説明

補強部材の製造方法

【課題】配線基板の反りを抑制し、熱による不具合の発生を防止することができ、かつ配線基板に簡単に接合することのできる補助部材の製造方法を提供すること。
【解決手段】板状の本体41Aを用意し、本体41Aの不要部分を除去することによって、本体41Aを所望形状に加工する第1の工程と、支持基材91と接着層42Aとを有するシート材9を用意し、シート材9の接着層42Aの表面に本体41Aを貼り合わせる第2の工程と、接着層42Aの不要部分を除去することによって、接着層42Aを所望形状に加工する第3の工程とを有し、本体41と接着層42とによって補強部材4が構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高機能化並びに軽薄短小化の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、さらには高密度実装化が進んできており、これらの電子機器に使用される半導体パッケージは、従来にも増して益々小型化かつ多ピン化が進んできている。
【0003】
半導体パッケージはその小型化に伴って、従来のようなリードフレームを使用した形態のパッケージでは、小型化に限界がきているため、最近では回路基板上にチップを実装したものとして、BGA(Ball Grid Array)や、CSP(Chip Scale Package)と言った、エリア実装型の新しいパッケージ方式が提案されている。
【0004】
BGAやCSP等の新しいパッケージに用いられるインターポーザは、一般に、繊維基材に樹脂組成物を含浸してなる基板に導体パターンや導体ポストが形成されてなる。
【0005】
このようなインターポーザは、チップとの熱膨張係数差が大きい。また、インターポーザは、通常、チップよりも大面積となるため、チップと接触していない部分の面積が大きい。このようなチップと接触していない部分は、剛性が極めて低く、前述したようなチップとインターポーザの熱膨張差に起因して、常温ではチップ側を外側にして反りやすく、電気的接続の信頼性を低下させるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−270716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、配線基板の反りを抑制し、熱による不具合の発生を防止することができ、かつ配線基板に簡単に接合することのできる補助部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜(10)の本発明により達成される。
(1) 基板と、前記基板の一方の面側に設けられた第1導体パターンと、前記基板の他方の面側に設けられ、前記第1導体パターンと電気的に接続された第2導体パターンとを備える配線基板の前記一方の面および前記他方の面の少なくとも1つの面に接合される補強部材の製造方法であって、
前記基板よりも熱膨張係数の小さい板状の本体を用意し、前記本体の不要部分を除去することによって、前記本体を所望形状に加工する第1の工程と、
シート状の支持基材と、前記支持基材の一方の面側に設けられ、接着剤で構成される接着層とを有するシート材を用意し、前記シート材の前記接着層の表面に前記第1の工程によって所望形状に加工された前記本体を貼り合わせる第2の工程と、
前記接着層の不要部分を除去することによって、前記接着層を所望形状に加工する第3の工程とを有し、
前記本体と前記接着層とによって前記補強部材が構成されることを特徴とする補強部材の製造方法。
【0009】
(2) 前記第2の工程では、前記本体の前記第1の工程で除去された部分に前記接着層を充填するように、前記本体と前記接着層とを貼り合わせる上記(1)に記載の補強部材の製造方法。
【0010】
(3) 前記第3の工程では、前記本体の側面を前記接着層で覆った状態を保ちつつ、前記接着層を所望形状に加工する上記(2)に記載の補強部材の製造方法。
【0011】
(4) 前記第1の工程では、ウェットエッチングによって前記本体を所望形状に加工する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の補強部材の製造方法。
【0012】
(5) 前記接着剤は、感光性接着剤であり、
前記第3の工程では、前記接着層を露光し、現像することにより、所望形状に加工する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の補強部材の製造方法。
【0013】
(6) 前記接着剤は、露光部が難溶性となるネガ型の感光性接着剤である上記(5)に記載の補強部材の製造方法。
【0014】
(7) 前記接着剤には、前記配線基板の熱を前記本体に伝達する熱伝導材料が含まれている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の補強部材の製造方法。
【0015】
(8) 前記接着剤は、樹脂材料と、前記熱伝導材料としての無機フィラーとを含む樹脂組成物で構成されている上記(7)に記載の補強部材の製造方法。
【0016】
(9) 前記接着層は、絶縁性を有している上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の補強部材の製造方法。
【0017】
(10) 前記本体は、金属材料で構成されている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の補強部材の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明の補強部材の製造方法によれば、補強部材を簡単に製造することができる。また、補強部材が接着層を有しているため、配線基板に簡単に貼り付けることができる。配線基板は、補強部材により補強されるため、全体の剛性が増す。
【0019】
特に、補強部材の本体が熱伝導性に優れる部材(例えば、金属材料等)で構成されている場合には、配線基板等で発生した熱を本体から効率的に放熱することができる。このように放熱性に優れていることにより、配線基板の昇温を抑えるこることができるので、この点でも、配線基板の反りを抑制または防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る補強部材の製造方法によって製造された補強部材を用いた半導体パッケージを模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す半導体パッケージを示す上面図である。
【図3】図1に示す半導体パッケージを示す下面図である。
【図4】図1に示す半導体パッケージの製造方法の一例を示す図である。
【図5】図1に示す半導体パッケージの製造方法の一例を示す図である。
【図6】図1に示す半導体パッケージの製造方法の一例を示す図である。
【図7】図1に示す半導体パッケージの製造方法の一例を示す図である。
【図8】図1に示す半導体パッケージを備える半導体装置を模式的に示す断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る補強部材の製造方法によって製造された補強部材を用いた半導体パッケージを模式的に示す断面図である。
【図10】補強部材の製造方法の一例を示す図である。
【図11】第3実施形態の半導体パッケージを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に基づき、本発明の補強部材の製造方法の好適な実施形態について説明する。
【0022】
<第1実施形態>
(半導体パッケージ)
まず、本発明の補強部材の製造方法によって製造された補強部材を用いた半導体パッケージについて説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係る補強部材の製造方法によって製造された補強部材を用いた半導体パッケージを模式的に示す断面図、図2は、図1に示す半導体パッケージを示す上面図、図3は、図1に示す半導体パッケージを示す下面図、図4〜図7は、図1に示す半導体パッケージの製造方法の一例を示す図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1〜図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図1〜図7では、説明の便宜上、半導体パッケージの各部が誇張して描かれている。
【0024】
図1に示すように、半導体パッケージ1は、配線基板2と、この配線基板2上に搭載された半導体素子3と、第1補強部材(補強部材)4と、第2補強部材(補強部材)5とを有する。
【0025】
このような半導体パッケージ1によれば、半導体素子3と接合された部分以外の部分においても、配線基板2の両面が第1補強部材4および第2補強部材5により補強されるため、半導体パッケージ1全体の剛性が増す。特に、第1補強部材4および第2補強部材5の熱膨張係数が配線基板2(具体的には後述する基板21)よりも小さいため、半導体素子3が配線基板2の全面に亘って設けられているのと同様に、配線基板2と半導体素子3との熱膨張係数差に起因する配線基板2の反りを抑制または防止することができる。
【0026】
