説明

製袋機

【課題】胴部3およびサイドガセット部4を有する胴材2の間欠送り毎に、底材8を胴材の切り開き部7に通し、胴材の内部に挿入する製袋機において、底材が的確に挿入されなかったとき、それに的確に対応する。
【解決手段】底材は底ガセット部、補助ガセット部および突出部を有する。そして、底材が胴材の内部に挿入されたとき、底ガセット部および補助ガセット部が胴部の両層間に配置され、サイドガセット部が補助ガセット部の両層間に配置され、突出部が胴材の切り開き部から突出する。さらに、底材の挿入後、光源25によって切り開き部および突出部が照射され、胴部の片層によって光が遮断され、その影が突出部の表面に生じ、突出部の先端によって光が遮断され、その影が胴材の表面に生じる。さらに、光学センサによって各影が検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラスチック袋を製造する製袋機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック袋として胴部、サイドガセット部および底ガセット部を有するものが知られている。これまでにその製袋機も開発され、提案されている。特開2001−158056号公報(特許文献1)に記載されているものがそれである。特開2003−311853号公報(特許文献2)に記載されているものも同様である。
【0003】
各公報の製袋機では、胴材が一定長さずつ間欠送りされる。胴材は胴部およびサイドガセット部を有する。さらに、胴材の間欠送り毎に、カッタによって胴部の片層およびサイドガセット部の両層が切断され、胴材の切り開き部が形成される。さらに、切り開き部の形成後、胴部の他層によって胴材が間欠送りされ、その間欠送り毎に、底材が胴材の切り開き部を通り、胴材の内部に挿入される。底材は底ガセット部および補助ガセット部を有する。そして、底材が胴材の内部に挿入されたとき、切り開き部の胴材送り方向下流側において、底ガセット部および補助ガセット部が胴部の両層間に配置され、サイドガセット部が補助ガセット部の両層間に配置される。その後、胴部の他層によって胴材および底材が間欠送りされ、その間欠送り毎に、ヒートシール装置によって胴材と底材がヒートシールされ、カッタによってそれが切断される。これによってプラスチック袋が製造されるものである。
【0004】
この場合、胴材の間欠送り毎に、底材が胴材の内部に挿入されるが、問題はその挿入状態である。底材の挿入後、ヒートシール装置によって胴材と底材がヒートシールされることは前述したとおりであり、底材が的確に挿入されていないとき、胴材と底材を的確にヒートシールすることができず、プラスチック袋の製造後、プラスチック袋に洩れが生じるおそれがある。プラスチック袋にとってこれは致命的である。したがって、その対応策を講じることが強く要望されている。
【0005】
したがって、この発明は、胴材に胴部およびサイドガセット部をもたせ、これを一定長さずつ間欠送りし、胴材の間欠送り毎に、カッタによって胴部の片層およびサイドガセット部の両層を切断し、胴材の切り開き部を形成し、その後、胴材の間欠送り毎に、底材を胴材の切り開き部に通し、胴材の内部に挿入する製袋機において、底材が的確に挿入されなかったとき、それに的確に対応することを目的としてなされたものである。
【特許文献1】特開2001−158056号公報
【特許文献2】特開2003−311853号公報
【発明の開示】
【0006】
この発明によれば、底材は底ガセット部、補助ガセット部および突出部を有する。そして、底材が胴材の内部に挿入されたとき、切り開き部の胴材送り方向下流側において、底ガセット部および補助ガセット部が胴部の両層間に配置され、サイドガセット部が補助ガセット部の両層間に配置され、切り開き部の胴材送り方向上流側において、突出部が胴材の切り開き部から突出する。さらに、底材の挿入後、光源によって切り開き部および突出部が照射される。光源は切り開き部の胴材送り方向下流側に位置し、切り開き部および突出部を斜めに照射する。したがって、胴部の片層によって光が遮断され、その影が突出部の表面に生じ、突出部の先端によって光が遮断され、その影が胴材の表面に生じる。さらに、光学センサによって各影が検出される。さらに、制御装置が光学センサに接続され、制御装置によって光学センサの検出信号が処理され、各影の位置関係によって底材の挿入状態が判定される。そして、底材が的確に挿入されていないとき、制御装置がそれに対処する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施例を説明する。
【0008】
図1はこの発明にかかる製袋機を示す。この製袋機では、特開2001−158056号公報の製袋機と同様、送り機構に一対の送りローラ1が使用され、胴材2が各送りローラ1間に導かれ、駆動モータによって送りローラ1が回転し、胴材2が一定長さずつ間欠送りされる。胴材2はプラスチックフィルムからなり、胴部3およびサイドガセット部4を有する。胴部3は2層に重ね合わされ、サイドガセット部4は胴部3の両側縁に沿って形成され、胴部3の両層間に折り込まれ、2層に重ね合わされている。
【0009】
さらに、同公報の製袋機と同様、カッタ5が胴材2の送り経路に設けられ、胴材2がダンサローラ6を通り、カッタ5に導かれ、胴材2の間欠送り毎に、カッタ5によって胴部3の片層およびサイドガセット部4の両層が切断され、胴材2の切り開き部7が形成される。したがって、その後、送りローラ1が回転したとき、胴部3の他層によって胴材2が間欠送りされる。この実施例では、カッタ5によって胴部3の上層およびサイドガセット部4の両層が切断され、胴材2の切り開き部7が形成され、その後、送りローラ1が回転したとき、胴部3の下層によって胴材2が間欠送りされる。カッタ5はトムソン刃からなる。
