複合強誘電体を得るための方法
本発明は、次の段階:強誘電化合物の粒子が誘電層で被覆され、被覆粒子を焼結することで高密度複合材が形成されることからなる、複合強誘電体を得るための方法に関する。本発明は、被覆段階において、少なくとも1種の溶媒および誘電化合物の前駆物質を含有した流体と強誘電化合物の粒子が接触させられ、該流体が加圧されることで特徴付けられる。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、特に高周波超小型電子技術コンポーネント、例えば蓄電器、共振器、チューナブルフィルター、伝達線、移相器などの組立て、およびレーダーアンテナに用いられる誘電体の分野に関する。
【0002】
本発明は、特に、機能がシグナル伝達、受信およびフィルタリングである、遠距離通信システムに存在するコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0003】
用いられる材料は、一般的に、通常酸化物の形で、強誘電化合物および少なくとも1種の低損失誘電化合物を含んでなる複合材である。低損失誘電化合物の存在は強誘電体の電子的性質を向上させる。
【0004】
これらの材料は、強誘電相および低損失誘電相を含有した粉末を混合することからなる、従来のセラミックプロセスにより得られる。この点について、読者は下記文献を参照しうる:
‐E.F.Alberta,R.Guo and A.S.Bhalla,”Novel BST:MgTiO3 composites for frequency agile applications”,Ferroelectrics,2002,Vol.268,pp.169-174、この文献はBa1−xSrxTiO3(BST)をMgTiO3(MT)と混合し、混合物を焼結することにより得られる複合材について開示している;および
‐Z.X.Xiong,X.J.Zhou,W.Z.Zen,K.Z.Baba-Khishi and S.T.Chen,”Development of ferroelectric ceramics with high dielectric constant and low dissipation factor for high-voltage capacitors”、この文献はMnSiO3、WO3、CeO2、Bi2(SnO3)3およびZnOでドープされたBaTiO3、BaZrO3およびBaSnO3から形成される複合材について開示している。
【0005】
これらの材料を得るためのある技術は、“コア/シェル”タイプの粒子を形成することからなる。これらの粒子は、通常薄い誘電層で、強誘電化合物の粒子を被覆することにより形成される。次いでそれらは高密度複合材を形成するために焼結される。
【0006】
用いられる被覆技術はゾル‐ゲル被覆技術でもよい。この点について、読者は下記文献を参照しうる:
‐X.Liu,W.Y.Shin and W.H.Shih,”Effects of copper coating on the crystalline structure of the fine barium titanate particles”,Journal of the American Ceramic Society,1997,80(11),pp.2781-2788、この文献はBaTiO3粒子を銅層で被覆する技術について開示している;
‐T.M.Harkulich,J.Magder,M.S.Vukasovich and R.J.Lockhart,”Ferroelectrics of ultrafine particl size:II,grain growth inhibition studies”,Journal of the American Ceramic Society,1966,49(6),pp.295-9、この文献はBaTiO3粒子を酸化タンタル層で被覆する技術について開示している;
‐C.Huber,M.Treguer-Delapierre,C.Elissalde,F.Weill and M.Maglione,”New application of the core-shell concept to ferroelectric nanopowder”,Journal of Materials Chemistry,2003,13,pp.650-653、この文献はシリカ(SiO2)の層で被覆されたBa1−xSrxTiO3ナノスケール粒子について開示している;および
‐Z.Yue,X.Wang,L.Zhang and X.Yao,”Temperature stable Pb(Zn1/3Nb2/3)O3-based composite ceramics prepared by particle-coating method”,Journal of Materials Science Letters,1997,16(6),pp.1354-1356、この文献はSiO2‐B2O3の薄ガラス層で被覆されたPb(Zn1/3Nb2/3)O3ベースの複合セラミック粒子について開示している。
【0007】
焼結工程に際して、各強誘電粒子(コア)を取囲む被覆層(シェル)はこれら粒子の成長を妨げている。これは、被覆層が強誘電粒子を互いに分離させて、それらが大きな粒子を形成しないように集合化を妨げているからである。したがって、被覆技術は最終複合材の粒径をうまく制御しうることから、均一な粒子分布が得られる。
【0008】
被覆および焼結工程は、連続誘電マトリックス中で被覆強誘電粒子から形成された高密度複合材をもたらす。
【0009】
望ましい誘電性は、強誘電体の場合と似た誘電率およびチューナビリティと、感熱性および誘電損失の低下である。チューナビリティとは、印加される場の関数としての複合材の誘電率の相対偏差として定義される。
【発明の具体的説明】
【0010】
得られる複合材の構造が正確に制御されうる、少なくとも1種の強誘電体および少なくとも1種の低損失誘電体を含んでなる誘電複合材を得るための技術を提供することが、本発明の目的である。
【0011】
複合材の構造を制御することにより、周波数に敏捷なコンポーネントを生産することが可能となる。コンポーネントの敏捷性は、それに印加される電場によりその周波数応答性を変えられる可能性にある。
