説明

複数の風味添加機能を備えた飲料容器と飲用液への複数風味添加方法並びに複数風味選択飲料

【課題】通常の飲料容器は一つの容器に一種類の飲料が収容され、一つの飲み物で複数の風味を味わうためには、飲料容器開封後に別の調味材を混入するか固形物からの抽出方式の飲料にあっては抽出時間や溶解体積の調整等によって行うか、または、複雑で高コストな容器構造が必要であった。
【解決手段】防水密封性を有する軟質素材に飲用液を封入する飲用液収容部とこの飲用液に主たる風味を添加するための主調味材が収容された収容部とを設け、容器への加圧による飲用液圧により各収容部を隔てる隔壁を破壊することにより飲用液に主たる調味材の風味を添加する機能と、さらにこの飲用液に別の風味を添加する補助調味材を封入した補助調味材収容部をいずれかの収容部内に有し、先の加圧とは別の加圧により補助調味材収容部を破壊することにより補助調味材由来の風味を飲用液に添加することが可能な飲料容器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料へ複数の異なった風味を添加する機能を有し、飲用時に飲用者の好みにより風味の選択と調節が可能な飲料容器と飲用液への複数風味添加方法並びに複数風味選択機能を有する飲料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、清涼飲料水やアルコール飲料等の液体の飲料製品はスチールやアルミ製の缶、或いはペットボトルを中心に紙製容器や樹脂性容器に至るまで様々な容器に収容されて流通・販売、消費に供されている。また、リーフ茶やインスタントコーヒー等の固形物あるいは顆粒状、粉状の飲料製品は水やお湯等の液体に抽出又は溶解して飲用される形態もある。しかし、現在流通販売に供されている飲料製品は通常では一つの容器に一種類の飲料が封入され、一つの飲料で異種の風味を味わうためには、飲料容器開封後に別の調味材を混入するか固形物からの抽出方式の飲料にあっては抽出時間や溶解量等の調整や複雑な容器構造による製造コストの高い容器によって行われていた。
【0003】
また、リーフ茶等の固形原料を液体に抽出して飲用に供するためには、例えば急須等の茶器が必要であったり、茶殻の処理等、飲用するために煩雑な作業を伴うものもあり、これらの問題を解決するために一つの容器を複数の収容部に区切った飲料容器など、いくつかの先行技術も存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−16939号公報
【特許文献2】特開平09−023857号公報
【特許文献3】特開平09−286470号公報
【特許文献4】特開2001−502173号公報
【特許文献5】特開2004−187599号公報
【特許文献6】特願2006−204455号公報
【特許文献7】実開昭63−070969号公報
【特許文献8】実開平03−079686号公報
【特許文献9】実開平06−12333号公報
【特許文献10】実願平10−8538号公報
【特許文献11】米国特許出願公開第2004/0118710号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの従来技術には次に説明する欠点が存在する。
確かにリーフ茶等の固形原料から抽出を行う飲料については、一煎目と二煎目ではその風味や濃度の違いはあるが、それは単に抽出成分の減少に伴うものであって異種の風味を味わっているわけではなかった。
【0006】
公知技術の中には、一つの容器を幾つかの部位に区切って飲用液と調味材を別々に収納し、飲用時点でそれぞれの部位の間にある隔壁を飲用液への加圧による水圧やその他の方法で破壊して飲用液と調味材を混合し飲用液に風味を添加して飲用するもので、単一の風味しか添加することはできなかった。
【0007】
