説明

製袋包装機

【課題】 折り目を持つ形態の袋を製造することができ、且つ製袋能力もある程度確保することができる製袋包装機を提供する。
【解決手段】 製袋包装機1は、シリンダー3と、プルダウンベルト33と、横ヒーター19と、押圧プレート11と、キャッチャー23とを備える。角筒状のシリンダー3は、その周囲にフィルムFが巻き付く。プルダウンベルト33は、筒状となったフィルムFを、下方に搬送させる。横ヒーター19は、シリンダー3の下方空間のシリンダー3の一面の仮想垂下線の近傍において、筒状となったフィルムFをシールして袋を生成する。押圧プレート11は、シリンダー3の下端の環状下面3aに対してフィルムFの上から押し当たり、フィルムFに折り目をつける。キャッチャー23は、シール前に筒状のフィルムFの中心が前記仮想垂下線の近傍にくるように筒状のフィルムFを移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋包装機、特に、角筒状のフィルムから成る袋を製造する製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品その他多くの商品は、金額単位、又は、重量単位に包装して、消費者に提供されていることが多い。この中でも、特に軽量で嵩張るスナック菓子等の商品は、大量に生産され、大量に消費される傾向が強い。この種の商品の包装には、縦型の製袋包装機が用いられることが多く、ピロータイプと称する枕の形状に類似した形態に製袋するものが商品の大部分を占めている。
【0003】
このような包装に使用する包装材料は、一部では紙が採用される例もあるが、大半は合成樹脂フィルムが採用されている。このフィルムは、それぞれの商品の物性に応じ、湿気、酸化、紫外線等の影響で商品の劣化を防ぐことができるように、合成樹脂を単体で使ったり、複数組み合わせてラミネートしたものを使ったりしている。また、消費者の関心を引くように、多色刷りされたフィルムが多く使用されており、写真やイラストで商品や商品名を印刷すると共に、食品衛生法で定められた必要事項をフィルム上に印字している。
【0004】
なお、商品に対応した幅とピッチで連続印刷してフィルムを巻取ってロール状にしたものが、製袋包装機にセットされて使われる。
【0005】
このようなピロータイプの縦型包装機は、比較的購入し易い価格となっており、構造も比較的簡単であり、取り扱いも容易性や効率の高さも相まって多用されていたと思われる。
【0006】
しかしながら、ピロー状に製造された袋は、段ボール箱などに詰める際に、その箱詰め数量が少なくなってしまうという欠点がある。すなわち、スナック菓子等の商品は、所定の数量だけ段ボール箱などに詰めて販売店に配送されるが、その形状(ピロー形状)の故に、箱詰め(ケース詰め)に際し、袋同士の間にデッドスペースが生じてしまう。すると、箱を増やしたり箱の寸法を大きくしたりする対応をとらざるを得ない。この種の商品の配送コストは、重量ではなく容積で算出されることが多く、配送コストが嵩むことになる。また、販売店での陳列においても、袋を積み重ねるか、奥から互いにもたれ合わせて並べるしか手がなく、販売店における取り扱いも厄介である。
【0007】
これらのデメリットを解消するために、幾つかの新形態を有する袋が提案され一部流通しているが、その中でも、胴部が角筒状で平底となっている「ガゼットタイプ」と称する形態の包装袋は、ある程度の改善の成果がある。このため、ガゼットタイプの袋は、次第にその比率を増やしつつあるが、未だ充分とはいえない。この一因として、スナック菓子等の商品が概ね価格の低い商品であることが多く、新たな包装機の購入が必要となったり包装材料の見直しが必要となったりするガゼットタイプの袋は、コスト的に採用が困難となるケースが多いことが挙げられる。また、ガゼットタイプの袋の製造について、新たな包装機を購入せずに、既存の包装機において主要部品を交換して包装袋上下端のシール部を成形する別部品・別装置の追加・組み込みを行うことも考えられるが、その場合にも、改良費用が嵩むとともに、操作の煩雑化や、想定形状の保持のための包装材料の見直しなどが発生し、ガゼットタイプを製造に踏みきることは難しい。
