説明

複数のモードによる色の混合のシステム及び方法

【課題】少なくとも二つのモードのうちの一つを用いて、PDLで記述された少なくとも一つのカラー文書を処理するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】モードのうち、第一モードでは、少なくとも一つのPDLグループと関連付けられた第一指定色空間を出力先装置に固有の第二色空間と置き換えられる。次に、第二色空間を用いて前記PDLグループに混合処理が実行される。第二モードでは、前記第一指定色空間を用いて前記PDLグループに混合処理が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷の分野に関し、特に、印刷装置において複数のモードによる色の混合を実現するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラープリンタによって生成されるピクセルは一般に複数の色平面による色で構成しうる。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック(「CMYK」)を用いるカラープリンタにおいては、一つのピクセルが四つの色平面のうち一以上の色平面による色を含みうる。構成される色平面からの色を異なる濃度で混合することによって、プリンタにおいて幅広い範囲の色を生成することができる。画像データの色は一般にある色空間においてページ記述言語(「PDL」)によって指定されており、出力先の撮像装置又は印刷装置の固有の色空間とは異なることがある。
【0003】
いくつかの最新のページ記述言語(「PDL」)によって、不透明度データのあるモデルに基づく色の混合が実現される。いくつかの場合においては、不透明度データはアルファチャンネルを用いて指定され、これは「アルファ」データとして知られている。一般に、混合は透明及び/又は半透明の効果の表現を可能とする色の凸結合である。凸結合は色の線形結合であり、すべての係数は非負数でそれらの合計は1となる。例えば、アルファチャンネルが用いられる場合には、色コードにおけるアルファ値は0.0から1.0の範囲にわたることがあり、0.0は完全に透明な色を表現し、1.0は完全に不透明な色を表現しうる。アルファ値を用いて、PDLのオブジェクトのセットが例えばどのように相互に作用して最終的な合成オブジェクトを形成するかについて指定することができる。このような混合の結果は、一般に不透明度(アルファ)値及び混合が行われる色空間の両者に依存する。各PDLによって混合が実行される色空間の指定をすることができる。例えば、Adobe(商標)PortableDocumentFormat(「PDF」)PDLの場合、プリントジョブの各オブジェクトグループはそれぞれの色空間において混合されうる。同様に、Microsoft(商標)XMLPaperSpecification(「XPS」)PDLの場合、ユーザは各ページの混合色空間を指定することができる。上述の各PDL等多くの場合、混合に用いられる色空間はジョブが表示される出力先デバイスに固有の色空間と全く関係がないことがありうる。よって、混合処理には色空間の変換の繰り返しが伴うことがある。
【0004】
一般に、混合スキームの柔軟性は色変換コストを招く。例えば、PDFにおいては、ネスト化されたPDFグループのスタックは個別の色空間を有しうる。各PDFグループがその親に混合されるたびに、色空間変換が実行される。色空間変換はページグループと称される最も外側のグループが固有の装置の色空間に変換される際にも実行される。同様にXPSにおいては、色空間変換はページの指定された混合色空間から固有の装置の色空間へ実行される。色変換は計算コストが高いことがあるため、上述の各変換はラスタライゼーションに要する総時間の大部分を構成しうる。
【0005】
いくつかのPDLにおいては、二つのオブジェクトの混合に用いられる共通の色空間は指定されうる。この取り組みによってもプリントジョブの過程で行われる色空間変換の総数を効果的に減らすことはできない。プリントジョブの命令を用いることに依存するその他の取り組みにおいても、プリントジョブのデータの分析又はその他の発見的方法に依存してラスタライゼーションをスピードアップする。プリントジョブの命令に依存する取り組みは広く適用可能で効果的といえるには十分な汎用性を有しない。
【0006】