また、調味材収容部を再度複数の収納室に分割して複数の調味材を収容しようとした場合にあっても、最初の調味材混合のための飲用液加圧による圧力が容器内面へ均一に加わるため一度に複数の隔壁を破壊してしまう危険も除去できず、簡単にかつ確実にまたは時間差で複数の調味材から任意の風味を選択して飲用に供することは成しえていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載された発明では、飲用液を収容する飲用液収容部と飲用液に風味を加える主調味材を収容する主調味材収容部の複数の収容部を有し、各収容部の間には飲用液収容部内に収容する液体圧により破壊する隔壁を有し、飲用液への風味添加をこの隔壁の破壊による飲用液と主調味材の混合により行う機能を有し、いずれかの収容部には前記の主調味材とは異なる補助調味材を収容する補助調味材収容部を有し、この補助調味材収容部の構造破壊により補助調味材由来の風味を飲用液に添加する機能を有することを特徴としている。
【0009】
また、請求項2に記載された発明では、請求項1に記載の飲料容器であって、補助調味材収容部の破壊は補助調味材収容部への部分的加圧による当該収容部内部からの気体或いは液体の圧力で破壊され、飲用液収容部と主調味材収容部間の隔壁破壊のための飲用液加圧においては少なくとも補助調味材収容部は破壊には至らないことを特徴としている。
【0010】
さらに、請求項3に記載された発明では、請求項1から請求項2のいずれかに記載の飲料容器であって、各調味材あるいはいずれかの調味材を予め収容していることを特徴としている。
【0011】
さらに、請求項4に記載された発明では、請求項1から請求項3のいずれかに記載の飲料容器における飲料への風味添加方法であって、飲用液を飲用液収容部に収容し、飲用液に風味を加える主調味材を主調味材収容部に収容し、飲用液への主調味材由来の風味添加を飲用液収容部内に収容した液体圧による隔壁の破壊による飲用液と主調味材の混合により行い、主調味材とは異なる補助調味材を前記いずれかの収容部内に有する補助調味材収容部に収容し、この補助調味材収容部の破壊により補助調味材由来の風味の添加を行う風味添加方法であることを特徴としている。
【0012】
さらに、請求項5に記載された発明では、請求項1から請求項3のいずれかに記載の飲料容器に収容され、あるいは請求項4の方法により風味を添加する飲料であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本願の請求項1に記載された発明によると、飲用液を収容する飲用液収容部と飲用液に風味を加える主調味材を収容する主調味材収容部の複数の収容部を有し、各収容部の間には飲用液収容部内に収容する液体圧により破壊する隔壁を有し、飲用液への風味添加をこの隔壁の破壊による飲用液と主調味材の混合により行う機能を有し、いずれかの収容部には前記の主調味材とは異なる補助調味材を収容する補助調味材収容部を有し、この補助調味材収容部の構造破壊により補助調味材由来の風味を飲用液に添加する機能を有することを特徴とする飲料容器であるため、一つの飲料容器に収納された飲料を飲用者の好みにより、また、時間差により多段階的に複数の風味で味わうことを可能としている。
【0014】
また、本願請求項2に記載された発明によると、請求項1に記載の飲料容器であって、補助調味材収容部の破壊は補助調味材収容部への部分的加圧による当該収容部内部からの気体或いは液体の圧力で破壊され、飲用液収容部と主調味材収容部間の隔壁破壊のための飲用液加圧においては少なくとも補助調味材収容部は破壊には至らないことを特徴とする飲料容器であるため、非常に簡単にかつ確実に主調味材の風味の添加と補助調味材の風味添加を時間差で多段階に行うことが可能となり、一つの飲料を飲用している途中で異なる風味の飲料に変更する飲料容器の製造が非常に低コストで可能となる。
【0015】
さらに、本願請求項3に記載された発明によると、請求項1から請求項2のいずれかに記載の飲料容器であって、各調味材あるいはいずれかの調味材を予め収容していることを特徴とする飲料容器であるため飲用者は水等の無風味飲料やアルコール飲料等をこの容器内に注入するだけで、様々な風味を味わうことが可能となるとともに飲用者が安価な液体を注入することによって作られる飲料であることによって輸送コスト等の流通コストを大幅に下げることが可能な複数風味の飲料の提供が可能となる。
【0016】
