説明

複合革材料

人工革素地、当該素地の製造方法、当該素地を含む人工革複合材料および人工革素地または複合材料を含む製品が開示される。当該素地は革、革以外の繊維、結合剤および一または複数のさらなる構成要素(例えば、緩衝剤、柔軟剤、加工助剤、および着色剤)を含む。複合材料は当該素地および 一または複数のさらなる層(例えば、トップコート層、強化層およびクッション層)を含んで形成し得る。当該素地および/または当該複合材料は化学的にまたは機械的にエンボス加工され得る。人工革素地を形成するために用いられる革は、産業廃棄物および/または消費財廃棄物に由来し得る。革以外の繊維は有機物または無機物であり得、当該複合材料はまた無機充てん剤(例えば、炭酸カルシウムおよびクレイ)を含み得る。緩衝剤は高分子微小気泡、泡、ゴム粒子および他の低密度性緩衝材を含み得る。結合剤は合成または天然のものであり得る(例えば、合成ラテックス、天然ラテックス、PVAおよびデンプン)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して複合材料の分野に関し、より具体的には革および結合剤を含む複合材料に関する。本発明の目的は人工の革素地に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な 消費材が革から製造されている。例えば、革のシート、革の衣服および革の運動具などが含まれる。製造過程において、革を裁断し成型する際に、かなりの量の産業廃棄物が生じる。また革製品を廃棄する際にもかなりの量の消費財廃棄物が生じる。
特許文献1には、革および重合体の結合剤を含む複合材料を提供する試みが開示されている。
【特許文献1】米国特許第4,162,996号。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、当該特許にて形成される材料は、いささか 硬く壊れやすいために、有用性が比較的少ない。
【0004】
革の産業廃棄物および/または消費財廃棄物を使用するための複合材料および方法を提供し、様々な製品の革を使用可能なものとすることは有益である。本発明 はこのような組成物および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、人工革素地、人工革素地の製造方法、人工革素地を含む人工革複合材料ならびに人工革素地および/または複合材料を含む製品に関する。
【0006】
革以外に、人工革素地は革以外の繊維、結合剤および一または複数のさらなる構成要素を含む。典型的なさらなる構成要素としては、緩衝剤、柔軟剤、加工助剤および着色剤が挙げられる。複合材料は、上記素地と一または複数のさらなる層とを含んで形成され得る。典型的なさらなる層としては、トップコート層、強化層およびクッション層が挙げられる。当該素地および/または複合材料は、化学的にまたは機械的にエンボス加工され得る。
【0007】
人工革素地の形成に用いられる革は、繊維、ちり、粒子、小片などの形態であり、一般的に約0.1 μm〜50 mm、望ましくは約2 mm〜6 mmの大きさであり得る。いくつかの実施形態において、革は産業廃棄物および/または消費財廃棄物に由来する。
【0008】
革以外の繊維は有機物または無機物であり得る。有機繊維の例としては、限定されないが、セルロース繊維(例えば、綿または木材パルプ)、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン等が挙げられる。無機物繊維の例としては、限定されないが、ガラス繊維が挙げられる。複合材料はまた、無機充てん剤(例えば、炭酸カルシウムおよびクレイ)が挙げられ得る。
【0009】
通常、上記素地の0〜約50重量%を含む緩衝剤は、エラストマー材料であり、またはエラストマー型の特性を与える。このような因子としては、例えば、泡状の物質、ゴム粒子および他の低密度性緩衝剤が挙げられる。
【0010】
結合剤は合成または天然のものであり得る。結合剤の例としては、限定されないが、合成ラテックス、天然ラテックス、ポリビニルアルコール(PVA)およびデンプンが挙げられる。
【0011】
油または保湿剤などの柔軟剤も含まれ得る。加工助剤(例えば、保持剤(retention aid)、凝集剤等が挙げられる)もまた含まれ得る。
【0012】
人工革素地は様々なる理由から、最終用途に応じてコーティングおよび/またはエンボス加工され得る。好適なコーティング層としては、限定されないが、アクリルおよび/またはポリウレタン層が挙げられる。色塗を用いることができ、また下塗が素地とトップコート層の間に介在しても良い。
【0013】
人工革素地は、素地に結合している、または素地内に統合されている補強材を含み、さらなる強度および/またはさらなる柔軟性などの他の特性を付与することができる。これは水系、100%固体、UVおよび湿気硬化、ホットメルト等の接着剤を使用することにより、湿式積層(wet-lay)法または後処理の間に行うことができる。典型的な補強材としては、スクリム、織布および不織布製品、フィルム、金属性の網またはシート等が挙げられる。
【0014】
上記層を、化学的および/または機械的に染色および/またはエンボス加工して、風合い、機能性または最終用途における他の必要性を理由に、幾何学的模様、アニマル柄、花柄等(これらに限定されない)様々なデザインを複合材料に付与することができる。
【0015】
望ましくは、本人工革素地は、革材料を製造するための既知の他の方法を使用して形成された人工革素地よりも、形成された時の縮みが小さい。また、当該革素地は望ましい音響特性(例えば、防音性、吸音性、反射性および音偏向性)を良好に提供することができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、当該人工革素地は熱および/または真空により、所望される最終産物へと成形できる。
【0017】
この素地より形成される人工革素地および/または複合材料は、革自体が用いられる事実上全ての用途に用いることが可能である。例えば、限定されないが、革シート、カーインテリア、ブリーフケース、衣服、家具等が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は以下の詳細な説明を参照することによって、より理解されるであろう。素地ならびにトップコート層、強化層および/または接着剤を含む、人工革素地および複合材料の様々な構成要素が以下に詳細に考察される。
