説明

装飾用途のためのアミノプラスト樹脂

本発明は、装飾用途に適切であり、好ましくはペルフルオロアルキルアクリル(コ)ポリマー、ペルフルオロアルキルメタクリル(コ)ポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される0.005重量%〜5重量%の間のポリフッ素化(alk−)アクリルポリマーを含むアミノプラスト樹脂に関する。本発明はさらに、上部層および底部層を含み、それによって上部層が少なくとも部分的に硬化したアミノプラスト樹脂を含む積層体に関し、この上部層が、好ましくはペルフルオロアルキルアクリル(コ)ポリマー、ペルフルオロアルキルメタクリル(コ)ポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される0.002重量%〜5重量%の間のポリフッ素化(alk−)アクリルポリマーを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、装飾用途に適切であり、フルオロ化合物を含むアミノプラスト樹脂に関する。このような樹脂は国際公開第02/08518号パンフレットに開示されており、メラミン−ホルムアルデヒド(MF)樹脂(ここで、Mはメラミンを表し、Fはホルムアルデヒドを表す)のような硬化可能なアミノプラスト樹脂にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が添加される。PTFEは樹脂の0.1重量%〜10重量%の間の量で存在し、樹脂は紙を含浸させるために使用され、含浸された紙は次に積層体の製造において使用される。積層体は、PTFEの存在のために増大した防汚性(dirt repellency)および撥水性を有する。
【0002】
既知の樹脂の欠点は、特定の防汚性および撥水性を達成するために比較的多量のフルオロ化合物を樹脂に添加しなければならないことである。国際公開第02/08518号パンフレットによると、少なくとも1〜3重量%のPTFEが樹脂に添加されると最良の結果が達成される。
【0003】
本発明の目的は、前記欠点を低減することである。
【0004】
本発明の前記目的は、アミノプラスト樹脂が、0.005重量%〜5重量%の間のポリフッ素化(alk−)アクリルポリマー(PFAP)を含む場合に達成される。
【0005】
ここで、そして以下において、「ポリフッ素化(alk−)アクリルポリマー(PFAP)」という用語は、以下の構造:
−B−O−C(O)−C(R)=CH−R (I)
のポリフッ素化モノマーに基づくホモポリマーまたはコポリマーを意味し、式中、
は、2〜20個の炭素原子、好ましくは4〜16個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖ポリフッ素化基を表し、
Bは、酸素、硫黄および/または窒素の1つ以上の原子を含み得る、炭素原子によってOに結合された二価の基を表し、
Rは、記号Rのうちの1つが水素原子を表し、その他は水素原子または1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基を表す。
【0006】
上記の式において、Rは以下の式:
=C(2n+1−x)
で表され、式中、
n=2〜20
0≦x≦n。
好ましくは、xは0の値を有する。
【0007】
好ましくは、PFAPは、ペルフルオロアルキルアクリル(コ)ポリマー、ペルフルオロアルキルメタクリル(コ)ポリマー、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される。好ましくは、このようなフルオロ化合物は、ペルフルオロアルキルアクリルモノマーまたはペルフルオロアルキルメタクリルモノマーあるいはこれらの組み合わせと、アミノ官能性モノマーとから誘導されるコポリマーである。より好ましくは、フルオロ化合物は、ペルフルオロアルキルアクリルモノマーまたはペルフルオロアルキルメタクリルモノマーあるいはこれらの組み合わせと、アミノ官能性モノマーと、シラン官能性モノマーとから誘導されるコポリマーである。ペルフルオロアルキルアクリルモノマー、ペルフルオロアルキルメタクリルモノマー、アミノ官能性モノマー、およびシランモノマーに加えて、任意で、コポリマーはビニルモノマーから誘導されてもよい。このようなフルオロ化合物は市販されており、例えば、米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington DE,USA)によって商品名「ZONYL」で販売されているものがある。米国特許出願公開第2004/0077758A1号明細書も読者に参照される。
【0008】