また、配線基板2自体の剛性を高める必要がなく、配線基板2の厚さを薄くすることができるので、配線基板2の厚さ方向での熱伝導性を高めることができる。そのため、半導体パッケージ1は、半導体素子3からの熱を配線基板2を介して逃すことができる。したがって、半導体パッケージ1は、優れた放熱性を発揮することができる。また、第1補強部材4および第2補強部材5の構成材料を適宜選択することにより、半導体パッケージ1の放熱性を高めることもできる。
【0027】
このようなことから、半導体素子3および配線基板2の昇温を抑えるこることができるので、この点でも、配線基板2と半導体素子3との熱膨張係数差に起因する配線基板2の反りを抑制または防止することができる。
【0028】
以下、半導体パッケージ1の各部を順次詳細に説明する。
[配線基板]
配線基板2は、半導体素子3を支持する基板であり、例えば、その搭載した半導体素子3と後述するようなマザーボード200との電気的接続を中継する中継基板(インターポーザ)である。また、配線基板2は、その平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされる。
【0029】
配線基板2は、基板21と、導体パターン221、222、223、224と、導体ポスト231、232、233と、伝熱ポスト24と、ソルダーレジスト25、26とを有している。
【0030】
なお、本実施形態では、導体パターン221は、基板21の一方の面側に設けられた第1導体パターンを構成し、導体パターン224は、基板21の他方の面側に設けられ、前記第1導体パターンと電気的に接続された第2導体パターンを構成する。
【0031】
基板21は、複数(本実施形態では3層)の絶縁層211、212、213で構成されている。より具体的には、基板21は、絶縁層211、絶縁層212、絶縁層213がこの順で積層されて構成されている。なお、基板21を構成する絶縁層の数は、これに限定されず、1または2層であってもよいし、4層以上であってもよい。
【0032】
各絶縁層211、212、213は、絶縁性を有する材料で構成されている。具体的には、各絶縁層211、212、213は、基材(繊維基材)と、その基材に含浸された樹脂組成物とで構成されている。
【0033】
基材は、各絶縁層211、212、213の芯材として用いられるものである。このような基材を有することにより、基板21の剛性を高めることができる。
【0034】
基材としては、例えば、ガラス織布、ガラス不織布等のガラス繊維で構成されたガラス繊維基材、ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維、全芳香族ポリアミド樹脂繊維等のポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維、全芳香族ポリエステル樹脂繊維等のポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、フッ素樹脂繊維、ポリベンゾオキサゾール樹脂繊維等を主成分とする織布または不織布で構成される合成繊維基材、クラフト紙、コットンリンター紙、リンターとクラフトパルプの混抄紙等を主成分とする紙基材等が挙げられる。これらの中でも、かかる基材としては、ガラス繊維基材が好ましい。これにより、基板21の剛性を高めるとともに、基板21の薄型化を図ることができる。さらに、基板21の熱膨張係数も小さくすることができる。
【0035】
このようなガラス繊維基材を構成するガラスとしては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス、石英ガラス(Qガラス)等が挙げられる。これらの中でもTガラスが好ましい。これにより、ガラス繊維基材の熱膨張係数を小さくすることができ、それによって基板21の熱膨張係数を小さくすることができる。
【0036】
また、絶縁層211、212、213が基材を含む場合、絶縁層211、212、213における基材の含有率は、それぞれ、30〜70wt%であることが好ましく、40〜60wt%であることがより好ましい。これにより、これらの絶縁層のひび割れ等の破損を確実に防ぎつつ、各絶縁層の電気絶縁性および熱膨張係数を十分に低いものとすることができる。なお、絶縁層211、212、213のうちの少なくとも1層は、基材を含まずに樹脂組成物のみで構成されていてもよい。
【0037】
このような基材に含浸される樹脂組成物は、樹脂材料が含まれている。かかる樹脂材料としては、熱硬化性樹脂が好適に用いられる。
【0038】
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、シアネート樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂等が挙げられる。
【0039】
これらの中でも、特に、シアネート樹脂が好ましい。これにより、基板21の熱膨張係数を十分に小さくすることができる。さらに、基板21の電気特性(低誘電率、低誘電正接等)を優れたものとすることができる。
【0040】
また、前記樹脂組成物は、フィラーを含むのが好ましい。すなわち、絶縁層211、212、213は、それぞれ、フィラーを含むことが好ましい。これにより、絶縁層211、212、213の熱膨張係数を低くすることができる。
前記フィラーとしては、各種無機フィラーまたは有機フィラーが挙げられる。
【0041】
無機フィラー(無機充填材)としては、例えば、シリカ、アルミナ、ベーマイト、ケイ藻土、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属フェライト等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム(軽質、重質)、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、タルク、マイカ、クレー、ガラス繊維、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等のケイ酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維等の炭素、その他鉄粉、銅粉、アルミニウム粉、亜鉛華、硫化モリブデン、ボロン繊維、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛が挙げられる。
【0042】
また、有機フィラーとしては、合成樹脂粉末が挙げられる。この合成樹脂粉末としては、例えば、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリエチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の各種熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の粉末、またはこれらの樹脂の共重合体の粉末が挙げられる。また、有機フィラーの他の例としては、芳香族または脂肪族ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維等が挙げられる。
【0043】
前述したようなフィラーの中でも、無機フィラーを用いるのが好ましい。これにより、絶縁層211、212、213の熱膨張係数を効果的に低めることができる。また、絶縁層211、212、213の伝熱性を高めることもできる。
【0044】
特に、無機フィラーの中でも、シリカが好ましく、溶融シリカ(特に球状溶融シリカ)が低熱膨張性に優れる点で好ましい。
【0045】
無機フィラーの平均粒子径は、特に限定されないが、0.05〜2.0μmが好ましく、特に0.1〜1.0μmが好ましい。これにより、絶縁層211、212、213中で、無機フィラーは、より均一に分散することができ、絶縁層211、212、213の物理的強度および絶縁性を特に優れたものとすることができる。
【0046】
なお、上記無機フィラーの平均粒子径は、例えば、粒度分布計(HORIBA製、LA−500)により測定することができる。また、本明細書において、平均粒子径とは、体積基準での平均粒子径を指す。
【0047】
絶縁層211、212、213における無機充填材の含有量は、それぞれ、特に限定されないが、基材を除く樹脂組成物を100wt%としたときに、30〜80wt%が好ましく、特に45〜75wt%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、絶縁層211、212、213は、熱膨張係数が十分に低く、吸湿性が特に低いものとなる。
【0048】
また、前記樹脂組成物は、前述した熱硬化性樹脂の他、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等の熱可塑性樹脂含んでいてもよい。
【0049】
また、前記樹脂組成物は、必要に応じて、顔料、染料、酸化防止剤等の上記成分以外の添加物を含んでいてもよい。
【0050】
また、絶縁層211、212、213は、互いに同じ材料で構成されていてもよいし、互いに異なる材料で構成されていてもよい。
【0051】
上述したような複数の層で構成された基板21の平均厚さは、特に限定されないが、30μm以上800μm以下であることが好ましく、30μm以上400μm以下であることがより好ましい。
【0052】
