説明

製本システム

【課題】用紙の無駄を少なくする製本システムを提供する。
【解決手段】仕上りサイズの用紙11aを収容した第一給紙部2と、仕上りサイズの二倍のサイズの用紙11bを収容した第二給紙部3と、用紙11a,11bに印刷する印刷機構4と、用紙11bを仕上りサイズに加工する加工機構8と、用紙11a,11bを整合する整合機構9と、用紙束17を綴じて製本する製本機構10と、原稿データの各論理ページを1又は2ページ単位で割り付け、割り付けに応じた用紙11a,11bを給紙し、印刷する制御を行う制御手段6とを備えた製本システム1において、制御手段6が、原稿データの総論理ページ数PがP=4n−3又は4n−2(但し、nは正の整数)の場合、論理ページが4n−4までの原稿データは用紙11bの一面に2ページずつ割り付けて印刷する制御を行い、それ以降の原稿データは用紙11aの一面に1ページずつ割り付けて印刷する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機構から搬送されてきた画像形成済みの用紙を揃えて製本綴じする製本システムに関し、例えば平綴じ製本、くるみ製本などに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
製本システムは、印刷機構から搬送されてきた印刷済みの用紙を集積部に集積し、この用紙束の背部を綴じ合わせて製本する。このような製本システムで製本綴じする製本方法としては、表紙面から糸や針金によって重ねた折りを綴じる平綴じ製本や、用紙束を中央から折り合わせて綴じる中綴じ製本、或いは折り合わせない用紙束の背部にホットメルト接着剤を塗布し、この用紙束を表紙でくるみ綴じするくるみ製本(無線綴じ製本)などが知られている。
【0003】
通常、製本システムでは、仕上りサイズと同じサイズの用紙を使用するが、例えば下記特許文献1に開示される製本装置は、仕上りサイズの二倍のサイズの用紙に印刷し、印刷済みの用紙を二つ折りにしてくるみ製本する。この製本装置によれば、中央で折り合わせる2面を同時に印刷することができる。また、例えば下記特許文献2に開示される製本装置は、本文の厚さを検出し、その厚さに応じて表紙をカットする。この製本装置によれば、予めある程度のマージンを見込んで大きなサイズに表紙を形成しておく必要が無く、本文の幅に合わせて断裁する工程が不要となるため、製本作業効率が高まるとともに、製本後の表紙断裁量を少なくでき、資源の無駄を減らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−18492号公報
【特許文献2】特開2003−25759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、仕上りサイズの二倍のサイズの用紙に印刷を行えば、片面印刷では2面(2ページ)、両面印刷では4面(4ページ)を一回の印刷工程で印刷することができるが、本文のページ数Pが、P=4n−3又はP=4n−2(但し、nは正の整数)の5ページ又は6ページなどの場合、半分又は片面しか使用しない用紙を使用することになり、無駄に紙資源を消費することになった。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、用紙の無駄を少なくすることを可能とした製本システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の製本システムは、原稿データの各論理ページの用紙サイズを仕上りサイズとし、該仕上りサイズの用紙11(11a)を収容した第一給紙部2と、
前記仕上りサイズの二倍のサイズの用紙11(11b)を収容した第二給紙部3と、
前記各給紙部2,3から給紙された前記各サイズの用紙11a,11bに印刷する印刷機構4と、
前記第二給紙部3から給紙され、前記印刷機構4により印刷された前記仕上りサイズの二倍のサイズの用紙11bを前記仕上りサイズとなるように加工する加工機構8と、
前記仕上りサイズとなった用紙11を整合して用紙束17を作成する整合機構9と、
前記用紙束17を綴じて製本する製本機構10と、
