説明

複合涙管挿入物および関連する方法

涙管インプラント、涙管インプラントを作成する方法、および涙管インプラント使って目、呼吸または他の病気あるいは疾患を治療する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本出願は、2008年4月30日に出願され、“涙管インプラントおよび関連する方法“という名称の米国仮特許出願No.61/049,337に対する優先権を主張している。
【0002】
本特許文書は一般的に眼用デバイスにかかわり、詳しくは眼用インプラントに関わる。さらに詳しくは、限定されるものではないが、本特許文書は涙管インプラント、このようなインプラントを作成する方法、およびこのようなインプラントを使用して目、呼吸器系または他の病気あるいは疾患を治療する方法に関わる。
【0003】
目や鼻腔への適切な薬の投与またはドライアイの治療を含む、目および呼吸器系の病気や疾患を管理する分野において、患者と医師は、様々な課題に直面する。目の管理において、例えば多くの現在の目薬送達システムは、繰り返し、手作業で薬を投与することを必要とし、患者の服薬遵守が不十分であったりまたは目に到達する薬の濃度が不適切であるためにしばしば効果的ではない。多くの現在の涙流遮断技術は、自然には元に戻せない欠点もある。
【0004】
目の感染症、目の炎症、緑内障および他の目の病気または疾患を治療するために、薬物を目に投与する必要がしばしばある。従来の薬物送達方法は、目の表面への局所的な滴下によるものである。局所的な目への滴下は、効果的ではあるが効率が悪い。一例として、点眼薬を目に注入する際、しばしば結膜嚢(すなわち目とまぶたの間のポケット)から溢れ、まぶたの縁から溢れ出て頬にかかるために目薬のかなりの部分が失われる。さらに、目の表面に残る点眼薬の大部分が涙小管を介してその中に押し流されることにより、目の治療が可能になる前に薬物の濃度が薄くなってしまう。さらに、局所的に適用した薬物は、投与後約二時間の間は目に対する効果が最大であるが、その後は所望の薬物治療効果を持続するためにさらに薬物を適用する必要があるにもかかわらず、しばしば適用されないことがある。
【0005】
さらに目の管理を難しくするのは、患者がしばしば処方どおりに目薬を使わないことである。服薬遵守が不十分であるのは、例えば目薬によって引き起こされ患者が経験する最初の目に染みるようなまたは焼けるような感覚によるものであり得る。自分自身の目に目薬を注入することは、目を守ろうとする正常反射もあって難しい。したがって、一滴以上が目に入り損ねる可能性がある。より年配の患者は、関節炎、ふらつきおよび視力の衰えのために、目薬を注入するさらなる問題を抱える。小児科および精神科の患者も同様に難しい。
【0006】
ドライアイ疾患は、目からの涙小管への涙流および涙小管を通る涙流を遮断することによって治療されてきた。これは、涙点開口部を縫って閉じるか、または電気あるいはレーザー焼灼を使って涙点開口を封止することにより小管を閉じることが必要だった。このような手法はドライアイを治療するために涙流を遮断する所望の結果をもたらすが、残念なことに再建手術なしに元に戻すことはできない。
【0007】
眼の管理とは異なる分野において、呼吸関連(例えばアレルギー)の病気または疾患を制御するには、医薬物の繰り返しの、手作業での消化または他の摂取がしばしば必要であり、このような摂取は患者の服薬遵守が不十分であるか、または非局所的な薬物送達のために効果がない可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明者は、特に、例えば、目または鼻腔系に対する薬物送達の一つの有望な方法が、取り外し可能な薬物放出涙管インプラントを涙点の中に設置することであり得ることが分かった。一つ以上の薬物を持続して放出できるようにすることにより、本涙管インプラントで、現在の薬物投与(すなわち、手による点眼または摂取)に関連する、例えば患者の服薬遵守が不十分であること、無駄、不適切な時間での利用、または非局所的送達などの欠点のうちのいくつかを克服することができると信じられる。目からの涙流を首尾よく遮断する有望な一つの方法は、取り外しが可能であるが保持可能な涙管インプラントを涙点に設置することである。本発明者は、特に、制御された涙点または小管にバイアスをかけることで簡単に埋め込みおよび取り外しができる事、埋め込まれた時に確実に心地よく涙点で保持できる事、および、薬剤送達システムとして作成され使用された時に長期間にわたって所望の治療レベルで一つ以上の薬物を持続して局所的に放出できる事のうちの一つ以上の恩恵を涙管インプラントが受けることができることがさらに分かった。
【0009】
病気または疾患を治療するための涙管インプラントを開示する。また、このような涙管インプラントを作成する方法、およびこのような涙管インプラントを使用して目または呼吸系の病気または疾患を治療する方法を開示する。
【0010】
実施例1において、涙管インプラントは、第一および第二部分を含み、少なくとも部分的に涙小管に挿入されるサイズと形のインプラント本体を備え、前記第一部分は水媒体に接触した時に100重量パーセントよりも少なく膨張するように構成された第一生体適合性ポリマーを含み、前記第二部分は水媒体に接触した時に100重量パーセントよりも多く膨張するように構成された第二生体適合性ポリマーを含み、前記第一および第二生体適合性ポリマーは、前記第一部分と前記第二部分との接合部で固着する。
【0011】
実施例2において、実施例1の涙管インプラントは、前記第一生体適合性ポリマーがウレタンベース材料を含むように、オプションとして構成される。
【0012】
実施例3において、実施例1または2の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第一生体適合性ポリマーがポリウレタンポリマーまたはコポリマーを含むように、オプションとして構成される。
【0013】
実施例4において、実施例1から3の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第二生体適合性ポリマーがウレタンベース材料を含むように、オプションとして構成される。
【0014】
実施例5において、実施例1から4の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第二生体適合性ポリマーがヒドロゲル形成ポリウレタンポリマーまたはコポリマーを含むように、オプションとして構成される。
【0015】
実施例6において、実施例1から5の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第二生体適合性ポリマーがヒドロゲル形成ポリウレタンポリマーまたはコポリマーを含み、前記ポリマーまたはコポリマーが水媒体に接触した時に約100重量パーセントから約200重量パーセント膨張できるように、オプションとして構成される。
【0016】
実施例7において、実施例1から6の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第二生体適合性ポリマーが、水媒体にさらされた時に500から2000重量パーセント膨張するように適応させたポリウレタンヒドロゲルを含むように、オプションとして構成される。
【0017】
実施例8において、実施例1から7の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第一ポリマー、前記第二ポリマー、または両方がポリウレタン−シリコーンコポリマー、ポリウレタン−炭酸塩コポリマー、脂肪族ポリウレタン、芳香族ポリウレタン、またはそれらの任意の組み合わせを含むように、オプションとして構成される。
【0018】
実施例9において、実施例1から8の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第二ポリマーが前記水媒体に接触しそれにより膨張した時に拡張するように構成された外部コーティングまたは鞘を、オプションとして備える。
【0019】
実施例10において、実施例1から9の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第二部分が、前記第一部分の外表面の第一部位にコーティングとして配置されるように、オプションとして構成される。
【0020】
実施例11において、実施例1から10の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記接合部が第三生体適合性ポリマーを含む中間部材を備え、前記第三生体適合性ポリマーは、前記第一生体適合性ポリマーおよび第二生体適合性ポリマーの両方に固着ように構成され、水媒体に接触したときに、前記第一ポリマーよりも多く膨張し、前記第二ポリマーより少なく膨張するように構成されるように、オプションとして構成される。
【0021】
実施例12において、実施例11の涙管インプラントは、前記第三ポリマーが、ポリウレタンポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン-シリコーンコポリマー、ポリウレタン-炭酸塩コポリマー、脂肪族ポリウレタン、芳香族ポリウレタン、またはそれらの任意の組み合わせを含むように、オプションとして構成される。
【0022】
実施例13において、実施例12の涙管インプラントは、前記第三ポリマーが、約50パーセントから約200パーセントの水を吸収するように構成されるように、オプションとして構成される。
【0023】
実施例14において、実施例11から13の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第一生体適合性ポリマーと前記第三生体適合性ポリマーとの間、または前記第二生体適合性ポリマーと前記第三生体適合性ポリマーとの間、または両方の間の固着の強度が、前記第一および第二生体適合性ポリマーの間の固着の強度よりも強いように、オプションとして構成される。
【0024】
実施例15において、実施例1から14の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第一部分が、埋め込まれた時に涙点においてまたは近傍に留まるように構成され第一直径を含む近位端から、埋め込まれた時に前記涙点を介して前記涙小管に挿入されるように構成され前記第一直径よりも小さい第二直径を持つ遠位端まで延在するベース部材を備えるように、オプションとして構成される。
【0025】
実施例16において、実施例15の涙管インプラントは、前記インプラント本体が前記涙小管から張力下で引き抜かれた時に前記第一部分と前記第二部分が前記接合部で分離せず前記第二部分が前記水媒体との接触から膨張するように、前記ベース部材の形が、前記第一生体適合性ポリマーを前記第二生体適合性ポリマーに固着ために十分な表面積を提供するように構成されるように、オプションとして構成される。
【0026】
実施例17において、実施例16の涙管インプラントは、張力下で分離に耐えるために、前記第一部分の表面を、前記第二部分と接着するために化学修飾させるまたは電離放射もしくは電子線照射で処理するように、オプションとして構成される。
【0027】
実施例18において、実施例15から17の少なくとも一つの涙管インプラントは、ベース部材が、その外表面から突出する一つ以上のアーム部材を含むように、オプションとして構成される。
【0028】
実施例19において、実施例18の涙管インプラントは、前記一つ以上のアーム部材の少なくとも一つが、前記ベース部材の長手方向軸に対して横方向に突出するように、オプションとして構成される。
【0029】
実施例20において、実施例18または19の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記一つ以上のアーム部材が、前記ベース部材の隣接部分よりも大きい断面サイズを備えるように、オプションとして構成される。
【0030】
実施例21において、実施例15から20の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記ベース部材が、結合時に前記第二部分の一部分を受け止めるサイズである一つ以上の間隙を含むように、オプションとして構成される。
【0031】
実施例22において、実施例15から21の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第二部分が、前記ベース部材の上に少なくとも部分的に結合された拡張可能保持部材を備え、前記拡張可能保持部材は、前記涙小管に挿入された後に水媒体を吸収することにより膨張するように構成されるように、オプションとして構成される。
【0032】
実施例23において、実施例22の涙管インプラントは、前記拡張可能保持部材が前記ベース部材を実質的に包み込むように、オプションとして構成される。
【0033】
実施例24において、実施例22または23の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記拡張可能保持部材が、前記涙小管のサイズと形に少なくとも部分的に合致するよう構成されたゲルを含むように、オプションとして構成される。
【0034】
実施例25において、実施例22から24の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記ベース部材が長手方向軸を含み、前記拡張可能保持部材が、前記ベース部材の前記長手方向軸に対して横方向に延在する少なくとも一つの長手方向膨張軸を含むように、オプションとして構成される。
【0035】
実施例26において、実施例22から25の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記拡張可能保持部材が、前記涙小管の水平部分に向かって少なくとも部分的に延在するように構成されるように、オプションとして構成される。
【0036】
実施例27において、実施例22から26の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記拡張可能保持部材が、涙小管の膨大部に向かって少なくとも部分的に延在するように構成されるように、オプションとして構成される。
【0037】
実施例28において、実施例1から27の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第一部分に含まれた第一活性薬剤の第一サプライをオプションとして備え、前記第一サプライは、目に対して前記第一活性薬剤を放出するように構成される。
【0038】
実施例29において、実施例28の涙管インプラントは、前記第一部分が、前記第一部分の近位端から内側に延在する空洞を含み、前記空洞は、前記第一活性薬剤を前記目に対して放出するための前記第一サプライを備えるように、オプションとして構成される。
【0039】
実施例30において、実施例28または29の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第一サプライが、シリコーンと前記第一活性薬剤の混合物を備える固体マトリックスを含むように、オプションとして構成される。
【0040】
実施例31において、実施例28から30の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第一サプライが前記第一ポリマー内で分散されるように、オプションとして構成される。
【0041】
実施例32において、実施例28から31の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第一サプライが、前記目に対して前記第一活性薬剤を放出するために前記第一部分の近位端の近傍に、少なくとも一つの露出表面を含むように、オプションとして構成される。
【0042】
実施例33において、実施例32の涙管インプラントは、前記第一サプライが少なくとも部分的に前記インプラント本体の外側に突出するように、前記少なくとも一つの露出表面が前記第一部分の前記近位端の上に配置されるように、オプションとして構成される。
【0043】
実施例34において、実施例28から33の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第二部分に含まれる第二活性薬剤の第二サプライをオプションとして備え、前記第二サプライは、水媒体に接触した後、涙小管の壁または鼻涙系の一つまたは両方に対して前記第二活性薬剤を放出するように構成される。
【0044】
実施例35において、実施例28から34の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第一または第二活性薬剤が抗緑内障薬、抗菌剤、コルチコステロイドまたは他の抗炎症剤、充血除去薬、アレルギー反応を防ぐもしくは緩和する薬剤、肥満細胞安定剤、毛様筋調節剤、散瞳薬、またはそれらの組み合わせを備えるように、オプションとして構成される。
【0045】
実施例36において、実施例35の涙管インプラントは、前記抗緑内障薬がアドレナリン作動薬、アドレナリン拮抗薬、全身性もしくは局所性炭酸脱水酵素阻害薬、プロスタグランジンもしくは降下圧脂質、またはそれらの組み合わせを備えるように、オプションとして構成される。
【0046】
実施例37において、実施例36の涙管インプラントは、前記プロスタグランジンがビマトプロスト、トラボプロスト、またはラタノプロスト、あるいはそれらの組み合わせを備えるように、オプションとして構成される。
【0047】
実施例38において、実施例35の涙管インプラントは、前記抗菌剤が抗生剤、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオ酸ナトリウム、抗真菌剤、アンフォテリシンB、ミコナゾール、抗ウイルス剤、イドクスウリジントリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、またはインターフェロン、あるいはそれらの組み合わせを備えるように、オプションとして構成される。
【0048】
実施例39において、実施例36の涙管インプラントは、前記コルチコステロイドまたは他の抗炎症剤がシクロスポリン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン−21−リン酸、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾロン−21−リン酸、酢酸プレドニゾロン、フルオロメタロン、ベータメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、フルメソロン、非ステロイド抗炎症剤、サリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ピロキシカムインドメタシン、イブプロフェン、ナクソプレン(naxopren)、ピロキシカム、ナブメトン、ケトロラク、ブロムフェナク、ネパフェナク、またはスプロフェン(suprofen)、あるいはそれらの組み合わせを備えるように、オプションとして構成される。
【0049】
実施例40において、実施例36の涙管インプラントは、前記充血除去剤が血管収縮剤、フェニレフリン、ナファゾリン、またはテトラヒドロゾリン、あるいはそれらの組み合わせを備えるように、オプションとして構成される。
【0050】
実施例41において、実施例36の涙管インプラントは、前記アレルギー反応を防ぐか緩和する薬剤が抗ヒスタミン剤、サイトカイン阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、IgE阻害剤、免疫調節剤、シクロスポリン、またはそれらの組み合わせを備えるように、オプションとして構成される。
【0051】
実施例42において、実施例1から41の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第一部分の中間部分が結合間隙、および前記結合間隙内に固定するサイズと形の結合アームを含むように、オプションとして構成される。
【0052】
実施例43において、実施例1から42の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記インプラント本体が対象となる人の中で埋め込まれた時に非生分解性であるように、オプションとして構成される。
【0053】
