説明

複層塗膜形成方法

【課題】本発明により、従来の化成液および電着塗料による前処理工程およびカチオン電着塗装工程と比較して、極少量の前処理皮膜と電着塗膜を順次形成させる複層塗膜形成方法を提供することで、従来工程と同等以上の優れた塗膜密着性と耐食性を発現させることによって、経済性と環境保全性の高い新規な下地防錆方法を提供する。
【解決手段】本発明は、(A)希土類金属の硝酸塩を含む水溶液に未処理の金属基材を浸漬し、陰極電解により希土類金属化合物からなる析出量1〜100mg/mの処理皮膜を形成する前処理工程、および(B)希土類金属の有機酸または無機酸塩を含む電着塗料を陰極電着塗装する工程、を包含する複層塗膜形成方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属素材、とりわけ未処理冷延鋼板に適合する塗装下地処理(前処理)工程および陰極電着塗装工程からなる複層塗膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体は、冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板等の金属素材を成形物とした後、塗装し、組み立て等を行うことにより製品化されている。このような金属成形物は、まず下地電着塗膜に対する密着性等を付与するために、従来、塗装工程において、リン酸亜鉛化成処理等の防錆処理が行われていた。
【0003】
また電着塗料は、耐食性、つきまわり性に優れており、均一な塗膜を形成させることができるため、自動車車体、部品用プライマーを中心に広く使用されている。ただし、従来のカチオン電着塗料は、リン酸亜鉛などの前処理が完全になされている素材に対しては、十分な耐食性を発現することができるものの、前処理が不充分な素材に対しては、耐食性の確保が困難であった。
【0004】
特に、従来のリン酸亜鉛処理においては、充分な下地防錆効果を得るには、単位面積あたりの析出量を多く必要とするために不経済であり、さらにスラッジが多く析出することから環境保全に悪影響を与えるなど実用上の課題があった。
【0005】
更に、電着塗料としては、前処理が不充分な素材に対しても、耐食性を確保することができる塗料を設計し、かつ適切な前処理方法との組み合わせによって、環境保全に配慮し、かつ経済的な最適下地防錆システムを構成する必要性がある。
【0006】
そこで特許文献1および2には、イットリウム(Y)イオン、ネオジム(Nd)イオン、サマリウム(Sm)イオンおよびプラセオジム(Pr)イオンからなる群より選択される少なくとも1種の希土類金属イオン、硫酸イオン、および亜鉛イオンをそれぞれ0.05g/L以上含む水溶液中にて被処理金属を陰極として電解してなる金属素材の塗装下地処理に適用する有効な前処理方法が提供されている。
【0007】
また、特許文献3には、カチオン基を有する親水性フィルム形成性樹脂および硬化剤を、中和剤を含む水性媒体中に分散してなる陰極電着塗料組成物において、塗料固形分を基準にして、アルミニウム塩、カルシウム塩および亜鉛塩より選ばれた少なくとも1種のリンモリブデン酸塩を0.1〜20重量%、およびセリウム化合物を金属として0.01〜2.0重量%含むことを特徴とする陰極電着塗料組成物が提供されており、表面未処理冷延鋼板に対する耐食性を改良可能ならしめたものである。
【0008】
しかしながら、上記特許文献においては、それぞれに記載された前処理方法および電着塗料による塗装方法の組み合わせにおいても、達成レベルとしては、リン酸塩による従来化成処理と同等以上の下地密着性を発現させ、かつ電着塗装後における実用的な耐食性、とりわけ自動車用途の下地防錆性能を充分に発現する程には至らなかった。
【特許文献1】特開平9‐249990号公報
【特許文献2】特開2000‐64090号公報
【特許文献3】特開平8−536637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の現状に鑑み、従来の化成液および電着塗料による前処理工程およびカチオン電着塗装工程と比較して、極少量の前処理皮膜と電着塗膜を順次形成させる複層塗膜形成方法を提供することで、従来工程と同等以上の優れた塗膜密着性と耐食性を発現させることによって、経済性と環境保全性の高い新規な下地防錆方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、(A)希土類金属の硝酸塩を含む水溶液に未処理の金属基材を浸漬し、陰極電解により希土類金属化合物からなる析出量1〜100mg/mの処理皮膜を形成する前処理工程、および(B)希土類金属の有機酸あるいは無機酸塩を含む電着塗料を陰極電着塗装する工程を包含する複層塗膜形成方法である。
