説明

裏当装置および片面溶接装置

【課題】被溶接部材を突き合わせた開先線の裏側へのフラックス押し当てが容易で、異なる裏当方式に対応する2つの裏当部を備えても裏当装置全体が大型化せず、設備コストが低価な裏当装置を提供する。また、裏当装置を備える片面溶接装置においても、片面溶接装置全体が大型化せず、設備コストが低価な片面溶接装置を提供する。
【解決手段】開先線の裏側にフラックスを押し当てる裏当部11と、裏当フレーム17と、架台フレーム21と、フラックス回収手段22とを備える裏当装置10であって、裏当部11は、フラックス保持部と、支持板と、1本のエアーホースと、エアーホースの幅方向の両側で長手方向に所定間隔で配置される昇降ガイド部材を有する昇降ガイド14とを備え、昇降ガイド14は、各昇降ガイド部材の一端部が、支持板に固定され、各昇降ガイド部材が、裏当フレーム17に形成されたガイド穴を挿通して、ガイドされるように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板等の被溶接部材の片面溶接において、被溶接部材を突き合わせた開先線の裏側にフラックスを押し当てる裏当装置およびその裏当装置を備えた片面溶接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、裏当装置およびその裏当装置を備えた片面溶接装置として、例えば、特許文献1では、以下の構成を備えたものが記載されている。図7は従来の片面溶接装置の構成を示す斜視図(被溶接部材は図示せず)、図8は従来の裏当装置および片面溶接装置(溶接機は図示せず)の構成を示す図7の断面図、図9は図7の断面図である。
【0003】
図7に示すように、片面溶接装置100は、片面溶接装置100の長手方向に所定の間隔をあけて並設された複数のレール107と、レール107の上方に配置された断面視凹状の土台フレーム104と、土台フレーム104の内部に設置された裏当装置50と、土台フレーム104の上部に配置され、裏当装置50の上方で被溶接部材Eを搬送するパネル移動ローラ105a(補助ローラ106)と、裏当装置50の上方において、裏当装置50の長手方向に沿って移動可能な溶接機60とを備える。
【0004】
図8に示すように、裏当装置50は、被溶接部材E、Eを突き合わせた開先線Mの裏側にフラックスを押し当てるフラックスカッパーバッキング式第1裏当部51aおよびフラックスバッキング式第2裏当部51bと、第1裏当部51aおよび第2裏当部51bを搭載する水平移動可能な裏当フレーム54と、裏当フレーム54の直下に配置された架台フレーム55とを備える。また、架台フレーム55の内部には、第1裏当部51aから落下させるフラックスを回収する第1裏当部用フラックス回収手段56と、第2裏当部51bから落下させるフラックスを回収する第2裏当部用フラックス回収手段57とを備える。また、裏当装置50は、裏当装置50の長手方向に沿って移動可能なフラックス供給ホッパ59(図7参照)を備える。
【0005】
第1裏当部51aは、フラックスを保持する銅板52aと、銅板52aを裏当フレーム54に相対して昇降させる2本の第1エアーホース53a、53aを備える。第2裏当部51bは、フラックスを保持する樋状のフラックス容器52bと、フラックス容器52bを裏当フレーム54に相対して昇降させる2本の第2エアーホース53b、53bを備える。
【0006】
図7〜図9に示すように、このような構成からなる片面溶接装置100では、裏当フレーム54に設けられた裏当ローラ58を用いて、裏当フレーム54を架台フレーム55の上を移動させることで、第1裏当部51aまたは第2裏当部51bの位置調整を行い、開先線Mの直下に第1裏当部51aまたは第2裏当部51bを配置する。そして、フラックス供給ホッパ59を長手方向に移動させて、銅板52aまたはフラックス容器52b上にフラックスを供給する。その後、第1エアーホース53a、53aまたは第2エアーホース53b、53bに空気を導入して膨張させることにより、銅板52aまたはフラックス容器52bを開先線M側に押し当て、開先線Mの裏側にフラックスを当接した状態として、開先線Mの表側から溶接機60で溶接を行なう。
【特許文献1】特開2005−319512号公報(請求項1、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図8に示すように、従来の裏当装置50では、開先線Mの裏側へのフラックスの押し当てを安定化させるために、第1裏当部51a(第2裏当部51b)において、2本のエアーホースを膨張させることで、銅板52a(フラックス容器52b)が水平状態を維持しながら押し上がるようにしている。しかしながら、エアーホースの膨張は、導入される空気圧によって調整されるため、水平状態が維持できるように2本のエアーホースの空気圧を正確に調整することは難しいという問題があった。
【0008】
また、裏当装置50では、第1裏当部51a、第2裏当部51bの各々が2本の第1エアーホース53a、第2エアーホース53bを備えるため、各々の裏当部の幅が広くなり、両者を連結すると、幅がさらに広くなる。その結果、第1裏当部51aと第2裏当部51bとの間の距離L3が長くなり、裏当装置全体の幅が大きくなる。そのため、溶接の際、2つの裏当部の上方に形成される溶接線の幅を狭くすることができない。
【0009】