前記原稿データの各論理ページを1又は2ページ単位で割り付け、該割り付けに応じた用紙サイズの用紙11を前記各給紙部2,3から給紙する制御を行うとともに、該用紙11を印刷する制御を行う制御手段6と、
を備えた製本システム1において、
前記制御手段6は、
前記原稿データの総論理ページ数Pが、P=4n−3又は4n−2(但し、nは正の整数)の場合、
論理ページが4n−4までの該原稿データについては、前記第二給紙部3から給紙された前記仕上りサイズの二倍のサイズの用紙11bの一面に2ページずつ割り付けて印刷するように制御し、
それ以降の該原稿データについては、前記第一給紙部2から給紙された前記仕上りサイズの用紙11aの一面に1ページずつ割り付けて印刷するように制御することを特徴とする。
【0008】
この製本システム1(1A)では、原稿データの総論理ページ数Pが、P=4n−3又はP=4n−2であると、例えば最後の用紙11として、第一給紙部2から仕上がりサイズの用紙11aが印刷機構4に供給され、半分又は片面しか使用しない二倍サイズの用紙11bを使用しなくても済むようになる。通常時には、仕上がりサイズの二倍のサイズの用紙11bが主に用いられることで、印刷速度が紙揃えの処理時間に依存する場合(紙揃えの処理時間がネックとなる場合)、長く確保された紙揃え時間を短縮して印刷限界速度の短縮が可能となる。また、仕上がりサイズの二倍のサイズの用紙11bが主に用いられることで、仕上がりサイズの用紙11aの収容に必要であった半分の厚さの収容容量で用紙が収容可能となる。
【0009】
請求項2記載の製本システムは、請求項1記載の製本システム1であって、
前記製本機構10は、前記用紙束17と表紙用紙19とを共に綴じて製本可能であり、更に、前記用紙束17の厚さに応じて前記表紙用紙19を適切な長さに断裁するカット機構23を有し、
前記加工機構8は、前記カット機構23を用いて、前記第二給紙部3から給紙された前記仕上りサイズの二倍のサイズの用紙11bを前記仕上りサイズに断裁することを特徴とする。
【0010】
この製本システム1(1B)では、くるみ製本などの表紙サイズ調整に使用するカット機構23が併用され、部品を増やさずに、仕上がりサイズの二倍のサイズの用紙11bが使用可能となる。この構成においても、上述した製本システム1Aと同様に、原稿データの総論理ページ数Pが、P=4n−3又はP=4n−2であると、例えば最後の用紙11として、第一給紙部2から仕上がりサイズの用紙11aが印刷機構4に供給され、半分又は片面しか使用しない二倍サイズの用紙11bを使用しなくても済むようになる。通常時には、仕上がりサイズの二倍のサイズの用紙11bが主に用いられることで、印刷速度が紙揃えの処理時間に依存する場合(紙揃えの処理時間がネックとなる場合)、長く確保された紙揃え時間を短縮して印刷限界速度の短縮が可能となる。また、仕上がりサイズの二倍のサイズの用紙11bが主に用いられることで、仕上がりサイズの用紙11aの収容に必要であった半分の厚さの収容容量で用紙が収容可能となる。
【0011】
請求項3記載の製本システムは、請求項1又は2記載の製本システム1であって、
前記制御手段6は、前記第二給紙部3に収容した前記仕上りサイズの二倍のサイズの用紙11bが無くなったときに、未印刷である前記論理ページを、1ページ単位で割り付け、前記第一給紙部2から給紙し、該給紙された仕上りサイズの用紙11aに印刷するように制御することを特徴とする。
【0012】
この構成では、製本中に仕上がりサイズの二倍のサイズの用紙11bが無くなると、第一給紙部2から仕上がりサイズの用紙11aが印刷機構4に給紙され、通常使用される用紙(仕上りサイズの二倍のサイズの用紙11b)が用紙切れとなったことによるシステム停止が発生せず、製本システムの連続稼働が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製本システムによれば、ページ数の条件に対応して、用紙サイズを混在させて印刷機構に供給できるので、半分又は片面しか使用しない二倍サイズの用紙を使用せずに済み、用紙の無駄を少なくすることができる。また、仕上がりサイズの二倍のサイズの用紙を主に用いることで、給紙時間、整合時間を長くとることができ、限界の印刷速度を上げることができる。さらに、大容量の給紙トレイなどを必要とせず、見かけ上二倍の用紙容量を確保することができる。
