説明

複数人格維持・強化補助装置及び方法

【課題】本発明は、ネットワーク上で提供されるサービスにおいて、一のユーザが複数のユーザ名を使用する場合に、当該複数のユーザ名それぞれに象徴される各仮想人格の維持・強化に寄与することができる複数人格維持・強化補助装置を提供すること。
【解決手段】複数人格維持・強化補助装置(10)は、インターネット上で所定のサービスを提供するサーバ(20)から取得した、登録ユーザの表示名ごとのユーザ行動ログを解析して、類似異性を有するキーワードをクラスキーワードとして抽出し、表示名ごとに記憶する。そして、複数人格維持・強化補助装置(10)は、サーバ(20)から表示名と共に行動情報を受信したことに応じて、当該行動情報とクラスキーワードとの類似度を算出し、その類似度が所定の値以下である場合に、アラート情報をサーバ(20)に送信することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット上で提供されるサービスにおいて、当該サービスの提供を受けるユーザを象徴する仮想人格の維持・強化に寄与する複数人格維持・強化補助装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
あるユーザがインターネット上で提供されるサービスを利用しようとする場合、ユーザは、そのサービスを提供するサイトに利用登録を行った上でサービスの提供を受けることが行われている。そして、サービスの提供主体は、登録されたユーザ名や登録時に付与したユーザID等の識別情報を使用して、登録したユーザに当該サービスを個別に提供する。
【0003】
ここで、ある登録ユーザがサービス提供サイトで行った発言や行動等の振る舞いの情報が蓄積されると、その登録ユーザを特徴付ける仮想人格とも言うべきものが次第に形成され、他のユーザに認識されていく。この仮想人格は、サービス提供サイトにおいて表示される登録ユーザのユーザ名やアバター等(以下、ユーザ名等とする)に象徴されて、そのユーザ名等にその仮想人格が関連付けられ、そのユーザ名等に象徴された仮想人格を有するネットワーク上の登場人物として他のユーザに認識されるようになる。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2006−520053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ユーザは、一つのユーザ名だけをサービス提供サイトに登録するとは限らず、複数の異なるユーザ名で登録を行い、目的に応じて使い分けを行う場合がある。例えば、あるユーザは、仕事用とプライベート用に分けてそれぞれ登録を行ったり、オークションや掲示板等のように利用目的に応じて登録したりして、それぞれ登録したユーザ名ごとに振る舞いを変えて使い分ける。サービス提供主体側も、このような利用方法を考慮して、一つのユーザIDで複数の表示名(ニックネーム)を登録できるシステムを構築している。
【0006】
このような場合、ユーザは、複数のユーザ名(又は表示名)ごとに象徴される仮想人格を混同若しくは誤用してしまう場合がある。例えば、仕事用のユーザ名でサービスを利用しているときに、プライベート用のユーザ名で当該サービスを利用するときの振る舞いをしてしまうといった場合である。誤った振る舞いが蓄積されてしまうと、ユーザ名ごとに使い分けていた仮想人格の差異も曖昧なものとなり、使い分け自体が困難となってしまう場合がある。また、ユーザ名に象徴される仮想人格を使い分けることでユーザ本人の特定を困難にしていたとしても、仮想人格の差異が曖昧となることで当該仮想人格自体がユーザ本人に近づいてしまい、ユーザ本人の意図しないところで当該ユーザが特定されてしまうといった問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、ネットワーク上で提供されるサービスにおいて、一のユーザが複数のユーザ名を使用する場合に、当該複数のユーザ名それぞれに象徴される各仮想人格の維持・強化に寄与することができる複数人格維持・強化補助装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)登録されたユーザにインターネット上で所定のサービスを提供するサーバと互いに通信可能な複数人格維持・強化補助装置であって、前記ユーザを識別するユーザ識別情報と前記所定のサービスにおける前記ユーザの複数の表示名とを関連付けて記憶するユーザ情報記憶手段と、前記所定のサービスにおける前記表示名ごとの行動履歴を記録したユーザ行動ログを記憶するユーザ行動ログ記憶手段と、前記ユーザ行動ログ記憶手段に記憶されたユーザ行動ログから、所定の類似性を有するキーワードを一群のクラスキーワードとして抽出し、前記クラスキーワードを前記表示名ごとにユーザ行動クラス記憶手段に記憶させるユーザ行動クラス抽出手段と、前記サーバから前記表示名と共に当該表示名の行動情報を受信したことに応じて、受信した行動情報と前記ユーザ行動クラス記憶手段に記憶された前記表示名ごとのクラスキーワードとの類似度が所定の値以下であるかを判別するユーザ行動判別手段と、前記類似度が所定の値以下である場合に、前記サーバにアラート情報を送信するアラート情報送信手段と、を備える複数人格維持・強化補助装置。