コニカミノルタ(商標)プリンタC550及び5570において用いられる他の取り組みにおいては、CMYK空間のデータについてRGB色空間における混合が指定された場合、混合処理は、混合の前に正準変換アルゴリズムを用いてCMYKからRGBへ変換し、RGBにおいてオブジェクトを混合し、そしてオブジェクトを再びCMYKに変換することによって実行された。その他すべての混合処理はプリンタに固有の色空間において行われた。この取り組みによってCMYK空間のデータについてRGB空間における混合が指定されていない場合の変換の回数を減らすことが可能となった。しかし、比較的一般的な場合であるCMYK空間のデータを用いてRGB色空間における混合が指定された場合については、スピードの向上はみられなかった。さらに、正準変換は混合に関係する特定のCMYK空間の細部を無視するため、このような変換によって、色精度が損なわれる結果となりうる。その他全ての場合(CMYK空間のデータについてRGB色空間における混合が関係しない場合)においては、混合はプリンタに固有の色空間において行われた結果、色精度が損なわれた。したがって、これらのプリンタのユーザには柔軟性及び色精度の両方が十分に与えられなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、実行コスト及び計算コストを低く抑えながら、印刷された色の出力品質を保持することができる、複数のモードによる混色機能を提供するシステム及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による実施例には、少なくとも二つのモードのうちの一つを用いて、PDLで記述された少なくとも一つのカラー文書を処理するシステム及び方法が含まれる。前記モードのうち、第一モードでは、少なくとも一つのPDLグループと関連付けられた第一指定色空間を出力先装置に固有の第二色空間と置き換えられる。次に、前記第二色空間を用いて前記PDLグループに混合処理が実行される。第二モードでは、前記第一指定色空間を用いて前記PDLグループに混合処理が実行される。
【0009】
また、本発明の実施例は、コンピュータ読取可能なメディア又はコンピュータ読取可能なメモリを用いるプロセッサによって作成、格納、アクセス、又は修正されるソフトウェア、ファームウェア及びプログラム命令に関する。説明される方法は、コンピュータ及び/又は印刷装置を含むシステムにおいて実行しうる。
【0010】
これら及びその他の実施例について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明のいくつかの実施例に基づく文書印刷システムの構成を示すブロック図を図示している。
【図2】図2は、例示的なプリンタの高レベルブロック図を図示している。
【図3】図3は、カラー文書を処理する方法の各ステップを示す例示的なフローチャートを図示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の様々な特徴を示す実施例に基づいて、少なくとも二つの混合モードのうちの一つを用いるカラー文書を処理するシステム及び方法が提示される。いくつかの実施例においては、カラー文書はPDL記述の形式で記述され、PDL記述から生成されるオブジェクトの中間印刷可能データはディスプレイリストの形式を取ることがありうる。
【0013】
図1は例示的な文書印刷システムの構成を示すブロック図を図示している。少なくとも二つの混合モードのうち一つを用いてPDLで記述されたカラー文書を処理する方法を実現する適用例は、図1に示すような従来の通信プロトコル及び/又はデータポートインターフェースを用いた情報交換を実現する通信リンクを通じて接続されたコンピュータ及び印刷装置のネットワークにおいて導入しうる。
【0014】
図1に示すように、例示的システム100はコンピューティングデバイス110及びサーバ130を有するコンピュータを含む。また、コンピューティングデバイス110とサーバ130はネットワーク140を経由して接続120を通じて通信しうる。コンピューティングデバイス110はコンピュータワークステーション、デスクトップパソコン、ノートパソコン、又はその他のネットワーク化された環境で用いることができるあらゆるコンピューティングデバイスでありうる。サーバ130はコンピューティングデバイス110及びその他の装置(図示せず)に接続することができるプラットフォームであることができる。コンピューティングデバイス110及び130はプリンタ170を用いた文書の印刷を実現するソフトウェア(図示せず)を実行することができる。
【0015】
