説明

複合積層構造体

複合積層構造体は、第1の表皮と、第2の表皮と、前記第1の表皮と前記第2の表皮との間のコアであって、前記コアは隣接するコアセクションと、前記隣接するコアセクションを分離するZ−Y分割を含む、コアと、前記隣接するコアセクションおよび前記隣接するコアセクションを分離する前記Z−Y分割を貫通して前記第1の表皮から前記第2の表皮まで延びるZ軸繊維の複数の別個のグループと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーマトリクス複合体の外表皮および発泡体、エンドグレインバルサ材、またはハニカムのいずれかである内部コアで形成されるサンドイッチ構造として公知である、複合積層構造体の分野の改良に関し、より具体的には、複合積層体を貫通し、かつポリマーマトリクス複合表皮の平面に垂直ないくつかのタイプのZ軸繊維強化をさらに有する、これらのサンドイッチ構造の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ポリマーマトリクス複合体の外表皮、内部コア、および複合積層体を貫通し、かつポリマーマトリクス複合表皮の平面に垂直なZ軸繊維強化を含む複合積層サンドイッチ構造体を開示している。特許文献1に開示されている複合積層サンドイッチ構造体は、多くの用途に対して優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,217,453号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明者と一部同じである、本発明者らは、より高い剪断係数、より強度な剛性、より小さな偏向、およびより高い積荷能力を必要とされる用途に理想的である新規の複合積層サンドイッチ構造体を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明の態様は、特許文献1に開示されている複合積層サンドイッチ構造体より高い剪断係数、より強度な剛性、より小さな偏向、およびより高い積荷能力を有する3−D Z軸強化複合積層構造体を連続かつ自動的に形成するための方法および装置を含む。3−D Z軸強化複合積層構造体は、高剪断Z−Y分割と3D繊維挿入とを合わせたサンドイッチパネルを備える。
【0006】
本発明の別の態様において、複合積層構造体は、第1の表皮と、第2の表皮と、前記第1の表皮と前記第2の表皮との間のコアであって、前記コアは隣接するコアセクションと、前記隣接するコアセクションを分離するZ−Y分割を含む、コアと、前記隣接するコアセクションおよび前記隣接するコアセクションを分離する前記Z−Y分割を貫通して前記第1の表皮から前記第2の表皮まで延びるZ軸繊維の複数の別個のグループと、を備える。
【0007】
本発明の他およびさらなる目的、特徴、態様、および利点は、添付の図面の以下の詳細な説明から十分に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の3−D Z軸強化複合積層構造体を連続かつ自動的に形成するための方法および装置の概略図である。
【図2】図2は、締め付けられた3−D Z軸繊維が、飛行中に硬化されている、好ましい実施形態において引抜成形された複合積層パネルの概略垂直断面図であり、側面の詳細を示す。このパネルは、一時的な軍用機滑走路の用途のために、新規な軽量マット表面として使用される。
【図3】図3は、図2の線3−3に沿った拡大図である。
【図4】図4は、図3の線4−4に沿った拡大図である。
【図5】図5は、引抜成形ダイに入る直前の、好ましい実施形態の引抜成形されたサンドイッチパネルの概略垂直断面図であり、ここで、繊維フィラメントの3D Z軸グループが堆積されており、そしてこれらのグループは、ダイにおいて締め付け、リベット留めされるように準備される。
【図6】図6は、図5の線6−6に沿った拡大図である。
【図7】図7は、図6の線7−7に沿った拡大図である。
【図8】図8は、図2の線8−8に沿った拡大図である。
【図9】図9は、高剪断Z−Y分割と3D繊維挿入とを合わせたサンドイッチパネルを含む3−D Z軸強化複合積層構造体の実施形態を連続かつ自動的に形成するための方法および装置の概略図である。
【図10】図10は、高剪断Z−Y分割と3D繊維挿入とを合わせたサンドイッチパネルを含む3−D Z軸強化複合積層構造体の実施形態の垂直断面図である。
【図11】図11は、図10の3−D Z軸強化複合積層構造体の台形の発泡体部材の実施形態の垂直断面図である。
【図12】図12は、図10の3−D Z軸強化複合積層構造体の半分の台形の発泡体部材の実施形態の垂直断面図である。