得られた人工革素地および得られた複合材料は、特有の材料である。当該材料の特異性の例としては、限定されないが、従来の革よりも軽量の材料であること、生産効率性 (無駄を減らしながら既存の設備を使用する)および様々な最終用途の設計に応じる柔軟性が挙げられる。特定の実施形態において、当該人工革素地および得られた複合材料は、有利な音響特性、改善された柔軟性、通気性および適合性を提供し得る。
【0019】
複合材料の形成に用いられる革の正規メーカは、費用便益を得ることができる。それは埋め立ておよび/または焼却コストが減少するためである。人工革素地および得られた複合材料の製造業者はまた、材料費が減少し、人工革素地は完成した立体成形品または用途に用いることができるために、費用便益を得る。
【0020】
I. 素地
人工革素地は、革、革以外の繊維および結合剤を含む。さらに、当該素地は一または複数のさらなる構成要素を含む。これら構成要素の例は、以下に詳細に記載されている。
【0021】

革は、事実上あらゆる革の供給源(処女材料、産業廃棄物および消費財廃棄物を含む)に由来し得る。消費財廃棄物および産業廃棄物の例としては、限定されないが、靴、布、家具、オフィス器具、衣類、自動車用途、運動具、RV車、建設資材、航空機、タック等が挙げられる。革の供給源としてはまた、ブルー削りくず、タンニング削りくず, 裂けた皮の廃材、規格外の革 (規格外品および二級品)、バフ粉末、型取り(pattern trim)、結合剤廃材、打ち抜き廃材および裁縫廃材が挙げられ得る。
【0022】
革供給源としては、処女材料および動物の革(ウシ、ダチョウ、ゾウ、ワニ、カンガルー、ヘビ、トカゲ等を含む)が挙げられる。カンガルー革は薄くすると、より強くなるが、相対的に高価な革になるという点で独特である。いくつかの実施形態において、人工革材料および再生革材料も使用することができる。革の粒径は通常、約0.1μm〜 50mmであり、望ましくは約2mm〜約6mmおよび約25mm未満である。革粒子の大きさは約0.1μm〜約50 mmである。一般的に当該粒子は1〜7 mmの長さであるが、微粒子も使用することができる。当該粒子は一定の直径である必要はない。当該粒子を平らにし/層状にして、実質的に一定の厚さにし得る(すなわち、厚みに約25%の差異があるのみ)。
【0023】
革の繊維の供給源が公知である場合、複合材料および複合材料より形成される製品にするプロセスを通して、革の繊維を突き止めることが可能である。結果的に、その供給源まで最終製品中の革の繊維を突き止めることが可能である。
【0024】
革以外の繊維
革以外にも、上記組成物はまた、さらなる繊維(「革以外の繊維」)を含む。合成革材料がこのような革以外の繊維を含まない場合、得られた材料は最適なものではない可能性がある。このような革以外の繊維を含める目的は、複合材料に通気性、多孔性、強度、結合特性、加工可能性、難燃性および/または改善された防音特性を付与する。結合剤と同様、このような繊維はシート状製品の湿式製法において欠かせないものである。
【0025】
革以外の繊維は有機物および/または無機物であり得、繊維性材料の産業廃棄物、処女材料および/または消費財廃棄物を由来とし得る。典型的な例としては、セルロース材料、重合体材料およびガラス様材料が挙げられる。革以外の繊維は一般的に、繊維(革の繊維および革以外の繊維)の重量の約1〜約50%、繊維の約5〜約30重量%または繊維の約5〜約20重量%である。
【0026】
一実施形態において、革以外の繊維は産業廃棄物の再生天然繊維である。これには限定されないが、綿、木材、麻およびジュートが挙げられる。他の実施形態において、当該繊維はポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリアミド、ポリオレフィン(ポリエチレンおよびポリプロピレン)、ポリエーテルおよびアラミドなどの合成繊維を含み得る。
【0027】
所望される用途の特性に応じて、当該繊維はナノ〜粗デニール(coarse denier)の大きさであり、および0.1μm〜3インチの長さである。このような繊維は最も一般的には産業廃棄物供給源にも由来する。加えられ得る典型的な天然繊維としては、麻、ジュートおよびケナフが挙げられる。
【0028】
特定のこのような繊維は難燃性、湿気管理、強度、柔軟性、風合い等を与えることができる。特定の「革以外の繊維」の量が増加すると複合材料の剛性が高まるが、他の「革以外の繊維」の量が増加すると複合材料の柔軟性が高まる。剛性および/または柔軟性は、剛性および柔軟性についての標準的なASTM、FLTM、SAEまたは他のアッセイを使用して確認することができる。典型的なアッセイとしては例えば、FLTM BN 157-01 (革の柔軟性)、ASTM D 2208およびD 571 (引っ張り強さ)、ASTM D 5733 (引裂強度)、FLTM BN 105-03 (収縮)、SAE J948 (耐摩耗性)、ISO 188、ATMS E 145、ISO 105-A02、ASTM D 683、AATCC- Process 1およびISO R 527-Type 2 (熱劣化耐性)、ASTM D 747 (剛性)、ISO 3795およびSAE J 369 (可燃性)が挙げられる。当業者は合成革材料の所定の最終用途にて所望される特性に基づいて特定の革以外の繊維の量を適切に、容易に選択することが可能である。上記のアッセイを使用して上記素地を含む人工革素地および/または複合材料が様々な所望される特性を有するか否かを容易に確認することができる。
【0029】
典型的な天然材料としては、綿、木材、羊毛、絹、麻およびジュートが挙げられ、産業繊維加工において用いられる綿の量は大量であるために、大量の産業廃棄物綿は一連の廃材として入手することができ、そのためにこれらは比較的安価な材料である。切開、切断および細分化したセルロースおよび綿繊維は素地を強固にまたは柔軟にし得る。特定の天然繊維は、革と混合する前に精製する必要があり得る。
