説明

複合操作型入力装置

【課題】モジュール品として実装できると共に小型化が図りやすい複合操作型入力装置を提供すること。
【解決手段】保持ケース6,7と一体的に回転可能な筒状体14に摺動子15を設けてなるロータ部12をステータ部13が回転可能に支持してロータリエンコーダ3を構成しており、操作体1は保持ケース6,7にスライド移動可能に保持されている。ロータ部12の内方の中空部分にはスイッチユニット4が配置されており、その基台20がステータ部13に保持・固定されている。スイッチユニット4には、中央開口25aに操作体1の回転軸部1aを回動可能に嵌入させているスライド伝達部材25と、スライド操作を検出するための複数のプッシュスイッチ21とが備えられており、回転軸部1aに駆動されてスライド移動するスライド伝達部材25によってプッシュスイッチ21の接点切換えが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操作と多方向へのスライド操作とが行える複合操作型入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転操作と多方向へのスライド操作とが行える複合操作型入力装置の従来例として、回転操作時にはコイルばねを介してロータリエンコーダのロータ部が回転駆動され、スライド操作時にはロータリエンコーダの周囲に配設された複数のプッシュスイッチが横方向から押圧駆動されるように構成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる従来例において、回転操作およびスライド操作が行われる操作部材は、ロータリエンコーダのロータ部を覆うように配置され、このロータ部と操作部材の天井部との間にコイルばねが介設されている。また、操作部材の外周部には、その回転動作を阻害しないように環状スライダが係合させてあり、操作部材がスライド操作されると環状スライダが一体的にスライド移動するようになっている。さらに、ロータリエンコーダが実装されているプリント基板上には、このロータリエンコーダのステータ部の周囲に4個のプッシュスイッチが互いに等間隔な配置(周方向に90度ずつずらした位置関係)で実装されている。これらプッシュスイッチにはそれぞれ上方へ突出して押下可能な作動部が設けられており、ロータリエンコーダよりも大径に形成されている環状スライダの下端部の径方向外側に、所要のクリアランスを存して各プッシュスイッチの作動部が位置するようになっている。そして、この環状スライダの下端部に各作動部と対向する傾斜部を設けることによって、環状スライダがスライド移動すると、その移動方向に位置するプッシュスイッチの作動部が該傾斜部に当接して押下されるようになっている。
【0003】
このように概略構成される従来の複合操作型入力装置は、操作部材が回転操作されるとコイルばねに引っ張り力または圧縮力が作用するため、ロータリエンコーダのロータ部が操作部材に連動して回転する。それゆえ、ステータ部に対するロータ部の回転位置の変化に基づいて、操作部材の回転量や回転方向を検出することができる。また、操作部材がスライド操作された場合には、環状スライダが操作部材と一体的にスライド移動するため、その移動方向に位置するプッシュスイッチの作動部が環状スライダの傾斜部に押圧駆動されてオン動作し、これにより操作部材のスライド移動方向を検出することができる。なお、こうして操作部材がスライド操作されると、ロータリエンコーダのロータ部と操作部材の天井部との間に介設されているコイルばねが横ずれするように伸長するため、スライド操作力が除去されると該コイルばねの弾性復帰力によって操作部材は初期位置へ自動復帰する。
【特許文献1】特開2005−317377号公報(第4−7頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の複合操作型入力装置では、操作部材の外周部に環状スライダを係合させて、スライド操作時に操作部材が環状スライダを介してプッシュスイッチを押圧駆動するという構造にしてあるため、ロータリエンコーダよりも大径な環状スライダの周囲に複数のプッシュスイッチを配設しなければならず、装置全体が大型化しやすいという問題があった。しかも、これら複数のプッシュスイッチは、ロータリエンコーダが実装されるプリント基板上に、そのステータ部を包囲するように個別に実装しなければならず、実装前の段階で装置がモジュール化されていないことから、実装前の取扱い性や実装時の作業性が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、モジュール品として実装できると共に小型化が図りやすい複合操作型入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の複合操作型入力装置では、回転可能かつ回転軸線と直交する多方向へスライド移動可能な操作体と、この操作体をスライド移動可能に保持すると共に該操作体と一体的に回転可能な保持ケースと、前記操作体のスライド移動に伴って接点切換えが行われる複数のスイッチ素子を基台に配設したスライド検出機構と、ロータ部と該ロータ部を回転可能に支持するステータ部とを有して前記操作体の回転動作を検出する回転検出機構とを備え、前記回転検出機構の前記ロータ部が前記保持ケースと一体的に回転可能な筒状部を有し、該筒状部の内方の中空部分に前記スライド検出機構を配置させて、前記基台を前記ステータ部で保持する構成とした。
【0007】