このような基板21の絶縁層211の上面には、導体パターン221が形成されている。また、絶縁層211と絶縁層212との間には、導体パターン222が介挿されている。また、絶縁層212と絶縁層213との間には、導体パターン223が介挿されている。また、絶縁層213の下面には、導体パターン224が形成されている。
【0053】
この導体パターン221、222、223、224は、それぞれ、複数の配線を有する回路として機能するものである。
【0054】
導体パターン221、222、223、224の構成材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、銅、銅系合金、アルミ、アルミ系合金等の各種金属および各種合金が挙げられる。中でも、かかる構成材料としては、銅および銅系合金を用いるのが好ましい。銅および銅系合金は、電気伝導率が比較的高いものである。そのため、配線基板2の電気的特性を良好なものとすることができる。また、銅および銅系合金は熱伝導性にも優れるので、配線基板2の放熱性を向上させることもできる。
【0055】
また、導体パターン221、222、223、224の平均厚さは、特に限定されないが、5μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0056】
また、絶縁層211には、その厚さ方向に貫通するビアホールが形成され、そのビアホール内に導体ポスト(ビアポスト)231が設けられている。この導体ポスト231は、絶縁層211をその厚さ方向に貫通しており、導体ポスト231を介して導体パターン221と導体パターン222とが導通している。
【0057】
同様に、絶縁層212には、その厚さ方向に貫通する導体ポスト(ビアポスト)232が設けられている。この導体ポスト232は、絶縁層212をその厚さ方向に貫通しており、導体ポスト232を介して導体パターン222と導体パターン223とが導通している。
【0058】
また、絶縁層213には、その厚さ方向に貫通する導体ポスト(ビアポスト)233が設けられている。この導体ポスト233は、絶縁層213をその厚さ方向に貫通しており、導体ポスト233を介して導体パターン223と導体パターン224とが導通している。
【0059】
また、絶縁層211の上面には、所定部位に貫通孔を有するソルダーレジスト25が形成されており、前記貫通孔から導体パターン221の接続用電極部が露出している。この露出した部分には、金属バンプ31が接合されており、この金属バンプ31を介して半導体素子3と導体パターン221とが導通している。
【0060】
ソルダーレジスト25は、絶縁性を有しており、導体パターン221の不要部への半田の付着を防止したり、埃、熱、湿気などから導体パターン221を保護したり、導体パターン221間の電気絶縁性を維持したりする目的で形成されている。このようなソルダーレジスト25の構成材料としては、絶縁性を有していれば、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂を主材料とする熱硬化性レジスト等を用いることができる。また、例えば、PSR4000/AUS308、AUS703(太陽インキ製造製)およびSR−7200G(日立化成工業製)の商品名で市販されているものを用いることもできる。
【0061】
ソルダーレジスト25の形成方法は、特に限定されず、例えば、熱硬化性レジストを塗布して硬化させたのち、レーザーを照射することによって貫通孔を形成してもよいし、感光性液状レジストをスクリーン印刷し、露光、硬化させる方法でもよい。
【0062】
また、絶縁層213の下面には、所定部位に貫通孔を有するソルダーレジスト26が形成されており、前記貫通孔から導体パターン224の接続用電極部が露出している。この露出した部分には、金属バンプ71が接合されている。この金属バンプ71は、半導体パッケージ1を例えば後述するようなマザーボードに対して電気的に接続するためのものである。
【0063】
本実施形態では、金属バンプ71は、略球状をなしている。なお、金属バンプ71の形状は、これに限定されない。
【0064】
金属バンプ71の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、錫−鉛系、錫−銀系、錫−亜鉛系、錫−ビスマス系、錫−アンチモン系、錫−銀−ビスマス系、錫−銅系、錫−銀−銅系等の各種ろう材(半田)を用いることができる。
【0065】
また、基板21には、その厚さ方向に貫通する複数のビアホールが形成され、その各ビアホールに伝熱ポスト24が設けられている。
【0066】
この各伝熱ポスト24は、基板21全体をその厚さ方向に貫通しており、上端がソルダーレジスト25の上面から露出するとともに、下端がソルダーレジスト26の下面から露出している。そして、伝熱ポスト24は、その上端が第1補強部材4に接触し、下端が第2補強部材5に接触している。
【0067】
この各伝熱ポスト(熱伝導部)24は、前述した基板21(絶縁層)よりも高い伝熱性を有する。これにより、第1補強部材4から伝熱ポスト24を介して第2補強部材5へ熱を効率的に伝達することができる。その結果、半導体パッケージ1の放熱性を向上させることができる。
【0068】
また、この各伝熱ポスト24は、基板21をその厚さ方向に貫通するものであるため、公知の導体ポストと同様に、簡単かつ高精度に形成することができる。
【0069】
また、各伝熱ポスト24は、中空であってもよいし、中実であってもよい。また、各導体ポスト24の横断面形状としては、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形等が挙げられる。また、伝熱ポスト24の数は、特に限定されず、任意であるが、配線基板2の機械的強度を損ねない程度に、できるだけ多くするのが好ましい。
【0070】
各伝熱ポスト24は、電気信号の伝送に寄与しないものである。これにより、第1補強部材4から伝熱ポスト24を介して第2補強部材5へ熱をより効率的に伝達することができる。
【0071】
本実施形態では、複数の伝熱ポスト24は、配線基板2を平面視したときに、配線基板2の外周部に沿って互いに間隔を隔てて並設されている。特に、複数の伝熱ポスト24は、配線基板2を平面視したときに、配線基板2の外周部に沿って周方向に等間隔で並設されているのが好ましい。これにより、配線基板2の温度分布をより均一化することができる。
【0072】
また、複数の伝熱ポスト24は、配線基板2を平面視したときに、前述した導体パターン221、222、223、224に重ならないように設けられている。これにより、伝熱ポスト24の形成が簡単となるとともに、伝熱ポスト24と導体パターン221、222、223、224との短絡を防止することができる。
【0073】
このような各伝熱ポスト24の構成材料としては、前述した基板21(絶縁層)よりも高い伝熱性を有するものであれば、特に限定されないが、金属材料を用いるのが好ましい。
【0074】
かかる金属材料としては、例えば、銅、銅系合金、アルミ、アルミ系合金等の各種金属および各種合金が挙げられる。中でも、かかる金属材料としては、伝熱性に優れる観点から銅、銅系合金、アルミ、アルミ系合金を用いるのが好ましい。これにより、配線基板2の放熱性を向上させることもできる。
【0075】
また、伝熱ポスト24の構成材料は、前述した導体ポスト231〜233の構成材料と異なっていてもよいが、導体ポスト231〜233の構成材料と同じであるのが好ましい。
【0076】
[半導体素子]
半導体素子3は、例えば、集積回路素子(IC)であり、より具体的には、例えば、ロジックIC、メモリおよび受発光素子等である。
【0077】
この半導体素子3は、前述した配線基板2の基板21の上面(一方の面)に接合され、第1導体パターンである導体パターン221に電気的に接続されている。
【0078】
具体的には、半導体素子3は、その下面に、図示しない複数の端子が設けられており、その各端子が金属バンプ31を介して、配線基板2の導体パターン221の前記接続用電極部(端子)に電気的に接続されている。これにより、半導体素子3と配線基板2の導体パターン221とが電気的に接続されている。
【0079】
金属バンプ31の構成材料としては、特に限定されないが、前述した金属バンプ71と同様、例えば、錫−鉛系、錫−銀系、錫−亜鉛系、錫−ビスマス系、錫−アンチモン系、錫−銀−ビスマス系、錫−銅系、錫−銀−銅系等の各種ろう材(半田)を用いることができる。
【0080】
また、半導体素子3は、接着層32を介して、配線基板2の上面に接着(接合)されている。この接着層32は、接着性および絶縁性を有する材料で構成され、例えば、アンダーフィル材の硬化物で構成されている。アンダーフィル材としては、特に限定されず、公知のアンダーフィル材を用いることができるが、後述する絶縁材81を形成するための半田接合用レジストと同様のものを用いることもできる。
【0081】
[第1補強部材]
第1補強部材(スティフナー)4は、前述した配線基板2の基板21の上面(一方の面)の、半導体素子3が接合されていない部分に接合されている。この第1補強部材4は、本体41と、本体41の下面に設けられ、本体41と配線基板2とを接合する接着層42とを有している。
【0082】
本体41は、基板21よりも熱膨張係数が小さい。これにより、基板21の熱膨張を抑えることができる。また、本体41は、板状をなしている。これにより、第1補強部材4の構成を簡単かつ小型なものとすることができる。