実施例44において、実施例1から42の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記第一部分の近位端に取り付けられた横方向の突起をオプションとして備え、前記横方向の突起は、前記第一部分の遠位端が涙小管内に配置された時に、前記涙点の外部に留まるように構成されるサイズと形を持つ。
【0054】
実施例45において、実施例1から44の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記物理的な形状のインプラント本体が、実質的に円筒形または円錐形の領域を備えるように、オプションとして構成される。
【0055】
実施例46において、キットは、実施例1から45の少なくとも一つの前記涙管インプラントと、目の病気を治療するために前記涙管インプラントを使用するための指示を備える。
【0056】
実施例47において、実施例1から45の少なくとも一つの前記涙管インプラントを作成する方法は、前記ポリウレタンポリマーまたはコポリマーの溶融物の使用を備える。
【0057】
実施例48において、実施例1から45の少なくとも一つの前記涙管インプラントを作成する方法は、前記第一ポリマー、前記第二ポリマーの溶融物、または両方のポリマーの溶融物をそれぞれ使用して、前記第一部分、前記第二部分、または両方を射出成形することを備える。
【0058】
実施例49において、実施例1から45の少なくとも一つの前記涙管インプラントを作成する方法は、前記第一ポリマー、前記第二ポリマーの溶融物、または両方のポリマーの溶融物をそれぞれ使用して、前記第一部分、前記第二部分、または両方を射出成形することを備え、中間部材を、前記第一部分と前記第二部分の間の溶融物として配置する。
【0059】
実施例50において、涙管インプラントは、少なくとも部分的に涙点を通り涙小管の中に少なくとも部分的に配置されるようなサイズであって、空洞を含む近位端部分から、前記近位端部分の直径よりも小さい直径を持つベース部材を含む遠位端部分まで延在する単体であるインプラント本体と、前記空洞に含まれ、第一活性薬剤を目に対して放出するように構成されたドラッグサプライと、前記ベース部材の上に少なくとも部分的に結合され、第一直径から前記第一直径よりも大きい第二直径に膨張するために水媒体を水和可能な、脱水された材料を含む拡張可能保持部材と、を備える。
【0060】
実施例51において、実施例50の涙管インプラントは、前記拡張可能保持部材が完全に前記ベース部材を包み込むように、オプションとして構成される。
【0061】
実施例52において、実施例50または51の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記インプラント本体がウレタンベース材料を含むように、オプションとして構成される。
【0062】
実施例53において、実施例50から52の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記水媒体に接触した後に第二活性薬剤を放出するように構成された前記拡張可能保持部材に含まれる前記第二活性薬剤を、オプションとして備える。
【0063】
実施例54において、実施例50から53の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記ベース部材が、前記ベース部材の外表面から横方向に突出する一つ以上のアーム部材を含むように、オプションとして構成される。
【0064】
実施例55において、実施例50から54の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記拡張可能保持部材がウレタンベースヒドロゲル材料を含むように、オプションとして構成される。
【0065】
実施例56において、実施例50から55の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記拡張可能保持部材の前記第二直径が、前記拡張可能保持部材の前記第一直径より少なくとも五倍大きいように構成されるように、オプションとして構成される。
【0066】
実施例57において、実施例50から56の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記ベース部材の長さが、前記インプラント本体の全長の少なくとも約三分の一であるように、オプションとして構成される。
【0067】
実施例58において、実施例50から57の少なくとも一つの涙管インプラントは、前記ベース部材の長さが、前記インプラント本体の全長の少なくとも約二分の一であるように、オプションとして構成される。
【0068】
実施例59において、キットは、請求項50から58のいずれか一つの前記涙管インプラントと、目の病気を治療するために前記涙管インプラントを使用するための指示を備える。
【0069】
実施例60において、方法は、第一および第二部分を含み、少なくとも部分的に涙小管に挿入されるサイズのインプラント本体を形成すること、前記第一部分と前記第二部分との接合部で前記第一および第二生体適合性ポリマーを連結することとを備え、前記インプラント本体を形成することは水媒体に接触した時に100重量パーセントよりも少なく膨張するように構成された第一生体適合性ポリマーから前記第一部分を形成すること、水媒体に接触したと時に100重量パーセントよりも多く膨張するように構成された第二生体適合性ポリマーから前記第二部分を形成することとを含む。
【0070】
実施例61において、実施例60の方法は、前記第一と第二部分の間に、第一表面で前記第一生体適合性ポリマーに固着し第二表面で前記第二生体適合性ポリマーに固着するように構成された第三生体適合性ポリマーを含む中間部材を配置することを、オプションとして備える。
【0071】
実施例62において、実施例60または61の少なくとも一つの方法は、前記第一部分を形成することが、前記ベース部材の外表面から突出する一つ以上のアーム部材を形成することを含む、埋め込まれた時に涙点においてまたは近傍に留まるように構成された近位端から、埋め込まれた時に前記涙点を介して前記涙小管に挿入されるように構成された遠位端まで延在するベース部材を形成することを含むように、オプションとして構成される。
【0072】
実施例63において、実施例62の方法は、前記第一および第二生体適合性ポリマーを固着することが、前記涙小管に挿入された後に拡張可能保持部材の外表面が前記水媒体を吸収できるように、前記ベース部材の上に少なくとも部分的に前記拡張可能保持部材を結合することを含むように、オプションとして構成される。
【0073】
実施例64において、実施例63の方法は、前記ベース部材の上に前記拡張可能保持部材を少なくとも部分的に結合することが、前記拡張可能保持部材で前記ベース部材を完全に取り囲むことを含むように、オプションとして構成される。
【0074】
実施例65において、実施例60から64の少なくとも一つの方法は、前記第一部分における第一活性薬剤の第一サプライであって、目に対して前記第一活性薬剤を放出するように構成された前記第一サプライを提供することを、オプションとして備える。
【0075】
実施例66において、実施例60から65の少なくとも一つの方法は、ポリマーから前記第一および第二部分を形成することが、ウレタンベース材料から単体のインプラント本体を形成することを含むように、オプションとして構成される。
【0076】
実施例67において、実施例66から65の少なくとも一つの方法は、前記ベース部材の外表面と前記拡張可能保持部材の内表面の間に、前記第二部分のポリマーよりも多い量であって、前記拡張可能保持部材の膨潤性ポリマーよりも少ない量の流体を吸収するように構成された中間部材を配置することを、オプションとして備える。
【0077】
実施例68において、実施例60から67の少なくとも一つの方法は、前記インプラント本体を形成することが、前記第一部分の近位端から内側に延在する空洞を形成することを含み、前記空洞を形成することが、前記空洞をドラッグサプライを含むように構成することと、前記ドラッグサプライの少なくとも一つの露出表面を前記近位端の近傍に配置することを含むように、オプションとして構成される。
【0078】
実施例69において、実施例68の方法は、前記近位端近傍の前記ドラッグサプライの少なくとも一つの露出表面を配置することが、前記第一サプライが前記インプラント本体の外側に少なくとも部分的に突出するように、前記近位端の上に前記少なくとも一つの露出表面を配置することを含むように、オプションとして構成される。
【0079】
実施例70において、実施例63から69の少なくとも一つの方法は、前記ベース部材を含む前記第二部分を形成することが、前記ベース部材の外表面から横方向に突出する一つ以上のアーム部材を形成し、それにより前記拡張可能保持部材を結合するための表面積を大きくすることを含むように、オプションとして構成される。
【0080】
実施例71において、実施例63から70の少なくとも一つの方法は、前記拡張可能保持部材を結合することが、前記ベース部材の上にウレタンベースヒドロゲルを成形することを含むように、オプションとして構成される。
【0081】
実施例72において、実施例63から72の少なくとも一つの方法は、前記拡張可能保持部材を結合することが、ウレタンベースヒドロゲルで前記ベース部材を浸漬コーティングすることを含むように、オプションとして構成される。
【0082】
実施例73において、実施例63から72の少なくとも一つの方法は、前記拡張可能保持部材を結合することが、前記ベース部材の外表面の上にヒドロゲルスリーブを配置することを含むように、オプションとして構成される。
【0083】
実施例74において、目の疾患を持つ対象者を治療する方法は、少なくとも一つの涙小管に涙管インプラントを挿入することを備え、前記涙管インプラントは、第一および第二部分を含み、少なくとも部分的に涙小管に挿入するためのサイズと形のインプラント本体を備え、前記第一部分は、水媒体に接触した時に100重量パーセントよりも少なく膨張するように構成された第一生体適合性ポリマーを含み、前記第二部分は、水媒体に接触した時に100重量パーセントよりも多く膨張するように構成された第二生体適合性ポリマーを含み、前記第一および第二生体適合性ポリマーは、前記第一部分と前記第二部分との接合部で固着する。
【0084】
実施例75において、実施例74の方法は、前記涙管インプラントを挿入することが、前記第一部分の前記近位端から横方向に延在する取り外し突出が前記涙点の外側に隣接して配置されるまで、前記インプラント本体を涙点を介して部分的に挿入することを含むように、オプションとして構成される。
【0085】
実施例76において、実施例74または75の少なくとも一つの方法は、前記涙管インプラントを挿入することが、前記第一部分に含まれる活性薬剤のサプライを、前記対象者の目に隣接するように配置することを含むように、オプションとして構成される。
【0086】
実施例77において、実施例76の方法は、前記活性薬剤が緑内障または季節性アレルギーの少なくとも一つを治療するように構成されるように、オプションとして構成される。
【0087】
実施例78において、実施例76または77の少なくとも一つの方法は、前記活性薬剤が放出される期間は少なくとも一週間、少なくとも一ヶ月、または少なくとも3ヶ月を含むように、オプションとして構成される。
【0088】
実施例79において、実施例74から78の少なくとも一つの方法は、前記挿入したインプラント本体を前記涙点から取り外すことを、オプションとして備える。
【0089】
実施例80において、実施例79の方法は、前記取り外した涙管インプラントを、時間間隔をおいて活性薬剤のサプライを含む第二涙管インプラントに取り替えることを、オプションとして備える。
【0090】
実施例81において、実施例80の方法は、前記涙管インプラントを取り替えることが、前記対象者が治療を必要としなくなるまで繰り返されるように、オプションとして構成される。
【0091】
実施例82において、医薬物の投与が医学的に指示される治療が必要な体調が悪い患者の目、周囲の組織、または両方へ前記医薬物を投与する方法であって、請求項1から45のいずれか一つの前記涙管インプラント、または請求項47から49のいずれかに記載のいずれか一つの方法によって作成された涙管インプラントを挿入することを備え、前記涙管インプラントが水媒体に接触して配置され前記涙管インプラントが涙点小管内で前記涙管インプラントを固定するために膨張するように、および、ある期間にわたって前記涙管インプラントから前記目または周囲の組織、または両方に前記医薬物が放出されるように、必要に応じて患者の涙点小管の中に、前記涙管インプラントがそこに分散された医薬物を備える。
【0092】
実施例83において、医薬物の投与が医学的に指示される治療が必要な体調不調である者の目、周囲の組織、または両方へ前記医薬物を投与する方法であって、請求項1から45のいずれかに記載の前記涙管インプラント、または請求項47から49のいずれかに記載の方法によって作成された涙管インプラントを挿入することを備え、前記涙管インプラントが水媒体に接触して配置され前記涙管インプラントが涙点小管内で前記涙管インプラントを固定するために膨張するように、および、ある期間にわたって薬物放出挿入物から前記目または周囲の組織、または両方に前記医薬物が放出されるように、必要に応じて患者の涙点小管の中に、前記涙管インプラントが前記薬物放出挿入物を、そこに分散された前記医薬物と共に備える。
【0093】
実施例84において、医薬物の投与が医学的に指示される治療が必要な体調不調である者の目、周囲の組織、または両方へ前記医薬物を投与する方法であって、請求項1から45のいずれかに記載の前記涙管インプラント、または請求項47から49のいずれかに記載の方法によって作成された涙管インプラントを挿入することを備え、前記第二ポリマーが水媒体に接触して配置され前記第二ポリマーが前記涙点小管内で前記涙管インプラントを固定するために膨張するように、および、ある期間にわたって前記第一ポリマーから前記目または周囲の組織、または両方に生体活性薬剤が放出されるように、必要に応じて患者の涙点小管の中に、前記第一部分がそこに分散された前記生体活性物質を備える。
【0094】
実施例85において、医薬物の投与が医学的に指示される治療が必要な体調不調である者の目、周囲の組織、または両方へ前記医薬物を投与する方法であって、請求項1から45のいずれかに記載の前記涙管インプラント、または請求項47から49のいずれかに記載の方法によって作成された涙管インプラントを挿入することを備え、前記第二ポリマーが水媒体に接触して配置され前記第二ポリマーが前記涙点小管内で前記涙管インプラントを固定するために膨張するように、および、ある期間にわたって薬物放出挿入物から前記目または周囲の組織、または両方に生体活性薬剤が放出されるように、必要に応じて患者の涙点小管の中に、前記第一部分が前記薬物放出挿入物を、そこに分散された前記生体活性物質と共に備える。
【0095】
実施例86において、実施例82から85の少なくとも一つの方法は、前記ある期間が約一週間から約六ヶ月であるように、オプションとして構成される。
【0096】
実施例87において、実施例82から86の少なくとも一つの方法は、前記医薬物が抗緑内障薬、抗菌剤、コルチコステロイドまたは他の抗炎症剤、充血除去薬、アレルギー反応を防ぐか緩和する薬剤、肥満細胞安定剤、毛様筋調節剤、散瞳薬、またはそれらの組み合わせを備えるように、オプションとして構成される。
【0097】
実施例88において、実施例87の方法は、前記抗緑内障薬がアドレナリン作動薬、アドレナリン拮抗薬、全身性あるいは局所性炭酸脱水酵素阻害薬、プロスタグランジンもしくは降下圧脂質、またはそれらの組み合わせを備えるように、オプションとして構成される。
【0098】
実施例89において、実施例88の方法は、前記プロスタグランジンがビマトプロスト、トラボプロスト、もしくはラタノプロスト、またはそれらの組み合わせを備えるように、オプションとして構成される。
【0099】
実施例90において、実施例82から89の少なくとも一つの方法は、前記医薬物を、開放隅角緑内障または高眼圧症である人々において高眼圧/眼内圧を治療するために指示するように、オプションとして構成される。
【0100】
実施例91において、実施例87の方法は、前記抗菌剤が抗生剤、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオ酸ナトリウム、抗真菌剤、アンフォテリシンB、ミコナゾール、抗ウィルス剤、イドクスウリジントリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、もしくはインターフェロン、またはそれらの組み合わせを備えるように、オプションとして構成される。
【0101】
実施例92において、実施例87の方法は、前記コルチコステロイドまたは他の抗炎症剤がシクロスポリン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン-21-リン酸、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾロン-21-リン酸、酢酸プレドニゾロン、フルオロメタロン、ベータメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、フルメソロン、非ステロイド抗炎症剤、サリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ピロキシカムインドメタシン、イブプロフェン、ナクソプレン(naxopren)、ピロキシカム、ナブメトン、ケトロラク、ブロムフェナク、ネパフェナク、もしくはスプロフェン(suprofen)、またはそれらの組み合わせを備えるように、オプションとして構成される。
【0102】
実施例93において、実施例87の方法は、前記充血除去剤はが血管収縮剤、フェニレフリン、ナファゾリン、もしくはテトラヒドロゾリン、またはそれらの組み合わせを備えるように、オプションとして構成される。
【0103】
実施例94において、実施例87の方法は、前記アレルギー反応を防ぐか緩和する薬剤が抗ヒスタミン剤、サイトカイン阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、IgE阻害剤、免疫調節剤、シクロスポリン、またはそれらの組み合わせを備えるように、オプションとして構成される。
【0104】
本涙管インプラントのこれらと他の実施例、利点と特徴、および方法を、以下の“発明を実施するための形態”で部分的に記載する。この“発明の概要”は、本特許文書の発明の概要を提供するためのものであり、本発明の排他的または包括的説明の提供を意図するものではない。“発明を実施するための形態”は、本特許文書に関してさらに情報を提供するために含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
図面において、いくつかの図面を通して同じ番号は同様の構成部品を示すために使用された。異なる文字の接尾辞を持つ参照番号を、同様の構成部品の異なる例を示すために使用した。図面は、本明細書に述べられた様々な実施形態の例を一般的に例証しているが、限定されるものではない。
【0106】
【図1】目に関連する解剖学的組織構造の図の例を示しており、このような組織構造が、本涙管インプラントを使用することのできる適切な環境をもたらす。
【図2】目に関連する解剖学的組織構造の図の例を示しており、このような組織構造が、本涙管インプラントを使用することのできる適切な環境をもたらす。
【図3】“半々の”インプラントデザインを示す本涙管インプラントの例を示す。
【図4A】涙点および小管構造内で保持されるように構成された本涙管インプラントの等角図の例を示す。
【図4B】図3Aの線3B−3Bのように、インプラントの長手方向軸に平行な線に沿って切り取られた本涙管インプラントの断面図の例を示す。
【図4C】本涙管インプラントの長手方向軸に平行な線に沿って切り取られた本インプラントの断面図の他の例を示す。
【図5】涙点および小管構造内で保持されるように構成された本涙管インプラントの組立の例を示す図である。
【図6】涙点および小管構造内で保持される本涙管インプラントの図の例を示す。
【図7A】涙点および小管構造内で保持されるように構成された他の本涙管インプラントの断面図の例を示す。
【図7B】涙点および小管構造内で保持されるように構成された他の本涙管インプラントの断面図の例を示す。
【図7C】涙点および小管構造内で保持されるように構成された他の本涙管インプラントの断面図の例を示す。
