製品の受注生産システム
【課題】可動片と固定片といったように一対の部品間の間隔が機種毎に異なる製品の部品の在庫を少なくして効率的な生産を可能とする。
【解決手段】下ケース10に組み付けた可動片14の可動接点16の位置をセンサ25−1で計測する一方、固定片19が組み付けられる基準面24の位置をセンサ25−1で計測し、基準面24と可動接点16との距離D3を算出し、平らな固定片19の固定接点17の位置をセンサ25−2で計測する一方、前記基準面24に対する組み付け面24aの位置をセンサ25−2で計測し、組み付け面24aと固定接点17との第2の距離D6を算出し、前記第1,第2の距離D3,D6から接点間隔を算出し、この接点間隔が、機種に応じた所要の接点間隔になるように、段差曲げ装置26によって、平らな固定片19を、段差曲げ加工する。
【解決手段】下ケース10に組み付けた可動片14の可動接点16の位置をセンサ25−1で計測する一方、固定片19が組み付けられる基準面24の位置をセンサ25−1で計測し、基準面24と可動接点16との距離D3を算出し、平らな固定片19の固定接点17の位置をセンサ25−2で計測する一方、前記基準面24に対する組み付け面24aの位置をセンサ25−2で計測し、組み付け面24aと固定接点17との第2の距離D6を算出し、前記第1,第2の距離D3,D6から接点間隔を算出し、この接点間隔が、機種に応じた所要の接点間隔になるように、段差曲げ装置26によって、平らな固定片19を、段差曲げ加工する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット等の通信ネットワークを用いた受注生産が可能な受注生産システムに関し、更に詳しくは、ケースに一対の部品が組み付けられる製品を受注生産するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多種少量生産される製品、例えば、マイクロスイッチは、微小接点間隔とスナップアクション機構とを有し、接点の切り替えを行なうものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかるマイクロスイッチは、図25に示すように、遊端部に可動接点16を備えた可動片14と、前記可動片14の遊端部に対向する固定接点17,18をそれぞれ備えた固定片19,20とを備えており、図示しないアクチュエータを押圧操作することにより、可動接点16が、閉路側の固定接点17から開路側の固定接点18側に切り替わるものである。なお、図25は、アクチュエータを押圧操作した作動状態を示している。
【特許文献1】特開2003−317573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のマイクロスイッチでは、比較的大きな変位を検出したいといったユーザや微小な変位を検出したいといったユーザの種々の要求仕様に応じて、多種類の接点間隔Dのマイクロスイッチが求められる。
【0005】
上記構成のマイクロスイッチは、圧力計、温度計、湿度計に組み込まれて、水圧や、油圧、空気圧を検出するが、測定対象により圧力などの差が複数あり、ユーザの要求仕様が多くなるという課題が有る。例えば、圧力計に組み込む場合には、圧力変化に対応した動きや力の差が要求されて、その動きをスイッチの接点間隔Dに対応させて、力の差をDF特性(動作力と復帰力の差)に対応させて、所要の圧力変化を検出している。よって、圧力検出幅に対応したDF特性が要求される。
【0006】
従来では、DF特性に対応した接点間隔が異なる多くの機種毎に、予め専用の金型で接点間隔に対応してそれぞれ曲げ加工された多種類の固定片を準備し、各機種に対応する設備やラインを利用して多種類のマイクロスイッチの生産が行なわれていた。
【0007】
このように機種毎に、対応する固定片を使用して設備やラインを用いて生産するために、多種少量生産では機種毎の固定片の在庫が多くなり、在庫管理に手間がかかり、コスト負担が大きいといった難点がある。
【0008】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、可動片と固定片といったように一対の部品間の間隔が機種毎に異なる製品の部品の在庫を少なくして効率的な生産を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の製品の受注生産システムは、製品の発注を行う発注端末と、前記製品を受注して前記発注端末に対して納期情報を返送するサーバとが、通信ネットワークを介して通信可能に接続されるとともに、前記製品の生産装置を制御する生産端末が、前記サーバに接続されるシステムであって、前記製品が、少なくとも一対の部品がケースに組み付けられるものであり、前記サーバは、前記生産端末からの生産情報を受けて前記納期情報を返送するものであり、 前記生産端末は、前記サーバからの受注に応じた指示に基づいて、前記生産装置を制御して、前記一対の部品間の対向間隔が、受注した製品の機種に応じた所要の間隔になるように、前記一対の部品の内の一方の部品材料を、他方の部品との位置関係に基づいて、その一端側と他端側との段差面が平行になるように所定の段差に段差曲げ加工して一方の部品を得、得られた一方の部品を、前記他方の部品と対向させて前記ケースに組み付けるものである。
【0010】
本発明の受注生産システムでは、受注生産に加えて、見込み生産を行ってもよい。
【0011】
本発明によると、通信ネットワークを介して製品の受注を受けて、一対の部品間の対向間隔が、受注した製品の機種に応じた所要の間隔になるように、一方の部品材料を、他方の部品との位置関係に基づいて、段差曲げ加工して一方の部品を得るので、段差曲げ加工の加工量を調整することによって、多品種に容易に対応することが可能となり、しかも、1種類の前記一方の部品材料のみで対応できることになる。これによって、品種毎に部品の在庫を準備する必要がなく、在庫を削減してコストの低減を図ることができる。
【0012】
(2)本発明の受注生産システムの好ましい実施形態では、前記一方の部品材料は、平らな薄板材からなり、前記段差曲げ加工は、前記平らな薄板材の一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな薄板材の他端側の両面を前記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができる前記生産装置を用いて行なうものである。
【0013】
この実施形態によると、生産端末によって制御される生産装置を用いて、平らな薄板材の一端側を一方の挟み付け部材で強く挟み付けて固定し、平らな薄板材の他端側を他方の挟み付け部材で弱い力で挟み付けた状態で両挟み付け部材を段差曲げ高さに対応して相対移動させることにより、一端側と他端側と段差面を平行に保った段差曲げが可能となり、所望の段差曲げ作業が簡単で時間もかかることなく容易迅速に行うことができる。
【0014】
(3)上記(2)の実施形態では、前記製品が、固定接点を有する固定片と、前記固定接点に接離する可動接点を有する可動片とが、ケースに組み込まれるスイッチであって、前記対向間隔が、前記固定接点と前記可動接点との接点間隔であり、前記平らな薄板材が、固定片材料である。
【0015】
この実施形態によると、固定片材料を、段差曲げ加工するので、この段差曲げ加工の加工量を調整することによって、ケースに組み付けたときの固定片の固定接点と可動片の可動接点との接点間隔を調整できることになり、1種類の固定片材料で、接点間隔が異なる多種類の仕様のスイッチの製造に容易に対応できることになる。
【0016】
これによって、機種毎に予め曲げ加工された固定片の在庫を準備する必要がなく、これによって、在庫を削減してコストの低減を図ることができる。
【0017】
また、固定片の一端側と他端側との段差面が平行になるように段差曲げ加工するので、一端側の固定接点と、他端側のケースに対する取り付け面とが平行となり、接点を開閉した場合に、接点の消耗は生じるけれども、平行でない固定片に比べて、接点の接触状態が良好となり、スイッチ品質の長期間の維持が可能となる。
【0018】
(4)上記(2)または(3)の実施形態では、前記生産端末は、前記製品の機種情報および各機種に個別的に対応する前記所要の間隔の情報が格納されたデータベースの情報に基づいて、前記生産装置を制御するものである。
【0019】
