説明

複数のタップ対を有するパワーパックを採用する移動通信デバイス

【課題】電源電圧におけるリップルを低減するための複数のタップ対を有するパワーパックを採用する移動通信デバイスを提供すること。
【解決手段】移動通信デバイスであって、電力増幅器と、パワーパックであって、該パワーパックは、電荷格納部品と、該電荷格納部品の端子に接続される第1のタップ対であって、少なくとも該移動通信デバイスの音声回路に電力を供給する、第1のタップ対と、該電力増幅器に電力を供給する、該電荷格納部品の端子に接続される第2のタップ対であって、該第2のタップ対は、該電力が該移動通信デバイスに組み込まれる場合、該第1のタップ対よりも該電力増幅器に近接して配置される、第2のタップ対とを含むパワーパックとを備える、移動通信デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、移動通信デバイスのためのパワーパックに関し、より詳細には、複数のタップ対を有するパワーパックを採用する移動通信デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電荷格納部品を有する、パワーパック(バッテリのような)を有する電力分配ネットワークにおいて、電源電圧におけるリップルは、例えば、無線周波数電力増幅回路によるパルス状の高い引き出し電流に起因し得る。電力分配ネットワークに依存する他の部品へのリップルの伝播は、望まれない効果を生じる。音声回路に対しては、例えば、リップルは可聴のバズを生じ得る。さらに、電力増幅回路に対するパワーパックのある構成は、顕著な電磁干渉の生成を起こす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(概観)
移動通信デバイスのためのパワーパックは、電荷格納部品および、a)移動通信デバイスの部品およびb)電力増幅器へ電力を供給するための複数のタップ対を含む。電力を電力増幅器に供給する一対のタップは、他のタップ対よりも電源増幅器により近接して配置され得、それによって、単一対のタップのみを有するパワーパックに対して存在する電力増幅器電流ループよりも小さい電力増幅器の電流ループを可能にする。
【0004】
本願の1つの局面に従うと、移動通信デバイスが提供される。移動通信デバイスは、電力増幅器およびパワーパックを含む。パワーパックは、電荷格納部品、電荷格納部品の端子に接続された、電力を少なくとも移動通信デバイスの音声回路に供給するための第一のタップ対、および電荷格納部品の端子に接続された、電力を電力増幅器に供給するための第二のタップ対を含み、第二のタップ対は、電力が移動通信デバイスに組み込まれる場合、第一のタップ対よりも電力増幅器により近接して配置される。
【0005】
本発明の別の局面および特徴は、添付の図面と共に本発明の特定の実施形態の以下の記述のレビューにより、当業者に明らかになるであろう。
【0006】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
移動通信デバイスであって、
電力増幅器と、
パワーパックであって、該パワーパックは、
電荷格納部品と、
該電荷格納部品の端子に接続される第1のタップ対であって、少なくとも該移動通信デバイスの音声回路に電力を供給する、第1のタップ対と、
該電力増幅器に電力を供給する、該電荷格納部品の端子に接続される第2のタップ対であって、該第2のタップ対は、該電力が該移動通信デバイスに組み込まれる場合、該第1のタップ対よりも該電力増幅器に近接して配置される、第2のタップ対と
を含むパワーパックと
を備える、移動通信デバイス。
(項目2)
上記電荷格納部品は、単一の再充電可能なバッテリである、上記項目に記載の移動通信デバイス。
(項目3)
上記単一の再充電可能なバッテリは、リチウムイオンバッテリである、上記項目のいずれか一項に記載の移動通信デバイス。
(項目4)
上記電荷格納部品は、第1の再充電可能なバッテリおよび第2の再充電可能なバッテリを含む、上記項目のいずれか一項に記載の移動通信デバイス。
(項目5)
上記第1の再充電可能なバッテリは、リチウムイオンバッテリであり、前記第2の再充電可能なバッテリは、リチウムイオンバッテリである、上記項目のいずれか一項に記載の移動通信デバイス。
(項目6)
上記電荷格納部品は、キャパシタおよび再充電可能なバッテリを含む、上記項目のいずれか一項に記載の移動通信デバイス。
(項目7)
