説明

複数帯域共振器及び複数帯域通過フィルタ

【課題】複数の共振周波数を持つ複数帯域共振器を小型化する。
【解決手段】本発明の複数帯域共振器は、誘電体基板、地導体、主線路導体、副線路導体、副開放スタブ、主開放スタブ、短絡導体、主貫通導体、副貫通導体を備える。誘電体基板は、3つ以上の誘電体層を有する。主線路導体と副線路導体は、いずれかの誘電体層に形成される。副開放スタブは、主線路導体と副線路導体とは異なる誘電体層に形成される。主開放スタブは、主線路導体と副線路導体と副開放スタブとは異なる誘電体層に形成される。短絡導体は、主線路導体の一端と、副線路導体の一端とを電気的につなぎ、かつ、地導体とも電気的につなぐ。主貫通導体は、主線路導体の他端と、当該主線路導体の他端と対向する主開放スタブの一端とを電気的につなぐ。副貫通導体は、副線路導体の他端と、当該副線路導体の他端と対向する副開放スタブの一端とを電気的につなぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の共振周波数を有する複数帯域共振器とその複数帯域共振器を利用した複数帯域通過フィルタに関し、特に移動通信、衛星通信、固定マイクロ波通信、その他の通信技術分野において信号の送受信に利用される複数帯域共振器と複数帯域通過フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の共振周波数を有する複数帯域共振器としては、非特許文献1の複数帯域共振器が従来技術として知られている。この複数帯域共振器は、異なる1つの共振周波数を有する共振器2つをシールドを介して積層し、それらが入出力ポートと結合されて複数帯域共振器を構成している。なお、1つの共振周波数を有する共振器としては、いろいろな共振器が公開されており、例えば非特許文献2のような共振器もある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】S. Kitazawa, H. Miyake, M. Geshiro, and M. Ohashi, "A Multilayer Sigle-Imput/Single-Output Dual-Band Filer Fabricated in a High Permittivity LTCC Substrate," IEICE Trans. Electron., vol. E89-C, no. 4, pp. 509-516, April 2006.
【非特許文献2】吉田賢太郎,北村敏明,下代雅啓,石崎俊雄, "折返し形コムラインフィルタの特性解析," 電子情報通信学会論文誌C, vol. J86-C, no. 4, pp. 442-449, April 2003.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は複数の共振周波数を得るために、異なる共振周波数を持つ共振器を、シールドを介して積層している。つまり、独立した共振器を、互いに影響を受けないようにしながら集めたものであるため、層数が増大しやすく、小型化が難しいという課題がある。
【0005】
本発明は、複数の共振周波数を有する複数帯域共振器を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の複数帯域共振器は、誘電体基板、地導体、主線路導体、副線路導体、副開放スタブ、主開放スタブ、短絡導体、主貫通導体、副貫通導体を備える。誘電体基板は、3つ以上の誘電体層を有する。地導体は、いずれかの誘電体層に形成してもよいし、誘電体基板全体を覆うように形成してもよい。主線路導体と副線路導体は、いずれかの誘電体層に形成される。副開放スタブは、主線路導体と副線路導体とは異なる誘電体層に形成される。主開放スタブは、主線路導体と副線路導体と副開放スタブとは異なる誘電体層に形成される。短絡導体は、主線路導体の一端と、副線路導体の一端とを電気的につなぎ、かつ、地導体とも電気的につなぐ。主貫通導体は、主線路導体の他端と、当該主線路導体の他端と対向する主開放スタブの一端とを電気的につなぐ。副貫通導体は、副線路導体の他端と、当該副線路導体の他端と対向する副開放スタブの一端とを電気的につなぐ。
【0007】
なお、主線路導体と副線路導体は、異なる誘電体層に形成してもよいし、同一の誘電体層に形成してもよい。主線路導体と副線路導体が、異なる誘電体層に形成される場合は、誘電体基板は、少なくとも第1から第4の誘電体層を有する。そして、短絡導体として、基本貫通導体を用いればよい。基本貫通導体は、いくつかの誘電体層を貫通して、主線路導体の一端と、当該主線路導体の一端と対向する副線路導体の一端とを電気的につなぎ、かつ、地導体とも電気的につなぐ。また、主線路導体と副線路導体が、同一の誘電体層に形成される場合は、誘電体基板は、少なくとも第1から第3の誘電体層を有する。そして、短絡導体として、第1の短絡線路導体を用いればよい。第1の短絡線路導体は、主線路導体と副線路導体が形成された誘電体層と同一の誘電体層に形成され、主線路導体の一端と、副線路導体の一端とを電気的につなぎ、かつ、地導体とも電気的につなぐ。
【0008】
ここで、「対向する」とは、誘電体基板を、誘電体基板の面の法線方向から見たときに(平面の上方から見たときに)互いにほぼ重なる位置にあることを意味する。また、本発明の複数帯域通過フィルタは、本発明の複数帯域共振器を共振部として複数備え、かつ、入力用の入出力線路導体と出力用の入出力線路導体とが備えられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の複数帯域共振器は、複数の共振周波数を有する共振器を、各構成部を共有化させながら(一体的に)構成しているので、小型化できる。また、本発明の複数帯域通過フィルタは、本発明の複数帯域共振器を用いて構成しているので、小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の複数帯域共振器の構成例を示す斜視図。
【図2】実施例1の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図3】本発明の原理を説明するための展開斜視図。
【図4】実施例1変形例1の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図5】実施例1変形例2の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図6】実施例1変形例3の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図7】実施例1変形例4の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図8】実施例1変形例5の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図9】実施例1変形例6の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図10】実施例1変形例7の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図11】実施例1変形例8の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図12】実施例1変形例9の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図13】第1のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの構成を示す図。
【図14】図13の複数帯域通過フィルタの周波数応答のシミュレーション結果を示す図。
【図15】第2のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの構成を示す図。
【図16】図15の複数帯域通過フィルタの周波数応答のシミュレーション結果を示す図。