【0083】
本体41の基板21と反対側の面(すなわち上面)は、半導体素子3の基板21と反対側の面(すなわち上面)と同一面上またはそれよりも基板21側(すなわち下側)に位置しているのが好ましい。これにより、半導体パッケージ1の製造に際し、第1補強部材4の設置後に半導体素子3を設置する場合、半導体素子3の設置が容易となる。
【0084】
本実施形態では、本体41の上面と、半導体素子3の上面とが同一面上に位置している。これにより、半導体パッケージ1を薄型化しつつ、配線基板2の反りを効果的に抑制または防止することができる。また、本体41の上面上に他の構造体(例えば、基板、半導体素子、ヒートシンク等)を設ける場合、その構造体の設置を安定的に行うことができる。
なお、本体41および半導体素子3を封止樹脂でモールドしてもよい。
【0085】
また、図2に示すように、本体41は、半導体素子3の周囲を囲むように設けられている。本実施形態では、本体41は、半導体素子3を囲むように環状(より具体的には四角環状)をなしている。これにより、第1補強部材4による配線基板2の剛性を高める効果を優れたものとすることができる。
【0086】
また、本体41は、半導体素子3との間の距離(本体41の内周面411と半導体素子3の外周面33との間の距離)が半導体素子3の全周に亘って一定となるように形成されている。これにより、本体41および半導体素子3の一体性が増し、これらによる配線基板2の補強効果が好適に発揮される。また、後述する接着層32を介した半導体素子3から本体41への伝熱を効率的かつ均一に生じさせることができる。
【0087】
また、本体41は、半導体素子3との熱膨張係数差が7ppm/℃以下であるのが好ましい。これにより、半導体素子3および本体41が一体的に配線基板2を補強し、半導体パッケージ1全体の熱膨張を抑えることができる。
【0088】
また、本体41の構成材料としては、前述したような熱膨張係数を有するものであれば、特に限定されず、例えば、金属材料、セラミックス材料等を用いることができるが、金属材料を用いるのが好ましい。本体41が金属材料で構成されていると、本体41の放熱性を高めることができる。その結果、半導体パッケージ1の放熱性を向上させることができる。
【0089】
かかる金属材料としては、前述したような熱膨張係数を有するものであれば、特に限定されず、各種金属材料を用いることができるが、放熱性および低熱膨張を実現する観点から、Feを含む合金を用いるのが好ましい。
【0090】
かかるFeを含む合金としては、例えば、Fe−Ni系合金、Fe−Co−Cr系合金、Fe−Co系合金、Fe−Pt系合金、Fe−Pd合金等が挙げられ、特に、Fe−Ni系合金を用いるのが好ましい。
【0091】
このような金属材料は、放熱性に優れるだけでなく、熱膨張係数が低く、かつ、一般的な半導体素子3の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有する。そのため、半導体素子3および本体41が一体的に配線基板2を補強することができる。
【0092】
Fe−Ni系合金としては、FeおよびNiを含むものであれは、特に限定されず、FeおよびNiの他に、残部(M)として、Co、Ti、Mo、Cr、Pd、Pt等の金属のうちの1種または2種以上の金属を含んでいてもよい。
【0093】
より具体的には、Fe−Ni系合金としては、例えば、Fe−36Ni合金(インバー)、Fe−42Ni合金(42アロイ)等のFe−Ni合金、Fe−32Ni−5Co合金(スーパーインバー)、Fe−29Ni−17Co合金(コバール)、Fe−36Ni−12Co合金(エリンバー)等のFe−Ni−Co合金、Fe−Ni−Cr−Ti合金、Ni−28Mo−2Fe合金等のNi−Mo−Fe合金等が挙げられる。また、Fe−Ni−Co合金は、例えば、KV−2、KV−4、KV−6、KV−15、KV−25等のKVシリーズ(NEOMAXマテリアル社製)、Nivarox等の商品名で市販されている。また、Fe−Ni合金は、例えば、NS−5、D−1(NEOMAXマテリアル社製)等の商品名で市販されている。また、Fe−Ni−Cr−Ti合金は、例えば、Ni−Span C−902(大同スペシャルメタル社製)、EL−3(NEOMAXマテリアル社製)等の商品名で市販されている。
【0094】
また、Fe−Co−Cr系合金としては、Fe、CoおよびCrを含むものであれば特に限定されないが、例えば、Fe−54Co−9.5Cr(ステンレスインバー)等のFe−Co−Cr合金が挙げられる。なお、Fe−Co−Cr系合金は、Fe、CoおよびCrの他に、Ni、Ti、Mo、Pd、Pt等の金属のうちの1種または2種以上の金属を含んでいてもよい。
【0095】
また、Fe−Co系合金としては、FeおよびCoを含むものであれば特に限定されず、FeおよびCoの他に、Ni、Ti、Mo、Cr、Pd、Pt等の金属のうちの1種または2種以上の金属を含んでいてもよい。
【0096】
また、Fe−Pt系合金としては、FeおよびPtを含むものであれば特に限定されず、FeおよびPtの他に、Co、Ni、Ti、Mo、Cr、Pd等の金属のうちの1種または2種以上の金属を含んでいてもよい。
【0097】
また、Fe−Pd系合金としては、FeおよびPdを含むものであれば、特に限定されず、FeおよびPdの他に、Co、Ni、Ti、Mo、Cr、Pt等の金属のうちの1種または2種以上の金属を含んでいてもよい。
【0098】
特に、本体41の熱膨張係数は、0.5ppm/℃以上10ppm/℃以下であるのが好ましく、1ppm/℃以上7ppm/℃以下であるのがより好ましく、1ppm/℃以上5ppm/℃以下であるのがさらに好ましい。これにより、半導体素子3と本体41との熱膨張係数差を小さくし、これらが一体として配線基板2を補強することができる。そのため、配線基板2の反りを効果的に防止することができる。
【0099】
また、本体41と半導体素子3との熱膨張係数差の絶対値は、7ppm/℃以下であるのが好ましく、5ppm/℃以下であるのがより好ましく、2ppm/℃以下であるのがさらに好ましい。これにより、半導体素子3と本体41との熱膨張係数差を小さくし、これらが一体として配線基板2を補強することができる。そのため、配線基板2の反りを効果的に防止することができる。
【0100】
上述したような熱膨張係数の観点から、本体41を構成する金属材料がFe−Ni系合金である場合、前記Fe−Ni系合金は、Niの含有量が30wt%以上50wt%以下であるのが好ましく、Niの含有量が35wt%以上45wt%以下であるのがより好ましい。これにより、本体41の熱膨張係数を半導体素子3の熱膨張係数に近づけることができる。この場合、前記Fe−Ni系合金は、Feの含有量が50wt%以上70wt%以下であるのが好ましく、Feの含有量が55wt%以上65wt%以下であるのがより好ましい。
【0101】
また、本体41を構成する金属材料がFe−Ni系合金である場合、前記Fe−Ni系合金は、FeおよびNiの合計含有量が85wt%以上100wt%以下であるのが好ましく、FeおよびNiの合計含有量が90wt%以上100wt%以下であるのがより好ましい。すなわち、前記Fe−Ni系合金は、残部(M)の含有量が0wt%以上15wt%以下であるのが好ましく、残部(M)の含有量が0wt%以上10wt%以下であるのがより好ましい。これにより、本体41の熱膨張係数を半導体素子3の熱膨張係数に近づけることができる。
【0102】
また、本体41の平均厚さは、配線基板2の熱膨張係数や、配線基板2の形状、大きさ、構成材料等に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、0.02mm以上0.8mm以下程度である。
【0103】
接着層42は、本体41の下面に設けられており、本体41に対応した平面視形状をなしている。すなわち、接着層42は、本体41の下面の全域に設けられており、かつ本体41の平面視にて、本体41とほぼ同一の形状をなしている。
【0104】
このような接着層42は、本体41を配線基板2に接合する機能を有しており、熱伝導材料を含む接着剤で構成されている。これにより、接着層としての機能を充分に発揮しつつ、熱伝導性に優れる接着層42が得られる。そのため、配線基板2からの熱を効率的に本体41に伝達することができ、半導体パッケージ1の放熱性を向上させることができる。また、接着層42は、絶縁性を有している。これにより、導体パターン221と本体41との短絡を防止することができ、半導体パッケージ1の信頼性が向上する。
【0105】
前記接着剤としては、接着性を発揮し得る限り、特に限定されないが、感光性接着剤であるのが好ましい。また、感光性接着剤には、露光部が難溶性となるネガ型のものと、露光部が易溶性となるポジ型のものがあるが、ネガ型のものであるのが好ましい。これにより、後述するように、第1補強部材4の製造が容易となる。
【0106】
ネガ型の感光性接着剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリケイ皮酸ビニルやポリビニルアジドベンザル等の光架橋反応により露光部が難溶性となる材料や、あるいは、アクリルアミド等の光重合反応により露光部が難溶性となる材料が挙げられる。
【0107】
