補強部材を備えたガイドワイヤ
ガイドワイヤの代替的な設計、材料、および組合せに関する。幾つかの実施例は、ステンレス鋼からなる長尺状のコア部材を有するガイドワイヤに関する。ニッケル−チタン合金からなる補強部材は、減少した径を有するコア部材の先端領域の周囲に配置され、その先端領域の一部は補強部材を越えて延びる。ニッケル−チタン合金からなる部材は、優れた可撓性を付与する物理的特性を追加する。外側部材はコアワイヤの先端部分の周囲に位置し補強部材を覆うように延びる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガイドワイヤに関し、より詳細には、ニッケルチタン合金を含む補強部材を備えるガイドワイヤに関する。さらに詳細には、本発明は、ステンレス鋼からなるコアおよび先端領域に位置するニッケルチタン合金を含む補強部材を備えるガイドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なガイドワイヤが血管内等の医療用に開発されてきた。血管内ガイドワイヤは、通常、患者の血管系における進行を容易にするために、カテーテル等の血管内器具と連結して使用されている。患者の血管系は蛇行しているため、ガイドワイヤにおいて多くの動作特性を組み合わせることが望ましい。例えば、ガイドワイヤは、特にその基端部付近において、比較的高い押圧性やトルク伝達性を有することが望ましい場合がある。また、特に先端部付近において、比較的可撓性を有することが望ましい場合がある。数多くの異なるガイドワイヤ構造やアセンブリが知られており、それぞれ長所や短所を備えている。しかしながら、それらに代わるガイドワイヤ構造やアセンブリを提供することが依然必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、改良された特徴を有するガイドワイヤにおいて、複数の代替的な設計、材料、および組合せを提供する。
【0005】
一実施例において、ガイドワイヤは、長尺状のコア部材を有し、コア部材の先端領域の一部の周囲に配置された補強部材を備える。コア部材の先端部分は補強部材を越えて延びる。外側部材は、コア部材の先端部分に配置され、補強部材の少なくとも一部に延びる。
【0006】
他の実施例においては、ガイドワイヤは長尺状のコア部材を備え、コア部材の先端領域の少なくとも一部はステンレス鋼を含む。ニッケルチタン合金から好適に形成された補強部材は、コア部材の先端領域の一部の周囲に配置され、補強部材の先端部はコア部材の先端領域の先端部分の基端側で終端する。外側部材は、補強部材の少なくとも一部および補強部材の先端側のコア部材の一部を覆うように位置する。
【0007】
他の実施例において、ガイドワイヤは、患者の体内で使用できるように形成され、ステンレス鋼を含む長尺状の内コア部材を有する。コア部材は、第1の断面積を有する基端部分、第2の断面積を有する中間部分、およびリボン形状を有する先端部分を備える。第1の断面積は第2の断面積よりも大きく、第2の断面積はリボン形状よりも大きい。
【0008】
長尺状の補強部材は、コア部材の中間部分の周囲に配置される。補強部材は、ニッケルチタン合金を含むことが望ましい。補強部材は、コイル、管状部材、あるいは、コア部材の周囲にらせん状に巻き付けられた少なくとも1本のリボン状ワイヤであってもよい。補強部材は、コア部材の中間部分とは異なる材料から形成されることが望ましい。したがって、補強される部分にはない他の特徴を提供することが可能である。
【0009】
ステンレス鋼を含むことが望ましいバネチップは、コア部材の先端部分の周囲に位置し、補強部材上に延びる。バネチップは、その近傍のコア部材の基端部分の外径にほぼ等しい外径を有することが望ましい。この領域においてほぼ等しい外径を有することにより、ガイドワイヤに沿って滑らかに移行できるため、医療処置中に医療器具がガイドワイヤに沿ってより容易に通過できる。
【0010】
幾つかの実施例に関する上記の要約は、本発明の開示された各実施態様や各実施例を記載することを意図するものではない。以下に記載する図面の説明や詳細な説明において、これらの実施例についてより具体的に説明を行うものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に定義する用語については、請求項または本明細書のいずれかの個所に異なる定義がある場合を除き、以下の定義が適用されるものとする。
【0012】
全ての数値は、本明細書における記載の有無に関わらず、「約」という語により調整されていると見なされる。「約」という語は、一般的に、当業者が記載された値(すなわち、同じ機能や結果を有する)と同等と見なす範囲の数字を指す。多くの場合は、「約」という語は、最も近い有効数字に四捨五入された数字を含む。
【0013】
重量%とは、物質の濃度を意味しており、物質の重量を組成物の重量で割ったものに100をかけて算出される。
指標となる数値による範囲指定を行う場合、当該範囲のすべての数値を含むものとする。(例えば、1〜5の場合、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5を含む。)
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が明らかにそうではないものを示さない限りは、複数形の対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、「または(or)」は、内容が明らかにそうではないものを示さない限りは、「および/または(and/or)」を含む意味において使用される。
【0015】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、それぞれの図面において、類似する要素には同じ番号が付されている。図面は、必ずしも寸法比率が等しいものではなく、例示する実施例を表すためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0016】
図1は、ガイドワイヤ10の一実施例を示す略体図である。ガイドワイヤ10は、基端部13を形成する基端区分11、および先端部17を形成する先端区分15を備える。先端チップ12は、先端部17付近に位置する。
【0017】
図示されるように、ガイドワイヤ10はコア部材すなわちコアワイヤ14を備えることも可能である。先端区分15は、基端部分16および先端部分18を備える。コアワイヤ14は、金属、合金、ポリマー等や、これらの組み合わせ、あるいはこれらの混合物を含む、好適な材料で形成することができる。好適な金属および合金の例には、304vステンレス鋼等のステンレス鋼;線形弾性または超弾性(すなわち、擬弾性)ニチノール等のニッケル−チタン合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、タングステン、タングステン合金、エルジロイ(登録商標Elgiloy)、MP35N;その他の好適な材料が含まれる。
【0018】
ニチノールという語は、米国国防省海軍武器研究所(NOL)において、この材料が持つ形状記憶性を初めて観察した研究者のグループにより名付けられた。ニチノールという語は、ニッケル(Ni)およびチタン(Ti)の元素記号を含む頭字語と、国防省海軍武器研究所(NOL)を示す頭字語とからなる。幾つかの実施例において、ニチノール合金は、約50〜60重量%のニッケルを含み、残りをほぼチタンが占める。しかしながら、他の実施例においては、ニッケル−チタンの重量%の範囲および/または他の微量元素は、これらの範囲とは異なっていてもよい。販売されているニチノール合金のファミリーには、「超弾性」(すなわち、擬弾性)や「線形弾性」と称されるカテゴリがあり、化学的には類似しているが、異なる有用な力学的性質を示す。
【0019】
幾つかの実施例において、超弾性ニチノール等の超弾性合金は、所望の性質を得るために使用される。そのような合金は、通常、その応力/歪み曲線において、実質的な「超弾性プラトー」(superelastic plateau)すなわち「フラッグ領域」(flag region)を示す。そのような合金が幾つかの実施例において望ましいのは、好適な超弾性合金が、他の非超弾性材料と比較して、体内にカテーテルを配置する際などに応力の付加や解除により、著しく塑性変形しないでその形状をほぼ回復させるような強化された能力を有するためである。
【0020】
他の実施例においては、線形弾性ニチノール等の線形弾性合金は、所望の性質を得るために使用される。例えば、幾つかの実施例において、特定の線形弾性ニチノール合金は、加工された材料がその応力/歪み曲線において実質的な「超弾性プラトー」すなわち「フラッグ領域」を示さないように、冷間加工、方向性のある応力、熱処理により生成される。その代わりに、そのような実施例においては、回復可能な歪みが大きくなるにつれて、応力は、塑性変形が始まるまではほぼ直線状に増加する。いくつかの実施例においては、線形弾性ニッケル−チタン合金は、DSCおよびDMTA分析により広範囲の温度域にわたって検出可能なマルテンサイト相/オーステナイト相変化を示さない合金である。例えば、実施例によっては、約−60〜120℃の温度域においてDSCおよびDMTA分析により検出可能なマルテンサイト相/オーステナイト相変態が生じない。したがって、このような材料の力学的曲げ特性は、この非常に広い温度域にわたる温度の効果に対してほぼ不活性である。いくつかの特定の実施例においては、周囲温度または室温における合金の力学的特性は、体温における力学的特性とほぼ同じである。いくつかの実施例においては、線形弾性ニッケル−チタン合金を用いることにより、補強部材は、蛇行する体内構造において優れた「押圧性」を示すことができる。線形弾性を示す好適なニッケル−チタン合金の例としては、株式会社古河テクノマテリアル(日本国神奈川県に所在)より販売されるFHP−NT合金が挙げられる。さらに、線形弾性を示す好適なニッケル−チタン合金の例には、米国特許第5238004号明細書および同特許第6508803号明細書に開示されたものが含まれるが、これら特許文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。
【0021】
また、少なくとも幾つかの実施例において、コアワイヤ14の一部または全体は、放射線不透過性でドープされ、形成され、または他の方法により含んでもよい。放射線不透過材料とは、医療処置中に、透視スクリーン上或いはその他のイメージング技術において、比較的明るい像を得ることができる材料のことである。この比較的明るい像は、使用者が器具10の位置を判断することを補助する。放射線不透過材料の例としては、金、プラチナ、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過充填材を備えたポリマー材料等が含まれるが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施例においては、単独(separate)の放射線不透過性部材、または、一連の放射線不透過性部材(例えば、放射線不透過性コイル、バンド、管材、または他の同様の構造)をガイドワイヤのコアワイヤに連結することができ、あるいは、めっき、絞り、鍛造、イオン注入技術等によりコアワイヤ内に組み込むことができる。
【0022】