【0012】
この目的のために、本発明は、
‐強誘電化合物の粒子を誘電体の層で被覆し、そして
‐被覆粒子を焼結することにより高密度複合材を形成する
工程からなり、
該被覆工程が、少なくとも1種の溶媒および誘電体の前駆物質を含有した流体と強誘電化合物の粒子を接触させることからなり、該流体が加圧下で維持されることで特徴付けられる、強誘電複合材を得るための方法を提供する。
【0013】
本発明の関係内において、溶媒および前駆物質を含有した流体は、それが約10バール(即ち106Pa)以上の圧力で維持されているときに、加圧下にあるとみなされる。
【0014】
好ましくは、流体は10℃以上の温度で維持される。
【0015】
好ましくは、流体は超臨界温度および圧力条件下で維持される。
【0016】
超臨界温度および圧力条件は、純粋形または混合液として、流体の臨界点にある圧力および温度に関して規定される。この流体の臨界温度および圧力は、主溶媒の臨界温度および圧力に等しい。
【0017】
加圧超臨界流体媒体中において粒子を強誘電化合物で被覆する工程の条件を定めることは、得られる最終複合材の構造パラメーター、特に得られる被覆層の厚さの正確な制御をもたらす。
【0018】
加圧下で強誘電化合物粒子を被覆する工程によれば、誘電被覆層が特に“クリーン”である、即ち従来の被覆技術と比較して少ない残留ラジカルを含有している、被覆粒子をもたらす。
【0019】
更に、加圧下で行われた被覆工程は次の焼結工程に有利である。これは、本発明の方法において、被覆工程が被覆粒子(II型粒子)のみならず、被覆材から排他的に形成されたナノ構造粒子(I型粒子)も生じるからである。焼結工程に際して、これらのI型粒子は被覆粒子間で形成された隙間に分配される。
【0020】
“ナノ構造”という用語は、ナノスケール粒子、即ち数ナノメーター程度の寸法を有するものの集合を意味する。
【0021】
これらI型粒子とII型粒子の被覆層の存在のおかげで、従来技術の方法より低い焼結圧力および/または低い焼結温度を適用することで、高密度最終複合材を得ることが可能となるのである。
【0022】
用いられる強誘電化合物は、次の材料:PbTiO3、PZT、PMN、LiNbO3、KNbO3、KTN、BaTiO3およびBaTiO3‐SrTiO3から選択される。
【0023】
強誘電化合物粒子は、例えば次の材料:BaxSr1−xTiO3(BST)(xは0〜1である)またはBaTiO3からなる。
【0024】
誘電材被覆は、特に次の酸化物:Al2O3、SiO2、TiO2、MgTiO3、ZrO2、HfO2、SnO2、SnO3およびTa2O5から選択される。
【0025】
本発明の方法によると、窒化物も被覆に用いうる。窒化物による被覆は従来のゾル‐ゲル被覆技術(酸化物による被覆のみ)では不可能であった。
【0026】
誘電化合物の前駆物質は、塩類、アセテート類、アセチルアセトネート類およびアルコキシド類の群から、更に一般的には金属および有機金属錯体の群から選択される。
【0027】
用いられる溶媒は、有利には、二酸化炭素CO2(酸化物で被覆の場合)またはアンモニアNH3(窒化物で被覆の場合)である。
【0028】
溶媒は、アルコール類、水およびそれらの混合液から選択してもよい。
【0029】
本発明の1実施において、本方法は強誘電化合物粒子を合成する先行工程を更に含み、この合成は加圧下で行われる。該粒子の合成は10℃以上の温度で行ってもよい。
【0030】
好ましくは、合成は超臨界温度および圧力条件下で行われる。
【0031】
本発明の方法によると、焼結温度に応じて、誘電化合物マトリックスが大きさ1nm〜数mmの粒子から形成されている、誘電化合物のマトリックス中で被覆強誘電粒子から形成された最終複合材を得ることが可能である。
【0032】
他の特徴および利点は以下の記載から更に明らかとなるが、それは純粋に説明のためで非制限的であり、添付図面と照らし合わせて読まねばならない:
【0033】
図1で示された設備は、アルミナAl2O3のナノ構造層で被覆されたミクロンスケールBa0.6Sr0.4TiO3(BST)粒子を合成するために用いられる。
【0034】
設備は下記要素を含んでなる:
‐26.5cm3の内部容積を有するデポジションリアクター1;
‐二酸化炭素CO2の形で溶媒を含有するシリンダー2:該シリンダーは供給ラインでリアクター1へ接続されている;
‐高圧ポンプ4で注入されるCO2の温度を調節して、リアクター1へ供給するためのクライオスタット3;
‐高圧ポンプ4;
‐デポジションリアクター1の周りに巻かれた加熱コイル5;
‐ヒーター5を調節するための調節器6;
‐デポジションリアクター1で圧力を測定するための圧力センサー7;
‐リアクターで圧力の過度に大きな上昇時に圧力を放出しうるラプチャーディスクの形の安全装置8;および
‐リアクター1を減圧するためのバルブ9
【0035】
被覆されるミクロンスケールBST粉末が図2でみられる。セラミック加工で得られたBST粉末300mg、アルミニウムアセチルアセトネート240mgおよび無水エタノールCH3CH2OH4.5mlを含有した混合物がデポジションリアクター1へ投入される。次いで、高圧ポンプ4が稼動されて、リアクターで80/20CO2/CH3CH2OHモル比を得られるようにCO2がシリンダー2からデポジションリアクター1へ入る。CO2はクライオスタット3により20℃の圧力で維持される。
【0036】
次いでリアクターが加熱コイル5で200℃の温度へ加熱され、ヒーターの温度が調節器6により調節される。200℃への加熱は、デポジションリアクター1の圧力を高めることになる。圧力センサー7により測定される圧力が約20MPaに達する。
【0037】
反応混合物が超臨界温度および圧力条件下で約1時間維持される。
【0038】
リアクターで温度勾配を形成して、被覆されるBST粒子を攪拌するように、加熱コイル5がリアクター1の本体の上部に取り付けられることに、留意すべきである。
【0039】
次いで、バルブ9を作動することでデポジションリアクターが大気圧へ減圧され、リアクターは減圧中に200℃の温度で維持される。次いでリアクターが室温まで冷却される。