前記接着剤に含まれる熱伝導性材料としては、特に限定されないが、無機フィラー(無機充填材)であるのが好ましい。これにより、接着層42の熱伝導性をより高めることができる。
【0108】
このような無機フィラーとしては、例えば、Au、Ag、Pt等の金属、シリカ、アルミナ、ベーマイト、ケイ藻土、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属フェライト等の酸化物、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化チタン等の窒化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム(軽質、重質)、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、タルク、マイカ、クレー、ガラス繊維、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等のケイ酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維等の炭素、その他鉄粉、銅粉、アルミニウム粉、亜鉛華、硫化モリブデン、ボロン繊維、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛が挙げられる。なお、無機フィラーとして導電性を有するものを用いた場合、必要に応じて、接着層42の接する部位に絶縁処理を施す。
【0109】
中でも、無機フィラーとしては、絶縁性および熱伝導性に優れるという観点から、シリカ、アルミナ、ケイ藻土、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属フェライト等の酸化物、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化チタン等の窒化物が好ましい。
【0110】
また、接着層42の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、0.01mm以上0.2mm以下程度である。
【0111】
[第2補強部材]
第2補強部材(スティフナー)5は、配線基板2の基板21の下面(他方の面)に接合されている。この第2補強部材5は、前述した第1補強部材4と同様に、基板21よりも熱膨張係数が小さい本体51と、本体51の上面に設けられた接着層52とを有している。
【0112】
本体51は、板状をなしている。これにより、第2補強部材5の構成を簡単かつ小型なものとすることができる。
【0113】
また、図3に示すように、本体51は、配線基板2(基板21)の外周部(導体パターン224よりも外側)に沿って設けられた部分(枠部)511と、金属バンプ71同士の間に設けられた部分512とを有している。本体51の部分511と配線基板2(基板21)との接合により、本体51が配線基板2を効果的に補強することができる。また、本体51の部分512と配線基板2との接合により、本体51の剛性が高められる。
【0114】
より具体的に説明すると、本体51は、前述した各金属バンプ71に非接触で各金属バンプ71を囲むように形成された複数の開口部513を有する。これにより、本体51が配線基板2の下面に占める面積の割合を大きくすることができる。その結果、本体51による配線基板2の剛性を高める効果を優れたものとすることができる。
【0115】
ここで、本実施形態では、各開口部513は、平面視にて、円形をなしている。なお、各開口部513の平面視形状は、これに限定されず、例えば、楕円形、多角形等であってもよい。
【0116】
また、各開口部513は、各金属バンプ71に対応して(一対一で対応して)設けられている。これにより、本体51の剛性の均一化を図ることができる。また、本体51の放熱性も向上させることができる。
【0117】
また、本体51は、各金属バンプ71との間の距離(すなわち、平面視における開口部513の壁面と金属バンプ71の外周面との間の距離)が金属バンプ71の全周に亘って一定となるように形成されている。これにより、本体51および各金属バンプ71の一体性が増し、これらによる配線基板2の補強効果が好適に発揮される。
【0118】
また、前述した本体41と同様、本体51は、半導体素子3との熱膨張係数差が7ppm/℃以下であるのが好ましい。これにより、本体51が効果的に配線基板2を補強し、半導体パッケージ1全体の熱膨張を抑えることができる。
【0119】
また、本体51の構成材料としては、前述したような熱膨張係数を有するものであれば、特に限定されず、前述した本体41の構成材料と同様のものを用いることができ、例えば、金属材料、セラミックス材料等を用いることができるが、金属材料を用いるのが好ましい。本体51が金属材料で構成されていると、本体51の放熱性を高めることができる。その結果、半導体パッケージ1の放熱性を向上させることができる。
【0120】
かかる金属材料としては、特に限定されないが、放熱性および低熱膨張を実現する観点から、Fe−Ni系合金を用いるのが好ましい。Fe−Ni系合金としては、前述した本体41と同様のものを用いることができる。
【0121】
特に、本体51の熱膨張係数は、0.5ppm/℃以上10ppm/℃以下であるのが好ましく、1ppm/℃以上7ppm/℃以下であるのがより好ましく、1ppm/℃以上5ppm/℃以下であるのがさらに好ましい。これにより、半導体素子3と本体51との熱膨張係数差を小さくし、本体51が配線基板2を効果的に補強することができる。そのため、配線基板2の反りを効果的に防止することができる。
【0122】
また、本体51と半導体素子3との熱膨張係数差の絶対値は、7ppm/℃以下であるのが好ましく、5ppm/℃以下であるのがより好ましく、2ppm/℃以下であるのがさらに好ましい。これにより、半導体素子3と本体51との熱膨張係数差を小さくし、本体51が配線基板2を効果的に補強することができる。そのため、配線基板2の反りを効果的に防止することができる。
【0123】
また、本体51と本体41との熱膨張係数差の絶対値は、2ppm/℃以下であるのが好ましく、1ppm/℃以下であるのがより好ましく、0ppm/℃であるのがさらに好ましい。これにより、本体51と本体41との熱膨張係数差を小さくし、これらの熱膨張差に起因する配線基板2の反りを防止することができる。
【0124】
このような観点から、本体51の構成材料は、本体41の構成材料と同種または同じであるのが好ましい。
【0125】
また、本体51の平均厚さは、配線基板2の熱膨張係数や、配線基板2の形状、大きさ、構成材料等に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、0.02mm以上0.8mm以下程度である。
【0126】
接着層52は、本体51の上面に設けられており、本体51に対応した平面視形状をなしている。すなわち、接着層52は、本体51の上面の全域に設けられており、かつ本体51の平面視にて、本体51とほぼ同一の形状をなしている。
【0127】
接着層52は、本体51を配線基板2に接合する機能を有しており、熱伝導材料を含む接着剤で構成されている。これにより、接着層としての機能を充分に発揮しつつ、熱伝導性に優れる接着層52が得られる。そのため、配線基板2からの熱を効率的に本体51に伝達することができ、半導体パッケージ1の放熱性を向上させることができる。また、接着層52は、絶縁性を有している。これにより、導体パターン224と本体51との短絡を防止することができ、半導体パッケージ1の信頼性が向上する。
【0128】
このような接着層52を構成する接着剤としては、接着層42と同様の材料を用いることができる。
【0129】
第2補強部材5と各金属バンプ71との間には、絶縁材81が設けられている。これにより、第2補強部材5(特に本体51)と各金属バンプ71との接触を防止することができる。そのため、半導体パッケージ1の信頼性を優れたものとしつつ、第2補強部材5の剛性および放熱性を高めることができる。
【0130】
また、絶縁材81は、金属バンプ71の周囲を囲むように形成され、かつ、各金属バンプ71に接合されている。これにより、絶縁材81は、金属バンプ71を補強している。このような絶縁材81は、絶縁性を有し、樹脂材料を含んで構成されている。このような絶縁材81は、特に限定されないが、例えば、熱硬化性を有する半田接合用樹脂により形成されるのが好ましい。
【0131】
このような半田接合用樹脂(以下、「硬化性フラックス」とも言う)は、半田接合時にフラックスとして作用し、次いで加熱することにより、硬化して半田接合部の補強材として作用する。また、かかる半田接合用樹脂は、半田接合の際に、半田接合面および半田材料の酸化物などの有害物を除去し、半田接合面を保護するとともに、半田材料の精錬を行って、強度の大きい良好な接合を可能にする。さらに、半田接合用樹脂は、半田接合後に洗浄などにより除去する必要がなく、そのまま加熱することにより、三次元架橋した樹脂となり、半田接合部の補強材として作用する。
【0132】
かかる半田接合用樹脂は、例えば、フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂(A)および該樹脂の硬化剤(B)を含んで構成することができる。
【0133】
フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂(A)としては、特に制限はないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、多価フェノールノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂などを挙げることができる。
【0134】
また、硬化性フラックスにおいて、フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂(A)の含有量は、硬化性フラックス全体の20〜80重量%であることが好ましく、25〜60重量%であることがより好ましい。樹脂(A)の含有量が20重量%未満であると、半田および金属表面の酸化物などの汚れを除去する作用が低下し、半田接合性が不良となるおそれがある。樹脂(A)の含有量が80重量%を超えると、十分な物性を有する硬化物が得られず、接合強度と信頼性が低下するおそれがある。
【0135】
また、フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂(A)のフェノール性ヒドロキシル基は、その還元作用により、半田および金属表面の酸化物などの汚れを除去するので、半田接合のフラックスとして効果的に作用する。
【0136】
また、フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂(A)の硬化剤(B)としては、例えば、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などを挙げることができる。エポキシ化合物およびイソシアネート化合物としては、例えば、ビスフェノール系、フェノールノボラック系、アルキルフェノールノボラック系、ビフェノール系、ナフトール系、レゾルシノール系などのフェノールベースのエポキシ化合物、イソシアネート化合物や、飽和脂肪族、環状脂肪族、不飽和脂肪族などの骨格をベースとして変性されたエポキシ化合物、イソシアネート化合物などを挙げることができる。
【0137】
また、硬化剤(B)の配合量は、硬化剤のエポキシ基、イソシアネート基などの反応性の官能基が、樹脂(A)のフェノール性ヒドロキシル基の0.5〜1.5当量倍であることが好ましく、0.8〜1.2当量倍であることがより好ましい。硬化剤の反応性の官能基がヒドロキシル基の0.5当量倍未満であると、十分な物性を有する硬化物が得られず、補強効果が小さくなって、接合強度と信頼性が低下するおそれがある。硬化剤の反応性の官能基がヒドロキシル基の1.5当量倍を超えると、半田および金属表面の酸化物などの汚れを除去する作用が低下し、半田接合性が不良となるおそれがある。
【0138】
このような半田接合用樹脂(硬化性フラックス)は、フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂(A)と該樹脂の硬化剤(B)の反応により、良好な物性を有する硬化物が形成されるために、半田接合後に洗浄によりフラックスを除去するが必要なく、硬化物により半田接合部が保護されて、高温、多湿雰囲気でも電気絶縁性を保持し、接合強度と信頼性の高い半田接合が可能となる。
【0139】
なお、前述したような半田接合用樹脂は、フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂(A)と該樹脂の硬化剤(B)の他に、硬化性酸化防止剤(C)、微結晶状態で分散するフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物(D)および該化合物の硬化剤(E)、溶剤(F)、硬化触媒、密着性や耐湿性を向上させるためのシランカップリング剤、ボイドを防止するための消泡剤、あるいは液状または粉末の難燃剤等を含んでいてもよい。
【0140】
以上説明したように構成された半導体パッケージ1によれば、半導体素子3と接合された部分以外の部分においても、配線基板2の両面が第1補強部材4および第2補強部材5により補強されるため、半導体パッケージ1全体の剛性が増す。特に、第1補強部材4および第2補強部材5の熱膨張係数が配線基板2よりも小さいため、半導体素子3が配線基板2の全面に亘って設けられているのと同様に、半導体パッケージ1全体の剛性が増す。そのため、配線基板2と半導体素子3との熱膨張係数差に起因する配線基板2の反りを抑制または防止することができる。
【0141】
また、配線基板2の厚さを薄くすることができるので、配線基板2の厚さ方向での熱伝導性を高めることができる。そのため、半導体パッケージ1は、半導体素子3からの熱を配線基板2を介して逃すことができ、放熱性に優れる。また、第1補強部材4および第2補強部材5の構成材料を適宜選択することにより、半導体パッケージ1の放熱性を高めることもできる。
【0142】
このようなことから、半導体素子3および配線基板2の昇温を抑えることができるので、この点でも、配線基板2と半導体素子3との熱膨張係数差に起因する配線基板2の反りを抑制または防止することができる。
【0143】
また、半導体パッケージ1によれば、第1補強部材4が絶縁性を有する接着層42を有しているため、本体41と導体パターン221との短絡を防止しつつ、第1補強部材4を配線基板2に簡単に接合することができる。第2補強部材5についても同様である。そのため、後述するように、半導体パッケージ1の製造が簡単となる。
【0144】
(半導体パッケージの製造方法)
以上説明したような半導体パッケージ1は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0145】
以下、図4ないし図7に基づき、半導体パッケージ1の製造方法の一例を簡単に説明する。半導体パッケージ1の製造方法は、[1]配線基板2、第1補強部材4および第2補強部材を製造する工程Aと、[2]配線基板2に第1、第2補強部材4、5を接合する工程Bと、[3]配線基板2に半導体素子3を搭載する工程Cとを有している。なお、工程B、Cは、順番が逆であってもよい。すなわち工程Cの後に、工程Bを行ってもよい。
【0146】
(配線基板2の製造)
[1−A]
まず、図4(a)に示すように、絶縁層212Aの両面に金属層222A、223Aが設けられてなる積層体(例えば銅張り積層板)を用意する。
【0147】
ここで、絶縁層212Aは、前述した配線基板2の絶縁層212を形成するためのものである。また、金属層222Aは、前述した配線基板2の導体パターン222を形成するためのものである。また、金属層223Aは、前述した配線基板2の導体パターン223を形成するためのものである。
【0148】
[1−B]
次に、図4(b)に示すように、絶縁層212Aおよび金属層222A、223Aからなる積層体に貫通孔(ビアホール、スルーホール)を形成する。これにより、絶縁層212が得られる。貫通孔の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、レーザーを照射することにより形成することができる。
【0149】
[1−C]
次に、図4(c)に示すように、所定の貫通孔内に導体ポスト232を形成する。また、所定の貫通孔内に伝熱ポスト242を形成する。導体ポスト232および伝熱ポスト242の形成方法としては、それぞれ、特に限定されないが、例えば、導電性ペーストを充填する方法、無電解めっきにより埋め込む方法、電解めっきにより埋め込む方法等を用いることができる。特に、導体ポスト232および伝熱ポスト242をそれぞれ中空状に形成する場合には、電解めっきが好適に用いられる。
【0150】
[1−D]
次に、図4(d)に示すように、金属層222A、223Aをそれぞれパターンニングすることにより、導体パターン222、223を形成する。かかるパターンニングの方法としては、特に限定されないが、エッチングが好適に用いられる。
【0151】
以上のようにして、絶縁層212、導体パターン222、223、導体ポスト232および伝熱ポスト242が形成される。
【0152】
[1−E]
次に、図4(e)に示すように、導体パターン212上に、絶縁層211Aおよび金属層221Aを絶縁層211A側に接するように設ける。同様に、導体パターン223上に、絶縁層213Aおよび金属層224Aを絶縁層213A側に接するように設ける。
【0153】
ここで、絶縁層211Aは、例えば、プリプレグであって、前述した配線基板2の絶縁層211を形成するためのものであり、前述した絶縁層211の樹脂組成物の未硬化物(半硬化物)が基材に含浸してなるものである。同様に、絶縁層213Aは、例えば、プリプレグであって、前述した配線基板2の絶縁層213を形成するためのものであり、前述した絶縁層213の樹脂組成物の未硬化物(半硬化物)が基材に含浸してなるものである。
【0154】
[1−F]
次に、図5(a)に示すように、金属層221A、224Aをそれぞれパターンニングすることにより、導体パターン221、224を形成する。かかるパターンニングの方法としては、前述した工程[1−D]と同様の方法を用いることができる。次いで、絶縁層211Aおよび導体パターン221からなる積層体に、貫通孔(ビアホール)を形成するとともに、絶縁層213Aおよび導体パターン224からなる積層体に、貫通孔(ビアホール)を形成する。
【0155】
[1−G]
