説明

複合管の外側用耐食性合金

【課題】クラフト(黒液)回収ボイラの炉の下側部分の構成に使用される複合管の耐亀裂性及び耐食性を改善する。
【解決手段】クラフト回収ボイラの炉の下側部分の構成に使用される複合管の耐亀裂性及び耐食性を改善するための外側管材料としてオーステナイトNi−Cr−Fe合金が提供される。この合金は、本質的に、重量%で25〜35Cr、5〜15Fe及び50〜70Niからなっており、市販の合金に普通に存在している他の微量合金化元素及び不純物を含有している。この組成範囲には、好ましい組成として、市販の合金690(UNS N06690)に対応する範囲が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラフト(黒液)回収ボイラの炉の下側部分の構成に使用される複合管の耐亀裂性及び耐食性を改善するための外層としてのオーステナイト系Ni−Cr−Fe合金の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クラフト回収ボイラは、溶融塩の大型床を収納する化学反応器である。パルプ化工程からの有機残留物及び使用済み調理用無機化学薬品からなる燃料は、固体含有量が70%から80%までの間の水性泥状物としてボイラ内で燃焼される。溶融塩の床と、ボイラ管の亀裂から流出した水又は蒸気とが接触すると、溶解水が爆発してボイラが破壊される可能性があるため、クラフト回収ボイラ内の水管壁の管の腐蝕は、ボイラを安全に運転する上で重大な危険を意味している。腐蝕を防止するために最も一般的に講じられている対策の1つは、複合管を設置してボイラの壁及び床を形成することである。
【0003】
この文脈においては、複合管とは、材料の異なる2つの管状層からなり、一方の層がもう一方の層の内側に配置され、金属学的接合を使用してそれらの界面で接合されているものである。通常、内側の層は、ASTM A−210などの炭素鋼でできている。耐食性の外側の層の管は、ほとんどの場合、UNS S30403(18〜20Cr、8〜10.5Ni)残部Fe、又は場合によってはUNS N08825(38〜46Ni、19.5〜23.5Cr、2.5〜3.5Mo)残部Fe又はUNS N06625(20〜23Cr、0〜5Fe、8〜10Mo、残部Ni)のいずれかの変種でできている。これらのすべての合金は、主要な合金化元素以外に、微量の他の合金化元素及び不純物を含有している。これらの層は、金型及びマンドレルを使用して2つの材料の共押出し成形によって、又は内層の上に耐食性の外層を溶接することによって、或いは内側の管の表面に外層の組成を有する材料の溶融噴霧を付着させて、付着した溶融噴霧を所定の位置で凝固させて外層を形成することによって、金属学的に結合することができる。
【0004】
外層としてUNS S30403を使用して構成された複合管は、本質的により良好な耐食性を有しているため、クラフト回収ボイラの炭素鋼管に取って代わった。しかし、それらに限定されないが、全面腐蝕、熱疲労、腐蝕疲労及び応力腐蝕割れを含むいくつかの異なるモードによる破壊が生じやすいことが分かっている。最も重大なことには、一次空気ポート開口の周りのこれらの管の外層に、及び一次空気ポート開口が存在している位置に亀裂が生じ、場合によってはボイラの底の溶融物(smelt)床と接触することがある。亀裂の特定の機構が多くの調査の対象になっており、亀裂の機構は、ボイラ内における亀裂の生じる厳密な位置によって異なるという一般的な結論に達している。
【0005】
UNS S30403を使用して構成された複合管に発生する亀裂及び腐蝕の両方を抑制するために、合金UNS N08825及びUNS N06625の変種から構成された代替管が回収ボイラ・サービスに導入された。詳細には、ボイラの底の管の亀裂を防止するためのUNS N08825の適用が、米国特許第5324595号の主題である。亀裂及び腐蝕に対する耐性の改善が、いくつかの用途においてこれらの合金毎に記されているが、いずれも使用中に腐蝕しやすく、また、亀裂が入りやすい傾向がある。実際、これらの代替材料のうち使用されている材料は無く、したがって、クラフト回収ボイラの炉の下側部分に見られる様々な亀裂及び腐蝕に対する万能の解決法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5324595号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、クラフト回収ボイラの中で作用する亀裂及び腐蝕の機構の組合せに対する著しく優れた耐性を提供する合金の発見に基づいている。
