説明

複数世帯用インターホン装置

【課題】来訪者による呼び出しを他世帯に呼出転送して報知させ、この呼び出しに他世帯の居住者が応答して通話を成立させるにあたり、伝言メッセージを入力・録音する際の利便性を高める。
【解決手段】玄関子機1a、1bからの親機呼び出しを他世帯の当該居室親機に呼出転送させる設定又は操作が設定・操作部20a、20bで行われている時、玄関子機からの親機呼び出しは他世帯の居室親機で報知され、通話終了を検出した他世帯の居室親機は表示部23a、23bを制御し、伝言メッセージ入力を、音声入力部21a、21bを使用するように他世帯の居住者に促す。対応した伝言メッセージは、自世帯又は他世帯の当該居室親機の録画再生部25a、25bに録音され、読み出された伝言メッセージは、自世帯の居室親機の発報部21a、21bから音響出力。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一の住戸に複数の世帯を有する複数世帯用のインターホン装置に係り、特に、自世帯からの親機呼び出しを他世帯に呼出転送して報知を行い、この親機呼び出しに応答して通話を成立させることができる複数世帯用インターホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、同一の住戸に複数の世帯を有する複数世帯用のインターホン装置として、2世帯用住宅を構成する各住戸に設置される居室親機のうち、留守である一方の居室親機が呼び出されたときに他方の居室親機を呼び出すことができる2世帯用インターホン装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
この2世帯用インターホン装置によれば、呼び出しのための呼出信号及び通話を成立させるための音声信号の伝送路であるラインの切り替えを、制御機を介して行うように構成しているため、2世帯用住宅を構成する各住戸のうち何れか一方の住戸に居住者が在宅であれば、呼び出しに応答することができる。これにより、居住者が在宅しているにも拘らず留守であるという来訪者の誤った判断を防止できる。
【0004】
また、2世帯用住宅を構成する各住戸に設置される居室親機のうち、留守である一方の居室親機が呼び出されたときに他方の居室親機にて応答し、通話を成立させたときのように、来訪者により本来呼び出したいとされる所望の居住者でない他住戸の居住者が応答した場合において、所望の居住者への伝言があるか否かを来訪者に促し、メッセージを録音させるテレビドアホン装置が開示されている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0005】
【特許文献1】特願平11−103354号公報
【特許文献2】特開2002−2718721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、背景技術に記載した特許文献1の2世帯用インターホン装置に特許文献2のテレビドアホン装置が有するメッセージ録音機能を備えた場合において、所望の居住者への伝言があるか否かを来訪者に促し、メッセージを録音させる動作は、通話の成立時に限定されるものであり、来訪者が通話相手先である他住戸の居住者に伝えておけば足り得るメッセージを、その入力の喚起から予め来訪者に確認せねばならず、来訪者に不快感を与える虞があった。
【0007】
本発明は、この難点を解消するためになされたもので、来訪者による自世帯からの親機呼び出しを他世帯に呼出転送して報知させ、この親機呼び出しに他世帯の居住者が応答して通話を成立させるにあたり、来訪者に不快感を与えることなく自世帯の居住者への伝言メッセージを入力・録音する際の利便性を高めた複数世帯用インターホン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様である複数世帯用インターホン装置は、住戸玄関に設置され来訪者が親機呼び出しを行い通話を成立させるための子機通話部を有する玄関子機に接続され、当該玄関子機からの親機呼び出しが報知され当該親機呼び出しに応答した居住者が来訪者との間で通話を成立させるための親機通話部を有する自世帯及び他世帯の居室親機を伝送路を経由して相互に接続するものである。居室親機にはそれぞれ、玄関子機からの自世帯宛ての親機呼び出しを他世帯の当該居室親機に呼出転送させるための設定又は操作を行う設定・操作部と、呼出転送された他世帯で当該玄関子機からの親機呼び出しを音響出力するための発報部と、呼出転送された他世帯で伝言メッセージを入力するための音声入力部と、発報部による親機呼び出しに他世帯の居住者が応答し親機通話部を使用して来訪者との間で通話を終了させた後、音声入力部から自世帯宛ての伝言メッセージの入力を促す入力喚起表示を行うための表示部と、呼出転送された他世帯の音声入力部にて入力された伝言メッセージを自世帯又は他世帯で録音し、自世帯の発報部から再生するための録音再生部と、設定・操作部、表示部及び録音再生部を制御するための制御部とを備えている。
