説明

製紙用および工業用の布の縫合を製造する方法、ならびにその方法により製造した縫合

【課題】レーザーエネルギーによって製紙機械クロージング(「PMC」)や他の工業用布の選択した個所を溶融接合する技術、製紙機械やその他の機械上で縫合可能な布のループ縫合の改良技術の提供。
【解決手段】 この発明では、機械上で縫合可能な布における縫合ループにレーザー吸収材料を加える。布100は、修正無端の織り布、または、布を平織りし、CD糸のいくつかをほぐし、MD糸の中に織り返して各布端にループを形作ることにより、織り込みループ縫合あるいはピン縫合を作り出したものである。さらにまた、布100は、縫合ループ160を形作るMD糸アレイを用いた、縫合した不織の布構造でも良い。縫合ループ160は、2以上のストランドをもつ、もろよりあるいは撚り/ねじり糸によるMD糸アレイで形作ることができる。縫合ループにレーザーエネルギーを加えると、2以上のストランドをもつ糸は、単一のモノフィラメントのようになる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2008年9月4日出願の米国特許出願第12/231,669号の一部継続出願であり、その米国特許出願の優先権を主張するものであり、それが明らかにした内容を参照によってここに組み入れる。
【技術分野】
【0002】
ここに開示する発明は、製紙機械布(「PMC」、Paper Machine Clothing)や他の工業および工学の分野の布について、レーザのエネルギーを用いることによって、選択した位置で結合あるいは溶融させる技術に関する。
【引用による組み入れ】
【0003】
ここで引用する特許、特許出願、文書および/または文献のすべてを参照によってここに組み入れ、しかもまた、この発明を実施する上で使用する。
【背景技術】
【0004】
この発明は、製紙機械の成形、プレスおよび乾燥の各部分で用いる布およびベルトを含む製紙技術に関し、そしてまた、工業用処理布およびベルト、TAD(through-air-drying、通し風乾)布、通常コルゲータベルトを伴う工学布およびベルトに関する。
【0005】
ここでいう布およびベルトには、また、他の物の製造にも用いられるものも含む。たとえば、紙および板紙のような湿式製品、TADによる生理用のティッシュやナプキン製品であり、さらに、コルゲート(波形)板紙の製造に用いるコルゲータベルト、湿式および乾式のパルプの製造に用いる工学布があり、スラッジフィルタやケミウオッシャを用いる製紙の処理、およびハイドロエンタングリング(hydroentangling、湿式処理)、溶融ブロー(meltblowing)、スパンボンド(spunbonding)、エアレイド(airlaid)あるいはニードルパンチングによる不織製品の製造に用いられる。そのような布およびベルトには、それに限定されるわけではないが、不織製品、ろ過布およびろ過織物の製造処理で用いるエンボス、運搬および支持用の布およびベルト、ならびに、カレンダー加工や皮革なめしのようなテキスタイル仕上げ処理に用いる布およびベルトを含む。
【0006】
そのようなベルトや布は、広範囲ないろいろな状況にさらされるので、それらに対する機能的な特性が考慮されるべきである。たとえば、製紙処理において、セルロースを含む繊維状のウェブは、製紙機械の成形部分を移動する成形布上に繊維状のスラリー、つまりセルロース繊維の水性分散液を堆積させることによって形作られる。スラリーからは成形布を通して多量の水が排水され、成形布の表面にセルロースを含む繊維状のウェブを残すことになる。
【0007】
製紙機械布(たとえば、成形、プレスおよび乾燥の各布)のような布は、製紙機械上ですべてエンドレス(無端)の形態であり、コンベヤのような役目をすることを認識されたい。
【0008】
そのような布の構造物は、織りのような一般に行われているテキスタイル処理方法によって、合成繊維および糸(ヤーン)から構成される。それらの合成繊維および糸としては、モノフィラメントを用いることができるし、または、一緒に撚ったおよび/あるいは撚り/編んだ2以上の糸を用いることができる。しばしば要求されることは、布構造を選択的に仕立てることによって、たとえば、布寿命、シート成形、運転操作性あるいは紙特性というような製紙業者にとって重要な性能特性に影響しあるいは高めるという要求である。
【0009】
これらの布の多くは、機械上で縫合(on machine seamable)を行う。すなわち、布を必要な大きさに織り、その布の横方向(「CD」)の端を製紙機械それ自体上で縫合するように機械に据え付ける。プレス布の場合、一般的には、布のCD端上に縦方向(「MD」)糸で形作られた縫合ループを組み合わせること、および組み合った縫合ループが形作る通路(チャンネル)にピントルを挿入することにより実行する。機械上で縫合する布を作る一つの方法は、「修正無端織り」と称され、布を連続したループに織り、機械上での縫合形態に修正する方法である。そのような布において、縦糸はCD方向にあり、横糸はMD方向にある。織機で布を織った後、布の横方向の端、つまりCD端を製紙機械上で集め、横方向糸で形作ったMD縫合ループを組み合わせ、組み合わせた縫合ループが形作る通路内にピントルを挿入することにより二つの端を縫合する。
