説明

複合不織布の製造方法、およびその方法を実行するための設備

2つのウェブから構成される複合不織布の製造方法であって、2つのウェブはそれぞれ、サイズが15mmから80mmまでの長い人工繊維および/または合成繊維を含む下ウェブと、サイズが0.5mmから8mmまでの短い天然繊維を含む上ウェブとである複合不織布の製造方法において、オン・ラインで、最初に天然繊維を水中に分散させるステップと、次に、このようにして得られた水性分散物を、形成中または既に製造済みの下カード・ウェブの上に置くステップと、次に下ウェブを通して余分な水をろ過するステップと、次にウォータ・ジェットを使用して上ウェブの繊維と下ウェブの繊維とを織り交ぜるステップと、最後に、得られた複合不織布を乾燥させ、その後、巻き取るステップとを特徴とする製造方法。上記方法を実行するための設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれが長い人工繊維および/または合成繊維を含む下ウェブと、短い天然繊維を含む上ウェブとである2つのウェブから構成される複合不織布の製造方法に関するものである。本発明はまた、その方法を実行するための設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下の説明において、本発明による方法は、湿ったワイプ(wipe)の製造に関連して特に示されている。これらのタオルは一般社会の間で大きな成功を達成しており、ワイピング・タオル(拭き取りタオル)として特に衛生の分野でいくつかの重要なアプリケーションを有している。これらのタオルは実際に乳児または成人のための衛生物品として使用されているだけでなく、例えば浴室および衛生機器のための殺菌製品として使用されている。場合によってこれらタオルにはエンボス処理、すなわちタオルの表面にエンボス設計および中空設計を得ることができる処理が施される。実際、この処理によってタオルの設計が改善されるだけでなく、ほとんどの場合、比表面積を広くすることによって拭き取り能力が向上する。
【0003】
今日、市場に出回っているタオルのほとんどは、場合によってはポリエステルまたはポリプロピレンの合成繊維との混合物であるカード・ビスコース繊維からなっている。しかし、その吸収特性を理由として使用されるビスコース繊維の高い製造コストは、最終タオルの価格に直接影響しており、これは一般社会にとってタオルを高価な物品にしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
言い換えると、本発明の目的は、ビスコース繊維の使用を極力制限することによって、さらにはビスコース繊維の使用を排除することによって、この種の物品の製造コストを低減することである。
【0005】
この問題に対する第1の解決法は、「ティッシュ」と呼ばれる「トイレット・ペーパー」のような紙、つまり完成した紙を、合成繊維に基づくカード・ウェブ(カーディングされたウェブ)の上に置くことである。実際には、もっぱらセルロース繊維からなる紙が、ポリエステル、ポリプロピレンまたはビスコース繊維、もしくは前記繊維の混合部から構成されたカード・ウェブの上にセットされ、次に、紙繊維およびウェブの紙繊維がウォータ・ジェットを使用して織り交ぜられる。次に、巻取りに先立ってこの複合物が乾燥される。
【0006】
得られる複合物は、とりわけ次の理由で依然として製造するのに高価である。まず第1に、「ティッシュ」タイプの紙は、他のマシンで個別に製造される完成紙であり、当然、製造コストをもたらしている。さらに、紙繊維は既に乾燥済みであるため、その湿潤性に限界があり、したがってそれらを繊維と織り交ぜて下ウェブを構築することができるようにするためには、ウォータ・ジェットによる処理回数、つまりインジェクタの数を増やして水和ステップを延長しなければならない。しかし、そのためには一方では設備投資が増加し、他方ではエネルギー消費、延いてはプロセスのコストが増加する。
【0007】
提案されている第2の技法は、このコストの問題を解決していない。この技法は、「ティッシュ」のような完成した紙ではなく、セルロース繊維をエア方式、つまり「エアレイ」という名称で知られているプロセスによって直接カード・ウェブ上にセットするステップからなっている。使用されているセルロース繊維が紙の形態で存在するように変形されていない場合であっても、個別化されたこれらの繊維はしかし、それらをエア中に分散させるために、まず、物理化学的処理を施さなければならない。また、この物理化学的処理によって繊維の湿潤性が著しく変化するため、ウォータ・ジェットによる織り交ぜを実行することが困難であり、その結果として製品には層間剥離が生じる傾向がある。最後に、「エアレイ」プロセスを実行するための設備は、極めて高価である。
【0008】
