説明

複数の投稿(データのグループ)を複数の軸に沿ってリアルタイムにコンピュータ画面に表示する方法およびコンピュータ・プログラム

【課題】
「つぶやき」「ツイート(Tweets)」による情報発信について、フォローするユーザの側で、複数の投稿をリアルタイムに多面的に分析できるようにすること。
【解決手段】
他のコンピュータから続々と情報発信されてくる複数の投稿(52)を、ユーザの入力または選択の操作に従って、コンピュータ画面における複数の軸(X軸、Y軸)に沿って多面的に表示して、その表示対象となる投稿をリアルタイムに切り替える。ディメンジョン分析用テーブル66とディメンジョン順位テーブル67とを作成することで、所定時間にわたる投稿の出現を分析することにより、リアルタイムに、キーワード(521)が優位な状況であるのか、発言主(522)が優位な状況であるのかを出現のカウントによって分析して、X軸とY軸とに表示するための順位(524におけるTopN)を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の投稿(データのグループ)をコンピュータ画面に効果的に表示するユーザインターフェイスに関するものである。より詳しくは、他のコンピュータから続々と情報発信されてくる複数の投稿を、ユーザの入力または選択の操作に従って、コンピュータ画面における複数の軸に沿って多面的に表示して、その表示対象となる投稿をリアルタイムに切り替える工夫に関する。
【背景技術】
【0002】
「つぶやき」「ツイート(Tweets)」による情報発信が流行している。これは、個々のユーザが短いフレーズ(140文字以内のテキストデータ)での独り言的な内容を投稿することで、ゆるいつながりが発生していくというコミュニケーション・ツールであって、企業サービスとしても浸透してきている。登録商標「TWITTER」(日本国登録番号第5188811号)で呼ばれているサービスが、その代表的なものである。
【0003】
個々のユーザの投稿ごとに、固有のURLが割り当てられ、自分専用のサイト「ホーム」(通常は、個々のユーザが操作しているコンピュータ上で起動するアプリケーション・ソフトウエア)には、自分の投稿と、あらかじめ自分が「フォロー」したユーザの投稿とが、「タイムライン」と呼ばれる時系列順に、コンピュータ画面にスクロールされて表示される。
【0004】
ブログへの書き込みなどのテクノロジと比較すると、リアルタイム性が高いことが特徴であり、例えば「いまどうしてる(What’s Happening?)」といった気軽な問いかけの投稿でさえもきっかけとなる、ゆるいコミュニケーションが可能となっている。
【0005】
しかし、このコミュニケーション・ツールを使用して公開討論会やイベントへ参加する場合など、自分がフォローしているユーザの数が多くなれば多くなるほど、一時に大量の投稿が発信されてコンピュータ画面に表示されるため、それらの複数の投稿の中からコミュニケーションの流れ(状況またはトレンド)を汲み取ることが難しくなってしまう。
【0006】
特に、リアルタイムで進行していく複数の投稿の中に、複数の発言主からの複数の話題や複数のテーマが混在してしまっている場合には、より一層困難になってしまい、タイムリーな「つぶやき」として、コミュニケーションを成立させるための効果的なフィードバックをすることが難しくなってしまう。
【0007】
この点、情報発信をする側のユーザである発言主(フォロワー、と呼ばれる)が、話題に沿ってあらかじめ定義された「キーワード」を「つぶやき」(投稿)として指定しているような場合がある。そういう指定があるならば、その発言主からの「つぶやき」をフォローしているユーザの側の工夫として、その「キーワード」を頼りにして必要な投稿のみを絞り込むことは可能である。しかし、絞り込んだ結果を更に絞り込むことまではできない。
【0008】
また、「キーワード」を指定していない「つぶやき」については、そもそも絞り込むことさえできない。また、リアルタイムに進行している状態では、話題を形成している「キーワード」が次第にシフトしていったり、突如として変化してしまうことは、日常会話において頻繁に起きる現象である。自然でゆるいコミュニケーションを成立するためには、そのような変化には寛容であるべきであり、ユーザとして柔軟に対応することが求められる。
【0009】
この点、フォローしているユーザの側において、複数の投稿をリアルタイムに多面的に分析できるようにすることには重要な意義がある。
【0010】
特許文献1は、自然言語で記述された操作命令を、品詞レベルで解釈して多次元分析を行うシステムについて記述している。
【0011】