【0010】
第2の方法では、布を平織りし、CD糸のいくつかをほぐし、MD糸の中に織り返して各布端にループを形作ることにより、織り込みループ縫合あるいはピン縫合を作り出す。ループを組み合わせ、上に述べたように布を縫合することができる。また、第3の方法では、縫合ループを形作るMD糸アレイを用いることにより、不織の布構造を作り出す。この方法において、単一の糸による1あるいは2以上の層を、互いに離れた二つの平行なロールの周りに巻く。糸は、スパイラル巻き(糸は最終的な布のMD方向に対してわずかな角度をもつ)とし、目的とする布の幅になるまで行う。ロール間の距離は、用いる布に必要とされるMD長さに応じて変わる。同様な方法および布については、たとえば、この出願人が所有するダベンポートの米国特許第6,491,794号やイーグルズの米国特許出願公開第2005/0102763号が示す。それらの内容のすべてを参照によってここに組み入れる。
【0011】
機械上で縫合可能な布を作るさらに別の方法では、多軸の縫合布を作り出す。そのような技術については、この出願人が所有するユークの米国特許第5,939,176号が示す。その内容のすべてを参照によってここに組み入れる。
【0012】
ある布においては、MD方向について、単一のモノフィラメントよりも繊維の撚り/ねじり糸または2以上のストランドあるいはフィラメントを用いる。そのことは、CD糸によってMD糸を固定しないとき、特に、不織の配列で必要である。そのような多ストランド糸は、弾性および強度を向上し、単一のモノフィラメントの場合における繊維および疲労の問題を解決する。しかし、それらのMD糸で「ピン縫合」のためのループを形作ろうとすると、深刻な問題が生じる。そのように形作ったループが、頂上で形を崩したり、それらの相対的な類似性をなくす傾向がある。さらには、ループを組み合わせようとしたり、組み合ったループが形作る通路にピントルを通す力を加えるとき、完全なループが簡単に変形しあるいは曲がってしまうことになる。
【0013】
二次的らせん効果と称される現象の結果として、別の問題が生じる。ピン縫合ループは、理想的には、それらの面が布の面に対して直立し、しかもMD方向に平行するように適切に方向付けられるべきである。そのような方向付けがあれば、端を結合しピン縫合を形作るとき、布の各端のループを容易に交互に組み合わせることができる。二次的らせん効果は、たとえば図1に示すように、ループ面に横たわる軸周りに回転する2以上のストランドをもつ撚り/ねじり糸12で形作ったループ10に見られる。これが生じると、ピン縫合を形作る上で必要な理想の方向付けから逸脱してしまう。そのような逸脱があると、不可能ではないとしても、組み合ったループが作る空所にピントルを通すことが困難になるだけでなく、閉じるとき布の各端のループを適切に交互に組み合わせることが困難になる。一般的に、縫合ループ10の方向付けについては、たとえばらせんコイルのような位置決め部材16を用いて据え付けを行うまで維持される。らせんコイルは、この出願人が所有するコーネットの米国特許第7,393,434号が示し、図2にも示す。しかし、布の据え付けのために位置決め部材をひとたび取り外すと、縫合ループは、二次的らせん効果のために方向付けを解放する。したがって、2以上のストランドをもつ撚り/ねじり糸で形作った、機械上で縫合可能な布には、ループを一列にすることおよび方向付け/類似性を得る上で問題がある。
【発明の概要】
【0014】
そこで、この発明の主題は、次のとおりである。すなわち、合成ポリマー糸のストランド、特には、布の「ピン」縫合領域におけるそれらを糸特性に目立つような損失を起こさずに、そして、糸の大きさおよび/または形を大きく変更することなく、集束レーザーエネルギーで溶融あるいは結合すること、また、縫合が布の本体と同様の特性をもつこと、そしてまた、縫合領域が通常に用いるMD方向の長さよりも短いとしても、製紙機械あるいは多の工業機械上に設置し用いるとき布が充分な有効寿命をもつような強度を備えることである。
【0015】
この発明は、以上に述べたような今までの技術的な欠点を解消するものであり、その目的は次に述べるとおりである。
【0016】
この発明の一つの目的は、製紙機械または他の工業の布あるいはベルトのための縫合についての改良技術を提供することである。
【0017】