これらの2つの技法は、米国特許第6,110,848号明細書(US−A−6 110 848)でも使用されている。より正確には、この文書には、カード・ウェブの2つの外部ウェブ、すなわちサイズが30mmと100mmの間の長い合成繊維からなる「スパンボンド」タイプと、サイズが1mmと8mmの間のセルロース繊維からなる内部ウェブとから構成されたサンドイッチ構造が記述されている。記述されている方法によれば、内部ウェブのセルロース繊維は、乾燥方式すなわち既に製造済みの紙または「ティッシュ」の形態で、あるいはエア方式によって、下ウェブの上にセットされる。この第3の方法は、その前の2つの方法と同様コスト上の欠点を有しており、第2の外部層のコストが追加されることになる。
【0009】
国際公開第01/53590号パンフレット(WO 01/53590)には、それぞれ上ウェブおよび下ウェブの2つのウェブからなる不織布の製造方法が記述されている。より正確には、上ウェブは、ウェットもしくはエアロリック製造方式によって「スパンボンド」タイプの連続フィラメントからなる下ウェブ上に付着された、セルロース繊維タイプの短い繊維のウェブである。
【0010】
実際には、下ウェブに使用されるフィラメントのデニールは1.5未満であり、0.5dtex(デシテックス)と1.2dtexの間であることが有利である。また下ウェブの質量は25g/m未満である。
【0011】
米国特許第5,151,320号明細書(US−A−5 151 320)にもまた、「スパンボンド」の形態の下ウェブと、ウェット・レイ方式すなわちウェット製造方式によって得られる少なくとも1つの上ウェブとからなる複合物の製造方法が記述されている。
【0012】
このタイプの構造の欠点は、下ウェブの組成が合成繊維、とりわけポリプロピレン・タイプの合成繊維の使用に限定されていることである。また、スパンボンド・タイプの下ウェブはその塑性が極めて小さいため、繊維の不良弾性によるエンボス処理をタオルに施すことができない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願人は、複合不織布の製造コストを著しく低減することができる新しい方法を開発した。この方法によれば、短い天然繊維に基づく上ウェブに関連付けられる、長い合成繊維に基づく下カード・ウェブがオン・ラインで準備され、次に、従来の紙製造技法によるウェット方式によって、形成済みもしくは形成中の下ウェブの上に直接上ウェブがセットされる。
【0014】
より正確には、本発明は、それぞれ、サイズが15mmと80mmの間の長い人工繊維および/または合成繊維からなる下ウェブと、サイズが0.5mmと8mmの間の短い天然繊維からなる上ウェブとの2つのウェブから構成される複合不織布の製造方法に関している。
【0015】
この方法は、オン・ラインで、
最初に天然繊維を水中に分散させるステップと、
次に、このようにして得られた水性分散物を、形成中もしくは既に製造済みの下カード・ウェブの上に置くステップと、
次に下ウェブを通して余分な水をろ過するステップと、
次にウォータ・ジェットを使用して上ウェブの繊維と下ウェブの繊維を織り交ぜるステップと、
最後に、得られた複合不織布を乾燥させた後、巻き取るステップと
を特徴としている。
【0016】
以下の説明では、「人工繊維および/または合成繊維」という表現は、人工繊維のうちのビスコース繊維、および合成繊維のうちのポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアクリル系、ポリビニル・アルコールおよびポリエチレンなどの繊維もしくは混合物からなるグループから選択された繊維を意味している。
【0017】
つまり、本発明による方法の主要な利点は、変形もしくは処理された繊維、とりわけ従来の紙製造技法によって水中に直接分散したセルロース繊維ではなく、短い天然繊維を使用していることにある。
【0018】
また、数分間繊維を水中に分散させることによって繊維に塑性特性が付与され、それによって分散物が下ウェブの上に置かれた際のウォータ・ジェットによる織交ぜの効率を最適化することができる。したがって結合に必要なインジェクタの数が制限され、延いては材料投資およびエネルギー消費が低減される。実際には、ウォータ・ジェットの数は2個と12個の間であり、各ウォータ・ジェットが多孔板を備えている。多孔板の各々は、1列もしくは2列の、直径が80マイクロメートルと160マイクロメートルの間の孔を備えている。各列の孔は、0.4〜1.8mmの間隔を隔てており、列自体は、0.5〜2mmの間隔を隔てている。インジェクタの各々には、圧力が20バールと140バールの間の水が供給される。
【0019】
既に示したように、使用される短い天然繊維は、実際にはセルロース繊維であり、例えばブナ、カバノキ、パイン(マツ)、赤杉の繊維などの落葉性繊維もしくは針葉性繊維に基づく繊維などのあらゆる紙製造繊維に対応している。以上のリストは、すべてを網羅したものではない。
【0020】