【0009】
(1)に記載の複数人格維持・強化補助装置は、インターネット上で所定のサービスを提供するサーバから取得した、登録ユーザの表示名ごとのユーザ行動ログを解析して、類似性を有するキーワードをクラスキーワードとして抽出し、表示名ごとに記憶する。そして、複数人格維持・強化補助装置は、サーバから表示名と共に行動情報を受信したことに応じて、当該行動情報とクラスキーワードとの類似度を算出し、その類似度が所定の値以下である場合に、アラート情報をサーバに送信することができる。これにより、登録したユーザがサーバが提供するサービスを利用する際に、当該ユーザの表示名に係る過去の行動と異なる行動を行った場合に警告を発することができるので、登録ユーザに当該サービスにおいて表示名による行動の一貫性を維持するように促すことができ、当該表示名での行動により象徴される仮想人格の維持・強化に寄与することができる。
【0010】
(2)(1)に記載の複数人格維持・強化補助装置であって、前記サーバから受信する行動情報及び行動履歴は、前記ユーザの端末が接続した所定のウェブサイトのアドレスである複数人格維持・強化補助装置。
【0011】
(2)に記載の複数人格維持・強化補助装置は、(1)に記載の複数人格維持・強化補助装置に加えて、前記サーバから、ユーザの端末が接続したウェブサイトのアドレスを含む行動情報及び行動履歴を受信することができる。これにより、ユーザ行動判別手段は、ユーザの端末が接続したウェブサイトのアドレスと過去に接続したアドレスとの類似度を算出することができる。したがって、行動情報に含まれる、ユーザの端末が接続したウェブサイトのアドレスが異なる場合は、過去の行動と異なる行動を当該表示名で行っていることになるので、その旨の警告を行うことができる。
【0012】
(3)(1)又は(2)に記載の複数人格維持・強化補助装置であって、前記サーバから受信する行動情報は、前記サーバが受け付けた、前記ユーザの端末からの入力途中の情報である複数人格維持・強化補助装置。
【0013】
(3)に記載の複数人格維持・強化補助装置は、(1)又は(2)に記載の複数人格維持・強化補助装置に加えて、サーバから、ユーザの端末からの入力途中の情報を含む行動情報を受信することができる。これにより、複数人格維持・強化補助装置は、入力途中の情報に基づいて、過去の行動と異なる行動であるか否かを判別し、リアルタイムで警告を行うことができる。
【0014】
(4)登録されたユーザにインターネット上で所定のサービスを提供するサーバと互いに通信する方法であって、コンピュータは、前記ユーザを識別するユーザ識別情報と前記所定のサービスにおける前記ユーザの複数の表示名とを関連付けて記憶するユーザ情報記憶手段と、前記所定のサービスにおける前記表示名ごとの行動履歴を記録したユーザ行動ログを記憶するユーザ行動ログ記憶手段と、を備え、前記コンピュータに、前記ユーザ行動ログ記憶手段に記憶されたユーザ行動ログから所定の類似性を有するキーワードを一群のクラスキーワードとして抽出し、前記クラスキーワードを前記表示名ごとにユーザ行動クラス記憶手段に記憶させるステップと、前記サーバから前記表示名と共に当該表示名の行動情報を受信したことに応じて、受信した行動情報と前記ユーザ行動クラス記憶手段に記憶された前記表示名ごとのキーワードとの類似度が所定の値以下であるかを判別するステップと、前記類似度が所定の値以下である場合に、前記サーバにアラート情報を送信するステップと、を実行させる方法。
【0015】
(4)に記載の方法によれば、(1)と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ネットワーク上で提供されるサービスにおいて、一のユーザが複数のユーザ名を使用する場合に、当該複数のユーザ名それぞれに象徴される各仮想人格の維持・強化に寄与することができる複数人格維持・強化補助装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る複数人格維持・強化補助装置の機能ブロック及びその周辺機器の機能概要を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るユーザ情報テーブルを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るユーザ行