説明

補正値パラメータ生成装置、測位装置および差動衛星測位方法

【課題】 差動衛星測位方式による測位の精度を向上することを目的とする。
【解決手段】 基準補正値生成局200において、収集局210は各基準局100から観測値を収集する。生成局220は各基準局100から測位衛星400に向けた仰角に基づいて各基準局100毎に補正値時刻変化率を算出すると共に、観測値に基づく各基準局100座標と既知の各基準局100座標とに基づき基準補正値を生成する。通信局230は基準補正値と補正値時刻変化率とを補正値パラメータとして移動局300に送信する。移動局300において、通信機330は補正値パラメータを受信する。受信機310は測位衛星400の測位信号を観測する。複合部320は補正値を複合する基準局100を選択して補正値パラメータを複合し、複合した補正値パラメータで複合移動局用補正値を算出する。受信機310は観測値に基づく測位の際に複合移動局用補正値で補正して測位する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DGPS(Differential Global Positioning System)を代表とする差動衛星測位方式における補正値パラメータ生成装置,測位装置および差動衛星測位方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
差動衛星測位方式の測位計算は、移動局受信機が行う観測値を用いた衛星測位計算の精度を向上する方式である。基準局受信機の観測値を用いて補正値を生成し、この補正値を移動局受信機の観測値に適用するのが基本的な方法である。補正値の種類は、各測位信号から得られる観測値に対する個別の補正値や、測位計算結果の座標値に対する補正値などいくつかある。
【0003】
補正値は、実時間で基準局から移動局に伝送する必要があるため、データ欠落に対応する必要がある。従って、該当時刻の時刻補正値(基準補正値)と、時間経過に対応した補正値時刻変化率を各時刻の補正値パラメータとして伝送する方法が一般的である。ある時刻に補正値が伝送されなかった場合は、過去に入手した時刻補正値に、補正値時刻変化率に経過時間を乗じた値を加算して補正値を生成する。
以下に、時刻tkの補正値パラメータである時刻補正値PRCと補正値時刻変化率RRCから時刻tの補正値PPRCを生成する式(式1)を示す。
PPRC(t) = PRC(tk)+RRC(tk)・(t−tk) (式1)
【0004】
差動衛星測位方式の測位方法は、移動局受信機と基準局受信機が同じ測位信号を同時に観測することで、基準局受信機の観測値に含まれる誤差から移動局受信機の観測値に含まれる誤差を推定して補償するのが原理である。
ここで、基準局受信機は基準局受信機の設置座標と測位衛星の衛星軌道が既知である。従って、衛星軌道から測位衛星の座標を算出し、この既知である座標から求まる測位衛星と基準局受信機との距離と、基準局受信機の観測値から求まる測位衛星と基準局受信機との距離とを比較することで、基準局受信機の観測値に含まれる誤差を検出できる。
上記の原理から補正値を用いて高精度の測位を実現する為には移動局と基準局とが近接していることが必要になる。移動局と基準局との受信機間が離れていると、移動局と基準局とで測位信号の伝播経路が大きく異なり、互いの観測値に含まれる誤差成分の違いが大きく変化する為に、移動局受信機の観測値の誤差と基準局受信機の観測値の誤差とが一致しなくなるからである。
差動衛星測位方式用補正データの算出方式についての文献に特許文献1がある。
【特許文献1】特許第3498791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、ある広い区域内で適切な補正値を供給する為には、複数の基準局を区域内に適切に配置する必要がある。そして移動局は、その区域内を移動する際に適切な基準局を順次選択して補正値を入手する必要がある。
【0006】
しかし、要求精度を達成する為に配置すべき基準局数が、様々な制限により配置できないために、そのままでは要求精度が実現できない場合がある。
また、ある要求仕様の補正値を生成するように配置した基準局を、より高精度な仕様の補正値を生成する目的で使用したい場合がある。
また、移動しながら差動衛星測位方式による測位計算をする場合に、使用する基準局を切替えた際に、補正値の急な変動が発生して測位結果に大きな影響を与える場合がある。
【0007】
本発明は、例えば上記の課題を解決するためになされたもので、差動衛星測位方式による測位の精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の補正値パラメータ生成装置は、各測位衛星からの測位信号を観測した観測値を基準局から受信する観測値受信部と、前記観測値受信部が入力した観測値に基づいて各測位衛星毎に基準補正値を生成する基準補正値生成部と、単位時間あたりの基準補正値の変化量を示す補正値時刻変化率と、測位対象である移動局と前記基準局との座標差の単位座標あたりの基準補正値の変化量を示す補正値座標変化率との少なくともいずれかの変化率を、前記基準局から各測位衛星に向けた各仰角に基づいて各測位衛星毎に算出する変化率算出部と、前記移動局の座標を測位する際の補正処理に使用する補正値パラメータとして、前記基準補正値生成部が生成した各測位衛星毎の基準補正値と前記変化率算出部が算出した各測位衛星毎の変化率とを前記移動局に送信する補正値パラメータ送信部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基準局から測位衛星に向けた仰角に基づく補正値時刻変化率と補正値座標変化率とを算出することで、測位結果に誤差を生じさせる電離層や対流圏の対処をした補正値を算出することができ、精度の高い測位結果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1において、差動衛星測位方式の測位システムは、測位対象であり測位処理を行う移動局と、1以上の測位衛星の発信した測位信号を観測する複数の基準局と、基準補正値を生成する基準補正値生成局とを備える。