この発明の他の目的は、製紙機械または他の工業の布あるいはベルトのための縫合についての改良技術を提供することであるが、強度、耐久性、開放性、および他の特性が本質的に布本体と同じになるようにすることである。
【0018】
この発明の他の目的は、今までの一般的な縫合技術では充分な強度をもつ縫合ができなかったという理由で商品化できなかった布設計を可能にすることである。
【0019】
この発明のさらに他の目的は、レーザーエネルギー吸収剤として働く適切な材料を必要な位置に設けることである。
【0020】
この発明の他の目的は、レーザーエネルギーを吸収する適切な材料を必要な位置に施し、および/または組み入れる方法を提供することである。
【0021】
この発明の他の目的は、2以上のストランドをもつ糸で形作った、機械上で縫合可能な布の縫合ループにおける問題、変形、解ねん、方向付けおよび二次的らせんの諸問題を低減あるいは除去することである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】機械上で縫合可能な布におけるループ縫合の写真である。
【図2】機械上で縫合可能な布上、位置決め部材によって位置決めしたループ縫合の写真である。
【図3】この発明の一実施例による機械上で縫合可能な布の写真である。
【図4】この発明の一実施例による機械上で縫合可能な布の模式図である。
【図5】この発明の一実施例による機械上で縫合可能な布の模式図である。
【詳細な説明】
【0023】
この発明は、レーザーエネルギーを活用することによって、機械上で縫合可能な製紙機械クロージングや他の工業用の布における縫合の改良技術に関する。この発明は、特には、製紙機械の成形、プレスおよび乾燥の各部分で用いる布およびベルト、工業用処理布およびベルト、TAD布、工学布ならびにコルゲータベルトに関する。繰り返しになるが、ここでいう布およびベルトには、また、他の物の製造にも用いられるものも含む。たとえば、紙および板紙のような湿式製品、TADによる生理用のティッシュやナプキン製品であり、さらに、コルゲート(波形)板紙の製造に用いるコルゲータベルト、湿式および乾式のパルプの製造に用いる工学布があり、スラッジフィルタやケミウオッシャを用いる製紙の処理、およびハイドロエンタングリング(hydroentangling、湿式処理)、溶融ブロー(meltblowing)、スパンボンド(spunbonding)、エアレイド(airlaid)あるいはニードルパンチングによる不織製品の製造に用いられる。そのような布およびベルトには、それに限定されるわけではないが、不織製品、ろ過布およびろ過織物の製造処理で用いるエンボス、運搬および支持用の布およびベルト、ならびに、カレンダー加工や皮革なめしのようなテキスタイル仕上げ処理に用いる布およびベルトを含む。
【0024】
この発明は、また、そのような改良した縫合を用いて製造する布にも関する。
【0025】
さらに、この発明は、そのような改良した縫合を得るための方法にも関する。
【0026】
たとえば一般に知られるピン縫合あるいはインラインスパイラル縫合など、それらの縫合もまた布本体へMD糸を織り直すことが必要であり、そのため、糸のすべりおよび抜け出しによってフェールする可能性がある。そのような縫合などの大抵のあるいはすべてのタイプの縫合について、ここで述べるレーザー溶融技術によって改良を図ることができる。そのような縫合において、縫合ループ自体を形成するMD糸をCD糸に追加的に溶融あるいは結合し、使用時に作用する張力によって抜け出すことを防ぐことができる。
【0027】
この発明は、機械上で縫合可能な布における縫合ループにレーザー吸収材料を加えることに関する。レーザー吸収材料を加えるというよりも、むしろレーザー吸収材料を糸を構成する1または2以上のストランド中に押出しの際に組み入れることである。機械上で縫合可能な布100における縫合ループ160は、2以上のストランドをもつ、もろよりあるいは撚り/ねじり糸で形作ることができる。布100は、修正無端の織り布、または、布を平織りし、CD糸のいくつかをほぐし、MD糸の中に織り返して各布端にループを形作ることにより、織り込みループ縫合あるいはピン縫合を作り出したものである。さらにまた、布100は、図3に示すように、縫合ループ160を形作るMD糸アレイを用いた、縫合した不織の布構造でも良い。縫合ループ160は、2以上のストランドをもつ、もろよりあるいは撚り/ねじり糸によるMD糸アレイで形作ることができる。そして、縫合ループ160には、CD糸150による1または2以上の特定の層を含ませることができる。それら特定の層は、MD糸と織らずに、MD糸アレイの上あるいは下、またはMD糸アレイの層間にサンドイッチ状に位置するものである。
【0028】
