複数の灌注ルーメン搭載のカテーテルを利用した一体型焼灼システム
【課題】灌注式焼灼カテーテルを提供する。
【解決手段】焼灼用に適合されたカテーテルは、各電極又は電極セットに流体を供給する目的専用の灌注管材を複数具備している。管材は、カテーテルを貫通する平行流動経路として供する。この流動経路から灌注流体を潅注式チップ電極及び/又はリング電極に供給することによって単極性又は両極性焼灼を遂行できる。この種の分離された流体経路及び専用の流体経路を用いることによって、対応する電極又は電極セットに別々の流速で流体を供給できる。この種のカテーテルを用いた一体型焼灼システムは、焼灼エネルギー供給源を具備するほか、互いに独立して作動する複数のポンプヘッドの付いた灌注ポンプも具備している。流体供給源とカテーテルとの間に延在する一体型灌注管材セットが具備されており、各ポンプヘッドが別種の電極又は電極セットに流体を供給する別々の管材に作用できるようになされている。
【解決手段】焼灼用に適合されたカテーテルは、各電極又は電極セットに流体を供給する目的専用の灌注管材を複数具備している。管材は、カテーテルを貫通する平行流動経路として供する。この流動経路から灌注流体を潅注式チップ電極及び/又はリング電極に供給することによって単極性又は両極性焼灼を遂行できる。この種の分離された流体経路及び専用の流体経路を用いることによって、対応する電極又は電極セットに別々の流速で流体を供給できる。この種のカテーテルを用いた一体型焼灼システムは、焼灼エネルギー供給源を具備するほか、互いに独立して作動する複数のポンプヘッドの付いた灌注ポンプも具備している。流体供給源とカテーテルとの間に延在する一体型灌注管材セットが具備されており、各ポンプヘッドが別種の電極又は電極セットに流体を供給する別々の管材に作用できるようになされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して侵襲性内科療法のための方法及び装置に関し、特にカテーテルに関し、詳細には灌注式焼灼カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
心筋組織の焼灼は、心不整脈の治療として周知である。高周波(RF)焼灼では、例えば、カテーテルを心臓内に挿入し、標的の場所で、組織と接触させる。次いで、組織内の催不整脈性電流の経路を破壊するために、カテーテル上の電極を介してRFエネルギーを印加し、損傷を生じさせる。
【0003】
焼灼は主として、局所焼灼(すなわち、カテーテルの遠位端のチップ電極を介した焼灼)によって遂行されてきた。そのため、直線又は曲線に沿った線状焼灼の場合、長時間にわたる焼灼の間、チップ電極を繰り返し再配置するか、直線又は曲線に沿って組織一帯を牽引することになる。
【0004】
同様に、灌注式焼灼チップ電極及びリング電極も既知となっている。両電極は電極温度の降下に効力を発揮し、焼灼の間、骨炭及び凝塊の形成を最小限に抑える。しかしながら、特に複数電極を灌注する場合は、患者への流体の装入量が懸念となる。
【0005】
現在のEPカテーテルは、単一の灌注ルーメンを利用して1つ以上の灌注式電極に対して灌注を実施する。そのため、使用されているポンプユニットは、単一ポンプヘッド構成のものである。カテーテルが複雑なものになるほど、複数の灌注ルーメンの必要性が増してくる。現在、複数の灌注ルーメンを備えるカテーテルに対して灌注を実施するには、複数のポンプユニットを使用しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、局所焼灼及び線状焼灼の両方に適合され、カテーテルを再配置せずに線状損傷を形成できるカテーテルが求められるようになった。特に求められているのは、単極性及び両極性焼灼用に適合されたチップ電極及びリング電極を具備したカテーテルである。この種のカテーテルは、単純化処置時間の短縮、及びそのような処置の臨床的有効度の改善に有利である。なお、この種のチップ電極及びリング電極に潅注する場合、要望される点として、これらの電極を介した流体の流れが、潅注式電極の選択的な付勢に依存しないとしても、制御可能かつ可変であるという点も更に挙げられる。目的に見合うよう、複数の独立した流動経路内に流体を供給し、選択された電極又は電極セットが別々の流速で流体を受容できるように適合された灌注ポンプを具備させた、一体型焼灼システムが一段と求められるようになってきている。流速が電極の付勢状態に依存する場合は、特に求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の灌注管材を備え、焼灼用に適合されたカテーテルを含む。それぞれの灌注管材は、選択された電極又は電極セットに灌注流体を供給することに専念する。管材はカテーテルを貫通する略平行な流動経路として供する。この流動経路において灌注流体は、互いに分離され離隔された経路を介して灌注焼灼電極に供給されるので、別個の電極に別々の流速で供給できる。例えば、患者への流体装入量を最小限に抑えながら電極灌注開口に注水できるように、冷却用の焼灼電極に流体を供給する流速を上げ、非焼灼電極に流体を供給する流速を下げることを術者が望む場合もある。
【0008】
一実施形態においてカテーテルは、細長い本体と、偏向可能な中間区域と、電極を少なくとも2つ含んだ遠位区域とを具備する。第1灌注管材及び第2灌注管材を更に具備するカテーテルは、各電極への独立及び専用の灌注流動経路が画定され、各電極が別々の流体を受容(更には排出)できるようになされている。
【0009】
より詳細な実施形態においては、カテーテルに潅注式チップ電極及び複数の潅注式リング電極を組み合わせて搭載しているか、複数の潅注式リング電極のみを搭載している。前者の例において食塩水などの流体は、一方の灌注管材を介して遠位に装着されたチップ電極に供給され、他方の灌注管材を介して1つ以上のリング電極に供給される。この実施形態は特に、すべての電極を利用してRF電力を用いた線状両極性焼灼又は単極性焼灼を行う場合はもとより、チップ電極のみから局所単極性焼灼を行う場合にも、有用であると考えられる。リング電極、チップ電極、又は電極の組み合わせに流体を供給できるため、電極が利用されていときには、患者への流体(食塩水など)の装入量を抑えられる。更に、チップ電極及びリング電極は設計が相違することから、同様なRF供給条件下で同様な臨床的転帰を達成するためには、灌注流速がそれぞれ異なっていなければならない場合がある。
【0010】
他の実施形態において、カテーテルに潅注式リング電極のみが搭載されている場合、両極RF焼灼のどちらかを使用して線状タイプの損傷が形成される。1つの灌注管材を通して1つのリング電極サブセットに流体を供給する一方、第2灌注管材を通して残りの電極サブセットに流体を供給する。2つ以上の灌注ルーメンを利用して少なくとも2つの電極サブセットに流体を供給することによって、例えば、(i)灌注が必要とされる電極にのみ灌注流体を供給できるため、結果として患者への流体の注入量を制限でき、(ii)複数の灌注ルーメンを介して各電極から灌注流体をより均等に流体供給できるため、結果として電極間にわたって駆動圧及び質量流量を減じる作用が最小限に抑えられるなど、いくつかの利点が得られる。
【0011】
本発明はまた、少なくとも2つの電極を備えるカテーテル、焼灼エネルギー供給源、及び少なくとも2つのポンプヘッドを備える灌注ポンプを有し、それぞれが独立して作動するように適合された一体型焼灼システムにも関する。このシステムは、少なくとも1つの流体供給源、及び一体型灌注管材セットも具備している。この一体型灌注管材セットは、少なくとも1つの流体供給源と一方の電極との間に少なくとも第1流体経路を提供し、少なくとも1つの流体供給源と他方の電極との間に第2流体経路を提供する。このシステムにおいて灌注ポンプは、各電極の付勢状態に応じて各ポンプヘッドを作動するように適合されていて、電極を焼灼エネルギー源によって選択的に付勢できるという点で有利である。例えば、一方の電極のポンプヘッドはその電極がエネルギーを得たときに一方の流速で流体を供給すべく作動し、他方の電極のポンプヘッドはその電極がエネルギーを得たときに他方の流速で流体を供給すべく作動するものであってよい。しかも、各ポンプヘッドは、対応する電極が利用されていないときに(又は、本明細書中で置き換え自在に用いられているように「消勢されているときに」)、更に別の流速で作動し得る。
【0012】
したがって、複数のポンプヘッド付きの灌注ポンプは、カテーテルの複数の灌注ルーメンに対する灌注を個別制御できる。各ポンプヘッドは、RF発生器の支配下におかれ、各電極又は電極セットに流体を供給するように独立して制御されている。目的に見合うよう、複数の平行管材を含む一体型灌注管材セットが流体供給源とカテーテルとの間に延在している。これにより、管材の使用が簡略化され、管材の所要数を節減できる。一体型灌注管材セットは、灌注ポンプまで到達する平行流体経路として供する。各ポンプヘッドは各管材に作用して、その管材を介して所望の流速が得られるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のこれらの及び他の特徴及び利点は、添付図面と合わせて考慮するとき、以下の詳細な説明を参照することにより、より十分に理解されるであろう。選択した構造及び特徴は、残りの構造及び特徴のよりよい理解を提供するために、特定の図面に示されていないことを理解する。
【図1】本発明によるカテーテルの一実施形態の斜視図。
【図2】本発明による一体型焼灼システムの実施形態を図示する斜視図。
【図3】図2のシステムのブロック図。
【図4A】第1直径に概ね沿って取った、カテーテル本体と偏向可能中間区域との連結部を含む、図1のカテーテルの側断面図。
【図4B】別の直径に概ね沿って取った、カテーテル本体と偏向可能中間区域との連結部を含む、図1のカテーテルの側断面図。
【図4C】線C−Cに沿って取った、図1のカテーテルの末端部断面図。
【図5】組織に接して焼灼により損傷を形成する、図1のカテーテルの遠位区域の実施形態を示す側面立面図。
【図6A】図5の遠位区域を直径に概ね沿って取った側断面図。
【図6B】図5の遠位区域を別の直径に概ね沿って取った側断面図。
【図6C】線C−Cに沿って取った、図5の遠位区域の末端部断面図。
【図7】灌注式リング電極の一実施形態。
【図8A】本発明による灌注管材セットの一実施形態を示した平面図。
【図8B】本発明による灌注管材セットの別の実施形態を示した平面図。
【図9A】本発明による複数のポンプヘッドを備える灌注ポンプを示した別々の実施形態の略図。
【図9B】本発明による複数のポンプヘッドを備える灌注ポンプを示した別々の実施形態の略図。
【図9C】本発明による複数のポンプヘッドを備える灌注ポンプを示した別々の実施形態の略図。
【図10】本発明の実施形態による、心臓内の組織の焼灼に関するシステムの概略描写図。
【図11】システムの異なる作動条件と試料流体の流速を対照して示した表。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、本発明に含まれる操縦可能なカテーテル10は、チップ電極T及び複数のリング電極Rを含めた複数電極、並びに少なくとも2つの灌注ルーメン(L1:流れ分離用、及びL2:流れ隔離用)を具備している。このカテーテルは身体の標的部位(例えば、心臓の心房)に配置され、高周波(RF)電流を利用して標的組織に沿った線状焼灼を容易に行えるように設計されている。カテーテルは、カテーテルを再配置する必要なしに概ね連続的なRF損傷を形成できるという点で、有利に設計されている。カテーテルはいったん配置された後、所定位置にとどまることができる。そこへは、RFエネルギーがリング電極を通して選択的に供給され、概ね連続的なRF損傷を形成する。RFエネルギーは、標的組織と接触する単極電極としての各リング電極を通って帰還電極(例えば、患者に背中に張り付けられた外部電極パッチ)に供給され、局所単極損傷を生じさせる。その後、単極損傷を「連結」して概ね連続的な線状損傷を形成できるよう、両極電極としてのリング電極を付勢することによってそれぞれの局所損傷間の組織を焼灼し、リング電極間に両極損傷を形成する。このようにして本システムは、損傷形成の迅速化、及びカテーテル操作の軽減を可能にしている。
【0015】
図2及び図3に示すように、カテーテル10は、一体型焼灼システムSに使用してもよい。一実施形態において、この焼灼システムSは、外部コントロールシステム、例えばRF焼灼コントローラ13搭載のマルチチャネルRF発生器11ポンプヘッドコントローラ15、ビジュアルディスプレイ25などを具備している。システムSは、灌注ポンプ27も具備している。この灌注ポンプ27は、複数のモーションコントローラMC1〜MCNと連通する自動コントロールレシーバー19と、それぞれのポンプヘッドPH1〜PHN(例えば、少なくとも2つのポンプヘッドPH1及びPH2)を含む。これらのポンプヘッドは、灌注流体を複数の灌注ルーメンを具備したカテーテルに供給している。各灌注ルーメンは、他方の電極又は電極セットを除外した一方の電極又は電極セットへの専用流動経路として供している。
【0016】
RF発生器11には、焼灼設定に基づいて各ポンプヘッドの自動個別の操作を可能にするロジックが組み込まれている。RF発生器のユーザーインタフェース23により、ポンプヘッドを作動させるためのカスタムパラメータをユーザーが修正、定義してプロセスをより細かく制御することができる。
【0017】
焼灼は、マルチチャネルRF発生器11上での設定ワット数で、実施される。流体をポンピングするための容積式を使用して、灌注ポンプ27をペリスタティックポンプ又はローラーポンプとすることができる。ペリスタティックポンプは、ポンプ外装の内部に可撓管が嵌着されている。ペリスタティックポンプは、典型的には環状であるが、線状のものも使用できる。また、灌注ポンプには気泡センサー、閉塞センサー、又はポンプを安全に作動させるために利用される他の任意のセンサーを更に具備させてもよい。
【0018】
マルチチャネルRF発生器11は、ユーザーインタフェース23を介して術者によって制御されている焼灼パラメータセットに従い、選択された電極を通してRF電流を送る。例えば、(i)すべての電極を同時に付勢してもよいし、(ii)すべてのリング電極を除外してチップ電極を付勢してもよい。また(iii)その逆も同様で、すべてのチップ電極を除外してリング電極を付勢してもよい。又は(iv)チップ電極を選定されたリング電極と一緒に付勢してもよく、若しくは(v)すべてのリング電極又は選定されたリング電極のみを付勢してもよい。更には、これらの一連の付勢パターンは、いずれかの任意の組み合わせ又はシーケンスも取り得る。いずれによっても、線状損傷の焼灼中にカテーテルを再配置する必要性が回避される。
【0019】
焼灼の間、マルチチャネルRF発生器は、関連する電極の温度の監視も行い、その温度が、ユーザーによって設定された値を超過する場合には、ワット数を低減させる。カテーテル温度情報は、カテーテル上の熱電対からRF発生器に送られる。
【0020】