【0008】
本発明の目的は、複合管、より詳細には耐食性及び耐亀裂性の改善された複合管を提供することである。
【0009】
とりわけ本発明の目的は、クラフト回収ボイラの炉壁及び床のためのこのような複合管を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、本発明による複合管をボイラの壁又は床に使用したクラフト回収ボイラを提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、クラフト回収ボイラを改造する方法を提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、クラフト回収ボイラを組み立てる方法を改善することである。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、黒液ガス化装置を組み立てる方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、腐蝕応力及び亀裂応力に曝される管状部材を有する構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、従来技術で考察されているものと比較して耐亀裂性及び耐食性が改善された、クラフト回収ボイラの炉の下側部分の構造材料として使用するための複合管が提供される。この改良型管組立体は、鋼、詳細には従来の炭素鋼でできた内側部と、オーステナイト系Ni−Cr−Fe合金の外側部とからなっている。オーステナイト系Ni−Cr−Fe合金は、重量%で以下の元素からなっている。
【0016】
【表1】

【0017】
この組成範囲には、好ましい組成範囲として、市販のNi−Cr−Fe合金690(UNS N06690)に対応する範囲が含まれている。市販のNi−Cr−Fe合金690(UNS N06690)は、重量%で以下の元素からなっている。
【0018】
【表2】

【0019】
簡潔にするために、本発明が含有している合金の範囲は、以下、30Cr−60Niと記述する。
【0020】
本発明は、クラフト回収ボイラ又は類似した構造体に噴出ポート及び空気ポートを形成するために湾曲させる必要のある複合管の保護にとりわけ有用である。
【0021】
本発明の明確な目的は、従来技術が抱えている亀裂及び腐蝕の問題を回避し、或いは抑制することであり、また、クラフト回収ボイラの炉の下側部分の複合管の安全性を高め、且つ、寿命を長くすることである。
【0022】
したがって、本発明の一観点によれば、内層及び外層を備えた複合管が提供される。内層は、鋼、詳細には炭素鋼の層であり、たとえばASTM A−210の層である。外層は、上記で示したCr、Fe及びNiの組成からなっており、不可避的なレベル又は制御されたレベルの不純物及び合金化元素が含まれている。これらの不純物及び合金化元素には、それらに限定されないが、C、Si、Mn、S及びCuがある。
【0023】
このような不可避的な不純物及び合金化元素は、通常、その総量が数重量パーセント以下であり、通常の製造技法即ち商用製造技法によってもたらされる元素及び不純物である。これらの元素及び不純物は、その合金の物理的特性要求事項及び処理要求事項に合致するためにやむを得ず必要なものであり、例外的な処理工程が存在しない場合、これらの元素及び不純物を回避することはできない。
【0024】
このような微量の不可避的な不純物及び合金化元素は良性であり、意図する使用領域において、その合金に重大な悪影響を及ぼすことはない。
【0025】
本発明の他の観点によれば、腐蝕力及び亀裂力に曝される金属管をクラフト回収ボイラの壁又は床に有するクラフト回収ボイラにおいて、少なくともいくつかの管が、本発明による複合管を含むという改善が提供される。
