補間フレーム生成装置及びフレームレート変換装置
【課題】推定ベクトルを出力位置に応じて平行移動する際に、動きの境界を跨ぐ場合に誤補間による破綻が発生するのを防ぐことができる補間フレーム生成装置及びフレームレート変換装置を提供することである。
【解決手段】ベクトルゲイン調整部3は、入力される前後フレーム間における所定の時間位置に中間フレームを生成するための動きベクトルのゲインを調整する。第2のベクトル平行移動部4は、ゲイン調整された動きベクトルを入力し、その動きベクトルを先の中間フレームとは異なる補間予定の第2の中間フレームの補間しようとする画素上に平行移動する。第2の補間画素ペア選択部5は、平行移動された動きベクトルを用いて、入力される前後フレームの各データから画素ペアを選択する。補間フレーム生成部7は、破綻が生じる状況において、第2の補間画素ペア選択部5からの画素のペアを用いて補間処理を行い、補間フレームを生成する。
【解決手段】ベクトルゲイン調整部3は、入力される前後フレーム間における所定の時間位置に中間フレームを生成するための動きベクトルのゲインを調整する。第2のベクトル平行移動部4は、ゲイン調整された動きベクトルを入力し、その動きベクトルを先の中間フレームとは異なる補間予定の第2の中間フレームの補間しようとする画素上に平行移動する。第2の補間画素ペア選択部5は、平行移動された動きベクトルを用いて、入力される前後フレームの各データから画素ペアを選択する。補間フレーム生成部7は、破綻が生じる状況において、第2の補間画素ペア選択部5からの画素のペアを用いて補間処理を行い、補間フレームを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画フレーム間のベクトルを推定して補間フレームを生成する補間フレーム生成装置及びこれを用いたフレームレート変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、1秒間に例えば60枚の映像を表示する表示装置において、1秒間に倍速の120枚の映像を表示できる表示装置が開発されている。これは、60枚の原画フレームから、前後2枚の原画フレーム間で中間の映像フレーム(補間フレームという)を作成して120枚にして表示するものである。このような変換をフレームレート変換処理と呼ぶ。
【0003】
フレームレート変換処理における動きベクトルの推定方法には、前後の原画フレーム間でオブジェクトの動くベクトルを推定して求める方法と、前後の原画フレーム間に設ける補間フレーム上の座標を基準として補間フレーム上の補間位置を対称点として点対称に前後の原画フレーム上をサーチしてオブジェクトの動き検出をして点対称位置の前後の原画フレーム上の対応する位置を結ぶベクトルを求める方法がある。
【0004】
後者の方法で前後の原画フレームの中央位置を対称点として求めたベクトルを用いて原画フレーム間の時間軸上の任意の出力位置に補間フレームを生成するには、推定ベクトルを出力位置に応じて平行移動する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置では、推定ベクトルを平行移動する際に、例えば動いている背景と静止している前景の境界(即ち動きの境界)を跨ぐように平行移動した場合に誤補間による破綻が発生する問題がある。つまり、推定ベクトルを平行移動させると、平行移動先で実際のベクトルの向きが変わってしまっていることがあり、このようなときに破綻が生じてしまう。
【特許文献1】特開2007−82030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記の問題に鑑み、前後の原画フレーム間の指定位置を対称点として求めたベクトルを用いて原画フレーム間の時間方向の任意の出力位置に補間フレームを生成する際に、推定ベクトルを出力位置に応じて平行移動するとき、そのベクトルが動きの境界を跨ぐ場合に誤補間による破綻が発生するのを防ぐことができる補間フレーム生成装置及びフレームレート変換装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、入力される2枚の連続する前後フレーム間における所定の時間位置に中間フレームを生成するための動きベクトルを入力し、その動きベクトルを前記中間フレームとは時間位置の異なる補間予定の第2の中間フレームの補間しようとする画素上に平行移動する第1のベクトル平行移動部と、前記第1のベクトル平行移動部からの平行移動された動きベクトルを用いて、入力される前記前後フレームの各データから画素ペアを選択する第1の補間画素ペア選択部と、入力される前記動きベクトルのゲインを調整するベクトルゲイン調整部と、前記ベクトルゲイン調整部からのゲイン調整された動きベクトルを入力し、その動きベクトルを前記中間フレームとは時間位置の異なる補間予定の前記第2の中間フレームの補間しようとする画素上に平行移動する第2のベクトル平行移動部と、前記第2のベクトル平行移動部からの平行移動された動きベクトルを用いて、入力される前記前後フレームの各データから画素ペアを選択する第2の補間画素ペア選択部と、前記第1の補間画素ペア選択部からの画素ペア出力と前記第2の補間画素ペア選択部からの画素ペア出力のいずれか一方を選択する第3の補間画素ペア選択部と、前記第3の補間画素ペア選択部の出力として得られる画素のペアを用いて補間処理を行い、補間フレームを生成する補間フレーム生成部と、を具備することを特徴とする補間フレーム生成装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、推定ベクトルを出力位置に応じて平行移動する際に、動きの境界を跨ぐ場合に誤補間による破綻が発生するのを防ぐことが可能な補間フレーム生成装置及びフレームレート変換装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1乃至図3、及び図9乃至図12を参照して、本発明の実施形態を説明する前に、図4乃至図8を参照して、本発明の関連技術を説明する。
図4は原画フレーム間で動きベクトルを推定する方法の例を示し、図5は補間フレームを基準に動きベクトルを推定する方法の例を示している。
【0010】
フレームレート変換処理における動きベクトルの推定方法には、図4に示すように、前後の原画フレーム間のベクトルとして求める方法と、図5に示すように、補間フレーム上の座標を基準として補間位置を対称点とした前後の原画フレーム上の点対称位置を結ぶベクトルを求める方法がある。
【0011】
フレームレート変換技術の一つとして、図5の方法を用いて、補間フレーム上の補間画素に対して点対称の位置にある前後フレーム上の画素のペアを求めて利用する手法がある。この画素ペア探索によって画素補間を行うフレームレート変換技術に対して有効である。
【0012】
補間フレーム上の補間画素を時間的に通過する画素が、前後フレームのどの画素に対応するのかを、動きベクトル探索手法を用いて求める。この動きベクトルを探索する手法自体は特に限定されないが、補間画素に対して点対称の位置には必ず前後フレームの画素が存在することを利用すると効率がよい。補間画素に対して、複数の組の、前フレームの画素と後フレームの画素がそれぞれ点対称の位置にある。このような前後フレームの画素の組み合わせを複数検出し、組み合わせ画素間の差異が一番小さい組み合わせ画素同士を結ぶ直線を動きベクトルとして探索することが一例として挙げることができる。
【0013】
ところで、図5に示す方法で前後の原画フレームの中央位置を対称点として求めたベクトルを用いて原画フレーム間の時間方向の任意の出力位置(出力タイミング)に補間フレームを生成するには、特許文献1に述べられているように推定ベクトルを出力位置に応じて平行移動する方法がある。
【0014】
図6乃至図8は特許文献1に述べられたフレームレート変換装置において前後フレーム間の時間距離が1対1でない補間フレーム作成時の問題及びその補間フレーム作成時における平行移動の例を示している。Hはフレームの水平方向、Vはフレームの垂直方向、時間はフレーム時間方向を指している。