本発明によれば、RF発生器11はポンプヘッドコントローラ15を介して灌注ポンプ27とも連通して、灌注時の供給流量を制御する。つまり、RFエネルギーは1つの電極又は電極セットを通して供給されるが、RF発生器は対応するポンプヘッドをトリガして所望の流速でその1つの電極又は電極セットに流体を供給する。RFエネルギーがすべての電極に印加されると、RF発生器はすべてのポンプヘッドをトリガして(1種以上の)所望の流速で流体を供給する。通信を行うには、BLUETOOTH(登録商標)などのケーブル無線通信技術を使用してもよいし、無線信号(例えば、2.4GHz又は医療ラボ環境での使用に供する他の好適な振動数で伝送される無線信号)を使用してもよい。
【0021】
RF焼灼コントローラ13が生成した焼灼/付勢信号(各電極の付勢状態、すなわち「コンディション」を示す)に呼応し、ポンプヘッドコントローラ15はRF焼灼コントローラ13と連通して、灌注ポンプ27の自動コントローラレシーバ19に適正な信号を送信し、モーションコントローラMCiごとにポンプヘッドPHiを制御する。信号に呼応して、各モーションコントローラMCiは各ポンプヘッドPHiの作動、流れの開始若しくは停止、及び/又は流速の加速若しくは減速を行える。例えば、流速の減速及び/又は加速が可能である。流速を下げると、ポンプヘッドが不活性電極に対して灌注流体を供給するようになるため、患者への流体装入量を最小限に抑えられる。流速を上げると、ポンプヘッドが電力受信量の多い電極に対して灌注流体を供給するようになり、周辺領域の血液が拡散されるので、電極の灼熱化に起因する骨炭及び凝塊の形成を最小限に抑えられる。当業者によって理解されるように、不活性の付勢電極を介した最小限の流速を概ね維持することによって、電極内の灌注開口に注水し、閉塞のリスクを最小限に抑えることができる。必要に応じて、術者はユーザーインタフェース23を介してポンプヘッドを手動で制御することもできる。
【0022】
各ポンプヘッドは、流体供給源に連結されている専用の灌注管材に作用する。このようにして、システムは図2に示す平行灌注運搬構成21を利用する際に、複数の平行灌注運搬経路(専用又は分離)を用いる。なお、各灌注運搬経路は、専用流体供給源FSi、専用ポンプヘッドPHi経由で作用を受ける専用灌注管材ITi、及びその他の電極又は電極セットから別々に電極又は電極セットを供給する専用のカテーテル灌注ルーメンLiを含んで構成されている。
【0023】
図1を参照すると、開示された実施形態によるカテーテル10は細長い本体を備えている。この細長い本体は、長手方向軸を有する挿入シャフト又はカテーテル本体12と、カテーテル本体から軸外に単方向又は双方向に偏向できる、カテーテル本体の遠位の中間区域14とを含み得る。中間区域14の遠位は、遠位チップ電極T、及び複数のリング電極Rが搭載された遠位区域17である。これらの電極は、焼灼及び灌注用に適合されている。
【0024】
図4A及び図4Bに示されている実施形態においてカテーテル本体12は、単一の、軸方向又は中央ルーメン18を有する、細長い管状構成体を含む。カテーテル本体12は、可撓性、すなわち曲げることができるが、その長さに沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構成体であってよく、任意の好適な材料で作製してよい。現時点で好ましい構成体は、ポリウレタン又はPEBAXで作製される外壁30を含む。外壁30は、カテーテル本体12の捩り剛性を増大させるために、当該技術分野において一般的に既知の、ステンレス鋼などの埋め込み式編組みメッシュを含むことにより、制御ハンドル16を回転させると、中間区域14及び遠位区域17が、対応する方式で回転することになる。
【0025】
カテーテル本体12の外径は重要ではないが、好ましくは約0.267cm(8フレンチ)以下、より好ましくは0.233cm(7フレンチ)である。同様に、外壁30の厚さは重要ではないが、中央ルーメン18が任意の所望のワイヤー、ケーブル、及び/又は管を収容できるように、十分に薄い。外壁30の内側表面は、捩り安定性の改善を提供するために、補強管31で裏打ちされる。補強管31の外径は、外壁30の内径とほぼ同一であるか、又は若干それよりも小さい。補強管31は、極めて良好な剛性を提供し、かつ体温で軟化することがない、ポリイミドなどの任意の好適な材料で作製することができる。
【0026】
偏向可能中間区域14は、複数のルーメンを有する短い区域の管材15を含み、各ルーメンは、中間区域を通って延びる様々な構成要素によって占有される、図4Cで極めて良くわかるように、例示されている実施形態においては6つのルーメンがある。各電極用のリード線/熱電対の対40及び41は、第1ルーメン33(例示されている実施形態においては軸上ルーメン)を貫通する。提供される保護シース42は非伝導性のものである。1つの電極又は第1電極セットに流体を供給するための第1灌注管材43は、第2ルーメン34(例示されている実施形態においては軸外ルーメン)を貫通する。少なくとも単一方向の偏向を可能にするため、第1牽引ワイヤー44aは第3軸外ルーメン35を貫通する。遠位区域17に配置された複数の単軸センサー(SAS)などの位置センサーアセンブリ用のケーブル46は、第4ルーメン36(例示されている実施形態においては軸外ルーメン)を貫通する。別の電極又は第2電極セットに流体を供給するための第2灌注管材47は、第5ルーメン37(例示されている実施形態においては軸外ルーメン)を貫通する。少なくとも双方向の偏向を可能にするため、牽引ワイヤー44は第6の軸外ルーメン38を貫通する。
【0027】
中間区域14のマルチルーメン管材15は、好ましくはカテーテル本体12よりも可撓性の、好適な非毒性材料で作製される。好適な材料は、編組みポリウレタン又はPEBAX、すなわち、編組みステンレス鋼などの埋め込み式メッシュを備える、ポリウレタン又はPEBAXである。ルーメンを通って延びる構成要素を収容するための、十分な空間が存在するのであれば、ルーメンの個数及び各ルーメンのサイズは、重要ではない。また、牽引ワイヤー44a、44bに対するルーメン35、38の位置を除く、各ルーメンの位置も重大な意味を持たない。ルーメン35及び38が平面に沿って双方向に偏向できるためには、それぞれ軸外にあって正反対に対向していなければならない。
【0028】
カテーテルの有効長、すなわち、身体内に挿入することができる部分は、必要に応じて変化させることができる。好ましくは、この有効長は、約110cm〜約120cmである。中間区域14の長さは、この有効長の、比較的小さい部分であり、好ましくは約3.5cm〜約10cm、より好ましくは約5cm〜約10cmの範囲である。
【0029】
カテーテル本体12を中間部分14に取り付ける好ましい手段が、図4A及び4Bに示されている。中間区域14の近位端は、カテーテル本体12の補強管31の遠位端の外側表面を受容する、内周ノッチを含む。中間区域14及びカテーテル本体12は、接着剤など、例えば、ポリウレタンによって取り付けられる。必要な場合、補強管31の遠位端と中間区域14の近位端との間の、カテーテル本体12の内部に、スペーサー(図示せず)が提供されて、カテーテル本体12と中間区域との接合部に、可撓性の遷移が提供されることにより、接合部が褶曲又はキンクすることなく、滑らかに屈曲することを可能にし得る。そのようなスペーサーの例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,964,757号に、より詳細に記載されている。
【0030】
図5を参照すると、中間区域14の遠位は、遠位区域17である。この遠位区域17には、複数のルーメンを設けた管材50が含まれている。この管材50には、遠位のチップ電極T、及び複数のリング電極R1〜RNが取り付けられていて、このリング電極数は、例えば約3〜9個の範囲内である。開示された実施形態においてリング電極は5つ存在している。管材50は、任意の生体適合性プラスチック、例えば、ポリウレタン又はペバックス(PEBAX)で製作し得る。図6A、図6B及び図6Cに示す実施形態において、管材50は4つのルーメン51、52、58及び59を具備している。チップ電極のリード線/熱電対の対40及び41は、第1の軸上ルーメン51を貫通している。この軸上ルーメン51は、中間区域14の第1ルーメン33に概ね軸方向に位置合わせされている。第2軸外ルーメン52は、中間区域の第2ルーメンと34に概ね軸方向に位置揃えされ、第1灌注管材43の遠位端を受容している。ルーメン52は、管材43の遠位端と共に流体密シールを形成できるサイズに調整され、その結果、流体が遠位方向に向かってルーメン52に直接流れ込む。図6Cに示すように、各リング電極Rの下側の管材50の側壁に、放射状開口部55が形成されているので、矢印57で示すように、流体がルーメン52からリング電極R1〜RNに流れ込むようになっている。好適な灌注リング電極は、図7に詳細に図示されている。
【0031】
図6A及び6Bを参照すると、リング電極Rは焼灼及び灌注用に適合されている。このリング電極は、概して円筒形であり、その直径よりも大きい長さを有する。リング電極は側面断面を備えており、対向する端部分66の間に放射状に隆起する側壁60付きバレルに類似し得る。湾曲移行領域67が、側壁60と末端部分66との間に提供され、角部又は鋭利縁部を有さない、非外傷性のプロファイルを提供する。
【0032】
図6Cを参照すると、遠位区域17の管材50の外部周囲に、貯水部、すなわち環状ギャップGがある。ギャップGは、開口62を経由して第2ルーメン52からリング電極の外部への流体分布を良好化できる管材50内の開口部55のサイズは、遠位区域17の長さに沿った位置と共に変化する。最適な流れのために、開口部55が遠位区域17に沿って遠位になるにつれて、開口部のサイズ若しくは断面積、及び/又は各リング電極下の開口部55の個数が増大する。
【0033】
開口62は、軸方向オフセット列を含めた既定のパターンで、側壁60に配置構成される。これらの開口は外側に面しているため、放射方向の流れを促す(矢印63を参照)。開口は、湾曲移行領域67の内部又は付近にも設けられている(矢印64を参照)。更には、これらの開口は、電極のプロファイルの移行による、より高い電流密度から生じる「ホットスポット」となる可能性が高い、湾曲移行領域67、又はその付近での、炭化及び凝固を最小限に抑える点で、特に有効である。その点に関して、開口62の個数及び/又は断面積は、電極の側壁60内よりも、湾曲移行領域67、又はその付近で大きいことにより、より多くの冷却作用を、湾曲移行領域内で提供する。他の好適なリング電極は、米国特許出願公開番号US2010/0168548 A1及び米国特許出願番号13/174,742(出願日:2011年6月30日)に記載されている。これら両出願の全内容は、本明細書中で参照によって援用されている。
【0034】
遠位区域17の管材50の遠位端にあるチップ電極Tは、シェル70を有する。シェル70に備わるU形状断面は内部空洞72を画定し、内部空洞72の開放近位端73はプラグ74で密閉され、チップ電極内にプレナムチャンバ75を形成している。多くの灌注開口77はプレナムチャンバに集まる流体をチップ電極の外部へ排出できるようにシェルの放射状壁内に形成される(矢印79を参照)。
【0035】
プラグ73内に形成された軸方向通路80は、灌注管材の1つを受容する。例示されている実施形態において、第2灌注管材47は通路80を介して延在し、プラグ74の遠位面又はその付近で終端して、管材47を貫通する流体がプレナムチャンバ75内に供給されるようになっている。プラグ74は、開放端73で流体密シールを形成できるサイズに調整される。プラグ74の近位面上には有底穴78が形成されているので、リード線/熱電対の対40及び41を受容して、チップ電極と電気的に連通できる。その目的に合わせて、プラグ74及びシェル70は両方とも導電性の材料から作製され、リード線とシェルの間で電気エネルギーを受け渡せるようになっている。チップ電極もリング電極と同様に、白金又は金などの任意の好適な貴金属、好ましくは白金及びイリジウムの組み合わせ、又は金及び白金の組み合わせで作製し得る。
【0036】
本発明の特徴によれば、カテーテル10は、数種の電極又は数種の電極セットに分離した灌注流動経路又は専用の灌注流動経路を提供できるように適合されている。いくつかの電極のなかからいずれかを選択及び分離するための基準としては、電極の位置(例えば、遠位若しくは近位)、及び/又はその種類又は機能(例えば、チップ/リング、単極/両極、若しくは局所/連結)が挙げられる。遠位チップ電極及びすべての近位リング電極のなかからいずれかの電極を分離する場合、リング電極を除外してチップ電極を供給する用途には第1流動経路を専用に使い、チップ電極を除外してリング電極を供給する用途には第2流動経路を専用に使う。例えば、第1灌注管材43は専らすべてリング電極に流体を供給し、第2の灌注管材47は専らチップ電極に流体を供給する。
【0037】
カテーテルの遠位区域における、種類又は機能が同一の複数の電極の搭載位置に専ら基づいて分離を行えることは、当業者によって了解されている。例えば、遠位区域にてリング電極のみを具備する場合は、第1流体経路をリング電極の近位部分の供給専用とし、第2流体経路をリング電極の遠位部分の供給専用とすることができる。
【0038】
図2、図4A及び図4Bを参照すると、開示されている実施形態において、灌注流体は第1灌注管材43を経由してリング電極に供給される。この第1灌注管材43の遠位端は、遠位区域17の管材50の第2ルーメン52(管材50の近位端から相対的に短距離の遠位)にて終端している。第1の灌注管材43は、中間区域14の管材15の第2ルーメン34、カテーテル本体12の中央ルーメン18、及び制御ハンドル16を通って近位に延在する。この管材43の近位端は第1ルアーハブ80aに取り付けられ、第1ルアーハブ80aは第1ポンプ管材81aに連結され、第1ポンプ管材81aの近位端は第1ドリップチャンバ83aに取り付けられ、更に、第1ドリップチャンバ83aは第1流体供給源FS1に取り付けられている。第1ポンプヘッドPH1は、第1ルアーハブ80aと流体供給源FS1との間に延在する管材81aの一部分に作用している。
【0039】
灌注流体は、チップ電極プラグ74の有底穴80、遠位区域17の管材50の第4ルーメン59、中間区域14の管材15の第5ルーメン37、カテーテル本体12の中央ルーメン18、及び制御ハンドルを通って延在する第2灌注管材47を経由して、チップ電極に供給される。この管材47の近位端は第2ルアーハブ80bに取り付けられ、第2ルアーハブ80bは第2ポンプ管材81bに連結され、第2ポンプ管材81bの近位端は第2ドリップチャンバ83bに取り付けられ、更に、第2ドリップチャンバ83bは第2流体供給源FS2に取り付けられている。第2ポンプヘッドPH2は、第2ルアーハブ80bと流体供給源FS2との間に延在する管材81bの一部分に作用している。
【0040】
並流を供給して流体供給源FS1と制御ハンドル16との間の連結を可能にするために、複数の細長いポンプ管材を具備させたポンプ管材セットの好適な実施形態を、図8A及び図8Bに図示する。管材セットのそれぞれの部分に対して、各管材は共通の長手継目90に沿って接合して連結されているか、互いに分離され離隔されている。
