説明

製袋包装機

【課題】被シール部分への被包装物の侵入を抑えることができ、且つ、袋の空気量の調整のために必要な空気の抜け道が確保される製袋包装機を提供する。
【解決手段】製袋包装機は、筒状フィルムFを搬送する搬送機構と、横シール機構と、しごき機構とを備える、横シール機構のシールジョーは、包材の搬送方向に交差する方向に包材を挟み込んでシールする。しごき機構のストリッパプレート155は、筒状フィルムFを所定の隙間G1,G2をあけて挟み込んで、被包装物を筒状フィルムFの下方へと移動させるもので、筒状フィルムFを挟み込んだときの所定の隙間G1,G2が、筒状フィルムFの中央部Faにおいて狭く、その外側の側部Fbにおいて広い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋包装機、特に、筒状に形成された包材をシールして製袋を行いつつ、その袋への被包装物の充填を行う製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
袋を製造しながら袋に食品などの被包装物を充填して包装する装置として、製袋包装機が存在する。
【0003】
例えば縦型のピロー包装機は、シート状のフィルムである包材をフォーマー及びチューブによって筒状に形成し、縦シール手段により筒状包材の重ねられた縦の縁をシール(熱封止)する。そして、チューブの中を落ちる被包装物を袋になる筒状包材の中に充填して、チューブ下方の横シール機構によって袋の上部と後続の袋の下部とにまたがってシールした後、横シール部分の中央をカッターで切断する。
【0004】
特許文献1の縦型のピロー包装機では、横シール機構のシールジョーの上下に、それぞれ、シャッタ板としごき板とが設けられている。シャッタ板は、筒状包材に接触して被包装物が上から横シール位置に流下することを妨げる役割を果たし、しごき板は、筒状包材に接触して被包装物を横シール位置から下方の包材内へしごき落とす役割を果たす。
【特許文献1】実開平06−20209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1のシャッタ板やしごき板のような部材は、所定の隙間をあけて筒状包材を両側から挟み込み、横シール位置への被包装物の侵入および横シール部における被包装物の噛み込みに起因するシール不良を抑制する。
【0006】
一方、被包装物が充填される袋の中の空気量を適正にするために、横シール動作の直前においても、横シール機構の下側の袋の内部から上側の筒状包材の内部に向けて空気を抜くことが必要になることが多い。しごき板は、この空気の流れで上に舞い上がる被包装物の横シール位置への侵入を抑える役割も果たすが、その侵入抑制のためにしごき板の隙間を小さくしていくと、空気の抜け道が狭くなって、袋の空気量の適正化が図れなくなる恐れがある。
【0007】
また、シャッタ板についても、上からの横シール位置への被包装物の流下を抑えるためには隙間を小さくすることが求められるが、シャッタ板の隙間を小さくしすぎると空気の抜け道が狭くなってしまう。
【0008】
本発明の課題は、被シール部分(シール位置)への被包装物の侵入を抑えることができ、且つ、袋の空気量の調整のために必要な空気の抜け道が確保される製袋包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る製袋包装機は、筒状に形成された包材をシールして製袋を行いつつ、その袋への被包装物の充填を行う製袋包装機であって、包材を搬送する包材搬送機構と、シール機構と、しごき機構とを備えている、シール機構は、シール部を有する。シール部は、包材の搬送方向に交差する方向に動いて、包材を挟み込んでシールする。しごき機構は、しごき部を有する。しごき部は、シール部よりも早く、包材を所定の隙間をあけて挟み込んで、被包装物を包材の搬送方向の下流側へと移動させる。また、しごき部は、包材を挟み込んだときの所定の隙間が、幅方向の中央部において狭く、幅方向の中央部よりも外側の側部において広い。ここで、しごき部の幅方向とは、包材の搬送方向と直交する方向である。
【0010】
ここでは、しごき部が、包材を所定の隙間をあけて挟み込んで、被包装物を下流側へと移動させている。このため、シール部による包材のシール位置に対して下流側の被包装物が侵入してきてシール不良を引き起こすこと、が抑えられる。
【0011】
また、ここでは、包材を挟み込んだときのしごき部の所定の隙間が、幅方向の中央部において狭く、幅方向の中央部よりも外側の側部において広いため、下流側の被包装物がシール位置に侵入することを効果的に抑えつつ、シール位置の下流側の袋の空気量調整のために必要な空気の抜け道が確保されることになる。これは、シール位置の下流側にある袋の中の被包装物の大半が、袋の中央部に固まっており、しごき部の移動にしたがってシール位置に侵入するように動く被包装物も、しごき部の隙間のうち幅方向の中央部に集中する傾向が強いことに依る。すなわち、ここでは、しごき部の幅方向の中央部における隙間を狭くしてシール位置への被包装物の侵入を効果的に抑えつつ、しごき部の幅方向の側部における隙間を広くして空気の抜け道を確保している。
【0012】
第2発明に係る製袋包装機は、第1発明の製袋包装機であって、しごき部は、包材を挟み込む際に互いに対向する第1プレートおよび第2プレートから成っている。第1プレートおよび第2プレートは、それぞれ、包材の幅方向の端部近傍を挟み込む部分において切り欠きが形成されている。
【0013】
ここでは、包材を挟み込んだときのしごき部の所定の隙間を形成することになる第1プレートおよび第2プレートに、切り欠きを形成し、それにより、しごき部の幅方向の側部における隙間を広くして空気の抜け道を確保している。すなわち、比較的簡易な構成で、本発明の効果を奏することができている。
【0014】
第3発明に係る製袋包装機は、筒状に形成された包材をシールして製袋を行いつつ、その袋への被包装物の充填を行う製袋包装機であって、包材を搬送する包材搬送機構と、シール機構と、シャッタ機構とを備えている。シール機構は、シール部を有する。シール部は、包材の搬送方向に交差する方向に動いて、包材を挟み込んでシールする。シャッタ機構は、シャッタ部を有する。シャッタ部は、包材を所定の隙間をあけて挟み込んで、シール部による包材の被シール部分に対する被包装物の侵入を抑制する。また、シャッタ部は、異径の複数のローラ、あるいは、回転軸がずれている複数のローラを含んでいる。そしおて、シャッタ部は、包材を挟み込んだときの所定の隙間が、幅方向に沿って蛇行している。ここで、シャッタ部の幅方向とは、包材の搬送方向と直交する方向である。