【図17】第3のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの構成を示す図。
【図18】図17の複数帯域通過フィルタの周波数応答のシミュレーション結果を示す図。
【図19】実施例2の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図20】実施例2変形例1の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図21】実施例2変形例2の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図22】実施例2変形例3の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図23】実施例2変形例4の複数帯域共振器の展開斜視図。
【図24】第4のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの構成を示す図。
【図25】図24の複数帯域通過フィルタの周波数応答のシミュレーション結果を示す図。
【図26】第5のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの構成を示す図。
【図27】図26の複数帯域通過フィルタの周波数応答のシミュレーション結果を示す図。
【図28】第6のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの構成を示す図。
【図29】図28の複数帯域通過フィルタの周波数応答のシミュレーション結果を示す図。
【図30】第7のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの構成を示す図。
【図31】図30の複数帯域通過フィルタの周波数応答のシミュレーション結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0012】
図1は実施例1の複数帯域共振器の構成例を示す斜視図、図2は実施例1の複数帯域共振器の展開斜視図である。これらの図では、各構成部が見えるようにするために、各構成部を透明に描いている。しかし、各構成部は、透明である必要は無く、透明ではない材料を用いることが多いことに注意されたい。また、図2の展開斜視図では、基本貫通導体110、主貫通導体120、副貫通導体130は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。図3は、本発明の原理を説明するための展開斜視図である。なお、これらの図では、入出力線路は省略されているが、例えば、主線路導体と同じ面に形成すればよい。
【0013】
複数帯域共振器100は、第1から第5の誘電体層210−1,…,5を有する誘電体基板220と、第1の誘電体層210−1に形成された主線路導体160と、第2の誘電体層210−2に形成された副線路導体170と、第3の誘電体層210−3に形成された副開放スタブ190と、第4の誘電体層210−4に形成された主開放スタブ180と、第5の誘電体層210−5に形成された地導体150と、基本貫通導体110と、主貫通導体120と、副貫通導体130とを備える。基本貫通導体110は、主線路導体160の一端Bと、主線路導体160の一端Bと対向する副線路導体170の一端Fとを電気的につなぎ、かつ、地導体150を電気的につなぐ。主貫通導体120は、主線路導体160の他端Cと、主線路導体160の他端Cと対向する主開放スタブ180の一端Dとを電気的につなぐ。副貫通導体130は、副線路導体170の他端Gと、副線路導体170の他端Gと対向する副開放スタブ190の一端Hとを電気的につなぐ。ここで、「対向する」とは、誘電体基板220を、誘電体基板220の面の法線方向から見たときに(平面の上方から見たときに)互いにほぼ重なる位置にあることを意味する。
【0014】
図3に実線で示したのが、第1共振モード310が形成される部分である。第1共振モードは、地導体150と接している点A(短絡点)から主開放スタブ180の開放端Eまでの電気長(A−F−B−C−D−E)が約1/4波長となるような共振と考えられる。また、図3の点線で示したのが、第2共振モード320が形成される部分である。第2共振モードは、地導体150と接している点A(短絡点)から副開放スタブ190の開放端Iまでの電気長(A−F−G−H−I)が約1/4波長となるような共振と考えられる。
【0015】
複数帯域共振器100はこのような構成と原理なので、複数の共振周波数を有する複数帯域共振器を、各構成部を共有化させながら(一体的に)構成できる。したがって、複数帯域共振器100は小型にできる。また、共振周波数(この複数帯域共振器で複数帯域通過フィルタを形成した場合には通過周波数)は、誘電体層の厚さや誘電率、及び主線路導体160と主開放スタブ180、副線路導体170と副開放スタブ190の長さで調整できる。なお、図1〜3では誘電体層は第1から第5まで順番に並んでいる。ただし、必ずしもこの順番に限定する必要はなく、調整のために適宜設計すればよい。また、図1〜3では、主開放スタブ180の他端Eと副開放スタブ190の他端Iとを対向させている。ただし、必ずしも対向させる必要はなく、調整のために適宜設計すればよい。また、主線路導体160の他端Cと地導体151との間にLC並列共振回路を備えてもよい。LC並列共振回路は集中定数素子としてもよい。LC並列共振回路は、基本貫通導体の代わりになる回路である。LC並列共振回路を共振手段として考えた場合は、LC並列共振回路は共振周波数に対して影響を及ぼす。また、入出力線路を設けた上で、LC並列共振回路をフィルタ手段として考えた場合は、LC並列共振回路は入出力整合に対しても影響を及ぼす。さらに、複数帯域共振器100を共振部として複数備え、かつ、いずれか2つの共振部には主線路導体に接続された入出力線路導体を設けることで、複数帯域通過フィルタを形成できる。
【0016】
[変形例1]
図4は実施例1変形例1の複数帯域共振器の展開斜視図である。この図でも、各構成部が見えるようにするために、各構成部を透明に描いている。また、図4の展開斜視図でも、基本貫通導体110、主貫通導体120、副貫通導体130は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。なお、これらの図では、入出力線路は省略されているが、例えば、主線路導体と同じ面に形成すればよい。
【0017】
複数帯域共振器100’は、複数帯域共振器100にさらに、主スイッチ169と副スイッチ179を付加した構成である。主スイッチ169は、主線路導体160の一端に形成され、主線路導体160と基本貫通導体110とを電気的にオン状態(接続した状態)またはオフ状態(切り離した状態)にする。副スイッチ179は、副線路導体170の一端に形成され、副線路導体170と基本貫通導体110とを電気的にオン状態(接続した状態)またはオフ状態(切り離した状態)にする。主スイッチ169と副スイッチ179の両方をオン状態としたときは、複数帯域共振器100’は、複数帯域共振器100と同じように2つの共振周波数を持つ複数帯域共振器となる。主スイッチ169をオン、副スイッチ179をオフとしたときは、複数帯域共振器100’は、第1共振モードによって生じる共振周波数のみを持つ共振器となる。また、主スイッチをオフ、副スイッチをオンとしたときは、複数帯域共振器100’は、第2共振モードによって生じる共振周波数のみを持つ共振器となる。
【0018】
変形例1の複数帯域共振器はこのような構成なので、複数の共振周波数を持つ複数帯域共振器としても動作できると共に、共振周波数を選択できる共振器としても動作でき、かつ共振器を小型化できる。さらに、複数帯域共振器100’を共振部として複数備え、かつ、いずれか2つの共振部には主線路導体に接続された入出力線路導体を設けることで、複数帯域通過フィルタを形成できる。
【0019】
[変形例2]