【0041】
図8Aの実施形態には、複数のルアー取付部品95a、95b、分離した管材92a、92bの遠位部分、接合した管材93a、93bの中間部分、分離した管材94a、94bの近位部分、及び同じ個数のドリップチャンバ83a、83bが含まれる。ルアー取付部品95a、95bはルアーハブ80に嵌合し連結できるように適合されており、管材94a、94bはそれぞれが同じ個数のポンプヘッドPH1、PH2のそれぞれ一つと係合できるように適合されており、ドリップチャンバ83a、83bは、同じ個数の各流体供給源と流体連通できるように適合されている。
【0042】
図8Bの実施形態には、複数の終端器又はルアー取付部品95a、95bを備える分岐管100と、接合した管材98a、98bの遠位部分と、分離した管材99a、99bの中間部分と、接合した管材101a、101bの近位部分とが含まれる。管材99a、99bはそれぞれ同じ個数のポンプヘッドPH1、PH2のそれぞれ一つと係合するように適合されており、管材101a、101bは共通のドリップチャンバ83に連結されており、ドリップチャンバ83は流体供給源と流体連通するように適合されている。管材セットの長さ及び各部分の長さは、ポンプヘッドへの適正なアクセス及びカテーテルの操作を可能にするうえで十分な長さである限り、重大な意味を持たない。カテーテル上に搭載された電極の個数及び種類に応じて、ポンプ管材、ルアー取付部品、ドリップチャンバなどの個数が変化し得ることが了解されている。
【0043】
また、灌注ポンプ27のポンプヘッドPHの個数が適宜又は必要に応じて変化し得ることも、了解されている。ポンプヘッドは、何らかの適当な方法で灌注ポンプ上に配向させて配置構成できる。例えば、ポンプヘッド(任意の複数個)は、垂直に(図9A)、並置して(図9B)、端と端を接して(図9C)、又はそれらを組み合わせて積み重ねることができる。
【0044】
各電極リードワイヤーの近位端は、制御ハンドル16の遠位端にて好適な連結具に電気的に連結することによって、RF発生器11に連結できる。1対のワイヤー40及び41は各電極用に提供されている。開示されている実施形態において、ワイヤー対のワイヤー40は銅線(例えば、番号「40」は銅線)であり、ワイヤー41はコンスタンタンワイヤーである。各ワイヤー対は、各ワイヤーが撚り合わせられる遠位端以外の位置では、互いに電気的に絶縁される。各リング電極Rへの取り付けを行うには、側壁に形成されている穴を通して遠位区域17の管材50の第1ルーメン51へワイヤー対を給送し、各リング電極に接合する(図6Bを参照)。各電極(リング及びチップ)に関するワイヤー対は、制御ハンドル16から、カテーテル本体12の中央ルーメン18、中間区域14の第1ルーメン33、及び遠位区域17の第1ルーメン51を通って遠位に延在する。RFエネルギーは、このワイヤー対のワイヤー40を介して、電極に供給される。しかしながら、当業者によって理解されるように、各コンスタンタンワイヤーを含むワイヤー対は、温度センサーとして又は各電極の温度を感知する熱電対として機能し得る。
【0045】
すべてのワイヤー対は、それらを囲繞する関係の、任意の好適な材料、例えば、ポリイミドで作製することができる、共通の非導電性保護シース42(図4C)を通過する。シース42は制御ハンドル16からカテーテル本体12、中間区域14へと延在し、遠位区域17の近位端の遠位にて終端する。この遠位端は、接着剤、例えば、ポリウレタン接着剤などによって、第1ルーメン51内に係留される。
【0046】
偏向牽引ワイヤーの対44a、44bは、中間軸14を偏向可能にする目的に供される。牽引ワイヤー44a、44bはカテーテル本体12の中央ルーメン18を通って延在し、それぞれ中間区域14の第3ルーメン35及び第6ルーメン38の各一方を貫通している。それらの牽引ワイヤーは制御ハンドル16内の近位端に係留されている。また、それらの牽引ワイヤーの遠位端は、中間区域14の遠位端の位置に又はその遠位端付近の位置に、T字形バー102(図4C)を介して係留されている。T字形バー102は、ポリウレタンなどの好適な材料103で管材15の側壁に固着されている。米国特許第6,371,955に概ね記載されているように、その全開示内容は、本明細書中で参照によって援用されている。牽引ワイヤーは、ステンレス鋼又はニチノールなどの、任意の好適な金属で作製され、好ましくは、Teflon(登録商標)などでコーティングされる。コーティングは、牽引ワイヤーに潤滑性を付与する。例えば、各牽引ワイヤーは、好ましくは、約0.006インチ〜約0.010インチ(約0.0152cm〜約0.0254cm)の範囲の直径を有する。
【0047】
図4A及び図4Bを見ればわかるように、各牽引ワイヤーは、それらを囲繞する関係の、各自の圧縮コイル105を具備している。各圧縮コイル105は、カテーテル本体12の近位端から、中間区域14の近位端、又はその付近へと延在することによって偏向を可能にする。圧縮コイルは、任意の好適な金属、好ましくはステンレス鋼で作製され、可撓性、すなわち屈曲を提供するが圧縮には抵抗するように、各々がそれ自体に対して緊密に巻き付けられる。圧縮コイルの内径は、牽引ワイヤーの直径よりもわずかに大きいことが好ましい。牽引ワイヤー上のTeflon(登録商標)コーティングにより、牽引ワイヤーは、圧縮コイル内部で自由に摺動することが可能になる。カテーテル本体12内で、圧縮コイルの外側表面は、例えばポリイミドのチューブ材でできた、可撓性の非電導性シース106で被覆されている。圧縮コイルの近位端は、近位接着部を介してカテーテル本体12の外壁30に係留され、遠位接着部を介して中間区域14に係留されている。
【0048】
中間区域14の第3ルーメン及び第6ルーメン35及び38の内部において牽引ワイヤー44a、44bは、プラスチック製、好ましくはTeflon(登録商標)製の牽引ワイヤーシース107を貫通して延在する(図4B)。この牽引ワイヤーシースは、牽引ワイヤーが中間区域14の管材15の壁内に切り込まれるのを防いでいる。
【0049】
双方向の偏向を可能にするために、カテーテル本体12に対する牽引ワイヤー44a、44bの長手方向の移動が制御ハンドル16の適正操作によって遂行される。時計方向に又は反時計回転方向に旋回可能なハンドル上には、偏向ノッブ110(図1)が設けてあり、同じ方向に偏向できるようになっている。2本以上のワイヤーの操作に適した制御ハンドルは、例えば、米国特許番号6,468,260、6,500,167、及び6,522,933、並びに米国出願番号12/960,286(出願日:2010年12月3日)に記載されている。その全開示内容は、本明細書中で参照によって援用されている。
【0050】
一実施形態では、位置センサー48は、遠位区域17の第3ルーメン46(図4C)を通って延びるケーブル上に支持される、複数の単軸センサー(「SAS」)を含み、この場合、各SASは遠位区域の端から端までの既知又は既定の位置を占める。ケーブル46は、遠位区域17から、中間区域14の第4ルーメン36(図6)、カテーテル本体12の中央ルーメン18を通り、制御ハンドル16内へと近位方向に延びる。各SASは、既知のSAS及び等間隔に離隔する隣接SASと共に配置できる。開示される実施形態では、このケーブルは、遠位区域の場所及び/又は位置を検出するために、最遠位のリング電極(図6A)、最近位のリング電極、及び中間のリング電極の下に配置される、3つのSASを支持する。これらのSASによって、CARTO、CARTO XP、及びNOGAマッピングシステムを含めた、Biosense Webster,Inc.による製造及び販売のマッピングシステムの下で、遠位区域を観察することが可能になる。好適なSASは、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年12月30日出願の、米国特許出願第12/982,765号に記載されている。
【0051】
図10は、本発明の実施形態による、患者128の心臓126内の組織の焼灼に関するシステムSの概略描写図である。心臓専門医などの術者122は、カテーテルの遠位端が患者の心腔内に入るように、患者の脈管系の中にカテーテル10を挿し込む。術者は、図5に示すように、カテーテルの遠位区域17が、所望の場所で心内膜組織と係合するようにカテーテルを前進させる。カテーテル10は、その近位端の好適なコネクタによって、コンソール130に接続される。コンソールは、遠位区域が接触する組織を焼灼するために、カテーテルの遠位区域にあるチップ電極及びリング電極を介してRFエネルギーを付加するためのRF発生器136を備える。
【0052】
複数のポンプヘッドの付いた灌注ポンプ140は、カテーテル上の各電極の付勢状態を表すRF発生器136からの信号に応答して、少なくとも2通りの流速でカテーテルに灌注流体を提供できるように適合されている。灌注ポンプは、カテーテル内の少なくとも2つの分離した灌注管材に対して少なくとも2つの分離した流体流動経路を画定する、ポンプ管材セット142と共に使用される。そのため、分離した灌注管材によって供給される選択された電極又は電極セットは、好ましくは電極の付勢状態に従って、別々の速度で流動する流体を有し得る。図11は、種々の作動条件における試料流速を示した表である。
【0053】
図示の実施形態では、システムSは、磁気位置検出を使用して、心臓内部のカテーテルの遠位アセンブリの位置座標を判定する。位置座標を判定するために、コンソール130内の駆動回路134が、磁場発生器132を駆動して、患者の身体内部に磁場を生成する。典型的には、磁場発生器は、患者の胴体の下方の、身体外部の既知の位置に配置される、コイルを含む。これらのコイルは、心臓を含む既定の作業容積内に磁場を生成する。カテーテルの遠位区域内にある磁場センサー(例えばSAS)の1つ以上が、これらの磁場に応答して電気信号を発生する。コンソール130はこれらの信号を処理することによって、カテーテルの遠位区域17の位置(場所及び/又は方向)座標を判定する。コンソールは、ディスプレイ138を駆動する際に、その座標を使用して、カテーテルの場所及び状態を示すことができる。この位置検出及び処理の方法は、例えば、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる、PCT国際公開第96/05768号に、詳細に記載されており、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,California)による製造のCARTOシステム内に実装されている。
【0054】
術者は最初にシースを経皮的に脈管系まで貫通させ、上大静脈経由で心臓に到達させることができる。次いで、シースの中にカテーテルを挿し込み、カテーテルの遠位区域17をシースの遠位端までくぐらせ、最終的にはむき出しの状態で心臓内の標的組織に接触させる。術者は制御ハンドルを回す操作と、制御ハンドル16の偏向ノッブ110を用い、カテーテルを操縦して、遠位区域17を標的組織に向けて配向させる操作の両方、又はそのどちらか一方を行うことができる。術者は事前取得済みの心臓のマップ、又はディスプレイ138に表示された画像と共に、上述の位置感知手段を使用して、この調整を遂行できる。代替的に又は追加的に、蛍光透視鏡的又は他の可視化手段のもとで、この整列を実行することができる。
【0055】
図5を参照すると、カテーテル10は、左心房内の「両上肺静脈間天井」などのような線状又は連続的な損傷を形成できるように良く適合されている。例えば、遠位区域17のチップ電極T及びリング電極R1〜RNが標的組織に接触して配置されている場合、チップ電極T及びリング電極Rが付勢され(後者が単極電極として付勢され)、焼灼によって複数の局所損傷110(実線)を形成する。灌注ポンプは、RF発生器と連通し、RF発生器に応答して、両方のポンプヘッドのモーターコントロールを活性化し、冷却に適した速度(例えば、図12の「線状焼灼」速度)でチップ電極及びリング電極に流体を供給する。
【0056】
カテーテル10が同じ位置にとどまっている間、更にリング電極Rを両極電極として付勢し、焼灼して、概ね線状又は連続的な損傷を形成することによって、局所損傷間に連結損傷112(破線)を形成できる。チップ電極を消勢又は不活性化すると、灌注ポンプは、チップ電極に流体を供給するポンプヘッドのモーターコントロールに流量を減らすよう(例えば、流速を「線状焼灼」速度から「維持流量」速度に減らすよう)信号を送る一方、「線状焼灼」速度でリング電極に流体を供給するポンプヘッドを活性化し続ける。カテーテルを再配置する必要がないので、焼灼処置時間が短縮され、臨床的有効度が向上する。
【0057】
破壊された損傷線又は不完全な損傷線に触れることが所望される場合、カテーテルを再配置することによって、チップ電極Tが更に多くの局所損傷を形成するようにできる。チップ電極のみを付勢すると、灌注ポンプはチップ電極用ポンプヘッドのモーターコントロールに「局所焼灼」にて流量を供給するよう信号を送る一方、リング電極用ポンプヘッドのモーターコントロールに「維持流量」にて流量を供給するよう信号を送る。
【0058】
図10は特定のシステム構成を示すものであるが、本発明の代替実施形態では他のシステム構成を使用することができる。例えば、以下に記す方法は、インピーダンスに基づく又は超音波位置センサーなど、他のタイプの位置検出器を用いて適用してもよい。用語「位置変換器」は、本明細書で使用するとき、カテーテル上又はカテーテル内に設置される要素であって、その要素の座標を指示する信号を、コンソールに受信させるものを指す。それゆえ位置変換器は、この変換器によって受信されるエネルギーに基づいて、制御ユニットへの位置信号を生成する、カテーテル内の受信器を含み得、又はプローブの外部の受信器によって検出されるエネルギーを放出する、送信器を含み得る。更に、以下に記載する方法は同様に、心臓内、並びにその他の身体器官及び身体領域内の両方において、カテーテルだけではなく、別のタイプのプローブを使用するマッピング及び測定用途に適用できる。
【0059】
前述の説明は、本発明の現在好ましい実施形態を参照して提示されてきた。当業者は、記載した構造の代替及び変更が、本発明の原理、趣旨及び範囲を大きく逸脱することなく実施できることを理解するであろう。一実施形態に開示される特徴又は構造は、必要に応じて又は適切に、任意の他の実施形態の他の特徴の代わりに、あるいはそれに加えて組み込むことができる。当業者に理解されるとおり、図面は、必ずしも一定の縮尺ではない。したがって、上述の記載は、記述され以下の添付図に説明された厳密な構造のみに関係付けられるものとして読解されるべきではなく、むしろ、以下の最も完全で公正な範囲を有するとされる「特許請求の範囲」と一致し、かつそれらを補助するものとして読解されるべきである。
【0060】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルであって、
細長い本体と、