【0011】
上記前処理工程では、通常、浴温15〜35℃に調整した上で、負荷電圧1〜20V、好ましくは1〜10Vで陰極電解を実施すれば、主に(A)希土類金属化合物の硝酸塩を含む水溶液からの前処理皮膜を、析出量1〜100mg/mにて上記金属基材上に極めて優先的に析出させることが可能であることを見出した。
【0012】
その際に、負荷電圧が1V未満では、上記複合金属水酸化物の析出が不充分となり、また負荷電圧が20Vを超えると、上記複合金属水酸化物の析出よりも、むしろ水の電気分解による水素ガスの発生が顕著化するので、前処理皮膜形成の目的に反するために好ましくない。
【0013】
通電時間は10〜300秒、好ましくは30〜180秒である。処理時間が10秒より短すぎる場合は皮膜生成しないか、生成しても厚みが不足しているため耐食性が劣る。処理時間が300秒より長すぎる場合は時として無光沢のヤケあるいはコゲと呼ばれる外観不良が発生する。また、過剰の処理時間は生産性を極端に低下させるので好ましくない。
【0014】
本発明の塗膜形成方法が適用される未処理の金属素材としては、例えば、冷延鋼板、高強度鋼、高張力鋼、鋳鉄、亜鉛および亜鉛メッキ鋼、アルミニウムおよびアルミニウム合金等が挙げられるが、特に防錆効果が顕著に見られる素材は、冷延鋼板である。
【0015】
(A)希土類金属化合物の硝酸塩を含む水溶液に未処理の金属基材を浸漬し、陰極電解により希土類金属化合物からなる析出量を1〜100mg/m、好ましくは5〜50mg/mにすることによって、特異的に高い防錆皮膜を形成することができる。上記析出量が1mg/m未満においては、形成皮膜による下地密着性が低下するために、必要な防錆性が発現しない。逆に、上記析出量が100mg/mを超えると、皮膜の表面平滑性が損なわれるので、電着塗膜形成後の外観が低下する場合があるので好ましくない。
【0016】
また上記電着塗装工程としては、主に陰極電着塗装を実施する場合、上記電着塗料組成物の浴温を15〜35℃に維持しつつ、負荷電圧を50〜450V、好ましくは100〜400Vに設定することで、主に(B)希土類金属の有機酸あるいは無機酸塩からの析出物、塗料ビヒクルであるカチオン基を有する基体樹脂、硬化剤および顔料を優先的に析出させる。上記負荷電圧が50V未満では、上記電着塗料のビヒクル成分の析出性が不足し、また負荷電圧が450Vを超えると、上記ビヒクル成分が適正量を超えて析出する結果、実用に耐えない膜外観を呈する恐れがあるので好ましくない。
【0017】
通電時間は30〜300秒、好ましくは30〜180秒である。処理時間が30秒より短すぎる場合は、電着塗膜が生成しないか、生成しても厚みが不足しているために耐食性が劣る。また300秒を超える過剰の処理時間は生産性を極端に低下させるために好ましくない。
【0018】
本発明の前処理工程によって、前処理皮膜が得られる機構は以下のように考えられる。上記電解条件によって、陰極の金属表面では溶存酸素や水素イオン、水等の浴中化学種が還元を受け、水酸化物イオン(OH)が生成する。この被処理金属表面で生成した水酸化物イオンが、まず上記金属表面近傍の希土類金属イオンと反応することで、希土類金属の水酸化物の沈殿が生成し、皮膜として金属表面に析出する。
【0019】
ただし、(A)希土類金属の硝酸塩を含む水溶液に未処理の金属基材を浸漬し、希土類金属の硝酸塩の陰極電解により生成してなる皮膜は結晶性を有しているが、本工程単独では目標とする従来の化成処理レベルの密着性および電着塗装後の防錆性レベルには到達しない。
【0020】
本発明においては、次の電着塗装工程によって、電着塗料より(B)希土類金属の有機酸あるいは無機酸塩から生成する希土類金属イオンは、樹脂ビヒクル成分や顔料より析出性が高いために優先的に前処理を施した基材上に析出する結果、上記結晶性皮膜の隙間を埋めた上で、複合化した緻密な連続性化成皮膜が形成され、更にその上に電着塗膜により完成される複層塗膜が、目標とする従来化成処理レベルと同等以上の従来にはなかった優れた密着性および電着塗装後の防錆性を示すようになると推定される。
【0021】