動ログテーブルを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るユーザ行動クラステーブルを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る複数人格維持・強化補助装置を中心とした周辺機器の動作を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る複数人格維持・強化補助装置を中心とした周辺機器の動作を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る複数人格維持・強化補助装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る複数人格維持・強化補助装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0019】
図1から図4を参照して、本発明の一実施形態に係る複数人格維持・強化補助装置10について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0020】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る複数人格維持・強化補助装置10について説明する。図1は、複数人格維持・強化補助装置10の機能ブロック及びその周辺機器の機能概要を示す図である。
【0021】
複数人格維持・強化補助装置10は、インターネット等の通信ネットワークを介してサービス提供サーバ20と互いに通信可能である。また、サービス提供サーバ20は、インターネット等の通信ネットワークを介して、サービス提供サーバ20が提供するサービスを利用するユーザのユーザ端末30a,30b(以下ユーザ端末30と表記する)と互いに通信可能である。
【0022】
ここで、サービス提供サーバ20は、予めサービス提供サーバ20が提供するサービスに登録したユーザに対してユーザ端末30を介した各種サービスを提供するサーバである。各種サービスとしては、例えば、掲示板、オークション、Q&Aサービス、ショッピングモール、SNS(Social Networking Service)等を挙げることができ、提供するサービスの種類には特に限定されない。
【0023】
本実施形態は、コンピュータ(複数人格維持・強化補助装置10、サービス提供サーバ20及びユーザ端末30等)及びその周辺装置に適用される。本実施形態における各部は、コンピュータ及びその周辺装置が備えるハードウェア並びにこのハードウェアを制御するソフトウェアによって構成される。
【0024】
上記ハードウェアには、制御部としてのCPUの他、記憶部、通信部、表示部及び入力部が含まれる。記憶部としては、例えば、メモリ(RAM、ROM等)、ハードディスクドライブ(HDD)及び光ディスク(CD、DVD等)ドライブが挙げられる。通信部としては、例えば、各種有線及び無線インターフェース装置が挙げられる。表示部としては、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の各種ディスプレイが挙げられる。入力部としては、例えば、キーボード及びポインティング・デバイス(マウス、トラッキングボール等)が挙げられる。
【0025】
上記ソフトウェアには、上記ハードウェアを制御するコンピュータ・プログラムやデータが含まれる。コンピュータ・プログラムやデータは、記憶部により記憶され、制御部により適宜実行、参照される。また、コンピュータ・プログラムやデータは、通信ネットワークを介して配布することも可能であり、CD−ROM等のコンピュータ可読媒体に記憶して配布することも可能である。
【0026】
以下、複数人格維持・強化補助装置10の機能構成について説明する。
複数人格維持・強化補助装置10の制御部は、ユーザ行動ログ取得手段11と、ユーザ行動クラス抽出手段12と、ユーザ行動受付手段13と、ユーザ行動判別手段14と、アラート情報送信手段15と、を有する。また、複数人格維持・強化補助装置10の記憶部は、ユーザ情報記憶手段を構成するユーザ情報データベース101(以下、データベースを「DB」と表記する)と、ユーザ行動ログ記憶手段を構成するユーザ行動ログDB102と、ユーザ行動クラス記憶手段を構成するユーザ行動クラスDB103と、を有する。
【0027】
ユーザ行動ログ取得手段11は、サービス提供サーバ20に接続して、サービス提供サーバ20から、当該サービス提供サーバ20が提供するサービスを利用するユーザの行動履歴を取得する。この行動履歴には、ユーザが当該サービスを利用する際に、どのような行動を行ったかの履歴情報と共に、サービス提供サーバ20が提供するサービスに登録したユーザの表示名の情報を少なくとも含む。そして、ユーザ行動ログ取得手段11は、取得した行動履歴を表示名ごとに分類して、ユーザ行動ログとしてユーザ行動ログDB102に記憶させる。