灌注用に適合された少なくとも第1の電極及び第2の電極を有する遠位区域と、
前記細長い本体の近傍にある制御ハンドルと、
前記第2の電極を除外し前記第1の電極に流体を運搬するように構成された第1の灌注管材と、
前記第1の電極を除外し前記第2の電極に流体を運搬するように構成された第2の灌注管材と、を含むカテーテル。
(2) 前記第1の電極がチップ電極であり、前記第2の電極がリング電極である、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記第1の灌注管材が第1の流体流動経路を画定し、前記第2の灌注管材が第2の流体流動経路を画定することと、該第1及び第2の流体流動経路が互いに離隔されていることを特徴とする、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 少なくとも2つのリング電極を具備し、前記第2の灌注管材がチップ電極を除外した前記少なくとも2つのリング電極に流体を運搬するように構成されている、実施態様3に記載のカテーテル。
(5) 前記第1及び第2の灌注管材がそれぞれ前記遠位区域と前記制御ハンドルとの間に延在する、実施態様1に記載のカテーテル。
(6) 前記電極が単極性焼灼用に適合されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記電極が両極性焼灼用に適合されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(8) 前記第1及び第2の電極がリング電極である、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 各前記リング電極が単極性及び両極性焼灼用に適合されている、実施態様8に記載のカテーテル。
(10) 焼灼用システムであって、
少なくとも第1の電極及び第2の電極を備え、かつ焼灼用に適合されたカテーテルと、
焼灼エネルギー発生機と、
少なくとも第1のポンプヘッド及び第2のポンプヘッドを含み、各ポンプヘッドを個別に作動するように適合された灌注ポンプと、
少なくとも1つの流体供給源と、
前記少なくとも1つの流体供給源と前記第1の電極との間に少なくとも第1の流体経路を供給し、前記少なくとも1つの流体供給源と前記第2の電極との間に少なくとも第2の流体経路を提供する灌注管材セットと、を含み、
前記第1及び第2の電極が、前記焼灼エネルギー発生機を介して選択的にエネルギーを得るように適合されていることと、
前記灌注ポンプは、前記第1の電極がエネルギーを得たときに一つの流速で前記第1のポンプヘッドを作動し、前記第1の電極がエネルギーを断たれたときに他の流速で前記第1のポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、焼灼用システム。
【0061】
(11) 前記灌注ポンプは、前記第2の電極がエネルギーを得たときに一つの流速で前記第2のポンプヘッドを作動し、前記第2の電極がエネルギーを断たれたときに他の流速で前記第2のポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記焼灼エネルギー発生機がRF発生器を具備する、実施態様10に記載のシステム。
(13) 前記第1の電極がチップ電極であり、前記第2の電極がリング電極である、実施態様10に記載のシステム。
(14) 前記第1及び第2の電極がリング電極である、実施態様10に記載のシステム。
(15) 前記灌注管材セットが、
第1及び第2のルアー取付部品と、
第1及び第2の分離した管材区域の遠位部分と、
第1及び第2の接合した管材区域の中間部分と、
分離した第1及び第2の管材区域の近位部分であって、各第1及び第2の管材区域が各ポンプヘッドと係合するように適合されている、近位部分と、
第1及び第2のドリップチャンバと、を具備する、実施態様10に記載のシステム。
(16) 前記灌注管材セットが、
第1及び第2のルアー取付部品を備えた分岐管100と、
第1及び第2の接合した管材区域の遠位部分と、
分離した管材99a、99bのポンプヘッドPH1、PH2のそれぞれ一つと係合するようにそれぞれが適合されている分離した管材99a、99bの中間部分と、流体供給源と流体連通するように適合されている共通のドリップチャンバ83にそれぞれが連結されている接合した管材101a及び101bの近位部分と、を具備する、実施態様10に記載のシステム。
(17) 焼灼用システムであって、
少なくともチップ電極及び複数のリング電極を備え、かつ焼灼用に適合されたカテーテルと、
焼灼エネルギー発生機と、
少なくとも第1のポンプヘッド及び第2のポンプヘッドを備える灌注ポンプであって、選択的に各ポンプヘッドを作動するように適合された該灌注ポンプと、
少なくとも1つの流体供給源と、
前記少なくとも1つの流体供給源と前記リング電極を除外した前記チップ電極との間に第1の流体経路を提供し、前記少なくとも1つの流体供給源と前記チップ電極を除外した前記リング電極それぞれとの間に第2の流体経路を提供する灌注管材セットと、を具備する焼灼用システムにおいて、
前記チップ及びリング電極が前記焼灼エネルギー発生機を介して選択的にエネルギーを得るように適合されていることと、
前記灌注ポンプが、前記チップ電極がエネルギーを得たときにあるチップ電極の流速にて前記第1ポンプヘッドを作動し、前記チップ電極がエネルギーを断たれたときに別のチップ電極の流速にて前記第1ポンプヘッドを作動するように適合されていることと、
前記灌注ポンプは、前記リング電極がエネルギーを得たときにあるリング電極の流速にて前記第2ポンプヘッドを作動し、前記リング電極がエネルギーを断たれたときに別のリング電極の流速にて前記第2ポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、焼灼用システム。
(18) 前記電極が前記カテーテルの遠位区域上に支持され、少なくともすべてのリング電極が標的組織と同時に接触するように適合された、実施態様17に記載のシステム。
(19) 前記複数のリング電極が約3〜9個の範囲である、実施態様18に記載のシステム。
(20) 焼灼用システムであって、
第1のリング電極セット及び第2のリング電極セットを備え、かつ焼灼用に適合されたカテーテルと、
焼灼エネルギー発生機と、
少なくとも第1のポンプヘッド及び第2のポンプヘッドを備え、選択的に各ポンプヘッドを作動するように適合された灌注ポンプと、
少なくとも1つの流体供給源と、
前記少なくとも1つの流体供給源と前記第2のリング電極セットを除外した前記第1のリング電極セットとの間に第1の流体経路を提供し、前記少なくとも1つの流体供給源と前記第1のリング電極セットを除外した前記第2のリング電極セットとの間に第2流体経路を提供する灌注管材セットと、を具備する焼灼用システムにおいて、
前記第1及び第2のリング電極セットが、前記焼灼エネルギー発生機を介して選択的にエネルギーを得るように適合されていることと、
前記灌注ポンプは、前記第1のリング電極セットがエネルギーを得たときに一つの流速で前記第1のポンプヘッドを作動し、前記第2のリング電極セットがエネルギーを得たときに他の流速で前記第2のポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、焼灼用システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は概して侵襲性内科療法のための方法及び装置に関し、特にカテーテルに関し、詳細には灌注式焼灼カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
心筋組織の焼灼は、心不整脈の治療として周知である。高周波(RF)焼灼では、例えば、カテーテルを心臓内に挿入し、標的の場所で、組織と接触させる。次いで、組織内の催不整脈性電流の経路を破壊するために、カテーテル上の電極を介してRFエネルギーを印加し、損傷を生じさせる。
【0003】
焼灼は主として、局所焼灼(すなわち、カテーテルの遠位端のチップ電極を介した焼灼)によって遂行されてきた。そのため、直線又は曲線に沿った線状焼灼の場合、長時間にわたる焼灼の間、チップ電極を繰り返し再配置するか、直線又は曲線に沿って組織一帯を牽引することになる。
【0004】
同様に、灌注式焼灼チップ電極及びリング電極も既知となっている。両電極は電極温度の降下に効力を発揮し、焼灼の間、骨炭及び凝塊の形成を最小限に抑える。しかしながら、特に複数電極を灌注する場合は、患者への流体の装入量が懸念となる。
【0005】
現在のEPカテーテルは、単一の灌注ルーメンを利用して1つ以上の灌注式電極に対して灌注を実施する。そのため、使用されているポンプユニットは、単一ポンプヘッド構成のものである。カテーテルが複雑なものになるほど、複数の灌注ルーメンの必要性が増してくる。現在、複数の灌注ルーメンを備えるカテーテルに対して灌注を実施するには、複数のポンプユニットを使用しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、局所焼灼及び線状焼灼の両方に適合され、カテーテルを再配置せずに線状損傷を形成できるカテーテルが求められるようになった。特に求められているのは、単極性及び両極性焼灼用に適合されたチップ電極及びリング電極を具備したカテーテルである。この種のカテーテルは、単純化処置時間の短縮、及びそのような処置の臨床的有効度の改善に有利である。なお、この種のチップ電極及びリング電極に潅注する場合、要望される点として、これらの電極を介した流体の流れが、潅注式電極の選択的な付勢に依存しないとしても、制御可能かつ可変であるという点も更に挙げられる。目的に見合うよう、複数の独立した流動経路内に流体を供給し、選択された電極又は電極セットが別々の流速で流体を受容できるように適合された灌注ポンプを具備させた、一体型焼灼システムが一段と求められるようになってきている。流速が電極の付勢状態に依存する場合は、特に求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の灌注管材を備え、焼灼用に適合されたカテーテルを含む。それぞれの灌注管材は、選択された電極又は電極セットに灌注流体を供給することに専念する。管材はカテーテルを貫通する略平行な流動経路として供する。この流動経路において灌注流体は、互いに分離され離隔された経路を介して灌注焼灼電極に供給されるので、別個の電極に別々の流速で供給できる。例えば、患者への流体装入量を最小限に抑えながら電極灌注開口に注水できるように、冷却用の焼灼電極に流体を供給する流速を上げ、非焼灼電極に流体を供給する流速を下げることを術者が望む場合もある。
【0008】
一実施形態においてカテーテルは、細長い本体と、偏向可能な中間区域と、電極を少なくとも2つ含んだ遠位区域とを具備する。第1灌注管材及び第2灌注管材を更に具備するカテーテルは、各電極への独立及び専用の灌注流動経路が画定され、各電極が別々の流体を受容(更には排出)できるようになされている。
【0009】
より詳細な実施形態においては、カテーテルに潅注式チップ電極及び複数の潅注式リング電極を組み合わせて搭載しているか、複数の潅注式リング電極のみを搭載している。前者の例において食塩水などの流体は、一方の灌注管材を介して遠位に装着されたチップ電極に供給され、他方の灌注管材を介して1つ以上のリング電極に供給される。この実施形態は特に、すべての電極を利用してRF電力を用いた線状両極性焼灼又は単極性焼灼を行う場合はもとより、チップ電極のみから局所単極性焼灼を行う場合にも、有用であると考えられる。リング電極、チップ電極、又は電極の組み合わせに流体を供給できるため、電極が利用されていときには、患者への流体(食塩水など)の装入量を抑えられる。更に、チップ電極及びリング電極は設計が相違することから、同様なRF供給条件下で同様な臨床的転帰を達成するためには、灌注流速がそれぞれ異なっていなければならない場合がある。
【0010】
他の実施形態において、カテーテルに潅注式リング電極のみが搭載されている場合、両極RF焼灼のどちらかを使用して線状タイプの損傷が形成される。1つの灌注管材を通して1つのリング電極サブセットに流体を供給する一方、第2灌注管材を通して残りの電極サブセットに流体を供給する。2つ以上の灌注ルーメンを利用して少なくとも2つの電極サブセットに流体を供給することによって、例えば、(i)灌注が必要とされる電極にのみ灌注流体を供給できるため、結果として患者への流体の注入量を制限でき、(ii)複数の灌注ルーメンを介して各電極から灌注流体をより均等に流体供給できるため、結果として電極間にわたって駆動圧及び質量流量を減じる作用が最小限に抑えられるなど、いくつかの利点が得られる。
【0011】
本発明はまた、少なくとも2つの電極を備えるカテーテル、焼灼エネルギー供給源、及び少なくとも2つのポンプヘッドを備える灌注ポンプを有し、それぞれが独立して作動するように適合された一体型焼灼システムにも関する。このシステムは、少なくとも1つの流体供給源、及び一体型灌注管材セットも具備している。この一体型灌注管材セットは、少なくとも1つの流体供給源と一方の電極との間に少なくとも第1流体経路を提供し、少なくとも1つの流体供給源と他方の電極との間に第2流体経路を提供する。このシステムにおいて灌注ポンプは、各電極の付勢状態に応じて各ポンプヘッドを作動するように適合されていて、電極を焼灼エネルギー源によって選択的に付勢できるという点で有利である。例えば、一方の電極のポンプヘッドはその電極がエネルギーを得たときに一方の流速で流体を供給すべく作動し、他方の電極のポンプヘッドはその電極がエネルギーを得たときに他方の流速で流体を供給すべく作動するものであってよい。しかも、各ポンプヘッドは、対応する電極が利用されていないときに(又は、本明細書中で置き換え自在に用いられているように「消勢されているときに」)、更に別の流速で作動し得る。
【0012】
したがって、複数のポンプヘッド付きの灌注ポンプは、カテーテルの複数の灌注ルーメンに対する灌注を個別制御できる。各ポンプヘッドは、RF発生器の支配下におかれ、各電極又は電極セットに流体を供給するように独立して制御されている。目的に見合うよう、複数の平行管材を含む一体型灌注管材セットが流体供給源とカテーテルとの間に延在している。これにより、管材の使用が簡略化され、管材の所要数を節減できる。一体型灌注管材セットは、灌注ポンプまで到達する平行流体経路として供する。各ポンプヘッドは各管材に作用して、その管材を介して所望の流速が得られるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のこれらの及び他の特徴及び利点は、添付図面と合わせて考慮するとき、以下の詳細な説明を参照することにより、より十分に理解されるであろう。選択した構造及び特徴は、残りの構造及び特徴のよりよい理解を提供するために、特定の図面に示されていないことを理解する。
【図1】本発明によるカテーテルの一実施形態の斜視図。
【図2】本発明による一体型焼灼システムの実施形態を図示する斜視図。
【図3】図2のシステムのブロック図。