【0008】
これに対し、特許文献1,2に示されている袋は、包装材料の見直し等が不要で、物流の諸費用の軽減に寄与するとともに店頭における陳列の自立性もあり、さらに消費者の注目度も高まると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2937012号公報(第28図)
【特許文献2】登録実用新案第2593457号公報(第11図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記の特許文献1,2に示すような形態の袋は、製袋の工程がかなり複雑で、困難も伴う。また、従来からのピロータイプの袋を製造する縦型製袋包装機に較べ、時間当たりの製袋能力が大幅に低下し、実用化が難しいと言える。
【0011】
本発明の目的は、折り目や傾斜面を持つ形態の袋を製造することができ、且つ製袋能力もある程度確保することができる製袋包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る製袋包装機は、折り目および傾斜面が形成された角筒状のフィルムから成る袋を製造する製袋包装機であって、角筒状部材と、搬送手段と、シール手段と、押圧部材とを備えている。角筒状部材は、その周囲にフィルムが巻き付く部材である。搬送手段は、角筒状部材に巻き付いて角筒状となったフィルムを、角筒状部材の長手方向に沿って搬送させる。シール手段は、角筒状部材の搬送方向下流側の空間において、角筒状となったフィルムをシールして袋を生成する。押圧部材は、角筒状部材の搬送方向下流側の端部に対してフィルムの上から押し当たり、フィルムに折り目をつける。
【0013】
また、本発明に係る製袋包装機は、把持移動手段を備えている。また、シール手段は、角筒状部材の一面の仮想垂下線の近傍においてフィルムをシールするように配置されている。把持移動手段は、シール手段の搬送方向下流側に配置されており、筒状となったフィルムを把持して移動する。また、把持移動手段は、シール手段によりシールが行われる前に、筒状となったフィルムの中心が角筒状部材の一面の仮想垂下線の近傍にくるように、筒状となったフィルムを移動させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る製袋包装機では、角筒状部材の一面の仮想垂下線の近傍においてフィルムをシールするようにシール手段を配置するとともに、シール手段によりシールが行われる前に角筒状となったフィルムの中心が角筒状部材の一面の仮想垂下線の近傍にくるように把持移動手段によって角筒状となったフィルムを移動させている。これにより、製造する袋の一端を袋(角筒状となったフィルム)の中心から外れた位置においてシールすることが容易にできるようになり、折り目や傾斜面を持つ形態の袋を製造する際にも、製袋能力をある程度確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る製袋包装機の主要部の概略斜視図。
【図2】製袋包装機により製造される包装袋の斜視図。
【図3】製袋包装の一過程を示す側面視の図。
【図4】図3に示す製袋包装の一過程に続く過程を示す、側面視の図。
【図5】図1,図3のV-V矢視図。
【図6】図1,図4のVI-VI矢視図。
【図7】図1,図4のVII-VII矢視図。
【図8】袋の底部を成形するときの中折りプレートの作用前および作用進行過程における状態を示す図。
【図9】製袋包装機により製造される包装袋の寸法関係を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る製袋包装機1を、図1に示す。この製袋包装機1で製造される、商品が封入された包装袋Bは、図2に示す態様で販売店の店頭において陳列・展示される。
【0017】