【0010】
さらに、切り開き部7の形成後、胴材2の間欠送り毎に、底材8が胴材2の切り開き部7を通り、胴材2の内部に挿入される。たとえば、同公報の製袋機と同様、底材8が原反9から供給され、ダンサローラ10を通り、一対の送りローラ11間に導かれ、駆動モータによって送りローラ11が回転し、底材8が一定長さずつ間欠送りされる。さらに、底材8の間欠送り毎に、底材8がヒータまたはプレス12と受け台13間に挟まれ、底材8に折りぐせが形成される。その後、底材8の間欠送り毎に、カッタ14によって底材8が切断され、これがホルダ15に落下し、保持される。
【0011】
さらに、同公報の製袋機と同様、カッタ5の胴材送り方向下流位置において、胴材2がガイドローラ16に導かれ、胴材2の間欠送り毎に、その切り開き部7がガイドローラ16に達し、ガイドローラ16によって胴材2が湾曲し、その切り開き部7が開かれる。さらに、底材挿入機構にへら17が使用され、へら17が底材8に押し付けられ、底材8がホルダ15から押し出され、ガイド18を通り、胴材2の切り開き部7を通り、胴材2の内部に挿入される。さらに、これと同時に、ガイド18によって底材8が案内され、折り曲げられ、図3に示すように、底材8によって底ガセット部19および補助ガセット部20が形成される。底材8はプラスチックフィルムからなる。底ガセット部19と補助ガセット部20の関係については、底ガセット部19が2層に重ね合わされ、その両端において、補助ガセット部20が45°の角度をもって折り曲げられ、底ガセット部19の両層間に折り込まれ、2層に重ね合わされる。そして、底材8が胴材2の内部に挿入されたとき、切り開き部7の胴材送り方向下流側において、底ガセット部19および補助ガセット部20が胴部3の両層間に配置され、サイドガセット部4が補助ガセット部20の両層間に配置される。
【0012】
その後、同公報の製袋機と同様、超音波シール装置またはヒートシール装置21によって胴材2と底材8が超音波シールまたはヒートシールされ、仮止めされる。さらに、胴材2と底材8の仮止め後、送りローラ1によってそれが間欠送りされ、その間欠送り毎に、ヒートシール装置22によって胴材2と底材8がヒートシールされる。胴材2と底材8間において、ヒートシールされるのは胴部3と底ガセット部19であり、補助ガセット部20とサイドガセット部4である。さらに、ヒートシール後、間欠送り毎に、胴材2の切り開き部7において、カッタ23によって胴部3の下層が切断される。これによってプラスチック袋が製造されるものである。
【0013】
さらに、この製袋機では、送りローラ11およびカッタ14によって底材8が間欠送りされ、切断されるとき、その長さが底ガセット部19の2倍の長さよりもわずかに大きく選定される。幅は大きく選定された長さに対応するよう選定される。その後、ガイド18によって底材8が案内され、折り曲げられ、折り込まれるものである。したがって、底材8によって突出部24が形成され、底材8は底ガセット部19および補助ガセット部20の他に、突出部24を有する。突出部24は底ガセット部19および補助ガセット部20の延長部であり、その両側縁はテーパ状に傾斜する。そして、底材8が胴材2の切り開き部7を通り、胴材2の内部に挿入されたとき、切り開き部7の胴材送り方向上流側において、突出部24が胴材2の切り開き部7から突出する。その突出長さLは0.1〜10mmである。
【0014】
さらに、この製袋機では、底材8の挿入後、光源25によって切り開き部7および突出部24が照射される。図2に示すように、光源25は切り開き部7の胴材送り方向下流側に位置し、切り開き部7および突出部24を斜めに照射する。したがって、胴部3の片層の切断縁によって光が遮断され、その影26が突出部24の表面に生じ、突出部24の先端によって光が遮断され、その影27が胴材2の表面に生じる。影26は胴部3の片層の切断縁に沿ってのび、直線状をなし、影27は突出部24の先端に沿ってのび、直線状をなす。さらに、光学センサ28によって各影26,27が検出される。
【0015】
この実施例では、光学センサ28にCCDカメラが使用され、光源25および光学センサ28が胴材2の送り経路に設けられ、胴材2の上面に対向する。そして、底材8の挿入および仮止め後、胴材2の間欠送り毎に、切り開き部7および突出部24が光源25およびCCDカメラ28の設置位置に達し、光源25によって切り開き部7および突出部24が照射される。したがって、胴部3の上層の切断縁によって光が遮断され、その影26が突出部24の上面に生じ、突出部24の先端によって光が遮断され、その影27が胴材2の上面に生じる。そして、CCDカメラ28によって各影26,27が検出される。その後、胴材2の間欠送り毎に、胴材2および底材8がヒートシール装置22の設置位置に達し、ヒートシール装置22によって胴材2と底材8がヒートシールされるものである。
【0016】