幾つかの実施例においては、ある程度のMRI(磁気共鳴映像法)に対する適合性が、ガイドワイヤ10に付与される。例えば、磁気共鳴映像(MRI)装置との適合性を強化するために、ある程度のMRIに対する適合性が付与される方法で、コアワイヤ14や医療器具10の他の部分を形成することが望ましい。例えば、コアワイヤ14やその一部を、画像をほとんど歪めず、大きなアーチファクト(artifacts)(アーチファクトとは画像における空隙のことである)を生み出さないような材料で形成することができる。例えば、特定の強磁性材料は、MRI画像においてアーチファクトを生み出すことがあり、適切ではない場合がある。また、コアワイヤ14やその一部は、MRI装置が画像を作り出せるような材料から形成されてもよい。そのような特性を示す材料には、タングステン、エルジロイ(登録商標Elgiloy)、MP35N、ニチノール等や他の材料が含まれる。
【0023】
コアワイヤ14は、全体が同一材料で形成されていてもよく、幾つかの実施例においては、異なる材料で形成された部分を含んでいてもよい。実施例によっては、コアワイヤを形成する材料は、コアワイヤ14の異なる部分に異なる可撓性や剛性を付与するように選択される。例えば、基端区分11および先端区分15は、異なる弾性率を有する材料等の異なる材料から形成されて異なる可撓性を備えることも可能である。実施例によっては、基端区分11を形成する材料には、押圧性およびトルク伝達性を得るために比較的剛性の高い材料を使用し、先端区分15を形成する材料には、比較して横方向における追従性および操作性により優れた、比較的可撓性の高い材料を使用することも可能である。例えば、基端区分11は直線状の304vステンレス鋼ワイヤまたはリボンで、先端区分15は直線記憶処理された(straightened)超弾性合金または線形弾性合金、例えば、ニッケル−チタン合金ワイヤまたはリボンでそれぞれ形成されていてもよい。
【0024】
コアワイヤ14の複数の部分が異なる材料で形成されている実施例においては、この複数の部分は、任意の好適な連結技術を用いて互いに連結可能である。例えば、コアワイヤの複数の部分は、溶接、ハンダ付け、ろう付け、接着剤等、あるいはこれらの組み合わせを用いて連結することができる。また、いくつかの実施例においては、1個以上の機械的なコネクタまたはコネクタアセンブリを備え、異なる材料で形成されるコアワイヤの複数の部分を連結していてもよい。コネクタは、ガイドワイヤの複数の部分の連結にほぼ好適な任意の構造を備えることができる。好適な構造の一例には、基端部分や先端部分の端部を収容し連結するように設定された内径を有するハイポチューブやコイル状のワイヤ等の構造が挙げられる。複数のシャフト部分を相互連結するために使用される技術や構造の例は、米国特許出願公開第2003−0069521号および同特許出願公開第2003−0069520号に開示されており、これら特許文献に記載された内容は本願においても開示されたものとする。
【0025】
コア部材14(および/または器具10)の長さ、あるいはその各部分の長さは、通常、完成した医療器具に所望される長さや可撓性によって決定される。例えば、基端区分11は約20〜300cmあるいはそれ以上の長さを、先端区分15は約3〜50cmあるいはそれ以上の長さをそれぞれ有することができる。区分11/15の長さを本発明の趣旨から逸脱することなく変更可能であることは理解されるであろう。
【0026】
コアワイヤ14は中実断面を有していてもよいが、実施例によっては中空断面を有することも可能である。別の実施例においては、コアワイヤ14は、中実断面を有する領域と中空断面を有する領域の組み合わせを含んでいてもよい。さらには、コアワイヤ14やその一部は、ラウンドワイヤ、平板状をなすリボン、または様々な断面形状を有する他の同様な構造により形成することができる。コアワイヤ14の長さ方向の断面形状は、一定であっても可変であってもよい。例えば、図2は円形の断面形状を有するコアワイヤ14を示す。本発明の趣旨から逸脱することなく、他の断面形状や形状の組み合わせを用いることができることは理解されるであろう。例えば、コアワイヤ14の断面形状は、楕円形、矩形、正方形、多角形等や、任意の好適な形状とすることができる。
【0027】
図2に示されるように、先端区分15は、1つまたは複数のテーパ部またはテーパ領域を備える。幾つかの実施例においては、先端領域18は、テーパ状をなして、基端区分11の外径とほぼ同じである初期外寸すなわち外径を有するが、そこからテーパされて減少した寸法すなわち外径となる。例えば、幾つかの実施例においては、先端区分15は、初期の外径が約0.010〜0.040インチ(約0.254〜1.016mm)であり、そこから径が約0.001〜0.005インチ(約0.0254〜0.127mm)となるようにテーパされてもよい。テーパ状をなす領域は、直線的にテーパ状をなしていてもよく、曲線的にテーパ状をなしていてもよく、均一にテーパ状をなしていてもよく、非均一にテーパ状をなしていてもよく、或いは段階的にテーパ状をなしていてもよい。このようなテーパ形状の角度は、所望される可撓性に応じて変更することができる。テーパ領域の長さは、剛性が徐々に変化する部分がより多く(より長く)なるように、あるいはより少なく(より短く)なるように選択されてもよい。図2では、コアワイヤ14の先端区分15がテーパ状をなすが、コアワイヤ14のほぼいずれの部分がテーパ状をなしていてもよく、径が小さくなる方向は、基端方向または先端方向のいずれであってもよい。図2に示すように、テーパ領域は、外径が小さくなる1つまたは複数の部分(テーパ形状をなす部分等)、および外径がほぼ一定の部分(一定の径部分等)を含んでいてもよい。径が小さくなる部分および径が一定の部分の数、構成、寸法、長さは、可撓性やトルク伝達性といった所望の特性を得るために変更することができる。径が小さくなる部分および径が一定の部分は、図2に示されるような構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱することなく構成を変更することができる。
【0028】
テーパ領域における径が小さくなる部分および径が一定の部分は、例えば、センタレス研削法、スタンピング法等、多数の異なる技術のいずれかを用いて形成することができる。センタレス研削技術においては、センサ(例えば、光学/反射型センサ、磁気センサ)を用いたインデックスシステム(indexing system) を利用し、接触部分が過度に研削されないようにしてもよい。また、センタレス研削技術において、適切な賦形および仕上げを施されたCBN研削ホイールまたはダイヤモンド研削ホイールを用い、研削工程においてコアワイヤを把持しなくてよいようにしてもよい。いくつかの実施例においては、コアワイヤ14は、ロイヤルマスター社製のHI−AC型(Royal Master HI−AC)センタレス研削機を用いてセンタレス研削されてもよい。研削方法の好適な例のいくつかが、2003年1月17日付けで出願された米国特許出願第10/346698号明細書に開示されており、同米国特許出願明細書に開示された内容は本願においても開示されたものとする。
【0029】
図2に示すように、補強部材20は、コアワイヤ14の先端区分15の基端部分16の周囲に配置される。先端区分15の先端部分18は、補強部材20を越えて先端方向へ延びる。補強部材は、金属、合金、ポリマー等を含む異なる材料から形成される管状部材20であってもよい。管状部材20に使用される材料の例には、ステンレス鋼、ニッケル−チタン合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、他の好適な材料が含まれる。好適な実施例においては、管状部材20は、押圧性等の優れた性質を得るためにニッケル−チタン合金を含み、さらにコア部材14にステンレス鋼を使用することも可能である。
【0030】
図3Aおよび3Bに示すように、管状部材20は少なくとも1つの溝すなわち切り込み24を備えていてもよい。溝すなわち切り込み24は、管状部材20の可撓性等の特性を強化することも可能である。溝すなわち切り込み24は、管材のほぼ全厚を貫通、あるいは、管材の厚さの一部(折り線等)のみを貫通することも可能である。図3Aに示すように、複数の溝すなわち切り込み24は、必要な可撓性を得るために使用されてもよい。また、図3Bに示すように、溝すなわち切り込み22は、管状部材20またはその一部の長さ方向にらせん状に形成されてもよい。らせん状の溝すなわち切り込み22は、管材の厚さの一部(折り線等)のみを貫通、あるいは、管材のほぼ全厚を貫通することも可能である。らせん状の溝すなわち切り込み22のピッチは、所望の機能性を提供するために選択されてもよく、あるいは、ピッチは管状部材20の長さ方向に可変であってもよい。管状部材20は、1つまたは複数の別のらせん状の溝すなわち切り込み22、あるいは、溝すなわち切り込み24とらせん状の溝すなわち切り込み22の組合せを備えていてもよい。溝すなわち切り込み22,24の幅や深さは、管状部材20の所望の特性を得るために必要とされる範囲内で構成可能であることは理解されよう。溝すなわち切り込み22,24は、レーザ切断やプラズマ切断等の当技術分野において周知な様々な技術のいずれにより形成されてもよい。
【0031】
幾つかの実施例において、外側部材は、コア部材14の先端区分15の少なくとも一部の周囲に配置される。外側部材は、ガイドワイヤ10の先端部17から延びてその基端側の部分に達してもよい。外側部材は、補強部材の少なくとも一部上に延びてもよく、補強部材のほぼ全体に延びることが望ましい。外側部材は、コアワイヤ14の基端区分11の径とほぼ同じ外径を有してもよく、あるいは、外側部材の外径は、コアワイヤ14の近接する部分の外径とは異なっていてもよい。
【0032】
図2に示すように、外側部材はコイル30であってもよい。コイル30は、ガイドワイヤ10の先端区分15の周囲に配置されてもよい。コイル30は、金属、合金、ポリマー等を含む様々な材料から形成することが可能である。コイル30に使用される材料の例には、ステンレス鋼、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、他の好適な材料が含まれる。好適な材料の他の例にには、直線記憶処理された超弾性合金または線形弾性合金(例えば、ニッケル−チタン合金)ワイヤ、または、高性能ポリマー等のポリマー材料が含まれる。幾つかの実施例においては、コイル30やその一部は、金、プラチナ、タングステン等、あるいはこれらの合金等の放射線不透過性材料で形成、含有、被覆されていてもよい。
【0033】
コイル30は、所望の可撓性を得るために、様々な寸法の円形または平板状のリボンから形成することができる。幾つかの実施例において、コイル30は、約0.001〜0.015インチ(約0.0254〜0.381mm)径、約0.1〜20インチ(約0.254〜50.8cm)の長さの円形リボンであってもよい。しかしながら、他の寸法も意図されている。
【0034】
コイル30は、従来の巻回技術を用いてらせん状に巻き付けられてもよい。コイル30の近接するターンのピッチは、各ターンが後続のターンに接触するように詰めて巻かれていてもよく、コイル30が各ターンの間隔が空いた状態で巻かれるように設定されてもよい。
【0035】
先端チップ32は、ガイドワイヤ10の先端部17に配置されてもよい。先端チップ32は、ハンダ、ポリマー、当技術分野において周知な他の材料であってもよい。先端チップ32は、放射線不透過性材料を含んでもよく、透視法技術等の特定のイメージング技術を使用する時に、体内の先端チップの位置の視認性をより高めることができる。当技術分野において周知の好適な放射線不透過性材料が使用されてもよい。例としては、貴金属、タングステン、次炭酸バリウム(barium subcarbonate)粉末等や、これらの混合物が挙げられる。先端チップ32は、コイル30の先端側に配置されてもよい。先端チップやその一部は、コイル30の先端部分内に配置されもよい。
【0036】