【0009】
この複数世帯用インターホン装置によれば、玄関子機からの自世帯宛ての親機呼び出しを他世帯の当該居室親機に呼出転送させるための設定又は操作が居室親機の設定・操作部にて行われているとき、玄関子機からの自世帯宛ての親機呼び出しは他世帯の居室親機にて報知され、この親機呼び出しに応答した他世帯の居住者による通話が終了すると、これを検出した他世帯の居室親機の制御部は、表示部を制御して、自世帯の居住者への伝言メッセージの入力を、音声入力部を使用して行うように他世帯の居住者に促すことができる。これに対応した他世帯の居住者が音声入力部にて入力した伝言メッセージは、自世帯又は他世帯の当該居室親機の録画再生部に録音され、録音再生部から読み出された伝言メッセージは、自世帯の居室親機の発報部から音響出力させることができる。
【0010】
また、本発明の第2の態様である複数世帯用インターホン装置は、本発明の第1の態様において、玄関子機にはそれぞれ、来訪者の映像を撮像するための映像撮像部を備えている。居室親機にはそれぞれ、玄関子機の映像撮像部にて撮像された映像データの自世帯の当該居室親機の表示部への信号伝送路又は他世帯の当該居室親機の表示部への信号伝送路を切り替えて形成するとともに、玄関子機の子機通話部にて入出力される音声データの自世帯の当該居室親機の親機通話部との間の信号伝送路又は他世帯の当該居室親機の親機通話部との間の信号伝送路を切り替えて形成するための分配交換部を備えている。
【0011】
この複数世帯用インターホン装置によれば、居室親機の分配変換部の制御により、玄関子機の映像撮像部にて撮像された映像データの自世帯の当該居室親機の表示部への信号伝送路又は他世帯の当該居室親機の表示部への信号伝送路を切り替えて形成するとともに、玄関子機の子機通話部にて入出力される音声データの自世帯の当該居室親機の親機通話部との間の信号伝送路又は他世帯の当該居室親機の親機通話部との間の信号伝送路を切り替えて形成することができる。
【0012】
また、本発明の第3の態様である複数世帯用インターホン装置は、本発明の第1の態様又は第2の態様において、居室親機の発報部は、音声入力部の使用による伝言メッセージの入力を促すために音響出力するものである。
【0013】
この複数世帯用インターホン装置によれば、玄関子機からの自世帯宛ての親機呼び出しを他世帯の当該居室親機に呼出転送させるための設定又は操作が居室親機の設定・操作部にて行われているとき、玄関子機からの自世帯宛ての親機呼び出しは他世帯の居室親機にて報知され、この親機呼び出しに応答した他世帯の居住者による通話が終了すると、これを検出した他世帯の居室親機の制御部は、発報部を制御して、自世帯の居住者への伝言メッセージの入力を、音声入力部を使用して行うように他世帯の居住者に促すことができる。
【0014】
また、本発明の第4の態様である複数世帯用インターホン装置は、本発明の第1の態様乃至第3の態様のうち何れか1の態様において、居室親機の表示部は、録音再生部に伝言メッセージが録音されたことを表示するものである。
【0015】
この複数世帯用インターホン装置によれば、他世帯の居住者により居室親機の音声入力部にて入力された伝言メッセージが自世帯の居室親機の録画再生部又は他世帯の居室親機の録音再生部に録音されていることを、自世帯の居室親機の表示部に表示して自世帯の居住者に確認させせることができる。
【0016】
また、本発明の第5の態様である複数世帯用インターホン装置は、本発明の第1の態様乃至第4の態様のうち何れか1の態様において、居室親機の設定・操作部は、玄関子機から自世帯宛ての親機呼び出しを呼出転送させる他世帯の当該居室親機が複数ある場合、特定の他世帯の当該居室親機を指定して設定するものである。
【0017】