【0026】
本発明のさらに他の観点によれば、腐蝕力及び亀裂力に曝される金属管をクラフト回収ボイラの壁又は床に有するクラフト回収ボイラの改造方法が提供される。この方法には、前記金属管を除去する段階、及び除去した金属管の替わりに本発明による複合管を設置する段階が含まれる。
【0027】
本発明のさらに他の観点によれば、腐蝕力及び亀裂力に曝されるボイラの壁又は床が金属管を使用して構成されるクラフト回収ボイラを組み立てる方法が提供され、改善点は、前記金属管が本発明による複合管であることである。
【0028】
本発明のさらに他の観点によれば、腐蝕力及び亀裂力に曝される管状部材を有する構造体が提供され、改善点は、前記管状部材が本発明による複合管を含むことである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による管を示す略図。
【図2】本発明による管を使用したクラフト回収ボイラの一部を示す略図。
【図3】図2に示すクラフト回収ボイラ内の管の壁を詳細に示す図。
【図4】図2に示すクラフト回収ボイラ内の壁と床との間の接続部の管を詳細に示す図。
【図5】回収ボイラ管の炉側表面の合金に典型的に見出すことのできる、溶融水和塩に曝された合金の腐蝕速度を示すグラフ。合金毎に脱気状態及び空気混和状態で試験が実施された。グラフに示されている合金は、回収ボイラ内の炉側環境に曝された合金の等級を代表している。
【図6】これらの合金のU字形湾曲サンプルを使用して測定した、同じ水和溶融塩に一定期間にわたって曝された場合の亀裂伝搬の最大深さを示すグラフ。このグラフは、サンプルを曲げる前にサンプルに厚さ減少(50%冷間加工)が施されたものと、冷間加工後に応力除去焼きなましが施されたものの亀裂浸入の深さを示している。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0030】
さらに図1を参照すると、複合管10は、内層14を形成している内側の炭素鋼管の上にNi−Cr−Fe合金690の外層12を有している。内層14は、冷却水を流すための管状通路16を画定している。外層12は、使用中、溶融塩に曝されることのできる外側表面18を画定している。
【0031】
さらに図2を参照すると、クラフト回収ボイラ20は、水冷管32で形成されたボイラ壁22、24、26、28及び床30を有している。これらの水冷管32の少なくともいくつかは、図1に示す複合管10である。
【0032】
壁22及び24の中に、多数の空気ポート34が示されている。壁26及び28の中にも同様の空気ポートが存在している(図示せず)。
【0033】
向かい合っている壁22、26及びその間に介在している床30は、複数の管32で形成されている。これらの管32は、図4に詳細に示すように、壁22と床30との接続部、及び壁26と床30との接続部で湾曲している。
【0034】
また、管32は、図3に詳細に示すように、空気ポート34の領域で湾曲し、変形し、或いは整形されている。
【0035】
ボイラ20は、図には示されていないが、異なる高さに溶融物噴出開口及び他の空気ポート開口を備えることも可能である。ボイラ20の構造は従来の構造であるが、管32のように本発明による少なくともいくつかの複合管10が使用されている点だけが従来のボイラと異なっている。
【0036】
さらに図3を参照すると、図2に示すボイラ内の壁22の管32が示されている。これらの管32は、領域36の空気ポート34の近傍で湾曲し、変形し、或いは整形されている。
【0037】
さらに図4を参照すると、図2に示すボイラ20の壁22及び床30の一部を形成している管32が示されている。壁22と床30との接続部の管32には、湾曲部分38が存在している。
【0038】
通常、領域36及び湾曲部分38には、応力腐蝕、亀裂及び腐蝕疲労による特定の問題が存在している。
【0039】
図5及び図6は、本発明による複合管を使用して達成された改善結果を従来技術による管と比較して示したものである。
【0040】