MD糸アレイについては、この出願人が所有するダベンポートの米国特許第6,491,794号やイーグルズの米国特許出願公開第2005/0102763号が示す方法によって形作ることができる。それらの内容のすべてを参照によってここに組み入れる。たとえば、布200は、2またはそれ以上の層であり、重ならないようにらせん巻きした糸16(この糸は、複数の個々の糸ストランドを含む)の多数の巻きからなる、平らな配列(アレイ)である。図4は、そのような布の一例を示す。多数の巻きのそれぞれの糸16は、2層のそれぞれにおいて、実質的に縦の方向に整列し、2つの横端のそれぞれに沿って、多数の縫合ループ34,36を形作っている。図4に示すように、組み合うループ36が作る通路に向けてピントル38を通し、縫合40部分の端部32を互いに結合する。
【0029】
布は、また、この出願人が所有するユークの米国特許第5,939,176号が示す方法によって作ることができる。その特許内容のすべてを参照によってここに組み入れる。たとえば、布60を、機械上で縫合可能な多軸のプレス布とすることができる。図5は、そのような布の一例を示す。布60には、第1の布層44と第2の布層42とをもたせることができ、それらの布層44,42は無端のベース布層から作ることができる。無端のベース布層については、布ストライプをらせん状に互いに隣接するように多数巻くことにより作ることができる。その場合、巻きの側部が互いに境を接するようにし、それにより、隣接する布ストライプの巻きが分離した、らせん状の連続する縫合を形作ることができる。無端のベース布層は、平らにして第1の布層44と第2の布層42とを作り、2つの横端に沿って折り重ねて互いを連結することができる。布ストライプのそれぞれの巻きの1または2以上の横糸を、2つの横端のそれぞれの折り重ね部分で取り除き、折り重ね部分の布ストライプの縦糸に自由な部分を作ることができる。それら自由な部分は縫合ループ56になり、平らなベース布層の横端を互いに結合して無端のループを形作る。図5に示すように、組み合う縫合ループ56が区画する通路にピントル58を入れ、平らなベース布層22の2つの横端36を互いに結合する。それにより、機械上で縫合可能な多軸プレス布用の2層ベース布60を形作ることができる。しかし、織り構造のもの、およびストライプをらせん巻きして作る構造のものの両方(すなわち、多軸の縫合布)に対し、’176米国特許が示す2倍長さ折り重ね法を適用することができる。
【0030】
これらの例のすべてにおいて、2以上のストランドをもつMD糸が形作る縫合ループ160それ自体、および縫合ループのすぐ近くの布本体の部分にもまた、レーザー染料あるいはレーザー吸収材料を加える。水性染料を用いるならば、糸を作り上げるストランド間に染料が容易に移動するという利点があるが、非水染料を用いることもできる。レーザー源を縫合ループに集中させることによって、レーザーエネルギーを縫合ループに当てると、縫合ループ糸を構成するストランドが、一部溶けて永久に結合あるいは融接(溶融接合)し、糸が単一のモノフィラメントに近い作用をするようになる。これによって、これらの糸が構成する機械上で縫合可能な布の縫合ループにおける、変形、解ねん、方向付けおよび二次的らせんの諸問題は大きく改善される。レーザー染料あるいはレーザー吸収材料については、縫合ループにコーティングし、その後、布を縫合して縫合ループを位置決めする。レーザー染料は、溶媒(有機溶媒)を含むもの、あるいは水を含むものでも良い。たとえば、レーザー染料として、アメリカンダイソース社から入手する染料、あるいは、ブラックインクの希釈物や目的に合った他の材料を用いることができる。
【0031】
MDおよびCDの各糸を互いに織らない、あるいは、CD糸がない、機械上で縫合可能な布において、上に述べた方法は2つの機能を果たす。そのような布におけるMD糸は、布構造物がもつ「不織」特性によって、充分なけん縮をもたない。そして、縫合した不織構造物において、MDループを形作るためにモノフィラメントを用いると、糸切れを生じて「スパゲッティ」と称される良く知られた現象を引き起こす。糸あるいは糸の部分が布の外に移り、安全面および/または操作面の問題を生じるおそれがある。この発明の方法によれば、2以上のストランドをもつ糸を用いることにより、糸切れを避けることができる。ストランドは、一般的に、6.7dtex(6デニール相当、デニールは繊維の太さを測定する際の単位であり、長さ450mの糸が0.05gであるとき1デニールという)の細さから0.60mm(0.024インチ相当)の太さで良い。これらの糸は、布に対し必要な屈曲性(フレキシビリティ)および強度を与え、それと同時に、糸を構成するストランドが融接することによって、変形、解ねん、方向付けおよび二次的らせんの諸問題が改善され、糸が単一のモノフィラメントに近い作用をするようになる。
【0032】