この複数世帯用インターホン装置によれば、玄関子機からの自世帯宛ての親機呼び出しを呼出転送させる他世帯の当該居室親機が複数ある場合、居室親機の設定・操作部を使用して特定の当該居室親機を指定し設定することができるため、より複数の世帯を有する住戸への適用が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の複数世帯用インターホン装置によれば、玄関子機からの自世帯宛ての親機呼び出しを他世帯の当該居室親機に呼出転送させるための設定又は操作が行われているとき、玄関子機からの自世帯宛ての親機呼び出しは他世帯の居室親機にて報知され、この親機呼び出しに応答した他世帯の居住者による通話が終了すると、自世帯の居住者への伝言メッセージの入力を他世帯の居住者に促すことができる。これに対応した他世帯の居住者による伝言メッセージは、自世帯の居室親機又は他世帯の居室親機に録音され、自世帯の居住者は、録音された伝言メッセージを再生させることができる。これにより、来訪者による自世帯からの親機呼び出しを他世帯に呼出転送して報知させ、この親機呼び出しに他世帯の居住者が応答して通話を成立させるにあたり、来訪者に不快感を与えることなく自世帯の居住者への伝言メッセージを入力・録音する際の利便性が高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の複数世帯用インターホン装置を適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1(a)は、本発明の実施例による複数世帯用インターホン装置の全体構成を示すシステム説明図である。同図に示す複数世帯用インターホン装置には、同一の住戸における複数の世帯、ここでは、2つの世帯を構成する世帯A及び世帯Bの各住戸玄関に設置され、来訪者が親機呼び出しを行い通話を成立させるための玄関子機1a、1bと、世帯A及び世帯Bの各住戸内に設置され、個別の伝送路(以下、子機/親機ラインという。)L1a、L1bを経由して接続された玄関子機1a、1bからの親機呼び出しが報知(呼出報知)され当該親機呼び出しに応答した居住者が来訪者との間で通話を成立させるための居室親機2a、2bとが設けられており、居室親機2a、2bの間は、伝送路(以下、世帯間ラインという。)L2を経由して相互に接続されている。
【0021】
図1(a)に示す玄関子機1a、1bはそれぞれ同様な構成であり、子機操作部10a、10b、映像撮像部11a、11b及び子機通話部12a、12bが備えられている。
【0022】
この玄関子機1a、1bにおいて、子機操作部10a、10bは、来訪者が親機呼び出しを行うために操作するものであり、例えば、呼出ボタンにて構成されている。
【0023】
また、映像撮像部11a、11bは、呼出操作を行った来訪者の映像や住戸玄関の周囲近傍の映像(監視映像を含む。)を撮像するためのものであり、例えば、CCD、CMOS等の各種のカメラ媒体にて構成されている。
【0024】
さらに、子機通話部12a、12bは、来訪者が居住者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力するものであり、例えば、マイク120及びスピーカ121にて構成されている。
【0025】
図1(a)に示す居室親機2a、2bはそれぞれ同様な構成であり、設定・操作部20a、20b、発報部21a、21b、音声入力部22a、22b、表示部23a、23b及び親機通話部24a、24bが備えられている。
【0026】
この居室親機2a、2bにおいて、設定・操作部20a、20bは、玄関子機1a、1bからの自世帯宛ての親機呼び出しを他世帯の当該居室親機に呼出転送させるための設定又は操作を行うとともに、玄関子機1a、1bからの自世帯宛ての親機呼び出し又は呼出転送による他世帯の当該玄関子機からの親機呼び出しに居住者が応答するための操作を行うものあり、例えば、設定・操作ボタン、通話(応答)ボタン等の各種の押圧ボタンや表示部23a、23bの前面に配置されるタッチパネル等にて構成されている。
【0027】
また、発報部21a、21bは、玄関子機1a、1bからの自世帯宛ての親機呼び出しがある旨の呼出音や音声メッセージ等を音響出力するとともに、呼出転送による他世帯の当該玄関子機からの親機呼び出しがある旨の呼出音や音声メッセージ等を音響出力し、さらには他世帯の居住者による伝言メッセージを音響出力するためのものであり、例えば、スピーカ210にて構成されている。
【0028】
また、音声入力部22a、22bは、呼出転送による他世帯の当該居室親機において親機呼出先である自世帯宛ての伝言メッセージを入力するためのものであり、例えば、マイク220にて構成されている。
【0029】
また、表示部23a、23bは、玄関子機1a、1bからの自世帯宛ての親機呼び出しに呼出転送先である他世帯の居住者が応答して通話を終了させた後、音声入力部22a、22bから自世帯宛ての伝言メッセージの入力を促す入力喚起表示を行うとともに、自世帯又は他世帯の当該玄関子機の映像撮像部11a、11bにて撮像された映像を出画するためのものであり、例えば、LCD、TFT、PDP、有機ELディスプレイ等の各種の出画・表示媒体にて構成されている。なお、表示部23a、23bは、前述の出画表示機能のみならず、玄関子機1a、1bからの自世帯宛ての親機呼び出しがある旨の呼出メッセージや絵データ等、呼出転送による他世帯の当該玄関子機からの親機呼び出しがある旨の呼出メッセージや絵データ等を表示する呼出報知機能が備えられている。