【0014】
また、表紙サイズ調整に使用するカット機構を併用することで、部品を増やさずに、仕上がりサイズの二倍のサイズの用紙を用いることができる。
【0015】
さらに、製本中に仕上がりサイズの二倍のサイズの用紙が無くなった場合であっても、第一給紙部から仕上がりサイズの用紙が印刷機構に給紙されるので、製本システムを止めずに連続稼動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第一の実施の形態(製本システム)の構成を示す模式図である。
【図2】A4用紙の紙揃えに使える時間を示す説明図である。
【図3】A3用紙の紙揃えに使える時間を示す説明図である。
【図4】二つ折り製本の面付けの一例を示す説明図である。
【図5】(a)本文のページ数がP=4n−3(但し、nは正の整数)のときにA3用紙だけを使用した場合の面付けを示す説明図である。 (b)本文のページ数がP=4n−2(但し、nは正の整数)のときにA3用紙だけを使用した場合の面付けを示す説明図である。
【図6】(a)本文のページ数がP=4n−3(但し、nは正の整数)のときに最後の用紙にA4用紙を使用した場合の面付けを示す説明図である。 (b)本文のページ数がP=4n−2(但し、nは正の整数)のときに最後の用紙にA4用紙を使用した場合の面付けを示す説明図である。
【図7】制御手段による印刷、加工、整合及び製本の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】第二の実施の形態(製本システム)の構成を示す模式図である。
【図9】(a)〜(c)表紙用紙の断裁動作を示す説明図である。
【図10】(a)〜(c)用紙の断裁動作を示す説明図である。
【図11】断裁製本の面付けの一例を示す説明図である。
【図12】製本中にA3用紙が無くなったときにA4用紙を挿入する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
「第一の実施の形態」
図1に示すように、製本システム1(1A)は、第一給紙部2、第二給紙部3、印刷機構4、面付けドライバ5、制御手段6、(印刷機構4から送られてきた用紙11の)搬送経路7、加工機構8、整合機構9、製本機構10を主な構成要素として備えている。なお、第一給紙部2と第二給紙部3は略同一の機構を有し、収容される用紙11が異なる。第一給紙部2には仕上りサイズの例えばA4用紙11aが収容され、第二給紙部3には仕上りサイズの二倍のサイズの例えばA3用紙11bが収容される。この仕上りサイズとは、製本後に本文となる用紙のサイズであり、そのサイズ情報は原稿データの各論理ページの用紙サイズから得ることができる。
【0018】
第一給紙部2及び第二給紙部3は、用紙11(11a,11b)を収容するカセットと、カセットに収容された用紙11を所定のタイミングで一枚ずつ給送する給紙ローラと、給紙ローラによって給紙された用紙11を印刷機構4に搬送する一連の搬送ローラ群とを備えている。第一給紙部2及び第二給紙部3は、制御手段6からの指示により、用紙11を搬送ローラ群に送り出す。
【0019】
印刷機構4は、インクジェット記録部12を備えている。インクジェット記録部12は、各色ごとにインクヘッド13を備えている。印刷時に用紙11を搬送する搬送ベルト14は、無端状ベルトからなり、用紙11の搬送面となる表面と裏面の間を貫通した多数の吸気孔が設けられている。また、搬送ベルト14の裏面側には吸引ファンが設けられている。吸引ファンは、搬送ベルト14の吸気孔を介して空気を吸引することで、搬送ベルト14に搬送される用紙11を搬送ベルト14の表面上に吸着させる。
【0020】
また、インクヘッド13は、搬送ベルト14の上方に設けられており、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色ごとに搬送方向と直交する方向に沿って千鳥状に配列されたラインヘッドを形成し、選択的にインク液滴を吐出する。
【0021】
