説明

製紙用プレスフェルト

【課題】優れた耐圧縮性を実現すると共に、工数の増加と工程負荷の増大を防止し、かつ、特殊で高価な織機を用いることなく、低コストで製造することができるようにする。
【解決手段】製紙機のプレスパートで用いられ、織機上で一体的に製織される3層の基布層5a〜5cを備えた基布1を有する製紙用プレスフェルトにおいて、3つの基布層5a〜5c間を移動してその基布層を相互に接結する緯糸(接結緯糸)4a〜4fを有し、この緯糸が、各経糸3a〜3cの複数本分の間隔をおいて入れ替わりながら基布層を構成するように織り込まれたものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙機のプレスパートで用いられ、厚さ方向に重ねて配された各経糸により構成される基布層が3層以上重なり合うように織機上で一体的に製織された織布からなる基布を有する製紙用プレスフェルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
製紙機のプレスパートで使用されるプレスフェルトにおいては、製紙機上で繰り返し圧縮されることで徐々に薄くなり、これに伴って基布の空隙量が次第に小さくなり、また、通水性も減少する。この空隙量と通水性はフェルトの搾水性を左右する重要な要素であり、製紙機の使用パートで要求されるレベルに維持されることが製紙機を効率良く稼動させる上で重要である。
【0003】
このような使用中の空隙量と通水性の維持には、耐圧縮性、具体的には使用中に作用する圧縮力に対して潰れ難い圧縮抵抗性を高めることが有効であり、特に大きな脱水量のパートでは、空隙量と通水性が搾水に与える影響が大きくなることから、耐圧縮性を向上させ、空隙量と通水度を維持することの重要度は高くなる。
【0004】
フェルトの空隙量を高めるには、基布の空隙量を増やすことが有効的であり、この目的のために、基布を構成する糸を太くするほか、経糸/緯糸を多重に配した多重構造の基布が採用される。そして、この多重構造の基布には、織機で多重織された多重織構造のものと、織機で別々に織り上げられた複数の織布を重ね合わせたラミネート構造のものが知られている(特許文献1〜5参照)。
【0005】
図16は、従来の製紙用プレスフェルトに用いられる基布の幅方向の模式的な断面図である。(A)に示す例では、経糸を3重に配した多重織構造となっており、(B)に示す例では、1重織りの織布を3枚重ね合わせたラミネート構造となっており、(C)に示す例では、1重織りの織布と2重織りの織布とを重ね合わせたラミネート構造となっており、(D)に示す例では、2重織りの織布を2枚重ね合わせたラミネート構造となっている。
【0006】
しかしながら、図16(A)に示す多重織構造のものは、使用継続時の厚さ変化が大きいため、それに伴う空隙量と通水性の変化も大きくなってしまうという不具合がある。また図16(B)〜(D)に示すラミネート構造のものは、使用継続時の厚さ変化が少なく、空隙量と通水性の変化も小さく、耐圧縮性では多重織構造に比べて有利であるが、織機で複数の織布を別々に織り上げると共に、その織布に別々に熱セットを行なう必要がある。さらにこれらの工程では、次工程である不織繊維層をニードリングにより一体化させるニードル工程後にフェルトに皺が発生するのを防ぐため、寸法設定を精密に行なう必要があり、またニードル工程においても、皺の発生を防ぐための注意が必要となることから、工数増加や工程負荷の増大を招き、製造コストが上昇する難点がある。
【0007】
そこで、本件出願人は、優れた耐圧縮性を有するラミネート構造の利点を残しつつ、製造時の工数増加や工程負荷の増大の解消を目的として、製紙フェルト用多重織基布(特願2006−25558)を先に提案した。これは、複数本の経糸が相互に一体化するように緯糸を絡合させた多重織部と、複数本の経糸の各々に絡合する緯糸が厚さ方向に重なり合って一重織の織物を重ね合わせた状態となる一重織重合部とからなる単位組織の繰り返しで構成されたものである。
【特許文献1】特公平5−47675号公報
【特許文献2】特開平9−31881号公報
【特許文献3】特開2001−254287号公報
【特許文献4】特開2000−256984号公報
【特許文献5】特開2005−200819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記の多重織部と一重織重合部とからなる単位組織の繰り返しで構成された構造のものでは、一重織重合部の割合を大きく確保することで耐圧縮性を向上させることができるが、通常の織機において一重織重合部の緯糸に割り当てられる綾枚数に制限があるため、一重織重合部の割合を大きくするのに限界があり、また通常より多くの綾枚数を使用可能な織機を用いることも考えられるが、この場合、織機が通常織機に比べかなり高価なものとなってしまうため、製造コストが大幅に上昇する難点がある。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、優れた耐圧縮性を実現すると共に、工数の増加と工程負荷の増大を防止し、かつ、特殊で高価な織機を用いることなく、低コストで製造することができるように構成された製紙用プレスフェルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するために、本発明においては、請求項1に示すとおり、製紙機のプレスパートで用いられ、厚さ方向に重ねて配された各経糸により構成される基布層が3層以上重なり合うように織機上で一体的に製織された織布からなる基布を有する製紙用プレスフェルトにおいて、複数の前記基布層間を移動してその基布層を相互に接結する複数の接結緯糸を有し、この複数の接結緯糸が、幅方向に並んだ前記経糸の複数本分の間隔をおいて入れ替わりながら前記基布層を構成するように織り込まれたものとした。
