説明

複合携帯可能電子装置および複合ICカード

【課題】たとえば、接触通信方式による処理においては、従来と同等な処理回数を維持しつつ、非接触通信方式による処理においては、外部からの不正な命令の実行や、故意ではないが、一度完了した取引処理命令の再試行(リトライ)などによる誤処理を防止することができる複合携帯可能電子装置を提供する。
【解決手段】接触通信方式および非接触通信方式の通信手段をそれぞれ備えた複合ICカードにおいて、外部から受信した命令に応じた処理を実行した回数を計数し、この計数値があらかじめ定められた処理回数上限値を超えていないかを判定し、処理回数上限値を超えていると判定した場合、該当する通信方式の通信手段による処理を一時的に使用禁止状態とし、外部に対して今回の処理が実行できないことを応答する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、クレジットカードなどとして使用され、外部装置(カードリーダ・ライタ)と接触端子を介して接触状態で通信を行なう接触通信方式の通信手段、および、外部装置と非接触状態で無線通信により通信を行なう非接触通信方式の通信手段をそれぞれ備えた複合ICカード(いわゆる、デュアル・インタフェイスICカード)と称される複合携帯可能電子装置および複合ICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ICカードは、サポートする通信方式から大きく分けて、表面の接触端子が外部装置としてのカードリーダ・ライタ内の接触端子と接触した状態で電力およびクロックの供給を受け、命令および応答の通信を行なう接触通信方式をサポートする接触型ICカード、カードリーダ・ライタから送信される電磁波により、アンテナを使用して電力およびクロックの供給を受け、命令および応答の通信を非接触状態で行なう非接触通信方式をサポートする非接触型ICカード、および、これら接触通信方式および非接触通信方式の両機能をサポートする複合ICカード(デュアル・インタフェイスICカード)が公知である(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の単一インタフェイスのICカードである接触型ICカードでは、不正使用の防止等、セキュリティ向上のための様々な提案がなされている。たとえば、処理可能なコマンド数を限定することにより、セキュリティ向上を図るようにしたICカードが公知である(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特公平4−16831号公報
【特許文献2】特開平10−69435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の公知技術では、単一インタフェイスの接触型ICカードに対しては有効な手段であるが、2種類以上の通信方式をサポートする複数インタフェイスのICカードである複合ICカードに対してはそのまま適用することはできない。
【0005】
そのため、たとえば、非接触通信方式を使用した処理の際では、外部からの不正な命令の実行や、故意ではないが、一度完了した取引処理命令の再試行(リトライ)などによる誤処理を防止するために、実行できる命令の回数について、何らかの制限を設ける必要があり、逆に、接触通信方式を使用した場合は、上記のような非接触通信方式特有の制限を設定する必要はなく、従来どおり、そのICカードがサポートする最大回数までの命令を処理できるようにする必要がある。ただし、接触通信方式の場合も、セキュリティ面から、不正な命令の繰り返し実行を防止するために、非接触通信方式の場合とは異なる設定の制限が必要となる。
【0006】
このため、複数の通信方式をサポートした複合ICカードの場合、使用する通信方式に応じて適切な命令処理回数の制限を設定できる必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、たとえば、接触通信方式による処理においては、従来と同等な処理回数を維持しつつ、非接触通信方式による処理においては、外部からの不正な命令の実行や、故意ではないが、一度完了した取引処理命令の再試行(リトライ)などによる誤処理を防止することができる複合携帯可能電子装置および複合ICカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の複合携帯可能電子装置は、外部装置とそれぞれ異なる方式で通信を行なう複数の通信手段と、この複数の通信手段のうちいずれの通信手段が前記外部装置と通信を行なうかを検知する通信検知手段と、この通信検知手段が検知した内容に基づき前記外部装置から受信した命令に応じた処理を実行する処理手段と、この処理手段が前記外部装置から受信した命令に応じた処理を実行した回数を計数する処理回数計数手段と、前記外部装置から受信した命令に対応した処理を実行可能な処理回数上限値を記憶する処理回数上限記憶手段と、前記処理回数計数手段の計数値が前記処理回数上限記憶手段に記憶された処理回数上限値を超えていないかを判定する処理回数判定手段とを具備している。