図5は実施例1変形例2の複数帯域共振器の展開斜視図である。この図でも、各構成部が見えるように各構成部を透明に描いており、基本貫通導体110、主貫通導体120、副貫通導体130は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。なお、これらの図では、入出力線路は省略されているが、例えば、主線路導体と同じ面に形成すればよい。
【0020】
複数帯域共振器101は、主開放スタブ181の幅が主線路導体160の幅よりも広い、また、副開放スタブ191の幅が副線路導体170の幅よりも広い点が複数帯域共振器100と異なる。その他の点は複数帯域共振器100と同じである。
【0021】
変形例2の複数帯域共振器はこのような構成なので、主開放スタブ181と副開放スタブの幅によっても、共振周波数を調整できる。したがって、複数帯域共振器を小型化できると共に、共振周波数を調整しやすくなる。なお、本変形例は、変形例1と組み合わせることも可能である。さらに、複数帯域共振器101を共振部として複数備え、かつ、いずれか2つの共振部には主線路導体に接続された入出力線路導体を設けることで、複数帯域通過フィルタを形成できる。
【0022】
[変形例3]
図6は実施例1変形例3の複数帯域共振器の展開斜視図である。この図でも、各構成部が見えるように各構成部を透明に描いており、基本貫通導体112、主貫通導体122、副貫通導体132は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。なお、これらの図では、入出力線路は省略されているが、例えば、主線路導体と同じ面に形成すればよい。
【0023】
複数帯域共振器102は、誘電体基板222の誘電体層210−1と210−2の間に誘電体層212−6が配置され、誘電体層210−2と210−3の間に誘電体層212−7が配置され、誘電体層210−3と210−4の間に誘電体層212−8が配置されている点が複数帯域共振器100と異なる。その他の点は複数帯域共振器100と同じである。
【0024】
変形例3の複数帯域共振器はこのような構成なので、複数帯域共振器を小型化できると共に、主線路導体および副線路導体間の電磁気的結合量、主開放スタブと副開放スタブ間の電磁気的結合量の調整が容易となり、複数帯域共振器の共振周波数や無負荷Q値を調整しやすい。なお、本変形例は、変形例1や変形例2と組み合わせることも可能である。さらに、複数帯域共振器102を共振部として複数備え、かつ、いずれか2つの共振部には主線路導体に接続された入出力線路導体を設けることで、複数帯域通過フィルタを形成できる。
【0025】
[変形例4]
図7は実施例1変形例4の複数帯域共振器の展開斜視図である。この図でも、各構成部が見えるように各構成部を透明に描いており、基本貫通導体113、主貫通導体123、副貫通導体133、第2副貫通導体143は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。なお、これらの図では、入出力線路は省略されているが、例えば、主線路導体と同じ面に形成すればよい。
【0026】
複数帯域共振器103は、誘電体基板223の誘電体層210−2と210−3の間に誘電体層213−6、213−7が配置されている。そして、誘電体層213−6に第2副線路導体173が形成され、誘電体層213−7に第2副開放スタブ193が形成されている。また、第2副線路導体173の他端と、第2副線路導体173の他端と対向する第2副開放スタブ193の一端とを電気的につなぐ第2副貫通導体143も備えている。そして、基本貫通導体113は、主線路導体160の一端と対向する第2副線路導体173の一端も電気的につないでいる。なお、図7中では、第2副線路導体173、第2副開放スタブ193、第2副貫通導体143との混同を防ぐため、副線路導体170、副開放スタブ190、副貫通導体133の前には(第1)を付加している。
【0027】
変形例4の複数帯域共振器はこのような構成なので、3つの共振周波数を持つ複数帯域共振器を構成でき、かつ、小型化できる。なお、共振周波数は、他の実施例と同じように、誘電体層の厚さや誘電率、線路導体の長さや幅によって調整できる。なお、本変形例は、変形例1〜3と組み合わせることも可能である。また、誘電体層を増やし、副線路導体と副開放スタブと副貫通導体をさらに増やすことで、4つ以上の共振モードを持つ複数帯域共振器を構成することも可能である。さらに、複数帯域共振器103を共振部として複数備え、かつ、いずれか2つの共振部には主線路導体に接続された入出力線路導体を設けることで、複数帯域通過フィルタを形成できる。
【0028】
[変形例5]
図8は実施例1変形例5の複数帯域共振器の展開斜視図である。この図でも、各構成部が見えるように各構成部を透明に描いており、基本貫通導体114、主貫通導体124、副貫通導体134は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。なお、これらの図では、入出力線路は省略されているが、例えば、主線路導体160と同じ面に形成すればよい。また、この図では地導体は省略している。地導体は、例えば必要な誘電体層を付加した上で、主線路導体160が形成された面について対称となるように2つ備えればよい。
【0029】
複数帯域共振器104は、主線路導体160が形成された面について対称となるように、2つの副線路導体174、副開放スタブ194、主開放スタブ184が形成されている点が複数帯域共振器100と異なる。具体的には、誘電体基板224は、誘電体層214−4、214−3、214−2、210−1、214−2、214−3、214−4のように、誘電体層210−1を中心として積層されている。主線路導体160は、誘電体層210−1に形成されている。2つの副線路導体174はそれぞれ誘電体層214−2に形成され、2つの副開放スタブ194はそれぞれ誘電体層214−3に形成され、2つの主開放スタブ184はそれぞれ誘電体層214−4に形成されている。
【0030】
基本貫通導体114は、主線路導体160の一端と、主線路導体160の一端と対向する副線路導体174の一端とを電気的につなぎ、かつ、地導体を電気的につなぐ。主貫通導体124は、主線路導体160の他端と、主線路導体160の他端と対向する主開放スタブ184の一端とを電気的につなぐ。副貫通導体134は、副線路導体174の他端と、副線路導体174の他端と対向する副開放スタブ194の一端とを電気的につなぐ。なお、上述したように、「対向する」とは、誘電体基板224を、誘電体基板224の面の法線方向から見たときに(平面の上方から見たときに)互いにほぼ重なる位置にあることを意味する。
【0031】
変形例5の複数帯域共振器の動作原理は実施例1と同じであるが、主線路導体160が形成された面について対称となるように、2つの副線路導体174、副開放スタブ194、主開放スタブ184が形成されているので、非対称構造による不要な非対称共振モードを抑制する効果も得られ、所望の周波数以外の共振周波数の発生を抑えることができる。なお、本変形例も他の変形例と組み合わせることができ、それぞれの長所を生かすことができる。
【0032】
[変形例6]
図9は実施例1変形例6の複数帯域共振器の展開斜視図である。この図でも、各構成部が見えるように各構成部を透明に描いており、基本貫通導体114、主貫通導体124、副貫通導体134は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。なお、これらの図では、入出力線路は省略されているが、例えば、主線路導体と同じ面に形成すればよい。また、この図では地導体は省略している。地導体は、例えば必要な誘電体層を付加した上で、主線路導体160が形成された面について対称な位置(上下)に2つ備えればよい。
【0033】
複数帯域共振器105は、変形例5の複数帯域共振器104を共振部104−1〜4として4個備えている。そして、共振部104−1〜4は直列に配置されている。なお、第2共振部104−2の基本貫通導体114と第3共振部104−3の基本貫通導体114は、共通化してもよい。共通化した場合には、第2共振部104−2の主線路導体160と第3共振部104−3の主線路導体160とが接続され、第2共振部104−2の副線路導体174と第3共振部104−3の副線路導体174とが接続される。