面付けドライバ5は、印刷機構4のインクジェット記録部12を駆動制御する。面付けドライバ5によって駆動制御されたインクジェット記録部12は、連続する一連の原稿データの各論理ページの順位に基づいて、実際に製本された後の本文の各ページがページ順通りになるように、各ページを配列する面付けを可能としている。このように印刷された仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bを加工した後に連続したページ順位となる。
【0022】
なお、上述した第一給紙部2、第二給紙部3、印刷機構4、面付けドライバ5などは、製本システム1Aが備える画像形成システムを構成する。
【0023】
搬送経路7は、印刷機構4から搬送されてきた用紙11をそのまま後段の整合機構9へ搬送する経路と、印刷機構4から搬送されてきた用紙11が仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bである場合に加工機構8へと搬送する経路とからなり、制御手段6によってこれらの経路は切り替わる。
【0024】
加工機構である折り機構8は、印刷機構4から搬送されたA3用紙11bをA4サイズとなるように二つ折りした後、搬送経路7を介して整合機構9へ搬送する。具体的に、二つ折りは、用紙11bの先を突当板15に突き当てて撓ませ、撓んだ部分からローラ16に吸い込んで折りながら搬送する。このような構成の二つ折り機構とすることにより、タイムロスを無くすことができる。
【0025】
整合機構9は、製本しようとする複数の用紙11を、ホットメルト接着材の塗布が可能な状態に整合して用紙束17を作成し、製本機構10へ送る。この整合機構9で作成された用紙束17は製本後の本文となる。
【0026】
製本機構である綴じ機構10は、糊付部18と、表紙供給部とを備えている。整合機構9から送られた用紙束17は、両側からクランプされた状態で、糊付部18まで供給される。糊付部18は、供給された用紙束17の背部にホットメルト接着剤を塗布する。背部にホットメルト接着剤が塗布された用紙束17は表紙成型位置に移送される。
【0027】
図示しない表紙供給部は、用紙束17のホットメルト接着剤が塗布された背部の下方に表紙用紙19を供給する。表紙成型位置では、表紙用紙19の中央が用紙束17の厚さ中心と一致するよう表紙位置決め手段によって位置決めされて表紙用紙19が送り込まれる。表紙用紙19は、中央部が用紙束17のホットメルト接着剤が塗布された背部に押圧されて接着される。接着された表紙用紙19は、用紙束17の両側縁に沿って折り曲げられ冊子20として製本される。
【0028】
なお、制御手段6は、CPUを有し、製本処理実行プログラムをメモリから呼び出して各処理を実行する。制御手段6は、面付けドライバ5からのジョブ終了信号、原稿データの各論理ページの用紙サイズ情報その他製本に要する情報及びコマンド信号を受信する。各システム内の各搬入経路には搬送する用紙11を検出する用紙センサが配置され、制御手段6には各用紙センサからの検出信号が送られる。製本処理実行プログラムには、シート折り処理制御部、集積動作制御部、接着剤塗布動作制御部、表紙綴じ動作制御部、断裁動作制御部、折位置演算部、用紙サイズ切替制御部などをサブルーチンとして備えている。
【0029】
次に、上記構成を有する製本システム1Aの作用を説明する。
図2及び図3に示すように、製本システム1Aでは、通常時、仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bが主に用いられることで、紙揃え(給紙時間や整合時間)に使える時間が長くとれるようになる。
【0030】
冊子20の仕上りサイズと同じサイズであるA4用紙11aが用いられる場合、図2に示すように、ある所定の印刷速度を例にとると、用紙一枚当たりの通過時間は240msecであり、用紙11a,11aの間隔は400msecとなる。これから次の用紙11aの整合動作準備のための時間50msecが減じられて実際の紙揃えに使える時間はA4の場合350msecとなる。一方、仕上りサイズの倍サイズであるA3用紙11bが用いられる場合、図3に示すように、紙揃えに使える時間は用紙一枚の半分当たりA4用紙と同じ240msecであるが、用紙11b,11bの間隔は800msecとなる。これから準備時間50msecが減じられて実際の紙揃えに使える時間はA3の場合750msecとなる。
【0031】