【0009】
また、本発明の複合ICカードは、外部装置とそれぞれ異なる方式で通信を行なう複数の通信手段と、この複数の通信手段のうちいずれの通信手段が前記外部装置と通信を行なうかを検知する通信検知手段と、この通信検知手段が検知した内容に基づき前記外部装置から受信した命令に応じた処理を実行する処理手段と、この処理手段が前記外部装置から受信した命令に応じた処理を実行した回数を計数する処理回数計数手段と、前記外部装置から受信した命令に対応した処理を実行可能な処理回数上限値を記憶する処理回数上限記憶手段と、前記処理回数計数手段の計数値が前記処理回数上限記憶手段に記憶された処理回数上限値を超えていないかを判定する処理回数判定手段とを有したICモジュールと、このICモジュールを収納したICカード本体とを具備している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、たとえば、サポートする通信方式で処理できる上限の命令数を設定することができ、上限の命令数を超える回数の命令を処理できなくすることにより、接触通信方式による処理においては、従来と同等な処理回数を維持しつつ、非接触通信方式による処理においては、外部からの不正な命令の実行や、故意ではないが、一度完了した取引処理命令の再試行(リトライ)などによる誤処理を防止することができる複合携帯可能電子装置および複合ICカードを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る複合携帯可能電子装置としての複合ICカードの構成を示すものである。この複合ICカード1は、接触式通信機能および非接触式通信機能の両機能をサポートしていて、ICチップ10、接触式通信手段としての接触端子11、および、非接触式通信手段としてのアンテナ12を有して構成される。
【0012】
複合ICカード1は、接触端子11を介して接触通信方式により接触式カードリーダ・ライタ(外部装置)2と通信を行ない、あるいは、アンテナ12を介して非接触通信方式により非接触式カードリーダ・ライタ(外部装置)3と通信を行なう。
【0013】
ICチップ10は、制御部として機能するCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)101、各種データを格納(記憶)するための記憶手段としてのデータメモリ102、ワーキングメモリとして機能する記憶手段としてのRAM(ランダム・アクセス・メモリ)103、CPU101が実行するプログラムなどを格納した記憶手段としてのROM(リード・オンリ・メモリ)104、接触通信方式あるいは非接触通信方式のいずれを使用するかを切換えるための通信切換部105、接触端子11を介して接触式カードリーダ・ライタ2と行なわれる通信を制御する接触式通信手段としての接触通信インタフェイス(I/F)106、および、アンテナ12を介して非接触式カードリーダ・ライタ3と行なわれる通信を制御する非接触式通信手段としての非接触通信インタフェイス(I/F)107を有して構成される。
【0014】
データメモリ102は、たとえば、EEPROMやFRAMなどの不揮発性メモリにより構成される。
通信切換部105は、外部との通信が確立されていない状態で、接触通信インタフェイス106、あるいは、非接触通信インタフェイス107の一方から通信が開始されたことを通知された場合、その通信を処理終了まで維持し、他方の通信方式を無効とする処理を行なう。また、CPU101は、現在の命令がどちらの通信方式により受信されたものであるか、現在どちらの通信方式が有効であるかを、通信切換部105から取得することが可能である。
【0015】
図2は、データメモリ102の構成を模式的に示すものである。図2(a)は、第1の構成例を示すもので、処理回数上限値を記憶する処理回数上限記憶手段としての処理回数上限記憶領域201、および、その他のデータを格納(記憶)するその他データ格納領域202を有している。
【0016】
図2(b)は、第2の構成例を示すもので、処理回数上限値を記憶する処理回数上限記憶手段としての第1の処理回数上限記憶領域203、第2の処理回数上限記憶領域204、および、その他のデータを格納(記憶)するその他データ格納領域205を有している。
【0017】
第1の処理回数上限記憶領域203は、接触通信方式を使用した処理において実行できる命令の処理回数上限値(たとえば、15回)を記憶している。第2の処理回数上限記憶領域204は、非接触通信方式を使用した処理において実行できる命令の処理回数上限値(たとえば、4回)を記憶している。