特許文献2は、ユーザによる単一発言を解析して、発言と関連する広告などの情報を提示するシステムについて記述するものであるが、複数発言にまたがった分析を行うものではない。
【0012】
特許文献3は、最初の分析者が分析に利用した軸情報を、キーワードとともに保管しておき、次回以降の分析者がキーワードを入力し、それを元に分析軸情報を利用できるようにすることについて記述があるが、そもそも分析対象とする分析軸の範囲内でのシステムにすぎない。
【0013】
特許文献4は、あらかじめ利用目的別に用意されたサンプル構成(分析用シナリオ)に基づき、ユーザが対話的にフォーマットを選択していくことで、容易に多次元DBのシステムを構築するものである。しかし、あくまでも既存の構成をベースにして、多次元DBの分析モデルを設定するにすぎない。
【0014】
特許文献5は、関係スキーマの相互関係を元に自動でディメンジョンモデルを定義するためのシステムである。しかし、関係スキーマの相互関係を元にしてディメンジョンを定義しており、単一テーブルに収められたデータを元にして分析用ディメンジョンを定義するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2004−46394号公報
【特許文献2】特開2009−193133号公報
【特許文献3】特開2004−252797号公報
【特許文献4】特開平成11−316766号公報
【特許文献5】特開2004−303213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、複数の投稿(データのグループ)をコンピュータ画面に効果的に表示するユーザインターフェイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
続々と情報発信されてくる複数の投稿について、ユーザの入力または選択の操作に従って、コンピュータ画面における複数の軸に沿って多面的に表示する。
【0018】
また、その表示対象となる投稿をカーソル(マーキング)の移動や指定されたディメンジョンの要素に応じてリアルタイムに切り替える。
【発明の効果】
【0019】
ユーザーによる多面的な分析に有意義となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明を実施する背景となる複数のコンピュータの接続関係を示す図である。
【図2】図2は、本発明を実施するコンピュータの構成を示す図である。
【図3】図3は、本発明による複数の投稿(データのグループ)をコンピュータ画面に表示する方法を説明する図である。
【図4】図4は、本発明による複数の投稿(データのグループ)をコンピュータ画面に表示する方法を説明する図であり、図3から状況が変化した状態を示す図である。
【図5】図5は、本発明による複数の投稿(データのグループ)をコンピュータ画面に表示する方法を説明する図であり、図4から状況が変化した状態を示す図である。
【図6】図6は、本発明による複数の投稿(データのグループ)をコンピュータ画面に表示する方法を説明する図であり、図5から状況が変化した状態を示す図である。
【図7】図7は、本発明を実施する際に用いる複数のテーブルを示す模式図である。
【図8】図8は、本発明を実施するにあたり、カーソル(マーキング)をユーザが移動操作することに対する複数の軸の関連性をトラックする手順を示す図である。
【図9】図9は、本発明を実施するにあたり、複数の軸に用意されたフィルター用プロンプトにおけるユーザによる入力または選択をトラックする手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明を実施する背景となる複数のコンピュータの接続関係を示す図である。コンピュータ10、コンピュータ20、コンピュータ30は、それぞれがネットワーク40に接続されており、相互に通信している。コンピュータ画面に表示される投稿を見ながら入力操作または選択操作をして、複数のユーザがリアルタイムにゆるいコミュニケーションをすることができる。ネットワーク40は、典型的には、インターネットであろう。また、携帯電話が進化を果たしており、モバイル環境で扱えるコンピュータとしての役割を果たすようになっていることは広く知られているが、その場合のネットワーク40は電話網であることもある。
【0022】