【0030】
典型的な合成材料としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリアミド、ポリオレフィン(ポリエチレンおよびポリプロピレンなど)、ポリエーテル等が挙げられる。産業繊維加工に用いられる合成繊維の量は大量であるために、大量の産業廃棄物合成材料が一連の廃材として入手することができ、そのためにこれらは比較的安価な材料である。このような繊維を加えることによって、複合材料の他の特有の特性に寄与し得る。これらの特性は望ましくは、ASTMまたは本明細書中に記載される他のアッセイ標準法によって測定され、この方法は製品の最終用途に応じて変わる。革以外の繊維の量は、合成革材料を含む最終産物の所望される特性を得るのに必要とされる産物の特有の性質に応じて変わる。
【0031】
緩衝剤および充てん剤
緩衝剤は柔軟性および弾力性などの特性を材料に与えることができ、この特性は天然の革の特性に酷似する。合成革材料が壁紙、靴または他の同様の用途に用いられるものである場合、緩衝剤は必要ではないかもしれない。
【0032】
弾力性を付与する以外にも、緩衝剤は音響効果、適合性および/または滑り止め効果を高めるなどさらなる機能を付与し得る。緩衝剤の量は、0〜約50%、別の実施形態では約1〜約25 %、さらに別の実施形態では約5〜約15 %である。
【0033】
本明細書中において、「エラストマー」および「緩衝剤」なる用語は、エラストマーからなる粒子を含み、さらに、限定されないが、たとえ重合体自体がエラストマーとして真に分類されなくても、ストレス下におけるその圧縮挙動/膨張挙動によりエラストマーとして作用する他の粒子も含まれる。
【0034】
一実施形態において、緩衝剤はミクロスフェアの形態であり、これは中空、予め膨張させたまたは膨張性のミクロスフェアであり得る。別の実施形態において、ゴム、泡、プラスチック、ラテックス等の粉末状の粒子(望ましくは15〜150μmの大きさ)を使用し得る。
【0035】
エラストマー剤は複合材料にある程度の柔軟性を付与し、また弾力性、音響特性、不透明性等の他の効果も付与し得る。しかし、エラストマー剤は具体的には革素地に用いられ、ある程度の有益なリバウンドまたは記憶効果を付与する。
【0036】
多くの用途において、無機充てん剤は欠くことのできない製剤である。充てん剤は全体的な製剤コストを抑えるのに役立ち、また他の機能も付与する。他の機能としては、強化特性、耐摩耗性、難燃性、防音性、熱耐性、障壁特性、多孔性、加工の効率性等が挙げられる。充てん剤はまた、なめらかさをシートに与え、それによってエンボス加工を容易にし、また見た目をより美しくすることができる。また充てん剤は多孔率を変えることができる。充てん剤は一般的に、約0〜約50重量%、例えば、約0.5〜約10重量%、通常、約2〜約6重量%の範囲で含まれる。
【0037】
様々な「低密度性材料」としては、セラミックおよびガラスの微小気泡などの他の非エラストマーが挙げられ、これらは必ずしも緩衝作用を生じなくても低密度性充てん剤として使用され得る。
【0038】
「低密度性の人工材料」なる用語は、1μm〜1インチの範囲にある大きさであるように加工された材料を含む。この粒子は球状、板状、不均一な形状等含むあらゆる形状であり得る。この粒子は軽量および/または緩衝作用が望まれる実施形態において特に有用である。
【0039】
好適な充てん剤の例としては、タルク、マイカ、クレイ、二酸化チタン、カーボンブラック、炭酸カルシウムおよび他の金属炭酸塩、色素、セラミックおよびジルコニアミクロスフェア、本明細書中にて記載される二世代目の再生革複合材料の特定の形態等が挙げられる。本明細書中において、二世代目の再生革複合材料は本明細書中に記載される複合材料、例えば、最終用途の残り物である廃材材料より形成され、再利用するために充てん剤に変えられる。このように、二世代目の革複合材料より形成される充てん剤は、革、革以外の繊維、結合剤および本明細書中に記載されるような様々な他の構成要素を含む。
【0040】
緩衝剤もしくは充てん剤、ならびに/または官能基および/もしくは機能表面を有するように改変された充てん剤として用いられるとしても、用いられる粒子は様々な形状であっても良い。当該粒子は例えば、球状でなく、および/または不均一ものであり得るが、主に球状で均一な形状であり得る。これらは様々なアスペクト比を有し得、また比較的広範な粒度分布を有し得る(当該粒子が充てん剤または緩衝剤として所望される特性を提供する限りにおいて)。
【0041】
特定の充てん剤は、官能基(すなわち、官能化されている充てん剤)および/または機能表面を含む。このような官能基は後に化学結合を形成し得、また様々な物理的および化学的特性を付与し得る。例えば、充てん剤の表面は、親水性物質、疎水性物質、難燃性物質等から成り得る。好適な官能基の例としては、フルオロなどのハロ、ヒドロキシル、アミン、チオール、カルボン酸、スルホン酸、アミド、オレフィン等が挙げられる。
【0042】
結合剤
結合剤は製剤中の充てん剤、繊維および他の構成要素を結合し、強度および耐久性を付与するのに役立つ。結合剤は革の構成要素と革以外の繊維間の接着をもたらし、構造特性および/または他の特性(耐水性)を複合材料および得られた産物(複合材料を含む)に付与し得る。結合剤としては、アニオン性、カチオン性および非イオン性結合剤が挙げられ、これらは通常、乾燥重量に基づいて約3〜約50重量%, 例えば、約15〜約35重量%で含まれる。
【0043】
好適な結合剤に例としては、ラテックス材料、例えば、ブタジエン共重合体、アクリレート、ビニル-アクリル、スチレン-アクリル、スチレン-ブタジエン、ニトリル-ブタジエン、オレフィン含有重合体、例えば、ビニルアセテート-エチレン共重合体、ビニルエステル共重合体、ハロゲン化共重合体、例えば、塩化ビニリデン重合体が挙げられる。ラテックス結合剤が用いられる場合、ラテックス結合剤は機能性を含み得る。あらゆる種類のラテックスを用いることができるが、良好な熱および光安定性を付与し得るためにアクリルが好ましくあり得る。典型的なアクリルとしては、エチルアクリレート,ブチルアクリレートメチル(メタ)アクリレート、それらのカルボキシル化したもの、グリシジル化(glycidylated)したもの、自己架橋結合したもの(例えば、N-メチルアクリルアミドを含むもの)および共重合体ならびに共重合体とアクリロニトリルなどの他の単量体とを含む混合物より形成されるものが挙げられる。デンプン、天然ゴムラテックス、デキストリン、セルロース重合体等の天然重合体も用いることができる。さらに、他の合成重合体(例えば、エポキシ、ウレタン、フェノール成分、ネオプレン、ブチルゴム、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコールおよびポリエステルアミド)も用いることができる。