ガイドワイヤ10の先端区分15の変更例が図4に示される。ガイドワイヤ10の先端区分15は、管状部材20とコイル30との間における相対的な間隔を除けば、図2に示された先端区分15とほぼ同様である。図4Aに示すように、管状部材20はコイル30に近接して配置され、一方図2Aでは、管状部材20とコイル30との間には空間がある。管状部材20とコイル30との間の相対的な間隔により、処置中に望ましいと思われる特有の性質を先端区分15に付与することも可能である。
【0037】
ガイドワイヤ10の先端区分15の他の実施例が図5に示される。コアワイヤ14は、基端部分40、中間部分42、および先端部分44を有する。テーパ状部分41は、基端部分40の第1の断面積から中間部分42の第2の断面積へ移行するように、基端部分40と中間部分42との間に位置する。テーパ状部分43は、中間部分42の第2の断面から先端部分44の第3の断面へ移行するように、中間部分42と先端部分44との間に位置する。図4に示されるように、テーパ状をなす断面積部分および一定の断面積部分は、これに限定されるものではなく、この構成は、上述したように本発明の趣旨から逸脱することなく変更が可能である。
【0038】
好適な一実施例において、補強部材50は、コアワイヤ14の中間部分42の周囲に配置される。補強部材は、コアワイヤ14の中間部分42の領域に所望の特性を付与でき、そのような特性はコアワイヤ14のその部分に使用される材料によって不十分に付与されることがある。例えば、コアワイヤは、可撓性および操作性といった優れた特性を有するステンレス鋼からなってもよい。補強部材は、中間部分に強化された押圧性やトルク伝達性を付与するニッケルチタン合金であってもよい。実施例によっては、先端部分44はリボン状をなしてもよく、それによりガイドワイヤ10の先端部17に所望な可撓性を付与できる。先端部分44は、医療処置に先立って、蛇行する血管系内をより円滑に進行できるような、所望の湾曲したチップを提供するために形成された形状からなってもよい。
【0039】
図5において補強部材はコイル50である。コイル50は、ガイドワイヤ10の先端区分15の周囲に配置されてもよい。コイル50は、金属、合金、ポリマー等を含む様々な材料から形成されてもよい。コイル50は、ニッケル−チタン合金を含むことが望ましい。コイル50に使用される材料の他の例には、ステンレス鋼、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、高性能ポリマー等のポリマー材料、他の好適な材料が含まれる。幾つかの実施例においては、コイル50やその一部は、金、プラチナ、タングステン等、あるいはこれらの合金等の放射線不透過性材料で形成、含有、被覆されていてもよい。好適な実施例においては、ニッケル−チタン合金からなるコイルが、ステンレス鋼からなるコア14と共に使用される。
【0040】
コイル50は、所望の可撓性を得るために、様々な寸法のワイヤから形成することができる。幾つかの実施例において、ワイヤは円形ワイヤ、矩形ワイヤ、あるいは平板状のリボンであってもよい。他の断面を有するワイヤもまた、本発明において意図されている。コイル50は、従来の巻回技術を用いてらせん状に巻き付けられてもよい。コイル50の近接するターンのピッチは、各ターンが後続のターンに接触するように詰めて巻かれていてもよく、コイル50が各ターンの間隔が空いた状態で巻かれるように設定されてもよい。
【0041】
図5に示されるように、コイル50は、コアワイヤ14の中間部分42の周囲に配置されてもよい。コイル50は、コアワイヤ14の先端部分44の基端側で終端してもよい。コイル50は、コアワイヤ14の中間部分42の領域に所望の特性を付与することが可能であり、そのような特性は、コアワイヤ14により不完全に付与されることがある。
【0042】
図6は、ガイドワイヤ10の先端区分15の他の実施例を示す。図6において、補強部材は、コアワイヤ14の先端区分15の一部の周囲に巻回されたらせん状に巻き付けられたワイヤ60であってもよい。らせん状に巻き付けられたワイヤ60は、コアワイヤ14の周囲に巻回された単一のストランドであってもよく、あるいは、コアワイヤ14の周囲に巻回された複数のストランドからなってもよい。図6に示されるような複数のワイヤ60を有する実施例においては、第1ストランドは一方向に巻回され、第2ストランドは反対方向に巻回されてもよい。しかしながら、複数のワイヤ60を同一方向あるいは同様の方向に巻き付けることは、本発明の範囲内において意図されている。
【0043】
幾つかの実施例において、らせん状に巻き付けられたワイヤ60は、円形ワイヤ、矩形ワイヤ、あるいは平板状のリボンであってもよい。他の断面を有するワイヤもまた、本発明において意図されている。らせん状に巻き付けられたワイヤ60は、金属、合金、ポリマー、ファイバ等を含む様々な材料から形成されてもよい。ワイヤ60は、ニッケル−チタン合金を含むことが望ましい。ワイヤ60に使用される材料の他の例には、ステンレス鋼、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、高性能ポリマー等のポリマー材料、他の好適な材料が含まれる。幾つかの実施例においては、ワイヤ60やその一部は、金、プラチナ、タングステン等、あるいはこれらの合金等の放射線不透過性材料で形成、含有、被覆されていてもよい。好適な実施例においては、らせん状に巻き付けられたワイヤはニッケル−チタン合金を含み、コアはステンレス鋼を含む。
【0044】
幾つかの実施例において、ポリマーからなる外装チップや、コイル/ポリマーチップの組合せを使用することも可能である。ポリマーの外装チップは、コアワイヤの少なくとも一部を覆うように延びる。ポリマーチップの外径は、コアワイヤの領域の外径とほぼ同じであっても、異なっていてもよい。ほぼ同様の外径を有するポリマーチップは、近傍に位置するコアワイヤの領域からポリマーチップへ滑らかな移行部分を形成できる。そのような滑らかな移行部分により、医療器具がほとんど妨害されることなくガイドワイヤ上を搬送されるため、医療処置における効率が増す一方で、体内部分への不慮の損傷の可能性が低減される。
【0045】
例えば、図7に示す実施例において、ポリマーからなる外側部材170は、コアワイヤ114の一部を覆うように配置される。本実施の形態において、ポリマーチップガイドワイヤは、コアワイヤ114の先端区分115の少なくとも一部に延びるポリマーシース170を備えて形成され、コア部材114の先端部117を覆う円形チップ132を形成する。ポリマーシース170は、所望の強度や可撓性、他の望ましい特性を付与できる任意の材料から形成されてもよい。ポリマーシース170は、実施例によっては、長さ約1.0〜25.0インチ(約2.54〜63.5cm)、内径約0.003〜0.010(約0.0762〜0.254mm)、外径約0.010〜0.035インチ(約0.254〜0.889mm)であってもよい。
【0046】
ポリマーを使用することにより、ガイドワイヤアセンブリの可撓性を向上させるなどの複数の機能を果たすことが可能である。シースすなわちスリーブ150に使用するポリマーを選択することにより、ガイドワイヤの可撓性を変更することができる。例えば、低いデュロメータ硬度、すなわち硬度が低いポリマーからは、非常に可撓性に優れた、すなわち柔らかいチップを形成することができる。逆に、デュロメータ硬度の高いポリマーからは、より剛性の高いチップを形成することができる。スリーブにポリマーを使用することにより、より非外傷性に優れたガイドワイヤ用チップを得ることもできる。非外傷性のチップは、傷つきやすい体内通路を通過する際においてより好適である。最後に、ポリマーは、詳細については後述するが、放射線不透過性材料の結合剤として機能してもよい。
【0047】
好適な材料としては、ポリマーや同様の材料が含まれる。好適なポリマー材料の例には、ガイドワイヤのポリマースリーブに使用される一般的に知られた様々なポリマーが含まれる。実施例によっては、使用されるポリマー材料は、熱可塑性ポリマー材料である。好適な材料の例としては、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ブロックポリアミド/エーテル(例えば、PEBAX(登録商標))、シリコーン、およびコポリマーが含まれる。スリーブは、単一のポリマーであってもよく、複数の層からなっていてもよく、ポリマーのブレンドであってもよい。材料および加工技術を入念に選択することにより、これらの材料の熱可塑性、溶剤可溶性、熱硬化性の変種を用いて、所望の結果を得ることができる。
【0048】
また、好適なポリマー材料の例としては、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(D,L−乳酸)(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L−乳酸−コ−D,L−乳酸)(PLLA/PLA)、ポリ(L−乳酸−コ−グリコリド)(PLLA/PGA)、ポリ(D,L−乳酸−コ−グリコリド)(PLA/PGA)、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)(PGA/PTMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシルブチレート(PHBT)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(D,L−乳酸−コ−カプロラクトン)(PLA/PCL)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)(PGA/PCL)、ポリ無水物(PAN)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリシロキサン、およびこれらのコポリマーが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
幾つかの実施例においては、シース170またはその一部は、放射線不透過材料を含むか、放射線不透過材料でドープすることにより、例えば透過技術等の特定のイメージング技術を用いたときに、シース170またはその一部の視認性がより高められるようにしてもよい。従来技術において公知の任意の好適な放射線不透過性材料を使用することができる。例には、貴金属、タングステン、次炭酸バリウム粉末等や、これらの混合物が挙げられる。幾つかの実施例において、ポリマーは、異なる量の放射線不透過性材料が含まれる複数の部分を備えることもできる。例えば、シースすなわちスリーブ150は、高いレベルの放射線不透過性材料を含む先端区分と、低いレベルの放射線不透過性材料を含む基端区分とを備えることも可能である。
【0050】
シース170は、使用される特定の材料に応じて任意の好適な技術を用いることにより、ガイドワイヤアセンブリ110の周囲に配置して、ガイドワイヤ510に連結することができる。実施例によっては、シース170は、ガイドワイヤアセンブリ110の周囲に形成され直すまで、ポリマー材料からなるスリーブを加熱して連結されてもよい。幾つかの実施例においては、シース170は、熱収縮技術を用いて連結されてもよい。他の実施例においては、シースすなわちスリーブ170は、コアワイヤ114と共押出成形されてもよい。シース170は、センタレス研削法や他の方法により形成されて、所望の径や滑らかな外面を構成することができる。
【0051】