図2は、本発明を実施するコンピュータの構成を示す図である。コンピュータ10、コンピュータ20、コンピュータ30のうちの、1つのコンピュータの典型的な構成を示す図である。ネットワーク・インターフェイス45を通じて、ネットワーク40(図1参照)に接続されている。各コンピュータは、コンピュータ画面50を有しており、典型的にはユーザへのインターフェイスとして液晶表示がなされる。携帯電話では、ユーザがキーボードや押しボタンによる入力をする場合もある。ユーザからの入力は、備え付けられたキーボードまたは外部入力端子に接続されたキーボードやマウス等を通じても入力することができる。
【0023】
最近普及してきたスマートフォンでは、ユーザの操作を許容するタッチパネルの構成になっており、ユーザインターフェイスとして重要な部分となっている。ユーザ自身の指でタッチしたり、スタイラスペンでタッチして、特定の投稿を選択できるように構成することもできる。
【0024】
コンピュータ画面50には、典型的には、そのコンピュータのユーザ自身の投稿52が表示され、さらには、ネットワーク40に接続されている他のコンピュータのユーザであってフォローしているユーザ(フォロワー)からの投稿52が表示され、それらの投稿52がタイムライン53に沿って時系列順に個別に識別可能なデータのグループとして表示される。
【0025】
コンピュータ画面50には表示スペースとしての何らかの制約があるため、典型的な表示の設定では、投稿の発信時刻に従ってリアルタイムに最新の投稿が画面の上から現れて、その代わりとして、古い投稿が下にスクロールされて表示画面から消えていくように設定されている。ユーザはこのタイムライン53に沿って表示が繰り返される複数の投稿52を読むことによって、話題、テーマ、状況またはトレンドをリアルタイムに把握することになる。
【0026】
コンピュータ画面50は、典型的にはビデオアダプタ55に接続され、メモリ60、CPU70、入出力(I/O)装置80、にも接続される。メモリ60には、オペレーティングシステム61が記憶されて常駐している。
【0027】
典型的には、このオペレーティングシステム61の上において、コミュニケーション・ツールの根幹となるソフトウエアとして、つぶやきアプリケーションプログラム62が記憶されてスタンバイされており、複数の投稿の表示をコントロールする。つぶやきアプリケーションプログラム62は、記憶媒体を通じて外部からダウンロードすることもできるし、ネットワークを通じて外部からダウンロードすることもできる。
【0028】
メモリ60には、この他にも、データ本体であるファクトテーブル64、ディメンジョンテーブル65、ディメンジョン分析用データテーブル66、ディメンジョン順位テーブル67、を記憶している。これらのテーブルは複数の投稿をどのように表示するかについて利用するものであり、ハードウエア資源若しくはソフトウエア、または、ハードウエア資源およびソフトウエアの組合せとして実現される。これらテーブルの詳細については図7において後述する。
【0029】
CPU70が、コンピュータとしての処理の全体をコントロールする。コンピュータにつぶやきアプリケーションプログラム62と同等の機能を実行させる環境であれば、システムとして構成することができる。
【0030】
図3は、本発明による複数の投稿(データのグループ)をコンピュータ画面に表示する方法を説明する図である。
【0031】
投稿している状況としては、コンピュータを利用している複数のユーザが、サッカー(フットボール)の試合をリアルタイムに観戦(現場において、あるいは、テレビを通じて)していて、その試合の状況を見守りながら、つぶやいている状況を例にしている。
【0032】
ここでは、図2においても説明した複数の投稿52のうちのひとつ(表示対象としてのデータのグループとしての単位)を点線で囲んで示している。他の投稿についての点線は省略しているが、何れの複数の投稿もデータのグループとして識別可能である。
【0033】
投稿52は、コンピュータ画面上においてユーザによって認識(読取り)可能である文章として表現されている。文章としてのフレーズ521「点はいらないなあ」が「つぶやき」としての主要な実体であって、投稿ごとに分離して連続してコンピュータ画面に表示される。
【0034】
ツイッター(twitter)と呼ばれるサービスでは、最大140のテキストデータ(文字、図形、または記号という要素)に収めるというルールに従って、この例では、ごく短いフレーズ521をもって「つぶやき」が表現されている。
【0035】
また、この例では、その投稿の発言主(ユーザ)は、投稿52の左側に図形または記号522(この例では、握手をしている記号)で表されている。このようにすることによって、どの投稿52がどの発言主(ユーザ)のコンピュータから情報が発信されたものであるかについて、容易に判別することができるようにされている。
【0036】