【0028】
ここで、ユーザの表示名とは、サービス提供サーバ20が提供するサービスにおいて、登録したユーザを一意に識別するユーザIDとは別に、使用可能な名称である。例えば、ユーザIDを公開すると、個人が特定されてしまう場合があることから、ユーザIDを公開したくないようなときにサービスを利用する際の別名として利用することができる。本実施形態では、この表示名は複数登録することができ、ユーザは、サービスの利用時に、登録した表示名を適宜選択することができる。
【0029】
表示名の選択の態様としては、既知の方法を利用することができる。例えば、表示名でサービスにログインすることにより、表示名を選択するようにしてもよく、ユーザIDでログインした後に、所定の選択画面により表示名を選択させるようにしてもよい。
【0030】
ユーザのユーザIDとその表示名は、例えば、図2に示すように、ユーザ情報DB101に記憶される。図2に示すユーザ情報テーブル111では、ユーザIDごとに登録された複数の表示名がそれぞれ関連付けられた状態で格納されている。
【0031】
また、ユーザ行動ログDB102について説明する。ユーザ行動ログDB102は、例えば、図3に示すようなユーザ行動ログテーブル121にユーザ行動ログを格納する。
【0032】
ここで、図3に示すユーザ行動ログテーブル121について説明する。図3は、ユーザ行動ログDB102に格納されるユーザ行動ログテーブル121を示す図である。
【0033】
ユーザ行動ログテーブル121は、ユーザIDごとに設けられており、図3に示すユーザ行動ログテーブル121は、ユーザIDが「123」のユーザのものである。
また、ユーザ行動ログテーブル121には、「行動履歴日時」と、「表示名」と、「利用サービス」と、「行動履歴内容」がそれぞれ関連付けられて格納されている。
【0034】
ユーザ行動ログテーブル121において、「行動履歴日時」列には、あるユーザがユーザ端末30を介してサービス提供サーバ20が提供するサービスにおいて何らかの行動をした日時(サービス提供サーバ20がユーザ端末30からの処理要求を受け付けた日時)の情報が格納される。「表示名」列には、ユーザが当該行動を行った際にログインしていた(選択されていた)表示名の情報が格納される。「利用サービス」列には、ユーザが当該行動を行った際に利用していたサービスの種類の情報が格納される。サービスの種類の情報は、例えば、当該サービスを提供するホームページのアドレスや、サービスの名称を示す情報、若しくはその両方であってもよい。また、「行動履歴内容」列には、当該ユーザがどのような行動を行ったかについての内容(すなわち、サービス提供サーバ20がユーザ端末30からの処理要求に応じて処理した内容やユーザ端末30から受け付けた入力内容)が格納される。
【0035】
ユーザ行動クラス抽出手段12は、ユーザ行動ログDB102に記憶されたユーザ行動ログから、所定の類似性を有するキーワードを抽出し、抽出したキーワードを一群のクラスキーワードとして表示名ごとにユーザ行動クラスDB103に記憶させる。
【0036】
ユーザ行動クラス抽出手段12が所定の類似性を有するキーワードを抽出するには、既存の技術を利用することができる。例えば、データの集合をクラスタに分割するクラスタリング手法を利用することができる。クラスタを生成するには、例えば、最短距離法等の階層的手法や、分割最適化手法等を利用することができる。
また、クラスキーワードの抽出において、ユーザ行動ログについて形態素解析を行い、TF−IDF(Term frequency, Inverse Document frequency)法を使用して、特徴的なキーワードを抽出することができる。
【0037】
また、ユーザ行動クラスDB103について説明する。ユーザ行動クラスDB103は、ユーザ行動クラス抽出手段12が抽出したキーワードを一群のクラスキーワードとして記憶するデータベースであり、例えば、図4に示すようなユーザ行動クラステーブル131を有する。図4は、ユーザ行動クラスDB103に格納されるユーザ行動クラステーブル131を示す図である。
【0038】
ユーザ行動クラステーブル131は、ユーザIDごとに設けられており、図4に示すユーザ行動クラステーブル131は、ユーザIDが「123」のユーザのものである。
ユーザ行動クラステーブル131には、「表示名」と、「利用クラスキーワード」と、「行動クラスキーワード」と、がそれぞれ関連付けられて格納されている。
【0039】