このように保持ケースが操作体をスライド移動可能に保持すると共に、これら操作体および保持ケースと回転検出機構のロータ部とが一体的に回転するようにしてあると、ロータ部の内方の中空部分に配置されてステータ部に保持されたスライド検出機構によって、操作体のスライド移動を検出することが可能となる。したがって、操作体および保持ケースを保持する回転検出機構の内部空間にスライド検出機構を組み込んだコンパクトな構成が実現できることとなり、複合操作型入力装置の小型化が図りやすくなる。また、装置全体をモジュール品として実装できるため、実装前の取扱い性および実装時の作業性が良好となる。さらに、操作体の一部を保持ケースから露出させてスライド検出機構の一部と係合させることによって該操作体のスライド移動が検出できるので、スライド検出機構をユニット品としてステータ部に組み付けることが可能となり、それゆえスライド検出機構のバラエティを増やすことが容易となる。
【0008】
上記の構成において、スライド検出機構が、操作体のスライド駆動力が伝達されるように前記操作体と係合するスライド伝達部材と、該スライド伝達部材をスライド移動可能に支持する支持部材とを有しており、前記操作体に駆動されて一体的にスライド移動する前記スライド伝達部材によってスイッチ素子の接点切換えが行われるように構成してあると、スライド操作時に操作体がスライド伝達部材を介してスイッチ素子の接点切換えを行うことになり、スライド駆動力の伝達経路を簡素化できるため、信頼性が向上させやすくなる。この場合において、スライド伝達部材の中央部に設けられた開口に操作体の回転軸部を回転可能に挿通させることによって、操作体のスライド移動時に該回転軸部が該開口の周縁部を駆動するようにしてあると、該回転軸部の回転動作を阻害しないスライド伝達部材にスライド駆動力を確実に伝達させるという係合関係が、極めて簡素な構造で実現できる。
【0009】
また、この場合において、スライド検出機構の構成要素である固定部材に、スライド伝達部材に設けられたスリット状または溝状のガイド部に係合して該スライド伝達部材のスライド移動方向を規制する規制突起を突設しておけば、操作体のスライド操作時にスライド伝達部材が不所望方向へスライド移動する虞がなくなる。
【0010】
また、上記の構成において、操作体には回転軸部の周囲に径方向外側へ突出する鍔部が設けてあり、かつ、保持ケースには前記回転軸部の一端側を外方へ突出させる第1の開口と他端側を逆向きに突出させる第2の開口とが設けてあり、前記第1の開口の周縁部分と前記第2の開口の周縁部分との間に前記鍔部をスライド移動可能に配置させていると共に、前記鍔部の周囲に復帰ばねを配置させており、操作体のスライド移動時に前記鍔部が前記復帰ばねを弾性変形させるように構成してあると、スライド操作時に操作体の鍔部を第1および第2の開口の周縁部分で案内することができるため操作性を向上させやすくなると共に、スライド操作後に復帰ばねの弾性復帰力によって操作体を初期位置へ自動復帰させるセルフリターン構造が実現できる。この場合において、保持ケースが、第1の開口が設けられた第1の保持ケースと、第2の開口が設けられた第2の保持ケースとを有し、これら両開口の周囲で第1および第2の保持ケースが環状空間を存して対向していると共に、該環状空間に操作体の鍔部と復帰ばねとが配置されていると、別体の第1の保持ケースと第2の保持ケースとを組み合わせることによって所望形状の保持ケースとなすことができるため、該保持ケースの組立性が良好となり安価に形成できる。
【0011】
また、上記の構成において、保持ケースと回転検出機構のステータ部との間に介設されて該保持ケースを昇降可能に保持する弾性部材と、スライド検出機構に付設されて前記回転軸部の先端部と対向するプッシュスイッチとを備えており、前記弾性部材の弾性反発力に抗して操作体を押下させることによって保持ケースが一体的に押下されると共に、前記プッシュスイッチが前記回転軸部の先端部に押圧駆動されるように構成してあると、装置全体の大型化や構造の複雑化を回避しつつ、回転操作とスライド操作に加えて押下操作を行える多機能な複合操作型入力装置が得られる。
【0012】
この場合において、弾性部材が圧縮コイルばねであり、かつ、保持ケースには外周部に該圧縮コイルばねの一端部を保持する環状のばね受け部が設けられていると、押下操作後に圧縮コイルばねによって操作体および保持ケースを初期位置まで確実に押し上げることができると共に、該圧縮コイルばねの組み付けが容易に行えて組み付け後の脱落も防止しやすくなる。
【0013】
また、上記の構成において、操作体の回転軸部に設けた非円柱部を挿通して係合せしめる長孔が設けられた回転伝達部材を備えており、操作体のスライド移動の向きが前記長孔の長手方向に沿うときには前記回転伝達部材に駆動力が伝達されず、該スライド移動の向きがそれ以外のときには前記回転伝達部材にスライド駆動力が伝達されるようになすと共に、保持ケースには前記長孔の短手方向に沿って延びるガイド壁が設けてあり、操作体のスライド駆動力が前記回転伝達部材に伝達されたときには該回転伝達部材が前記ガイド壁に沿って移動するようになし、かつ、操作体の回転動作時には、前記回転伝達部材を介して前記ガイド壁に回転駆動力が伝達されることにより、該回転伝達部材および保持ケースが操作体と一体的に回転するように構成してあると、操作体および保持ケースを一体的に回転させるリンク部材として機能する回転伝達部材が、操作体のスライド操作時には移動しないか、もしくは保持ケースのガイド壁に沿って移動するだけとなるため、保持ケースによってスライド操作が阻害される虞がなくなる。それゆえ、回転操作とスライド操作が円滑に行える簡素で信頼性の高い構造が実現できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の複合操作型入力装置は、回転検出機構のロータ部に包囲された空間にスライド検出機構を配置させており、このスライド検出機構によって操作体のスライド移動を検出するというものなので、装置全体がコンパクトな構成になって小型化が図りやすくなり、かつ、装置全体がモジュール品として実装できるため実装前の取扱い性および実装時の作業性が良好となる。また、操作体の一部を保持ケースから露出させてスライド検出機構の一部と係合させることによって該操作体のスライド移動を検出できるので、スライド検出機構をユニット品としてステータ部に組み付けることが可能となり、それゆえスライド検出機構のバラエティを増やすことが容易となる。