【0015】
ここでは、シャッタ部が、包材を所定の隙間をあけて挟み込んで、包材の被シール部分に対する被包装物の侵入を抑制している。このため、包材の被シール部分に対して被包装物が侵入してきてシール不良を引き起こすこと、が抑えられる。
【0016】
また、ここでは、シャッタ部に、異径あるいは回転軸がずれている複数のローラがあることから、包材を挟み込んだときのシャッタ部の所定の隙間が、幅方向に沿って蛇行するようになっている。このため、シャッタ部の隙間がストレートである場合に較べて同じ隙間面積であっても被包装物の通り抜け現象が効果的に抑えられるようになるとともに、ローラが回転することによってシャッタ部と包材との間の無用な摩擦を低減することができるようになる。そして、シャッタ部の隙間の蛇行によって被包装物の通り抜け現象を効果的に抑えられることを利用すれば、包材の被シール部分に対する被包装物の侵入を許容範囲に抑えつつ、シャッタ部の隙間の面積をある程度確保して袋の空気量の調整のために必要な空気の抜け道を確保することができる。
【0017】
第4発明に係る製袋包装機は、第3発明の製袋包装機であって、シャッタ部は、包材を挟み込む際に互いに対向する第1シャッタ部および第2シャッタ部から成っている。第1シャッタ部および第2シャッタ部は、それぞれ、異径の複数のローラあるいは回転軸がずれている複数のローラを含んでいる。また、第1シャッタ部および第2シャッタ部の互いに対向するローラの組のローラ間にできる包材を挟み込む際の第1隙間は、そのローラの組に隣接するローラの組のローラ間にできる包材を挟み込む際の第2隙間に対して段差を持つ。
【0018】
ここでは、包材を挟み込んだときのシャッタ部の所定の隙間を形成することになる第1シャッタ部および第2シャッタ部に、それぞれ複数のローラを含ませている。そして、対向するあるローラの組において形成されるローラ間の第1隙間と、それに隣接するローラの組において形成されるローラ間の第2隙間との境に、段差が形成されるように異径あるいは回転軸がずれている複数のローラを配置している。これにより、包材を挟み込んだときのシャッタ部の所定の隙間が、幅方向に沿って蛇行するようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る製袋包装機によれば、被シール部分への被包装物の侵入を抑えることができ、且つ、袋の空気量の調整のために必要な空気の抜け道が確保されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<全体構成>
本発明の一実施形態に係る製袋包装機を図1及び図2に示す。これらの図に示す製袋包装機1は、ポテトチップス等の被包装物を袋詰めする機械であり、主として、被包装物の袋詰めを行う本体部分である製袋包装ユニット5と、この製袋包装ユニット5に袋となるフィルムを供給するフィルム供給ユニット6とから構成されている。また、製袋包装ユニット5の前面には操作スイッチ類7が配置されており、この操作スイッチ類7を操作する操作者が視認できる位置に操作状態を示す液晶ディスプレイ8が配置されている。
【0021】
<各ユニットの構成>
フィルム供給ユニット6は、後述する製袋包装ユニット5の成形機構13にシート状のフィルムを供給するユニットであって、ここでは製袋包装ユニット5に隣接して設けられている。このフィルム供給ユニット6にはフィルムが巻かれたロールがセットされ、このロールからフィルムが繰り出される。
【0022】
製袋包装ユニット5は、図1及び図2に示すように、シート状で送られてくるフィルムを筒状に成形する成形機構13と、筒状となったフィルム(以下、筒状フィルムという。)を下方に搬送するプルダウンベルト機構(包材搬送機構)14と、筒状フィルムの重ね合わせ部分を縦にシール(熱封止)する縦シール機構15と、筒状フィルムを横にシールすることで袋の上下端を閉止する横シール機構17と、これらの各機構を支える支持フレーム12とから構成されている。また、支持フレーム12の周囲にはケーシング9が取り付けられている。
【0023】
成形機構13は、図2に示すように、チューブ31と、フォーマー32とを有している。チューブ31は、円筒形状の部材であり、上下端が開口している。チューブ31は、平面的に天板29の中央の開口部分に配置され、図示しないブラケットを介してフォーマー32と一体にされている。このチューブ31の上端の開口部には、コンピュータスケール2から計量された被包装物が投入される。フォーマー32は、チューブ31を取り囲むように配置されている。このフォーマー32の形状は、フィルム供給ユニット6から送られてきたシート状のフィルムFがフォーマー32とチューブ31との間を通るときに筒状に成形されるような形状とされている。このフォーマー32も、図示しない支持部材を介して支持フレーム12に固定されている。
【0024】
プルダウンベルト機構14と縦シール機構15とは、天板29から吊り下げられているレール40に支持されており、チューブ31を両側から挟むように配置されている。これらの機構14,15は、チューブ31が取り付けられるときに、レール40に沿って移動して位置合わせがされる。プルダウンベルト機構14は、チューブ31に巻き付いた筒状フィルムFを吸着して下方に搬送する機構であり、主として、駆動ローラ41及び従動ローラ42と、吸着機能を有するベルト43とから構成されている。縦シール機構15は、チューブ31に巻き付いている筒状フィルムの重なり部分を、一定の加圧力でチューブ31に押しつけながら加熱して縦にシールする機構である。この縦シール機構15は、ヒータや、ヒータにより加熱され筒状フィルムの重なり部分に接触するヒータベルト等を有している。
【0025】
<横シール機構の構成>
次に、横シール機構17について説明する。
【0026】