また、裏当装置50では、距離L3が長いため、第1裏当部51aおよび第2裏当部51bの長手両側部に設けられた補助ローラ106を具備したマグネット装置105bと、補助ローラ106を具備したパネル移動ローラ105aとの間隔が広くなり、被溶接部材Eが搬送できなくなってしまう場合があった。すなわち、マグネット装置105bとパネル移動ローラ105aとの間で、被溶接部材Eが自重によって下方に垂れ下がり、第1裏当部51aおよび第2裏当部51bに衝突、または、パネル移動ローラ105aを乗り越えることができない場合があった。そして、被溶接部材Eの搬送を可能にするため、裏当装置50では、第1裏当部51aと第2裏当部51bとの間に、マグネット装置105bまたは補助ローラ(図示せず)が必要であった。
【0010】
さらに、裏当装置50では、距離L3が長いため、2つの並設した裏当部(第1裏当部51a、第2裏当部51b)から落下させる使用済みのフラックスを回収するために、各裏当部の下方に位置する架台フレーム55の内部に、2つのフラックス回収手段(第1裏当部用フラックス回収手段56、第2裏当部用フラックス回収手段57)が必要であった。
【0011】
したがって、裏当装置50では、裏当装置全体の幅が大きくなると共に、フラックス回収手段を2つ、被溶接部材Eの搬送手段としてのマグネット装置105bまたは補助ローラ106が必要なため、設備コストが高価になりやすいという問題があった。
【0012】
図7〜図9に示すように、従来の片面溶接装置100では、裏当装置50の裏当方式を切り替えて溶接を行なうためには、第1裏当部51aの上方の位置に固定された溶接機60(溶接トーチ63)を、第2裏当部51bの上方の位置に距離L3だけ移動する必要がある。
【0013】
一方、溶接機60は、第1裏当部51aおよび第2裏当部51bの長手方向に沿って延設された溶接機ビーム101を走行する走行台車61と、走行台車61に移動可能に取り付けられた調整冶具62と、調整冶具62に取り付けられた溶接トーチ63とを備える。
【0014】
そして、溶接機60の走行台車61に設けられたレール61aの上を、調整冶具62に設けられたベアリング62aが移動することによって、調整冶具62が幅方向に移動し、調整冶具62に取り付けられた溶接トーチ63が距離L4だけ移動する。なお、溶接機60では、距離L4は、ベアリング62aが移動するレール61aの長さによって決定される。レール61aが長すぎると、レール61aと、溶接トーチ63に供給される溶接ワイヤWとが干渉するため、距離L4を長く設定することができない。
【0015】
片面溶接装置100では、距離L3が距離L4に比して長いため、溶接機60(溶接トーチ63)の第1裏当部51aから第2裏当部51bへの移動を、溶接機60の調整冶具62の移動だけで調整することができない。そのため、片面溶接装置100では、ビーム走行機構102を用いて、溶接機ビーム101をビーム走行ガイド103に沿って移動させることで、溶接機60(溶接トーチ63)を第1裏当部51aから第2裏当部51bへ移動調整する。
【0016】
したがって、片面溶接装置100では、溶接機ビーム101に加えて、ビーム走行機構102およびビーム走行ガイド103が必要となる上、ビーム走行ガイド103には溶接機ビーム101(溶接機60)の移動に耐える剛性が必要となる。そのため、片面溶接装置全体が大型化すると共に、設備コストが高価になりやすいという問題があった。また、ビーム走行ガイド103の設置、および、片面溶接装置全体の大型化は、工場の有効面積を奪うことにもなる。
【0017】
そこで、本発明は、このような問題を解決すべく創案されたもので、その目的は、被溶接部材を突き合わせた開先線の裏側へのフラックスの押し当てが容易で、異なる裏当方式に対応する2つの裏当部を備えても裏当装置全体が大型化せず、設備コストが低価な裏当装置を提供する。また、前記裏当装置を備える片面溶接装置においても、片面溶接装置全体が大型化せず、設備コストが低価な片面溶接装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するために、請求項1に係る裏当装置は、被溶接部材を突き合わせた開先線の裏側にフラックスを押し当てる裏当部と、前記裏当部を搭載する水平移動可能な裏当フレームと、前記裏当フレームを搭載し当該裏当フレームの直下に配置された架台フレームと、前記架台フレームに配置され、前記裏当部から落下させるフラックスを回収するフラックス回収手段とを備える裏当装置であって、前記裏当フレームは、前記裏当部の長手方向に沿って延設する天板と、前記天板の幅方向の両側で立設される側板と、両側板の間に連結される底板とを備え、前記裏当部は、フラックスを保持するフラックス保持部と、前記フラックス保持部を支持する支持板と、前記支持板と前記天板との間に配置され、前記フラックス保持部を前記裏当フレームに相対して昇降させる1本のエアーホースと、前記エアーホースの幅方向の両側で当該エアーホースの長手方向に所定間隔で配置される昇降ガイド部材を有する昇降ガイドとを備え、前記昇降ガイドは、各昇降ガイド部材の一端部が、前記支持板に固定され、各昇降ガイド部材が、前記天板に形成されたガイド穴を挿通して、前記側板に沿ってガイドされるように形成されることを特徴とする。
【0019】
前記構成によれば、裏当部が昇降ガイド部材を有する昇降ガイドを備えることによって、1本のエアーホースの膨張によってフラックス保持部を開先側に上昇させる際に、エアーホースの膨張に伴って、昇降ガイド部材がエアーホースの両側で同一高さにスライドする。そのため、フラックス保持部の傾斜が阻止され、水平状態が維持できる。
【0020】