さらに、本願請求項4に記載された発明によると、請求項1から請求項3のいずれかに記載の飲料容器における飲料への風味添加方法であって、飲用液を飲用液収容部に収容し、飲用液に風味を加える主調味材を主調味材収容部に収容し、飲用液への主調味材由来の風味添加を飲用液収容部内に収容した液体圧による隔壁の破壊による飲用液と主調味材の混合により行い、主調味材とは異なる補助調味材を前記いずれかの収容部内に有する補助調味材収容部に収容し、この補助調味材収容部の破壊により補助調味材由来の風味の添加を行うことを特徴とするため、利用者は非常に簡単な操作で、好みによる風味の選択や時間差での風味の選択によって多彩な風味の飲料を飲用することが可能となる。
【0017】
さらに、本願請求項5に記載された発明によると、請求項1から請求項3のいずれかに記載の飲料容器に収容され、あるいは請求項4の方法により風味を添加することを特徴とする飲料であるため、新たな飲料の一つの形態として飲料マーケットの拡大が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の容器に主調味材並びに補助調味材を収容した状態の正面図
【図2】本発明の容器に主調味材並びに補助調味材を収容した状態の側面図
【図3】各調味材に加え飲用液を収容した主調味材混合前の状態の側面図
【図4】飲用液水圧破壊隔壁を破壊し、主調味材を混合した状態の側面図(補助調味材は未混合)
【図5】補助調味材添加のための補助調味材収容部への加圧状態を表す側面図
【図6】補助調味材収容部の破壊部分が破壊された状態の側面図
【図7】(a)補助調味材収容部をパックの一部に固定した場合の補助調味材収容部への加圧状態の側面図と(b)補助調味材収容部をパックに固定しない場合の補助調味材収容部への加圧状態の側面図
【図8】補助調味材収容部を複数有する状態の正面図
【図9】主調味材を具備せず、複数の補助調味材収容部で構成された状態の正面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願発明の実施の形態について図示して説明する。図1は当該容器に主調味材と補助調味材を収容した状態の正面図であり、図2は側面図である。請求項1に記載された発明によると防水密封性を備えた軟質素材からなる本発明の飲料容器は、最初の風味を抽出する主調味材4を収容した透水性の素材からなる主調味材収容容器(実施例では不織布またはナイロンメッシュ製)を収容する主調味材収容部1と、この主調味材から風味成分を抽出するための水等の飲用液を収容した飲用液体収容部2と、さらに主調味材収容部1の中には不透水性の密封容器からなる補助調味材収容部に収容された補助調味材5が収容され、保存時および輸送時等においては図3に示す様にそれぞれの容器で各調味材と水等の飲料液体を別々に保存する容器として使用する。
【0020】
飲用時において飲用液体収容部2の中に収容してある水等の飲用液への加圧(図3矢印A)による水圧でイージーピール性を持つ飲用液水圧破壊隔壁3を破壊し主調味材収容部1と飲用液収容部2を結合することによって飲用液中に透水性容器に収容された主調味材4による最初の風味を添加する(図4)。
【0021】
次に飲用者の好み等により補助調味材5を収容した不透水性の素材からなり、その一部にイージーピール等の弱薄部を備える補助調味材収容部を図5の矢印Bに示す様に容器の外部からの当該部分への部分的加圧により補助調味材収容部の破壊部分6(弱薄部)を内部圧により破壊し、補助調味材収容部の中に飲用液を流入させ飲用液に補助調味材由来の風味を添加するものである。(図6)
【0022】
請求項2に記載された発明によると、補助調味材収容部内には固体(粉状、粒状を含む)または液体等の補助調味材5が収納され、固体の調味材が封入されている場合は空気或いは不活性ガス等の気体も封入され補助調味材収容部を飲料容器外部から加圧することにより補助調味材収容部内の気圧あるいは水圧を上昇させ容器の構造破壊に至らしめることにより飲用液と補助調味材5を混合することによって補助調味材由来の風味を飲用液に添加するものであるが、主調味材4による風味添加のための飲用液水圧破壊隔壁3破壊時の水圧は補助調味材収容容器全体に均一に当該容器外部から水圧がかかるため、多少の容器容積の圧縮縮小はあるものの、少なくともこの時点では補助調味材収容部の破壊には至らない。
【0023】