【0040】
リアクターの減圧は溶媒の完全抽出をもたらす。
【0041】
こうして、リアクター中の材料は、下記2タイプの粒子:
‐球状アルミナ粒子からなるI型粒子の集団;および
‐アルミナ被覆BST粒子からなるII型粒子の集団
を含んでなる(図3Aおよび3Bでみられる)クリーン乾燥粉末からなる。
【0042】
これら2タイプの粒子の性質の決定がAugerスペクトル分析により行われた。前駆物質アルミニウムアセチルアセトネートの分解はアルミナナノ粒子の成長(約5〜200nmの寸法)をもたらすが、これは球状ナノ構造アルミナ粒子に凝集していく(こうしてI型粒子を形成する)か、またはナノ構造層の形でBST粒子の表面上に付着されていく(II型粒子)。
【0043】
図4は、アルミナ被覆BST粒子(II型粒子)の化学組成プロファイルを示している。
【0044】
被覆BST粒子を含有した粉末は、100MPaで1分間一軸プレスし、1400℃で2時間焼結することにより形成される。これで、BST/アルミナ強誘電複合材の形成をもたらす。
【0045】
図5は、得られた複合材が高密度であり、アルミナ(暗所部分)で互いに離されたBST粒子(明所部分)からなることを示している。ナノ構造アルミナ層は、焼結に際してBST粒子の成長を妨げている。更に、ナノ構造アルミナ粒子はBST粒子間の空隙を満たす小さな粒子を放出している。そのため、得られた複合材の構造は特に高密度であり、空隙をほとんど有しない。アルミナがナノ構造形で存在しているという事実から、従来のアルミナ焼結温度(1600℃)よりも焼結温度(1400℃)を低下させられるのである。
【0046】
超臨界流体媒体中におけるBST粒子被覆工程の条件を制御すれば、最終BST/アルミナ複合材の構造、特にアルミナ被覆層の厚さを正確に定められるのである。
【0047】
複合材の構造特性を調整するために変えられる超臨界流体被覆工程のパラメーターは、次の通りである:
‐リアクター中の圧力;
‐被覆温度;
‐前駆物質濃度;
‐リアクター中の滞留時間;
‐超臨界溶媒の性質;および
‐補助溶媒の添加
【0048】
これらのパラメーターは、被覆粒子のBSTコアの特性(コアサイズ、形態、化学組成など)およびアルミナシェルの特性(ナノ構造特性、化学組成など)を制御するために調整される。パラメーターのこのような調整は、従来の被覆技術では不可能であった。
【0049】
焼結工程は複合材の最終構造にも影響を与える。重要なパラメーターは以下である:
‐焼結圧力;
‐焼結温度;および
‐焼結時間
【0050】
これらのパラメーターは、アセンブリーの凝集性を制御するために調整してもよい。
【0051】
インピーダンス測定で求められる、この複合材の誘電特性を、1400℃で2時間焼結された無アルミナBSTセラミックの特性と比較した。BST材料単独と比べてBST/Al2O3材料の誘電性の向上がみられる。そのため、以下が観察される:
‐最大誘電率のシフトなしに、誘電率ピークの広域化、ひいては複合材の感熱性の低下;
‐低い誘電損失tanδ;
‐初期アルミナ被覆BST粉末の、数ギガヘルツの周波数までの電気的性質、特に強誘電および非直線性の保存;および
‐周波数非依存性チューナビリティ(実質的に100ヘルツ〜1ギガヘルツの周波数)および複合材に印加される電場に非依存性の誘電損失係数tanδ
【0052】
図6Aは、適用された周波数の関数として、焼結前における被覆BST粒子の静電容量Cの変動を示している。図6Bは、適用された周波数の関数として、無アルミナBSTセラミックの誘電率ε′の変動を示している。被覆BST粉末は、焼結前に、それに適用される周波数にかかわりなく、約250Kで最大静電容量を有する(図6A)。無アルミナのBSTセラミックは285Kで最大誘電率を有する(図6B)。測定された誘電率は、BST常誘電/強誘電転移に相当するキュリー温度を中心とした、非常に狭いピークを有している。
【0053】
焼結BST/アルミナ複合材(図7)は、未焼結BST粉末(図6)と同温度(250K)で、最大誘電率(または静電容量)を有している。これは、アルミナがBST粒子の成長を妨げている、という事実を証明している。BST正方晶/斜方晶転移に相当する、215Kの温度で観察される第二の誘電率ピークも、未焼結粉末の場合および焼結BST/アルミナ複合材の場合でみられる。
【0054】
図8Aおよび8Bの比較は、無アルミナBSTセラミックと比べた、BST/アルミナ複合材により生じる誘電損失に関する向上を証明している。図8Aは、温度および適用周波数の関数として、従来のBSTセラミックに関する誘電損失係数tanδの変動を示している。図8Bは、焼結BST/アルミナ複合材に関する誘電損失係数tanδの変動を示している。従来のBSTセラミックとは異なり、BST/アルミナ複合材の誘電損失係数tanδは温度および周波数の関数としてほとんど変動していない。更に、損失係数は広い温度および周波数範囲(図中明所部分)にわたり1%(超小型電子技術用途で要求される限界)未満であり、この範囲外(図中暗所部分)ではこの限界近くのままである(それは2.5%の最大に達する)ことが、図8Bでみられる。
【0055】
図9は、100kHzの周波数で、温度および印加電場の関数として、焼結BST/アルミナ複合材のチューナビリティの変動を示している。チューナビリティとは、印加される場の関数としての誘電率の相対偏差として定義される。この図は、BSTの非直線性も焼結BST/アルミナ複合材で保存されていることを示している。
【0056】
BST/アルミナ複合材のチューナビリティは、0.8kV/cmの中度電場のとき、誘電率最大の温度(キュリー温度)で2%に達する。
【0057】
図10は、場の様々な周波数で、印加電場の関数として、BST/アルミナ複合材の誘電損失係数tanδの変動を示している。300Kで行われた測定は、チューナビリティが100Hz〜1MHzの周波数で場の周波数に依存せず、誘電損失が印加電場に依存しないことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の方法の被覆工程を実施するための設備例を概略で示している。
