の表面に起立した状態で付着させる装飾材付着工程と、前記付着した装飾材を前記基材の表面に沿って傾倒させる傾倒工程と、前記基材の表面に沿って傾倒した装飾材の上にコーティングを施すコーティング工程とを備えた点にある。
【0007】
本特徴構成によれば、基材の表面に接着層を形成する接着層形成工程と、装飾材を帯電させて前記基材の表面に起立した状態で付着させる装飾材付着工程を有するので、帯電した装飾材同士はその電荷によって反発し合い重なり合うことなく基材の表面に確実に付着させることができる。
また、前記付着した装飾材の姿勢を前記基材の表面に沿って傾倒させる傾倒工程を有するので、当該付着した装飾材の姿勢を基材の表面に沿って略均一な状態にすることができる。
さらに、前記基材の表面に沿って傾倒した装飾材の上にコーティングを施すコーティング工程を有するので、装飾材が基材の表面に沿った状態を維持しつつ、装飾材を保護することができる。また、装飾材を基材の表面に沿わせた後でコーティング層を形成するので、コーティング層の厚さの制御が容易である。
その結果、従来法のごとく、装飾材を樹脂等の中に埋没させることがなく、装飾材の姿勢を基材の表面に沿って略均一な状態にすることができるので、装飾材の装飾面が基材の表面に現れる割合を高くすることができる。従って、比較的少量の装飾材により高い装飾効果を有する装飾加工品を得ることができる。
【0008】
ここで、前記装飾材付着工程は、前記装飾材を装飾材帯電用の電極によって帯電させ、前記電極と前記基材との間に電位差を設け、帯電させた前記装飾材を前記電位差によって前記電極から前記基材へと移動させることによって行うことができる。
【0009】
これにより、前記装飾材を帯電させた状態で前記基材の表面へと移動させることができるので、装飾材を起立させた状態で基材の表面に付着させる工程を容易に行うことができる。
【0010】
また、前記傾倒工程は、前記装飾材が付着した前記基材の表面に風圧を加えることにより行うと好適である。
【0011】
これにより、起立した状態の装飾材を、面積が大きい面が表面になるようにして傾倒させることができる。
その結果、装飾面が表面に現れる割合を高くすることができ、比較的少量の装飾材により高い装飾効果を有する装飾加工品を得ることができる。
【0012】
本発明に係る装飾加工品の特徴構成は、基材の表面に形成された接着層と、少なくとも一部の面に装飾面を備えた装飾材により構成され、前記装飾材を前記基材の表面に起立した状態で付着させてから前記基材の表面に沿って傾倒させてなる装飾層と、前記装飾層の上に形成されたコーティング層とを有する装飾面を備えた点にある。
【0013】
本特徴構成によれば、装飾加工品が基材の表面に形成された接着層を有するので、基材の表面に確実に装飾材が付着している。
また、少なくとも一部の面に装飾面を備えた装飾材により構成され、前記装飾材を前記基材の表面に起立した状態で付着させてから前記基材の表面に沿って傾倒させてなる装飾層を有するので、当該付着した装飾材の姿勢は基材の表面に沿って略均一な状態である。
さらに、前記装飾層の上に形成されたコーティング層を有するので、装飾材が基材の表面に沿った状態を維持されつつ、装飾材が保護されている。
その結果、従来品のごとく、装飾材が樹脂等の中に埋没していることがなく、付着した装飾材の姿勢は基材の表面に沿って略均一な状態であるので、装飾材の装飾面が基材の表面に高い割合で現れている。従って、比較的少量の装飾材により高い装飾効果を有する装飾加工品となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る装飾加工品5の製造方法は、接着層形成工程、装飾材付着工程、傾倒工程、及びコーティング工程を有する。
以下、本発明に係る装飾加工品5の製造に用いることができる静電植毛装置、装飾材2及び上記各工程について説明する。
【0015】
(静電植毛装置の概要)
装飾材付着工程は、例えば公知の静電植毛装置を用いて行うことができる。図1に基づいて本工程に適用可能な静電植毛装置の一例について説明する。