【0011】
これによると、接結緯糸同士が入れ替わる部分を除いて多くの部分を、別々に製織された複数枚の織布を重ね合わせたラミネート構造の基布と類似のラミネート構造部とすることが可能となり、多重織構造よりも高い耐圧縮性を得ることができ、ラミネート構造の基布と同様の耐圧縮性を実現することが可能となる。
【0012】
また、製紙用フェルトの基布を製織する際に一般的に用いられる袋織製織ならば、整経糸をフェルトの緯糸とするため、ラミネート構造部の比率に影響する緯糸の入れ替わり頻度は、織機の綾枚数と関係がなく、組織列を増やすことのみでラミネート構造部の比率を大きくすることができる。そして、この組織列を増やすことは、織機を制御するパソコン上で緯糸となる整経糸の動きのパターンを増やすことのみで実施できるため、特別に綾枚数の多い高価な織機を導入することなく、既存の織機設備での実施が可能であり、低コストで耐圧縮性の高いフェルト基布を製造することができる。
【0013】
前記製紙用プレスフェルトにおいては、請求項2に示すとおり、前記基布層の一部を移動範囲とする部分接結緯糸を有する構成とすることができる。
【0014】
これによると、組織列を増やさずとも接結緯糸の入れ替わり回数を減らすことができ、これによりラミネート構造部の比率を高めて、耐圧縮性を向上させることができる。
【0015】
この場合、全ての基布層を移動範囲とする全体接結緯糸を設けたり、部分接結緯糸の移動範囲となる基布層が互いに重複するようにすることで、全ての基布層が連結された状態で製織することができる。
【0016】
前記製紙用プレスフェルトにおいては、請求項3に示すとおり、前記接結緯糸とは別に、複数の前記基布層間を移動せずに単一の基布層のみを構成する通常緯糸を有する構成とすることができる。
【0017】
これによると、接結緯糸の入れ替わり回数が少なくなるため、ラミネート構造部の比率をより一層高めて、耐圧縮性を向上させることができる。
【0018】
前記製紙用プレスフェルトにおいては、請求項4に示すとおり、前記基布の丈方向の端部に、1対の前記経糸の折り返し部で端部接合用のループが形成された構成とすることができる。
【0019】
これによると、製紙機への掛け入れ作業性を向上させることができる。
【0020】
なお、本発明による基布は、織機上で一体的に製織された1枚の織布のみからなるものの他、前記の接結緯糸を有する織布にこれとは別に製織された織布を重ね合わせたラミネート構造としたものも可能である。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明によれば、接結緯糸が入れ替わる部分を除き、多くの部分がラミネート構造部となるため、高い耐圧縮性を実現することができ、これにより製紙機上で使用中の厚さの変化を抑えることで空隙量と通水度を設定レベルに維持することが可能となり、安定した搾水性を実現することができる。さらに、ラミネート構造部の比率を、織機の構造に制限されることなく、使用パートに要求される耐圧縮性のレベルに応じて増すことができるため、既存の織機設備を用いて使用パートに必要な耐圧縮性を持った製紙用フェルトを低コストで製造することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、本発明によるフェルトを示す丈方向の模式的な断面図である。図2は、図1に示した基布の幅方向の模式的な断面図である。図3は、図1に示した基布の製織の状況を示す模式図である。図4は、図3に示したA部を拡大して示す模式図である。
【0024】
このフェルトは、図1に示すように、ニードリングにより基布1に不織繊維層2を積層一体化してなるものであり、基布1は、第1〜第3の3本の経糸3a〜3cが厚さ方向に重ねて設けられた経糸3重構造をなしており、各経糸3a〜3cに緯糸4a〜4fが絡合して第1〜第3の3つの基布層5a〜5cが形成されている。
【0025】
緯糸4a〜4fは、隣接する3本の緯糸4a〜4c及び3本の緯糸4d〜4fがそれぞれ第1・第2のグループ7・8を構成しており、基布1は、この第1・第2のグループ7・8が交互に繰り返される組織構造となる。
【0026】
図2(A)に示す第1のグループでは、緯糸(接結緯糸)4a〜4cが、第1〜第3の3つの基布層5a〜5c間を移動し、互いに入れ替わりながら排他的に第1〜第3の各基布層5a〜5cを構成している。
【0027】