上記のごとく本発明において、希土類金属化合物に由来する処理皮膜は、かかる前処理工程と電着工程の2段階にて複合形成されるように設計されていることに特長を有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の塗膜形成方法は、上述のように(A)希土類金属の硝酸塩を含む水溶液に未処理の金属基材を浸漬し、陰極電解により希土類金属化合物からなる析出量1〜100mg/mの処理皮膜を形成する前処理工程、および(B)希土類金属の有機酸あるいは無機酸塩を含む電着塗料を陰極電着塗装する工程を包含する複層塗膜形成方法であるので、従来の自動車下地防錆工程よりも処理剤量が極少で、スラッジ発生もなく画期的な前処理ができる。しかも電着塗料が化成処理機能の一部を有しているので、両工程の連続プロセス化により、従来の前処理/電着工程と同等以上の塗膜密着性および防錆性に優れた前処理皮膜と電着塗膜による複層塗膜を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(A)希土類金属の硝酸塩を含む水溶液に未処理の金属基材を浸漬し、陰極電解により希土類金属化合物からなる析出量1〜100mg/mの処理皮膜を形成する本発明の前処理工程において用いる上記水溶液を、「前処理剤水溶液」という。また、ここで未処理の金属基材とは、一般的には、脱脂工程、次いで表面調整工程そして化成処理工程とする前処理工程にあって脱脂工程直後の金属基材をいう。以下、本発明に用いる前処理剤水溶液について詳述する。本発明に用いる前処理剤水溶液は、希土類金属に換算して、0.05〜5重量%、好ましくは、0.1〜3重量%の希土類金属の硝酸塩を含んでいる。これら硝酸塩は水溶性もしくは水分散性であり、所定量を容易に純水に溶解もしくは分散して本発明の実施に供給することができる。0.05重量%未満では、充分な下地密着性に基づく耐食性が得られない場合があり、5重量%を超えると、前処理皮膜の平滑性が低下する結果、電着後の肌不良を招く場合がある。
【0024】
また(A)希土類金属の硝酸塩としては、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)およびプラセオジム(Pr)からなる群より選択される少なくとも1種の希土類金属を含む硝酸塩である。このうち特に好ましい希土類金属の硝酸塩としては、硝酸セリウム(Ce)および硝酸ネオジム(Nd)である。
【0025】
また前処理剤水溶液のpHは、4〜7、好ましくは4.5〜6.5の範囲内に調整する。上記pHが4未満であると、電解析出効率や皮膜外観が低下する。また上記pHが7を超えると、組成物中の希土類金属イオンの安定性が低下する傾向がある。pHの調整に用いる薬品は、pHが高い場合は硝酸などの無機酸、あるいは蟻酸、酢酸などの有機酸を、pHが低い場合はアミンなどの有機塩基、あるいはアンモニア、水酸化ナトリウムなどの無機塩基を添加すればよく、添加薬品を制限するものではない。
【0026】
本発明に用いる前処理剤水溶液の適正な液伝導度は1〜100mS/cmである。伝導度が1mS/cm未満では、前処理が不充分になる恐れがある。また100mS/cmを超えると、前処理皮膜の外観不良を招く恐れがあるので好ましくない。
【0027】
次に、本発明に用いる電着塗料について詳述する。本発明に用いる電着塗料は、(B)希土類金属の有機酸あるいは無機酸塩を含むものであって、さらに配合する主成分として、カチオン基を有する基体樹脂、硬化剤および顔料がある。まず(B)希土類金属の有機酸あるいは無機酸塩としては、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)およびプラセオジム(Pr)からなる群より選択される少なくとも1種の希土類金属を含み、かつ酢酸、蟻酸、乳酸、スルファミン酸あるいは次亜リン酸より選択される少なくとも1種を含む有機酸あるいは無機酸塩化合物である。その中でも特に好ましいものは、酢酸、蟻酸あるいはスルファミン酸による塩化合物である。
【0028】
好ましい(B)希土類金属の有機酸あるいは無機酸塩としては、酢酸セリウム、酢酸イットリウム、酢酸ネオジム、酢酸サマリウム、酢酸プラセオジム、蟻酸セリウム、蟻酸イットリウム、蟻酸ネオジム、蟻酸サマリウム、蟻酸プラセオジム、乳酸セリウム、乳酸ネオジム、スルファミン酸セリウム、スルファミン酸ネオジム、スルファミン酸イットリウム、スルファミン酸サマリウム、スルファミン酸プラセオジム、次亜リン酸セリウム、次亜リン酸ネオジム、次亜リン酸イットリウム、次亜リン酸サマリウム、次亜リン酸プラセオジムなどを挙げることができる。これらの内、特に好ましい希土類金属としては、セリウム(Ce)およびネオジム(Nd)である。
【0029】
本発明における(B)水溶性の希土類金属塩を含む電着塗料は、希土類金属に換算して、塗料に対して0.005〜2重量%、好ましくは0.01〜1重量%の希土類金属化合物を含んでいる。(B)希土類金属の有機酸あるいは無機酸塩の塗料中における含有量が0.005重量%未満では、充分な下地密着性に基づく耐食性が得られない場合があり、2重量%を超えると、電着塗料組成物成分の分散安定性や電着塗膜の平滑性および耐水性が低下する場合がある。
【0030】