【0015】
発明の実施の形態を図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係る複合操作型入力装置の外観図、図2は該入力装置の平面図、図3は該入力装置を裏面側から見た外観図、図4は該入力装置の分解斜視図、図5は該入力装置を裏面側から見た分解斜視図、図6は該入力装置の断面図、図7は図6と異なる位置で断面した該入力装置の断面図、図8は該入力装置に用いられた駆動ユニットの分解斜視図、図9は該駆動ユニットを裏面側から見た分解斜視図、図10は該入力装置に用いられたスイッチユニットの分解斜視図、図11は該スイッチユニットを裏面側から見た分解斜視図、図12は該スイッチユニットの基台にスイッチ群を取り付けた状態を示す斜視図、図13は該入力装置に用いられたロータリエンコーダの分解斜視図、図14は該ロータリエンコーダを裏面側から見た分解斜視図、図15は該入力装置が非操作状態にあるときの内部構造説明図、図16は該入力装置がスライド操作された状態を示す内部構造説明図である。
【0016】
図1〜図7に示す複合操作型入力装置は、操作体1に対して回転操作と4方向のスライド操作と押下操作とが選択的に行えるという多機能な入力装置であり、図示せぬプリント基板に実装して使用される。この複合操作型入力装置は駆動ユニット2とロータリエンコーダ3とスイッチユニット4と圧縮コイルばね5とによって主に構成されており、操作体1は駆動ユニット2に組み込まれている。また、この複合操作型入力装置の外観は略円柱状であり、操作体1が上面中央部から上方へ突出している。
【0017】
図8と図9に詳細に示すように、駆動ユニット2は、回転軸部1aおよび鍔部1bを有する操作体1と、操作体1をスライド移動可能に保持する第1の保持ケース6および第2の保持ケース7と、長孔8aが設けられた回転伝達部材8と、回転伝達部材8を摺動可能に支持する底板9と、鍔部1bの周囲に配置された環状の復帰ばね10とによって構成されている。
【0018】
操作体1は合成樹脂製であり、回転軸部1aの上部と下部は断面形状が小判形等の互いに平行な外側面を有する非円柱形状部となっており、軸線方向に延びる回転軸部1aの長手方向(軸線方向)の略中央の円柱部分から径方向外側へ鍔部1bが円板状に突設されている。この操作体1は、回転軸部1aの軸心を回転軸線(回転中心線)として回転可能であると共に、回転軸線と直交する平面に沿ってスライド移動可能であり、かつ回転軸線に沿って昇降可能である。ここで、操作体1は、第1および第2の保持ケース6,7を含む駆動ユニット2全体として回転および昇降可能となっている。回転軸部1aの上端側の非円柱形状部には図示せぬ操作ノブが圧入等により冠着可能であり、回転軸部1aの下端側の非円柱形状部は回転伝達部材8の長孔8aに摺動可能に挿通されている。また、鍔部1bは第1および第2の保持ケース6,7間にこれら保持ケース6,7に対してスライド移動可能に保持されている。
【0019】
第1の保持ケース6と第2の保持ケース7は合成樹脂製であり、両保持ケース6,7は底板9と一体化されている。第1の保持ケース6には、回転軸部1aの上端側の非円柱形状部を上方へ突出させる中央開口6aと、裏面側で中央開口6aの周縁部に位置する環状突堤部6bと、円筒状の外壁部6cと、外壁部6cの外側面の複数箇所に突設された抜け止めフック6dと、外壁部6cの底面の複数箇所に垂設されたかしめ突起6eとが形成されており、各かしめ突起6eが第2の保持ケース7および底板9を貫通して該底板9にかしめ固定されている。この第1の保持ケース6よりも大径な第2の保持ケース7には、回転軸部1aの下端側の非円柱形状部を下方へ突出させる中央開口7aと、上面側で中央開口7aの周縁部に位置する環状突堤部7bと、裏面側で中央開口7aを露出させている正方形状の凹所7cと、前記かしめ突起6eを挿通させる複数の挿通孔7eと、各挿通孔7eの径方向外側に立設された係合突部7fと、各係合突部7fを包囲する円筒状の外壁部7gとが形成されている。また、この第2の保持ケース7は、凹所7cの相対向する一対の平行な内壁を、回転伝達部材8の一方向のスライド移動を案内するガイド壁7dとなしていると共に、各係合突部7fと外壁部7gとの間に画成される空間を、圧縮コイルばね5の上端部を保持するばね受け部7hとなしている。すなわち、環状のばね受け部7hが係合部となる複数の係合突部7fと連結された状態で第2の保持ケース7の外周部と一体に設けられている。これら両保持ケース6,7は、第1の保持ケース6の天板部分と第2の保持ケース7の底板部分との間に環状空間Sが画成されるように組み合わされており、この環状空間Sに操作体1の鍔部1bと環状コイルばねからなる復帰ばね10とが配置されている(図6,図7参照)。そして、環状突堤部6bと環状突堤部7bとによって操作体1の鍔部1bがスライド移動可能に保持されていると共に、復帰ばね10が環状突堤部6b,7bによって内方への移動を規制された状態で鍔部1bの外周面に弾接可能となっている。したがって、両保持ケース6,7間で鍔部1bがスライド移動すると、この鍔部1bが復帰ばね10を移動方向へ押し込むため、復帰ばね10に弾性反発力が生起されることとなる。