次に、図5(b)に示すように、貫通孔内に導体ポスト231、233を形成する。導体ポスト231、233の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、導電性ペーストを充填する方法、無電解めっきにより埋め込む方法、電解めっきにより埋め込む方法等を用いることができる。
【0156】
[1−H]
次に、導体パターン221を覆うようにソルダーレジスト25のためのソルダーレジストを塗布した後、パターニングすることによりソルダーレジスト25を形成する。同様に、導体パターン224を覆うようにソルダーレジスト26のためのソルダーレジストを塗布した後、パターニングすることによりソルダーレジスト26を形成する。その後、図5(c)に示すように、ソルダーレジスト25および絶縁層211が積層してなる積層体に貫通孔を形成するとともに、ソルダーレジスト26および絶縁層213が積層してなる積層体に貫通孔を形成する。
【0157】
[1−I]
次に、図5(d)に示すように、貫通孔内に、伝熱ポスト241、243を形成する。伝熱ポスト241、243の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、導電性ペーストを充填する方法、無電解めっきにより埋め込む方法、電解めっきにより埋め込む方法等を用いることができる。
以上より、配線基板2を得る。
【0158】
(第1補強部材4の製造)
[1’−A]第1の工程
まず、図6(a)に示すように、板状の本体41Aを用意する。この本体41Aは、第1補強部材4の本体41を形成するためのものであり、例えば金属材料で構成されている。
【0159】
次に、図6(b)に示すように、本体41Aの不要部分を除去して本体41を所望形状に加工する。不要部分を除去する方法としては、特に限定されず、ドライエッチング、ウェットエッチング等のエッチング処理、レーザーを照射するレーザー処理、打ち抜き処理等の方法を用いることができるが、これら方法の中でも、特にウェットエッチング処理を用いるのが好ましい。ウェットエッチング処理によれば、本体41Aに対して、より精度のよい加工を行うことができる。
これにより、第1補強部材4の本体41が得られる。
【0160】
[1’−B]第2の工程
次に、図6(c)に示すように、シート状の支持基材(剥離シート)91の上面(一方の面)に、接着層42Aが設けられたシート材9を用意する。ここで、支持基材91は、光透過性を有しており、例えば、PET等で構成された樹脂フィルムの上面にシリコーン樹脂などの剥離剤を塗布したものを用いることができる。また、接着層42Aは、第1補強部材4の接着層42を形成するためのものであり、前述したように、無機フィラーを含有するネガ型の感光性接着剤で構成されている。また、接着層42Aの形成方法は、特に限定されず、例えば、シート状の前記感光性接着剤を支持基材91の上面にラミネートしてもよいし、前記感光性接着剤をスクリーン印刷等によって支持基材91の上面に塗布してもよい。
【0161】
次に、図6(d)に示すように、前記第1の工程で得られた本体41(所望形状に加工された本体41A)を接着層42Aの上面に貼り付ける。これにより、下側から、支持基材91、接着層42A、本体41Aが順に積層された部材が得られる。
【0162】
[1’−C]第3の工程
次に、図6(e)に示すように、支持基材91側から、所望形状のマスクMを介して接着層42Aをパターン露光し、さらに現像し、接着層42Aの不要部を除去する。これにより、接着層42Aが所望形状に加工され、図6(f)に示すように、第1補強部材4の接着層42が得られる。このように、接着層42Aのパターニングをフォトリソグラフィを用いて行うことにより、より簡単、かつ精度よく、接着層42Aを所望形状に加工し、接着層42を得ることができる。
【0163】
なお、本実施形態では、接着層42は、本体41の平面視形状とほぼ同一の形状に加工されている。また、前述したように、接着層42を構成する感光性接着剤は、感光した部分が耐溶解性となるネガ型の接着剤であるため、マスクMは、本体41Aから不要部として除去された部分に対応する形状とすればよい。
以上のようにして、支持基材91に支持された第1補強部材4が得られる。
【0164】
上記のような製造方法によれば、第1補強部材4を簡単に製造することができる。また、後述するように、接着層42によって、配線基板2に簡単に接合することができるため、半導体パッケージ1の製造が簡単となる。
【0165】
(第2補強部材5の製造)
第2補強部材5は、第1補強部材4と同様にして製造することができるため、その説明を省略する。
【0166】
[2]工程B
まず、前記工程Aにて製造した配線基板2と、支持基材91を剥離した第1、第2補強部材4、5を用意する。次に、図7(a)に示すように、第1補強部材4を、接着層42を配線基板2側にして配線基板2の上面に貼り付けるとともに、第2補強部材5を、接着層52を配線基板2側にして配線基板2の下面に貼り付け、その後、接着層42、52を硬化(完全硬化)する。これにより、第1、第2補強部材4、5が配線基板2に接合される。第1、第2補強部材4、5の貼り付けは、例えば、真空プレス、ラミネート等によって行うことができる。
【0167】
[3]工程C
[3−A]
次に、図7(b)に示すように、配線基板2の上面に、アンダーフィル材を塗布した後、半導体素子3を金属バンプ31を介して半田リフローにより接合する。なお、この場合、アンダーフィル材として前述した絶縁材81と同じようなフラックス活性のある樹脂を用いる。また、半導体素子3を搭載し、フラックスあるいは半田ペースト等を用いてリフローにより半導体素子3を配線基板2に接合させた後、通常のキャピラリーアンダーフィル材を配線基板2と半導体素子3との間に充填・硬化させることもできる。
【0168】
[3−B]
次に、図7(c)に示すように、第2補強部材5の貫通孔内(配線基板2の下面)に、絶縁材81Aを塗布した後、金属ボール(半田ボール)71Aを半田リフローにより半田接合する。これにより、金属バンプ71および絶縁材81が形成される。かかる半田接合は、特に限定されないが、配線基板2の下面に各金属バンプ71が当接するように配置し、その状態で、例えば200〜280℃×10〜60秒間加熱することにより行うことができる。
【0169】
このようにして得られた絶縁材81は、前述したように金属バンプ71の周囲を囲むように形成される。このとき、絶縁材81Aは、半田接合時にフラックスとして機能し、且つ、金属バンプ71との界面張力により半田接合部周辺をリング状に補強する形状で硬化する。
以上のようにして、半導体パッケージ1が得られる。
【0170】
(半導体装置)
次に、半導体装置について好適な実施形態に基づいて説明する。
【0171】
図8は、図1に示す半導体パッケージを備える半導体装置を模式的に示す断面図である。
【0172】
図8に示すように、半導体装置100は、マザーボード(基板)200と、このマザーボード200に搭載された半導体パッケージ1とを有している。
【0173】
このような半導体装置100においては、半導体パッケージ1の金属バンプ71がマザーボード200の端子(図示せず)に接合されている。これにより、半導体パッケージ1とマザーボード200とが電気的に接続され、これらの間で電気的信号の伝送が行われる。また、この接合部を介して、半導体パッケージ1の熱をマザーボード200へ逃すことができる。
【0174】
以上説明したような半導体装置100によれば、前述したような放熱性および信頼性に優れた半導体パッケージ1を備えるので、信頼性に優れる。
【0175】
<第2実施形態>
(半導体パッケージ)
図9は、本発明の第2実施形態に係る補強部材の製造方法によって製造された補強部材を用いた半導体パッケージを模式的に示す断面図、図10は、補強部材の製造方法の一例を示す図である。なお、以下では、説明の便宜上、図9、図10中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図9、図10では、それぞれ、説明の便宜上、半導体パッケージの各部が誇張して描かれている。
【0176】
以下、第2実施形態の半導体パッケージについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0177】
第2実施形態の半導体パッケージは、第1、第2補強部材の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。
【0178】
図9に示すように、半導体パッケージ1が有する第1補強部材4は、本体41と、接着層42とを有している。また、接着層42は、本体41の下面および側面に接触するように形成されている。すなわち、本実施形態の第1補強部材4では、本体41の下面および側面が接着層42によって覆われている。このように、接着層42によって、本体41の側面を覆うことにより、例えば、本体41と金属バンプ71との接触を確実に防止することができる。その結果、これらの間の短絡を防止でき、信頼性の高い半導体パッケージ1が得られる。
【0179】
同様に、第2補強部材5は、本体51と、接着層52とを有している。また、接着層52は、本体51の上面および側面に接触するように形成されている。すなわち、本実施形態の第2補強部材5では、本体51の上面および側面が接着層52によって覆われている。このように、接着層52によって、本体51の側面を覆うことにより、例えば、本体51と金属バンプ71との接触を確実に防止することができる。その結果、これらの間の短絡を防止でき、信頼性の高い半導体パッケージ1が得られる。