有利な実施例では、上ウェブの繊維は、例えば赤杉に基づくセルロース繊維によって形成されている。水性分散物中のセルロース繊維の濃度は、0.5g/lと10g/lの間であり、4g/lと7g/lの間であることが有利である。
【0021】
しかしながら、複合物の機械的な特性の補強もしくは修正が重要視されるアプリケーションの場合、ウェブの重量で最大50%、有利には20%と40%の間の合成繊維を上ウェブにさらに含有させることができる。
【0022】
このタイプの繊維を上ウェブに組み込む場合、繊維の長さは、3mmと8mmの間である。
【0023】
実際には、上ウェブの重量は、その複合物の重量の30%と70%の間であり、少なくとも50%であることが有利である。
【0024】
本発明の他の特徴によれば、下ウェブはカード・ウェブである。
【0025】
下ウェブは、オン・ラインで形成することができ、あるいはオフ・ラインで前もって製造することもできる。
【0026】
下ウェブがオン・ラインで形成される実施例によれば、下ウェブは、下ウェブへの水性分散物のコーティングに先立って、特にウォータ・ジェットによって、前記下ウェブの抵抗力が補強される方法で予結合される。
【0027】
実際には、下ウェブの重量は、その複合物の重量の30%と70%の間である。
【0028】
有利な実施例では、下ウェブを構築している繊維のデニールは、1.7dtex以上である。また、下ウェブの質量は、少なくとも25g/mである。
【0029】
本発明の他の特徴によれば、天然繊維の水性分散物が下ウェブの上に置かれると、天然繊維の水性分散物からの余分な水が下ウェブを通してろ過される。
【0030】
有利な実施例では、乾燥ステップに先行して複合物のエンボス・ステップを実施することができ、それにより複合物の厚さを増すことができるが、同時に複合物の外観が改善される。実際には、エンボス・ステップは、表面がエンボス設計の中空シリンダの上に複合物を維持して、高圧の水を不織布の外部表面に噴射することによって実行され、シリンダ内部のサクション(吸引)によって余分な水が除去される。このエンボス・ステップは、乾燥ステップに先立って実行されるため、濡れた状態で繊維の塑性を利用することができる。従来技術によるスパンボンド・ウェブ、特に国際公開第01/53590号パンフレット(WO 01/53590)もしくは米国特許第5,151,320号明細書(US−A−5 151 320)に開示されているスパンボンド・ウェブのため、またはそれに代わる下カード・ウェブが存在する場合、このエンボス・ステップは有利である。
【0031】
他の実施例では、乾燥後であり且つ巻取りの前に、当業者に知られている、CLUPAKタイプ、SUPATEXタイプ、SANFORタイプもしくはMICREXタイプのプロセスのうちの1つを使用して、エンボス処理が施された複合物、あるいはエンボス処理が施されていない複合物に機械的な軟化処理が施される。
【0032】
本発明による方法を使用して構築された不織布は、いくつかの利点を有している。第1に、複合物の重量で30%から70%の重量を示す天然セルロース繊維の高い比率を考慮すると、本発明による方法を使用して構築された不織布は、極めて経済的であり、また吸収性に富んでいる。また、上ウェブの形成に使用されるウェット・レイ方式の紙製造技術であるため、極めて規則的である。さらに、下ウェブ中に長い繊維が存在しているため、抵抗力が極めて優れている。また、天然繊維と合成繊維および/または人工繊維との組み合わせであるため、製品が心地よく、且つ安定している。最後に、乾燥ステップの前に、場合によっては機械的な軟化処理と組み合わせて挿入することができるエンボス・ステップにより、製品の外観および製品の織物感触が消費者にとってとりわけ魅力的である。
【0033】
したがって本発明の方法に従って製造された不織布は、湿ったタオル、とりわけワイプ・タオルとして使用することができるだけでなく、テーブルクロスおよびテーブル・ナプキン、バスタオル、ウォール・カバリング、車両の布張り地、脱毛剤ストリップ、乾燥剤製品の袋、手袋、刺繍細工、布および印刷作業用手ぬぐいとしても使用することができる。
【0034】
また、本発明は、上で説明した方法を実行するための設備に関連している。
【0035】
特定の実施例では、この設備は、
形成中または既に製造済みの下カード・ウェブを輸送するためのコンベヤと、
コンベヤの上方に配置された、天然繊維からなる水性分散物の含有を意図したヘッド・ボックスと、
コンベヤの下方に配置された、水性分散物が下ウェブの上に置かれた際の余分な水の除去を意図したサクション手段と、
コンベヤの下流側の上方に配置された、上ウェブの繊維と下ウェブの繊維を織り交ぜるためのウォータ・ジェットによる結合手段と、
コンベヤの下流側に配置された、複合物を乾燥させる手段と、
完成した乾燥複合物を巻き取る手段と
を備えている。
【0036】
