説明

複合ICカード

【課題】この発明は、接触式及び非接触式インターフェイスを有する複合ICカードにおいて、いずれのインターフェイスから駆動された場合でも誤動作を防止することにより、複合ICカードとしての信頼性を十分に確保するようにした接触式及び非接触式インターフェイスを有する複合ICカードを提供することを目的としている。
【解決手段】接触式インターフェイス(401)から電圧が印加されているとき、非接触式インターフェイス(400)を介しての信号の入出力を禁止するとともに、非接触式インターフェイス(400)から電圧が印加されているとき、接触式インターフェイス(401)を介しての信号の入出力を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、接触式及び非接触式インターフェイスを有する複合ICカードに係り、特に、いずれのインターフェイスから駆動された場合でも誤動作を防止することにより、複合ICカードとしての信頼性を十分に確保するようにした複合ICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より接触式及び非接触式インターフェイスを有するICカードとして、特許文献1に示されるようなものが知られている。
【0003】
すなわち、この特許文献1に示される複合ICカードは、メモリ及びCPUを有すると共に、外部からの入力に応答して信号を発生するICを備え、外部機器と接触して応答するための電気的接点機構と、外部機器と非接触で通信により応答するためのアンテナ機構とを併設したカードである。
【0004】
そして、この複合ICカードは、電気的接点機構に接続した外部機器によりメモリの内容の書込み、変更が可能であり、外部機器と非接触で通信により応答する場合にはメモリ内の特定情報を変調してアンテナ機構から出力するように構成されている。
【0005】
また、特許文献2には、端末装置から供給される電圧により充電されるバッテリを内蔵した複合ICカードが開示されている。
【特許文献1】特公平4−16831号公報
【特許文献2】特開平9−326021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、上述したような複合ICカードの解決すべき問題点は次のとおりである。
【0007】
すなわち、上述したような複合ICカードでは、電気的接点機構を介して外部機器に接続されて駆動されている間に、非接触式のアンテナを介して駆動された場合、もしくは、非接触式のアンテナを介して外部機器に駆動されている間に、電気的接点機構を介して外部機器から駆動された場合に誤動作を防止する対策が全くとられておらず、複合ICカードとしての信頼性が十分ではないということである。
【0008】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、接触式及び非接触式インターフェイスを有する複合ICカードにおいて、いずれのインターフェイスから駆動された場合でも誤動作を防止することにより、複合ICカードとしての信頼性を十分に確保するようにした複合ICカードを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る複合ICカードは、アンテナを介して受信した信号により駆動電力を生成して動作する非接触式インターフェイスと、接触式で駆動電力の供給及び信号の授受を行なう接触式インタ一フェイスとを有し、接触式インターフェイスまたは非接触式インターフェイスにより駆動されるものを対象としている。そして、接触式インターフェイスから電圧が印加されているとき、非接触式インターフェイスを介しての信号の入出力を禁止するとともに、非接触式インターフェイスから電圧が印加されているとき、接触式インターフェイスを介しての信号の入出力を禁止する禁止手段を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
上記した発明によれば、接触式及び非接触式のいずれのインターフェイスから駆動された場合でも誤動作を防止することができ、複合ICカードとしての信頼性を十分に確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
まず、この発明による第1の実施の形態について図1乃至図3を参照して説明する。
【0013】
図1は、この発明による複合ICカードとして適用されるデータ記憶媒体としての無線コンビネーションカード(以下、単に、無線コンビカードと記す)を用いた無線カードシステムの構成を示すものである。
【0014】
この無線カードシステムは、図1に示すように、データ処理装置としての無線カードリーダ・ライタ200と、携帯可能で、接触式の通信機能と無線通信機能の双方の通信機能を有するデータ記憶媒体としての無線コンビカード300とに大別される。
【0015】
無線カードリーダ・ライタ200は、無線コンビカード300への読出し、書込み(記憶)コマンドの送信、読出しデータの処理、書込みデータの送信などを行うもので、図1に示すように、制御部207、変調回路204、送信用のドライバ203、送信アンテナ201、受信アンテナ202、受信用の増幅器205、復調回路206、キーボードなどの操作部209、表示部208、各部に動作電源を供給する電池などを主体に構成される電源部210、および外部装置(図示しない)と接続されるインターフェイス211などによって構成されている。