上記(B)希土類金属の有機酸あるいは無機酸塩の電着塗料用組成物への導入方法は、特に制限されるものではなく、通常の顔料分散法と同様にして行うことができ、例えば、分散用樹脂中に予め希土類金属化合物を分散させて分散ペーストを作製し、それを配合することができる。あるいは、塗料用樹脂エマルション作製後、または塗料作製後にそのまま分散あるいは溶解して配合することができる。なお、顔料分散用樹脂としては、カチオン電着塗料用の一般的なもの(エポキシ系スルホニウム塩型樹脂、エポキシ系4級アンモニウム塩型樹脂、エポキシ系3級アミン型樹脂、アクリル系4級アンモニウム塩型樹脂など)が用いられる。
【0031】
本発明の電着塗料組成物に用いられるカチオン基を有する基体樹脂は、樹脂骨格中のオキシラン環に対して有機アミン化合物で変性して得られるカチオン変性エポキシ樹脂である。一般にカチオン変性エポキシ樹脂は、出発原料樹脂分子内のオキシラン環を1級アミン、2級アミンあるいは3級アミン酸塩等のアミン類との反応によって開環して製造される。出発原料樹脂の典型例は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の多環式フェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂である。また他の出発原料樹脂の例として、特開平5‐306327号公報に記載されたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を挙げることができる。このエポキシ樹脂は、ジイソシアネート化合物、またはジイソシアネート化合物のNCO基をメタノール、エタノール等の低級アルコールでブロックして得られたビスウレタン化合物と、エピクロルヒドリンとの反応によって得られるものである。
【0032】
上記出発原料樹脂は、アミン類によるオキシラン環の開環反応の前に、2官能のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ビスフェノール類、2塩基性カルボン酸等により鎖延長して用いることができる。
【0033】
また同じくアミン類によるエポキシ環の開環反応の前に、分子量またはアミン当量の調節、熱フロー性の改良等を目的として、一部のエポキシ環に対して2‐エチルヘキサノール、ノニルフェノール、エチレングリコールモノ‐2‐エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ‐2‐エチルヘキシルエーテルのようなモノヒドロキシ化合物を付加して用いることもできる。
【0034】
オキシラン環を開環し、アミノ基を導入する際に使用し得るアミン類の例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N‐メチルエタノールアミン、トリエチルアミン酸塩、N,N‐ジメチルエタノールアミン酸塩などの1級、2級または3級アミン酸塩を挙げることができる。また、アミノエチルエタノールアミンメチルイソブチルケチミンの様なケチミンブロック1級アミノ基含有2級アミンも使用することができる。これらのアミン類は、全てのオキシラン環を開環させるために、オキシラン環に対して少なくとも当量で反応させる必要がある。
【0035】
上記カチオン変性エポキシ樹脂の数平均分子量は1,500〜5,000、好ましくは1,600〜3,000の範囲である。数平均分子量が1,500未満の場合は、硬化形成塗膜の耐溶剤性および耐食性等の物性が劣ることがある。反対に5,000を超える場合は、樹脂溶液の粘度制御が難しく合成が困難なばかりか、得られた樹脂の乳化分散等の操作上ハンドリングが困難となることがある。さらに高粘度であるがゆえに加熱、硬化時のフロー性が悪く塗膜外観を著しく損ねる場合がある。
【0036】
上記カチオン変性エポキシ樹脂は、ヒドロキシル価が50〜250の範囲となるように分子設計することが好ましい。ヒドロキシル価が50未満では塗腹の硬化不良を招き、反対に250を超えると硬化後塗膜中に過剰の水酸基が残存する結果、耐水性が低下することがある。
【0037】
また、上記カチオン変性エポキシ樹脂は、アミン価が40〜150の範囲となるように分子設計することが好ましい。アミン価が40未満では前記酸中和による水媒体中での乳化分散不良を招き、反対に150を超えると硬化後塗膜中に過剰のアミノ基が残存する結果、耐水性が低下することがある。
【0038】