【0030】
さらに、親機通話部24a、24bは、玄関子機1a、1bからの自世帯宛ての親機呼び出しに応答した居住者が来訪者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力するとともに、呼出転送による他世帯の当該玄関子機からの親機呼び出しに応答した居住者が来訪者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力するものであり、例えば、前述の発報部21a、21bを構成するスピーカ210及音声入力部22a、22bを構成するマイク220にて構成されている。
【0031】
なお、親機通話部24a、24bとしては、前述のマイク220及びスピーカ210の構成に限定されるものではなく、例えば、居住者による応答操作として取り上げられ音声(送話音声、受話音声)を入出力することができるハンドセット(図示せず。)も好適とされる。
【0032】
次に、居室親機2a、2bの具体的な構成について、図1(b)のブロック図を参照して説明する。
【0033】
図1(b)に示す居室親機2a、2bにはそれぞれ、前述の設定・操作部20a、20bと、発報部21a、21b(を構成するスピーカ210)と、音声入力部22a、22b(を構成するマイク220)と、表示部23a、23bと、親機通話部24a、24b(を構成するマイク220及びスピーカ210)と、録音再生部25a、25bと、分配変換部26a、26bと、制御部27a、27bと、子機接続用インターフェース(以下、子機接続用I/Fという。)28a、28bと、他親機接続用インターフェース(以下、他親機接続用I/Fという。)29a、29bとが備えられている。
【0034】
この居室親機2a、2bにおいて、録画再生部25a、25bは、他世帯の当該居室親機の音声入力部22a、22bを構成するマイク220にて入力された伝言メッセージを自世帯又は他世帯で録音し、自世帯の当該居室親機の発報部21a、21bを構成するスピーカ210から再生(音響出力)するためのものであり、この録音機能としては、例えば、RAM、EEPROM等の各種の記憶媒体にて構成されている。
【0035】
また、分配変換部26a、26bは、玄関子機1a、1bの映像撮像部11a、11bにて撮像された映像データの自世帯の当該居室親機の表示部23a、23bへの信号伝送路又は他世帯の当該居室親機の表示部23a、23bへの信号伝送路を切り替えて形成するとともに、玄関子機1a、1bの子機通話部12a、12bを構成するマイク120及びスピーカ121にて入出力される音声データの自世帯の当該居室親機の親機通話部24a、24bを構成するスピーカ210及びマイク220との間の信号伝送路又は他世帯の当該居室親機の親機通話部24a、24bを構成するスピーカ210及びマイク220との間の信号伝送路を切り替えて形成するためのものある。
【0036】
また、制御部27a、27bは、設定・操作部20a、20bの使用による設定・操作を検出するとともに、表示部23a、23b、録音再生部25a、25b及び分配変換部26a、26bをそれぞれ制御するためのものである。この制御の一例としては、録音再生部25a、25bに伝言メッセージが録音されたことを表示部23a、23bに表示することができる。なお、制御部27a、27bは、玄関子機1a、1bからの自世帯宛ての親機呼び出しがある旨の報知(呼出報知)を、発報部21a、21bを構成するスピーカ210及び表示部23a、23bをそれぞれ使用して行うこともできる。
【0037】
また、子機接続用I/F28a、28bは、分配変換部26a、26b及び子機/親機ラインL1a、L1bの間で送受信される各種データの信号伝送路、制御部27a、27b及び子機/親機ラインL1a、L1bの間で送受信される各種データの信号伝送路をそれぞれ形成するためのものである。
【0038】
さらに、他親機接続用I/F29a、29bは、分配変換部26a、26b及び世帯間ラインL2の間で送受信される各種データの信号伝送路、制御部27a、27b及び世帯間ラインL2の間で送受信される各種データの信号伝送路をそれぞれ形成するためのものである。
【0039】
このように構成された本発明の実施例による複数世帯用インターホン装置において、以下、具体的な動作について説明する。
【0040】