横シール機構17は、成形機構13,プルダウンベルト機構14,及び縦シール機構15の下方に配置され、支持フレーム12に支持されている。なお、横シール機構17とともに、シール動作時における被包装物のシール位置への落下を規制するシャッタ機構160や被包装物を下方にしごくためのしごき機構150が、横シール機構17に関連する形で設けられるが、これらについては後に詳述する。まずは、横シール機構17の基本構成の理解を容易にするため、横シール機構17に絞って説明を行う。
【0027】
横シール機構17は左右対称の一対の機構50から構成されるが、このうちの一方の側にあるものを拡大して図3に示す。また、その横シール機構17を上方から見た場合の一部を図4に示す。以下、一方側の機構50について説明するが、他方側に設けられた機構についてもほぼ同様の構造である。両者の主な違いは、カッター機構(図示せず)の有無とカムの形状が異なる点(図11〜図13を参照)とになる。
【0028】
この機構50は、2つのシールジョー51をD字状に旋回させながら、筒状フィルムを横シールするときにこのシールジョー51と対向するもう一方の機構50のシールジョー51とを押し付け合わせる。この機構50は、主として、カム52と、シールジョー51を支持する支持機構53と、回転軸54と、図5に示す横方向駆動機構55とから構成されている。なお、シールジョー51は、図2及び図3の紙面垂直方向に筒状フィルムの幅より長く延びて形成された部材であり、内部にヒータを有している。このヒータによってシールジョー51のシール面が加熱され、左右のシールジョー51によって挟み込まれた筒状フィルム(包材)の一部が熱シールされるようになっている。また、カム52、支持機構53及び横方向駆動機構55は、シールジョー51の長手方向の両端に設けられており、それぞれは、以下に説明するように同様の構造となっている。
【0029】
カム52は、横方向駆動機構55を構成する移動板60(詳細は後述)の内側に固定されている。これらのカム52の外周には、図3の二点鎖線で示すような形状のカム面52aが形成されている。このカム面52aの形状については、動作説明で詳細に説明する。
【0030】
支持機構53は、中央部が回転軸54に固定された連結部材61と、連結部材61の両端に設けられたそれぞれ1対の回動部材62、カムフォロア63、ベース部材64及びコイルスプリング65とを有している。
【0031】
連結部材61は、回転軸54とともに回転する一方向に長いブロック状の部材であり、カム52の内側でシールジョー51の外側に配置されている。回動部材62は、図4に示すように連結部材61の外側に所定の間隔をあけて配置されており、一端側が回動軸70により連結部材61に回動自在に支持されている。回動軸70は連結部材61を内側に貫通して、ベース部材64に固定されている。このベース部材64にシールジョー51が支持されている。したがって、ベース部材64及びシールジョー51は回動部材62に同期して回動することとなる。カムフォロア63は、回動部材62の他端側で外側の面に回転自在に装着されており、カム52のカム面52aに当接可能となっている。このカムフォロア63は、1つの回動部材62(シールジョー51)に対して1個のみ設けられている。コイルスプリング65は、回動部材62を一方向側に付勢してカムフォロア63をカム面52aに押圧するためのものである。このコイルスプリング65は、一端が回動部材62の回動支持側とは逆側の端部に係止され、他端が回転軸54を挟んで連結部材61の逆側に係止されており、回動部材62と連結部材61との間に設けられている。
【0032】
回転軸54は、シールジョー51と平行に延びて設けられており、両側の連結部材61と相対回転不能に連結されている。また、回転軸54の一端側は、図4に示されるように、カム52及び移動板60を貫通して支持フレーム12の外側に突出し、シュミットカップリング71を介してモータ等の回転駆動機構(図示せず)に連結されている。また、回転軸54の他方側は、逆側のカム及び移動板を貫通して支持フレームの外側に突出しており、その突出部分には、ヒータ等に電力を供給するためのスリップリング(図示せず)が設けられている。回転軸54とカム52及び移動板60とは、相対回転は可能であるが横方向(回転軸と交差する方向)には相対移動不能なように連結されている。したがって、回転軸54とカム52及び移動板60とは、横方向には一体的に移動する。
【0033】
なお、シュミットカップリング71は、リンクにより結合されている3枚の円板から構成されており、入力軸の回転を出力軸である回転軸54に伝達する軸継手である。このシュミットカップリング71は、平面的に固定されている入力軸に対して回転軸54が平面的に移動して両者の軸芯距離が変わった場合にも、入力軸の回転を回転軸54に伝えることができる。
【0034】
横方向駆動機構55は、図5に示すように、左右のシール機構のカム52がそれぞれ固定された1対の移動板60と、この1対の移動板60を互いに近接又は離反させるための駆動機構75とを有している。なお、これらの機構は、逆側にも同様に設けられている。
【0035】
1対の移動板60は、矩形状の部材であり、前述のように、中央部において回転軸54を回転自在に支持している。移動板60の外側の面には上端部及び下端部にガイド部60aが設けられており、各ガイド部60aは支持フレームに設けられたガイドレール76にスライド自在に係合している。
【0036】
駆動機構75は、モータ(図示せず)によって回転するボールねじ80と、ボールねじ80に螺合する第1及び第2ナット部材81,82と、ボールねじ80と水平方向で直交するように設けられた第1及び第2連結ロッド83,84と、移動方向に沿って設けられた1対の第3連結ロッド85と、第3連結ロッド85と平行に設けられた第4連結ロッド86とを有している。
【0037】
第1連結ロッド83は継手87を介して1対の第3連結ロッド85に連結されており、1対の第3連結ロッド85の先端は一方の移動板60の側端面に固定されている。なお、1対の第3連結ロッド85は、他方の移動板60をスライド自在に貫通している。また、第2連結ロッド84は継手88を介して第4連結ロッド86に連結されており、第4連結ロッド86の先端は他方の移動板60の側端面に固定されている。
【0038】
そして、ボールねじ80において、第1ナット部材81が螺合する部分と、第2ナット部材82が螺合する部分とは、互いに逆ねじになっている。
【0039】