本発明における電着塗料用途の硬化剤としては、加熱時に各樹脂成分を硬化させることが可能であれば、どのような種類のものでもよいが、その中でも電着塗料用途の硬化剤として好適なブロックポリイソシアネートが推奨される。上記ブロックポリイソシアネートの原料であるポリイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(3量体を含む)、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイシシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’‐メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環族ポリイソシアネート、4,4’‐ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。これらを適当な封止剤でブロック化することにより、上記ブロックポリイソシアネートを得ることができる。
【0039】
上記封止剤の例としては、n‐ブタノール、n‐ヘキシルアルコール、2‐エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、フェノールカルビノール、メチルフェニルカルビノール等の一価のアルキル(または芳香族)アルコール類;エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2‐エチルヘキシルエーテル等のセロソルブ類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールフェノール等のポリエーテル型両末端ジオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオール等のジオール類とシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸等のジカルボン酸類から得られるポリエステル型両末端ポリオール;パラ‐t‐ブチルフェノール、クレゾール等のフェノール類;ジメチルケトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、メチルアミルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、およびε‐カプロラクタム、γ‐ブチロラクタムに代表されるラクタム類が好ましく用いられる。
【0040】
上記ブロックポリイソシアネートは、封止剤の単独あるいは複数種の使用によってあらかじめブロック化しておくことが望まれる。ブロック化率については、前記の各樹脂成分と変性反応する目的がなければ、塗料の貯蔵安定性確保のためにも100%にしておくことが好ましい。
【0041】
上記ブロックポリイソシアネートの前記カチオン基を有する基体樹脂に対する配合比は、硬化塗膜の利用目的などで必要とされる架橋度に応じて異なるが、塗膜物性や中塗り塗装適合性を考慮すると固形分量として、15〜40重量%の範囲が好ましい。この配合比が15重量%未満では塗膜硬化不良を招く結果、機械的強度などの塗膜物性が低くなることがあり、また、中塗り塗装時に塗料シンナーによって塗膜が侵されるなど外観不良を招く場合がある。一方、40重量%を超えると、逆に硬化過剰となって、耐衝撃性等の塗膜物性不良などを招くことがある。なお、ブロックポリイソシアネートは、塗膜物性、硬化度および硬化温度の調節等の都合により、複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0042】
カチオン基を有する前記基体樹脂は、上記樹脂中のアミノ基を適当量の塩酸、硝酸、次亜リン酸等の無機酸、または蟻酸、酢酸、乳酸、スルファミン酸、アセチルグリシン酸等の有機酸で中和処理し、カチオン化エマルションとして水中に乳化分散させることによって調製される。また乳化分散する際には、通常、硬化剤をコアとし、基体樹脂をシェル(殼)として含むエマルション粒子を形成させる。
【0043】
本発明の塗装方法において用いられる電着塗料組成物においては、さらに顔料を配合してもよい。顔料としては、通常、塗料に使用されるものならば特に制限なく使用することができる。その例としては、カーボンブラック、二酸化チタン、グラファイト等の着色顔料、カオリン、珪酸アルミ(クレー)、タルク、炭酸カルシウム、また無機コロイド(シリカゾル、アルミナゾル、チタンゾル、ジルコニアゾルなど)等の体質顔料、リン酸系顔料(リンモリブデン酸アルミニウム、(ポリ)リン酸亜鉛、リン酸カルシウムなど)やモリブデン酸系顔料(リンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸亜鉛など)等の重金属フリー型防錆顔料が挙げられる。
【0044】
これらの中でも、本発明の電着塗料組成物に使用する顔料としてとくに重要なものは、二酸化チタン、カーボンブラック、珪酸アルミ(クレー)、シリカ、リンモリブデン酸アルミ、ポリリン酸亜鉛である。とくに二酸化チタン、カーボンブラックは着色顔料として隠蔽性が高く、しかも安価であることから、電着塗膜用に最適である。