請求項2に係る裏当装置は、被溶接部材を突き合わせた開先線の裏側にフラックスを押し当てる第1裏当部および第2裏当部と、前記第1裏当部を搭載する水平移動可能な第1裏当フレームと、第2裏当部を搭載する水平移動可能な第2裏当フレームと、前記第1裏当フレームおよび前記第2裏当フレームを搭載し、前記第1裏当フレームおよび前記第2裏当フレームの直下に配置された架台フレームと、前記架台フレームに配置され、前記第1裏当部および第2裏当部から落下させるフラックスを回収する1つのフラックス回収手段とを備える裏当装置であって、前記第1裏当フレームは、前記第1裏当部の長手方向に沿って延設する第1天板と、前記第1天板の幅方向の両側で立設される第1側板と、両第1側板の間に連結される第1底板とを備え、前記第1裏当部は、フラックスを保持する銅板と、前記銅板を支持する第1支持板と、前記第1支持板と前記第1天板との間に配置され、前記銅板を前記第1裏当フレームに相対して昇降させる1本の第1エアーホースと、前記第1エアーホースの幅方向の両側で当該第1エアーホースの長手方向に所定間隔で配置される第1昇降ガイド部材を有する第1昇降ガイドとを備え、前記第1昇降ガイドは、各第1昇降ガイド部材の一端部が、前記第1支持板に固定され、各第1昇降ガイド部材が、前記第1天板に形成された第1ガイド穴を挿通して、前記第1側板に沿ってガイドされるように形成され、前記第2裏当フレームは、前記第2裏当部の長手方向に沿って延設する第2天板と、前記第2天板の幅方向の両側で立設される第2側板と、両第2側板の間に連結される第2底板とを備え、前記第2裏当部は、フラックスを保持するフラックス容器と、前記フラックス容器を支持する第2支持板と、前記第2支持板と前記第2天板との間に配置され、前記フラックス容器を前記第2裏当フレームに相対して昇降させる1本の第2エアーホースと、前記第2エアーホースの幅方向の両側で当該第2エアーホースの長手方向に所定間隔で配置される第2昇降ガイド部材を有する第2昇降ガイドとを備え、前記第2昇降ガイドは、各第2昇降ガイド部材の一端部が、前記第2支持板に固定され、各第2昇降ガイド部材が、前記第2天板に形成された第2ガイド穴を挿通して、前記第2側板に沿ってガイドされるように形成されることを特徴とする。
【0021】
前記構成によれば、第1裏当部および第2裏当部が、第1昇降ガイド部材を有する第1昇降ガイド、および、第2昇降ガイド部材を有する第2昇降ガイドを備えることによって、1本の第1または第2エアーホースの膨張によって銅板またはフラックス容器を開先側に上昇させる際に、第1または第2エアーホースの膨張に伴って、第1昇降ガイド部材または第2ガイド部材が第1エアーホースまたは第2エアーホースの幅方向の両側で同一高さにスライドする。そのため、銅板またはフラックス容器の傾斜が阻止され、水平状態が維持できる。
【0022】
また、第1裏当部または第2裏当部から落下させるフラックスを回収する1つのフラックス回収手段を備えることによって、第1裏当部および第2裏当部に対応して2つのフラックス回収手段を備え、第1裏当部と第2裏当部との間にマグネット装置または支持ローラを備えた従来の裏当装置に比べて、第1裏当部と第2裏当部との間の距離を狭くすることができ、被溶接部材を支持するマグネット装置または支持ローラも不要となる。
【0023】
請求項3に係る裏当装置は、前記第1裏当フレームと前記第2裏当フレームとを連結する連結部を備えることを特徴とする。
【0024】
前記構成によれば、第1裏当フレームと第2裏当フレームとを連結する連結部を備えることによって、第1および第2裏当フレームの幅方向の剛性が高くなり、開先線両端の位置で裏当フレームが弓なりに変形することが阻止され、溶接機のセンター合わせの精度が向上する。また、連結部は、第1裏当部および第2裏当部から落下させる使用済みのフラックスが、第1裏当部と第2裏当部との間で堆積し、フラックス回収手段に到達しないことがないように、第1裏当部と第2裏当部との間に所定の間隔(空間部)を設ける働きを有する。
【0025】
請求項4に係る裏当装置は、前記銅板にフラックスを供給する第1フラックス供給手段と、前記フラクッス容器にフラックスを供給する第2フラックス供給手段とを備えることを特徴とする。
【0026】
前記構成によれば、第1および第2フラックス供給手段を備えることによって、異なる高さに配置された銅板またはフラックス容器に、その長手方向に亘って一定にフラックスを供給することができる。
【0027】
請求項5に係る片面溶接装置は、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の裏当装置と、前記裏当装置を支持して、前記裏当装置の長手方向に延設された土台フレームと、前記土台フレームの上部に配置され、前記裏当装置の上方で前記被溶接部材を水平移動させる搬送手段と、前記裏当装置の上方に固定され、前記開先線の表側から前記溶接部材を溶接する溶接機とを備えることを特徴とする。
【0028】