緯糸4a〜4cは、各経糸3a〜3cの複数本分の間隔をおいて隣接する基布層5a〜5c間を移動するように織り込まれている。すなわち、第1・第3の各基布層5a・5cでは、各緯糸4a〜4cが、経糸3a・3cにその横5本分絡合した後、隣接する第2の基布層5bに移動し、第2の基布層5bでは、各緯糸4a〜4cが、経糸3bにその横2本分絡合した後、隣接する第1・第3の各基布層5a・5cに移動する。
【0028】
これにより、第1・第3の各基布層5a・5cでは、第1・第3の各経糸3a・3cの横5本分の間隔をおいて緯糸入れ替わり部が現れ、第2の基布層5bでは、第2の経糸3bの横2本分の間隔をおいて緯糸入れ替わり部が現れる。
【0029】
図2(B)に示す第2のグループでも同様に、緯糸(接結緯糸)4d〜4fが、第1〜第3の3つの基布層5a〜5c間を移動し、互いに入れ替わりながら排他的に第1〜第3の各基布層5a〜5cを構成している。各緯糸4d〜4fの織り込みパターンは、第1のグループの緯糸4a〜4cと同様である。
【0030】
ここでは、緯糸4a〜4fの各々が、第1〜第3の3つの基布層5a〜5cの全てを移動範囲とする全体接結緯糸となっており、これにより第1〜第3の3つの基布層5a〜5cが相互に結合される。
【0031】
緯糸4a〜4fの各々は、その緯糸同士が入れ替わる部分を除き、経糸3a〜3cの横1本ごとに浮沈する平織りで織り込まれており、第1〜第3の各基布層5a〜5cでは、緯糸4a〜4fにより、みかけ上、1本の緯糸が経糸3a〜3cの横1本ごとに浮沈する平織り組織が形成され、基布1は、見かけ上の平織り組織となる基布層5a〜5cが3層重なり合う構造となる。
【0032】
このように、基布1は、別々に製織された平織りの織布を3枚重ね合わせたラミネート構造の基布と類似する構造となり、多重織構造の基布よりも高い耐圧縮性を得ることができ、使用中の空隙量及び通水性の変化を抑えて、安定した搾水性を実現することができる。
【0033】
この基布1は、図3に示すように、製紙機上の第1〜第3の経糸3a〜3cを織機上で打込み糸として織り上げられ、製紙機上の緯糸4a〜4fは織機上では経糸(整経糸)となっており、3層構造の基布1が袋織りで無端状に織り上げられる。
【0034】
図4において緯糸4a〜4fとなる整経糸に付した数字は、12枚の綾を使用して製織する場合の綾番号を示し、各緯糸4a〜4fとなる整経糸が、異なる綾に通されて、図4中に点線で示すように、第1〜第3の経糸3a〜3cとなる打込み糸に絡み合うように動かされる。
【0035】
(第2の実施形態)
図5は、本発明によるフェルトの基布の別の例を示す幅方向の模式的な断面図である。
【0036】
この基布51は、前記の例と同様に、第1〜第3の3本の経糸53a〜53cが厚さ方向に重ねて設けられた経糸3重構造をなし、緯糸(接結緯糸)54a〜54fが、互いに入れ替わりながら排他的に第1〜第3の3つの基布層55a〜55cを構成しているが、ここでは前記の例と異なり、第1〜第3の基布層55a〜55cの全てを移動範囲とする全体接結緯糸と、基布層55a〜55cの一部を移動範囲とする部分接結緯糸とが設けられている。
【0037】
緯糸54a〜54fは、前記の例と同様に、隣接する3本の緯糸54a〜54c及び3本の緯糸54d〜54fがそれぞれ第1・第2のグループを構成しており、基布51は、図1の例と同様に、この第1・第2のグループが交互に繰り返される組織構造となる。
【0038】
図5(A)に示す第1のグループでは、緯糸(部分接結緯糸)54aが、第1・第2の基布層55a・55b間を移動し、また緯糸(全体接結緯糸)54bが、第1〜第3の3つの基布層55a〜55c間を移動し、また緯糸(部分接結緯糸)54cが、第2・第3の基布層55b・55c間を移動する。
【0039】
緯糸54a〜54cは、各経糸53a〜53cの複数本分の間隔をおいて隣接する基布層55a〜55c間を移動するように織り込まれている。すなわち、第1・第3の各基布層55a・55cでは、緯糸54a・54cが、経糸53a・53cにその横13本分絡合した後、隣接する第2の基布層55bに移動し、また緯糸54bが、経糸53a・53cにその横3本分絡合した後、隣接する第2の基布層55bに移動する。第2の基布層55bでは、緯糸54a・54cが、経糸53bにその横3本分絡合した後、隣接する第1・第3の各基布層55a・55cに移動し、また緯糸54bが、経糸53bにその横4本分絡合した後、隣接する第1・第3の各基布層55a・55cに移動する。
【0040】
これにより、第1・第3の各基布層55a・55cでは、第1・第3の各経糸53a・53cの横3本分あるいは13本分の間隔をおいて緯糸入れ替わり部が現れ、第2の基布層55bでは、第2の経糸53bの横3本分あるいは4本分の間隔をおいて緯糸入れ替わり部が現れる。
【0041】
図5(B)に示す第2のグループでも同様に、緯糸(接結緯糸)54d〜54fが、第1〜第3の3つの基布層55a〜55cの2つあるいは3つの間を移動し、互いに入れ替わりながら排他的に第1〜第3の各基布層55a〜55cを構成している。各緯糸54d〜54fの織り込みパターンは、第1のグループの緯糸54a〜54cと同様である。
【0042】