【0045】
なお、上記顔料は単独で使用することもできるが、目的に合わせて複数種を使用するのが一般的である。
【0046】
前記電着塗料組成物中に含有される前記顔料(P)および樹脂固形分(V)の合計重量(P+V)に対する前記顔料の重量比{P/(P+V)}(以後、PWCと称する)が、5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。上記重量比が5重量%未満では、顔料不足により塗膜に対する水、酸素などの腐食要因の遮断性が過度に低下し、実用レベルでの耐食性を発現できないことがある。ただし、そのような不都合を生じない場合は、顔料濃度を極力ゼロとし、クリア、もしくはクリアに近い電着塗料組成物をなして本発明に給してもかまわない。また、上記重量比が30重量%を超えると、顔料過多により硬化時の粘性増大を招き、フロー性が低下して塗膜外観が著しく悪くなることがあるので注意を要する。ただし、上記樹脂固形分(V)とは、水性塗料の主樹脂である前記基体樹脂、および硬化剤の他、顔料分散樹脂をも含めた電着塗膜を構成する全樹脂バインダーの合計固形分量を示す。
【0047】
上記電着塗料組成物は、全固形分濃度が5〜40重量%、好ましくは10〜25重量%の範囲となるように調整する。全固形分濃度の調節には水性媒体(水単独かまたは水と親水性有機溶剤との混合物)を用いる。
【0048】
更に塗料組成物中には少量の添加剤を導入してもよい。添加剤の例としては紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、塗膜表面平滑剤、硬化触媒(ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジベンゾエートあるいはジオクチル錫ジベンゾエートなどの有機スズ化合物)、硬化促進剤(酢酸亜鉛)などを挙げることができる。
【0049】
上記の電着塗装後には、120〜200℃、好ましくは140〜180℃にて硬化反応を行うことによって、高い架橋度の電着硬化塗膜を得ることができる。ただし、200℃を超えると、塗膜が過度に堅く、かつ脆くなり、一方120℃未満では硬化が充分でなく、耐溶剤性や膜強度等の膜物性が低くなるので好ましくない。
【実施例】
【0050】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0051】
製造例1(前処理剤水溶液の製造例)
撹拌機、冷却管および温度計を備え付けた反応容器に所定量の希土類金属の炭酸塩または水酸化物をイオン交換水に分散させたのち、加熱、撹拌しながら金属塩の対イオンとなる硝酸や酢酸などの酸を添加して溶解させ、金属イオン濃度=5%の希土類金属塩水溶液を調製した。得られた上記溶液をアンモニア水溶液ないしは水酸化ナトリウム水溶液にて溶液pHを4〜7に調整した後、イオン交換水にて所定濃度に希釈することにより前処理剤水溶液とした。なお、試験に適用した前処理剤水溶液、塩化合物の酸種および処理液の伝導度については表2〜6中に示した。
【0052】
製造例2(カチオン基を有する基体樹脂の製造)
撹拌機、デカンター、窒素導入管、温度計および滴下ロートを備え付けた反応容器に、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名DER‐331J、ダウケミカル社製)2400部とメタノール141部、メチルイソブチルケトン168部、ジラウリン酸ジブチル錫0.5部を仕込み、40℃で撹拌し均一に溶解させた後、2,4‐/2,6‐トリレンジイソシアネート(80/20重量比混合物)320部を30分間かけて滴下したところ発熱し、70℃まで上昇した。これにN,N‐ジメチルベンジルアミン5部を加え、系内の温度を120℃まで昇温し、メタノールを留去しながらエポキシ当量が500になるまで120℃で3時間反応を続けた。さらに、メチルイソブチルケトン644部、ビスフェノールA341部、2‐エチルヘキサン酸413部を加え、系内の温度を120℃に保持し、エポキシ当量が1070になるまで反応させた後、系内の温度が110℃になるまで冷却した。ついでジエチレントリアミンジケチミン(固形分73%のメチルイソブチルケトン溶液)241部とN‐メチルエタノールアミン192部の混合物を添加し110℃で1時間反応させることによりカチオン変性エポキシ樹脂を得た。この樹脂の数平均分子量は2100、アミン価=74、水酸基価は160であった。また赤外吸収スペクトル等の測定から、樹脂中にオキサゾリドン環(吸収波数;1750cm−1)を有していることが確認された。
【0053】
製造例3(電着塗料用硬化剤の製造)