「表示名」列は、ユーザの表示名が格納される。この表示名は、図2における表示名と同様である。「利用クラスキーワード」列には、利用サービスにおけるクラスキーワードが格納される。具体的には、図3の「利用サービス」列に格納されるサービスの種類の情報から抽出されたクラスキーワードがこれに当たる。また、「行動クラスキーワード」列には、行動履歴のクラスキーワードが格納される。具体的には、図3の「行動履歴内容」列に格納された行動履歴内容の情報から抽出されたクラスキーワードがこれに当たる。
【0040】
図1に戻って、ユーザ行動受付手段13は、サービス提供サーバ20からユーザの表示名と共に、当該表示名の行動情報を取得する。具体的には、ユーザ行動受付手段13は、サービス提供サーバ20が提供するサービスにおいて、ユーザ端末30からの処理要求に応じてサービス提供サーバ20が受け付けた、又は処理を行った情報をリアルタイムで受信する。
【0041】
ユーザ行動判別手段14は、ユーザ行動受付手段13が取得した表示名及び行動情報について、当該行動情報と、当該表示名に関連するクラスキーワードとの類似度を算出し、算出した類似度が所定の値以下であるか否かを判別する。詳細には、ユーザ行動判別手段14は、ユーザ行動クラスDB103を参照して、該当するユーザIDのユーザ行動クラステーブル131を検索し、当該表示名に関連付けられたクラスキーワード(利用クラスキーワード及び行動クラスキーワード)を取得する。そして、ユーザ行動判別手段14は、行動情報に含まれるキーワードとクラスキーワードとを比較してその類似度を算出する。また、ユーザ行動判別手段14は、一のユーザIDのユーザ行動クラステーブル131において、まず同一の表示名で類似度を算出し、類似度が所定の値以下である場合には他の表示名で類似度を算出することが好ましい。
【0042】
行動情報に含まれるキーワードの抽出や類似度の算出には、既存の方法を採用することができる。例えば、行動情報に含まれるキーワードを抽出するには、形態素解析により抽出することができる。また、類似度の算出には、コーパス等を別途用意しておき、行動情報から抽出したキーワードとクラスキーワードとの意味的な距離を算出してその値を類似度として採用することができる。
【0043】
アラート情報送信手段15は、ユーザ行動判別手段14が、算出した類似度が所定の値以下であると判別した場合に、サービス提供サーバ20に警告を表示させるためのアラート情報をサービス提供サーバ20に送信する。このとき、アラート情報送信手段15は、類似度が所定の値以下の他の表示名がある場合には、当該他の表示名の情報もサービス提供サーバ20に送信する。
【0044】
図5及び図6を参照して、複数人格維持・強化補助装置10を中心とした周辺機器の動作について説明する。図5及び図6は、複数人格維持・強化補助装置10を中心とした周辺機器の動作を示す図である。
【0045】
図5は、ユーザID「123」のユーザが、サービス提供サーバ20が提供するQ&Aサービスに表示名「AAA」でログインした場合を示す図である。この場合、サービス提供サーバ20は、ユーザID、表示名及びQ&Aサービスへのログオンを受け付けた旨の行動情報を複数人格維持・強化補助装置10に送信する。
【0046】
サービス提供サーバ20から行動情報を取得した複数人格維持・強化補助装置10は、取得した行動情報を解析し、クラスキーワードとの類似度を算出して、類似度が所定の値以下であるか否かを判別する。すなわち、複数人格維持・強化補助装置10は、当該表示名が示すユーザが行った行動が、過去の行動と同一又は類似しているか否かを判別する。そして、複数人格維持・強化補助装置10は、当該表示名で行ったユーザの行動が他の表示名で行った行動と同一又は類似していると判断した場合は、アラート情報と共に当該他の表示名をサービス提供サーバ20に送信する。
【0047】
図3のユーザ行動ログテーブル121(ユーザ行動ログDB102)及び図4のユーザ行動クラステーブル131(ユーザ行動クラスDB103)によると、ユーザID「123」の表示名「AAA」は、主として「オークション」のサービスを利用する表示名である。現在ユーザID「123」のユーザは、表示名「AAA」でQ&Aサービスを利用していることから、過去の行動履歴とは異なる行動を取っていることがわかる(表示名「AAA」の利用クラスキーワードである「オークション」と、現在表示名「AAA」で利用しているサービス「Q&Aサービス」とは類似しない(図4参照))。
【0048】
その一方で、現在ユーザID「123」のユーザは、表示名「CCC」でQ&Aサービスを利用してきている(「Q&Aサービス」と類似する利用クラスキーワードと関連する表示名は「CCC」である(図4参照))ことから、複数人格維持・強化補助装置10は、Q&Aサービスの利用は、表示名「CCC」であることを警告するアラート情報をサービス提供サーバ20に送信する。
【0049】