【0016】
無線コンビカード300は、無線カードリーダ・ライタ200からのコマンドの解読、データの書込み(記憶)、データの送信などを行うもので、図1に示すように、送受信アンテナとしてのループ状アンテナコイル(図示しない)と同調コンデンサ(図示しない)とからなる並列同調回路(受信手段)301、電源生成部(電源生成手段)302、復調回路(復調手段)303、制御ロジック回路(CPU)305、変調回路(変調手段)304、記憶手段としてのEEPROM等で構成される不揮発性メモリ306、およびクロック生成回路(クロック生成手段)307などによって構成されている。
【0017】
なお、無線コンビカード300は、後述する接触式の通信機能を実行する場合に用いられるものとして、図2に示すように、外部機器と接触して応答するための電気的接点機構となる外表面に露出した8個の電気接点C1〜C8を備えている。
【0018】
以下、無線カードリーダ・ライタ200および無線コンビカード300について更に詳細に説明する。
【0019】
まず、無線カードリーダ・ライタ200における無線コンビカード300に対するデータの読出しについて説明する。
【0020】
無線カードリーダ・ライタ200の制御部207で読出しコマンドを生成し、変調回路204へ送る。
【0021】
変調回路204では、任意の変調方式でコマンドを変調し、送信用のドライバ203へ送る。
【0022】
ドライバ203では、変調信号を放射するに十分な強度まで増幅し、増幅した信号を送信アンテナ201へ供給する。
【0023】
送信アンテナ201に供給された信号は空間へ放射され、無線コンビカード300の並列同調回路301で受信される。
【0024】
この受信信号は、復調回路303で復調されて、制御ロジック回路305に送られ、ここでコマンド解析が行われる。
【0025】
その結果、コマンドの内容が読出しであると解読すると、制御ロジック回路305は、カードデータが格納されている不揮発性メモリ306から所定のデータを読出して変調回路304へ送る。
【0026】
変調回路304では、カードデータを変調して、並列同調回路301へ供給する。
【0027】
並列同調回路301に供給された信号は空間へ放射され、無線カードリーダ・ライタ200の受信アンテナ202で受信される。
【0028】
この受信信号は、受信用の増幅器205へ送られる。
【0029】
増幅器205では、受信信号を増幅した後、復調回路206へ送り、ここで復調する。
【0030】
復調された信号は、制御部207へ送られ、ここで所定のデータ処理が行われる。
【0031】
なお、必要に応じて表示部208でデータ表示が可能であり、また操作部209でデータ入力が可能である。
【0032】
次に、無線カードリーダ・ライタ200における無線コンビカード300に対するデータの書込みについて説明する。
【0033】
無線カードリーダ・ライタ200の制御部207で書込みコマンドおよび書込みデータを生成し、変調回路204へ送る。
【0034】
変調回路204では、任意の変調方式でコマンドおよびデータを変調し、送信用のドライバ203へ送る。
【0035】
ドライバ203では、変調信号を放射するに十分な強度まで増幅し、増幅した信号を送信アンテナ201へ供給する。
【0036】
送信アンテナ201に供給された信号は空間へ放射され、無線コンビカード300の並列同調回路301で受信される。
【0037】
この受信信号は、復調回路303で復調されて、制御ロジック回路305に送られ、ここでコマンド解析が行われる。
【0038】
その結果、コマンドの内容が書込みであると解読すると、制御ロジック回路305は、書込みコマンドの後に送られてくる書込みデータを不揮発性メモリ306の所定のアドレスに書込む。
【0039】
無線コンビカード300内の電源生成部302は、上記並列同調回路301での受信信号を分岐して整流することにより、無線コンビカード300内で消費する電源を生成するものである。
【0040】
また、無線コンビカード300内のクロック生成回路307は、上記並列同調回路301での受信信号に基づいて、各回路を動作させるのに必要なクロックを発生するものである。
【0041】
このクロック生成回路307で生成されたクロックは復調回路303、変調回路304、および制御ロジック回路305に出力されている。
【0042】
このように、無線カードリーダ・ライタ200は、無線コンビカード300の並列同調回路301と相対向する位置に送信アンテナ201と受信アンテナ202とを接近して配置する必要がある。
【0043】
送信アンテナ201からは無線コンビカード300に対して強度の強い信号が放射される。
【0044】
また、受信系は、無線コンビカード300からの微弱信号を受信する必要があるため高感度となっている。
【0045】
次に、上記無線コンビカード300内の詳細な構成を、図2、図3を用いて説明する。
【0046】
無線コンビカード300には、図2、図3に示すように、カード表面に端末装置との接触端子C1(VCC)、C2(RST)、C3(CLK)、C4(将来のための予備端子:RFU)、C5(GND)、C6(VPP:未使用)、C7(I/O)、C8(将来のための予備端子:RFU)が接触式インターフェイス401として配置されている。