本装置は、例えば装飾材2を堆積しておくための堆積槽(不図示)と、例えば風力等によって堆積層から装飾材2を供給する供給手段(不図示)と、前記供給手段によって供給された装飾材2を帯電するための電極61とを有する。当該電極61は、例えば円筒形であり、その内周に接するように金網63が設けてある。電極61の、例えば下方には基材1が設置される。また、本装置は、電源62を有し、当該電源62の陰極側は前記電極61へ、陽極側は前記基材1へ夫々接続され、前記電極61と基材1との間に電位差が設けてある。
【0016】
本装置は、装飾材2を電極61内に通過させ、前記金網63と接触させて負に帯電する。帯電された装飾材2を、電極61と基材1との間の電位差及び重力によって、電極61から基材1に向かって移動させ、装飾材2を基材1に起立した状態で付着させる。
【0017】
なお、上述の静電植毛装置は一例を示したものであり、上述と異なる構造の静電植毛装置を使用することも可能である。また、装飾材2を帯電させ、電極61と基材1との間で電位差を設けることが可能な装置であれば静電植毛装置以外の装置であってもよい。さらに、電源62の陽極を電極61に、陰極を基材1に接続してもよい。
【0018】
(装飾材)
本発明において、図5に示すように、断面楕円形状、鱗片形状、短冊形状等、種々の形状の装飾材2を使用できる。
使用できる装飾材2の一例として、多層積層光干渉材、積層フィルム、マイカ、着色マイカ、金・銀・アルミ等を蒸着した金属蒸着マイカ、干渉マイカ、着色フィルム、金属蒸着フィルム等が挙げられる。
【0019】
装飾材2として使用する多層積層光干渉材としては、例えばモルフォトーン(登録商標、帝人ファイバー株式会社製)が挙げられる。
モルフォトーンは、図5(a)に示すように、楕円形の断面形状を有する筒状の装飾材2であり、面積の大きい2つの面が前記装飾面である。
この装飾材2は、例えばナイロンとポリエステルのような屈折率の異なる二種類以上のポリマー層を交互に積み重ねた多層積層構造を有していて、当該装飾面に光が当たると光の干渉効果により、前記ポリマー層の厚みに応じて赤色、緑色、青色、紫色等に発色すると共に、見る角度によって異なった色味を生じる。
【0020】
また、高い装飾効果を得るためには、モルフォトーンを確実に傾倒して装飾面を基材1の表面に沿わせる必要がある。このような観点から、使用するモルフォトーンのサイズは、図5(a)において、aの長さがb及びcの長さよりも大きい方が好ましい。例えばb=約70μm、c=約17μmのモルフォトーンを用いた場合、a=200μm以上が好ましく、さらに好ましくは、a=600μm程度である。
【0021】
装飾材2としてマイカを用いる場合、これらの大きさは、基材1の材質等によって適宜選択可能であるが、装飾効果及び接着性等の観点から、例えば図5(b)中で粒径d=20〜200μmのものが好適である。
【0022】
なお、上述の装飾材2は使用可能な装飾材2の形状、材質等を例示したものであり、本発明に用いることができる装飾材2はこれらに限定されるものではない。
【0023】
(接着層形成工程)
接着層形成工程は、基材1に接着剤を、例えばスプレーを用いて噴霧することによって基材1の表面に接着層3を形成する工程である。
【0024】
本工程は、接着材の噴霧に限らず、接着剤のローラ、刷毛等による塗布、スピンコート等による方法で行うことも可能である。
【0025】
本工程において使用する接着剤は、例えばアクリル系接着剤、合成ゴム系接着剤等、水溶系、溶剤系を問わずあらゆる接着剤が選択可能であり、基材1及び装飾材2の材質等に応じて適宜選択することができる。
また、噴霧する接着剤の重量は、基材1の大きさ、材質、使用用途等によって適宜選択することができるが、接着性及び装飾効果等の観点から、乾燥重量で20〜250g/mが好ましい。
【0026】
(装飾材付着工程)
図1に本発明に係る装飾加工品5の製造方法の装飾材付着工程を示す図を示す。