この包装袋Bの製造に際しては、後述するように、店頭で陳列・展示の際に上部となる陳列傾斜面6を先に成形する。その成形に際しては、製袋包装機1の構造の関係で、包装袋Bの背面4が、製袋包装機1の手前側(図1参照)に位置する。展示の際に客から見える側となる包装袋Bの陳列鉛直面7の側方には、それぞれ側面5がある。包装袋Bの陳列傾斜面6は、陳列鉛直面7の上縁から背面4へと斜め上方に延び、陳列時において水平面に対して傾斜角A1だけ傾斜した状態となる(図2参照)。なお、後述する製袋包装機1のシリンダー3の四角環状下面3aは、水平面に対して、傾斜角A1と同じ角度だけ傾斜している。この四角環状下面3aは、包装袋Bの製造の際に、ジグ(型具)として用いられることになる。
【0018】
また、包装袋Bは、店頭で陳列・展示する際に自立するように、底部が略平面となるように製造される。
【0019】
<製袋包装機の構成>
製袋包装機1は、図1に示すように、フィルムロールFRを保持および回転駆動する機構、そこから繰り出されるフィルムFの張力を調整する張力調整機構50、シート状のフィルムFを角筒状に変形させるためのフォーマー8およびシリンダー3、角筒状となったフィルムFの重ね合わせ部分を縦にシールする縦ヒーター14、角出しヒーター30、一対のプルダウンベルト33、角筒状のフィルムFを横にシールすることで包装袋Bの上下端を閉止する横ヒーター19、上記の包装袋Bの上部や底部を成形するための袋頂底部成形機構、などから構成されている。
【0020】
(張力調整機構の詳細構成)
張力調整機構50は、一対の駆動ローラ50aおよび押さえローラ50b、段差ローラ50cなどから構成されている。
【0021】
(シリンダーおよびフォーマーの詳細構成)
シリンダー3は、角筒形状の部材であり、上部がホッパー26になっている。ホッパー26には、製袋包装機1の上方に配備される組み合わせ計量装置などから、計量され所定量となったポテトチップスなどの商品Pが投入される。
【0022】
シリンダー3のホッパー26よりも下の部分は、手前側面3b、奥側面3d、両側面3cおよび四角環状下面3aを有し、四角環状下面3aに囲まれた下部開口から、角筒状に成形されたフィルムFの内部に商品Pを導入させる。手前側面3bと奥側面3dとは平行であり、これらの面3b,3dと両側面3cとは直交している。シリンダー3の下部開口(長方形の開口)の周りは、四角環状下面3aとなっており、上述のように水平面に対して傾斜角A1(図2参照)だけ傾斜している。
【0023】
また、シリンダー3は、図3に示すように、奥側面3dの下端から下方に延びる受圧プレート9を有している。受圧プレート9は、包装袋Bの陳列傾斜面6を成形させる際に用いられる部材であって、それ以外のときには奥側面3dの下端から垂下した状態にある。包装袋Bの陳列傾斜面6を成形させる際には、奥側面3dの下端近傍を支点として図4に示すように揺動し、フィルムFを介して四角環状下面3aに接し、四角環状下面3aに沿った傾斜状態となる。
【0024】
フォーマー8は、シリンダー3を取り囲むように配置されている。このフォーマー8の形状は、フィルムロールFRから送られてきたシート状のフィルムFがフォーマー8とシリンダー3との間を通るときに角筒状に成形されるような形状とされている。
【0025】
(縦ヒーターの詳細構成)
縦ヒーター14は、シリンダー3に巻かれた状態となっているフィルムFの重なり部分(フィルムFの送り方向に対するフィルムFの両側部の重なり部分)を、一定の加圧力でシリンダー3の手前側面3bに押しつけながら加熱し、縦にシールする。この縦ヒーター14は、ヒーターを組み込んだヒーターブロックや、そのヒーターブロックを手前側および奥側に動かすアクチュエーター(図示せず)から構成されている。縦ヒーター14により縦にシールされた部分は、縦シール部41(図1、図2などを参照)となる。
【0026】
(プルダウンベルトの詳細構成)
左右両側に配置される一対のプルダウンベルト33は、シリンダー3に巻き付いたフィルムFを吸着して下方に搬送するために設けられており、駆動ローラ、従動ローラ、吸着機能を有するベルトなどから構成されている。なお、本実施形態に係る製袋包装機1では、バッチ式に製造が為され、プルダウンベルト33による角筒状のフィルムFの搬送も間欠的に行われる。