【図13】図13は、図10の3−D Z軸強化複合積層構造体のZ−Y分割の実施形態の垂直断面図である。
【図14】図14は、図10の3−D Z軸強化複合積層構造体のZ−Y分割の別の実施形態の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
高剪断Z−Y分割と3D繊維挿入とを合わせたサンドイッチパネルを含む3−D Z軸強化複合積層構造体の実施形態を連続かつ自動的に形成するための方法および装置の実施形態を記載する前に、引抜成形され、締め付けられた3−D Z軸繊維強化複合積層構造体を形成するための方法および装置を最初に記載する。
【0010】
図1は、引抜成形され、そして締め付けられた、3−D Z軸繊維強化複合積層構造体を形成するための、方法および装置を示す。引抜成形の方向は、矢印によって示されるように、図1の左から右である。この装置の主要な構成要素は、以下の説明によって明らかになる。
【0011】
グリッパー34および35が、図1に示される。これらは、代表的に、水力始動式デバイスであり、完全に硬化した複合積層パネル32が引抜成形ダイ26から出ると、このパネルをつかみ得る。これらのグリッパーは、手渡し(hand−over−hand)の方法で作動する。グリッパー34がパネル32を挟む場合、このグリッパーは、プログラムされた速度で引抜成形の方向に移動し、ダイ26からの硬化したパネル32を挟む。グリッパー35は、グリッパー34がその全行程を完了するまで待ち、次いで引き継ぐ。
【0012】
これらのグリッパーの上流で、原料は、以下の様式で、ダイに引き込まれる。原料の全ては、図1のはるか左側における種々の製造業者から到達したままの、未使用の材料であることが理解されるべきである。繊維20は、連続的なストランドマットを有するロービングロールにあるか、またはx−y方向に縫われた布もしくは織られたロービングのような繊維であり得るかのいずれかの、ガラス繊維であり得る。ガラスに加えて、炭素またはアラミドあるいは他の強化繊維であり得る。コア材料22は、サンドイッチプレフォームの最初の形成に供給される。サンドイッチの表皮は、繊維20の層から、サンドイッチプレフォーム30の上下両方に形成される。コア22は、サンドイッチの中心部分である。コアは、1立方フィートあたり2lb〜1立方フィートあたり12lb(32kg/m〜192kg/m)に達するより高密度までの密度の、ウレタンまたはPVC発泡体、あるいは他の類似の発泡体から作製され得る。あるいは、コア22は、1立方フィートあたり6lb〜1立方フィートあたり16lb(96kg/m〜256kg/m)までの密度である特性を有する、エンドグレインバルサ材から作製され得る。
【0013】
原料は、自動的に、ガイダンスシステムのプロセスにおいて指向され、ここで、市販の供給源21からの樹脂は、樹脂タンク23内の一次ウェットアウトステーションに指向される。ウェットアウトプレフォーム30は、樹脂タンクおよび脱バルク(debulked)条件でその脱バルキングステーションから出、その結果、パネルセクション30の厚さは、最終の複合積層体の最終的な厚さに非常に近い。これらのパネルは、0.25インチ〜4インチ(0.635cm〜10.16cm)、またはそれより大きい、任意の厚さであり得る。パネルは、4インチ幅〜144インチ幅(10.16cm幅〜365.76cm幅)、またはそれより大きい、任意の幅であり得る。次いで、プレフォーム30は、Z軸繊維堆積マシン24に指向され、このマシンは、繊維フィラメントの3−D Z軸グループの堆積を提供する。Z軸フィルター堆積マシン24がどのように機能するかについての詳細は、米国特許第6,645,333号(本明細書全体にわたって参考として組み込まれる)の主題である。このシステムは、コンピュータで制御され、その結果、広範な種々の挿入物が作製され得る。マシン24は、静止状態で作動し得るか、またはグリッパー34の速度と同期して移動し得る。繊維フィラメントのグループは、このマシンによってプレフォーム31に自動的に導入され、次いで、このプレフォームは、Z軸繊維堆積マシン24から引かれる。プレフォーム31は、繊維フィラメントの3−D Z軸グループの堆積のみが、プレフォーム30と異なり、これらのフィラメントのすべては、製造業者(例えば、Owens Corning)から到達したままの、未使用フィラメントである。
【0014】
図1の改変されたプレフォーム31は、ここで自動的に、二次ウェットアウトステーション39に入る。ステーション39は、代替の方法として、一次ウェットアウト排除ステーション23であり得る。このステーションは、複合積層構造体(繊維フィラメントの3−D Z軸グループを含む)の完全な樹脂ウェットアウトの完了を補助する。次いで、プレフォーム31は、先に言及された引抜成形ダイ26に入り、そして加熱によって、プレフォーム31は、複合積層パネルの触媒を引き起こすために十分な温度にされる。最終的な硬化したパネルセクション32がダイ26を出、このセクションはここで、グリッパー34および35によってつかまれるために十分に、構造的に強い。