このような駆動機構75により、ボールねじ80が回転することにより、1対の移動板60を互いに近接させたり、離反させたりすることが可能となる。
【0040】
<しごき機構、シャッタ機構の構成>
しごき機構150及びシャッタ機構160は、横シール動作時における被シール部分への被包装物の噛み込みを抑えることを主目的として設けられるものであり、これらの設置によって高速製袋包装処理においてもシール不良の発生を小さく抑えることができる。
【0041】
また、下記の構成を利用し、回転軸54の回転速度を制御して横シール機構17のシールジョー51、しごき機構150のストリッパプレート155、及びシャッタ機構160のクラムローラ166の旋回速度を適切に変化させることで、シール動作やしごき動作がより好ましく為されるようになり、不良発生率を低く抑えつつ、より高速で製袋包装が行えるようになる。
【0042】
なお、図6,図9,図14〜図17では、各部材の動きが理解しやすいように、各部材を重ねて実線で表現している。
【0043】
〔しごき機構の構成〕
しごき機構150は、左右一対の機構であり、それぞれが、対向して旋回する横シール機構17の各ベース部材64に支持される(図6参照)。しごき機構150は、それぞれ、しごき固定部材151と、ストッパー152と、平行リンク部材153と、しごき移動部材154と、ストリッパプレート155と、バネ部材156とから構成されている。
【0044】
しごき固定部材151は、シールジョー51を支持する横シール機構17のベース部材64に対して、相対移動不能に固定されている。また、しごき固定部材151には、各平行リンク部材153の端部及びバネ部材156の端部をピン支持するための突出部151aが形成されている。
【0045】
ストッパー152も、横シール機構17のベース部材64に対して、相対移動不能に固定されている。このストッパー152は、図15に示すように、バネ部材156の引っ張り力により回転軸54から離れる方向に移動しようとするしごき移動部材154を止める役割を果たす。後述するように一対の両しごき機構150のストリッパプレート155同士が互いに押し合っているときには、このストッパー152は作用しなくなる。
【0046】
平行リンク部材153は、互いにシールジョー51の長手方向にずれて配置される対の部材であり、それぞれ、一端がしごき固定部材151の突出部151aにピン支持され、他端がしごき移動部材154のピン支持部154bにピン支持される。これらの平行リンク部材153によって、しごき移動部材154は、しごき固定部材151に対し、姿勢を概ね維持しつつ移動することができるようにされている(図6、図14及び図15参照)。
【0047】
しごき移動部材154は、図6の紙面垂直方向に筒状フィルムの幅よりも長く延びる中間部154aと、中間部154aの両端に形成される板部とから成っている。しごき移動部材154の両端の板部は、上述のように、ピン支持部154bにおいて平行リンク部材153の端部をピン支持している。また、しごき移動部材154の板部は、それぞれ、回転軸54に近いピン支持部154bにおいてバネ部材156の端部をピン支持している。
【0048】
ストリッパプレート155は、シールジョー51と同様に筒状フィルムの幅よりも長く延びて形成されている部材であり、しごき移動部材154の中間部154aに固定される。ストリッパプレート155は、図6に示すように、後述するクラムローラ166とともにシールジョー51よりも早く筒状フィルムFを挟み込み、図14に示す状態に移行するときに筒状フィルムFの被シール部分をしごく。
【0049】
また、図6に示すしごき動作直前の状態になる前における一対のストリッパプレート155の上面図を図7に、図6に示すしごき動作直前の状態における一対のストリッパプレート155の端部における両者の関係の詳細を図8に、しごき動作時における一対のストリッパプレート155の相対配置を示す図を図18に、それぞれ示す。これらの図に示すように、対となっている2つのしごき機構150のストリッパプレート155は、筒状フィルムFに当接する金属製の本体部155aと、本体部155aの一端において外側に突出する金属製の突出部155bと、本体部155aの他端に装着されたスライド部材155cと、スライド部材155cの先端に固定された樹脂部155dとを有している。
【0050】
本体部155aには、筒状フィルムFの幅方向(ストリッパプレート155の長手方向である図18における左右方向)の端部近傍を挟み込む部分において、切り欠き155fが形成されている。これにより、図18に示すように、一対のストリッパプレート155は、筒状フィルムFを挟み込んだときの所定の隙間G1,G2が、筒状フィルムFの幅方向の中央部Faにおいて狭く(隙間G1参照)、その中央部Faよりも外側の筒状フィルムFの側部Fbにおいて広くなる(隙間G2参照)。
【0051】
突出部155bは、横シール前後の期間において、すなわち図6や図14に示す状態において、対向するストリッパプレート155の樹脂部155dに係止するように配置されている(図8参照)。スライド部材155cは、図8に示すようにボルト(あるいはビス)155eによって本体部155aに装着されており、対向するストリッパプレート155側へとスライドさせることが可能である。これにより、対向する一対のストリッパプレート155の本体部155a間の隙間の大きさを調整することが可能である。これらの一対の本体部155a間の中央部Faの隙間G1は、例えば1mmに設定される。樹脂部155dは、対向するストリッパプレート155の突出部155bに当たったときに生じる音が小さくなるように、樹脂あるいはゴムから成形されている。また、両ストリッパプレート155の相対姿勢変化に対応できるように、樹脂部155dの先端は丸められている。
【0052】
バネ部材156は、一端がしごき固定部材151の突出部151aにピン支持されており、他端がしごき移動部材154の回転軸54に近いピン支持部154bにピン支持されている。バネ部材156は、図14に示すように、横シール時において、しごき移動部材154及びストリッパプレート155を、対向するしごき機構150側に付勢する。これにより、一対のストリッパプレート155は、それらの両端部において上述の突出部155bと樹脂部155dとが互いに押し合う状態で接触し、両本体部155aの間に所定の隙間G1,G2を形成する。