基本的なディフォールトの設定としては、まず、自分の投稿と、あらかじめ自分が「フォロー」したユーザの投稿とが、「タイムライン」と呼ばれるY軸(分析軸)に沿って時系列順(上の投稿ほど新しく、下の投稿ほど古い、または上下逆)に、コンピュータ画面に表示される設定がある。リアルタイム性を考慮して最近の投稿であればあるほど表示の対象としての優先順位が高い、という設定である。
【0037】
また別のディフォールトの設定としては、「タイムライン」と呼ばれるY軸に沿って時系列順であって、かつ、特定の「要素」を含む投稿だけを表示の対象にするというフィルターをかけた絞込みをする設定がある。この例では、「負けられない戦い」という「キーワード」(文字、図形、または記号という、複数の要素の組合せ)を含む投稿だけをコンピュータが特定して、Y軸に沿って時系列順に表示する設定となっている。
【0038】
この例では、「負けられない戦い」という話題の流れ(一種のスローガン)が表現されている「キーワード」は、図中では複数表示されている投稿52のうちの何れの投稿にも現れていない。しかし、投稿されている最大140のテキストデータ中のどこかには、その「キーワード」が含まれていることに注意されたい。点線で囲んでいる投稿52のために用意されているスペースにも何らかの制約があるため、最大140のデキストデータの全てが表示できない場合もあるからである。
【0039】
コンピュータによって、コンピュータ画面において、ユーザに入力または選択をプロンプトする(ユーザによる指示を待つ)ようにする工夫として、Y軸について、フィルター用プロンプト523が現れるように設定することができる。
【0040】
このフィルター用プロンプト523は、初期のディフォールトの設定として表示しておいてもよいし、ユーザによる何らかの操作により、または、ユーザがコンピュータ画面50のどこかにタッチすることにより現れるように設定してもよい。さらには、コンピュータ画面50上に現れているプロンプト523以外の領域のどこかを、ユーザが再度続けてタッチしたような場合には、コンピュータ画面50から消えるように設定してもよい。
【0041】
フィルター用プロンプト523の右側の矢印アイコンをクリックすると、ユーザによって選択できるTopN(所定時間にわたる出現をカウントしてTop(上位)のN個を抽出したもの)の複数の「キーワード」の候補524が現れるようにすることができる。TopNの候補524は、上から順に出現頻度の高い順に並べて(後述するテーブルに記憶して)おくことができ、リアルタイムで進行していく複数の投稿の直近の状況または「トレンド」を反映させるように、適宜更新することができる。詳細については後述する。
【0042】
ユーザは、複数の「キーワード」の候補524の中から、特定の「キーワード」にタッチすることで、その「キーワード」を選択し、その「キーワード」を含む投稿だけを表示の対象として絞り込む処理をコンピュータに実行させることができる。ここでも、ユーザからの入力は、キーボードを通じての直接入力(例えば、文字による入力)を許容するようにすることもできるであろう。
【0043】
ユーザの便宜として、表示されている複数の投稿のうちでもユーザ自身が現在どの投稿に注目しているかについて容易に識別できるように、マーキングしたい投稿の位置を示すカーソル525が表示される。このカーソル525は、ユーザの操作に従って、タイムライン(Y軸)に沿って移動することができる。また、表示されている複数の投稿の中から特定の注目したい投稿に直接タッチすることでマーキングできるように構成することもできる。
【0044】
X軸(左右方向)は、Y軸とは異なる軸であり、カーソル525によってマーキングされている投稿を含み、このカーソル525をピボット位置として投稿を表示するための「別の軸」として展開される。図中には示していないが、カーソル525によってマーキングされている投稿は必ずしも単数であるとは限らず、複数であってもよい。
【0045】
X軸においても、フィルター用プロンプト526が現れるように設定することができる。ユーザによる利用の方法は、Y軸におけるフィルター用プロンプト523の利用の方法と同様である。
【0046】
ここでは、カーソル525によってマーキングされている投稿の発言主(ユーザ)が、投稿の左側の図形または記号(この例では、四葉(よつば)のクローバーの記号)で表された発言主(ユーザ)からのものであることから、この発言主(ユーザ)からの投稿だけがX軸に沿って表示されるように、表示する対象の絞込みがなされている。つまり、X軸に沿っては、投稿の左側の図形または記号(この例では、四葉のクローバーの記号)の発言主(ユーザ)からの投稿が追加的に特定されて、X軸に沿って連続して表示されている。