【0015】
次いで、図1のサンドイッチ構造体は、取り扱いおよび輸送の要件によって使用可能な任意の長さにされ得る。グリッパー34および35の下流で、プレフォーム32は、実際に、下流のフライス盤システム36および37に「押し込まれる」。ここで、多軸CNCマシン(コンピュータ数値制御)が、グリッパーの引く速度と同期してガントリー上を移動し、そして飛行中の複合積層構造体/パネルに細部を機械加工し得る。これらは、ボルト孔、縁部のルータ加工、フライス削り、または切り取りであり得る。マシン36は、コンピュータ37によって制御される多軸ヘッドである。切り取り後、部分33は、組み立てまたはパレット化および移送のために、取り出される。
【0016】
図2は、1つの好ましい実施形態の垂直断面図を示す。これは、1.5インチ(3.81cm)の厚さおよび48インチ(121.92cm)の幅のパネル40の断面であり、そして軍用機のための一時的な滑走路/誘導路/または傾斜路として使用される。遠隔の位置で、飛行場は、迅速に架設されなければならず、そして飛行機での輸送および取り扱いのために、軽量でなければならない。図2のパネル40は、これらの目的を達成する。繊維フィラメントのZ軸のグループで強化されているので、このパネルは、航空機のタイヤおよび重い機械の重量に耐え得る。パネル40は軽量(1平方フィートあたり約3lb(約14.64kg/m))であるので、輸送および取り扱いの観点で、軍事の目的を達成する。40は、図1に示されるプロセスによって、自動的に引抜成形されるので、軍隊が入手可能な価格で製造され得る。また、縁部の接続部41および42が、図2に示される。これらは、同一であるが反転している。これらは、滑走路パネル40(マットとしてもまた公知)が、適所で接続およびロックされることを可能にする。明らかに、この1つの実施形態の他に、これらの複合構造体の他の適用が存在する。
【0017】
図3は、図2の線3−3に沿った拡大図である。図3は、上表皮51aおよび下表皮51bを備える複合積層構造体の断面を示す。コア52(これは、発泡体として示されている)は、明らかに、他のコア材料(例えば、エンドグレインバルサ材)であり得る。繊維フィラメントのいくつかの3−D Z軸グループ53もまた示され、この実施形態において、これらは、0.25インチ(0.635cm)ずつ離れており、そして直径が約0.080インチ(約0.2032cm)である。繊維フィラメントのグループ53は、締め付けられているか、または表皮51aおよび51bの外側にリベット留めされていることが、図3から見られ得る。図4は、図3の線4−4に沿った拡大図である。図4は、コア材料52ならびに上表皮セクション51aおよび下表皮セクション51bを示す。これらの表皮セクションは、この実施形態において、厚さが約0.125インチ(0.3175cm)であり、そして1平方ヤードあたり24oz(0.8136kg/m)の重さでX−Y方向に縫われた6層のガラス材料からなる。繊維フィラメントのZ軸グループ53は、図4において明らかに見られ得る。これらのフィラメントの締め付けまたはリベット留め(これは、表皮およびコアを一緒に固定する)は、明らかに見られ得る。
【0018】
図2、3、および4は、図1の方法および装置において製造される場合の、滑走路マット材料を示す。図2の概略断面40は、引抜成形ダイ26を離れる場合に、完全に硬化する。引抜成形ダイ26に入る直前に見られるような、滑走路マット材料のプレフォームについての、これらの同じセクションの類似の図は、図5、6、および7によって示される。図5、6、および7は、図1のプレフォーム31に対応する。図2、3、および4は、図1のプレフォーム32および部分33に対応する。
【0019】
図5は、プレフォームとしてのマットパネル61の全体を概略的に示す。パネル62の端部は、明瞭にするために、図2の細部42を示さない。線6−6は、図6に示される拡大部分を示す。
【0020】
図6は、表皮71aおよび72b、コア72ならびにZ軸繊維フィラメントの3−Dグループ73を示す。表皮71aおよび71bの上下にそれぞれ距離H1およびH2での、繊維フィラメントの出現が見られ得る。線7−7は、図7に示されるさらなる拡大を示す。
【0021】