【図7D】涙点および小管構造内で保持されるように構成された他の本涙管インプラントの断面図の例を示す。
【図7E】涙点および小管構造内で保持されるように構成された他の本涙管インプラントの断面図の例を示す。
【図7F】涙点および小管構造内で保持されるように構成された他の本涙管インプラントの断面図の例を示す。
【図7G】涙点および小管構造内で保持されるように構成された他の本涙管インプラントの断面図の例を示す。
【図8】涙点および小管構造内で保持されるように構成された本涙管インプラントを製造する方法の例を示す。
【図9】涙点および小管構造内で保持されるように構成された本涙管インプラントの実験結果のチャート例を示す。
【図10】涙点および小管構造内で保持されるように構成された本涙管インプラントの実験結果のチャート例を示す。
【図11】涙点および小管構造内で保持されるように構成された本涙管インプラントの実験結果のチャート例を示す。
【図12】涙点および小管構造内で保持されるように構成された本涙管インプラントの実験結果のチャート例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0107】
本特許文書において、生体適合性のある涙管インプラント、および目の涙点内で確実な、バイアスをかけることによる保持を提供する、関連する方法について説明する。涙管インプラントは、前記涙点を介して関連する涙小管に少なくとも部分的に挿入されるように構成されたインプラント本体を備えることができる。インプラント本体は第一および第二部分を含むことができ、前記第一部分はポリマーから形成され第一直径を含み、前記第二部分もポリマーから形成され第二直径を持つベース部材を含む。様々な実施例において、ベース部材の第二直径は、前記第一本体部分の前記第一直径よりも小さい。拡張可能保持部材が少なくとも部分的に前記ベース部材の上に結合され、前記涙点に挿入された後に涙液を吸収することによって膨らむように構成される。このように、前記涙管インプラントのインプラント位置を保持するために涙小管の壁の少なくとも一部に対して前記拡張可能保持部材を少なくとも部分的にバイアスをかけることができる。一実施例において、前記涙管インプラントは涙点プラグを含む。様々な実施例において、前記涙管インプラントは、例えば目または鼻腔の一つあるいは両方に治療薬を持続して放出するために、前記第一部分または前記拡張可能保持部材の少なくとも一つに含まれた薬物または他の薬剤サプライをさらに備えることができる。
【0108】
例えば目からの涙の流れの遮断、または目、鼻腔あるいは鼻涙系の他の部分への薬剤あるいは他の治療薬の持続送達の一つ以上のために、本涙管インプラントを目の中または近傍に確実に保持することができる。涙管インプラントを、少なくともインプラント本体のより小さい直径部分を持つ第二部分の上に少なくとも部分的に結合させた拡張可能保持部材を含むように構成することにより、インプラントされた涙点および小管位置から涙管インプラントが不注意に出てくるのを禁止することができ、涙小管を介して流体が動くのを少なくとも部分的に遮るために使用することができる。さらに、拡張可能保持部材を少なくとも部分的にインプラント本体の小さい直径を持つ第二部分の上に結合するように構成することにより、拡張可能保持部材(またはオプションとしての中間膨潤性部材)とインプラント本体との間の適切な接着が、比較的大きな表面結合領域を介して可能である。
【0109】
図1および2は、目100に関連する解剖学的組織構造の図の例を示す。図示されている解剖学的組織構造は、涙管インプラントおよび本明細書で説明した方法を使用する治療に適している。目100は、外側強膜102、中間脈絡膜層104および内部網膜106の三つの層を持つ壁を含む球形構造である。強膜102は、内部層を保護する頑丈な繊維コーティングを含む。強膜102は、前面における透明エリア、すなわち光が目100に入るのを可能にする角膜108以外は大部分が白い。
【0110】
強膜102の中に位置する脈絡膜層104は、多くの血管を含み、目100の前面で虹彩110として変性されている。両凸レンズ112は瞳孔の真後ろに位置する。レンズ112の後ろのチャンバ114は、ゼラチン物質である硝子体液で満たされている。前方および後方チャンバ116は、それぞれ角膜108と虹彩110の間に位置し、房水で満たされている。目100の後ろには、光を検出する網膜106がある。
【0111】
角膜108は、目100の後ろに画像を伝達する、光学的に透明な組織である。角膜108は、角膜108と強膜102の間の接合部をライニングする血管からと共に、涙液と房水に浸かることによって栄養と酸素が供給される無血管組織を含む。角膜108は、薬物を目100に浸透させる一つの経路を含む。
【0112】
目100に関連する他の解剖学的組織構造は、分泌系230、分配系および排出系を含む涙液ドレナージ系を含む。分泌系は、涙の蒸発によるまばたきおよび温度変化によって刺激される分泌腺と、遠心性の副交感神経支配を持ち、身体的または感情的刺激に応えて涙を分泌する反射分泌腺を備える。分配系は、まぶた202、および開いた目100のまぶたの縁の周りの涙三角を含み、まぶた202および涙三角は、まばたきにより眼球の表面上に涙を広げ、これによりドライアイを発症しにくくする。
【0113】
涙液ドレナージ系の排出部分は、ドレナージの流れる順番に、涙点、涙小管、涙嚢204および涙管206を含む。涙管206からは、涙および他の流動性物質が鼻腔系の管に排水する。涙小管は、上涙点212および下涙点214において目100の近傍でそれぞれ終端する上涙小管208および下涙小管210を含む。上涙点212および下涙点214は、結膜嚢218の近傍のまつげと涙腺部分との接合部216においてまぶたの縁の中間端でわずかに高くなっている。上涙点212および下涙点214は、一般的に、組織の接続リングによって囲まれた円形あるいはわずかに卵形の開口である。涙点212、214はそれぞれ、涙嚢204の入口で互いに接合するように、小管湾曲部分250においてより水平に湾曲する前に、それぞれの小管の垂直部分220、22へと繋がる。小管208、210は一般的に管の形状であり、小管208、210を拡張またはバイアスできるようにする弾性組織に囲まれ階層化した扁平上皮によってライニングされている。図示されているように、涙小管膨大部252が小管湾曲部250の外側の縁の近傍に存在している。本件の特徴によれば、涙管インプラントを涙点を介して関連する小管に挿入することができる。
【0114】
図3は涙点212,214(図2)に挿入可能な涙管インプラント300の例を示す。涙管インプラント300を涙点212、214に挿入することによって、(例えばドライアイの治療のために)涙小管208、210(図2)を通る涙の流れの禁止または遮断、または目(例えば感染症、炎症、緑内障または他の目の病気あるいは疾患を治療するため)または鼻腔(例えば膿露またはアレルギー疾患を治療するため)への治療薬の持続した送達の一つ以上を可能にする。いくつかの実施例において、薬剤が送達される時間は少なくとも一週間、少なくとも一ヶ月、または少なくとも三カ月である。いくつかの実施例において、涙管インプラント300は、約0.3ミリメートルから約1.5ミリメートルの間の幅を持つ。いくつかの実施例において、涙管インプラント300は、約1.5ミリメートルから約6ミリメートルの間、たとえば約2ミリメートルから約3ミリメートルの間の長さを持つ。
【0115】
一実施例において、涙管インプラント300は、ポリウレタンポリマーまたはコポリマーを備える。一般的に、涙管インプラントは、完全な親水性であることができ、触媒存在下でシリコーン前駆体を重合することによって通常準備されるシリコーンポリマーで形成される。ただし、ポリウレタンポリマーおよびコポリマーは熱可塑性物質であることができ、そのため、溶けて所望の形に成型することができる。医薬物を、それ自体が溶融された形態または分散された固体材料としてポリウレタンの溶融物の中で分散させることができる。ポリウレタンポリマーおよびコポリマーは、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフランなどの様々な有機溶媒において溶かすことができ、そして蒸発させるなどして溶媒を除去した所望の形に鋳造することができる。また、溶媒を除去した時に、所望の形態の、医薬物を含むポリウレタンが得られるように、前記医薬物を前記ポリウレタンと共に有機溶媒の中で分散または溶解させることができる。
【0116】
図3において、涙管インプラント300は、“半々”のインプラント設計として図示される。本実施例において、少なくとも部分的に涙管インプラント300の一部分を包み込むような、涙管インプラント300の一部分の上に接着または結合できる膨潤性材料などの拡張可能保持部材314は、涙管インプラント300の本体の第一部分304との接合部を形成する。涙管インプラント300の本体の第一部分304は、例えば生体適合性ポリウレタンポリマーまたはコポリマーなどの、生体適合性があり水媒体に接触した時に100重量パーセントより少なく膨張する第一ポリマーで形成することができる。例えば第一ポリマーは、ポリウレタン−シリコーンコポリマーを備えることができる。医療用途に適応させた生体適合性であって非生分解性のコポリマーであるPursil(登録商標)がその例である。生体適合性があり水媒体に接触させた時に実質的に膨張しないかまたは最小限しか膨張しなければ、他の同様な材料も使用することができる。例えば、水媒体に接触した時に実質的に膨張しない親水性ポリウレタンを、涙管インプラント300の非ヒドロゲル構成分の表面加湿性を改善するために使用することができる。例えば生体適合性のヒドロゲル形成ポリウレタンポリマーまたはコポリマーなどの、生体適合性があり水媒体と接触した時にヒドロゲルを形成するために100重量パーセントよりも多く膨張する第二ポリマーで拡張可能保持部材314を形成することができる。例えば、水媒体にさらされた時に500から2000重量パーセントも膨張するように適応させたヒドロゲル形成材料TG−500またはTG−2000を使用することができる。
【0117】
“半々”の設計においては、拡張可能保持部材314は覆われない。インプラント本体の第一部分304および拡張可能保持部材314との接合部は中間部材350を含み、中間部材350は水媒体において中程度膨張することができる第三ポリマーであって、例えばインプラントが小管から取り外された場合などに、ある程度の張力下でインプラントをそのまま維持するほど十分強い第三ポリマーをオプションとして備える。第三ポリマーは、第一および第二ポリマーの両方に固着するように適応させた生体適合性ポリウレタンポリマーまたはコポリマーであることができる。
【0118】
図4Aは、涙点212、214(図2)に挿入することができる、他の実施例である涙管インプラント300の本体の第一部分304を示す。様々な実施例において、涙管インプラント300は、第一304および第二406部分を含み少なくとも部分的に涙点212、214に挿入されるサイズと形であるインプラント本体402を備える。第一部分304は、ポリマーから形成され、第一直径408を含む。第二部分406もポリマーで形成され、第一直径408よりも小さい第二直径410を持つベース部材412(例えばマンドレルまたはスパインのような部材)を含む。一実施例において、第一304および第二406部分は一体的に結合され、単体のインプラント本体402を備える。一実施例において、図7Eから7Gに示されているように、第一304および第二406部分は別々のエレメントであり、例えば結合間隙と結合アームを係合することによって互いに結合することができる。
【0119】
例えば膨潤性材料などの拡張可能保持部材314を、少なくとも部分的にベース部材412の一部分を包み込むように、ベース部材412の上に接着または結合することができる。一実施例において、拡張可能保持部材は実質的にベース部材412を包み込む。例えば涙点212、214に挿入した時に、拡張可能保持部材314が涙液または他の流体を吸収または保持するにつれて、そのサイズが大きくなりその形が変形してよい。これにより、拡張可能保持部材314自身をその関連する小管208,210の壁に対して僅かにバイアスをかけるよう促す。拡張可能保持部材314が対象者に対して保持を快適にし、小管208、210の壁のバイシングを制御することにより涙管インプラント300の保持を改善すると考えられる。
【0120】
インプラント本体402の一部の上に拡張可能保持部材314を配置することにより、拡張可能保持部材314がその位置で涙液に自由にさらされることができ、それにより潜在的な拡張レートを広い範囲とすることができる。さらにベース部材412は、例えば涙管インプラント300を対象者から取り除いた後に、拡張可能保持部材314の材料が涙点212、214に残存しないで拡張可能保持部材314が接着できるような、適切な結合表面を提供する。本実施例に示されているように、拡張可能保持部材314は、関連する涙小管208、210への涙点212、214を介した挿入の助けとなる拡張されていない“ドライまたは脱水された”状態を含むことができる。涙小管208、210に一旦挿入されると、拡張可能保持部材314は涙液を吸収または保持することができ、拡張構造を形成する。
【0121】
いくつかの実施例において、インプラント本体402は、第一部分304の近位端418の近傍に配置された空洞416を備える、円筒状の構造を含むことができる。本実施例において、空洞416は近位端418から内側に延在し、目100に対して持続して薬物または他の薬剤を放出するための第一薬物放出または他の薬剤放出ドラッグサプライ420を含む。薬物または他の薬剤放出は、少なくとも部分的に、ドラッグサプライ420の露出表面を介して行うことができる。一実施例において、例えば図4Bに示されているように、ドラッグサプライ420がインプラント本体402の外側に少なくとも部分的に突出するように、ドラッグサプライ420の露出表面を近位端418の上に配置することができる。いくつかの実施例において、ドラッグサプライ420がインプラント本体402の外側に突出しないように、ドラッグサプライ420の露出表面402を近位端418と同一平面上または僅かに下に位置することができる。
【0122】
いくつかの実施例において、露出表面近傍のジオメトリまたは薬物濃度勾配を制御することにより、所定の薬物または薬剤放出レートを実現できる。例えば、露出表面を、例えば急性ベースであるかあるいは外来患者の医師訪問の間隔での慢性ベースであるかによって、目100に対する薬物または他の薬剤の放出レートを制御するために適切な特定の配置、または他の手法を使って構築することができる。ドラッグサプライ420からの一つ以上の薬物または他の薬剤の効果的な放出レートに関しては、特定の放出レートの範囲の獲得に関する説明を含む、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる、権利者が共通のDeJuan.et.al.による“NASOLACRIMAL DRAINAGE SYSTEM IMPLANTS FOR DRUG THERAPY”という名称の米国特許申請No.11/695,545でさらに説明されている。
【0123】
インプラント本体402は、一体型フィードバック、または第一インプラント本体部分304の近位端418からまたはその周りに少なくとも部分的に横方向に延在する突起などの他の突起422を含むことができる。一実施例において、突起422は、インプラント本体の外表面から近位端418の周囲に360度延在する、部分的に切り取られたヘッド部分を含む。一実施例において、突起422は、インプラント本体の外表面から近位端418の周りに360度延在する完全なヘッド部分を含む。一実施例において、突起422は平らなディスク(すなわち比較的平らな上表面および底表面)に似た切断面の形を含む。様々な実施例において、例えば涙管インプラント300が小管内腔の中を完全に突き抜けるのを禁止または防ぐために、またはインプラントする患者への(例えばインプラントが完全にインプラントされたかどうかについて)触覚または視覚フィードバック情報を提供するために、または涙管インプラント300をインプラント位置から取り外すために、関連する小管内腔208,210の中にインプラント本体402の第二部分406が位置する場合、突起422を小管開口212、214に対してまたは近傍に留まるように構成することができる。一実施例において、突起422は、涙管インプラント300が小管208、210内に突き抜けるのを防ぐための、約0.5から2.0ミリメートルの直径を持つ部分を含む。
【0124】
図4Bは、図4Aの線に沿ったように、インプラントの長手方向軸に平行な線に沿って切り取られた涙管インプラント300の断面図の例を示す。図4Bに図示されているように、涙管インプラント300は、第一304および第二406部分を含み涙点212,214(図2)に少なくとも部分的に挿入されるようなサイズと形のインプラント本体402を備える。第一部分304はポリマーから形成され、第一直径408を含む。第二部分406もポリマーから形成され、第一直径よりも小さい第二直径410を持つベース部材412(例えばマンドレルまたはスパイン)を含む。一実施例において、ベース部材412はインプラント本体402の全長の少なくとも約三分の一である。一実施例において、ベース部材412は、インプラント本体402の全長の少なくとも約二分の一である。図示された実施例において、インプラント本体402は一体型フィードバック、または第一インプラント本体部分304の近位端418からまたは周りに少なくとも部分的に横方向に延在する突起などの他の突起422も含む。
【0125】
様々な実施例において、インプラント本体402は、シリコーン、ポリウレタンまたは他のウレタンベース材料などの伸縮材料、またはそれらの組み合わせを使って成形または形成することができる。一実施例において、第一304および第二406部分の一つまたは両方は、ウレタンベースの材料を含む。一実施例において、第一304および第二406部分の一つまたは両方は、4840(登録商標)またはPurSil(登録商標)などのシリコーンベースの材料を含む。一実施例において、第一304および第二406部分の一つまたは両方は、ポリウレタン/シリコーン、ウレタン/炭酸塩、シリコーン/ポリエチレングリコール(PEG)またはシリコーン/2ハイドロキシエチルメサクリレート(HEMA)などのコポリマー材料を含む。様々な実施例において、インプラント本体402は、原位置では非吸収性であり、(例えば涙管インプラント300の挿入と取り外しの間に)切断強度と寸法の安定化の問題に対処するに十分強いように構成される。
【0126】
膨潤性材料などの拡張可能保持部材314を、少なくとも部分的にベース部材412の一部分を包み込むように、ベース部材412の上に接着または結合することができる。例えば涙点212、214に挿入した時に、拡張可能保持部材314が涙液を吸収または保持するにつれて、そのサイズが大きくなりその形が変わり得ることにより、拡張可能保持部材314自身を関連する小管208、210の壁に対して僅かにバイアスをかけるように促す。様々な実施例において、膨潤性材料を使って拡張可能保持部材314を成形または形成することができる。一実施例において、拡張可能保持部材314は、TG−2000(登録商標)、TG−500(登録商標)などのポリウレタンヒドロゲル、または他のウレタンベースのヒドロゲルを含む。一実施例において、拡張可能保持部材314は、異方導電的に膨張するように構成されてよい熱硬化性ポリマーを含む。一実施例において、拡張可能保持部材314は、拡張したときにその形を維持しないが小管内腔壁または他の周囲構造の形にフィットするゲルを含む。
【0127】
いくつかの実施例において、涙管インプラント300は、ポリウレタンまたは他のウレタンベースの材料を含むベース部材412、および生体適合性ポリウレタンまたは他のウレタンベースの膨潤性材料を含む拡張可能保持部材314を含む。一実施例において、ポリウレタンヒドロゲルは、ベース部材412の、例えばプラズマ処理された外表面などの外表面に直接結合される。参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、権利者が共通のUtkhede et al.による米国特許出願No.61/049,317に対する優先権を部分的に主張する、“DRUG CORES FOR SUSTAINED RELEASE OF THERAPEUTIC AGENTS”という名称の米国特許出願No.12/231,986においてさらに説明されているように、ウレタンベースポリマーおよびコポリマー材料によって様々な加工方法が可能となり、互いによく接着するようになる。
