説明

補綴具搬送装置および方法

自己拡張型補綴具システムであって、外側管状構造体およびガイドワイヤに追従するように構成され、外側管状構造体内に配設される内側管状構造体を有し、外側管状構造体および内側管状構造体は流体充填可能空間を形成し、流体充填可能空間は、流体を充填されると、デリバリシステムのハンドルからデリバリシステムの停止部までカラム強度を提供する流体カラムを形成する、自己拡張型補綴具システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動脈などの人体内の通路内への補綴具搬送に関する。
【背景技術】
【0002】
人体内の通路の異常を処置するために、ステント、グラフト、経皮的心臓弁、および、ステントグラフト(たとえば、グラフト材料からなる内側カバーおよび/または外側カバーを有し、カバー付きステントと呼ばれてもよいステント)などの管状補綴具が使用されている。脈管用途では、これらのデバイスは、しばしば、狭窄血管または動脈瘤血管などの閉鎖血管、病変血管または損傷血管を、支持するか、置換するか、またはバイパスするために使用される。たとえば、自己拡張型またはバルーン拡張可能ステントが、血管形成術後に血管を機械的に支持するために使用されている。動脈瘤を処置または隔離するために、フレームワーク(たとえば1つまたは複数のステントまたはステント状構造)により支持された、生体適合性グラフト材料(たとえば、ダクロン(Dacron)(登録商標)材料または発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE))からなるステントグラフトを使用することがよく知られている。フレームワークは機械的支持体を形成し、グラフト材料またはライナは血液バリヤを形成する。
【0003】
動脈瘤は、一般に、血管などのダクトまたはカナルの異常な幅広化を伴い、ダクトまたは血管壁の異常な拡大により形成される嚢の形態で現われる。異常に拡張した壁は、通常、弱化されかつ破裂し易い。動脈瘤は、腹部大動脈のような血管に生じ、この場合、動脈瘤は、一般に、腎動脈の下で腸骨動脈の遠位にまたは腸骨動脈に向かって延在する。
【0004】
ステントグラフトを用いて動脈瘤を処置するとき、ステントグラフトは、通常、ステントグラフトの一端が血管の病変部の近位または上流に位置し、ステントグラフトのもう一方の端が血管の病変部の遠位または下流に位置するようにして留置される。こうして、ステントグラフトは、弱化した部分を置換するまたはバイパスするために、動脈瘤嚢に沿って延び、かつ、嚢の近位端および遠位端を越えて延在する。グラフト材料は、通常、動脈瘤の血管内排除を容易にするために、血液不透過性管腔を形成する。
【0005】
ステントおよびステントグラフトは、最小侵襲性血管内アプローチを使用して埋め込まれることが可能である。動脈瘤の場合、最小侵襲性血管内ステントグラフトアプローチは、病変血管を手術により開放しかつ動脈瘤をバイパスする位置にグラフトを縫合する従来の開放性手術技法よりも、多くの医者に好まれている。
【0006】
ステント、グラフト、およびステントグラフトを送出するために使用されている最小侵襲性血管内アプローチは、一般に、皮膚を切開して血管構造の管腔にアクセスすることを伴う。あるいは、外傷性の小さい入口点での連続拡張を介して、管腔アクセスまたは血管アクセスを経皮的に達成される可能性がある。アクセスが達成されると、ステントグラフトを、血管構造を通して目標部位に導くことができる。たとえば、ステントグラフトが装填されたステントグラフトデリバリカテーテルは、血管構造(たとえば大腿動脈)内に経皮的に導入されることが可能であり、ステントグラフトはこれが配置される動脈瘤を横切って血管内に送出される。
【0007】
バルーン拡張可能ステントグラフトを使用する場合、バルーンカテーテルは、一般に、ステントグラフトが目標部位に位置決めされた後に、ステントグラフトを拡張させるために使用される。しかし、自己拡張型ステントグラフトが使用されるとき、ステントグラフトは、一般に、半径方向に圧縮または折畳まれ、かつ、シースまたはデリバリカテーテルの遠位端に留置される。目標部位でシースまたはカテーテルを格納または除去すると、ステントグラフトが自己拡張する。
【0008】
ステントおよびステントグラフトなどの自己拡張型デバイスを送出する多くのデリバリカテーテルは、その間での軸方向相対移動のために同軸に配列された内側チューブ、外側チューブ、および中央チューブを有する。ステントまたはステントグラフトは、放射状に圧縮され、外側チューブ(シース)の遠位端内でかつ停止部が固着される中央チューブの遠位端の前部に位置決めされる。中央チューブとステントまたはステントグラフトとの間に配設される停止部は、外側チューブ(シース)を格納する間の、ステントまたはステントグラフトの近位移動に抗する。環状または円盤状であるのが良い停止部は、内側チューブ(またはガイドワイヤ管腔)がそこを通して摺動可能に搭載される中心開口を含む。カテーテルが、目標部位におけるステントまたはステントグラフトの配置のために位置決めされると、中央チューブが静止保持され、外側チューブ(シース)が引出され、それによりステントまたはステントグラフトが徐々に露出し拡大する。これらのチューブは全て、一般に、押出しポリマー編組チューブで作られる。機械的に言えば、中央部材のカラム剛性は、ステント配置中の中央カラムの座屈を回避するのに十分であるべきである。
【0009】
本明細書で参照する近位位置および遠位位置に関して、補綴具(たとえばステントグラフト)の近位端とは、配置中に、心臓により近い端部であり(血流の点から)、一方、遠位端は心臓からより遠い端部である。対称的に、カテーテルの遠位端は、通常、オペレータから最も遠い端部であるものとして特定され、一方、カテーテルの近位端はオペレータに最も近い端部である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
管腔内アプローチは、開放性手術と比較して、侵襲性がずっと小さく、また通常、回復時間はより短く、合併症のリスクが小さいが、曲がりくねった血管構造および/または径が小さい血管構造を通る管腔内デリバリ用のデリバリシステムを改良する必要性が存在している。
【0011】