緯糸54a〜54fの各々は、その緯糸同士が入れ替わる部分を除き、経糸53a〜53cの横1本ごとに浮沈する平織りで織り込まれており、第1〜第3の各基布層55a〜55cでは、緯糸54a〜54fにより、みかけ上、1本の緯糸が経糸53a〜53cの横1本ごとに浮沈する平織り組織が形成され、基布51は、見かけ上の平織り組織となる基布層55a〜55cが3層重なり合う構造となる。
【0043】
このように、基布51は、別々に製織された平織りの織布を3枚重ね合わせたラミネート構造の基布と類似する構造となり、多重織構造の基布よりも高い耐圧縮性を得ることができ、使用中の空隙量及び通水性の変化を抑えて、安定した搾水性を実現することができる。
【0044】
また、この基布51では、図2の例と組織列が同一であるが、基布層の一部を移動範囲とする部分接結緯糸を設けることで、組織列を増やさなくても接結緯糸の入れ替わり回数を減らすことができる。具体的には、接結緯糸の入れ替わり回数が、図2の例で12回となるのに対して、ここでは8回と少なくなっており、結果としてラミネート構造部の比率を高め、耐圧縮性を向上させることができる。
【0045】
(第3の実施形態)
図6は、本発明によるフェルトの基布の別の例を示す幅方向の模式的な断面図である。
【0046】
この基布61は、前記の例と同様に、第1〜第3の3本の経糸63a〜63cが厚さ方向に重ねて設けられた経糸3重構造をなし、各経糸63a〜63cにより第1〜第3の3つの基布層65a〜65cが形成されているが、ここでは前記の例と異なり、3つの基布層65a〜65c間を移動してその基布層65a〜65cを相互に接結する接結緯糸の他に、基布層65a〜65c間を移動せずに単一の基布層のみを構成する通常緯糸が設けられている。
【0047】
緯糸64a〜64fは、前記の例と同様に、隣接する3本の緯糸64a〜64c及び3本の緯糸64d〜64fがそれぞれ第1・第2のグループを構成しており、基布61は、図1の例と同様に、この第1・第2のグループが交互に繰り返される組織構造となる。
【0048】
図6(A)に示す第1のグループでは、緯糸(接結緯糸)64a・64bが、第1・第2の基布層65a・65b間を移動し、互いに入れ替わりながら排他的に第1・第2の基布層65a・65bを構成している。緯糸(通常緯糸)64cは、第3の経糸63cにのみ絡合して、第3の基布層65cのみを構成している。
【0049】
緯糸64a・64bは、経糸63a・63bの複数本分(ここでは横7本分または9本分)の間隔をおいて、第1・第2の基布層65a・65b間を移動するように織り込まれている。
【0050】
図6(B)に示す第2のグループでは、第1のグループと上下を逆にした状態で、緯糸64d〜64fが織り込まれており、緯糸(通常緯糸)64dが、第1の経糸63aにのみ絡合して第1の基布層65aのみを構成し、緯糸(接結緯糸)64e・64fは、第2・第3の基布層65b・65c間を移動し、互いに入れ替わりながら排他的に第2・第3の基布層65b・65cを構成しており、その織り込みパターンは、第1のグループの緯糸64a・64bと同様である。
【0051】
緯糸64a・64b・64e・64fは、第1〜第3の3つの基布層65a〜65cのうちの2つを移動範囲とする部分接結緯糸であり、3つの基布層65a〜65cの全てを移動範囲とする全体接結緯糸は存在しないが、緯糸64a・64b・64e・64fの移動範囲となる基布層65a〜65cが互いに重複することで、第1〜第3の3つの基布層65a〜65cが相互に結合される。
【0052】
緯糸64a〜64fは、その緯糸同士が入れ替わる部分を除き、経糸63a〜63cの横1本ごとに浮沈する平織りで織り込まれており、第1〜第3の各基布層65a〜65cでは、緯糸64a〜64fにより、みかけ上、1本の緯糸が経糸63a〜63cの横1本ごとに浮沈する平織り組織が形成され、基布1は、見かけ上の平織り組織となる基布層65a〜65cが3層重なり合う構造となる。
【0053】
このように、基布61は、別々に製織された平織りの織布を3枚重ね合わせたラミネート構造の基布と類似する構造となり、多重織構造の基布よりも高い耐圧縮性を得ることができ、使用中の空隙量及び通水性の変化を抑えて、安定した搾水性を実現することができる。
【0054】
また、この基布61では、図2の例や図5の例と組織列が同一であるが、複数の基布層間を移動せずに単一の基布層のみを構成する通常緯糸を設けることで、組織列を増やさなくても接結緯糸の入れ替わり回数を減らすことができる。具体的には、接結緯糸の入れ替わり回数が、図2の例で12回、図5の例で8回となるのに対して、ここでは4回と少なくなっており、結果として、ラミネート構造部の比率を高め、耐圧縮性を向上させることができる。
【0055】
(第4の実施形態)
図7は、本発明によるフェルトの別の例を示す丈方向の模式的な断面図である。図8は、図7(A)に示した基布の製織の状況を示す模式図である。図9は、図7(A)に示した基布の製織の状況の別の例を示す模式図である。
【0056】
これは、シーム付きフェルト(オープンエンドフェルト)の例であり、第1〜第3の3本の経糸のうちの2本の折り返しにより丈方向の両端部に端部接合用のループがそれぞれ形成され、その互いの中心孔が整合するように交互にかみ合わされて形成された共通孔に接合用の芯線80を挿通することで両端部が互いに接合される。