本発明に係るアミノプラスト樹脂の利点は、アミノプラスト樹脂それ自体、あるいはPTFEを含む樹脂と比較して著しく改善された撥水性、撥油性および防汚性が達成されることであり、それによって、既知のPTFE含有樹脂の場合よりも少ない量のフルオロ化合物を添加して、同じかまたはそれよりもさらに高い反撥効果(repellence effect)を達成することができる。本発明に係るアミノプラスト樹脂のさらなる利点は、そこに含まれるフルオロ化合物が、PTFE含有樹脂と比較して改善された樹脂中での均質性を示し得ることである。さらに、本発明に係るアミノプラスト樹脂のさらなる利点は、そこに含まれるフルオロ化合物が、特に樹脂の硬化中にアミノプラスト樹脂と化学結合を形成できること、および/または相溶化剤(compatibilising agent)としての機能を果たせることである。この結果、フルオロ化合物の少なくとも部分的な固定が得られ、次に前記固定は、フルオロ化合物が表面層に蓄積する(永続的でないことが多い)のを部分的、さらには完全に防止する。結果として、本発明に係るアミノプラスト樹脂で製造された最終製品の防汚性および撥水性はより高い耐久特性を有することができ、積層床材などの多くの一般的な用途において価値がある。
【0009】
本発明は、装飾用途に適したアミノプラスト樹脂に関する。これらの樹脂、その調製および積層体などの装飾用途のためのその使用はそれ自体知られており、例えば、Kunststoff Handbuch、10巻、Duroplaste(ベッカー(Becker)、ブラウン(Braun)、Carl Hanser Verlag、1988年)において記載されており、1.2.3章にはメラミン樹脂の調製が記載され、4.4章には装飾用積層体および積層木質パネルの調製が記載されている。本発明に係るアミノプラスト樹脂は、好ましくは、MF樹脂またはメラミン−尿素−ホルムアルデヒド(MUF)樹脂である。好ましくは、MF樹脂は1〜3の間、より好ましくは1.1〜2.5の間、特に1.2〜2.1の間のF/Mモル比(ホルムアルデヒド対メラミン)を有する。
【0010】
本発明に係る樹脂は、ポリフッ素化(alk−)アクリルポリマーを含む。好ましくは、このようなポリマーは、ペルフルオロアルキルアクリル(コ)ポリマー、ペルフルオロアルキルメタクリル(コ)ポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。有用なフルオロ化合物の選択例には、Zonyl(登録商標)8740、Zonyl(登録商標)321、Zonyl(登録商標)329、Zonyl(登録商標)9373が含まれるが、これらに限定されない。特に適切なのは、Zonyl(登録商標)321、Zonyl(登録商標)329、およびZonyl(登録商標)8740である。
【0011】
フルオロ化合物は、樹脂の調製のいずれの段階でアミノプラスト樹脂に添加されてもよく、同様に、そして好ましくは、既に調製済みの樹脂に添加されてもよい。本発明によると、アミノプラスト樹脂は、0.005重量%〜5重量%の間のフルオロ化合物を含む。有意の撥油性、撥水性および防しみ性(stain repellency)が確実に達成されるためには少なくとも0.005重量%の量が所望され、好ましくは、少なくとも0.01、0.03、0.06、0.10、0.15または0.20重量%が添加される。経済的な観点から、最大でも4.5重量%、より好ましくは最大でも4.0、3.7、3.3、3.0、または2.75重量%が添加されることが好ましい。フルオロ化合物で一般的であるように、フルオロ化合物が水溶液またはエマルジョンとして利用可能であれば、実際のフルオロ化合物の量が所与の範囲内に入るような量の溶液またはエマルジョンが添加されるべきである。
【0012】
本発明に係るアミノプラスト樹脂は装飾のために適しているので、本発明は、上部層および底部層を含み、それによって前記上部層が少なくとも部分的に硬化したアミノプラスト樹脂を含む積層体にも関し、上部層は0.005重量%〜5重量%の間の上記で定義したフルオロ化合物を含む。
【0013】
上部層および底部層を有し、それによって前記上部層が少なくとも部分的に、好ましくは本質的に完全に硬化したアミノプラスト樹脂を含む積層体はそれ自体知られており、例えば、上記で参照したKunststoff Handbuchの第10巻の4.4章に記載されている。前記ハンドブックにおいて記載される積層体の上部層は通常含浸紙から形成されるが、本発明に係る積層体は、このようにして形成された上部層を有するものに限定されない。
【0014】
積層体を調製する場合、アミノプラスト樹脂に様々なタイプの化合物を添加するのが通例である。このようなタイプの化合物の既知の例は、硬化過程のための触媒(酸など)、ならびに離型剤および/または湿潤剤である。意外なことに、上記で定義したようなフルオロ化合物を含まないアミノプラスト樹脂、またはPTFEを含むアミノプラスト樹脂と比較して本発明に係るアミノプラスト樹脂が使用される場合には、同じ硬化速度を達成しながらも、樹脂に添加される触媒の量を低減できることが分かった。前記低減は、樹脂中のフルオロ化合物の濃度に依存して、そして濁度試験で明らかであるように硬化速度を損失することなく10%〜80%の範囲内であることが分かった。