印刷速度が紙揃えの処理時間に依存する場合(紙揃えの処理時間がネックとなる場合)、長く確保できた紙揃え時間を短縮することで、印刷限界速度のさらなる短縮が可能となる。また、仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bが主に用いられることで、仕上りサイズのA4用紙11aの収容に必要であった半分の厚さの収容容量で用紙が収容可能となる。
【0032】
二つ折り製本における用紙11bの面付けは、例えば右綴じの冊子20を製本する場合には、図4に示すように面付けされる。なお、用紙11bの面付けは印刷時の搬送方向によっても異なる。図4では1〜4ページ目が印刷されている。図中の丸内の数字はページを示し、用紙11bの表面に2ページ、3ページ目が印刷され(実線の丸にて表示)、裏面に1ページ、4ページ目が印刷される(破線の丸にて表示)。このように印刷された仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bは、中央から1枚ずつ折り合わせれば製本後に連続したページ順位となる。
【0033】
例えば本文となる用紙束17が5ページ(5=4×2−3)からなる場合、これまで5ページ目は、図5(a)に示すように、仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bの裏面の半分に印刷されていた。したがって、残りの2/3は余白となっていた。なお、図5(a)において、右側の用紙11bには1〜4ページのうち、表面に2ページ、3ページ目が印刷され、裏面に1ページ、4ページ目が印刷され、左側の用紙11bには裏面の半分に5ページ目が印刷される。図中の斜線は表面及び裏面のそれぞれの余白を示している。ところが、用紙束17の最後の用紙11に仕上りサイズのA4用紙11aを使用することで、図6(a)に示すように、5ページ目が用紙11aの裏面に印刷され、余白は用紙11aの表面だけとなり、これまでのように、用紙11bの半分Mが無駄にならずに済むようになる(図5(a)参照)。
【0034】
これと同様に、例えば用紙束17が6ページ(6=4×2−2)からなる場合、これまで5ページ、6ページ目は、図5(b)に示すように、仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bの半分に印刷されていた。したがって、残り半分は余白となっていた。なお、図5(b)において、右側の用紙11bには1〜4ページのうち、表面に2ページ、3ページ目が印刷され、裏面に1ページ、4ページ目が印刷され、左側の用紙11bには半分の裏面に5ページ目が印刷され、表面に6ページ目が印刷される。図中の斜線は表面及び裏面のそれぞれの余白を示している。ところが、用紙束17の最後の用紙11に仕上りサイズのA4用紙11aを使用することで、図6(b)に示すように、5ページ、6ページ目が用紙11aの裏面、表面に印刷されて余白は無くなり、用紙11bの半分Mが無駄にならずに済むようになる(図5(b)参照)。
【0035】
このようにして印刷された用紙11(11a,11b)は整合機構9に搬送され、接着材の塗布が可能な状態に整合される。整合された用紙11a,11bは、表紙成型位置に送られ、表紙用紙19が用紙束17におけるホットメルト接着剤が塗布された背部に押圧されて接着される。接着された表紙用紙19は、用紙束17の両側縁に沿って折り曲げられて冊子20となる。表紙付き冊子20は、冊子排出手段によって一連の製本ラインから排出され、製本が完了する。
【0036】
ここで、図7を参照して制御手段6による印刷、加工、整合及び製本の処理手順を説明する。図7に示すように、制御手段6は、原稿データの総論理ページ数Pが、P=4n−3又はP=4n−2(但し、nは正の整数)と判別し(S1)、続いて、A3用紙11bが第二給紙部3にあると判別すると(S2)、A3用紙11bを印刷する処理を行う(S3)。このとき、制御手段6は、A3用紙11bの表裏のそれぞれの面の一面に2ページずつ割り付けて印刷するように制御する。次に、A3用紙11bを仕上りサイズ、つまり、A4サイズに加工する処理を行う(S4)。次に、4n−4までの論理ページの印刷が完了したと判別すると(S5)、それ以降の論理ページの印刷をA4用紙11aに印刷する処理を行う(S6)。このとき、制御手段6は、第一給紙部からA4用紙11aを給紙し、A4用紙11aの表裏のそれぞれの面の一面に1ページずつ割り付けて印刷するように制御する。そして、印刷済みの各用紙を整合して用紙束17を作成し、製本する処理を行い(S7)、処理は完了する。