図1は、実施の形態1における差動衛星測位方法を示すフローチャートである。
差動衛星測位方法の1例について図1に基づいて以下に説明する。
【0011】
まず、測位対象である移動局の概算座標を算出する(S101)。
ここで、移動局の概算座標には、例えば、補正値を用いずに移動局が、GPS衛星やガリレオ衛星などの測位衛星を用いた衛星測位や慣性航法装置を用いた慣性測位などにより、測位した結果の座標や、前回測位した時の座標などを利用する。
【0012】
また、各基準局で、各測位衛星が発信した測位信号を受信し、受信した測位信号から得られる情報(以下、観測値とする)を取得する。そして、各基準局で取得された観測値を基準補正値生成局に収集する(S102)。
ここで、観測値には、例えば、測位信号を受信した局と測位信号を発信した測位衛星との距離を示す擬似距離や測位衛星の軌道情報などが含まれる。
【0013】
次に、基準補正値生成局は、各基準局から収集した観測値に基づいて、各基準局毎の補正値の変化率を算出する(S103)。
ここで、算出する補正値の変化率には補正値時刻変化率と補正値座標変化率とがある。
【0014】
実施の形態1における補正値時刻変化率とは、基準局から測位衛星に向けた仰角に基づく単位時間あたりの補正値変化量であり、基準局毎に各測位衛星に対応して算出する。
測位計算で算出される擬似距離は測位信号の搬送時間に光速を乗じることで求められ、擬似距離に誤差を生じさせる大きな要因が電離層・対流圏を通過時の測位信号の速度遅延である。
そこで、基準局から測位衛星に向けた仰角に基づいて電離層・対流圏の状態と測位信号が通過する電離層・対流圏の距離との関係から補正値時刻変化率を算出する。
【0015】
測位信号を受信する局から衛星への方向を示す視線ベクタの仰角が低い場合は、電離層や対流圏などを通過する距離が長くなる。つまり、低仰角になるほど、電離層の影響が大きくなる。また影響の増加の割合も低仰角になるほど大きくなる。このため、測位衛星が仰角を下げつつ運動している場合、補正値時刻変化率も大きくなるのが適正である。逆も成立する。また厳密には、衛星の移動に伴う仰角の変化を考慮する必要があるため、仰角と仰角変化率を考慮して補正値時刻変化率を算出することが望ましい。さらに、電離層・対流圏の状態は日々変化し、電離層・対流圏の状態により遅延量も変わるため、電離層・対流圏の状態も考慮することが望ましい。
従来の補正値時刻変化率は、前回算出した補正値と今回算出した補正値との差分を変化率で表すだけであるため、長時間の予測計算が可能な信頼性を持たないことが多い。このため、仰角、仰角変化率、電離層・対流圏の状態を考慮することで補正値時刻変化率の品質が上がり、測位精度が改善する。
【0016】
図2は、実施の形態1における仰角に対する遅延量の係数を示す図である。
任意の範囲の仰角において、仰角が最大(x=xmax2)の時に係数(W(x))を小さくする。つまり、仰角が最大の時に電離層・対流圏による遅延の影響が一番少ないことを示す。また、仰角が最小(x=xmin1)の時に係数(W(x))を大きくする。つまり、仰角が最小の時に電離層・対流圏による遅延の影響が一番多いことを示す。
【0017】
同様に、電離層・対流圏の状態に対する遅延量の係数と仰角変化率に対する遅延量の係数を求め、各係数に基づいて補正値時刻変化率を算出する。各係数を使用して補正値時刻変化率を算出するためのモデル式は任意である。
ここで、仰角と仰角変化率、電離層・対流圏の状態の少なくともいずれかとに基づいて算出する補正値時刻変化率を、仰角に基づく補正値時刻変化率とする。
【0018】
次に、図1のS103で算出する変化率の一つである補正値座標変化率について説明する。
実施の形態1における補正値座標変化率とは、基準局と移動局との座標値の単位差あたりの補正値変化量であり、各基準局の補正値に対応して算出する。
つまり、基準局の座標値と移動局の座標値とに対する補正値変化量は、既知である基準局の座標からS101で算出した移動局の概算座標へのベクタの緯度および経度方向の成分に、各成分に対する補正値座標変化率を乗じた値である。
各衛星に対応する補正値座標変化率の算出手順を説明する。既知である基準局の座標からS102で収集した観測値などから算出できる測位衛星の座標へのベクタ(以下、衛星視線ベクタとする)の各成分に対して、仰角、仰角変化率、電離層・対流圏の状態の受信機座標値に依存する変化率に基づいて補正値座標変化率を算出すればよい。また、基準方向から衛星が見える方向への角度を示す方位角(azimuth)に基づいて、衛星視線ベクタの各成分に対する補正値座標変化率を算出してもよい。
図3は、実施の形態1における仰角に対する補正値座標変化率の算出時の係数を示す図である。横軸が仰角で縦軸が係数である。
図4は、実施の形態1における衛星視線ベクタを示す図である。図4は、北を基準方向として時計回りに方位角を表した場合を示している。