【0034】
なお、例えば、複数帯域共振器105に、共振部104−1の主線路導体160に接続された第1の入出力線路と、共振部104−4の主線路導体160に接続された第2の入出力線路を付加すれば、複数帯域通過フィルタが形成できる。
【0035】
変形例6の複数帯域共振器はこのような構成なので、この複数帯域共振器を複数帯域通過フィルタとして用いた場合には遮断特性を急峻に変化させることができる。しがたって、通過帯域の通過特性を良好に保ちながら、通過帯域の外の通過帯域の近くでも良好な遮断特性をえることができる。また、他の変形例と組み合わせることもできる。
【0036】
[変形例7]
図10は実施例1変形例7の複数帯域共振器の展開斜視図である。この図でも、各構成部が見えるように各構成部を透明に描いており、基本貫通導体112、主貫通導体122、副貫通導体132は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。なお、これらの図では、入出力線路は省略されているが、例えば、主線路導体と同じ面に形成すればよい。
【0037】
複数帯域共振器106は、変形例3の複数帯域共振器102を共振部102−1、2として2個備えている。そして、共振部102−1、2は直列に配置され、誘電体層212−8には結合導体146が形成されている。また、複数帯域共振器106に、共振部102−1の主線路導体160に接続された第1の入出力線路と、共振部102−2の主線路導体160に接続された第2の入出力線路を付加すれば、複数帯域通過フィルタが形成できる。そして、本実施例のように、開放スタブが形成されていない誘電体層に結合導体を設ければ、共振部間の結合量を広い範囲で調整できる。したがって、複数帯域共振器を複数帯域通過フィルタとして用いた場合の通過帯域の設計の自由度を高めることができる。また、本変形例も他の変形例と組み合わせることができる。
【0038】
[変形例8]
図11は実施例1変形例8の複数帯域共振器の展開斜視図である。この図でも、各構成部が見えるように各構成部を透明に描いており、主貫通導体120、副貫通導体130などの誘電体層間をつなぐ導体は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。
【0039】
図11の複数帯域共振器107では、入出力線路導体157も示されている。また、誘電体基板227の誘電体層210−1と210−2の間に誘電体層217−6が配置されている。入出力線路導体157は主線路導体160と同じ面(誘電体層210−1上)に、主線路導体160と一体的に形成されている。そして、インピーダンス整合のために、基本貫通導体117がメアンダ構造となっている。基本貫通導体117は、誘電体層間をつなぐ貫通導体1171、1172、1173、1174、1175と誘電体層上の線路導体1176、1177、1178、1179から構成されており、主線路導体160の一端、副線路導体170の一端、地導体150とを電気的につなぐ。なお、線路導体1177と副線路導体170とは一体的に形成すればよい。メアンダ構造の各部の寸法は、整合するインピーダンスによって適宜設計すればよい。また、本変形例の場合は、地導体150は図示していない部分の誘電体層に形成すればよい。
【0040】
変形例8の複数帯域共振器は、基本貫通導体をメアンダ構造としているので、複数帯域共振器と複数帯域共振器外部とのインピーダンス整合が可能である。また、本変形例も他の変形例と組み合わせることができる。さらに、複数帯域共振器107を共振部として複数備え、かつ、いずれかの共振部の入出力線路導体を入力用とし、別のいずれかの共振部の入出力線路導体を出力用とすることで、複数帯域通過フィルタを形成できる。
【0041】
[変形例9]
図12は実施例1変形例9の複数帯域共振器の展開斜視図である。この図でも、各構成部が見えるように各構成部を透明に描いており、主貫通導体120、副貫通導体130などの誘電体層間をつなぐ導体は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。
【0042】
本変形例では、地導体151(図示していない)が、複数帯域共振器の側面などに形成されている場合のインピーダンス整合の方法を示している。複数帯域共振器108の誘電体基板228は、少なくとも誘電体層210−1〜210−4を有している。複数帯域共振器108は、主線路導体160と同じ面(誘電体層210−1上)に入出力線路導体158も形成されている。そして、インピーダンス整合のために、基本貫通導体118がメアンダ構造となっている。基本貫通導体118は、貫通導体1181と線路導体1182からなっている。貫通導体1181は、主線路導体160の一端と、主線路導体160の一端と対向する副線路導体170の一端とを電気的につなぐ。また、線路導体1182は誘電体層210−1上に形成されたメアンダ状の線路導体であり、主線路導体160と地導体151とを電気的につなぐ。
【0043】
変形例9の複数帯域共振器も、基本貫通導体をメアンダ構造としているので、複数帯域共振器と複数帯域共振器外部とのインピーダンス整合が可能である。また、本変形例も他の変形例と組み合わせることができる。さらに、複数帯域共振器108を共振部として複数備え、かつ、いずれかの共振部の入出力線路導体を入力用とし、別のいずれかの共振部の入出力線路導体を出力用とすることで、複数帯域通過フィルタを形成できる。
【0044】
[シミュレーション]
図13に最初のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの構成を示す。この複数帯域通過フィルタは、2つの複数帯域共振器104を共振部として直列に配置し、主開放スタブと副開放スタブの幅を広げ、結合導体を共振部間の結合を強くするために配置したものである。なお、基本貫通導体は、インピーダンス整合のためにメアンダ構造としている。誘電体基板の誘電率は10程度、誘電体層の厚みは数100μm程度である。また、線幅は、線路導体が200μm程度、開放スタブが1mm程度である。この複数帯域通過フィルタでは、図中の四角で囲んだ1から信号を入力し、四角で囲んだ2から信号を出力する。図14は、図13の複数帯域通過フィルタの周波数応答のシミュレーション結果を示す図である。点線は反射損失(S11)を示しており、実線は挿入損失(S21)を示している。この図から1GHz付近と2GHz付近で3dBに近い挿入損失と10dB程度の反射損失が得られることが分かる。
【0045】
図15に第2のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの構成を示す。この複数帯域通過フィルタは、図13の複数帯域共振器の主線路導体に主スイッチを配置し、副線路導体に副スイッチを配置したものである。この複数帯域通過フィルタでは、図中の四角で囲んだ1から信号を入力し、四角で囲んだ2から信号を出力する。図16は、図15の複数帯域通過フィルタの周波数応答のシミュレーション結果である。主スイッチと副スイッチの両方をオンにした場合には、図14と同じ結果である。主スイッチをオンとし、副スイッチをオフとしたときには、1GHz付近だけで3dBに近い挿入損失と10dB程度の反射損失が得られる。また、主スイッチをオフとし、副スイッチをオンとしたときには、2GHz付近だけで3dBに近い挿入損失と15dB程度の反射損失が得られる。このように、スイッチを設けることで、複数帯域通過フィルタとすることも、共振周波数を選択できるフィルタとすることも可能なことが分かる。
【0046】