【0020】
回転伝達部材8は長方形状の金属板からなり、その長手方向に長孔8aが開設されていると共に、長孔8aを挟んで短手方向に延びる一対の突条8bが形成されている。この回転伝達部材8は第2の保持ケース7の裏面側で凹所7c内に配置されて、突条8bを底板9に摺接させた状態で該底板9上に支持されている。回転伝達部材8の長辺は正方形状の凹所7cの一辺の長さと略同等であり、短辺はガイド壁7dに摺接している。これにより、底板9上の回転伝達部材8が凹所7c内でガイド壁7dに沿って安定的にスライド移動できるようになっている。また、回転伝達部材8の長孔8a内には、回転軸部1aの下端側の非円柱形状部が回転不能かつ長手方向に沿ってスライド移動可能に挿通されている。
【0021】
底板9は開口9aを有する略円形の金属板からなり、その外周縁部には複数箇所にかしめ孔9bが形成されている。開口9aには回転軸部1aの下端側の非円柱形状部が遊挿される。各かしめ孔9bには第1の保持ケース6のかしめ突起6eが挿通されており、底板9の裏面側で該かしめ突起6eをかしめ固定することによって、第1および第2の保持ケース6,7と底板9とが位置決め状態で一体化されている。
【0022】
このように構成された駆動ユニット2は、圧縮コイルばね5および円環状のばね受け部材11を介してロータリエンコーダ3に保持されている。図13と図14に詳細に示すように、このロータリエンコーダ3は、筒状体14の裏面側に摺動子15が取り付けられたロータ部12と、導電パターン16や端子17が設けられてロータ部12を回転可能に支持しているステータ部13と、円環状のクリックばね18と、クリックばね18をステータ部13に固定している固定金具19とによって構成されており、前記第1および第2の保持ケース6,7がロータ部12に昇降可能かつ回転不能に連結されている。
【0023】
ロータ部12の筒状体14は合成樹脂製であり、複数箇所に凹状切れ込み14aや縦長スリット14bを有している。ここで、凹状切れ込み14aおよび縦長スリット14bは、駆動ユニット2を昇降可能とするために、ロータ部12の回転軸線方向に沿って切り欠かれた溝部あるいは長孔で構成されている。筒状体14の下端部には鍔状部14cが形成されている。この鍔状部14cの上面側には全周に亘ってクリック突起12aが設けられており、鍔状部14cの裏面側には円環状の摺動子15が固着されている。ステータ部13はインサート成形品であり、ロータ部12の筒状体14の内周面を摺接させる内側円筒部13aと、端子17を外方へ突出させている外側円筒部13bと、両円筒部13a,13bの間に露出する導電パターン16と、導電パターン16から導出された端子17とを有している。なお、内側円筒部13aは中空状の回転軸である筒状体14を回転可能に案内する軸受け部として機能するものである。このステータ部13の両円筒部13a,13bの間にロータ部12の鍔状部14cが挿入されて、摺動子15が導電パターン16に弾接するようになっている。ステータ部13の内側円筒部13aの内周面には、スイッチユニット4を取り付けるための保持突起13cが複数箇所に形成されている。また、外側円筒部13bの外周面から底面に至る複数箇所には、固定金具19の脚片19aをかしめつけるための係合段部13dが形成されている。
【0024】
クリックばね18はロータ部12の筒状体14に外挿されて、その鍔状部14c上に配置されている。固定金具19はクリックばね18上に配置され、複数の脚片19aを係合段部13dに位置合わせしてかしめつけることによって、ステータ部13に固定されている。こうして固定金具19をステータ部13にかしめ固定することにより、外側円筒部13b上にクリックばね18の一対の耳部18aが固定されると共に、当接部18bがクリック突起12aと係脱可能に弾接するようになっている。
【0025】
このように構成されたロータリエンコーダ3の固定金具19上に、ロータ部12の筒状体14に外挿されたばね受け部材11が搭載されて、このばね受け部材11上に筒状体14に外挿された圧縮コイルばね5が搭載されている。また、筒状体14に包囲される空間を蓋閉するように駆動ユニット2が取り付けられており、圧縮コイルばね5の上端部が第2の保持ケース7のばね受け部7hに保持されている。ロータリエンコーダ3に対する駆動ユニット2の取付構造は、第2の保持ケース7の各係合突部7fを筒状体14の各凹状切れ込み14aに嵌入させると共に、第1の保持ケース6の各抜け止めフック6dを筒状体14の各縦長スリット14bの上端部に係止させるというものである。これにより、係合突部7fが凹状切れ込み14aに、抜け止めフック6dが縦長スリット14bにそれぞれ案内され、第1および第2の保持ケース6,7はロータ部12に対してロータ部12の回転軸線方向に沿って昇降可能となる。また、凹凸係合される係合部である係合突部7fと凹状切れ込み14aは略同幅に形成されているため、第1および第2の保持ケース6,7はロータ部12と一体的に回転可能である。なお、駆動ユニット2をロータリエンコーダ3に取り付ける際には、圧縮コイルばね5を押し撓めながら各係合突部7fを上方から各凹状切れ込み14a内へ挿入していき、各抜け止めフック6dを各縦長スリット14bにスナップインさせればよい。これにより、圧縮コイルばね5の弾性反発力で抜け止めフック6dが対応する縦長スリット14bの上端部に係止されるため、第1および第2の保持ケース6,7が抜け止め状態で筒状体14に装着されることとなる。
【0026】
次に、スイッチユニット4の構成について説明する。図10〜図12に詳細に示すように、このスイッチユニット4は、合成樹脂製の基台20と、基台20上に十字状の配置で4個組み付けられた平面視長方形状のプッシュスイッチ21と、基台20上の中央部に組み付けられた平面視正方形状のプッシュスイッチ22と、このプッシュスイッチ22上に載置されたスペーサ23と、基台20の上部平坦面20a上に載置された金属板からなる支持部材24と、支持部材24上にスライド移動可能に搭載された合成樹脂製のスライド伝達部材25と、スライド伝達部材25の外周部を覆うようにして基台20に取り付けられた金属板からなる取付板26とによって構成されている。このスイッチユニット4はロータリエンコーダ3の内方の中空部分に配置されて、基台20がステータ部13に保持・固定されるため、スイッチユニット4の真上に駆動ユニット2が配置されることになる。
【0027】
固定部材である基台20には、スライド検出用の各プッシュスイッチ21および押下検出用のプッシュスイッチ22が配設される十字状の溝部20bが形成されている。この溝部20bによって分割されている上部平坦面20aには、基台20の中央部を挟んで位置する2箇所に規制突起となる規制ピン20cが突設されている。また、基台20の外周面には複数箇所に、ステータ部13の保持突起13cを嵌入させるための嵌合凹部20dと、取付板26の脚片26aを係止するための係止突起20eとが形成されている。基台20に配設された各プッシュスイッチ21の作動部21aは、基台20の径方向内側から外側へ向かう横向きの力を受けると筐体21b内へ没入して接点切換えを行うようになっており、各プッシュスイッチ21の端子部21cは基台20を貫通して下方へ突出している。また、基台20の中央部に配設されたプッシュスイッチ22の作動部22aは、上方からスペーサ23を介して押下されることにより接点切換えを行うようになっており、このプッシュスイッチ22の端子部22bも基台20を貫通して下方へ突出している。
【0028】
支持部材24には、スペーサ23が露出する中央開口24aと、中央開口24aの近傍に穿設されて規制ピン20cが挿通されるピン挿通孔24bと、各プッシュスイッチ21の作動部21aと対向する周縁部の4箇所を切り欠いて該作動部21aを露出させる切欠き部24cとが形成されている。この支持部材24の中央開口24aには操作体1の回転軸部1aの下端側の非円柱形状部が遊挿されて、該回転軸部1aの下端部がスペーサ23を介してプッシュスイッチ22の作動部22aを押圧駆動できるようになっている。
【0029】
スライド伝達部材25は支持部材24よりも小径な円板状の合成樹脂成形品であり、支持部材24の中央開口24aよりも小径な中央開口25aと、中央開口25aの径方向両側に穿設された十字形スリットからなるガイド孔25bと、表裏両面の周縁部の複数箇所に突設された摺動突起25cとが形成されている。図15と図16に示すように、スライド伝達部材25の中央開口25aには操作体1の回転軸部1aの下端側の非円柱形状部が回転可能に嵌入されており、ガイド部であるガイド孔25bには基台20の規制ピン20cが挿通されている。そのため、このスライド伝達部材25は回転軸部1aによってスライド移動可能であると共に、その移動方向が規制ピン20cによって規制されるようになっている。また、スライド伝達部材25の外周面は4個のプッシュスイッチ21の作動部21aと接離可能に対向しており、回転軸部1aに駆動されてスライド伝達部材25がスライド移動すると、その移動方向に位置するプッシュスイッチ21の作動部21aが該スライド伝達部材25の外周面に押し込まれて該プッシュスイッチ21がオン動作するようになっている。ただし、スライド伝達部材25のスライド移動量は、その中央開口25aが取付板26の後述する中央開口26cから外れない範囲内に設定されている。また、図6と図7に示すように、このスライド伝達部材25は、表裏両面の摺動突起25cを取付板26と支持部材24に摺接させているため、上下方向にガタを生じることなく円滑にスライド移動させることができる。
【0030】
取付板26には、係止孔26bが穿設された複数の脚片26aと、スライド伝達部材25の中央開口25aを常時露出させる中央開口26cとが形成されており、中央開口26cには操作体1の回転軸部1aの下端側の非円柱形状部が遊挿される。この取付板26は、各脚片26aの係止孔26bに基台20の係止突起20eを挿入して係止させることにより、スライド伝達部材25の高さ位置を規定した状態で基台20に取り付けられている。
【0031】
以下、上記の如くに構成された複合操作型入力装置の動作について説明する。まず、操作体1が回転操作された場合の動作について説明すると、回転軸部1aが回転伝達部材8の長孔8aに回転不能に挿通されているため、回転操作力が付与された操作体1と一体的に回転伝達部材8が回転し、この回転伝達部材8がガイド壁7dを介して第1および第2の保持ケース6,7を回転駆動する。また、第2の保持ケース7(係合突部7f)はロータリエンコーダ3のロータ部12(凹状切れ込み14a)と回転不能に凹凸係合しているため、結局、ロータ部12が操作体1と一体的に回転することになり、導電パターン16に対する摺動子15の位置変化に基づいて操作体1の回転動作が検出される。なお、ロータ部12の回転時にはクリックばね18の当接部18bがクリック突起12a群と係脱するため、操作体1を回転操作する操作者の手指にはクリック感が感得される。
【0032】
次に、操作体1がスライド操作された場合の動作について説明する。図15は非操作時における回転軸部1aとスイッチユニット4の位置関係を示しており、図示省略されている回転伝達部材8の長孔8aは同図の上下方向に延びている。したがって、操作体1が長孔8aの長手方向に沿ってスライド操作されると、回転軸部1aは長孔8aに沿って移動するため、回転伝達部材8にはスライド駆動力が伝達されないが、スライド伝達部材25の中央開口25aの周縁部が回転軸部1aに駆動されるため、このスライド伝達部材25が操作体1と同じ向き(図15の上方または下方)へスライド移動する。その結果、スライド移動方向に位置するプッシュスイッチ21の作動部21aがスライド伝達部材25に押圧駆動されて、該プッシュスイッチ21がオン動作するため、操作体1がどの向きへスライド操作されたのかが検出される。また、操作体1が長孔8aの短手方向に沿ってスライド操作されたときには、回転伝達部材8は回転軸部1aに駆動されるため、第2の保持ケース7に阻害されることなくガイド壁7dに沿ってスライド移動することとなり、それゆえスライド伝達部材25が回転軸部1aに駆動されて操作体1と同じ向き(図15の右方または左方)へスライド移動する。その結果、例えば図16に示すように、スライド移動方向に位置するプッシュスイッチ21の作動部21aがスライド伝達部材25に押圧駆動されて、該プッシュスイッチ21がオン動作するため、操作体1がどの向きへスライド操作されたのかが検出される。また、かかるスライド操作時に操作体1の鍔部1bが環状の復帰ばね10を伸長させるため、スライド操作力が除去されると、復帰ばね10の弾性復帰力によって操作体1は元の位置まで自動復帰する。なお、スライド伝達部材25がスライド移動すると、ガイド孔25bに沿って規制ピン20cが相対的に移動して移動方向を規制するため、スライド操作時に操作体1やスライド伝達部材25が不所望方向へスライド移動する虞はない。なお、スライド伝達部材25のスライド移動方向を位置規制するために、スリット状のガイド孔25bに代えて平面視同形状の有底のガイド溝を設け、このガイド溝に基台20等の固定部材に突設した適宜形状の規制ピンを係合させるようにしてもよい。
【0033】
次に、操作体1が押下操作された場合の動作について説明する。図6と図7から明らかなように、押下操作された操作体1は圧縮コイルばね5を押し撓めながら第1および第2の保持ケース6,7と一体的に下降するため、回転軸部1aの下端部がスペーサ23を介して中央のプッシュスイッチ22の作動部22aを押圧駆動する。その結果、プッシュスイッチ22がオン動作するため、操作体1に対する押下操作が検出される。また、かかる押下操作力が除去されると、圧縮コイルばね5の弾性復帰力によって操作体1と第1および第2の保持ケース6,7は元の高さ位置まで押し上げられる。
【0034】
このように本実施形態例に係る複合操作型入力装置は、操作体1をスライド移動可能に保持する第1および第2の保持ケース6,7とロータリエンコーダ3のロータ部12とが、係合突部7fを凹状切れ込み14aに嵌入させることによって凹凸係合させてあり、回転操作時に操作体1と両保持ケース6,7とロータ部12とが一体的に回転するようにしてあるため、操作体1の回転動作をロータリエンコーダ3によって瞬時に検出することができ、それゆえ使い勝手が良好となる。また、操作体1とロータ部12の回転量がずれる虞がなくなるため、回転検出の信頼性が高まっている。なお、両保持ケース6,7とロータ部12との係合構造は適宜選択可能であり、例えば、ロータ部12側に突部を設け、保持ケース6,7側に凹部を設けるようにして凹凸関係が本実施形態例とは逆であってもよい。
【0035】
また、この複合操作型入力装置の駆動ユニット2には、回転軸部1aおよびガイド壁7dと係合して回転操作時に操作体1と第1および第2の保持ケース6,7と一体的に回転する回転伝達部材8が組み込まれている。この回転伝達部材8は、操作体1のスライド操作時には移動しないか、もしくはガイド壁7dに沿って移動するだけなので、両保持ケース6,7によってスライド操作が阻害されることはない。このように、操作体1および両保持ケース6,7を一体的に回転させるリンク部材として回転伝達部材8を用いていることから、回転操作とスライド操作が円滑に行える簡素で信頼性の高い構造が実現されている。
【0036】
また、この複合操作型入力装置では、操作体1の鍔部1bが環状突堤部6b,7bによってスライド移動可能に保持されていると共に、環状突堤部7bの裏面側の凹所7cに回転伝達部材8を配置させて鍔部1bとの干渉を確実に回避しているため、操作体1を円滑にスライド移動させることができる。なお、本実施形態例のように、別体の第1の保持ケース6と第2の保持ケース7とを組み合わせて、両保持ケース6,7間の環状空間Sに操作体1の鍔部1bと環状の復帰ばね10とを配置させるという構造にしてあると、操作体1をスライド移動可能に保持できて復帰ばね10も容易に組み込めるという所望の保持ケースが安価に形成できる。
【0037】
また、本実施形態例に係る複合操作型入力装置では、第1および第2の保持ケース6,7と一体的に回転するロータ部12の内方の中空部分にスイッチユニット4を配置させ、その基台20をステータ部13にて保持・固定するという構造を採用している。このように駆動ユニット2を保持するロータリエンコーダ3の内部空間に、スライド操作や押下操作を検出するスイッチユニット4が組み込んであると、コンパクトな構成が実現できるため、複合操作型入力装置の小型化が図りやすくなる。また、装置全体をモジュール品としてプリント基板に実装できるため、実装前の取扱い性および実装時の作業性が良好となる。
【0038】
また、この複合操作型入力装置では、操作体1の回転軸部1aがスイッチユニット4のスライド伝達部材25の中央開口25aに回転可能に嵌入させてあり、スライド操作時に操作体1と一体的にスライド移動するスライド伝達部材25によってプッシュスイッチ21の接点切換えが行われるようになっている。それゆえ、スライド駆動力の伝達経路を簡素化できて、スライド検出の信頼性が高めやすくなっている。
【0039】
また、本実施形態例のようにスライド操作や押下操作を検出する機構がユニット化されており、該ユニット品(スイッチユニット4)がロータリエンコーダ3の内部空間に組み込めるようになっていると、該ユニット品のバラエティを増やすことが容易となる。例えば、スイッチユニット4に前記スライド伝達部材25に代えて図17に示すようなスライド伝達部材30を組み込んでおけば、操作体1のスライド検出方向を増やして分解能を高めることができる。すなわち、操作体1の回転軸部1aを図17の上下左右のいずれかへスライド移動させたときには、前述したスライド操作時の動作と同様にスライド移動方向に位置するプッシュスイッチ21がスライド伝達部材30を介して個別にオン動作されるが、回転軸部1aを図17の斜め上方や斜め下方へスライド移動させたときには、図18に一例を示すように、スライド移動方向の近傍に位置する2個のプッシュスイッチ21がスライド伝達部材30を介して共にオン動作される。したがって、4個のプッシュスイッチ21のうち、どの1個または2個がオン動作されたかに基づいて、操作体1の8方向のスライド操作を検出することが可能となる。なお、図17と図18において、符号30aはスライド伝達部材30の中央開口、30bはスライド伝達部材30の表裏両面の周縁部に突設された環状の摺動突部であって、図15と図16と対応する部分には同一符号が付してある。
【0040】
また、本実施形態例にあっては、駆動ユニット2とロータリエンコーダ3との間に圧縮コイルばね5が介設されていると共に、スイッチユニット4の基台20に回転軸部1aによって押圧駆動可能なプッシュスイッチ22が配設されているため、装置全体の大型化や構造の複雑化を回避しつつ、回転操作とスライド操作に加えて押下操作が行える多機能な複合操作型入力装置が実現されている。しかも、押下操作時に復帰ばねとして機能する圧縮コイルばね5は第2の保持ケース7のばね受け部7hとステータ部13上のばね受け部材11との間に組み込まれているので、組み付けが容易に行えて組み付け後の脱落も防止しやすい。さらに、環状のばね受け部7hは複数の係合突部7fで連結された状態で保持ケース7の外周部に設けられているため、保持ケース7にばね受け部7hを連結させるための部材を係合突部7fで兼ねることができると共に、両者が同一部材であることから、簡単な構成で精度良くばね受け部7hを保持ケース7に設けることができる。また、プッシュスイッチ22がスライド検出用の各プッシュスイッチ21の取付位置に悪影響を及ぼす虞もない。
【0041】
ただし、操作体の押下操作が不要な複合操作型入力装置に本発明を適用してもよく、その場合は、操作体をスライド移動可能に保持する保持ケースをロータリエンコーダのロータ部に昇降不能に凹凸係合させると共に、圧縮コイルばねや押下検出用のプッシュスイッチ等を省略した構成にすればよい。その際、操作体1とスライド伝達部材25との係合関係を逆にしてもよい。すなわち、スライド伝達部材25の上面の中央部に非円柱形状の突起を突出させ、操作体1の鍔部1bの中央部に該突起が挿入される円形状の凹部を設けることにより、操作体1のスライド移動をスライド伝達部材25に伝達するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態例に係る複合操作型入力装置の外観図である。
【図2】該入力装置の平面図である。
【図3】該入力装置を裏面側から見た外観図である。
【図4】該入力装置の分解斜視図である。
【図5】該入力装置を裏面側から見た分解斜視図である。
【図6】該入力装置の断面図である。
【図7】図6と異なる位置で断面した該入力装置の断面図である。
【図8】該入力装置に用いられた駆動ユニットの分解斜視図である。
【図9】該駆動ユニットを裏面側から見た分解斜視図である。
【図10】該入力装置に用いられたスイッチユニットの分解斜視図である。
【図11】該スイッチユニットを裏面側から見た分解斜視図である。
【図12】該スイッチユニットの基台にスイッチ群を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図13】該入力装置に用いられたロータリエンコーダの分解斜視図である。
【図14】該ロータリエンコーダを裏面側から見た分解斜視図である。
【図15】該入力装置が非操作状態にあるときの内部構造説明図である。
【図16】該入力装置がスライド操作された状態を示す内部構造説明図である。
【図17】スイッチユニットの変形例を示す非操作状態の内部構造説明図である。
【図18】図17に示すスイッチユニットの動作を示すスライド操作状態の内部構造説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 操作体
1a 回転軸部
1b 鍔部
2 駆動ユニット
3 ロータリエンコーダ
4 スイッチユニット
5 圧縮コイルばね
6 第1の保持ケース
6a 中央開口(第1の開口)
6b 環状突堤部
7 第2の保持ケース
7a 中央開口(第2の開口)
7b 環状突堤部
7d ガイド壁
7f 係合突部
8 回転伝達部材
8a 長孔
9 底板
10 復帰ばね
11 ばね受け部材
12 ロータ部
13 ステータ部
13c 保持突起
14 筒状体
14a 凹状切れ込み
15 摺動子
18 クリックばね
19 固定金具
20 基台(固定部材)
20c 規制ピン(規制突起)
20d 嵌合凹部
21 (スライド検出用)プッシュスイッチ
22 (押下検出用)プッシュスイッチ
24 支持部材
25,30 スライド伝達部材
25a 中央開口
25b ガイド孔(ガイド部)
25c 摺動突起
26 取付板
S 環状空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能かつ回転軸線と直交する多方向へスライド移動可能な操作体と、この操作体をスライド移動可能に保持すると共に該操作体と一体的に回転可能な保持ケースと、前記操作体のスライド移動に伴って接点切換えが行われる複数のスイッチ素子を基台に配設したスライド検出機構と、ロータ部と該ロータ部を回転可能に支持するステータ部とを有して前記操作体の回転動作を検出する回転検出機構とを備え、
前記回転検出機構の前記ロータ部が前記保持ケースと一体的に回転可能な筒状部を有し、該筒状部の内方の中空部分に前記スライド検出機構を配置させて、前記基台を前記ステータ部で保持する構成としたことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記スライド検出機構が、前記操作体のスライド駆動力が伝達されるように前記操作体と係合するスライド伝達部材と、該スライド伝達部材をスライド移動可能に支持する支持部材とを有しており、前記操作体に駆動されて一体的にスライド移動する前記スライド伝達部材によって前記スイッチ素子の接点切換えが行われるように構成したことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記スライド伝達部材の中央部に設けられた開口に前記操作体の回転軸部を回転可能に挿通させることによって、前記操作体のスライド移動時に該回転軸部が該開口の周縁部を駆動するようにしたことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記スライド検出機構の構成要素である固定部材に、前記スライド伝達部材に設けられたスリット状または溝状のガイド部に係合して該スライド伝達部材のスライド移動方向を規制する規制突起を突設したことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項の記載において、前記操作体には回転軸部の周囲に径方向外側へ突出する鍔部が設けてあり、かつ、前記保持ケースには前記回転軸部の一端側を外方へ突出させる第1の開口と他端側を逆向きに突出させる第2の開口とが設けてあり、前記第1の開口の周縁部分と前記第2の開口の周縁部分との間に前記鍔部をスライド移動可能に配置させていると共に、前記鍔部の周囲に復帰ばねを配置させており、前記操作体のスライド移動時に前記鍔部が前記復帰ばねを弾性変形させるように構成したことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項6】
請求項5の記載において、前記保持ケースが、前記第1の開口が設けられた第1の保持ケースと、前記第2の開口が設けられた第2の保持ケースとを有し、前記両開口の周囲で前記第1および第2の保持ケースが環状空間を存して対向していると共に、該環状空間に前記鍔部と前記復帰ばねとが配置されていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1項の記載において、前記保持ケースと前記ステータ部との間に介設されて該保持ケースを昇降可能に保持する弾性部材と、前記スライド検出機構に付設されて前記回転軸部の先端部と対向するプッシュスイッチとを備えており、前記弾性部材の弾性反発力に抗して前記操作体を押下させることによって前記保持ケースが一体的に押下されると共に、前記プッシュスイッチが前記回転軸部の先端部に押圧駆動されるように構成したことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項8】
請求項7の記載において、前記弾性部材が圧縮コイルばねであり、かつ、前記保持ケースには外周部に該圧縮コイルばねの一端部を保持する環状のばね受け部が設けられていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項の記載において、前記操作体の回転軸部に設けた非円柱部を挿通して係合せしめる長孔が設けられた回転伝達部材を備えており、前記操作体のスライド移動の向きが前記長孔の長手方向に沿うときには前記回転伝達部材に駆動力が伝達されず、該スライド移動の向きがそれ以外のときには前記回転伝達部材にスライド駆動力が伝達されるようになすと共に、前記保持ケースには前記長孔の短手方向に沿って延びるガイド壁が設けてあり、前記操作体のスライド駆動力が前記回転伝達部材に伝達されたときには該回転伝達部材が前記ガイド壁に沿って移動するようになし、かつ、前記操作体の回転動作時には、前記回転伝達部材を介して前記ガイド壁に回転駆動力が伝達されることにより、該回転伝達部材および前記保持ケースが前記操作体と一体的に回転するように構成したことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項の記載において、前記ロータ部と前記ステータ部は、いずれか一方が摺動子を有し、いずれか他方が該摺動子と摺接する導電パターンを有することを特徴とする複合操作型入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−171680(P2008−171680A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3723(P2007−3723)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】