【0044】
加工助剤
加工助剤の種類および加工が必要であるか否かは、結合剤の性質によって決まる。カチオン性重合体が用いられる場合、アニオン性加工助剤を必要とする。アニオン性重合体が用いられる場合、カチオン性加工助剤を必要とする。カチオン性加工助剤の例としては、カチオン性ポリアクリルアミド、二価/三価カチオン、金属塩、エピクロルヒドリン-アミン付加物(Kymene(登録商標)など)、ミョウバン、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリリシンおよび他のカチオン性重合体が挙げられる。加工助剤は通常、湿式法に必要とされるが、その量はごくわずかで良い。その量は通常、約0.01〜約5%の範囲であり得る。
【0045】
選択的なさらなる構成要素および/または方法
上記の革、革以外の繊維、結合剤、充てん剤等以外にも、他の添加物を用いて最終用途の製品に特定の効果を付与することができる。以下の選択的な構成要素を別個に、または湿式処理に用いられる結合剤の一部として添加することができる。いくつかの構成要素は後処理、例えば、コーティング、含浸、浸透、エンボス加工、成形等の間に最終産物に含めても良い。
【0046】
架橋剤
架橋剤を用いてさらなる強度および耐久性を付与することができる。一例としては、フェノール成分、メラミンホルムアルデヒド (MF)および尿素ホルムアルデヒド(UF)樹脂、エポキシ、イソシアネート、エチレンイミンおよび金属塩が挙げられる。
【0047】
柔軟剤/軟化剤
柔軟剤および/または軟化剤を含めて、柔軟性および肌触りを製品に付与することができる。柔軟剤は約0〜約30%の範囲で用いられ、その量は企図される用途に応じて決まる。一例としては、グリセリン、シリコン、カルボン酸エステルなどの可塑剤、例えば、クエン酸エステルおよびフタル酸エステル、レシチンおよび他のリン脂質、油乳剤、脂肪、油、脂肪酸ならびに脂肪酸誘導体、例えば、エポキシ化大豆油および脂肪リカーが挙げられる。様々な保湿剤も用いることができ、そのうちのいくつかは柔軟特性を有し得る。保湿剤の例としては、限定されないが、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、尿素、ヒアルロン酸、ラクトアミドモノエタノールアミン、アセトアミドモノエタノールアミンおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0048】
保持剤および排水剤
これらの添加物を添加することにより、ウエットエンド法により形成される繊維/充填物凝集物の凝集体サイズを制御することができる。これらの添加物は複合材料をシート状に形成するのに役立ち、また水中に大量の残留物を残すことなくシートを形成するのに要する時間を減らすことができる。一例としては、カチオン性高分子電解質、カチオン性ラテックス、金属塩および金属イオン(例えば、ミョウバン、塩化ナトリウム等)、エピクロロヒドリン−アミン付加物などの他のカチオン性材料(例えば、Hercules製のKymene(登録商標)製品)ならびにポリエチレンイミンが挙げられる。
【0049】
撥水剤/滑剤
これらの添加物は、素地の撥水性および吸水度に関する性質を改善することができる。典型的な一例としては、ワックス、シリコン、フッ素化された材料、炭化水素添加物、油および脂肪が挙げられる。
【0050】
吸水剤
この添加物は素地の吸水能を改善し得る。この添加剤は革以外の繊維の全てまたは一部の親水性繊維に加えてまたは代えて用いることができる。このような添加物の例としては、親水性材料、例えばポリアルコール(例えば、ポリエチレングリコールおよびポリビニルアルコール)親水性シリコン、ポリエーテル、ポリカルボキシレート、優れた吸収性を有する重合体等が挙げられる。
【0051】
着色剤
この添加物は素地を着色する。この添加物には、有機色素および染料ならびに無機色素および染料が含まれ、一例としてはフタロシアニンブルー、酸化鉄、カーボンブラック、インジゴ等が挙げられる。
【0052】
分散剤/界面活性剤
これらの添加物を添加することにより、製剤中にて充てん剤および色素の湿潤状態および十分な分散状態を維持することができ、ならびに吸水性などの他の機能的有用性を付与することができる。ウエットエンド加工において、これらの添加物はシートの形成を制御し得る。一例としては、カルボキシレート、エトキシレートおよびスルホネートベースの材料、例えば、Tamol(登録商標) L, Tamol(登録商標) 731A, Morcryl(登録商標)(これら全てRohmおよびHaas製)が挙げられる。
【0053】
キレート剤
この添加物は、ウエットエンド法において金属イオンをキレートするために用いられる。またこの添加物は凝集体のサイズを制御するのに役立ち、それによって排水および保持能に影響を与え得る。一例としては、EDTAおよびEDTA誘導体が挙げられる。
【0054】
撥油剤
撥油剤は油、脂肪およびグリースに対する撥水性を改善するのに役立つ添加物であり、例えば、Scotch Guard(登録商標)などのフッ素化された添加物が挙げられる。
【0055】
凝固剤/凝集剤
凝固剤/凝集剤をまた繊維製品に添加し、粒子が凝集するのを容易にし得る。公的なカチオン性凝固剤としては、ミョウバンおよび/または他の重合体高電荷凝固剤、例えば、ポリカチオン性(カチオン性重合体)および鉱塩、二価および三価イオン(カルシウムおよびアルミニウム塩をそれぞれ含む)が挙げられる。
【0056】
II. 素地の製造方法