【0047】
無線コンビカード300のカード内には、図2、図3に示すような1チップマイクロプロセッサ310が埋め込まれている。
【0048】
この1チップマイクロプロセッサ310は、図3に示すように、上記制御ロジック回路305に相当する制御用のCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)405、制御プログラムを記憶するROM406、暗証番号(たとえば4桁)、およびデータなどが記録されるEEPROMで構成されるデータメモリ407、UART等で構成されるインターフェイス回路408、一時記憶用のRAM409、暗号回路402などからなる一連のデータ処理装置を有している。
【0049】
そして、このような無線コンビカード300による接触式でのデータ交換に際しては、カード300を挿入した端末装置より、接触端子C1からVCC(通常5V))端子へ電圧が供給されるとともに、接触端子C3、C2、C5を通してCLK(クロック)端子、RST(リセット)端子、GND(接地電位)端子に信号が入力され、同時に接触端子C7とI/Oポートが接続されてデータ交信が行われる。
【0050】
上記各部はICチップで構成され、1つの基板上に設けられている。
【0051】
また、上記各端子とは配線により接続されていると共に、各端子とICチップを搭載した基板とは、一体化されて、ICモジュールとしてハンドリングされることにより、図2に示すように、カード表面に各端子が露出するようにカードに埋込まれている。
【0052】
また、カード300内には非接触式でのデータ交換のために、並列同調回路301が設けられている。
【0053】
すなわち、並列同調回路301は、無線カードリーダ・ライタ200の送信アンテナ201からの2相位相変調波信号(第1の2相位相変調波信号)を受信するとともに、f0/2の搬送波周波数の2相位相変調波信号(第2の2相位相変調波信号)で送信も行われるものであり、ループ状アンテナコイル301aおよび同調コンデンサ301bにより構成されている。
【0054】
この並列同調回路301において、ループ状アンテナコイル301aからは受信と同時にf0/2の搬送波周波数で送信も行わせているが、受信電波から電源生成のための電力の確保を効率良く行わせる必要があり、このために受信した2相位相変調波信号の搬送波周波数f0に同調するようになっている。
【0055】
上記送信のための搬送波周波数が受信する2相位相変調波信号の搬送波周波数の1/2ではなく、整数分の1であっても良い。
【0056】
なお、ループ状アンテナコイル301aは単に信号の授受のためのものであり、これらは1個のコイルを送受信用に兼用に設けてもよいが、送信用と受信用で別々にするようにしてもよい。
【0057】
上記1チップマイクロプロセッサ310には、非接触式でのデータ交換のために、並列同調回路301を介してデータ交換を行なう非接触インターフェイス回路400が内蔵されている。
【0058】
この非接触インターフェイス回路400には、上記並列同調回路301からの2相位相変調波信号により無線コンビカード300内の回路全体に供給するための電源を生成する電源生成部302、並列同調回路301を介して受信したアナログ信号から動作用のクロックを生成するクロック生成回路(クロック生成手段)307、並列同調回路301を介して受信したアナログ信号を1チップマイクロプロセッサ310内のCPU405に読み込ませるためのデジタル信号に変換する復調回路(復調手段)303、CPU405から送出される信号で発振回路出力を変調して並列同調回路301のループ状アンテナ(送信)コイル301aから送信するための変調回路(変調手段)304、クロック生成回路(クロック生成手段)307により生成されたクロックに基づきリセット信号を生成するリセット信号生成回路308などによって構成されている。
【0059】
上記無線コンビカード300内には、非接触式インターフェイス400と並列同調回路301のループ状アンテナコイル301aとの導通をON/OFFするスイッチ(SW1)309が設けられている。
【0060】
このスイッチ(SW1)309は、初期状態では、通常ON(接続)状態となっているが、接触式インターフェイス401の接触端子C1からVCC(通常5V)端子へVcc電圧が印可されている場合には、CPU405によって、このスイッチ(SW1)309をOFFとするように構成されている。
【0061】
そして、さらに、第1の実施の形態においては、上記スイッチ(SW1)309の他に、接触端子C1(VCC)、C2(RST)、C3(CLK)、C7(I/O)の各々に対応してスイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312〜315が設けられる。
【0062】
これらのスイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312〜315の各一方の入力端が、接触端子C1(VCC)、C2(RST)、C3(CLK)、C7(I/O)の各々に対応して接続されている。
【0063】