【0027】
(角出しヒーターの詳細構成)
角出しヒーター30は、プルダウンベルト33の上方に配置されており、シリンダー3の4つの角部に対して外方から加熱体を押しつけ、シリンダー3との間でフィルムFを挟み、図2に示す包装袋Bになったときの側部の角となる部分に折り癖をつける。この角出しヒーター30は、縦ヒーター14や横ヒーター19とは異なり、フィルムFに加熱による熱変形が生じない範囲で各面の接する稜線の形成を短時間で行うものである。
【0028】
(横ヒーターの詳細構成)
手前側および奥側に配置される一対の横ヒーター19は、プルダウンベルト33の下方に位置し、角筒状のフィルムFを横にシールするときにフィルムFを挟んで図4に示すように互いに押しつけ合わされる。
【0029】
また、一方の横ヒーター19には、カッター20が組み込まれている。カッター20は、フィルムFの横シール部分を上下に切り離す。
【0030】
(袋頂底部成形機構の詳細構成)
製袋包装機1では、横ヒーター19により角筒状のフィルムFを横にシールするとき、すなわち、包装袋Bの上下端をヒートシールするときに、袋頂底部成形機構によって包装袋Bの陳列傾斜面6の成形や、底部を略平面とする成形を行う。
【0031】
袋頂底部成形機構は、シリンダー3の奥側面3dの下端から垂下する受圧プレート9を含み、傾斜面内折りプレート10、押圧プレート11、位置ズレ防止第1圧接プレート13、位置ズレ防止第2圧接プレート18、ヒダ折りプレート17、フラットプレート27、ガゼット成形プレート28、キャッチャー23、などを備えている。
【0032】
図1および図6に示す左右一対の傾斜面内折りプレート10は、包装袋Bの陳列傾斜面6を成形するときに、シリンダー3の四角環状下面3aの下方近傍空間に入り込む。傾斜面内折りプレート10は、シリンダー3側の先端を頂点とする三角形状の板部材であり、シリンダー3の四角環状下面3aと同様に、側面視において水平面に対して傾斜角A1だけ傾斜している。
【0033】
押圧プレート11は、包装袋Bの陳列傾斜面6を成形するときに、包装袋BとなるフィルムFの奥側(図1および図3参照)からシリンダー3の四角環状下面3aに押し当たる。このとき、図4に示すように、受圧プレート9が押されて四角環状下面3aに下方から押し付けられた状態となる。したがって、フィルムFは、シリンダー3の四角環状下面3aに押し付けられた受圧プレート9と押圧プレート11との間に、挟まれた状態となる。一方、それ以外のときには、押圧プレート11が、シリンダー3の下方空間から外れ、奥側に引っ込んでホームポジションに復帰する(図3参照)。
【0034】
ヒダ折りプレート17は、フィルムFが受圧プレート9と押圧プレート11との間に挟み込まれる直前に、押圧プレート11と四角環状下面3aとの間に入り込む。これにより、図4に示すように、包装袋BとなるフィルムFにヒダ16が形成される。
【0035】
位置ズレ防止第1圧接プレート13は、普段はシリンダー3の奥側に位置しており、押圧プレート11が動き出す前に、所定の力でフィルムFをシリンダー3の奥側面3dに押しつける。これにより、フィルムFが受圧プレート9と押圧プレート11との間に挟み込まれるときに、シリンダー3の奥側面3dの下縁において、図2に示す陳列鉛直面7と鉛直傾斜面6との境界となるフィルムFの部分に折り癖をつけることができる。また、位置ズレ防止第1圧接プレート13をシリンダー3の奥側面3dに押しつけることで、包装袋Bの陳列傾斜面6を成形する際にフィルムFが位置ズレを起こしてしまうことが防止できる。
【0036】
位置ズレ防止第2圧接プレート18は、普段はシリンダー3の手前側に位置しており、位置ズレ防止第1圧接プレート13と同じタイミングで、所定の力によりフィルムFをシリンダー3の手前側面3bに押しつける。このタイミングは、ヒダ折りプレート17の動作タイミングの前でもある。
【0037】
ヒダ折りプレート17は、上述のように、図4および図9に示す包装袋Bのヒダ16を成形するための部材である。このヒダ16は、以下のような理由で必要となるものである。
【0038】