【0037】
また、制御手段6は、上記処理S5にて、4n−4までの論理ページの印刷が完了していないと判別すると、上記処理S2へと移行する。また、上記処理S1にて、原稿データの総論理ページ数Pが、P=4n−3又はP=4n−2(但し、nは正の整数)以外と判別した場合に、A3用紙11bに印刷する処理を行い(S8)、上記処理S4と同様に、A3用紙11bを仕上りサイズ、つまり、A4サイズに加工する処理を行い(S9)、上記処理S7へと移行する。
【0038】
第一の実施の形態(製本システム1A)によれば、ページ数Pの条件に対応して、本文(用紙束17)の最後の用紙11に仕上りサイズの用紙11aを混在させることができるので、用紙11の無駄を少なくできる。仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bを主に用いることで、給紙時間、整合時間を長くとることができ、限界の印刷速度を上げることができる。大容量の給紙トレイなどを必要とせず、見かけ上二倍の用紙容量を確保することができる。
【0039】
「第二の実施の形態」
なお、この実施の形態において、図1乃至図7に示した部分と同一部分には同一符号を付し重複する説明は省略する。
図8に示すように、製本システム1(1B)は、仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11aに印刷した後、用紙11bを仕上りサイズに断裁して整合機構9、製本機構(綴じ機構)10へ搬送する点が上述した第一の実施の形態(製本システム1A)と異なる。製本システム1Bでは、用紙11の断裁に、表紙用紙19の断裁のためのカット機構23を併用して、画像形成された仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bを仕上りサイズ(ここではA4サイズ)に断裁加工する。
【0040】
すなわち、上述した第一の実施の形態では用紙11を二つ折りしてくるみ製本するのに対し、この実施の形態では用紙11を断裁してくるみ製本する。その他の構成は上述した第一の実施の形態同様となる。
【0041】
製本システム1Bは、表紙給紙機構21、カット機構23を備えている。表紙給紙機構21は、製本サイズに応じた所定の複数種類のサイズの表紙用紙19を収容可能とし、表紙給紙機構21に収容された表紙用紙19を所定のタイミングで一枚ずつ給送する給紙ローラと、給紙ローラによって給紙された表紙用紙19を所定の通紙経路に沿って搬送する一連の搬送ローラ群と、印刷された表紙用紙19を一時ストックする表紙ストックトレイ22とを備えている。搬送ローラ群の最後の搬送ローラは表紙位置決めローラとして用いられる。
【0042】
カット機構21には表紙用紙19の通紙経路の途中に表紙断裁手段24が設けられている。表紙断裁手段24は、カット位置センサ、モータによって駆動されるカッター刃などを備えて構成されている。カット機構21は、本文厚さ検出手段による検出結果を受けて、用紙束17の厚さに応じて表紙用紙19を断裁する。また、カット機構21は、用紙サイズ検出手段による検出結果を受けて、印刷された仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bを仕上りサイズ(A4サイズ)に断裁する。
【0043】
なお、表紙給紙機構21、カット機構23などのような表紙用紙19を用紙束17の厚さに合わせて加工する機構は、通常の製本装置が備えているものであり、上述した第一の実施の形態においてもその説明は省略しているがこれらの機構を備えている。
【0044】
次に、製本システム1Bの作用を説明する。
図9(a)に示すように、表紙用紙19は、印刷機構4によって印刷された後、表紙ストックトレイ22に一時ストックされる。表紙ストックトレイ22にストックされた表紙用紙19は、図9(b)に示すように、用紙束17の厚さに応じ、カット機構23により所定サイズに断裁される。断裁された表紙用紙19は、図9(c)に示すように、搬送ローラにより綴じ機構10に搬送され、以下、上記同様にくるみ製本される。