【0019】
次に、補正値生成装置は、補正値パラメータの一つである、基準補正値を生成する(S104)。
ここで、基準補正値とは、例えば、既知である基準局と測位衛星との座標から求まる距離と測位信号の搬送時間に光速を乗じて求まる距離との差分や、既知である基準局の座標と基準局が受信した測位信号から求まる基準局の座標との差分である。
【0020】
次に、基準補正値生成局は、S101で算出した移動局の概算座標と既知である基準局の座標とに基づいて、複合する補正値に対応する基準局を選択する(S105)。
【0021】
図5、図6は実施の形態1における移動局と基準局との距離の関係を示す図である。
図5および図6は、設定した閾値に対応する、選択する基準局の移動局からの距離を示している。
閾値の設定方法には、例えば、移動局に最も近い基準局までの距離に対応して設定する方法と要求精度に対応して設定する方法とがある。
移動局に最も近い基準局までの距離に対応して設定する方法では、移動局から最も近い基準局までの距離が短い場合に閾値を高く設定するとよい。移動局の近くに基準局がある場合、この基準局の観測値に基づいて生成した補正値を利用することで、移動局の観測値に基づく測位を高精度に補正することができるためである。そこで、閾値を高くして選択する基準局の移動局からの距離を短くする。そして、選択する基準局を減らし、他の基準局の補正値が複合補正値に寄与する率を下げるように制御する。
また、要求精度に対応して設定する方法では、要求精度が高い場合に閾値を低く設定するとよい。閾値を低く設定することで選択する基準局の移動局からの距離を長くする。そして、選択する基準局を増やす。移動しながら測位計算する場合、移動局から各基準局までの距離が変わることにより補正値を複合する基準局の切替えが発生するが、より多くの基準局の補正値を複合することで、基準局の切替えによる複合補正値の変動を抑える効果があるためである。これにより差動衛星測位方式による測位において、連続する測位タイミングで大きく隔たる座標を得るような、不連続な結果を発生しないようにできる。
ただし、基準局を1局以上選択できるように閾値は設定する。
また、図5および図6は閾値と距離との関係を示す非線形関数の一例である。また、線形関数で閾値と距離との関係が示されてもよい。
【0022】
次に、基準補正値生成局および移動局は、基準局毎に、S103で算出した変化率から補正値変化量を算出し、S104で生成した基準補正値に算出した補正値変化量を加算して、移動局の測位の際の補正処理に使用する補正値(以下、移動局用補正値とする)を生成する(S106)。
例えば、S103で、基準局の座標から移動局の概算座標へのベクタの緯度および経度方向に対する補正値座標変化率を算出した場合の補正値変化量DPRCは以下の式(式2)で算出できる。
【0023】
DPRC = DPRRCφ・dφ+DPRRCλ・dλ (式2)
DPRC:補正値変化量
DPRRCφ:補正値座標変化率の緯度方向成分
DPRRCλ:補正値座標変化率の経度方向成分
dφ:基準局座標と移動局概算座標の緯度差
dλ:基準局座標と移動局概算座標の経度差
【0024】
そして、各基準局の各測位衛星に対する移動局用補正値PPRCqは以下の式(式3)で算出できる。
【0025】
PPRCq=PRCq+RRCq・dt+DPRCq(dφ、dλ、Eq) (式3)
PPRCq:衛星qに対応する補正値
PRCq:衛星qに対応する時刻補正値
RRCq:衛星qに対応する補正値時刻変化率
dt:時刻補正値PRCqに対する時刻差
DPRCq:補正値座標変化率で算出される衛星qに対応する補正値変化量。
dφ:基準局座標と移動局概算座標の緯度差
dλ:基準局座標と移動局概算座標の経度差
Eq:移動局から見た衛星qの仰角
【0026】
上記式3において、RRCqには上記従来の補正値時刻変化率や上記仰角に基づく補正値時刻変化率を用いる。
なお、式2、3に示す補正値は、GPS信号(測位信号)のC/Aコード等を解析して得られる擬似距離の補正値や、GPS信号(測位信号)の搬送波位相擬似距離の補正値を想定しているが、測位結果である位置の補正値であっても良い。
【0027】
また、補正値時刻変化率を使用しない場合の移動局用補正値PCPCqは以下の式(式4)で算出できる。
【0028】
PCPCq=CPCq+DCPCq(dφ、dλ、Eq) (式4)
PCPCq:衛星qに対応する搬送波位相擬似距離補正値
CPCq:基準局で通常のRTK測位計算用に生成された搬送波位相擬似距離補正値
DCPCq:基準局と移動局の座標を用いて生成される座標依存の補正値変化量
RTK:Real Time Kinematic
【0029】
上記式4は、FKP(面補正パラメータ)方式に対応して搬送波位相擬似距離に対する補正値を算出する場合を示している。
【0030】
次に、基準補正値生成局および移動局は、S105で選択した基準局毎に、S106で生成した移動局用補正値を、複合した複合移動局用補正値を算出する(S107)。
補正値を複合する方法には、例えば、各基準局毎に得られる移動局対応の補正値を平均する方法、移動局からの距離に基づいて各基準局毎の移動局対応の補正値に重み付けを行って重み付けした補正値を所定数(少なくとも2以上)の基準局について合算する方法、測位衛星に対する仰角に基づいて各基準局に対応する補正値に重み付けを行って重み付けした補正値を合算する方法がある。