包装袋Bの陳列傾斜面6は、図9に示すように、側面視において左右対象なものではなく、直交する一辺が長さL1(袋幅に相当)であり直交する他辺が長さL2の直角三角形における斜辺となっている。図9の長さL5は、包装袋Bの上部の横シール部分(以下、トップシール部という。)15の高さ方向の長さである。陳列傾斜面6の側面視における長さである図9の長さL3は、必然的に長さL2よりも長くなっており、陳列傾斜面6をきれいに成形するためには、次式が成り立つようにヒダ折りプレート17によってヒダ16(長さL4)を形成させる必要がある。
【0039】
L3+L5=L2+L4+L4+L5
このようにヒダ16を成形すれば、陳列傾斜面6やその近傍に余分な皺が発生することを抑えることができる。
【0040】
このようなヒダ16を成形するために、ヒダ折りプレート17が、シリンダー3の手前側面3bの手前側からシリンダー3の下方に入り込む動きをするように配備されている。
【0041】
一対のフラットプレート27は、シリンダー3の手前側および奥側に配置されており、図示しないアクチュエーターによって包装袋Bの底面2を成形するときに横ヒーター19の下方空間に水平移動して入り込む。フラットプレート27は、移動前後において、ともに水平な状態である(図3および図4参照)。
【0042】
一対のガゼット成形プレート28は、シリンダー3側の先端を頂点とする三角形状の板部材であり、包装袋Bの底面2を成形するときに、左右両側から横ヒーター19の下方空間に入り込んでフィルムFを内側に押す。
【0043】
キャッチャー23は、図2の包装袋Bの天地を逆にしたものを受けることができる、上面が開口した保持容器である。キャッチャー23の側方から見た断面は、図3や図4に示す形状である。このキャッチャー23は、シリンダー3に対して、図3に示すポジションと図4に示すポジションとを行き来できるように、図示しないアクチュエーターにより駆動される構成となっている。具体的には、図3に示すポジションから図4に示すポジションに向けて、キャッチャー23が手前側上方に斜めに移動し、また逆に奥側下方に戻る。
【0044】
<製袋包装機における横ヒーターの動作および袋頂底部成形機構の動作>
包装袋Bは、最初の包装サイクルで、展示に際し上側となる上部が成形されるとともにトップシール部15が横シール部として生成され、その次の包装サイクルにおいて、被包装物が投入され充填されている状態で、展示の際に下側となる底面2が成形されるとともに底シール部21が横シール部として生成される。先行する包装袋Bの底シール部21とそれに続く包装袋Bのトップシール部15とは、図4に示すように、1度の横ヒーター19による横シール動作によって横シール部として同時に形成され、両者21,15はカッター20によって切り離される。
【0045】
この横シールのポイントおよび切り離しのポイントは、図4に示すように、概ねシリンダー3の手前側面3bの垂下線上にあり、先行する包装袋Bからすると袋の前後の中心位置、それに続く包装袋Bからすると袋の背面4となる位置にある。
【0046】
図3は、店頭での展示の際に客から見える陳列傾斜面6およびトップシール部15が、先行する包装袋Bにおいて既に成形され、その包装袋Bに商品(被包装物)Pが投入・充填され、次の包装袋Bの陳列傾斜面6の成形の為に一袋分のピッチだけフィルムFが下方に送られ、その次の包装袋Bの陳列傾斜面6の成形動作を開始する直前の状態を示している。
【0047】
図4は、先行する包装袋Bの底シール部21とそれに続く包装袋Bのトップシール部15とを同時に横ヒーター19で横シールする状態を示す図である。商品Pが投入された先行する包装袋Bは、図3に示すようにキャッチャー23によってシリンダー3の下方位置において保持された後、キャッチャー23の手前側上方への斜め移動により、図4に示す側面視位置まで移動させられる。キャッチャー23の動きは、図示しない制御装置により、袋頂底部成形機構の他の部品(傾斜面内折りプレート10、押圧プレート11、位置ズレ防止第1圧接プレート13、位置ズレ防止第2圧接プレート18、ヒダ折りプレート17、フラットプレート27、ガゼット成形プレート28)の動きに連動させられている。