【0053】
なお、しごき機構150のしごき移動部材154及びストリッパプレート155を除く各部材は、ストリッパプレート155の両端に対してそれぞれ設けられている。
【0054】
〔シャッタ機構の構成〕
シャッタ機構160は、左右一対の機構であり、それぞれが、対向して旋回する横シール機構17の各ベース部材64に支持される(図9参照)。シャッタ機構160は、それぞれ、固定部材161,162と、ストッパー163と、V字部材164と、シャッタ用カムフォロア165と、クラムローラ166と、バネ部材167とから構成されている。また、本実施形態の製袋包装機1は、横シール時の前後においてシャッタ用カムフォロア165を誘導するシャッタ用カム170を有している。シャッタ用カム170は、一連の横シール動作におけるV字部材164の姿勢変化によっても一対のクラムローラ166の間の隙間(図19の隙間G3を参照)が変化しないように、図9に示すような傾斜面を含む外面を有する形状にされている。
【0055】
固定部材161,162は、シールジョー51を支持する横シール機構17のベース部材64に対して、相対移動不能に固定されている。固定部材161には、バネ部材167の端部がピン支持される。固定部材162は、V字部材164の中間部をピン支持する。
【0056】
ストッパー163も、横シール機構17のベース部材64に対して相対移動不能に固定されている。このストッパー163は、図17に示すように、バネ部材167の引っ張り力により回動しようとするV字部材164を止める役割を果たす。後述するようにシャッタ用カム170からの力がシャッタ用カムフォロア165に作用してバネ部材167が伸びている状態のときには、このストッパー163は作用しなくなる。
【0057】
V字部材164は、上述のように、その中間部が固定部材162にピン支持されている。V字部材164には、クラムローラ166が回転自在に軸支持されている。また、クラムローラ166の近傍において、シャッタ用カムフォロア165がV字部材164に回転自在に軸支持されている。このシャッタ用カムフォロア165は、横シール時及びその前後の期間において、図9に示すシャッタ用カム170の外面に沿って転動する。これにより、一対のクラムローラ166は、横シール前後の期間において、両者の間の隙間距離がほぼ一定に保たれることになる(図9,図16及び図19の隙間G3を参照)。クラムローラ166が固定されていない側のV字部材164の端部164aは、バネ部材167の端部をピン支持する。
【0058】
クラムローラ166は、図19に示すように複数の小径ローラ166aおよび複数の大径ローラ166bから構成されており、トータルとして、シールジョー51と同様に筒状フィルムFの幅よりも長く延びることになる。各ローラ166a,166bの回転軸は、それぞれ、V字部材164に軸支持されている。クラムローラ166は、前述のストリッパプレート155とともにシールジョー51よりも早く筒状フィルムFを挟み込み、筒状フィルムFの横シール時において、被シール部分の上方において被包装物の上からの落下を抑える(図16参照)。
【0059】
さらに詳述すると、クラムローラ166は、図9において右側に位置する第1ローラ群166Rと、図9において左側に位置する第2ローラ群166Lとに分かれる。第1ローラ群166Rおよび第2ローラ群166Lは、図19に示すように、それぞれが複数の小径ローラ166aおよび複数の大径ローラ166bを含んでいる。筒状フィルムFの搬送経路を挟んで互いに対向する第1ローラ群166Rおよび第2ローラ群166Lにおいては、第1ローラ群166Rの小径ローラ166aに対向する位置に第2ローラ群166Lの大径ローラ166bが配置され、第1ローラ群166Rの大径ローラ166bに対向する位置に第2ローラ群166Lの小径ローラ166aが配置される。そして、各ローラ群166R,166Lにおいて小径ローラ166aと大径ローラ166bとが交互に配置されているため、クラムローラ166全体で見れば、小径ローラ166aも大径ローラ166bも、それぞれ千鳥配列となる。
【0060】
両ローラ群166R,166Lが筒状フィルムFを挟み込んだときに形成される隙間G3は、図19に示すように、第1ローラ群166Rの小径ローラ166aと第2ローラ群166Lの大径ローラ166bとの間にできる第1隙間G31と、第1ローラ群166Rの大径ローラ166bと第2ローラ群166Lの小径ローラ166aとの間にできる第2隙間G32とから構成されることになる。そして、第1ローラ群166Rにおいても、第2ローラ群166Lにおいても、複数の小径ローラ166aおよび複数の大径ローラ166bの回転軸は同一直線上にあるため、第1隙間G31と第2隙間G32との間には、段差ができる。したがって、両ローラ群166R,166Lが筒状フィルムFを挟み込んだときに形成される隙間G3(第1隙間G31および第2隙間G32)は、ジグザグに蛇行するようになり、挟み込まれる筒状フィルムFも、図19に示すように断面視において蛇行した状態になる。
【0061】
バネ部材167は、図9に示すように、一端がピン167aによって固定部材161に支持されており、他端がV字部材164の端部164aにピン支持されている。バネ部材167は、図16に示すように、横シール時において、V字部材164の端部164aを引っ張ることでシャッタ用カムフォロア165をシャッタ用カム170に対して押しつける役割を果たす。
【0062】
<製袋包装機の動作>
次に、製袋包装機1の動作について、図2及び図11〜図13を用いて説明する。なお、図11〜図13では、各部材の動きが理解しやすいように、各部材を重ねて実線で表現している。
【0063】
〔製袋包装機の基本動作〕
フィルム供給ユニット6から成形機構13に送られたシート状のフィルムFは、フォーマー32からチューブ31に巻き付けられて筒状に成形され、そのままプルダウンベルト機構14によって下方に搬送される。そして、フィルムFはチューブ31に巻き付けられた状態において両端部が周面上で重ね合わせられた状態となり、その重ね合わせ部分が縦シール機構15によって縦にシールされる。
【0064】