コンピューティングデバイス110及び/又はサーバ130において実行される文書処理ソフトウェアによって、ユーザは文書を使いやすいように閲覧、編集、処理及び格納することができる。文書内の印刷されるページはページ記述言語(「PDL」)によって記述されうる。PDLにはAdobe(商標)PostScript、Adobe(商標)PDF、HP(商標)PCL、Microsoft(商標)XPS、IBM(商標)PersonalPrinterDataStream(「PPDS」)、SVG(主としてWorldWideWeb用に開発されたXMLベースのグラフィックス記述言語)、Diablo、DeviceIndependent(「DVI」)、IntelligentPrinterDataStream(「IPDS」)、Kyoceraページ記述言語(「KPDL」)、Samsung(商標)プリンタ言語(「SPL」)、高機能プレゼンテーション(「AFP」)及びこれらの変形例を含みうる。文書のPDL記述は文書内のそれぞれのページの高レベル記述を提供する。このPDL記述は多くの場合文書が印刷される際に一連のより低レベルのプリンタ固有のコマンドに翻訳しうる。
【0016】
PDLからより低レベルのプリンタ固有のコマンドへの翻訳処理は、例示的プリンタ170によって提供される特徴及び性能に関与し、依存しうる。例えば、プリンタ170はそのデータを段階的に処理しうる。第一段階において、プリンタ170はPDLコマンドを解析し、高レベルの命令をプリミティブと呼ばれるより低レベルの命令のセットに分解しうる。これらのプリミティブは次の段階で例示的プリンタ170に送られ、これらを用いてページ上のどこに印を付けるか判断しうる。いくつかの場合においては、各プリミティブは生成時に処理されうる。他のシステムにおいては、プリミティブの多くのセットが生成、格納そして処理されうる。例えば、単独のページを記述するのに必要なプリミティブが生成され、リストに格納され、そして処理されうる。格納されたプリミティブのセットは中間リスト又はディスプレイリストと称される。
【0017】
例示的プリンタ170は電子データから物理的な文書を作成する装置を含み、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ、LEDプリンタ、プロッタ、ファクシミリ機、及びデジタルコピー機を含むが、これらに限定されない。例示的プリンタ170は接続120を介してコンピューティング装置110又はサーバ130から受信した文書を直接印刷することができる。いくつかの実施例においてはこのような構成によってコンピューティングデバイス110又はサーバ130による処理を加えた上で(又は加えずに)直接文書を印刷しうる。一以上のテキスト、グラフィックス、及び画像を含みうる文書の処理を分けることができる。よって、コンピューティングデバイス110、サーバ130、及び/又はプリンタは、文書がプリンタ170によって物理的に印刷される前に、網掛け、色合わせ及び/又はその他の操作処理等の文書印刷処理を部分的に実行しうる。
【0018】
コンピューティング装置110は、また、着脱可能なメディアドライブ150を含む。着脱可能なメディアドライブ150は例えば、3.5インチフロッピードライブ、CD−ROMドライブ、DVD ROMドライブ、CD±RWもしくはDVD±RWドライブ、USBフラッシュドライブ及び/又はその他のあらゆる着脱可能なメディアドライブを含みうる。アプリケーションの各部分が着脱可能なメディアに搭載され、システム100によって実行される前に着脱可能なメディアドライブ150を用いてコンピューティングデバイス110によって読み出される。
【0019】
接続120はコンピューティングデバイス110、サーバ130及びプリンタ170を接続し、従来の通信プロトコル及び/又はデータポートインターフェースを用いて有線又は無線接続として構築しうる。一般に、接続120は装置間のデータの送受信を実現するあらゆる通信チャンネルであることができる。ある実施例においては、適切な接続を通じたデータの送受信のために、例えば、装置にパラレルポート、シリアルポート、Ethernet(登録商標)、USB、SCSI、FIREWIRE、及び/又は同軸ケーブルポート等の従来のデータポートを設けることができる。
【0020】
ネットワーク140はLocalAreaNetwork(LAN)、WideAreaNetwork(WAN)、又はインターネットを含みうる。いくつかの実施例においては、ネットワーク140上で送信された情報は暗号化することによって、送信されるデータのセキュリティを確保しうる。プリンタ170は接続120を通じてネットワーク140に接続されうる。例示的プリンタ170はまた直接コンピューティングデバイス110及び/又はサーバ130に接続されうる。システム100はまた、その他の周辺機器(図示せず)を含みうる。少なくとも二つの混合モードのうち一つを用いてカラー文書を処理する方法を実行するアプリケーションは図1に示すような一以上の例示的コンピュータ又はプリンタに搭載しうる。例えば、コンピューティングデバイス110はサーバ130から直接ダウンロードしうるソフトウェアを実行することができ、アプリケーションの各部分は例示的プリンタ170によっても実行しうる。