【0015】
図6は前後フレーム301,303間の時間距離がα:β(但しα≠β)にある補間フレーム302上の補間画素305と点対称の位置にある前後フレーム301,303上の画素304,306との関係を立体的に(水平H,垂直V,時間)に表現した図である。図7は図6における水平Hと時間によって平面的に表現した図、図8は推定ベクトルを平行移動した例を示す図である。
【0016】
フレームレート変換技術を前フレーム画像と後フレーム画像との時間距離が1対1(即ち中央位置)でない補間フレーム作成に適用した場合、補間フレーム上の補間画素と点対称の位置に前後フレーム上の画素が存在しないという状況(問題)が発生する。これを、図6を用いて説明する。
【0017】
前フレーム301、後フレーム303に対して時間距離がα対β(α:β≠1:1)にある補間フレーム302上の補間画素305と点対称の位置にある前後フレーム上の画素は、図6及び図7に図示した画素304,306のように、元々前フレーム301及び後フレーム303内に存在しない画素となってしまう。このような場合、前後フレーム301,303内に元々存在する画素を補間処理して動きベクトル探索に必要な精細度まで解像度を高めた上で、画素ペアの探索を行う必要があるが、先行技術の特許文献1では、動きベクトル探索前に画素の補間処理を行う必要がなく、原画フレーム間の中央位置でのフレーム上の補間画素の推定ベクトルを求め、これを補間フレーム上に平行移動することによって簡易な処理で高画質なフレームレート変換を行っている。
【0018】
特許文献1の先行技術の原理について図8を参照して説明する。
本先行技術では、まず、前後フレームに対する補間フレームの時間距離が1:1であるか否かに関わらず、常に時間距離が1対1にあるフレーム上の画素の動きベクトルを求めている。図8に示すように、前フレーム501と後フレーム503との間の時間距離がα(=5)対β(=1)になるような補間フレーム502の補間画素504の動きベクトルを求める際には、そのフレーム上の画素の動きベクトルとして、上記の前後フレームから時間距離が1対1にある補間フレーム上であって補間画素504と同一空間位置の画素505の動きベクトルを探索して動きベクトル506を求め、その動きベクトルと平行なベクトルであって補間画素504を通過する動きベクトル507を、補間画素504の動きベクトルとして設定する。
【0019】
動きベクトルの平行移動、すなわちベクトル値の変換を行うと、補間に用いる前フレーム501上の画素と後フレーム上の画素503が、図8に図示した画素P及び画素Nのように画素と画素との間の画素の存在しない位置(即ち画素間の境界部分)に移動してしまうことがあるが、この場合には、周囲画素の画素値を用いて擬似的な画素である擬似画素508及び擬似画素509を作成する。そして、擬似画素508及び擬似画素509に基づいて補間フレーム502上の補間画素504を作成する。補間画素504の値は擬似画素508,509の各値の和をα,βの逆比を用いることによって算出することができる。補間フレーム502上の全ての画素について補間画素504と同様の作成手法で作成すればその補間画素の集まりが補間フレームとなる。そして補間フレームを前後フレーム間に追加することで映像信号のフレームレートを変換することができる。
【0020】
なお、上述のとおり、本先行技術においては、動きベクトル探索自体及び画素補間自体に関し、その手法について特に限定されていない。また、図7及び図8では、動きベクトルの水平方向Hへの平行移動について説明しているが、動きベクトルの垂直方向Vへの平行移動によって補間画素504を作成することもできる。
以上述べた特許文献1による前後のフレーム間の時間軸上の任意の位置に補間フレームを作成することによってフレームレート変換処理を行うフレームレート変換技術は、下記のような分野に応用することができる。
【0021】
テレビジョン受信装置では通常は1秒間に60枚のインタレースで放送されているテレビジョン信号を60Hzで表示するが、60枚の映像の中から中間の映像を作成して120枚にフレーム数を増やして表示する受信装置が増えている。このようにテレビジョンでは120Hzで表示するものがあるが、例えば映画素材では本来24Hzで表示するものがある。このような映画素材を120Hzの表示のテレビジョン受信装置で表示する場合には、24Hzでのコマとコマの間に4枚の補間フレームを作成して5倍のフレーム数にすると、120Hzになる。こういう場合は、原画フレーム間に4枚のフレームを内挿することになる。本発明は、原画フレーム間に複数枚の補間フレームを生成して追加(内挿)し、複数倍のフレーム数にするフレームレート変換処理に応用することができる。
【0022】
ところが、特許文献1の技術では、平行移動の際に、動きの境界をまたいだ場合に誤補間による破綻が発生することは既に述べた通りである。本発明はこの誤補間を軽減するものである。
そこで、本発明の実施形態のフレームレート変換処理では、推定ベクトルの平行移動前にベクトルのゲインを調整することにより、上述の破綻を軽減し、誤補間を軽減できるようにしたものである。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態の補間フレーム生成装置を含むフレームレート変換装置のブロック図を示している。
図1に示す補間フレーム生成装置10は、第1のベクトル平行移動部としての第1の平行移動部1と、第1の補間画素ペア選択部2と、ベクトルゲイン調整部としてのゲイン調整部3と、第2のベクトル平行移動部としての第2の平行移動部4と、第2の補間画素ペア選択部5と、第3の補間画素ペア選択部6と、補間フレーム生成部7と、を備えている。ゲイン調整部3と、第2の平行移動部4と、第2の補間画素ペア選択部5とは、上述の破綻を軽減するための手段である。
【0024】
なお、前後フレーム間の時間距離を表すのに、前フレームの時間位置を0とし、後フレームの時間位置を1とすると、前後フレーム間の時間距離は1となる。これに伴い、前フレームをFrame0とし、後フレームをFrame1とし、前後フレーム間の中央位置に相当する中間フレームをFrame0.5と表すことにする。
【0025】
第1の平行移動部1は、入力される2枚の連続する前後フレーム(Frame0, Frame1)間における所定の時間位置(前後フレーム間の時間距離における所定の位置の意)に中間フレーム(例えば中央位置に相当する中間フレームFrame0.5)を生成するための動きベクトルを入力し、その動きベクトルを所定の時間位置の中間フレーム(Frame0.5)とは時間位置の異なる補間予定の第2の中間フレームの補間しようとする画素上に平行移動する。なお、入力される動きベクトルは、動きベクトル探索手法を用いて求めることができる。
【0026】
第1の補間画素ペア選択部2は、第1の平行移動部1からの平行移動された動きベクトルを用いて、入力される前後フレーム(Frame0, Frame1)の各データから画素ペアを選択する。
ゲイン調整部3は、入力される動きベクトルのゲインを調整する。ここでのゲイン調整は、前後フレーム間での画像の動き量が大きいことに基づく破綻を防ぐために動き量を小さくすること、即ち前後フレーム間の動きベクトル(図8参照)の傾きを上げる(起きる)方向に変えるためのもので、ゲインの値を0と1との間で下げるように調整を行うことになる。
【0027】
第2の平行移動部4は、ゲイン調整部3からのゲイン調整された動きベクトルを入力し、その動きベクトルを中間フレーム(Frame0.5)とは時間位置の異なる実際に補間する予定の第2の中間フレームの補間しようとする画素上に平行移動する。
第2の補間画素ペア選択部5は、第2の平行移動部4からの平行移動された動きベクトルを用いて、入力される前後フレーム(Frame0, Frame1)の各データから画素ペアを選択する。
【0028】