上記キャパシタは、スーパーキャパシタである、上記項目のいずれか一項に記載の移動通信デバイス。
(項目8)
上記再充電可能なバッテリは、リチウムイオンバッテリである、上記項目のいずれか一項に記載の移動通信デバイス。
(項目9)
電力を必要とする追加の部品をさらに含み、
上記パワーパックは、上記スーパーキャパシタの端子に接続され、該追加の部品に電力を供給する、第3のタップ対を含む、
上記項目のいずれか一項に記載の移動通信デバイス。
(項目10)
上記追加の部品は、発光ダイオードである、上記項目のいずれか一項に記載の移動通信デバイス。
(項目11)
上記発光ダイオードに関連し、かつ接続された制御装置をさらに含み、該制御装置は、該発光ダイオードと上記第3のタップ対の一つとの間に入っている、上記項目のいずれか一項に記載の移動通信デバイス。
【0007】
(摘要)
移動通信デバイスは、電力増幅器およびパワーパックを有する。パワーパックは、電荷格納部品、電荷格納部品に接続された、電力を移動通信デバイスの部品に供給するための第一のタップ対、および電荷格納部品に接続された、電力を電力増幅器に供給するための第二のタップ対を含み、第二のタップ対は、電力が移動通信デバイスに組み込まれる場合、第一のタップ対よりも電力増幅器により近接して配置される。第2のタップ対が電力増幅器により近接して配置されていることにより、複数タップのパワーパックを含む電力増幅器電流ループが、小さくされ得る。より小さい電力増幅器電流ループの利益は、RF干渉信号の低減された放射であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
ここで、例示の方法として本開示の実施形態を示す図面を参照する。
【図1】図1は、フロントエンドモジュールを有する電力分配ネットワークを例示し、フロントエンドモジュールは電力増幅器およびパワーパックを含む。
【図2】図2は、図1の電力分配ネットワークのフロントエンドモジュールを模式的に例示する。
【図3】図3は、バッテリカバーが取り除かれて図1のパワーパックおよび図2からの電力増幅器を露出する状態の移動通信デバイスを例示する。
【図4】図4は、電力分配ネットワークに使用するフロントエンドモジュールを模式的に例示しており、複数のバッテリを有する複数タップのパワーパックによって提供される。
【図5】図5は、図4の複数タップパワーパックを、様々なタップに対して識別される推奨位置を有する透視図で例示する。
【図6】図6は、電力分配ネットワークに使用するフロントエンドモジュールを模式的に例示しており、スーパーキャパシタおよびバッテリを有するハイブリッドパワーパックによって電力が供給されている。
【図7】図7は、電力分配ネットワークに使用するフロントエンドモジュールを模式的に例示しており、電力分配ネットワークは、追加の部品を含み、図6のハイブリッドパワーパックの適合版によって電力が供給されており、この適合パワーパックは、スーパーキャパシタが電力を追加の部品に供給することを可能にするタップを含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(好ましい実施形態の記述)
図1は、フロントエンドモジュール(FEM)124および単パワーパック120を有する電力分配ネットワーク100を例示する。パワーパック120は、電荷格納部品を含む。以下に議論するように、電荷格納部品は、化学電池あるいはスーパーキャパシタのような、電荷を格納する任意の部品であり得る。電力分配ネットワーク100は、移動通信デバイスでの使用のために配置されている。移動通信デバイスは、移動通信デバイスの全体の動作を制御するための、あるいは移動通信デバイスの選択された動作制御するためのプロセッサ102を含む。移動通信デバイスの部品は、ハウジング(示されない)および複数のユーザインターフェイス部品104を含む。このユーザインターフェイス部品104は、入力デバイス(例えば、複数のキーを有するキーボード、ボタン、トラックボールあるいはタッチパッド)および出力デバイス(例えば、ディスプレイ)を含み、この出力デバイスは、フルグラフィックあるいはフルカラーの液晶ディスプレイ(LCD)を含み得る。いくつかの実施形態において、ディスプレイは、タッチスクリーンディスプレイを含み得る。そのような実施形態において、キーボードは仮想キーボードを含み得る。別のタイプの出力デバイスが代替として利用され得る。プロセッサ102は、部分的には、移動通信デバイスのユーザによるキーボード上のキーの作動に応答して、ディスプレイの動作を制御する。