【0045】
一方、印刷された仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bは、図10(a)に示すように、カット機構23により仕上りサイズ(A4サイズ)に断裁され、図10(b)に示すように、カットの順に整合機構9に搬送される。整合機構9では図10(c)に示すように、カットされた用紙11が接着材の塗布が可能な状態に整合され、以下、上記同様に表紙用紙19が接着され、冊子20として製本される。
【0046】
製本システム1Bでは、くるみ製本の表紙サイズ調整に使用するカット機構23が併用され、部品を増やさずに、仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bが使用可能となる。
【0047】
断裁製本における用紙11bの面付けは、例えば左綴じの冊子20を製本する場合には、図11に示すように面付けされる。なお、用紙11bの面付けは印刷時の搬送方向によっても異なる。図10では1〜4ページ目が印刷されている。図中の丸内の数字はページを示し、用紙11aの表面に4ページ、2ページ目が印刷され(実線の丸にて表示)、裏面に1ページ、3ページ目が印刷される(破線の丸にて表示)。このように印刷された仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bは、中央で断裁され、一枚ずつ重ねられると連続したページ順位となる。
【0048】
また、製本システム1Bにおいても、図6に示すように、原稿データの総論理ページ数Pが、P=4n−3又はP=4n−2(但し、nは正の整数)のときに、制御手段6によって、用紙束17の最後の用紙11として、第二給紙機構3から仕上りサイズのA4用紙11aが印刷機構4に供給される。これにより、半分又は片面しか使用しない二倍サイズのA3用紙11bを使用しなくても済み、A4用紙11aが使用されることで、用紙11bの半分が無駄Mにならずに済むようになる(図5(a),(b)参照)。
【0049】
第二の実施の形態(製本システム1B)によれば、くるみ製本の表紙サイズ調整に使用するカット機構23を併用することで、部品を増やさずに、仕上りサイズの二倍サイズのA3用紙11bを用いることができる。また、上述した第一の実施の形態と同様に、ページ数Pの条件に対応して、本文(用紙束17)の最後の用紙11に仕上りサイズの用紙11bを混在させることができるので、用紙11の無駄を少なくできる。仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bを主に用いることで、給紙時間、整合時間を長くとることができ、限界の印刷速度を上げることができる。大容量の給紙トレイなどを必要とせず、見かけ上二倍の用紙容量を確保することができる。
【0050】
なお、上述した第一及び第二の実施の形態を、製本中に仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bが無くなると、第一給紙部2から仕上りサイズのA4用紙11aが印刷機構4に給紙されるように構成することもできる。
【0051】
すなわち、第二給紙部3には用紙検出センサが設けられ、用紙切れが検出されると制御手段6へ用紙切れ検出結果が送られ、制御手段6は、用紙切れに応じて第二給紙部3を停止するとともに、第一給紙部2を起動し、仕上りサイズのA4用紙11aの給紙を開始する。図7に示すように、制御手段6は、上記処理S2にて、A3用紙11bが第二給紙部3にないと判別し、続いて、第一給紙部2にA4用紙11aがあると判別すると(S10)、それ以降の論理ページの印刷を、A4面付けに変更してからA4用紙11aに印刷する処理を行い(S11)、上記処理S7へと移行する。なお、制御手段6は、同時に搬送経路7の経路変更の指示を行う。また、上記処理S10にて、第一給紙部2にA4用紙11aがないと判別すると、紙なしエラーの信号を出力する(S12)。
【0052】