第3の補間画素ペア選択部6は、上述の破綻が生じる状況か否かに応じて、第1の補間画素ペア選択部2からの画素ペア出力か第2の補間画素ペア選択部5からの画素ペア出力かのいずれか一方の出力を選択する。
補間フレーム生成部7は、第3の補間画素ペア選択部6の出力として得られる画素のペアを用いて補間処理を行い、補間フレームを生成する。補間フレーム生成部7では、誤補間が軽減された補間フレームを得ることが可能となる。
【0029】
上記の構成で、入力される動きベクトルは、入力される前後フレーム(Frame0, Frame1)間の所定の時間位置例えば中央位置にある補間フレーム(Frame0.5)を生成するためのベクトルである。
また、図1に示すフレームレート変換装置20は、入力される2枚の前後フレーム(Frame0, Frame1)間の時間距離における予め定めた少なくとも1つの時間位置に補間フレームを生成する補間フレーム生成装置10と、入力される前後フレーム(Frame0, Frame1)間の少なくとも1つの時間位置に、補間フレーム生成装置10で生成された少なくとも1つの補間フレームを追加してフレームレートを変換した出力を得るフレームレート変換部11と、を備えて構成されている。
【0030】
以下に第1の実施形態の動作を説明する。
この実施形態には、入力ベクトルとして、前後の原画フレーム(Frame0, Frame1)の中央位置に補間フレーム(Frame0.5)を生成するための動きベクトルが入力する。
補間に使用する前後フレームの画素ペアは、動きベクトルに応じて選択されるが、原画フレーム間の任意の出力位置に補間フレームを生成するために、第1の平行移動部1において、動きベクトルの値に応じて平行移動した位置の画素ペアの座標を算出する。
【0031】
補間位置を (x,y)として、入力ベクトルを(Vx, Vy)とする。このときベクトル(Vx, Vy)の定義は図5に示したものとする。このとき原画フレーム(Frame0, Frame1)の中央位置に補間フレーム(Frame0.5)を生成する場合には、
前フレームの
( x−Vx,y−Vy ) ……… (式1)
の位置の画素と、
後フレームの
( x + Vx,y + Vy ) ……… (式2)
の位置の画素が選択されるが、任意の出力位置に補間フレームを生成する場合には、第1の平行移動部1によって、(式1), (式2)の座標を平行移動した、
前フレームの
{ x−Vx + ( 0.5−α )×2×Vx, y−Vy + ( 0.5−α )×2×Vy } … (式3)
および後フレームの
{ x + Vx + ( 0.5−α )×2×Vx,y + Vy + ( 0.5−α )×2×Vy } … (式4)
の座標を算出する。
【0032】
ここでのαは前フレーム位置を0として後フレーム位置を1.0とした場合の出力位置で、0〜1.0の値を持つものである。(図6乃至図8の特許文献1の場合ではαとβとで補間フレームの出力位置を表しているが、図1乃至図5、図9乃至図11ではαのみで補間フレームの出力位置を表している。)
第1の補間画素ペア選択部2は、第1の平行移動部1において算出された座標の画素値を本実施形態(図1)に入力する前後フレーム(Frame0, Frame1)の原画データから選択する。
【0033】
ゲイン調整部3は本実施形態(図1)に入力する動きベクトルの値に対してゲイン調整をする。ゲイン調整値としては、実使用上 0〜1の値を乗算することを想定している。
例えば 入力ベクトルが(Vx, Vy) = (20, -10) であって、0.5倍でゲイン調整を行うと、ゲイン調整部3の出力は、(10, -5)となる。
【0034】
第2の平行移動部4は、ゲイン調整部3の出力ベクトルに対して、第1の平行移動部1と同様の処理を施して、補間のために選択する前後フレームの座標を算出する。
第2の補間画素ペア選択部5は、第2の平行移動部4で算出された座標の画素値を本実施形態(図1)に入力する前後フレームの原画データ(Frame0, Frame1)から選択する。
第3の補間画素ペア選択部6は、第1の補間画素ペア選択部2の画素ペア出力と第2の補間画素ペア選択部5の画素ペア出力のうちの一方の出力を選択する。上述の破綻が生じる可能性が大きいときは第2の補間画素ペア選択部5の画素ペア出力を選択する。
【0035】
補間フレーム生成部7は、第3の補間画素ペア選択部6で選択された画素ペアを用いて補間画素を生成する。
生成の際には、出力位置αに応じて重み付けをしてもよい。例えば以下の式のように重み付けする方法がある。
Frame0データ×(1−α) + Frame1データ×α ……… (式5)
第1の実施形態によれば、推定ベクトルの平行移動前にベクトルのゲインを調整することにより、上述の破綻を軽減し、誤補間を軽減することができる。
【0036】
[第2の実施形態]
図2は本発明の第2の実施形態の補間フレーム生成装置を含むフレームレート変換装置のブロック図を示している。
本第2の実施形態は、第1の実施形態に第4の補間画素ペア選択部8および補間画素ペア選択判定部9を加えたものである。
【0037】
第4の補間画素ペア選択部8は、前後フレーム(Frame0, Frame1)間の例えば中央位置にある補間フレーム(Frame0.5)を生成するための動きベクトルを用いて、入力される前後フレーム (Frame0, Frame1)の各データから画素ペアを選択する。つまり、第4の補間画素ペア選択部8は、入力するベクトルによって前述の(式1)、(式2)で算出される座標の画素値を、入力する前後フレーム(Frame0, Frame1)の原画データから選択する。
【0038】
補間画素ペア選択判定部9は、第1の補間画素ペア選択部2と第2の補間画素ペア選択部5と第4の補間画素ペア選択部8からの各画素ペア出力を用いて、第3の補間画素ペア選択部6において第1の補間画素ペア選択部2の出力と第2の補間画素ペア選択部5の出力との2つの入力のうちどちらを選択するかを判断する。
【0039】
図3は図2の補間画素ペア選択判定部9の構成例のブロック図を示している。
補間画素ペア選択判定部9は、第1の補間画素ペア選択部2の画素ペア出力の2つの画素値の差分絶対値sub1を算出する減算器91及び絶対値化部92と、第2の補間画素ペア選択部5の画素ペア出力の2つの画素値の差分絶対値sub2を算出する減算器93及び絶対値化部94と、第4の補間画素ペア選択部8の画素ペア出力の2つの画素値の差分絶対値sub4を算出する減算器95及び絶対値化部96と、各差分絶対値sub1,sub2,sub4各々を各々の閾値tht1, tht2, tht4と比較し、それらの比較結果に基づいて第1の補間画素ペア選択部の画素ペア出力を選択するか第2の補間画素ペア選択部の画素ペア出力を選択するかを判定する判定部97と、を備えている。
【0040】
このように構成された補間画素ペア選択判定部9において、第4の補間画素ペア選択部8の出力として得られる前フレームデータと後フレームデータのペアの差分を算出しその絶対値をsub4とし、第1の補間画素ペア選択部2の出力として得られる前フレームデータと後フレームデータのペアの差分を算出しその絶対値をsub1とし、第2の補間画素ペア選択部5の出力として得られる前フレームデータと後フレームデータのペアの差分を算出しその絶対値をsub2とし、これらsub4,sub1,sub2に対して閾値tht4, tht1, tht2を指定して以下のように判定をする。
sub4 が tht4よりも小さくて、かつ、sub1がtht1よりも大きくて、かつ、sub2がtht2よりも小さい、即ち
sub4 < tht4 かつ sub1 > tht1 かつ sub2 < tht2 …… 条件A
という条件Aが成立する場合には第2の補間画素ペア選択部5の出力を選択し、条件Aが成立しない場合には、第1の補間画素ペア選択部2の出力を選択する動作を行う。
【0041】
次に、sub4, sub1, sub2それぞれに対して、条件Aが意味するところは、