請求項3に記載された発明によると、主調味材収容部1に主調味材4を、または補助調味材収容部に補助調味材5を、或いは各調味材収容部にそれぞれの調味材を予め収容し、キャップ部7から水やお湯等の無風味飲料或いはアルコール飲料等を注入することによって複数風味選択飲料を形成する。
【0024】
請求項4に記載された発明によると、図3に示すように飲用液保存収容部2に水等の主に無風味の液体飲料或いはアルコール飲料等を収容し、ナイロンメッシュや不織布等の透水性の容器に収容された主調味材4を主調味材収容部1に収容し、さらに防水密封性の補助調味材収容部に収容した補助調味材5をも設置した状態が飲用前の形態で、矢印Aの方向に外部から加圧することによりイージーピール性を持つ飲料液水圧破壊隔壁3を剥離破壊することにより飲用液を主調味材収容部1に流れ込ませる。これにより図4に示すように透水性の容器である主調味材収容容器内に飲用液が流入し主調味材4より風味成分が抽出あるいは溶解されることにより飲用液に最初の風味が添加される。
【0025】
さらに、図5に示すように矢印Bの部分への加圧により補助調味材5を収容した補助調味材収容部内の圧力が上昇し補助調味材収容部の一部の弱薄部6を破壊し、飲用液が補助調味材収容部の内部に流れ込むことによって飲用液にさらに補助調味材由来の風味をも添加する方法である。
【0026】
請求項5に記載された発明によると、予め飲用液収容部に水等の主に無風味の飲料或いはアルコール飲料等を収容し、主調味材4を透水性素材からなる主調味材収容容器に収容して主調味材収容部1に収容し、さらには補助調味材5をも不透水性素材からなる補助調味材収容部に収容してから設置し、複数の風味を同時或いは時間差で多段階的に飲用することを可能にした飲料製品である。
【実施例】
【0027】
以下、図面を参照して本願発明の実施例について説明する。まず、主調味材収容部1にナイロンメッシュ袋に包んだ緑茶と不透水性のカプセル内に玄米を収容した玄米カプセル(カプセル内の玄米はさらにナイロンメッシュ袋等の透水性容器に包装されている場合もある)とを収容し、緑茶と玄米茶の複数の風味を任意に飲用することができる茶飲料について説明する。
【0028】
図1は本発明のリーフ茶飲料での基本的構成を図示している。まず、防水密封性を有する軟質素材(いずれも加熱等によるパック内面溶着が可能な素材で例えばアルミ・ビニール又は紙製)の容器の主調味材収容部(茶葉保存収容部)1には一煎分の茶葉をナイロンメッシュフィルター袋に入れたものと防水密封性のカプセルでそのカプセルへの圧縮力によりそのカプセルの一部が破壊され飲用液が浸透する玄米カプセルを封入する。
【0029】
基本的な形態としては玄米カプセルの一辺は飲料容器の底辺部に固定され、飲用液の圧力により水圧破壊隔壁3が破壊されてもこのカプセルの全体に外側から水圧がかかるためこのカプセルはその時点では破壊には至らない。この状態では主調味材としてナイロンメッシュフィルター袋に封入してある茶葉に飲用液が浸透し緑茶から香味成分のみが飲用液中に浸出され緑茶飲料となる。
【0030】
また、特異な実施例としては、主調味材である緑茶を粉末或いは顆粒状等状態の場合に飲用液への溶解等でいわゆる茶漉し機能が不要な場合や容器内の注ぎ口その他の部位に茶漉し機能を具備した場合等においてはナイロンメッシュフィルター袋等の透水性の容器に主調味材である緑茶を封入せずに直接主調味材収容部1内へ収容される場合も存在する。
【0031】
次に、飲用者の好み或いは二煎目や三煎目以降等において、図7aの矢印Bに示す方向に加圧することにより飲料容器の一部に固定されている玄米カプセルの内部圧力を上昇させ、カプセルの弱薄部分6を破壊することにより内部の玄米と飲用液を混合し、飲用液に玄米の風味を添加し玄米茶飲料へと変化させるものである。
【0032】
なお、図1に示す構造の様に飲料容器の一辺とカプセル一辺が直線的に固定した場合においては飲料容器への加圧と開放を繰り返すことによりカプセルの一辺の変形と形状の戻りによって、当該カプセルが圧縮と開放を繰り返すことにより飲用液がカプセル内に出し入れされカプセル内の玄米風味成分の速やかな抽出が可能となる。
【0033】