この実施形態によると、生産する機種を変更するときには、変更された機種に対応する所要の間隔のデータを取り込み、対向間隔が、所要の間隔になるように段差曲げ加工量を変更するので、容易に機種変更に対応できることになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、通信ネットワークを介して製品の受注を受けて、一対の部品間の対向間隔が、受注した製品の機種に応じた所要の間隔になるように、一方の部品材料を、他方の部品との位置関係に基づいて、段差曲げ加工して一方の部品を得るので、段差曲げ加工の加工量を調整することによって、多品種に容易に対応することが可能となり、しかも、1種類の前記一方の部品材料のみで対応できることになる。これによって、機種毎に部品の在庫を準備する必要がなく、在庫を削減してコストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面によって本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る受注生産システムの構成図である。この実施の形態の受注生産システムは、製品を発注する顧客あるいは販売店の発注端末1と、製品を製造する側のサーバ2とが、通信ネットワークとしてのインターネット3を介して接続されて構成されている。
【0023】
サーバ2は、ホームページをインターネット上に公開する機能を有しており、このサーバ2には、社内LAN(ローカルエリアネットワーク)4を介して生産端末5、製品の機種情報が格納された第1のデータベース6、後述の曲げ加工情報が格納された第2のデータベース7、生産情報が格納された第3のデータベース8、および、事務所用端末9が接続されている。
【0024】
クライアント端末である発注端末1は、Webブラウザを搭載し、インターネットを利用可能であると共に、発注条件を入力する入力手段として機能するキーボードやマウス、サーバ2からの種々の情報を表示可能な表示手段として機能する液晶ディスプレイ等を有するパーソナルコンピュータである。
【0025】
サーバ2は、Webサーバとして機能すると共に、クライアント端末である生産端末5に対して、機種変更などの生産指示を与える。
【0026】
製品を発注する顧客あるいは販売店では、発注端末1において、ブラウザを起動し、例えば、図2に示すように、製造業者が開設しているインターネット上のホームページを開いて、希望する製品の型式(機種)、数量、希望納期などの必要事項を選択して入力し、製造業者のサーバ2に送信する。
【0027】
サーバ2は、発注端末1からの受注情報を受けて、生産端末5に対して、生産情報を要求する。サーバ2は、例えば、図3に示すような各型式、数量、生産状況を示す生産情報に基づいて、スケジューリングを行い、受注した製品について、数量分の生産が可能な日を決定し、生産端末5に対して、受注した製品の生産を指示する一方、納期を、上述の図2に示される受注情報の出荷予定日として発注端末1に送り返す。
【0028】
発注した顧客あるいは販売店では、この表示を見て出荷予定を知ることができる。
【0029】
次に、生産端末5による製品の生産について説明する。
【0030】
この実施形態では、製品として、マイクロスイッチに適用して説明する。
【0031】
図4は、マイクロスイッチの断面図であり、図5はその要部の分解斜視図である。
【0032】
スイッチケースの下ケース10には、共通固定端子11、常閉固定端子12および常開固定端子13が設けられている。共通固定端子11には、可動片14の基端側が支持されており、さらに、この共通固定端子11には、前記可動片14のスナップアクション用の一対の圧縮ばね部14aの基端側を係合溝15aでそれぞれ係合支持する一対の受け金15が装備されている。
【0033】
常閉固定端子12および常開固定端子13には、可動片14の遊端側の可動接点16が接離する固定接点17,18をそれぞれ有する固定片19,20がそれぞれ設けられている。
【0034】
カバーケース21には、可動片14の基端側に当接作用するアクチュエータとしての押しボタン23が支持されている。
【0035】
押しボタン23に外力をかけない常態においては、図示のように、圧縮ばね部14aの弾性復元力によって可動片14の遊端側が上方に付勢変位されて可動接点16が固定片19の固定接点(常閉接点)17に接触維持されている。
【0036】
押しボタン23が押し込み操作されて可動片14が下方変位して動作位置に達すると、瞬時に圧縮ばね部14aの弾性復元力が可動片14を下方に付勢変位するように反転し、可動接点16が固定片20の固定接点(常開接点)18に接触されて接点切換が行われる。
【0037】
また、復帰に際しては、押しボタン23が上方に変位し、前記動作位置を過ぎた戻りの位置に達すると、圧縮ばね部14aの弾性復元力が可動片14を上方に付勢変位するように反転し、可動接点16が固定片19の固定接点17に接触されて復帰する。
【0038】
この実施形態では、接点間隔が異なる多種類のマイクロスイッチの生産性を高めるとともに、固定片の在庫を削減できるように、次のようにしている。
【0039】
すなわち、図6(a)に示すように開路(常開接点)側の固定片20および可動片14を下ケース10に組み付け、可動接点16を、固定接点18に圧接した作動状態で、閉路(常閉接点)側の固定片19が組み付けられる基準面24の寸法D1と、可動接点16の上側の接点面寸法D2とを、変位センサ25−1を用いて計測し、第1の距離として、その差D3(=D2−D1)を算出する。
【0040】
次に、図6(b)に示す固定片材料としての真っ直ぐで平らな閉路側の固定片19の、前記基準面24に対する組み付け面24aの寸法D4と、固定接点17の接点面寸法D5とを、変位センサ25−2で計測し、第2の距離として、その差D6(=D4−D5)を算出する。
【0041】
次に、上記差D3,D6の和の寸法が、生産する機種に対応する接点間隔の規格に入るように、平らな固定片19を、図6(c)に示すように生産装置としての後述の段差曲げ装置26によって段差曲げ加工し、段差曲げ加工した固定片19の寸法を確認した後、この固定片19を、下ケース10の基準面24にカシメ固定して取り付ける。
【0042】
図7は、以上の製造方法による各工程の流れを示す図であり、生産端末5による制御を示している。
【0043】
先ず、ケースを供給し(ステップS1)、ケース内に可動片等を組み込み(ステップS2)、変位センサ25−1によって可動片の位置、すなわち、上述の図5(a)の寸法を計測し(ステップS3)、その計測値が、生産端末5に与えられる。
【0044】
一方、固定片材料としての平らな固定片を供給し(ステップS4)、変位センサ25−2によって、固定片の位置、すなわち、上述の図6(b)の寸法を計測し(ステップS5)、その計測値が、生産端末5に与えられる。
【0045】
生産端末5は、変位センサ25−1,25−2からの計測値に基づいて、製品であるスイッチの機種に応じた仕様、例えば、仕様F,G,Hに対応する接点間隔にするための平らな固定片の目標とする段差曲げ加工量を算出し(ステップS6)、段差曲げ装置を制御して、平らな固定片を製品仕様に応じて段差曲げ加工する(ステップS7)。
【0046】
かかる段差曲げ加工は、図1の機種情報が格納された第1のデータベース6および所要の曲げ加工情報が格納された第2のデータベース7のデータを利用して行われる。
【0047】
次に、図8に示すように、段差曲げ加工された固定片19の組み付け面24aの寸法D4と、固定接点17の接点面寸法D5’とを、変位センサ25−3で計測して、その差D6’(=D4−D5’)を算出して生産端末5に与える(ステップS8)。
【0048】
生産端末5は、目標とする段差曲げ加工量となっていることを確認し(ステップS9)、段差曲げ加工された各仕様に対応する固定片を、可動片等が組み込まれたケースに組み込み(ステップS10)、製品特性を検査して(ステップS11)、各種の製品、例えば、製品F,G,Hが完成する。
【0049】
なお、ステップS9において、目標とする段差曲げ加工量となっていない場合には、目標とする段差曲げ加工量にするための修正値を算出し、その修正値を、以降の段差曲げ加工に利用する。
【0050】
このように、ケースに組み込まれた可動片の位置を計測する一方、平らな固定片の位置を計測し、その計測値から製品仕様、すなわち、機種に応じた段差曲げ加工量を算出し、その加工量で固定片を段差曲げ加工してケースに組み込むので、一種類の固定片を用いて、多種類の機種に対応できることになり、また、機種毎に、設備やラインを変更する必要もない。
【0051】
次に、段差曲げ装置26による段差曲げ加工について、詳細に説明する。図9ないし図14は、段差曲げ装置による段差曲げ加工を示す概略構成図である。
【0052】
装置台27上に第1挟み付け部材28が配備されている。第1挟み付け部材28は上下一対のクランプ29,30から構成されている。両クランプ29,30は互いの対向面(挟み付け面)を対向させて上下に配置されており、第1駆動部31により上側のクランプ29が上下方向に駆動されて平らな固定片19の一端側19aの両面を隙間無く密接に挟み付けて固定することができるようになっており、クランブ30には、固定接点17に応じた凹部が形成されている。