【0010】
移動通信デバイスの部品は、また、音声回路106を含み得、この音声回路は、ユーザへの音声警報(ベル音)、電話呼び出しにおいて受信された音声、およびデバイスメモリ(示されない)に保存されたデジタル音楽ファイルに基づいた音声の提示を制御する。
【0011】
移動通信デバイスの部品は、また、公知の衛星航法システム(GPS)に使用する受信機108を含み得る。GPS受信機108は、GPS受信アンテナ118Aに通信可能に接続されて例示されている。
【0012】
移動通信デバイスの部品は、また、短距離通信サブシステムに使用されるトランシーバ110を含み得、この短距離通信サブシステムは、移動通信デバイスと、必ずしも同様なデバイスである必要はない他の隣接するシステムあるはデバイスとの間の通信を可能にする。例えば、短距離通信サブシステムは、赤外線デバイスおよび関連する回路および部品、または、Bluetooth(商標)通信モジュールを含み、同様にイネーブルされたシステムおよびデバイスとの通信を提供する。Bluetoothトランシーバ110は、Bluetoothトランシーバアンテナ118Bと通信可能に接続されているように例示されている。
【0013】
移動通信デバイスの部品は、また、無線ローカルエリアネットワーク通信サブシステムに使用する、トランシーバ112を含み得る。一組の標準が、電気電子技術者協会(IEEE)によって確立されており、IEEE802.11標準として既知である。製品は、IEEE802.11標準に密接する既知のWi−Fiアライアンスによって認定され得る。Wi−Fiトランシーバ112は、Wi−Fiトランシーバアンテナ118Cに通信可能に接続されているように例示されている。
【0014】
移動通信デバイスの部品は、また、第1の無線遠距離通信サブシステムに使用するトランシーバ114を含み得る。この第1の無線遠距離通信サブシステムは、既知の広帯域符号分割多重アクセス(W−CDMA)標準に基づき得る。W−CDMAトランシーバ114は、W−CDMAトランシーバアンテナ118Dに通信可能に接続されているように例示されている。
【0015】
移動通信デバイスの部品は、また、第2の無線遠距離通信サブシステムに使用するトランシーバ116を含み得る。第2の無線遠距離通信サブシステムは、既知のグローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM)およびエンハンストデータレートフォーGSMエボリューション(EDGE)標準に基づき得る。GSM/EDGEトランシーバ116は、FEM124を通じてGSM/EDGEトランシーバアンテナ118Eに通信可能に接続されているように例示されている。
【0016】
プロセッサ102、ユーザインターフェイス104、音声回路106、GPS受信機108、Bluetoothトランシーバ110、Wi−Fiトランシーバ112、W−CDMAトランシーバ114およびGSM/EDGEトランシーバ116は、すべて電力管理集積回路(PMIC)122への接続を維持する。PMIC122およびFEM124は、パワーパック120への接続を維持する。パワーパック120は、第1のタップ132Aを通じてバッテリ充電回路126への接続を維持し、また、第2のタップ134Aを通じて、FEM124の部品と共通の電源基準電圧への接続を維持する。別のタップ対は、複数タップパワーパック120をFEM124に接続する第3のタップ132Bを含み、複数タップパワーパック120を電源基準電圧に接続する、第4のタップ134Bを含む。
【0017】
パワーパック120は、例えば、動作範囲が4.2Vから3.2VであるLiイオン電池を収納する。本明細書に記述された概念は、しかしながら、エネルギ格納あるいはバッテリ化学の特定の形式に限定されるものではない。
【0018】
図1のFEM124の部品が、図2に例示されている。FEM124は、(必ずしもこれに限定されないが)GSM/EDGEトランシーバ166の出力およびローパスフィルタ204の入力に接続する電力増幅器202を含む。スイッチ206は、1つの状態で、ローパスフィルタ204の出力をアンテナ整合回路208に接続し、このアンテナ整合回路208は、GSM/EDGEトランシーバアンテナ118Eに接続する。別の状態では、スイッチ206は、アンテナ整合回路208の出力をバンドパスフィルタ210の入力に接続する。バンドパスフィルタ210の出力は、GSM/EDGEトランシーバ116の入力に接続する。
【0019】