また、仕上りサイズの二倍のサイズの用紙11bの用紙切れ時における用紙切替の手順は、図12に示す通りに行う。製本が開始されると、仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bの有無が判断される(S21)。用紙11bがある場合には用紙11bに印刷され(S22)、二つ折り又は断裁加工がなされる(S23)。次いで、整合が行われ(S24)、冊子20に製本され(S25)、製本を終了する。ところが、手順S22にて仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bが無いと判断されると、面付け設定が変更され(S26)、仕上りサイズのA4用紙11aの印刷が行われる(S27)。以下、同様に、手順S25にて整合が行われ、手順S26にて冊子20に製本され、製本を終了する。
【0053】
この構成によれば、製本中に仕上りサイズの二倍のサイズのA3用紙11bが無くなると、第一給紙部2から仕上りサイズのA4用紙11aが印刷機構4に給紙される。これにより、通常使用されるA3用紙11bが用紙切れとなったことによるシステム停止が発生せず、製本システムを止めずに連続稼動させることができる。
【符号の説明】
【0054】
1(1A,1B)…製本システム
2…第一給紙部
3…第二給紙部
4…印刷機構
6…制御手段
8…加工機構
9…整合機構
10…製本機構
11…用紙
11a…仕上りサイズの用紙(A4用紙)
11b…仕上りサイズの二倍のサイズの用紙(A3用紙)
23…カット機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿データの各論理ページの用紙サイズを仕上りサイズとし、該仕上りサイズの用紙を収容した第一給紙部と、
前記仕上りサイズの二倍のサイズの用紙を収容した第二給紙部と、
前記各給紙部から給紙された前記各サイズの用紙に印刷する印刷機構と、
前記第二給紙部から給紙され、前記印刷機構により印刷された前記仕上りサイズの二倍のサイズの用紙を前記仕上りサイズとなるように加工する加工機構と、
前記仕上りサイズとなった用紙を整合して用紙束を作成する整合機構と、
前記用紙束を綴じて製本する製本機構と、
前記原稿データの各論理ページを1又は2ページ単位で割り付け、該割り付けに応じた用紙サイズの用紙を前記各給紙部から給紙する制御を行うとともに、該用紙を印刷する制御を行う制御手段と、
を備えた製本システムにおいて、
前記制御手段は、
前記原稿データの総論理ページ数Pが、P=4n−3又は4n−2(但し、nは正の整数)の場合、
論理ページが4n−4までの該原稿データについては、前記第二給紙部から給紙された前記仕上りサイズの二倍のサイズの用紙の一面に2ページずつ割り付けて印刷するように制御し、
それ以降の該原稿データについては、前記第一給紙部から給紙された前記仕上りサイズの用紙の一面に1ページずつ割り付けて印刷するように制御することを特徴とする製本システム。
【請求項2】
請求項1記載の製本システムであって、
前記製本機構は、前記用紙束と表紙用紙とを共に綴じて製本可能であり、更に、前記用紙束の厚さに応じて前記表紙用紙を適切な長さに断裁するカット機構を有し、
前記加工機構は、前記カット機構を用いて、前記第二給紙部から給紙された前記仕上りサイズの二倍のサイズの用紙を前記仕上りサイズに断裁することを特徴とする製本システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の製本システムであって、
前記制御手段は、前記第二給紙部に収容した前記仕上りサイズの二倍のサイズの用紙が無くなったときに、未印刷である前記論理ページを、1ページ単位で割り付け、前記第一給紙部から給紙し、該給紙された仕上りサイズの用紙に印刷するように制御することを特徴とする製本システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−66450(P2012−66450A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212364(P2010−212364)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】