【0047】
X軸における初期の設定が、発言主(ユーザ)の方がキーワードよりも表示の対象としての優先順位が高いという設定であれば、このような特定が自動的になされることになる。発言主(ユーザ)は、キーワードと同様に図形または記号(ここでは、四葉のクローバー)で表されるが、キーワードとは異なる、ディメンジョンの要素である。
【0048】
X軸における表示の設定を変更したい場合には、プロンプト526の右側の矢印アイコンをクリックすると、ユーザによって選択できるTopNの複数の「ディメンジョンの要素」の候補526が現れるようにすることができる。ユーザによる利用の方法は、Y軸と同様である。
【0049】
図3の表示では、Y軸のディメンジョンの要素はキーワード、X軸のディメンジョンの要素は発言主(ユーザ)、となっている。
【0050】
図4は、本発明による複数の投稿(データのグループ)をコンピュータ画面に表示する方法を説明する図であり、図3から状況が変化した状態を示す図である。
【0051】
TopNの候補524は、上から順に出現頻度の高い順に並べて(ディメンジョンテーブル65に記憶して)おくことができ、リアルタイムで進行していく複数の投稿の直近の状況または「トレンド」を反映させるように、適宜更新することができる。ここでは、図3の状況では最も表示の対象としての優先順位が高かった「負けられない戦い」よりも「ゴールを決めたD」の方が優先順位が高くなるように状況または「トレンド」が変化している。括弧付きで、「(負けられない戦い)」と示されていることで、現在のY軸の表示に採用されているところの絞込みキーワードがユーザに把握できるようになっている。
【0052】
また、「ゴールを決めたD」のうち「D」という選手についてのフレーズを含む、渦巻きの図形または記号の発言者(ユーザ)の投稿にカーソル525が位置しており、X軸に沿って、渦巻きの図形または記号の発言者(ユーザ)の投稿が追加的に特定されて、連続して表示される。
【0053】
図4の表示では、Y軸のディメンジョンの要素はキーワード、X軸のディメンジョンの要素は発言主、となっている。
【0054】
図5は、本発明による複数の投稿(データのグループ)をコンピュータ画面に表示する方法を説明する図であり、図4から状況が変化した状態を示す図である。
【0055】
実際に「ゴールを決めたD」がユーザの操作によって選択されて、「ゴールを決めたD」という「キーワード」を含む投稿だけを表示の対象として絞り込む処理をコンピュータに実行させると、Y軸に沿って表示されている複数の投稿も変わることになる。
【0056】
また、同時にX軸に沿って表示されている複数の投稿も、図4の状況での優先順位よりも所定時間が経過しているため、渦巻きの図形または記号の発言者(ユーザ)の投稿が追加されてきていることもあるため、同じ発明者(ユーザ)からの投稿であっても、優先順位が変化することがあるり、X軸に沿ってもタイムラインに沿って表示される。
【0057】
X軸も「タイムライン」に設定することができ、X軸に沿って時系列順(右の投稿ほど新しく、左の投稿ほど古い、または左右逆)に、コンピュータ画面に表示される設定がある。リアルタイム性を考慮して最近の投稿であればあるほど表示の対象としての優先順位が高い、という設定である。
【0058】
ただし、カーソル525によってマーキングされている投稿は、ユーザにとってのメモのような働きのあるマーキングされているピボットとして、時系列順においても固定された設定として変化しない方が望ましい。もっとも、固定しない設定とすることも当業者であれば容易であろう。
【0059】
図5の表示では、Y軸のディメンジョンの要素はキーワード、X軸のディメンジョンの要素は発言主、となっている。
【0060】
図6は、本発明による複数の投稿(データのグループ)をコンピュータ画面に表示する方法を説明する図であり、図5から状況が変化した状態を示す図である。
【0061】
ユーザの選択によって、図5でマーキングされていた投稿「Dきたー!」(一種の感情表現)が、カーソル525の移動によって、一つ下の投稿「DはクラブE所属らしい」がマーキングされるように、ずらされている。さらに、X軸の「キーワード」を「DはクラブE所属らしい」のうちの「DはクラブE所属」というキーワードに従って絞り込んだ状態である。
【0062】
ここでは、X軸において発言主よりもキーワードを優先させる絞込みであるため、X軸に沿って並ぶ複数の投稿は、発言主が異なるものが表示されている。
【0063】
図6の表示では、Y軸のディメンジョンの要素はキーワード、X軸のディメンジョンの要素もキーワード、となっている。
【0064】