材料の調製に用いられる方法は湿式積層法である。一実施形態において、単層のフォードリニア機を使用して製品を製造する。当該方法は以下に詳細に記載される。
湿式積層法は、強度、均一性および特定の用途に重要な他のシート関連特性に寄与する構成要素の混合物を含む水性スラリーから繊維性のマットまたはシートを形成することを含む。混合物中の構成要素は加工(例えば、保持性または出来上がったシートの特定の性質(多孔性、柔軟性、撥水性など))を改善すべく選択される。通常バッチ式において、全ての構成要素を当該方法中の一工程にて一度に添加するか、逐次的に添加しても良いし、また繊維性シートの形成およびその特性に関して最も望ましい効果を有するように、当該方法中の適当な時点にて特定の構成要素を添加するのを控えたり、添加したりしても良い。
【0057】
本目的に用いられている通常の方法は、従来的に製紙法に基づいており、フードリニア機またはシリンダー機を使用することを含む。当該機械において、繊維性のマットまたはシートが予め形成された金網上に形成され、そして乾燥し巻いた状態の完成した製品へと巻いていく。シートの厚みはスラリー中の繊維および他の構成要素の量によって制御する。次にこれらのシートをカレンダリング、コーティング、積層、接着、エンボス加工、押し出し、成形などの手法を用いて後処理し、強度、不透過性、スタイリング、形状、寸法安定性などのさらなる特性をシートに与える他の層または素地に加える。
【0058】
上記の要約に記載されるように、ウエットエンド法は構成要素の混合物が分散している水性スラリーを作製することを含む。この工程はバッチ法によってなされ、全ての構成要素を、混合する機能を備えた機械の収容部に一度に添加しても良いし、最良の効果が得られるように、適当な時点に、特定の位置(例えば、機械の収容部のさらなる下流)にて特定の構成要素を添加するのを控えるか、または添加しても良い。バッチ法では通常、機械の収容部には水が初めに入っており、他の構成要素は混合しながら逐次的に添加し得る。通常、繊維 (例えば、革、セルロース、綿等)、充てん剤/色素および染料(例えば、タルク、カーボンブラック等)、結合剤(ラテックスおよび/または他の樹脂など)、保持剤および排水剤(例えば、ミョウバン、ベントナイトクレイ、カチオン性重合体等)、乾潤強度添加物(例えば、Kymene(登録商標))、および特定の機能を出来上がった製品に付与する他の構成要素(柔軟剤または緩衝剤(例えば、重合体ミクロスフェア、可塑剤、例えば、エポキシ化大豆油)、架橋剤等)を添加することを含む。これらの構成要素は当業者に公知であり、出来上がった製品に特定の特性(強度、撥水性、剛性、柔軟性等)を付与する必要がある際に用いられている。
【0059】
通常、添加する順序は、繊維および充てん剤を水に添加して十分に混合した後に結合剤を添加するようにする。大抵の場合、用いられる結合剤はアニオン性または非イオン性のいずれかの性質であり、上記混合物にカチオン性凝固剤(保持剤/排水剤)を添加することによって繊維/充填剤の表面に沈着し得る。これにより繊維/充填剤/結合剤フロックまたは凝集体を形成する。凝集剤は通常、本方法において最後に構成要素に添加され、沈殿を生じる。他の全ての機能的構成要素(柔軟剤、架橋剤等)は凝集剤を添加する前に添加する。添加される繊維、充てん剤、結合剤等の量は、作製されるシートの最終基本重量または厚さによって変わる。通常、スラリーの固形濃度は3〜4%未満であり、通常、シート形成法およびシートの所望される均一性によって決定される。これらの方法は製紙分野の当業者にとって周知であり、非織布に用いられる他の湿式積層法との類似性をいくつか有する。
【0060】
結合剤を、カチオン性の構成要素を使用して凝集させたら、形成した凝集体より水分を取り除き、通常シートを網篩上に形成する。水分の濁度は全ての固形材料が網篩上に保持されているかを示す良い指標となる。このようなウエットエンド法に通常用いられる従来の機械は、フードリニア機またはシリンダー機の使用を含む。これは製紙産業において周知である。次に網篩上に形成されたシートは通常、ドラム乾燥機で乾燥し、出荷または後処理のためにシート製品へと丸める。
【0061】
結合剤はまた、従来のアニオン性材料と異なり、事実上カチオン性のものであり得、この場合負電荷の繊維および充てん剤に対して通常の親和性を有し、カチオン性保持剤は必要ではない。しかし、このような場合、固体の実質的部分が効果的に網篩にて捕捉されることを確実にするために何らかのアニオン性の保持剤を添加する必要があるかもしれない。
【0062】
ウエットエンド法を拡張して、ワイヤー篩はポリオレフィン、ポリエステルまたは他の繊維材料から形成し得る。当該他の繊維材料はシートの一部となっても、形成した繊維性シートまたはマットを支持するスクリム材料として作用しても良い。形成された素地の一部分となり得るこのような交換可能な網篩は当該分野において公知である。
【0063】
出来上がったシートはまた、カレンダリング、積層、押し出し、コーティング、エンボス加工、発泡、成形等のいくつかの後処理工程を経て、さらなる層の付与、表面または付着物(例えば、スクリム、プラスチックの押し出し、泡等)を改善し得る。これらの付着物は強度、柔軟性、寸法安定性、撥水性等、特定の効果を付与する。これはサイズプレス、スプレーコーティング、積層等の装置を使用するオンライン、または押し出し、エンボス加工等のオフラインにてなされ得る。これらの処理後または処理中の工程はウエットエンド法により作製されるシート素地の価値および特性を増強する。
【0064】
III. 人工革複合構造の構成要素
いくつかの用途において、人工革素地は一または複数のトップコート層によってコーティングされている。これらの層は材料の耐久性および/または着心地の良さを改善し、材料に紫外線防護および/または色彩を付与し得る。
【0065】
トップコート層は様々な好適な材料(透明感があるか染色された材料、透明、半透明または不透明な材料が挙げられる)のいずれかより形成し得る。トップコート層を形成し得る材料の例としては限定されないが、様々な形状に利用可能なアクリルおよびポリウレタンが挙げられる。典型的な形状としては、溶液、固体および分散剤が挙げられる。
【0066】