【0021】
図2は例示的プリンタ170の高レベルブロック図を示す。例示的プリンタ170はCPU176、ファームウェア171、メモリ172、入出力ポート175、プリントエンジン177及び二次記憶装置173を接続するバス174を含みうる。例示的プリンタ170はまた文書印刷又は処理のためのアプリケーションの各部分を実行することができるその他のApplicationSpecificIntegratedCircuit(ASIC)、及び/又はFieldProgrammableGateArray(FPGA)178を含みうる。例示的プリンタ170はまたI/Oポート175及び接続120を用いて二次記憶装置又はその他のコンピューティングデバイス110のメモリにアクセスすることができる。また、いくつかの実施例においては、プリンタ170はプリンタオペレーティングシステム及びその他の適切なアプリケーションソフトウェアを含むソフトウェアを実行することができる。例示的プリンタ170においてその他のオプション中、用紙サイズ、排紙トレイ、色選択及び印刷解像度はユーザが設定することができる。
【0022】
例示的CPU176は汎用プロセッサ、専用プロセッサ又は組み込みプロセッサでありうる。CPU176は制御情報及び命令を含むデータをメモリ172及び/又はファームウェア171と交換することができる。メモリ172はあらゆる種類のDynamicRandomAccessMemory(「DRAM」)であることができ、例えばSDRAM又はRDRAMが含まれるがこれらに限定されない。ファームウェア171は命令及びデータを保持することができ、起動シーケンスや画像処理、圧縮、色空間変換、混合、トラッピング、文書処理等のルーチンを含む所定のルーチン、並びにその他のコードを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施例においては、ファームウェア171のコード及びデータはCPU176によって実行される前に、メモリ172にコピーしうる。ファームウェア171に含まれるルーチンはコンピューティングデバイス110から受信されたページ記述をディスプレイリストに翻訳するコードを含みうる。いくつかの実施例においては、ファームウェア171は、ディスプレイリストの描画コマンドを適切にラスタライズされたビットマップに変換し、メモリ172にビットマップを格納するラスタライゼーションルーチンを含みうる。ファームウェア171はまたメモリ管理ルーチンを含みうる。ファームウェア171に含まれるデータ及び命令はコンピュータ110、ネットワーク140、プリンタ170に着脱可能に接続されるメディア、及び/又は二次記憶装置173のうちの一以上を用いてアップグレードしうる。
【0023】
例示的CPU176は命令及びデータに従って各ASIC/FPGA178及びプリントエンジン177を制御し及びデータを提供して印刷文書を生成しうる。また、各ASIC/FPGA178はプリントエンジン177を制御し及びデータを提供しうる。また、各FPGA/ASIC178は一以上の色空間変換、混合、翻訳、トラッピング、圧縮及びラスタライゼーションアルゴリズムを実行しうる。
【0024】
例示的コンピューティングデバイス110は文書データを第一印刷可能データに変換しうる。いくつかの実施例においては、第一印刷可能データは文書のPDL記述に対応しうる。そして、第一印刷可能データはプリンタ170へ送信されて、中間印刷可能データに変換されうる。いくつかの実施例においては、文書のPDL記述から一連のより低レベルのプリンタ固有のコマンドを含む最終的な印刷可能データへの翻訳処理には、オブジェクトのディスプレイリストを含む中間印刷可能データの生成が含まれうる。ディスプレイリストは、テキスト、グラフィックス、及び画像データオブジェクトのうちの一以上を保持し、場合によってはディスプレイリスト内の一以上の種類のデータオブジェクトはユーザ文書のオブジェクトに対応しうる。
【0025】
二つを超えるオブジェクトが存在する場合、装置によってオブジェクトの各部分が重なり合うか判断しうる。例えば、画像オブジェクトのピクセルは色及び透明度についての特徴と関連しうる。透明度は重ねられたピクセルの下に横たわるピクセルが重ねられたピクセルを通してみることができる度合いを示すものである。透明又は半透明効果等の効果は混合を用いて実現することができ、ここではある色(例えば前景色)が透明度情報(アルファチャンネルから取得可能)を用いて他の色(例えば背景色)と混合されて、第三の色が作成される。混合処理は色空間に固有のものであるため、混合処理が実行される色空間は多くの場合指定される。場合によっては、色空間はコンテキスト又は言語シンタックスから推断されうる。