図7は、コア72ならびに上表皮材料71aおよびZ軸繊維フィラメントの単一のグループ73を有するプレフォームを示す。繊維フィラメントの出現する位置に注目のこと。これらは、引抜成形ダイに入った後に、折れ曲がって複合表皮にリベット留めされるかまたは締め付けられる。表皮71aおよび71bは、X−Y材料から作製され、そして繊維フィラメントのグループは、X−Yに対して垂直方向(すなわち、Z方向)にあるので、繊維フィラメントの3−Dグループの領域における複合表皮は、三次元複合物であるといえる。
【0022】
図8は、図2の線8−8に沿った拡大図であり、そしてコア材料87、表皮材料88aおよび88b、ならびに新たな内部複合材料89を概略的に示す。言及されたように、この材料89は、表皮材料88aおよび88bと同じであるが幅が狭い(すなわち、このマットの実施形態においては2〜3インチ(5.08cm〜7.62cm)の幅)X−Y繊維材料からなる。Z軸繊維フィラメントの3−Dグループ84は、新たに開発され、そして材料の密度に依存せずに作動される、図1のZ軸堆積マシン24によって堆積される。繊維のZ軸フィラメントの3−Dグループはコア材料87またはより高密度のX−Y材料89のいずれかを通して、容易に堆積され得る。噛み合う接続ジョイント85は、図8の85の形状に機械加工され得るか、または引抜成形ダイによって引抜成形および形成され得るかの、いずれかであり得る。図8において、ジョイント85は、機械加工される。引抜成形された場合、85におけるZ軸繊維フィラメントの3−Dグループは、リベット留めされたかまたは締め付けられた端部を示す。明らかに、他の噛み合いジョイントまたは重なりが、マットパネルを接続するために使用され得る。
【0023】
図9は、高剪断Z−Y分割と3D繊維挿入とを合わせたサンドイッチパネルを含む3−D Z軸強化複合積層構造体の実施形態を連続かつ自動的に形成するための方法および装置の実施形態を示す。引抜成形の方向は、矢印によって示されるように、図9の左から右(ラインの前端からラインの後端)である。この装置の主要な構成要素は、以下の説明によって明らかになる。ここで、同様の要素は同様の参照番号で示しているが、「b」の接尾語を付している。
【0024】
Z−Y分割材料繊維8bのロール6bを装置の一端(例えば装置/ラインの左/前端)に示す。Z−Y分割材料繊維8bは、巻かれていない平らな繊維6bとしてロール6bから広げられることを示す。繊維8bは自動引抜成形プロセスによって広げられ、そのプロセスは、装置の反対側端部(例えば装置/ラインの右/後端)付近のグリッパー22bにおいて硬化したパネル32bを引抜く工程を含む。グリッパー22bは、硬化したパネル32bを連続して締め付け、硬化ダイ26bからパネル32bを引き抜く、手渡し(hand−over−hand)のグリッパー22bである。上流の原材料は硬化したパネル32bと同じ速度で引抜かれる。
【0025】
Z−Y分割繊維8bは形成ステーション37bに入る。形成ステーション37bは、Z−Y分割繊維8bをほぼZ−Y方向(純粋なZ方向および純粋なY方向に対して、およびその間で約45°;例えば、図13の要素60b、図14の要素70bを参照のこと)に指向する手段を備える。Z−Y分割繊維8bは、示した矢印の方向の引抜成形方向に一貫して進行する。角のある発泡体セクション15bが挿入され、形成ステーション37bから出て行く形成されたZ−Y分割20bの上または下のいずれかでZ−Y分割の両側に配置される。これらの発泡体15bのセクションは、4フィート(121.92cm)の長さ、または8フィート(243.84cm)の長さであってもよく、例えば、図11に示す発泡体の台形セクション53bのような台形断面を有してもよい。図11の発泡体の台形セクション53bは、(+Z方向において)Z−Y分割20bより上にある発泡体セクション15bとなるように正確に指向される。発泡体の台形セクション53bは、サンドイッチの上表皮55bの直下にその最も長い端部を有する。発泡体の台形セクション53bは、そのX軸に沿って180°回転し、図10の発泡体の台形セクション54bになり、従ってそれは図9の下側の発泡体セクション15bである。このように、発泡体セクション15bはZ−Y分割繊維8bの上下の内部空間を満たすように挿入され、その結果、発泡体15bとZ−Y分割繊維8bの全体は、サンドイッチパネル32bのほぼ矩形の内部空間を形成する(例えば、図10を参照のこと)。上表皮および下表皮は、引抜プロセスによりロール10bから広げられる繊維材料12bによって形成される。原材料(上表皮12b、発泡体セクション15と合わせたZ−Y分割20b、および下表皮12b)の全混合物は、形成手段/トレイ38bに入れられ、乾燥プレフォーム材料29bとして出て行く。
【0026】