人工革素地が着色される場合、着色剤は素地自体に、一または複数のトップコート層に、またはその両方に用いることができる。着色剤を素地に用いる場合、理想的には下塗剤を人工革素地に用いる。着色剤をさらなる層に用いるのではなくて、素地を着色する場合、他のいずれかの構成要素を用いる前に染色を行う必要がある。好適な下塗剤としては限定されないが、アクリル、ウレタンおよびシランで官能化された重合体が挙げられる。
【0067】
着色は色素および染料を用いて行うことができる。好適な色素の例としては、カーボンブラックおよび二酸化チタンが挙げられる。好適な染料としては限定されないが、塩基性染料、反応染料または酸性染料である染料ファミリー由来の製品であり得る。
【0068】
IV. 強化層
強化層は縫合性、強度、伸縮性および肌触りを付与し得る。強化層は、素地を所望される最終用途に十分な程補強するいずれかの材料であり得る。一例としては、スクリム、織布、ニット、非織布、固形シート、フィルム、泡等が挙げられる。強化層は合成または有機繊維、ガラス繊維、プラスチック、スチール、アルミニウムまたはスズなどの金属および他の好適な材料から形成され得る。当該層は化学的アプリケーション法、ホットメルト法またはスパンレース法を用いて、例えば、風合いおよび強度を付与するために施すことができる。裏打ちはニードルパンチまたはシートフォームなどの緩衝材であり得る。強化層の厚さおよび密度は最終産物の性質に応じて変わる。
【0069】
強度を増強するために、スクリムを複合材料の織布に用いることができる。好適なスクリムは当該分野において公知であり、市販されている。また、好適なスクリムは、ナイロンなどのプラスチック材料であっても良いし、例えば、スチール、アルミニウムまたはスズなどの金属であっても良い。スクリムは複合材料織布が形成される方法に用いられ、その方法において複合材料織布はスクリム中に、またはスクリム上に形成され得る。別の実施形態において、スクリムを形成された直後であって乾燥前の複合材料織布に接着しても良いし、乾燥した複合材料織布に接着剤を使用して接着しても良い。
【0070】
肌触りを改善するために、クリンプを複合材料に施すことができる。クリンプは特に製紙業界において公知であり、織布の肌触り(感触)を改善する。この目的に用いられる器具および方法は当該分野において公知である。
【0071】
他の好適な補強材としては、マイクロデニールの繊維構造、ポリウレタンまたはポリオレフィンフォーム、ラテックスフォームおよびホットメルト裏打ちが挙げられる。これらは適当な化学物質と共に提供され、その結果加熱された場合に、当該層は複合材料に化学的エンボス加工を付与し得る。素地はまた、化学的および/または機械的にエンボス加工され、その後革素地に付ける。
【0072】
エンボス加工以外にも、上記材料を被膜、通気性の有るフィルムアプリケーションおよび/または成形工程に付すことも可能である。
【0073】
接着剤
接着剤を用いて強化層に素地を保持する。いくつかの実施形態において、強化層はそれ自体が接着剤であり、例えば、ポリオレフィンスクリムであり、この場合接着剤は必要ではない。接着剤を必要とする場合、接着剤はシート、スクリム、粉末、液体、硬化性組成物等の形状であり得る。液状の形態で提供される場合、接着剤は様々な方法、例えば、ナイフコーティング、スプレーコーティング、ドクターブレードを用いる方法等を使用して用いることができる。接着剤としては硬化性のもの(例えば、ウレタン)、アクリレート、エポキシ、熱硬化性、熱可塑性プラスチック(例えば、エチレンビニルアセテート (EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)プラスチゾルおよびポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレン))、ホットメルト、粘着剤ならびにゴム接着剤であり得る。接着剤は100% 固体(すなわち、組成物の全ての構成要素がUV硬化性であり、そのため揮発分放出がない)、水ベースまたは溶剤ベースのものであり得る。
【0074】
複合材料の特有の性質
いくつかの実施形態において、上記材料は収縮が最小限であり、例えば、従来の革の調製法、例えばタンニング法においては40〜50 %の収縮が見られるのに対し、約5%の収縮を示す。上記革以外の繊維は再生革の収縮を抑えると考えられ、これは新しい革を用いた際の結果を上回る改善点である。いくつかの実施形態において、当該材料を充填することによって、吸音特性を付与する。
【0075】
典型的な実施例
典型的な実施例の一つにおいて、素地はおよその範囲で、革 (47%)、ナイロン (10%)、アクリルラテックス (15%)およびエポキシ化大豆油 (28%)を含んで形成される。この合成革材料は比較的良好なドレープ性(drapability)および伸張強度を有し、自動車用途に用いるのに好適である。
【0076】
V. 複合材料を含む製品
人工革素地を用いて衣服、ガーメントおよびアクセサリー、家具、革シート、自動車用途におけるダッシュボード等、靴、事務用品、運動具および運動設備ならびに娯楽産業などの製品を製造することができる。
典型的な製品としては限定されないが、自動車用のシート、自動車用のインテリア、家、事務および小売店用の家具、ならびにアクセサリー、宝飾品類、ベルトおよびサスペンダー、時計のベルト、上着、靴、衣服、帽子、手袋、工芸品および趣向品、サドルおよびタック、ペットアクセサリー(例えばリッシュ)、壁紙および床仕上げ材、メニューのカバー、本の表紙およびカバー、アウトドアの遊具およびアクセサリー、化粧品のキット、財布、ハンドバッグ、バックパック、旅行かばん、運動用のボール、運動用のヘッドギア、他の運動具、ダッフルバッグ、運動用アクセサリー、水バッグ、双眼鏡およびメガネのケース、ゲームのピースおよびアクセサリー、カメラ用バッグおよびケース、衣装およびノベルティーならびに電気通信および電子機器用アクセサリーが挙げられる。
【0077】
これらの製品は本明細書中に記載される人工革素地および/または複合革材料を用いて製造できる。これらの各製品に必要とされる好適な特性および各製品に必要とされる様々な構成要素は当業者に周知である。例えば、緩衝材ではない用途において、緩衝剤は必要ではない。成形可能な用途においては、特定の裏打ち材料が必要とされる。材料を縫い合わせる場合、裏打ちは通常、単なるスクリムではない。