本発明は、補綴具搬送の改良を含む。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態では、補綴具搬送システムは、外側管状構造体およびガイドワイヤに追従するように構成され、外側管状構造体内に配設される内側管状構造体を備え、外側管状構造体および内側管状構造体は流体充填可能空間を形成し、流体充填可能空間は、流体を充填されると、デリバリシステムにカラム強度を提供する流体カラムを形成する。本システムの多くの利点の中でも、流体カラムは、流体カラムと比較して曲げに対するより高い耐性をシステムに提供する可能性があるチューブを、内側管状構造体と外側管状構造体との間に留置する必要性を排除することができる。
【0013】
本発明による別の実施形態では、補綴具搬送システムは、少なくとも部分的に可動の外側管状構造体と、ガイドワイヤに追従するように構成され、近位端部分および遠位端部分を有し、外側管状構造体内に配設される内側管状部材とを備え、内側管状部材が実質的に一定長さのコア張力部材を提供しながら、外側管状構造体の少なくとも一部分が格納されるように、外側管状構造体の少なくとも一部分は内側管状部材に対して可動であり、外側管状構造体および内側管状部材は、第1および第2の端部を有する流体充填可能空間を形成するために、互いから半径方向に離間するように構成され、流体充填可能空間の一端を流体的に密閉するために、遠位端部分に近位の場所で内側管状部材にしっかり固定された第1のシールであって、内側管状部材から外側管状構造体まで延在し、外側管状構造体と密閉係合状態にあり、内側管状部材の遠位端部分に面する第1の表面および流体充填可能空間に面する第2の表面を有する、第1のシールと、流体充填可能空間の第2の端部を流体的に密閉するために、流体充填可能空間の第2の端部に配列された第2のシールと、を備えている。
【0014】
本発明による別の実施形態では、補綴具搬送システムは、外側管状構造体と、ガイドワイヤに追従するように構成され、近位端部分および遠位端部分を有し、外側管状構造体内に配設される内側管状部材とを備え、内側管状部材の軸方向位置が固着して保持されながら、外側管状構造体の少なくとも一部分が格納されるように、外側管状構造体の少なくとも一部分は内側管状部材に対して可動であり、外側管状構造体および内側管状部材は、第1および第2の密閉可能端部を有する流体充填可能空間を形成するために、互いから半径方向に離間するように構成され、流体充填可能空間を流体で充填するために、外側管状構造体から延在し、流体充填可能空間に流体結合するチューブを備えている。
【0015】
本発明による別の実施形態では、人の部位に管腔内デリバリシステムを管腔内的に位置決めする方法は、患者の管腔内の所望の部位に補綴具保持デリバリ部材を管腔内的に進めることであって、補綴具保持デリバリ部材は、その間に流体充填可能空間を形成する第1の管状構造体および第2の管状構造体と、第1の管状構造体に結合し、流体充填可能空間の一端に位置決めされた停止部とを備え、停止部は補綴具の近位にあり、補綴具保持デリバリ部材は、管状構造体の一方から半径方向に延在し、第1の管状構造体と第2の管状構造体との間にシールを形成する、管腔内的に進めること、および、補綴具を露出させるために、第2の管状構造体の少なくとも一部分を引出しながら、流体カラムによって停止部に対して閉じた流体充填空間を提供することを含む。
【0016】
本発明による別の実施形態では、内側部材および外側部材は、トロイダル形状流体充填ブラダー(またはバルーン)の拡張を制限する構造要素として作用し、静止流体充填カラムの周りの可動部材と静止部材との間の摺動接触部内に液密シールを構築する必要性を排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】補綴具配置前の、本発明による1つの補綴具搬送システム実施形態の長手方向断面図である。
【図1B】外側管状シースが矢印「R」で示すように格納され、補綴具が配置される図1Aの実施形態を示す図である。
【図1C】図1の実施形態の平面図である。
【図1D】図1の実施形態についての代替のハンドルを示す図である。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】Oリングを有する図1に示す遠位シールまたは停止部の例の側面図である。
【図4】図1の4−4線に沿った断面図である。
【図5】図1の5−5線からの端面図である。
【図6】図1の6−6線に沿った断面図である。
【図7】図1の7−7線に沿った断面図である。
【図8】図1Aの実施形態と共に使用するのに適したステントグラフトの斜視図である。
【図9】図1に示すシステムを用いて動脈瘤をバイパスするために補綴具を送出することを示し、目標部位に補綴具を位置決めすることを示す図である。
【図10】図1に示すシステムを用いて動脈瘤をバイパスするために補綴具を送出することを示し、格納された図1の管状シースおよび配置された補綴具を示す図である。
【図11A】補綴具を配置する前の、ブラダー流体収容システムを有する1つの補綴具搬送システムの長手方向断面図である。
【図11B】外側管状シースが矢印「R」で示すように格納され、補綴具が配置される図11Aの実施形態を示す図である。
【図12A】波形拡張セクションを有するカテーテルの外側の環状流体収容ブラダー/バルーンを単独で示す概略的な断面図であり、図11Aに描かれたカテーテルに隣接しかつカテーテルに整列して描かれ配向された、配置前の構成を示す。
【図12B】波形拡張セクションを有するカテーテルの外側の環状流体収容ブラダー/バルーンを単独で示す概略的な断面図であり、図11Bに描かれたカテーテルに隣接しかつカテーテルに整列して描かれ配向された、配置後の構成を示す。
【図13】図11Aの13−13線に沿った断面図である。
【図14】湾曲構成のカテーテルを示す補綴具搬送システムの長手方向断面図である。
【図15A】補綴具配置前に構成された、中心部材の遠位シール/停止部と中心部材のハンドル端のハンドルシールとの間に延在する流体チャンバ長(Lfc)のシースを有する1つの補綴具搬送システムの長手方向断面図である。
【図15B】流体チャンバ長(Lfc)を有する流体チャンバの周りで、補綴具が配置される位置までシースが格納された図15Aの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して以下の説明が行われ、種々の図を参照するとき、同じ数字または文字が同じ要素を示す。さらに、以下で述べるカテーテルおよびデリバリデバイスを参照するとき、近位端はオペレータに最も近い端部であり、遠位端はオペレータから最も遠い端部である。
【0019】