【0128】
いくつかの実施例において、涙管インプラント300は、ベース部材412などのインプラント本体402の一部および拡張可能保持部材314の一部の間に配置された中間部材350を含む。中間部材350は、インプラントされた際にベース部材412のポリマーよりも多くの量の涙液であるが拡張可能保持部材314の膨潤性ポリマーよりは少ない量の涙液を吸収するように構成された材料を含むことができる。中間部材350は、例えばインプラント本体402の非膨潤性ポリマーと拡張可能保持部材314の膨潤性ポリマーとの間など、インテグリティを有する涙管インプラント300を提供することができる。例えば、拡張可能保持部材314のポリマーが湿気にさらされて膨張する場合、中間部材350がない場合、拡張ポリマーはベース部材412の基礎である膨張しないポリマーを避けて膨張する。一実施例において、中間部材350はPurSil(登録商標)を含み、ベース部材412の外表面上に少し浸漬されるかコーティングされる。一実施例において、中間部材350は、例えばTecophilic(登録商標)ウレタンまたはTecophilic(登録商標)ソリューショングレードウレタンなどの、約10パーセントから約500パーセント水を吸収するように構成されたポリウレタンを含む。
【0129】
ある実施例において、インプラント本体402は、第一部分304の近位端418の近傍に配置された空洞416を含むことができる。一実施例において、第一空洞416は、近位端418から約2ミリメートルまたはそれより小さく内側に延在し、目100(図2)に持続的に薬物または他の薬剤を放出するための第一薬物放出または他の薬剤放出ドラッグサプライ420を収納する。様々な実施例において、ドラッグサプライ420は目100に対する薬剤を貯蔵し、例えば涙層流によって浸出しながらゆっくりと薬剤を投薬する。一実施例において、ドラッグサプライ420は、マトリックス454で分配されることができる複数の治療薬含有物を含む。一実施例において、含有物452は治療薬の濃縮形体(例えば結晶質薬剤の形体)を備える。一実施例において、マトリックス454はシリコーンマトリックスなどを備え、マトリックス内での含有物452の分配は均質または非均質である。一実施例において、薬剤含有物452は、例えばラタノプロストオイルなどのオイル滴を含む。さらに他の一実施例において、薬剤含有物452は、例えば結晶質形体のビマトプロスト粒子などの固体粒子を含む。含有物は多くのサイズおよび形であってよい。例えば、含有物は約1ミクロメートルから約100ミクロメートルオーダーの寸法を持つ微小粒子を含むことができる。
【0130】
図示した実施例において、ドラッグサプライ420は、例えばドラッグサプライの少なくとも一つの露出表面を定義するために、少なくともその一部分の上に配置した鞘体456を含む。一実施例において、鞘体456はポリイミドを備える。涙管インプラント300を涙点212、214に挿入した時に、例えば涙または涙層流に接触し持続した期間の間一つ以上の治療レベルで治療薬を放出するために、インプラント本体402の近位端418においてまたは近傍に露出表面458を配置することができる。ドラッグサプライ420の構成および製造に関しては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、権利者が共通のDeJuan et al.による“DRUG DELIVERY METHODS,STRUCTURES,AND COMPOSITIONS FOR NASOLACRIMAL SYSTEM”という名称の米国特許出願No.11/695,537でさらに説明されている。
【0131】
ある実施例において、拡張可能保持部材は、涙小管208、210の壁または鼻涙系のうち一つかまたは両方に対して持続して薬物または他の薬剤を放出するための第二薬物放出または他の薬剤放出ドラッグサプライ460を含むことができる。ドラッグサプライ460を、薬剤を貯蔵し涙小管208、210内で涙液と接触した後にゆっくりと薬剤を投与するように構成することができる。一実施例において、拡張可能保持部材に含まれた薬剤は、医薬物、治療薬または(例えば銀などの)抗菌物質を備えることができる。
【0132】
図4Cはインプラントの長手方向軸に平行な線に沿って切り取られた涙管インプラント300の断面図の例を示す。図4Bに示されているように、涙管インプラント300が小管内腔の中で完全に突き抜けるのを禁止または防ぐために近位端418においてまたは近傍にフィードバックあるいは他の突起422を含むように本涙管インプラント300のいくつかを構成し、他の涙管インプラント300を、涙点開口212、214の下に完全に挿入するように構成する。図4Cに示されているように、涙管インプラント300は、第一インプラント本体部分304の近位端418においてまたは近傍にフィードバックまたは他の突起322(図3A)のないインプラント本体402を備える。したがって、いくつかの実施例においては、涙管インプラント300を小管内腔の中に完全に挿入することができる。
【0133】
図5は、本涙管インプラント300の組立の例を示す。説明したように、涙管インプラント300は、涙点212、214(図2)を少なくとも部分的に通るサイズであって涙小管208、210(図2)内に配置された単体のインプラント本体402を含むことができる。インプラント本体402は、近位端部分502から遠位端部分504まで延在することができる。図示された実施例において、近位端部分502は空洞416を含み、遠位端部分504は、近位端部分502の直径よりも小さい直径410を持つベース部材412を含む。一実施例において、薬物芯420を空洞416に含むことができ、目に対して薬剤を放出するように構成することができる。様々な実施例において、拡張可能保持部材314は、ベース部材412の上に少なくとも部分的に結合されることができ、第一直径から第一直径よりも大きい第二直径まで膨張するように、涙液または他の流体によって水和可能な、“ドライまたは脱水された”材料を含む。
【0134】
ベース部材412を、様々な方法で拡張可能保持部材314と結合させることができる。一実施例において、図5に示されているように、事前に形成された膨潤性(例えばヒドロゲル)スリーブ506をベース部材412の外表面508の上に滑りこませることができる。一実施例において、拡張可能保持部材314をベース部材412の上に浸漬させるかまたはコーティングすることができる。一実施例において、第一ポリマーベースの(例えばウレタンベースの)ベース部材412および第一ポリマーベースの(例えばウレタンベースの)拡張可能保持部材314を同時に注入成形(例えば双方向注入成形)できることにより、涙管インプラント300を最小限の数の工程で形成することができる。一実施例において、別々の材料を金型の異なる場所に続けて注入するマルチショット成形加工を使用することができる。一実施例において、ベース部材412を最初に成形し、それから拡張可能保持部材314用のポリマーとオーバーモールドするために第二の金型に入れるような挿入/オーバーモールド加工を使用することができる。様々な実施例において、拡張可能保持部材314はインプラント本体402の任意の所望の長さ部分に沿って延在してよい。
【0135】
ある実施例において、拡張可能保持部材314の遠位本体部分504または遠位端510の一つまたは両方は、例えば涙点212、214(図2)または関連する涙小管208、210の一つまたは両方などの解剖学的組織を、涙管インプラント300がインプラントされるにつれて十分な直径に自己拡張するテーパー512を含むことができる。このように、別の拡張ツールを使って事前に拡張する必要がなく涙管インプラント300を様々な目の組織のサイズでインプラントすることができる。テーパー512を、涙点212、214または涙小管208、210の内部ライニングへの外傷とならないように形成することができる。
【0136】
図示されているように、テーパー512は、例えば約0.5ミリメートルの直径から約0.1ミリメートルまたはそれより小さい直径などの、膨潤性スリーブ506の中間部分近傍の場所からスリーブ506の遠位端510に向かって一般的に細くすることができる。特に、例えばインプラントの挿入に望ましいインプラント本体402の強度などのインプラントの特性と、インプラント時のソフトで柔軟性があり適応する(例えば涙小管の組織に適応する)インプラント本体を持ちたい要求とのバランスをとることにより、与えられたインプラントの状況に合った所望のテーパー512を判別することができる。いくつかの実施例において、インプラント本体402の外表面または拡張可能保持部材314の外表面の一つまたは両方に配置または含浸させた潤滑性コーティングを、涙管インプラント300を解剖学的組織に挿入するさらなる助けとして使用することができる。一実施例において、潤滑性コーティングはシリコーン潤滑剤を含むことができる。一実施例において、潤滑材料(例えばヒドロゲル)の薄いコーティングを確実に接着するために、インプラント本体402または拡張可能保持部材314の外表面を、プラズマまたは放射線で処理することができる。
【0137】
様々な実施例において、インプラント本体402または拡張可能保持部材314の一つまたは両方の外表面を、一般的に滑らかに形成するかまたは表面処理して、バクテリアが涙管インプラント300に付着し潜伏するのを禁止することができる。一般的に滑らかな外表面によって、インプラントしている最中に、涙点212、214(図2)または関連する涙小管208、210(図2)などの受ける側の解剖学的組織の内部ライニングにダメージを与えるのを防ぐこともできる。参照することによりその全体が本明細書に組み込まれ一部が米国特許出願No.61/057,246に対して優先権を主張する、権利者が共通のRapackiによる“SURFACE TREATED IMPLANTABLE ARTICLES AND RELATED METHODS”という名称の米国特許出願No.12/283,002においてさらに説明されているように、例えばプラグ体402の外表面を、タンブリング加工と共に二塩化メタンまたは他の適切な媒体を使用して研磨加工して改善することができる。
【0138】
いくつかの実施例において、インプラント本体402上でバクテリアが成長するのをさらに防ぐために、抗菌コーティングをインプラント本体または拡張可能保持部材314の一つまたは両方の外表面の少なくとも一部に配置また含浸させることができる。一実施例において、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1、3−ジオール、5−ブロモ−5−ニトロ−1、3‐ジオキサン、7−エチルビシクルオキサゾリジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ホウ酸、ブロノポール、塩化セチルピリジニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロアセトアミド、クロロブタノール、クロロメチルイソチアゾリノンおよびメチルイソチアゾリン、ジメトキサン、ジメチルオキサゾリジン、ジメチルヒドロキシメチルピラゾール、クロロキシレノール、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニル尿素、ジクロロベンジルアルコール、DMDMヒダントイン、エチルアルコール、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ヘキサクロロフェン、ヘキセチジン、ヘキサメチレントラミン、イミダゾリジニル尿素、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、イソチアゾリノン、メテンアンモニウムクロリド、メチルジブロモグルタロニトリル、MDMヒダントイン、ミノサイクリン、オルトフェニルフェノール、p−クロロ−m−クレゾール、パラベン(ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン)、フェネチルアルコール、フェノキシエタノール、ピロクトンオラミン、ポリアミノプロピルビグアニド、ポリメトキシ二環式オキサゾリジン、ポリオキシメチレン、ポリクアテルニウム−42、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、クォーターニウム−15、リファンピン、サリチル酸、二硫化セレン、ホウ酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヒドロキシメチルグリシンナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ピリチオンナトリウム、ソルビン酸、チメロサール、トリクロサン、トリクロカルバン、ウンデシレン酸、フェノールスルホン酸亜鉛およびピリチオン亜鉛で構成される族から選択される薬剤を抗菌コーティングは含むことができる。一実施例において、乳酸銀、リン酸銀、クエン酸銀、酢酸銀、安息香酸銀、塩化銀、ヨウ化銀、ヨウ素酸銀、硝酸銀、スルファジアジン銀、パルミチン酸銀またはそれらの一つ以上の混合物で構成される族から選択される物質を抗菌コーティングは含むことができる。一実施例において、抗菌コーティングは、抗生物質または防腐剤の少なくとも一つを含むことができる。例えば抗菌コーティングは、平均して2、3時間から1日の間持続する臨時麻酔薬を含むことができる。さらに他の実施例において、抗菌コーティングは、即座に効くボーラスなど、基礎疾患を治療するために使われる薬物を含むことができる。
【0139】
図6は、下涙点214にインプラントされた涙管インプラント300および関連する小管210の図の例を示す。いくつかの実施例において、涙管インプラント300を、上涙点212および関連する小管208にインプラントすることができる。本実施例において、涙管インプラント300は、第一304および第二406部分を含み少なくとも部分的に涙点214に挿入されるサイズと形のインプラント本体402を備える。第一部分304はポリマーから形成され、第一直径408(図4B)を含む。第二部分406もポリマーから形成され、第一直径408よりも小さい第二直径410(図4B)を持つベース部材412(例えばマンドレルあるいはスパインのような部材)を含む。少なくとも部分的にベース部材412の一部を包み込むように、膨潤性材料などの拡張可能保持部材314をベース部材412の上に接着または結合することができる。ある実施例において、インプラント本体402または拡張可能保持部材314の一つまたは両方の外表面は、インプラント本体402の周りに流体が流れることができるように、溝またはウィッキング材料のコーティングを含むことができる。
【0140】
図示されているように、インプラント本体402の第一部分304を、涙点開口214に対して近位端418において留まり、関連する涙小管210内で遠位端602において留まるように構成することができる。本実施例において、近位端418の周りに延在する一体型フィードバックまたは他の突起422は、涙管インプラント300が小管内腔210の中で完全に突き抜けるのを禁止または防ぐ。
【0141】
さらに図示されているように、少なくとも部分的に拡張可能保持部材314によって包み込まれたベース部材412を含む第二部分406を、関連する涙小管210の中で留まり涙管インプラント300を保持するように構成することができる。例えば涙点214に挿入した時などに拡張可能保持部材が涙液または他の流体を吸収または保持するにつれて、そのサイズは直径方向または長手方向に大きくなり、その形が変わり得ることにより、対象者に対して心地よさを保ちながらも拡張可能保持部材314自身を関連する小管210の壁に対して僅かにバイアスをかけるように促す。一実施例において、拡張可能保持部材314の長手膨張方向は、インプラント本体402の長手方向軸606に対して横方向に延在する。一実施例において、拡張可能保持部材314の一部分608を、涙小管210の水平部分に向かって少なくとも部分的に延在するように構成する。一実施例において、拡張可能保持部材314の部分610を、涙小管膨大部に向かって少なくとも部分的に延在するように構成する。一実施例において、拡張可能保持部材314の膨潤性材料は、十分に水和させた状態で約500重量パーセントから約2000重量パーセントの水分を持ち、および“乾燥または脱水”状態では、約10パーセントよりも少ない、例えば約1パーセントなどの水分を持つヒドロゲルを備えることができる。ある実施例において、拡張可能保持部材314を、その“ドライまたは脱水された”量の最大約一倍、その“乾燥または脱水された”量の最大約五倍、またはその“乾燥または脱水された”量の最大約十倍拡張できるように構成する。
【0142】
涙管インプラント300を涙点212,214および関連する小管208,210に挿入するために、鉗子または他の挿入ツールを使用することができる。様々な実施例において、もし存在すればフィードバックまたは他の突起422が、涙点開口212、214に対して配置されるまで、挿入ツールを操作することによってインプラント本体402の第二部分406を涙小管208,210の奥に入り込ませることができる。涙管インプラント300を取り外したい時には、例えば鉗子で突起432を容易につかむことができ、涙点開口212、214から引き抜くことができる。本涙管インプラント300に関連する挿入および取り外し処理は、時には、特別な技能や高価な設備を必要とせずに一般の眼科医がその診療所で眼科医自身によって短時間のうちに簡単に行えると考えられる。場合によっては、最初の涙管インプラントが取り外された後、薬剤のサプライを含む二番目の涙管インプラントを、患者が治療を必要としなくなるまでその患者に挿入する。
【0143】
ある実施例において、インプラント本体402は、第一部分304の近位端418の近傍に配置された空洞416を含むことができる。本実施例において、第一空洞418は近位端418から内側に延在し、第一薬物放出または他の薬剤放出ドラッグサプライ420を含む。涙管インプラント300を、涙小管208,210に配置するために位置合わせした拡張可能保持部材314と共に配向させることができ、一方(例えば感染症、炎症、緑内障または他の目の病気あるいは疾患を治療するために)目100に対して薬物または他の薬剤を持続して放出するために、ドラッグサプライ420および近位端418を涙点開口212、214の外面に位置合わせする。薬物または他の薬剤を、少なくとも一部がドラッグサプライ420の露出表面を介して放出することができる。本実施例において、ドラッグサプライ420が少なくとも部分的にインプラント本体402の外側に突出するように、ドラッグサプライ420の露出表面を近位端418の上に配置することができる。
【0144】
ある実施例において、拡張可能保持部材は、涙小管208、210の壁あるいは鼻涙系の一つまたは両方に対して薬物または他の薬剤を持続して放出するための第二薬物放出または他の薬剤放出ドラッグサプライ460を含むことができる。ドラッグサプライ460を、薬剤を蓄えて涙小管208、210内で涙液と接触した後ゆっくり投薬するように構成することができる。一実施例において、拡張可能保持部材に含まれた薬剤は、医薬物、治療薬または抗菌剤(例えば銀)を備えることができる。
【0145】
図7Aから7Gは涙点212、214(図2)に挿入可能な涙管インプラント300の例を示す。涙管インプラント300を涙点212、214(図2)に挿入することにより、(例えばドライアイを治療するために)涙小管208、210(図2)を介した涙の流れの禁止または遮断、あるいは(例えば感染症、炎症、緑内障または他の目の病気または疾患を治療するための)目または(例えば膿瘻またはアレルギー疾患を治療するための)鼻腔への治療薬の持続投与のうちの一つ以上が可能になる。
【0146】
様々な実施例において、涙管インプラント300は、第一304および第二406部分を含み涙点212、214へ少なくとも部分的に挿入されるサイズおよび形のインプラント本体402を備える。第一部分304はポリマーから形成され、第一直径408(図4B)を含む。第二部分406もポリマーから形成され、第一の直径408よりも小さい第二の直径410(図4B)を持つベース部材412(例えばマンドレルまたはスパインのような部材)を含む。例えば図7Aから7Dに示されているように、いくつかの実施例において、第一304および第二406部分は一体的に結合され、単体のインプラント本体402を備える。例えば図7Eから7Gに示されているように、いくつかの実施例において、第一304および第二406部分は別々のエレメントであり、例えば結合間隙と結合アームを係合することによって互いに結合することができる。様々な実施例において、ベース部材412はその外表面508から突出した一つ以上のアーム部材702を含むことができる。