(1) 入力ベクトルは正しいものが入力している (sub4<tht4)
(2) 出力位置に応じて平行移動すると、平行移動先のベクトルとして不適切である (sub1>tht1)
(3) 平行移動前にベクトルのゲインを下げると、適切なベクトルとして使用できる (sub2<tht2)
ベクトルのゲインを下げることにより、ベクトルの精度が下がり解像度劣化が起こりうるが、そのかわり感覚的に目に付く孤立的な破綻をさけることができる。
【0042】
以下に、図9乃至図12の説明図を参照して、平行移動した場合に生じる不具合と、ゲイン調整部3におけるゲイン調整値に関して具体的に説明する。
図9乃至図11はゲイン調整なしで平行移動した場合の不具合を説明する図、図12はゲイン調整後の平行移動及びゲイン調整値の求め方を説明する図である。
【0043】
図9のように背景が右へ移動して前景が静止している条件を仮定する。
このとき図10のように背景ベクトルの平行移動によって原画フレームFrame1の画素位置BがB’へ移動する際に前景の位置をまたぐ場合がある。
【0044】
このとき補間後に図11のような破綻が発生する場合がある。つまり、図10のように平行移動中に画素位置Bが背景と前景の境界をまたぐ場合が生じると、図11のように補間後に前景と背景で補間することによって起こる破綻が生じる。
【0045】
しかし、図12のようにゲイン調整した後に平行移動することによって、誤補間による大きな破綻を防ぐことができる。図12で、符号aは平行移動前の前後フレーム(Frame0, Frame1)間における中央位置の補間フレーム(Frame0.5)上の画素を前後フレーム(Frame0, Frame1)間の任意の位置例えば出力位置(Frame0.2)へ平行移動する場合に、まず、動きベクトルaの傾きをゲイン調整しベクトルaの傾きを起こすことによって(即ちゲインを下げることによって)、点線にて示すベクトルbのようにし、その後にベクトルbを平行移動してベクトルbの補間フレーム(Frame0.5)上の画素b1が補間予定の補間フレーム(Frame0.2)上の対応画素c1に重なるように平行移動を行う。これによって平行移動後のベクトルcの前後フレーム(Frame0, Frame1)上の画素(A’,B’)の値を算出し、その算出された画素(A’,B’)の2つの値と前後フレーム(Frame0, Frame1)間の出力位置(Frame0.2)の逆比との関係から画素c1の値を求めることができる。
【0046】
従って、平行移動前のゲイン調整によって図12のように平行移動後のB’がBを超えないようにすれば、前景と背景の間で補間することによって発生する大きな破綻はなくなる。そのかわりベクトルの精度が下がることによる解像度劣化は起こり得るが、大きな破綻の発生に比べれば小さな劣化で済む。
【0047】
このときに必要な条件であるゲイン値をGとすると、図12の状態が成立するためには(式1)〜(式4)から、
G <1 /( 1 + abs(0.5−α)×2 ) ………(式6)
となる。absは絶対値をとることを意味する。
【0048】
第2の実施形態によれば、前後フレーム間の動きベクトルが大きく、平行移動の際に破綻が発生する状況となっても、この状況を判断してゲイン調整を行うことによって破綻の発生を抑えることが可能となる。
以上述べたように、本発明を用いることによって、フレームレート変換の際の破綻を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態の補間フレーム生成装置を含むフレームレート変換装置のブロック図。
【図2】本発明の第2の実施形態の補間フレーム生成装置を含むフレームレート変換装置のブロック図。
【図3】図2の補間画素ペア選択判定部の構成例を示す図。
【図4】原画フレーム間で動きベクトルを推定する方法の例を示す図。
【図5】補間フレームを基準に動きベクトルを推定する方法の例を示す図。
【図6】前後フレーム間の時間距離がα:β(但しα≠β)にある補間フレーム上の補間画素と点対称の位置にある前後フレーム上の画素との関係を立体的(水平H,垂直V,時間)に表現した図。
【図7】図6における水平Hと時間によって平面的に表現した図。
【図8】特許文献1の技術において、推定ベクトルを平行移動した例を示す図。
【図9】ゲイン調整なしで平行移動した場合の不具合を説明する図。
【図10】ゲイン調整なしで平行移動した場合の不具合を説明する図。
【図11】ゲイン調整なしで平行移動した場合の不具合を説明する図。
【図12】ゲイン調整後の平行移動及びゲイン調整値の求め方を説明する図。
【符号の説明】
【0050】
1…第1の平行移動部(第1のベクトル平行移動部)
2…第1の補間画素ペア選択部
3…ゲイン調整部(ベクトルゲイン調整部)
4…第2の平行移動部(第2のベクトル平行移動部)
5…第2の補間画素ペア選択部
6…第3の補間画素ペア選択部
7…補間フレーム生成部
8…第4の補間画素ペア選択部
9…補間画素ペア選択判定部
10,10A…補間フレーム生成装置
20,20A…フレームレート変換装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画フレーム間のベクトルを推定して補間フレームを生成する補間フレーム生成装置及びこれを用いたフレームレート変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、1秒間に例えば60枚の映像を表示する表示装置において、1秒間に倍速の120枚の映像を表示できる表示装置が開発されている。これは、60枚の原画フレームから、前後2枚の原画フレーム間で中間の映像フレーム(補間フレームという)を作成して120枚にして表示するものである。このような変換をフレームレート変換処理と呼ぶ。
【0003】
フレームレート変換処理における動きベクトルの推定方法には、前後の原画フレーム間でオブジェクトの動くベクトルを推定して求める方法と、前後の原画フレーム間に設ける補間フレーム上の座標を基準として補間フレーム上の補間位置を対称点として点対称に前後の原画フレーム上をサーチしてオブジェクトの動き検出をして点対称位置の前後の原画フレーム上の対応する位置を結ぶベクトルを求める方法がある。
【0004】
後者の方法で前後の原画フレームの中央位置を対称点として求めたベクトルを用いて原画フレーム間の時間軸上の任意の出力位置に補間フレームを生成するには、推定ベクトルを出力位置に応じて平行移動する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置では、推定ベクトルを平行移動する際に、例えば動いている背景と静止している前景の境界(即ち動きの境界)を跨ぐように平行移動した場合に誤補間による破綻が発生する問題がある。つまり、推定ベクトルを平行移動させると、平行移動先で実際のベクトルの向きが変わってしまっていることがあり、このようなときに破綻が生じてしまう。