撹拌機、窒素導入管、冷却管および温度計を備え付けた反応容器にイソホロンジイソシアネート222部を入れ、メチルイソブチルケトン56部で希釈した後ブチル錫ラウレート0.2部を加え、50℃まで昇温の後、メチルエチルケトオキシム17部を内容物温度が70℃を超えないように加えた。そして赤外吸収スペクトルによりイソシアネート残基の吸収が実質上消滅するまで70℃で1時間保温し、その後n‐ブタノール43部で希釈することによって目的のブロックドイソシアネート硬化剤溶液(固形分70%)を得た。
【0054】
製造例4(顔料分散樹脂の製造)
撹拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器にエポキシ当量198のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名エポン829、シェル化学社製)710部、ビスフェノールA289.6部を仕込んで、窒素雰囲気下150〜160℃で1時間反応させ、ついで120℃まで冷却後、2‐エチルヘキサノール化ハーフブロック化トリレンジイソシアネートのメチルイソブチルケトン溶液(固形分95%)406.4部を加えた。反応混合物を110〜120℃で1時間保持した後、エチレングリコールモノn‐ブチルエーテル1584.1を加えた。そして85〜95℃に冷却して均一化させた。
【0055】
上記反応物の製造と平行して、別の反応容器に2‐エチルヘキサノール化ハーフブロック化トリレンジイソシアネートのメチルイソブチルケトン溶液(固形分95%)384部にジメチルエタノールアミン104.6部を加えたものを80℃で1時間撹拌し、ついで75%乳酸水141.1部を仕込み、さらにエチレングリコールモノn‐ブチルエーテル47.0部を混合、30分撹拌し、4級化剤(固形分85%)を製造しておいた。そしてこの4級化剤620.46部を先の反応物に加え酸価1になるまで混合物を85から95℃に保持し、顔料分散樹脂(平均分子量2200)の樹脂溶液(樹脂固形分56%)を得た。
【0056】
製造例5(電着塗料用顔料分散ペーストの製造)
サンドミルを用いて、製造例4で得られた顔料分散樹脂を含む以下の表1に示す配合を有する顔料ペースト(固形分59%)を40℃において、粒度5μm以下となるまで分散し調製した。
【0057】
【表1】

【0058】
製造例6(電着塗料組成物の製造)
製造例2で得た基体樹脂350g(固形分)と、製造例3で得た硬化剤150g(固形分)とを混合し、エチレングリコールモノ‐2‐エチルヘキシルエーテルを固形分に対して3%(15g)になるように添加した。次に氷酢酸を中和率40.5%になるように加えて中和し、イオン交換水を加えてゆっくり希釈し、次いで固形分が36%になるように減圧下でメチルイソブチルケトンを除去した。このようにして得られたエマルション2000gに、製造例4で得られた種々の顔料ペースト460.0g、イオン交換水2252g、樹脂固形分に対して1重量%のジブチル錫オキサイドを加えて混合し、固形分が20.0重量%の電着塗料を調製した。
【0059】
(B)希土類金属の有機酸あるいは無機酸塩は、直接に塗料へ加えた。以下の表2〜6に示す金属としての添加量(重量%)に調節することによって、各電着塗料組成物を建浴した。
【0060】
(実施例1〜12および比較例1〜5)
製造例1記載の方法にて調製した表2〜6に示す各前処理剤水溶液に、陰極として表面未処理冷延鋼板(JIS G3141、SPCC−SD)をサーフクリーナーSC−53(日本ペイント社製)で脱脂、水洗したのち、同表に示す条件により電解処理した。その後、電解処理済の基材を純水にて充分に水洗し、次いで製造例6で調製した表2〜6に示す各電着塗料を同表の塗装条件で、電着工程における電着塗膜の乾燥膜厚が20μになるように塗装した後、170℃×20分で硬化し、塗膜を得た。処理皮膜の析出量については、上記の電解処理をし、水洗したのちの乾燥させた処理板を蛍光X線測定により定量することにより求めた。
【0061】
(比較例6)
表面未処理冷延鋼板(JIS G3141、SPCC‐SD)をサーフクリーナーSC‐53(日本ペイント社製)で脱脂、水洗したのち、前処理工程を行わずに、表6に示す電着塗料および塗装条件を用いた以外は、実施例1〜12および比較例1〜5と同様にして乾燥膜厚が20μになるように電着塗装して電着塗膜を得た。
【0062】
(比較例7)
表面未処理冷延鋼板(JIS G3141、SPCC‐SD)をサーフダインSD‐5000(日本ペイント社製)で処理したリン酸亜鉛処理板を用いて、表6に示す電着塗料および塗装条件を用いた以外は、比較例6と同様にして乾燥膜厚が20μになるように電着塗装して電着塗膜を得た。
【0063】