【0147】
膨潤性材料などの拡張可能保持部材314を、少なくとも部分的にベース部材412の一部を包み込むように、ベース部材412の上に接着または結合させることができる。一実施例において、拡張可能保持部材はベース部材412を実質的に包み込む。一つ以上のアーム部材702により、拡張可能保持部材314、中間部材350(図4B)およびベース部材412の一つ以上の間を接着または他の結合をするための表面積が増える。例えば拡張可能保持部材314は、利用された時、一つ以上のアーム部材702の間のスペースをふさぐ。例えば涙点212、214に挿入されると、拡張可能保持部材314は涙液または他の流体を吸収あるいは保持するにつれて、そのサイズが大きくなりその形が変わり得ることにより、拡張可能保持部材314自身を関連する涙小管208、210の壁に対して僅かにバイアスをかけるように促す。
【0148】
図7Aの実施例において、涙管インプラント300は、第一部分304から第二部分406に延在する単体のインプラント本体402を含む。第一部分304はその近位端418の近傍に配置された空洞416を含むことができる。空洞416は、目に対して持続して薬物または他の薬剤を放出するための第一薬物放出または他の薬剤放出ドラッグサプライ420を含むことができる。インプラント本体402は、近位端318からまたは周りに少なくとも部分的に横方向に延在する一体型フィードバックまたは他の突起422をさらに含むことができる。様々な実施例において、例えば涙管インプラント300が小管内腔208、210の中を完全に突き抜けるのを禁止または防ぐために、インプラントするユーザーに対して(例えばインプラントが完全にインプラントされたかどうかに関して)触覚または視覚フィードバック情報を提供するために、またはインプラント位置から涙管インプラント300を取り外すために、関連する小管内腔208、210の中にインプラント本体402の第二部分406が配置される時に突起422が涙点開口212、214に対してまたは近傍に留まるように構成することができる。
【0149】
図示されているように、第二部分406は、第一部分304の直径408(図4B)よりも小さい直径410(図4B)を持つベース部材412(例えばマンドレルまたはスパインのような部材)を含むことができる。本実施例において、ベース部材412は、リブ704の形状の一つ以上のアーム部材702を含む。リブ704はそれぞれ、たとえばベース部材412の長手方向軸に対して横方向に突き出しているような、ベース部材412の外表面から延在する湾曲または非湾曲突起を含むことができる。本実施例において、三組のリブ704がベース部材412から延在している。しかし、本発明の範囲から逸脱することなく、3組よりも多いかまたは少ないリブ704の組が使用されてよい。拡張可能保持部材314または中間部材350(図4B)の一つまたは両方がベース部材412に結合される表面積を広くすることにより、リブ704は涙管インプラント300に強度を与える。
【0150】
図7Bの例において、涙管インプラント300は、第一部分304から第二部分406に延在する単体のインプラント本体402を含む。第一部分304はその近位端418の近傍に配置された空洞416を含むことができる。空洞416は、目に対して持続的に薬物または他の薬剤を放出するための第一薬物放出または他の薬剤放出ドラッグサプライ420を含むことができる。インプラント本体402は、近位端418からまたは周りに少なくとも部分的に横方向に延在する一体型フィードバックまたは他の突起422をさらに含むことができる。様々な実施例において、例えば涙管インプラント300が小管内腔208,210の中を完全に突き抜けるのを禁止または防ぐために、インプラントするユーザーに対して(例えばインプラントが完全にインプラントされたかどうかに関して)触覚または視覚フィードバック情報を提供するために、またはインプラント位置から涙管インプラント300を取り外すために、関連する小管内腔208、210の中にインプラント本体402の第二部分406が配置される時に突起422が涙点開口212、214に対してまたは近傍に留まるように構成することができる。
【0151】
図示されているように、第二部分406は、第一部分304の径408(図4B)よりも小さい直径410(図4B)を持つベース部材412(例えばマンドレルまたはスパインのような部材)を含むことができる。本実施例において、ベース部材412はディスク706の形状の一つ以上のアーム部材702を含む。ディスク706はそれぞれ、比較的平らな上面または下面を含むことができ、ベース部材412の隣接部分よりも大きい断面サイズを含むことができる。一つ以上のディスク706は、ベース部材412の長手方向軸に沿って離間して配置させることができ、ベース部材412の外表面から延在している。一実施例において、3枚のディスク706がベース部材412から延在する。しかし、本発明の範囲から逸脱することなく、3枚よりも多いかまたは少ないディスク706が使用されてもよい。拡張可能保持部材314または中間部材350の一つまたは両方がベース部材412に結合される表面積を広くすることにより、ディスク706は涙管インプラント300に強度を与える。
【0152】
図7Cの実施例において、涙管インプラント300は、第一部分304から第二部分406に延在する単体のインプラント本体402を含む。第一部分304はその近位端418の近傍に配置された空洞416を含むことができる。空洞416は、目に対して持続的に薬物または他の薬剤を放出するための第一薬物放出または他の薬剤放出ドラッグサプライ420を含むことができる。インプラント本体402は、近位端318からまたは周りに少なくとも部分的に横方向に延在する一体型フィードバックまたは他の突起422をさらに含むことができる。様々な実施例において、例えば涙管インプラント300が小管内腔208,210の中を完全に突き抜けるのを禁止または防ぐために、またはインプラントするユーザーに対して(例えばインプラントが完全にインプラントされたかどうかに関して)触覚または視覚フィードバック情報を提供するために、またはインプラント位置から涙管インプラント300を取り外すために、関連する小管内腔208,210の中にインプラント本体402の第二部分が配置される時に突起422が涙点開口212、214に対してまたは近傍に配置されるように構成することができる。
【0153】
図示されているように、第二部分406は、径408(図4B)よりも小さい直径410(図4B)を持つベース部材412(例えばマンドレルまたはスパインのような部材)を含むことができる。本実施例において、ベース部材412はスパイク708の形状の一つ以上のアーム部材702を含む。スパイク708はそれぞれ、ベース部材412の外周の任意の場所でベース部材412の外表面から直径方向に外側に突出することができる。一実施例において、6個以上のスパイク708がベース部材412から延在している。しかし、本発明の範囲から逸脱することなく、6個よりも少ないスパイク708が使用されてよい。拡張可能保持部材314または中間部材350(図4B)の一つまたは両方がベース部材412に結合される表面積を広くすることにより、スパイク708は涙管インプラント300に強度を与える。
【0154】
図7Dの実施例において、涙管インプラント300は、第一部分304から第二部分406に延在する単体のインプラント本体402を含む。第一部分304はその近位端418の近傍に配置された空洞416を含むことができる。空洞416は、目に対して持続して薬物または他の薬剤を放出するための第一薬物放出または他の薬剤放出ドラッグサプライ420を含むことができる。インプラント本体402は、近位端418からまたは周りに少なくとも部分的に横方向に延在する一体型フィードバックまたは他の突起422をさらに含むことができる。様々な実施例において、例えば涙管インプラント300が小管内腔208,210の中を完全に突き抜けるのを禁止または防ぐために、またはインプラントするユーザーに対して(例えばインプラントが完全にインプラントされたかどうかに関して)触覚または視覚フィードバック情報を提供するために、またはインプラント位置から涙管インプラント300を取り外すために、関連する小管内腔208、210の中にインプラント本体402の第二部分406が配置される時に突起422が涙点開口212、214に対してまたは近傍に留まるように構成することができる。
【0155】
図示されているように、第二部分406は、径408(図4B)よりも小さい直径410(図4B)を持つベース部材412(例えばマンドレルまたはスパインのような部材)を含むことができる。本実施例において、ベース部材412は、例えば釣り針の形状710などの湾曲した形を持つ一つ以上のアーム部材702を含む。釣り針状突起710はそれぞれ、ベース部材412の外周の任意の場所でベース部材412の外表面から直径方向に外側に突出することができる。一実施例において、少なくとも一つの釣り針状突起は返しまたは他の後ろ向きにとがった頭部分を含む。本実施例において、3組の釣り針状突起710がベース部材412から延在している。しかし、本発明の範囲から逸脱することなく、3組よりも多いかまたは少ない釣り針状突起が使用されてよい。拡張可能保持部材314または中間部材350の一つまたは両方がベース部材412に結合される表面積を広くすることにより、釣り針状突起710または他の湾曲した形状の突起は、涙管インプラント300に強度を与える。
【0156】
図7Eおよび7Gの実施例において、涙管インプラント300は、例えば結合間隙712と結合アーム714を係合させることにより互いに結合させることができる第一304および第二406分離可能部分を備えるインプラント本体402を含む。一実施例において、例えばシリコーンベース材料である、第一部分304を形成するポリマーは、例えばポリエステル、シルク、ポリカーボネート、ウレタンベース材料、または第一部分304のポリマーが硬化される温度よりも高い溶融温度を持つかまたはより硬い他の材料などの、第二部分406を形成するポリマーとは異なる。第一部分304はその近位端418の近傍に配置された空洞416を含むことができる。空洞416は、目に対して持続して薬物または薬剤を放出するための第一薬物放出または他の薬剤放出ドラッグサプライ420を含むことができる。インプラント本体402は、近位端418からまたは周りに少なくとも部分的に横方向に延在する一体型フィードバックまたは他の突起422をさらに含むことができる。様々な実施例において、例えば涙管インプラント300が小管内腔208,210の中を完全に突き抜けるのを禁止または防ぐために、またはインプラントするユーザーに対して(例えばインプラントが完全にインプラントされたかどうかに関して)触覚または視覚フィードバック情報を提供するために、またはインプラント位置から涙管インプラント300を取り外すために、関連する小管内腔208、210の中にインプラント本体402の第二部分406が配置される時に突起422が涙点開口212、214に対してまたは近傍に留まるように構成することができる。
【0157】
図示されているように、第二部分406は、様々な形を備え第一部分304の直径408(図4B)よりも小さい直径410(図4B)を持つベース部材412(例えばマンドレルまたはスパインのような部材)を含むことができる。これらの実施例において、ベース部材412は、例えばベース部材412の長手方向軸に対して横方向に突出するような、ベース部材412の外表面から延在する一つ以上のアーム部材702を含む。ベース部材412は、図7Eの例において第一部分304の長手方向軸と一致し、図7Gの例において第一部分304の軸に対して角度718を付けられている。一実施例において、ベース部材412の長手方向軸と第一部分304の長手方向軸との間の角度718を付けた交差が、インプラント本体402を涙小管208,210に埋め込む時または埋め込んだ後に形成される。拡張可能保持部材314または中間部材350(図4B)の一つまたは両方がベース部材412に結合される表面積を広くすることにより、前記一つ以上のアーム部材702は涙管インプラント300に強度を与える。
【0158】
図7Fの実施例において、涙管インプラント300は、例えば結合間隙712と結合アーム714を係合させることにより互いに結合させることができる第一304および第二406分離可能部分を備えるインプラント本体402を含む。一実施例において、例えばシリコーンベース材料である、第一部分304を形成するポリマーは、例えばポリエステル、シルク、ポリカーボネート、ウレタンベース材料、または第一部分304のポリマーが硬化される温度よりも高い溶融温度を持つかまたはより硬い他の材料などの、第二部分406を形成するポリマーとは異なる。第一部分304はその近位端418の近傍に配置された空洞416を含むことができる。空洞416は、目に対して持続して薬物または薬剤を放出するための第一薬物放出または他の薬剤放出ドラッグサプライ420を含むことができる。インプラント本体402は、近位端418からまたは周りに少なくとも部分的に横方向に延在する一体型フィードバックまたは他の突起422をさらに含むことができる。様々な実施例において、例えば涙管インプラント300が小管内腔208,210の中を完全に突き抜けるのを禁止または防ぐために、またはインプラントするユーザーに対して(例えばインプラントが完全にインプラントされたかどうかに関して)触覚または視覚フィードバック情報を提供するために、またはインプラント位置から涙管インプラント300を取り外すために、関連する小管内腔208,210の中にインプラント本体402の第二部分が配置される時に突起422が涙点開口212、214に対してまたは近傍に留まるように構成することができる。
【0159】
図示されているように、第二部分406は、第一部分304の直径408(図4B)よりも小さい直径410(図4B)を持つベース部材412(例えばマンドレルまたはスパインのような部材)を含むことができる。本実施例において、ベース部材412は、例えば結合間隙712および結合アーム714の間の接合部からバルーンのような形状で突出するような、ベース部材412の外表面から延在する一つ以上のアーム部材702を含む。一実施例において、前記一つ以上のアーム部材702は、拡張可能保持部材314または中間部材350の一部を受けるような大きさの一つ以上の間隙616を含む。拡張可能保持部材314または中間部材350(図4B)の一つまたは両方がベース部材412に結合される表面積を広くすることにより、前記一つ以上のアーム部材702は涙管インプラント300に強度を与える。
【0160】
図8は、少なくとも部分的に涙点に挿入可能に構成された涙管インプラントを製造する方法800の例を示すブロック図である。802において、第一および第二部分を含むインプラント本体が形成される。第一部分の形成は、ポリマーの第一直径を持つ形への溶融、成形、または加工を含むことができる。第二部分の形成は、ポリマーの第一直径よりも小さい第二直径を持つベース部材の形への溶融、成形、または加工を含む。一実施例において、第一部分、第二部分、またはそれら両方の形成は、第一ポリマー、第二ポリマー、または両方のポリマーの溶融をそれぞれ使用する射出成形を含むことができる。ポリウレタンポリマーおよびコポリマーを溶融加工するために適応させ、これにより溶剤鋳造技術のさらなる複雑さ、必要な溶剤の取り扱いの費用、およびインプラントのポリマー材料における残留溶剤の可能性を回避する。一実施例において、インプラント本体の形成は、第一部分の近位端から内側に延在する空洞の形成もさらに含む。一実施例において、インプラント本体の形成は、ベース部材の外表面から横方向に突出する一つ以上のアーム部材の形成をさらに含む。いくつかの実施例において、インプラント本体は、例えばポリウレタンなどのウレタンベースの材料から形成される。いくつかの実施例において、インプラント本体はシリコーン材料から形成される。オプションとして、カバーリング要素への結合を促すために、ベース部材の外表面の一つ以上の部分をプラズマ処理される。
【0161】
804において、中間部材をオプションとしてベース部材の外表面に配置する。様々な実施例において、中間部材は、インプラント本体のポリマーよりも多く流体(例えば涙液)を吸収するように構成された第三ポリマーを含む。一実施例において、第三ポリマーを溶融物として涙管インプラントに組み込むことができる。一実施例において、中間部材を、射出成形加工または溶剤浸漬コーティング加工を使ってベース部材に利用することができる。例えば、浸漬コーティング加工を使って、中間部材の薄い層をベース部材の外表面の上に利用することができる。
【0162】
806において、拡張可能保持部材を、少なくとも部分的にベース部材、そしてオプションとして中間部材の上に結合させる。一実施例において、ベース部材が全体的にまたは実質的に囲まれるように、拡張可能保持部材をベース部材の上に結合させる。様々な実施例において、拡張可能保持部材は、インプラント本体および中間部材の双方よりも多い量の流体を吸収するように構成されたポリマーを含む。一実施例において、拡張可能保持部材は、例えばウレタンベースのヒドロゲルといったウレタンベースの材料を含み、やはりウレタンベースの材料を含むことのできるベース部材の上に成形される。一実施例において、拡張可能保持部材は射出成形加工を使って形成される。例えば、ウレタンベースのベース部材およびウレタンベースの拡張可能保持部材を溶融し、マルチ射出成形加工で行われているように二つの別々の成形ポートを介して金型に射出することができるであろう。別の実施例において、挿入オーバーモールド加工で行われているように、ベース部材または拡張可能保持部材の一方を個々に成形し、他方のエレメントを金型の残り部分に射出することができるであろう。一実施例において、拡張可能保持部材をベース部材の外表面の上に浸漬コーティングする。一実施例において、拡張可能保持部材は、ベース部材の外表面の上に滑り込ませ、例えばTecoflex(登録商標)1−MPなどのウレタンベースの接着剤を使って結合されるように構成されたヒドロゲルスリーブ(例えばヒドロゲル管)を含む。
【0163】
808において、ドラッグサプライを第一本体部分の空洞に配置する。様々な実施例において、ドラッグサプライは薬剤を貯蔵し、例えば薬剤を涙層流によって浸出させて目にゆっくり投与する。薬物または他の薬剤は、少なくとも一部分はドラッグサプライの露出表面を介して放出されることができる。一実施例において、ドラッグサプライがインプラント本体の外側へ少なくとも部分的に突出するように近位端の上にドラッグサプライの露出表面を配置することができる。いくつかの実施例において、ドラッグサプライがインプラント本体の外側に突出しないように、近位端にドラッグサプライの露出表面を近位端と同一平面状かまたは僅かに下に配置することができる。
【0164】
涙管インプラントを、以下を含む加工によって作成できる:一つの材料からインプラント本体を成形することができ、一旦完成したものを、次の材料を、完成した部分の周りに射出する二番目の金型に入れることができる挿入オーバーモールディング;同じ射出ノズルあるいは別のノズルを使って複数の材料を金型に同時に射出するマルチコンポーネントモールディング;別々の材料を金型の異なる場所に順次射出するマルチショットモールディング;および成形されたインプラント本体に(接着剤またはメルト接着によって)接着されたヒドロゲルスリーブの押出。
【0165】
[鞘体の例]