本工程において、例えば上述の静電植毛装置の電極61で帯電された装飾材2は、電極61と基材1との間の電位差及び重力によって、電極61から基材1に向かって移動する。装飾材2は負に、基材1は正に夫々帯電しているので、装飾材2は基材1に引き付けられる。また、負に帯電した装飾材2同士は互いに反発しあうので、図2に示すように、起立した状態で基材1表面の接着層3に装飾材2が分散して付着する。
【0027】
(傾倒工程)
傾倒工程において、前記装飾材2が付着した前記基材1の表面に例えば、風圧をかけることによって、図3に示すように、装飾材2を基材1の表面に沿って傾倒させて、装飾層を形成する。
【0028】
(コーティング層形成工程)
コーティング層形成工程において、装飾層の上に、例えばコーティング剤を噴霧することによって、図4に示すように、前記装飾層上にコーティング層4を形成する。
【0029】
コーティング層4の形成には、例えばアクリル系コーティング剤等透明性の高いものが好ましいが、基材1及び装飾材2の材質等に応じて適宜選択可能である。
また、噴霧するコーティング剤の量は基材1の大きさ、材質、使用用途等によって適宜選択することができるが、装飾材2の剥離防止及び装飾効果等の観点から、乾燥重量で1.0〜90g/mが好ましい。
【0030】
上記各工程により、基材1の表面に形成された接着層3と、少なくとも一部の面に装飾面を備えた装飾材2により構成され、前記装飾材2を前記基材1の表面に起立した状態で付着させてから前記基材1の表面に沿って傾倒させてなる装飾層2と、前記装飾層の上に形成されたコーティング層4と、を有する装飾加工品5が完成する。
この装飾加工品5は、従来品のごとく、装飾材2が樹脂等の中に埋没していることがなく、付着した装飾材2の姿勢は基材1の表面に沿って略均一な状態であるので、装飾材2の装飾面が基材1の表面に高い割合で現れている。従って、比較的少量の装飾材2により高い装飾効果を有する装飾加工品5である。
【0031】
本発明に係る方法は、平面形状、凹形状、凸形状等様々な形状基材1の装飾使用することができる。また、紙製、樹脂製等基材1の材質を問わず用いることができる。
【0032】
[別実施形態1]
上述の実施形態において、装飾材2の傾倒は、風圧による方法に限られず、例えばローラや刷毛等によって直接装飾材2に接触することによって傾倒するものであってもよい。
【0033】
[別実施形態2]
上述の実施形態において、装飾材付着工程の実施方法は、上述の静電植毛装置を用いた方法に限られず、高圧電流の放電等、その他の方法によって装飾材2の帯電を行うものであってもよい。また、帯電した装飾材2の基材1の表面への移動は例えば重力等、電位差以外によるものであってもよい。
【0034】
[実施例1]
本発明は、例えばスピーカーの振動板の表面に対して、モルフォトーンを用いて装飾加工する際に用いることができる。
【0035】
スピーカーの振動板の表面に、例えばアクリル系の接着剤を、例えば噴霧により接着層3を形成する。接着層3の形成に際しては、接着性を維持しつつ、前記振動板をスピーカーに用いた場合の音質の低下を防止する必要がある。前記接着性と前記音質とのバランスを考慮すると、噴霧する接着剤の量は乾燥時の重量で20〜250g/mが好ましい。
【0036】
接着剤としては、上記アクリル系以外に、合成ゴム系等、水溶系、溶剤系を問わず利用できる。
接着層3は、接着材の噴霧に限らず、ローラ、刷毛等による塗布、スピンコート等で行うことも可能である。
【0037】
接着層3を形成した前記振動板に、上述の方法によって、モルフォトーンを起立した状態で付着させる。その後、例えば風圧によって前記モルフォトーンを傾倒し、前記振動板の表面に沿った状態にする。
モルフォトーンはその性質上、高い装飾効果を発揮するためには、傾倒した際に重なり合うことなく装飾層を形成することが好ましい。また、コストの面からも、モルフォトーン同士が重なり合うことは避けることが望ましい。したがって、傾倒時にモルフォトーン同士が重なりあうのを避けるべく振動板表面に付着するモルフォトーンの密度を制御する必要があるが、前記電位差及び付着時間を調整することによって、従来のごとく塗装等の方法で装飾加工を行う場合と比較して容易にモルフォトーンの密度を調整することができる。