そして、スイッチ(SW2)312の他方の入力端が、非接触式インターフェイス400の電源生成部302にて生成されたVcc電圧が入力されるように電源生成部302と接続されている。
【0064】
ここで、スイッチ(SW2)312は、CPU405によって制御される選択回路(sel)320の出力により、いずれか一方の入力端がイネーブル状態に選択される。
【0065】
なお、スイッチ(SW2)312は、CPU405によって、初期状態では電源生成部302にて生成されたVcc電圧が入力されるように、他方の入力端が選択されている。
【0066】
また、スイッチ(SW3)313の他方の入力端が、非接触式インターフェイス400のリセット信号生成回路308にて生成されたリセット信号が入力されるようにリセット信号生成回路308と接続されている。
【0067】
ここで、スイッチ(SW3)313は、CPU405によって制御される選択回路(sel)320の出力により、いずれか一方の入力端がイネーブル状態に選択される。
【0068】
なお、スイッチ(SW3)313は、CPU405によって、初期状態ではリセット信号生成回路308にて生成されたリセット信号が入力されるように、他方の入力端が選択されている。
【0069】
また、スイッチ(SW4)314の他方の入力端が、非接触式インターフェイス400のクロック生成回路307にて生成されたクロック信号が入力されるようクロック生成回路307と接続されている。
【0070】
ここで、スイッチ(SW4)314は、CPU405によって制御される選択回路(sel)320の出力により、いずれか一方の入力端がイネーブル状態に選択される。
【0071】
なお、スイッチ(SW4)314は、CPU405によって、初期状態ではクロック生成回路307にて生成されたクロック信号が入力されるように、他方の入力端が選択されている。
【0072】
また、スイッチ(SW5)315の他方の入力端が、非接触式インターフェイス400の復調回路(復調手段)303と接続されている。
【0073】
また、スイッチ(SW5)315の一方の出力端が、非接触式インターフェイス400の変調回路(変調手段)304と接続されている。
【0074】
ここで、スイッチ(SW5)315は、CPU405によって制御される選択回路(sel)320の出力により、復調回路(復調手段)303の出力端、変調回路(変調手段)304の入力端若しくは接触端子C7(I/O)と選択的に接続されるように、いずれか一方の入力端若しくは出力端がイネーブル状態に選択される。
【0075】
なお、スイッチ(SW5)315は、CPU405によって、初期状態では復調回路(復調手段)303の出力端、変調回路(変調手段)304の入力端が選択されて接続されている。
【0076】
一方、接触式インターフェイス401の接触端子C1及び電源生成部302の出力は、各々CPU405の端子A,Bに入力されており、無線コンビカード300が起動されて初期化動作を行なう際に、CPU405において接触式インターフェイス401により駆動されているのか、若しくは、非接触式インターフェイス400により駆動されているのかが判別されるようになっている。
【0077】
そして、CPU405は、ROM406に記憶されている初期化動作を行うためのプログラムを読み出して初期化動作を行うようになされている。
【0078】
次に、このような構成による無線コンビカードの動作を図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0079】
例えば、カード300を端末装置に挿入すると、カード300の接触式インターフェイス401の接触端子C1からVCC(通常5V))電圧が印可される(ST1)。
【0080】
ここで、接触端子C1からVCC(通常5V)端子へVcc電圧が印可されると、カード300の選択回路(sel)320は、接触端子C1(VCC)、C2(RST)、C3(CLK)、C7(I/O)の各々を選択して接続するようスイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312〜315の各々に対して選択信号「1」を出力する(ST101)。
【0081】
その後、CLK端子C3、RST端子C2から各々クロック信号、リセット信号が供給される(ST2,ST2)と、CPU405は初期化動作を開始する(ST102)。
【0082】
この初期化動作時において、CPU405は、入力端子A,Bの状態を確認し、無線コンビカード300が、CPU405において接触式インターフェイス401により起動されているか、非接触式インターフェイス400により起動されているのかを判別する(ST103)。
【0083】
すなわち、入力端子Aが「1」で、入力端子Bが「0」での状態判別は、非接触式インターフェイス400により、起動されていることとなる。
【0084】
また、入力端子Aが「0」で、入力端子Bが「1」での状態判別は、接触式インターフェイス401により、起動されていることとなる。
【0085】
そして、入力端子Aが「0」で、入力端子Bが「0」若しくは、入力端子Aが「1」で、入力端子Bが「1」での状態判別は、エラーとなる。
【0086】
そして、エラーの場合、CPU405は動作を停止する。
【0087】