電力増幅器202は、複数段(個別には参照されていないが)を含むように例示されており、各段は電源電圧をパワーパック120の第3のタップ132Bから受け取る。同様に、各段は、電源基準電圧をパワーパック120の第4のタップ134Bと共有する。
【0020】
動作では、GSM/EDGEトランシーバ116は、電力増幅器202をいわゆる「プッシュモード」で動作させる。電力増幅器のパルスモード動作は、パワーパック120の第1の端子132Aに提供される電源電圧に変動を生じさせることが知られている。電源電圧における変動、つまりリップルは、高いパルス電流に起因して、ピーク対ピークで400mV程度であり得る。不幸なことに、リップルはパワーパック120からPMIC122に、部品の残りの部分に伝播し得る。音声回路106に対して、リップルは可聴のバズ(GSMベースの通信デバイスに対しては、多くは217Hzのバズを経験している)を生じ得、その除去は困難でコストのかかるものとして了解されてきた。
【0021】
電力増幅器電流ループは、パワーパック120および電力増幅器202を通じて形成されるとして定義され得る。従来の電力増幅器電流ループの比較的大きな領域によって、電力増幅器の動作のパルスモードは、測定可能な放射される磁気放射を生じる。この放射は、補聴器に見られるような回路のような他の回路、とりわけT型磁気コイル(つまり、Tコイル)を利用して音声信号をピックアップする補聴器に見られる回路、と干渉するように示され得る。電力増幅器電流ループからの磁気放射の漏洩は、また、放射が、電力分配ネットワーク100が電力を提供する移動通信デバイスの筺体の中および/または外の様々な変換器および他の部品と結合する場合、問題であり得る。
【0022】
送信の時に電力増幅器202に存在する無線周波数(RF)の干渉信号(任意の望まない信号)は、電力供給線を介して、他の回路104、106、108、110、112、114、116、122および126に結合され得ることが示され得る。干渉信号が例えばパワーパック120と結合する場合、これらの干渉信号は、バッテリ構造に起因して、パワーパック120によって放射され得ることが示され得る。バッテリ構造は、例えば、パワーパック120の第1のタップ212(つまり、正のコンタクト)が移動通信デバイスのハウジングに接続されていることを包含する。そのような場合、移動通信デバイスのハウジングがアンテナのように振る舞うことが示され得る。
【0023】
図3は、移動通信デバイス300を例示しており、バッテリカバーを取り除いた状態で複数タップのパワーパック120(図1を参照)および図2からの電力増幅器202を露出して、例示している。第1のトレース312は、第3のタップ132Bを電力増幅器202に接続して例示されている。同様に、第2のトレース314は、第4のタップ134Bを電力増幅器202に接続して例示されている。
【0024】
図3は、移動通信デバイス300の例を例示しており、バッテリカバーを取り除いた状態で複数タップのパワーパック120(図1を参照)および図2からの電力増幅器202を露出して、例示している。第1のトレースは、第3のタップ132Bを電力増幅器202に接続して例示されている。同様に、第2のトレース314は、第4のタップ134Bを電力増幅器202に接続して例示されている。比較すると、単タップパワーパックは、タップ132Aおよび134Aを有し得るが、タップ132Bおよび134Bは有さなく、また、トレースは、電力増幅器202をタップ132Aおよび134Aに接続する。それにより電力増幅器202が、タップ132Aおよび134Aによってパワーパック120に接続されるが、電流ループは、タップ132Bおよび134Bを介する接続を通じて形成される電流ループとは異なる。特に、タップ132Bおよび134Bが、タップ132Aおよび134Aよりも電力増幅器202により近いので、後者の電流ループはより小さい。以下に議論するように、より小さい電流は、RF干渉を減少するために有用である。さらに、パワーパック120と電力増幅器202との間の電流ループは、電力を他の部品に供給している可能性のあるタップ132Aおよび134Aに対しては直接的には電気的に結合していない。
【0025】