【図4A】第1直径に概ね沿って取った、カテーテル本体と偏向可能中間区域との連結部を含む、図1のカテーテルの側断面図。
【図4B】別の直径に概ね沿って取った、カテーテル本体と偏向可能中間区域との連結部を含む、図1のカテーテルの側断面図。
【図4C】線C−Cに沿って取った、図1のカテーテルの末端部断面図。
【図5】組織に接して焼灼により損傷を形成する、図1のカテーテルの遠位区域の実施形態を示す側面立面図。
【図6A】図5の遠位区域を直径に概ね沿って取った側断面図。
【図6B】図5の遠位区域を別の直径に概ね沿って取った側断面図。
【図6C】線C−Cに沿って取った、図5の遠位区域の末端部断面図。
【図7】灌注式リング電極の一実施形態。
【図8A】本発明による灌注管材セットの一実施形態を示した平面図。
【図8B】本発明による灌注管材セットの別の実施形態を示した平面図。
【図9A】本発明による複数のポンプヘッドを備える灌注ポンプを示した別々の実施形態の略図。
【図9B】本発明による複数のポンプヘッドを備える灌注ポンプを示した別々の実施形態の略図。
【図9C】本発明による複数のポンプヘッドを備える灌注ポンプを示した別々の実施形態の略図。
【図10】本発明の実施形態による、心臓内の組織の焼灼に関するシステムの概略描写図。
【図11】システムの異なる作動条件と試料流体の流速を対照して示した表。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、本発明に含まれる操縦可能なカテーテル10は、チップ電極T及び複数のリング電極Rを含めた複数電極、並びに少なくとも2つの灌注ルーメン(L1:流れ分離用、及びL2:流れ隔離用)を具備している。このカテーテルは身体の標的部位(例えば、心臓の心房)に配置され、高周波(RF)電流を利用して標的組織に沿った線状焼灼を容易に行えるように設計されている。カテーテルは、カテーテルを再配置する必要なしに概ね連続的なRF損傷を形成できるという点で、有利に設計されている。カテーテルはいったん配置された後、所定位置にとどまることができる。そこへは、RFエネルギーがリング電極を通して選択的に供給され、概ね連続的なRF損傷を形成する。RFエネルギーは、標的組織と接触する単極電極としての各リング電極を通って帰還電極(例えば、患者に背中に張り付けられた外部電極パッチ)に供給され、局所単極損傷を生じさせる。その後、単極損傷を「連結」して概ね連続的な線状損傷を形成できるよう、両極電極としてのリング電極を付勢することによってそれぞれの局所損傷間の組織を焼灼し、リング電極間に両極損傷を形成する。このようにして本システムは、損傷形成の迅速化、及びカテーテル操作の軽減を可能にしている。
【0015】
図2及び図3に示すように、カテーテル10は、一体型焼灼システムSに使用してもよい。一実施形態において、この焼灼システムSは、外部コントロールシステム、例えばRF焼灼コントローラ13搭載のマルチチャネルRF発生器11ポンプヘッドコントローラ15、ビジュアルディスプレイ25などを具備している。システムSは、灌注ポンプ27も具備している。この灌注ポンプ27は、複数のモーションコントローラMC1〜MCNと連通する自動コントロールレシーバー19と、それぞれのポンプヘッドPH1〜PHN(例えば、少なくとも2つのポンプヘッドPH1及びPH2)を含む。これらのポンプヘッドは、灌注流体を複数の灌注ルーメンを具備したカテーテルに供給している。各灌注ルーメンは、他方の電極又は電極セットを除外した一方の電極又は電極セットへの専用流動経路として供している。
【0016】
RF発生器11には、焼灼設定に基づいて各ポンプヘッドの自動個別の操作を可能にするロジックが組み込まれている。RF発生器のユーザーインタフェース23により、ポンプヘッドを作動させるためのカスタムパラメータをユーザーが修正、定義してプロセスをより細かく制御することができる。
【0017】
焼灼は、マルチチャネルRF発生器11上での設定ワット数で、実施される。流体をポンピングするための容積式を使用して、灌注ポンプ27をペリスタティックポンプ又はローラーポンプとすることができる。ペリスタティックポンプは、ポンプ外装の内部に可撓管が嵌着されている。ペリスタティックポンプは、典型的には環状であるが、線状のものも使用できる。また、灌注ポンプには気泡センサー、閉塞センサー、又はポンプを安全に作動させるために利用される他の任意のセンサーを更に具備させてもよい。
【0018】
マルチチャネルRF発生器11は、ユーザーインタフェース23を介して術者によって制御されている焼灼パラメータセットに従い、選択された電極を通してRF電流を送る。例えば、(i)すべての電極を同時に付勢してもよいし、(ii)すべてのリング電極を除外してチップ電極を付勢してもよい。また(iii)その逆も同様で、すべてのチップ電極を除外してリング電極を付勢してもよい。又は(iv)チップ電極を選定されたリング電極と一緒に付勢してもよく、若しくは(v)すべてのリング電極又は選定されたリング電極のみを付勢してもよい。更には、これらの一連の付勢パターンは、いずれかの任意の組み合わせ又はシーケンスも取り得る。いずれによっても、線状損傷の焼灼中にカテーテルを再配置する必要性が回避される。
【0019】
焼灼の間、マルチチャネルRF発生器は、関連する電極の温度の監視も行い、その温度が、ユーザーによって設定された値を超過する場合には、ワット数を低減させる。カテーテル温度情報は、カテーテル上の熱電対からRF発生器に送られる。
【0020】
本発明によれば、RF発生器11はポンプヘッドコントローラ15を介して灌注ポンプ27とも連通して、灌注時の供給流量を制御する。つまり、RFエネルギーは1つの電極又は電極セットを通して供給されるが、RF発生器は対応するポンプヘッドをトリガして所望の流速でその1つの電極又は電極セットに流体を供給する。RFエネルギーがすべての電極に印加されると、RF発生器はすべてのポンプヘッドをトリガして(1種以上の)所望の流速で流体を供給する。通信を行うには、BLUETOOTH(登録商標)などのケーブル無線通信技術を使用してもよいし、無線信号(例えば、2.4GHz又は医療ラボ環境での使用に供する他の好適な振動数で伝送される無線信号)を使用してもよい。
【0021】
RF焼灼コントローラ13が生成した焼灼/付勢信号(各電極の付勢状態、すなわち「コンディション」を示す)に呼応し、ポンプヘッドコントローラ15はRF焼灼コントローラ13と連通して、灌注ポンプ27の自動コントローラレシーバ19に適正な信号を送信し、モーションコントローラMCiごとにポンプヘッドPHiを制御する。信号に呼応して、各モーションコントローラMCiは各ポンプヘッドPHiの作動、流れの開始若しくは停止、及び/又は流速の加速若しくは減速を行える。例えば、流速の減速及び/又は加速が可能である。流速を下げると、ポンプヘッドが不活性電極に対して灌注流体を供給するようになるため、患者への流体装入量を最小限に抑えられる。流速を上げると、ポンプヘッドが電力受信量の多い電極に対して灌注流体を供給するようになり、周辺領域の血液が拡散されるので、電極の灼熱化に起因する骨炭及び凝塊の形成を最小限に抑えられる。当業者によって理解されるように、不活性の付勢電極を介した最小限の流速を概ね維持することによって、電極内の灌注開口に注水し、閉塞のリスクを最小限に抑えることができる。必要に応じて、術者はユーザーインタフェース23を介してポンプヘッドを手動で制御することもできる。
【0022】
各ポンプヘッドは、流体供給源に連結されている専用の灌注管材に作用する。このようにして、システムは図2に示す平行灌注運搬構成21を利用する際に、複数の平行灌注運搬経路(専用又は分離)を用いる。なお、各灌注運搬経路は、専用流体供給源FSi、専用ポンプヘッドPHi経由で作用を受ける専用灌注管材ITi、及びその他の電極又は電極セットから別々に電極又は電極セットを供給する専用のカテーテル灌注ルーメンLiを含んで構成されている。
【0023】
図1を参照すると、開示された実施形態によるカテーテル10は細長い本体を備えている。この細長い本体は、長手方向軸を有する挿入シャフト又はカテーテル本体12と、カテーテル本体から軸外に単方向又は双方向に偏向できる、カテーテル本体の遠位の中間区域14とを含み得る。中間区域14の遠位は、遠位チップ電極T、及び複数のリング電極Rが搭載された遠位区域17である。これらの電極は、焼灼及び灌注用に適合されている。
【0024】
図4A及び図4Bに示されている実施形態においてカテーテル本体12は、単一の、軸方向又は中央ルーメン18を有する、細長い管状構成体を含む。カテーテル本体12は、可撓性、すなわち曲げることができるが、その長さに沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構成体であってよく、任意の好適な材料で作製してよい。現時点で好ましい構成体は、ポリウレタン又はPEBAXで作製される外壁30を含む。外壁30は、カテーテル本体12の捩り剛性を増大させるために、当該技術分野において一般的に既知の、ステンレス鋼などの埋め込み式編組みメッシュを含むことにより、制御ハンドル16を回転させると、中間区域14及び遠位区域17が、対応する方式で回転することになる。
【0025】
カテーテル本体12の外径は重要ではないが、好ましくは約0.267cm(8フレンチ)以下、より好ましくは0.233cm(7フレンチ)である。同様に、外壁30の厚さは重要ではないが、中央ルーメン18が任意の所望のワイヤー、ケーブル、及び/又は管を収容できるように、十分に薄い。外壁30の内側表面は、捩り安定性の改善を提供するために、補強管31で裏打ちされる。補強管31の外径は、外壁30の内径とほぼ同一であるか、又は若干それよりも小さい。補強管31は、極めて良好な剛性を提供し、かつ体温で軟化することがない、ポリイミドなどの任意の好適な材料で作製することができる。
【0026】
偏向可能中間区域14は、複数のルーメンを有する短い区域の管材15を含み、各ルーメンは、中間区域を通って延びる様々な構成要素によって占有される、図4Cで極めて良くわかるように、例示されている実施形態においては6つのルーメンがある。各電極用のリード線/熱電対の対40及び41は、第1ルーメン33(例示されている実施形態においては軸上ルーメン)を貫通する。提供される保護シース42は非伝導性のものである。1つの電極又は第1電極セットに流体を供給するための第1灌注管材43は、第2ルーメン34(例示されている実施形態においては軸外ルーメン)を貫通する。少なくとも単一方向の偏向を可能にするため、第1牽引ワイヤー44aは第3軸外ルーメン35を貫通する。遠位区域17に配置された複数の単軸センサー(SAS)などの位置センサーアセンブリ用のケーブル46は、第4ルーメン36(例示されている実施形態においては軸外ルーメン)を貫通する。別の電極又は第2電極セットに流体を供給するための第2灌注管材47は、第5ルーメン37(例示されている実施形態においては軸外ルーメン)を貫通する。少なくとも双方向の偏向を可能にするため、牽引ワイヤー44は第6の軸外ルーメン38を貫通する。
【0027】
中間区域14のマルチルーメン管材15は、好ましくはカテーテル本体12よりも可撓性の、好適な非毒性材料で作製される。好適な材料は、編組みポリウレタン又はPEBAX、すなわち、編組みステンレス鋼などの埋め込み式メッシュを備える、ポリウレタン又はPEBAXである。ルーメンを通って延びる構成要素を収容するための、十分な空間が存在するのであれば、ルーメンの個数及び各ルーメンのサイズは、重要ではない。また、牽引ワイヤー44a、44bに対するルーメン35、38の位置を除く、各ルーメンの位置も重大な意味を持たない。ルーメン35及び38が平面に沿って双方向に偏向できるためには、それぞれ軸外にあって正反対に対向していなければならない。
【0028】
カテーテルの有効長、すなわち、身体内に挿入することができる部分は、必要に応じて変化させることができる。好ましくは、この有効長は、約110cm〜約120cmである。中間区域14の長さは、この有効長の、比較的小さい部分であり、好ましくは約3.5cm〜約10cm、より好ましくは約5cm〜約10cmの範囲である。
【0029】
カテーテル本体12を中間部分14に取り付ける好ましい手段が、図4A及び4Bに示されている。中間区域14の近位端は、カテーテル本体12の補強管31の遠位端の外側表面を受容する、内周ノッチを含む。中間区域14及びカテーテル本体12は、接着剤など、例えば、ポリウレタンによって取り付けられる。必要な場合、補強管31の遠位端と中間区域14の近位端との間の、カテーテル本体12の内部に、スペーサー(図示せず)が提供されて、カテーテル本体12と中間区域との接合部に、可撓性の遷移が提供されることにより、接合部が褶曲又はキンクすることなく、滑らかに屈曲することを可能にし得る。そのようなスペーサーの例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,964,757号に、より詳細に記載されている。
【0030】
図5を参照すると、中間区域14の遠位は、遠位区域17である。この遠位区域17には、複数のルーメンを設けた管材50が含まれている。この管材50には、遠位のチップ電極T、及び複数のリング電極R1〜RNが取り付けられていて、このリング電極数は、例えば約3〜9個の範囲内である。開示された実施形態においてリング電極は5つ存在している。管材50は、任意の生体適合性プラスチック、例えば、ポリウレタン又はペバックス(PEBAX)で製作し得る。図6A、図6B及び図6Cに示す実施形態において、管材50は4つのルーメン51、52、58及び59を具備している。チップ電極のリード線/熱電対の対40及び41は、第1の軸上ルーメン51を貫通している。この軸上ルーメン51は、中間区域14の第1ルーメン33に概ね軸方向に位置合わせされている。第2軸外ルーメン52は、中間区域の第2ルーメンと34に概ね軸方向に位置揃えされ、第1灌注管材43の遠位端を受容している。ルーメン52は、管材43の遠位端と共に流体密シールを形成できるサイズに調整され、その結果、流体が遠位方向に向かってルーメン52に直接流れ込む。図6Cに示すように、各リング電極Rの下側の管材50の側壁に、放射状開口部55が形成されているので、矢印57で示すように、流体がルーメン52からリング電極R1〜RNに流れ込むようになっている。好適な灌注リング電極は、図7に詳細に図示されている。
【0031】
図6A及び6Bを参照すると、リング電極Rは焼灼及び灌注用に適合されている。このリング電極は、概して円筒形であり、その直径よりも大きい長さを有する。リング電極は側面断面を備えており、対向する端部分66の間に放射状に隆起する側壁60付きバレルに類似し得る。湾曲移行領域67が、側壁60と末端部分66との間に提供され、角部又は鋭利縁部を有さない、非外傷性のプロファイルを提供する。
【0032】
図6Cを参照すると、遠位区域17の管材50の外部周囲に、貯水部、すなわち環状ギャップGがある。ギャップGは、開口62を経由して第2ルーメン52からリング電極の外部への流体分布を良好化できる管材50内の開口部55のサイズは、遠位区域17の長さに沿った位置と共に変化する。最適な流れのために、開口部55が遠位区域17に沿って遠位になるにつれて、開口部のサイズ若しくは断面積、及び/又は各リング電極下の開口部55の個数が増大する。