図1(a)に示す同一の住戸における2つの世帯A及び世帯Bのうち、例えば、世帯Aの居住者が繁忙や外出等で住戸内を不在(留守)にする等の理由で、来訪者による自世帯宛ての親機呼び出しを他世帯である世帯Bの居住者に呼出転送させるにあたっては、その前提として、居室親機2aの設定・操作部20aにて所定の呼出転送設定又はその操作を行う。この設定・操作は、図1(b)に示す居室親機2aの制御部27aにて検出される。
【0041】
前述のような呼出転送の設定・操作が行われた後、世帯Aへの来訪者が図1(a)に示す玄関子機1aの子機操作部10aにて所定の呼出操作を行うと、子機/親機ラインL1a、図1(b)に示す居室親機2aの子機接続用I/F28aを経由して制御部27aに親機呼出データが伝送される。この親機呼出データを受信した制御部27aは、来訪者による自世帯宛ての親機呼び出しがあることを検出し、当該親機呼び出しを他世帯である世帯Bの居室親機2bへ呼出転送させるための親機呼出転送データを生成するとともに、分配交換部26aを制御して、子機接続用I/F28a及び他親機接続用I/F29aの間の信号伝送路を形成することができる。また。居室親機2aの制御部27aは、玄関子機1aの映像撮像部11aを能動とし、呼出操作を行った来訪者の映像や世帯Aの住戸玄関の周囲近傍の映像の撮像を開始させるとともに、玄関子機1aの子機通話部12aを構成するマイク120から子機/親機ラインL1aへの信号伝送路を形成することができる。
【0042】
図1(b)に示す世帯Aの居室親機2aにおいて、制御部27aにて生成された親機呼出転送データは、他親機接続用I/F29a、世帯間ラインL2、世帯Bの居室親機2bの他親機接続用I/F29bを経由して制御部27bに伝送される。この親機呼出転送データを受信した制御部27bは、世帯Aの玄関子機1aにて呼出操作を行った来訪者からの親機呼び出しがあることを検出し、その旨の呼出音や音声メッセージ等を、発報部21bを構成するスピーカ210から音響出力させるとともに、同様な旨の呼出メッセージや絵データ等を表示部23bにて表示させて呼出転送による所定の報知(呼出報知)を行うことができる。また、居室親機2bの制御部27bは、分配交換部26bを制御して、他親機接続用I/F29bから当該分配交換部を経由して表示部23bへの信号伝送路と、他親機接続用I/F29bから当該分配交換部を経由して親機通話部24bを構成するスピーカ210への信号伝送路とをそれぞれ形成することができる。
【0043】
前述までの制御により、図1(a)に示す玄関子機1aの映像撮像部11aにて撮像された映像データは、子機/親機ラインL1a、図1(b)に示す居室親機2aの子機接続用I/F28a、分配交換部26a、他親機接続用I/F29a、世帯間ラインL2、居室親機2bの他親機接続用I/F29b、分配交換部26b経由して表示部23bに伝送され、世帯Aの玄関子機1aにて呼出操作を行った来訪者の映像や世帯Aの住戸玄関の周囲近傍の映像が表示部23bに出画されることになる。また、世帯Aの住戸玄関に居る来訪者により玄関子機1aの子機通話部12aを構成するマイク120にて入力された音声(送話音声)データは、子機/親機ラインL1a、居室親機2aの子機接続用I/F28a、分配交換部26a、他親機接続用I/F29a、世帯間ラインL2、居室親機2bの他親機接続用I/F29b、分配交換部26b経由して親機通話部24bを構成するスピーカ210に伝送され、このスピーカ210から受話音声として音響出力されることになる。
【0044】
次に、前述のような報知(呼出報知)、映像の出画及び受話音声の音響出力をもとに、世帯Aの住戸玄関に居る来訪者からの呼出転送による親機呼び出しがあることを当該来訪者の識別と併せて確認できた世帯Bの住戸内に在室中の居住者は、その親機呼び出しに応答するにあたり、図1(a)、(b)に示す居室親機2bの設定・操作部20bにて所定の応答操作を行う。この操作を検出した制御部27bは、応答通知データを生成して前述の呼出転送データと逆の信号伝送路を経由して居室親機2aの制御部27aに送出することができる。また、居室親機2bの制御部27bは、分配交換部26bを制御して、親機通話部24bを構成するマイク220から当該分配変換部を経由して他親機接続用I/F29bへの信号伝送路を形成するとともに、他親機接続用I/F29bから当該分配変換部を経由して親機通話部24bを構成するスピーカ210への信号伝送路の形成を保持することができる。
【0045】