【0018】
ここに、処理回数上限値は、通信方式ごとに実行できる命令の回数を規定したものであり、処理回数上限値を超える回数の命令を実行することはできない。
【0019】
図3は、RAM103の構成を模式的に示すものである。RAM103は、外部から受信した命令に応じた処理を行なった回数を計数する処理回数計数手段としての処理回数カウンタ領域(以降、処理回数カウンタと称す)301、および、その他のデータを格納(記憶)するその他データ格納領域302を有している。
【0020】
処理回数カウンタ301は、通信方式によらず、受信した命令を実行した回数をカウントする。具体的には、通信が確立され、処理が開始された直後には、処理回数は「0」にセットされ、その後、命令の内容に関わらず、受信した命令の処理が完了した時点で加算(+1)されるもので、その詳細は後述する。
【0021】
図4〜図8は、上記のように構成された複合ICカード1の動作の流れを示すフローチャートであり、以下、それについて説明する。
まず、第1の動作例について図4に示すフローチャートを参照して説明する。なお、第1の動作例では、データメモリ102として図2(a)の構成を用いるものとする。
【0022】
まず、CPU101は、活性化されると、アンテナ12を介して非接触通信電波を受信し、非接触通信インタフェイス107により通信が開始されたか、あるいは、接触端子11を介して接触通信インタフェイス106により通信が開始されたかを検知する(ステップS1)。
【0023】
次に、CPU101は、ステップS1で検知した通信方式に応じて、通信切換部105に対して以降の通信をどちらの方式で行なうかの設定を行なう(ステップS2)。次に、CPU101は、RAM103内に格納された処理回数カウンタ301を「0」にクリアする(ステップS3)。この状態で、外部(カードリーダ・ライタ2または3)からコマンド(命令)を受信した場合(ステップS4)、CPU101は、以下のような処理を行なう。
【0024】
まず、処理回数カウンタ301の値が、データメモリ102内の処理回数上限記憶領域201に格納された処理回数上限値を超えていないか否かを判定する(ステップS5)。この判定の結果、処理回数カウンタ301が処理回数上限値を超えていない場合、処理回数カウンタ301を「+1」加算し(ステップS6)、その後、当該コマンドに対する処理を実行する(ステップS7)。
【0025】
その後、正常応答またはエラー応答のレスポンスを設定し(ステップS8)、当該レスポンスを外部(カードリーダ・ライタ2または3)へ送信する(ステップS9)。ここまでで、当該コマンドに対する処理を終了し、外部からの次コマンドを受信するためにステップS4へと戻る。
【0026】
ステップS5における判定の結果、処理回数カウンタ301が処理回数上限値を超えている場合、外部へ応答するレスポンスとして使用禁止状態の応答を設定し(ステップS10)、当該レスポンスを外部へ送信し(ステップS9)、その後、ステップS4に戻る。
【0027】
次に、第2の動作例について図5に示すフローチャートを参照して説明する。なお、第2の動作例でも、データメモリ102として図2(a)の構成を用いるものとする。
【0028】
第2の動作例では、ステップS1〜S5までは図4の第1の動作例と同様の処理を実施する。ステップS5における判定の結果、処理回数カウンタ301が処理回数上限値を超えていなく、当該コマンドに対する処理を継続する場合、CPU101は、今回の受信コマンドが処理回数カウンタ加算対象のコマンドであるか否かを判定する(ステップS11)。
【0029】
この判定の結果、処理回数カウンタ加算対象コマンドである場合、CPU101は、処理回数カウンタ301を「+1」加算し(ステップS6)、逆に、処理回数カウンタ加算対象コマンド以外である場合、ステップS6処理をジャンプしてステップS7へ進む。以降、図4の第1の動作例と同様にステップS7〜S9の処理を実施する。
【0030】
次に、第3の動作例について図6に示すフローチャートを参照して説明する。なお、第3の動作例では、データメモリ102として図2(b)の構成を用いるものとする。
【0031】
第2の動作例では、ステップS1〜S2までは図4の第1の動作例と同様の処理を実施する。ステップS2の処理が終了すると、CPU101は、通信切換部105の設定内容を確認することで、今回の通信方式を判定する(ステップS12)。
【0032】
ステップS12における判定の結果、接触通信方式の場合、CPU101は、データメモリ102内の第1の処理回数上限記憶領域203から接触通信用処理回数上限値を取得し(ステップS13)、以降の処理において処理回数上限値として使用する。