【図2】被覆前に、ミクロンスケールBa0.6Sr0.4TiO3(BST)粒子の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像である。
【図3A】二次電子(局所形態的コントラスト)により得られたアルミナ被覆BST粒子の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像である。
【図3B】後方散乱電子(化学的コントラスト)により得られたアルミナ被覆BST粒子の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像である。
【図4】アルミナ被覆BST粒子の化学組成プロファイルを示したプロットである。
【図5】被覆BST粒子を焼結することで得られた複合材の断面の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像である。
【図6A】温度および適用されたシグナルの周波数の関数として、焼結前における被覆BST粒子の静電容量の変動を示す。
【図6B】温度および適用されたシグナルの周波数の関数として、アルミナを含有しないBSTセラミックの誘電率ε′の変動を示す。
【図7】被覆BST粒子を焼結することで得られた複合材の誘電率の変動を示す。
【図8A】温度および適用周波数の関数として、従来のBSTセラミックに関する誘電損失係数tanδの変動について、三次元プロットで示している。
【図8B】温度および適用周波数の関数として、焼結BST/アルミナ複合材に関する誘電損失係数tanδの変動について、三次元プロットで示している。
【図9】100kHzの周波数で、温度および印加電場の関数として、焼結BST/アルミナ複合材のチューナビリティの変動について、三次元プロットで示している。
【図10】様々な適用周波数で、印加電場の関数として、BST/アルミナ複合材の誘電損失係数tanδの変動について示している。
【発明の分野】
【0001】
本発明は、特に高周波超小型電子技術コンポーネント、例えば蓄電器、共振器、チューナブルフィルター、伝達線、移相器などの組立て、およびレーダーアンテナに用いられる誘電体の分野に関する。
【0002】
本発明は、特に、機能がシグナル伝達、受信およびフィルタリングである、遠距離通信システムに存在するコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0003】
用いられる材料は、一般的に、通常酸化物の形で、強誘電化合物および少なくとも1種の低損失誘電化合物を含んでなる複合材である。低損失誘電化合物の存在は強誘電体の電子的性質を向上させる。
【0004】
これらの材料は、強誘電相および低損失誘電相を含有した粉末を混合することからなる、従来のセラミックプロセスにより得られる。この点について、読者は下記文献を参照しうる:
‐E.F.Alberta,R.Guo and A.S.Bhalla,”Novel BST:MgTiO3 composites for frequency agile applications”,Ferroelectrics,2002,Vol.268,pp.169-174、この文献はBa1−xSrxTiO3(BST)をMgTiO3(MT)と混合し、混合物を焼結することにより得られる複合材について開示している;および
‐Z.X.Xiong,X.J.Zhou,W.Z.Zen,K.Z.Baba-Khishi and S.T.Chen,”Development of ferroelectric ceramics with high dielectric constant and low dissipation factor for high-voltage capacitors”、この文献はMnSiO3、WO3、CeO2、Bi2(SnO3)3およびZnOでドープされたBaTiO3、BaZrO3およびBaSnO3から形成される複合材について開示している。
【0005】
これらの材料を得るためのある技術は、“コア/シェル”タイプの粒子を形成することからなる。これらの粒子は、通常薄い誘電層で、強誘電化合物の粒子を被覆することにより形成される。次いでそれらは高密度複合材を形成するために焼結される。
【0006】
用いられる被覆技術はゾル‐ゲル被覆技術でもよい。この点について、読者は下記文献を参照しうる:
‐X.Liu,W.Y.Shin and W.H.Shih,”Effects of copper coating on the crystalline structure of the fine barium titanate particles”,Journal of the American Ceramic Society,1997,80(11),pp.2781-2788、この文献はBaTiO3粒子を銅層で被覆する技術について開示している;
‐T.M.Harkulich,J.Magder,M.S.Vukasovich and R.J.Lockhart,”Ferroelectrics of ultrafine particl size:II,grain growth inhibition studies”,Journal of the American Ceramic Society,1966,49(6),pp.295-9、この文献はBaTiO3粒子を酸化タンタル層で被覆する技術について開示している;
‐C.Huber,M.Treguer-Delapierre,C.Elissalde,F.Weill and M.Maglione,”New application of the core-shell concept to ferroelectric nanopowder”,Journal of Materials Chemistry,2003,13,pp.650-653、この文献はシリカ(SiO2)の層で被覆されたBa1−xSrxTiO3ナノスケール粒子について開示している;および