【0078】
革製品の特性を決定するための従来的に公知のまた、従来的に用いられているアッセイの複数のプロトコールが存在し、これらプロトコールのうちのいずれかを用いて人工革素地および得られた複合材料を分析および特徴付けを行うことができる。一例として、例えば、バリーフレックスを測定するためのASTM D 6182、IUF 470、および仕上げの接着と共にバリーフレックスを測定するISO 11644が挙げられる。さらなる例としては、以下のものが挙げられる:FLTM BN 180-14 (ピリングに対する抵抗)、FLTM BN 157-01 (柔軟性)、ASTM D 1813 (厚さ)、SAE J323-Method A (低温柔軟性)、ASTM D 2208およびASTM D 571 (引っ張り強さ)、ASTM D 2208 (伸長性)、ASTM D 5733 (リヤ強度)、FLTM BN 106-02 (縫い目の疲労に対する抵抗)、FLTM BN 105-03 (収縮)、FLTM BI 109-01およびFLTM BI 110-01 (外観)、ASTM D 523 (グロス)、ISO 2411, FLTM BN 151-05およびDVM-0038-IP (結合強度)、SAE J948 (摩耗に対する抵抗)、SAE J365 (けば立ちに対する抵抗)、FLTM BO 111-02 (くぼみおよび回復)、FLTM BN 103-01 (移動、染色およびブロッキングに対する抵抗)、FLTM BI 106-01 (コーティング接着)、FLTM BI 104-01(耐水性)、FLTM BN 108-13 (引っかき傷に対する抵抗)、ISO 188、ATMS E 145、 ISO 105-A02、ASTM D 683、AATCC- Process 1およびISO R 527-Type 2 (熱劣化に対する抵抗)、FLTM BI 160-01およびAATCC - Process 1 (色あせに対する抵抗)、DVM- 00067-MA、ISO 105-A02およびAATCC- Process (キセノンアーチウェザーオメーター)、FLTM BI 109-01 (外観)、ASTM D 571 (重さ)、FLTM BN 119-01(縫い目の強度)、ISO 2411 (裏打ち布へのビニルフィルムの接着)、SAE J 855 (伸縮性およびセット)、ASTM D 747 (剛性)、FLTM BN 106-02 (縫い目の疲労に対する抵抗)、ISO 3795およびSAE J 369 (可燃性)、SAE J1756 (フォギング)、ISO 3795およびSAE J369 (可燃性)、ISO 105-A02およびAATCC- Process 2 (寸法安定性)、FLTM BN 112-08, ISO 105-A02およびAATCC Process 1 (染みをつけることおよび洗濯可能なこと)、FLTM BN 107-01およびAATCC Process 2 (洗浄剤に対する抵抗)、FLTM BI 113-01, ISO 105-A02およびAATCC Process 1 (日焼け止めローションおよび虫よけに対する抵抗)、FLTM BI 1130-01, ISO 105-A02およびAATCC Process 1 (水および石鹸のスポッティングに対する抵抗)、FLTM BO 131-01 (臭気)、ISO 105-A02およびAATCC Process 1 (動的浸出に対する抵抗)、FLTM BI 107-05 (塗膜密着性の熱衝撃)、およびFLTM BN 107-01 (クリーニングおよび除去耐性)。
【実施例】
【0079】
以下の非限定的な例は本明細書中に記載される発明を例示するものであって、限定することを意図しない。
【0080】
実施例1: 人工革複合材料
一連の人工革素地および複合材料を以下の組成を用いて製造した:
【表1】


【0081】
一連の人工革素地および複合材料は、様々な常套手段に従って、本明細書中に記載される方法を使用して作製した。表1に示すように、得られた材料は所望される特性を有しており、これらの特性は当該複合材料が由来とする改質されていない革の特性を反映している。
本明細書においては典型的な実施形態が開示されており、特定の用語が用いられているが、これらの用語は一般的および記述的な意味で用いられているのであって、限定することを目的とするものではない。手段としては、様々な他の実施形態、態様、改良体および特許請求の範囲に開示されるものの等価物があり得、それらは本明細書中の記載を考慮すれば当業者であれば、本発明の精神および本発明の範囲から離れることなく連想されることは明らかであろう。特許請求の範囲は、本出願が全ての地域において優先出願としての全ての法的要件を満たすこと、ならびにラテックス組成物、本明細書中に開示されるラテックス組成物の使用方法および当該ラテックス組成物を組み込むまたは含む製品の全範囲を示すものとして解釈されるものではないことを保証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
革の繊維;
結合剤;
革以外の繊維;および
緩衝剤を含んでなる、複合材料。
【請求項2】
革材料が産業廃棄物または消費財廃棄物を含む、請求項1記載の複合材料。
【請求項3】
結合剤がラテックスである、請求項1記載の複合材料。
【請求項4】
ラテックスがアクリルラテックスである、請求項3記載の複合材料。
【請求項5】
革以外の繊維がセルロースを含む、請求項1記載の複合材料。
【請求項6】
セルロース繊維が綿繊維である、請求項5記載の複合材料。
【請求項7】
緩衝剤が高分子微小気泡を含む、請求項1記載の複合材料。
【請求項8】
緩衝剤が泡粒子を含む、請求項1記載の複合材料。
【請求項9】
以下:
革の繊維;
ラテックス結合剤;
革以外の繊維;および
緩衝剤を含んでなる、複合材料。
【請求項10】
革材料が産業廃棄物または消費財廃棄物を含む、請求項9記載の複合材料。
【請求項11】
結合剤がラテックスである、請求項9記載の複合材料。
【請求項12】
ラテックスがアクリルラテックスである、請求項11記載の複合材料。
【請求項13】
革以外の繊維がセルロースを含む、請求項9記載の複合材料。