次いで、乾燥プレフォーム材料29bは、3D挿入プロセス/アセンブリ9bに入り、ここで、別個の束の3D繊維が、乾燥プレフォーム材料29bを通して挿入される。別個の束の3D繊維は、上表皮55bを通して堆積され(図10)、一回の移動で発泡体/Z−Y分割60bおよび70bと、下表皮56と合わされ、その束が切断され、その結果として別個の束の堆積を生じる。3D挿入プロセス/アセンブリ9bは、グリッパー22bの引抜速度と同期される。3D挿入アセンブリ9bは、好ましくは、同期ガントリー上にあり、その結果、乾燥プレフォーム29bと3D挿入アセンブリ9bとの間で相対運動をしないが、代替の実施形態において、3D挿入アセンブリ9bと乾燥プレフォーム29bとの間の相対運動を許容する。3D挿入プロセス/アセンブリ9bとして使用される3D挿入プロセス/アセンブリの例は、米国特許第7,105,071号に示され、記載されており、その文献は本明細書全体に参照として組み込まれる。
【0027】
3D挿入アセンブリ9bから出てくるのは挿入後のパッケージ30bであり、次いでそれは樹脂注入手段23bに入る。プレフォームのパッケージは、樹脂注入手段23b内で完全にウェットアウトし、ウェットアウトしたパッケージ31bとして出てくる。樹脂注入手段23b内のウェットアウト性能の鍵は、別個の束の3D繊維がストロー、またはウィッキング機構として作用し、樹脂を内部Z−Y分割材料および内部3D繊維束に引き寄せるという事実による。次いで、完全にウェットアウトしたパッケージ31bは引抜ダイ26に入り、ここで、サンドイッチパネルが、出て行く硬化したパネル32bに硬化される。グリッパー22b(2つのグリッパー22bを示すが、代替の実施形態において、4個まで、またはそれ以上の複数のグリッパー22bが存在し、同期するように全てプログラムされているか、または場合によっては荷重分担している)から出て行った後、好ましくはまた、同期する切断機構が、硬化したパネル32bを所定の長さに切断し、その結果、仕上げられたパネル33bが積み重ねられ、輸送のためにパレットに載せられる。
【0028】
図10〜14を参照すると、高剪断Z−Y分割と3D繊維挿入とを合わせたサンドイッチパネル40b(例えば、仕上げられたパネル33b、図9)を含む3−D Z軸強化複合積層構造体の実施形態が記載されている。
【0029】
図10はサンドイッチパネル40bの実施形態を示し、その例示的な適用において、厚さは約3インチ(7.62cm)、幅は48インチ(121.92cm)である。円12、13および11、14は、パネル断面の2つの特徴を示す。円11、14に示されるのは発泡体の台形セクション53bおよび54bである。発泡体の台形セクション53bをまた、図11に示す。発泡体の台形セクション53bおよび発泡体の台形セクション54bは、同一の発泡体の台形セクションであり、発泡体の台形セクション54bは、発泡体の台形セクション53bに対して反転されていることに留意すべきである。円12、13に示されるのは半分の発泡体の台形セクション83bであり、それを図12にも示す。また、Z−Y分割60bを円12、13に示し、それを図13にも示す。発泡体の台形セクション53b、54bおよび83bは、長手方向に細長い発泡体部材である。台形セクションを示すが、代替の実施形態において、1つ以上の多角形、直線形、および/または曲線形のセクションがサンドイッチパネル40bに使用される。例えば、限定の目的ではなく、米国特許第4,223,053号に示され、記載されているものなどの三角形の断面(例えば中実の発泡体、中空)が使用されてもよい。
【0030】
図10はまた、サンドイッチパネル40bの外面を形成する上表皮55bおよび下表皮56bを示す。さらに、3D繊維束/挿入58bを、全ての材料(表皮、発泡体セクション、およびZ−Y分割)を結合して示す。3D繊維束/挿入58bとして使用される例示的な3D繊維束/挿入は、米国特許第7,105,071号に示され、記載され、その文献は本明細書全体を通して参照により組み込まれる。
【0031】
図11は、台形の発泡体セクション53bの実施形態の垂直断面図であり、例として48インチ(121.92cm)の長さ、または96インチ(243.84cm)の長さであるが、各々の場合、図11に示す断面を有する。
【0032】
図12は、半分の台形の発泡体部材83bの実施形態の垂直断面図であり、その名称が示すように、正確に半分に切断したセクション53bである。
【0033】
図13は、水平に対して実質的に45°で+Z方向および−Y方向に指向されるZ−Y分割60bの実施形態の垂直断面図である。本明細書において、水平に対して実質的に45°でZ方向およびY方向に指向されるZ−Y分割を示し、記載するが、代替の実施形態において、Z−Y分割は、水平に対して0°〜90°の間の角度でZ方向およびY方向に指向される。上結合部61bは上表皮55bの内面と結合するZ−Y分割の部分である。同様に、下結合部62bは下表皮56bの内面と結合するZ−Y分割の部分である。