アラート情報を受信したサービス提供サーバ20は、ユーザの現在の行動が、他の表示名で行うべき行動であることを示唆する情報をユーザ端末30に送信する。つまり、サービス提供サーバ20は、ユーザID「123」のユーザが、表示名「CCC」でQ&Aサービスを利用していたことを示唆する情報をユーザ端末30に送信する。そして、ユーザ端末30では、例えば、「Q&Aサービスは、CCCさんで利用していませんか?」といった示唆を示すメッセージが表示画面31に表示される。このように、ある表示名で利用するサービスが過去の行動と異なる場合に警告を表示させることで、ある程度の期間サービスを利用することで特徴付けられるユーザの仮想人格を維持させるように促すことができる。
【0050】
図6では、ユーザID「123」のユーザが、サービス提供サーバ20が提供するブログサービスに表示名「BBB」でログインした状態で、「肝炎」の話題についての入力をしている場合を示す図である。この場合、サービス提供サーバ20は、ユーザID、表示名及び行動情報として、表示名「BBB」のブログのウェブサイトのアドレス、及び入力中のデータを複数人格維持・強化補助装置10に送信する。
【0051】
サービス提供サーバ20から行動情報を取得した複数人格維持・強化補助装置10は、図5における場合と同様に、取得した行動情報を解析して、当該表示名が示すユーザが行った行動が、過去の行動と同一又は類似しているか否かを判別する。そして、複数人格維持・強化補助装置10は、当該表示名で行ったユーザの行動が他の表示名で行った行動と類似していると判断した場合は、アラート情報と共に当該他の表示名をサービス提供サーバ20に送信する。
【0052】
図6の場合、図3のユーザ行動ログテーブル121(ユーザ行動ログDB102)及び図4のユーザ行動クラステーブル131(ユーザ行動クラスDB103)によると、ユーザID「123」の表示名「BBB」は、主として「ブログ」のサービスを利用する表示名である。現在ユーザID「123」のユーザは、表示名「BBB」で自分のブログ(http://www.service.123.BBB…)に入力をしようとしている(ブログサービスを利用している)ことから、過去の行動履歴と同じ行動を取っていることがわかる(表示名「BBB」の利用クラスキーワードである「ブログ」と、現在表示名「BBB」で利用しているサービス「ブログ」及びウェブサイトのアドレスとは同一である(図4参照))。しかし、ユーザID「123」のユーザが、当該ブログで入力しようとしている「肝炎」についての話題は、過去に表示名「BBB」のブログで挙げてきた話題と異なるものである(表示名「BBB」の行動クラスキーワードには、「肝炎」と同一又は類似するクラスキーワードが含まれない(図4参照))。
【0053】
その一方で、現在ユーザID「123」のユーザは、過去に、表示名「CCC」で「肝炎」についての話題を取り上げている(「肝炎」と同一又は類似する行動クラスキーワードが含まれる一群のクラスキーワードと関連する表示名は「CCC」である(図4参照))ことから、複数人格維持・強化補助装置10は、「肝炎」についての話題は、表示名「CCC」で取り上げてきたことを警告するアラート情報をサービス提供サーバ20に送信する。
【0054】
アラート情報を受信したサービス提供サーバ20は、ユーザの現在の行動が、他の表示名で行うべき行動であることを示唆する情報をユーザ端末30に送信する。つまり、サービス提供サーバ20は、ユーザID「123」のユーザが、表示名「CCC」で「肝炎」についての話題を取り上げていたことを示唆する情報をユーザ端末30に送信する。そして、ユーザ端末30では、例えば、「この話題は、CCCさんではありませんか?」といった示唆を示すメッセージが表示画面31に表示される。
【0055】
図7及び図8を参照して、複数人格維持・強化補助装置10の処理について説明する。図7及び図8は、複数人格維持・強化補助装置10の処理の流れを示すフローチャートである。
【0056】
図7のステップS11では、複数人格維持・強化補助装置10のユーザ行動ログ取得手段11は、サービス提供サーバ20からユーザの行動履歴を取得する。この行動履歴には、少なくとも行動履歴と共に、当該行動を行った表示名の情報を含む。
【0057】
ステップS12では、複数人格維持・強化補助装置10のユーザ行動ログ取得手段11は、取得した行動履歴を、ユーザ行動ログとしてユーザ行動ログDB102に表示名と関連付けて記憶させる。
【0058】
ステップS13では、複数人格維持・強化補助装置10のユーザ行動クラス抽出手段12は、ユーザ行動ログDB102に記憶されたユーザ行動ログを解析して、クラスキーワードを抽出する。ユーザ行動クラス抽出手段12は、クラスキーワードとして、サービス提供サーバ20が提供するサービスについてのキーワードである利用クラスキーワードと、当該サービスにおけるユーザの行動内容についてのキーワードである行動クラスキーワードとをそれぞれ抽出する。