【0057】
このようにすると、フェルトを製紙機に掛け入れる際に、有端のフェルトをフェルトランに引き込んだ上でその両端部を互いに接合して無端とすれば良く、掛け入れ作業性を向上させることができる。
【0058】
図7(A)に示す例では、製紙面17側の経糸72a及び走行面18側の経糸72cが端部接合用のループ74を形成し、内側の経糸72bは端部接合用のループを形成することなく基布71の幅方向に折り返されている。図7(B)に示す例では、製紙面17側の2本の経糸76a・76bが端部接合用のループ78を形成し、走行面18側の経糸76cは端部接合用のループを形成することなく基布75の幅方向に折り返されている。
【0059】
この他、図7(B)に示す例とは逆に、走行面18側の2本の経糸が端部接合用のループを形成し、製紙面17側の1本の経糸が端部接合用のループを形成することなく基布の幅方向に折り返されるものとしても良い。なお、基布71・75の組織構造は、前記の図1に示した例と同様である。
【0060】
基布71は、図8に示すように、袋織製織により製織することができる。ここでは、図3の例と同様に、製紙機上の第1〜第3の経糸72a〜72cを織機上で打込み糸として織り上げられ、製紙機上の緯糸73は織機上では経糸(整経糸)となっており、経糸72a・72cとなる打込み糸をループ形成用芯材83に絡めて厚さ方向に折り返して端部接合用のループ74を形成するようにしている。
【0061】
特にここでは、ループ74が織機上の耳部81・82の一方に形成され、この一方の耳部81において経糸72a・72cとなる打込み糸をループ形成用芯材83に引っ掛けて折り返しながら基布71が無端状に織り上げられ、ループ74からループ形成用芯材83を引き抜くことで有端状に展開される。ループを形成しない経糸72bとなる打込み糸は一方の耳部81においてループ形成用芯材83の手前で織機上の丈方向に折り返される。
【0062】
また基布71は、図9に示すように、平板製織により製織することも可能である。ここでは、図8の例と同様に、製紙機上の第1〜第3の経糸72a〜72cを織機上で打込み糸として織り上げられ、製紙機上の緯糸73は織機上では経糸(整経糸)となっているが、ここでは前記の例と異なり、ループ74が織機上の耳部91・92の双方に形成され、この耳部91・92において経糸72a・72cとなる打込み糸をループ形成用芯材83に引っ掛けて折り返しながら基布71が織り上げられる。
【0063】
なお、図1に示したシームのないエンドレスフェルトでは、経糸に異なる糸材を用いることが可能であるが、このシーム付きフェルトでは、少なくとも端部接合用のループを形成する経糸は、同一の打ち込み糸となることから、異なる糸材を用いることはできない。
【0064】
(第5の実施形態)
図10は、本発明によるフェルトの別の例を示す丈方向の断面図である。図11は、図10に示した基布の幅方向の模式的な断面図である。
【0065】
基布101は、図10に示すように、第1〜第4の4本の経糸103a〜103dが厚さ方向に重ねて設けられた経糸4重構造をなしており、この第1〜第4の経糸103a〜103dにより第1〜第4の4つの基布層105a〜105dが形成されている。
【0066】
緯糸104a〜104hは、隣接する4本の緯糸104a〜104d及び4本の緯糸104e〜104hがそれぞれ第1・第2のグループ107・108を構成しており、基布101は、この第1・第2のグループ107・108が交互に繰り返される組織構造となる。
【0067】
図11(A)に示す第1のグループでは、緯糸(接結緯糸)104a〜104dが、第1〜第4の基布層105a〜105dの2つあるいは3つの間を移動し、互いに入れ替わりながら排他的に第1〜第4の各基布層105a〜105dを構成している。すなわち、緯糸104aが第1・第2の基布層105a・105b間を移動し、また緯糸104bが、第1〜第3の3つの基布層105a〜105c間を移動し、また緯糸104cが、第2〜第4の3つの基布層105b〜105d間を移動し、緯糸104dが、第3・第4の基布層105c・105d間を移動する。
【0068】
緯糸104a〜104dは、各経糸103a〜103dの複数本分の間隔をおいて隣接する基布層105a〜105d間を移動するように織り込まれている。すなわち、第1の基布層105aでは、緯糸104aが、経糸103aにその13本分絡合した後、隣接する第2の基布層105bに移動し、また緯糸104bが、経糸103aにその3本分絡合した後、隣接する第2の基布層105bに移動する。
【0069】
第2の基布層105bでは、緯糸104aが、経糸103bにその3本分絡合した後、隣接する第1の基布層105aに移動し、また緯糸104bが、経糸105bにその4本分絡合した後、隣接する第1・第3の各基布層105a・105cに移動し、また緯糸104cが、経糸104bにその3本分絡合した後、隣接する第3の基布層105cに移動する。第3・第4の各基布層105c・105dでは、第1・第2の基布層105a・105bにおける緯糸104a〜104cの上下を逆にした状態で、各緯糸104b〜104dが織り込まれている。