【0033】
ステップS12における判定の結果、非接触通信の場合、CPU101は、データメモリ102内の第2の処理回数上限記憶領域204から非接触通信用処理回数上限値を取得し(ステップS14)、以降の処理において処理回数上限値として使用する。
【0034】
こうして、通信方式ごとの処理回数上限値を取得した後、CPU101は、図4の第1の動作例と同様にステップS3〜S9の処理を実施する。この場合、ステップS5における判定は、ステップS13あるいはステップS14で取得された処理回数上限値を用いて行なわれる。
【0035】
次に、第4の動作例について図7に示すフローチャートを参照して説明する。なお、第4の動作例でも、データメモリ102として図2(b)の構成を用いるものとする。
第4の動作例は、同一の通信方式から更新命令が送信された場合にのみ、処理回数上限値を更新する場合の動作である。
【0036】
第4の動作例では、ステップS1〜S3までは図6の第3の動作例(図6において破線で囲んだ部分)と同様の処理であるため、図7では処理0(ステップS0)と省略して記載している。
【0037】
また、ステップS0の後、ステップS4〜S6までは図4の第1の動作例と同様の処理を実施する。ステップS6の処理が終了すると、CPU101は、ステップS4で受信したコマンドが処理回数上限値を更新するための命令であるか否かを判定する(ステップS15)。
【0038】
ステップS15における判定の結果、処理回数上限値更新命令でない場合、CPU101は、図4の第1の動作例と同様にステップS7〜S9の処理を実施する。
ステップS15における判定の結果、処理回数上限値更新命令である場合、CPU101は、更新対象となる処理回数上限値が、データメモリ102内の第1の処理回数上限記憶領域203に格納された接触通信用処理回数上限値か、第2の処理回数上限記憶領域204に格納された非接触通信用処理回数上限値であるかを判定する(ステップS16)。
【0039】
ステップS16における判定の結果、更新対象が接触通信用処理回数上限値の場合、CPU101は、今回の通信方式が接触通信方式であるか否かを判定する(ステップS17)。この判定の結果、今回の通信方式が接触通信方式の場合、CPU101は、データメモリ102内の第1の処理回数上限記憶領域203に格納された接触通信用処理回数上限値を今回受信した更新値に書換え(ステップS18)、その後、図4の第1の動作例と同様にステップS8〜S9の処理を実施する。
【0040】
ステップS16における判定の結果、更新対象が非接触通信用処理回数上限値の場合、CPU101は、今回の通信方式が非接触通信方式であるか否かを判定する(ステップS19)。この判定の結果、今回の通信方式が非接触通信方式の場合、CPU101は、データメモリ102内の第2の処理回数上限記憶領域204に格納された非接触通信用処理回数上限値を今回受信した更新値に書換え(ステップS20)、その後、図4の第1の動作例と同様にステップS8〜S9の処理を実施する。
【0041】
ステップS17における判定の結果、今回の通信方式が非接触通信方式の場合、あるいは、ステップS19における判定の結果、今回の通信方式が接触通信方式の場合、CPU101は、処理回数上限値の更新が実行不可であることを示す応答を設定し(ステップS21)、その後、図4の第1の動作例と同様にステップS9の処理を実施する。
【0042】
このように、第4の動作例では、同一の通信方式から更新命令が送信された場合にのみ、処理回数上限値の更新が可能となる。
【0043】
次に、第5の動作例について図8に示すフローチャートを参照して説明する。なお、第5の動作例でも、データメモリ102として図2(b)の構成を用いるものとする。
第5の動作例は、異なる通信方式から更新命令が送信された場合にのみ、処理回数上限値を更新する場合の動作である。
【0044】
第5の動作例でも、ステップS1〜S3までは図6の第3の動作例(図6において破線で囲んだ部分)と同様の処理であるため、図8では処理0(ステップS0)と省略して記載している。
また、ステップS0の後、ステップS4〜S9までは図4の第1の動作例と同様の処理を実施し、ステップS15〜S16までは図7の第4の動作例と同様の処理を実施する。
【0045】
ステップS16における判定の結果、更新対象が接触通信用処理回数上限値の場合、CPU101は、今回の通信方式が非接触通信方式であるか否かを判定する(ステップS22)。この判定の結果、今回の通信方式が非接触通信方式の場合、CPU101は、データメモリ102内の第1の処理回数上限記憶領域203に格納された接触通信用処理回数上限値を今回受信した更新値に書換え(ステップS18)、その後、図4の第1の動作例と同様にステップS8〜S9の処理を実施する。