クラフト回収ボイラ内の複合管は、それらに限定されないが、全面腐蝕、腐蝕疲労及び応力腐蝕割れを含むいくつかの異なるモードによる破壊が生じやすい。複合管の製造に現在使用されているすべての材料は、これらの機構のうちの1つ又は複数によって破壊する傾向がある。本発明は、市販のNi−Cr−Fe合金690(UNS N06690)を含む、25〜35重量%のクロム、5〜15重量%の鉄及び50〜70重量%のニッケルを含有する合金(30Cr−60Ni)が、複合管の外層により、腐蝕のこれらのモードに対する耐性に関する1組みの完全な要求事項を従来技術で考察されている以上に良好に満足することを発見したことに基づいている。
【0041】
本発明の特定の詳細及び効果については、実行された選択プロセスについての以下の説明から明らかになるであろう。クラフト回収ボイラにおける万能の耐食性解決法を提供する管材料は、熱疲労、腐蝕疲労、応力腐蝕割れ及び腐蝕に対する耐性を含む複数の要求事項を連帯して同時に満足しなければならない。選択プロセスに対する秘訣は、応力腐蝕割れ及び腐蝕の機構の性質を理解することであり、それにより炉の下側部分の実際の環境条件を最も良好に模擬する試験を工夫することである。本発明による複合管の驚くべき性能が実現されたのは、これらの試験においてである。
【0042】
熱疲労、腐蝕疲労および応力腐蝕割れには、亀裂した管の構成材にかかる引張り応力源が必要である。引張り応力は、場合によっては管の構成材料の熱膨張差によってもたらされることがあり、或いは製造及び運転によって管に課される残留応力又は機械応力によってもたらされることがある。管の構成材料の熱膨張差によってもたらされる引張り応力を回避するためには、複合管を構成している2つの材料間の熱膨張率差を最小にすることが重要である。複合管の製造に広く使用されている合金の中でも18Cr−8Niは、複合管の炭素鋼部材と最も両立しない合金である。20Cr−38Ni−1.6Moは、炭素鋼の線膨張率と同様の膨張率を有しているが、30Cr−60Ni及び22Cr−63Ni−9Moの線膨張率は、炭素鋼の線膨張率にさらに類似している。
【0043】
Rosen(米国特許第5324595号)は、鍵となる基準として熱疲労抵抗と熱膨張率差の両方を考慮した選択プロセスに基づいて、外側の部材として20Cr−38Ni−1.6Moを含有した複合管によって、回収ボイラの床の管としての使用が改善されることを教示している。この合金による結果は、18Cr−8Niの結果よりもはるかに良好であった。従来技術による他の実施例では、熱疲労に対する抵抗が20Cr−38Ni−1.6Moよりも優れた合金、詳細には22Cr−63Ni−9Moに近い成分を含有した合金が、同じく回収ボイラの複合管の外側部材として使用されている。
【0044】
また、本発明の主題である組成範囲の合金は、熱疲労に対する耐性が18Cr−8Niよりもはるかに良好であり、ほぼ20Cr−38Ni−1.6Moと同じである。
【0045】
本発明の利点は、クラフト回収ボイラの応力腐蝕割れ及び腐蝕機構に特化された試験を実施した際に発見された。たとえば、20Cr−38Ni−1.6Mo及び22Cr−63Ni−9Moを包含するグループの合金を含む多くの合金の腐蝕は、燃焼空気がクラフト回収ボイラの空洞に注入される空気ポート開口部を構成している管の湾曲部分で発生した。図5から分かるように、本発明による合金は、他のあらゆる合金よりも耐蝕性が実質的に優れており、とりわけ空気の存在下における耐蝕性が優れている。
【0046】
関連する他の試験では、合金グループのサンプルは、最初に、元の厚さの50%になるまで冷間縮小された。これは、製造中に空気ポートの開口を形成するために管を湾曲させる際に管にかかる力を模擬するためである。次に、これらのサンプルがU字形に人工的に曲げられ、外側表面に大きな引張り応力が生成され、且つ、溶融塩の混合物、回収ボイラ内で通常見出される炭酸ナトリウム、NaOH、NaS及び水蒸気の混合物に暴露された。第2のセットのサンプルも上記で説明したように厚さが縮小され、次に、機械処理による影響を除去するために溶体化処理がなされた。これらのサンプルもU字形に曲げられ、他のサンプルと同じ塩の混合体に曝された。図6から分かるように、これらの試験で亀裂に対する耐性を有しているのは、本発明による合金だけである。
【0047】