距離に基づいて補正値を重み付けする方法では、図5や図6で示した非線形関数に基づいて重み(W(x))を設定する。基準局の配置間隔に対応したこのような非線形関数に基づく重みを設定することで、移動局の位置に依存する基準局切替え時の複合補正値の変動を抑える効果がある。また、その他の任意の関数に基づいて重みを設定してもよい。
各基準局に対応する補正値を複合して、補正処理に使用する補正値を生成することができることで、移動局に対して基準局が必ずしも適切に配置されていない場合であっても、精度の高い補正値を適用し、精度の高い測位結果を得ることができる。
特に、移動局と各基準局との距離に基づいて補正値を複合することで、移動局に対して適切に配置された基準局がある場合に、その適切に配置された基準局の補正値を重視した精度の高い補正値を適用することができる。また、補正値を複合する移動局の切替わりによる影響を抑えることができる。
また、各基準局から各測位衛星に向けた各仰角に基づいて補正値を複合することで、電離層・対流圏による影響を考慮した精度の高い補正値を適用することができる。
【0031】
そして、移動局の観測値に基づく測位計算をS107で算出した複合移動局用補正値で補正して移動局の位置を測位する(S108)。
【0032】
上記に説明したS101〜S108の処理により移動局の測位処理において精度の高い補正値(複合移動局用補正値)を適用し、精度の高い測位結果を得ることができる。
【0033】
実施の形態2.
実施の形態2では、上記実施の形態1で説明した測位方法を実行するシステムの一例について説明する。
移動局300は携帯端末や車載装置などの形態であり、測位を行う測位装置である。基準補正値生成局200は補正機能、補正情報を提供するサーバ装置である。
【0034】
図7は、実施の形態2における測位システムの構成図である。
図7において、測位システムは、基準局100、基準補正値生成局200、移動局300を備え、測位衛星400を利用する。
基準局100は受信機110と通信機120とを備え、基準補正値生成局200は収集局210と生成局220と通信局230とを備え、移動局300は受信機310と複合部320と通信機330とを備える。
【0035】
図8は、実施の形態2における測位処理のフローチャートである。
【0036】
まず、基準局100の受信機110は、測位衛星400が発信する測位信号を受信する(S201)。
【0037】
次に、基準補正値生成局200の収集局210は、各基準局100から観測値を収集する。この時、各基準局100では通信機120が受信機110の受信した測位信号に基づく観測値を基準補正値生成局200に送信する(S202)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS102に対応する。
次に、生成局220は、収集局210がS202の処理で収集した各基準局100の観測値に基づいて補正値時刻変化率および補正値座標変化率を算出する(S203)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS103に対応する。
次に、生成局220は、収集局210がS202の処理で収集した各基準局100の観測値と既知である各基準局100の座標とに基づいて基準補正値を生成する(S204)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS104に対応する。
次に、通信局230は、各基準局100と測位衛星400と毎に補正値パラメータである、基準補正値、補正値時刻変化率、補正値座標変化率を移動局300に配信する(S205)。配信方法は、特定の移動局への配信でもよいし、放送方式による全移動局への配信でもよい。
【0038】
次に、移動局300の通信機330は、基準補正値生成局200がS205の処理で配信した補正値パラメータを受信する(S206)。
次に、複合部320は、移動局300の概算座標を算出する(S207)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS101に対応する。
次に、複合部320は、移動局300の概算座標と既知である基準局100の座標とに基づいて複合する補正値に対応する基準局100を選択する(S208)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS105に対応する。
次に、複合部320は、受信した補正値パラメータを基に移動局用補正値を生成する(S209)。この処理は、上記実施の携帯1で説明した図1のS106に対応する。
次に、複合部320は、S208の処理で選択した基準局毎に、S209の処理で生成した移動局用補正値を複合し複合移動局用補正値を算出する(S210)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS107に対応する。
そして、受信機310は測位衛星400が発信する測位信号を受信し、受信した測位信号に基づく観測値と、S210の処理で算出した複合移動局用補正値とに基づいて測位する(S211)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS108に対応する。
【0039】
上記に説明した測位システムの各構成により移動局300の測位処理において精度の高い補正値を適用し、精度の高い測位結果を得ることができる。
また、移動局300側で補正値の複合処理を行うことで、基準補正値生成局200の負荷を軽減することができる。
【0040】
実施の形態3.