前記構成によれば、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の裏当装置を備えることによって、裏当装置のフラックス保持部の水平状態が維持できる。また、2種類の裏当部を備えた場合であっても、裏当部間の距離を狭くでき、裏当部間に被溶接部材を搬送するマグネット装置またはパネル移動ローラが不要となる。さらに、裏当部間の距離を狭くできることによって、裏当部間での溶接機(溶接トーチ)の移動を、溶接トーチを取り付けた調整冶具の移動調整で行なうことができ、従来の片面溶接装置が備えていた、溶接機ビームの移動に用いるビーム走行機構およびビーム走行ガイドが不要となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る裏当装置によれば、被溶接部材を突き合わせた開先線の裏側へのフラックスの押し当てが容易であって、異なる裏当方式に対応する2つの裏当部を備えても裏当装置全体が大型化せず、設備コストが低価となる。また、本発明に係る片面溶接装置によれば、開先線での溶接状態が優れたものとなることに加えて、片面溶接装置全体が大型化せず、設備コストが低価となると共に、設置スペースも最小限となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明に係る裏当装置および片面溶接装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は裏当装置および片面溶接装置(溶接機は図示せず)の構成を示す断面図、図2は裏当装置の他の実施形態、および、片面溶接装置(溶接機は図示せず)の構成を示す断面図、図3(a)、(b)は裏当装置の銅板またはフラックス容器の昇降機構を示す概略図であって、(a)は銅板またはフラックス容器を被溶接部材に押し当てる前の状態を示し、(b)は銅板またはフラックス容器を被溶接部材に押し当てた状態を示す、図4は片面溶接装置の構成を示す斜視図(被溶接部材は図示せず)、図5は図4の断面図、図6は裏当装置および片面溶接装置(溶接機は図示せず)の他の実施形態の構成を示す断面図である。なお、実施形態の説明において、長手方向は被溶接部材の開先線に平行な方向、幅方向は開先線に直交する方向とする。
【0031】
まず、本発明に係る裏当装置の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、裏当装置10は、例えば1辺が20〜30mの長さからなる被溶接部材Eを突き合わせた開先線Mの裏側にフラックスを押し当てる装置であって、片面サブマージアーク溶接を行なう片面溶接装置1に設置される。
【0032】
裏当装置10は、裏当部11と、裏当フレーム17と、架台フレーム21と、フラックス回収手段22とを備える。以下、各構成について説明する。
【0033】
裏当部11は、被溶接部材Eを突き合わせた開先線Mの裏側にフラックスを押し当てる部分である。図3(a)、(b)に同一構成の裏当部11(第1裏当部11a、第2裏当部11b)が記載されているため、適宜参照して説明する。なお、第1実施形態の裏当装置10においては、第1裏当部11a、第2裏当部11bのいずれか一方を備える。そして、裏当部11は、フラックス保持部12と、支持板15と、1本のエアーホース13と、昇降ガイド14とを備える。
【0034】
フラックス保持部12は、長手方向に亘って形成される銅板であって、その上面に片面溶接装置1の第1フラックス供給手段26a(図4参照)から供給されたフラックスを保持する。そして、被溶接部材Eの板厚が比較的厚く、目違いがない場合には、フラックス保持部12として銅板12aが使用され、フラックスカッパーバッキング式と称される。また、被溶接部材Eの板厚が比較的薄く、目違いや板厚差がある場合には、フラックス保持部12として樋状のフラックス容器12bが使用され、フラックスバッキング式と称される。
【0035】
支持板15は、長手方向に亘って形成される長尺板であって、裏当フレーム17の上部に配置され、フラックス保持部12を支持するものである。また、フラックス保持部12を支持する目的で、支持板15での支持を補助する支持補助板16を使用してもよい(図3(a)、(b)の第1裏当部11a参照)。支持補助板16は、支持板15から立設し、長手方向に亘って、所定間隔で複数個設けられている。
【0036】
エアーホース13は、フラックス保持部12を支持する支持板15と裏当フレーム17との間に配置されている。そして、エアーホース13は、その膨張または収縮によって、フラックス保持部12を裏当フレーム17に相対して昇降させる。また、図3(a)、(b)の第2裏当部11bのように、フラックス容器12b(フラックス保持部12)の直下に第2エアーホース13cを配置して、第2エアーホース13cの膨張によって、フラックス容器12b(フラックス保持部12)内に収納したフラックスを上昇させて被溶接部材Eの開先線Mに押し当ててもよい。
【0037】
昇降ガイド14は、裏当フレーム17の上部に配置されたエアーホース13の幅方向の両側に配置され、エアーホース13の長手方向に所定間隔で多数配置される昇降ガイド部材14を有する。また、昇降ガイド部材14は、フラックス保持部12を支持する支持板15に固定された一端部を有し、裏当フレーム17の天板20に形成されたガイド穴27を挿通して、裏当フレーム17の側板19に沿ってガイドされるように形成される。
そして、昇降ガイド部材14は、エアーホース13の膨張または収縮によって、エアーホース13の両側で、裏当フレーム17のガイド穴27および側板19にガイドされて、同一高さにスライドし、支持板15を水平状態で昇降させ、フラックス保持部12の傾斜を阻止して、水平状態を維持させている。
【0038】
昇降ガイド部材14は、例えば、棒状部材からなり、その長さは、スライドして、フラックス保持部12に保持されたフラックスを開先線Mの裏側に当接させるのに十分な長さを有する。昇降ガイド部材14は、その他端部に、ガイド穴27(第2ガイド穴27b)より大径となるストッパ14cを有してもよい(図3(a)、(b)の第2昇降ガイド部材14b参照)。
【0039】