一実施形態によれば、補綴具搬送カテーテルは、少なくとも1つの格納可能な部分を有する外側管状構造体およびガイドワイヤに追従するように構成された内側管状構造体または部材を備えている。外側管状構造体および内側管状部材は、流体充填可能空間を形成するように位置決めされる。両者の間に中央チューブは設けられない。流体充填可能空間が流体で充填されると、内側チューブと外側チューブとの間の流体カラムが形成される。流体カラムは、補綴具配置を補助するのに十分なカラム強度を提供する。内側チューブおよび外側チューブの半径方向(フープ)剛性は、所望のカラム強度を生成するために必要な程度まで、流体カラムの拡張を防止する。ポリマー編組またはハイポチューブから作られるチューブ類などの従来のチューブ類が、上述した管状要素を作るために使用される。流体充填可能チャンバは、一般に、システムの管腔内デリバリ前に、または補綴具が目標部位に整列した状態でシステムが位置決めされた後に充填される。2チューブシステムは、必要とされる中央/中心部材配置カラム剛性が、ガイドワイヤ管腔と外側管状シースとの間に配設され、配置中に補綴具に隣接する停止部を支持するように配置された中央チューブから得られる従来の3チューブシステムと比較して、非常に低い交差プロファイルを提供する。流体カラムの剛性は、曲げ時にはほとんど無視できるため、中央チューブが曲げ剛性を示す従来の3チューブシステムと比較して、システムは、管腔内デリバリの前に流体充填可能チャンバが流体で充填されるときでさえも、非常に良好な追従性を有する。外側チューブまたはシースと中央チューブとの間のある程度の摩擦と比較して、流体カラムと外側管状シースとの間の摩擦は最小限であるため、従来の3チューブシステムと比較して、配置力は低い。
【0020】
本明細書で開示される種々の実施形態は、たとえば、末梢血管ステントを頸動脈、腸骨動脈、大腿動脈、または浅動脈に、ステントグラフトを大動脈または胸動脈に、管腔内的にまたは血管内的に送出するか、心臓弁を心臓に送出するか、もしくは、ステント上に外側シースを使用する自己拡張型冠状動脈ステントを送出するために使用される。
【0021】
図1Aを参照すると、本発明による1つの補綴具搬送システムの実施形態が示される。補綴具搬送システム10は、概略的には、外側管状部材すなわちシース12と、ガイドワイヤ16に追従するように構成された内側管状構造体または部材14と、内側管状部材14から半径方向に延在し、配置中に停止部の遠位に位置決めされた補綴具の近位への移動を最小にするかまたは防止するための停止部を形成する遠位停止部(シール部材)18と、ハイポチューブであるのがよく外側管状部材または管状シース12の延長部を形成する管状部材28と、近位シール部材20などの近位シール部材とを備えた補綴具搬送カテーテルを備えている。カテーテルが直線的に(2点間の直線として)構成されると、外側管状シース12および内側管状部材14は、互いから半径方向に離間する同心チューブとして構成される。同様に、カテーテルが直線的に構成されると、管状部材28および内側管状部材14は、互いから半径方向に離間する同心チューブとして構成される。こうして、外側管状構造体と呼ばれてもよい、その管状延長部(管状部材28)を有する外側管状部材またはシース12、内側管状構造体または部材14、ならびにシール部材18および20は、流体充填可能チャンバ22を形成し、流体充填可能チャンバ22は、生理食塩水などの流体で充填されて、位置決めおよび配置中にシステムにカラム強度を提供する管状流体カラム24を形成することができる。この付加的なカラム強度は、外側シース12と内側管状部材14との間に管状部材を設ける必要性なしで、補綴具配置中に外側シース12が格納されるときにシステムの座屈を最小にするかまたは防止する。例示の実施形態では、流体充填可能チャンバ22内には流体カラム以外は何も設けられない。シール部材が示されるが、内部ブラダーまたはバルーンを、シール部材の代わりに使用できる。
【0022】
例示の実施形態(理想的な直線状構成)では、流体充填可能チャンバ22は、環状であり、シール部材18と20との間の距離が内側管状部材14の引張によって設定され、配置中にそれほど変化しないため、一定長を有する。湾曲構成で配置されると、チャンバの長さは、以下に論じるように変化することになる。一旦カテーテルの構成が設定される配置場所に置かれると、シール部材18と20との間の距離は、補綴具の配置前(たとえば図1Aを参照されたい)から、補綴具を配置するために外側管状部材またはシース12が格納されるとき(たとえば図1Bを参照されたい)まで変化せず、外側管状部材またはシース12の遠位端は、シール部材18に整列する。したがって、一旦流体カラムへの流体通路が閉じると、流体充填可能チャンバの容積は、補綴具配置中、一定である。
【0023】
図1Aおよび図1Bを参照すると、補綴具は自己拡張型ステント(たとえばステント40)であり、一方、図8〜図10では、補綴具は自己拡張型ステントグラフト(たとえばステントグラフト50)である。図1A、図3、および図4を参照すると、遠位シール部材または停止部18は、環状であり、たとえば接着によって内側管状部材14にしっかり固定され、外側管状部材またはシース12の内側壁表面とのシールを形成するサイズに作られる。たとえば単一Oリングの実施形態が示される図3に示すように、シールを強化するための1つまたは複数のOリングを有する遠位シール部材または停止部18を設けることができる。より具体的には、遠位シール部材18は、シース12が以下でより詳細に述べるように格納されるときに、シール部材18と外側管状部材またはシース12の内側壁表面との間のシールを強化するためにOリング18bがその中に配置される環状溝18aを含む。あるいは、内部キャビティに対してある形状で成形された環状バルーンが使用されることができ、特別なシールについての必要性をなくすことになる。遠位シール部材または停止部18は、遠位表面18dおよび近位表面18pを有する。遠位表面18dは、半径方向に圧縮された補綴具の一端に当接し、補綴具は、通常、自己拡張型ステントまたはステントグラフトであり、外側管状部材またはシース12によって内側管状部材14および外側管状部材またはシース12の遠位端部分の領域で半径方向に圧縮された状態で保持される。近位表面18pは、流体チャンバ22に面する。シール部材または停止部18を通して切り取られたデリバリシステムの断面図が図4に示される。
【0024】