実施の形態3では、上記実施の形態1で説明した測位方法を実行するシステムの一例について説明する。
図9は、実施の形態3における測位処理のフローチャートである。
上記実施の形態2と異なる形態を図9に基づいて以下に説明する。なお、測位システムの構成は上記実施の形態2で説明した図7と同様である。
【0041】
まず、移動局300の複合部320は、移動局300の概算座標を算出する(S301)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS101に対応する。
次に、通信機330は、複合部320がS301の処理で算出した概算座標を基準補正値生成局200に送信する(S302)。
【0042】
また、基準局100の受信機110は、測位衛星400が発信する測位信号を受信する(S303)。
【0043】
そして、基準補正値生成局200の通信局230は、移動局300がS302の処理で送信した移動局300の概算座標を受信する(S304)。
また、収集局210は、各基準局100から観測値を収集する。この時、各基準局100では通信機120が受信機110の受信した測位信号に基づく観測値を基準補正値生成局200に送信する(S305)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS102に対応する。
次に、生成局220は、通信局230が受信した移動局300の概算座標と既知である各基準局100の座標とに基づいて、移動局300の周辺に配置されている基準局100を複数選択する(S306)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS105に対応する。
次に、生成局220は、通信局230がS304の処理で受信した移動局300の概算座標と収集局210がS305の処理で収集した各基準局100の観測値とに基づいて、S306の処理で選択した各基準局100について補正値時刻変化率および補正値座標変化率を算出する(S307)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS103に対応する。
次に、生成局220は、収集局210がS305の処理で収集した各基準局100の観測値と既知である各基準局100の座標とに基づいて、S306の処理で選択した各基準局100について基準補正値を生成する(S308)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS104に対応する。
次に、生成局220は、S308の処理で生成した基準補正値に、S307の処理で算出した補正値座標変化率に基づく補正値変化量を加算して、補正値パラメータの一つである、基準補正値を更新する(S309)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS106に部分的に対応する。
次に、通信局230は、生成局220がS309の処理で生成した各基準局100と各測位衛星400と毎に補正値パラメータである、基準補正値、補正値時刻変化率を移動局300に送信する(S310)。
【0044】
次に、移動局300の通信機330は、基準補正値生成局200がS310の処理で送信した補正値パラメータを受信する(S311)。
次に、複合部320は、S301の処理で算出した移動局300の概算座標と既知である各基準局100の座標とに基づいて複合する補正値に対応する基準局100を選択する(S312)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS106に対応する。
次に複合部320は、受信した補正値パラメータを基に、基準局毎に移動体用補正値を生成する(S313)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS106に部分的に対応する。
次に、複合部320は、S312の処理で選択した基準局毎に、S313の処理で生成した移動局用補正値を複合し複合移動局用補正値を算出する(S313)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS107に対応する。
そして、受信機310は測位衛星400が発信する測位信号を受信し、受信した測位信号に基づく観測値と、S314の処理で算出した複合移動局用補正値とに基づいて測位する(S315)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS108に対応する。
【0045】
上記に説明した測位システムの各構成により移動局300の測位処理において精度の高い補正値を適用し、精度の高い測位結果を得ることができる。また、実施の形態3では移動局300と基準補正値生成局200との双方向通信により、基準補正値生成局200から移動局300に補正値の送信を行った。
【0046】
上記実施の形態3において、移動局300は、基準補正値を補正値時刻変化率に基づいて移動局用補正値を生成し、生成した移動局用補正値を複合し測位する場合について説明した。
但し、移動局300は、基準補正値と補正値時刻変化率とそれぞれで複合した後に、複合した基準補正値を複合した補正値時刻変化率に基づいて複合移動局用補正値を生成し測位しても構わない。
【0047】
実施の形態4.