【請求項14】
セルロース繊維が綿繊維である、請求項13記載の複合材料。
【請求項15】
緩衝剤が高分子微小気泡を含む、請求項9記載の複合材料。
【請求項16】
緩衝剤が泡粒子を含む、請求項9記載の複合材料。
【請求項17】
以下:
革の繊維;
ラテックス結合剤;
革以外の繊維;および
補強基材を含んでなる、複合材料。
【請求項18】
革材料が産業廃棄物または消費財廃棄物を含む、請求項17記載の複合材料。
【請求項19】
結合剤がラテックスである、請求項17記載の複合材料。
【請求項20】
ラテックスがアクリルラテックスである、請求項19記載の複合材料。
【請求項21】
革以外の繊維がセルロースを含む、請求項17記載の複合材料。
【請求項22】
セルロース繊維が綿繊維である、請求項21記載の複合材料。
【請求項23】
補強基材がスクリム、織布または不織布製品である、請求項19記載の複合材料。
【請求項24】
補強材が泡層を含む、請求項19記載の複合材料。
【請求項25】
以下:
革の繊維;
ラテックス結合剤;
革以外の繊維;および
トップコートおよび/または色塗層からなる、複合材料。
【請求項26】
革材料が産業廃棄物または消費財廃棄物を含む、請求項25記載の複合材料。
【請求項27】
結合剤がラテックスである、請求項25記載の複合材料。
【請求項28】
ラテックスがアクリルラテックスである、請求項27記載の複合材料。
【請求項29】
革以外の繊維がセルロースを含む、請求項25記載の複合材料。
【請求項30】
セルロース繊維が綿繊維である、請求項29記載の複合材料。
【請求項31】
トップコート層が化学的にまたは機械的にエンボス加工されている、請求項29記載の複合材料。
【請求項32】
以下:
革の繊維;
ラテックス結合剤;
革以外の繊維;および
無機充てん剤を含んでなる複合材料であって、該充てん剤が該複合材料に難燃性、防音性、低密度性、滑らかさの増大、水切り能の向上、耐摩耗性または剛性を付与する、上記複合材料。
【請求項33】
革材料が産業廃棄物または消費財廃棄物を含む、請求項32記載の複合材料。
【請求項34】
結合剤がラテックスである、請求項32記載の複合材料。
【請求項35】
ラテックスがアクリルラテックスである、請求項34記載の複合材料。
【請求項36】
革以外の繊維がセルロースを含む、請求項32記載の複合材料。
【請求項37】
セルロース繊維が綿繊維である、請求項36記載の複合材料。
【請求項38】
無機充てん剤が、一または複数のタルク、マイカ、クレイ、二酸化チタン、カーボンブラック、炭酸塩、色素、 セラミックミクロスフェアまたはジルコニアミクロスフェアを含む、請求項32記載の複合材料。
【請求項39】
無機充てん剤が官能化されている充てん剤である、請求項32記載の複合材料。
【請求項40】
無機充てん剤が第二世代の革複合材料を含む、請求項32記載の複合材料。
【請求項41】
以下:
革の繊維;
ラテックス結合剤;および
革以外の繊維を含んでなる複合材料であって、機械的および/または化学的エンボス加工が施されている、上記複合材料。
【請求項42】
革材料が産業廃棄物または消費財廃棄物を含む、請求項41記載の複合材料。
【請求項43】
結合剤がラテックスである、請求項41記載の複合材料。
【請求項44】
ラテックスがアクリルラテックスである、請求項43記載の複合材料。
【請求項45】
革以外の繊維がセルロースを含む、請求項41記載の複合材料。
【請求項46】
セルロース繊維が綿繊維である、請求項45記載の複合材料。
【請求項47】
さらに緩衝剤を含んでなる、請求項41記載の複合材料。
【請求項48】
緩衝剤が高分子微小気泡または泡粒子を含む、請求項41記載の複合材料。
【請求項49】
以下:
革の繊維;
ラテックス結合剤;および
革以外の繊維を含んでなる複合材料であって、該ラテックス結合剤は該複合材料に熱および/または紫外線防護を付与するように選択され、それによって該複合材料は日光およびおよそ華氏100度の温度に曝されても、三年間は大きな亀裂が入ることなく持ち堪えることができる、上記複合材料。
【請求項50】
革材料が産業廃棄物または消費財廃棄物を含む、請求項49記載の複合材料。
【請求項51】
結合剤がラテックスである、請求項49記載の複合材料。
【請求項52】
ラテックスがアクリルラテックスである、請求項51記載の複合材料。
【請求項53】
革以外の繊維がセルロースを含む、請求項49記載の複合材料。
【請求項54】
セルロース繊維が綿繊維である、請求項53記載の複合材料。
【請求項55】
緩衝剤をさらに含んでなる、請求項49記載の複合材料。
【請求項56】
緩衝剤が高分子微小気泡または泡粒子を含む、請求項49記載の複合材料。
【請求項57】
革の繊維、ラテックス結合剤および革以外の繊維を含んでなる複合材料を含んでなる製品。
【請求項58】
革材料が産業廃棄物または消費財廃棄物を含む、請求項57記載の製品。
【請求項59】
結合剤がラテックスである、請求項57記載の製品。
【請求項60】
ラテックスがアクリルラテックスである、請求項59記載の製品。
【請求項61】
革以外の繊維がセルロースを含む、請求項57記載の製品。
【請求項62】
セルロース繊維が綿繊維である、請求項61記載の製品。
【請求項63】
緩衝剤をさらに含んでなる、請求項57記載の製品。
【請求項64】
緩衝剤が高分子微小気泡または泡粒子を含む、請求項63記載の製品。

【公表番号】特表2009−512792(P2009−512792A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536801(P2008−536801)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/040902
【国際公開番号】WO2007/047848
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508120031)ダウ ライヒホールド スペシャルティ ラテックス,エルエルシー (1)
【出願人】(508119910)サステイナブル ソリューションズ,インコーポレーテッド(エスエスアイ) (1)
【Fターム(参考)】