‐Z.Yue,X.Wang,L.Zhang and X.Yao,”Temperature stable Pb(Zn1/3Nb2/3)O3-based composite ceramics prepared by particle-coating method”,Journal of Materials Science Letters,1997,16(6),pp.1354-1356、この文献はSiO2‐B2O3の薄ガラス層で被覆されたPb(Zn1/3Nb2/3)O3ベースの複合セラミック粒子について開示している。
【0007】
焼結工程に際して、各強誘電粒子(コア)を取囲む被覆層(シェル)はこれら粒子の成長を妨げている。これは、被覆層が強誘電粒子を互いに分離させて、それらが大きな粒子を形成しないように集合化を妨げているからである。したがって、被覆技術は最終複合材の粒径をうまく制御しうることから、均一な粒子分布が得られる。
【0008】
被覆および焼結工程は、連続誘電マトリックス中で被覆強誘電粒子から形成された高密度複合材をもたらす。
【0009】
望ましい誘電性は、強誘電体の場合と似た誘電率およびチューナビリティと、感熱性および誘電損失の低下である。チューナビリティとは、印加される場の関数としての複合材の誘電率の相対偏差として定義される。
【発明の具体的説明】
【0010】
得られる複合材の構造が正確に制御されうる、少なくとも1種の強誘電体および少なくとも1種の低損失誘電体を含んでなる誘電複合材を得るための技術を提供することが、本発明の目的である。
【0011】
複合材の構造を制御することにより、周波数に敏捷なコンポーネントを生産することが可能となる。コンポーネントの敏捷性は、それに印加される電場によりその周波数応答性を変えられる可能性にある。
【0012】
この目的のために、本発明は、
‐強誘電化合物の粒子を誘電体の層で被覆し、そして
‐被覆粒子を焼結することにより高密度複合材を形成する
工程からなり、
該被覆工程が、少なくとも1種の溶媒および誘電体の前駆物質を含有した流体と強誘電化合物の粒子を接触させることからなり、該流体が加圧下で維持されることで特徴付けられる、強誘電複合材を得るための方法を提供する。
【0013】
本発明の関係内において、溶媒および前駆物質を含有した流体は、それが約10バール(即ち106Pa)以上の圧力で維持されているときに、加圧下にあるとみなされる。
【0014】
好ましくは、流体は10℃以上の温度で維持される。
【0015】
好ましくは、流体は超臨界温度および圧力条件下で維持される。
【0016】
超臨界温度および圧力条件は、純粋形または混合液として、流体の臨界点にある圧力および温度に関して規定される。この流体の臨界温度および圧力は、主溶媒の臨界温度および圧力に等しい。
【0017】
加圧超臨界流体媒体中において粒子を強誘電化合物で被覆する工程の条件を定めることは、得られる最終複合材の構造パラメーター、特に得られる被覆層の厚さの正確な制御をもたらす。
【0018】
加圧下で強誘電化合物粒子を被覆する工程によれば、誘電被覆層が特に“クリーン”である、即ち従来の被覆技術と比較して少ない残留ラジカルを含有している、被覆粒子をもたらす。
【0019】
更に、加圧下で行われた被覆工程は次の焼結工程に有利である。これは、本発明の方法において、被覆工程が被覆粒子(II型粒子)のみならず、被覆材から排他的に形成されたナノ構造粒子(I型粒子)も生じるからである。焼結工程に際して、これらのI型粒子は被覆粒子間で形成された隙間に分配される。
【0020】
“ナノ構造”という用語は、ナノスケール粒子、即ち数ナノメーター程度の寸法を有するものの集合を意味する。
【0021】
これらI型粒子とII型粒子の被覆層の存在のおかげで、従来技術の方法より低い焼結圧力および/または低い焼結温度を適用することで、高密度最終複合材を得ることが可能となるのである。
【0022】
用いられる強誘電化合物は、次の材料:PbTiO3、PZT、PMN、LiNbO3、KNbO3、KTN、BaTiO3およびBaTiO3‐SrTiO3から選択される。
【0023】
強誘電化合物粒子は、例えば次の材料:BaxSr1−xTiO3(BST)(xは0〜1である)またはBaTiO3からなる。
【0024】
誘電材被覆は、特に次の酸化物:Al2O3、SiO2、TiO2、MgTiO3、ZrO2、HfO2、SnO2、SnO3およびTa2O5から選択される。
【0025】
本発明の方法によると、窒化物も被覆に用いうる。窒化物による被覆は従来のゾル‐ゲル被覆技術(酸化物による被覆のみ)では不可能であった。
【0026】
誘電化合物の前駆物質は、塩類、アセテート類、アセチルアセトネート類およびアルコキシド類の群から、更に一般的には金属および有機金属錯体の群から選択される。
【0027】
用いられる溶媒は、有利には、二酸化炭素CO2(酸化物で被覆の場合)またはアンモニアNH3(窒化物で被覆の場合)である。
【0028】
溶媒は、アルコール類、水およびそれらの混合液から選択してもよい。
【0029】
本発明の1実施において、本方法は強誘電化合物粒子を合成する先行工程を更に含み、この合成は加圧下で行われる。該粒子の合成は10℃以上の温度で行ってもよい。
【0030】
好ましくは、合成は超臨界温度および圧力条件下で行われる。
【0031】
本発明の方法によると、焼結温度に応じて、誘電化合物マトリックスが大きさ1nm〜数mmの粒子から形成されている、誘電化合物のマトリックス中で被覆強誘電粒子から形成された最終複合材を得ることが可能である。
【0032】
他の特徴および利点は以下の記載から更に明らかとなるが、それは純粋に説明のためで非制限的であり、添付図面と照らし合わせて読まねばならない:
【0033】
図1で示された設備は、アルミナAl2O3のナノ構造層で被覆されたミクロンスケールBa0.6Sr0.4TiO3(BST)粒子を合成するために用いられる。
【0034】
設備は下記要素を含んでなる:
‐26.5cm3の内部容積を有するデポジションリアクター1;
‐二酸化炭素CO2の形で溶媒を含有するシリンダー2:該シリンダーは供給ラインでリアクター1へ接続されている;
‐高圧ポンプ4で注入されるCO2の温度を調節して、リアクター1へ供給するためのクライオスタット3;
‐高圧ポンプ4;
‐デポジションリアクター1の周りに巻かれた加熱コイル5;
‐ヒーター5を調節するための調節器6;
‐デポジションリアクター1で圧力を測定するための圧力センサー7;