しかし、留意すべきことは、上に述べた構造物のすべてにおいて、布の本体にマスクをし、縫合領域あるいは作用領域だけがレーザーエネルギーで照射されるようにすべきであることである。このことは、レーザー吸収染料を縫合ループ上に位置させる場合よりも、レーザー吸収染料を1または2以上のストランド中に押出しの際に組み入れる場合に特に適用すべきである。
【0033】
縫合ループそれ自体にレーザー染料を用いるとき、ループを適切に整列させることができるという利点がある。というのは、ループを形作るもろよりあるいは撚り/ねじり糸が堅くなり、それにより、それらの形を支え、しかもよりを戻すことがなく、それらの類似性を維持することができるからである。
【0034】
上に述べたように、結合を行う他のアプローチでも、レーザー染料あるいはレーザー顔料を利用する。この場合、レーザー染料あるいはレーザー顔料を、糸ストランドを構成する材料の中に分散する。一般的に、レーザー染料あるいはレーザー顔料の濃度は0.4%以下である。レーザー染料あるいはレーザー顔料が存在することにより、糸ストランドを「エネルギー吸収性」にし、上述の利点をもつ縫合ループにエネルギー源の周波数を加えると、ストランド同士が溶けて一緒になる。好ましくは、レーザーエネルギー源として、特定の位置に正確な量のエネルギーを与えられるようにしたものを用いるのが良い。
【0035】
レーザー吸収材料については、多くのものを選択することができる。最も早期のものはカーボンブラックであった。材料の選択、材料の量、および材料の位置のすべてが、結果として生じる溶融結合の特性を決める。
【0036】
こうして、この発明の目的および利点を理解されたであろう。この発明の好適な実施例について図面を参照しながら詳しく説明したが、この発明は、そのような実施例に限定されない。当業者は、特許請求の範囲に定めた考え方から離れることなく、いろいろな変形や修正を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械上で縫合可能な工業用布の縫合ループを結合あるいは融接する方法であり、次の各工程を備える方法。
・2以上のストランドをもつ糸で縫合ループを形作る工程
・前記縫合ループに関連してレーザーエネルギー吸収材料を与える工程
・前記縫合ループにレーザー源を集中させ、それにより、前記縫合ループを形作る前記糸のストランドを一部溶かし、永久に結合あるいは融接する工程
【請求項2】
前記レーザーエネルギー吸収材料は、前記縫合ループに施したコーティングである、請求項1の方法。
【請求項3】
前記コーティングは、前記布を縫合する前に、前記縫合ループに施した染料コーティングである、請求項2の方法。
【請求項4】
前記レーザーエネルギー吸収材料は、前記糸の1もしくは2以上のストランド中に含まれる、請求項1の方法。
【請求項5】
前記レーザーエネルギー吸収材料は、水性あるいは非水性の染料である、請求項1の方法。
【請求項6】
前記レーザーエネルギー吸収材料は、染料あるいはブラックインクの希釈物である、請求項1の方法。
【請求項7】
工業用布の改良された縫合であり、次の構成および条件を備える縫合。
・前記布の縫合領域に、複数の縫合ループがあること
・前記縫合ループは、2以上のストランドをもつ糸で形作られていること
・前記縫合ループは、それら縫合ループに関連してレーザーエネルギー吸収材料が与えられていること
・前記レーザーエネルギー吸収材料を与えた前記縫合ループにレーザー源を集中させ、それにより、前記縫合ループを形作る前記糸のストランドを一部溶かし、永久に結合あるいは融接されていること
【請求項8】
前記レーザーエネルギー吸収材料は、前記縫合ループに施したコーティングである、請求項7の縫合。
【請求項9】
前記コーティングは、前記布を縫合する前に、前記縫合ループに施した染料コーティングである、請求項8の縫合。
【請求項10】
前記レーザーエネルギー吸収材料は、水性あるいは非水性の染料である、請求項7の縫合。
【請求項11】
前記レーザーエネルギー吸収材料は、前記糸の1もしくは2以上のストランド中に含まれる、請求項7の縫合。
【請求項12】
前記レーザーエネルギー吸収材料は、染料あるいはブラックインクの希釈物である、請求項7の縫合。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−502195(P2012−502195A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526103(P2011−526103)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/054653
【国際公開番号】WO2010/027709
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(597098947)オルバニー インターナショナル コーポレイション (31)
【Fターム(参考)】