【0046】
ステップS16における判定の結果、更新対象が非接触通信用処理回数上限値の場合、CPU101は、今回の通信方式が接触通信方式であるか否かを判定する(ステップS23)。この判定の結果、今回の通信方式が接触通信方式の場合、CPU101は、データメモリ102内の第2の処理回数上限記憶領域204に格納された非接触通信用処理回数上限値を今回受信した更新値に書換え(ステップS20)、その後、図4の第1の動作例と同様にステップS8〜S9の処理を実施する。
【0047】
ステップS22における判定の結果、今回の通信方式が接触通信方式の場合、あるいは、ステップS23における判定の結果、今回の通信方式が非接触通信方式の場合、CPU101は、処理回数上限値の更新が実行不可であることを示す応答を設定し(ステップS21)、その後、図4の第1の動作例と同様にステップS9の処理を実施する。
【0048】
このように、第5の動作例では、異なる通信方式から更新命令が送信された場合にのみ、処理回数上限値の更新が可能となる。
【0049】
以上説明したように上記実施の形態によれば、サポートする複数の通信方式ごとに、処理できる最大の命令数(上限値)を設定することができ、通信方式に応じた最大の命令数を超える回数の命令を処理できなくすることにより、ある通信方式(たとえば、接触通信方式)による処理においては、これまでのICカードと同等な処理回数を維持しつつ、異なる通信方式(たとえば、非接触通信方式)による処理においては、外部からの不正な攻撃や意図的でない取引命令のリトライ処理などによる誤処理を防止するための条件設定を行なうことができる。
【0050】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能である。たとえば、ICカード1は、ISO/IEC14443等の国際標準化規格に規定されているA型、B型など、異なる仕様の非接触通信方式を複数サポートしている場合に対しても適用可能であり、また、その他、接触、非接触等の通信方式によらず、異なる通信方式の通信手段を複数備えていれば、その通信方式によらず、本発明は適用可能である。
【0051】
また、前記実施の形態では、複合ICカードに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、たとえば、PDAと称される携帯情報端末装置や携帯電話機等、接触式インタフェイスによる通信および非接触式インタフェイスによる通信など、異なる通信方式の通信手段を複数備えた複合携帯可能電子装置であれば適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態に係る複合携帯可能電子装置としての複合ICカードの構成を示すブロック図。
【図2】データメモリの構成を概略的に示す模式図。
【図3】RAMの構成を概略的に示す模式図。
【図4】第1の動作例を説明するフローチャート。
【図5】第2の動作例を説明するフローチャート。
【図6】第3の動作例を説明するフローチャート。
【図7】第4の動作例を説明するフローチャート。
【図8】第5の動作例を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0053】
1…複合ICカード(複合携帯可能電子装置)、2…接触式カードリーダ・ライタ(外部装置)、3…非接触式カードリーダ・ライタ(外部装置)、10…ICチップ、11…接触端子(接触式通信手段)、12…アンテナ(非接触式通信手段)、101…CPU、102…データメモリ、103…RAM、104…ROM、105…通信切換部、106…接触通信インタフェイス(接触式通信手段)、107…非接触通信インタフェイス(非接触式通信手段)、201…処理回数上限記憶領域(処理回数上限記憶手段)、203…第1の処理回数上限記憶領域、204…第2の処理回数上限記憶領域、301…処理回数カウンタ領域(処理回数カウンタ、処理回数計数手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置とそれぞれ異なる方式で通信を行なう複数の通信手段と、
この複数の通信手段のうちいずれの通信手段が前記外部装置と通信を行なうかを検知する通信検知手段と、
この通信検知手段が検知した内容に基づき前記外部装置から受信した命令に応じた処理を実行する処理手段と、
この処理手段が前記外部装置から受信した命令に応じた処理を実行した回数を計数する処理回数計数手段と、
前記外部装置から受信した命令に対応した処理を実行可能な処理回数上限値を記憶する処理回数上限記憶手段と、
前記処理回数計数手段の計数値が前記処理回数上限記憶手段に記憶された処理回数上限値を超えていないかを判定する処理回数判定手段と、
を具備したことを特徴とする複合携帯可能電子装置。