実際には、コンベヤは、前記コンベヤの下方に配置されたサクション・ボックスによるサクションによって水が通過することができるように穿孔された金属コンベヤもしくは合成コンベヤの形態のコンベヤである。
【0037】
ウォータ・ジェットによる結合手段は、複数の多孔板を備えた複数の水力インジェクタの形態の結合手段であり、多孔板の各々は、1列もしくは2列の、直径が80マイクロメートルと160マイクロメートルの間の孔を備えている。各列の孔は、0.4〜1.8mmの間隔を隔てており、列自体は、0.5〜2mmの間隔を隔てている。これらの値は、軸線と軸線の間で測定した値である。実際のインジェクタの数は2個と12個の間であり、インジェクタの各々には、圧力が20バールと140バールの間の水が供給される。この限界を超えると、得られた製品をタオルとして使用することはできない。
【0038】
下ウェブがオン・ラインで形成される実施例によれば、この設備は、コンベヤの上流側に配置された、前記ウェブを製造する手段をさらに備えている。
【0039】
この前提において、この設備は、下ウェブを製造する手段とコンベヤの間に、ウェブの予湿潤ランプと、周囲に水力インジェクタが配置されたサポート・シリンダとを有する水力予結合ユニットを備えている。
【0040】
実際には、下ウェブを製造する手段はカード・フォロー(card followed)の形態であり、スプレッド・コータ(spreader−coater)によるものではない。
【0041】
さらに、他の有利な実施例では、この設備は、乾燥ユニットの前に、ワイヤで被覆されたサクション・ロールからなる水力エンボス・カレンダを有し、その表面はエンボス設計であり複数の中空を有している。前記ロールは、その表面の周りに提供された、上で説明した多孔板と同じ種類の多孔板を備えた水力インジェクタと連結されている。
【0042】
また、この設備は、巻取り手段の前に、得られた複合物を軟化するための軟化デバイスを有している。
【0043】
さらに、実際には、乾燥手段は、熱いエアが通過するシリンダの形態の手段である。
【0044】
本発明および本発明から生じる利点は、添付の図に示す実施例から明らかになるであろう。
【実施例】
【0045】
速度120メートル/分のカード(1)上に、長さ38mm、1.7dtexの80%ポリエステル繊維と、長さ38mm、1.7dtexの20%ビスコース繊維とからなる25g/mのウェブが製造される。
【0046】
このようにオン・ラインで形成されたウェブは、ウェブの予湿潤ランプ(2a)と、周囲に2つの水力インジェクタ(2c)が配置されたサポート・ロール(2b)とを備えた水力予結合ユニット(2)上で移送される。これらのインジェクタは、直径が100マイクロメートルで、中心と中心の間隔が1mmの1列の孔を備えた多孔板(図示せず)を備えている。第1のインジェクタには、圧力が40バールの水が供給され、第2のインジェクタには、圧力が60バールの水が供給される。このようにして強度が増されたウェブは、次に、紙製造タイプのヘッド・ボックス(4)が上方に配置された金属コンベヤ(3)上で移送される。
【0047】
ヘッド・ボックスの中で、長さが約5mmの「赤杉」タイプの紙製造セルロース繊維40%と、長さが約2mmの「落葉性」タイプの紙製造繊維40%と、水中に分散した5g/リットルの濃度の、長さが5mmで1.7dtexの人工セルロース繊維20%とを有する繊維懸濁液が準備される。
【0048】
次に、これらの繊維が既に予結合済みの下ウェブの上に置かれ、上ウェブが形成される。コンベヤの下方に配置されたサクション・ボックス(12)のアセンブリは、繊維付着後における余分な水の除去を可能にしている。この余分な水は、水溶液を製造するためにリサイクルされ、再使用される。次に、ヘッド・ボックス(4)の後段のコンベヤ(3)上に配置された、圧力がそれぞれ40バール、50バール、50バール、50バールおよび60バールの水が供給される水力インジェクタ(5)によって、上ウェブの繊維と下ウェブの繊維がもつれ合わされる。第1のインジェクタは、直径が100マイクロメートルで、1mmの間隔を隔てた2列の孔を備えた多孔板を備えている。孔の列と列の間の間隔は1mmである。後続する4つのインジェクタは、直径が100マイクロメートルで、0.5mmの間隔を隔てた孔の列を1列だけ備えた多孔板を備えている。
【0049】
この複合物は、次に、周囲に2つの水力インジェクタ(6b)が配置されたサクション・ロール(6a)からなる「水力エンボス・カレンダ」(6)上で移送される。これらのインジェクタは、それぞれ、直径が120マイクロメートルで、互いに0.8mmの間隔を隔てた2列の孔を備えた多孔板を備えている。孔の列と列の間の間隔は1mmである。これらのインジェクタは、140バールの圧力の水を吐出する水撃ポンプに接続されている。ロールには、中空および隆起でできた波の形態の表面を有する、直径が1mmの粗いワイヤを使用して製造された青銅ワイヤが被覆されている。