図4は、複数のタップ対を有するパワーパック420の実装例を示す。複数タップのパワーパック420は、第1の再充電可能なバッテリ422Aおよび第2の再充電可能なバッテリ422Bを収容する。第1のバッテリ422Aは、バッテリ充電回路426に接続された第1のタップ412Aおよび電力分配ネットワークに対する共通供給電圧に接続された第2のタップ414Aを有する。第2のバッテリ422Bの第2のタップ414Bは、また、電力分配ネットワークに対する共通供給電圧に接続されている。第2のバッテリ422Bの第1のタップ412Bは、バッテリ充電回路426に接続される。第2のバッテリ422Bの第1のタップ412Bは、また、フロントエンドモジュール(FEM)424に接続される。FEM424は、また、共通供給電圧に接続される。FEM424は、FEM424に対して図2に例示された構造と同様な構造(示されない)を有する。代替の実装では、バッテリ充電回路426は、図4に例示されたすべての接続を維持しながら、複数タップのパワーパック420の内部にある。
【0026】
複数タップのパワーパック420は、バッテリ識別器および温度センサ428を含む。バッテリ識別器および温度センサ428は、プロセッサ102(図1)に接続する。バッテリ識別器部分は、バッテリIDタップ416において信号を出力するように適合される。温度センサ部分は、温度タップ418において信号を出力するように適合される。
【0027】
選択として、図4の回路は、第2のバッテリ422Bの第1のタップ412BとFEM424との間に挟まれたフィルタ436を含み得る。そのようなフィルタは、電力増幅器が使用される場合、FEM424からの、より具体的には、その中の電力増幅器からの、無線周波数ノイズの伝播を低減する用途として考えられ得る。実際、ノイズは電力分配ネットワーク100のいたるところに発生し得る。
【0028】
単に2つの電荷格納部品の代わりに、複数タップのパワーパック420は、3つ以上の電荷格納部品を有するように設計され得る。さらなる電荷格納部品(示されない)の各々は、特定の回路に関連し得る。例えば、対応するタップを有する第3の電荷格納部品は、Wi−Fiトランシーバ112に使用する電力増幅器を含むモジュールに関連し得る。
【0029】
この場合、第3の電荷格納部品は、Wi−Fiトランシーバ112に使用する電力増幅器の取扱い必要電力に特化して選択し得る。例えば、Wi−Fiトランシーバ112に使用する電力増幅器は、ただ2.5Wのピーク電力需要を有し得、これは、GSM/EDGEトランシーバ116を使用する電力増幅器に対する12Wのピーク電力需要よりも顕著に低い。よって、第3の電荷格納部品は、第2のバッテリ422Bから区別して選択し得る。さらに、第3の電荷格納部品とWi−Fiトランシーバ112に使用する電力増幅器を含むモジュールとの間に接続されるフィルタは、第2のバッテリ422Bと図4のFEM424との間に接続されるフィルタ436から区別して選択し得る。
【0030】
図5は、複数タップのパワーパック420を透視図で例示し、第1のタップ412A、第2のタップ414A、第3のタップ412B、第4のタップ414B,バッテリIDタップ416および温度タップ418に対して識別される推奨位置を有する。
【0031】
選択として、図4の複数タップのパワーパックにおける第2のバッテリ422Bは、図6に示されるように、代替の電荷格納部品で置換され得る。図6において、FEM424は、ハイブリッドパワーパック620から電力を受け取る。ハイブリッドパワーパック620は、スーパーキャパシタ623および再充電可能バッテリ622を含む。
【0032】
一般に、スーパーキャパシタは、スーパーキャパシタが非常に高い容量を小さなパッケージで提供することを除いて、通常のキャパシタに似ている。エネルギ格納は、従来の化学バッテリのような方法である電気化学プロセスよりも、静電荷の手段によって達成される。通常のキャパシタと共通して、スーパーキャパシタは正の極板および負の極板を有する。正および負の極板に電圧の差分を印加することによって、電荷はスーパーキャパシタに格納され得る。通常のキャパシタは、一般に導電性ホイルおよびドライセパレータを含み、一方、スーパーキャパシタは、一般に特殊な電極および電解液を含む。
【0033】
日本の東京中央区日本橋のTDKによる公知の部品番号EDLC152344−551−2F−30は、スーパーキャパシタ623に使用され得る部品の例である。この例示的部品の仕様は、寸法23×44×1.5mm、連続バイアスの定格電圧−4.2V、間欠バイアスの定格電圧5.7Vおよび公称容量550mFを含む。本明細書に記載された概念は、任意の特定のスーパーキャパシタ、あるいは任意の特定の容量、あるいは、電荷格納あるいは電荷分離のための任意の特定の構造に限定されるものではない。
