説明

製パン用油脂組成物

【課題】 パンの風味、食感を低下させず、油脂の物性に悪影響を及ぼさないで、しかもパンの老化を効果的に遅延し、ソフトで口溶けの良いパンを得ることができる製パン用油脂組成物を提供する。
【解決手段】 食用油脂100質量部にα-アミラーゼ0.01〜2質量部およびβ-アミラーゼ0.01〜2質量部を含有した製パン用油脂組成物であって、α-アミラーゼは至適温度が75〜85℃で失活温度が90〜100℃であり、β-アミラーゼは至適温度が45〜55℃で失活温度が60〜70℃であることを特徴とする製パン用油脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素を使用することで食感がソフトで、かつ澱粉の老化を遅らせることでソフトな食感が長く保持されるパン類を製造することができる製パン用油脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
パン生地の調整時には、ショートニング、マーガリン等の油脂組成物が練り込まれ、パンの風味、食感を豊かなものとしている。一般に製パン用油脂組成物に使用される食用油脂は、牛脂、豚脂、魚油、パーム油、菜種油、大豆油等の天然の動植物油脂、及びこれらの硬化油、極度硬化油等である。
パンは老化し易く焼成後経時的に硬化する、あるいはパサツクなど品質が劣化するため焼成後出来るだけ早く消費されることが望ましい。しかし、現在の生産・流通条件、あるいは消費者の消費形態において、いわゆる大量生産型のパンでは消費者の口に入るまでのタイムラグがあるために一定期間前記の品質劣化を抑制する技術の開発が望まれ、様々な方法により、パンをソフトにする方法が提案されている。
【0003】
パンをソフトにする方法として、脂肪酸モノグリセリド等の乳化剤を生地に添加する方法が知られているが、乳化剤の添加量が多いと食品の風味を損なう恐れがある。そのため、乳化剤の食品への添加量には制限があり、この結果、充分な老化防止が図れないという問題があった。そこで、乳化剤の添加とともに酵素や澱粉、増粘多糖類などを添加する方法が知られている。
【0004】
しかしながら、澱粉などの食品素材を油脂に組み込んで、製パン改良効果を明確に得るためには、油脂中1%以上の添加が必要となり、油脂の物性に悪影響を及ぼす可能性がある(特許文献1、2)。また、増粘多糖類などの添加物を油脂に組み込む場合、油脂中1%未満で製パン効果が得られる場合もあるが、増粘多糖類特有のくちゃついた食感が焼成したパンにも影響を与え、良好な食感のパンが得られにくくなる(特許文献3)。
【0005】
パンをソフトにし、老化を抑制する目的で、食用油脂と脂肪酸モノグリセリドを含む油相を、有機酸モノグリセリド、pH調整剤、蔗糖脂肪酸エステル及び糖アルコールを含有する乳化剤相に添加して乳化し、これにα−アミラーゼ、糖アルコール及びデンプンを含む水相を添加し、急冷捏和して得た水中油型乳化油脂組成物(特許文献4)や、α−アミラーゼを含む糖類及び、又は多価アルコール水溶液が界面活性剤を使用して油脂中に油中水型に乳化した組成物(特許文献5)等が提案されている。しかし、依然として十分な老化抑制効果は得られておらず、また使用したα―アミラーゼの影響で製パン作業時にパン生地がべたつき作業性が低下する場合がある。
また、活性温度の高いα−アミラーゼを使用する方法も提案されており、製パン時の作業性は改善されているが、活性温度の高いα−アミラーゼや乳化剤の使用のみではパンのソフト化、老化抑制効果は十分ではない(特許文献6)。
【特許文献1】特開2005−28809
【特許文献2】特願平2−339939
【特許文献3】特願2004−164829
【特許文献4】特開平6−337176
【特許文献5】特開昭61−63232
【特許文献6】特開2002−13808
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、パンの風味、食感を低下させず、油脂の物性に悪影響を及ぼさないで、しかも作業性が良好で、パンの老化を効果的に遅延し、ソフトで口溶けの良いパンを得ることができる製パン用油脂組成物の開発が望まれていた。
【0007】
本発明では、至適温度が75〜85℃、失活温度が90〜100℃であるα−アミラーゼと、至適温度が45〜55℃、失活温度が60〜70℃であるβ−アミラーゼを組み合わせることで、焼成時に広い温度帯で澱粉を分解することができ、それにより焼成後のパンの老化が効果的に遅延され、ソフト感が長期間持続することを見い出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の発明である。
(1)食用油脂100質量部にα-アミラーゼ0.01〜2質量部およびβ-アミラーゼ0.01〜2質量部を含有した製パン用油脂組成物であって、α-アミラーゼは至適温度が75〜85℃で失活温度が90〜100℃であり、β-アミラーゼは至適温度が45〜55℃で失活温度が60〜70℃であることを特徴とする製パン用油脂組成物。
(2)前記(1)の製パン用油脂組成物を使用して製造されたパン類。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、特定の温度活性を有するα-アミラーゼとβ-アミラーゼを使用することで、広い温度帯でパン生地中の澱粉を分解することができる製パン用油脂組成物を提供することであり、長期間ソフトさを維持するパンを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、食用油脂に特定の範囲の至適温度と失活温度を有するα−アミラーゼ、及びβ−アミラーゼを含有する製パン用油脂組成物である。
本発明の製パン用油脂組成物はパン生地に練り込まれて使用される。製パン工程において製パン用油脂組成物を練り込んだパン生地は発酵後に、150〜250℃の温度で加熱され焼成されることになる。焼成時にパン生地の温度は少しずつ上昇し、最終温度に達する。
本発明の製パン用油脂組成物は、至適温度が75〜85℃で、失活温度が90〜100℃のα−アミラーゼ及び、至適温度が45〜55℃で、失活温度が60〜70℃のβ-アミラーゼを含むものである。
パンの焼成の初めにおいて、温度が50℃程度になると、まず至適温度が低いβ−アミラーゼが働きパン生地中に含まれるアミロースをマルトース単位で分解する。パンの温度が上昇し、温度が80℃程度になると今後はα−アミラーゼが働き、澱粉粒中のアミロペクチンを分解する。さらに温度が上昇すると、α−アミラーゼの失活温度以上となり、α−アミラーゼは活性を失う。
このように本発明の製パン用油脂組成物は、パンの焼成時において、β−アミラーゼとα−アミラーゼをパン生地に連続的に作用させることができ、幅広い温度で酵素を作用させアミロース、アミロペクチンを効率よく分解させることができる。
【0011】
(α-アミラーゼ)
本発明において使用するα−アミラーゼは、至適温度が75〜85℃、失活温度が90〜100℃であるα-アミラーゼであり、Bacillus等の細菌由来、Malt等の穀物由来、及びAspergillus等のカビ由来のいずれも用いることができる。また、α−アミラーゼは、1種のみならず2種類以上を組み合わせることができる。
本発明において、α−アミラーゼを至適温度が75〜85℃のα−アミラーゼとすることにより、後述するβ−アミラーゼをパン生地に作用させた後、連続的にα−アミラーゼを作用させることができる。α−アミラーゼの至適温度が75℃より低いα−アミラーゼを使用した場合、75℃以上の高温域での澱粉への作用が十分でなくなり、焼成したパンの老化抑制効果が低下する。なお、本発明の油脂組成物に含まれるα−アミラーゼの失活温度は90〜100℃であることから、加熱による製パンの最終時には完全に失活し、焼成後にパン中の澱粉が分解されることはない。
【0012】
本発明の油脂組成物において、α−アミラーゼの含有量は使用されるパンの種類、小麦粉の種類、或いはα−アミラーゼの活性により異なるが、通常油脂組成物100質量部に対し、0.01〜2質量部であり、0.05〜0.5質量部が好ましい。0.01質量部未満であると十分な老化防止効果が得られず、2質量部を超えると生地物性が低下し、さらに得られるパン製品の食感が低下する。
例えばα−アミラーゼの場合、製パン用油脂組成物中からパン生地中へ添加される活性量が小麦粉100kgあたり50000〜200000SKB(SKBは酵素の活性単位)の範囲である場合に本発明の効果が最大となり、パン生地に配合される油脂組成物の量を基礎に含有量が設計されることになる。
【0013】
(β−アミラーゼ)
本発明において使用するβ−アミラーゼは、至適温度が45〜55℃、失活温度が60〜70℃であるβ−アミラーゼであり、大豆由来、小麦由来、大麦由来のいずれも用いることができる。また、β−アミラーゼは、1種のみならず2種類以上を組み合わせることができる。
本発明においてβ−アミラーゼを至適温度が45〜55℃のβ−アミラーゼとすることにより、パン生地に油脂組成物に含まれるα−アミラーゼが作用する前に、β−アミラーゼを作用させることができる。β−アミラーゼが作用したパン生地にα−アミラーゼを作用させることにより長時間澱粉分解時間が得られることとなる。なお、本発明の油脂組成物に含まれるβ−アミラーゼの失活温度は45〜55℃であることから、α−アミラーゼが作用する温度では失活することになる。
至適温度が45℃に達しないβ−アミラーゼを使用すると、製パン工程の発酵等の工程で酵素が作用し、パン生地のべたつきが生じるおそれがある。
【0014】
本発明の油脂組成物において、β−アミラーゼの含有量は使用されるパンの種類、小麦粉の種類、或いはβ−アミラーゼの活性により異なるが、通常油脂組成物100質量部に対し、0.01〜2質量部であり、好ましくは0.05〜1質量部である。0.01質量部未満であると澱粉の分解効果が小さく、得られたパンの老化を抑制する効果が十分に得られない。
2質量部を超えると、パン生地のべたつきの原因となる。
例えばβ−アミラーゼの場合、製パン用油脂組成物中からパン生地中へ添加される活性量が小麦粉100kgあたり80000〜300000AUN(AUNは酵素の活性単位)の範囲である場合に本発明の効果が最大となり、パン生地に配合される油脂組成物の量を基礎に含有量が設計されることになる。
【0015】
(食用油脂)
本発明で使用する油脂成分としては、一般にマーガリン、ショートニングの原料として用いられている食用油脂を使用することができる。例えば牛脂、豚脂、魚油等の動物性油脂、パーム油、菜種油、大豆油等の植物性油脂や、これら動物性油脂、植物性油脂の硬化油、分別油、エステル交換油等の加工油脂が挙げられ、これらは適宜混合して用いることができる。本発明において食用油脂としては、製パンのミキシング工程の生地温度における固体脂含量が10〜30%であることが好ましいが限定されるものではない。
【0016】
本発明における製パン用油脂組成物には、本発明の効果を損ねない限りにおいて、乳化剤、保存料、pH調整剤、色素、香料、その他の酵素等を適宜使用してもよい。
【0017】
乳化剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、ポリグリセリン縮合脂肪酸エステル等が用いられる。乳化剤は1種又は2種以上を混合して用いることができるが、グリセリン脂肪酸エステルが好ましく、特に食感改良効果、デンプンの老化防止効果を有する飽和、不飽和の脂肪酸がついた脂肪酸モノグリセリド単独、又は飽和、不飽和脂肪酸モノグリセリドと他の乳化剤とを混合して用いると、食感改良効果、老化防止効果がさらに向上するため好ましい。特に不飽和の脂肪酸モノグリセリドを用いるとしっとりとした食感を得られる効果があるため好ましい。不飽和の脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸が好ましく、特にオレイン酸が好ましい。
乳化剤の添加量は食用油脂に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.3〜3質量部である。添加量が10質量部を超えると、得られるパンの食感、風味が低下する。
【0018】