【0050】
この複合物は、次に、コンベヤ(7)上を移送される。コンベヤ(7)の下方には、4.5メートルの水柱を供給する真空発生器に接続されたサクション・ボックス(8)が配置されており、デプレッションによって、事実上、繊維と繊維の間のすべての水が除去される。
【0051】
次に、熱いエアが通過する、直径2.8メートルのロール(9)によって複合物が乾燥される。この熱いエアの温度は140℃である。
【0052】
巻取り手段(11)の前段のロールの前には、軟化デバイス「クルパック(Clupak)」(10)が配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明による、エンボス手段および軟化手段が組み込まれた設備の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのウェブから構成される複合不織布の製造方法であって、2つのウェブはそれぞれ、サイズが15mmから80mmまでの長い人工繊維および/または合成繊維を含む下ウェブと、サイズが0.5mmから8mmまでの短い天然繊維を含む上ウェブとである複合不織布の製造方法において、オン・ラインで、
最初に前記天然繊維を水中に分散させるステップと、
次に、このようにして得られた水性分散物を、形成中または既に製造済みの下カード・ウェブの上に置くステップと、
次に前記下ウェブを通して余分な水をろ過するステップと、
次にウォータ・ジェットを使用して前記上ウェブの繊維と前記下ウェブの繊維とを織り交ぜるステップと、
最後に、得られた複合不織布を乾燥させ、その後で巻き取るステップと
を特徴とする複合不織布の製造方法。
【請求項2】
前記人工または合成繊維が、ビスコース繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリル系繊維、ポリビニル・アルコール繊維およびポリエチレン繊維それ自体またはその混合物を含むグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記下ウェブを構成している前記繊維が1.7以上のdtex度を有することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記下ウェブの質量が少なくとも25g/mであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記上ウェブの繊維と前記下ウェブの繊維の織り交ぜステップが、2個から12個までの数のウォータ・ジェットによって得られ、前記各ウォータ・ジェットが多孔板を備え、前記各多孔板は、1列または2列の、直径が80マイクロメートルから160マイクロメートルまでの孔を有し、前記各列の前記孔の間隔が0.4〜1.8mmであり、前記列と列の間隔が0.5〜2mmであり、各インジェクタは、20バールから140バールまでの圧力の水を供給されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記下ウェブがオン・ラインで形成されるとき、前記水性溶液の付着に先立って前記下ウェブが予結合されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記下ウェブの重量が、前記複合物の重量で30%から70%までであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記天然繊維がセルロース繊維であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記上ウェブが、ウェブの重量で少なくとも50%の重量の合成繊維をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記上ウェブの重量が、前記複合物の重量で30%から70%までであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記上ウェブの繊維がセルロース繊維のみであり、前記繊維の前記水性分散物中の濃度が0.5g/lから10g/lまでであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
乾燥に先立って、前記複合物にエンボス・ステップが施されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
巻取りに先立って、前記複合物に軟化ステップが施されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の方法目的を実行するための設備。
【請求項15】
2つのウェブから構成される複合サポートを製造するための設備であって、2つのウェブはそれぞれ、サイズが15mmから80mmまでの長い人工繊維および/または合成繊維を含む下ウェブと、サイズが0.5mmから8mmまでの短い天然繊維を含む上ウェブとである複合サポートの製造設備において、