裏当フレーム17は、その上部に裏当部11を搭載するフレームであって、裏当部11の長手方向に沿って延設する天板20と、天板20の幅方向の両側で立設される側板19と、両側板19、19の間に連結される底板18とから構成される。また、底板18は、架台フレーム21の上部に配置された裏当ローラ部21aに支持され、昇降ガイド部材14がストッパ14cを有する場合には、底板18にストッパ14cが当接する。したがって、底板18は、長手方向全長に亙って設ける必要はなく、裏当ローラ部21aに支持される、また、昇降ガイド部材14がストッパ14cを有する場合には、ストッパ14cも当接する、所定の長さを有していればよい。天板20は、裏当部11の長手方向全長に亙って延設し、その上部にエアーホース13が配置され、エアーホース13の幅方向の両側には昇降ガイド部材14をガイドするガイド穴27が形成されている。さらに、両側板19、19は、昇降ガイド部材14のスライドをガイドする。そして、裏当フレーム17は、底板18に係合する係合部を備えた駆動機構(図示せず)によって、裏当ローラ部21aの上を幅方向に水平移動する。
【0040】
架台フレーム21は、裏当フレーム17の直下に配置され、鉛直方向に昇降するフレームであって、昇降手段23に支持されるとともに、上部に裏当ローラ部21aが配置されている。架台フレーム21は、角材および板材を接合して略箱状に枠組されており、幅方向に延設された下辺フレーム21bと、下辺フレーム21bの両端に梯子状に形成された側部フレーム21c、21cと、側部フレーム21c、21cの間に介設された一対の挟持板21d、21dとを有する。一対の挟持板21d、21dは、長手方向に所定の間隔で離間して、裏当ローラ部21aを挟持し、下端には昇降手段23の上端が当接支持されている。また、一対の挟持板21d、21dは、側部フレーム21cの全長に亘って、所定の間隔をあけて複数個並設されている。さらに、下辺フレーム21bには昇降手段23が挿通されている。
【0041】
フラックス回収手段22は、架台フレーム21の内部に配置され、開先線Mの溶接後に掻き落とされた使用済みフラックスを回収するものである。フラックス回収手段22は、架台フレーム21の上方に拡開したテーパ部22aと、回収したフラックスを外部に排出するスクリュー状のコンベア部22bとからなる。
【0042】
次に、本発明に係る裏当装置の第2実施形態について説明する。
図2、図3(a)、(b)に示すように、裏当装置10Aは、第1裏当部11aおよび第2裏当部11bと、第1裏当フレーム17aと、第2裏当フレーム17bと、架台フレーム21と、1つのフラックス回収手段22とを備える。ここで、第1裏当部11aおよび第2裏当部11bの各々が、1本のエアーホース(第1エアーホース13a、第2エアーホース13b)を備えることによって、各々の裏当部11a、11bの幅が狭くなり、第1裏当部11aと第2裏当部11bとの間の距離L1を、狭く設定できる。すなわち、距離L1を、2本のエアホース(第1エアーホース53a、第2エアーホース53b)を備える従来の裏当装置50における、第1裏当部51aと第2裏当部51bとの間の距離L3(図8参照)に比して、狭く設定できる。
【0043】
また、裏当装置10Aは、第1裏当部11aが、銅板12aと、第1支持板15aと、1本の第1エアーホース13aと、第1昇降ガイド(第1昇降ガイド部材)14aとを備え、第2裏当部11bが、フラックス容器12bと、第2支持板15bと、1本の第2エアーホース13bと、第2昇降ガイド(第2昇降ガイド部材)14bとを備える。
【0044】
以下、裏当装置10Aの各構成について説明する。
ここで、裏当装置10Aの架台フレーム21、フラックス回収手段22は、前記の第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
また、裏当装置10Aの第1裏当フレーム17a(第1底板18a、第1側板19a、第1天板20a、第1ガイド穴27a)および第2裏当フレーム17b(第2底板18b、第2側板19b、第2天板20b、第2ガイド穴27b)も、第1実施形態の裏当フレーム17(底板18、側板19、天板20、ガイド穴27)と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
また、裏当装置10Aの第1裏当部11aおよび第2裏当部11bは、前記の第1実施形態(裏当装置10)の裏当部11に相当する。
そして、第1裏当部11aにおける銅板12a、第1支持板15a、第1エアーホース13aおよび第1昇降ガイド(第1昇降ガイド部材)14aは、第1実施形態(裏当装置10)のフラックス保持部12、支持板15、エアーホース13、昇降ガイド(昇降ガイド部材)14に相当する。
同様に、第2裏当部11bにおけるフラックス容器12b、第2支持板15b、第2エアーホース13bおよび第2昇降ガイド(第2昇降ガイド部材)14bは、第1実施形態(裏当装置10)のフラックス保持部12、支持板15、エアーホース13、昇降ガイド(昇降ガイド部材)14に相当する。
したがって、第1裏当部11aおよび第2裏当部11bについても、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
裏当装置10Aは、裏当フレーム17を、第1裏当部11aを搭載する第1裏当フレーム17aと、第2裏当部11bを搭載する第2裏当フレーム17bとから構成し、第1裏当フレーム17aと第2裏当フレーム17bとを連結する連結部24を備えてもよい。
【0047】
