説明

複合材料およびその利用法

【課題】複合材料およびその利用法を提供する。
【解決手段】構造部、多孔質部、および互いに隔てて配置されて且つ構造部から多孔質部まで延びていて、そのため構造部と多孔質部とを互いに接続する少なくとも2つの相互接続部を有する複合材料、各相互接続部が、幅および高さが独立して長さの最大でも20%である長さ、幅および高さを有する帯状であって、且つ、前記相互接続部の少なくとも1つが少なくとも部分的に構造部および多孔質部に埋め込まれている、インプラント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨および軟骨の復元やインプラントに有用である、構造部、多孔質部、および少なくとも2つの相互接続部を含み、前記相互接続部が互いに隔てて配置されて且つ構造部から多孔質部まで延びていて、そのため構造部と多孔質部とを互いに接続する複合材料に関する。また、本発明は、構造部、多孔質部および少なくとも2つの相互接続部を有する複合材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子フィラー又は強化用繊維で作製された強化複合材料の使用は歯科分野および医療分野において好評を博してきた。すでに、いくつかの繊維強化複合材料が知られている。最新式の繊維強化複合材料は高強度特性を生じさせ、そして複合材料用の多相樹脂マトリックスを選択することにより複合材料のハンドリング特性は大幅に改良され得る。これらは、例えば、国際特許公開第1996/25911号および国際特許公開第1999/45890号に記載されている。
【0003】
他方、生物活性材料、すなわち、生物活性のセラミックおよびガラスそしてゾル−ゲル法シリカを使って多くの開発が起った。これらの材料は、材料が組織と接触した後、例えば生体材料への骨の付着を達成するために用いられ得る。生物活性ガラスのさらなる利点は、例えば骨の洞内に存在する微生物への抗菌効果である。これらの特性はいくつかの論文や特許公開公報、例えば国際特許公開第1996/21628号およびゼーンダーらのJ Endod 2004 Apr;30(4):220−4に記載されている。
【0004】
外科手術の観点からは、生体材料研究およびその臨床応用法や再生医療の進展にもかかわらず、腫瘍、外傷および組織の再生手術における骨、軟骨および軟部組織の個別の置換は不十分である。新しい種類の材料の開発にとっての必要性および傾向は同種移植片の使用による不利益に起因している。伝染性疾患(HIV、クロイツフェルト・ヤコブ病など)のリスクは同種移植に関係している。金属は生物活性的でなく骨誘導的でもなく、そしてその使用は隣接骨の応力遮蔽現象および骨萎縮をもたらす。また、金属インプラントは、患者の病気診断時に磁気共鳴映像(MRI)での深刻な問題を引き起こす。これらの主要な不利益は多くの臨床シリーズによく記録されている。他方、幹細胞に基づく治療は組織損傷を治療するための1つの選択になっている。大きな再建例における幹細胞治療は特定の空隙率を有する骨格の使用を必要としている。現在、骨格は生分解性のポリマーで作製されていて、非吸収性多孔質繊維強化複合材料は繊維複合体インプラントによる再生治療幹細胞および再建治療を組み合わせるためには用いられていなかった。
【0005】
米国特許公開第2007/0061015号は層状構造を有する骨および組織再生用の生体適合性器具を開示している。前記層状構造は器具の外表面に細長い片を追加することによって強化され得る。米国特許公開第2004/0258732号では、インプラント材料は多孔質物品と多孔質物品を貫通するピンとを組み合わせて作製されている。
【0006】
生物活性材料および擬骨構造を有する様々な異なる複合材料が例えば国際特許公開第2004/103319号および国際特許公開第2005/118744号に示されている。この材料を使って生じた問題は不十分な機械的強度である。この材料が原因となる他の問題は、耐荷重性材料に対する多孔質材料(マトリックス樹脂の低い程度の含浸を有する)の弱い付着力である。また、さらなる問題は、骨導電率を高めるために材料に加えられる粒子が最終の位置に入れられる前に緩みを生じそして材料から消失する傾向があるということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前述の欠点を有しない又は少なくともこれらの不利益が最小化された生物学的適合性の材料を提供することである。
特に、本発明の目的は、医学的、歯科および外科用途、例えば骨移植術に有用な材料を提供することである。
本発明のさらなる目的は、良好な機械的特性を有し且つ付加的な粒子が安全な方法で用いられ得る材料および複合材料を提供することである。
さらに、幹細胞播種用の足場として用いられ得るインプラント構造を提供することが本発明の1つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、構造部、多孔質部、および互いに隔てて配置され且つ構造部から多孔質部まで延びていて、そのため構造部と多孔質部とを互いに接続する少なくとも2つの相互接続部を有する複合材料に関する。本発明による典型的な複合材料において、各相互接続部は、幅および高さが独立して長さの最大でも20%である長さ、幅および高さを有する帯状であって、且つ相互接続部の少なくとも1つが少なくとも部分的に構造部および多孔質部に埋め込まれている。