【0038】
また、上述のとおり装飾効果の観点から、使用するモルフォトーンのサイズは、図5(a)において、aの長さがb及びcの長さよりも大きい方が好ましい。例えばb=約70μm、c=約17μmのモルフォトーンを用いた場合、a=200μm以上が好ましく、さらに好ましくは、a=600μm程度である。
【0039】
前記傾倒させたモルフォトーン上に、例えば、アクリル系のコーティング剤を噴霧し、コーテティング層を形成する。モルフォトーンの剥離防止の観点からは前記コーティング層4は厚い方が好ましく、スピーカーの音質の観点及び装飾効果の観点からは前記コーティング層4は薄い方が好ましい。これらのバランスを考慮して、噴霧するコーティング剤の量は乾燥重量で、1.0〜90g/mが好ましい。
【0040】
その後、例えば熱風乾燥機を用いて乾燥を行う。乾燥時に前記振動板が変形するのを防止する必要があり、乾燥は40〜100℃で、0.5分〜10分行うことが望ましい。なお、熱風乾燥は必須の工程ではなく自然乾燥等その他の手段による乾燥であってもよい。
【0041】
本構成によって、上述のごとく、前記振動板へのモルフォトーンの付着密度を容易に制御することができるので、当該モルフォトーンを傾倒した際にモルフォトーン同士が重なり合う割合を少なくできる。その結果、少量のモルフォトーンで高い装飾効果を得ることが可能である。
また、上述のごとく、少量のモルフォトーンで高い装飾効果を得ることができるので、多量のモルフォトーンを振動板に付着させる必要がなく、当該スピーカーの振動板を使用した際の音質の劣化を最小限にすることができる。
【0042】
なお、モルフォトーン以外の多層積層光干渉材を装飾材2として用いることも可能である。多層積層光干渉材は光の干渉等を行う面を有しており当該面に光が当たることによって装飾効果を発揮する。したがって、当該面が振動板等基材1の表面に存在する必要があるが、本構成によって確実に装飾材2を傾倒し基材1の表面に沿わせることができるので、高い装飾効果を発揮することが可能である。
【0043】
[実施例2]
本発明は、スピーカーの振動板にマイカを用いて装飾加工する際に用いることができる。使用するマイカのサイズは、振動板の材質等によって適宜選択可能であるが、例えば粒径d=20〜200μmのものが好適である。
マイカはその全ての面が前記装飾面であるが、本構成によって面積の大きな装飾面を振動板の表面に沿わせた状態で傾倒することができるので、少量のマイカで高い装飾効果を得ることができる。
【0044】
[実験例]
本発明に係る装飾加工品5の製造方法の効果を示す実験例を示す。
種々の装飾材2を用いて、本発明に係る方法及び従来法によって基材1の装飾加工を行い、夫々の方法によって得られた装飾加工品5の装飾効果を比較した。なお、装飾効果の一例として、色の鮮やかさを示す指標である彩度によって比較した。
【0045】
(装飾材及び基材)
装飾材2として赤色モルフォトーン(以下、試料1と称する)、緑色モルフォトーン(以下、試料2と称する)、紫色モルフォトーン(以下、試料3と称する)、青色モルフォトーン(以下、試料4と称する)、上記のモルフォトーンの混合物(以下、試料5と称する)、アルミ蒸着マイカ(以下、試料6と称する)を用いた。
基材1として黒色の紙を用い、当該基材1の表面に上述の試料を用いて装飾加工を行った。
【0046】
(従来法)
従来法として、最も一般的な方法である塗装を用いた。アクリルラッカーに試料を混合して塗料を調製した。ここでの試料の割合は、彩度が最も高くなる割合として3重量%を選択した。当該塗料を基材1上に20ミクロンバーコーターを用いて塗布し、装飾加工を行った。
【0047】
(本発明に係る方法)
基材1の表面にアクリル系接着剤を噴霧することによって接着層3を形成した。当該接着層3に上述の静電植毛装置を用いて試料を付着させた。更に、風圧によって前記装飾材2を傾倒し、そのうえに、アクリル系コーティング剤を噴霧してコーティング層4を形成した。