さらに、制御装置29がCCDカメラ28に接続されており、制御装置29によってCCDカメラ28の検出信号が処理され、各影26,27の位置関係によって底材8の挿入状態が判定される。制御装置29はコンピュータからなる。たとえば、製袋機の運転前、オペレータによって突出部24の突出長さLが選定され、その許容範囲が設定され、その選定値および設定値がコンピュータ29に入力される。さらに、運転後、コンピュータ29によってCCDカメラ28の検出信号が処理され、各影26,27間の距離が算出される。さらに、それが選定突出長さLと照合され、その差が設定範囲内であるかどうか判定される。これと同時に、各影26,27間の平行度または他の要素が設定範囲内であるかどうか判定するようにしてもよい。これによって底材8の挿入状態が判定されるものである。そして、底材3が的確に挿入されていないとき、制御装置29がそれに対処する。
【0017】
したがって、この製袋機の場合、底材8が的確に挿入されなかったとき、それに的確に対応することができる。たとえば、特開2004−160780号公報の製袋機と同様、コンピュータ29を不良袋排除機構に接続し、底材8が的確に挿入されなかったとき、コンピュータ29によって排除機構を駆動し、不良袋を排除することができる。コンピュータ29によってカッタ23を制御し、不良袋が隣接袋から切断されず、隣接袋に連続した状態で排出されるようにしてもよい。
【0018】
さらに、この製袋機では、直線状の影26,27が突出部24の表面に生じ、胴材2の表面に生じることは前述したとおりであり、CCDカメラ28によってそれを検出することは容易である。各影26,27の位置関係によって底材8の挿入状態を判定することも容易である。したがって、底材8の挿入状態を正確に判定することができる。
【0019】
さらに、この製袋機では、ガイド18によって底材8が案内され、折り曲げられ、折り込まれることは前述したとおりである。そして、それが胴材2の内部に挿入されるものであるが、底材8が的確に折り込まれなかったとき、それが底材8の挿入状態に影響し、突出部24の影27に影響する。したがって、CCDカメラ28によってそれを検出することもできる。
【0020】
なお、底材8の突出部24については、胴材2の切り開き部7において、カッタ23によって胴部3の下層が切断されるとき、カッタ23によって底材8の突出部24も切断され、除去され、問題はない。さらに、突出部24は底ガセット部19および補助ガセット部20の延長部であり、その両側縁はテーパ状に傾斜することは前述したとおりである。したがって、底材8が胴材2の内部に挿入されたとき、胴材2の切り開き部7において、突出部24が胴部3とサイドガセット部4の交点30に係合し、突出部24によって底材8が位置決めされ、好ましい。
【0021】
特開2003−311853号公報の製袋機と同様、台形状または三角形状プレートおよび折り込みプレートによって底材8を折り曲げ、底材8によって底ガセット部19、補助ガセット部20および突出部24を形成するようにしてもよい。そして、それを胴材2の切り開き部7に通し、胴材2の内部に挿入する。その後、光源25によって切り開き部7および突出部24を照射し、その影26,27を生じさせ、光学センサ28によって各影26,27を検出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施例を示す側面図である。
【図2】図1の光源と切り開き部の関係を示す拡大図である。
【図3】図2の胴材と底材の平面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 送りローラ
2 胴材
3 胴部
4 サイドガセット部
5 カッタ
7 切り開き部
8 底材
17 へら
19 底ガセット部
20 補助ガセット部
25 光源
26,27 影
28 光学センサ
29 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部およびサイドガセット部を有する胴材を一定長さずつ間欠送りする送り機構と、
前記胴材の間欠送り毎に、前記胴部の片層およびサイドガセット部の両層を切断し、前記胴材の切り開き部を形成するカッタと、
前記切り開き部の形成後、前記胴材の間欠送り毎に、底ガセット部、補助ガセット部および突出部を有する底材を前記胴材の切り開き部に通し、前記胴材の内部に挿入し、前記切り開き部の胴材送り方向下流側において、前記底ガセット部および補助ガセット部が前記胴部の両層間に配置され、前記サイドガセット部が前記補助ガセット部の両層間に配置され、前記切り開き部の胴材送り方向上流側において、前記突出部が前記胴材の切り開き部から突出するようにする底材挿入機構と、
前記底材の挿入後、前記切り開き部の胴材送り方向下流側に位置し、前記切り開き部および突出部を斜めに照射し、前記胴部の片層の切断端によって光が遮断され、その影が前記突出部の表面に生じ、前記突出部の先端によって光が遮断され、その影が前記胴材の表面に生じるようにする光源と、
前記各影を検出する光学センサと、
前記光学センサに接続され、前記光学センサの検出信号を処理し、前記各影の位置関係によって前記底材の挿入状態を判定し、前記底材が的確に挿入されていないとき、それに対処する制御装置とからなる製袋機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−237649(P2007−237649A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65421(P2006−65421)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000110192)トタニ技研工業株式会社 (31)
【Fターム(参考)】