図1Aおよび図2を参照すると、外側管状部材またはシース12の近位端部分は、ハンドル26のテーパ付き遠位端部分26b内の開口内に延在する。ハンドル26のもう一方の端では、近位シール部材20は、ハンドル26の近位部分26aにしっかり固定され、近位部分26aは、図1A、図1B、および図5に示すようにシール部材20がその中で固定されるボアを有する。近位シール部材20を、任意の適した手段を用いてハンドル26の近位部分26aに固定することができる。たとえば、これらの要素間の界面は、接着されるか、または、その他の方法で共に結合される。近位シール部材20は、内側管状部材14およびガイドワイヤ16がそこを通して延在する中心ボアを有する。例示の実施形態では、シール部材20は、環状であり、シール部材20の内周が管状部材28の外周を超えて半径方向に延在して、管状部材28用の近位流体シールを形成するように、管状部材28の外径より大きな外径を有するサイズに作られる(図5を参照されたい)。内側管状部材14は、近位シール部材20内の軸方向ボアを通して延在し、近位シール部材20との液密密閉係合を形成するサイズに作られる。管状部材28の近位端は、チャンバ22に面する表面に対応する近位シール部材20の遠位面に当接し、接着剤などの任意の適した手段を使用して密閉式に固定される。
【0025】
図1Aを参照すると、管状部材28の遠位端部分は、管状部材28にわたって摺動可能に搭載される外側管状部材またはシース12の近位端部分内に延在する。管状部材28は、外側管状部材またはシース12の延長部を形成し、また、その全長が調整可能または可変である外側管状構造体を形成する。図1Aは、第1の長さを有する、外側管状構造体および管状部材28によって形成される外側管状構造体を示し、図1Bは、管状部材28にわたって外側管状部材またはシース12が格納されるために、第1の長さより短い第2の長さを有する外側管状構造体を示す。すなわち、外側管状部材またはシース12および管状部材28は、互いに摺動可能である。より具体的には、管状部材28の近位端がハンドル26にしっかり固定されるため、管状部材28およびハンドル26が、たとえば外側管状部材またはシース12を格納する間に静止保持されながら、外側管状部材またはシース12は、管状部材28およびハンドル26に対して軸方向に移動することができる。内側管状部材14はまた、管状部材28およびハンドル26に対して軸方向に静止したままになるように近位シール部材20にしっかり固定される。あるいは、内側管状部材14は、近位シール部材20に摺動可能に搭載され、配置中に軸方向に静止保持される。
【0026】
図1Aおよび図7を参照すると、環状シール部材36は、管状部材28の遠位端部分にしっかり固定されて、管状部材28と外側管状部材またはシース12の内壁との間のシールを提供する。シール部材36は、補綴具を配置するために外側管状部材またはシース12が管状部材28にわたって格納されるときにシールを維持する。Oリングであるのがよいシール部材36は、管状部材28の外側表面に固定されるか、または、管状部材28の溝内に埋め込まれ、接着剤などの任意の適した手段を用いて管状部材28に固着される。
【0027】
補綴具搬送システム10の遠位端は、流体でチャンバ22が充填された状態で、目標部位に管腔内的に送出されるか、または、外側管状部材またはシース12の遠位端が、補綴具が目標部位に整列した状態で位置決めされた後に、チャンバ22が流体で充填される。デリバリシステムは、未充填状態であるときに、曲がりくねりかつ小さな径の血管構造を通して送出するのにより適する可能性がある。チューブ30内での流体の流れを制御するため(たとえば、一方向だけの流体の流れを可能にするため)のオプションの逆止弁(図示せず)を有する、オプションの入口/出口ポートまたはチューブ30は、図1Cおよび6に示され、バルーン(たとえばPTCAバルーン)を除去し充填することについて当業者によく知られているように、目標部位への送出の前または後で流体充填可能チャンバ22に充填し、所望に応じて、流体充填可能チャンバ22から流体を除去するために使用される。一変形例では、弁(図示せず)は、以下で述べる入口/出口ポート30またはライン33に結合されて、所望されるときに流体放出を可能にする。
【0028】
図6を参照すると、シール部材20と26との間のハンドル26の中間断面図が示され、流体充填可能チャンバ22へのアクセスを提供する流体入口ポートまたはチューブ30用の例示的な場所を示す。流体入口ポートまたはチューブ30は、チャンバ22に流体を提供するために、ハンドル26の壁を通し、また、管状部材28内の開口を通して半径方向に延在する。管状部材の壁内に延在する流体入口ポートまたはチューブ30の端部は、管状部材28に密閉式に固定されて、両者の間に液密取付けを形成し、管状部材28に溶接されるか、接着されるか、または任意の従来の手段によって接続されて、こうした接続を提供する。流体入口ポートまたはチューブ30のもう一方の端は、図1Cに線図で示すように、ライン33を通して流体源32に結合される。一実施形態では、流体源32は、結合したポンプおよび流体リザーバシステムである。こうして、流体入口ポートまたはチューブ30は、流体充填可能チャンバ22が生理食塩水などの流体で充填されるように、流体源を流体充填可能チャンバ22に流体結合する。流体源は、チャンバ22内に初期所望流体圧を提供するように構成され、初期所望流体圧は、流体充填可能チャンバ22の径および長さならびに配置される補綴具のサイズおよび構成などのシステム寸法に応じて変わる。一例では、チャンバ22内の初期所望圧は、流体充填可能チャンバ22の径および長さならびに配置される補綴具のサイズおよび構成などのシステム寸法に応じて、約5psi〜約120psiの範囲である可能性がある。配置の準備ができると、流体チャンバ充填弁が閉じ(流体充填済みチャンバ内に捕捉される容積をロックし設定する)、シースの格納が起こる。流体源が、ポンプに結合された流体リザーバであるとき、ポンプ出力圧は、所望の範囲にプリセットされる。別の変形例では、センサを、流体充填可能チャンバ22内に設けることができ、ポンプは、流体充填可能チャンバ22内に所望の流体圧を提供するために、流体充填可能チャンバ22内の検知圧に応答してポンプ出力を制御するコントローラを備える。別の実施形態では、シースが格納され、ステント/ステントグラフトが配置されるときに、遠位シール部材に加えられる摩擦力に打ち勝ち、配置中にハンドルに対して停止部18を静止保持するのに十分な力を遠位シール部材または停止部18にガス圧が加えるように、流体充填可能チャンバが加圧ガスで充填されてもよい。加圧ガスカートリッジは、たとえばガス源として使用されてもよい。
【0029】