実施の形態4では、上記実施の形態1で説明した測位方法を実行するシステムの一例について説明する。
【0048】
図10は、実施の形態4における測位システムの構成図である。
図10において、測位システムは、基準局100、基準補正値生成局200、移動局300を備え、測位衛星400を利用する。
基準局100は受信機110と通信機120とを備え、基準補正値生成局200は収集局210と生成局220と通信局230と複合局240とを備え、移動局300は受信機310と通信機330とを備える。
【0049】
図11は、実施の形態4における測位処理のフローチャートである。
【0050】
まず、移動局300は、移動局300の概算座標を算出する(S401)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS101に対応する。
次に、通信機330は、移動局300がS401の処理で算出した概算座標を基準補正値生成局200に送信する(S402)。
【0051】
また、基準局100の受信機110は、測位衛星400が発信する測位信号を受信する(S403)。
【0052】
そして、基準補正値生成局200の通信局230は、移動局300がS402の処理で送信した移動局300の概算座標を受信する(S404)。
また、収集局210は、各基準局100から観測値を収集する。この時、各基準局100では通信機120が受信機110の受信した測位信号に基づく観測値を基準補正値生成局200に送信する(S405)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS102に対応する。
次に、生成局220は、通信局230がS404の処理で受信した移動局300の概算座標と収集局210がS405の処理で収集した各基準局100の観測値とに基づいて補正値時刻変化率および補正値座標変化率を算出する(S406)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS103に対応する。
次に、生成局220は、収集局210がS405の処理で収集した各基準局100の観測値と既知である各基準局100の座標とに基づいて基準補正値を生成する(S407)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS104に対応する。
次に、複合局240は、通信局230がS404の処理で受信した移動局300の概算座標と既知である各基準局100の座標とに基づいて複合する補正値に対応する基準局100を選択する(S408)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS105に対応する。
次に、生成局220は、S407の処理で生成した基準補正値に、S406の処理で算出した補正値座標変化率に基づく補正値変化量を加算して、補正値パラメータの一つである、基準補正値を更新する(S409)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS106に部分的に対応する。
次に、複合局240は、複合局240がS409の処理で選択し生成局220がS409の処理で更新した各基準局100の補正値パラメータである基準補正値と、生成局220がS406の処理で算出した補正値パラメータである補正値時刻変化率をそれぞれ複合し補正値パラメータを算出する(S410)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS107に部分的に対応する。
次に、通信局230は、複合局240がS410の処理で算出した補正値パラメータを移動局300に送信する(S411)。
【0053】
次に、移動局300の通信機330は、基準補正値生成局200がS411の処理で送信した補正値パラメータを受信する(S412)。
次に受信機310は、通信機330がS412の処理で受信した補正値パラメータを基に移動局用補正値を生成する(S413)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS106に部分的に対応する。
そして、受信機310は測位衛星400が発信する測位信号を受信し、受信した測位信号に基づく観測値と、S413の処理で生成した移動局用補正値とに基づいて測位する(S414)。この処理は、上記実施の形態1で説明した図1のS108に対応する。
【0054】
上記に説明した測位システムの各構成により移動局300の測位処理において精度の高い補正値を適用し、精度の高い測位結果を得ることができる。
【0055】
上記実施の形態2〜4において、上記実施の形態1で説明した測位方法を実行するシステムの一例について説明した。但し、測位システムの構成は、上記実施の形態2〜4で説明した構成に限らない。また、測位システムの処理の流れは、上記実施の形態2〜4で説明した処理の流れに限らない。
例えば、基準補正値生成局200は複数設置してもよい。その場合は、移動局300が適切な基準補正値生成局200を選択して、選択した基準補正値生成局200から補正値を受信する。
また例えば、複数の基準補正値生成局200と各基準補正値生成局200を管理する主補正値生成局を設置してもよい。その場合は、移動局300は主補正値生成局に問い合わせ、主補正値生成局は移動局300からの問い合わせに対して適切な基準補正値生成局200を選択し、移動局300は主補正値生成局が選択した基準補正値生成局200から補正値を受信する。または、移動局300が主補正値生成局に問い合わせると主補正値生成局は適切な基準補正値生成局を選択して選択した基準補正値生成局の補正値だけを移動局300に配信する。
また例えば、各基準局100は基準補正値を生成し、基準補正値生成局200は各基準局100が生成した補正値を収集し、収集した補正値を元に基準局の選択、補正値の複合、変化率に対応した補正値の生成をしてもよい。
【0056】
上記の各実施の形態において、複数の基準局が生成する補正値や基準局および移動局の観測値を併用することで、移動局から基準局までの距離が要求より長い場合でも精度を確保する方法について説明した。これは、複数の基準局が生成する補正値や基準局および移動局の観測値の間に、空間的な相関がある事を利用した方法で、複数の基準局の補正値や観測値を適切に組み合わせることで、基準局から離れた場所でも要求精度を達成可能な補正値を得る方法である。
そこで、移動局が当該区域内を移動する際に、当該区域内の任意の地点で要求精度を達成できる補正値を得る複合補正値計算方式について説明した。