【0033】
開口62は、軸方向オフセット列を含めた既定のパターンで、側壁60に配置構成される。これらの開口は外側に面しているため、放射方向の流れを促す(矢印63を参照)。開口は、湾曲移行領域67の内部又は付近にも設けられている(矢印64を参照)。更には、これらの開口は、電極のプロファイルの移行による、より高い電流密度から生じる「ホットスポット」となる可能性が高い、湾曲移行領域67、又はその付近での、炭化及び凝固を最小限に抑える点で、特に有効である。その点に関して、開口62の個数及び/又は断面積は、電極の側壁60内よりも、湾曲移行領域67、又はその付近で大きいことにより、より多くの冷却作用を、湾曲移行領域内で提供する。他の好適なリング電極は、米国特許出願公開番号US2010/0168548 A1及び米国特許出願番号13/174,742(出願日:2011年6月30日)に記載されている。これら両出願の全内容は、本明細書中で参照によって援用されている。
【0034】
遠位区域17の管材50の遠位端にあるチップ電極Tは、シェル70を有する。シェル70に備わるU形状断面は内部空洞72を画定し、内部空洞72の開放近位端73はプラグ74で密閉され、チップ電極内にプレナムチャンバ75を形成している。多くの灌注開口77はプレナムチャンバに集まる流体をチップ電極の外部へ排出できるようにシェルの放射状壁内に形成される(矢印79を参照)。
【0035】
プラグ73内に形成された軸方向通路80は、灌注管材の1つを受容する。例示されている実施形態において、第2灌注管材47は通路80を介して延在し、プラグ74の遠位面又はその付近で終端して、管材47を貫通する流体がプレナムチャンバ75内に供給されるようになっている。プラグ74は、開放端73で流体密シールを形成できるサイズに調整される。プラグ74の近位面上には有底穴78が形成されているので、リード線/熱電対の対40及び41を受容して、チップ電極と電気的に連通できる。その目的に合わせて、プラグ74及びシェル70は両方とも導電性の材料から作製され、リード線とシェルの間で電気エネルギーを受け渡せるようになっている。チップ電極もリング電極と同様に、白金又は金などの任意の好適な貴金属、好ましくは白金及びイリジウムの組み合わせ、又は金及び白金の組み合わせで作製し得る。
【0036】
本発明の特徴によれば、カテーテル10は、数種の電極又は数種の電極セットに分離した灌注流動経路又は専用の灌注流動経路を提供できるように適合されている。いくつかの電極のなかからいずれかを選択及び分離するための基準としては、電極の位置(例えば、遠位若しくは近位)、及び/又はその種類又は機能(例えば、チップ/リング、単極/両極、若しくは局所/連結)が挙げられる。遠位チップ電極及びすべての近位リング電極のなかからいずれかの電極を分離する場合、リング電極を除外してチップ電極を供給する用途には第1流動経路を専用に使い、チップ電極を除外してリング電極を供給する用途には第2流動経路を専用に使う。例えば、第1灌注管材43は専らすべてリング電極に流体を供給し、第2の灌注管材47は専らチップ電極に流体を供給する。
【0037】
カテーテルの遠位区域における、種類又は機能が同一の複数の電極の搭載位置に専ら基づいて分離を行えることは、当業者によって了解されている。例えば、遠位区域にてリング電極のみを具備する場合は、第1流体経路をリング電極の近位部分の供給専用とし、第2流体経路をリング電極の遠位部分の供給専用とすることができる。
【0038】
図2、図4A及び図4Bを参照すると、開示されている実施形態において、灌注流体は第1灌注管材43を経由してリング電極に供給される。この第1灌注管材43の遠位端は、遠位区域17の管材50の第2ルーメン52(管材50の近位端から相対的に短距離の遠位)にて終端している。第1の灌注管材43は、中間区域14の管材15の第2ルーメン34、カテーテル本体12の中央ルーメン18、及び制御ハンドル16を通って近位に延在する。この管材43の近位端は第1ルアーハブ80aに取り付けられ、第1ルアーハブ80aは第1ポンプ管材81aに連結され、第1ポンプ管材81aの近位端は第1ドリップチャンバ83aに取り付けられ、更に、第1ドリップチャンバ83aは第1流体供給源FS1に取り付けられている。第1ポンプヘッドPH1は、第1ルアーハブ80aと流体供給源FS1との間に延在する管材81aの一部分に作用している。
【0039】
灌注流体は、チップ電極プラグ74の有底穴80、遠位区域17の管材50の第4ルーメン59、中間区域14の管材15の第5ルーメン37、カテーテル本体12の中央ルーメン18、及び制御ハンドルを通って延在する第2灌注管材47を経由して、チップ電極に供給される。この管材47の近位端は第2ルアーハブ80bに取り付けられ、第2ルアーハブ80bは第2ポンプ管材81bに連結され、第2ポンプ管材81bの近位端は第2ドリップチャンバ83bに取り付けられ、更に、第2ドリップチャンバ83bは第2流体供給源FS2に取り付けられている。第2ポンプヘッドPH2は、第2ルアーハブ80bと流体供給源FS2との間に延在する管材81bの一部分に作用している。
【0040】
並流を供給して流体供給源FS1と制御ハンドル16との間の連結を可能にするために、複数の細長いポンプ管材を具備させたポンプ管材セットの好適な実施形態を、図8A及び図8Bに図示する。管材セットのそれぞれの部分に対して、各管材は共通の長手継目90に沿って接合して連結されているか、互いに分離され離隔されている。
【0041】
図8Aの実施形態には、複数のルアー取付部品95a、95b、分離した管材92a、92bの遠位部分、接合した管材93a、93bの中間部分、分離した管材94a、94bの近位部分、及び同じ個数のドリップチャンバ83a、83bが含まれる。ルアー取付部品95a、95bはルアーハブ80に嵌合し連結できるように適合されており、管材94a、94bはそれぞれが同じ個数のポンプヘッドPH1、PH2のそれぞれ一つと係合できるように適合されており、ドリップチャンバ83a、83bは、同じ個数の各流体供給源と流体連通できるように適合されている。
【0042】
図8Bの実施形態には、複数の終端器又はルアー取付部品95a、95bを備える分岐管100と、接合した管材98a、98bの遠位部分と、分離した管材99a、99bの中間部分と、接合した管材101a、101bの近位部分とが含まれる。管材99a、99bはそれぞれ同じ個数のポンプヘッドPH1、PH2のそれぞれ一つと係合するように適合されており、管材101a、101bは共通のドリップチャンバ83に連結されており、ドリップチャンバ83は流体供給源と流体連通するように適合されている。管材セットの長さ及び各部分の長さは、ポンプヘッドへの適正なアクセス及びカテーテルの操作を可能にするうえで十分な長さである限り、重大な意味を持たない。カテーテル上に搭載された電極の個数及び種類に応じて、ポンプ管材、ルアー取付部品、ドリップチャンバなどの個数が変化し得ることが了解されている。
【0043】
また、灌注ポンプ27のポンプヘッドPHの個数が適宜又は必要に応じて変化し得ることも、了解されている。ポンプヘッドは、何らかの適当な方法で灌注ポンプ上に配向させて配置構成できる。例えば、ポンプヘッド(任意の複数個)は、垂直に(図9A)、並置して(図9B)、端と端を接して(図9C)、又はそれらを組み合わせて積み重ねることができる。
【0044】
各電極リードワイヤーの近位端は、制御ハンドル16の遠位端にて好適な連結具に電気的に連結することによって、RF発生器11に連結できる。1対のワイヤー40及び41は各電極用に提供されている。開示されている実施形態において、ワイヤー対のワイヤー40は銅線(例えば、番号「40」は銅線)であり、ワイヤー41はコンスタンタンワイヤーである。各ワイヤー対は、各ワイヤーが撚り合わせられる遠位端以外の位置では、互いに電気的に絶縁される。各リング電極Rへの取り付けを行うには、側壁に形成されている穴を通して遠位区域17の管材50の第1ルーメン51へワイヤー対を給送し、各リング電極に接合する(図6Bを参照)。各電極(リング及びチップ)に関するワイヤー対は、制御ハンドル16から、カテーテル本体12の中央ルーメン18、中間区域14の第1ルーメン33、及び遠位区域17の第1ルーメン51を通って遠位に延在する。RFエネルギーは、このワイヤー対のワイヤー40を介して、電極に供給される。しかしながら、当業者によって理解されるように、各コンスタンタンワイヤーを含むワイヤー対は、温度センサーとして又は各電極の温度を感知する熱電対として機能し得る。
【0045】
すべてのワイヤー対は、それらを囲繞する関係の、任意の好適な材料、例えば、ポリイミドで作製することができる、共通の非導電性保護シース42(図4C)を通過する。シース42は制御ハンドル16からカテーテル本体12、中間区域14へと延在し、遠位区域17の近位端の遠位にて終端する。この遠位端は、接着剤、例えば、ポリウレタン接着剤などによって、第1ルーメン51内に係留される。
【0046】
偏向牽引ワイヤーの対44a、44bは、中間軸14を偏向可能にする目的に供される。牽引ワイヤー44a、44bはカテーテル本体12の中央ルーメン18を通って延在し、それぞれ中間区域14の第3ルーメン35及び第6ルーメン38の各一方を貫通している。それらの牽引ワイヤーは制御ハンドル16内の近位端に係留されている。また、それらの牽引ワイヤーの遠位端は、中間区域14の遠位端の位置に又はその遠位端付近の位置に、T字形バー102(図4C)を介して係留されている。T字形バー102は、ポリウレタンなどの好適な材料103で管材15の側壁に固着されている。米国特許第6,371,955に概ね記載されているように、その全開示内容は、本明細書中で参照によって援用されている。牽引ワイヤーは、ステンレス鋼又はニチノールなどの、任意の好適な金属で作製され、好ましくは、Teflon(登録商標)などでコーティングされる。コーティングは、牽引ワイヤーに潤滑性を付与する。例えば、各牽引ワイヤーは、好ましくは、約0.006インチ〜約0.010インチ(約0.0152cm〜約0.0254cm)の範囲の直径を有する。
【0047】
図4A及び図4Bを見ればわかるように、各牽引ワイヤーは、それらを囲繞する関係の、各自の圧縮コイル105を具備している。各圧縮コイル105は、カテーテル本体12の近位端から、中間区域14の近位端、又はその付近へと延在することによって偏向を可能にする。圧縮コイルは、任意の好適な金属、好ましくはステンレス鋼で作製され、可撓性、すなわち屈曲を提供するが圧縮には抵抗するように、各々がそれ自体に対して緊密に巻き付けられる。圧縮コイルの内径は、牽引ワイヤーの直径よりもわずかに大きいことが好ましい。牽引ワイヤー上のTeflon(登録商標)コーティングにより、牽引ワイヤーは、圧縮コイル内部で自由に摺動することが可能になる。カテーテル本体12内で、圧縮コイルの外側表面は、例えばポリイミドのチューブ材でできた、可撓性の非電導性シース106で被覆されている。圧縮コイルの近位端は、近位接着部を介してカテーテル本体12の外壁30に係留され、遠位接着部を介して中間区域14に係留されている。
【0048】
中間区域14の第3ルーメン及び第6ルーメン35及び38の内部において牽引ワイヤー44a、44bは、プラスチック製、好ましくはTeflon(登録商標)製の牽引ワイヤーシース107を貫通して延在する(図4B)。この牽引ワイヤーシースは、牽引ワイヤーが中間区域14の管材15の壁内に切り込まれるのを防いでいる。
【0049】
双方向の偏向を可能にするために、カテーテル本体12に対する牽引ワイヤー44a、44bの長手方向の移動が制御ハンドル16の適正操作によって遂行される。時計方向に又は反時計回転方向に旋回可能なハンドル上には、偏向ノッブ110(図1)が設けてあり、同じ方向に偏向できるようになっている。2本以上のワイヤーの操作に適した制御ハンドルは、例えば、米国特許番号6,468,260、6,500,167、及び6,522,933、並びに米国出願番号12/960,286(出願日:2010年12月3日)に記載されている。その全開示内容は、本明細書中で参照によって援用されている。
【0050】
一実施形態では、位置センサー48は、遠位区域17の第3ルーメン46(図4C)を通って延びるケーブル上に支持される、複数の単軸センサー(「SAS」)を含み、この場合、各SASは遠位区域の端から端までの既知又は既定の位置を占める。ケーブル46は、遠位区域17から、中間区域14の第4ルーメン36(図6)、カテーテル本体12の中央ルーメン18を通り、制御ハンドル16内へと近位方向に延びる。各SASは、既知のSAS及び等間隔に離隔する隣接SASと共に配置できる。開示される実施形態では、このケーブルは、遠位区域の場所及び/又は位置を検出するために、最遠位のリング電極(図6A)、最近位のリング電極、及び中間のリング電極の下に配置される、3つのSASを支持する。これらのSASによって、CARTO、CARTO XP、及びNOGAマッピングシステムを含めた、Biosense Webster,Inc.による製造及び販売のマッピングシステムの下で、遠位区域を観察することが可能になる。好適なSASは、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年12月30日出願の、米国特許出願第12/982,765号に記載されている。
【0051】
図10は、本発明の実施形態による、患者128の心臓126内の組織の焼灼に関するシステムSの概略描写図である。心臓専門医などの術者122は、カテーテルの遠位端が患者の心腔内に入るように、患者の脈管系の中にカテーテル10を挿し込む。術者は、図5に示すように、カテーテルの遠位区域17が、所望の場所で心内膜組織と係合するようにカテーテルを前進させる。カテーテル10は、その近位端の好適なコネクタによって、コンソール130に接続される。コンソールは、遠位区域が接触する組織を焼灼するために、カテーテルの遠位区域にあるチップ電極及びリング電極を介してRFエネルギーを付加するためのRF発生器136を備える。
【0052】
複数のポンプヘッドの付いた灌注ポンプ140は、カテーテル上の各電極の付勢状態を表すRF発生器136からの信号に応答して、少なくとも2通りの流速でカテーテルに灌注流体を提供できるように適合されている。灌注ポンプは、カテーテル内の少なくとも2つの分離した灌注管材に対して少なくとも2つの分離した流体流動経路を画定する、ポンプ管材セット142と共に使用される。そのため、分離した灌注管材によって供給される選択された電極又は電極セットは、好ましくは電極の付勢状態に従って、別々の速度で流動する流体を有し得る。図11は、種々の作動条件における試料流速を示した表である。
【0053】