図8は、先端区分215を有するガイドワイヤの他の実施例を示す。ガイドワイヤは、コアワイヤ214のテーパ状部分242に配置された補強部材250を備える。これにより、補強部材250が異なる断面を有するコアワイヤ214の一部に位置できることは明白である。テーパ状部分242は、基端領域240と先端領域244との間に位置する。先端領域244は円形断面からなってもよく、あるいは、リボン形状であってもよい。ポリマーからなる外層270は、先端領域244の少なくとも一部上に配置されてもよい。これに代えて、図2に示すように、コイルが補強部材250を覆うことも可能である。
【0052】
図9は、ガイドワイヤの先端区分315の他の実施例を示す。ガイドワイヤは、基端側のテーパ状部分342から、先端側のテーパ状部分344を経て、先端部340に達する連続するテーパ状部分を有するコアワイヤ314を備える。補強部材350は、テーパ状部分342,344の少なくとも一部上に配置される。ポリマーの外側部材370は、テーパ状部分342,344の少なくとも一部上に延び、好適にはコアワイヤ314の基端部分340に達する。
【0053】
他の実施例においては、本発明の同様の要素が他の構成に組み込まれている。他の図面が本発明をさらに説明するために包含されている。しかしながら、図面において示される選択された実施例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0054】
例えば、図10は、図2の管状部材と類似する管状部材420からなる補強部材を、図7のポリマースリーブと類似するポリマースリーブ470と組み合わせている。管状部材420は、コアワイヤ414の先端部分415上に配置される。管状部材420は、切り込み、溝、管状部材20に関して開示した類似する特徴を備えていてもよい。
【0055】
図11は、本発明による他の実施例を示す。らせん状に巻き付けられたワイヤ560は、コアワイヤ514の先端領域515の少なくとも一部に沿って配置される。図5に示すように、らせん状に巻き付けられたワイヤ560は、単一のストランドまたは複数のストランドからなってもよい。また、好ましい実施例においては、らせん状に巻き付けられたワイヤ560は、コアワイヤ514の一部の周囲に巻回された第1ストランドと、コアワイヤ514のその部分の周囲において反対方向に巻回された第2ストランドを備える。ポリマースリーブ570は、先端領域515の少なくとも一部上に位置する。ポリマースリーブ570は、その近傍のコアワイヤ514の径とほぼ同じ外径を有することが望ましい。
【0056】
また、実施例によっては、例えば潤滑コーティング(例えば、親水性コーティング)や他のタイプのコーティング等の、コーティングをコアワイヤ、補強部材、外側部材、ガイドワイヤの他の部分の全体または一部に施してもよい。フッ素ポリマー等の疎水性コーティングにより乾性の潤滑性が備わるので、ガイドワイヤの取り扱いや器具の交換が容易になる。潤滑コーティングは、操作性を向上させ、病変部を通過する能力を高める。好適な潤滑性ポリマーは当技術分野において周知であり、ポリアリーレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ハイドロキシアルキルセルロース誘導体、アルギン、糖類、カプロラクトン等の親水性ポリマーや、これらの混合物や組み合わせを含む。親水性ポリマーは、他の親水性ポリマーとブレンドするか、調合量の水不溶性化合物(ポリマーを含む)とブレンドして、好適な潤滑性、結合性、溶解性を備えたコーティングを生成してもよい。このようなコーティングや、このようなコーティングを生成するのに使用される材料および方法の例については、米国特許第6139510号明細書、同第5772609号明細書に記載されている。なお、これらの米国特許明細書は、本明細書に開示されたものとする。幾つかの実施例においては、ガイドワイヤのより先端側の部分は、上述したような親水性ポリマーでコーティングされ、より基端側の部分は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素ポリマーでコーティングされる。
【0057】
さらに、放射線不透過性マーカ、保護(safety)リボンおよび/または成形リボン(コイル状または非コイル状)、他のコイル状部材すなわち補強部材等の他の構造が、ガイドワイヤの構成に組み込まれてもよい。
【0058】
本発明は、上述した特定の実施例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲において適正に述べるように、本発明の全ての態様を含むものであると理解されるべきである。本明細書を検討することにより、本発明が、その適用され得る様々な変更物や同等のプロセスや多数の構造に対しても向けられていることが、当業者には明白であろう。本願に開示されている事項は、多くの点において、単に例示的なものであることは理解されるべきである。構成の詳細に変更を加えることは可能であり、特に、形状、大きさ、工程の順序については、本発明の範囲を逸脱することなく、変更可能である。本発明の範囲は、当然ながら、請求項に記載された文言において定義される。
【0059】
本発明は、添付の図面に関して以下の様々な実施例についての詳細な説明を鑑みてより深く理解されるであろう。
本発明は、様々な変更物や代替物へ変更可能であるが、その詳細は図面において実施例として示されており、以下に詳述される。しかしながら、本発明は、記載された特定の実施例に限定されるものではない。本発明は、その趣旨および範囲内に含まれる全ての変更物や均等物や代替物を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】一般的なガイドワイヤを示す略体図。
【図2】本発明によるガイドワイヤの先端部分を示す部分断面図。
【図2A】図2のガイドワイヤを示す直交断面図。
【図3A】本発明によるガイドワイヤの代替的な補強部材を示す斜視図。
【図3B】本発明によるガイドワイヤの代替的な補強部材を示す斜視図。
【図4】図3のガイドワイヤの先端部分の変種を示す部分側面図。
【図4A】図4のガイドワイヤを示す直交断面図。
【図5】ガイドワイヤの先端部分の他の実施例を示す部分断面図。
【図6】本発明によるガイドワイヤの先端部分の他の実施例を示す断面図。
【図7】図6のガイドワイヤの先端部分の変種を示す断面図。
【図8】図6のガイドワイヤの先端部分の変種を示す断面図。
【図9】本発明によるガイドワイヤの先端部分の他の実施例を示す断面図。
【図10】ガイドワイヤの先端部分の他の実施例を示す部分断面図。
【図11】本発明によるガイドワイヤの他の実施例を示す部分断面図。
【技術分野】
【0001】
本発明はガイドワイヤに関し、より詳細には、ニッケルチタン合金を含む補強部材を備えるガイドワイヤに関する。さらに詳細には、本発明は、ステンレス鋼からなるコアおよび先端領域に位置するニッケルチタン合金を含む補強部材を備えるガイドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なガイドワイヤが血管内等の医療用に開発されてきた。血管内ガイドワイヤは、通常、患者の血管系における進行を容易にするために、カテーテル等の血管内器具と連結して使用されている。患者の血管系は蛇行しているため、ガイドワイヤにおいて多くの動作特性を組み合わせることが望ましい。例えば、ガイドワイヤは、特にその基端部付近において、比較的高い押圧性やトルク伝達性を有することが望ましい場合がある。また、特に先端部付近において、比較的可撓性を有することが望ましい場合がある。数多くの異なるガイドワイヤ構造やアセンブリが知られており、それぞれ長所や短所を備えている。しかしながら、それらに代わるガイドワイヤ構造やアセンブリを提供することが依然必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、改良された特徴を有するガイドワイヤにおいて、複数の代替的な設計、材料、および組合せを提供する。
【0005】
一実施例において、ガイドワイヤは、長尺状のコア部材を有し、コア部材の先端領域の一部の周囲に配置された補強部材を備える。コア部材の先端部分は補強部材を越えて延びる。外側部材は、コア部材の先端部分に配置され、補強部材の少なくとも一部に延びる。
【0006】
他の実施例においては、ガイドワイヤは長尺状のコア部材を備え、コア部材の先端領域の少なくとも一部はステンレス鋼を含む。ニッケルチタン合金から好適に形成された補強部材は、コア部材の先端領域の一部の周囲に配置され、補強部材の先端部はコア部材の先端領域の先端部分の基端側で終端する。外側部材は、補強部材の少なくとも一部および補強部材の先端側のコア部材の一部を覆うように位置する。
【0007】
他の実施例において、ガイドワイヤは、患者の体内で使用できるように形成され、ステンレス鋼を含む長尺状の内コア部材を有する。コア部材は、第1の断面積を有する基端部分、第2の断面積を有する中間部分、およびリボン形状を有する先端部分を備える。第1の断面積は第2の断面積よりも大きく、第2の断面積はリボン形状よりも大きい。
【0008】
長尺状の補強部材は、コア部材の中間部分の周囲に配置される。補強部材は、ニッケルチタン合金を含むことが望ましい。補強部材は、コイル、管状部材、あるいは、コア部材の周囲にらせん状に巻き付けられた少なくとも1本のリボン状ワイヤであってもよい。補強部材は、コア部材の中間部分とは異なる材料から形成されることが望ましい。したがって、補強される部分にはない他の特徴を提供することが可能である。
【0009】
ステンレス鋼を含むことが望ましいバネチップは、コア部材の先端部分の周囲に位置し、補強部材上に延びる。バネチップは、その近傍のコア部材の基端部分の外径にほぼ等しい外径を有することが望ましい。この領域においてほぼ等しい外径を有することにより、ガイドワイヤに沿って滑らかに移行できるため、医療処置中に医療器具がガイドワイヤに沿ってより容易に通過できる。
【0010】
幾つかの実施例に関する上記の要約は、本発明の開示された各実施態様や各実施例を記載することを意図するものではない。以下に記載する図面の説明や詳細な説明において、これらの実施例についてより具体的に説明を行うものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に定義する用語については、請求項または本明細書のいずれかの個所に異なる定義がある場合を除き、以下の定義が適用されるものとする。
【0012】
全ての数値は、本明細書における記載の有無に関わらず、「約」という語により調整されていると見なされる。「約」という語は、一般的に、当業者が記載された値(すなわち、同じ機能や結果を有する)と同等と見なす範囲の数字を指す。多くの場合は、「約」という語は、最も近い有効数字に四捨五入された数字を含む。
【0013】
重量%とは、物質の濃度を意味しており、物質の重量を組成物の重量で割ったものに100をかけて算出される。
指標となる数値による範囲指定を行う場合、当該範囲のすべての数値を含むものとする。(例えば、1〜5の場合、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5を含む。)
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が明らかにそうではないものを示さない限りは、複数形の対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、「または(or)」は、内容が明らかにそうではないものを示さない限りは、「および/または(and/or)」を含む意味において使用される。