‐リアクターで圧力の過度に大きな上昇時に圧力を放出しうるラプチャーディスクの形の安全装置8;および
‐リアクター1を減圧するためのバルブ9
【0035】
被覆されるミクロンスケールBST粉末が図2でみられる。セラミック加工で得られたBST粉末300mg、アルミニウムアセチルアセトネート240mgおよび無水エタノールCH3CH2OH4.5mlを含有した混合物がデポジションリアクター1へ投入される。次いで、高圧ポンプ4が稼動されて、リアクターで80/20CO2/CH3CH2OHモル比を得られるようにCO2がシリンダー2からデポジションリアクター1へ入る。CO2はクライオスタット3により20℃の圧力で維持される。
【0036】
次いでリアクターが加熱コイル5で200℃の温度へ加熱され、ヒーターの温度が調節器6により調節される。200℃への加熱は、デポジションリアクター1の圧力を高めることになる。圧力センサー7により測定される圧力が約20MPaに達する。
【0037】
反応混合物が超臨界温度および圧力条件下で約1時間維持される。
【0038】
リアクターで温度勾配を形成して、被覆されるBST粒子を攪拌するように、加熱コイル5がリアクター1の本体の上部に取り付けられることに、留意すべきである。
【0039】
次いで、バルブ9を作動することでデポジションリアクターが大気圧へ減圧され、リアクターは減圧中に200℃の温度で維持される。次いでリアクターが室温まで冷却される。
【0040】
リアクターの減圧は溶媒の完全抽出をもたらす。
【0041】
こうして、リアクター中の材料は、下記2タイプの粒子:
‐球状アルミナ粒子からなるI型粒子の集団;および
‐アルミナ被覆BST粒子からなるII型粒子の集団
を含んでなる(図3Aおよび3Bでみられる)クリーン乾燥粉末からなる。
【0042】
これら2タイプの粒子の性質の決定がAugerスペクトル分析により行われた。前駆物質アルミニウムアセチルアセトネートの分解はアルミナナノ粒子の成長(約5〜200nmの寸法)をもたらすが、これは球状ナノ構造アルミナ粒子に凝集していく(こうしてI型粒子を形成する)か、またはナノ構造層の形でBST粒子の表面上に付着されていく(II型粒子)。
【0043】
図4は、アルミナ被覆BST粒子(II型粒子)の化学組成プロファイルを示している。
【0044】
被覆BST粒子を含有した粉末は、100MPaで1分間一軸プレスし、1400℃で2時間焼結することにより形成される。これで、BST/アルミナ強誘電複合材の形成をもたらす。
【0045】
図5は、得られた複合材が高密度であり、アルミナ(暗所部分)で互いに離されたBST粒子(明所部分)からなることを示している。ナノ構造アルミナ層は、焼結に際してBST粒子の成長を妨げている。更に、ナノ構造アルミナ粒子はBST粒子間の空隙を満たす小さな粒子を放出している。そのため、得られた複合材の構造は特に高密度であり、空隙をほとんど有しない。アルミナがナノ構造形で存在しているという事実から、従来のアルミナ焼結温度(1600℃)よりも焼結温度(1400℃)を低下させられるのである。
【0046】
超臨界流体媒体中におけるBST粒子被覆工程の条件を制御すれば、最終BST/アルミナ複合材の構造、特にアルミナ被覆層の厚さを正確に定められるのである。
【0047】
複合材の構造特性を調整するために変えられる超臨界流体被覆工程のパラメーターは、次の通りである:
‐リアクター中の圧力;
‐被覆温度;
‐前駆物質濃度;
‐リアクター中の滞留時間;
‐超臨界溶媒の性質;および
‐補助溶媒の添加
【0048】
これらのパラメーターは、被覆粒子のBSTコアの特性(コアサイズ、形態、化学組成など)およびアルミナシェルの特性(ナノ構造特性、化学組成など)を制御するために調整される。パラメーターのこのような調整は、従来の被覆技術では不可能であった。
【0049】
焼結工程は複合材の最終構造にも影響を与える。重要なパラメーターは以下である:
‐焼結圧力;
‐焼結温度;および
‐焼結時間
【0050】
これらのパラメーターは、アセンブリーの凝集性を制御するために調整してもよい。
【0051】
インピーダンス測定で求められる、この複合材の誘電特性を、1400℃で2時間焼結された無アルミナBSTセラミックの特性と比較した。BST材料単独と比べてBST/Al2O3材料の誘電性の向上がみられる。そのため、以下が観察される:
‐最大誘電率のシフトなしに、誘電率ピークの広域化、ひいては複合材の感熱性の低下;
‐低い誘電損失tanδ;
‐初期アルミナ被覆BST粉末の、数ギガヘルツの周波数までの電気的性質、特に強誘電および非直線性の保存;および
‐周波数非依存性チューナビリティ(実質的に100ヘルツ〜1ギガヘルツの周波数)および複合材に印加される電場に非依存性の誘電損失係数tanδ
【0052】
図6Aは、適用された周波数の関数として、焼結前における被覆BST粒子の静電容量Cの変動を示している。図6Bは、適用された周波数の関数として、無アルミナBSTセラミックの誘電率ε′の変動を示している。被覆BST粉末は、焼結前に、それに適用される周波数にかかわりなく、約250Kで最大静電容量を有する(図6A)。無アルミナのBSTセラミックは285Kで最大誘電率を有する(図6B)。測定された誘電率は、BST常誘電/強誘電転移に相当するキュリー温度を中心とした、非常に狭いピークを有している。
【0053】
焼結BST/アルミナ複合材(図7)は、未焼結BST粉末(図6)と同温度(250K)で、最大誘電率(または静電容量)を有している。これは、アルミナがBST粒子の成長を妨げている、という事実を証明している。BST正方晶/斜方晶転移に相当する、215Kの温度で観察される第二の誘電率ピークも、未焼結粉末の場合および焼結BST/アルミナ複合材の場合でみられる。
【0054】