【0015】
上部層中のフルオロ化合物の量は0.005重量%〜5重量%の間の範囲内であり、好ましくは、量は0.005または0.01重量%〜4.5重量%の範囲内、または0.03重量%〜4.0重量%の間、または0.06重量%〜3.7重量%の間、または0.10重量%〜3.3重量%の間、または0.15重量%〜3.0重量%の間、または0.20重量%〜2.75重量%の間の範囲内である。本発明において使用されるフルオロ化合物の特定の性質のために、積層体の調製中またはその後に、例えば積層体の最表面への移行などのいくらかの移行が起こることもある。これは、上部層全体へのフルオロ化合物の分配が完全に均一でない状況をもたらし得るが、本発明に係る樹脂中でのフルオロ化合物の分配は既知のフルオロ化合物含有樹脂の場合よりも均一であるように見えることが観察された。本発明のさらなる利点は、使用されるフルオロ化合物が、表面を完全に被覆していなくても撥油性および撥水性特性をもたらすことである。結晶化したフルオロ化合物の実際に局在化したクラスタは、撥油性および撥水性を提供するのに十分であり得る。Fluorine in Coat.、第3回国際会議、ユーヘ(Juhue)D.、アウベルト−ラファイエット(Aubert−Lafayette)A.C.、コルパート(Corpart)J.M.、ジロウト(Girault)S.、デ・クルボアジェ(De crevoisier)G.、ファーブル(Fabre)P.編、Paint Research Association、1999年、10頁を参照されたい。それにもかかわらず、上部層中のフルオロ化合物の量について与えられる表示は平均であるとみなされるはずである。
【0016】
積層体の上部層中の部分的または完全に硬化したアミノプラスト樹脂は、好ましくは、上記で開示したような本発明に係るアミノプラスト樹脂から、より好ましくはMFまたはMUF樹脂から調製される。
【0017】
本発明に係る積層体は、フルオロ化合物を含まない積層体と比較して改善された撥油性、撥水性および防しみ性を有する。さらに、本発明に係る積層体は、既知のPTFE含有積層体と比較して改善された反撥性および反撥性の耐久性を有することが分かった。前記反撥性を評価するのに適した方法は、代表的な液体と積層体との間の接触角を測定することによる。本明細書による指針は、接触角の増大が反撥性の増大の指標であることである。代表的な液体は、極性(水など)または無極性(n−デカンなど)であり得る。
【0018】
モデル溶液の反撥性の次に、コーヒー、マスタード、コカコーラ、ケチャップ、水性インク、オリーブ油、および赤ワインのような日常的な液体によりしみをつけることが、積層体の反撥性を調べるための方法である。
【0019】
メラミンを含有する本発明に係る実施形態を調製するために、メラミンおよび特定のフルオロ化合物の両方がアミノプラスト樹脂中に取り込まれなければならない。これを実際的および経済的な形で達成するために、本発明はメラミン組成物にも関し、この組成物は、0.01重量%〜25重量%の間のポリフッ素化(alk−)アクリルポリマーを含む。好ましくは、このようなポリマーは、ペルフルオロアルキルアクリル(コ)ポリマー、ペルフルオロアルキルメタクリル(コ)ポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。本発明との関連におけるメラミン組成物は、固体形態のメラミンを含み、そして液体形態、分散形態、吸収された形態、または固体形態の特定のフルオロ化合物を含む混合物を意味する。これは、固体粉末である本発明に係るメラミン組成物をもたらすことができる。しかしながら、本発明に係るメラミン組成物は、ペースト様の形態で存在することもできる。好ましくは、本発明に係るメラミン組成物中のメラミンは、多結晶性メラミンを含む。多結晶性メラミンはそれ自体、例えばEP−A−1,073,646号明細書から知られている。
【0020】
本発明に係るメラミン組成物の好ましい実施形態では、メラミン組成物中のメラミンに対して含有されるフルオロ化合物の量は、アミノプラスト樹脂、およびその後製造される積層体などの製品において実際に所望される量よりもはるかに多い。これにより、本発明に係るメラミン組成物は、マスターバッチとして使用可能になる。マスターバッチは、本明細書中では、後で次の混合操作においてアミノプラスト樹脂の一部になり得るメラミンと1つ以上の化合物との予備混合物と定義される。好ましくは、マスターバッチは、メラミンに対して、アミノプラスト樹脂において所望される量の3倍〜25倍の間の量のフルオロ化合物を含有する。
【0021】
本発明は、以下の実施例および比較実験によって、これらに限定されることなく説明されるであろう。
【0022】
[実施例I〜VIおよび比較実験A]
[樹脂の調製]