【0015】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、それぞれの図面において、類似する要素には同じ番号が付されている。図面は、必ずしも寸法比率が等しいものではなく、例示する実施例を表すためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0016】
図1は、ガイドワイヤ10の一実施例を示す略体図である。ガイドワイヤ10は、基端部13を形成する基端区分11、および先端部17を形成する先端区分15を備える。先端チップ12は、先端部17付近に位置する。
【0017】
図示されるように、ガイドワイヤ10はコア部材すなわちコアワイヤ14を備えることも可能である。先端区分15は、基端部分16および先端部分18を備える。コアワイヤ14は、金属、合金、ポリマー等や、これらの組み合わせ、あるいはこれらの混合物を含む、好適な材料で形成することができる。好適な金属および合金の例には、304vステンレス鋼等のステンレス鋼;線形弾性または超弾性(すなわち、擬弾性)ニチノール等のニッケル−チタン合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、タングステン、タングステン合金、エルジロイ(登録商標Elgiloy)、MP35N;その他の好適な材料が含まれる。
【0018】
ニチノールという語は、米国国防省海軍武器研究所(NOL)において、この材料が持つ形状記憶性を初めて観察した研究者のグループにより名付けられた。ニチノールという語は、ニッケル(Ni)およびチタン(Ti)の元素記号を含む頭字語と、国防省海軍武器研究所(NOL)を示す頭字語とからなる。幾つかの実施例において、ニチノール合金は、約50〜60重量%のニッケルを含み、残りをほぼチタンが占める。しかしながら、他の実施例においては、ニッケル−チタンの重量%の範囲および/または他の微量元素は、これらの範囲とは異なっていてもよい。販売されているニチノール合金のファミリーには、「超弾性」(すなわち、擬弾性)や「線形弾性」と称されるカテゴリがあり、化学的には類似しているが、異なる有用な力学的性質を示す。
【0019】
幾つかの実施例において、超弾性ニチノール等の超弾性合金は、所望の性質を得るために使用される。そのような合金は、通常、その応力/歪み曲線において、実質的な「超弾性プラトー」(superelastic plateau)すなわち「フラッグ領域」(flag region)を示す。そのような合金が幾つかの実施例において望ましいのは、好適な超弾性合金が、他の非超弾性材料と比較して、体内にカテーテルを配置する際などに応力の付加や解除により、著しく塑性変形しないでその形状をほぼ回復させるような強化された能力を有するためである。
【0020】
他の実施例においては、線形弾性ニチノール等の線形弾性合金は、所望の性質を得るために使用される。例えば、幾つかの実施例において、特定の線形弾性ニチノール合金は、加工された材料がその応力/歪み曲線において実質的な「超弾性プラトー」すなわち「フラッグ領域」を示さないように、冷間加工、方向性のある応力、熱処理により生成される。その代わりに、そのような実施例においては、回復可能な歪みが大きくなるにつれて、応力は、塑性変形が始まるまではほぼ直線状に増加する。いくつかの実施例においては、線形弾性ニッケル−チタン合金は、DSCおよびDMTA分析により広範囲の温度域にわたって検出可能なマルテンサイト相/オーステナイト相変化を示さない合金である。例えば、実施例によっては、約−60〜120℃の温度域においてDSCおよびDMTA分析により検出可能なマルテンサイト相/オーステナイト相変態が生じない。したがって、このような材料の力学的曲げ特性は、この非常に広い温度域にわたる温度の効果に対してほぼ不活性である。いくつかの特定の実施例においては、周囲温度または室温における合金の力学的特性は、体温における力学的特性とほぼ同じである。いくつかの実施例においては、線形弾性ニッケル−チタン合金を用いることにより、補強部材は、蛇行する体内構造において優れた「押圧性」を示すことができる。線形弾性を示す好適なニッケル−チタン合金の例としては、株式会社古河テクノマテリアル(日本国神奈川県に所在)より販売されるFHP−NT合金が挙げられる。さらに、線形弾性を示す好適なニッケル−チタン合金の例には、米国特許第5238004号明細書および同特許第6508803号明細書に開示されたものが含まれるが、これら特許文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。
【0021】
また、少なくとも幾つかの実施例において、コアワイヤ14の一部または全体は、放射線不透過性でドープされ、形成され、または他の方法により含んでもよい。放射線不透過材料とは、医療処置中に、透視スクリーン上或いはその他のイメージング技術において、比較的明るい像を得ることができる材料のことである。この比較的明るい像は、使用者が器具10の位置を判断することを補助する。放射線不透過材料の例としては、金、プラチナ、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過充填材を備えたポリマー材料等が含まれるが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施例においては、単独(separate)の放射線不透過性部材、または、一連の放射線不透過性部材(例えば、放射線不透過性コイル、バンド、管材、または他の同様の構造)をガイドワイヤのコアワイヤに連結することができ、あるいは、めっき、絞り、鍛造、イオン注入技術等によりコアワイヤ内に組み込むことができる。
【0022】
幾つかの実施例においては、ある程度のMRI(磁気共鳴映像法)に対する適合性が、ガイドワイヤ10に付与される。例えば、磁気共鳴映像(MRI)装置との適合性を強化するために、ある程度のMRIに対する適合性が付与される方法で、コアワイヤ14や医療器具10の他の部分を形成することが望ましい。例えば、コアワイヤ14やその一部を、画像をほとんど歪めず、大きなアーチファクト(artifacts)(アーチファクトとは画像における空隙のことである)を生み出さないような材料で形成することができる。例えば、特定の強磁性材料は、MRI画像においてアーチファクトを生み出すことがあり、適切ではない場合がある。また、コアワイヤ14やその一部は、MRI装置が画像を作り出せるような材料から形成されてもよい。そのような特性を示す材料には、タングステン、エルジロイ(登録商標Elgiloy)、MP35N、ニチノール等や他の材料が含まれる。
【0023】
コアワイヤ14は、全体が同一材料で形成されていてもよく、幾つかの実施例においては、異なる材料で形成された部分を含んでいてもよい。実施例によっては、コアワイヤを形成する材料は、コアワイヤ14の異なる部分に異なる可撓性や剛性を付与するように選択される。例えば、基端区分11および先端区分15は、異なる弾性率を有する材料等の異なる材料から形成されて異なる可撓性を備えることも可能である。実施例によっては、基端区分11を形成する材料には、押圧性およびトルク伝達性を得るために比較的剛性の高い材料を使用し、先端区分15を形成する材料には、比較して横方向における追従性および操作性により優れた、比較的可撓性の高い材料を使用することも可能である。例えば、基端区分11は直線状の304vステンレス鋼ワイヤまたはリボンで、先端区分15は直線記憶処理された(straightened)超弾性合金または線形弾性合金、例えば、ニッケル−チタン合金ワイヤまたはリボンでそれぞれ形成されていてもよい。
【0024】
コアワイヤ14の複数の部分が異なる材料で形成されている実施例においては、この複数の部分は、任意の好適な連結技術を用いて互いに連結可能である。例えば、コアワイヤの複数の部分は、溶接、ハンダ付け、ろう付け、接着剤等、あるいはこれらの組み合わせを用いて連結することができる。また、いくつかの実施例においては、1個以上の機械的なコネクタまたはコネクタアセンブリを備え、異なる材料で形成されるコアワイヤの複数の部分を連結していてもよい。コネクタは、ガイドワイヤの複数の部分の連結にほぼ好適な任意の構造を備えることができる。好適な構造の一例には、基端部分や先端部分の端部を収容し連結するように設定された内径を有するハイポチューブやコイル状のワイヤ等の構造が挙げられる。複数のシャフト部分を相互連結するために使用される技術や構造の例は、米国特許出願公開第2003−0069521号および同特許出願公開第2003−0069520号に開示されており、これら特許文献に記載された内容は本願においても開示されたものとする。
【0025】
コア部材14(および/または器具10)の長さ、あるいはその各部分の長さは、通常、完成した医療器具に所望される長さや可撓性によって決定される。例えば、基端区分11は約20〜300cmあるいはそれ以上の長さを、先端区分15は約3〜50cmあるいはそれ以上の長さをそれぞれ有することができる。区分11/15の長さを本発明の趣旨から逸脱することなく変更可能であることは理解されるであろう。
【0026】
コアワイヤ14は中実断面を有していてもよいが、実施例によっては中空断面を有することも可能である。別の実施例においては、コアワイヤ14は、中実断面を有する領域と中空断面を有する領域の組み合わせを含んでいてもよい。さらには、コアワイヤ14やその一部は、ラウンドワイヤ、平板状をなすリボン、または様々な断面形状を有する他の同様な構造により形成することができる。コアワイヤ14の長さ方向の断面形状は、一定であっても可変であってもよい。例えば、図2は円形の断面形状を有するコアワイヤ14を示す。本発明の趣旨から逸脱することなく、他の断面形状や形状の組み合わせを用いることができることは理解されるであろう。例えば、コアワイヤ14の断面形状は、楕円形、矩形、正方形、多角形等や、任意の好適な形状とすることができる。
【0027】
図2に示されるように、先端区分15は、1つまたは複数のテーパ部またはテーパ領域を備える。幾つかの実施例においては、先端領域18は、テーパ状をなして、基端区分11の外径とほぼ同じである初期外寸すなわち外径を有するが、そこからテーパされて減少した寸法すなわち外径となる。例えば、幾つかの実施例においては、先端区分15は、初期の外径が約0.010〜0.040インチ(約0.254〜1.016mm)であり、そこから径が約0.001〜0.005インチ(約0.0254〜0.127mm)となるようにテーパされてもよい。テーパ状をなす領域は、直線的にテーパ状をなしていてもよく、曲線的にテーパ状をなしていてもよく、均一にテーパ状をなしていてもよく、非均一にテーパ状をなしていてもよく、或いは段階的にテーパ状をなしていてもよい。このようなテーパ形状の角度は、所望される可撓性に応じて変更することができる。テーパ領域の長さは、剛性が徐々に変化する部分がより多く(より長く)なるように、あるいはより少なく(より短く)なるように選択されてもよい。図2では、コアワイヤ14の先端区分15がテーパ状をなすが、コアワイヤ14のほぼいずれの部分がテーパ状をなしていてもよく、径が小さくなる方向は、基端方向または先端方向のいずれであってもよい。図2に示すように、テーパ領域は、外径が小さくなる1つまたは複数の部分(テーパ形状をなす部分等)、および外径がほぼ一定の部分(一定の径部分等)を含んでいてもよい。径が小さくなる部分および径が一定の部分の数、構成、寸法、長さは、可撓性やトルク伝達性といった所望の特性を得るために変更することができる。径が小さくなる部分および径が一定の部分は、図2に示されるような構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱することなく構成を変更することができる。
【0028】