図1(b)に示す居室親機2aの制御部27aは、居室親機2bの制御部27bからの応答通知データを受信すると、分配交換部26aを制御して、他親機接続用I/F29aから当該分配変換部を経由して子機接続用I/F28aへの信号伝送路を形成するとともに、子機接続用I/F28aから当該分配変換部を経由して他親機接続用I/F29aへの信号伝送路の形成を保持することができる。
【0046】
この後、世帯Bの住戸内に在室中の居住者により図1(a)、(b)に示す居室親機2bの親機通話部24bを構成するマイク220にて入力された音声(送話音声)データは、分配交換部26b、他親機接続用I/F29b、世帯間ラインL2、居室親機2aの他親機接続用I/F29a、分配交換部26a、子機親機用I/F28a、子機/親機ラインL1aを経由して玄関子機1aの子機通話部12aを構成するスピーカ121に伝送され、このスピーカ121から受話音声として音響出力されることになる。一方、前述の呼出検出時より保持して形成されている信号伝送路をもとに、玄関子機1aの子機通話部12aを構成するマイク120から居室親機2a及び他世帯間ラインL2を適宜経由して居室親機2bの親機通話部24bを構成するスピーカ210に伝送される来訪者による音声(送話音声)データは、このスピーカ210から受話音声として音響出力されることにより、世帯Aの住戸玄関に居る来訪者と世帯Bの住戸内に在室中の居住者との間の通話が成立されるため、世帯Bの居住者にとっては、来訪者の映像を確認しながらの通話が可能となる。
【0047】
次に、前述までの通話を終了させるため、世帯Bの住戸内に在室中の居住者が図1(a)、(b)に示す居室親機2bの設定・操作部20bにて所定の終話操作を行うと、この操作を検出した制御部27bは、分配交換部26bを制御して、親機通話部24bを構成するマイク220から当該分配変換部を経由して他親機接続用I/F29bへの信号伝送路を遮断するとともに、他親機接続用I/F29bから当該分配変換部を経由して親機通話部24bを構成するスピーカ210への信号伝送路の形成を遮断することができる。また、居室親機2bの制御部27bは、終話通知データを生成して前述の応答通知データと同一の信号伝送路を経由して居室親機2aの制御部27aに送出するとともに、世帯Aの居住者への伝言メッセージの入力を喚起するための音声メッセージを、発報部21bを構成するスピーカ210から音響出力させることができる。なお、世帯Aの居住者への伝言メッセージの入力を喚起する手段としては、前述のような発報部21bを構成するスピーカ210からの音声メッセージの音響出力に限定されるものではく、例えば、同様な意の文字メッセージや絵データ等を制御部27bの制御により表示部23bへ表示させることもできる。
【0048】
図1(b)に示す居室親機2aの制御部27aは、居室親機2bの制御部27bからの終話通知データを受信すると、分配交換部26aを制御して、他親機接続用I/F29aから当該分配変換部を経由して子機接続用I/F28aへの信号伝送路を遮断するとともに、子機接続用I/F28aから当該分配変換部を経由して他親機接続用I/F29aへの信号伝送路の形成を遮断することができる。
【0049】
次に、前述の入力喚起を確認した世帯Bの住戸内に在室中の居住者は、世帯Aの居住者への伝言メッセージを入力するにあたり、その前提として、図1(a)、(b)に示す居室親機2bの設定・操作部20bにて所定の伝言入力操作を行う。この操作を検出した制御部27bは、伝言入力通知データを生成して前述の応答通知データ及び終話通知データと同一の信号伝送路を経由して居室親機2aの制御部27aに送出することができる。また、居室親機2bの制御部27bは、分配交換部26bを制御して、音声入力部22bを構成するマイク220から当該分配変換部を経由して他親機接続用I/F29bへの信号伝送路を形成することができる。さらに、居室親機2bの制御部27bは、録音再生部25bを録音可能な状態に制御するとともに、分配交換部26bを制御して、音声入力部22bを構成するマイク220から当該分配変換部を経由して録音再生部25bへの信号伝送路を形成することもできる。
【0050】
図1(b)に示す居室親機2aの制御部27aは、居室親機2bの制御部27bからの伝言入力通知データを受信すると、分配交換部26aを制御して、他親機接続用I/F29aから当該分配変換部を経由して録音再生部25aへの信号伝送路を形成するとともに、この録音再生部25aを録音可能な状態に制御することができる。
【0051】