縦にシールされて円筒形状となった筒状フィルムFは、チューブ31を抜けて横シール機構17へと降りていく。また、このときには筒状フィルムFの移動と同時に、被包装物の固まりがコンピュータスケール2からチューブ31を通って落下してくる。そして、横シール機構17においては、筒状フィルムF内に被包装物が存在する状態で、その袋の上端及び被包装物が存在する袋の上部の袋の下端の部分が横にシールされる。
【0065】
〔製袋包装機の横シール動作〕
次に、横シールの動作について詳述する。
【0066】
横シール機構17では、図示しない回転用のモータを回転させることによって回転軸54が回転し、連結部材61を介して回動部材62及びこれに支持されたシールジョー51が回転軸54を中心として円運動をする。そして、同じ連結部材61の両端部に装着されている2つのカムフォロア63がカム52を挟み込む構造となっているため、カム52のカム面52aに沿ってカムフォロア63が移動する。
【0067】
このときの、シール処理前でシールジョー51が筒状フィルムに当接していない状態を図11(a)に示し、その後のシール処理時でシール直前の状態を図11(b)に示す。図11(a)に示すシール処理の前段階では左右のシールジョー51のシール面が上方を向くように、また図11(b)に示すシール処理の段階では左右のシール面が対向するように、カム面52aが形成されている。
【0068】
また、これらの図から明らかなように、図11(a)と図11(b)に示された状態では、カム52と回転軸54とが横方向に移動している。すなわち、図11(a)に示す状態では、左右のカム52及び回転軸54は比較的互いに離れているが、図11(b)に示す状態では、左右のカム52及び回転軸54が図11(a)に示す状態に比較して互いに近づいている。このようなカム52及び回転軸54の横方向の移動は、図11(a)に示す状態から図11(b)に示す状態に移行する間に、横方向駆動用のモータを回転し、ボールねじ80を回転させることによって行われる。
【0069】
図11(b)に示す状態からさらに回転軸54が回転すると、カムフォロア63はカム面52aに沿ってさらに移動し、図12に示すように、左右のシールジョー51のシール面は対向した状態を維持し、かつ左右のシール面は筒状フィルムを挟んで間接的に当接する。この際に、筒状フィルムはシールジョー51のシール面によって熱シールされる。なお、図11(b)に示す状態から図12に示す状態に移行する間に、カム52及び回転軸54は横方向駆動機構55によって互いに離れる方向に移動させられる。
【0070】
また、左右のシールジョー51が図12に示すようなシール区間を移動するときには、先行する袋の上端部と、これに続く袋の下端部とがほぼ同時にシールされる。そして、このシールと同時に、シールジョー51に内蔵されているカッター機構(図示せず)によって、先行する袋と後続の筒状フィルムとが切り離される。
【0071】
そしてさらに回転軸54が回転すると、カムフォロア63はカム面52aに沿ってさらに移動し、図13(a)に示す状態を経て、図13(b)に示す状態に移行する。ここで、図13(a)に示すシール処理直後の段階では左右のシールジョー51のシール面が対向するように、また図13(b)に示すように、左右のシールジョー51が対向している最終段階では左右のシール面が下方に向くように、カム面52aが形成されている。
【0072】
このとき、図12に示す状態から図13(a)に示す状態に移行する際には、カム52及び回転軸54は互いに近づく方向に移動させられ、図13(a)に示す状態から図13(b)に示す状態に移行する際には、カム52及び回転軸54は互いに離れる方向に移動させられる。
【0073】
なお、以上のようにして連続的に製造される袋は、図1及び図2に示す傾斜誘導板19により、ベルトコンベア(図示せず)に導かれ、ウェイトチェッカー等の後工程の装置に移送される。
【0074】
〔製袋包装機の横シール動作におけるしごき機構及びシャッタ機構の動作〕
横シール機構17では、図示しない回転用のモータを回転させることによって回転軸54が回転し、連結部材61を介して回動部材62及びこれに支持されたシールジョー51が回転軸54を中心として旋回運動をする。すなわち、回転軸54の回転にしたがい、ベース部材64及びシールジョー51が回動部材62に同期してカム52上を旋回する。
【0075】
しごき機構150及びシャッタ機構160は、ベース部材64に支持されており、基本的にはシールジョー51とともに回転軸54の周りを旋回する。しかし、しごき機構150のストリッパプレート155及びシャッタ機構160のクラムローラ166は、平行リンク部材153やV字部材164を介してベース部材64に連結されているため、横シール時の前後の期間においては、シールジョー51の移動速度と異なる速度で動く。
【0076】
シール処理前でシールジョー51が筒状フィルムFに当接しておらず且つストリッパプレート155が筒状フィルムFに当接した状態を図6に示し、シール処理前でシールジョー51が筒状フィルムFに当接しておらず且つクラムローラ166が筒状フィルムFに当接した状態を図9に示す。本実施形態では、理解を容易にするため、図6と図9とに分けて各機構150,160を図示している。また、シールジョー51が筒状フィルムFに当接して熱シールが実施されている状態を、図14及び図16に示す。さらに、熱シールが完了し、各機構150,160が筒状フィルムFから離れた直後の状態を、図15及び図17に示す。
【0077】
このような一連の横シール動作において、上述したように、図示しない制御ユニット(コントローラ)による制御により、カム52及び回転軸54が横方向に移動している。すなわち、制御ユニットは、横シール動作において、横方向駆動用のモータを制御して、ボールねじ80の回転によってカム52及び回転軸54に所定の横方向の動きを行わせる。具体的には、シールジョー51により筒状フィルムFを挟み込む直前に一対のカム52及び回転軸54を互いに近づく方向に移動させ、シールジョー51による熱シール(横シール動作)が完了した後に一対のカム52及び回転軸54を互いに離れる方向に移動させる。このように、シール動作において、シールジョー51はカム52及び回転軸54の動きにそのまま連動して横に動くが、一対のストリッパプレート155は、一方の突出部155bと他方の樹脂部155dとの押し合いによって、両ストリッパプレート155の間の隙間G1,G2(図18参照)が保たれる。また、シャッタ機構160のクラムローラ166は、シャッタ用カム170によるシャッタ用カムフォロア165の誘導によって、両クラムローラ166の間の隙間G3(図19参照)が保たれる。すなわち、横シール動作の期間中、両ストリッパプレート155の間の隙間G1,G2及び両クラムローラ166の間の隙間G3は、概ね一定に保持される。