【特許文献1】特開2007−82030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記の問題に鑑み、前後の原画フレーム間の指定位置を対称点として求めたベクトルを用いて原画フレーム間の時間方向の任意の出力位置に補間フレームを生成する際に、推定ベクトルを出力位置に応じて平行移動するとき、そのベクトルが動きの境界を跨ぐ場合に誤補間による破綻が発生するのを防ぐことができる補間フレーム生成装置及びフレームレート変換装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、入力される2枚の連続する前後フレーム間における所定の時間位置に中間フレームを生成するための動きベクトルを入力し、その動きベクトルを前記中間フレームとは時間位置の異なる補間予定の第2の中間フレームの補間しようとする画素上に平行移動する第1のベクトル平行移動部と、前記第1のベクトル平行移動部からの平行移動された動きベクトルを用いて、入力される前記前後フレームの各データから画素ペアを選択する第1の補間画素ペア選択部と、入力される前記動きベクトルのゲインを調整するベクトルゲイン調整部と、前記ベクトルゲイン調整部からのゲイン調整された動きベクトルを入力し、その動きベクトルを前記中間フレームとは時間位置の異なる補間予定の前記第2の中間フレームの補間しようとする画素上に平行移動する第2のベクトル平行移動部と、前記第2のベクトル平行移動部からの平行移動された動きベクトルを用いて、入力される前記前後フレームの各データから画素ペアを選択する第2の補間画素ペア選択部と、前記第1の補間画素ペア選択部からの画素ペア出力と前記第2の補間画素ペア選択部からの画素ペア出力のいずれか一方を選択する第3の補間画素ペア選択部と、前記第3の補間画素ペア選択部の出力として得られる画素のペアを用いて補間処理を行い、補間フレームを生成する補間フレーム生成部と、を具備することを特徴とする補間フレーム生成装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、推定ベクトルを出力位置に応じて平行移動する際に、動きの境界を跨ぐ場合に誤補間による破綻が発生するのを防ぐことが可能な補間フレーム生成装置及びフレームレート変換装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1乃至図3、及び図9乃至図12を参照して、本発明の実施形態を説明する前に、図4乃至図8を参照して、本発明の関連技術を説明する。
図4は原画フレーム間で動きベクトルを推定する方法の例を示し、図5は補間フレームを基準に動きベクトルを推定する方法の例を示している。
【0010】
フレームレート変換処理における動きベクトルの推定方法には、図4に示すように、前後の原画フレーム間のベクトルとして求める方法と、図5に示すように、補間フレーム上の座標を基準として補間位置を対称点とした前後の原画フレーム上の点対称位置を結ぶベクトルを求める方法がある。
【0011】
フレームレート変換技術の一つとして、図5の方法を用いて、補間フレーム上の補間画素に対して点対称の位置にある前後フレーム上の画素のペアを求めて利用する手法がある。この画素ペア探索によって画素補間を行うフレームレート変換技術に対して有効である。
【0012】
補間フレーム上の補間画素を時間的に通過する画素が、前後フレームのどの画素に対応するのかを、動きベクトル探索手法を用いて求める。この動きベクトルを探索する手法自体は特に限定されないが、補間画素に対して点対称の位置には必ず前後フレームの画素が存在することを利用すると効率がよい。補間画素に対して、複数の組の、前フレームの画素と後フレームの画素がそれぞれ点対称の位置にある。このような前後フレームの画素の組み合わせを複数検出し、組み合わせ画素間の差異が一番小さい組み合わせ画素同士を結ぶ直線を動きベクトルとして探索することが一例として挙げることができる。
【0013】
ところで、図5に示す方法で前後の原画フレームの中央位置を対称点として求めたベクトルを用いて原画フレーム間の時間方向の任意の出力位置(出力タイミング)に補間フレームを生成するには、特許文献1に述べられているように推定ベクトルを出力位置に応じて平行移動する方法がある。
【0014】
図6乃至図8は特許文献1に述べられたフレームレート変換装置において前後フレーム間の時間距離が1対1でない補間フレーム作成時の問題及びその補間フレーム作成時における平行移動の例を示している。Hはフレームの水平方向、Vはフレームの垂直方向、時間はフレーム時間方向を指している。
【0015】
図6は前後フレーム301,303間の時間距離がα:β(但しα≠β)にある補間フレーム302上の補間画素305と点対称の位置にある前後フレーム301,303上の画素304,306との関係を立体的に(水平H,垂直V,時間)に表現した図である。図7は図6における水平Hと時間によって平面的に表現した図、図8は推定ベクトルを平行移動した例を示す図である。
【0016】
フレームレート変換技術を前フレーム画像と後フレーム画像との時間距離が1対1(即ち中央位置)でない補間フレーム作成に適用した場合、補間フレーム上の補間画素と点対称の位置に前後フレーム上の画素が存在しないという状況(問題)が発生する。これを、図6を用いて説明する。
【0017】
前フレーム301、後フレーム303に対して時間距離がα対β(α:β≠1:1)にある補間フレーム302上の補間画素305と点対称の位置にある前後フレーム上の画素は、図6及び図7に図示した画素304,306のように、元々前フレーム301及び後フレーム303内に存在しない画素となってしまう。このような場合、前後フレーム301,303内に元々存在する画素を補間処理して動きベクトル探索に必要な精細度まで解像度を高めた上で、画素ペアの探索を行う必要があるが、先行技術の特許文献1では、動きベクトル探索前に画素の補間処理を行う必要がなく、原画フレーム間の中央位置でのフレーム上の補間画素の推定ベクトルを求め、これを補間フレーム上に平行移動することによって簡易な処理で高画質なフレームレート変換を行っている。
【0018】
特許文献1の先行技術の原理について図8を参照して説明する。
本先行技術では、まず、前後フレームに対する補間フレームの時間距離が1:1であるか否かに関わらず、常に時間距離が1対1にあるフレーム上の画素の動きベクトルを求めている。図8に示すように、前フレーム501と後フレーム503との間の時間距離がα(=5)対β(=1)になるような補間フレーム502の補間画素504の動きベクトルを求める際には、そのフレーム上の画素の動きベクトルとして、上記の前後フレームから時間距離が1対1にある補間フレーム上であって補間画素504と同一空間位置の画素505の動きベクトルを探索して動きベクトル506を求め、その動きベクトルと平行なベクトルであって補間画素504を通過する動きベクトル507を、補間画素504の動きベクトルとして設定する。
【0019】
動きベクトルの平行移動、すなわちベクトル値の変換を行うと、補間に用いる前フレーム501上の画素と後フレーム上の画素503が、図8に図示した画素P及び画素Nのように画素と画素との間の画素の存在しない位置(即ち画素間の境界部分)に移動してしまうことがあるが、この場合には、周囲画素の画素値を用いて擬似的な画素である擬似画素508及び擬似画素509を作成する。そして、擬似画素508及び擬似画素509に基づいて補間フレーム502上の補間画素504を作成する。補間画素504の値は擬似画素508,509の各値の和をα,βの逆比を用いることによって算出することができる。補間フレーム502上の全ての画素について補間画素504と同様の作成手法で作成すればその補間画素の集まりが補間フレームとなる。そして補間フレームを前後フレーム間に追加することで映像信号のフレームレートを変換することができる。
【0020】
なお、上述のとおり、本先行技術においては、動きベクトル探索自体及び画素補間自体に関し、その手法について特に限定されていない。また、図7及び図8では、動きベクトルの水平方向Hへの平行移動について説明しているが、動きベクトルの垂直方向Vへの平行移動によって補間画素504を作成することもできる。
以上述べた特許文献1による前後のフレーム間の時間軸上の任意の位置に補間フレームを作成することによってフレームレート変換処理を行うフレームレート変換技術は、下記のような分野に応用することができる。
【0021】
テレビジョン受信装置では通常は1秒間に60枚のインタレースで放送されているテレビジョン信号を60Hzで表示するが、60枚の映像の中から中間の映像を作成して120枚にフレーム数を増やして表示する受信装置が増えている。このようにテレビジョンでは120Hzで表示するものがあるが、例えば映画素材では本来24Hzで表示するものがある。このような映画素材を120Hzの表示のテレビジョン受信装置で表示する場合には、24Hzでのコマとコマの間に4枚の補間フレームを作成して5倍のフレーム数にすると、120Hzになる。こういう場合は、原画フレーム間に4枚のフレームを内挿することになる。本発明は、原画フレーム間に複数枚の補間フレームを生成して追加(内挿)し、複数倍のフレーム数にするフレームレート変換処理に応用することができる。