図8Aおよび8Bの比較は、無アルミナBSTセラミックと比べた、BST/アルミナ複合材により生じる誘電損失に関する向上を証明している。図8Aは、温度および適用周波数の関数として、従来のBSTセラミックに関する誘電損失係数tanδの変動を示している。図8Bは、焼結BST/アルミナ複合材に関する誘電損失係数tanδの変動を示している。従来のBSTセラミックとは異なり、BST/アルミナ複合材の誘電損失係数tanδは温度および周波数の関数としてほとんど変動していない。更に、損失係数は広い温度および周波数範囲(図中明所部分)にわたり1%(超小型電子技術用途で要求される限界)未満であり、この範囲外(図中暗所部分)ではこの限界近くのままである(それは2.5%の最大に達する)ことが、図8Bでみられる。
【0055】
図9は、100kHzの周波数で、温度および印加電場の関数として、焼結BST/アルミナ複合材のチューナビリティの変動を示している。チューナビリティとは、印加される場の関数としての誘電率の相対偏差として定義される。この図は、BSTの非直線性も焼結BST/アルミナ複合材で保存されていることを示している。
【0056】
BST/アルミナ複合材のチューナビリティは、0.8kV/cmの中度電場のとき、誘電率最大の温度(キュリー温度)で2%に達する。
【0057】
図10は、場の様々な周波数で、印加電場の関数として、BST/アルミナ複合材の誘電損失係数tanδの変動を示している。300Kで行われた測定は、チューナビリティが100Hz〜1MHzの周波数で場の周波数に依存せず、誘電損失が印加電場に依存しないことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の方法の被覆工程を実施するための設備例を概略で示している。
【図2】被覆前に、ミクロンスケールBa0.6Sr0.4TiO3(BST)粒子の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像である。
【図3A】二次電子(局所形態的コントラスト)により得られたアルミナ被覆BST粒子の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像である。
【図3B】後方散乱電子(化学的コントラスト)により得られたアルミナ被覆BST粒子の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像である。
【図4】アルミナ被覆BST粒子の化学組成プロファイルを示したプロットである。
【図5】被覆BST粒子を焼結することで得られた複合材の断面の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像である。
【図6A】温度および適用されたシグナルの周波数の関数として、焼結前における被覆BST粒子の静電容量の変動を示す。
【図6B】温度および適用されたシグナルの周波数の関数として、アルミナを含有しないBSTセラミックの誘電率ε′の変動を示す。
【図7】被覆BST粒子を焼結することで得られた複合材の誘電率の変動を示す。
【図8A】温度および適用周波数の関数として、従来のBSTセラミックに関する誘電損失係数tanδの変動について、三次元プロットで示している。
【図8B】温度および適用周波数の関数として、焼結BST/アルミナ複合材に関する誘電損失係数tanδの変動について、三次元プロットで示している。
【図9】100kHzの周波数で、温度および印加電場の関数として、焼結BST/アルミナ複合材のチューナビリティの変動について、三次元プロットで示している。
【図10】様々な適用周波数で、印加電場の関数として、BST/アルミナ複合材の誘電損失係数tanδの変動について示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐強誘電化合物の粒子を誘電体の層で被覆し、そして
‐被覆粒子を焼結することにより高密度複合材を形成する
工程からなり、
該被覆工程が、少なくとも1種の溶媒および誘電体の前駆物質を含有した流体と強誘電化合物の粒子を接触させることからなり、該流体が加圧下で維持されることで特徴付けられる、強誘電複合材を得るための方法。
【請求項2】
流体が10℃以上の温度で維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶媒および前駆物質を含有した流体が、超臨界温度および圧力条件下で維持される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
強誘電化合物粒子を合成する先行工程を更に含み、この合成が加圧下で行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
粒子の合成が10℃以上の温度で行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
合成が超臨界温度および圧力条件下で行われる、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
強誘電化合物が、次の材料:PbTiO3、PZT、PMN、LiNbO3、KNbO3、KTN、BaTiO3およびBaTiO3‐SrTiO3から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
強誘電体がBaxSr1−xTiO3またはBaTiO3である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
誘電化合物が酸化物または窒化物から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
誘電化合物が、次の酸化物:Al2O3、SiO2、TiO2、MgTiO3、ZrO2、HfO2、SnO2、SnO3およびTa2O5から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
誘電化合物の前駆物質が、塩類、金属および有機金属錯体の群から、特にアセテート類、アセチルアセトネート類またはアルコキシド類の群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
溶媒がCO2またはNH3を含んでなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
溶媒が、アルコール類、水またはそれらの混合液から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