本発明の主題である組成範囲の合金は、クラフト回収ボイラの内部への暴露を模擬した環境における腐蝕及び応力腐蝕割れに対して、独自の耐性を有していることが分かった。また、これらの合金は、クラフト回収ボイラに使用されている他の合金と同じ実際的な耐熱疲労性特性及び熱膨張率差を有しているため、クラフト回収ボイラの炉の下部及び床を製造するための複合管の外側構成部材として使用する場合、本発明によって著しい利点が提供される。詳細には、本発明は、燃焼空気を炉に注入するための開口部を形成するために、或いは溶融塩を炉から取り出すための溶融物開口部を構成するために曲げられる複合管に適用される場合に優れている。
【0048】
また、本発明が包含している組成範囲の合金から構成された外層を使用して構成された複合管は、同じ腐蝕及び亀裂機構が適用される他の用途においても優れたサービスを提供する。これらの用途には、それらに限定されないが、黒液ガス化装置内の熱い液体及び溶融物に曝される、たとえば冷却スクリーン管としての冷却表面又は非冷却表面、急冷リング支持体、及び緑液拘束体がある。
【0049】
本発明の典型的な実施例は、25〜35Cr、5〜10Fe及び残部Ni(通常の微量合金化元素及び不純物を除く)を含有した合金の外層と炭素鋼の内層とを共押出し成形によって複合管を構成することである。複合管は、たとえば、肉盛溶接によって炭素鋼管の上に本発明による合金を付加する方法、或いは炭素鋼コアの表面に溶融混合物を噴霧する方法などの、内側構成部材の表面に本発明による合金の層を置く任意の方法を使用して製造することができる。
【0050】
本発明による複合管は、製造方法及び内側炭素鋼層の指定厚さに応じて様々な厚さの内層及び外層を使用することができる。通常、外層は、0.051cm(0.020インチ)から0.254cm(0.10インチ)までの間、好ましくは0.127cm(0.050インチ)から0.203cm(0.080インチ)までの間の厚さを有している。内層を形成している炭素鋼管は、通常、約6.35cm(2.5インチ)又は7.62cm(3.0インチ)の外径を有しており、厚さは約0.457cm(0.18インチ)から0.635cm(0.25インチ)までの間である。
【0051】
クラフト回収ボイラに管状部材を使用することは当業者には良く知られており、実例として米国特許第5324595号の図1が参照される。図1の説明は、関連するタイプのボイラ、即ち本明細書に援用する炭酸ナトリウム回収ボイラを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腐蝕力及び亀裂力に曝される金属管をクラフト回収ボイラの壁又は床に有するクラフト回収ボイラにおいて、
前記金属管のうちの少なくともいくつかが、内層および外層を有する複合管を含み、
前記内層が鋼でできており、前記外層が、重量%で、25〜35%のCr、5〜15%のFe及び50〜70%のNiからなり、微量の他の不可避的な不純物及び合金化元素を含有している、クラフト回収ボイラ。
【請求項2】
前記外層のCr含有量が27〜31%であり、Fe含有量が7〜11%であり、Niの含有量が少なくとも58%である、請求項1に記載されたクラフト回収ボイラ。
【請求項3】
前記内層が炭素鋼でできている、請求項1又は請求項2に記載されたクラフト回収ボイラ。
【請求項4】
前記炭素鋼がASTM A−210である、請求項3に記載されたクラフト回収ボイラ。
【請求項5】
前記外層がNi−Cr−Fe合金690(UNS N06690)でできている、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたクラフト回収ボイラ。
【請求項6】
前記複合管が、使用中に溶融塩に曝される前記ボイラの下側部分に存在している、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたクラフト回収ボイラ。
【請求項7】
前記複合管が、前記ボイラの開口を画定している、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたクラフト回収ボイラ。
【請求項8】
前記開口が空気ポート開口である、請求項7に記載されたクラフト回収ボイラ。