次に図7bに示すように内部の玄米カプセルを飲料容器の一部に固定しない形態の実施例について説明する。このカプセル封入方法では水圧破壊隔壁3を図3矢印A部で加圧することにより破壊し、破壊後はカプセルが飲用液に浸されることによって、内部の気体等によりカプセルに浮力が発生しカプセルは飲用液上部水面に移動する。その後再び矢印Aの部分を加圧することにより今度は玄米カプセルを加圧しカプセル内部圧力によりカプセルを破壊し内部の玄米風味を添加するが、この方法では同一部位(矢印A)への加圧によるため飲料容器への加圧回数によって緑茶風味と玄米茶風味を選択できるようにするものである。
【0034】
次に玄米カプセルを主調味材4である緑茶の内部に封入した形態について説明する、これは主調味材4であるナイロンメッシュフィルターで包まれた緑茶の茶葉内部に玄米カプセルを封入しているもので、水圧破壊隔壁3の破壊時はやはりカプセル全体に水圧がかかり破壊には至らないが飲料容器の外部から主調味材4である茶葉部分を再び加圧することにより内部の玄米カプセルが破壊され玄米茶風味となるものである。
【0035】
なお、主調味材の内部に補助調味材を収容する場合に限らず、複数の補助調味材を設置する場合において第一の補助調味材の内部に次の補助調味材を収容していくといった、複数調味材の重ね収容による方法も存在する。
【0036】
次に玄米茶風味のみならず複数の風味を飲用者が選択できるフレーバーティーの実施例について説明する。図8に示す実施例では、主調味材4として緑茶を使用し、補助調味材5として緑茶と異なった風味を与えるハーブ等を封入したカプセル5aと、甘味を与える砂糖やシロップ等の甘味料を封入したカプセル5bと、レモン汁等の酸味を添加する調味材を封入したカプセル5cとを設置し、飲用者の好みによりそれぞれのカプセル設置部位を圧迫することによりいずれかのカプセルのイージーピールで構成された破壊部分6を破壊し好みの風味を添加して飲用するものである。また、この実施例では一煎目と二煎目或いは三煎目以降とをまったく異なった風味で飲用することができる飲料となるとともにそれぞれの補助調味材の組合せにより数多くの種類の風味を醸し出すことが可能となる。
【0037】
なお、この実施例では主調味材として緑茶以外にも紅茶やコーヒー粉を使用した場合においても補助調味材として砂糖やシロップ、レモン汁、ミルク等を別々に封入する応用も可能である。
【0038】
また、図9に図示する実施例では、これらの複数の補助調味材を使用する飲料容器構造において、主調味材4を省き複数の補助調味材5のみの構成とした場合には補助調味材5として緑茶、ウーロン茶、紅茶等を別々に封入して、一つの飲料容器で全く異なった風味を味わうことのできる飲料製品とすることもできる。
【0039】
次に、補助調味材をカプセル等への容器封入でなく果実等を利用した実施例について説明する。この実施例では飲用液を単なる水に限らず焼酎等のアルコール飲料として補助調味材として梅干、唐辛子等を封入し梅干や唐辛子の果実皮破砕前はそれぞれの果実皮の表面に付着しているソフトな風味成分を主調味材として利用するが、飲用者の酸味や辛味等の好みがハードな風味である場合はこれらの果実を飲用容器内で破砕することにより果実内部のハードな風味をアルコール飲料に添加するものである。
【0040】
なお、補助調味材収容容器等の破壊方法は補助調味材収容容器等への加圧による内部圧利用に限らず、飲用容器の外部からの引っ張り力によるものやキャップ部等からの細線による破壊或いはでんぷん質等の食用硬質物質を利用して容器自身の飲用液体での溶解による補助調味材収容容器破壊方法も存在し、この場合においては容器自身を補助調味材とすることも可能である。
【0041】
なお、上記のような水溶性食用素材による補助調味材収容容器を利用した場合は経時的に補助調味材収容容器が溶解するため製造者の意図する時間で補助調味材の風味を添加する機能を有する高機能な複数風味飲料を提供することも可能となる。
【0042】
この場合の実施例としては、緑茶と飲用液が混合されてからの時間が経過するごとに緑茶の茶葉から苦味成分や渋み成分が多く抽出されてくるが、これに合わせて例えば甘味料等の補助調味材を添加していく方法等がある。
【0043】
次に輸送中等に補助調味材収容部を保護するための機構について説明する。補助調味材収容部に設けられた弱薄部6はイージーピール等である場合があるが、この補助調味材収容部を有する飲料容器の収容部内の気体を減圧し補助調味材収容部外側壁と飲料容器内側壁を密着させることによりこれら弱薄部を飲料容器内側壁に固定して破壊を防止する方法と逆にこの部分に気体を封入し、この気体をいわゆるクッションとして利用することによって補助調味材の輸送中等における保護効果を得る方法とが存在する。