また、本発明は、歯科および医学的応用における複合材料の利用法に関する。
また、本発明は、構造部、多孔質部および少なくとも2つの相互接続部を有する複合材料の製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1の実施態様による複合材料の試験を示す。
【図2a】図2aは、本発明の第2の実施態様による複合材料を示す。
【図2b】図2bは、本発明の第2の実施態様による複合材料を示す。
【図3】図3は、本発明の第3の実施態様による複合材料を示す。
【図4】図4は、本発明の第4の実施態様によるインプラントおよびその利用法を示す。
【図5】図5は、本発明の第5の実施態様によるインプラントおよびその利用法を示す。
【図6】図6は、本発明の第6の実施態様によるインプラントおよびその利用法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、特許請求の範囲の独立した請求項に規定されている。
本発明は、構造部、多孔質部、および互いに隔てて配置され且つ構造部から多孔質部まで延びていて、そのため構造部と多孔質部とを互いに接続する少なくとも2つの相互接続部を有する複合材料に関する。本発明による典型的な複合材において、各相互接続部は、幅および高さが独立して長さの最大でも20%である長さ、幅および高さを有する帯状であって、且つ相互接続部の少なくとも1つが少なくとも部分的に構造部および多孔質部に埋め込まれている。
【0011】
本発明の複合材料の異なる部材である構造部、多孔質部および相互接続部は全て本発明の複合材料の不可欠な部分を形づくる。それゆえ、本発明は、前記の目的を満足させる、すなわち、本発明は、医療、歯科および外科用途、例えば骨移植術に役立ち、下記の実験に示されるように良好な機械的特性を示し、そして付加的な粒子が安全な方法で用いられ得る、材料を提供する。
【0012】
本発明の複合材料の多孔質部は新しい骨、軟骨等の成長を増進する、そして構造部は機械的強度を提供する。そして、相互接続部は、これら2つの部材を結び付け且つ複合材料にせん断強さをもたらし、また本発明の複合材料の圧縮強度と引張り強度の増大をもたらす。本発明のさらなる利点は、実際の骨に非常によく似たインプラント材料の製造を可能とする、すなわち同種移植片の使用を避けることを可能とすることである。他方、従来の金属インプラントは磁気共鳴映像の増大により益々望ましくなくなっている。それゆえ、本発明は、安全(同種移植片を用いる汚染のリスクがない)で且つ現在用いられている映像システムと干渉する(金属がそうである)ことのない材料を提供する。
【0013】
本発明および帯状の相互接続部を使用するさらなる利点は、ピンよりも良好な補強効果を与えることである。さらに、前記帯の使用は、治療の間の毛細管力の使用を可能とし、それゆえインプラントへの血流を向上させそして細胞増殖を導く。
【0014】
本発明の複合材料の多孔質部は、身体に導入された後、骨あるいは軟骨にインプラントの取付け具を固定する、インプラントへの胚、造血又は間葉幹細胞の播種を可能にする。それゆえ、本発明の材料は、再建医療において非金属繊維強化複合材料との併用で再生医療での幹細胞の使用を可能にする。
【0015】
本明細書において、硬化とは重合および/又は架橋を意味する。マトリックスとは組成物の連続相と理解し、そして未硬化マトリックスとは変形可能な状態にあるが実質的に変形不可能な状態に硬化、すなわち硬くされ得るマトリックスを意味する。未硬化マトリックスはすでにいくつかの長鎖を含むが実質的にはまだ重合されていないおよび/又は架橋されていない。プリプレグとは、半製品の生成物、すなわち重合されていない又は部分的にのみ重合されているが、まだ変形可能である生成物を意味する。前記重合、すなわち樹脂の硬化は複合材料をもたらす。
【0016】
前記の相互接続部は帯、例えば、細長い一片、棒又はシリンダー状である。それは直線あるいは曲線のいずれでもあり得て、例えば、それは患者の中に一度位置付けされるとインプラント内で成長する血管の形状に追随できる。好適な態様によれば、前記の相互接続部は、血管および骨が典型的には相互接続部を通って成長せず、血管、特に大血管がその間で自然に成長するように配置されている。最適には、インプラントの外側表面は組織の内部成長を妨げるように、相互接続部の外周面と類似の材料で被覆されていない。好適には、前記の外側表面は、体液がインプラント内を流れることを可能にするために穴を開けた高密度材料の層で覆われている。経時とともに、この層は分解する。
【0017】
本発明の1つの実施態様によれば、相互接続部の幅および高さは独立して相互接続部の長さの最大でも15%である。それゆえ、前記長さは相互接続部の最大寸法である。実際、相互接続部の長さは完成したインプラントの寸法に依存する。
【0018】
本発明の1つの実施態様によれば、前記構造部および前記多孔質部はいずれも繊維とマトリックスとを含む。さらに他の実施態様によれば、構造部の体積当たりの繊維の量は多孔質部の体積当たりの繊維の量より多い。さらに、構造部の体積当たりのマトリックスの量は多孔質部の体積当たりのマトリックスの量より多い。
