説明

複数の吸引孔を有するエジェクター

【課題】圧力を高めることなく単体のエジェクターによって異なる流体を吸引することができるようにする。
【解決手段】エジェクター1は、エジェクター本体10、エジェクター流入口2、分割部材3で二つに仕切られた隘路31、32、吸引開口11、12、エジェクター流出口4で構成される。エジェクター流入口2から流入した液体は、分割部材3で二つに分割された隘路31、32を通過する際に流速が高まり負圧状態となり、二つの吸引開口11、12からそれぞれに気体が流体中に吸引される。この吸引開口11、12に異なる気体が供給されるようにすると、気体は吸引開口11、12から吸引されて流体と混合されて溶解してエジェクター流出口4より排出されるので、異なる気体を流体に吸引溶解させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路に隘路を形成して流速を高めて負圧状態をつくり、隘路の側部に形成した吸引開口から気体を流体内に吸引して液体に気体または液体を混合するエジェクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エジェクターは、水道の吐水口に取り付けて真空ポンプとして利用するエジェクターポンプが知られており、吸引開口は一つであり、単一の気体が吸引されている。エジェクターを使用して複数の流体(気体)を吸引する場合、従来は図4(1)に示すように、エジェクターを直列に配列したり、図4(2)に示すように、エジェクターを並列に配列して複数の流体を吸引することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−110000号公報
【特許文献2】特許第4207245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エジェクターを直列に配置した場合、流入口の圧力(P1)、管内の圧力(P2)、及び流出部の圧力(P3)の関係が、P1>P2>P3とする必要があり、流体を吸引するためには、流入口の圧力をエジェクター単体の場合よりも増大させなければならず、ポンプ容量を大きくしなければならなかった。
【0005】
また、エジェクターを並列に配列した場合、配管が複雑になると共に分岐配管のためのスペースを必要とし、かつ、分岐管を必要とするなど部品点数も多くなるためコストがかかる上、吸引混入することができる流体の量が大きくなく、更に装置をコンパクトにまとめることが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、流入圧力を高めることなく複数の流体を、また、複雑な分岐配管をすることなく、単体のエジェクターによって異なる流体を吸引できるようにすると共に、装置をコンパクトにまとめることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、流体の通路の一部に隘路を設けて流速を高めて負圧状態として気体を吸引するエジェクターにおいて、隘路に分割部材を設けて複数の隘路を形成し、それぞれの隘路に吸引開口を設けることによって複数の流体を吸引すると共に、吸引する流体量を増大させることを特徴とするものである。
【0008】
エジェクターの隘路の流路分割数は任意であり、2分割に限らずエジェクターとしての隘路が確保できる限り分割することが可能である。
更に、本発明のエジェクターは、気体だけでなく、液体を吸引させてもよく、液体同士の混合にも適用できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エジェクターの吸引開口から吸引された流体が、分割された隘路において、それぞれ異なった流体を効率よく吸引することができ、オゾン水製造装置に適用することができ、より多くのオゾンを水に効率よく溶解させることができるのでオゾン水を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のエジェクターの縦断面図。
【図2】本発明のエジェクターの図1のA−A断面図。
【図3】本発明のエジェクターを使用したオゾン水製造装置の概念図。
【図4】エジェクターを複数配列した従来技術の概念図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のエジェクターの実施例の断面図であり、エジェクター本体10、流入口2、分割部材3で二つに仕切られた隘路31、32隘路30、31の各々の側壁に設けられた吸引開口11、12、及び流出口4で構成されている。流入口2、流出口4、吸引開口11、12のそれぞれにはネジ式のコネクタ5が設けてあり、流路となる管を接続できるようになっている。
分割部材3は、隘路の全長に渡る長さであり、隘路は完全に分離されて独立した隘路31、32を形成しており、分割部材3の両端部は、流体の流れを阻害しないように流線形若しくは、先鋭に形成してある。
【0012】
エジェクター1の流入口2から流入した液体等の流体は、分割部材3で二つに仕切られた隘路31、32を通過する際に流速が高められて負圧状態となり、吸引開口11、12からそれぞれに気体が流体中に吸引される。この吸引開口11,12に異なる気体を供給すれば、それぞれの気体は吸引開口11,12から吸引されて流体と混合されて溶解し、流出口4より排出される。
【0013】
図3は、本発明のエジェクターをオゾン水製造装置へ適用した例である。
オゾン水製造装置50は、オゾン発生器51、オゾン流路52、処理液体槽53、ポンプ6、注入流路7、二つの吸引開口11、12を有するエジェクター1、エジェクター1の流出口に接続した管路54及びオゾンを溶解させたオゾン水を貯留するタンク55から構成される。
【0014】
処理液体槽53に貯留された被処理液は、ポンプ6によって注入流路7を通ってエジェクター1の流入口に送られエジェクター1の隘路によって増速されて負圧状態とする。一方、オゾン発生器51で生成したオゾンは、オゾン流路52を通り、エジェクター1の一方の吸引開口11に供給され、被処理液内に吸引されて溶解し、供給管路54を通ってオゾン水60としてタンク55に貯留される。被処理液をオゾンで飽和させるためには余剰のオゾンが必要であるため、溶解されないオゾンはタンク55内に残存オゾンとしてタンクに存在する。
【0015】
タンク55に接続してあるオゾン返送管路8が、エジェクター1の他方の吸引開口12に連結してあり、タンク55内の残存オゾンがエジェクター1の吸引開口12から流体内に吸引されて溶解されるのでタンク55内の残存オゾンを有効利用することができる。
エジェクター1の吸引開口11から流体内に吸引されたが溶解されずにタンク55内に存在する残存オゾンは、繰り返し使用されるのでタンク55内に気体の状態で存在する残存オゾンの増加が抑えられ、残存オゾンを処理するという後処理の工数が削減される。
【符号の説明】
【0016】
1 エジェクター
10 エジェクター本体
11,12 吸引開口
2 流入口
3 分割部材
31、32 隘路
4 流出口
5 コネクタ
50 オゾン水製造装置
51 オゾン発生器
52 オゾン流路
53 処理流体槽
54 供給管路
55 タンク
6 ポンプ
7 注入流管路
8 返送管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の通路の一部に隘路を設けて流速を高め、負圧状態として流体を吸引して流体と混合するエジェクターにおいて、隘路に流路方向に沿って分割部材を設けて隘路を複数に分割し、それぞれの隘路に吸引開口を設けたことを特徴とするエジェクター。
【請求項2】
請求項1において、隘路が分割部材によって2または3に分割されているエジェクター。
【請求項3】
隘路に流路方向に沿って分割部材を設けて隘路を2つに分割し、それぞれの隘路に吸引開口を設けたエジェクターを介して処理液体槽とタンクが連結してあり、処理液体槽とエジェクターの間にポンプが設けてあり、オゾン発生器がオゾン流路を介してエジェクターの一方の吸引開口に連結してあり、他方の吸引開口にはタンク内の残存オゾンをエジェクターに送るための残存オゾン返送管路が連結してあるオゾン水製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−21544(P2011−21544A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167280(P2009−167280)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(509200897)エコテックス株式会社 (2)
【出願人】(000137074)株式会社ホクコン (40)
【Fターム(参考)】