【0048】
すなわち、本製袋包装機1は、シリンダー3の四角環状下面3aをジグとして包装袋Bの陳列傾斜面6を成形する方式であるので、シリンダー3の手前側面3bの垂下空間で横シール処理を行う事が前提として欠かせない。したがって、先に成形され商品Pの投入が済んでいる、上部シール前の包装袋Bを、図4に示すようにキヤッチャー23で保持し、押圧プレート11をシリンダー3の四角環状下面3aに押しあてて包装袋Bの陳列傾斜面6を成形させるタイミングで、キャッチャー23を手前側上方に斜め移動させている。
【0049】
押圧プレート11の動作は上述のとおりであり、シリンダー3の四角環状下面3aに張り付くように押し付けられた受圧プレート9と押圧プレート11との間に挟まれて、包装袋Bの陳列傾斜面6が成形される。この包装袋Bの陳列傾斜面6の成形の際の各種条件は、包装袋Bが店頭で展示されるときにも所望の形状が保たれるように、使用するフィルムFの曲げ、折り、伸び等の物性が考慮されるとともに、商品の形状や比重等も考慮されて決められる。
【0050】
また、包装袋Bの製造動作の開始時点において、押圧プレート11を作動させるとともに、ヒダ折りプレート17を作動させる。ヒダ折りプレート17は、シリンダー3の手前側面3bよりも奥側に揺動して移動し、折り込みヒダ16を形成した後、すぐに元のポジション(図4に示すポジション)に復帰する。
【0051】
そして、シリンダー3の左右に設けられている傾斜面内折りプレート10も、押圧プレート11の作動開始とともに、シリンダー3の中心方向に向って移動する。このとき、傾斜面内折りプレート10は、所定の位置まで進入し、その後に元のポジションに復帰する。この後、受圧プレート9は、押圧プレート11に押されてシリンダー3の四角環状下面3aを覆う態様となり、図6に示すような、陳列傾斜面6の内側においてフィルムFに所定の山折り谷折りの状態を生成する。
【0052】
一方、横シールがなされるときには、包装袋Bの陳列傾斜面6の成形とともに、それに先行する包装袋B(キャッチャー23に保持されている袋)の底面2が成形される。
【0053】
これらの陳列傾斜面6や底面2の成形においては、キャッチャー23が重要な役割を果たす。
【0054】
陳列傾斜面6の成形の基準位置を、包装袋Bの陳列鉛直面7になる部分と陳列傾斜面6になる部分とが接する位置とすると、商品Pを充填した包装袋Bの下流端までの間には、図3に示す複数の高さレベルH1〜H5が存在することになる。
【0055】
レベルH1〜H2のフィルムFの部分は陳列傾斜面6になる部分であり、レベルH2〜H3のフィルムFの部分はトップシール部15になる部分であり、レベルH3〜H4のフィルムFの部分は底シール部21になる部分であり、レベルH4〜H5のフィルムFの部分は底面2になる部分である。それぞれの長さの合計であるレベルH1〜H5の長さは、陳列傾斜面6、トップシール部15、底シール部21、底面2を成形するために必要なフィルムFの長さである。ここでは、商品Pを収納した先行する包装袋Bが、商品Pの重量もあって垂下状態にあるため、キャッチャー23を用いて先行する包装袋Bを図4に示すように所望の位置に移動させる必要がある。キャッチャー23のように先行する包装袋Bの外形を維持しながら包装袋Bを移動できるものがなければ、移動において先行する包装袋Bの形状が変化してしまう恐れがあり、陳列傾斜面6や底面2の成形に悪影響が出たり製造される包装袋Bの最終形状が歪んだりする可能性がある。
【0056】
このようなことから、製袋包装機1では、少々構造が複雑化するにも係わらず、キャッチャー23を配備している。
【0057】
なお、キャッチャー23の移動については、フィルムFの物性なども考慮される。
【0058】