様々な方法で、ドラッグサプライを囲みオプションとしてドラッグサプライに含まれる鞘体は、ドラッグサプライからの一つ以上の薬剤の移動を制御するために適切な形と材料を備えることができる。いくつかの実施例において、例えば涙点または涙小管の組織といったインプラント組織に対して適合するように鞘体を構成する。前記したように、いくつかの実施例において、鞘体はドラッグサプライを収納し、マトリックス/薬剤の混合物の外表面に対してぴったりとフィットすることができる。薬剤の移動レートが、鞘体に覆われないドラッグサプライの露出表面積によって大きく制御されるように、鞘体を、実質的に薬剤に浸透しない材料から作ることができる。多くの実施例において、鞘体を介した薬剤の移動は、ドラッグサプライの露出表面を介した薬剤の移動の約十分の一またはそれより低いレートであることができる。適切な鞘体の材料は、特にポリイミド、ポリエチレンテレフサレート(PET)を含むことができる。鞘体は、外側マトリックス/薬剤混合物表面に近接する鞘表面から、外表面に対向する鞘表面までで定義される、約0.00025インチから約0.0015インチの厚さを持つことができる。ドラッグサプライ全体に延在する鞘の直径の合計は、約0.2ミリメートルから約1.2ミリメートルの範囲である。ドラッグサプライは、鞘体においてマトリックスを浸漬コーティングすることにより形成することができる。いくつかの実施例において、鞘体は、マトリックス/薬剤混合物を導入する管を備えることができる。鞘体を、マトリックス/薬剤混合物、例えば事前に形成されたマトリックス/薬剤芯の周りで浸漬コーティングすることもできる。
【0166】
例えば本明細書中で説明した涙管インプラントの臨床用途を容易にするために、鞘体は一つ以上の付加的な特徴を備えることができる。例えば、鞘は原位置で交換可能なドラッグサプライを受けることができ、一方インプラント本体は患者にインプラントされたままかあるいは取り外される。いくつかの実施例において、押し込まれたときに鞘体に力を加え、それによりマトリックス/薬剤混合物を鞘体から押し出す一つ以上の外部突起を、鞘体が備えることができる。そして替わりのドラッグサプライを鞘体に配置することができる。
【0167】
[治療薬の例]
治療薬剤(または単に薬剤)は、特に、以下のまたはそれらの同等物、派生物、または類似物の一つまたは任意の組み合わせから作られた薬物を備えることができる:抗緑内障薬(例えばアドレナリン作動薬、アドレナリン拮抗薬(ベータブロッカー)、炭酸脱水酵素阻害薬(CAI、全身性および局所性)、副交感神経作用薬、プロスタグランジンおよび降下圧脂質、およびそれらの組み合わせ)、抗菌剤(例えば抗生剤、抗ウイルス剤、駆虫薬、抗真菌剤等)、コルチコステロイドまたは他の抗炎症剤(例えばNSAIDまたは他の鎮痛剤および疼痛管理化合物)、充血除去薬(例えば血管収縮剤)、アレルギー反応を防ぐか緩和する薬剤(例えば抗ヒスタミン剤、サイトカイン阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、IgE阻害剤、免疫調節剤)、肥満細胞安定剤、毛様筋調節剤、散瞳薬など。
【0168】
利用可能な薬剤は、例えばトロンビン阻害剤;抗血栓薬;血栓溶解剤;繊維素溶解薬;血管れん縮剤;血管拡張剤;降圧剤;抗生剤(例えばテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオ酸ナトリウム)、抗真菌剤(例えばアンフォテリシンBおよびミコナゾールなどの)、および抗ウイルス剤(例えばイドクスウリジントリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロン)などの抗菌剤;表面糖タンパク受容体の阻害剤;抗血小板薬;抗有糸分裂薬;微小管阻害剤;抗分泌薬;活性抑制剤;リモデリング抑制剤;アンチセンスヌクレオチド;代謝拮抗剤;抗増殖剤(血管新生抑制剤を含む);抗がん化学療法剤;抗炎症剤(例えばヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン‐21‐リン酸、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン‐21‐リン酸、酢酸プレドニゾロン、フルオロメタロン、ベータメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド);非ステロイド抗炎症剤(NSAID)(例えばサリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ピロキシカムインドメタシン、イブプロフェン、ナクソプレン、ピロキシカムおよびナブメトン)を含むが、これらに限定されない。本涙管インプラントで使用することを想定したこのような抗炎症ステロイドは、例えばトリアムシノロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、コルチゾン、プレドニゾロン、フルメトロンおよびそれらの派生物を含むトリアムシノロンアセトニド(一般名)およびコルチコステロイド;抗アレルギー剤(例えばクロモグリク酸ナトリウム、アンタゾリン、メタピリリン、クロルフェニラミン、セチリジン、ピリラミン、プロフェンピリダミン);抗増殖剤(例えば1,3−cisレチノイン酸、5-フルオロウラシル、タキソール、ラパマイシン、ミトマイシンCおよびシスプラチン);充血除去剤(例えばフェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン);縮瞳薬および抗コリンエステラーゼ薬(例えばピロカルピン、サリチル酸塩、カルバコール、塩化アセチルコリン、フィゾスチグミン、エゼリン、フルオロリン酸ジイソプロピル、ホスホリンヨウ素、臭化デメカリウム);抗腫瘍薬(例えばカルマスティン、シスプラチン、フルオロウラシル3);免疫剤(例えばワクチンおよび免疫刺激剤);ホルモン剤(例えばエストロゲン、エストラジオール、黄体ホルモン、プロゲステロン、インスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、ペプチドおよびバソプレシン視床下部放出因子);免疫抑制剤、成長ホルモンアンタゴニスト、成長因子(例えば上皮細胞増殖因子、繊維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、トランスフォーミング成長因子β、ソマトトロピン、フィブロネクチン);血管新生阻害剤(例えばアンギオスタチン、酢酸アネコルタブ、トロンボスボンジン、抗VEGF抗体);ドーパミン作用薬;放射線治療薬;ペプチド;タンパク質;酵素;細胞外マトリックス;コンポーネント;ACE阻害剤;フリーラジカル捕捉剤;キレート剤;酸化防止剤;抗ポリメラーゼ;光力学治療剤;遺伝子治療剤;プロスタグランジン、抗プロスタグランジン、チモロール、ベタキソロール、レボブノロール、アテノロールなどのβブロッカーを含む抗緑内障薬を含むプロスタグランジン前駆体、およびビマトプロスト、トラボプロスト、ラタノプロストなどのプロスタグランジン類似体などの他の治療薬;アセタゾールアミド、ドルゾラミド、ブリンゾラミド、メタゾラミド、ジクロフェナミド、ダイアモックスなどの炭酸脱水酵素阻害剤;ルベゾール、ニモジビン関連化合物などの神経保護剤;およびピロカルピン、カルバコール、フィゾスチグミンなどの副交感神経作用薬を含む。
【0169】
本涙管インプラントで使用される薬剤は、米国連邦食品医薬物化粧法のセクション505、または公衆衛生法で承認された薬剤をさらに含むがこれらに限定されない。これらの薬剤のうち一部は米国食品医薬品局(FDA)のウェブサイトhttp://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/drugsatfda/indexで見ることができる。本特許文書の出願日と同じか前、または後の日付を持つか記録しているFDAオレンジブックウェブサイト(http://www.fda.gov/cder/ob/)において、紙または電子的な形体のどちらかでオレンジブックに掲載された薬物と、本涙管インプラントを一緒に使用することができる。例えば、これらの薬物は、特に、ドルゾラミド、オロパタジン、トラボプロスト、ビマトプロスト、シクロスポリン、ブリモニジン、モキシフロキサシン、トブラマイシン、ブリンゾラミド、アシクロビルマレイン酸チモロール、ケトロラクトロメタミン、酢酸プレドニゾロン、ヒアルロン酸ナトリウム、ネパフェナク、ブロムフェナク、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、suprofenac、binoxan、パタノール、デキサメタゾン/トブラマイシンの組み合わせ、モキシフロキサシンまたはアシクロビルを含む。
【0170】
上記に挙げた薬剤を使って治療できる病気または疾患は、例えば、緑内障、術前術後眼科外科治療、ドライアイ、目に対するアレルギー、抗感染症、術後の炎症または痛み、あるいはアレルギーなどの呼吸器関連疾患を含むがこれらに限定されない。いくつかの実施例において、治療薬は、例えば、ドライアイを治療する潤滑剤などの潤滑剤または界面活性剤を含むことができる。他の実施例において、治療薬は目から涙を吸収することのできる吸収剤を含むことができる。
【0171】
[ドラッグサプライの例]
ドラッグサプライは一つ以上の薬剤、およびいくつかの実施例においては、薬剤を持続して放出するための一つ以上のマトリックス材料を備えることができる。マトリックスにおける薬剤の溶解度に少なくとも部分的に基づいて、前記一つ以上の薬剤をドラッグサプライの露出表面から対象組織(例えば目の毛様筋)に移動させることができる。露出表面からの薬剤の移動レートを、マトリックスにおいて溶解した薬剤の濃度に関連付けることもできる。いくつかの実施例において、ドラッグサプライにおいて溶解した薬剤の濃度を、薬剤の所望の放出レートを提供するために制御することができる。さらにまたは併せて、露出表面からの薬剤の移動レートを、薬剤が溶解するマトリックスの一つ以上の特性、例えばシリコーンマトリックス製剤の特性に関連付けることができる。いくつかの実施例において、ドラッグサプライに含まれた薬剤は、液体、固体、固体ゲル、晶質固体、非晶質固体、固体粒子、または融解した形体を含むことができる。このような一実施例において、液体ラタノプロスト液滴または固体ビマトプロスト粒子をシリコーンマトリックスにおいて分散させる。
【0172】
ドラッグサプライは、一つ以上の薬剤を持続して放出可能な一つ以上の生体適合性材料を備えることができる。ドラッグサプライを、その中に配置された薬剤の溶解可能包含物を持つ実質的に非生分解性であるシリコーンマトリックスを含むマトリックスを備える例に関して主に上記したが、ドラッグサプライは、例えば生分解性マトリックス、多孔質ドラッグサプライ、液体ドラッグサプライまたは固体ドラッグサプライなどの、薬剤を持続して放出する他の構造を含むことができる。薬剤を含むマトリックスは、生分解性または非生分解性ポリマーから形成することができる。いくつかの実施例において、非生分解性ドラッグサプライはシリコーン、アクリレート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタン、ヒドロゲル、ポリエステル(例えばデラウェア州ウィルミントンのE.I.Du Pont de Nemours and CompanyからのDACRON.RTM.)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオレチレン(PTFE)、拡張PTFE(ePTFE)、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ナイロン、抽出コラーゲン、ポリマー発泡体、シリコーンゴム、ポリエチレンテレフサレート、超高分子量ポリエチレン、ポリカーボネートウレタン、ポリウレタン、ポリイミド、ステンレス鋼、ニッケル−チタン合金(例えばニチノール)、チタン、ステンレス鋼、コバルト−クロム合金(例えばイリノイ州エルジンのElgin Specialty MetalsからのELGILOY.RTM.、ペンシルベニア州ワイオミングのCarpente Metals Corp.からのCONICHEROME.RTM.)を含む。いくつかの実施例において、生分解性ドラッグサプライは、例えばタンパク質、ヒドロゲル、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(L−グリコール酸)(PLGA)、ポリグリコライド、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸、ポリ(アミノ酸)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコン酸、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシドコポリマー、変性セルロース、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリハイドロキシブチレート、ポリ酸無水物、ポリリン酸エステル、ポリ(アルファ−ヒドロキシ酸およびそれらの組み合わせを備えることができる。いくつかの実施例において、ドラッグサプライはヒドロゲルポリマーを備えることができる。
【0173】
[実験例]
本涙管インプラントをより完全に理解できるようにするために、以下の実施例を例証として挙げる。
【0174】
[実験例1]
図9は、ベース部材、およびベース部材の上に少なくとも部分的に結合された拡張可能保持部材を含むインプラント本体を備える涙管インプラント300を示す。本実施例において、インプラント本体はポリウレタン/シリコーンコポリマーを含み、拡張可能保持部材はポリウレタンヒドロゲルスリーブを含む。
【0175】
涙管インプラント300を食塩水に浸漬してテストし、拡張可能保持部材の直径および長さの両方に対する変化を計測した。902において、インプラント本体および拡張可能保持部材をt=0分において示している。904において、インプラント本体および拡張可能保持部材をt=5分で示している。906において、インプラント本体および拡張可能保持部材をt=10分で示している。908において、インプラント本体および拡張可能保持部材をt=30分で示している。910において、インプラント本体および拡張可能保持部材をt=5分で示している。表912は、拡張可能保持部材の寸法が60分間で1.23ミリメートル(元の寸法の2.24倍の寸法変化)に増え、さらに24時間で1.31ミリメートル(元の寸法の2.38倍の寸法変化)に増えたことを示している。
【0176】
[実験例2]
図10は、ベース部材、およびベース部材の上に少なくとも部分的に結合された拡張可能保持部材を含むインプラント本体を備える涙管インプラント300を示す。本実施例において、インプラント本体はポリウレタン/シリコーンコポリマーを含み、拡張可能保持部材はポリウレタンヒドロゲルスリーブを含む。
【0177】
涙管インプラント300を食塩水に浸漬してテストし、拡張可能保持部材の直径および長さの両方に対する変化を計測した。1002において、インプラント本体および拡張可能保持部材をt=0分において示している。1004において、インプラント本体および拡張可能保持部材をt=5分で示している。1006において、インプラント本体および拡張可能保持部材をt=10分で示している。1008において、インプラント本体および拡張可能保持部材をt=30分で示している。1010において、インプラント本体および拡張可能保持部材をt=5分で示している。表1012は、拡張可能保持部材の寸法が60分間で1.17ミリメートル(元の寸法の2.02倍の寸法変化)に増え、さらに24時間で1.24ミリメートル(元の寸法の2.14倍の寸法変化)に増えたことを示している。
【0178】
[実験例3]
図11は、第一部分および第二部分を持つインプラント本体をそれぞれ備える二つの涙管インプラント300を図示している。本実施例において、インプラント本体の第一部分はシリコーン‐ウレタンコポリマー、およびインプラント本体の第二部分はウレタンヒドロゲル(TG−500(登録商標))を含む。
【0179】
涙管インプラント300を食塩水に浸漬してテストし、第二本体部分の直径に対する変化を計測した。1102において、第一部分および第二部分を含むインプラント本体をt=0分において示している。1104において、第一部分および第二部分を含むインプラント本体をt=2分で示している。1106において、第一部分および第二部分を含むインプラント本体をt=5分で示している。1108において、第一部分および第二部分を含むインプラント本体をt=10分で示している。表1110は、特に、インプラント本体の第二部分の寸法がわずか2分間で0.44ミリメートルから0.76ミリメートル(72パーセントの寸法変化)に増えたことを示している。
【0180】
[実験例4]
図12は、第一部分および第二部分を持つインプラント本体をそれぞれ備える二つの涙管インプラント300を図示している。本実施例において、インプラント本体の第一部分はシリコーン-ウレタンコポリマーを含み、インプラント本体の第二部分はウレタンヒドロゲル(TG−2000(登録商標))を含む。
【0181】
涙管インプラント300を食塩水に浸漬してテストし、第二本体部分の直径に対する変化を計測した。1202において、第一部分および第二部分を含むインプラント本体をt=0分において示している。1204において、第一部分および第二部分を含むインプラント本体をt=2分で示している。1206において、第一部分および第二部分を含むインプラント本体をt=5分で示している。1208において、第一部分および第二部分を含むインプラント本体をt=10分で示している。1210において、第一部分および第二部分を含むインプラント本体をt=30分で示している。表1212は、特に、インプラント本体の第二部分の寸法がわずか2分間で0.47ミリメートルから0.92ミリメートル(95パーセントの寸法変化)に増えたことを示している。
【0182】
[結び]
特に、涙管インプラント、および目の涙点と涙小管内で確実に涙管インプラントを保持する関連方法を本明細書で説明している。インプラント本体は第一および第二部分を含むことができ、第一部分はポリマーから形成され第一直径を含み、第二部分もポリマーから形成され第二直径を持つベース部材を含む。様々な実施例において、ベース部材の第二直径は第一本体部分の第一直径よりも小さい。拡張可能保持部材が、少なくとも部分的にベース部材の上に結合され、涙点に挿入された後に涙液を吸収することによって膨張するように構成される。このように、涙管インプラントのインプラント位置を保持するために、拡張可能保持部材の少なくとも一部分が涙小管の壁の少なくとも一部分に対してバイアスされることができる。様々な実施例において、涙管インプラントは、例えば目または鼻腔の一つあるいは両方に対して治療薬を持続して放出するために、第一部分または拡張可能保持部材の少なくとも一つに含まれた薬物または他の薬剤サプライをさらに備えることができる。
【0183】
例えば、目からの涙の流れの遮断、または目、鼻腔あるいは鼻涙系の他の部分に対する薬物または他の治療薬の持続送達の一つ以上のために、目の中または近傍に確実に本涙管インプラントを保持することができる。涙管インプラントを、インプラント本体のより小さい直径を持つ第二部分に少なくとも部分的に結合された拡張可能保持部材を含むように構成することにより、涙管インプラントが、インプラントされた涙点および小管位置から不注意に出てくることを禁止することができ、また、この構成を涙小管を介した流体の動きを少なくとも部分的に遮断するために使用することができる。例えば、涙管インプラントを、あるべき場所にセットするために、拡張可能保持部材の膨張量を制御することができるであろうし、インプラントをインプラントされた位置から押しやる傾向にある過膨張を防ぐことができるであろう。さらに、インプラント本体のより小さい直径を持つ第二部分の上に少なくとも部分的に結合されるように拡張可能保持部材を構成することにより、比較的大きい表面結合面積によって拡張可能保持部材(またはオプションとしての中間膨潤部材)とインプラント本体の間を適切に固着することができる。
【0184】
上記の“発明を実施するための形態”は、この記述の一部をなす添付の図面への参照を含む。図面は、例証することによって、本発明を実現可能な特定の実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書中において“実施例”としても言及されている。本文書で言及した全ての刊行物、特許および特許文書は、優先権を請求されてはいないが、参照によって個々に組み込まれてはいるものの、その全体が参照によって本明細書中に組み込まれる。本明細書および参照によってこのように組み込まれたこれらの文書で用法の整合が取れない場合には、組み込まれた参照の用法は本明細書の補足として考えられるべきである。相容れない不整合に関しては、本文書における用法が優先する。
【0185】