カーソル525は、X軸に沿っても移動することができる。そのような場合には、Y軸に沿って並ぶ複数の投稿が異なるものになる。マーキングされている投稿が変わるためにY軸の側で表示される投稿が変わることになる。X軸とY軸とは、共通するピボット位置の投稿における共通性を通じて「関連がある」からである。
【0065】
ピボットとしてのカーソル525は、コンピュータ画面50の中央に設定することができる。たとえカーソルが移動しても、カーソル525が常に画面の中央になるようにしておいた方がユーザにとっては見やすく扱いやすいであろう。しかし、これに限られるものではない。
【0066】
図7は、本発明を実施する際に用いる複数のテーブルを示す模式図である。
【0067】
ファクトテーブル64は、データ本体である。投稿ごとに、その発信されてきた時刻、ディメンジョンの要素(発言主の区別、(もし指定があれば)キーワードの区別)、が管理されている。発信時刻の先後に従うだけで、複数のタイムラインを構成することができ、これが、予めコンピュータに記憶されている所定の設定の順序、となる。
【0068】
このファクトテーブル64を対象にして所定時間にわたって出現をカウントすることで、状況のリアルタイム性を考慮した、ディメンジョンテーブル65を作成することができる。これらのファクトテーブル64とディメンジョンテーブル65とは、OLAP(online analytical processing)として知られている技術においても作成しているテーブルである。スナップショットを取り、多次元データとして再構成しようというものである。
【0069】
発言主によるキーワードの指定が無い場合には、対象となる複数の投稿(フレーズ)の中から出現頻度の高いものを自動的に抽出することも可能である。
【0070】
本発明を実施するために特徴的になってくるのは、ディメンジョン分析用テーブル66とディメンジョン順位テーブル67とを作成することである。複数の投稿をリアルタイムに多面的に分析するためには、所定時間にわたる出現の分析により、リアルタイム性を考慮して、直近ではキーワードが優位な状況であるのか、直近では発言主が優位な状況であるのかを出現のカウントによって分析して、X軸とY軸とに表示するための順位を設定している。
【0071】
X軸にはキーワード、Y軸には発言主という、各々の分析軸に別々のディメンジョンの要素を割り当てて、リアルタイムに異なるディメンジョンの要素を一覧に画面表示できることは、多面的な分析においてきわめて有意義である。
【0072】
ただし、ユーザの選択によって、(ディメンジョン順位テーブル67に従うことなく)X軸とY軸とのディメンジョンの要素を同じものに設定することもできる(図6参照)。
【0073】
図8は、本発明を実施するにあたり、カーソル(マーキング)をユーザが移動操作することに対する複数の軸の関連性をトラックする手順を示す図である。
【0074】
図9は、本発明を実施するにあたり、複数の軸に用意されたフィルター用プロンプトにおけるユーザによる入力または選択をトラックする手順を示す図である。
【0075】
以上の説明は、X軸とY軸との2軸において説明してきたが、この発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、これにZ軸を追加して、立体的(例えば、コンピュータ画面の奥行き方向)に表示することも可能であろう。
【0076】
また、ディメンジョンの要素も、発言主、キーワード、という2種類に限られず、この他にも、発言相手、を追加する構成にするなど、多種類に拡張することも容易であろう。
【0077】
一般的なOLAPにおいては、ユーザが、表示されている任意の分析軸の1つを別の分析軸の上にドラッグアンドドロップすることにより、それぞれの表示する領域を入れ替えることができる。本発明においても同様に、ユーザが所定の操作を行うことにより、表示されている軸を入れ替えることができる。例えば、ユーザはX軸のフィルター用プロンプト526をドラッグし、Y軸のフィルター用プロンプト523の上でドロップすることにより、表示されていた内容の軸を入れ替えることができる。
【符号の説明】
【0078】
10 20 30 コンピュータ
40 ネットワーク
45 ネットワークインターフェイス
50 コンピュータ画面
52 投稿(データのグループ)
53 タイムライン
55 ビデオアダプタ
60 メモリ
61 オペレーティングシステム
62 つぶやきアプリケーションプログラム
64 ファクトテーブル(データ本体)
65 ディメンジョンテーブル
66 ディメンジョン分析用テーブル
67 ディメンジョン順位テーブル
70 CPU