また、底面2の成形においては、フラットプレート27およびガゼット成形プレート28が作動する。一対のフラットプレート27は、キャッチャー23の上端と横ヒーター19の下端との上下方向の隙間に手前側および奥側から入り込み、横ヒーター19の下方において横シールの動作の障害とならない至近の位置でフィルムFを挟む。そして、このフラットプレート27の作動およびキャッチャー23の上昇動作の直前には、ガゼット成形プレート28が、その先端の頂点から角筒状のフィルムFの内側に、決まった距離だけフィルムFを押して入り込む。さらに、ガゼット成形プレート28の作動時には、それに若干先行して、図1に示す中折りプレート32が角筒状のフィルムFを内側に押す(図8参照)。左右一対の中折りプレート32は、鉛直面に沿った板部材であり、角筒状のフィルムFの左右幅方向の中心に当たる。中折りプレート32が作動する高さレベルよりも高い位置においては、後に続く包装袋のトップシール部15が陳列傾斜面6とともに折り癖を付けられており、中折りプレート32は、商品Pの入っている包装袋(図4の下の袋を参照)の底面の底シール部21が手前−奥の方向の中央になり且つ底面の形状が整うようにするための、補助的な役割を果たす。
【0059】
横ヒーター19により横シール部が形成され、カッター20が横シール部の真ん中を切り離すことで先行する包装袋Bの底シール部21が成形された後、フラットプレート27およびガゼット成形プレート28によって、底シール部21が底面2にできるだけ密着するように倒される。具体的に説明すると、横シール動作時に横シール部の少し下の部分を挟んだ状態であった一対のフラットプレート27は、カッター20の動作後にやや間隔を開く。そして、ガゼット成形プレート28で底面2を支えた状態において、一対のフラットプレート27が互いの間隔を保ったまま奥側にスライドする。これにより、底シール部21が底面2に密着するように倒され、図2に示すように、包装袋Bが自立し、もし包装袋Bが倒れるとしても後ろ側に倒れるように底シール部21および底面2からなる包装袋Bの底部が形成される。
【0060】
その後、包装袋Bからフラットプレート27、ガゼット成形プレート28、キャッチャー23が離れ、包装袋Bが解放される。こうして下方に排出される包装袋Bは、図1に示すコンベヤー29などによって段ボール詰め等の下流工程に送られる。キャッチャー23は、図3に示すポジションに戻り、次の包装袋Bを保持する。
【0061】
上記の間欠的な動きの繰り返しにより、商品の包装作業が継続して行われる。
【0062】
<その他の構成>
(A)
各面のコーナーをよりシャープにして包装袋Bの形状を更に整えるために、フォーマー8で角筒状に成形するまでの間に、山折り線、谷折り線を刻した上下一対のプレートを配備することが可能である。これらのプレートに、包装袋BのコーナーとなるフィルムFの稜線部分を、角筒成形前に挟み込ませれば、包装袋Bとなったときにコーナーがよりシャープとなる。
【0063】
(B)
包装袋Bの製造に際し生ずる背面4の折込みヒダ16は、フィルムFの物性によっては、その態様を店頭での陳列時まで維持できないことも考えられる。そこで、フィルムFの物性から考えて更なる手段によって折込みヒダ16の密着度合いを高める必要がある場合には、図4に示すように包装袋Bがキャッチャー23に保持されているときに、キャッチャー23の開口部31からホットメルト等の(糊料による)接着手段を折込みヒダ16の基部に投入して接着させることが好ましい。これにより、包装袋Bの形状の安定性をより向上させることができる。
【0064】
(C)
製袋包装機1では、シリンダー3の四角環状下面3aをジグとして陳列傾斜面6の成形がなされるとともに、先行する包装袋Bの底部の成形がなされる。そして、次の包装袋Bの成形のために、その後フィルムFを一袋分だけ下方に送ることになるが、その位置決めは重要である。
【0065】
これに鑑み、製袋包装機1において、フィルムFのレジマークFm(図1参照)の検出を、精度の高い読取りセンサー25によって行うことが望ましい。
【0066】
<製袋包装機の主たる特徴>
上記の製袋包装機1によれば、図2に示すように、フィルムの山折りや谷折りの重なり部はできるが、周囲の主要な面である陳列傾斜面6、陳列鉛直面7、側面5、背面4、底面2および底シール部21から成る底部を略平面にすることができる。この結果、包装袋Bが図2に示すように自立可能となり、段ボール箱などによる搬送時に包装袋Bを限られた容積の中に数多く入れることが可能となる。