【0034】
図14は、Z−Y分割70bの別の実施形態の垂直断面図である。図14において、Z−Y分割60bを再度繰り返し、さらにZ−Y分割70bを示し、このZ−Y分割70bは、水平に対して実質的に45°で+Z方向および+Y方向に指向される。上結合部71bは上表皮55bの内面と結合するZ−Y分割の部分である。同様に、下結合部72bは下表皮56bの内面と結合するZ−Y分割の部分である。
【0035】
Z−Y分割70bの端部71b、72bと、Z−Y分割60bの端部61b、62bとの間のわずかな隙間を明確にするために図14に示す。実際には、2つのZ−Y分割70bおよび60bの端部71b、72bおよび61b、60bは、突合せ接続、重ね合わせ、または接続/結合されて、表皮55b、56bおよび3D繊維挿入58bに対して適切な接続を形成する。図10において、突合せ継手80bとして突合せ接続の構造を示す。代替の実施形態において、2つのZ−Y分割70bおよび60bの端部71b、72bおよび61b、60bは、第1/上表皮55bおよび第2/下表皮56に隣接して重なり、局部的に厚い表皮を形成する。この局部的に厚い表皮は、負荷下のパネルの応力集中により、第1の方法のもののZ−Y分割および表皮の接続、または結合点が機能しなくなり得る場合にプラスの構造的作用を有し得る。これらの分割を重ね合わせることによって、断面領域の局部的増加が与えられ、従って、上述の応力集中の作用を最小化する。さらに、この位置におけるZ軸繊維の挿入、または結合点は、局部的な領域全体を一緒に結合するのに役立ち、さらに負荷下の分離を妨げる。
【0036】
従って、サンドイッチパネル40bは、3−D Z軸強化複合積層構造体を形成するために一連のZ−Y分割と3D繊維堆積プロセスとを合わせる。表皮材料および内部発泡体と共に、Z−Y分割は、特有の分配手段の使用を介して引抜成形ラインの前端に連続して供給される。次いで、これらのプレフォームは、別個の束の3D繊維のコンピュータ制御された堆積を受け、上表皮を通して堆積される束は、一回の移動で発泡体/Z−Y分割、および下表皮と合わされ、その束が切断され、その結果として別個の束の堆積を生じる。
【0037】
次いで、新しいプレフォームが、樹脂含浸を受け(代替の実施形態において、樹脂は、既に繊維束に「結合」または「プリプレグ」されていてもよい)、次いでダイシステムにおいて硬化される。全プロセスは自動化され、操作者が機械を監視することをほとんど必要としない。
【0038】
Z−Y分割と3D繊維挿入の両方が、他方の存在に起因して構造的特性を高めるという点で、3D繊維挿入はZ−Y分割に有意な効果を与える。引抜成形の従来技術には、発泡体またはマンドレル(中空の内面が生じる。そうでなければ発泡体が位置する)のいずれかで引抜かれるZ−Y分割の形態の例が含まれる。負荷に供されても、これらの引抜パネルの全ては、上表皮または下表皮に対するそれらの交点において厚さ方向に圧縮、Z−Y分割の分離のいずれもしないか、またはZ−Y分割自体の圧縮座屈をしない。3D繊維堆積は、それらの破壊点を妨げ、遅延し、または取り除く。まず、厚さ方向の圧縮において、各3D繊維束は、座屈する前に160lbs(72.57kg)の圧縮力抵抗を示し得る。4つの束/平方インチ(6.4516×10−4)(または576/平方フィート(9.290304×10−2))において、これは、パネルの92160ポンド(41803.0728192kg)/平方フィート(9.290304×10−2)の座屈抵抗を表し、ここで、Z−Y分割および発泡体は、厚さ方向座屈に抵抗する唯一の内部要素でなくてもよい。第2に、機能停止、つまりZ−Y分割および表皮の結合点の分離が実質的に除かれる。層間剥離を取り除く際の大きな効果である、3D束接続は、ここで、Z−Y分割と表皮との接続点の間の層間剥離抵抗を提供する。第3に、特定の曲げ適用の間、Z−Y分割は、オイラーの座屈方程式に記載されるように「長柱座屈」現象に起因して座屈する傾向があり得る。セクションの臨界座屈は長さに反比例し、この長さは、安定化する3D繊維束との接続に起因して多くの位置で効果的に減少する。
【0039】
Z−Y分割は3D繊維によって高められるだけでなく、3D繊維もZ−Y分割によって高められる。第1に、(発泡体によって従来的に安定化されるが)3D繊維の長柱座屈は、3D繊維の効果的な長さがZ−Y分割との接続に起因して短いため、改良される。第2に、発泡体と表皮とを合わせた3D繊維束のコア剪断係数は従来的に低い。多くの適用は、パネルを有意に堅くすること(曲げおよび偏向に対して十分な抵抗性)を必要とし、Z−Y分割の付加はパネルを有意に向上させる。例えば、出願された本出願と同じ譲受人である、Ebert Composites Corporationによって開発された従来の3D繊維パネルは、Transonite(登録商標)として公知であり、商標登録されており、3D挿入パターンおよび密度に依存して2000psi(13.79MPa)〜8000psi(55.16MPa)の間の剪断係数を有する。Z−Y分割を付加することによって、パネルの剪断係数は、Z−Y分割自体の厚さおよび層計画に依存して35,000psi(241.325MPa)〜50,000psi(344.75MPa)まで増加する。
【0040】
高剪断Z−Y分割と3D繊維挿入とを合わせたサンドイッチパネルを含む本発明の3D Z軸強化複合積層構造体の利点としては、限定されないが、ほとんど偏向せず、より高い負荷保有能力を有する、より高い剪断係数および堅いパネルが挙げられる。これは、サンドイッチパネルが他の高剛性材料(非常に重い)(鋼およびコンクリートなど)と置き換えられて使用される場合、重要である。サンドイッチパネルの用途としては、限定されないが、船橋甲板(歩行者用および乗り物用)、マッドマット(mud mat)(フィールド内の一時的な着地マット、一時的な航空機の滑走路、不安定な地域(sensitive area)、例えばツンドラなどにわたって輸送するオイルおよびガス採掘装置のための一時的な道路)、偏向をほとんどしないことが要求される壁、およびトラック/トレーラーなどの床、サンドイッチパネルがコアまたは高剪断ハニカムとしてバルサを使用する場合の代替物、航空機パレット、およびコンテナが挙げられる。
【0041】
サンドイッチパネルの別の利点は、Z−Y分割の使用が、従来のパネルの質量にも、自動化された製造能力にも有意に加わらないことである(引抜成形プロセスの複雑性または速度のいずれにも)。サンドイッチパネルはまた、従来のパネルより長い疲労寿命を有する。
【0042】
サンドイッチパネルのさらなる利点は、上記で説明したように、サンドイッチパネル自体の性能より高い、Z−Y分割および3D繊維挿入の両方についての増強である。
【0043】
サンドイッチパネルのなおさらなる利点は、Z−Y分割の層計画によって適合され得る剪断である。代替の実施形態において、各々のZ−Y分割は、1つより多い層(layer)/層(ply)(例えば2層、3層)を有する。Z−Y分割は、クアドラキシアル(quadraxial)繊維織物から製造され、繊維材料が水平面に平らに置かれる場合、0°/90°および45°方向において繊維の方向を有する。同じ材料が開示されるZ−Y方向に配置される場合、X方向、Z−Y方向、およびZ−Y−X方向に繊維要素が存在する。このクアドラキシアル繊維織物の量および方向を変化させることによって、剪断値および他の性能特性が、無限の多様性/群の値に適合され得る。
【0044】
上記の図面は本発明の例示的な構成を示すことができ、それらは、本発明に含まれ得る特徴および機能を理解するのに役立つ。本発明は、例示した構造または構成に限定されず、種々の代替の構造および構成を使用して実施されてもよい。さらに、本発明は、種々の例示的な実施形態および実施に関して上に記載されているが、個別の実施形態のうちの1つ以上において説明される様々な特徴、および機能性は、それらが説明される特定の実施形態に対するそれらの適用性において制限されないが、代わりに、そのような実施形態が説明されるか否か、およびそのような特徴が説明される実施形態の一部として提示されるか否かに関係なく、単独または様々な組み合わせで、本発明の他の実施形態のうちの1つ以上に適用することができることを理解されたい。したがって、本発明、特に添付の特許請求の範囲の幅および範囲は、上述される実施形態のいずれによっても制限されるものではない。
【0045】
本文書で使用される用語およびフレーズ、ならびにそれらの変型例は、特に明記されない限り、限定とは対象的に、無制限と見なされるものである。前述の例として、「含む」という用語は、「制限なく含む」等の意味として読み取られるべきであり、「例」という用語を使用して、議論されているアイテムの選択される例、包括的または限定的でないそのリストを提供し、「従来の」、「伝統的な」、「標準の」、「既知の」等の形容詞、および同様の意味の用語は、説明されるアイテムを所定の期間または所定の時間に使用可能なアイテムに限定するものと見なされるべきではないが、代わりに、現在または未来の任意の時点で、使用可能であり得るか、または知られ得る、従来の、伝統的な、通常の、または標準の技術を包含するように読み取られるものである。同様に、接続詞「および」で連結される一群のアイテムは、それらのアイテムのそれぞれおよびすべてが当該グループに存在することを求めるものとして読み取られるべきではなく、特に明記しない限り、むしろ「および/または」として読み取られるべきである。