反応容器に、452.6グラムのホルマリン(30重量%のホルムアルデヒド水溶液)、133.3グラムの脱塩水、27.4グラムのジエチレングリコール、13.7グラムのカプロラクタム、および27.4グラムのソルビトールを装入した。温度を攪拌下で35℃に調整した。10%のNaOH水溶液の添加によってpHを9.3に調整した。次に、約35℃の温度で345.6グラムのメラミン(供給元:DSM)を反応容器に添加した。全てのメラミンを添加したら、1.5℃/分の加熱速度で反応容器の内容物を加熱還流した。混合物が透明になるまで、反応容器の内容物(ここでは樹脂である)を還流状態に保持した。混合物が透明になったら、最初は曇り点に到達するまで、次に2の耐水性(water tolerance)が到達されるまで、90℃まで冷却してそこで保持した。曇り点は、大量の水に20℃で添加された1滴の樹脂がもはや直ぐに溶解せずに濁りを示す時点と定義される。耐水性は、樹脂が混濁するまでに1グラムの樹脂に20℃で添加することができる水の量(グラム)と定義される。2の耐水性が達成されたら、樹脂を80℃まで冷却した。耐水性が約1.5になったらすぐに、樹脂を室温およびpH値9.3まで冷却した。樹脂は、F/Mモル比が1.65であり、粘度が35mPa・sであり、そして計算される固形分が55重量%であった。
【0023】
[フルオロ化合物および触媒の添加]
樹脂に、Zonyl(登録商標)329またはZonyl(登録商標)8740(供給元:デュポン(DuPont))を0〜1重量%の間の様々な量で添加した。Zonyl(登録商標)製品はいずれも、30重量%のフルオロ化合物を含有する水性エマルジョンである。続いて、4〜5分の濁り時間が達せられるような量で、触媒としてパラトルエンスルホン酸(PTSA)を樹脂に添加した。濁り時間は、5グラムの樹脂(試験管に入れて攪拌され、試験管が沸騰水中に入れられる)が混濁するのに必要とされる時間と定義される。前記濁り時間に達するために必要とされる触媒の量は、50mg(樹脂が1重量%のZonyl(登録商標)8740を含有する場合)から、252mg(樹脂が1重量%のZonyl(登録商標)329を含有する場合)まで、そして339mg(樹脂がフルオロ化合物を含有しない場合)まで様々であった。
【0024】
[紙の含浸]
紙に対して171重量%の湿った樹脂が存在するように、80グラム/mの白色化粧紙(decor paper)に触媒樹脂を含浸させた。含浸の後、含浸紙を6%の湿度まで乾燥させた。
【0025】
[積層体の調製]
含浸および乾燥させた紙を10mmのMDFパネル上に積層した。積層は190℃の温度および2.5MPaの圧力で50秒間行った。
【0026】
積層体の特性、特に表面特性に対するフルオロ化合物の影響を評価するために、以下の試験方法を用いた。
【0027】
[試験方法1.接触角]
デュポンのテフロン(Teflon)(登録商標)規格試験キット(Specification Test Kit)から、水および選択された有機溶媒(「油」)を用いて撥水性および撥油性を評価した。この技法は、徐々により「湿潤性」である液体に対する材料の反撥性を評価する。液体の接触角は、23℃の制御温度においてゴニオメーターを用いて30秒後(油)または10秒後(水)に測定される。結果は表2に提供される。より高い接触角は、表面がより大きい反撥性を有することを示す。
【0028】
[試験方法2.乾式摩耗試験番号1]
積層体をナイロンブラシで10および50サイクルブラッシングした。ブラッシングの後、デカンおよび水を用いて接触角を測定し、撥油性および撥水性が摩耗に耐えるかどうかを決定した。結果は表3および4に提供され、報告した各接触角は7回の個々の測定の平均である。
【0029】
[試験方法3.湿式摩耗]
洗浄溶液(Johnson Waxから入手可能なTEEPOL(登録商標)洗剤の6重量%の水道水溶液)を調製した。1mlの洗浄溶液の液滴を積層体上に置いた。次にサンプルをナイロンブラシで10および50サイクルブラッシングした。ブラッシング後、デカンおよび水を用いて接触角を測定し、撥油性および撥水性が湿式摩耗に耐えるかどうかを決定した。結果は表3および4に提供され、報告した各接触角は7回の個々の測定の平均である。
【0030】
[試験方法4.Taber(登録商標)摩耗]
本発明に係る積層体の強化された反撥性の耐久性は、積層体を、EN438に従うTaber摩耗試験に供することによって調べた。使用重量は2×500グラムであった。使用した研磨紙は、Taber(登録商標)IndustriesからのタイプS−42紙であった。反撥性は、最初ならびに10、20、30および50サイクル後に目視による判断で決定した。S−42紙は極めて粗いので、50サイクル後には、積層体の上部層は本質的に完全にすり減った。接触角の測定ではなく目視観察に頼ることが必要であり、試験流体の液滴形態は、S−42紙が与えた亀裂により生じた毛細管力によって破壊された。結果は表5に提供される。等級0は試験溶媒の完全な広がりを意味し、等級10は約100°の接触角に等しい。
【0031】
[結果]