【0026】
中間印刷可能データの生成を支援しうるディスプレイリストは、メモリ172又は二次記憶装置173に格納されうる。例示的二次記憶装置173は、内蔵もしくは外付けハードディスク、メモリスティック又はシステム200で用いることができるその他のあらゆるメモリ記憶装置でありうる。いくつかの実施例においては、ディスプレイリストは文書処理が実行される場所に応じて一以上のプリンタ170、コンピューティングデバイス110、及びサーバ130に搭載され及びこれらの間で転送されうる。ディスプレイリストを格納するメモリは、専用メモリでありもしくは汎用メモリの一部を形成し、又はこれらの組合せでありうる。いくつかの実施例においては、ディスプレイリストを保持するメモリは、必要に応じて動的に割り当てられ、管理され及び解放されうる。プリンタ170は中間印刷可能データを最終的な形式の印刷可能データへ変換し、この最終的な形式に従って印刷しうる。文書データを最終的な印刷可能データへ変換する処理はラスタライゼーションと称される。処理されるPDL及び印刷処理システムの特徴や性能に応じて、ラスタライゼーション処理の間の一以上の時点で混合が実行されうる。
【0027】
図3は混合を実行する例示的方法の各ステップを示すフローチャート300を図示する。処理は、プリントジョブの開始とともにステップ310から始まりうる。説明の便宜上、フローチャートにおいて例示される方法の出力先装置としてプリンタ170が想定される。一般に、フローチャート300の例示的方法は当業者に明らかな適切な修正を加えてあらゆる出力先装置の混合に適用することができる。いくつかの実施例においては、方法の一部又はすべてを直接出力先装置において実行することができる。いくつかの実施例においては、方法は出力先装置に接続されたコンピューティングデバイスに搭載することができる。
【0028】
出力先装置はプリンタ、プロッタ、ファクシミリ装置、複合機、表示装置、及び/又はコンピューティングデバイスでありうる。また、各個別のPDL及び言語プロセッサの実施態様の特性及び性能に基づいて適切な修正が行われうる。フローチャート300に図示する例示的方法は一以上のCPU176、各ASIC/FPGA178、メモリ172及び/又は二次記憶装置173を用いてプリンタ170によって実行しうる。
【0029】
ステップ320において、PDLにおいて直接又は暗に指定されるグループオブジェクト又は構成物(「各グループ」)が識別されうる。いくつかの実施例においては、PDLの言語プロセッサはプリントジョブのPDLの仕様を解析して、グループを識別しうる。一以上のオブジェクトのセットに明確に又は暗に関連付けられた色空間を用いて混合処理が施される最小の粒度はグループと称しうる。各グループは階層的に構造化され、ネスト化され、及び/又はその他の低レベルのグループを含みうる。一般に、PDLのグループはPDLによって指定され又は言語オブジェクトに実行される演算処理の種類及び/又は順序によって推断しうる。例えば、PDF(商標)においては、各グループはネスト化され、ネスト化されたPDF(商標)グループのスタックは異なる色空間を有しうる。処理の際に、各グループはその親に混合され、最も外側のグループ(PDF(商標)のページグループとも称される)はプリンタ固有の色空間に変換することができる。他の例としては、「canvas」と称されるXPS(商標)のネスト化されたグループは共通の色空間を有する。しかし、ネスト化されたグループで構成されたページには異なる混合色空間を指定することができ、当該ページは後に周辺機器に固有の色空間においてレンダリングされる。ステップ330では、色空間がステップ320において識別された各グループに関連付けられうる。いくつかのPDLにおいてはグループに色空間が指定され、指定された色空間はグループに関連付けられうる。
【0030】
ステップ340において、アルゴリズムはユーザが「高速モード」印刷を選択したかを判断しうる。高速モード印刷が有効にされた場合、ステップ345において、グループに関連付けられた色空間はオーバーライドされ、プリンタ170固有の色空間と置き換えうる。次に、混合を実行する所定ルーチン360が呼び出されうる。高速モードにおいては、所定ルーチン360はグループに関連付けられた元の色空間の代わりにプリンタ170に固有の色空間を用いて混合を実行しうる。いくつかの実施例においては、所定ルーチン360はプリンタ170のファームウェア171に格納され、メモリ172にコピーされ、そしてCPU176によって呼び出されうる。