同様に、接続詞「または」で連結される一群のアイテムは、当該グループ内の相互排他性を求めるものとして読み取られるべきではなく、特に明記しない限り、むしろ「および/または」としても読み取られるべきである。さらに、開示されるアイテム、要素、または構成要素は、単数形で説明または請求され得るが、単数に限定することが明記されない限り、複数もその範囲内となることが意図される。一部の例における「1つ以上の」、「少なくとも」、「に限定されない」または他の同様のフレーズ等の拡大する語およびフレーズの存在は、そのような拡大するフレーズが不在であり得る場合に、狭義のケースが意図されるか、または必要とされることを意味すると読み取られるものではない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表皮と、
第2の表皮と、
前記第1の表皮と前記第2の表皮との間のコアであって、前記コアは隣接するコアセクションと、前記隣接するコアセクションを分離するZ−Y分割を含む、コアと、
前記隣接するコアセクションおよび前記隣接するコアセクションを分離する前記Z−Y分割を貫通して前記第1の表皮から前記第2の表皮まで延びるZ軸繊維の複数の別個のグループと、
を備える、複合積層構造体。
【請求項2】
前記Z軸繊維のグループは、前記第1の表皮および前記第2の表皮に対してほぼ垂直である、請求項1に記載の複合積層構造体。
【請求項3】
前記Z軸繊維の端部が、前記第1の表皮および前記第2の表皮まで延びる、請求項1に記載の複合積層構造体。
【請求項4】
前記第1の表皮および前記第2の表皮は、X−Y材料を含む、請求項1に記載の複合積層構造体。
【請求項5】
前記隣接するコアセクションは、発泡体から作製される、請求項1に記載の複合積層構造体。
【請求項6】
前記Z−Y分割は、水平に対して実質的に45°で延びる、請求項1に記載の複合積層構造体。
【請求項7】
前記隣接するコアセクションは、互いに対して垂直に配置され、かつ前記Z−Y分割によって分離される、各々の部分を含み、前記Z軸繊維の複数の別個のグループは、各々の垂直に配置された前記セクションおよび垂直に配置された前記セクションを分離する前記Z−Y分割を貫通して前記第1の表皮から前記第2の表皮まで延びる、請求項1に記載の複合積層構造体。
【請求項8】
前記第1の表皮および前記第2の表皮は、ガラス繊維を含む、請求項1に記載の複合積層構造体。
【請求項9】
前記Z−Y分割は、ガラス繊維を含む、請求項1に記載の複合積層構造体。
【請求項10】
前記コアセクションは、長手方向に細長く、多角形の断面を有する、請求項1に記載の複合積層構造体。
【請求項11】
前記コアセクションは、実質的に平面のコアを形成するために合わせられる多角形および半分の多角形のコアセクションの組み合せを含む、請求項10に記載の複合積層構造体。
【請求項12】
前記複合積層構造体は、少なくとも35,000psi(241,290kPa)の剪断係数を含む、請求項1に記載の複合積層構造体。
【請求項13】
前記複合積層構造体は、各々の隣接するコアセクションの間に複数の各々の別個のZ−Y分割を含む、請求項1に記載の複合積層構造体。
【請求項14】
前記Z−Y分割は、+Z方向および+Y方向に延びる、請求項1に記載の複合積層構造体。
【請求項15】
前記Z−Y分割は、+Z方向および−Y方向に延びる、請求項1に記載の複合積層構造体。
【請求項16】
前記複合積層構造体が液状樹脂に供される場合、前記Z軸繊維は液状樹脂を運び、前記複合積層構造体全体の硬化した完全性を促進する、請求項1に記載の複合積層構造体。
【請求項17】
前記Z−Y分割は、1つ以上のZ−Y分割を含み、前記1つ以上のZ−Y分割は、局部的により厚い表皮を形成するために前記第1の表皮および前記第2の表皮に隣接して重なる端部を含む、請求項1に記載の複合積層構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2012−511452(P2012−511452A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540736(P2011−540736)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/062569
【国際公開番号】WO2010/068342
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(504033175)エバート コンポジッツ コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】