【請求項9】
前記開口が溶融物噴出開口である、請求項7に記載されたクラフト回収ボイラ。
【請求項10】
腐蝕力及び亀裂力に曝される金属管をクラフト回収ボイラの壁に有するクラフト回収ボイラを改造する方法において、
該方法が、前記金属管を除去する段階と、除去した前記金属管の位置に内層及び外層を有する複合管を設置する段階とを含み、
前記内層が鋼でできており、前記外層が、重量%で、25〜35%のCr、5〜15%のFe及び50〜70%のNiからなり、微量の他の不可避的な不純物及び合金化元素を含有している、クラフト回収ボイラを改造する方法。
【請求項11】
前記外層のCr含有量が27〜31%であり、Fe含有量が7〜11%であり、Niの含有量が少なくとも58%である、請求項10に記載されたクラフト回収ボイラを改造する方法。
【請求項12】
前記内層が炭素鋼でできている、請求項10または請求項11に記載されたクラフト回収ボイラを改造する方法。
【請求項13】
前記炭素鋼がASTM A−210である、請求項12に記載されたクラフト回収ボイラを改造する方法。
【請求項14】
前記外層がNi−Cr−Fe合金690(UNS N06690)でできている、請求項10から請求項13までのいずれか1項に記載されたクラフト回収ボイラを改造する方法。
【請求項15】
腐蝕力及び亀裂力に曝されるボイラの壁又は床が金属管により構成されるクラフト回収ボイラを組み立てる方法において、
前記金属管が、内層及び外層を有する複合管であり、
前記内層が鋼でできており、前記外層が、重量%で、25〜35%のCr、5〜15%のFe及び50〜70%のNiからなり、微量の他の不可避的な不純物及び合金化元素を含有している、クラフト回収ボイラを組み立てる方法。
【請求項16】
前記外層のCr含有量が27〜31%であり、Fe含有量が7〜11%であり、Niの含有量が少なくとも58%である、請求項15に記載されたクラフト回収ボイラを組み立てる方法。
【請求項17】
前記内層が炭素鋼でできている、請求項15または請求項16に記載されたクラフト回収ボイラを組み立てる方法。
【請求項18】
前記炭素鋼がASTM A−210である、請求項17に記載されたクラフト回収ボイラを組み立てる方法。
【請求項19】
前記外層がNi−Cr−Fe合金690(UNS N06690)でできている、請求項15から請求項18までのいずれか1項に記載されたクラフト回収ボイラを組み立てる方法。
【請求項20】
腐蝕力及び亀裂力に曝されるガス化装置の壁が金属管により構成される黒液ガス化装置を組み立てる方法において、前記金属管が、内層及び外層を有する複合管であり、前記内層が鋼でできており、前記外層が、重量%で、25〜35%のCr、5〜15%のFe及び50〜70%のNiからなり、微量の他の不可避的な不純物及び合金化元素を含有している、黒液ガス化装置を組み立てる方法。
【請求項21】
前記外層のCr含有量が27〜31%であり、Fe含有量が7〜11%であり、Niの含有量が少なくとも58%である、請求項20に記載された黒液ガス化装置を組み立てる方法。
【請求項22】
前記内層が炭素鋼でできている、請求項20または請求項21に記載された黒液ガス化装置を組み立てる方法。
【請求項23】
前記炭素鋼がASTM A−210である、請求項22に記載された黒液ガス化装置を組み立てる方法。
【請求項24】
前記外層がNi−Cr−Fe合金690(UNS N06690)でできている、請求項20から請求項23までのいずれか1項に記載された黒液ガス化装置を組み立てる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−141127(P2012−141127A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−95(P2012−95)
【出願日】平成24年1月4日(2012.1.4)
【分割の表示】特願2007−516913(P2007−516913)の分割
【原出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(507171683)
【Fターム(参考)】