【0059】
ステップS14では、複数人格維持・強化補助装置10のユーザ行動クラス抽出手段12は、抽出したクラスキーワードをユーザ行動クラスDB103に表示名と関連付けて記憶させ、処理を終了する。
【0060】
図8のステップS21では、複数人格維持・強化補助装置10のユーザ行動受付手段13は、サービス提供サーバ20から行動情報を取得する。この行動情報には、ユーザID、表示名及びサービス提供サーバ20がユーザ端末30から受け付けた処理の内容(ユーザの行動)を示す情報を少なくとも含む。
【0061】
ステップS22では、複数人格維持・強化補助装置10のユーザ行動判別手段14は、行動情報を解析し、当該行動情報に含まれるキーワードと、ユーザ行動クラスDB103に記憶されているクラスキーワードとの類似度を算出する。
【0062】
ステップS23では、複数人格維持・強化補助装置10のユーザ行動判別手段14は、算出した類似度が所定の値以下であるか否かを判別する。ユーザ行動判別手段14は、類似度が所定の値以下である場合(当該判別でYESの場合)、本処理を終了する。また、ユーザ行動判別手段14は、類似度が所定の値より大きい場合(当該判別でNOの場合)は、ステップS24に処理を移す。
【0063】
ステップS24では、複数人格維持・強化補助装置10のユーザ行動判別手段14は、さらにユーザ行動クラスDB103を参照して、他の表示名のクラスキーワードと当該行動情報に含まれるキーワードとの類似度を算出する。
【0064】
ステップS25では、複数人格維持・強化補助装置10のユーザ行動判別手段14は、算出した類似度が所定の値以下であるか否かを判別する。ユーザ行動判別手段14は、類似度が所定の値以下である場合(当該判別でYESの場合)、ステップS26に処理を移す。また、ユーザ行動判別手段14は、類似度が所定の値より大きい場合(当該判別でNOの場合)は、ステップS24に処理を移す。なお、ステップS24に処理を移した場合に、全ての表示名で所定の値より大きい場合は、処理を終了する。
【0065】
ステップS26では、複数人格維持・強化補助装置10のアラート情報送信手段は、サービス提供サーバ20にアラート情報を送信する。詳細には、アラート情報送信手段は、サービス提供サーバ20に警告を表示させるためのアラート情報を関連する表示名と共にサービス提供サーバ20に送信し、処理を終了する。
【0066】
以上、本実施形態によれば、複数人格維持・強化補助装置10は、登録したユーザがユーザ端末30を介してサービス提供サーバ20が提供するサービスを利用する際に、当該ユーザの表示名に係る過去の行動と異なる行動を行った場合に警告を発することができる。これにより、ユーザに当該サービスにおいて表示名による行動の一貫性を維持するように促すことができ、当該表示名での行動により象徴される仮想人格の維持・強化に寄与することができる。また、一つのユーザIDで複数の表示名を使用してサービス提供サーバ20が提供する各種のサービスを利用する際に、表示名ごとに使い分けをしているような場合に、ある表示名について、誤って過去の行動と異なる行動(例えば、違う表示名で行っている行動)をした場合でも、警告により、その行動の修正を促すことができる。このため、複数の表示名を使い分けている場合に、表示名ごとの行動に象徴される仮想人格が混濁することなく、その仮想人格を維持・強化することに寄与することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、複数人格維持・強化補助装置10は、行動情報として、ウェブサイトのアドレスを受信することができる。これにより、例えば、ある表示名でQ&Aサービスを主に利用していた場合に、当該表示名でオークションのウェブサイトに接続した場合、過去に使用していたウェブサイトと異なるウェブサイトに接続していることがわかる。このため、複数人格維持・強化補助装置10は、アドレスを比較することで簡便に過去の行動と一貫性があるか否かを判別することができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、複数人格維持・強化補助装置10は、サービス提供サーバ20が提供するサービス(例えば、ブログやQ&Aサービス等)へのユーザ端末30による入力途中の情報を行動情報として受信することができる。これにより、複数人格維持・強化補助装置は、入力途中の情報に基づいて、過去の行動と異なる行動であるか否かを判別し、リアルタイムで警告を行うことができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0070】
上述の実施形態では、ユーザ情報DB101は、複数人格維持・強化補助装置10が備えるとしているが、この限りではなく、サービス提供サーバ20又は他のサーバが有していてもよい。