【0053】
装置台27上には第2挟み付け部材32が配備されている。第2挟み付け部材32は上側のパンチ33と下側のダイ34とから構成されている。このパンチ33とダイ34は第2駆動部35により個別に上下方向に移動して固定片19の他端側19bを隙間無く密接に挟み付けることができるようになっている。
【0054】
この場合、第1挟み付け部材28による平らな固定片19の一端側19aの両面の挟み付け力は強く、第2挟み付け部材32による平らな固定片19の他端側19bの両面の挟み付け力は弱く設定されている。
【0055】
この設定は、第1駆動部31、第2駆動部35により行うことができる。
【0056】
例えば第1駆動部31ではモータと歯車とで第1挟み付け部材を駆動して強い挟み付け力で平らな固定片19の一端側19aの両面を挟み付け固定する。
【0057】
例えば第2駆動部35ではエアシリンダ等のダンパにより弱い挟み付け力で平らな固定片19の他端側19bの両面を挟み付ける。
【0058】
次に図9ないし図14を参照して動作を説明する。
【0059】
まず、図9で示すように、平らな固定片19の一端側19aを第1挟み付け部材28の下側クランプ30のクランプ面上に載置した状態で両クランプ29,30間に配置すると共に固定片19の他端側19bを第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33との間に配置する。
【0060】
次いで、図10で示すように第1挟み付け部材28の上側クランプ29を第1駆動部31で下降駆動して両クランプ29,30で固定片19の一端側19aの両面を隙間が無い密接状態で挟み付け固定する。この挟み付け力は固定片19が移動することができない程度に強く設定された力である。
【0061】
一方、第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33を第2駆動部35で昇降移動させて固定片19の他端側19bの両面をダイ34とパンチ33とで弱い力で隙間が無い密接状態で挟み付ける。
【0062】
ここで第1挟み付け部材28の挟み付け力は、第2挟み付け部材32を上昇させても固定片19の一端側19aを固定することができる程度の力である。
【0063】
第2挟み付け部材32の挟み付け力は固定片19の他端側19bがダイ34とパンチ33との対向面間を滑り動くことができる程度の力である。したがって、ダイ34とパンチ33の対向面の面粗さは鏡面でも構わない。また、固定片19の他端側19bはダイ34とパンチ33の両対向面に隙間が無い密接状態で横滑りすることができるようになっている。
【0064】
ここで、固定片19の一端側19aの挟み付けられている境界部分のうち上側を折曲起点A,下側を折曲起点Bとし、固定片19の他端側19bの挟み付けられている境界部分のうち上側を折曲起点C,下側を折曲起点Dとする。
【0065】
次いで、図11で示すように、第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33を、それらが固定片19の他端側19bの両面を隙間無く密接した状態で、下方向に一体に同期下降させる。この下降移動により、平らな固定片19は段差曲げされる。
【0066】
この場合、固定片19の一端側19aは第1挟み付け部材28の両クランプ29,30で隙間無く密接して固定された状態で折曲げられる。
【0067】
一方、固定片19の他端側19bは第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33との間で隙間無く密接して挟み付けられた状態で折曲げられる。
【0068】
そのため、図11の円で囲む部分を拡大して示すように、固定片19の一端側19aの上側折曲起点Aは伸び側に曲げ変形し、下側折曲起点Bは縮み側に曲げ変形する。固定片19の他端側19bの上側折曲起点Cは縮み側に曲げ変形し、下側折曲起点Dは伸び側に曲げ変形する。
【0069】
以上の曲げ変形の形状は、固定片19の一端側19a側と固定片19の他端側19bとで対称であり、同一の曲げ変形である。これが、実施の形態の段差曲げの特徴である。同一の曲げ変形になるのは、段差曲げ加工の開始から終了まで第1挟み付け部材28の両クランプ29,30と、第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33とが、固定片19の一端側19aと他端側19bに対して隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して両挟み付け部材28,32を段差曲げ方向に平行に相対移動させることによる。
【0070】
次いで、図12で示すように、第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33を第2駆動部35で昇降させて、第2挟み付け部材32による固定片19の他端側19bの挟み付けを解除する。
【0071】
次いで、図13で示すように、第1駆動部31で第1挟み付け部材28のクランプ29を上昇させることにより固定片19の一端側19aの挟み付けを解除する。
【0072】
最後に、図14で示すように、実施の形態の段差曲げ装置から段差曲げされた固定片19を取り出す。
【0073】
以上により、実施の形態の段差曲げ装置を用いて、平らな固定片19を段差曲げすることができる。
【0074】
特に、両挟み付け部材28,32を固定片19の段差曲げ高さ方向に相対的に平行移動させるだけで、固定片19を段差曲げすることができるので段差曲げ作業がきわめて簡単で時間もかかることなく容易迅速に行うことができる。
【0075】
そして、段差曲げ完了後に段差曲げ装置から固定片19を取り出しても、固定片19の一端側19aと他端側19bそれぞれに対応する段差面同士の平行度が保たれる。この両段差面同士の平行度が保たれる詳しい理由はさらに後述する。
【0076】
上記段差曲げは、第2挟み付け部材32の段差曲げ高さ方向の平行移動距離を設定することにより、1種類の平らな固定片19から種々の段差曲げ高さ(段差曲げ加工量)の固定片19を形成することができる。例えば、図15(a)は段差曲げ高さH1、図15(b)は段差曲げ高さH2、図15(c)は段差曲げ高さH3の各固定片19を示す。なお、上記では段差曲げ高さを説明の理解のためH1,H2,H3の3種類で説明したが、段差曲げ高さをそれ以上の段階で任意に設定することができることは勿論である。なお、この段差曲げ高さを任意に設定することが可能であるから、その段差曲げ角度も任意に設定することができる。
【0077】
図16は、生産端末5による動作を説明するためのフローチャートであり、図7のステップに対応する部分には、同一の符号を付す。
【0078】
可動片が組み込まれたケースに対して、変位センサ25−1によって計測が行われ、上述の図6(a)に示すように、固定片が組み付けられる基準面24から可動接点16の接点面までの距離D3が算出されて生産端末5に与えられる(ステップS3)。
【0079】
平らな固定片19に対して、変位センサ25−2によって計測が行われ、上述の図6(b)に示すように、固定片19の組み付け面24aから固定接点17の接点面までの距離D6が算出されて生産端末5に与えられる(ステップS5)。
【0080】
生産端末5は、変位センサ25−1,25−2からの与えられる距離D3,D6および生産する機種のDF特性に対応した接点間隔Dに基づいて、目標とする段差曲げ加工量(=D−D3+D6)を算出し、目標とする段差曲げ加工量となるように、第1,第2駆動部31,35の駆動を制御する(ステップS6)。
【0081】
これによって、第1,第2駆動部31,35が駆動されて平らな固定片の段差曲げ加工が行なわれる(ステップS7)。
【0082】
次に、段差曲げ加工された固定片に対して、変位センサ25−3によって計測が行われ、上述の図8に示すように、段差曲げ加工された固定片19の組み付け面24aから固定接点17の接点面までの距離D6’が算出されて生産端末5に与えられる(ステップS8)。
【0083】
生産端末5は、実際の段差曲げ加工結果(=D−D3+D6’)と、上述の目標とする段差曲げ加工量(=D−D3+D6)との差ΔXを算出し、この差が所定の規格内にあることを確認し(ステップS9)、段差曲げ加工された固定片を、可動片等が組み込まれたケースに組み込む(ステップS10)。
【0084】
上述のステップS9で、差ΔXが、所定の規格内にないときには、次回の段差曲げ加工量に修正値としてフィードバックする。
【0085】
次に、図17ないし図24を参照して、実施の形態の段差曲げ装置により、固定片19の一端側19aと固定片19の他端側19bそれぞれに形成した段差面が互いに平行に保たれる理由を説明する。
【0086】
図17は、第1挟み付け部材28で平らな固定片19の一端側19aの両面に隙間無く密接した状態で挟み付けしている状態を示す。この状態では固定片19の他端側19bは第2挟み付け部材32で挟み付けられていない。
【0087】
次に、図18で示すように、第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33の対向間隔を狭めて固定片19の他端側19bを折曲げる。この場合の第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33による固定片19の他端側19b両面の挟み付けは、固定片19の他端側19bの両面とダイ34とパンチ33の両対向面との間に隙間が存在していて、固定片19の他端側19bの両面にダイ34とパンチ33とが密接しておらず隙間が存在している。
【0088】
図18では、固定片19の一端側19aと固定片19の他端側19bがそれぞれ折曲げられているが、固定片19の一端側19aの折曲起点A、Bに対して、固定片19の他端側19bの折曲起点C、Dは対称ではなく、曲げ変形形状が相違している。
【0089】
次いで、図19で示すように固定片19の他端側19bの両面を両スライド部材のスライド面で挟み付けて固定片19の一端側19aと固定片19の他端側19bそれぞれを折曲げる。
【0090】
最後に、図20で示すように、固定片19をクランプ機構とスライド機構とから取出した場合、固定片19の他端側19bの段差面がスプリングバックして仮想線から実線のごとくその先端が折れ下がっている。すなわち、固定片19の両段差面は平行度が無い状態となっている。
【0091】
このように固定片19の両段差面が平行度が保つことができないのは、図18で固定片19の一端側19aの折曲起点A、Bに対して、固定片19の他端側19bの折曲起点C、Dは対称ではなく、曲げ変形の形状が相違していることにより、スプリングバックが偏在することに原因する。
【0092】
これに対して実施の形態について図21ないし図24を参照して説明する。実施の形態では、まず、図21で示すように、固定片19が折曲げられていない平らな状態で第1挟み付け部材28と第2挟み付け部材32それぞれで固定片19の一端側19aと固定片19の他端側19bそれぞれを挟み付けている。
【0093】
この挟み付けの状態では、第1挟み付け部材28の両クランプは固定片19の一端側19aの両面に隙間が無い状態で密接しており、第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33は固定片19の他端側19bの両面に隙間が無い状態で密接している。
【0094】
この場合、第1挟み付け部材28の両クランプ29,30は固定片19の一端側19aに強い力で密接しており、第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33は固定片19の他端側19bに弱い力で密接している状態である。
【0095】
そして、図22で示すように段差曲げ加工開始から終了に至る過程で固定片19の他端側19bの両面に隙間が無い状態で密接した状態で両挟み付け部材28,32で挟み付けて第2挟み付け部材32を下降させると、固定片19は上述したようにその一端側19aと他端側19bそれぞれの折曲起点A,Bと、C,Dとは互いに対称な同形状で折曲げられる。
【0096】
そのため図23で曲げ変形が完了して固定片19を取り出すと、固定片19は図24で示すように固定片19の一端側19aと他端側19bそれぞれの段差面の平行度を保った状態になっている。この場合、スプリングバックが起こっても、固定片19の一端側19aと固定片19の他端側19bは共に同じ曲げ変形で対称であるため、スプリングバックはバランスされる結果、固定片19の一端側19aと他端側19bそれぞれの段差面の平行度は保たれることになる。
【0097】
本発明は、スイッチに限らず、一対の部品をケースに組み付ける製品、例えば、リレーその他の製品に適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、マイクロスイッチなどの受注生産に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の係るシステムの構成図である。
【図2】発注端末の表示画面例を示す図である。
【図3】生産情報の表示画面例を示す図である。
【図4】マイクロスイッチの断面図である。
【図5】図4の要部の分解斜視図である。
【図6】マイクロスイッチの製造方法の要部の工程を説明するための図である。
【図7】生産工程の流れを示す図である。
【図8】段差曲げ加工後の固定片の寸法の計測を説明するための図である。
【図9】段差曲げ装置を固定片が配置されている状態で示す図である。
【図10】段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を挟み付けている状態で示す図である。
【図11】段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げ加工している状態で示す図である。
【図12】段差曲げ装置を段差曲げ終了後、第2挟み付け部材での固定片の挟み付けを解除した状態で示す図である。
【図13】段差曲げ装置を段差曲げ終了後両挟み付け部材での固定片の挟み付けを解除した状態で示す図である。
【図14】段差曲げ装置を段差曲げ終了後、固定片を取り出す状態で示す図である。
【図15】図15(a)は段差曲げ高さH1、図15(b)は段差曲げ高さH2、図15(c)は段差曲げ高さH3の各固定片を示す図である。
【図16】動作説明に供するフローチャートである。
【図17】別の段差曲げ装置を固定片が配置されている状態で示す図である。
【図18】上記別の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を挟み付けて段差曲げしている途中状態を示す図である。
【図19】上記別の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げ加工した状態を示す図である。
【図20】上記別の段差曲げ装置で段差曲げされた固定片を示す図である。
【図21】実施形態の段差曲げ装置を両挟み付け部材で固定片を挟み付けている状態で示す図である。
【図22】実施形態の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げしている途中状態で示す図である。
【図23】実施形態の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げ加工した状態で示す図である。
【図24】実施形態の段差曲げ装置で段差曲げされた固定片を示す図である。
【図25】マイクロスイッチの接点付近の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1 発注端末
2 サーバ
3 インターネット
5 生産端末
6〜8 データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット等の通信ネットワークを用いた受注生産が可能な受注生産システムに関し、更に詳しくは、ケースに一対の部品が組み付けられる製品を受注生産するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多種少量生産される製品、例えば、マイクロスイッチは、微小接点間隔とスナップアクション機構とを有し、接点の切り替えを行なうものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかるマイクロスイッチは、図25に示すように、遊端部に可動接点16を備えた可動片14と、前記可動片14の遊端部に対向する固定接点17,18をそれぞれ備えた固定片19,20とを備えており、図示しないアクチュエータを押圧操作することにより、可動接点16が、閉路側の固定接点17から開路側の固定接点18側に切り替わるものである。なお、図25は、アクチュエータを押圧操作した作動状態を示している。
【特許文献1】特開2003−317573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のマイクロスイッチでは、比較的大きな変位を検出したいといったユーザや微小な変位を検出したいといったユーザの種々の要求仕様に応じて、多種類の接点間隔Dのマイクロスイッチが求められる。
【0005】
上記構成のマイクロスイッチは、圧力計、温度計、湿度計に組み込まれて、水圧や、油圧、空気圧を検出するが、測定対象により圧力などの差が複数あり、ユーザの要求仕様が多くなるという課題が有る。例えば、圧力計に組み込む場合には、圧力変化に対応した動きや力の差が要求されて、その動きをスイッチの接点間隔Dに対応させて、力の差をDF特性(動作力と復帰力の差)に対応させて、所要の圧力変化を検出している。よって、圧力検出幅に対応したDF特性が要求される。
【0006】
従来では、DF特性に対応した接点間隔が異なる多くの機種毎に、予め専用の金型で接点間隔に対応してそれぞれ曲げ加工された多種類の固定片を準備し、各機種に対応する設備やラインを利用して多種類のマイクロスイッチの生産が行なわれていた。
【0007】
このように機種毎に、対応する固定片を使用して設備やラインを用いて生産するために、多種少量生産では機種毎の固定片の在庫が多くなり、在庫管理に手間がかかり、コスト負担が大きいといった難点がある。
【0008】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、可動片と固定片といったように一対の部品間の間隔が機種毎に異なる製品の部品の在庫を少なくして効率的な生産を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の製品の受注生産システムは、製品の発注を行う発注端末と、前記製品を受注して前記発注端末に対して納期情報を返送するサーバとが、通信ネットワークを介して通信可能に接続されるとともに、前記製品の生産装置を制御する生産端末が、前記サーバに接続されるシステムであって、前記製品が、少なくとも一対の部品がケースに組み付けられるものであり、前記サーバは、前記生産端末からの生産情報を受けて前記納期情報を返送するものであり、 前記生産端末は、前記サーバからの受注に応じた指示に基づいて、前記生産装置を制御して、前記一対の部品間の対向間隔が、受注した製品の機種に応じた所要の間隔になるように、前記一対の部品の内の一方の部品材料を、他方の部品との位置関係に基づいて、その一端側と他端側との段差面が平行になるように所定の段差に段差曲げ加工して一方の部品を得、得られた一方の部品を、前記他方の部品と対向させて前記ケースに組み付けるものである。
【0010】
本発明の受注生産システムでは、受注生産に加えて、見込み生産を行ってもよい。
【0011】
本発明によると、通信ネットワークを介して製品の受注を受けて、一対の部品間の対向間隔が、受注した製品の機種に応じた所要の間隔になるように、一方の部品材料を、他方の部品との位置関係に基づいて、段差曲げ加工して一方の部品を得るので、段差曲げ加工の加工量を調整することによって、多品種に容易に対応することが可能となり、しかも、1種類の前記一方の部品材料のみで対応できることになる。これによって、品種毎に部品の在庫を準備する必要がなく、在庫を削減してコストの低減を図ることができる。
【0012】
(2)本発明の受注生産システムの好ましい実施形態では、前記一方の部品材料は、平らな薄板材からなり、前記段差曲げ加工は、前記平らな薄板材の一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな薄板材の他端側の両面を前記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができる前記生産装置を用いて行なうものである。
【0013】
この実施形態によると、生産端末によって制御される生産装置を用いて、平らな薄板材の一端側を一方の挟み付け部材で強く挟み付けて固定し、平らな薄板材の他端側を他方の挟み付け部材で弱い力で挟み付けた状態で両挟み付け部材を段差曲げ高さに対応して相対移動させることにより、一端側と他端側と段差面を平行に保った段差曲げが可能となり、所望の段差曲げ作業が簡単で時間もかかることなく容易迅速に行うことができる。
【0014】
(3)上記(2)の実施形態では、前記製品が、固定接点を有する固定片と、前記固定接点に接離する可動接点を有する可動片とが、ケースに組み込まれるスイッチであって、前記対向間隔が、前記固定接点と前記可動接点との接点間隔であり、前記平らな薄板材が、固定片材料である。
【0015】
この実施形態によると、固定片材料を、段差曲げ加工するので、この段差曲げ加工の加工量を調整することによって、ケースに組み付けたときの固定片の固定接点と可動片の可動接点との接点間隔を調整できることになり、1種類の固定片材料で、接点間隔が異なる多種類の仕様のスイッチの製造に容易に対応できることになる。
【0016】
これによって、機種毎に予め曲げ加工された固定片の在庫を準備する必要がなく、これによって、在庫を削減してコストの低減を図ることができる。
【0017】
また、固定片の一端側と他端側との段差面が平行になるように段差曲げ加工するので、一端側の固定接点と、他端側のケースに対する取り付け面とが平行となり、接点を開閉した場合に、接点の消耗は生じるけれども、平行でない固定片に比べて、接点の接触状態が良好となり、スイッチ品質の長期間の維持が可能となる。
【0018】
(4)上記(2)または(3)の実施形態では、前記生産端末は、前記製品の機種情報および各機種に個別的に対応する前記所要の間隔の情報が格納されたデータベースの情報に基づいて、前記生産装置を制御するものである。
【0019】
この実施形態によると、生産する機種を変更するときには、変更された機種に対応する所要の間隔のデータを取り込み、対向間隔が、所要の間隔になるように段差曲げ加工量を変更するので、容易に機種変更に対応できることになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、通信ネットワークを介して製品の受注を受けて、一対の部品間の対向間隔が、受注した製品の機種に応じた所要の間隔になるように、一方の部品材料を、他方の部品との位置関係に基づいて、段差曲げ加工して一方の部品を得るので、段差曲げ加工の加工量を調整することによって、多品種に容易に対応することが可能となり、しかも、1種類の前記一方の部品材料のみで対応できることになる。これによって、機種毎に部品の在庫を準備する必要がなく、在庫を削減してコストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面によって本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る受注生産システムの構成図である。この実施の形態の受注生産システムは、製品を発注する顧客あるいは販売店の発注端末1と、製品を製造する側のサーバ2とが、通信ネットワークとしてのインターネット3を介して接続されて構成されている。
【0023】
サーバ2は、ホームページをインターネット上に公開する機能を有しており、このサーバ2には、社内LAN(ローカルエリアネットワーク)4を介して生産端末5、製品の機種情報が格納された第1のデータベース6、後述の曲げ加工情報が格納された第2のデータベース7、生産情報が格納された第3のデータベース8、および、事務所用端末9が接続されている。
【0024】
クライアント端末である発注端末1は、Webブラウザを搭載し、インターネットを利用可能であると共に、発注条件を入力する入力手段として機能するキーボードやマウス、サーバ2からの種々の情報を表示可能な表示手段として機能する液晶ディスプレイ等を有するパーソナルコンピュータである。
【0025】
サーバ2は、Webサーバとして機能すると共に、クライアント端末である生産端末5に対して、機種変更などの生産指示を与える。
【0026】
製品を発注する顧客あるいは販売店では、発注端末1において、ブラウザを起動し、例えば、図2に示すように、製造業者が開設しているインターネット上のホームページを開いて、希望する製品の型式(機種)、数量、希望納期などの必要事項を選択して入力し、製造業者のサーバ2に送信する。
【0027】
サーバ2は、発注端末1からの受注情報を受けて、生産端末5に対して、生産情報を要求する。サーバ2は、例えば、図3に示すような各型式、数量、生産状況を示す生産情報に基づいて、スケジューリングを行い、受注した製品について、数量分の生産が可能な日を決定し、生産端末5に対して、受注した製品の生産を指示する一方、納期を、上述の図2に示される受注情報の出荷予定日として発注端末1に送り返す。
【0028】
発注した顧客あるいは販売店では、この表示を見て出荷予定を知ることができる。
【0029】
次に、生産端末5による製品の生産について説明する。
【0030】
この実施形態では、製品として、マイクロスイッチに適用して説明する。
【0031】
図4は、マイクロスイッチの断面図であり、図5はその要部の分解斜視図である。
【0032】
スイッチケースの下ケース10には、共通固定端子11、常閉固定端子12および常開固定端子13が設けられている。共通固定端子11には、可動片14の基端側が支持されており、さらに、この共通固定端子11には、前記可動片14のスナップアクション用の一対の圧縮ばね部14aの基端側を係合溝15aでそれぞれ係合支持する一対の受け金15が装備されている。
【0033】
常閉固定端子12および常開固定端子13には、可動片14の遊端側の可動接点16が接離する固定接点17,18をそれぞれ有する固定片19,20がそれぞれ設けられている。
【0034】
カバーケース21には、可動片14の基端側に当接作用するアクチュエータとしての押しボタン23が支持されている。
【0035】
押しボタン23に外力をかけない常態においては、図示のように、圧縮ばね部14aの弾性復元力によって可動片14の遊端側が上方に付勢変位されて可動接点16が固定片19の固定接点(常閉接点)17に接触維持されている。
【0036】
押しボタン23が押し込み操作されて可動片14が下方変位して動作位置に達すると、瞬時に圧縮ばね部14aの弾性復元力が可動片14を下方に付勢変位するように反転し、可動接点16が固定片20の固定接点(常開接点)18に接触されて接点切換が行われる。
【0037】
また、復帰に際しては、押しボタン23が上方に変位し、前記動作位置を過ぎた戻りの位置に達すると、圧縮ばね部14aの弾性復元力が可動片14を上方に付勢変位するように反転し、可動接点16が固定片19の固定接点17に接触されて復帰する。
【0038】
この実施形態では、接点間隔が異なる多種類のマイクロスイッチの生産性を高めるとともに、固定片の在庫を削減できるように、次のようにしている。
【0039】
すなわち、図6(a)に示すように開路(常開接点)側の固定片20および可動片14を下ケース10に組み付け、可動接点16を、固定接点18に圧接した作動状態で、閉路(常閉接点)側の固定片19が組み付けられる基準面24の寸法D1と、可動接点16の上側の接点面寸法D2とを、変位センサ25−1を用いて計測し、第1の距離として、その差D3(=D2−D1)を算出する。
【0040】
次に、図6(b)に示す固定片材料としての真っ直ぐで平らな閉路側の固定片19の、前記基準面24に対する組み付け面24aの寸法D4と、固定接点17の接点面寸法D5とを、変位センサ25−2で計測し、第2の距離として、その差D6(=D4−D5)を算出する。
【0041】
次に、上記差D3,D6の和の寸法が、生産する機種に対応する接点間隔の規格に入るように、平らな固定片19を、図6(c)に示すように生産装置としての後述の段差曲げ装置26によって段差曲げ加工し、段差曲げ加工した固定片19の寸法を確認した後、この固定片19を、下ケース10の基準面24にカシメ固定して取り付ける。
【0042】
図7は、以上の製造方法による各工程の流れを示す図であり、生産端末5による制御を示している。
【0043】
先ず、ケースを供給し(ステップS1)、ケース内に可動片等を組み込み(ステップS2)、変位センサ25−1によって可動片の位置、すなわち、上述の図5(a)の寸法を計測し(ステップS3)、その計測値が、生産端末5に与えられる。
【0044】
一方、固定片材料としての平らな固定片を供給し(ステップS4)、変位センサ25−2によって、固定片の位置、すなわち、上述の図6(b)の寸法を計測し(ステップS5)、その計測値が、生産端末5に与えられる。
【0045】
生産端末5は、変位センサ25−1,25−2からの計測値に基づいて、製品であるスイッチの機種に応じた仕様、例えば、仕様F,G,Hに対応する接点間隔にするための平らな固定片の目標とする段差曲げ加工量を算出し(ステップS6)、段差曲げ装置を制御して、平らな固定片を製品仕様に応じて段差曲げ加工する(ステップS7)。
【0046】
かかる段差曲げ加工は、図1の機種情報が格納された第1のデータベース6および所要の曲げ加工情報が格納された第2のデータベース7のデータを利用して行われる。
【0047】
次に、図8に示すように、段差曲げ加工された固定片19の組み付け面24aの寸法D4と、固定接点17の接点面寸法D5’とを、変位センサ25−3で計測して、その差D6’(=D4−D5’)を算出して生産端末5に与える(ステップS8)。
【0048】
生産端末5は、目標とする段差曲げ加工量となっていることを確認し(ステップS9)、段差曲げ加工された各仕様に対応する固定片を、可動片等が組み込まれたケースに組み込み(ステップS10)、製品特性を検査して(ステップS11)、各種の製品、例えば、製品F,G,Hが完成する。
【0049】
なお、ステップS9において、目標とする段差曲げ加工量となっていない場合には、目標とする段差曲げ加工量にするための修正値を算出し、その修正値を、以降の段差曲げ加工に利用する。
【0050】
このように、ケースに組み込まれた可動片の位置を計測する一方、平らな固定片の位置を計測し、その計測値から製品仕様、すなわち、機種に応じた段差曲げ加工量を算出し、その加工量で固定片を段差曲げ加工してケースに組み込むので、一種類の固定片を用いて、多種類の機種に対応できることになり、また、機種毎に、設備やラインを変更する必要もない。
【0051】
次に、段差曲げ装置26による段差曲げ加工について、詳細に説明する。図9ないし図14は、段差曲げ装置による段差曲げ加工を示す概略構成図である。
【0052】
装置台27上に第1挟み付け部材28が配備されている。第1挟み付け部材28は上下一対のクランプ29,30から構成されている。両クランプ29,30は互いの対向面(挟み付け面)を対向させて上下に配置されており、第1駆動部31により上側のクランプ29が上下方向に駆動されて平らな固定片19の一端側19aの両面を隙間無く密接に挟み付けて固定することができるようになっており、クランブ30には、固定接点17に応じた凹部が形成されている。
【0053】
装置台27上には第2挟み付け部材32が配備されている。第2挟み付け部材32は上側のパンチ33と下側のダイ34とから構成されている。このパンチ33とダイ34は第2駆動部35により個別に上下方向に移動して固定片19の他端側19bを隙間無く密接に挟み付けることができるようになっている。
【0054】
この場合、第1挟み付け部材28による平らな固定片19の一端側19aの両面の挟み付け力は強く、第2挟み付け部材32による平らな固定片19の他端側19bの両面の挟み付け力は弱く設定されている。
【0055】
この設定は、第1駆動部31、第2駆動部35により行うことができる。
【0056】
例えば第1駆動部31ではモータと歯車とで第1挟み付け部材を駆動して強い挟み付け力で平らな固定片19の一端側19aの両面を挟み付け固定する。
【0057】
例えば第2駆動部35ではエアシリンダ等のダンパにより弱い挟み付け力で平らな固定片19の他端側19bの両面を挟み付ける。
【0058】
次に図9ないし図14を参照して動作を説明する。
【0059】
まず、図9で示すように、平らな固定片19の一端側19aを第1挟み付け部材28の下側クランプ30のクランプ面上に載置した状態で両クランプ29,30間に配置すると共に固定片19の他端側19bを第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33との間に配置する。
【0060】
次いで、図10で示すように第1挟み付け部材28の上側クランプ29を第1駆動部31で下降駆動して両クランプ29,30で固定片19の一端側19aの両面を隙間が無い密接状態で挟み付け固定する。この挟み付け力は固定片19が移動することができない程度に強く設定された力である。
【0061】
一方、第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33を第2駆動部35で昇降移動させて固定片19の他端側19bの両面をダイ34とパンチ33とで弱い力で隙間が無い密接状態で挟み付ける。
【0062】
ここで第1挟み付け部材28の挟み付け力は、第2挟み付け部材32を上昇させても固定片19の一端側19aを固定することができる程度の力である。
【0063】
第2挟み付け部材32の挟み付け力は固定片19の他端側19bがダイ34とパンチ33との対向面間を滑り動くことができる程度の力である。したがって、ダイ34とパンチ33の対向面の面粗さは鏡面でも構わない。また、固定片19の他端側19bはダイ34とパンチ33の両対向面に隙間が無い密接状態で横滑りすることができるようになっている。
【0064】
ここで、固定片19の一端側19aの挟み付けられている境界部分のうち上側を折曲起点A,下側を折曲起点Bとし、固定片19の他端側19bの挟み付けられている境界部分のうち上側を折曲起点C,下側を折曲起点Dとする。
【0065】
次いで、図11で示すように、第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33を、それらが固定片19の他端側19bの両面を隙間無く密接した状態で、下方向に一体に同期下降させる。この下降移動により、平らな固定片19は段差曲げされる。
【0066】
この場合、固定片19の一端側19aは第1挟み付け部材28の両クランプ29,30で隙間無く密接して固定された状態で折曲げられる。
【0067】
一方、固定片19の他端側19bは第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33との間で隙間無く密接して挟み付けられた状態で折曲げられる。
【0068】
そのため、図11の円で囲む部分を拡大して示すように、固定片19の一端側19aの上側折曲起点Aは伸び側に曲げ変形し、下側折曲起点Bは縮み側に曲げ変形する。固定片19の他端側19bの上側折曲起点Cは縮み側に曲げ変形し、下側折曲起点Dは伸び側に曲げ変形する。
【0069】
以上の曲げ変形の形状は、固定片19の一端側19a側と固定片19の他端側19bとで対称であり、同一の曲げ変形である。これが、実施の形態の段差曲げの特徴である。同一の曲げ変形になるのは、段差曲げ加工の開始から終了まで第1挟み付け部材28の両クランプ29,30と、第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33とが、固定片19の一端側19aと他端側19bに対して隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して両挟み付け部材28,32を段差曲げ方向に平行に相対移動させることによる。
【0070】
次いで、図12で示すように、第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33を第2駆動部35で昇降させて、第2挟み付け部材32による固定片19の他端側19bの挟み付けを解除する。
【0071】
次いで、図13で示すように、第1駆動部31で第1挟み付け部材28のクランプ29を上昇させることにより固定片19の一端側19aの挟み付けを解除する。
【0072】
最後に、図14で示すように、実施の形態の段差曲げ装置から段差曲げされた固定片19を取り出す。
【0073】
以上により、実施の形態の段差曲げ装置を用いて、平らな固定片19を段差曲げすることができる。
【0074】
特に、両挟み付け部材28,32を固定片19の段差曲げ高さ方向に相対的に平行移動させるだけで、固定片19を段差曲げすることができるので段差曲げ作業がきわめて簡単で時間もかかることなく容易迅速に行うことができる。
【0075】
そして、段差曲げ完了後に段差曲げ装置から固定片19を取り出しても、固定片19の一端側19aと他端側19bそれぞれに対応する段差面同士の平行度が保たれる。この両段差面同士の平行度が保たれる詳しい理由はさらに後述する。
【0076】
上記段差曲げは、第2挟み付け部材32の段差曲げ高さ方向の平行移動距離を設定することにより、1種類の平らな固定片19から種々の段差曲げ高さ(段差曲げ加工量)の固定片19を形成することができる。例えば、図15(a)は段差曲げ高さH1、図15(b)は段差曲げ高さH2、図15(c)は段差曲げ高さH3の各固定片19を示す。なお、上記では段差曲げ高さを説明の理解のためH1,H2,H3の3種類で説明したが、段差曲げ高さをそれ以上の段階で任意に設定することができることは勿論である。なお、この段差曲げ高さを任意に設定することが可能であるから、その段差曲げ角度も任意に設定することができる。
【0077】
図16は、生産端末5による動作を説明するためのフローチャートであり、図7のステップに対応する部分には、同一の符号を付す。
【0078】
可動片が組み込まれたケースに対して、変位センサ25−1によって計測が行われ、上述の図6(a)に示すように、固定片が組み付けられる基準面24から可動接点16の接点面までの距離D3が算出されて生産端末5に与えられる(ステップS3)。
【0079】
平らな固定片19に対して、変位センサ25−2によって計測が行われ、上述の図6(b)に示すように、固定片19の組み付け面24aから固定接点17の接点面までの距離D6が算出されて生産端末5に与えられる(ステップS5)。
【0080】
生産端末5は、変位センサ25−1,25−2からの与えられる距離D3,D6および生産する機種のDF特性に対応した接点間隔Dに基づいて、目標とする段差曲げ加工量(=D−D3+D6)を算出し、目標とする段差曲げ加工量となるように、第1,第2駆動部31,35の駆動を制御する(ステップS6)。
【0081】
これによって、第1,第2駆動部31,35が駆動されて平らな固定片の段差曲げ加工が行なわれる(ステップS7)。
【0082】
次に、段差曲げ加工された固定片に対して、変位センサ25−3によって計測が行われ、上述の図8に示すように、段差曲げ加工された固定片19の組み付け面24aから固定接点17の接点面までの距離D6’が算出されて生産端末5に与えられる(ステップS8)。
【0083】
生産端末5は、実際の段差曲げ加工結果(=D−D3+D6’)と、上述の目標とする段差曲げ加工量(=D−D3+D6)との差ΔXを算出し、この差が所定の規格内にあることを確認し(ステップS9)、段差曲げ加工された固定片を、可動片等が組み込まれたケースに組み込む(ステップS10)。
【0084】
上述のステップS9で、差ΔXが、所定の規格内にないときには、次回の段差曲げ加工量に修正値としてフィードバックする。
【0085】
次に、図17ないし図24を参照して、実施の形態の段差曲げ装置により、固定片19の一端側19aと固定片19の他端側19bそれぞれに形成した段差面が互いに平行に保たれる理由を説明する。
【0086】
図17は、第1挟み付け部材28で平らな固定片19の一端側19aの両面に隙間無く密接した状態で挟み付けしている状態を示す。この状態では固定片19の他端側19bは第2挟み付け部材32で挟み付けられていない。
【0087】
次に、図18で示すように、第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33の対向間隔を狭めて固定片19の他端側19bを折曲げる。この場合の第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33による固定片19の他端側19b両面の挟み付けは、固定片19の他端側19bの両面とダイ34とパンチ33の両対向面との間に隙間が存在していて、固定片19の他端側19bの両面にダイ34とパンチ33とが密接しておらず隙間が存在している。
【0088】
図18では、固定片19の一端側19aと固定片19の他端側19bがそれぞれ折曲げられているが、固定片19の一端側19aの折曲起点A、Bに対して、固定片19の他端側19bの折曲起点C、Dは対称ではなく、曲げ変形形状が相違している。
【0089】
次いで、図19で示すように固定片19の他端側19bの両面を両スライド部材のスライド面で挟み付けて固定片19の一端側19aと固定片19の他端側19bそれぞれを折曲げる。
【0090】
最後に、図20で示すように、固定片19をクランプ機構とスライド機構とから取出した場合、固定片19の他端側19bの段差面がスプリングバックして仮想線から実線のごとくその先端が折れ下がっている。すなわち、固定片19の両段差面は平行度が無い状態となっている。
【0091】
このように固定片19の両段差面が平行度が保つことができないのは、図18で固定片19の一端側19aの折曲起点A、Bに対して、固定片19の他端側19bの折曲起点C、Dは対称ではなく、曲げ変形の形状が相違していることにより、スプリングバックが偏在することに原因する。
【0092】
これに対して実施の形態について図21ないし図24を参照して説明する。実施の形態では、まず、図21で示すように、固定片19が折曲げられていない平らな状態で第1挟み付け部材28と第2挟み付け部材32それぞれで固定片19の一端側19aと固定片19の他端側19bそれぞれを挟み付けている。
【0093】
この挟み付けの状態では、第1挟み付け部材28の両クランプは固定片19の一端側19aの両面に隙間が無い状態で密接しており、第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33は固定片19の他端側19bの両面に隙間が無い状態で密接している。
【0094】
この場合、第1挟み付け部材28の両クランプ29,30は固定片19の一端側19aに強い力で密接しており、第2挟み付け部材32のダイ34とパンチ33は固定片19の他端側19bに弱い力で密接している状態である。
【0095】
そして、図22で示すように段差曲げ加工開始から終了に至る過程で固定片19の他端側19bの両面に隙間が無い状態で密接した状態で両挟み付け部材28,32で挟み付けて第2挟み付け部材32を下降させると、固定片19は上述したようにその一端側19aと他端側19bそれぞれの折曲起点A,Bと、C,Dとは互いに対称な同形状で折曲げられる。
【0096】
そのため図23で曲げ変形が完了して固定片19を取り出すと、固定片19は図24で示すように固定片19の一端側19aと他端側19bそれぞれの段差面の平行度を保った状態になっている。この場合、スプリングバックが起こっても、固定片19の一端側19aと固定片19の他端側19bは共に同じ曲げ変形で対称であるため、スプリングバックはバランスされる結果、固定片19の一端側19aと他端側19bそれぞれの段差面の平行度は保たれることになる。
【0097】
本発明は、スイッチに限らず、一対の部品をケースに組み付ける製品、例えば、リレーその他の製品に適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、マイクロスイッチなどの受注生産に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の係るシステムの構成図である。
【図2】発注端末の表示画面例を示す図である。
【図3】生産情報の表示画面例を示す図である。
【図4】マイクロスイッチの断面図である。
【図5】図4の要部の分解斜視図である。
【図6】マイクロスイッチの製造方法の要部の工程を説明するための図である。
【図7】生産工程の流れを示す図である。
【図8】段差曲げ加工後の固定片の寸法の計測を説明するための図である。
【図9】段差曲げ装置を固定片が配置されている状態で示す図である。
【図10】段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を挟み付けている状態で示す図である。
【図11】段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げ加工している状態で示す図である。
【図12】段差曲げ装置を段差曲げ終了後、第2挟み付け部材での固定片の挟み付けを解除した状態で示す図である。
【図13】段差曲げ装置を段差曲げ終了後両挟み付け部材での固定片の挟み付けを解除した状態で示す図である。
【図14】段差曲げ装置を段差曲げ終了後、固定片を取り出す状態で示す図である。
【図15】図15(a)は段差曲げ高さH1、図15(b)は段差曲げ高さH2、図15(c)は段差曲げ高さH3の各固定片を示す図である。
【図16】動作説明に供するフローチャートである。
【図17】別の段差曲げ装置を固定片が配置されている状態で示す図である。
【図18】上記別の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を挟み付けて段差曲げしている途中状態を示す図である。
【図19】上記別の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げ加工した状態を示す図である。
【図20】上記別の段差曲げ装置で段差曲げされた固定片を示す図である。
【図21】実施形態の段差曲げ装置を両挟み付け部材で固定片を挟み付けている状態で示す図である。
【図22】実施形態の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げしている途中状態で示す図である。
【図23】実施形態の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げ加工した状態で示す図である。
【図24】実施形態の段差曲げ装置で段差曲げされた固定片を示す図である。
【図25】マイクロスイッチの接点付近の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1 発注端末
2 サーバ
3 インターネット
5 生産端末
6〜8 データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の発注を行う発注端末と、前記製品を受注して前記発注端末に対して納期情報を返送するサーバとが、通信ネットワークを介して通信可能に接続されるとともに、前記製品の生産装置を制御する生産端末が、前記サーバに接続されるシステムであって、
前記製品が、少なくとも一対の部品がケースに組み付けられるものであり、
前記サーバは、前記生産端末からの生産情報を受けて前記納期情報を返送するものであり、
前記生産端末は、前記サーバからの受注に応じた指示に基づいて、前記生産装置を制御して、前記一対の部品間の対向間隔が、受注した製品の機種に応じた所要の間隔になるように、前記一対の部品の内の一方の部品材料を、他方の部品との位置関係に基づいて、その一端側と他端側との段差面が平行になるように所定の段差に段差曲げ加工して一方の部品を得、得られた一方の部品を、前記他方の部品と対向させて前記ケースに組み付けることを特徴とする製品の受注生産システム。
【請求項2】
前記一方の部品材料は、平らな薄板材からなり、
前記段差曲げ加工は、前記平らな薄板材の一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな薄板材の他端側の両面を前記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができる前記生産装置を用いて行なう請求項1に記載の製品の受注生産システム。
【請求項3】
前記製品が、固定接点を有する固定片と、前記固定接点に接離する可動接点を有する可動片とが、ケースに組み込まれるスイッチであって、前記対向間隔が、前記固定接点と前記可動接点との接点間隔であり、前記平らな薄板材が、固定片材料である請求項2に記載の製品の受注生産システム。
【請求項4】
前記生産端末は、前記製品の機種情報および各機種に個別的に対応する前記所要の間隔の情報が格納されたデータベースの情報に基づいて、前記生産装置を制御する請求項2または3に記載の製品の受注生産システム。
【請求項1】
製品の発注を行う発注端末と、前記製品を受注して前記発注端末に対して納期情報を返送するサーバとが、通信ネットワークを介して通信可能に接続されるとともに、前記製品の生産装置を制御する生産端末が、前記サーバに接続されるシステムであって、
前記製品が、少なくとも一対の部品がケースに組み付けられるものであり、
前記サーバは、前記生産端末からの生産情報を受けて前記納期情報を返送するものであり、
前記生産端末は、前記サーバからの受注に応じた指示に基づいて、前記生産装置を制御して、前記一対の部品間の対向間隔が、受注した製品の機種に応じた所要の間隔になるように、前記一対の部品の内の一方の部品材料を、他方の部品との位置関係に基づいて、その一端側と他端側との段差面が平行になるように所定の段差に段差曲げ加工して一方の部品を得、得られた一方の部品を、前記他方の部品と対向させて前記ケースに組み付けることを特徴とする製品の受注生産システム。
【請求項2】
前記一方の部品材料は、平らな薄板材からなり、
前記段差曲げ加工は、前記平らな薄板材の一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな薄板材の他端側の両面を前記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができる前記生産装置を用いて行なう請求項1に記載の製品の受注生産システム。
【請求項3】
前記製品が、固定接点を有する固定片と、前記固定接点に接離する可動接点を有する可動片とが、ケースに組み込まれるスイッチであって、前記対向間隔が、前記固定接点と前記可動接点との接点間隔であり、前記平らな薄板材が、固定片材料である請求項2に記載の製品の受注生産システム。
【請求項4】
前記生産端末は、前記製品の機種情報および各機種に個別的に対応する前記所要の間隔の情報が格納されたデータベースの情報に基づいて、前記生産装置を制御する請求項2または3に記載の製品の受注生産システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2009−3738(P2009−3738A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164734(P2007−164734)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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