前述までの制御により、世帯Bの住戸内に在室中の居住者により図1(a)、(b)に示す居室親機2bの音声入力部22bを構成するマイク220にて入力された音声である伝言メッセージは、分配変換部26b、他親機接続用I/F29b、世帯間ラインL2、居室親機2aの他親機接続用I/F29a、分配交換部26aを経由して録音再生部25aへ伝送された後に録音される態様、又は分配変換部26b、他親機接続用I/F29bを経由して録音再生部25bへと伝送された後に録音される態様のうち何れか1の態様で録音されることになる。また、居室親機2aの制御部27aは、世帯Bの住戸内に在室中の居住者による伝言メッセージが録音再生部25a又は居室親機2bの録音再生部25bに録音されたことを確認させる文字メッセージや絵データ等を表示部23aに表示させることができる。
【0052】
次に、世帯Bの住戸内に在室中の居住者により図1(a)、(b)に示す居室親機2bの音声入力部22bを構成するマイク220にて入力された音声である自世帯A宛ての伝言メッセージが居室親機2aの録音再生部25aにのみ録音されている状態において、世帯Aの居住者が繁忙から解かれた場合や外出等から住戸内に帰宅したとき、居室親機2aの表示部23aに表示されている伝言メッセージがある旨、すなわち、呼出転送先であり応答して通話を成立させた世帯Bの居住者からの伝言メッセージがある旨を確認した世帯Aの居住者が設定・操作部20aにて所定の再生操作を行うと、この操作を検出した制御部27aの制御により、録音再生部25aに録音されていた伝言メッセージが読み出され、発報部21aを構成するスピーカ210から音響出力させることができる。
【0053】
一方、世帯Bの住戸内に在室中の居住者により図1(a)、(b)に示す居室親機2bの音声入力部22bを構成するマイク220にて入力された音声である自世帯A宛ての伝言メッセージが居室親機2bの録音再生部25bにのみ録音されている状態において、居室親機2aの表示部23aに表示されている伝言メッセージがある旨、すなわち、呼出転送先であり応答して通話を成立させた世帯Bの居住者からの伝言メッセージがある旨を確認した世帯Aの居住者が設定・操作部20aにて所定の再生操作を行うと、この操作を検出した制御部27aは、読出制御データを生成して前述の親機呼出転送データと同一の信号伝送路を経由して居室親機2bの制御部27bに送出することができる。また、居室親機2aの制御部27aは、分配交換部26aを制御して、他親機接続用I/F29aから当該分配変換部を経由して発報部21aを構成するスピーカ210への信号伝送路を形成することができる。
【0054】
図1(b)に示す居室親機2bの制御部27bは、居室親機2aの制御部27aからの読出制御データを受信すると、分配交換部26bを制御して、録音再生部25bから当該当該分配変換部を経由して他親機接続用I/F29bへの信号伝送路を形成するとともに、録音再生部25bから読み出した伝言メッセージを、前述の形成された信号伝送路を経由して居室親機2aの発報部21aを構成するスピーカ210に伝送し、このスピーカ210から音響出力させることができる。
【0055】
なお、前述までの説明では、図1(a)に示す同一の住戸における2つの世帯A及び世帯Bのうち、世帯Aの居住者が繁忙や外出等で住戸内を不在(留守)にする等の理由で、来訪者による自世帯A宛ての呼び出しを他世帯である世帯Bの居住者に呼出転送させた場合の各種動作について説明したが、この動作に限定されるものではない。例えば、世帯Bの居住者が繁忙や外出等で住戸内を不在(留守)にする等の理由で、来訪者による自世帯B宛ての呼び出しを他世帯である世帯Aの居住者に呼出転送させた場合の各種動作についても同様に行うことができる。
【0056】
また、前述までの説明では、同一の住戸における複数の世帯として2つの世帯A及び世帯Bを適用し、この世帯A及び世帯Bのうち何れか1の世帯宛ての親機呼び出しを他世帯に呼出転送させるように、呼出転送先は1つの当該居室親機であったが、この態様に限定されるものではない。例えば、本発明の別途の実施例による複数世帯用インターホン装置として、図2のブロック図に示すように、同一の住戸における複数の世帯として、より複数の世帯A、世帯B、世帯C、・・・が設けられていた場合、伝送路L2を経由して相互に接続される個別の親機番号を有する居室親機2a、2b、2c、・・・の当該設定・操作部(図示せず。)は、玄関子機1a、1b、1c、・・・からの自世帯宛ての親機呼び出しを呼出転送させる他世帯の当該居室親機として、特定の他世帯の当該居室親機を、親機番号をもとに指定し設定することもできる。
【0057】