テーパ領域における径が小さくなる部分および径が一定の部分は、例えば、センタレス研削法、スタンピング法等、多数の異なる技術のいずれかを用いて形成することができる。センタレス研削技術においては、センサ(例えば、光学/反射型センサ、磁気センサ)を用いたインデックスシステム(indexing system) を利用し、接触部分が過度に研削されないようにしてもよい。また、センタレス研削技術において、適切な賦形および仕上げを施されたCBN研削ホイールまたはダイヤモンド研削ホイールを用い、研削工程においてコアワイヤを把持しなくてよいようにしてもよい。いくつかの実施例においては、コアワイヤ14は、ロイヤルマスター社製のHI−AC型(Royal Master HI−AC)センタレス研削機を用いてセンタレス研削されてもよい。研削方法の好適な例のいくつかが、2003年1月17日付けで出願された米国特許出願第10/346698号明細書に開示されており、同米国特許出願明細書に開示された内容は本願においても開示されたものとする。
【0029】
図2に示すように、補強部材20は、コアワイヤ14の先端区分15の基端部分16の周囲に配置される。先端区分15の先端部分18は、補強部材20を越えて先端方向へ延びる。補強部材は、金属、合金、ポリマー等を含む異なる材料から形成される管状部材20であってもよい。管状部材20に使用される材料の例には、ステンレス鋼、ニッケル−チタン合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、他の好適な材料が含まれる。好適な実施例においては、管状部材20は、押圧性等の優れた性質を得るためにニッケル−チタン合金を含み、さらにコア部材14にステンレス鋼を使用することも可能である。
【0030】
図3Aおよび3Bに示すように、管状部材20は少なくとも1つの溝すなわち切り込み24を備えていてもよい。溝すなわち切り込み24は、管状部材20の可撓性等の特性を強化することも可能である。溝すなわち切り込み24は、管材のほぼ全厚を貫通、あるいは、管材の厚さの一部(折り線等)のみを貫通することも可能である。図3Aに示すように、複数の溝すなわち切り込み24は、必要な可撓性を得るために使用されてもよい。また、図3Bに示すように、溝すなわち切り込み22は、管状部材20またはその一部の長さ方向にらせん状に形成されてもよい。らせん状の溝すなわち切り込み22は、管材の厚さの一部(折り線等)のみを貫通、あるいは、管材のほぼ全厚を貫通することも可能である。らせん状の溝すなわち切り込み22のピッチは、所望の機能性を提供するために選択されてもよく、あるいは、ピッチは管状部材20の長さ方向に可変であってもよい。管状部材20は、1つまたは複数の別のらせん状の溝すなわち切り込み22、あるいは、溝すなわち切り込み24とらせん状の溝すなわち切り込み22の組合せを備えていてもよい。溝すなわち切り込み22,24の幅や深さは、管状部材20の所望の特性を得るために必要とされる範囲内で構成可能であることは理解されよう。溝すなわち切り込み22,24は、レーザ切断やプラズマ切断等の当技術分野において周知な様々な技術のいずれにより形成されてもよい。
【0031】
幾つかの実施例において、外側部材は、コア部材14の先端区分15の少なくとも一部の周囲に配置される。外側部材は、ガイドワイヤ10の先端部17から延びてその基端側の部分に達してもよい。外側部材は、補強部材の少なくとも一部上に延びてもよく、補強部材のほぼ全体に延びることが望ましい。外側部材は、コアワイヤ14の基端区分11の径とほぼ同じ外径を有してもよく、あるいは、外側部材の外径は、コアワイヤ14の近接する部分の外径とは異なっていてもよい。
【0032】
図2に示すように、外側部材はコイル30であってもよい。コイル30は、ガイドワイヤ10の先端区分15の周囲に配置されてもよい。コイル30は、金属、合金、ポリマー等を含む様々な材料から形成することが可能である。コイル30に使用される材料の例には、ステンレス鋼、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、他の好適な材料が含まれる。好適な材料の他の例にには、直線記憶処理された超弾性合金または線形弾性合金(例えば、ニッケル−チタン合金)ワイヤ、または、高性能ポリマー等のポリマー材料が含まれる。幾つかの実施例においては、コイル30やその一部は、金、プラチナ、タングステン等、あるいはこれらの合金等の放射線不透過性材料で形成、含有、被覆されていてもよい。
【0033】
コイル30は、所望の可撓性を得るために、様々な寸法の円形または平板状のリボンから形成することができる。幾つかの実施例において、コイル30は、約0.001〜0.015インチ(約0.0254〜0.381mm)径、約0.1〜20インチ(約0.254〜50.8cm)の長さの円形リボンであってもよい。しかしながら、他の寸法も意図されている。
【0034】
コイル30は、従来の巻回技術を用いてらせん状に巻き付けられてもよい。コイル30の近接するターンのピッチは、各ターンが後続のターンに接触するように詰めて巻かれていてもよく、コイル30が各ターンの間隔が空いた状態で巻かれるように設定されてもよい。
【0035】
先端チップ32は、ガイドワイヤ10の先端部17に配置されてもよい。先端チップ32は、ハンダ、ポリマー、当技術分野において周知な他の材料であってもよい。先端チップ32は、放射線不透過性材料を含んでもよく、透視法技術等の特定のイメージング技術を使用する時に、体内の先端チップの位置の視認性をより高めることができる。当技術分野において周知の好適な放射線不透過性材料が使用されてもよい。例としては、貴金属、タングステン、次炭酸バリウム(barium subcarbonate)粉末等や、これらの混合物が挙げられる。先端チップ32は、コイル30の先端側に配置されてもよい。先端チップやその一部は、コイル30の先端部分内に配置されもよい。
【0036】
ガイドワイヤ10の先端区分15の変更例が図4に示される。ガイドワイヤ10の先端区分15は、管状部材20とコイル30との間における相対的な間隔を除けば、図2に示された先端区分15とほぼ同様である。図4Aに示すように、管状部材20はコイル30に近接して配置され、一方図2Aでは、管状部材20とコイル30との間には空間がある。管状部材20とコイル30との間の相対的な間隔により、処置中に望ましいと思われる特有の性質を先端区分15に付与することも可能である。
【0037】
ガイドワイヤ10の先端区分15の他の実施例が図5に示される。コアワイヤ14は、基端部分40、中間部分42、および先端部分44を有する。テーパ状部分41は、基端部分40の第1の断面積から中間部分42の第2の断面積へ移行するように、基端部分40と中間部分42との間に位置する。テーパ状部分43は、中間部分42の第2の断面から先端部分44の第3の断面へ移行するように、中間部分42と先端部分44との間に位置する。図4に示されるように、テーパ状をなす断面積部分および一定の断面積部分は、これに限定されるものではなく、この構成は、上述したように本発明の趣旨から逸脱することなく変更が可能である。
【0038】
好適な一実施例において、補強部材50は、コアワイヤ14の中間部分42の周囲に配置される。補強部材は、コアワイヤ14の中間部分42の領域に所望の特性を付与でき、そのような特性はコアワイヤ14のその部分に使用される材料によって不十分に付与されることがある。例えば、コアワイヤは、可撓性および操作性といった優れた特性を有するステンレス鋼からなってもよい。補強部材は、中間部分に強化された押圧性やトルク伝達性を付与するニッケルチタン合金であってもよい。実施例によっては、先端部分44はリボン状をなしてもよく、それによりガイドワイヤ10の先端部17に所望な可撓性を付与できる。先端部分44は、医療処置に先立って、蛇行する血管系内をより円滑に進行できるような、所望の湾曲したチップを提供するために形成された形状からなってもよい。
【0039】
図5において補強部材はコイル50である。コイル50は、ガイドワイヤ10の先端区分15の周囲に配置されてもよい。コイル50は、金属、合金、ポリマー等を含む様々な材料から形成されてもよい。コイル50は、ニッケル−チタン合金を含むことが望ましい。コイル50に使用される材料の他の例には、ステンレス鋼、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、高性能ポリマー等のポリマー材料、他の好適な材料が含まれる。幾つかの実施例においては、コイル50やその一部は、金、プラチナ、タングステン等、あるいはこれらの合金等の放射線不透過性材料で形成、含有、被覆されていてもよい。好適な実施例においては、ニッケル−チタン合金からなるコイルが、ステンレス鋼からなるコア14と共に使用される。
【0040】
コイル50は、所望の可撓性を得るために、様々な寸法のワイヤから形成することができる。幾つかの実施例において、ワイヤは円形ワイヤ、矩形ワイヤ、あるいは平板状のリボンであってもよい。他の断面を有するワイヤもまた、本発明において意図されている。コイル50は、従来の巻回技術を用いてらせん状に巻き付けられてもよい。コイル50の近接するターンのピッチは、各ターンが後続のターンに接触するように詰めて巻かれていてもよく、コイル50が各ターンの間隔が空いた状態で巻かれるように設定されてもよい。
【0041】
図5に示されるように、コイル50は、コアワイヤ14の中間部分42の周囲に配置されてもよい。コイル50は、コアワイヤ14の先端部分44の基端側で終端してもよい。コイル50は、コアワイヤ14の中間部分42の領域に所望の特性を付与することが可能であり、そのような特性は、コアワイヤ14により不完全に付与されることがある。
【0042】
図6は、ガイドワイヤ10の先端区分15の他の実施例を示す。図6において、補強部材は、コアワイヤ14の先端区分15の一部の周囲に巻回されたらせん状に巻き付けられたワイヤ60であってもよい。らせん状に巻き付けられたワイヤ60は、コアワイヤ14の周囲に巻回された単一のストランドであってもよく、あるいは、コアワイヤ14の周囲に巻回された複数のストランドからなってもよい。図6に示されるような複数のワイヤ60を有する実施例においては、第1ストランドは一方向に巻回され、第2ストランドは反対方向に巻回されてもよい。しかしながら、複数のワイヤ60を同一方向あるいは同様の方向に巻き付けることは、本発明の範囲内において意図されている。
【0043】
幾つかの実施例において、らせん状に巻き付けられたワイヤ60は、円形ワイヤ、矩形ワイヤ、あるいは平板状のリボンであってもよい。他の断面を有するワイヤもまた、本発明において意図されている。らせん状に巻き付けられたワイヤ60は、金属、合金、ポリマー、ファイバ等を含む様々な材料から形成されてもよい。ワイヤ60は、ニッケル−チタン合金を含むことが望ましい。ワイヤ60に使用される材料の他の例には、ステンレス鋼、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、高性能ポリマー等のポリマー材料、他の好適な材料が含まれる。幾つかの実施例においては、ワイヤ60やその一部は、金、プラチナ、タングステン等、あるいはこれらの合金等の放射線不透過性材料で形成、含有、被覆されていてもよい。好適な実施例においては、らせん状に巻き付けられたワイヤはニッケル−チタン合金を含み、コアはステンレス鋼を含む。
【0044】