この場合、接触式インターフェイス401により起動されており、CPU405は、入力端子A,Bの状態をRAM409の所定エリアに保持する(ST104)。
【0088】
非接触式インターフェイス400による起動の場合には、RAM409の所定エリアに(1,0)を記憶し、接触式インターフェイス401による起動の場合には、RAM409の所定エリアに(0,1)を記憶する。
【0089】
次に、CPU405はRAM409に格納されている情報により、カード300が接触式インターフェイス401により起動されているか否か、すなわち、RAM409に格納されているパターンが(0,1)であるか否かを判別する(ST105)。
【0090】
接触式インターフェイス401により起動され、RAM409の所定エリアのパターンが(0,1)の場合、CPU405は、上記スイッチ(SW1)309をOFFにする選択信号を出力する(ST106)。
【0091】
この選択信号により、スイッチ(SW1)309はOFFとされる。
【0092】
また、この選択信号は選択回路(sel)320にも供給され、スイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312〜315の各々が接触端子C1(VCC)、C2(RST)、C3(CLK)、C7(I/O)の各々を選択した状態を維持するよう選択回路(sel)320を制御する(ST106)。
【0093】
この選択回路(sel)320の選択により、スイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312〜315の各々が接触端子C1(VCC)、C2(RST)、C3(CLK)、C7(I/O)の各々を選択した状態が維持され、以後、端末装置からのI/Oポートを介してコマンドを受信し、コマンドに応じてI/Oポートを介しての接触式でのデータ交換が行われる。
【0094】
すなわち、接触式でのデータ交換が行われている間は、上記スイッチ(SW1)309はOFFにされていると共に、スイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312〜315の各々が接触端子C1(VCC)、C2(RST)、C3 (CLK)、C7(I/O)の各々を選択した状態が維持されるので、接触式でのデータ交換が行われている間、若しくは、接触式で駆動されている間に、並列同調回路301の受信アンテナコイル301aに何らかの電波を受けたとしても、無線コンビカード300は誤動作することなく、接触式での駆動若しくは、接触式でのデータ交換が確保される。
【0095】
一方、非接触式インターフェイス400により起動される場合、スイッチ(SW1)309は通常ON(接続)状態となっているので、並列同調回路301の受信アンテナコイル301aにより電波を受信し(ST201)、上述した電源生成部302、クロック生成回路(クロック生成手段)307、復調回路(復調手段)303、変調回路(変調手段)304、リセット信号生成回路が動作する(ST202)。
【0096】
電源生成部302から電圧が印可されると、選択回路(sel)320は、選択信号「0」を出力する(ST202)。
【0097】
スイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312〜315の各々は初期状態では電源生成部302、クロック生成回路(クロック生成手段)307、復調回路(復調手段)303、変調回路(変調手段)304、リセッ卜信号生成回路308の各々を選択して接続しており、選択信号「0」は各スイッチスイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312〜315の状態を変化させない。
【0098】
その後、クロック生成回路(クロック生成手段)307、リセット信号生成回路308から各々クロック信号、リセット信号が供給されることにより、CPU405は初期化動作を開始する(ST102)。
【0099】
この初期化動作時において、CPU405は入力端子A,Bの状態を確認し、無線コンビカード300が、CPU405において接触式インターフェイス401により起動されているのか、非接触式インターフェイス400により起動されているのかを判別する(ST103)。
【0100】
この場合、非接触式インターフェイス400により起動されており、CPU405は入力端子A,Bの状態をRAM409の所定エリアに(1,0)として記憶する(ST103)。
【0101】
次に、CPU405はRAM409に格納されている情報により、カード300が接触式インターフェイス401により起動されているのか、非接触式インターフェイス400により起動されているのかを判別する(ST105,ST107)。
【0102】
非接触式インターフェイス400により起動され、RAM409の所定エリアのパターンが(1,0)であることが判別されると(ST106)、CPU405は選択回路(sel)320及びスイッチ(SW1)309に対して選択信号「0」を出力する(ST108)。
【0103】
この選択信号「0」は各スイッチを初期状態に保持する。
【0104】