それゆえ、構造部は好適には多孔質部よりも高い密度を有し、且つマトリックスを形成している樹脂による繊維の含浸率は多孔質部におけるよりも高い。両方の部材の含浸率は5〜100%で変わり得る。
【0019】
1つの実施態様によれば、相互接続部はマトリックス、すなわちポリマーからなる。他の実施態様によれば、相互接続部はさらに充填材およびマトリックスを含む。それゆえ、相互接続部は、充填ポリマーで作製されているかあるいは強化材料、例えば繊維を含み得て、そして相互接続部は複合材料で作製され得る。好適には、互いにそれぞれ離れている2つより多い相互接続部が存在する。この距離は、例えば1〜100mmであり得る。複数の相互接続部間の適した距離は0.5、1、3、6、10、15、25、30、35、40又は50mmから3、5、10、14、15、20、30、40、55、65、80又は100mm以下である。複数の相互接続部の分布は一様で且つ均一であり得るが、2つの特定の相互接続部間の距離は他の特定の2つの相互接続部間の距離と同一である必要はない。複数の相互接続部の相互からの距離は、当初の骨および骨構造を想定するために用いられそして治療の間インプラント内での毛細管力への重要な影響を有する。
【0020】
複数の相互接続部は、多孔質部から構造部に延びていて、そして好適には複合材料の厚さと同じ高さ(厚さ)を有する、すなわち、相互接続部は複合材料の全厚さに延びている。本発明の複合材料の厚さは、例えば0.05〜5mmあるいはそれ以上であり得る。
【0021】
本発明の1つの好適な実施態様によれば、構造部、多孔質部および相互接続部のマトリックスは、異なる量で同じ成分からなる。これが、マトリックスの化学的構造が同一であるため部材間の結合を促進する。この1つの例が実施例の部に示される。
【0022】
本発明による複合材料が使える状態であるとき、少なくとも1つのマトリックスの少なくとも一部は、複合材料が望ましい形状に形作られることを可能とするために部分的に未硬化であり得る。また、その形作りは複合材料の実際の使用の前、例えば治療される欠陥を型再建のときになされ得る。
【0023】
前記繊維は、それ自体公知の任意の適した繊維であり得て、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、炭素/黒鉛繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、ザイロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、例えばテフロン(登録商標)繊維、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)繊維、ポリ(2,6−ジイミダゾ(4,5−b4’,5’−e)ピリジニレン−1,4(2,5−ジヒドロ)フェニレン繊維、ポリオレフィン繊維、複数のオレフィンのコポリマーから合成した繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)繊維およびポリ(2,6−ジイミダゾ(4,5−b4’,5’−e)ピリジニレン−1,4(2,5−ジヒドロ)フェニレン繊維は剛体棒ポリマー繊維と呼ばれる群に属している。望ましい機械的特性を達成するために、前記繊維とマトリックス間の適した接着力を得ることが可能であるならば、本発明において任意の他の公知の繊維が用いられ得るということは当業者にとって明らかである。好適には、ガラス繊維は歯科用途で用いられる。荷重負担能力が必要である用途では、持続的な生物学的安定繊維が好適である。
【0024】
本発明の1つの実施態様によれば、前記繊維は、不活性ガラス繊維、生物活性ガラス繊維、シリカ繊維、石英繊維、セラミック繊維、炭素/黒鉛繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)繊維、ポリ(2,6−ジイミダゾ(4,5−b4’,5’−e)ピリジニレン−1,4(2,5−ジヒドロ)フェニレン繊維、ポリオレフィン繊維、複数のオレフィンのコポリマーから合成した繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリル繊維、ゾル−ゲル処理したシリカ繊維、コラーゲン繊維、セルロース繊維、変性セルロース繊維およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0025】
前記繊維は、連続繊維、繊維織物、繊維織り、繊維マット、短繊維およびそれらの混合物状であり得て、そして繊維は1つの方向、2つの方向、3つの方向、4つの方向に配向されているか、不規則配向であるかあるいはそれらの混合物であり得る。
【0026】
1つの実施態様によれば、前記構造部の繊維は、織物あるいは一方向繊維のロービング状である。前記多孔質部の繊維は、例えばチョップ(短)繊維、任意配向繊維、織物あるいは立体繊維織り状である。
【0027】