【0022】
ところが、特許文献1の技術では、平行移動の際に、動きの境界をまたいだ場合に誤補間による破綻が発生することは既に述べた通りである。本発明はこの誤補間を軽減するものである。
そこで、本発明の実施形態のフレームレート変換処理では、推定ベクトルの平行移動前にベクトルのゲインを調整することにより、上述の破綻を軽減し、誤補間を軽減できるようにしたものである。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態の補間フレーム生成装置を含むフレームレート変換装置のブロック図を示している。
図1に示す補間フレーム生成装置10は、第1のベクトル平行移動部としての第1の平行移動部1と、第1の補間画素ペア選択部2と、ベクトルゲイン調整部としてのゲイン調整部3と、第2のベクトル平行移動部としての第2の平行移動部4と、第2の補間画素ペア選択部5と、第3の補間画素ペア選択部6と、補間フレーム生成部7と、を備えている。ゲイン調整部3と、第2の平行移動部4と、第2の補間画素ペア選択部5とは、上述の破綻を軽減するための手段である。
【0024】
なお、前後フレーム間の時間距離を表すのに、前フレームの時間位置を0とし、後フレームの時間位置を1とすると、前後フレーム間の時間距離は1となる。これに伴い、前フレームをFrame0とし、後フレームをFrame1とし、前後フレーム間の中央位置に相当する中間フレームをFrame0.5と表すことにする。
【0025】
第1の平行移動部1は、入力される2枚の連続する前後フレーム(Frame0, Frame1)間における所定の時間位置(前後フレーム間の時間距離における所定の位置の意)に中間フレーム(例えば中央位置に相当する中間フレームFrame0.5)を生成するための動きベクトルを入力し、その動きベクトルを所定の時間位置の中間フレーム(Frame0.5)とは時間位置の異なる補間予定の第2の中間フレームの補間しようとする画素上に平行移動する。なお、入力される動きベクトルは、動きベクトル探索手法を用いて求めることができる。
【0026】
第1の補間画素ペア選択部2は、第1の平行移動部1からの平行移動された動きベクトルを用いて、入力される前後フレーム(Frame0, Frame1)の各データから画素ペアを選択する。
ゲイン調整部3は、入力される動きベクトルのゲインを調整する。ここでのゲイン調整は、前後フレーム間での画像の動き量が大きいことに基づく破綻を防ぐために動き量を小さくすること、即ち前後フレーム間の動きベクトル(図8参照)の傾きを上げる(起きる)方向に変えるためのもので、ゲインの値を0と1との間で下げるように調整を行うことになる。
【0027】
第2の平行移動部4は、ゲイン調整部3からのゲイン調整された動きベクトルを入力し、その動きベクトルを中間フレーム(Frame0.5)とは時間位置の異なる実際に補間する予定の第2の中間フレームの補間しようとする画素上に平行移動する。
第2の補間画素ペア選択部5は、第2の平行移動部4からの平行移動された動きベクトルを用いて、入力される前後フレーム(Frame0, Frame1)の各データから画素ペアを選択する。
【0028】
第3の補間画素ペア選択部6は、上述の破綻が生じる状況か否かに応じて、第1の補間画素ペア選択部2からの画素ペア出力か第2の補間画素ペア選択部5からの画素ペア出力かのいずれか一方の出力を選択する。
補間フレーム生成部7は、第3の補間画素ペア選択部6の出力として得られる画素のペアを用いて補間処理を行い、補間フレームを生成する。補間フレーム生成部7では、誤補間が軽減された補間フレームを得ることが可能となる。
【0029】
上記の構成で、入力される動きベクトルは、入力される前後フレーム(Frame0, Frame1)間の所定の時間位置例えば中央位置にある補間フレーム(Frame0.5)を生成するためのベクトルである。
また、図1に示すフレームレート変換装置20は、入力される2枚の前後フレーム(Frame0, Frame1)間の時間距離における予め定めた少なくとも1つの時間位置に補間フレームを生成する補間フレーム生成装置10と、入力される前後フレーム(Frame0, Frame1)間の少なくとも1つの時間位置に、補間フレーム生成装置10で生成された少なくとも1つの補間フレームを追加してフレームレートを変換した出力を得るフレームレート変換部11と、を備えて構成されている。
【0030】
以下に第1の実施形態の動作を説明する。
この実施形態には、入力ベクトルとして、前後の原画フレーム(Frame0, Frame1)の中央位置に補間フレーム(Frame0.5)を生成するための動きベクトルが入力する。
補間に使用する前後フレームの画素ペアは、動きベクトルに応じて選択されるが、原画フレーム間の任意の出力位置に補間フレームを生成するために、第1の平行移動部1において、動きベクトルの値に応じて平行移動した位置の画素ペアの座標を算出する。
【0031】
補間位置を (x,y)として、入力ベクトルを(Vx, Vy)とする。このときベクトル(Vx, Vy)の定義は図5に示したものとする。このとき原画フレーム(Frame0, Frame1)の中央位置に補間フレーム(Frame0.5)を生成する場合には、
前フレームの
( x−Vx,y−Vy ) ……… (式1)
の位置の画素と、
後フレームの
( x + Vx,y + Vy ) ……… (式2)
の位置の画素が選択されるが、任意の出力位置に補間フレームを生成する場合には、第1の平行移動部1によって、(式1), (式2)の座標を平行移動した、
前フレームの
{ x−Vx + ( 0.5−α )×2×Vx, y−Vy + ( 0.5−α )×2×Vy } … (式3)
および後フレームの
{ x + Vx + ( 0.5−α )×2×Vx,y + Vy + ( 0.5−α )×2×Vy } … (式4)
の座標を算出する。
【0032】
ここでのαは前フレーム位置を0として後フレーム位置を1.0とした場合の出力位置で、0〜1.0の値を持つものである。(図6乃至図8の特許文献1の場合ではαとβとで補間フレームの出力位置を表しているが、図1乃至図5、図9乃至図11ではαのみで補間フレームの出力位置を表している。)
第1の補間画素ペア選択部2は、第1の平行移動部1において算出された座標の画素値を本実施形態(図1)に入力する前後フレーム(Frame0, Frame1)の原画データから選択する。
【0033】
ゲイン調整部3は本実施形態(図1)に入力する動きベクトルの値に対してゲイン調整をする。ゲイン調整値としては、実使用上 0〜1の値を乗算することを想定している。
例えば 入力ベクトルが(Vx, Vy) = (20, -10) であって、0.5倍でゲイン調整を行うと、ゲイン調整部3の出力は、(10, -5)となる。
【0034】
第2の平行移動部4は、ゲイン調整部3の出力ベクトルに対して、第1の平行移動部1と同様の処理を施して、補間のために選択する前後フレームの座標を算出する。
第2の補間画素ペア選択部5は、第2の平行移動部4で算出された座標の画素値を本実施形態(図1)に入力する前後フレームの原画データ(Frame0, Frame1)から選択する。
第3の補間画素ペア選択部6は、第1の補間画素ペア選択部2の画素ペア出力と第2の補間画素ペア選択部5の画素ペア出力のうちの一方の出力を選択する。上述の破綻が生じる可能性が大きいときは第2の補間画素ペア選択部5の画素ペア出力を選択する。
【0035】
補間フレーム生成部7は、第3の補間画素ペア選択部6で選択された画素ペアを用いて補間画素を生成する。
生成の際には、出力位置αに応じて重み付けをしてもよい。例えば以下の式のように重み付けする方法がある。
Frame0データ×(1−α) + Frame1データ×α ……… (式5)