【0034】
複数タップのパワーパック420の第1のバッテリ422Aに共通して、ハイブリッドパワーパック620のバッテリ622は、バッテリ充電回路126に接続された第1のタップ612Aおよび電力分配ネットワークに対する共通供給電圧に接続された第2のタップ614Aを有する。スーパーキャパシタ623の第2のタップ614Bは、また、電力分配ネットワークのための共通供給電圧に接続される。スーパーキャパシタ623の第1のタップ612Bおよびバッテリ622の第1のタップ612Aは、スーパーキャパシタ充電回路621に接続され挟まれている。ステップダウンDC−DCコンバータ628は、スーパーキャパシタ623の第1のタップ612BとFEM424に接続する。
【0035】
スーパーキャパシタ充電回路621は、標準のスイッチング電源として実装され得、この電源は、所定の充電電流を有するステップアップコンバータあるいはステップダウンコンバータであり得る。
【0036】
ハイブリッドパワーパック620は、バッテリ識別器および温度センサ626を含む。バッテリ識別器および温度センサ626は、プロセッサ102(図1)に接続する。バッテリ識別器部分は、バッテリIDタップ616においてハイブリッドパワーパック620の識別を出力するように適合される。温度センサ部分は、ハイブリッドパワーパック620の中の温度を感知し、温度タップ618において、温度を示す出力信号をプロセッサ102に提供する。
【0037】
図6のハイブリッドパワーパック620は、電力を移動通信デバイスのさらなる部品に電力を供給するためのさらなるタップ対を有するように適合され得る。適合されたハイブリッドパワーパック720が、図7に例示されている。
【0038】
図6のハイブリッドパワーパック620に共通して、適合されたハイブリッドパワーパック720のバッテリ622は、バッテリ充電回路126(図1)に接続された第1のタップ612Aと、電力分配ネットワークに対する共通供給電圧に接続された第2のタップ614Aとを有する。スーパーキャパシタ623の第2のタップ614Bは、また、電力分配ネットワークに対する共通供給電圧に接続される。図6の回路にちょうど見られるように、スーパーキャパシタ623の第1のタップ612Bおよびバッテリ622の第1のタップ612Aは、スーパーキャパシタ充電回路621に接続され挟まれている。ステップダウンDC−DCコンバータ628は、スーパーキャパシタ623の第1のタップ612BとFEM424に接続する。
【0039】
図6のハイブリッドパワーパック620のように、適合ハイブリッドパワーパック720は、バッテリ識別器および温度センサ626を含む。バッテリ識別器および温度センサ626は、プロセッサ102(図1)に接続する。バッテリ識別器部分は、バッテリIDタップ616において、適合ハイブリッドパワーパック720の識別を出力するように適合される。温度センサ部分は、適合バイブリッドパワーパック720の中の温度を感知し、温度タップ618において、温度を示す出力信号をプロセッサ102に提供するように適合される。
【0040】
図7の回路は、移動通信デバイスに見られ得る追加の部品を含む。追加の部品は、発光ダイオード(LED)732を含む。LED732に関連して、かつ接続しているのは、制御装置730である。制御装置730は、適合ハイブリッドパワーパック720の第5のタップ734に接続し、ここでは、第5のタップ734が、第3のタップ612Bに接続されているスーパーキャパシタ623の同じ端子に接続されている。さらに、制御装置730は、プロセッサ102(図1)に接続する。第6のタップ736が第5のタップ734と対になっており、第6のタップ736は第4のタップ614Bに接続されているスーパーキャパシタ623の同じ端子に接続されている。
【0041】
概要において、少なくともタップ(132B、134B、図1)の第2の組がパワーパック120において含まれ得、複数タップのパワーパック120を形成する。タップ(132B、134B)の第2の組が電力増幅器202により近接して配置される場合、図1の複数タップのパワーパック120を含む電力増幅器の電流ループは、図1のパワーパック120を含む電力増幅器の電流ループより小さく作られ得る。より小さい電力増幅器の電流ループの利益の1つは、RF干渉信号の低減された放射であり得る。
【0042】