本発明における油脂組成物の製法は、まず油脂および油溶成分を融点温度以上の温度で加熱し、均一溶解後、50〜55℃まで降温する。次に、加温した水を添加し、均一に混合攪拌後、α−アミラーゼおよびβ−アミラーゼを添加し、試作機を用いて急冷可塑化し、30℃以下まで冷却することにより、目的の油脂組成物を得る。上記製造において、高温状態にある均一混合物を冷却する際には均一混合物を入れている容器自身を外部から冷却しても良いが、一般的にショートニング、マーガリン製造に用いられるチラー、ボテーター、コンビネーター等を用いて急冷する方が性能上好ましい。
本発明における油脂組成物を製造するに当って、α−アミラーゼおよびβ−アミラーゼは粉末や液体などいずれの形態でもよい
【0019】
本発明の油脂組成物を使用して製造するパン類としては、フィリングなどの詰め物をしたパンも含まれ、食パン、特殊パン、調理パン、菓子パンなどが挙げられる。具体的には、食パンとしては白パン、黒パン、フランスパン、バラエティーブレッド、ロール(テーブルロール、バンズ、バターロールなど)が挙げられる。特殊パンとしてはマフィンなど、調理パンとしてはホットドック、ハンバーガーなど、菓子パンとしてはジャムパン、あんパン、クリームパン、レーズンパン、メロンパンなどが挙げられる。
【0020】
本発明において、ベーカリー製品調整時に添加する本発明の油脂組成物の量は、ベーカリー製品に使用する小麦粉100質量部に対して、1〜35質量部、好ましくは5〜15質量部である。油脂組成物の添加量が1質量部未満であると、十分な老化抑制効果が得られず、35質量部を越えると、得られたベーカリー製品の食感が低下する。
【0021】
本発明におけるベーカリー製品の原料としては、主原料としての小麦粉の他に、イースト、イーストフード、乳化剤、油脂類(ショートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油等)、水、加工澱粉、乳製品、食塩、糖類、調味料(グルタミン酸ソーダ類や核酸類)、保存料、ビタミン、カルシウム等の強化剤、蛋白質、アミノ酸、化学膨張剤、フレーバー等が挙げられる。更に、一般に原料として用いると老化しやすくなる、レーズン等の乾燥果実、小麦ふすま、全粒粉等を使用できる。
【実施例】
【0022】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
【0023】
(実施例1)
表1の配合組成で以下の方法により製パン用油脂組成物を製造した。パーム硬化油(融点42℃)5kg、パーム油30kg、菜種硬化油35kg(融点36℃)、および菜種油30kg、大豆レシチン100gを配合し加熱溶解した油相部に、加温した水20kgを添加し乳化液を製造した。乳化液の温度を50〜55℃に降温し、α−アミラーゼ(至適温度80℃、失活温度90℃)100g、β−アミラーゼ(至適温度55℃、失活温度70℃)100gを添加後、十分に撹拌を行い、ついで、マーガリン試作機を用いて30℃以下に急冷し、製パン用油脂組成物を試作した。なお、至適温度は酵素を水に溶解し、20℃から5℃ずつ温度を変え活性を測定した結果、最も活性の高い温度を至適温度とした。失活温度は酵素を水に溶解し、温度を変え活性を測定した結果、至適温度に対して相対活性が10%以下となった温度を失活温度とした。α-アミラーゼの酵素活性の測定には、ネオアミラーゼ「第一」(第一化学薬品株式会社)を使用した。まず、ネオアミラーゼ1錠を水3mlに溶解し澱粉液とし、酵素0.01gを水10mlに溶解し酵素液とした。次に、酵素液2ml、澱粉液1.5mlを各温度で5分間調温し、その後酵素液、澱粉液を混合し、各温度で15分間反応させた。15分間反応後、NaOH(O.5N)を500μl加え反応を止め、5分間遠心し上層を回収した。回収した上層を620nmで吸光度を測定し、相対的な活性を測定した。β-アミラーゼの酵素活性の測定にはBETAMYL(MEGAZYME)を使用した。BETAMYLの酵素10mgに水10mlを加えBetamyl基質とし、酵素0.1gを水10mlに溶解し酵素液とした。また、Trizma Base(Sigma T1503)500mgを水50mlに溶解し、Stoppig Regentとした。次に酵素液0.2ml、Betamyl基質0.2mlを各温度で2分間調温し、その後酵素液、Betamyl基質を混合し、各温度で10分間反応させた。反応後、Stopping Regentを3ml加え、410nmで吸光度を測定し、相対的な活性を測定した。
【0024】
(実施例2〜5、及び比較例1〜5)
表1に示した配合で実施例1に準じた方法により製パン用油脂組成物実施例2〜5、及び比較例1〜5を試作した。
【0025】
実施例1〜5、及び比較例1〜5の油脂組成物を使用して食パンを製造し、パン生地物性、ソフトさ、食感について以下の方法で評価を行った。
【0026】
<パンの製造方法>
強力粉700g、イースト20g、イーストフード1g、水420gをミキサーボウルに投入し、低速2分、中速2分混捏し、捏ね上げ温度24℃の中種を28℃で4時間醗酵させた。醗酵させた中種をミキサーボウルに投入し、さらに強力粉300g、上白糖50g、脱脂粉乳20g、食塩17g、水250gを投入し、低速2分、中速4分混捏し、ここで練り込み油脂として、実施例1〜5、及び比較例1〜5において得られた油脂組成物を50g投入し、さらに低速2分、中速4分混捏し、捏ね上げ温度28℃の生地を得た。フロアタイムを20分取った後、210gに分割し、次いでベンチタイムを15分とった後、モルダーに生地を通し、プルマン食パン型に生地を型比率4.16になるようにつめた。さらに、38℃、相対湿度85%のホイロに35分入れて最終醗酵を行なった。最終醗酵後、上火、下火210℃のオーブンに入れて、34分焼成し、プルマン食パンを得た。このパンを1時間半室温で放冷した後、袋に入れ、20℃で保管した。
【0027】
<ソフトさ測定方法>
焼成後1および3日間20℃で保管した食パンを3cmの厚さにスライスし、クラムの中心部を3cm×3cmの正方形に切り取り、スライス面からクラムを1.5cmまで圧縮する際に必要な応力(N)を東電社製レオメーターで測定した。
【0028】
<口溶け感の評価方法>
焼成後1および3日間20℃で保管した食パンを15人のパネラーにて口溶け感の評価を行なった。口溶けが良好(◎)、普通(○)、若干ダマになる、もしくは、ぱさつきを少し感じる(△)、ダマになる、もしくは、ぱさつく(×)、の評価項目を設け、最も人数の多かった項目をコッペパンの口溶け感とした。なお、同数の場合は、両方の評価結果を記した。
【表1】

【0029】
*1)商品名:スピターゼCP40−FG、ナガセケムテックス(株)製、至適温度80℃、失活温度90℃
*2)商品名:スピターゼ HS・HK、ナガセケムテックス(株)製、至適温度80℃、失活温度90℃
*3)商品名:スミチームAS、新日本化学工業(株)製、至適温度65℃、失活温度80℃
*4)商品名:ビオザイムM5、天野エンザイム(株)製、至適温度55℃、失活温度70℃
*5)商品名:ビオザイムM、天野エンザイム(株)製、至適温度40℃、失活温度70℃
【0030】
本発明の製パン用油脂組成物を使用して製パンしたパンは、ソフトであり、ソフトな食感が長く保持できることがわかる(実施例1〜5)。さらに、乳化剤を添加すると、その効果は強まることがわかる(実施例2)。
本発明に使用する、α−アミラーゼ、β−アミラーゼを単独で使用しても十分なソフト感を達成できず、本発明において両者を組み合わせることにより達成できる効果であることがわかる(比較例1、2、4)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用油脂100質量部にα-アミラーゼ0.01〜2質量部およびβ-アミラーゼ0.01〜2質量部を含有した製パン用油脂組成物であって、α-アミラーゼは至適温度が75〜85℃で失活温度が90〜100℃であり、β-アミラーゼは至適温度が45〜55℃で失活温度が60〜70℃であることを特徴とする製パン用油脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載の油脂組成物を使用し製造されたパン類。

【公開番号】特開2010−11798(P2010−11798A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175293(P2008−175293)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】