また、差動衛星測位方式の計算結果に不連続が発生しないように補正値を得るための複数基準局の選択方式について説明した。
【0057】
図12は、各実施の形態における基準局100、基準補正値生成局200、移動局300のハードウェア構成図である。
図12において、基準局100、基準補正値生成局200、移動局300は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)911を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続されている。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、磁気ディスク装置920は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
通信ボード915はLAN、インターネット等に接続される。また、通信ボード915は情報入力部、出力部の一例である。
【0058】
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム(OS)921、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923は、CPU911、OS921により実行される。
【0059】
上記プログラム群923には、各実施の形態の説明において「〜部」、「〜局」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、各実施の形態の説明において、「〜を判定し」、「〜を判定した結果」、「〜を計算し」、「〜を計算した結果」、「〜を処理し」、「〜を処理した結果」のような表現で説明する結果情報が、「〜ファイル」として記憶されている。
また、各実施の形態の説明において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータの入出力を示し、そのデータの入出力のためにデータは、磁気ディスク装置920、FD(Flexible Disk cartridge)、光ディスク、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(Digital Versatile Disk)、その他の記録媒体に記録される。あるいは、信号線やその他の伝送媒体により伝送される。
【0060】
また、各実施の形態の説明において「〜部」、「〜局」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、ハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
【0061】
また、各実施の形態を実施するプログラムは、磁気ディスク装置920、FD、光ディスク、CD、MD、DVD、その他の記録媒体による記録装置を用いて記憶されても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施の形態1における補正値の複合方法を示すフローチャート。
【図2】実施の形態1における仰角に対する遅延量の係数を示す図。
【図3】実施の形態1における仰角に対する遅延量の係数を示す図。
【図4】実施の形態1における衛星視線ベクタを示す図。
【図5】実施の形態1における移動局と基準局との距離の関係を示す図。
【図6】実施の形態1における移動局と基準局との距離の関係を示す図。
【図7】実施の形態2における測位システムの構成図。
【図8】実施の形態2における測位処理のフローチャート。
【図9】実施の形態3における測位処理のフローチャート。
【図10】実施の形態4における測位システムの構成図。
【図11】実施の形態4における測位処理のフローチャート。
【図12】各実施の形態における基準局100、基準補正値生成局200、移動局300のハードウェア構成図。
【符号の説明】
【0063】
100 基準局、110 受信機、120 通信機、200 基準補正値生成局、210 収集局、220 生成局、230 通信局、240 複合局、300 移動局、310 受信機、320 複合部、330 通信機、400 測位衛星、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、923 プログラム群、924 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各測位衛星からの測位信号を観測した観測値を基準局から受信する観測値受信部と、
前記観測値受信部が入力した観測値に基づいて各測位衛星毎に基準補正値を生成する基準補正値生成部と、
単位時間あたりの基準補正値の変化量を示す補正値時刻変化率と、測位対象である移動局と前記基準局との座標差の単位座標あたりの基準補正値の変化量を示す補正値座標変化率との少なくともいずれかの変化率を、前記基準局から各測位衛星に向けた各仰角に基づいて各測位衛星毎に算出する変化率算出部と、
前記移動局の座標を測位する際の補正処理に使用する補正値パラメータとして、前記基準補正値生成部が生成した各測位衛星毎の基準補正値と前記変化率算出部が算出した各測位衛星毎の変化率とを前記移動局に送信する補正値パラメータ送信部と
を備えたことを特徴とする補正値パラメータ生成装置。
【請求項2】
各測位衛星からの測位信号を観測した観測値を各基準局から受信する観測値受信部と、
前記観測値受信部が入力した観測値に基づいて各基準局と各測位衛星と毎に基準補正値を生成する基準補正値生成部と、
単位時間あたりの基準補正値の変化量を示す補正値時刻変化率を、各基準局から各測位衛星に向けた各仰角に基づいて各基準局と各測位衛星と毎に算出する変化率算出部と、
前記移動局と各基準局との各距離と各基準局から各測位衛星に向けた各仰角との少なくともいずれかに基づいて、前記基準補正値生成部が生成した各基準補正値と前記変化率算出部が算出した各補正値時刻変化率とをそれぞれで重み付けし、重み付けした各基準補正値を各測位衛星毎に合算した値である複合基準補正値と重み付けした各補正値時刻変化率を各測位衛星毎に合算した値である複合補正値時刻変化率とを算出する基準補正値複合部と、
前記移動局の座標を測位する際の補正処理に使用する補正値パラメータとして、前記基準補正値複合部が算出した前記複合基準補正値と前記複合補正値時刻変化率とを前記移動局に送信する補正値パラメータ送信部と
を備えたことを特徴とする補正値パラメータ生成装置。
【請求項3】
前記補正値パラメータ生成装置は、さらに、