【0070】
図11(B)に示す第2のグループでも同様に、緯糸(接結緯糸)104e〜104hが、第1〜第4の基布層105a〜105dの2つあるいは3つの間を移動し、互いに入れ替わりながら排他的に第1〜第4の基布層105a〜105dを構成している。各緯糸104e〜104hの織り込みパターンは、第1のグループの緯糸104a〜104dと同様である。
【0071】
ここで、各緯糸104a〜104hは、第1〜第4の4つの基布層105a〜105dのうちの2つあるいは3つを移動範囲とする部分接結緯糸であり、4つの基布層105a〜105dの全てを移動範囲とする全体接結緯糸は存在しないが、緯糸104a〜104hの移動範囲となる基布層105a〜105dが互いに重複することで、第1〜第4の4つの基布層105a〜105dが相互に結合される。
【0072】
緯糸104a〜104hの各々は、その緯糸同士が入れ替わる部分を除き、経糸103a〜103dの横1本ごとに浮沈する平織りで織り込まれており、第1〜第4の各基布層105a〜105dでは、緯糸104a〜104hにより、見かけ上、1本の緯糸が経糸103a〜103dの横1本ごとに浮沈する平織り組織が形成され、基布101は、見かけ上の平織り組織となる基布層105a〜105dが4層重なり合う構造となる。
【0073】
このように、基布101は、別々に製織された織布を4枚重ね合わせたラミネート構造の基布と類似する構造となり、多重織構造の基布よりも高い耐圧縮性を得ることができ、使用中の空隙量及び通水性の変化を抑えて、安定した搾水性を実現することができる。
【0074】
(第6の実施形態)
図12は、本発明によるフェルトの別の例を示す丈方向の模式的な断面図である。
【0075】
これは、図7の例と同様に、シーム付きフェルト(オープンエンドフェルト)の例であり、ここでは、図10の例と同様に、基布121・124・127が、第1〜第4の4本の経糸が厚さ方向に重ねて設けられた経糸4重構造をなしており、4本の経糸のうちのいずれかの2本で端部接合用のループが形成されている。
【0076】
図12(A)に示す例では、製紙面17側の2本の経糸122a・122b及び走行面18側の2本の経糸122c・122dの各々で端部接合用のループ123が2列形成されている。なお、製紙面17側の2本の経糸及び走行面18側の2本の経糸のいずか一方のみで端部接合用のループを1列形成し、他の経糸は端部接合用のループを形成することなく折り返されるものとしても良い。
【0077】
図12(B)に示す例では、内側の2本の経糸125b・125cで端部接合用のループ126が1列形成されており、外側の2本の経糸125a・125dは端部接合用のループを形成することなく折り返されている。なお、これとは逆に、外側の2本の経糸で端部接合用のループを1列形成し、内側の2本の経糸は端部接合用のループを形成することなく折り返されるものとしても良い。
【0078】
図12(C)に示す例では、製紙面17側から1本目の経糸128aと3本目の経糸128cとで端部接合用のループ129が1列形成されており、残りの2本の経糸128b・128dは端部接合用のループを形成することなく折り返されている。なお、これとは逆に、製紙面17側から2本目の経糸と走行面18側の経糸とで端部接合用のループを1列形成し、残りの2本の経糸は端部接合用のループを形成することなく折り返されるものとしても良い。
【0079】
(第7の実施形態)
図13は、本発明によるフェルトの基布の別の例を示す幅方向の模式的な断面図である。
【0080】
この基布131は、図2の例などと同様に、第1〜第3の3本の経糸133a〜133cが厚さ方向に重ねて設けられた経糸3重構造をなし、各経糸133a〜133cにより第1〜第3の3つの基布層135a〜135cが形成されているが、ここでは前記の例と異なり、基布層135a〜135cごとに異なる組織となっている。
【0081】
緯糸134a〜134hは、隣接する3本の緯糸134a〜134d及び3本の緯糸134e〜134hがそれぞれ第1・第2のグループを構成しており、基布131は、この第1・第2のグループが交互に繰り返される組織構造となる。
【0082】
図13(A)に示す第1のグループでは、緯糸(通常緯糸)134aが、第1の経糸133aにのみ絡合して第1の基布層135aのみを構成している。また緯糸(通常緯糸)134bが、第3の経糸133bにのみ絡合して第3の基布層135cのみを構成している。緯糸(接結緯糸)134c・134dは、第1・第2の経糸133a・133bの複数本分(ここでは横7本分)の間隔をおいて、第1・第2の2つの基布層135a・135b間を移動し、互いに入れ替わりながら排他的に第1・第2の基布層135a・135bを構成している。
【0083】
図13(B)に示す第2のグループでは、第1のグループと上下を逆にした状態で、緯糸134e〜134hが織り込まれており、緯糸(通常緯糸)134eが、第3の経糸133cにのみ絡合して第3の基布層135cのみを構成し、また緯糸134f(通常緯糸)が、第1の経糸133aにのみ絡合して第1の基布層135aのみを構成し、緯糸(接結緯糸)134g・134hは、第2・第3の経糸133b・133cの複数本分(ここでは横7本分)の間隔をおいて、第2・第3の基布層135b・135c間を移動し、互いに入れ替わりながら排他的に第2・第3の基布層135b・135cを構成している。