連結部24は、第1裏当フレーム17aおよび第2裏当フレーム17bの幅方向の剛性を向上させるものであれば、特に限定されない。また、連結部24は、長手方向に亘って、所定の間隔をあけて、複数個備えられている、すなわち、空間部25を複数個備えることが好ましい。空間部25を備えることによって、連結部24に、第1裏当部11aおよび第2裏当部11bから掻き落とされた使用済みフラックスが溜まることを防止できる。
【0048】
図4に示すように、裏当装置10Aは、銅板12a(図3(a)参照)にフラックスを供給する第1フラックス供給手段26a、および、フラックス容器12b(図3(a)参照)にフラックスを供給する第2フラックス供給手段26bを備えてもよい。第1フラックス供給手段26a,および、第2フラックス供給手段26bは、例えば、ホッパであって、フラックスを供給できれば、その形状は特に限定されない。
【0049】
次に、本発明に係る片面溶接装置について説明する。
図2、図4、図5に示すように、片面溶接装置1は、裏当装置10Aと、土台フレーム104と、搬送手段105と、溶接機30とを備える。また、2種の裏当部(第1裏当部11a、第2裏当部11b)を備えた裏当装置10Aの代わりに、1種の裏当部11を備えた裏当装置10を使用してもよい。以下、各構成について説明する。なお、裏当装置10、10Aについては、前記のとおりであるので、説明を省略する。
【0050】
土台フレーム104は、鋼製の角材を枠組みして、断面視凹状を呈するように形成されており、上方が開放され内部に裏当装置10Aが支持され、裏当装置10Aの長手方向に沿って延設されるフレームである。土台フレーム104は、長手方向に沿って並設された2本の主梁104aと、主梁104a、104aの間に直角に連結された連結梁104bと、連結梁104bに垂直に立設された連結梁104cと、主梁104a、104aの上方において、それぞれ平行に設置された補助梁104d、104dと、補助梁104d、104dから裏当装置10Aの反対側に向かって張出した片持梁104eとを備える。また、土台フレーム104は、連結梁104bの下方に回転台車部108が設置され、片面溶接装置1の長手方向に所定の間隔をあけて並設された複数のレール107の上を回転台車部108が移動することによって、幅方向に移動する。
【0051】
搬送手段105は、土台フレーム104の上部(補助梁104d)に配置され、裏当装置10Aの上方で被溶接部材Eを水平移動させるもので、パネル移動ローラ105a、マグネット装置105b等で構成される。また、搬送手段105による被溶接部材Eの搬送を補助するために、土台フレーム104の上部(片持梁104e)には補助ローラ106が配置される。
【0052】
溶接機30は、裏当装置10Aの上方に固定され、開先線Mの表側から被溶接部材Eを溶接するものである。溶接機30は、裏当装置10Aの第1裏当部11aおよび第2裏当部11bの長手方向に沿って延設される溶接機ビーム101を走行する走行台車31と、走行台車31に移動可能に取り付けられた調整冶具32と、調整冶具32に取り付けられた溶接トーチ33とを備える。
【0053】
そして、走行台車31にベアリング31aが固定され、固定されたベアリング31aを介して調整冶具32に設けられたレール32aが移動することによって、調整冶具32が幅方向に移動し、調整冶具32に取り付けられた溶接トーチ33が距離L2だけ移動する。なお、溶接機30では、ベアリング31aが固定され、ベアリング31aを介して、レール32aと共に調整冶具32(溶接トーチ33)が幅方向に移動する。そのため、レール32aと、溶接トーチ33に供給する溶接ワイヤWとが干渉することがないため、距離L2を、図9に示す距離L4より長く設定できる。
【0054】
次に、裏当装置および片面溶接装置の動作について、図2〜図5を参照して、説明する。なお、裏当装置としては、2種類の裏当部(第1裏当部11a、第2裏当部11b)を備えた裏当装置10Aを例にとって説明する。
【0055】
(1)第1フラックス供給手段26aから、第1裏当部11a(銅板12a)にフラックスを供給する。そして、パネル移動ローラ105aおよび補助ローラ106により、仮止めされた被溶接部材E、Eを移動させ、裏当装置10Aの上方に被溶接部材E、Eによって形成された開先線Mを配置させる。そして、図示しない駆動装置を作動させて開先線Mの直下に銅板12aが位置するように第1裏当部11aの幅方向の微調整を行う。
【0056】
具体的には、第1裏当部11aを搭載した第1裏当フレーム17aを、第1裏当フレームの直下に配置された架台フレーム21の上部に配置された裏当ローラ部21aの上で幅方向に水平移動させる。
【0057】
(2)幅方向の微調整が終了したら、マグネット装置105bを起動させて、被溶接部材Eを、磁気によって下方に引き付けて固定する。
【0058】
(3)第1エアーホース13aに空気を導入し、第1エアーホース13aを膨張させる。第1エアーホース13aの膨張によって、第1昇降ガイド(第1昇降ガイド部材)14aが、第1エアーホース13aの両側で、第1裏当フレーム17aの第1ガイド穴27aおよび第1側板19aにガイドされた状態でスライドして、第1昇降ガイド部材14aの一端部に固定された第1支持板15aを押し上げる。
【0059】
第1支持板15aの押し上げによって、第1支持板15a(支持補助板16)に支持された銅板12aが開先線Mの裏側に当接し、開先線Mの裏側にフラックスが押し当てられる。そして、溶接機30を溶接機ビーム101の上を所定速度で移動させながら、開先線Mの表側から溶接トーチ33によって片面サブマージアーク溶接を施して、被溶接部材E、Eを溶接する。
【0060】