形成中または既に製造済みの下カード・ウェブを輸送するためのコンベヤ(3)と、
前記コンベヤ(3)の上方に配置されたヘッド・ボックス(4)であって、前記天然繊維を有する水性分散物を含むためのヘッド・ボックス(4)と、
前記コンベヤ(3)の下方に配置されたサクション手段であって、前記水性分散物が前記下ウェブの上に置かれた結果の余分な水を除去するためのサクション手段と、
前記コンベヤの上方で、前記ヘッド・ボックス(4)の下流側に配置されたウォータ・ジェット(5)による、前記上ウェブの繊維と前記下ウェブの繊維とを織り交ぜるための結合手段と、
前記コンベヤ(3)の下流側に配置された前記複合物を乾燥させる手段(9)と、
前記乾燥された複合物を巻き取る手段(11)と
を特徴とする複合サポートの製造設備。
【請求項16】
複数の多孔板を備えた複数の水力インジェクタの形態のウォータ・ジェット(5)による結合手段を有し、前記各多孔板は、1列または2列の、直径が80マイクロメートルから160マイクロメートルまでの孔を有し、前記各列の前記孔の間隔が0.4〜1.8mmであり、前記列と列の間隔が0.5〜2mmであり、インジェクタの数が2個から12個までの間であり、20バールから140バールまでの圧力を供給されることを特徴とする請求項14に記載の複合サポートの製造設備。
【請求項17】
前記コンベヤ(3)の上流に配置された、前記下ウェブを製造する手段(1)を有することを特徴とする請求項15に記載の複合サポートの製造設備。
【請求項18】
前記下ウェブを製造する手段(1)と前記コンベヤ(3)との間に、前記ウェブの予湿潤ランプ(2a)と、周囲に水力インジェクタ(2c)が配置されたサポート・ロール(2b)とを有する水力予結合ユニット(2)を有することを特徴とする請求項17に記載の複合サポートの製造設備。
【請求項19】
前記乾燥ユニット(9)の前に、ワイヤで被覆されたサクション・ロール(6a)からなる水力エンボス・カレンダ(6)を有し、その表面がエンボス設計および中空を有しており、前記ロールが、その表面の周りに配置された水力インジェクタ(6b)と関連付けられていることを特徴とする請求項15に記載の複合サポートの製造設備。
【請求項20】
前記巻取り手段(11)の前に軟化デバイス(10)をさらに有することを特徴とする請求項15に記載の複合サポートの製造設備。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのウェブから構成される複合不織布の製造方法であって、2つのウェブはそれぞれ、長い人工繊維および/または合成繊維を含む下ウェブと、短い天然繊維を含む上ウェブとである複合不織布の製造方法において、オン・ラインで、
15mmから80mmまでの長さおよび少なくとも1.7dtexのdtex度を有する前記人工繊維および/または合成繊維の前記下ウェブを梳るステップと、
前記下ウェブを予結合するステップと、
0.5mmから8mmまでの長さの前記天然繊維を水中に分散させて水性分散物を形成するステップと、
前記下カード・ウェブの上に前記水性分散物を配置して前記上ウェブを形成するステップと、
前記下ウェブを通して余分な水をろ過するステップと、
ウォータ・ジェットを使用して前記上ウェブの繊維と前記下ウェブの繊維とを織り交ぜるステップと、
得られた複合不織布を乾燥させ且つ巻き取るステップと
を特徴とする複合不織布の製造方法。
【請求項2】
前記人工または合成繊維が、ビスコース繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリル系繊維、ポリビニル・アルコール繊維およびポリエチレン繊維それ自体またはその混合物を含むグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記下ウェブの質量が少なくとも25g/mであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記上ウェブの繊維と前記下ウェブの繊維の織り交ぜステップが、2個から12個までの数のウォータ・ジェットによって得られ、前記各ウォータ・ジェットが多孔板を備え、前記各多孔板は、1列または2列の、直径が80マイクロメートルから160マイクロメートルまでの孔を有し、前記各列の前記孔の間隔が0.4〜1.8mmであり、前記列と列の間隔が0.5〜2mmであり、各インジェクタが、20バールから140バールまでの圧力の水を備えることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記下ウェブがウォータ・ジェットによって予結合されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記下ウェブの重量が、前記複合物の重量の30%から70%までであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記天然繊維がセルロース繊維であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記上ウェブが、ウェブの重量の少なくとも50%の合成繊維をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記上ウェブの重量が、前記複合物の重量の30%から70%までであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記上ウェブの繊維がセルロース繊維のみであり、前記繊維の前記水性分散物中の濃度が0.5g/lから10g/lまでの間であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
乾燥に先立って、前記複合物にエンボス・ステップが施されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
巻取りに先立って、前記複合物に軟化ステップが施されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の方法目的を実行するための設備。
【請求項14】
2つのウェブから構成される複合サポートを製造するための設備であって、2つのウェブはそれぞれ、長い人工繊維および/または合成繊維を含む下ウェブと、短い天然繊維を含む上ウェブとである複合サポートの製造設備において、
15mmから80mmまでの長さおよび少なくとも1.7dtexのdtex度を有する前記人工繊維および/または合成繊維の下ウェブを形成するためのカーディング・ユニットと、
下カード・ウェブを輸送するためのコンベヤ(3)と、
前記コンベヤ(3)の上方に配置されたヘッド・ボックス(4)であって、0.5mmから8mmまでの長さの前記天然繊維を含む水性分散物を含むためのヘッド・ボックス(4)と、
前記コンベヤ(3)の下方に配置されたサクション手段であって、前記水性分散物が前記下ウェブの上に置かれた結果の余分な水を除去するためのサクション手段と、
前記コンベヤの上方で前記ヘッド・ボックス(4)の下流側に配置されたウォータ・ジェット(5)によって前記上ウェブの繊維と前記下ウェブの繊維とを織り交ぜるための結合手段と、
前記コンベヤ(3)の下流側に配置された、前記複合物を乾燥させる手段(9)と、
前記乾燥された複合物を巻き取る手段(11)と
を特徴とする複合サポートの製造設備。
【請求項15】
複数の多孔板を備えた複数の水力インジェクタの形態のウォータ・ジェット(5)による結合手段を有し、前記各多孔板は、1列または2列の、直径が80マイクロメートルから160マイクロメートルまでの孔を有し、前記各列の前記孔の間隔が0.4〜1.8mmであり、前記列と列の間隔が0.5〜2mmであり、インジェクタの数が2個から12個までの間であり、20バールから140バールまでの圧力を供給されることを特徴とする請求項14に記載の複合サポートの製造設備。
【請求項16】
前記コンベヤ(3)の上流に配置された、前記下ウェブを製造する手段(1)を有することを特徴とする請求項15に記載の複合サポートの製造設備。
【請求項17】
前記下ウェブを製造する手段(1)と前記コンベヤ(3)との間に、前記ウェブの予湿潤ランプ(2a)と、周囲に水力インジェクタ(2c)が配置されたサポート・ロール(2b)とを有する水力予結合ユニット(2)を有することを特徴とする請求項16に記載の複合サポートの製造設備。
【請求項18】
前記乾燥ユニット(9)の前に、ワイヤで被覆されたサクション・ロール(6a)からなる水力エンボス・カレンダ(6)を有し、その表面がエンボス設計および中空を有しており、前記ロールが、その表面の周りに配置された水力インジェクタ(6b)と関連付けられていることを特徴とする請求項14に記載の複合サポートの製造設備。
【請求項19】
前記巻取り手段(11)の前に軟化デバイス(10)をさらに有することを特徴とする請求項14に記載の複合サポートの製造設備。

【図1】
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【公表番号】特表2006−517263(P2006−517263A)
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500152(P2006−500152)
【出願日】平成16年1月13日(2004.1.13)
【国際出願番号】PCT/FI2004/000017
【国際公開番号】WO2004/063451
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(505265861)
【出願人】(504029499)アールストロム コーポレイション (15)
【Fターム(参考)】