【0067】
また、上記の包装袋Bの形状はユニークであり、配送容器(段ボール箱など)の小型化、物流コストの軽減に寄与し、販売店での陳列・展示も容易となり、消費者の注目度を高める効果もある。このような包装袋Bが、本発明によれば、新規の専用の包装機に依存することなく、従来から多用され技術的な完成度も信頼性も高い縦型製袋包装機の主要部に手を加えることなく一部を改造して新たな部品の追加や組み込みを行った製袋包装機1によって製造することができている。
【0068】
なお、上記の実施形態では縦型の製袋包装機に対して本発明を適用しているが、本発明を横型の包装機に対して適用することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
2 底面
3 シリンダー(角筒状部材)
3a シリンダーの四角環状下面
3b シリンダーの手前側面(角筒状部材の一面)
3d シリンダーの奥側面
6 包装袋の陳列傾斜面(袋の傾斜面)
9 受圧プレート(補助部材)
10 傾斜面内折りプレート(折り部材)
11 押圧プレート(押圧部材)
14 縦ヒーター
15 包装袋のトップシール部
17 ヒダ折りプレート(折り部材)
19 横ヒーター(シール手段)
20 カッター(切断手段)
21 包装袋の底シール部
23 キャッチャー(把持移動部材)
27 フラットプレート(第1部材)
28 ガゼット成形プレート(第2部材)
33 プルダウンベルト(搬送手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り目および傾斜面が形成された角筒状のフィルムから成る袋を製造する製袋包装機であって、
周囲にフィルムが巻き付く角筒状部材と、
前記角筒状部材に巻き付いて筒状となったフィルムを前記角筒状部材の長手方向に沿って搬送させる搬送手段と、
前記角筒状部材の搬送方向下流側の空間において、前記筒状となったフィルムをシールして袋を生成するシール手段と、
前記角筒状部材の搬送方向下流側の端部に対してフィルムの上から押し当たって、前記フィルムに折り目をつける押圧部材と、
前記シール手段の搬送方向下流側に配置され、前記筒状となったフィルムを把持して移動する把持移動手段と、
を備え、
前記シール手段は、前記角筒状部材の一面の仮想垂下線の近傍においてフィルムをシールするように配置されており、
前記把持移動手段は、前記シール手段により前記シールが行われる前に、前記筒状となったフィルムの中心が前記仮想垂下線の近傍にくるように、前記筒状となったフィルムを移動させる、
製袋包装機。
【請求項2】
前記角筒状部材は、鉛直方向に延び、その下端が鉛直面に対して傾斜しており、
前記押圧部材が、鉛直面に対して傾斜している前記角筒状部材の下端に対してフィルムの上から押し当たることで、フィルムから成る袋の前記傾斜面が形成される、
請求項1に記載の製袋包装機。
【請求項3】
前記角筒状部材の搬送方向下流側の端部の一部からは、揺動可能に補助部材が垂下しており、
前記押圧部材が前記角筒状部材の搬送方向下流側の端部に対してフィルムの上から押し当たるときには、前記補助部材が揺動して前記角筒状部材の搬送方向下流側の端部に接触して、前記押圧部材と前記補助部材との間にフィルムが狭持される、
請求項1に記載の製袋包装機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−93617(P2011−93617A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3117(P2011−3117)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【分割の表示】特願2005−82852(P2005−82852)の分割
【原出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(304024913)
【Fターム(参考)】