前記基準補正値複合部が重み付けし合算する基準補正値と補正値時刻変化率とを前記移動局と各基準局との距離に基づいて選択する生成装置選択部
を備えたことを特徴とする請求項2記載の補正値パラメータ生成装置。
【請求項4】
自己の位置する座標を測位する移動局の測位装置において、
各測位衛星毎の特定時刻の補正値である基準補正値と、単位時間あたりの基準補正値の変化量を示す補正値時刻変化率であり各測位衛星毎の補正値時刻変化率とを受信する測位装置受信部と、
前記測位装置受信部が受信した前記補正値時刻変化率に前記特定時刻からの経過時間を乗じた値を各測位衛星毎に算出し、算出した値を前記測位装置受信部が受信した前記基準補正値に加算した値である移動局用補正値を各測位衛星毎に生成する移動局用補正値生成部と、
前記移動局用補正値生成部が生成した各測位衛星毎の移動局用補正値を用いて差動衛星測位方式により自己の位置する座標を測位する測位部と
を備えたことを特徴とする測位装置。
【請求項5】
自己の位置する座標を測位する移動局の測位装置において、
各基準局と各測位衛星と毎の特定時刻の補正値である基準補正値と、単位時間あたりの基準補正値の変化量を示す補正値時刻変化率であり各基準局と各測位衛星と毎の補正値時刻変化率とを受信する測位装置受信部と、
前記測位装置受信部が受信した前記補正値時刻変化率に前記特定時刻からの経過時間を乗じた値を各基準局と各測位衛星と毎に算出し、算出した値を前記測位装置受信部が受信した前記基準補正値に加算した値である移動局用補正値を各基準局と各測位衛星と毎に生成する移動局用補正値生成部と、
前記移動局と各基準局との各距離と各基準局から各測位衛星に向けた各仰角との少なくともいずれかに基づいて、前記移動局用補正値生成部が生成した各移動局用補正値を重み付けし、重み付けした各移動局用補正値を各測位衛星毎に合算した値である複合移動局用補正値を算出する測位装置複合部と、
前記測位装置複合部が算出した各測位衛星毎の複合移動局用補正値を用いて差動衛星測位方式により自己の位置する座標を測位する測位部と
を備えたことを特徴とする測位装置。
【請求項6】
前記測位装置受信部は、
各基準局と各測位衛星と毎の特定時刻の補正値である基準補正値と、単位時間あたりの基準補正値の変化量を示す補正値時刻変化率であり各基準局と各測位衛星と毎の補正値時刻変化率と共に、前記移動局と各基準局との座標差の単位座標あたりの基準補正値の変化量を示す補正値座標変化率であり各基準局と各測位衛星と毎の補正値座標変化率を受信し、
前記移動局用補正値生成部は、
前記測位装置受信部が受信した前記補正値時刻変化率に前記特定時刻からの経過時間を乗じた値を各基準局と各測位衛星と毎に算出し、前記測位装置受信部が受信した前記基準補正値に算出した値を加算すると共に、前記測位装置受信部が受信した前記補正値座標変化率に前記移動局と各基準局との座標差を乗じた値を加算して移動局用補正値を各基準局と各測位衛星と毎に生成する
ことを特徴とする請求項5記載の測位装置。
【請求項7】
前記測位装置は、さらに、
前記測位装置複合部が重み付けし合算する移動局用補正値を前記移動局と各基準局との距離に基づいて選択する測位装置選択部
を備えたことを特徴とする請求項5または請求項6いずれかに記載の測位装置。
【請求項8】
自己の位置する座標を測位する移動局の測位装置において、
各基準局と各測位衛星と毎の特定時刻の補正値である基準補正値と、単位時間あたりの基準補正値の変化量を示す補正値時刻変化率であり各基準局と各測位衛星と毎の補正値時刻変化率とを受信する測位装置受信部と、
前記移動局と各基準局との各距離と各基準局から各測位衛星に向けた各仰角との少なくともいずれかに基づいて、前記測位装置受信部が受信した各基準補正値と各補正値時刻変化率とをそれぞれで重み付けし、重み付けした各基準補正値を各測位衛星毎に合算した値である複合基準補正値と重み付けした各補正値時刻変化率を各測位衛星毎に合算した値である複合補正値時刻変化率とを算出する測位装置複合部と、
前記測位装置複合部が算出した各複合補正値時刻変化率に前記特定時刻からの経過時間を乗じた値を算出し、算出した値を前記測位装置複合部が算出した前記複合基準補正値に加算した値である複合移動局用補正値を各測位衛星毎に生成する移動局用補正値生成部と、
前記移動局用補正値生成部が生成した各測位衛星毎の複合移動局用補正値を用いて差動衛星測位方式により自己の位置する座標を測位する測位部と
を備えたことを特徴とする測位装置。
【請求項9】
前記測位装置は、さらに、
前記測位装置複合部が重み付けし合算する基準補正値と補正値時刻変化率とを前記移動局と各基準局との距離に基づいて選択する測位装置選択部
を備えたことを特徴とする請求項8記載の測位装置。
【請求項10】
基準局の各測位衛星に対する観測値に基づく補正値を用いて移動局の座標を測位する差動衛星測位方法において、
単位時間あたりの補正値の変化量を示す補正値時刻変化率と、前記移動局と前記基準局との座標差の単位座標あたりの補正値の変化量を示す補正値座標変化率との少なくともいずれかの変化率を、前記基準局から各測位衛星に向けた各仰角に基づいて算出し、
算出した前記変化率に基づく変化量を前記補正値に加算して補正値を更新し、
更新した補正値を用いて移動局の座標を測位する
ことを特徴とする差動衛星測位方法。
【請求項11】
各基準局の各測位衛星に対する観測値に基づく各基準局毎の補正値に基づいて移動局の座標を測位する差動衛星測位方法において、
前記移動局と各基準局との各距離と各基準局から各測位衛星に向けた各仰角との少なくともいずれかに基づいて各基準局毎の補正値を重み付けし、重み付けした各基準局毎の補正値を合算した値である複合補正値を算出し、
算出した前記複合補正値を用いて移動局の座標を測位する
ことを特徴とする差動衛星測位方法。
【請求項12】
各基準局の各測位衛星に対する観測値に基づく各基準局毎の補正値に基づいて移動局の座標を測位する差動衛星測位方法において、
前記移動局と各基準局との距離に基づいて各基準局毎の補正値から複数の各基準局毎の補正値を選択し、
前記移動局と各基準局との各距離と各基準局から各測位衛星に向けた各仰角との少なくともいずれかに基づいて、選択した各基準局毎の補正値を重み付けし、重み付けした各基準局毎の補正値を合算した値である複合補正値を算出し、
算出した前記複合補正値を用いて移動局の座標を測位する
ことを特徴とする差動衛星測位方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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