本文書において、単語“a”または“an”は、特許文書において共通であるように、一つまたは一つ以上を含むために使用され、”少なくとも一つ“または”一つ以上の”という如何なる他の例または用法からも独立している。本文書において、単語“or”は指示されていない限り、例えば“AまたはB”は“BではなくA”、“AではなくB”、および“AおよびB”を含む、非排他的な“または”を意味するために使用される。本文書において、単語“約”は、およそ、ほぼ、殆ど、または述べられた量に等しい近傍の量を意味するために使用される。
【0186】
本文書において、単語“近位”は、涙管インプラントを患者にインプラントする医師の手に比較的近い場所を意味し、単語“遠位”とは、特にインプラントを患者にインプラントしている最中に、その医師の手から比較的遠い場所を意味する。
【0187】
本文書において、単語“ヒドロゲル”は、例えば超吸収ポリマー、親水コロイドおよび吸収性親水性ポリマーなどの、吸収するかさもなければ保持する物質(例えば吸収材料)を意味するために使用される。いくつかの実施例において、単語“ヒドロゲル”は、“乾燥または脱水された”状態の超吸収ポリマー粒子、より具体的には、水分を含まない粒子から、粒子の重量よりも少ない量の水分、例えば約5重量パーセントより少ない水を含む粒子を意味する。いくつかの実施例において、単語“ヒドロゲル”は、ヒドロゲルが拡張できない時に“乾燥または脱水された”状態における超吸水ポリマーを意味し、またその脱水されたか拡張された状態、より具体的には、例えば水中でその重量の数倍など、水の中で少なくともその重量分吸収したヒドロゲルも意味する。ヒドロゲル材料が流体を吸収するにつれ、そのサイズは大きくなりその形は、例えば涙小管膨大部または涙小管壁の少なくとも一部分に対してバイアスをかけるように変化することができる。
【0188】
本文書において、単語“医薬物”は、例えば医薬化合物または薬物などの、医療治療における使用に適する活性薬剤を意味するために使用される。
【0189】
本文書において、単語“活性薬剤”は、生体に効力を及ぼす分子的実体を意味する。
【0190】
本文書において、単語“ポリマー”は、当技術分野においてよく知られているように、一つ以上の繰り返し単位を含む有機高分子を意味する。“コポリマー”は、含まれた繰り返し単位が少なくとも二種類存在するポリマーを意味する。コポリマーは、一種類の繰り返し単位を複数含むセグメントが存在し二つ目の種類の繰り返し単位を複数含むセグメントに接着されているブロックコポリマーであることができる。
【0191】
本文書において、単語“親水性ポリマー”は、水で濡らすことができる、すなわち撥水表面を持たないポリマーを意味する。親水性ポリマーは、例えば約0から100重量パーセントの水などのように、水を少し吸収することができるが、ヒドロゲル形成ポリマーのように顕著に体積が膨張しない。
【0192】
本文書において、単語“ポリウレタン”は、ウレタン、すなわちカルバミン酸塩、結合剤、NとO原子が有機ラジカルに付着した−N−C(O)−Oを介して共有結合される繰り返し単位を含む、様々なポリマーまたはコポリマーを意味する。有機ラジカルは脂肪族、芳香族あるいは混合であることができ、他の機能族を含むことができる。分子鎖の端にあるラジカル以外の各ラジカルは、二つの(またはそれより多い)ウレタン族を介して他のラジカルに結合される。ポリウレタンポリマーは、繰り返し単位を結び付けるウレタンタイプの族のみを含む。例えばポリウレタン-シリコーンコポリマーまたはポリウレタン-炭酸塩コポリマーなどのポリウレタンコポリマーは、ウレタンおよび繰り返し単位を結び付ける他のタイプの族、すなわちシリコーンおよび炭酸塩タイプの族をそれぞれ含む。その例は、AorTechのElast−Eon(商標)、ポリウレタン−シリコ−ンコポリマー、LubrizolのTecoflex(登録商標)、脂肪族軟質ポリウレタン、LuzbrizolのTecothane(登録商標)、熱可塑性ポリウレタン、LubrizolのCarbothane(登録商標)、ポリウレタン/ポリカーボネートコポリマーを含む。
【0193】
ポリウレタン-シリコーンコポリマーは、当技術分野でよく知られているように、ポリウレタン鎖のセグメントおよびシリコーン鎖のセグメントを含む。ポリウレタン-シリコーンコポリマーの例は、カリフォルニア州バークレーのPolymer Technologies Inc.の製品であり、メーカーによって脂肪族、熱可塑性シリコーンポリエーテルウレタンコポリマーとして謳われるPursil(登録商標)である。これらのポリマーはポリエーテル軟性セグメントと一緒にポリマー骨格にシリコーンを組み込むことによって形成され、Surface−Modifying End Group(登録商標)(SME)を使ってポリマー鎖を終端する。ポリウレタン-炭酸塩コポリマーはウレタンセグメントおよび炭酸塩(−O−C(O)O−)セグメントを含む。ポリウレタン-炭酸塩コポリマーの例は、Carbothane TPU(登録商標)(Lubrizol)である。
【0194】
TG−500およびTG−2000は、マサチューセッツ州ウィルミントンのLubrizol Advanced Materials,Inc.のThermedics Polymer Products部門で製造されたポリウレタンヒドロゲル形成ポリマーである。これらのポリマーはメーカーにより、脂肪族、ポリエーテルベースの、ヒドロゲルを形成可能な熱可塑性ポリウレタンとして謳われている。これらのヒドロゲル形成ポリマーは、100重量パーセントよりも多い、例えば500から2000重量パーセントまでの水を吸収することができ、その結果寸法が膨張する。
【0195】
添付の請求項において、単語“含む”および“そこにおいて”は、それぞれ単語“備える”および“そこで”の通常の英語の相当語句として使用される。また、以下の請求項において、単語“含む”および“備える”は制限がない、すなわち、請求項においてこのような単語の後で列挙されたエレメントに加えて他のエレメントを含むシステム、アセンブリ、装置、品物、または加工は、依然としてその請求項の範囲内に収まるものとみなされる。さらに、以下の請求項において、単語“第一”、“第二”、“第三”などは、単に名前として使われているだけであり、それらの目的物に対する数的要件を課すことを意図するものではない。
【0196】
以上の説明は、例示的ではあるが限定的ではない。例えば、上記の実施例(またはそれらの一つ以上の特徴)を互いに組み合わせて使うことができる。例えば当業者が上記の説明を再検討して、他の実施形態を使うことができる。また、上記の“発明を実施する形態”では、様々な特徴を一緒にグループ化して開示の簡素化を可能にしている。これは請求されていない開示された特徴がいずれの請求項にも必須であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、発明要件は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴において存在することができる。これにより、別の実施形態として各請求項がそれ自身を主張しつつ、以下の請求項が“発明を実施するための形態”に組み込まれている。本発明の範囲は、このような請求項が権利を与えられた同等物の全範囲と共に、添付の請求項に準拠して決定されるべきである。
【0197】
読者がこの技術的開示の性質を速やかに究明できるように、C.F.Rセクション1.72(b)に準拠するように要約を提供する。請求項の範囲または意味を解釈あるいは限定するために使用しないという理解をもって要約を提出する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
涙管インプラントであって、
第一および第二部分を含み、少なくとも部分的に涙小管に挿入されるサイズと形のインプラント本体を備え、
前記第一部分は、水媒体に接触した時に100重量パーセントよりも少なく膨張するように構成された第一生体適合性ポリマーを含み、
前記第二部分は、水媒体に接触したと時に100重量パーセントよりも多く膨張するように構成された第二生体適合性ポリマーを含み、
前記第一および第二生体適合性ポリマーは、前記第一部分と前記第二部分との接合部で固着する、
ことを特徴とする涙管インプラント。
【請求項2】
前記第一生体適合性ポリマーはウレタンベース材料を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の涙管インプラント。
【請求項3】
前記第一生体適合性ポリマーはポリウレタンポリマーまたはコポリマーを含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の涙管インプラント。
【請求項4】
前記第二生体適合性ポリマーはウレタンベース材料を含む、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項5】
前記第二生体適合性ポリマーはヒドロゲル形成ポリウレタンポリマーまたはコポリマーを含む、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項6】
前記第二生体適合性ポリマーは、ヒドロゲル形成ポリウレタンポリマーまたはコポリマーを含み、
前記ポリマーまたはコポリマーは、水媒体に接触した時に約100重量パーセントから約200重量パーセント膨張できる、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項7】
前記第二生体適合性ポリマーは、水媒体にさらされた時に500から2000重量パーセント膨張するように適応させたポリウレタンヒドロゲルを含む、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項8】
前記第一ポリマー、前記第二ポリマー、または両方は、ポリウレタン‐シリコーンコポリマー、ポリウレタン-炭酸塩コポリマー、脂肪族ポリウレタン、芳香族ポリウレタン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項9】
さらに、
前記第二ポリマーが前記水媒体に接触しそれにより膨張した時に拡張するように構成された外部コーティングまたは鞘を備える、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項10】
前記第二部分は、前記第一部分の外表面の第一部位にコーティングとして配置され、
前記第一部分の前記外表面の第二部位は近位端に隣接して配置され、コーティングされない、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記接合部は第三生体適合性ポリマーを含む中間部材を備え、
前記第三生体適合性ポリマーは、前記第一生体適合性ポリマーおよび第二生体適合性ポリマーの両方に固着するように構成され、水媒体に接触したときに、前記第一ポリマーよりも多く膨張し、前記第二ポリマーより少なく膨張するように構成される、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項12】
前記第三ポリマーは、ポリウレタンポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン-シリコーンコポリマー、ポリウレタン-炭酸塩コポリマー、脂肪族ポリウレタン、芳香族ポリウレタン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の涙管インプラント。
【請求項13】
前記第三ポリマーは、約50パーセントから約200パーセントの水を吸収するように構成される、
ことを特徴とする請求項12に記載の涙管インプラント。
【請求項14】
前記第一生体適合性ポリマーと前記第三生体適合性ポリマーとの間、または前記第二生体適合性ポリマーと前記第三生体適合性ポリマーとの間、または両方の間の固着の強度は、前記第一および第二生体適合性ポリマーの間の固着の強度よりも強い、
ことを特徴とする請求項11から13のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項15】
前記第一部分は、埋め込まれた時に涙点においてまたは近傍に留まるように構成され第一直径を含む近位端から、埋め込まれた時に前記涙点を介して前記涙小管に挿入されるように構成され前記第一直径よりも小さい第二直径を持つ遠位端まで延在するベース部材を備える、
ことを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項16】
前記インプラント本体が前記涙小管から張力下で引き抜かれた時に前記第一部分と前記第二部分が前記接合部で分離せず前記第二部分が前記水媒体との接触から膨張するように、前記ベース部材の形が、前記第一生体適合性ポリマーを前記第二生体適合性ポリマーに固着するために十分な表面積を提供するように構成される、
ことを特徴とする請求項15に記載の涙管インプラント。
【請求項17】
張力下で分離に耐えるために、前記第一部分の表面を、前記第二部分と接着するために化学修飾させるまたは電離放射もしくは電子線放射で処理する、
ことを特徴とする請求項16に記載の涙管インプラント。
【請求項18】
ベース部材は、その外表面から突出する一つ以上のアーム部材を含む、
ことを特徴とする請求項15から17のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項19】
前記一つ以上のアーム部材の少なくとも一つは、前記ベース部材の長手方向軸に対して横方向に突出する、
ことを特徴とする請求項18に記載の涙管インプラント。
【請求項20】
前記一つ以上のアーム部材は、前記ベース部材の隣接部分よりも大きい断面サイズを備える、
ことを特徴とする請求項18または19に記載の涙管インプラント。
【請求項21】
前記ベース部材は、結合時に前記第二部分の一部分を受け止めるサイズである一つ以上の間隙を含む、
ことを特徴とする請求項15から20のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項22】
前記第二部分は、前記ベース部材の上に少なくとも部分的に結合された拡張可能保持部材を備え、
前記拡張可能保持部材は、前記涙小管に挿入された後に水媒体を吸収することにより膨張するように構成される、
ことを特徴とする請求項15から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記拡張可能保持部材は前記ベース部材を実質的に包み込む、
ことを特徴とする請求項22に記載の涙管インプラント。
【請求項24】
前記拡張可能保持部材は、前記涙小管のサイズと形に少なくとも部分的に合致するように構成されたゲルを含む、
ことを特徴とする請求項22または23に記載の涙管インプラント。
【請求項25】
前記ベース部材は長手方向軸を含み、
前記拡張可能保持部材は、前記ベース部材の前記長手方向軸に対して横方向に延在する少なくとも一つの長手方向膨張軸を含む、
ことを特徴とする請求項22から24のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項26】
前記拡張可能保持部材は、前記涙小管の水平部分に向かって少なくとも部分的に延在するように構成される、
ことを特徴とする請求項22から25のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項27】
前記拡張可能保持部材は、涙小管の膨大部に向かって少なくとも部分的に延在するように構成される、
ことを特徴とする請求項22から26のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項28】
さらに、
前記第一部分に含まれた第一活性薬剤の第一サプライを備え、
前記第一サプライは、目に対して前記第一活性薬剤を放出するように構成される、
ことを特徴とする請求項1から27のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項29】
前記第一部分は、前記第一部分の近位端から内側に延在する空洞を含み、
前記空洞は、前記第一活性薬剤を前記目に対して放出するための前記第一サプライを備える、
ことを特徴とする請求項28に記載の涙管インプラント。
【請求項30】
前記第一サプライは、シリコーンと前記第一活性薬剤の混合物を備える固体マトリックスを含む、
ことを特徴とする請求項28または29に記載の涙管インプラント。
【請求項31】
前記第一サプライは前記第一ポリマー内で分散される、
ことを特徴とする請求項28から30のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項32】
前記第一サプライは、前記目に対して前記第一活性薬剤を放出するために前記第一部分の近位端の近傍に、少なくとも一つの露出表面を含む、
ことを特徴とする請求項28から31のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項33】
前記第一サプライが少なくとも部分的に前記インプラント本体の外側に突出するように、前記少なくとも一つの露出表面が前記第一部分の前記近位端の上に配置される、
ことを特徴とする請求項32に記載の涙管インプラント。
【請求項34】
さらに、
前記第二部分に含まれる第二活性薬剤の第二サプライを備え、
前記第二サプライは、水媒体に接触した後、涙小管の壁または鼻涙系の一つまたは両方に対して前記第二活性薬剤を放出するように構成される、
ことを特徴とする請求項28から33のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項35】
前記第一または第二活性薬剤は、抗緑内障薬、抗菌剤、コルチコステロイドまたは他の抗炎症剤、充血除去薬、アレルギー反応を防ぐもしくは緩和する薬剤、肥満細胞安定剤、毛様筋調節剤、散瞳薬、またはそれらの組み合わせを備える、
ことを特徴とする請求項28から34のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項36】
前記抗緑内障薬は、アドレナリン作動薬、アドレナリン拮抗薬、全身性もしくは局所性炭酸脱水酵素阻害薬、プロスタグランジンもしくは降下圧脂質、またはそれらの組み合わせを備える、
ことを特徴とする請求項35に記載の涙管インプラント。
【請求項37】
前記プロスタグランジンは、ビマトプロスト、トラボプロスト、もしくはラタノプロスト、またはそれらの組み合わせを備える、
ことを特徴とする請求項36に記載の涙管インプラント。
【請求項38】
前記抗菌剤は、抗生剤、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオ酸ナトリウム、抗真菌剤、アンフォテリシンB、ミコナゾール、抗ウイルス剤、イドクスウリジントリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、もしくはインターフェロン、またはそれらの組み合わせを備える、
ことを特徴とする請求項35に記載の涙管インプラント。
【請求項39】
前記コルチコステロイドまたは他の抗炎症剤は、シクロスポリン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン−21−リン酸、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾロン−21−リン酸、酢酸プレドニゾロン、フルオロメタロン、ベータメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、フルメソロン、非ステロイド抗炎症剤、サリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ピロキシカムインドメタシン、イブプロフェン、ナクソプレン、ピロキシカム、ナブメトン、ケトロラク、ブロムフェナク、ネパフェナク、もしくはスプロフェン、またはそれらの組み合わせを備える、
ことを特徴とする請求項35に記載の涙管インプラント。
【請求項40】
前記充血除去剤は、血管収縮剤、フェニレフリン、ナファゾリン、もしくはテトラヒドロゾリン、またはそれらの組み合わせを備える、
ことを特徴とする請求項35に記載の涙管インプラント。
【請求項41】
前記アレルギー反応を防ぐか緩和する薬剤は、抗ヒスタミン剤、サイトカイン阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、IgE阻害剤、免疫調節剤、シクロスポリン、またはそれらの組み合わせを備える、