図1のFEM124は、動作において、FEM124が、GSM/EDGEトランシーバアンテナ118E上での送信のためのGSM/EDGEトランシーバ116からの信号を受信するように配置されている。さらに、図1のFEM124は、動作において、FEM124がGSM/EDGEトランシーバアンテナ118Eからの信号を受信して、受信された信号をGSM/EDGEトランシーバ116に送信するように配置されている。図1のFEM124の動作は、パワーパック120から受け取られたパワーによって容易にされる。
【0043】
図1のFEM124の動作は、複数タップのパワーパック120から受け取られた電力によって容易にされる。特に、複数タップのパワーパック120は、図4、6および7を考慮して議論されたように、単一バッテリー(示されない)を含むか、複数の電荷格納部品を含み得る。
【0044】
都合のよいことに、トレース312、314、複数タップのパワーパック120および電力増幅器202は、電力増幅器202とパワーパック120のタップ132Aおよび132Bとの間のトレースによって形成される電力増幅器の電流ループよりも小さい、図3の電力増幅器の電流ループを形成する。
【0045】
プリント基板(PCB)上の比較的長い電力供給トレースは、PCBの不動産を占有し、比較的高い等価直列抵抗(ESR)を保ち、このことは、パワーパックによって供給される電力の効率に不利益をもたらすと考えられ得る。図3において画定される低減面積の電力増幅器の電流ループのさらなる結果は、電力供給トレースの長さの減少であり、それによって、PCBの不動産を保存し、電力供給トレースのESRを低減し、複数タップのパワーパック120からの電力使用の効率の増加に導く。
【0046】
図4のFEM424は、動作において、GSM/EDGEトランシーバアンテナ118E上での送信のために、FEM424がGSM/EDGEトランシーバ116から信号を受け取るように、図1のFEM124と同様な方法で配置されている。さらに、図4のFEM424は、動作において、FEM424がGSM/EDGEトランシーバアンテナ118Eから信号を受信して、その受信された信号をGSM/EDGEトランシーバ116に送信するように、図1のFEM124と同様な方法で、配置されている。図4のFEM424の動作は、複数タップのパワーパック420から受け取られる電力によって、容易にされる。
【0047】
動作において、バッテリ識別器および温度センサ428のバッテリ識別器部分は、バッテリIDタップ416において、複数タップのパワーパック420の識別を出力する。さらに、バッテリ識別器および温度センサ428の温度センサ部分は、複数タップのパワーパック420内の温度を感知して、温度タップ418において、プロセッサ102に温度を表わす出力信号を提供する。
【0048】
重要なことは、動作において、第2のバッテリ422Bから電力を引き出している一方で、パルスモードで動作しているFEM424によって起こされた電圧リップルは、第1のバッテリ422Aによって電力を与えられている回路から分離されていると考えられ得ることである。よって、回路の複雑性は、デカップリング部品の数を低減し、かつ、高い電源除去比の低い必要性を有するいくつかの能動デバイスのコストを削減することによって、他の回路104、106、108、110、112、114、116、122および126に対して顕著に簡単化され得る。
【0049】
図6のFEM424は、動作において、GSM/EDGEトランシーバアンテナ118E上での送信のために、FEM424がGSM/EDGEトランシーバ116から信号を受け取るように、図1のFEM124と同様な方法で配置されている。さらに、図4のFEM424は、動作において、FEM424がGSM/EDGEトランシーバアンテナ118Eから信号を受信して、その受信された信号をGSM/EDGEトランシーバ116に送信するように、図1のFEM124と同様な方法で、配置されている。図6のFEM424の動作は、ハイブリッドパワーパック620から受け取られる電力によって、容易にされる。
【0050】
動作において、図6の回路では、ステップダウンDC−DCコンバータ628は、スーパーキャパシタ623の第1のタップ612Bにおいて利用可能な電圧をより低い電圧に変換し、その低い電圧をFEM424に対して利用可能にする。スーパーキャパシタ623から電力を引き出している一方で、パルスモードで動作しているFEM424によって起こされる電圧リップルは、バッテリ622によって電力を与えられている回路から分離されていると考えられ得る。
【0051】