幾つかの実施例において、ポリマーからなる外装チップや、コイル/ポリマーチップの組合せを使用することも可能である。ポリマーの外装チップは、コアワイヤの少なくとも一部を覆うように延びる。ポリマーチップの外径は、コアワイヤの領域の外径とほぼ同じであっても、異なっていてもよい。ほぼ同様の外径を有するポリマーチップは、近傍に位置するコアワイヤの領域からポリマーチップへ滑らかな移行部分を形成できる。そのような滑らかな移行部分により、医療器具がほとんど妨害されることなくガイドワイヤ上を搬送されるため、医療処置における効率が増す一方で、体内部分への不慮の損傷の可能性が低減される。
【0045】
例えば、図7に示す実施例において、ポリマーからなる外側部材170は、コアワイヤ114の一部を覆うように配置される。本実施の形態において、ポリマーチップガイドワイヤは、コアワイヤ114の先端区分115の少なくとも一部に延びるポリマーシース170を備えて形成され、コア部材114の先端部117を覆う円形チップ132を形成する。ポリマーシース170は、所望の強度や可撓性、他の望ましい特性を付与できる任意の材料から形成されてもよい。ポリマーシース170は、実施例によっては、長さ約1.0〜25.0インチ(約2.54〜63.5cm)、内径約0.003〜0.010(約0.0762〜0.254mm)、外径約0.010〜0.035インチ(約0.254〜0.889mm)であってもよい。
【0046】
ポリマーを使用することにより、ガイドワイヤアセンブリの可撓性を向上させるなどの複数の機能を果たすことが可能である。シースすなわちスリーブ150に使用するポリマーを選択することにより、ガイドワイヤの可撓性を変更することができる。例えば、低いデュロメータ硬度、すなわち硬度が低いポリマーからは、非常に可撓性に優れた、すなわち柔らかいチップを形成することができる。逆に、デュロメータ硬度の高いポリマーからは、より剛性の高いチップを形成することができる。スリーブにポリマーを使用することにより、より非外傷性に優れたガイドワイヤ用チップを得ることもできる。非外傷性のチップは、傷つきやすい体内通路を通過する際においてより好適である。最後に、ポリマーは、詳細については後述するが、放射線不透過性材料の結合剤として機能してもよい。
【0047】
好適な材料としては、ポリマーや同様の材料が含まれる。好適なポリマー材料の例には、ガイドワイヤのポリマースリーブに使用される一般的に知られた様々なポリマーが含まれる。実施例によっては、使用されるポリマー材料は、熱可塑性ポリマー材料である。好適な材料の例としては、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ブロックポリアミド/エーテル(例えば、PEBAX(登録商標))、シリコーン、およびコポリマーが含まれる。スリーブは、単一のポリマーであってもよく、複数の層からなっていてもよく、ポリマーのブレンドであってもよい。材料および加工技術を入念に選択することにより、これらの材料の熱可塑性、溶剤可溶性、熱硬化性の変種を用いて、所望の結果を得ることができる。
【0048】
また、好適なポリマー材料の例としては、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(D,L−乳酸)(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L−乳酸−コ−D,L−乳酸)(PLLA/PLA)、ポリ(L−乳酸−コ−グリコリド)(PLLA/PGA)、ポリ(D,L−乳酸−コ−グリコリド)(PLA/PGA)、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)(PGA/PTMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシルブチレート(PHBT)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(D,L−乳酸−コ−カプロラクトン)(PLA/PCL)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)(PGA/PCL)、ポリ無水物(PAN)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリシロキサン、およびこれらのコポリマーが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
幾つかの実施例においては、シース170またはその一部は、放射線不透過材料を含むか、放射線不透過材料でドープすることにより、例えば透過技術等の特定のイメージング技術を用いたときに、シース170またはその一部の視認性がより高められるようにしてもよい。従来技術において公知の任意の好適な放射線不透過性材料を使用することができる。例には、貴金属、タングステン、次炭酸バリウム粉末等や、これらの混合物が挙げられる。幾つかの実施例において、ポリマーは、異なる量の放射線不透過性材料が含まれる複数の部分を備えることもできる。例えば、シースすなわちスリーブ150は、高いレベルの放射線不透過性材料を含む先端区分と、低いレベルの放射線不透過性材料を含む基端区分とを備えることも可能である。
【0050】
シース170は、使用される特定の材料に応じて任意の好適な技術を用いることにより、ガイドワイヤアセンブリ110の周囲に配置して、ガイドワイヤ510に連結することができる。実施例によっては、シース170は、ガイドワイヤアセンブリ110の周囲に形成され直すまで、ポリマー材料からなるスリーブを加熱して連結されてもよい。幾つかの実施例においては、シース170は、熱収縮技術を用いて連結されてもよい。他の実施例においては、シースすなわちスリーブ170は、コアワイヤ114と共押出成形されてもよい。シース170は、センタレス研削法や他の方法により形成されて、所望の径や滑らかな外面を構成することができる。
【0051】
図8は、先端区分215を有するガイドワイヤの他の実施例を示す。ガイドワイヤは、コアワイヤ214のテーパ状部分242に配置された補強部材250を備える。これにより、補強部材250が異なる断面を有するコアワイヤ214の一部に位置できることは明白である。テーパ状部分242は、基端領域240と先端領域244との間に位置する。先端領域244は円形断面からなってもよく、あるいは、リボン形状であってもよい。ポリマーからなる外層270は、先端領域244の少なくとも一部上に配置されてもよい。これに代えて、図2に示すように、コイルが補強部材250を覆うことも可能である。
【0052】
図9は、ガイドワイヤの先端区分315の他の実施例を示す。ガイドワイヤは、基端側のテーパ状部分342から、先端側のテーパ状部分344を経て、先端部340に達する連続するテーパ状部分を有するコアワイヤ314を備える。補強部材350は、テーパ状部分342,344の少なくとも一部上に配置される。ポリマーの外側部材370は、テーパ状部分342,344の少なくとも一部上に延び、好適にはコアワイヤ314の基端部分340に達する。
【0053】
他の実施例においては、本発明の同様の要素が他の構成に組み込まれている。他の図面が本発明をさらに説明するために包含されている。しかしながら、図面において示される選択された実施例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0054】
例えば、図10は、図2の管状部材と類似する管状部材420からなる補強部材を、図7のポリマースリーブと類似するポリマースリーブ470と組み合わせている。管状部材420は、コアワイヤ414の先端部分415上に配置される。管状部材420は、切り込み、溝、管状部材20に関して開示した類似する特徴を備えていてもよい。
【0055】
図11は、本発明による他の実施例を示す。らせん状に巻き付けられたワイヤ560は、コアワイヤ514の先端領域515の少なくとも一部に沿って配置される。図5に示すように、らせん状に巻き付けられたワイヤ560は、単一のストランドまたは複数のストランドからなってもよい。また、好ましい実施例においては、らせん状に巻き付けられたワイヤ560は、コアワイヤ514の一部の周囲に巻回された第1ストランドと、コアワイヤ514のその部分の周囲において反対方向に巻回された第2ストランドを備える。ポリマースリーブ570は、先端領域515の少なくとも一部上に位置する。ポリマースリーブ570は、その近傍のコアワイヤ514の径とほぼ同じ外径を有することが望ましい。
【0056】
また、実施例によっては、例えば潤滑コーティング(例えば、親水性コーティング)や他のタイプのコーティング等の、コーティングをコアワイヤ、補強部材、外側部材、ガイドワイヤの他の部分の全体または一部に施してもよい。フッ素ポリマー等の疎水性コーティングにより乾性の潤滑性が備わるので、ガイドワイヤの取り扱いや器具の交換が容易になる。潤滑コーティングは、操作性を向上させ、病変部を通過する能力を高める。好適な潤滑性ポリマーは当技術分野において周知であり、ポリアリーレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ハイドロキシアルキルセルロース誘導体、アルギン、糖類、カプロラクトン等の親水性ポリマーや、これらの混合物や組み合わせを含む。親水性ポリマーは、他の親水性ポリマーとブレンドするか、調合量の水不溶性化合物(ポリマーを含む)とブレンドして、好適な潤滑性、結合性、溶解性を備えたコーティングを生成してもよい。このようなコーティングや、このようなコーティングを生成するのに使用される材料および方法の例については、米国特許第6139510号明細書、同第5772609号明細書に記載されている。なお、これらの米国特許明細書は、本明細書に開示されたものとする。幾つかの実施例においては、ガイドワイヤのより先端側の部分は、上述したような親水性ポリマーでコーティングされ、より基端側の部分は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素ポリマーでコーティングされる。
【0057】
さらに、放射線不透過性マーカ、保護(safety)リボンおよび/または成形リボン(コイル状または非コイル状)、他のコイル状部材すなわち補強部材等の他の構造が、ガイドワイヤの構成に組み込まれてもよい。
【0058】
本発明は、上述した特定の実施例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲において適正に述べるように、本発明の全ての態様を含むものであると理解されるべきである。本明細書を検討することにより、本発明が、その適用され得る様々な変更物や同等のプロセスや多数の構造に対しても向けられていることが、当業者には明白であろう。本願に開示されている事項は、多くの点において、単に例示的なものであることは理解されるべきである。構成の詳細に変更を加えることは可能であり、特に、形状、大きさ、工程の順序については、本発明の範囲を逸脱することなく、変更可能である。本発明の範囲は、当然ながら、請求項に記載された文言において定義される。
【0059】
本発明は、添付の図面に関して以下の様々な実施例についての詳細な説明を鑑みてより深く理解されるであろう。
本発明は、様々な変更物や代替物へ変更可能であるが、その詳細は図面において実施例として示されており、以下に詳述される。しかしながら、本発明は、記載された特定の実施例に限定されるものではない。本発明は、その趣旨および範囲内に含まれる全ての変更物や均等物や代替物を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】一般的なガイドワイヤを示す略体図。
【図2】本発明によるガイドワイヤの先端部分を示す部分断面図。
【図2A】図2のガイドワイヤを示す直交断面図。
【図3A】本発明によるガイドワイヤの代替的な補強部材を示す斜視図。