図17に第3のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの構成を示す。この複数帯域通過フィルタは、2つの複数帯域共振器104を共振部として並列に配置し、主開放スタブと副開放スタブの幅を広げたものである。なお、基本貫通導体は、インピーダンス整合のためにメアンダ構造としている。誘電体基板の誘電率は10程度、誘電体層の厚みは数100μm程度である。また、線幅は、線路導体が200μm程度、開放スタブが1mm程度である。この複数帯域通過フィルタでは、図中の四角で囲んだ1から信号を入力し、四角で囲んだ2から信号を出力する。図18は、図17の複数帯域通過フィルタの周波数応答のシミュレーション結果を示す図である。この図から1GHz付近と2GHz付近で3dBに近い挿入損失と10dB程度の反射損失が得られることが分かる。
【実施例2】
【0047】
実施例1では、主線路導体と副線路導体とを異なる誘電体層に形成した。本実施例では、主線路導体と副線路導体とを同一の誘電体層に形成する。図19は、実施例2の複数帯域共振器の展開斜視図である。これらの図では、実際には図1のように密着している誘電体層同士を離した状態で示している。また、各構成部が見えるようにするために、各構成部を透明に描いている。しかし、各構成部は、透明である必要は無く、透明ではない材料を用いることが多いことに注意されたい。また、図19の展開斜視図では、主貫通導体120、副貫通導体131は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。
【0048】
複数帯域共振器300は、誘電体基板229、地導体151、主線路導体160、副線路導体171、副開放スタブ191、主開放スタブ181、第1の短絡線路導体311、主貫通導体120、副貫通導体131、入出力線路導体159を備える。なお、地導体151は図19には図示していないが、誘電体基板229の全体(6面全部)を覆うように形成すればよい。誘電体基板229は、第1から第4の誘電体層210−1,…,4を有する。主線路導体160は、第1の誘電体層210−1に形成される。副線路導体171は、第1の誘電体層210−1に形成される。副開放スタブ191は、第2の誘電体層210−2に形成される。主開放スタブ181は、第3の誘電体層210−3に形成される。第1の短絡線路導体311は、第1の誘電体層210−1に形成される。そして、短絡線路導体311は、主線路導体160の一端と、副線路導体171の一端とを電気的につなぎ、かつ、地導体151とも電気的につなぐ。主貫通導体120は、主線路導体160の他端と、主線路導体160の他端と対向する主開放スタブ181の一端とを電気的につなぐ。副貫通導体131は、副線路導体171の他端と、副線路導体171の他端と対向する副開放スタブ191の一端とを電気的につなぐ。ここで、「対向する」とは、誘電体基板229を、誘電体基板229の面の法線方向から見たときに(平面の上方から見たときに)互いにほぼ重なる位置にあることを意味する。
【0049】
なお、主開放スタブ181の他端と副開放スタブ191は、主線路導体160や副線路導体171よりも太くしてもよい。また、図19の例では、誘電体基板229は、主線路導体160、副線路導体171、副開放スタブ191、主開放スタブ181のいずれも形成されていない他の誘電体層として、第4の誘電体層210−4を有している。そして、第4の誘電体層210−4が、主線路導体160と副線路導体171が形成された第1の誘電体層210−1と、副開放スタブ191が形成された第2の誘電体層210−2の間に配置されている。このように、主線路導体、副線路導体、副開放スタブ、主開放スタブのいずれも形成されていない他の誘電体層を間に入れることで、主線路導体、副線路導体、副開放スタブ、主開放スタブの距離を調整できる。もちろん、誘電体層自体の厚さを変えることで距離を調整してもよい。また、さらに多くの誘電体層を有してもよい。
【0050】
共振の原理は実施例1と同じである。第1共振モードは、地導体151と接続される点A(短絡点)から主開放スタブ181の開放端Eまでの電気長(A−B−C−D−E)が約1/4波長となるような共振と考えられる。また、第2共振モードは、地導体151と接続される点A(短絡点)から副開放スタブ191の開放端Iまでの電気長(A−F−G−H−I)が約1/4波長となるような共振と考えられる。
【0051】
複数帯域共振器300はこのような構成と原理なので、複数の共振周波数を有する複数帯域共振器を、各構成部を共有化させながら(一体的に)構成できる。したがって、複数帯域共振器300は小型にできる。さらに、実施例1に比べると、基本貫通導体110の代わりに第1の短絡線路導体311を備えている。基本貫通導体110の場合は、誘電体層を貫通する穴を形成しなければならない。しかし、第1の短絡線路導体311の場合は、主線路導体160や副線路導体171と一緒に形成すればよいので、実施例1の構造よりも製造しやすい。
【0052】
共振周波数(この複数帯域共振器で複数帯域通過フィルタを形成した場合には通過周波数)は、誘電体層の厚さや誘電率、及び主線路導体160と主開放スタブ181、副線路導体171と副開放スタブ191の長さや幅で調整できる。なお、図19では、主開放スタブ181の他端Eと副開放スタブ191の他端Iとを対向させている。ただし、必ずしも対向させる必要はなく、調整のために適宜設計すればよい。また、図19では、第1の短絡線路導体311は、メアンダ構造である。メアンダ構造にすれば、複数帯域共振器と複数帯域共振器外部とのインピーダンス整合が可能である。しかし、必ずしもメアンダ構造にする必要は無く、適宜設計すればよい。また、主線路導体160の他端Cと地導体151との間にLC並列共振回路を備えてもよい。LC並列共振回路は集中定数素子としてもよい。
【0053】
さらには、実施例1変形例6や実施例1変形例7で示したように、複数帯域共振器300を共振部300として複数備え、いずれかの共振部の入出力線路導体を入力用とし、別のいずれかの共振部の入出力線路導体を出力用とすることで、複数帯域通過フィルタを構成してもよい。この場合は、すべての共振部300を同一の誘電体基板に形成する。そして、共振部同士を結合させるために、結合導体146も備えればよい。結合導体146は、主線路導体160、副線路導体171、副開放スタブ191、主開放スタブ181のいずれも形成されていない誘電体層のいずれかに形成される。
【0054】
[変形例1]
図20は実施例2変形例1の複数帯域共振器の展開斜視図である。この図でも、各構成部が見えるようにするために、各構成部を透明に描いている。また、図20の展開斜視図でも、主貫通導体120、副貫通導体131は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。
【0055】
複数帯域共振器300’は、複数帯域共振器300から誘電体層210−4を取り除き、主スイッチ169と副スイッチ179を付加し、入出力線路導体158を備えた構成である。例えば、誘電体層210−2の厚さを厚くすることで、特性を維持しながら誘電体層の数を少なくしてもよい。また、要求される特性から誘電体層を薄くしたいときには、単に誘電体層210−4を取り除いてもよい。
【0056】
実施例1変形例1と同様に、複数の共振周波数を持つ複数帯域共振器としても動作させると共に、共振周波数を選択できる共振器としても動作させたいときに主スイッチ169と副スイッチ179を付加すればよい。なお、誘電体層210−4を取り除く変形と、主スイッチ169と副スイッチ179を付加する変形と、入出力線路導体の変形は独立に選択できる。さらに、複数帯域共振器300’を共振部として複数備え、かつ、いずれかの共振部の入出力線路導体を入力用とし、別のいずれかの共振部の入出力線路導体を出力用とすることで、複数帯域通過フィルタを形成できる。
【0057】
[変形例2]
図21は実施例2変形例2の複数帯域共振器の展開斜視図である。この図でも、各構成部が見えるようにするために、各構成部を透明に描いている。また、図21の展開斜視図でも、主貫通導体120、副貫通導体131、短絡貫通導体321は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。
【0058】