さらに、スーパーキャパシタ充電回路621は、スーパーキャパシタ623に、図1の電力分配ネットワーク100のパワーパック120に維持されることが可能であるものよりも、一貫した電荷を維持する。
【0052】
ステップダウンDC−DCコンバータ628とハイブリッドパワーパック620との組み合わせによって形成される電力増幅器電流ループの部分のESRは、パワーパック120のESRよりも低い。実験では、パワーパック120のESRは、150mΩのオーダであり得、一方、ステップダウンDC−DCコンバータ628とハイブリッドパワーパック620との組み合わせのESRは、ただ30mΩだけのオーダであり得る。
【0053】
当業者には明確なように、2つ以上の高電流負荷がある場合、ハイブリッドパワーパック620は2つ以上のスーパーキャパシタにより設計され得る。
【0054】
図7のFEM424の動作は、適合ハイブリッドパワーパック720から受け取られた電力によって容易にされる。
【0055】
本明細書では電力増幅器動作のパルスモードが、バッテリにおいて提供される電源電圧中のリップルを生じるとして既知であり、リップルが他の回路に悪影響を与えることが示され得るとして議論されてきた。また、一般的な移動通信デバイスにおける他の回路が、電源電圧におけるリップルを生じ得ることが示され得る。そのようなリップルを生じる回路の例は、図7のLED732と制御装置730の組み合わせである。
【0056】
図7の回路において、LED732は、移動通信デバイスが静止画を取得する場合のフラッシュとして使用され得る。LED732は、また、移動通信デバイスがビデオを取得する場合に、光を提供するトーチとして使用される。制御装置730は、適合ハイブリッドパワーパック720の第5のタップ734からの電力を受け取る。さらに、制御装置730は、プロセッサ102(図1)から命令を受け取る。
【0057】
典型的な移動通信デバイスにおいて、FEM424とLED732は、高いパルス状の電力消費および結果としての他の回路に伝播する電圧リップルのために、同時には動作されないかもしれない。ステップダウンDC−DCコンバータ628およびスーパーキャパシタ充電回路721を有するスーパーキャパシタ723の使用が、他の回路に伝播する顕著な電源電圧リップルを生じることなく、FEM424とLED732の同時動作を可能にすることが示され得る。
【0058】
上記の実施形態およびその変形は、1つ以上の利点を実現し得、その中のいくつかは、前に述べられている。上に注解したように、電力増幅器202が、タップ132Aおよび134Aに直接には電気的に結合していない場合、電力増幅器によって生じる電圧リップルは、部分的にあるいは実質的に、他の回路網から完全に分離されており、それによって、リップルの影響を低減する。いくつかの部品の性能が、それにより増強され得る。例えば、音声回路からのリップルの分離は、オーディオバズの低減をもたらし得る。Tコイルの通信との干渉のような、いくつかの通信チャネルとの電磁干渉が低減され得る。
【0059】
本願の上記の実施形態は、例示のみを意図している。代替、修正および変更が、本願に添付の特許請求の範囲によって規定される本願の範囲から外れることなく、当業者によって特定の実施形態にもたらされ得る。
【符号の説明】
【0060】
100 電力分配ネットワーク
102 プロセッサ
104 ユーザインターフェイス
106 音声回路
108 GPS受信機
110 トランシーバ
120 パワーパック
124 フロントエンドモジュール(FEM)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−94053(P2013−94053A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−257247(P2012−257247)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2011−30248(P2011−30248)の分割
【原出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.WCDMA
【出願人】(500043574)リサーチ イン モーション リミテッド (531)
【氏名又は名称原語表記】Research In Motion Limited
【住所又は居所原語表記】295 Phillip Street, Waterloo, Ontario N2L 3W8 Canada
【Fターム(参考)】