図1Dに示す別の実施形態では、ハンドル26の変形例が示され、参照番号26’で示される。ハンドル26’は、流体入口ポート30’がシリンジ32’を流体充填可能チャンバ22に流体結合するためにそこを通して延在する、近位に延在する分岐部27を含むことを除いてハンドル26と同じである。シリンジ32’は、流体入口ポートまたはチューブ30’内に挿入される放出出口または針32’aおよび放出出口32’aを通してシリンジ本体32’c内に流体を押出すプランジャ32’bを有する。ハンドル26および26’は共に、以下でより詳細に述べるように、スライド34がその内部で移動することを可能にするために、その内部に形成された、長手方向に延在するスロット38および38’をそれぞれ含む(図1A、図1C、および図1D)。
【0030】
図1A、図1B、および図7を参照すると、ハンドル26、およびボタンとも呼ばれるスライド34は、断面で示される。スライド34は、指部分またはアクチュエータ34aおよびそこから延在するフランジ部分34bを有する。フランジ部分34bは、そこを通して形成された開口を有し、その開口内に、外側管状部材またはシース12の近位部分が接着剤または熱融合などの任意の適した手段によってしっかり固定されている。この構成を用いて、オペレータは、たとえば図1Aに示す位置と図1Bに示す位置との間でスライド34を動かすことができる。管状部材28およびそのシール部材または停止部18を有する内側管状部材14が一定位置に保持されている間に、スライド34が、図1Aに示す位置から図1Bに示す位置まで移動すると、スライド34は、管状部材28上でその外側管状部材またはシース12を密接搬送して、補綴具からシースを引出す。流体充填可能チャンバ22の長さは、補綴具を配置するこのシース引出し中に変化しない。停止部18は、シース引出し中の近位方向への補綴具の始動を最小にするかまたは防止する。流体充填可能チャンバ22内の流体カラム24は、配置中の補綴具の近位移動に抗するために補綴具(たとえば自己拡張型ステント40)に当接する遠位シール部材または停止部18に対して軸方向支持を提供する。図1Aおよび図1Bの例では、補綴具は自己拡張型ステント40である。特定の構成が図1Bに示されるが、任意の適した構成が使用される。
【0031】
管状部材12、14、および28は、システム内で使用される圧力下で使用される流体(たとえば生理食塩水)に対して少なくとも流体不透過性である1つまたは複数の不透過性壁を有する押出しポリマー編組またはハイポチューブなどの任意の適した材料から作られる。シール部材18、20、および36は、ポリウレタン、ゴム、DuPontによって製造されたテフロン(登録商標)、またはPTFEのような任意の適したシール材料から作られる。
【0032】
図8を参照すると、自己拡張型ステント40に対する代替物として図1に示すシステムと共に使用するのに適した例示的な自己拡張型ステントグラフトが、配置状態で概略的に示される。ステントグラフト50は、ステントグラフトに支持、強度、および安定性を提供する支持構造に対して縫い付けられる管状グラフト材料52を含む。管状グラフト材料52は、ダクロン(登録商標)または発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)材料のような任意の従来のグラフト材料から作られる。例示の例では、支持構造は、4つの波状ワイヤリング54a、54b、54c、54dを含む。ワイヤリングは、ニチノールでありえ、ポリエステル縫合糸を使用してグラフト材料に縫い付けられる。また、ステントグラフト50は、グラフト材料によって大部分は未被覆のままになる、ステントグラフトの近位端上の支持部材(クラウンステントまたはスプリング56)を有する。未被覆部分は、通常、突出する所定の数の頂点を有するジグザグ様パターンを有することになる。頂点は、近位スプリングまたはクラウン56として知られるものの一番端を形成する。また、ステントグラフト50の遠位端は、クラウンまたはスプリング56と同じ構成を有するクラウンまたはスプリング58を有しる。
【0033】
図9および図10を参照すると、補綴具搬送システム10を使用する例示的な方法が示される。図9を参照すると、補綴具搬送システム10の遠位部分は、血管「V」内の目標部位に管腔内的に送出される。この例では、半径方向に圧縮された自己拡張型ステントグラフト50は、停止部18の遠位で外側管状部材またはシース12内に位置決めされる。補綴具搬送システム10の遠位部分は、ステントグラフト50が動脈瘤「A」に整列するように位置決めされる。管腔内デリバリ中に液体で充填されなかったチャンバ22は、その後、流体で充填され、施錠閉鎖される。内側管状部材14を有するハンドル26は静止保持され、アクチュエータ34は、近位に移動されて、外側管状部材12を近位に移動させ、ステントグラフト50をシース解除する。こうして、ステントグラフトは、半径方向に拡張し、図10に示す位置をとることが許容される。オプションの遠位鼻部60は、図9および図10に示すように、内側管状部材14の遠位部分に固着される。遠位鼻部60は、外側管状部材またはシース12の遠位端の遠位カバーとして働く。また、遠位鼻部60は、比較的大きな径の外側管状部材またはシース12が、鋭い縁部が組織に引っ掛かり損傷を与える可能性を最小にしながら、患者の身体内で移動することを可能にする。
【0034】
図11A、図11B、および図13を参照すると、補綴具搬送システム70が示される。一般的な詳細は、図1Aおよび図1Bに関して先に述べられている。しかし、この例では、流体充填可能チャンバからの流体の漏出を防止するために密接したカテーテルチューブおよびシールを必要とする代わりに、流体充填可能チャンバは、シール済みブラダーまたはバルーン75で裏打ちされる。このブラダー75は、一般に、普通なら漏洩が起こる可能性がある周囲流体充填可能チャンバの壁内の横断遷移点の内圧を維持するのに十分に強いエラストマー材料で構成された環状ブラダーであることになる。環状形状は、ガイドワイヤ16を導く中心部材、たとえば14が、環状形状を通過することを可能にする。ブラダーまたはバルーン75は、中心部材(たとえば14)の外側で、かつ、遠位端(シール)部材(たとえば18)とハンドル端と近位端(シール)部材(たとえば20)との間で、シース(たとえば12)および管状部材(たとえば28)の内側に位置決めされる。ブラダーの外径は、これらのそれぞれの部品の内部表面によって設定され、内径は、中心部材(たとえば14)の外側表面径によって設定される。ブラダーは、ハンドルからステント停止部/シール(たとえば18)までの全長に延在し、静止しているが、シースは、PTFEなどの潤滑性材料の使用によって潤滑性にされた外側表面上を摺動する。