【請求項2】
前記処理回数判定手段が前記処理回数計数手段の計数値が前記処理回数上限記憶手段に記憶された処理回数上限値を超えていると判定した場合、該当する通信方式の通信手段による処理を一時的に使用禁止状態とし、外部装置に対して今回の処理が実行できないことを応答する手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の複合携帯可能電子装置。
【請求項3】
前記処理回数上限記憶手段は、前記外部装置から受信した命令のうち、あらかじめ登録された特定の命令に対応した処理を実行可能な処理回数上限値を記憶することを特徴とする請求項1記載の複合携帯可能電子装置。
【請求項4】
前記処理回数上限記憶手段は、前記複数の通信手段ごとに処理可能な処理回数上限値を記憶しており、
前記処理回数判定手段は、前記処理回数計数手段の計数値が前記処理回数上限記憶手段に記憶された前記通信検知手段により検知された通信手段に応じて定められた処理回数上限値を超えていないかを判定することを特徴とする請求項1記載の複合携帯可能電子装置。
【請求項5】
前記処理回数上限記憶手段に記憶された処理回数上限値を前記外部装置から入力される更新命令によって更新する処理回数上限更新手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の複合携帯可能電子装置。
【請求項6】
前記処理回数上限記憶手段に記憶された前記複数の通信手段ごとの処理回数上限値を前記外部装置から入力される更新命令によって更新する処理回数上限更新手段をさらに具備し、それぞれの処理回数上限値は、対応する通信方式の通信手段により更新命令が入力された場合にのみ更新処理が可能であることを特徴とする請求項4記載の複合携帯可能電子装置。
【請求項7】
前記処理回数上限記憶手段に記憶された前記複数の通信手段ごとの処理回数上限値を前記外部装置から入力される更新命令によって更新する処理回数上限更新手段をさらに具備し、それぞれの処理回数上限値は、対応する通信方式の通信手段とは異なる通信方式の通信手段により更新命令が入力された場合にのみ更新処理が可能であることを特徴とする請求項4記載の複合携帯可能電子装置。
【請求項8】
前記複数の通信手段は、外部装置と接触端子を介して接触状態で通信を行なう接触通信方式の通信手段、および、外部装置と非接触状態で無線通信により通信を行なう非接触通信方式の通信手段であるであることを特徴とする請求項1記載の複合携帯可能電子装置。
【請求項9】
外部装置とそれぞれ異なる方式で通信を行なう複数の通信手段と、この複数の通信手段のうちいずれの通信手段が前記外部装置と通信を行なうかを検知する通信検知手段と、この通信検知手段が検知した内容に基づき前記外部装置から受信した命令に応じた処理を実行する処理手段と、この処理手段が前記外部装置から受信した命令に応じた処理を実行した回数を計数する処理回数計数手段と、前記外部装置から受信した命令に対応した処理を実行可能な処理回数上限値を記憶する処理回数上限記憶手段と、前記処理回数計数手段の計数値が前記処理回数上限記憶手段に記憶された処理回数上限値を超えていないかを判定する処理回数判定手段とを有したICモジュールと、
このICモジュールを収納したICカード本体と、
を具備したことを特徴とする複合ICカード。
【請求項10】
前記ICモジュールは、さらに、
前記処理回数判定手段が前記処理回数計数手段の計数値が前記処理回数上限記憶手段に記憶された処理回数上限値を超えていると判定した場合、該当する通信方式の通信手段による処理を一時的に使用禁止状態とし、外部装置に対して今回の処理が実行できないことを応答する手段をさらに具備したことを特徴とする請求項9記載の複合ICカード。
【請求項11】
前記処理回数上限記憶手段は、前記外部装置から受信した命令のうち、あらかじめ登録された特定の命令に対応した処理を実行可能な処理回数上限値を記憶することを特徴とする請求項9記載の複合ICカード。
【請求項12】
前記処理回数上限記憶手段は、前記複数の通信手段ごとに処理可能な処理回数上限値を記憶しており、
前記処理回数判定手段は、前記処理回数計数手段の計数値が前記処理回数上限記憶手段に記憶された前記通信検知手段により検知された通信手段と対応する処理回数上限値を超えていないかを判定することを特徴とする請求項9記載の複合ICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−257542(P2007−257542A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84057(P2006−84057)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】