その後、スイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312〜315の各々は電源生成部302、クロック生成回路(クロック生成手段)307、復調回路(復調手段)303、変調回路(変調手段)304、リセット信号生成回路308の各々を選択して接続しており、それぞれ非接触インターフェイス400が接続された状態となっている。
【0105】
以上のステップST102乃至ステップST108によりCPU405による初期化動作が完了する。
【0106】
なお、初期化動作としては、他にもROM406,RAM409,EEPROM407等のハードウェアチェック等が行われている。
【0107】
初期化動作が完了すると、カード300は外部とのデータの送受信が可能となる。
【0108】
接触式インターフェイス401によりカード300を駆動している場合、外部装置(リーダライタ)は接触端子C3にクロックの供給を開始してから、4万クロックが経過した後に、接触端子C2に印可しているリセット信号を解除するようになっている。
【0109】
また、リセット信号生成回路308も同様に、クロック生成回路307によるクロックの供給が開始されてから、所定数のクロックが経過した後に、リセット信号を解除するようになっている。
【0110】
そして、CPU405は、接触端子C2に印可されているリセット信号が解除されるか、リセット信号生成回路308からのリセット信号が解除されると、接触式インターフェイス401、非接触式インターフェイス400のうち選択されている一方を介して初期応答信号(ATR)を外部装置(リーダライタ)に出力する。
【0111】
外部装置(リーダライタ)はカード300より初期応答信号(ATR)を受信すると、カード300とのコマンドの送受信が可能となり、カード300に対してコマンドの送信を行う。
【0112】
カード300は接触式インターフェイス401、非接触式インターフェイス400のうち、現在、選択されている一方を介してコマンドを受信する(ST110)。
【0113】
コマンドを受信すると、CPU405は入力端子A,Bの状態を判別し、RAM409に格納されているパターン(初期状態)と比較する(ST111)。
【0114】
入力端子A,Bの状態とRAM409に格納されているパターン(初期状態)とが同一であることが確認されると(ST112)、CPU405は受信したコマンドを実行し、その処理結果を外部に出力する(ST113)。
【0115】
そして、以後、同様に外部装置との間でのコマンドおよびデータの送受信が行われる。
【0116】
外部からの不正な試みや異常が発生していない場合には、入力端子A,Bの状態とRAM409に格納されているパターン(初期状態)とは同一でなければならず、ステップ112において、入力端子A,Bの状態とRAM409に格納されているパターン(初期状態)とが同一でないことが確認されるとCPU405はエラー出力を行って動作を停止する(ST114)。
【0117】
なお、並列同調回路301の受信アンテナコイル301aを通して受信された信号は、復調回路(復調手段)303でデジタル信号に変換されると共に、UART(I/O)408を通してCPU405に取り込まれて適宜信号処理された後、必要に応じてRAM409等に記憶される。
【0118】
また、端末側に送信すべき信号は、UART(I/O)408から変調回路304へ出力され、クロック生成回路307の出力を変調して並列同調回路301のアンテナコイルを通して送信される。
【0119】
こうして、非接触式でのデータ交換が行われる。
【0120】
この実施の形態においては、CPU405は初期化時に、入力端子A,Bの状態を確認し、無線コンビカード300が、CPU405において接触式インターフェイス401により起動されているのか、非接触式インターフェイス400により起動されているのかを判別し、その結果をRAM409に保持するようにしている。
【0121】
そして、端末機器との情報交換中に入力端子A,Bの状態を監視し、RAM409に保持しているパターンと比較することにより、状態が変化したか否かを判別することができる。
【0122】
CPU405は、入力端子A,Bの状態を監視し、RAM409に保持しているパターンと同一の場合には正常状態であり問題なしとするが、入力端子A,Bの状態とRAM409に保持しているパターンとが異なる場合には何らかの異常状態が発生していることが予想されるため、端末機器に対してはエラーレスポンスを出力して、CPU405の動作を停止状態とすることができる。
【0123】
なお、スイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312〜315の各々を初期状態において接触端子C1(VCC)、C2(RST)、C3(CLK)、C7(I/O)の各々を選択した状態とする場合には、図5に示すように選択回路(sel)320の出力信号を反転したものを選択信号として用いることにより、同様の動作を行うことができる。
【0124】
したがって、以上のような第1の実施の形態によれば、接触式インターフェイス401を介して駆動されている間、非接触式インターフェイス400の動作を動作禁止状態とする禁止手段を有するので、接触式インターフェイス401を介して情報交換されている間に周囲で電波が放射されても誤動作しない。
【0125】