図示の実施形態では、システムSは、磁気位置検出を使用して、心臓内部のカテーテルの遠位アセンブリの位置座標を判定する。位置座標を判定するために、コンソール130内の駆動回路134が、磁場発生器132を駆動して、患者の身体内部に磁場を生成する。典型的には、磁場発生器は、患者の胴体の下方の、身体外部の既知の位置に配置される、コイルを含む。これらのコイルは、心臓を含む既定の作業容積内に磁場を生成する。カテーテルの遠位区域内にある磁場センサー(例えばSAS)の1つ以上が、これらの磁場に応答して電気信号を発生する。コンソール130はこれらの信号を処理することによって、カテーテルの遠位区域17の位置(場所及び/又は方向)座標を判定する。コンソールは、ディスプレイ138を駆動する際に、その座標を使用して、カテーテルの場所及び状態を示すことができる。この位置検出及び処理の方法は、例えば、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる、PCT国際公開第96/05768号に、詳細に記載されており、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,California)による製造のCARTOシステム内に実装されている。
【0054】
術者は最初にシースを経皮的に脈管系まで貫通させ、上大静脈経由で心臓に到達させることができる。次いで、シースの中にカテーテルを挿し込み、カテーテルの遠位区域17をシースの遠位端までくぐらせ、最終的にはむき出しの状態で心臓内の標的組織に接触させる。術者は制御ハンドルを回す操作と、制御ハンドル16の偏向ノッブ110を用い、カテーテルを操縦して、遠位区域17を標的組織に向けて配向させる操作の両方、又はそのどちらか一方を行うことができる。術者は事前取得済みの心臓のマップ、又はディスプレイ138に表示された画像と共に、上述の位置感知手段を使用して、この調整を遂行できる。代替的に又は追加的に、蛍光透視鏡的又は他の可視化手段のもとで、この整列を実行することができる。
【0055】
図5を参照すると、カテーテル10は、左心房内の「両上肺静脈間天井」などのような線状又は連続的な損傷を形成できるように良く適合されている。例えば、遠位区域17のチップ電極T及びリング電極R1〜RNが標的組織に接触して配置されている場合、チップ電極T及びリング電極Rが付勢され(後者が単極電極として付勢され)、焼灼によって複数の局所損傷110(実線)を形成する。灌注ポンプは、RF発生器と連通し、RF発生器に応答して、両方のポンプヘッドのモーターコントロールを活性化し、冷却に適した速度(例えば、図12の「線状焼灼」速度)でチップ電極及びリング電極に流体を供給する。
【0056】
カテーテル10が同じ位置にとどまっている間、更にリング電極Rを両極電極として付勢し、焼灼して、概ね線状又は連続的な損傷を形成することによって、局所損傷間に連結損傷112(破線)を形成できる。チップ電極を消勢又は不活性化すると、灌注ポンプは、チップ電極に流体を供給するポンプヘッドのモーターコントロールに流量を減らすよう(例えば、流速を「線状焼灼」速度から「維持流量」速度に減らすよう)信号を送る一方、「線状焼灼」速度でリング電極に流体を供給するポンプヘッドを活性化し続ける。カテーテルを再配置する必要がないので、焼灼処置時間が短縮され、臨床的有効度が向上する。
【0057】
破壊された損傷線又は不完全な損傷線に触れることが所望される場合、カテーテルを再配置することによって、チップ電極Tが更に多くの局所損傷を形成するようにできる。チップ電極のみを付勢すると、灌注ポンプはチップ電極用ポンプヘッドのモーターコントロールに「局所焼灼」にて流量を供給するよう信号を送る一方、リング電極用ポンプヘッドのモーターコントロールに「維持流量」にて流量を供給するよう信号を送る。
【0058】
図10は特定のシステム構成を示すものであるが、本発明の代替実施形態では他のシステム構成を使用することができる。例えば、以下に記す方法は、インピーダンスに基づく又は超音波位置センサーなど、他のタイプの位置検出器を用いて適用してもよい。用語「位置変換器」は、本明細書で使用するとき、カテーテル上又はカテーテル内に設置される要素であって、その要素の座標を指示する信号を、コンソールに受信させるものを指す。それゆえ位置変換器は、この変換器によって受信されるエネルギーに基づいて、制御ユニットへの位置信号を生成する、カテーテル内の受信器を含み得、又はプローブの外部の受信器によって検出されるエネルギーを放出する、送信器を含み得る。更に、以下に記載する方法は同様に、心臓内、並びにその他の身体器官及び身体領域内の両方において、カテーテルだけではなく、別のタイプのプローブを使用するマッピング及び測定用途に適用できる。
【0059】
前述の説明は、本発明の現在好ましい実施形態を参照して提示されてきた。当業者は、記載した構造の代替及び変更が、本発明の原理、趣旨及び範囲を大きく逸脱することなく実施できることを理解するであろう。一実施形態に開示される特徴又は構造は、必要に応じて又は適切に、任意の他の実施形態の他の特徴の代わりに、あるいはそれに加えて組み込むことができる。当業者に理解されるとおり、図面は、必ずしも一定の縮尺ではない。したがって、上述の記載は、記述され以下の添付図に説明された厳密な構造のみに関係付けられるものとして読解されるべきではなく、むしろ、以下の最も完全で公正な範囲を有するとされる「特許請求の範囲」と一致し、かつそれらを補助するものとして読解されるべきである。
【0060】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルであって、
細長い本体と、
灌注用に適合された少なくとも第1の電極及び第2の電極を有する遠位区域と、
前記細長い本体の近傍にある制御ハンドルと、
前記第2の電極を除外し前記第1の電極に流体を運搬するように構成された第1の灌注管材と、
前記第1の電極を除外し前記第2の電極に流体を運搬するように構成された第2の灌注管材と、を含むカテーテル。
(2) 前記第1の電極がチップ電極であり、前記第2の電極がリング電極である、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記第1の灌注管材が第1の流体流動経路を画定し、前記第2の灌注管材が第2の流体流動経路を画定することと、該第1及び第2の流体流動経路が互いに離隔されていることを特徴とする、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 少なくとも2つのリング電極を具備し、前記第2の灌注管材がチップ電極を除外した前記少なくとも2つのリング電極に流体を運搬するように構成されている、実施態様3に記載のカテーテル。
(5) 前記第1及び第2の灌注管材がそれぞれ前記遠位区域と前記制御ハンドルとの間に延在する、実施態様1に記載のカテーテル。
(6) 前記電極が単極性焼灼用に適合されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記電極が両極性焼灼用に適合されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(8) 前記第1及び第2の電極がリング電極である、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 各前記リング電極が単極性及び両極性焼灼用に適合されている、実施態様8に記載のカテーテル。
(10) 焼灼用システムであって、
少なくとも第1の電極及び第2の電極を備え、かつ焼灼用に適合されたカテーテルと、
焼灼エネルギー発生機と、
少なくとも第1のポンプヘッド及び第2のポンプヘッドを含み、各ポンプヘッドを個別に作動するように適合された灌注ポンプと、
少なくとも1つの流体供給源と、
前記少なくとも1つの流体供給源と前記第1の電極との間に少なくとも第1の流体経路を供給し、前記少なくとも1つの流体供給源と前記第2の電極との間に少なくとも第2の流体経路を提供する灌注管材セットと、を含み、
前記第1及び第2の電極が、前記焼灼エネルギー発生機を介して選択的にエネルギーを得るように適合されていることと、
前記灌注ポンプは、前記第1の電極がエネルギーを得たときに一つの流速で前記第1のポンプヘッドを作動し、前記第1の電極がエネルギーを断たれたときに他の流速で前記第1のポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、焼灼用システム。
【0061】
(11) 前記灌注ポンプは、前記第2の電極がエネルギーを得たときに一つの流速で前記第2のポンプヘッドを作動し、前記第2の電極がエネルギーを断たれたときに他の流速で前記第2のポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記焼灼エネルギー発生機がRF発生器を具備する、実施態様10に記載のシステム。
(13) 前記第1の電極がチップ電極であり、前記第2の電極がリング電極である、実施態様10に記載のシステム。
(14) 前記第1及び第2の電極がリング電極である、実施態様10に記載のシステム。
(15) 前記灌注管材セットが、
第1及び第2のルアー取付部品と、
第1及び第2の分離した管材区域の遠位部分と、
第1及び第2の接合した管材区域の中間部分と、
分離した第1及び第2の管材区域の近位部分であって、各第1及び第2の管材区域が各ポンプヘッドと係合するように適合されている、近位部分と、
第1及び第2のドリップチャンバと、を具備する、実施態様10に記載のシステム。
(16) 前記灌注管材セットが、
第1及び第2のルアー取付部品を備えた分岐管100と、
第1及び第2の接合した管材区域の遠位部分と、
分離した管材99a、99bのポンプヘッドPH1、PH2のそれぞれ一つと係合するようにそれぞれが適合されている分離した管材99a、99bの中間部分と、流体供給源と流体連通するように適合されている共通のドリップチャンバ83にそれぞれが連結されている接合した管材101a及び101bの近位部分と、を具備する、実施態様10に記載のシステム。
(17) 焼灼用システムであって、
少なくともチップ電極及び複数のリング電極を備え、かつ焼灼用に適合されたカテーテルと、
焼灼エネルギー発生機と、
少なくとも第1のポンプヘッド及び第2のポンプヘッドを備える灌注ポンプであって、選択的に各ポンプヘッドを作動するように適合された該灌注ポンプと、
少なくとも1つの流体供給源と、
前記少なくとも1つの流体供給源と前記リング電極を除外した前記チップ電極との間に第1の流体経路を提供し、前記少なくとも1つの流体供給源と前記チップ電極を除外した前記リング電極それぞれとの間に第2の流体経路を提供する灌注管材セットと、を具備する焼灼用システムにおいて、
前記チップ及びリング電極が前記焼灼エネルギー発生機を介して選択的にエネルギーを得るように適合されていることと、
前記灌注ポンプが、前記チップ電極がエネルギーを得たときにあるチップ電極の流速にて前記第1ポンプヘッドを作動し、前記チップ電極がエネルギーを断たれたときに別のチップ電極の流速にて前記第1ポンプヘッドを作動するように適合されていることと、
前記灌注ポンプは、前記リング電極がエネルギーを得たときにあるリング電極の流速にて前記第2ポンプヘッドを作動し、前記リング電極がエネルギーを断たれたときに別のリング電極の流速にて前記第2ポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、焼灼用システム。
(18) 前記電極が前記カテーテルの遠位区域上に支持され、少なくともすべてのリング電極が標的組織と同時に接触するように適合された、実施態様17に記載のシステム。
(19) 前記複数のリング電極が約3〜9個の範囲である、実施態様18に記載のシステム。
(20) 焼灼用システムであって、
第1のリング電極セット及び第2のリング電極セットを備え、かつ焼灼用に適合されたカテーテルと、
焼灼エネルギー発生機と、
少なくとも第1のポンプヘッド及び第2のポンプヘッドを備え、選択的に各ポンプヘッドを作動するように適合された灌注ポンプと、
少なくとも1つの流体供給源と、
前記少なくとも1つの流体供給源と前記第2のリング電極セットを除外した前記第1のリング電極セットとの間に第1の流体経路を提供し、前記少なくとも1つの流体供給源と前記第1のリング電極セットを除外した前記第2のリング電極セットとの間に第2流体経路を提供する灌注管材セットと、を具備する焼灼用システムにおいて、
前記第1及び第2のリング電極セットが、前記焼灼エネルギー発生機を介して選択的にエネルギーを得るように適合されていることと、
前記灌注ポンプは、前記第1のリング電極セットがエネルギーを得たときに一つの流速で前記第1のポンプヘッドを作動し、前記第2のリング電極セットがエネルギーを得たときに他の流速で前記第2のポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、焼灼用システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルであって、
細長い本体と、
灌注用に適合された少なくとも第1の電極及び第2の電極を有する遠位区域と、
前記細長い本体の近傍にある制御ハンドルと、
前記第2の電極を除外し前記第1の電極に流体を運搬するように構成された第1の灌注管材と、
前記第1の電極を除外し前記第2の電極に流体を運搬するように構成された第2の灌注管材と、を含むカテーテル。
【請求項2】
前記第1の電極がチップ電極であり、前記第2の電極がリング電極である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第1の灌注管材が第1の流体流動経路を画定し、前記第2の灌注管材が第2の流体流動経路を画定することと、該第1及び第2の流体流動経路が互いに離隔されていることを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
少なくとも2つのリング電極を具備し、前記第2の灌注管材がチップ電極を除外した前記少なくとも2つのリング電極に流体を運搬するように構成されている、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記第1及び第2の灌注管材がそれぞれ前記遠位区域と前記制御ハンドルとの間に延在する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記電極が単極性焼灼用に適合されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記電極が両極性焼灼用に適合されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記第1及び第2の電極がリング電極である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
各前記リング電極が単極性及び両極性焼灼用に適合されている、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
焼灼用システムであって、
少なくとも第1の電極及び第2の電極を備え、かつ焼灼用に適合されたカテーテルと、
焼灼エネルギー発生機と、