(4)次に、開先線Mが複数ある場合には、第1エアーホース13a内の空気を排出して、第1昇降ガイド(第1昇降ガイド部材)14a、第1支持板15aを降下させ、銅板12aを被溶接部材Eの裏側から押し下げる、そして、昇降手段23で架台フレーム21を降下させ、第1裏当部11aを被溶接部材Eの裏側からさらに押し下げる。そして、前記(1)と同様に、銅板12aにフラックスを供給し、次の開先線Mの直下に銅板12aが位置するように微調整を行い、前記(2)〜(3)を行う。このような動作を、開先線Mがなくなるまで行う。
【0061】
また、裏当方式をフラックスカッパーバッキング式からフラックスバッキング式に切り替える場合には、溶接機30の走行台車31のベアリング31aを介して、調整冶具32のレール32aを幅方向に移動することによって、第1裏当部11a(銅板12a)の上から第2裏当部(フラックス容器12b)の上に、溶接トーチ33を移動する。そして、前記(1)〜(4)にしたがって溶接を行なう。なお、フラックス回収手段として第2フラックス供給手段26b、裏当部として第2裏当部11b(フラックス容器12b、第2支持板15b、第2エアーホース13b、第2昇降ガイド(第2昇降ガイド部材)14b)、裏当フレームとして第2裏当フレーム17bを使用する。
【0062】
また、図3(a)、(b)に示すように、フラックス容器12bは、以下の2段階で押し上げられ、開先線Mの裏側に当接する。
まず、第2裏当フレーム17b(第2天板20b)の上に配置された第2エアーホース13bに空気を導入し、第2エアーホース13bを膨張させる。第2エアーホース13bの膨張に伴って、第2昇降ガイド部材14bは、第2裏当フレーム17bの第2ガイド穴27bおよび第2側板19bにガイドされた状態でスライドし、フラックス容器12bを所定高さ(フラックス容器12bが被溶接部材Eに接触する程度の高さ)まで押し上げる。そして、第2エアーホース13bの膨張(第2昇降ガイド部材14bのスライド)は、第2昇降ガイド部材14bの他端部に設けられたストッパ14cが、第2裏当フレーム17bの下部に当接するまで行う(第1段階の押上)。
次に、フラックス容器12bの下方に配置された第2エアーホース13cに空気を導入し、第2エアーホース13cを膨張させる。この第2エアーホース13cの膨張によって、フラックス容器12b内のフラックスが被溶接部材Eに押し当てられる(第2段階の押上)。
【0063】
このように、裏当方式の切り替えを、溶接トーチ33の移動調整によって行うことが可能な理由は、裏当装置10Aにおいて、第1裏当部11aと第2裏当部11bとの間の距離L1を、溶接トーチ33の位置調整可能な距離L2に比して、狭く設定できるからである。そして、距離L1を狭く設定できる理由は、第1裏当部11a(銅板12a)および第2裏当部11b(フラックス容器12b)に内蔵したエアーホース(第1エアーホース13a、第2エアーホース13b)を1本で構成したことにある。
【0064】
図8に示すように、従来の裏当装置50は、各々2本のエアーホース(第1エアーホース53a、第2エアーホース53b)を内蔵した幅の広い第1裏当部51a、第2裏当部51bを備える。そのため、第1裏当部51aと第2裏当部51bとの間の距離L3を、溶接トーチの位置調整可能な距離L2(図5参照)に比して、狭く設定できない。
【0065】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更は可能である。
【0066】
例えば、前記の裏当装置および片面溶接装置は、被溶接部材を幅方向(裏当装置の長手方向に直交する方向)に流動する場合を例にとって説明した。しかしながら、図6に示すように、被溶接部材Eを長手方向に流動する場合であっても、前記裏当装置10、10A(図1、図2参照)および片面溶接装置1(図4、図5参照)と同一の構成からなる裏当装置10Bおよび片面溶接装置1A(溶接機については図示せず)が使用できる。例えば、裏当装置10Bは、第1裏当部11aおよび第2裏当部11bと、第1裏当フレーム17aと、第2裏当フレーム17bと、架台フレーム21と、フラックス回収手段22とを備え、また、連結部24をさらに備える。また、片面溶接装置1Aは、裏当装置10Bと、土台フレーム104と、搬送手段105と、溶接機(図示せず)とを備える。なお、図6において、裏当装置10、10A、片面溶接装置1と同一の構成については、同一の符号を付した。そして、裏当装置10Bでは、架台フレーム21を昇降させる昇降手段23(図1、図2参照)は必要ない。
また、昇降ガイド部材14(第1昇降ガイド部材14a、第2昇降ガイド部材14b)は、棒状部材として説明したが、その形状は板状であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る裏当装置および片面溶接装置(溶接機は図示せず)の構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る裏当装置の他の実施形態、および、片面溶接装置(溶接機は図示せず)の構成を示す断面図である。
【図3】(a)、(b)は、本発明に係る裏当装置の銅板またはフラックス容器の昇降機構を示す概略図であって、(a)は銅板またはフラックス容器を被溶接部材に押し当てる前の状態を示し、(b)は銅板またはフラックス容器を被溶接部材に押し当てた状態を示す。
【図4】本発明に係る片面溶接装置の構成を示す斜視図(被溶接部材は図示せず)である。
【図5】図4の断面図である。
【図6】裏当装置および片面溶接装置(溶接機は図示せず)の他の実施形態の構成を示す断面図である。