【0084】
ここで、緯糸134c・134d・134g・134hは、第1〜第3の3つの基布層135a〜135cのうちの2つを移動範囲とする部分接結緯糸であり、3つの基布層135a〜135cの全てを移動範囲とする全体接結緯糸は存在しないが、緯糸134c・134d・134g・134hの移動範囲となる基布層135a〜135cが互いに重複することで、第1〜第3の3つの基布層135a〜135cが相互に結合される。
【0085】
また、第1の基布層135aでは、第1のグループの緯糸134a・134c・134dにより、経糸133aの1本ごとに浮沈する平織り組織、及び3本の経糸133aの下側を通った後に1本の経糸133aの上側を通る3/1組織が形成され、また第2のグループの緯糸134fにより3/1組織が形成され、全体としてこれらの組織が交互に繰り返される構造となる。
【0086】
第2の基布層135bでは、第1のグループの緯糸134c・134dにより、経糸133bの1本ごとに浮沈する平織り組織が形成され、また第2のグループの緯糸134g・134hによっても同様の平織り組織が形成され、全体として平織り組織が一様に連続する構造となる。
【0087】
第3の基布層135cでは、第1のグループの緯糸134bにより、1本の経糸133cの下側を通った後に3本の経糸133cの上側を通る1/3組織が形成され、また第2のグループの緯糸134e・134g・134hにより、経糸133cの1本ごとに浮沈する平織り組織及び1/3組織が形成され、全体としてこれらの組織が交互に繰り返される構造となる。
【0088】
このように、基布131は、別々に製織された織布を3枚重ね合わせたラミネート構造の基布と類似する構造となり、多重織構造の基布よりも高い耐圧縮性を得ることができ、使用中の空隙量及び通水性の変化を抑えて、安定した搾水性を実現することができる。
【0089】
なお、図10〜図12の例と同様に4つの基布層を有する基布において、図13の例と同様に基布層ごとに異なる組織とすることも可能である。ただし、シーム付きフェルトの基布では、端部接合用のループの形状を安定化させるために、ループを形成する経糸により構成される基布層を同一の組織とすることが望ましい。
【0090】
(第8の実施形態)
図14は、本発明によるフェルトの基布の別の例を示す幅方向の模式的な断面図である。
【0091】
この基布141は、別々に製織された第1・第2の織布142・143を重ね合わせたラミネート構造となっている。走行面側の第1の織布142は、本発明による接結緯糸を有するものであり、第1〜第3の3本の経糸144a〜144cが厚さ方向に重ねて設けられた経糸3重構造をなし、緯糸145の織り込み形態は、前記の図5の例での基布51と同様である。
【0092】
一方、製紙面側の第2の織布143は、経糸147に緯糸148が絡合した1重織となっており、この経糸147及び緯糸148には、第1の織布142を構成する経糸144a〜144c及び緯糸145より細い糸材を用いて、緻密に織り上げられている。
【0093】
この基布141では、走行面側の第1の織布142が、別々に製織された平織りの織布を3枚重ね合わせたラミネート構造と類似する構造となり、さらにこの第1の織布142に第2の織布143が重ね合わされているため、高い耐圧縮性を実現することができ、その上、細い糸材を用いて緻密に織り上げられた第2の織布143により、加圧時の圧力分布が均一化することから、搾水性を向上させることができる。
【0094】
なおここでは、本発明が適用された織布として、図5の例での基布と同一構成のものを例示したが、この他に、例えば図2・図6・図11・図13の例に記載された基布と同一構成の織布に別の織布を重ね合わせた構成なども可能である。
【0095】
(第9の実施形態)
図15は、本発明によるフェルトの基布の別の例を示す幅方向の模式的な断面図である。
【0096】
この基布151は、前記の例と同様に、第1〜第3の3本の経糸153a〜153cが厚さ方向に重ねて設けられた経糸3重構造をなしているが、ここでは前記の例と異なり、製紙面側の第1の経糸153aが、第2・第3の経糸153b・153cと異なる密度で設けられ、さらにその第1の経糸153aには、第2・第3の経糸153b・153cより太い糸材が用いられている。緯糸154a〜154fの織り込み形態は、前記の図6の例と同様である。
【0097】
この基布151では、製紙面側の基布層155aが、他の基布層155b・155cより緻密な組織となるため、加圧時の圧力分布が均一化して、搾水性を向上させることができる。その上、2つの基布層155b・155cが、太い糸材からなる経糸153b・153cで構成されているため、耐圧縮性を向上させることができる。
【0098】
なおここでは、製紙面側の第1の基布層を他の基布層と異なる経糸密度としたが、中間の第2の基布層や走行面側の第3の基布層を他の基布層と異なる経糸密度とした構成や、全ての基布層が互いに異なる経糸密度とした構成も可能である。またここでは、緯糸の織り込み形態を図6の例と同様のものとしたが、この他に、例えば図2・図5・図11・図13の例に記載された緯糸の織り込み形態を採用して、基布層同士で経糸密度を変更することも可能である。
【0099】
また、前記の図2・図5・図6・図11・図13〜図16では、緯糸の絡合状況を分かり易く記載するため、緯糸の太さを変えて図示しているが、緯糸の実際の太さは図示するような太さと関係するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明にかかる製紙用プレスフェルトは、優れた耐圧縮性を実現すると共に、工数の増加と工程負荷の増大を防止し、かつ、特殊で高価な織機を用いることなく、低コストで製造することができる効果を有し、製紙機のプレスパート(圧搾部)で用いられるプレスフェルト、特に大きな脱水量を確保するために基布に大きな空隙量が要求されるパートや、プレス圧が高いために高い耐圧縮性が要求されるパートで用いられるフェルトなどとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明によるフェルトを示す丈方向の模式的な断面図である。
【図2】図1に示した基布の幅方向の模式的な断面図である。
【図3】図1に示した基布の製織の状況を示す模式図である。
【図4】図3に示したA部を拡大して示す模式図である。
【図5】本発明によるフェルトの基布の別の例を示す幅方向の模式的な断面図である。
【図6】本発明によるフェルトの基布の別の例を示す幅方向の模式的な断面図である。
【図7】本発明によるフェルトの別の例を示す丈方向の模式的な断面図である。
【図8】図7(A)に示した基布の製織の状況を示す模式図である。
【図9】図7(A)に示した基布の製織の状況の別の例を示す模式図である。
【図10】本発明によるフェルトの別の例を示す丈方向の断面図である。
【図11】図10に示した基布の幅方向の模式的な断面図である。
【図12】本発明によるフェルトの別の例を示す丈方向の模式的な断面図である。
【図13】本発明によるフェルトの基布の別の例を示す幅方向の模式的な断面図である。
【図14】本発明によるフェルトの基布の別の例を示す幅方向の模式的な断面図である。
【図15】本発明によるフェルトの基布の別の例を示す幅方向の模式的な断面図である。
【図16】従来の製紙用プレスフェルトに用いられる基布の幅方向の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0102】
1・51・61・71・75・101・121・124・127・131・141・151 基布
2 不織繊維層
3a〜3c・53a〜53c・63a〜63c・72a〜72c・76a〜76c・103a〜103d・122a〜122d・125a〜125d・128a〜128d・133a〜133c・144a〜144c・153a〜153c 経糸
4a〜4f・54a〜54f・64a・64f・73・104a〜104h・134a〜134h・145・154a〜154f 緯糸
5a〜5c・55a〜55c・65a〜65c・105a〜105d・135a〜135c・155a〜155c 基布層
74・78・123・126・129 ループ
80 芯線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製紙機のプレスパートで用いられ、厚さ方向に重ねて配された各経糸により構成される基布層が3層以上重なり合うように織機上で一体的に製織された織布からなる基布を有する製紙用プレスフェルトであって、
複数の前記基布層間を移動してその基布層を相互に接結する複数の接結緯糸を有し、この複数の接結緯糸が、幅方向に並んだ前記経糸の複数本分の間隔をおいて入れ替わりながら前記基布層を構成するように織り込まれたことを特徴とする製紙用プレスフェルト。
【請求項2】
前記基布層の一部を移動範囲とする部分接結緯糸を有することを特徴とする請求項1に記載の製紙用プレスフェルト。
【請求項3】
前記接結緯糸とは別に、複数の前記基布層間を移動せずに単一の基布層のみを構成する通常緯糸を有することを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の製紙用プレスフェルト。
【請求項4】
前記基布の丈方向の端部に、1対の前記経糸の折り返し部で端部接合用のループが形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の製紙用プレスフェルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−24284(P2009−24284A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189362(P2007−189362)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000229852)日本フエルト株式会社 (55)
【Fターム(参考)】