【0035】
図13は、図11Aの13−13で切取った断面を示す。内壁裏打ち75’および外壁裏打ち75”は、中心部材76(たとえば14)およびシース77(たとえば12)に押し付けて位置決めされいるのが示される。
【0036】
あるいは、環状ブラダーまたはバルーン80は、図12Aの配置前の構成/配置および図12Bの配置後の構成で示すように、シース静的可動セクション83の両側に、少なくとも2つの拡張ジョイント(アコーディオン)セクション、近位拡張セクション82および遠位拡張セクション84を有する外側層を有する。図12Aおよび図12Bに示すシース静的可動セクション83は、シース(たとえば12)とブラダー/バルーン80の外壁との間の摺動接触が存在する必要性を回避する。さらに、緊密空間内で潤滑性材料を使用することは、静的ブラダー75に対してシース(たとえば12)を容易に摺動させることを防止する静止摩擦またはスティックションを生成する(図11Aおよび図11B)。図12Aおよび図12Bに示すように2つの外側表面波形セクション82、84を有する環状ブラダー/バルーン80を使用することは、図11Aおよび図11Bの構成において存在する摺動に対する静抵抗をなくす。シース(たとえば12)に関して移動する、シース静的可動セクション83の両側への波形(アコーディオン様)拡張セクション82、84の付加は、流体充填可能チャンバ内の液体(非圧縮性流体)が、流体充填可能チャンバおよび流体充填可能チャンバが接続される任意の接続チューブ類/パイピングの境界内に緊密に保持され、閉鎖弁または他の適した流体停止部によって施錠閉鎖されることを保証しながら、ブラダー(たとえば75)の外側表面とシース(たとえば12)の内側表面との間の摩擦に打ち勝つ必要性なしでの(しかし、摩擦は小さい可能性がある)シース(たとえば12)の軸方向直線運動に適応する。
【0037】
図14は、湾曲構成の本発明によるステントデリバリカテーテルを示す。カテーテル構成は、流体充填弁15が、流体充填可能チャンバ22に接続された流体充填通路内に示されていることを除いて図1Aに示す構成と同じである。この構成では、流体通路および弁は、ハンドルの横から入って来るのが示されるが、静的流体カラムチャンバへの流体通路は、ハンドルの近位端またはシース(たとえば12)の格納に干渉しない任意の他の適した接続点にある。湾曲構成では、流体充填可能チャンバ22が加圧されると、流体の圧力は、チャンバ22内の圧力にチャンバを伸張させる傾向をもたせることになる。この伸張の出現によって、中心部材14が、ピンと張って伸張し、カテーテルがそれに沿って湾曲する湾曲部の内側に移動する。中心部材のこの内側移動は、中心部材の張力によって遠位端シール18がわずかに遠位に移動することを可能にするため、流体充填可能チャンバ内に収容される流体の容積は、わずかに増加することになる。したがって、中心部材がその中心場所から変位される可能性がある湾曲構成または他の構成内の所定位置にカテーテルがくると、流体充填可能チャンバの容積を一定に維持するために、その構成の流体充填可能チャンバを再加圧し、流体充填可能チャンバの入口弁をクローズドロックすることが必要となり、それにより、ステント配置を開始するために外側シースの格納が始動されるときに、最大圧縮力がハンドルから遠位シール部材18に伝達される。流体充填可能チャンバが流体ロックされる(流体が排出することを防止される)と、チャンバ内の流体は、非圧縮性中心圧縮部材として作用し、ハンドル26から遠位シール部材18まで配置力を伝達することになる。
【0038】
図15Aおよび図15Bは、カテーテルの遠位端においてステント停止部に力を伝達するために静的流体カラムを使用するカテーテルの代替の実施形態の断面図を提供する。カテーテル90は、図1Aおよび図1Bに示すカテーテルと同様である。2ピース管状部材を有するのではなく、この実施形態は、1つの摺動要素だけがシース94を有する。カテーテルの近位端またはハンドル端において、シースは、中心部材98が通過するハンドルシールポスト(ハンドルシール)96に係合し、固着される。中心部材の遠位部分は、遠位シール部材100に固着される。シース94は、シース94に固着されたアクチュエータボタン95を有する。シース94は、シース94と遠位シール部材100との間に液密シールを有する遠位シール部材100の前後でその遠位部分を摺動させ、シース94とシールポスト96の遠位部分との間に(当分野でよく知られるような)液密シール102を有するシールポスト96の遠位部分の前後でその近位部分を摺動させるように構成される。シース94、遠位シール100、および近位ハンドルシール102は、補綴具配置前に構成される、中心部材の遠位シール/停止部100と中心部材98のハンドル端のハンドルシール96との間に延在する、シースに沿う長さ(Lfc)を有する流体チャンバを生成する。
【0039】
図15Bは、補綴具が配置された位置までシースが格納された図15Aの実施形態を示す。図15Bでは、シース94が格納され、収容された自己拡張型補綴具がそれにより配置されるときに、流体(非圧縮性液体)カラムが、遠位シール/停止部100がハンドル92に向かって移動することを防止する静的圧縮部材として作用するため、シース94が移動しても流体チャンバ長(Lfc)は変化しない。
【0040】
本明細書で述べる任意の実施形態で述べるどの特徴も、本明細書で述べる任意の他の実施形態の任意の他の1つまたは複数の特徴と組み合わされる。さらに、本明細書で開示されるデバイスおよび方法の変形例および修正例は、当業者に容易に明らかになるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己拡張型補綴具搬送システムであって、
近位端部分および遠位端部分を有する外側管状構造体であって、前記遠位端部分は自己拡張型補綴具を受入れるように構成される外側管状構造体と、
ガイドワイヤに追従し、ハンドルに固着された近位端部分および第1のシール部材に固着された遠位端部分を有し、前記外側管状構造体内に配設されるように構成された内側管状部材であって、前記内側管状部材の少なくとも一部分が前記外側管状構造体に対して一定位置に保持されながら、前記外側管状構造体の少なくとも一部分が格納されるように、前記外側管状構造体の少なくとも一部分は前記内側管状部材に対して可動であり、前記外側管状構造体および前記内側管状部材が、第1および第2の端部を有する流体充填可能空間を形成するように、互いから半径方向に離間している内側管状部材と、を備え、