80 入出力(I/O)装置
521 フレーズ(これは、発言主(ユーザ)による指定があればキーワードを含むものになっている)
522 発言主(ユーザ)(これによって、どの発言主(ユーザ)のコンピュータから情報が発信されたものであるかについて、容易に判別することができる)
523 526 フィルター用プロンプト
524 TopNの候補(523の矢印アイコンをクリックすると現れるようにできる)
525 カーソル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々がコンピュータ画面上においてユーザによって視覚的に認識可能である文章を表現している、複数のデータのグループを、コンピュータによって、グループごとに分離して連続してコンピュータ画面に表示する方法であって、
コンピュータによって、コンピュータ画面上において、ユーザに文字、図形、または記号から成る単数の要素または複数の要素の組合せ(以下、「ディメンジョンの要素」)の入力または選択をプロンプトする(ユーザによる指示を待つ)ステップと、
ユーザの入力または選択があった場合には、コンピュータによって、入力または選択された1つ以上のディメンジョンの要素を含む、複数のデータのグループを特定するステップと、
コンピュータによって、特定された複数のデータのグループを、コンピュータ画面上の1つの軸に沿って複数個、分離して連続して表示するステップと、
コンピュータによって、ユーザの操作に従って、コンピュータ画面上において表示されている単数または複数のデータのグループにわたって1つの軸に沿って移動することができ、かつ、それらのうちでも特定の単数または複数のグループだけを指し示すカーソル(マーキング)を表示するステップと、
コンピュータによって、ユーザの操作に従って、コンピュータ画面上においてカーソル(マーキング)を移動させるステップと、
コンピュータによって、現在カーソル(マーキング)がコンピュータ画面上で指し示しているところ(ピボット位置)の単数または複数のデータのグループを特定するステップと、
コンピュータによって、現在カーソル(マーキング)が指し示している特定の単数または複数のデータのグループが含む1つ以上のディメンジョンの要素と関連がある1つ以上のディメンジョンの要素を含む、追加的な単数または複数のデータのグループを特定するステップと、
コンピュータによって、追加的に特定された単数または複数のデータのグループを、1つの軸とは異なる、コンピュータ画面上において視覚的に認識可能な別の軸に沿って複数個、分離して連続して表示するステップとを含む、
前記方法。
【請求項2】
ディメンジョンの要素の入力または選択をプロンプトする(ユーザによる指示を待つ)ステップが、キーワードのTopNの候補の表示を含むものである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ユーザの入力または選択がない限りは、コンピュータによって、予めコンピュータに記憶されている所定の設定の順序に従って、複数のデータのグループを特定するステップと、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
予めコンピュータに記憶されている所定の設定の順序が、時系列順のタイムラインである、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ディメンジョンの要素が、発言主およびキーワードという2種類である、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つの軸におけるディメンジョンの要素と、1つの軸とは異なる別の軸におけるディメンジョンの要素が、異なったものとして表示される、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
別の軸について、コンピュータによって、コンピュータ画面上において、ユーザに文字、図形、または記号から成る単数の要素または複数の要素の組合せの入力または選択をプロンプトする(ユーザによる指示を待つ)ステップと、
別の軸について、ユーザの入力または選択があった場合には、コンピュータによって、入力または選択された1つ以上のディメンジョンの要素を含む、追加的な単数または複数のデータのグループを特定するステップとを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