また、以上のような第1の実施の形態によれば、非接触式インターフェイス400と並列同調回路301のアンテナコイル301aとの導通を遮断する手段により構成されているので、接触式インターフェイス401を介して情報交換されている間に周囲で電波が放射されても受信することなく、誤動作しない。
【0126】
また、以上のような第1の実施の形態によれば、マイクロプロセッサ310の非接触式インターフェイス400は並列同調回路301の出力により動作する電源生成部302、クロック生成回路(クロック生成手段)307、復調回路(復調手段)303、変調回路(変調手段)304、リセット信号生成回路308を有し、非接触式インターフェイス400と並列同調回路301の導通をON/OFFするスイッチ309を有し、接触式インターフェイス401を介してVcc電圧が印可されている場合には、このスイッチ309をOFFとするように構成されているので、接触式インターフェイスを介して情報交換されている間に、周囲で電波が放射されても、非接触式インターフェイス400は全く動作せず、誤動作しない。
【0127】
(第2の実施の形態)
次に、この発明の第2の実施の形態について図6を参照して説明する。
【0128】
第2の実施の形態においては、上述した図1、図2の構成は同一であり、無線コンビカード300内の構成が図3のものと一部異なっており、同一部分については説明を省略する。
【0129】
無線コンビカード300内には、非接触式インターフェイス400とアンテナコイル(並列同調回路301)との導通をON/OFFするスイッチ(SW1)309aが設けられている。
【0130】
このスイッチ(SW1)309aは、通常0N(接続)状態となっているが、接触式インターフェイス401の接触端子C1からVCC(通常5V))端子へVcc電圧が印可されている場合には、このスイッチ(SW1)309aをOFFとするように構成されている。
【0131】
そして、さらに、第2の実施の形態においては、スイッチ(SW1)309aの他に、非接触式インターフェイス400の電源生成部302、クロック生成回路(クロック生成手段)307、復調回路(復調手段)303、変調回路(変調手段)304、リセット信号生成回路308の各々に対応してスイッチ(SW10,SW8,SW7,SW6,SW9)320a,318a,317a,316a,319aが設けられている。
【0132】
これらのスイッチ(SW6,SW7,SW8,SW9,SW10)316a〜320aは、通常0N(接続)状態となっているが、接触式インターフェイス401の接触端子C1からVCC(通常5V)端子へVcc電圧が印加されている場合には、これらのスイッチ(SW6,SW7,SW8,SW9,SW10)316a〜320aをOFFとするように構成されている。
【0133】
そして、これらのスイッチ(SW6,SW7,SW8,SW9,SW10)316a〜320aは、非接触式インターフェイス400を介しての信号の入出力を禁止するものである。
【0134】
つまり、これらのスイッチ(SW6,SW7,SW8,SW9,SW10)316a〜320aを設けることにより、接触式でのデータ交換が行われている間、若しくは、接触式で駆動されている間に非接触式インターフェイス400を介しての信号の入出力を完全に禁止し、誤動作を防ぐことができる。
【0135】
さらに、第2の実施の形態においては、接触式インターフェイス401の接触端子C1(VCC)、C2(RST)、C3(CLK)、C7(I/O)の各々に対応してスイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312a〜315aが設けられている。
【0136】
これらのスイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312a〜315aは、通常ON(接続)状熊となっているが、非接触式インターフェイス400の電源生成部302からVcc電圧が印加されている場合には、これらのスイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312a〜315aをOFFとするように構成されている。
【0137】
これらのスイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312a〜315aは、接触式インターフェイス(接触端子)401を介しての信号の入出力を禁止するものである。
【0138】
つまり、これらのスイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5)312a〜315aを設けることにより、非接触式でのデータ交換が行われている間、若しくは、非接触式で駆動されている間に接触式インターフェイス401を介しての信号の入出力を完全に禁止し、誤動作を防ぐことができる。
【0139】
したがって、以上のような第2の実施の形態によれば、接触式インターフェイス401を介して駆動されている間、非接触式インターフェイス400の動作を禁止状態とする動作禁止手段を備えているので、接触式インターフェイス401を介して情報交換されている間に、周囲で電波が放射されても誤動作しない。
【0140】