前記第1のシール部材は、前記流体充填可能空間の前記第1の端部を流体的に密閉するために、前記遠位端部分に近位の場所で前記内側管状部材にしっかり固定され、前記第1のシール部材は、前記内側管状部材から前記外側管状構造体まで延在し、前記外側管状構造体と密閉係合状態にあり、
前記流体充填可能空間の前記第2の端部を流体的に密閉するために、前記ハンドルによって形成される前記流体充填可能空間の前記第2の端部に配列された第2のシールを備え、
前記外側管状構造体、前記内側管状部材、前記第1のシール部材、および前記第2のシールは定容積を有するチャンバを形成し、該定容積は、前記外側管状構造体の前記可動部分が前記内側管状部材に対して格納されるときに一定のままである、
ことを特徴とする自己拡張型補綴具搬送システム。
【請求項2】
前記流体充填可能空間は、前記流体充填可能空間を裏打ちするブラダーを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ブラダーは、前記内側管状部材に対して可動である前記外側管状構造体に接触して前記ブラダーの外側表面に沿う少なくとも2つの長手方向移動適応拡張セクションを含み、それにより、前記ブラダーの前記外側表面の可動部分と前記少なくとも2つの長手方向移動適応セクションとの間の摺動なしで、こうした長手方向移動に適応する、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記流体充填可能空間は液体で充填される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記液体は生理食塩水である、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記外側管状構造体から延在し、前記流体充填可能空間に流体結合した流体入口ポートをさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記入口ポートに結合した流体源をさらに含む、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記流体充填可能空間は、前記内側管状部材および前記外側管状構造体に平行でかつ前記内側管状部材と前記外側管状構造体との間に延在する別の管状部材を有さない、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記内側管状部材の前記遠位端部分の領域内で前記外側管状構造体内に配設され、前記第1のシールに当接する補綴具をさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記補綴具はステントである、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記補綴具はステントグラフトである、
請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記外側管状構造体、前記内側管状部材、ならびに前記第1のシールおよび前記第2のシールは、流体充填可能チャンバを形成し、前記流体充填可能チャンバは、配置構成において、前記補綴具を配置するために前記外側管状構造体の少なくとも一部分が前記内側管状部材に対して移動するときに一定長を有する、
請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記外側管状構造体、前記内側管状部材、ならびに前記第1のシールおよび前記第2のシールは、流体充填可能チャンバを形成し、前記流体充填可能チャンバが液体で充填されるときに前記外側管状構造体から補綴具を配置するのに十分な距離だけ前記外側管状構造体を格納する間、前記流体充填可能チャンバの長さが一定である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
補綴具搬送システムであって、
外側管状構造体と、
ガイドワイヤに追従し、ハンドルに固着された近位端部分および遠位端部分を有し、前記外側管状構造体内に配設されるように構成された内側管状部材であって、前記内側管状部材が一定位置に保持されながら、前記外側管状構造体の少なくとも一部分が格納されるように、前記外側管状構造体の少なくとも一部分は前記内側管状部材に対して可動であり、前記外側管状構造体および前記内側管状部材は、第1および第2の密閉可能な端部を有する流体充填可能空間を形成するために、互いから半径方向に離間する、内側管状部材と、
前記流体充填可能空間に流体を充填するために、前記外側管状構造体から延在し、前記流体充填可能空間に流体結合するチューブと、を備えている、
ことを特徴とする補綴具搬送システム。
【請求項15】
前記流体充填可能空間の一端を流体的に密閉するために、前記遠位端部分に近位の場所で前記内側管状部材にしっかり固定された第1のシールをさらに含み、前記第1のシールは、前記内側管状部材から前記外側管状構造体まで延在し、前記外側管状構造体と密閉係合状態にあり、前記第1のシールは、前記内側管状部材の前記遠位端部分に面する第1の表面および前記流体充填可能空間に面する第2の表面を有する、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記流体充填可能空間の前記第2の端部を流体的に密閉するために、前記流体充填可能空間の前記第2の端部において前記ハンドルの一部として第2のシールをさらに含む、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記内側管状部材の遠位端部分の領域内で前記外側管状構造体内に配設される補綴具をさらに含む、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
密閉可能端部は密閉され、前記外側管状構造体、前記内側管状部材、および密閉された端部は、流体充填可能チャンバを形成し、前記流体充填可能チャンバは、前記補綴具を配置するために前記外側管状構造体の少なくとも一部分が前記内側管状部材に対して移動するときに一定長を有する、
請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
人の部位に管腔内デリバリシステムを管腔内的に位置決めする方法であって、