1つの軸におけるディメンジョンの要素と、1つの軸とは異なる別の軸におけるディメンジョンの要素が、同じものとして表示される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各々がコンピュータ画面上においてユーザによって視覚的に認識可能である文章を表現している、複数のデータのグループを、コンピュータによって、グループごとに分離して連続してコンピュータ画面に表示するシステムであって、
コンピュータによって、コンピュータ画面上において、ユーザに文字、図形、または記号から成る単数の要素または複数の要素の組合せ(以下、「ディメンジョンの要素」)の入力または選択をプロンプトする(ユーザによる指示を待つ)ステップと、
ユーザの入力または選択があった場合には、コンピュータによって、入力または選択された1つ以上のディメンジョンの要素を含む、複数のデータのグループを特定するステップと、
コンピュータによって、特定された複数のデータのグループを、コンピュータ画面上の1つの軸に沿って複数個、分離して連続して表示するステップと、
コンピュータによって、ユーザの操作に従って、コンピュータ画面上において表示されている単数または複数のデータのグループにわたって1つの軸に沿って移動することができ、かつ、それらのうちでも特定の単数または複数のグループだけを指し示すカーソル(マーキング)を表示するステップと、
コンピュータによって、ユーザの操作に従って、コンピュータ画面上においてカーソル(マーキング)を移動させるステップと、
コンピュータによって、現在カーソル(マーキング)がコンピュータ画面上で指し示しているところ(ピボット位置)の単数または複数のデータのグループを特定するステップと、
コンピュータによって、現在カーソル(マーキング)が指し示している特定の単数または複数のデータのグループが含む1つ以上のディメンジョンの要素と関連がある1つ以上のディメンジョンの要素を含む、追加的な単数または複数のデータのグループを特定するステップと、
コンピュータによって、追加的に特定された単数または複数のデータのグループを、1つの軸とは異なる、コンピュータ画面上において視覚的に認識可能な別の軸に沿って複数個、分離して連続して表示するステップとを実行する、
前記システム。
【請求項10】
各々がコンピュータ画面上においてユーザによって視覚的に認識可能である文章を表現している、複数のデータのグループを、コンピュータによって、グループごとに分離して連続してコンピュータ画面に表示する、つぶやきアプリケーションプログラムであって、
コンピュータによって、コンピュータ画面上において、ユーザに文字、図形、または記号から成る単数の要素または複数の要素の組合せ(以下、「ディメンジョンの要素」)の入力または選択をプロンプトする(ユーザによる指示を待つ)ステップと、
ユーザの入力または選択があった場合には、コンピュータによって、入力または選択された1つ以上のディメンジョンの要素を含む、複数のデータのグループを特定するステップと、
コンピュータによって、特定された複数のデータのグループを、コンピュータ画面上の1つの軸に沿って複数個、分離して連続して表示するステップと、
コンピュータによって、ユーザの操作に従って、コンピュータ画面上において表示されている単数または複数のデータのグループにわたって1つの軸に沿って移動することができ、かつ、それらのうちでも特定の単数または複数のグループだけを指し示すカーソル(マーキング)を表示するステップと、
コンピュータによって、ユーザの操作に従って、コンピュータ画面上においてカーソル(マーキング)を移動させるステップと、
コンピュータによって、現在カーソル(マーキング)がコンピュータ画面上で指し示しているところ(ピボット位置)の単数または複数のデータのグループを特定するステップと、
コンピュータによって、現在カーソル(マーキング)が指し示している特定の単数または複数のデータのグループが含む1つ以上のディメンジョンの要素と関連がある1つ以上のディメンジョンの要素を含む、追加的な単数または複数のデータのグループを特定するステップと、
コンピュータによって、追加的に特定された単数または複数のデータのグループを、1つの軸とは異なる、コンピュータ画面上において視覚的に認識可能な別の軸に沿って複数個、分離して連続して表示するステップとを実行する、
前記つぶやきアプリケーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−113434(P2012−113434A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260426(P2010−260426)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】