【図7】従来の片面溶接装置の構成を示す斜視図(被溶接部材は図示せず)である。
【図8】従来の裏当装置および片面溶接装置(溶接機は図示せず)の構成を示す断面図である。
【図9】図7の断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 片面溶接装置
10 裏当装置
11 裏当部
12 フラックス保持部
13 エアーホース
14 昇降ガイド(昇降ガイド部材)
15 支持板
17 裏当フレーム
18 底板
19 側板
20 天板
21 架台フレーム
22 フラックス回収手段
27 ガイド穴
30 溶接機
104 土台フレーム
105 搬送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被溶接部材を突き合わせた開先線の裏側にフラックスを押し当てる裏当部と、前記裏当部を搭載する水平移動可能な裏当フレームと、前記裏当フレームを搭載し当該裏当フレームの直下に配置された架台フレームと、前記架台フレームに配置され、前記裏当部から落下させるフラックスを回収するフラックス回収手段とを備える裏当装置であって、
前記裏当フレームは、前記裏当部の長手方向に沿って延設する天板と、前記天板の幅方向の両側で立設される側板と、両側板の間に連結される底板とを備え、
前記裏当部は、フラックスを保持するフラックス保持部と、前記フラックス保持部を支持する支持板と、前記支持板と前記天板との間に配置され、前記フラックス保持部を前記裏当フレームに相対して昇降させる1本のエアーホースと、前記エアーホースの幅方向の両側で当該エアーホースの長手方向に所定間隔で配置される昇降ガイド部材を有する昇降ガイドとを備え、
前記昇降ガイドは、各昇降ガイド部材の一端部が、前記支持板に固定され、各昇降ガイド部材が、前記天板に形成されたガイド穴を挿通して、前記側板に沿ってガイドされるように形成されることを特徴とする裏当装置。
【請求項2】
被溶接部材を突き合わせた開先線の裏側にフラックスを押し当てる第1裏当部および第2裏当部と、前記第1裏当部を搭載する水平移動可能な第1裏当フレームと、第2裏当部を搭載する水平移動可能な第2裏当フレームと、前記第1裏当フレームおよび前記第2裏当フレームを搭載し、前記第1裏当フレームおよび前記第2裏当フレームの直下に配置された架台フレームと、前記架台フレームに配置され、前記第1裏当部および第2裏当部から落下させるフラックスを回収する1つのフラックス回収手段とを備える裏当装置であって、
前記第1裏当フレームは、前記第1裏当部の長手方向に沿って延設する第1天板と、前記第1天板の幅方向の両側で立設される第1側板と、両第1側板の間に連結される第1底板とを備え、
前記第1裏当部は、フラックスを保持する銅板と、前記銅板を支持する第1支持板と、前記第1支持板と前記第1天板との間に配置され、前記銅板を前記第1裏当フレームに相対して昇降させる1本の第1エアーホースと、前記第1エアーホースの幅方向の両側で当該第1エアーホースの長手方向に所定間隔で配置される第1昇降ガイド部材を有する第1昇降ガイドとを備え、
前記第1昇降ガイドは、各第1昇降ガイド部材の一端部が、前記第1支持板に固定され、各第1昇降ガイド部材が、前記第1天板に形成された第1ガイド穴を挿通して、前記第1側板に沿ってガイドされるように形成され、
前記第2裏当フレームは、前記第2裏当部の長手方向に沿って延設する第2天板と、前記第2天板の幅方向の両側で立設される第2側板と、両第2側板の間に連結される第2底板とを備え、
前記第2裏当部は、フラックスを保持するフラックス容器と、前記フラックス容器を支持する第2支持板と、前記第2支持板と前記第2天板との間に配置され、前記フラックス容器を前記第2裏当フレームに相対して昇降させる1本の第2エアーホースと、前記第2エアーホースの幅方向の両側で当該第2エアーホースの長手方向に所定間隔で配置される第2昇降ガイド部材を有する第2昇降ガイドとを備え、
前記第2昇降ガイドは、各第2昇降ガイド部材の一端部が、前記第2支持板に固定され、各第2昇降ガイド部材が、前記第2天板に形成された第2ガイド穴を挿通して、前記第2側板に沿ってガイドされるように形成されることを特徴とする裏当装置。
【請求項3】
前記第1裏当フレームと前記第2裏当フレームとを連結する連結部を備えることを特徴とする請求項2に記載の裏当装置。
【請求項4】
前記銅板にフラックスを供給する第1フラックス供給手段と、前記フラクッス容器にフラックスを供給する第2フラックス供給手段とを備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の裏当装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の裏当装置と、
前記裏当装置を支持して、前記裏当装置の長手方向に延設された土台フレームと、
前記土台フレームの上部に配置され、前記裏当装置の上方で前記被溶接部材を水平移動させる搬送手段と、
前記裏当装置の上方に固定され、前記開先線の表側から前記溶接部材を溶接する溶接機とを備えることを特徴とする片面溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−90336(P2009−90336A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263641(P2007−263641)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】