患者の管腔内の所望の部位に補綴具保持デリバリ部材を管腔内的に進めることであって、前記補綴具保持デリバリ部材は、その間に流体充填可能空間を形成する第1の管状構造体および第2の管状構造体、ならびに、前記第1の管状構造体に結合し、前記流体充填可能空間の一端に位置決めされた停止部を備え、前記第1の管状構造体は、近位端部分および遠位端部分を有し、前記補綴具は前記遠位端部分の領域にあり、前記停止部は前記補綴具の近位にあり、前記補綴具保持デリバリ部材は、前記管状構造体の一方から半径方向に延在し、前記第1の管状構造体と前記第2の管状構造体との間にシールを形成し、前記第1の管状構造体の前記近位端は管腔内デリバリシステムのハンドルによって形成される、管腔内的に進めること、および、
前記補綴具を露出させるために、前記第2の管状構造体の少なくとも一部分を引出しながら、流体カラムによって前記流体充填可能空間から前記停止部へ圧力を印加すること、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記停止部は、前記補綴具を露出させるために前記第2の管状構造体の少なくとも一部分が引出されるときに、前記第1の管状構造体に対して軸方向に固着して維持される、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記流体充填可能空間は、前記第1および第2の管状構造体によって部分的に形成されるチャンバ内にあり、前記補綴具を露出させるために前記第2の管状構造体の少なくとも一部分が引出されるときに前記チャンバの長さを変えない、
請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記流体充填可能空間は、前記補綴具保持デリバリ部材を所望の部位まで管腔内的に進める前に、液体で充填される、
請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記流体充填可能空間は、前記デリバリ部材が所望の部位まで進められた後に、液体で充填される、
請求項19に記載の方法。
【請求項24】
補綴具搬送システムであって、
外側管状構造体と、
ガイドワイヤに追従し、ハンドルに固着された近位端部分および第1のシール部材に固着された遠位端部分を有し、前記外側管状構造体内に配設されるように構成された内側管状部材であって、前記内側管状部材が一定位置に保持されながら、前記外側管状構造体の少なくとも一部分が格納されるように、前記外側管状構造体の少なくとも一部分は前記内側管状部材に対して可動であり、前記外側管状構造体および前記内側管状部材は、第1および第2の端部を有する流体充填可能空間を形成するために、互いから半径方向に離間する、内側管状部材と、
前記内側管状部材から前記外側管状構造体まで延在し、前記外側管状構造体に摺動接触状態にある第1のシールであって、前記内側管状部材の前記遠位端部分に面する第1の表面および前記流体充填可能空間に面する第2の表面を有する、第1のシールと、前記流体充填可能空間の前記第2の端部用の閉じた支持構造体として作用するため前記流体充填可能空間の前記第2の端部に配列された第2のシールとの間で前記流体充填可能空間を流体的に密閉するために、前記外側管状構造体内でかつ前記内側管状部材の外側に位置決めされた環状ブラダーとを備えている、
ことを特徴とする補綴具搬送システム。
【請求項25】
前記環状ブラダーは、前記ブラダーの軸方向伸張および収縮を可能にするために、前記ブラダーの内壁および外壁上に波形セクションを含む、
請求項24に記載の補綴具搬送システム。
【請求項26】
前記ブラダーは、前記内側管状部材に対して可動である前記外側管状構造体に接触して前記ブラダーの外側表面に沿う少なくとも2つの長手方向移動適応拡張セクションを含み、それにより、前記ブラダーの前記外側表面の可動部分と前記少なくとも2つの長手方向移動適応セクションとの間の摺動なしで、こうした長手方向移動に適応する、
請求項24に記載の補綴具搬送システム。
【請求項27】
補綴具搬送システムであって、
近位端および遠位端を有し、前記近位端と前記遠位端との間にガイドワイヤ通路を有する内側管状部材(14)であって、前記内側管状部材(14)の前記遠位端は遠位停止部(18)に固着され、前記内側管状部材の前記近位端はハンドル(26)に固着される、内側管状部材(14)と、
近位端および遠位端を有する管状シース(12)であって、前記シースの近位端は前記ハンドルに摺動可能に結合し、前記シースの少なくとも一部分は、前記内側管状部材および前記遠位停止部の一部分を囲みかつ前記一部分に対して摺動可能であり、配置前の構成において、自己拡張型補綴具は、前記遠位停止部の遠位で前記シースの前記遠位端内に圧縮されたデリバリ構成で保持され、それにより、前記シースを格納すると、前記遠位停止部は、前記自己拡張型補綴具の格納を阻止し、それにより、前記自己拡張型補綴具を、前記シースの前記遠位端から配置し放出させる、管状シース(12)とを備え、
前記遠位停止部、前記管状シース、および前記ハンドルは、前記内側管状部材が通過する実質的に液密の流体充填可能チャンバを、前記遠位停止部と前記ハンドルとの間で前記シース内に作成するサイズに作られおよび構成され、加圧された非圧縮性流体は、前記実質的に液密の流体充填可能チャンバを充填し、それにより、前記自己拡張型補綴具を配置させるために前記シースが格納されるときに、前記遠位停止部から前記ハンドルまで圧縮性負荷が伝達される、
ことを特徴とする補綴具搬送システム。
【請求項28】
前記実質的に液密の流体充填可能チャンバは、弁を通して加圧された流体源に接続される、
請求項27に記載の補綴具搬送システム。
【請求項29】
前記実質的に液密の流体充填可能チャンバは、前記加圧された非圧縮性流体を収容する環状ブラダー裏打ちを含む、
請求項27に記載の補綴具搬送システム。
【請求項30】
前記実質的に液密の流体充填可能チャンバは、前記加圧された非圧縮性流体を収容する環状ブラダー裏打ちを含む、
請求項28に記載の補綴具搬送システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【公表番号】特表2012−520123(P2012−520123A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554069(P2011−554069)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/024938
【国際公開番号】WO2010/104666
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511126109)メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】