得られた塗膜について、塗膜試験項目として塩水噴霧試験(SST:Salt Spray Test)による防錆性、電解はくり試験による密着性および塗膜外観を評価し、その結果を表2〜6に示した。試験方法は以下の通りとした。
【0064】
(試験方法)
(1)防錆性評価:塩水噴霧試験方法
硬化後の電着塗装板に対してクロスカットをおこない、塩水噴霧試験を1000時間行った後、テープはくりをおこないカット部からの片側最大はくり幅にて評価した。評価基準は以下の通りとした。
評価基準
◎:はくり幅3mm以下
○:はくり幅3mm〜4mm
△:はくり幅4mm〜6mm
×:はくり幅6mm以上
【0065】
(2)密着性評価:電解はくり試験
硬化後の電着塗装板に対してカットをおこない、0.1mAの電流値にて72時間電解後、テープはくりをおこない、その両側はくり幅にて密着性を評価した。評価基準は以下の通りとした。
評価基準
◎:はくり幅3mm以下
○:はくり幅3mm〜6mm
△:はくり幅6mm〜10mm
×:はくり幅10mm以上
(3)塗膜外観
目視にて異常の有無を判断した。評価基準は以下の通りとした。
評価基準
○:問題なし
×:肌荒れ等外観不良
【0066】
(試験結果)
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
【表6】

【0071】
表2〜6の結果から明らかなように、実施例1〜12の本発明の複層塗膜形成方法を用いて形成された塗膜は、塗膜試験項目としての塩水噴霧試験(SST)による防錆性、電解はくり試験による密着性および塗膜外観について、比較例7のリン酸亜鉛処理板と同レベルで、すべて優れていることがわかった。
【0072】
前処理工程での処理皮膜の析出量が小さい比較例1〜3の塗膜は、形成皮膜による下地密着性が低下するため、防錆性および密着性が非常に悪いものであった。
【0073】
前処理工程でセリウム(Ce)の硫酸塩を含む水溶液を用いた比較例4の塗膜は、硝酸塩でないため、前処理を行っていない未処理板と同様に、防錆性および密着性が非常に悪いものであった。
【0074】
電着塗料に希土類金属化合物を含有しない比較例5の塗膜は、形成皮膜による下地密着性が低下するため、防錆性および密着性が悪いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の複層塗膜形成方法は、金属素材、とりわけ未処理冷延鋼板に適合する塗装下地処理(前処理)工程および陰極電着塗装工程からなる複層塗膜形成方法として有用である。本発明の複層塗膜形成方法により得られる複層塗膜は、優れた下地密着性および耐食性(防錆性)を有し、自動車用途に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)希土類金属の硝酸塩を含む水溶液に未処理の金属基材を浸漬し、陰極電解により希土類金属化合物からなる析出量1〜100mg/mの処理皮膜を形成する前処理工程、および
(B)希土類金属の有機酸または無機酸塩を含む電着塗料を陰極電着塗装する工程
を包含する複層塗膜形成方法。
【請求項2】
前記(B)希土類金属の有機酸または無機酸塩が、酢酸、蟻酸、乳酸、スルファミン酸および次亜リン酸から成る群から選択される少なくとも1種を含む有機酸または無機酸塩化合物である請求項1記載の複層塗膜形成方法。
【請求項3】
前記(A)希土類金属の硝酸塩および(B)希土類金属の有機酸または無機酸塩が、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)およびプラセオジム(Pr)からなる群より選択される少なくとも1種の希土類金属を含む化合物である請求項1又は2記載の複層塗膜形成方法。
【請求項4】
前記(A)希土類金属の硝酸塩を含む水溶液が、希土類金属に換算して、0.05〜5重量%の希土類金属化合物を含み、かつ前処理条件として、該水溶液中において浸漬された未処理の金属基材を陰極として1〜20Vの電圧を印加し、通電時間が10〜300秒である請求項1〜3いずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
【請求項5】
前記(B)希土類金属の有機酸あるいは無機酸塩を含む電着塗料が、希土類金属に換算して、0.005〜2重量%の希土類金属化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。

【公開番号】特開2007−238999(P2007−238999A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61387(P2006−61387)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】