最後に、本発明の複数世帯用インターホン装置においては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成の複数世帯用インターホン装置であっても採用できるということはいうまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1(a)は、本発明の実施例による複数世帯用インターホン装置の全体構成を示すシステム説明図である。また、図1(b)は、同実施例において、居室親機の具体的な構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の他の実施例による複数世帯用インターホン装置の全体構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0059】
1a、1b……複数の子機
11a、11b……映像撮像部
12a、12b……子機通話部
2a、2b……複数の親機
20a、20b……設定・操作部
21a、21b……発報部
22a、22b……音声入力部
23a、23b……表示部
24a、24b……親機通話部
25a、25b……録音再生部
26a、26b……分配交換部
27a、27b……制御部
L2……世帯間ライン(伝送路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住戸玄関に設置され来訪者が親機呼び出しを行い通話を成立させるための子機通話部(12a、12b)を有する玄関子機(1a、1b)に接続され、当該玄関子機からの親機呼び出しが報知され当該親機呼び出しに応答した居住者が前記来訪者との間で通話を成立させるための親機通話部(24a、24b)を有する自世帯及び他世帯の居室親機(2a、2b)を伝送路(L2)を経由して相互に接続し、
前記居室親機にはそれぞれ、前記玄関子機からの自世帯宛ての親機呼び出しを他世帯の当該居室親機に呼出転送させるための設定又は操作を行う設定・操作部(20a、20b)と、呼出転送された前記他世帯で当該玄関子機からの前記親機呼び出しを音響出力するための発報部(21a、21b)と、前記呼出転送された他世帯で伝言メッセージを入力するための音声入力部(22a、22b)と、前記発報部による前記親機呼び出しに前記他世帯の居住者が応答し前記親機通話部を使用して前記来訪者との間で通話を終了させた後、前記音声入力部から前記自世帯宛ての伝言メッセージの入力を促す入力喚起表示を行うための表示部(23a、23b)と、前記呼出転送された他世帯の前記音声入力部にて入力された前記伝言メッセージを前記自世帯又は前記他世帯で録音し、前記自世帯の前記発報部から再生するための録音再生部(25a、25b)と、前記設定・操作部、前記表示部及び前記録音再生部を制御するための制御部(27a、27b)とを備えたことを特徴とする複数世帯用インターホン装置。
【請求項2】
前記玄関子機にはそれぞれ、前記来訪者の映像を撮像するための映像撮像部(11a、11b)を備え、
前記居室親機にはそれぞれ、前記玄関子機の前記映像撮像部にて撮像された映像データの前記自世帯の当該居室親機の前記表示部への信号伝送路又は前記他世帯の当該居室親機の前記表示部への信号伝送路を切り替えて形成するとともに、前記玄関子機の前記子機通話部にて入出力される音声データの前記自世帯の当該居室親機の前記親機通話部との間の信号伝送路又は前記他世帯の当該居室親機の前記親機通話部との間の信号伝送路を切り替えて形成するための分配交換部(26a、26b)を備えたことを特徴とする請求項1記載の複数世帯用インターホン装置。
【請求項3】
前記居室親機の前記発報部は、前記音声入力部の使用による前記伝言メッセージの入力を促すために音響出力することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の複数世帯用インターホン装置。
【請求項4】
前記居室親機の前記表示部は、前記録音再生部に前記伝言メッセージが録音されたことを表示することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか1項記載の複数世帯用インターホン装置。
【請求項5】
前記居室親機の前記設定・操作部は、前記玄関子機からの自世帯宛ての前記親機呼び出しを呼出転送させる他世帯の当該居室親機が複数ある場合、特定の他世帯の当該居室親機を指定して設定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか1項記載の複数世帯用インターホン装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−159399(P2009−159399A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336370(P2007−336370)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】