【0044】
次に、主調味材4と補助調味材5の収納形態において不透水性素材で形成される補助調味材収容容器の外側に主調味材となりうる成分を添付し、内側に補助調味材となりうる成分を添付した場合においても同様の効果の得られる複数風味飲料の実施例も存在する。
【0045】
また、主調味材4と補助調味材5、は決して違った調味財である必要はなく、場合によっては同じ調味財である場合もある。これは例えば主調味材としてリーフ茶を使用した場合、二煎目以降は徐々に風味が薄くなっていくが、同じ補助調味材として同じ調味材を収容することによって再び濃い状態の風味を醸し出すことが可能となる。これは補助調味材を複数収容した場合はさらに繰り返し同様の効果を得ることができ、飲料容器の有効利用が図られる。
【0046】
以上の各実施例による商品形態としては、容器に飲用液を予め封入したものと、ユーザーにおいて水やアルコール飲料等の飲用液をキャップ7等から注入して使用するもの等が存在する。

【符号の説明】
【0047】
1 主調味材収容部
2 飲用液収容部
3 飲用液水圧破壊隔壁(剥離前)
4 透水性容器に収容された主調味材
5 補助調味剤収容部に収容された補助調味材
6 補助調味材収容容器の破壊部分(弱薄部分)
7 キャップ
8 調味材が添加された飲用液
9 飲用液水圧破壊隔壁跡(剥離破壊後)
A 主調味材添加のための容器加圧部位並びに加圧方向
B 補助調味材添加のための容器加圧部位並びに加圧方向(補助調味材容器固定の場合)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲用液を収容する飲用液収容部と飲用液に風味を加える主調味材を収容する主調味材収容部の複数の収容部を有し、各収容部の間には飲用液収容部内に収容する液体圧により破壊する隔壁を有し、飲用液への風味添加をこの隔壁の破壊による飲用液と主調味材の混合により行う機能を有し、いずれかの収容部には前記の主調味材とは異なる補助調味材を収容する補助調味材収容部を有し、この補助調味材収容部の構造破壊により補助調味材由来の風味を飲用液に添加する機能を有することを特徴とする飲料容器
【請求項2】
請求項1に記載の飲料容器であって、補助調味材収容部の破壊は補助調味材収容部への部分的加圧による当該収容部内部からの気体或いは液体の圧力で破壊され、飲用液収容部と主調味材収容部間の隔壁破壊のための飲用液加圧においては少なくとも補助調味材収容部は破壊には至らないことを特徴とする飲料容器
【請求項3】
請求項1から請求項2のいずれかに記載の飲料容器であって、各調味材あるいはいずれかの調味材を予め収容していることを特徴とする飲料容器
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の飲料容器における飲料への風味添加方法であって、飲用液を飲用液収容部に収容し、飲用液に風味を加える主調味材を主調味材収容部に収容し、飲用液への主調味材由来の風味添加を飲用液収容部内に収容した液体圧による隔壁の破壊による飲用液と主調味材の混合により行い、主調味材とは異なる補助調味材を前記いずれかの収容部内に有する補助調味材収容部に収容し、この補助調味材収容部の破壊により補助調味材由来の風味の添加を行うことを特徴とする飲料への風味添加方法
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の飲料容器に収容され、あるいは請求項4の方法により風味を添加することを特徴とする飲料



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−228762(P2010−228762A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75344(P2009−75344)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(301060037)
【Fターム(参考)】