第1の実施形態によれば、推定ベクトルの平行移動前にベクトルのゲインを調整することにより、上述の破綻を軽減し、誤補間を軽減することができる。
【0036】
[第2の実施形態]
図2は本発明の第2の実施形態の補間フレーム生成装置を含むフレームレート変換装置のブロック図を示している。
本第2の実施形態は、第1の実施形態に第4の補間画素ペア選択部8および補間画素ペア選択判定部9を加えたものである。
【0037】
第4の補間画素ペア選択部8は、前後フレーム(Frame0, Frame1)間の例えば中央位置にある補間フレーム(Frame0.5)を生成するための動きベクトルを用いて、入力される前後フレーム (Frame0, Frame1)の各データから画素ペアを選択する。つまり、第4の補間画素ペア選択部8は、入力するベクトルによって前述の(式1)、(式2)で算出される座標の画素値を、入力する前後フレーム(Frame0, Frame1)の原画データから選択する。
【0038】
補間画素ペア選択判定部9は、第1の補間画素ペア選択部2と第2の補間画素ペア選択部5と第4の補間画素ペア選択部8からの各画素ペア出力を用いて、第3の補間画素ペア選択部6において第1の補間画素ペア選択部2の出力と第2の補間画素ペア選択部5の出力との2つの入力のうちどちらを選択するかを判断する。
【0039】
図3は図2の補間画素ペア選択判定部9の構成例のブロック図を示している。
補間画素ペア選択判定部9は、第1の補間画素ペア選択部2の画素ペア出力の2つの画素値の差分絶対値sub1を算出する減算器91及び絶対値化部92と、第2の補間画素ペア選択部5の画素ペア出力の2つの画素値の差分絶対値sub2を算出する減算器93及び絶対値化部94と、第4の補間画素ペア選択部8の画素ペア出力の2つの画素値の差分絶対値sub4を算出する減算器95及び絶対値化部96と、各差分絶対値sub1,sub2,sub4各々を各々の閾値tht1, tht2, tht4と比較し、それらの比較結果に基づいて第1の補間画素ペア選択部の画素ペア出力を選択するか第2の補間画素ペア選択部の画素ペア出力を選択するかを判定する判定部97と、を備えている。
【0040】
このように構成された補間画素ペア選択判定部9において、第4の補間画素ペア選択部8の出力として得られる前フレームデータと後フレームデータのペアの差分を算出しその絶対値をsub4とし、第1の補間画素ペア選択部2の出力として得られる前フレームデータと後フレームデータのペアの差分を算出しその絶対値をsub1とし、第2の補間画素ペア選択部5の出力として得られる前フレームデータと後フレームデータのペアの差分を算出しその絶対値をsub2とし、これらsub4,sub1,sub2に対して閾値tht4, tht1, tht2を指定して以下のように判定をする。
sub4 が tht4よりも小さくて、かつ、sub1がtht1よりも大きくて、かつ、sub2がtht2よりも小さい、即ち
sub4 < tht4 かつ sub1 > tht1 かつ sub2 < tht2 …… 条件A
という条件Aが成立する場合には第2の補間画素ペア選択部5の出力を選択し、条件Aが成立しない場合には、第1の補間画素ペア選択部2の出力を選択する動作を行う。
【0041】
次に、sub4, sub1, sub2それぞれに対して、条件Aが意味するところは、
(1) 入力ベクトルは正しいものが入力している (sub4<tht4)
(2) 出力位置に応じて平行移動すると、平行移動先のベクトルとして不適切である (sub1>tht1)
(3) 平行移動前にベクトルのゲインを下げると、適切なベクトルとして使用できる (sub2<tht2)
ベクトルのゲインを下げることにより、ベクトルの精度が下がり解像度劣化が起こりうるが、そのかわり感覚的に目に付く孤立的な破綻をさけることができる。
【0042】
以下に、図9乃至図12の説明図を参照して、平行移動した場合に生じる不具合と、ゲイン調整部3におけるゲイン調整値に関して具体的に説明する。
図9乃至図11はゲイン調整なしで平行移動した場合の不具合を説明する図、図12はゲイン調整後の平行移動及びゲイン調整値の求め方を説明する図である。
【0043】
図9のように背景が右へ移動して前景が静止している条件を仮定する。
このとき図10のように背景ベクトルの平行移動によって原画フレームFrame1の画素位置BがB’へ移動する際に前景の位置をまたぐ場合がある。
【0044】
このとき補間後に図11のような破綻が発生する場合がある。つまり、図10のように平行移動中に画素位置Bが背景と前景の境界をまたぐ場合が生じると、図11のように補間後に前景と背景で補間することによって起こる破綻が生じる。
【0045】
しかし、図12のようにゲイン調整した後に平行移動することによって、誤補間による大きな破綻を防ぐことができる。図12で、符号aは平行移動前の前後フレーム(Frame0, Frame1)間における中央位置の補間フレーム(Frame0.5)上の画素を前後フレーム(Frame0, Frame1)間の任意の位置例えば出力位置(Frame0.2)へ平行移動する場合に、まず、動きベクトルaの傾きをゲイン調整しベクトルaの傾きを起こすことによって(即ちゲインを下げることによって)、点線にて示すベクトルbのようにし、その後にベクトルbを平行移動してベクトルbの補間フレーム(Frame0.5)上の画素b1が補間予定の補間フレーム(Frame0.2)上の対応画素c1に重なるように平行移動を行う。これによって平行移動後のベクトルcの前後フレーム(Frame0, Frame1)上の画素(A’,B’)の値を算出し、その算出された画素(A’,B’)の2つの値と前後フレーム(Frame0, Frame1)間の出力位置(Frame0.2)の逆比との関係から画素c1の値を求めることができる。
【0046】
従って、平行移動前のゲイン調整によって図12のように平行移動後のB’がBを超えないようにすれば、前景と背景の間で補間することによって発生する大きな破綻はなくなる。そのかわりベクトルの精度が下がることによる解像度劣化は起こり得るが、大きな破綻の発生に比べれば小さな劣化で済む。
【0047】
このときに必要な条件であるゲイン値をGとすると、図12の状態が成立するためには(式1)〜(式4)から、
G <1 /( 1 + abs(0.5−α)×2 ) ………(式6)
となる。absは絶対値をとることを意味する。
【0048】
第2の実施形態によれば、前後フレーム間の動きベクトルが大きく、平行移動の際に破綻が発生する状況となっても、この状況を判断してゲイン調整を行うことによって破綻の発生を抑えることが可能となる。
以上述べたように、本発明を用いることによって、フレームレート変換の際の破綻を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態の補間フレーム生成装置を含むフレームレート変換装置のブロック図。
【図2】本発明の第2の実施形態の補間フレーム生成装置を含むフレームレート変換装置のブロック図。
【図3】図2の補間画素ペア選択判定部の構成例を示す図。
【図4】原画フレーム間で動きベクトルを推定する方法の例を示す図。
【図5】補間フレームを基準に動きベクトルを推定する方法の例を示す図。
【図6】前後フレーム間の時間距離がα:β(但しα≠β)にある補間フレーム上の補間画素と点対称の位置にある前後フレーム上の画素との関係を立体的(水平H,垂直V,時間)に表現した図。
【図7】図6における水平Hと時間によって平面的に表現した図。
【図8】特許文献1の技術において、推定ベクトルを平行移動した例を示す図。
【図9】ゲイン調整なしで平行移動した場合の不具合を説明する図。
【図10】ゲイン調整なしで平行移動した場合の不具合を説明する図。
【図11】ゲイン調整なしで平行移動した場合の不具合を説明する図。
【図12】ゲイン調整後の平行移動及びゲイン調整値の求め方を説明する図。
【符号の説明】
【0050】