【0078】
図6と図14とを比較するとわかるように、横シール動作の初期において筒状フィルムFの上下に隣接する部分に当接したストリッパプレート155及びクラムローラ166(図6参照)は、一対のシールジョー51が筒状フィルムFを挟み込んで熱シールを行っているとき(図14参照)において、それぞれ筒状フィルムFの異なる上下位置に当たる状態に変化する。ストリッパプレート155の先端は、筒状フィルムFに当接した後、平行リンク部材153の姿勢変化によって、シールジョー51よりも速い速度で下方に移動し、筒状フィルムFの被シール部分にある被包装物を下方に移送する。すなわち、ストリッパプレート155は、シールジョー51に対して姿勢を変えながら相対的に下方に移動し、筒状フィルムFの被シール部分を下方にしごく。また、クラムローラ166の先端は、筒状フィルムFに当接した後、V字部材164の回動によって、シールジョー51よりも遅い速度で下方に移動する。すなわち、クラムローラ166は、シールジョー51に対して、姿勢を変えながら相対的に上方に(絶対的には下方に)移動する。
【0079】
<製袋包装機の特徴>
(1)
この製袋包装機1では、しごき機構150の一対のストリッパプレート155が筒状フィルムFを所定の隙間G1,G2をあけて挟み込んで、しごき動作によって被包装物を下方へ移動させている。このため、一対のシールジョー51による筒状フィルムFの被シール部に対して、下方の袋の中から被包装物が舞い上がり、その被包装物が被シール部に侵入して噛み込んでシール不良を引き起こしてしまうこと、が抑制される。
【0080】
そして、図18に示すように、一対のストリッパプレート155が筒状フィルムFを挟み込んだときの隙間G1,G2が、筒状フィルムFの水平方向(幅方向)の中央部Faにおいて狭く(隙間G1参照)、その中央部Faよりも外側の側部Fbにおいて広い(隙間G2参照)。このため、被シール部の下方の袋内にある被包装物が舞い上がって被シール部の位置に侵入することを効果的に抑えつつ、下方の袋の内部空気量の調整に必要な空気の抜け道が確保されることになる。この空気の抜け道は、図18の隙間G2に位置する筒状フィルムFの側部Fbにおいて大きく確保される。
【0081】
下方の袋の中の被包装物の大半は、その袋の中央付近に固まって存在する傾向が強く、しごき機構150の一対のストリッパプレート155の移動にしたがって被シール部分に舞い上がってくる被包装物も、一対のストリッパプレート155間の隙間のうち筒状フィルムFの中央部Faに対応する隙間G1に位置する筒状フィルムF内の抜け道に集中する。このため、筒状フィルムFの中央部Faに対応する隙間G1が狭くなっていることが、被包装物の舞い上がりや被シール部への侵入の抑制に効くことになる。すなわち、隙間G1が狭く設定されているため、横シールの被シール部に被包装物が侵入してくることが効果的に抑えられている。
【0082】
なお、この製袋包装機1では、上述の効果を得るための構成として、一対のストリッパプレート155それぞれにおいて2カ所の切り欠き155fを設けるというシンプルな構成を採っており、大きなコストをかけることなく、横シールの被シール部分への被包装物の侵入を抑え、且つ、袋の空気量の調整のために必要な空気の抜け道を確保するというメリットを享受できている。
【0083】
(2)
この製袋包装機1では、シャッタ機構160の一対のクラムローラ166が、筒状フィルムFを所定の隙間G3をあけて挟み込んで、横シールの被シール部分に対する上からの被包装物の侵入を抑制している。このため、一対のシールジョー51による筒状フィルムFの被シール部に対して、被包装物が落下してきて噛み込んでシール不良を引き起こしてしまうことが抑えられる。
【0084】
そして、図19に示すように、シャッタ機構160の第1ローラ群166Rおよび第2ローラ群166L(クラムローラ166)は、筒状フィルムFを挟んで対向する2つのローラ166a,166bの径が異なっており、且つ、それぞれのローラ群において交互に小径ローラ166aと大径ローラ166bとが並んでいるため、第1隙間G31と第2隙間G32との間に段差ができている。そして、このように、第1ローラ群166Rの小径ローラ166aと第2ローラ群166Lの大径ローラ166bとの間にできる第1隙間G31と、第1ローラ群166Rの大径ローラ166bと第2ローラ群166Lの小径ローラ166aとの間にできる第2隙間G32とが、交互に並び、且つ、一直線上になく段差を持つ配置になっているため、第1ローラ群166Rおよび第2ローラ群166Lに両側から挟まれる筒状フィルムFは、図19に示すように、断面視において蛇行することになる。
【0085】
このため、シャッタ機構が筒状フィルムを挟み込む際に形成していた隙間に段差がなく隙間がストレートである場合(従来の構成)に較べて、このシャッタ機構160の蛇行している隙間G31,G32は、同じ隙間面積であっても、挟み込んだ筒状フィルムF内における被包装物の通り抜け現象を効果的に抑えられるようになる。例えば、薄いけれども幅のある被包装物の場合、筒状フィルムF内のストレートの隙間であれば通り抜けられるけれども、筒状フィルムF内の隙間が蛇行していると通り抜けることが妨げられる。
【0086】
また、このシャッタ機構160では、蛇行する隙間G3(G31,G32)を形成するために、複数の小径ローラ166aおよび大径ローラ166bを用い、それぞれのローラ166a,166bを回転自在にV字部材164に軸支持させている。このため、ローラ166a,166bが回転することで、クラムローラ166と筒状フィルムFとの間の無用な摩擦を低減することができており、横シール動作を良好に行うことができる。
【0087】
(3)