また、以上のような実施の形態によれば、接触式インターフェイス401を介して駆動されている間、非接触式インターフェイス401とアンテナコイル(並列同調回路)との導通を遮断する手段を備えて構成されているので、接触式インターフェイス401を介して情報交換されている間に、周囲で電波が放射されても受信することなく、誤動作しない。
【0141】
また、以上のような実施の形態によれば、マイクロプロセッサの非接触式インターフェイス400は並列同調回路301の出力により動作する電源生成部302、クロック生成回路(クロック生成手段)307、復調回路(復調手段)303、変調回路(変調手段)304、リセット信号生成回路308を有し、非接触式インターフェイス400と並列同調回路301との導通をON/OFFするスイッチを有し、接触式インターフェイス401を介してVcc電圧が印可されている場合には、このスイッチをOFFとするように構成されているので、接触式インターフェイス401を介して情報交換されている間に、周囲で電波が放射されても、非接触式インターフェイス400は全く動作せず、誤動作しない。
【0142】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】この発明による複合ICカードとして適用されるデータ記憶媒体としての無線コンビネーションカード(無線コンビカード)を用いた無線カードシステムの構成を示すブロック図。
【図2】無線コンビカードが外部機器と接触して応答するための電気的接点機構となる外表面に露出して設けられている8個の電気接点C1〜C8と、カード内に埋め込まれている1チップマイクロプロセッサ310を示す図。
【図3】この発明の第1の実施の形態として適用される無線コンビカード300のカード内に埋め込まれた1チップマイクロプロセッサ310の構成を示すブロック図。
【図4】この発明による複合ICカードとして適用されるデータ記憶媒体としての無線コンビネーションカード(無線コンビカード)を用いた無線カードシステムの動作を説明するためのフローチャート。
【図5】この発明の第1の実施の形態の変形例として適用される無線コンビカード300のカード内に埋め込まれた1チップマイクロプロセッサ310の構成を示すブロック図。
【図6】この発明の第2の実施の形態として適用される無線コンビカード300のカード内に埋め込まれた1チップマイクロプロセッサ310の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0144】
200…無線カードリーダ・ライタ、300…無線コンビネーションカード(無線コンビカード、複合ICカード)、207…制御部、204…変調回路、203…送信用のドライバ、201…送信アンテナ、202…受信アンテナ、205…受信用の増幅器、206…復調回路、209…操作部、208…表示部、210…電源部、211…インターフェイス、301…並列同調回路(受信手段)、301a…ループ状アンテナコイル、301b…同調コンデンサ、302…電源生成部(電源生成手段)、303…復調回路(復調手段)、305…制御ロジック回路(CPU)、304…変調回路(変調手段)、306…不揮発性メモリ、307…クロック生成回路(クロック生成手段)、C1〜C8…電気接点、310…1チップマイクロプロセッサ、320…選択回路(sel)、402…暗号回路、405…CPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)、406…ROM、407…データメモリ、408…インターフェイス回路、409…RAM、400…非接触インターフェイス回路、309…スイッチ(SW、禁止手段)、401…接触式インターフェイス、309a…スイッチ(SW1、禁止手段)、312〜315,312a〜315a…スイッチ(SW2,SW3,SW4,SW5、禁止手段)、316a〜320a…スイッチ(SW6,SW7,SW8,SW9,SW10、禁止手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを介して受信した信号により駆動電力を生成して動作する非接触式インターフェイスと、接触式で駆動電力の供給及び信号の授受を行なう接触式インタ一フェイスとを有し、前記接触式インターフェイスまたは前記非接触式インターフェイスにより駆動される複合ICカードにおいて、
前記接触式インターフェイスから電圧が印加されているとき、前記非接触式インターフェイスを介しての信号の入出力を禁止するとともに、前記非接触式インターフェイスから電圧が印加されているとき、前記接触式インターフェイスを介しての信号の入出力を禁止する禁止手段を具備することを特徴とする複合ICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−80850(P2009−80850A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332607(P2008−332607)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【分割の表示】特願2005−365255(P2005−365255)の分割
【原出願日】平成10年3月24日(1998.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】