複数帯域共振器301は、複数帯域共振器300に、第2の短絡線路導体312と短絡貫通導体321が追加されている。第2の短絡線路導体312は、第4の誘電体層210−4に形成され、一端が地導体151に接続されている。短絡貫通導体321は、主線路導体160の一端と、第2の短絡線路導体312の他端とを電気的につなぐ。その他の点は複数帯域共振器300と同じである。
【0059】
また、図21では、第1の短絡線路導体311と第2の短絡線路導体312は、メアンダ構造である。メアンダ構造にすれば、複数帯域共振器と複数帯域共振器外部とのインピーダンス整合が可能である。しかし、必ずしもメアンダ構造にする必要は無く、適宜設計すればよい。なお、本変形例は、変形例1と組み合わせることも可能である。本変形例の複数帯域共振器は、短絡線路導体の形状や長さを変更しやすいので、実施例2よりもさらに複数帯域共振器の特性を調整しやすい。
【0060】
さらには、実施例1変形例6や実施例1変形例7で示したように、複数帯域共振器301を共振部301として複数備え、いずれかの共振部の入出力線路導体を入力用とし、別のいずれかの共振部の入出力線路導体を出力用とすることで、複数帯域通過フィルタを構成してもよい。この場合は、すべての共振部301を同一の誘電体基板に形成する。そして、共振部同士を結合させるために、結合導体146も備えればよい。結合導体146は、主線路導体160、副線路導体171、副開放スタブ191、主開放スタブ181のいずれも形成されていない誘電体層のいずれかに形成される。
【0061】
[変形例3]
図22は実施例2変形例3の複数帯域共振器の展開斜視図である。この図でも、各構成部が見えるようにするために、各構成部を透明に描いている。また、図22の展開斜視図でも、主貫通導体120、副貫通導体131は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。
【0062】
複数帯域共振器302は、複数帯域共振器300に、第2の短絡線路導体313が追加されている。第2の短絡線路導体313は、第1の誘電体層210−1に形成され、主線路導体160の一端と地導体151とを電気的につなぐ。その他の点は複数帯域共振器300と同じである。
【0063】
また、図22では、第1の短絡線路導体311と第2の短絡線路導体313は、メアンダ構造である。メアンダ構造にすれば、複数帯域共振器と複数帯域共振器外部とのインピーダンス整合が可能である。しかし、必ずしもメアンダ構造にする必要は無く、適宜設計すればよい。なお、本変形例は、変形例1と組み合わせることも可能である。本変形例の複数帯域共振器は、短絡線路導体の形状や長さを変更しやすいので、実施例2よりもさらに複数帯域共振器の特性を調整しやすい。また、短絡貫通導体が不要なので、誘電体層を貫通させる穴が少なくなり、変形例2よりも製造しやすい。
【0064】
さらには、実施例1変形例6や実施例1変形例7で示したように、複数帯域共振器302を共振部302として複数備え、いずれかの共振部の入出力線路導体を入力用とし、別のいずれかの共振部の入出力線路導体を出力用とすることで、複数帯域通過フィルタを構成してもよい。この場合は、すべての共振部302を同一の誘電体基板に形成する。そして、共振部同士を結合させるために、結合導体146も備えればよい。結合導体146は、主線路導体160、副線路導体171、副開放スタブ191、主開放スタブ181のいずれも形成されていない誘電体層のいずれかに形成される。
【0065】
[変形例4]
図23は実施例2変形例4の複数帯域共振器の展開斜視図である。この図でも、各構成部が見えるようにするために、各構成部を透明に描いている。また、図23の展開斜視図でも、主貫通導体120、副貫通導体131は、誘電体層同士を離して描いているのに伴って引き伸ばしているが、実際には図1のように1つもしくは複数の誘電体層の厚みと同じ長さである。
【0066】
複数帯域共振器303は、複数帯域共振器300に比べ、第1の短絡線路導体314の幅が狭い。また、第2の短絡線路導体315が追加されている。第2の短絡線路導体315は、第1の誘電体層210−1に第1の短絡線路導体314に沿うように形成され、主線路導体160の一端と地導体151とを電気的につなぐ。その他の点は複数帯域共振器300と同じである。
【0067】
また、図23では、第1の短絡線路導体314と第2の短絡線路導体315は、メアンダ構造である。メアンダ構造にすれば、複数帯域共振器と複数帯域共振器外部とのインピーダンス整合が可能である。しかし、必ずしもメアンダ構造にする必要は無く、適宜設計すればよい。なお、本変形例は、変形例1と組み合わせることも可能である。本変形例の複数帯域共振器は、短絡線路導体の形状や長さを変更しやすいので、実施例2よりもさらに複数帯域共振器の特性を調整しやすい。また、短絡貫通導体が不要なので、誘電体層を貫通させる穴が少なくなり、変形例2よりも製造しやすい。さらに、短絡線路導体の幅を細くしたことで、変形例3よりも複数帯域共振器を小型にしやすい。
【0068】
さらには、実施例1変形例6や実施例1変形例7で示したように、複数帯域共振器303を共振部303として複数備え、いずれかの共振部の入出力線路導体を入力用とし、別のいずれかの共振部の入出力線路導体を出力用とすることで、複数帯域通過フィルタを構成してもよい。この場合は、すべての共振部303を同一の誘電体基板に形成する。そして、共振部同士を結合させるために、結合導体146も備えればよい。結合導体146は、主線路導体160、副線路導体171、副開放スタブ191、主開放スタブ181のいずれも形成されていない誘電体層のいずれかに形成される。
【0069】
[シミュレーション]
図24に第4のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの構成を示す。誘電体基板は点線で示している。図24(A)は第4のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの鳥瞰図である。図24(B)はこの複数帯域通過フィルタを下から見た図である。この複数帯域通過フィルタは、7つの誘電体層を有する誘電体基板に形成されている。図中の0〜5は、誘電体層同士の境界の番号を示している。この複数帯域通過フィルタは、2つの複数帯域共振器300を共振部として並列に配置した構造である。また、共振部間の結合を強くするために、結合導体146が配置されている。具体的には、結合導体146は境界0に配置され、2つの主開放スタブ181は境界1に配置され、2つの副開放スタブ191は境界2に配置され、主線路導体160、副線路導体171、第1の短絡線路導体311、入出力線路導体159は境界5に配置されている。地導体151は、誘電体基板の全体(6面)に形成されている。なお、誘電体基板の誘電率は10程度、誘電体層の厚みは200μm程度である。また、線幅は、線路導体が200μm程度、開放スタブが2mm程度である。この複数帯域通過フィルタでは、図中の四角で囲んだ1から信号を入力し、四角で囲んだ2から信号を出力する。図25は、図24の複数帯域通過フィルタの周波数応答のシミュレーション結果を示す図である。点線は反射損失(S11)を示しており、実線は挿入損失(S21)を示している。この図から1GHz付近と2GHz付近で3dBに近い挿入損失と7〜10dBの反射損失が得られることが分かる。
【0070】