以上の(1),(2)のしごき機構150およびシャッタ機構160の特性を利用して、この製袋包装機1では、筒状フィルムFの横シールの被シール部分に対する被包装物の侵入や噛み込みを許容範囲に抑えつつ、しごき機構150の一対のストリッパプレート155やシャッタ機構160の一対のクラムローラ166により挟み込んだ筒状フィルムF内の隙間の面積をある程度確保して、出来上がる袋の空気量の調整のために必要な空気の抜け道を確保することができている。
【0088】
<変形例>
上記のシャッタ機構160では、第1ローラ群166Rおよび第2ローラ群166Lを、回転軸が一直線上に並ぶ複数の小径ローラ166aおよび複数の大径ローラ166bで構成し、小径ローラ166aと大径ローラ166bとを交互に配置する構成を採っているが、これに変えて、他の構成を採ることも可能である。
【0089】
例えば、第1ローラ群166Rおよび第2ローラ群166Lそれぞれにおいて、1種類の複数のローラを、交互に回転軸がずれるように配置し、クラムローラ全体として筒状フィルムFを挟み込む隙間が蛇行するように、第1ローラ群166Rの凸部を第2ローラ群166Lの凹部に対応させてもよい。この場合にも、概ね同じ寸法の隙間がクラムローラの長手方向に沿って蛇行するように形成され、上述の(2)や(3)の製袋包装機1の特徴を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の一実施形態に係る製袋包装機の斜視図。
【図2】製袋包装ユニットの側面図。
【図3】横シール機構の部分拡大図。
【図4】横シール機構の部分平面図。
【図5】横方向駆動機構の外観斜視図。
【図6】しごき機構の模式図。
【図7】一対のストリッパプレートの上面図。
【図8】図6に示す状態の一対のストリッパプレートの端部の関係を示す図。
【図9】シャッタ機構の模式図。
【図10】一対のクラムローラの各ローラの上面視における配置図。
【図11】横シール動作を説明するための模式図。
【図12】横シール動作を説明するための模式図。
【図13】横シール動作を説明するための模式図。
【図14】横シール動作におけるしごき機構の動きを説明するための模式図。
【図15】横シール動作におけるしごき機構の動きを説明するための模式図。
【図16】横シール動作におけるシャッタ機構の動きを説明するための模式図。
【図17】横シール動作におけるシャッタ機構の動きを説明するための模式図。
【図18】しごき動作中の一対のストリッパプレートの上面視における配置状態図。
【図19】シャッタ動作中の一対のクラムローラの各ローラの上面視における配置状態図。
【符号の説明】
【0091】
1 製袋包装機
13 成形機構
14 プルダウンベルト機構(包材搬送機構)
15 縦シール機構
17 横シール機構
51 シールジョー(シール部)
150 しごき機構
155 ストリッパプレート(しごき部、第1プレート、第2プレート)
155f 切り欠き
160 シャッタ機構
166 クラムローラ(シャッタ部)
166a 小径ローラ
166b 大径ローラ
166R 第1ローラ群(第1シャッタ部)
166L 第2ローラ群(第2シャッタ部)
F 筒状フィルム
Fa 筒状フィルムの幅方向の中央部
Fb 筒状フィルムの幅方向の中央部より外側の側部
G1 一対のストリッパプレートが筒状フィルムを挟み込んだときの隙間
G2 一対のストリッパプレートが筒状フィルムを挟み込んだときの隙間
G3 一対のクラムローラが筒状フィルムを挟み込んだときの隙間
G31 一対のクラムローラが筒状フィルムを挟み込んだときの隙間(第1隙間)
G32 一対のクラムローラが筒状フィルムを挟み込んだときの隙間(第2隙間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された包材をシールして製袋を行いつつ、その袋への被包装物の充填を行う製袋包装機であって、
前記包材を搬送する包材搬送機構と、
前記包材の搬送方向に交差する方向に動いて前記包材を挟み込んでシールするシール部を有する、シール機構と、
前記シール部よりも早く前記包材を所定の隙間をあけて挟み込んで被包装物を前記包材の搬送方向の下流側へと移動させるしごき部を有する、しごき機構と、
を備え、
前記しごき部は、前記包材を挟み込んだときの前記所定の隙間が、前記包材の搬送方向と直交する方向である幅方向の中央部において狭く、前記幅方向の前記中央部よりも外側の側部において広い、
製袋包装機。
【請求項2】
前記しごき部は、前記包材を挟み込む際に互いに対向する第1プレートおよび第2プレートから成り、
前記第1プレートおよび第2プレートは、それぞれ、前記包材の前記幅方向の端部近傍を挟み込む部分において切り欠きが形成されている、
請求項1に記載の製袋包装機。
【請求項3】
筒状に形成された包材をシールして製袋を行いつつ、その袋への被包装物の充填を行う製袋包装機であって、
前記包材を搬送する包材搬送機構と、
前記包材の搬送方向に交差する方向に動いて前記包材を挟み込んでシールするシール部を有する、シール機構と、
前記包材を所定の隙間をあけて挟み込んで前記シール部による前記包材の被シール部分に対する被包装物の侵入を抑制するシャッタ部を有する、シャッタ機構と、
を備え、
前記シャッタ部は、異径の複数のローラあるいは回転軸がずれている複数のローラを含んでおり、前記包材を挟み込んだときの前記所定の隙間が、前記包材の搬送方向と直交する方向である幅方向に沿って蛇行している、
製袋包装機。
【請求項4】
前記シャッタ部は、前記包材を挟み込む際に互いに対向する第1シャッタ部および第2シャッタ部から成り、
前記第1シャッタ部および第2シャッタ部は、それぞれ、異径の複数のローラあるいは回転軸がずれている複数のローラを含んでおり、
前記第1シャッタ部および第2シャッタ部の互いに対向する前記ローラの組のローラ間にできる前記包材を挟み込む際の第1隙間は、その前記ローラの組に隣接する前記ローラの組のローラ間にできる前記包材を挟み込む際の第2隙間に対して段差を持つ、
請求項3に記載の製袋包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−110800(P2008−110800A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296225(P2006−296225)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】