少なくとも第1のポンプヘッド及び第2のポンプヘッドを含み、各ポンプヘッドを個別に作動するように適合された灌注ポンプと、
少なくとも1つの流体供給源と、
前記少なくとも1つの流体供給源と前記第1の電極との間に少なくとも第1の流体経路を供給し、前記少なくとも1つの流体供給源と前記第2の電極との間に少なくとも第2の流体経路を提供する灌注管材セットと、を含み、
前記第1及び第2の電極が、前記焼灼エネルギー発生機を介して選択的にエネルギーを得るように適合されていることと、
前記灌注ポンプは、前記第1の電極がエネルギーを得たときに一つの流速で前記第1のポンプヘッドを作動し、前記第1の電極がエネルギーを断たれたときに他の流速で前記第1のポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、焼灼用システム。
【請求項11】
前記灌注ポンプは、前記第2の電極がエネルギーを得たときに一つの流速で前記第2のポンプヘッドを作動し、前記第2の電極がエネルギーを断たれたときに他の流速で前記第2のポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記焼灼エネルギー発生機がRF発生器を具備する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の電極がチップ電極であり、前記第2の電極がリング電極である、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1及び第2の電極がリング電極である、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記灌注管材セットが、
第1及び第2のルアー取付部品と、
第1及び第2の分離した管材区域の遠位部分と、
第1及び第2の接合した管材区域の中間部分と、
分離した第1及び第2の管材区域の近位部分であって、各第1及び第2の管材区域が各ポンプヘッドと係合するように適合されている、近位部分と、
第1及び第2のドリップチャンバと、を具備する、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記灌注管材セットが、
第1及び第2のルアー取付部品を備えた分岐管100と、
第1及び第2の接合した管材区域の遠位部分と、
分離した管材99a、99bのポンプヘッドPH1、PH2のそれぞれ一つと係合するようにそれぞれが適合されている分離した管材99a、99bの中間部分と、流体供給源と流体連通するように適合されている共通のドリップチャンバ83にそれぞれが連結されている接合した管材101a及び101bの近位部分と、を具備する、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
焼灼用システムであって、
少なくともチップ電極及び複数のリング電極を備え、かつ焼灼用に適合されたカテーテルと、
焼灼エネルギー発生機と、
少なくとも第1のポンプヘッド及び第2のポンプヘッドを備える灌注ポンプであって、選択的に各ポンプヘッドを作動するように適合された該灌注ポンプと、
少なくとも1つの流体供給源と、
前記少なくとも1つの流体供給源と前記リング電極を除外した前記チップ電極との間に第1の流体経路を提供し、前記少なくとも1つの流体供給源と前記チップ電極を除外した前記リング電極それぞれとの間に第2の流体経路を提供する灌注管材セットと、を具備する焼灼用システムにおいて、
前記チップ及びリング電極が前記焼灼エネルギー発生機を介して選択的にエネルギーを得るように適合されていることと、
前記灌注ポンプが、前記チップ電極がエネルギーを得たときにあるチップ電極の流速にて前記第1ポンプヘッドを作動し、前記チップ電極がエネルギーを断たれたときに別のチップ電極の流速にて前記第1ポンプヘッドを作動するように適合されていることと、
前記灌注ポンプは、前記リング電極がエネルギーを得たときにあるリング電極の流速にて前記第2ポンプヘッドを作動し、前記リング電極がエネルギーを断たれたときに別のリング電極の流速にて前記第2ポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、焼灼用システム。
【請求項18】
前記電極が前記カテーテルの遠位区域上に支持され、少なくともすべてのリング電極が標的組織と同時に接触するように適合された、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数のリング電極が約3〜9個の範囲である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
焼灼用システムであって、
第1のリング電極セット及び第2のリング電極セットを備え、かつ焼灼用に適合されたカテーテルと、
焼灼エネルギー発生機と、
少なくとも第1のポンプヘッド及び第2のポンプヘッドを備え、選択的に各ポンプヘッドを作動するように適合された灌注ポンプと、
少なくとも1つの流体供給源と、
前記少なくとも1つの流体供給源と前記第2のリング電極セットを除外した前記第1のリング電極セットとの間に第1の流体経路を提供し、前記少なくとも1つの流体供給源と前記第1のリング電極セットを除外した前記第2のリング電極セットとの間に第2流体経路を提供する灌注管材セットと、を具備する焼灼用システムにおいて、
前記第1及び第2のリング電極セットが、前記焼灼エネルギー発生機を介して選択的にエネルギーを得るように適合されていることと、
前記灌注ポンプは、前記第1のリング電極セットがエネルギーを得たときに一つの流速で前記第1のポンプヘッドを作動し、前記第2のリング電極セットがエネルギーを得たときに他の流速で前記第2のポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、焼灼用システム。
【請求項1】
カテーテルであって、
細長い本体と、
灌注用に適合された少なくとも第1の電極及び第2の電極を有する遠位区域と、
前記細長い本体の近傍にある制御ハンドルと、
前記第2の電極を除外し前記第1の電極に流体を運搬するように構成された第1の灌注管材と、
前記第1の電極を除外し前記第2の電極に流体を運搬するように構成された第2の灌注管材と、を含むカテーテル。
【請求項2】
前記第1の電極がチップ電極であり、前記第2の電極がリング電極である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第1の灌注管材が第1の流体流動経路を画定し、前記第2の灌注管材が第2の流体流動経路を画定することと、該第1及び第2の流体流動経路が互いに離隔されていることを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
少なくとも2つのリング電極を具備し、前記第2の灌注管材がチップ電極を除外した前記少なくとも2つのリング電極に流体を運搬するように構成されている、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記第1及び第2の灌注管材がそれぞれ前記遠位区域と前記制御ハンドルとの間に延在する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記電極が単極性焼灼用に適合されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記電極が両極性焼灼用に適合されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記第1及び第2の電極がリング電極である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
各前記リング電極が単極性及び両極性焼灼用に適合されている、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
焼灼用システムであって、
少なくとも第1の電極及び第2の電極を備え、かつ焼灼用に適合されたカテーテルと、
焼灼エネルギー発生機と、
少なくとも第1のポンプヘッド及び第2のポンプヘッドを含み、各ポンプヘッドを個別に作動するように適合された灌注ポンプと、
少なくとも1つの流体供給源と、
前記少なくとも1つの流体供給源と前記第1の電極との間に少なくとも第1の流体経路を供給し、前記少なくとも1つの流体供給源と前記第2の電極との間に少なくとも第2の流体経路を提供する灌注管材セットと、を含み、
前記第1及び第2の電極が、前記焼灼エネルギー発生機を介して選択的にエネルギーを得るように適合されていることと、
前記灌注ポンプは、前記第1の電極がエネルギーを得たときに一つの流速で前記第1のポンプヘッドを作動し、前記第1の電極がエネルギーを断たれたときに他の流速で前記第1のポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、焼灼用システム。
【請求項11】
前記灌注ポンプは、前記第2の電極がエネルギーを得たときに一つの流速で前記第2のポンプヘッドを作動し、前記第2の電極がエネルギーを断たれたときに他の流速で前記第2のポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記焼灼エネルギー発生機がRF発生器を具備する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の電極がチップ電極であり、前記第2の電極がリング電極である、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1及び第2の電極がリング電極である、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記灌注管材セットが、
第1及び第2のルアー取付部品と、
第1及び第2の分離した管材区域の遠位部分と、
第1及び第2の接合した管材区域の中間部分と、
分離した第1及び第2の管材区域の近位部分であって、各第1及び第2の管材区域が各ポンプヘッドと係合するように適合されている、近位部分と、
第1及び第2のドリップチャンバと、を具備する、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記灌注管材セットが、
第1及び第2のルアー取付部品を備えた分岐管100と、
第1及び第2の接合した管材区域の遠位部分と、
分離した管材99a、99bのポンプヘッドPH1、PH2のそれぞれ一つと係合するようにそれぞれが適合されている分離した管材99a、99bの中間部分と、流体供給源と流体連通するように適合されている共通のドリップチャンバ83にそれぞれが連結されている接合した管材101a及び101bの近位部分と、を具備する、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
焼灼用システムであって、
少なくともチップ電極及び複数のリング電極を備え、かつ焼灼用に適合されたカテーテルと、
焼灼エネルギー発生機と、
少なくとも第1のポンプヘッド及び第2のポンプヘッドを備える灌注ポンプであって、選択的に各ポンプヘッドを作動するように適合された該灌注ポンプと、
少なくとも1つの流体供給源と、
前記少なくとも1つの流体供給源と前記リング電極を除外した前記チップ電極との間に第1の流体経路を提供し、前記少なくとも1つの流体供給源と前記チップ電極を除外した前記リング電極それぞれとの間に第2の流体経路を提供する灌注管材セットと、を具備する焼灼用システムにおいて、
前記チップ及びリング電極が前記焼灼エネルギー発生機を介して選択的にエネルギーを得るように適合されていることと、
前記灌注ポンプが、前記チップ電極がエネルギーを得たときにあるチップ電極の流速にて前記第1ポンプヘッドを作動し、前記チップ電極がエネルギーを断たれたときに別のチップ電極の流速にて前記第1ポンプヘッドを作動するように適合されていることと、
前記灌注ポンプは、前記リング電極がエネルギーを得たときにあるリング電極の流速にて前記第2ポンプヘッドを作動し、前記リング電極がエネルギーを断たれたときに別のリング電極の流速にて前記第2ポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、焼灼用システム。
【請求項18】
前記電極が前記カテーテルの遠位区域上に支持され、少なくともすべてのリング電極が標的組織と同時に接触するように適合された、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数のリング電極が約3〜9個の範囲である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
焼灼用システムであって、
第1のリング電極セット及び第2のリング電極セットを備え、かつ焼灼用に適合されたカテーテルと、
焼灼エネルギー発生機と、
少なくとも第1のポンプヘッド及び第2のポンプヘッドを備え、選択的に各ポンプヘッドを作動するように適合された灌注ポンプと、
少なくとも1つの流体供給源と、
前記少なくとも1つの流体供給源と前記第2のリング電極セットを除外した前記第1のリング電極セットとの間に第1の流体経路を提供し、前記少なくとも1つの流体供給源と前記第1のリング電極セットを除外した前記第2のリング電極セットとの間に第2流体経路を提供する灌注管材セットと、を具備する焼灼用システムにおいて、
前記第1及び第2のリング電極セットが、前記焼灼エネルギー発生機を介して選択的にエネルギーを得るように適合されていることと、
前記灌注ポンプは、前記第1のリング電極セットがエネルギーを得たときに一つの流速で前記第1のポンプヘッドを作動し、前記第2のリング電極セットがエネルギーを得たときに他の流速で前記第2のポンプヘッドを作動するように適合されていることを特徴とする、焼灼用システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−27707(P2013−27707A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−166747(P2012−166747)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【出願人】(511099630)バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, Yokneam 20692, Israel
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−166747(P2012−166747)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【出願人】(511099630)バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, Yokneam 20692, Israel
【Fターム(参考)】
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