評価の結果は以下の表に与えられる。樹脂に添加したフルオロ化合物の種類および量によって様々な積層体が示される。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
【表5】

【0037】
[比較実験B〜C]
樹脂に、60重量%のPTFE化合物を含有する水性エマルジョンの形態で、それぞれ0.25重量%および2.5重量%の量のPTFE TE3893(供給元:デュポン)を添加した。続いて、4〜5分の濁り時間が達せられるような量で、触媒としてパラトルエンスルホン酸(PTSA)を樹脂に添加した。前記濁り時間に達するために必要とされる触媒の量は、樹脂がフルオロ化合物を含有しない場合と本質的に同じであった。続いて、上記と同様にして含浸紙および積層体を調製した。反撥性は、表5において行ったような方法で目視により評価した。また、積層体の表面張力も測定した。これは、独国(Germany)のArcotec GmbHからのマーカーおよび試験流体を用いて行った。結果は、本発明に係る積層体、そしてフルオロ化合物を含有しない積層体の結果と比較され、表6に示される。
【0038】
【表6】

【0039】
比較実験Bでは、積層体中のフルオロ化合物の量は実施例IIの場合と同じである。PTFEの濃度が10倍高くても、反撥性および表面張力の真の改善は観察されない(比較実験Cを参照)。
【0040】
表から、本発明に係る積層体がフルオロ化合物を含まない対照の積層体よりも常に高い接触角を有することは明らかである。さらに、本発明に係る積層体は、PTFEを含有する積層体と比較して、より高い接触角を有する。極性物質(水)および無極性物質(デカン)の両方に対する効果は明らかである。さらに、積層体が摩耗される場合、より高い接触角によって明らかであるように、特定のフルオロ化合物を含む本発明に係る積層体は、対照の積層体よりもよく摩耗に耐えることができ、撥油性および撥水性を保持することができた。従って、本発明に係る積層体は、その反撥特性の保持において非常に高い耐久特性を有する。
【0041】
さらに、EN438に従う実施例I〜VIおよび比較実験A〜Cの積層体の特性の試験によって、本発明に係る積層体は、多孔性試験、Kiton試験、1時間蒸気試験および20時間/80℃の亀裂試験の評価において、少なくとも対照の積層体と同程度に優れていることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロ化合物を含むアミノプラスト樹脂であって、0.005重量%〜5重量%の間のポリフッ素化(alk−)アクリルポリマーを含むアミノプラスト樹脂。
【請求項2】
前記フルオロ化合物が、ペルフルオロアルキルアクリル(コ)ポリマー、ペルフルオロアルキルメタクリル(コ)ポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載のアミノプラスト樹脂。
【請求項3】
前記フルオロ化合物が、ペルフルオロアルキルアクリルモノマーまたはペルフルオロアルキルメタクリルモノマーあるいはこれらの組み合わせと、アミノ官能性モノマーと、シラン官能性モノマーとから誘導されるコポリマーである請求項1または2に記載のアミノプラスト樹脂。
【請求項4】
上部層および底部層を含み、それによって前記上部層が少なくとも部分的に硬化したアミノプラスト樹脂およびフルオロ化合物を含む積層体であって、前記上部層が、0.005重量%〜5重量%の間のポリフッ素化(alk−)アクリルポリマーを含む積層体。
【請求項5】
前記フルオロ化合物が、ペルフルオロアルキルアクリル(コ)ポリマー、ペルフルオロアルキルメタクリル(コ)ポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
メラミンおよびフルオロ化合物を含むメラミン組成物であって、0.01重量%〜25重量%の間のポリフッ素化(alk−)アクリルポリマーを含むメラミン組成物。
【請求項7】
前記フルオロ化合物が、ペルフルオロアルキルアクリルコポリマー、ペルフルオロアルキルメタクリルコポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項6に記載のメラミン組成物。
【請求項8】
前記メラミンが、多結晶性メラミンである請求項7に記載のメラミン組成物。

【公表番号】特表2009−524713(P2009−524713A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551714(P2008−551714)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000545
【国際公開番号】WO2007/085416
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【出願人】(508227167)イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー−ユーエスエー (1)
【Fターム(参考)】