強誘電化合物粒子が約5nm〜1μmの寸法を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
誘電化合物被覆層が約1nm〜10μmの厚さを有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
誘電化合物マトリックスが粒子から形成されていることで特徴付けられる、誘電化合物のマトリックス中で被覆強誘電粒子から形成された複合材。
【請求項17】
マトリックスを形成する粒子のサイズが1nm〜数mmである、請求項16に記載の材料。
【請求項18】
強誘電粒子が約5nm〜1μの寸法を有する、請求項16または17に記載の材料。
【請求項19】
強誘電粒子がBaxSr1−xTiO3から形成されている、請求項16〜18のいずれか一項に記載の材料。
【請求項20】
誘電化合物マトリックスがAl2O3から形成されている、請求項16〜19のいずれか一項に記載の材料。
【請求項1】
‐強誘電化合物の粒子を誘電体の層で被覆し、そして
‐被覆粒子を焼結することにより高密度複合材を形成する
工程からなり、
該被覆工程が、少なくとも1種の溶媒および誘電体の前駆物質を含有した流体と強誘電化合物の粒子を接触させることからなり、該流体が加圧下で維持されることで特徴付けられる、強誘電複合材を得るための方法。
【請求項2】
流体が10℃以上の温度で維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶媒および前駆物質を含有した流体が、超臨界温度および圧力条件下で維持される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
強誘電化合物粒子を合成する先行工程を更に含み、この合成が加圧下で行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
粒子の合成が10℃以上の温度で行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
合成が超臨界温度および圧力条件下で行われる、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
強誘電化合物が、次の材料:PbTiO3、PZT、PMN、LiNbO3、KNbO3、KTN、BaTiO3およびBaTiO3‐SrTiO3から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
強誘電体がBaxSr1−xTiO3またはBaTiO3である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
誘電化合物が酸化物または窒化物から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
誘電化合物が、次の酸化物:Al2O3、SiO2、TiO2、MgTiO3、ZrO2、HfO2、SnO2、SnO3およびTa2O5から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
誘電化合物の前駆物質が、塩類、金属および有機金属錯体の群から、特にアセテート類、アセチルアセトネート類またはアルコキシド類の群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
溶媒がCO2またはNH3を含んでなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
溶媒が、アルコール類、水またはそれらの混合液から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
強誘電化合物粒子が約5nm〜1μmの寸法を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
誘電化合物被覆層が約1nm〜10μmの厚さを有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
誘電化合物マトリックスが粒子から形成されていることで特徴付けられる、誘電化合物のマトリックス中で被覆強誘電粒子から形成された複合材。
【請求項17】
マトリックスを形成する粒子のサイズが1nm〜数mmである、請求項16に記載の材料。
【請求項18】
強誘電粒子が約5nm〜1μの寸法を有する、請求項16または17に記載の材料。
【請求項19】
強誘電粒子がBaxSr1−xTiO3から形成されている、請求項16〜18のいずれか一項に記載の材料。
【請求項20】
誘電化合物マトリックスがAl2O3から形成されている、請求項16〜19のいずれか一項に記載の材料。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2007−508458(P2007−508458A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534784(P2006−534784)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002580
【国際公開番号】WO2005/038082
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(594016872)サントル、ナショナール、ド、ラ、ルシェルシュ、シアンティフィク、(セーエヌエルエス) (83)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002580
【国際公開番号】WO2005/038082
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(594016872)サントル、ナショナール、ド、ラ、ルシェルシュ、シアンティフィク、(セーエヌエルエス) (83)
【Fターム(参考)】
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