ことを特徴とする請求項35に記載の涙管インプラント。
【請求項42】
前記第一部分の中間部分は結合間隙、および前記結合間隙内に固定するサイズと形の結合アームを含む、
ことを特徴とする請求項1から41のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項43】
前記インプラント本体は、対象となる人の中で埋め込まれた時に非生分解性である、
ことを特徴とする請求項1から42のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項44】
前記第一部分の近位端に取り付けられた横方向の突起を備え、
前記横方向の突起は、前記第一部分の遠位端が涙小管内に配置された時に、前記涙点の外部に留まるように構成されるサイズと形を持つ、
ことを特徴とする請求項1から43のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項45】
物理的な形状における前記インプラントが、実質的に円筒形または円錐形の領域を備える、
ことを特徴とする請求項1から44のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項46】
請求項1から45のいずれか一つに記載の前記涙管インプラントと、目の病気を治療するために前記涙管インプラントを使用するための指示を備えるキット。
【請求項47】
請求項1から45のいずれかに記載の前記涙管インプラントを作成する方法であって、
前記ポリウレタンポリマーまたはコポリマーの溶融物を使用すること、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項1から45のいずれかに記載の前記涙管インプラントを作成する方法であって、
前記第一ポリマー、前記第二ポリマーの溶融物、または両方のポリマーの溶融物をそれぞれ使用して、前記第一部分、前記第二部分、または両方を射出成形すること、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項1から45のいずれかに記載の前記涙管インプラントを作成する方法であって、
前記第一ポリマー、前記第二ポリマーの溶融物、または両方のポリマーの溶融物をそれぞれ使用して、前記第一部分、前記第二部分、または両方を射出成形すること、
中間部材を、前記第一部分と前記第二部分の間の溶融物として配置すること、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項50】
涙管インプラントであって、
少なくとも部分的に涙点を通り涙小管の中に少なくとも部分的に配置されるようなサイズであって、空洞を含む近位端部分から、前記近位端部分の直径よりも小さい直径を持つベース部材を含む遠位端部分まで延在する単体であるインプラント本体と、
前記空洞に含まれ、第一活性薬剤を目に対して放出するように構成されたドラッグサプライと、
前記ベース部材の上に少なくとも部分的に結合され、第一直径から前記第一直径よりも大きい第二直径に膨張するために水媒体を水和可能な、脱水された材料を含む拡張可能保持部材と、
を備えることを特徴とする涙管インプラント。
【請求項51】
前記拡張可能保持部材は完全に前記ベース部材を包み込む、
ことを特徴とする請求項50に記載の涙管インプラント。
【請求項52】
前記インプラント本体はウレタンベース材料を含む、
ことを特徴とする請求項50または51に記載の涙管インプラント。
【請求項53】
さらに、
前記水媒体に接触した後に第二活性薬剤を放出するように構成された前記拡張可能保持部材に含まれる前記第二活性薬剤を備える、
ことを特徴とする請求項50から52のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項54】
前記ベース部材は、前記ベース部材の外表面から横方向に突出する一つ以上のアーム部材を含む、
ことを特徴とする請求項50から53のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項55】
前記拡張可能保持部材はウレタンベースヒドロゲル材料を含む、
ことを特徴とする請求項50から54のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項56】
前記拡張可能保持部材の前記第二直径は、前記拡張可能保持部材の前記第一直径より少なくとも五倍大きいように構成される、
ことを特徴とする請求項50から55のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項57】
前記ベース部材の長さは、前記インプラント本体の全長の少なくとも約三分の一である、
ことを特徴とする請求項50から56のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項58】
前記ベース部材の長さは、前記インプラント本体の全長の少なくとも約二分の一である、
ことを特徴とする請求項50から57のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項59】
請求項50から58のいずれか一つに記載の前記涙管インプラントと、目の病気を治療するために前記涙管インプラントを使用するための指示を備えるキット。
【請求項60】
第一および第二部分を含み、少なくとも部分的に涙小管に挿入されるサイズのインプラント本体を形成すること、
前記第一部分と前記第二部分との接合部で前記第一および第二生体適合性ポリマーを連結すること、
とを備え、
前記インプラント本体を形成することは、水媒体に接触した時に100重量パーセントよりも少なく膨張するように構成された第一生体適合性ポリマーから前記第一部分を形成することと、水媒体に接触したと時に100重量パーセントよりも多く膨張するように構成された第二生体適合性ポリマーから前記第二部分を形成することを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項61】
さらに、
前記第一と第二部分の間に、第一表面で前記第一生体適合性ポリマーにくっつき第二表面で前記第二生体適合性ポリマーにくっつくように構成された第三生体適合性ポリマーを含む中間部材を配置すること、
を備える方法。
【請求項62】
前記第一部分を形成することは、前記ベース部材の外表面から突出する一つ以上のアーム部材を形成することを含む、埋め込まれた時に涙点においてまたは近傍に留まるように構成された近位端から、埋め込まれた時に前記涙点を介して前記涙小管に挿入されるように構成された遠位端まで延在するベース部材を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項60または61に記載の方法。
【請求項63】
前記第一および第二生体適合性ポリマーを固着することは、前記涙小管に挿入された後に拡張可能保持部材の外表面が前記水媒体を吸収できるように、前記ベース部材の上に少なくとも部分的に前記拡張可能保持部材を結合することを含む、
ことを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記ベース部材の上に前記拡張可能保持部材を少なくとも部分的に結合することは、前記拡張可能保持部材で前記ベース部材を完全に取り囲むことを含む、
ことを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】
さらに、
前記第一部分における第一活性薬剤の第一サプライであって、目に対して前記第一活性薬剤を放出するように構成された前記第一サプライを提供すること、
を備えることを特徴とする請求項60から64に記載の方法。
【請求項66】
ポリマーから前記第一および第二部分を形成することは、ウレタンベース材料から単体のインプラント本体を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項60から65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
前記ベース部材の外表面と前記拡張可能保持部材の内表面の間に、前記第二部分のポリマーよりも多い量であって、前記拡張可能保持部材の膨潤性ポリマーよりも少ない量の流体を吸収するように構成された中間部材を配置すること、
を備えることを特徴とする請求項63から66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
前記インプラント本体を形成することは、前記第一部分の近位端から内側に延在する空洞を形成することを含み、前記空洞を形成することは、前記空洞をドラッグサプライを含むように構成することと、前記ドラッグサプライの少なくとも一つの露出表面を前記近位端の近傍に配置することを含む、
ことを特徴とする請求項60から67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記近位端近傍の前記ドラッグサプライの少なくとも一つの露出表面を配置することは、前記第一サプライが前記インプラント本体の外側に少なくとも部分的に突出するように、前記近位端の上に前記少なくとも一つの露出表面を配置することを含む、
ことを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記ベース部材を含む前記第二部分を形成することは、前記ベース部材の外表面から横方向に突出する一つ以上のアーム部材を形成し、それにより前記拡張可能保持部材を結合するための表面積を大きくすることを含む、
ことを特徴とする請求項63から69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記拡張可能保持部材を結合することは、前記ベース部材の上にウレタンベースヒドロゲルを成形することを含む、
ことを特徴とする請求項63から70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記拡張可能保持部材を結合することは、ウレタンベースヒドロゲルで前記ベース部材を浸漬コーティングすることを含む、
ことを特徴とする請求項63から71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記拡張可能保持部材を結合することは、前記ベース部材の外表面の上にヒドロゲルスリーブを配置することを含む、
ことを特徴とする請求項63から72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
目の疾患を持つ対象者を治療する方法であって、
少なくとも一つの涙小管に涙管インプラントを挿入することを備え、
前記涙管インプラントは、
第一および第二部分を含み、少なくとも部分的に涙小管に挿入するためのサイズと形のインプラント本体を備え、
前記第一部分は、水媒体に接触した時に100重量パーセントよりも少なく膨張するように構成された第一生体適合性ポリマーを含み、
前記第二部分は、水媒体に接触した時に100重量パーセントよりも多く膨張するように構成された第二生体適合性ポリマーを含み、
前記第一および第二生体適合性ポリマーは、前記第一部分と前記第二部分との接合部で固着する、
ことを特徴とする方法。
【請求項75】
前記涙管インプラントを挿入することは、前記第一部分の前記近位端から横方向に延在する取り外し突出が前記涙点の外側に隣接して配置されるまで、前記インプラント本体を涙点を介して部分的に挿入することを含む、
ことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記涙管インプラントを挿入することは、前記第一部分に含まれる活性薬剤のサプライを、前記対象者の目に隣接するように配置することを含む、
ことを特徴とする請求項74または75に記載の方法。
【請求項77】
前記活性薬剤は、緑内障または季節性アレルギーの少なくとも一つを治療するように構成される、
ことを特徴とする請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記活性薬剤が放出される期間は少なくとも一週間、少なくとも一ヶ月、または少なくとも3ヶ月を含む、
ことを特徴とする請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
さらに
前記挿入したインプラント本体を前記涙点から取り外すこと、
を備える請求項74から78のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
前記取り外した涙管インプラントを、時間間隔をおいて活性薬剤のサプライを含む第二涙管インプラントに取り替えること、
を備える請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記涙管インプラントを取り替えることは、前記対象者が治療を必要としなくなるまで繰り返される、
ことを特徴とする請求項80に記載の方法。
【請求項82】
医薬物の投与が医学的に指示される治療が必要な体調が悪い患者の目、周囲の組織、または両方へ前記医薬者を投与する方法であって、
請求項1から45のいずれかに記載の前記涙管インプラント、または請求項47から49のいずれかに記載の方法によって作成された涙管インプラントを挿入することを備え、
前記涙管インプラントが水媒体に接触して配置され前記涙管インプラントが涙点小管内で前記涙管インプラントを固定するために膨張するように、および、ある期間にわたって前記涙管インプラントから前記目または周囲の組織、または両方に前記医薬物が放出されるように、必要に応じて患者の涙点小管の中に、前記涙管インプラントがそこに分散された医薬物を備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項83】
医薬物の投与が医学的に指示される治療が必要な体調不調である者の目、周囲の組織、または両方へ前記医薬物を投与する方法であって、
請求項1から45のいずれかに記載の前記涙管インプラント、または請求項47から49のいずれかに記載の方法によって作成された涙管インプラントを挿入することを備え、
前記涙管インプラントが水媒体に接触して配置され前記涙管インプラントが涙点小管内で前記涙管インプラントを固定するために膨張するように、および、ある期間にわたって薬物放出挿入物から前記目または周囲の組織、または両方に前記医薬物が放出されるように、必要に応じて患者の涙点小管の中に、前記涙管インプラントが前記薬物放出挿入物を、そこに分散された前記医薬物と共に備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項84】
医薬物の投与が医学的に指示される治療が必要な体調不調である者の目、周囲の組織、または両方へ前記医薬物を投与する方法であって、
請求項1から45のいずれかに記載の前記涙管インプラント、または請求項47から49のいずれかに記載の方法によって作成された涙管インプラントを挿入することを備え、
前記第二ポリマーが水媒体に接触して配置され前記第二ポリマーが前記涙点小管内で前記涙管インプラントを固定するために膨張するように、および、ある期間にわたって前記第一ポリマーから前記目または周囲の組織、または両方に生体活性薬剤が放出されるように、必要に応じて患者の涙点小管の中に、前記第一部分がそこに分散された前記生体活性物質を備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項85】
医薬物の投与が医学的に指示される治療が必要な体調不調である者の目、周囲の組織、または両方へ前記医薬物を投与する方法であって、
請求項1から45のいずれかに記載の前記涙管インプラント、または請求項47から49のいずれかに記載の方法によって作成された涙管インプラントを挿入することを備え、
前記第二ポリマーが水媒体に接触して配置され前記第二ポリマーが前記涙点小管内で前記涙管インプラントを固定するために膨張するように、さらに、ある期間にわたって薬物放出挿入物から前記目または周囲の組織、または両方に生体活性薬剤が放出されるように、必要に応じて患者の涙点小管の中に、前記第一部分が前記薬物放出挿入物を、そこに分散された前記生体活性物質と共に備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項86】
前記ある期間は約一週間から約六ヶ月である、
ことを特徴とする請求項82から85のいずれかに記載の方法。
【請求項87】
前記医薬物は、抗緑内障薬、抗菌剤、コルチコステロイドまたは他の抗炎症剤、充血除去薬、アレルギー反応を防ぐか緩和する薬剤、肥満細胞安定剤、毛様筋調節剤、散瞳薬、またはそれらの組み合わせを備える、
ことを特徴とする請求項82から86のいずれかに記載の方法。
【請求項88】
前記抗緑内障薬は、アドレナリン作動薬、アドレナリン拮抗薬、全身性あるいは局所性炭酸脱水酵素阻害薬、プロスタグランジンまたは降下圧脂質、あるいはそれらの組み合わせを備える、
ことを特徴とする請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記プロスタグランジンは、ビマトプロスト、トラボプロスト、またはラタノプロスト、あるいはそれらの組み合わせを備える、
ことを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記医薬物を、開放隅角緑内障または高眼圧症である人々において高眼圧/眼内圧を治療するために指示する、
ことを特徴とする請求項82から89のいずれか一つに記載の方法。
【請求項91】
前記抗菌剤は、抗生剤、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオ酸ナトリウム、抗真菌剤、アンフォテリシンB、ミコナゾール、抗ウイルス剤、イドクスウリジントリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、もしくはインターフェロン、またはそれらの組み合わせを備える、
ことを特徴とする請求項87に記載の方法。
【請求項92】
前記コルチコステロイドまたは他の抗炎症剤は、シクロスポリン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン−21−リン酸、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾロン−21−リン酸、酢酸プレドニゾロン、フルオロメタロン、ベータメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、フルメソロン、非ステロイド抗炎症剤、サリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ピロキシカムインドメタシン、イブプロフェン、ナクソプレン、ピロキシカム、ナブメトン、ケトロラク、ブロムフェナク、ネパフェナク、もしくはスプロフェン、またはそれらの組み合わせを備える、
ことを特徴とする請求項87に記載の方法。
【請求項93】
前記充血除去剤は、血管収縮剤、フェニレフリン、ナファゾリン、もしくはテトラヒドロゾリン、またはそれらの組み合わせを備える、
ことを特徴とする請求項87に記載の方法。
【請求項94】
前記アレルギー反応を防ぐか緩和する薬剤は、抗ヒスタミン剤、サイトカイン阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、IgE阻害剤、免疫調節剤、シクロスポリン、またはそれらの組み合わせを備える、
ことを特徴とする請求項87に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−519301(P2011−519301A)
【公表日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507435(P2011−507435)
【出願日】平成21年4月29日(2009.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/002611
【国際公開番号】WO2009/134371
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(508291478)キューエルティー プラグ デリバリー,インク. (11)
【氏名又は名称原語表記】QLT PLUG DELIVERY,INC.
【Fターム(参考)】