【0180】
(半導体パッケージの製造方法)
以上説明したような半導体パッケージ1は、例えば、以下のようにして製造することができる。なお、第1、第2補強部材4、5の製造方法が異なる以外は、前述した第1実施形態の製造方法と同様であるため、以下では、主に、第1、第2補強部材4、5の製造方法についてのみ説明する。
【0181】
(第1補強部材4の製造)
[1]第1の工程
まず、図10(a)に示すように、板状の本体41Aを用意する。この本体41Aは、第1補強部材4の本体41を形成するためのものであり、例えば金属材料で構成されている。
【0182】
次に、図10(b)に示すように、本体41Aの不要部分を除去して本体41Aを所望形状に加工する。不要部分を除去する方法としては、特に限定されず、ドライエッチング、ウェットエッチング等のエッチング処理、レーザーを照射するレーザー処理、打ち抜き処理等の方法を用いることができるが、これら方法の中でも、特にウェットエッチング処理を用いるのが好ましい。ウェットエッチング処理によれば、本体41Aに対して、より精度のよい加工を行うことができる。
これにより、第1補強部材4の本体41が得られる。
【0183】
[2]第2の工程
次に、図10(c)に示すように、シート状の支持基材(剥離シート)91の上面(一方の面)に、接着層42Aが設けられたシート材9を用意する。シート材9の構成は、前述した第1実施形態と同様である。
【0184】
次に、図10(d)に示すように、前記第1の工程で得られた本体41(所望形状に加工された本体41A)を接着層42Aの上面に貼り付けるとともに、本体41を接着層42A内(すなわち下側)に向けて押圧する。これにより、本体41が接着層42A内にめり込み、その上面を露出させるようにして接着層42内に埋設された状態となる。言い換えれば、本体41の開口(本体41Aから除去された部分)に接着層42Aが充填された状態となる。
【0185】
[3]第3の工程
次に、図10(e)に示すように、支持基材91側から、所望形状のマスクMを介して接着層42Aをパターン露光し、現像し、接着層42Aの不要部を除去する。これにより、接着層42Aが所望形状に加工され、図10(f)に示すように、第1補強部材4の接着層42が得られる。この工程では、本体41の側面を接着層42で覆ったままの状態を保ちつつ、接着層42Aの不要部を除去する。すなわち、得られた接着層42は、本体41の側面を覆う形状をなしている。
以上のようにして、支持基材91に支持された第1補強部材4が得られる。
【0186】
(第2補強部材5の製造)
第2補強部材5は、第1補強部材4と同様にして製造することができるため、その説明を省略する。
【0187】
<第3実施形態>
(半導体パッケージ)
図11は、第3実施形態の半導体パッケージを模式的に示す断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図11中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図11では、説明の便宜上、半導体パッケージの各部が誇張して描かれている。
【0188】
以下、第3実施形態の半導体パッケージについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0189】
第3実施形態の半導体パッケージは、第1、第2補強部材がソルダーレジストを兼ねている以外は、前述した第1実施形態とほぼ同様である。
【0190】
図11に示すように、半導体パッケージ1の配線基板2は、第1実施形態の配線基板2からソルダーレジスト25、26を省略した構成となっている。そして、配線基板2が有する絶縁層211の上面に第1補強部材4の接着層42が接合している。また、絶縁層213の下面に第2補強部材5の接着層52が接合している。これら接着層42、52は、共に絶縁性を有しており、配線基板2を保護するソルダーレジストとしても機能している。
【0191】
なお、配線基板2の上面のうち、第1補強部材4と重ならない場所、すなわち、第1補強部材4の内側であって、半導体素子3が搭載される領域には、接着層42が形成されない。しかしながら、このような領域には、接着層32が形成されおり、この接着層32がソルダーレジストを兼ねている。
【0192】
同様に、配線基板2の下面のうち、第2補強部材5と重ならない場所、すなわち、第2補強部材の内側であって、金属バンプ71が接合される領域には、接着層42が形成されない。しかしながら、このような領域には、絶縁材81が塗布されており、この絶縁材81がソルダーレジストを兼ねている。
【0193】
このような構成とすることにより、第1実施形態と比較して、部品点数を削減することができるため、製造コストおよび製造工程の削減、装置の小型化(薄型化)を図ることができる。
【0194】
以上、本発明の補強部材の製造方法を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、接着体を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0195】
また、前述した実施形態では、半導体パッケージは、第1補強部材と第2補強部材とを有しているが、第1補強部材および第2補強部材のうちのいずれか一方を省略してもよい。
【0196】
また、前述した実施形態では、配線基板に伝熱ポストが形成されているが、伝熱ポストは、省略してもよい。
【符号の説明】
【0197】
1 半導体パッケージ
2 配線基板
21 基板
211 絶縁層
211A 絶縁層
212 絶縁層
212A 絶縁層
213 絶縁層
213A 絶縁層
221 導体パターン
221A 金属層
222 導体パターン
222A 金属層
223 導体パターン
223A 金属層
224 導体パターン
224A 金属層
231 導体ポスト
232 導体ポスト
233 導体ポスト
24 伝熱ポスト
241 伝熱ポスト
242 伝熱ポスト
243 伝熱ポスト
25 ソルダーレジスト
26 ソルダーレジスト
3 半導体素子
31 金属バンプ
32 接着層
33 外周面
4 第1補強部材
41 本体
41A 本体
411 内周面
42 接着層
42A 接着層
5 第2補強部材
51 本体
511 部分
512 部分
513 開口部
52 接着層
71 金属バンプ
71A 金属ボール
81 絶縁材
81A 絶縁材
9 シート材
91 支持基材
100 半導体装置
200 マザーボード
M マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の一方の面側に設けられた第1導体パターンと、前記基板の他方の面側に設けられ、前記第1導体パターンと電気的に接続された第2導体パターンとを備える配線基板の前記一方の面および前記他方の面の少なくとも1つの面に接合される補強部材の製造方法であって、
前記基板よりも熱膨張係数の小さい板状の本体を用意し、前記本体の不要部分を除去することによって、前記本体を所望形状に加工する第1の工程と、
シート状の支持基材と、前記支持基材の一方の面側に設けられ、接着剤で構成される接着層とを有するシート材を用意し、前記シート材の前記接着層の表面に前記第1の工程によって所望形状に加工された前記本体を貼り合わせる第2の工程と、
前記接着層の不要部分を除去することによって、前記接着層を所望形状に加工する第3の工程とを有し、
前記本体と前記接着層とによって前記補強部材が構成されることを特徴とする補強部材の製造方法。
【請求項2】
前記第2の工程では、前記本体の前記第1の工程で除去された部分に前記接着層を充填するように、前記本体と前記接着層とを貼り合わせる請求項1に記載の補強部材の製造方法。
【請求項3】
前記第3の工程では、前記本体の側面を前記接着層で覆った状態を保ちつつ、前記接着層を所望形状に加工する請求項2に記載の補強部材の製造方法。
【請求項4】
前記第1の工程では、ウェットエッチングによって前記本体を所望形状に加工する請求項1ないし3のいずれかに記載の補強部材の製造方法。
【請求項5】
前記接着剤は、感光性接着剤であり、
前記第3の工程では、前記接着層を露光し、現像することにより、所望形状に加工する請求項1ないし4のいずれかに記載の補強部材の製造方法。
【請求項6】
前記接着剤は、露光部が難溶性となるネガ型の感光性接着剤である請求項5に記載の補強部材の製造方法。
【請求項7】
前記接着剤には、前記配線基板の熱を前記本体に伝達する熱伝導材料が含まれている請求項1ないし6のいずれかに記載の補強部材の製造方法。
【請求項8】
前記接着剤は、樹脂材料と、前記熱伝導材料としての無機フィラーとを含む樹脂組成物で構成されている請求項7に記載の補強部材の製造方法。
【請求項9】
前記接着層は、絶縁性を有している請求項1ないし8のいずれかに記載の補強部材の製造方法。
【請求項10】
前記本体は、金属材料で構成されている請求項1ないし9のいずれかに記載の補強部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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