【0031】
ステップ375において、アルゴリズムはプリントジョブのすべてのグループが処理されたか判断する。処理すべきその他のグループが残されている場合、アルゴリズムはステップ385で次のグループへ移行し、ステップ345、ルーチン360並びにステップ375及び385を繰り返しうる。例えば、ネスト化されたグループの階層は高速モードで処理され、各ネスト化されたグループがその親と混合され、各グループの混合はプリンタ170に固有の色空間を用いて実行される。すべてのグループが処理された後に、アルゴリズムはステップ395で処理を終了しうる。混合の色変換はプリンタ170に固有の色空間において実行されるため、プリントジョブが高速モードで処理される場合、色空間変換の回数は最小限に抑えられる。いくつかの実施例においては、高速モードを用いることによって計算コストを減らし、印刷ページのより高いスループットが可能になるため、特定の時間間隔において印刷されるページ数をより増加させることが可能になる。
【0032】
そして、高速モード印刷が選択されなかった場合は、混合の所定のルーチン360を呼び出す前に、ステップ355で、指定されたグループの色空間設定を用いて色空間変換が実行される。
【0033】
いくつかの実施例においては、所定のルーチン360において、グループ内の混合はグループの色空間内で発生することがあり、グループが親グループに組み込まれるまで、データは当該色空間にとどまりうる。よって、構成要素たる入力オブジェクトはそのグループに関連付けられた色空間に変換することができ、そのグループが処理された後に結果として得られるデータを親グループの色空間に変換することができる。
【0034】
ステップ370において、アルゴリズムはプリントジョブのすべてのグループが処理されたか判断する。処理すべきその他のグループが残されている場合、アルゴリズムはステップ380において次のグループへ移行し、処理すべきグループがなくなるまで適宜ステップ350、355、ルーチン360並びにステップ370及び380を繰り返しうる。すべてのグループが処理された後にアルゴリズムはステップ395で処理を終了する。いくつかの実施例においては、すべてのグループについて処理を実行した後に一以上の追加のステップ(図示せず)を実行して、ルートグループの色空間がプリンタ170に固有の色空間に一致しない場合に、ルートグループをプリンタ170に固有の色空間に混合しうる。混合のための色変換が指定に基づいてグループに関連付けられた色空間において実行されるので、プリントジョブが第二又は非高速モードで処理される場合でも色精度は維持される。
【0035】
例示的方法300によれば、ユーザによる印刷出力に関する柔軟な決定が可能となる。例えば、速くコピーをすることを所望の場合は高速モードが選択され、色が正確なコピーについては通常又は非高速モードが用いられうる。文書の作成、編集及び/又は校正の際には多くの場合印刷スピードが重要であることから、高速モードによってユーザが速く印刷されたコピーを生成することを選択することが可能になる。一方、色精度は一般に文書の「最終」版に求められており、第二又は非高速モードを用いることによって色が正確な印刷文書の作成が可能になる。
【0036】
ある実施例においては、混合を実行する方法は再帰的技術を用いて実行しうる。再帰的に混合処理を実現するある方法を図示する例示的疑似コードが以下に示されている。以下の疑似コードにおいて、説明的コメントは「/*」及び「*/」によって区切られている。以下の例においては、混合処理に「通常モード」(又は非高速モード)を用いる場合にはProcessPageNormal及びProcessGroupNormalのルーチンが呼び出され、混合処理に「高速モード」を用いる場合にはProcessPageFast及びProcessGroupFastが呼び出される。
/*NormalMode*/
ProcessPageNormal(page)
{
ProcessGroupNormal(pagegroup) /*pagegroup is root group */
convert pagegroup to native device colorspace
}

ProcessGroupNormal(grp) /* grp is a group */
{
for each object in grp {

if (object is a group) {
ProcessGroupNormal(object)
}

convert object to colorspace of grp
blend object into grp
}
}

/*Fast Mode */
ProcessPageFast(page)
{
ProcessGroupFast(pagegroup) /* pagegroup is root group */
}

ProcessGroupFast(grp) /* grp is a group */
{
for each object in grp {

if (object is a group) {
ProcessGroupFast(object)
}

convert object to native device colorspace
blend object into grp
}
}

【0037】
例示的疑似コードで示されているように、通常モードにおいては、ページグループ等のルートグループに遭遇する場合ProcessPageNormalからProcessGroupNormalが呼び出されうる。そして、ProcessGroupNormalは繰り返し呼び出され、グループがそのラスタライゼーション空間において処理された後にそのグループについて色空間変換及び親グループへの混合が実行される。上述の疑似コードにおいて示されているように、高速モードにおいては、ページグループ等のルートグループに遭遇する場合ProcessPageFastからProcessGroupFastが呼び出されうる。そして同様にProcessGroupFastが繰り返し呼び出され、ただし、高速モードにおいてはグループがそのラスタライゼーション空間において処理された後に、出力先装置に固有の色空間に変換されて、親グループに混合される。
【0038】
いくつかの実施例においては、上述の処理を実行するプログラムはコンピュータ読取可能なメディア150又はコンピュータ読取可能なメモリに記録しうる。これらにはReadOnlyMemory(ROM)、ProgrammableReadOnlyMemory(PROM)、フラッシュメモリ、NonVolatileRandomAccessMemory(NVRAM)、又はsecuredigital(SD)メモリカード、CompactFlash(商標)、SmartMedia(商標)、MemoryStick(商標)等のデジタルメモリカード等を含むがこれらに限定されない。いくつかの実施例においては、一以上の種類のコンピュータ読取可能なメディアがプリンタ170に接続されうる。特定の実施例においては、開示されるシステム、方法及び構成を実現するプログラムの各部分はネットワーク140上で配信されうる。
【0039】
本発明のその他の実施例は、本明細書に開示される、詳細な説明の検討及び本発明の一以上の実施例の実施により当業者にとって明らかとなるであろう。本明細書と実施例は、例示とすることのみを意図しており、本発明の真の範囲や意図は添付される請求項において示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つのモードのうちの一つを用いて、PDLで記述された少なくとも一つのカラー文書を処理する方法であって、前記モードのうち、
第一モードは、
少なくとも一つのPDLグループと関連付けられた第一指定色空間を出力先装置に固有の第二色空間と置き換えるステップと、
前記第二色空間を用いて前記少なくとも一つのPDLグループに混合処理を実行するステップと、
を備え、
第二モードは、
前記第一指定色空間を用いて前記PDLグループに混合処理を実行するステップ
を備える方法。
【請求項2】
前記少なくとも一つのカラー文書を記述するのに用いられる前記PDLは
PDF、
XPS、
PostScript、
PCL、
PPDS、
SVG、
Diablo、
SPL、
IPDS、及び
DVI
のうちの一以上を備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は前記出力先装置において実行される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記出力先装置はプリンタである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は前記出力先装置に接続されたコンピューティングデバイスにおいて実行される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記出力先装置がプリンタである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
プロセッサによって命令が実行された場合、少なくとも二つのモードのうちの一つを用いて、PDLで記述された少なくとも一つのカラー文書を処理する方法のステップを実行する前記命令を格納するコンピュータ読取可能な媒体であって、前記モードのうち、
第一モードは、
少なくとも一つのPDLグループと関連付けられた第一指定色空間を出力先装置に固有の第二色空間と置き換えるステップと、
前記第二色空間を用いて前記少なくとも一つのPDLグループに混合処理を実行するステップと、
を備え、
第二モードは、
前記第一指定色空間を用いて前記PDLグループに混合処理を実行するステップ
を備える。
【請求項8】
前記少なくとも一つのカラー文書を記述するのに用いられる前記PDLは
PDF、
XPS、
PostScript、
PCL、
PPDS、
SVG、
Diablo、
SPL、
IPDS、及び
DVI
のうちの一以上を備える請求項7に記載のコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項9】
前記方法は前記出力先装置において実行される請求項7に記載のコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項10】
前記出力先装置がプリンタである請求項9に記載のコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項11】
前記方法は前記出力先装置に接続されたコンピューティングデバイスにおいて実行される請求項7に記載のコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項12】
前記出力先装置はプリンタである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも二つのモードのうちの一つを用いて、PDLで記述された少なくとも一つのカラー文書を処理する方法のステップを実行するプロセッサを制御する命令を含むコンピュータ読取可能なメモリであって、前記モードのうち、
第一モードは、
少なくとも一つのPDLグループと関連付けられた第一指定色空間を出力先装置に固有の第二色空間と置き換えるステップと、
前記第二色空間を用いて前記少なくとも一つのPDLグループに混合処理を実行するステップと、
を備え、
第二モードは、
前記第一指定色空間を用いて前記PDLグループに混合処理を実行するステップ
を備える。
【請求項14】
前記カラー文書を記述するのに用いられる前記PDLは
PDF、
XPS、
PostScript、
PCL、
PPDS、
SVG、
Diablo、
SPL、
IPDS、及び
DVI
のうちの一以上を備える請求項13に記載のコンピュータ読取可能なメモリ。
【請求項15】
前記方法は前記出力先装置において実行される請求項13に記載のコンピュータ読取可能なメモリ。
【請求項16】
前記出力先装置がプリンタである請求項15に記載のコンピュータ読取可能なメモリ。
【請求項17】
前記方法は前記出力先装置に接続されたコンピューティングデバイスにおいて実行される請求項13に記載のコンピュータ読取可能なメモリ。
【請求項18】
前記出力先装置がプリンタである請求項17に記載のコンピュータ読取可能なメモリ。
【請求項19】
少なくとも一つのカラー文書を処理するシステムであって、
前記少なくとも一つのカラー文書を記述するPDLプリントデータを受信するように構成された入力インターフェースと、
前記PDLプリントデータを格納するように構成されたメモリと、
前記入力インターフェース及び前記メモリに連結されたプロセッサを備え、
前記プロセッサはメモリ内の命令を実行して以下のステップを含む方法を実行するように構成され、当該方法は少なくとも二つのモードのうちの一つを用いて、前記少なくとも一つのカラー文書を処理する方法であって、
第一モードは、
少なくとも一つのPDLグループと関連付けられた第一指定色空間を出力先装置に固有の第二色空間と置き換えるステップと、
前記第二色空間を用いて前記少なくとも一つのPDLグループに混合処理を実行するステップと、
を備え、
第二モードは、
前記第一指定色空間を用いて前記少なくとも一つのPDLグループに混合処理を実行するステップ
を備えるシステム。
【請求項20】
前記出力先装置がプリンタである請求項19に記載のシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−33545(P2010−33545A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−132648(P2009−132648)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ システムズ ラボラトリー, インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】