1…第1の平行移動部(第1のベクトル平行移動部)
2…第1の補間画素ペア選択部
3…ゲイン調整部(ベクトルゲイン調整部)
4…第2の平行移動部(第2のベクトル平行移動部)
5…第2の補間画素ペア選択部
6…第3の補間画素ペア選択部
7…補間フレーム生成部
8…第4の補間画素ペア選択部
9…補間画素ペア選択判定部
10,10A…補間フレーム生成装置
20,20A…フレームレート変換装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される2枚の連続する前後フレーム間における所定の時間位置に中間フレームを生成するための動きベクトルを入力し、その動きベクトルを前記中間フレームとは時間位置の異なる補間予定の第2の中間フレームの補間しようとする画素上に平行移動する第1のベクトル平行移動部と、
前記第1のベクトル平行移動部からの平行移動された動きベクトルを用いて、入力される前記前後フレームの各データから画素ペアを選択する第1の補間画素ペア選択部と、
入力される前記動きベクトルのゲインを調整するベクトルゲイン調整部と、
前記ベクトルゲイン調整部からのゲイン調整された動きベクトルを入力し、その動きベクトルを前記中間フレームとは時間位置の異なる補間予定の前記第2の中間フレームの補間しようとする画素上に平行移動する第2のベクトル平行移動部と、
前記第2のベクトル平行移動部からの平行移動された動きベクトルを用いて、入力される前記前後フレームの各データから画素ペアを選択する第2の補間画素ペア選択部と、
前記第1の補間画素ペア選択部からの画素ペア出力と前記第2の補間画素ペア選択部からの画素ペア出力のいずれか一方を選択する第3の補間画素ペア選択部と、
前記第3の補間画素ペア選択部の出力として得られる画素のペアを用いて補間処理を行い、補間フレームを生成する補間フレーム生成部と、
を具備することを特徴とする補間フレーム生成装置。
【請求項2】
入力される前記動きベクトルを用いて、入力される前記前後フレームの各データから画素ペアを選択する第4の補間画素ペア選択部と、
前記第1の補間画素ペア選択部と前記第2の補間画素ペア選択部と前記第4の補間画素ペア選択部からの各画素ペア出力を用いて、前記第3の補間画素ペア選択部において2つの入力のいずれかを選択するかを判定する補間画素ペア選択判定部と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1の補間フレーム生成装置。
【請求項3】
前記補間画素ペア選択判定部は、
前記第1の補間画素ペア選択部の画素ペア出力の2つの画素値の差分絶対値をsub1とし、
前記第2の補間画素ペア選択部の画素ペア出力の2つの画素値の差分絶対値をsub2とし、
前記第4の補間画素ペア選択部の画素ペア出力の2つの画素値の差分絶対値をsub4とし、
これらsub1,sub2,sub4に対して定める閾値をそれぞれtht1, tht2, tht4とした場合に、
sub1 > tht1 かつ sub2 < tht2 かつ sub4 < tht4
の関係が成立する場合には前記第2の補間画素ペア選択部の画素ペア出力を選択し、
そうでない場合は前記第1の補間画素ペア選択部の画素ペア出力を選択することを特徴とする請求項2の補間フレーム生成装置。
【請求項4】
入力される前記動きベクトルは、入力される前記前後フレーム間の中央位置にある補間フレームを生成するためのベクトルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の補間フレーム生成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の補間フレーム生成装置と、
入力される前記前後フレーム間の少なくとも1つの時間位置に前記補間フレーム生成装置で生成された少なくとも1つの補間フレームを追加してフレームレートを変換した出力を得るフレームレート変換部と、
を具備したことを特徴とするフレームレート変換装置。
【請求項1】
入力される2枚の連続する前後フレーム間における所定の時間位置に中間フレームを生成するための動きベクトルを入力し、その動きベクトルを前記中間フレームとは時間位置の異なる補間予定の第2の中間フレームの補間しようとする画素上に平行移動する第1のベクトル平行移動部と、
前記第1のベクトル平行移動部からの平行移動された動きベクトルを用いて、入力される前記前後フレームの各データから画素ペアを選択する第1の補間画素ペア選択部と、
入力される前記動きベクトルのゲインを調整するベクトルゲイン調整部と、
前記ベクトルゲイン調整部からのゲイン調整された動きベクトルを入力し、その動きベクトルを前記中間フレームとは時間位置の異なる補間予定の前記第2の中間フレームの補間しようとする画素上に平行移動する第2のベクトル平行移動部と、
前記第2のベクトル平行移動部からの平行移動された動きベクトルを用いて、入力される前記前後フレームの各データから画素ペアを選択する第2の補間画素ペア選択部と、
前記第1の補間画素ペア選択部からの画素ペア出力と前記第2の補間画素ペア選択部からの画素ペア出力のいずれか一方を選択する第3の補間画素ペア選択部と、
前記第3の補間画素ペア選択部の出力として得られる画素のペアを用いて補間処理を行い、補間フレームを生成する補間フレーム生成部と、
を具備することを特徴とする補間フレーム生成装置。
【請求項2】
入力される前記動きベクトルを用いて、入力される前記前後フレームの各データから画素ペアを選択する第4の補間画素ペア選択部と、
前記第1の補間画素ペア選択部と前記第2の補間画素ペア選択部と前記第4の補間画素ペア選択部からの各画素ペア出力を用いて、前記第3の補間画素ペア選択部において2つの入力のいずれかを選択するかを判定する補間画素ペア選択判定部と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1の補間フレーム生成装置。
【請求項3】
前記補間画素ペア選択判定部は、
前記第1の補間画素ペア選択部の画素ペア出力の2つの画素値の差分絶対値をsub1とし、
前記第2の補間画素ペア選択部の画素ペア出力の2つの画素値の差分絶対値をsub2とし、
前記第4の補間画素ペア選択部の画素ペア出力の2つの画素値の差分絶対値をsub4とし、
これらsub1,sub2,sub4に対して定める閾値をそれぞれtht1, tht2, tht4とした場合に、
sub1 > tht1 かつ sub2 < tht2 かつ sub4 < tht4
の関係が成立する場合には前記第2の補間画素ペア選択部の画素ペア出力を選択し、
そうでない場合は前記第1の補間画素ペア選択部の画素ペア出力を選択することを特徴とする請求項2の補間フレーム生成装置。
【請求項4】
入力される前記動きベクトルは、入力される前記前後フレーム間の中央位置にある補間フレームを生成するためのベクトルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の補間フレーム生成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の補間フレーム生成装置と、
入力される前記前後フレーム間の少なくとも1つの時間位置に前記補間フレーム生成装置で生成された少なくとも1つの補間フレームを追加してフレームレートを変換した出力を得るフレームレート変換部と、
を具備したことを特徴とするフレームレート変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−41212(P2010−41212A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199833(P2008−199833)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】
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