図26に第5のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの構成を示す。誘電体基板は点線で示している。図26(A)は第5のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの鳥瞰図である。図26(B)は別の角度から見た鳥瞰図である。この複数帯域通過フィルタも、7つの誘電体層を有する誘電体基板に形成されている。図中の0〜5は、誘電体層同士の境界の番号を示している。この複数帯域通過フィルタは、2つの複数帯域共振器301を共振部として並列に配置した構造である。また、共振部間の結合を強くするために、結合導体146が配置されている。具体的には、結合導体146は境界0に配置され、2つの主開放スタブ181は境界1に配置され、2つの副開放スタブ191は境界2に配置され、第2の短絡線路導体312は境界4に配置され、主線路導体160、副線路導体171、第1の短絡線路導体311、入出力線路導体159は境界5に配置されている。地導体151は、誘電体基板の全体(6面)に形成されている。なお、誘電体基板の誘電率は10程度、誘電体層の厚みは上の3つが100μm程度、下の4つが200μm程度である。また、線幅は、線路導体が200μm程度、開放スタブが2mm程度である。この複数帯域通過フィルタでは、図中の四角で囲んだ1から信号を入力し、四角で囲んだ2から信号を出力する。図27は、図26の複数帯域通過フィルタの周波数応答のシミュレーション結果を示す図である。この図から1GHz付近と2GHz付近と3.3GHz付近で3dBに近い挿入損失と10dB以上の反射損失が得られることが分かる。
【0071】
図28に第6のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの構成を示す。誘電体基板は点線で示している。図28は第6のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの鳥瞰図である。この複数帯域通過フィルタも、7つの誘電体層を有する誘電体基板に形成されている。図中の0〜5は、誘電体層同士の境界の番号を示している。この複数帯域通過フィルタは、2つの複数帯域共振器302を共振部として並列に配置した構造である。また、共振部間の結合を強くするために、結合導体146が配置されている。具体的には、結合導体146は境界0に配置され、2つの主開放スタブ181は境界1に配置され、2つの副開放スタブ191は境界2に配置され、主線路導体160、副線路導体171、第1の短絡線路導体311、第2の短絡線路導体313、入出力線路導体159は境界5に配置されている。地導体151は、誘電体基板の全体(6面)に形成されている。なお、誘電体基板の誘電率は10程度、誘電体層の厚みは上の3つが100μm程度、下の4つが200μm程度である。また、線幅は、線路導体が200μm程度、開放スタブが2mm程度である。この複数帯域通過フィルタでは、図中の四角で囲んだ1から信号を入力し、四角で囲んだ2から信号を出力する。図29は、図28の複数帯域通過フィルタの周波数応答のシミュレーション結果を示す図である。この図から1GHz付近と2GHz付近で3dBに近い挿入損失と15dB以上の反射損失が得られることが分かる。
【0072】
図30に第7のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの構成を示す。誘電体基板は点線で示している。図30(A)は第7のシミュレーションの複数帯域通過フィルタの鳥瞰図である。図30(B)は別の角度から見た鳥瞰図である。この複数帯域通過フィルタも、7つの誘電体層を有する誘電体基板に形成されている。図中の0〜5は、誘電体層同士の境界の番号を示している。この複数帯域通過フィルタは、2つの複数帯域共振器303を共振部として並列に配置した構造である。また、共振部間の結合を強くするために、結合導体146が配置されている。具体的には、結合導体146は境界0に配置され、2つの主開放スタブ181は境界1に配置され、2つの副開放スタブ191は境界2に配置され、主線路導体160、副線路導体171、第1の短絡線路導体314、第2の短絡線路導体315、入出力線路導体159は境界5に配置されている。地導体151は、誘電体基板の全体(6面)に形成されている。なお、誘電体基板の誘電率は10程度、誘電体層の厚みは上の3つが100μm程度、下の4つが200μm程度である。また、線幅は、主線路導体と副線路導体が200μm程度、開放スタブが2mm程度、短絡線路導体が100μm程度である。この複数帯域通過フィルタでは、図中の四角で囲んだ1から信号を入力し、四角で囲んだ2から信号を出力する。図31は、図30の複数帯域通過フィルタの周波数応答のシミュレーション結果を示す図である。この図から1GHz付近と2GHz付近で3dBに近い挿入損失と15dB以上の反射損失が得られることが分かる。
【0073】
[上位概念]
最後に、実施例1と実施例2に共通する特徴から、本発明の上位概念を示す。複数帯域共振器100も複数帯域共振器300も、誘電体基板、地導体、主線路導体、副線路導体、副開放スタブ、主開放スタブ、短絡導体、主貫通導体、副貫通導体を備える。誘電体基板は、3つ以上の誘電体層を有する。地導体は、いずれかの誘電体層に形成してもよいし、誘電体基板全体を覆うように形成してもよい。主線路導体と副線路導体は、いずれかの誘電体層に形成される。副開放スタブは、主線路導体と副線路導体とは異なる誘電体層に形成される。主開放スタブは、主線路導体と副線路導体と副開放スタブとは異なる誘電体層に形成される。短絡導体は、主線路導体の一端と、副線路導体の一端とを電気的につなぎ、かつ、地導体とも電気的につなぐ。主貫通導体は、主線路導体の他端と、当該主線路導体の他端と対向する主開放スタブの一端とを電気的につなぐ。副貫通導体は、副線路導体の他端と、当該副線路導体の他端と対向する副開放スタブの一端とを電気的につなぐ。
【0074】
複数帯域共振器100と複数帯域共振器300との相違点は以下のとおりである。複数帯域共振器100の場合は、主線路導体と副線路導体が、異なる誘電体層に形成される。また、誘電体基板は、少なくとも第1から第4の誘電体層を有する。そして、短絡導体として、基本貫通導体を用いている。基本貫通導体は、いくつかの誘電体層を貫通して、主線路導体の一端と、当該主線路導体の一端と対向する副線路導体の一端とを電気的につなぎ、かつ、地導体とも電気的につなぐ。一方、複数帯域共振器300の場合は、主線路導体と副線路導体が、同一の誘電体層に形成される。また、誘電体基板は、少なくとも第1から第3の誘電体層を有する。そして、短絡導体として、第1の短絡線路導体を用いている。第1の短絡線路導体は、主線路導体と副線路導体が形成された誘電体層と同一の誘電体層に形成され、主線路導体の一端と、副線路導体の一端とを電気的につなぎ、かつ、地導体とも電気的につなぐ。
【0075】
なお、上述の上位概念の複数帯域共振器を共振部として複数備え、かつ、入力用の入出力線路導体と出力用の入出力線路導体とを備えることで複数帯域通過フィルタを形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、通信分野を中心とする複数帯域通過フィルタに利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
100、101、102、103、104、105、106、107、108、300、301、302、303 複数帯域共振器
110、112、113、114、117、118 基本貫通導体
120、122、123、124 主貫通導体
130、131、132、133、134、136 副貫通導体
143 第2副貫通導体
146 結合導体
150、151 地導体
157、158、159 入出力線路導体
160 主線路導体
169 主スイッチ
170、171、174 副線路導体
173 第2副線路導体
179 副スイッチ
180、181、184 主開放スタブ
190、191、194 副開放スタブ
193 第2副開放スタブ
210、212、213、214、217 誘電体層
220、222、223、224、227、228、229 誘電体基板
311、312、313、314、315 短絡線路導体
321 短絡貫通導体
1171、1172、1173,1174、1175、1181 貫通導体
1176、1177、1178、1179、1182 線路導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上の誘電体層を有する誘電体基板と、
地導体と、
いずれかの誘電体層に形成された主線路導体と副線路導体と、