【0048】
(彩度の決定方法)
各装飾加工品5の測色は、JIS Z 8722に基づいて、CM−3610D分光測色計(コニカミノルタ社製)を用いて行った。
さらに、上記の測定によって得られた測定結果より、JIS Z 8729に基づいて彩度を算出した。
【0049】
(結果)
図6に従来法を用いて装飾加工を行った場合及び本発明に係る方法を用いて装飾加工を行った場合の彩度を示した。測定は夫々の試料につき2回ずつ行い、図中の値は前記2回の測定結果の夫々から算出された彩度の平均値である。
また、図中の比(%)は同一の試料における従来法による装飾加工の場合の彩度の値を100としたときの本発明に係る方法による装飾加工の場合の彩度の値であり、以下の式に基づいて算出した。比(%)が100よりも大きい場合は、本発明に係る方法を用いた場合の方が従来方と比較して彩度の値が大きいこと、即ち、従来法と比較して高い装飾効果が得られることを示している。
比(%)=C÷C’×100
ここで、C,C’は夫々、本発明に係る方法を用いた場合の彩度、従来法を用いた場合の彩度である。
図6に示すように、すべての試料において、比(%)が100より大きな値になり、本願発明に係る方法を用いて装飾加工を行った場合の方が、従来法を用いた場合よりも高い装飾効果が得られることが確認された。
上述の結果より本発明の有効性が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は上述のスピーカーの振動板の他、壁紙、装飾板、家具その他のものの表面の装飾加工に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る装飾加工品の製造方法の装飾材付着工程を示す図
【図2】装飾材の基材への付着状態を示す図
【図3】装飾材の傾倒状態を示す図
【図4】本発明に係る装飾加工品の一例を示す図
【図5】装飾材の一例を示す図
【図6】本発明に係る装飾加工品の製造方法の効果を示す実験結果
【符号の説明】
【0052】
1 基材
2 装飾材
3 接着層
4 コーティング層
5 装飾加工品
61 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に接着層を形成する接着層形成工程と、
少なくとも一部の面に装飾面を備えた装飾材を帯電させて前記基材の表面に起立した状態で付着させる装飾材付着工程と、
前記付着した装飾材を前記基材の表面に沿って傾倒させる傾倒工程と、
前記基材の表面に沿って傾倒した装飾材の上にコーティングを施すコーティング工程と、
を有する装飾加工品の製造方法。
【請求項2】
前記装飾材付着工程は、前記装飾材を装飾材帯電用の電極によって帯電させ、前記電極と前記基材との間に電位差を設け、帯電させた前記装飾材を前記電位差によって前記電極から前記基材へと移動させることによって行う請求項1に記載の装飾加工品の製造方法。
【請求項3】
前記傾倒工程は、前記装飾材が付着した前記基材の表面に風圧を加えることにより行う請求項1又は2に記載の装飾加工品の製造方法。
【請求項4】
基材の表面に形成された接着層と、
少なくとも一部の面に装飾面を備えた装飾材により構成され、前記装飾材を前記基材の表面に起立した状態で付着させてから前記基材の表面に沿って傾倒させてなる装飾層と、
前記装飾層の上に形成されたコーティング層と、
を有する装飾加工品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−281522(P2006−281522A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102392(P2005−102392)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000205498)オー・ジー株式会社 (12)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】