【図3B】本発明によるガイドワイヤの代替的な補強部材を示す斜視図。
【図4】図3のガイドワイヤの先端部分の変種を示す部分側面図。
【図4A】図4のガイドワイヤを示す直交断面図。
【図5】ガイドワイヤの先端部分の他の実施例を示す部分断面図。
【図6】本発明によるガイドワイヤの先端部分の他の実施例を示す断面図。
【図7】図6のガイドワイヤの先端部分の変種を示す断面図。
【図8】図6のガイドワイヤの先端部分の変種を示す断面図。
【図9】本発明によるガイドワイヤの先端部分の他の実施例を示す断面図。
【図10】ガイドワイヤの先端部分の他の実施例を示す部分断面図。
【図11】本発明によるガイドワイヤの他の実施例を示す部分断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端区分と先端区分とを備える長尺状の内側コア部材と、該先端区分は基端部分と先端部分とを備えることと、
該先端区分の基端部分の周囲に配置される長尺状の補強部材と、それにより該先端区分の先端部分は該補強部材から離間していることと、
該コア部材の先端区分の周囲に配置される外側部材と、該先端区分の先端部分と該外側部材との間に材料層が介在していないこととを特徴とするガイドワイヤ。
【請求項2】
前記補強部材はニッケル−チタン合金からなる請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記補強部材は、少なくとも1つの切り込みまたは溝を有するニッケル−チタン合金製の管材からなる請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
前記補強部材は、その長さ方向に形成された少なくとも1つのらせん状の切り込みまたは溝を有するニッケル−チタン合金製の管材からなる請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項5】
前記補強部材は、ニッケル−チタン合金製のコイルからなる請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項6】
前記補強部材は、前記先端区分の基端部分の周囲にらせん状に巻き付けられた少なくとも1つのニッケル−チタン合金製のワイヤからなる請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項7】
前記補強部材は、前記先端区分の基端部分の周囲において、反対方向にらせん状に巻き付けられた少なくとも第2のニッケル−チタン合金製のワイヤからなる請求項6に記載のガイドワイヤ。
【請求項8】
前記コア部材の先端区分の先端部分は、非円形断面を有する請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項9】
前記コア部材はステンレス鋼からなる請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項10】
前記外側部材はコイルからなる請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項11】
前記コイルはステンレス鋼からなる請求項10に記載のガイドワイヤ。
【請求項12】
前記外側部材はポリマーからなる請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項13】
前記コア部材の先端区分はステンレス鋼からなる請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項14】
前記コア部材の基端区分は径を有し、前記外側部材は該径とほぼ等しい外径を有する請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項15】
基端区分と、少なくとも一部においてステンレス鋼を含む先端区分とを備える長尺状の内側コア部材と、該先端区分は基端部分と先端部分とを備えることと、
該内側コア部材の周囲に配置されるニッケル−チタン合金を含み、基端部と先端部とを有する長尺状の補強部材と、該先端部は該コア部材の先端区分の先端部分の基端側で終端することと、
該コア部材の先端部分および該補強部材の少なくとも一部上に配置される外側部材とを備えるガイドワイヤ。
【請求項16】
ステンレス鋼を含み、第1の断面積を有する基端部分と、該第1の断面積りも小さい第2の断面積を有する中間部分と、リボン形状を有する先端部分とを備える長尺状の内側コア部材と、
ニッケル−チタン合金を含み、該内側コア部材の中間部分の周囲に配置される長尺状の補強部材と、
ステンレス鋼を含み、該内側コア部材の先端部分および該補強部材上に延びるバネチップとを備えるガイドワイヤ。
【請求項17】
前記コア部材の中間部分および先端部分の少なくとも一部は、ステンレス鋼を含む請求項16に記載のガイドワイヤ。
【請求項18】
前記コア部材の基端部分は径を有し、前記中間部分の径は該径よりも小径である請求項16に記載のガイドワイヤ。
【請求項19】
前記バネチップは外径を有し、該外径は前記コア部材の基端部分の径とほぼ等しい請求項18に記載のガイドワイヤ。
【請求項20】
前記補強部材は、その長さ方向に形成された少なくとも1つのらせん状の切り込みまたは溝を有する管材からなる請求項16に記載のガイドワイヤ。
【請求項21】
前記補強部材はバネコイルからなる請求項16に記載のガイドワイヤ。
【請求項22】
前記補強部材は、前記コア部材の中間部分の周囲にらせん状に巻き付けられた少なくとも1つのワイヤからなる請求項16に記載のガイドワイヤ。
【請求項23】
前記補強部材は、前記コア部材の中間部分の周囲において、反対方向にらせん状に巻き付けられた少なくとも第2のワイヤからなる請求項22に記載のガイドワイヤ。
【請求項1】
基端区分と先端区分とを備える長尺状の内側コア部材と、該先端区分は基端部分と先端部分とを備えることと、
該先端区分の基端部分の周囲に配置される長尺状の補強部材と、それにより該先端区分の先端部分は該補強部材から離間していることと、
該コア部材の先端区分の周囲に配置される外側部材と、該先端区分の先端部分と該外側部材との間に材料層が介在していないこととを特徴とするガイドワイヤ。
【請求項2】
前記補強部材はニッケル−チタン合金からなる請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記補強部材は、少なくとも1つの切り込みまたは溝を有するニッケル−チタン合金製の管材からなる請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
前記補強部材は、その長さ方向に形成された少なくとも1つのらせん状の切り込みまたは溝を有するニッケル−チタン合金製の管材からなる請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項5】
前記補強部材は、ニッケル−チタン合金製のコイルからなる請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項6】
前記補強部材は、前記先端区分の基端部分の周囲にらせん状に巻き付けられた少なくとも1つのニッケル−チタン合金製のワイヤからなる請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項7】
前記補強部材は、前記先端区分の基端部分の周囲において、反対方向にらせん状に巻き付けられた少なくとも第2のニッケル−チタン合金製のワイヤからなる請求項6に記載のガイドワイヤ。
【請求項8】
前記コア部材の先端区分の先端部分は、非円形断面を有する請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項9】
前記コア部材はステンレス鋼からなる請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項10】
前記外側部材はコイルからなる請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項11】
前記コイルはステンレス鋼からなる請求項10に記載のガイドワイヤ。
【請求項12】
前記外側部材はポリマーからなる請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項13】
前記コア部材の先端区分はステンレス鋼からなる請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項14】
前記コア部材の基端区分は径を有し、前記外側部材は該径とほぼ等しい外径を有する請求項1または15に記載のガイドワイヤ。
【請求項15】
基端区分と、少なくとも一部においてステンレス鋼を含む先端区分とを備える長尺状の内側コア部材と、該先端区分は基端部分と先端部分とを備えることと、
該内側コア部材の周囲に配置されるニッケル−チタン合金を含み、基端部と先端部とを有する長尺状の補強部材と、該先端部は該コア部材の先端区分の先端部分の基端側で終端することと、
該コア部材の先端部分および該補強部材の少なくとも一部上に配置される外側部材とを備えるガイドワイヤ。
【請求項16】
ステンレス鋼を含み、第1の断面積を有する基端部分と、該第1の断面積りも小さい第2の断面積を有する中間部分と、リボン形状を有する先端部分とを備える長尺状の内側コア部材と、
ニッケル−チタン合金を含み、該内側コア部材の中間部分の周囲に配置される長尺状の補強部材と、
ステンレス鋼を含み、該内側コア部材の先端部分および該補強部材上に延びるバネチップとを備えるガイドワイヤ。
【請求項17】
前記コア部材の中間部分および先端部分の少なくとも一部は、ステンレス鋼を含む請求項16に記載のガイドワイヤ。
【請求項18】
前記コア部材の基端部分は径を有し、前記中間部分の径は該径よりも小径である請求項16に記載のガイドワイヤ。
【請求項19】
前記バネチップは外径を有し、該外径は前記コア部材の基端部分の径とほぼ等しい請求項18に記載のガイドワイヤ。
【請求項20】
前記補強部材は、その長さ方向に形成された少なくとも1つのらせん状の切り込みまたは溝を有する管材からなる請求項16に記載のガイドワイヤ。
【請求項21】
前記補強部材はバネコイルからなる請求項16に記載のガイドワイヤ。
【請求項22】
前記補強部材は、前記コア部材の中間部分の周囲にらせん状に巻き付けられた少なくとも1つのワイヤからなる請求項16に記載のガイドワイヤ。
【請求項23】
前記補強部材は、前記コア部材の中間部分の周囲において、反対方向にらせん状に巻き付けられた少なくとも第2のワイヤからなる請求項22に記載のガイドワイヤ。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図2A】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−514458(P2007−514458A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528060(P2006−528060)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/030216
【国際公開番号】WO2005/030311
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/030216
【国際公開番号】WO2005/030311
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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