前記主線路導体と前記副線路導体とは異なる誘電体層に形成された副開放スタブと、
前記主線路導体と前記副線路導体と前記副開放スタブとは異なる誘電体層に形成された主開放スタブと、
前記主線路導体の一端と、前記副線路導体の一端とを電気的につなぎ、かつ、前記地導体とも電気的につなぐ短絡導体と、
前記主線路導体の他端と、当該主線路導体の他端と対向する前記主開放スタブの一端とを電気的につなぐ主貫通導体と、
前記副線路導体の他端と、当該副線路導体の他端と対向する前記副開放スタブの一端とを電気的につなぐ副貫通導体と、
を備える複数帯域共振器。
【請求項2】
少なくとも第1から第4の誘電体層を有する誘電体基板と、
地導体と、
第1の誘電体層に形成された主線路導体と、
第2の誘電体層に形成された副線路導体と、
第3の誘電体層に形成された副開放スタブと、
第4の誘電体層に形成された主開放スタブと、
前記主線路導体の一端と、当該主線路導体の一端と対向する前記副線路導体の一端とを電気的につなぎ、かつ、前記地導体とも電気的につなぐ基本貫通導体と、
前記主線路導体の他端と、当該主線路導体の他端と対向する前記主開放スタブの一端とを電気的につなぐ主貫通導体と、
前記副線路導体の他端と、当該副線路導体の他端と対向する前記副開放スタブの一端とを電気的につなぐ副貫通導体と、
を備える複数帯域共振器。
【請求項3】
請求項2記載の複数帯域共振器であって、
前記第1から第4の順番に前記誘電体層が並んでいる
ことを特徴とする複数帯域共振器。
【請求項4】
請求項2または3記載の複数帯域共振器であって、
さらに、
前記主線路導体の一端に形成され、当該主線路導体と前記基本貫通導体とを電気的に切り離す主スイッチと、
前記副線路導体の一端に形成され、当該副線路導体と前記基本貫通導体とを電気的に切り離す副スイッチも
備えることを特徴とする複数帯域共振器。
【請求項5】
請求項2に記載の複数帯域共振器であって、
さらに、
前記誘電体基板は、第5と第6の誘電体層を有しており、
前記第5の誘電体層に形成された第2副線路導体と、
前記第6の誘電体層に形成された第2副開放スタブと、
第2副貫通導体も
備え、
第1、第2、第5、第6、第3、第4の順番に前記誘電体層が並んでおり、
前記基本貫通導体は、前記主線路導体の一端と対向する前記第2副線路導体の一端も電気的につなぎ、
前記第2副貫通導体は、前記第2副線路導体の他端と、当該第2副線路導体の他端と対向する前記第2副開放スタブの一端とを電気的につなぐ
ことを特徴とする複数帯域共振器。
【請求項6】
請求項2から5のいずれかに記載の複数帯域共振器であって、
前記主線路導体が形成された面について対称となるように、2つの副線路導体、副開放スタブ、主開放スタブが形成されている
ことを特徴とする複数帯域共振器。
【請求項7】
請求項2から6のいずれかに記載の複数帯域共振器であって、
前記基本貫通導体が、メアンダ構造である
ことを特徴とする複数帯域共振器。
【請求項8】
請求項7記載の複数帯域共振器であって、
前記地導体が前記誘電体基板のいずれかの誘電体層上に形成されており、
前記基本貫通導体のメアンダ構造が、各誘電体層を貫通する位置を変更することによって形成されている
ことを特徴とする複数帯域共振器。
【請求項9】
請求項7記載の複数帯域共振器であって、
前記地導体が前記誘電体基板以外に形成されており、
前記基本貫通導体のメアンダ構造が、第1の誘電体層上の導体によって形成されている
ことを特徴とする複数帯域共振器。
【請求項10】
少なくとも第1から第3の誘電体層を有する誘電体基板と、
地導体と、
第1の誘電体層に形成された主線路導体と、
第1の誘電体層に形成された副線路導体と、
第2の誘電体層に形成された副開放スタブと、
第3の誘電体層に形成された主開放スタブと、
第1の誘電体層に形成され、前記主線路導体の一端と、前記副線路導体の一端とを電気的につなぎ、かつ、前記地導体とも電気的につなぐ第1の短絡線路導体と、
前記主線路導体の他端と、当該主線路導体の他端と対向する前記主開放スタブの一端とを電気的につなぐ主貫通導体と、
前記副線路導体の他端と、当該副線路導体の他端と対向する前記副開放スタブの一端とを電気的につなぐ副貫通導体と、
を備える複数帯域共振器。
【請求項11】
請求項10記載の複数帯域共振器であって、
前記第1の短絡線路導体がメアンダ構造である
ことを特徴とする複数帯域共振器。
【請求項12】
請求項10記載の複数帯域共振器であって、
前記誘電体基板は、第4の誘電体層も有し、
さらに、
前記第4の誘電体層に形成され、一端が地導体に接続された第2の短絡線路導体と、
前記主線路導体の一端と、前記第2の短絡線路導体の他端とを電気的につなぐ短絡貫通導体と、
を備える複数帯域共振器。
【請求項13】
請求項10記載の複数帯域共振器であって、
さらに
前記第1の誘電体層に形成され、前記主線路導体の一端と前記地導体とを電気的につなぐ第2の短絡線路導体を
備える複数帯域共振器。
【請求項14】
請求項13記載の複数帯域共振器であって、
前記第1の短絡線路導体と前記第2の短絡線路導体が、前記主線路導体よりも細い
ことを特徴とする複数帯域共振器。
【請求項15】
請求項12から14のいずれかに記載の複数帯域共振器であって、
前記第1の短絡線路導体と前記第2の短絡線路導体がメアンダ構造である
ことを特徴とする複数帯域共振器。
【請求項16】
請求項10から15のいずれかに記載の複数帯域共振器であって、
さらに、
前記主線路導体の一端に形成され、当該主線路導体と前記第1の短絡線路導体とを電気的に切り離す主スイッチと、
前記副線路導体の一端に形成され、当該副線路導体と前記第1の短絡線路導体とを電気的に切り離す副スイッチも
備える複数帯域共振器。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の複数帯域共振器であって、
前記主開放スタブの他端と前記副開放スタブの他端とが対向している
ことを特徴とする複数帯域共振器。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかに記載の複数帯域共振器であって、
前記主開放スタブの幅が前記主線路導体の幅よりも広い、もしくは、前記副開放スタブの幅が前記副線路導体の幅よりも広い
ことを特徴とする複数帯域共振器。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載の複数帯域共振器であって、
前記誘電体基板は、前記主線路導体、前記副線路導体、前記副開放スタブ、前記主開放スタブのいずれも形成されていない他の誘電体層も有し、
前記他の誘電体層が、前記主線路導体、前記副線路導体、前記副開放スタブ、前記主開放スタブのいずれかが形成されている誘電体層同士の間に配置されている
ことを特徴とする複数帯域共振器。
【請求項20】
請求項1から19のいずれかに記載の複数帯域共振器であって、
前記主線路導体の他端と前記地導体との間にLC並列共振回路も
備える複数帯域共振器。
【請求項21】
請求項20記載の複数帯域共振器であって、
前記LC並列共振回路が集中定数素子で構成されている
ことを特徴とする複数帯域共振器。
【請求項22】
請求項1から21のいずれかに記載の複数帯域共振器を共振部として複数備え、
いずれか2つの前記共振部には主線路導体に接続された入出力線路導体が設けられ、
すべての前記共振部が同一の誘電体基板に形成された
ことを特徴とする複数帯域通過フィルタ。
【請求項23】
請求項22記載の複数帯域通過フィルタであって、
前記誘電体基板は、前記主線路導体、前記副線路導体、前記副開放スタブ、前記主開放スタブのいずれも形成されていない誘電体層も有しており、
前記主線路導体、前記副線路導体、前記副開放スタブ、前記主開放スタブのいずれも形成されていない誘電体層のいずれかに形成された、前記共振部同士を結合させる結合導体も
備える複数帯域通過フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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