前記マトリックスは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、スチリルアクリレート、アリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート、ジウレタンジメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)、メタクリレート官能基化デンドリマー、他のメタクリル化超分散オリゴマー、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンジメタクリレート、エチレンジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジ−2−メタクリルオキシエチル−ヘキサメチレンジカルバメート、ジ−2−メタクリルオキシエチル−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、ジ−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルベンゼンジカルバメート、ジ−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルシクロヘキサンジカルバメート、メチレン−ビス−2−メタクリルオキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−ヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルベンゼンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルシクロヘキサンジカルバメート、メチレン−ビス−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−ヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルベンゼンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルシクロヘキサンジカルバメート、メチレン−ビス−2−メタクリルオキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−ヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルベンゼンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルシクロヘキサメチレンジカルバメート、メチレン−ビス−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−4−シクロヘキシルジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルベンゼンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルシクロヘキサンジカルバメート、メチレン−ビス−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)フェニル]プロパン(BisGMA)、2,2’−ビス(4−メタクリルオキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリルオキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス[4(2−ヒドロキシ−3−アクリルオキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス[3(4−フェノキシ)−2−ヒドロキシプロパン−1−メタクリレート]プロパン、2,2’−ビス[3(4−フェノキシ)−2−ヒドロキシプロパン−1−アクリレート]プロパンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含み得る。
【0028】
また、前記マトリックスは、架橋性モノマーあるいはポリマー、例えばε−カプロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリラクチド、ポリヒドロキシプロリン、そして他のバイオポリマーおよびポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、他のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、多糖、ポリアクリロニトリル、ポリ(メチルメタクリレート)、フェノール−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、および尿素−ホルムアルデヒドから作製され得る。また、前記マトリックスは当然のことながら1種(複数)のモノマーおよび1種(複数)のポリマーの混合物であり得る。
【0029】
また、5〜35の官能基(又はそれより多い)、例えばメタクリレート基あるいはアクリレート基を有するデンドリマーも用いられ得る。多機能性は高度に架橋されたマトリックスを形成しそして長期間使用におけるポリマーのクリープを低減する。前記デンドリマーの機能性はデンドリマーに基づくインプラントからの局所的、緩やかな薬の放出を可能にするためにデンドリマーに基づくポリマーに薬物分子を付着させるのに適するように変えられ得る。適したデンドリマーの例が例えば米国特許第5834118号(参照により本明細書に引用される)に記載されている。デンドリマーは特に星形又は超分岐メタクリレート化ポリエステルであり得る。
【0030】
本発明の1つの実施態様によれば、前記マトリックスはモノ−、ジ−、又は多官能性のアクリレート、エポキシ、デンドリマー、超分岐反応性ポリマー、それらの組合せ等から作製され得る。例えば、前記マトリックスはモノ−、ジ−および多官能性アクリレート、モノ−、ジ−および多官能性メタクリレート、エポキシ、星形メタクリレート化ポリエステル、超分岐メタクリレート化ポリエステルおよびそれらの混合物からなる群から選択され得る。任意的に、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルケトン、ポリラクチド、ε−カプロラクトン又はそれらの組合せ等のポリマーが用いられ得る。また、モノマーとポリマーとの組み合わせを用いることが適している。
【0031】
歯科用途においては、差し当たって、重合前にゲル状マトリックスを形成するため、マトリックスとしてジメタクリレートをポリメチルメタクリレートと組み合わせて用いることが好適である。前記マトリックスは、臨床的な必要性次第で構造上、高密度であるかあるいは細孔および穴を含有し得る。骨内部成長が考慮されるときは、骨内用途にとって最適な細孔の大きさは100〜500μmであるが、複合材料は任意的に直径が最大で5mmの穴を含有し得る。
【0032】
本発明の1つの実施態様によれば、前記マトリックス材料はトリエチレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシ)フェニル)プロパン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ウレタンジメタクリレート、星形メタクリレート化ポリエステル、超分岐メタクリレート化ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルケトン、ポリラクチド、ε−カプロラクトン、ポリ−OH−プロリンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0033】
本発明による複合材料は、さらに修飾粒子を含有し得る。この修飾粒子は例えば生物活性であり得て、そして例えば複合材料の骨導電率を改良し得る。前記粒子は微粒子フィラーあるいは繊維状であり得る。この修飾粒子の複合材料中の重量百分率は例えば10〜60重量%、例えば5、10、15、20、35又は50重量%から10、15、20、35、50、55、60又は75重量%以下であり得る。
【0034】
1つの実施態様によれば、前記修飾粒子は、生物活性セラミック、生物活性ガラス、シリカゲル、チタンゲル、シリカキセロゲル、シリカエーロゲル、ナトリウムシリカガラス、チタンゲル、生物活性ガラスアイオノマー、ヒドロキシアパタイト、Ca/Pドープシリカゲルおよびそれらの混合物からなる群から選択される。また、当然のことながら前記材料の任意の組合せが用いられ得る。迅速な無機化が必要であるときは、複合材料の多孔質部上にゾル−ゲル処理したシリカ粒子を用いた生物活性ガラスを有することが好適である。
【0035】
本発明による複合材料は、さらに微粒子フィラー材料、例えば不活性ガラス、生物活性ガラス、金属酸化物、セラミック、ポリマーおよびそれらの混合物を含み得る。金属酸化物は、例えば電波あるいはX線を通さない材料として若しくは着色材料として用いられ得る。例えば、完成素子の最終外側表面を作製するために、さらに他の材料で複合材料を被覆することが必要でないように複合材料を作製することが可能である。
【0036】
また、前記複合材料は治療的に活性な剤又は細胞、例えば幹細胞を含み得る。造血骨髄細胞、線維芽細胞、骨芽細胞、再生細胞、ES細胞のような幹細胞、間充織幹細胞あるいは脂肪幹細胞を含むある種の細胞が複合材料に播種され得る。前記ES細胞はヒト由来であってもよくそうでなくてもよい。複合材料に播種された幹細胞は、最終位置に形成される組織を導入する前に生体外生物反応器で、体の他の部分で、あるいは再生および再建治療が必要である個所で直接に培養され得る。また、前記複合材料は処理性を高める添加剤、例えば重合開始剤を含み得る。前記複合材料の材料はバイオ吸収性、バイオ分解性、バイオ安定性のもの又はこれらの混合物であり得る。
【0037】
前記複合材料の曲げ強度は複合材料の高密度部に起因して例えば5〜500MPaに変化し得る。それゆえ、公知の多孔質部を有する生物活性材料に対して前記強度は著しく高い。
【0038】
さらに、本発明は、歯科および医療用途での本発明による複合材料の利用法に関する。前記利用法は、例えば骨あるいは骨骨折の支持体の代替品用である。また、本発明の複合材料に関連して、特定の実施態様および前記の詳細が本発明による利用法を必要としている。
また、本発明による複合材料は、下記のようにさらなる利用法にとって必要である他の部材を含み得る。
【0039】
本発明の1つの実施態様によれば、本発明の複合材料は、複数の相互接続部の位置に構造部に配置された歯科インプラントあるいは歯科インプラント用のスタットをさらに含み得る。これは、顎骨を再建するときに、それらが必要とされるところに、そして当初の骨が残っているところに限らず歯が位置され得るという利点を有する。従来技術の材料では、典型的には材料はかむ力に耐える十分な強度を有していない。歯科インプラントは、例えばチタン、セラミック材料又はポリマー複合材料で作製され得る。
【0040】
また、本発明による複合材料は、例えば耳小骨又は静脈用のインプラントを製造するために用いられ得る。軟組織と接する複合材料用のいくつかの用途は、収縮した内腔の開存性を保証するステント、カテーテルおよびプロテーゼである。また、それゆえ、本発明は、本発明による材料から実質的になる既製ステントに関する。そのような既製ステントは、例えば血管、腸、食道、消化管、リンパ管、尿管、気道および神経系で用いられ得る。
【0041】
それゆえ、本発明による前記材料は任意の素子を製造するために用いられ得て、そしてその作製方法は当業者にとって明らかである。素子の大きさはμmの範囲(例えば耳小骨インプラント用)から大きい組織片まで変わり得る。それゆえ、本発明による材料は「予備部品」、例えば耳、鼻および目を作製するために用いられ得る。
【0042】
さらに、本発明の材料は鼻又は顔の軟組織、膝又は肩の人工骨の作製に用いられ得る。用途のいくつかの例は、組織、骨および骨格の交換および修理のため、軟および軟骨組織を望ましい状態に保つためあるいは細胞および組織の工学と試験のための、耐荷重性構造的生物材料としての利用法である。また、構造的生物材料としての本発明の複合材料は、長い骨の代替品、個別に形成された歯の歯根くい、歯科インプラント、椎骨の置換、骨盤、および他の骨格部の再建で、例えば耳小骨の修理および代替で用いられ得る。また、本発明の複合材料は、例えば腫瘍に侵された組織のために交換材料として用いられ得る。形成外科では、本発明の複合材料は、人体の美的感覚および化粧に関して組織に対する最適で且つ望ましい支持体を与える位置に軟および軟骨組織を保つために用いられ得る。本発明による複合材料は人間および動物の両方で用いられ得る。
【0043】
本発明による複合材料に異なるさらなる部材が付着されるとき、それゆえインプラントを形成するとき、付着は好適には複数の相互接続部の位置でなされる。前記付着は、接着剤、例えばシランを用いた機械的結合により、あるいは重合により(例えば、相互貫通高分子網目、IPNにより)行われ得る。
【0044】
また、それゆえ、本発明は、本発明による複合材料を含むインプラントに関する。前記インプラントは、さらに幹細胞、治療効果のある剤等を含み得る。
【0045】
さらに、本発明は、構造部、多孔質部および少なくとも2つの相互接続部を有する複合材料の製造方法に関する。この方法において、以下の工程:
a)構造部が製作されそして複合材料にとって必要な最終形状に成形され、そして少なくとも部分的に硬化される工程、
b)複数の相互接続部が形づくられそして互いに距離を置いて前記構造部上に置かれる工程、
c)多孔質部が製作され、前記構造部の形状に一致して成形されそして少なくとも部分的に硬化される工程および
d)複数の相互接続部と同じ側の構造部に前記多孔質部が押圧される工程
が行われる。
【0046】
前記方法は、さらに、工程b)とd)との間(すなわち、工程b)とc)との間かあるいは工程c)とd)との間のいずれか)に、複数の相互接続部の間の構造部上に修飾粒子が配置される工程e)を含み得る。
また、前記方法は、さらに最終硬化の工程f)を含み得る。
【0047】
前記複数の相互接続部は、工程b)において、すでに帯の形状である一方向複合材料として、あるいは例えば複数の相互接続部の成分を含有するペーストを射出することにより形成され得る。
【0048】
それゆえ、前記材料は患者の解剖学的必要性による特製形状に迅速なプロトタイプモデル化に基づくインプラントの製作で用いられ得る、あるいは前記インプラントは平均的な治療症状で用いられる標準形状に形づくられ得る。
【0049】
特注のおよび標準の複合材料インプラントの製造において、構造部のプリプレグは成形されそして最初に再建領域の迅速なプロトタイプモデル化に基づく自家重合、光重合、熱重合、超音波又はマイクロ波重合により重合される。未重合ペースト形状での相互接続要素は、多孔質複合材料で被覆されること、すなわち時が経過すると組織で充填されることが望ましい構造部の表面に配置される。前記多孔質材料のプリプレグは相互接続要素上に配置されそして構造部に押し付けられる。生物活性ガラスなどで作った粒子は、構造部に多孔質プリプレグを配置する前に構造部に振り掛けられる。相互接続要素および多孔質複合材料プリプレグは自家重合、光重合、熱重合、超音波又はマイクロ波重合により同時に重合される。複合材料はモノマー転化の最適度を可能にする温度で、すなわちポリマーマトリックスのガラス転移温度に近い温度で後重合される。その後、複合材料インプラントは好適には詰められそして熱、蒸気、過酸化水素、超臨界二酸化炭素によるかあるいは放射線により殺菌される。これらの生成品の典型的な保存可能な期間は約1年である。
また、前記複合材料およびその利用法に関連した上記の特定の実施態様および詳細は本発明によるインプラントおよび方法に当てはまる。
【0050】
以下は、図面についての詳細な説明である。
図1は、本発明の第1の実施態様による複合材料の試験を示している。この試験は実施例でより詳細に説明される。
図2aおよび図2bは、本発明の第2の実施態様による複合材料を示している。この実施態様において、構造部1、生物活性粒子2および多孔質層3は上から見た図2aに見られるように縦、長方形の帯10で相互接続されている。帯10の長さL、高さHおよび幅Wがこれらの図に示されている。
図3は、本発明の第3の実施態様による複合材料を示している。この実施態様において、2つの多孔質部3および6は構造部1上に配置されている。生物活性粒子2および5は2つの接触面上に配置されていて且つこれら全ての部材は帯状の相互接続部4で相互接続されている。
【0051】
図4は、本発明の第4の実施態様によるインプラントおよびその利用法を示している。この図は、顔の血管動脈13の方向に沿った連続的な相互接続帯12を有する顎顔面インプラント11の顔の写真を示している。線A−Aに沿った断面図はインプラントの構造、すなわちインプラントの多孔質層14に埋め込まれている、それゆえそれらを互いに接続し且つそれらを互いに保持している相互接続帯12を示している。また、前記多孔質層は生物活性粒子(明確にするために図示せず)のためおよび骨および動脈成長のための領域15を提供する。
【0052】
図5は、本発明の第5の実施態様によるインプラントおよびその利用法を示している。この図は脳手術後の頭頂骨の部分を代替している頭蓋形成インプラント17の矢状図を示している。線B−Bに沿った断面図はインプラントの構造、すなわち相互接続帯12、骨内部成長のための領域15および多孔質層14を示している。また、前記インプラントは外側の表面層16を有している。
【0053】
図6は、本発明の第6の実施態様によるインプラントおよびその利用法を示している。この図はインプラントの相互接続帯12に固定されている歯科インプラント19と一緒に再建インプラント18を有する下方顎骨(下顎骨)を示している。線C−Cに沿った断面図は咀嚼により歯科インプラントに加えられるせん断力に耐えるために、歯科インプラント19の根20が相互接続帯12に如何に固定されているかを示している。
【実施例】
【0054】
本発明によるいくつかの複合材料を製作し、その強度を以下で説明するように試験した。
【0055】
実施例1
2層の複合材料を、感光性開始剤−活性剤系を含有するbisGMA−TEGDMA(70:30wt%)のモノマー樹脂混合物で含浸したE−ガラス繊維織物(120g/m)を用いて製造した。この樹脂含浸織物を複合材料用の高密度耐荷重性積層体を得るために4層で用いた。ガラス繊維:樹脂比は65wt%:35wt%であった。織物の4層を用いた高密度層である構造部の最終的な厚さは1mmであった。前記積層体を複合材料の外側表面の形に光重合した。
【0056】
前記複合材料の多孔質部を、ランダムに配向した繊維を用いたE−ガラス繊維ウールで作製した。前記繊維ウールを、感光性開始剤−活性剤系を含有するbisGMA−TEGDMA(40:60wt%)のモノマー樹脂混合物で含浸した。ウールの低度樹脂含浸は部材中での相互接続空隙をもたらした。前記複合材料の多孔質部のガラス繊維:樹脂比は76wt%:24wt%であった。前記多孔質部の厚さは3mmであった。
【0057】
前記構造部を、感光性開始剤−活性剤系を含有するbisGMA−TEGDMA(40:60wt%)を含む複合樹脂と1μmの平均直径および樹脂の質量に対して65%の質量比を有するシリカ微粒子充填材とから作製した相互接続帯によって、前記多孔質部に組み合わせた。この複合樹脂はペースト状であり且つ典型的なペーストの粘度を有している。このペーストを、長さ10mm、幅2mmそして高さ1mmの相互接続帯を得るために前記構造部にスプレーした。
【0058】
生物活性ガラスの顆粒からなる生物活性修飾剤を、前記構造部の表面の複数の相互接続帯間の領域に振り掛けた。この生物活性ガラスからなる顆粒の大きさは0.5〜0.8mmの間で変化した。多孔質部を、構造部および相互接続帯の上に置いた。生物活性ガラス顆粒を層間に残した。相互接続帯が多孔質層を貫通するように、多孔質部を構造部に押圧した。この押圧工程が、上記の最終寸法が得られるように相互接続帯を広げた。次いで、構造部に多孔質層部を接続するために、相互接続帯と多孔質層部とを光重合した。複合材料中の生物活性ガラスの全重量分率は26%であった。
【0059】
実施例2
構造部と多孔質部との間に相互接続帯を用いた場合および用いない場合のいずれも実施例1で製造した2層複合材料を、相互接続帯の複合材料のせん断抵抗力への影響を明らかにするために試験した。構造部を、複合材料の外側表面からアクリル台に接合した。他の面は、多孔質部のみの樹脂マトリックスの光重合によって、あるいは実施例1に記載された相互接続帯を用いることによって、構造部に接続多孔質部を有していた。試験配置は図1に示されている。
【0060】
図1において、1は構造部を示し、7はアクリル台を、3は多孔質部を、4は相互接続帯を、8は歯科用石膏(すなわち、焼き石膏)をそして9はせん断力の方向を示す。
【0061】
骨が相互接続性多孔質サイト(porosites)中に成長した状況をシミュレーションするために、多孔質部を焼き石膏で充填した。焼き石膏の凝結後、せん断力を多孔質部分および焼き石膏に加えた。多孔質部を構造部からぐらつかせるために必要である力を、2層複合材料のせん断抵抗力を示す単位として用いた。
【0062】
せん断強度は、相互接続帯を用いない試料に対して431Nをそして相互接続帯を用いた試料に対して879Nを示した。これらの値は、相互接続帯がせん断によって圧力を加えられていることそして多孔質部は構造部、すなわち相互接続帯によって高密度積層体に強く付着されていることを示している。
【0063】
本明細書においては、前後関係がその他を求めている場合を除いて、用語の「含む」は「含有する」を意味する。すなわち、発明が特定の実施態様を含んで記載又は規定されているときは、同じ発明の様々な態様は付加的特徴を含み得る。さらに、引用符号は特許請求の範囲を限定して解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部、多孔質部、および互いに隔てて配置されて且つ構造部から多孔質部まで延びていて、そのため構造部と多孔質部とを互いに接続する少なくとも2つの相互接続部を有する複合材料であって、
各相互接続部が、幅および高さが独立して長さの最大でも20%である長さ、幅および高さを有する帯状であって、且つ
前記複数の相互接続部の少なくとも1つが少なくとも部分的に構造部および多孔質部に埋め込まれていることを特徴とする前記材料。
【請求項2】
前記相互接続部の幅および高さが、独立して相互接続部の長さの最大でも15%であることを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記構造部および前記多孔質部がいずれも繊維およびマトリックスを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材料。
【請求項4】
前記構造部の体積当たりの繊維の量が、前記多孔質部の体積当たりの繊維の量より多いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項5】
前記構造部の体積当たりのマトリックスの量が、前記多孔質部の体積当たりのマトリックスの量より多いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項6】
前記構造部の繊維が、織物又は一方向繊維のロービング状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項7】
前記多孔質部の繊維が、チョップ繊維、任意配向繊維、織物あるいは立体繊維織りからなる群から選択される形状であるであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項8】
前記相互接続部がマトリックスを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項9】
前記相互接続部がさらに充填材を含有することを特徴とする請求項8に記載の複合材料。
【請求項10】
複合材料がさらに修飾粒子を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項11】
前記修飾粒子が複合材料の骨導電率を改良することを特徴とする請求項10に記載の複合材料。
【請求項12】
前記修飾粒子が、生物活性セラミック、生物活性ガラス、シリカゲル、チタンゲル、シリカキセロゲル、シリカエーロゲル、ナトリウムシリカガラス、チタンゲル、生物活性ガラスアイオノマー、ヒドロキシアパタイト、Ca/Pドープシリカゲルおよびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項10又は11に記載の複合材料。
【請求項13】
前記構造部、多孔質部および相互接続部のマトリックス材料が異なる量の同じ成分からなることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項14】
複合材料が複数の相互接続部に配置された完成人工歯根をさらに有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項15】
歯科および医療用途での、請求項1〜14のいずれか1項に記載の複合材料の利用法。
【請求項16】
前記利用法が、骨折の骨又は支持体の代替用であることを特徴とする請求項15に記載の利用法。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の複合材料を含むインプラント。
【請求項18】
さらに、幹細胞を含有することを特徴とする請求項17に記載のインプラント。
【請求項19】
構造部、多孔質部および少なくとも2つの相互接続部を有する複合材料の製造方法であって、以下の工程:
a)構造部が製作されそして複合材料にとって必要な最終形状に成形され、そして少なくとも部分的に硬化される工程、
b)複数の相互接続部が形づくられそして互いに距離を置いて前記構造部上に置かれる工程、
c)多孔質部が製作され、前記構造部の形状に一致して成形されそして少なくとも部分的に硬化される工程、および
d)相互接続部と同じ側の構造部に前記多孔質部が押圧される工程
を含む、前記方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−516173(P2012−516173A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546897(P2011−546897)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050052
【国際公開番号】WO2010/086508
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(511185553)
【Fターム(参考)】