【0071】
また、上述の実施形態によれば、複数人格維持・強化補助装置10は、サービス提供サーバ20からユーザがユーザ端末30を介して行った行動情報を受信して、行動情報に含まれる表示名と過去の行動との一貫性を判別するとしたが、さらに、受信した行動情報について、アラート情報を送信しない場合に、当該受信した行動情報を行動履歴としてユーザ行動ログDB102に記憶するようにしてもよい。これにより、行動情報の送受信の負荷を低減させることができると共に、ユーザ行動ログを常に最新の情報で維持することができる。
【0072】
また、上述の実施形態によれば、複数人格維持・強化補助装置10のアラート情報送信手段15は、ユーザ行動判別手段14が類似度が所定の値以下であるときはアラート情報を送信しないとしたが、これに限らない。例えば、アラート情報送信手段15は、ユーザ行動判別手段14が、行動情報に含まれるキーワードが、当該ユーザIDに関連付けられた全ての表示名の何れのクラスキーワードにも同一又は類似するものが無いと判別した場合に、アラート情報を送信してもよい。この場合、アラート情報送信手段15は、当該表示名での初めての行動である旨のアラート情報をサービス提供サーバ20に送信し、サービス提供サーバ20は、例えば、「現在ログイン中の表示名で初めて行う行動です」といった旨の警告をユーザ端末30の表示画面31に表示させるようにすることが好ましい。
【符号の説明】
【0073】
10 複数人格維持・強化補助装置
11 ユーザ行動ログ取得手段
12 ユーザ行動クラス抽出手段
13 ユーザ行動受付手段
14 ユーザ行動判別手段
15 アラート情報送信手段
20 サービス提供サーバ
30 ユーザ端末
101 ユーザ情報DB
102 ユーザ行動ログDB
103 ユーザ行動クラスDB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録されたユーザにインターネット上で所定のサービスを提供するサーバと互いに通信可能な複数人格維持・強化補助装置であって、
前記ユーザを識別するユーザ識別情報と前記所定のサービスにおける前記ユーザの複数の表示名とを関連付けて記憶するユーザ情報記憶手段と、
前記所定のサービスにおける前記表示名ごとの行動履歴を記録したユーザ行動ログを記憶するユーザ行動ログ記憶手段と、
前記ユーザ行動ログ記憶手段に記憶されたユーザ行動ログから、所定の類似性を有するキーワードを一群のクラスキーワードとして抽出し、前記クラスキーワードを前記表示名ごとにユーザ行動クラス記憶手段に記憶させるユーザ行動クラス抽出手段と、
前記サーバから前記表示名と共に当該表示名の行動情報を受信したことに応じて、受信した行動情報と前記ユーザ行動クラス記憶手段に記憶された前記表示名ごとのクラスキーワードとの類似度が所定の値以下であるかを判別するユーザ行動判別手段と、
前記類似度が所定の値以下である場合に、前記サーバにアラート情報を送信するアラート情報送信手段と、を備える複数人格維持・強化補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の複数人格維持・強化補助装置であって、
前記サーバから受信する行動情報及び行動履歴は、前記ユーザの端末が接続した所定のウェブサイトのアドレスである複数人格維持・強化補助装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の複数人格維持・強化補助装置であって、
前記サーバから受信する行動情報は、前記サーバが受け付けた、前記ユーザの端末からの入力途中の情報である複数人格維持・強化補助装置。
【請求項4】
登録されたユーザにインターネット上で所定のサービスを提供するサーバと互いに通信する方法であって、
コンピュータは、
前記ユーザを識別するユーザ識別情報と前記所定のサービスにおける前記ユーザの複数の表示名とを関連付けて記憶するユーザ情報記憶手段と、
前記所定のサービスにおける前記表示名ごとの行動履歴を記録したユーザ行動ログを記憶するユーザ行動ログ記憶手段と、を備え、
前記コンピュータに、
前記ユーザ行動ログ記憶手段に記憶されたユーザ行動ログから所定の類似性を有するキーワードを一群のクラスキーワードとして抽出し、前記クラスキーワードを前記表示名ごとにユーザ行動クラス記憶手段に記憶させるステップと、
前記サーバから前記表示名と共に当該表示名の行動情報を受信したことに応じて、受信した行動情報と前記ユーザ行動クラス記憶手段に記憶された前記表示名ごとのキーワードとの類似度が所定の値以下であるかを判別するステップと、
前記類似度が所定の値以下である場合に、前記サーバにアラート情報を送信するステップと、を実行させる方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate