説明

複数用量注入システム

複数の患者にわたって、バルク容器、複数用途管類一式(110)、および注射器(86a、86b)の安全かつ容易な使用を可能にする複数用量注入システム(108)について開示される。バルク容器は、撮像手技を受ける一連の患者への投与のために、生理食塩水ボトル(118)と、造影剤ボトル(120)とを含んでもよい。ボトル(118、120)は、それぞれ、生理食塩水ボトル(118)および造影剤ボトル(120)からの流量を制御するように動作可能な生理食塩水弁(176)と、造影剤弁(178)とを含むカセット(114)に流体的に接続されてもよい。カセット(114)は、次に、パワーヘッド(50)および患者固有管類一式(112)上の注射器(86a、86b)に流体的に接続される複数用途管類一式(110)に流体的に相互接続されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/109,964号(名称「Multi−Dose Injection System」、2008年10月31日出願)の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、注入システムに関し、より具体的には、1人以上の患者に複数の用量の流体を送達するための注入システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
種々の医療手技は、一つ以上の医療流体が患者に注入されることを要求する。例えば、医療撮像手技は、多くの場合、可能性として、生理食塩水および/または他の流体とともに、患者への造影剤の注入を伴う。他の医療手技は、治療目的で患者に一つ以上の流体を注入することを伴う。自動注入器が、これらの種類の用途に使用されてもよい。
【0004】
自動注入器は、概して、一般的にパワーヘッドと呼ばれるものを含む。一つ以上の注射器が、種々の様式で(例えば、脱着可能に、後方装填式、前方装填式、側面装填式)パワーヘッドに載架されてもよい。各注射器は、典型的には、注射器プランジャ、ピストン、または同等物として特徴付けられ得るものを含む。注射器プランジャドライバの動作が、注射器の筒の内側で、およびそれに対して、関連注射器プランジャを軸方向に前進させるように、それぞれのそのような注射器プランジャは、パワーヘッドに組み込まれる適切な注射器ドライバと接合する(例えば、接触および/または一時的に相互接続する)ように設計される。一つの典型的な注射器プランジャドライバは、ネジ山付き主ネジまたは駆動ネジに載架される、ラムの形態である。一つの回転方向への駆動ネジの回転が、一つの軸方向に関連ラムを前進させる一方で、反対の回転方向への駆動ネジの回転は、反対の軸方向に関連ラムを前進させる。
【0005】
自動注入器によって使用される注射器を分類する方法の一つは、流体で充填または装填される様式である。自動注入器注射器は、予充填されてもよく、注射器は、ある施設において、流体で充填され、次いで、別の施設(例えば、最終用途施設)に出荷される。空の注射器が、最終用途施設に出荷され、次いで、少なくとも二つの一般的様式において、流体で充填されてもよい。空の注射器は、最終用途施設内のある場所(例えば、充填ステーション)において、流体で充填され、次いで、最終用途施設内の別の場所(例えば、撮像室)に輸送され、そこで、流体含有注射器が、自動注入器に搭載されてもよい。代替として、空の注射器は、最終用途施設(例えば、撮像室)において、自動注入器に搭載され、次いで、自動注入器および搭載された注射器を使用して、後続注入プロトコルのための調製の際、流体で装填または充填されてもよい。
【0006】
典型的には、個々の空の注射器は、上述に従って、バルク供給容器(例えば、ボトル)として特徴付けられ得るものから充填されてもよい。この場合、注射器は、単一患者に対する単回注入のために使用される。本単回注入後、注射器に残っているいかなる造影剤も、別の患者に使用することはできず、それによって、無駄となる。さらに、自動注入器から患者へと延在する管類一式全体(一つ以上の弁およびカテーテル等、管類一式に組み込まれ得る、種々の構成要素を含む)もまた、廃棄される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1から第3の側面は、各々、複数用量注入システムによって具現化される。これらの3つの側面の複数用量注入システムは、注入デバイス(例えば、自動注入器)と、バルク流体容器ホルダモジュールと、カセットと、管類一式とを含む。本複数用量注入システムは、バルク流体容器ホルダモジュール内に配置される一つ以上のバルク流体容器から、注入デバイス(例えば、その注射器)に、次いで、管類一式に流体的に相互接続される患者へと流体を輸送するように動作可能である。本明細書で使用されるように、「流体的に相互接続された」という用語は、その間を流体が流動できるような様式で(例えば、一方向に、または双方向に)、(直接または間接的に)接続されている二つ以上の構成要素または実体を指す。例えば、「患者に流体的に相互接続される注入デバイス」は、流体が、注入デバイスから、任意の相互接続デバイス(例えば、管類、コネクタ)を介して、患者の中へ流動することが可能な構成を表す。
【0008】
第1の側面の場合、複数用量注入システムのバルク流体容器ホルダモジュールは、容器ホルダ(すなわち、二つ以上の容器ホルダ)を含む。これらの容器ホルダは、各々、別個のバルク流体容器(例えば、生理食塩水容器、造影剤容器)を受容するように適合される。カセットは、バルク流体容器ホルダモジュールと脱着可能に相互接続され、バルク流体容器流体インターフェースを含む。カセットのこれらのバルク流体容器流体インターフェースは、各々、容器ホルダの別個の一つと関連付けられる。複数用量注入システムの管類一式は、注入デバイスおよびカセットのバルク流体容器流体インターフェースに流体的に相互接続される。
【0009】
第2の側面の複数用量注入システムの場合、カセットは、バルク流体容器流体インターフェースと、弁とを含む。カセットは、バルク流体容器ホルダモジュールに脱着可能に相互接続される。管類一式は、注入デバイスおよびカセットに流体的に相互接続され、弁は、バルク流体容器流体インターフェースを管類一式から流体的に隔離するように動作可能である。いくつかの実施形態では、バルク流体容器ホルダモジュールは、複数の容器ホルダ(例えば、生理食塩水容器ホルダおよび造影剤容器ホルダ)を含んでもよい。本明細書で使用されるように、「流体的に隔離される」という用語は、構成要素または実体間の関係を表し、流体は、少なくとも一時的に、構成要素または実体間における流動を妨害される。例えば、「管類一式から流体的に隔離されるバルク流体容器流体インターフェース」とは、バルク流体容器流体インターフェースに位置する流体が、少なくとも一時的に、バルク流体容器流体インターフェースから管類一式への流動を妨害される構成を表す。そのような流動不能性は、相互接続デバイスが、バルク流体容器流体インターフェースおよび管類一式に接続していないため、または閉鎖弁等のデバイスが、バルク流体容器流体インターフェースから管類一式への流動を防止するためであり得る。
【0010】
第3の側面の複数用量注入システムの場合、バルク流体容器ホルダモジュールは、複数の容器ホルダ(例えば、生理食塩水容器ホルダおよび造影剤容器ホルダ)を含む。これらの容器ホルダは、各々、対応するバルク流体容器を据付けるように動作可能である。また、バルク流体容器ホルダモジュールは、熱を発生させ、発生された熱をバルク流体容器ホルダ内に配置される一つ以上のバルク流体容器に伝導するように動作可能である、加熱部材を含む。カセットは、バルク流体容器流体インターフェースと、弁とを含む。管類一式は、注入デバイスと流体的に相互接続される。いくつかの実施形態では、カセットは、バルク流体容器ホルダモジュールに脱着可能に相互接続されてもよい。本明細書で使用されるように、「脱着可能に連結される」とは、構成要素が相互接続されるが、なお相互から脱着される能力を保有し、脱着後に、構成要素のうちの少なくとも一つが使用可能な状態にあり続ける、構成要素間の関係を表す。例えば、「カセットおよびバルク流体容器ホルダモジュールは、脱着可能に相互接続される」とは、カセットがバルク流体容器ホルダモジュールから脱着されるのを可能にする様式で、カセットがバルク流体容器ホルダモジュールに現在相互接続されている状態を表す。さらに、そのような脱着後、バルク流体容器ホルダモジュールおよびカセットのうちの少なくとも一つは、別の構成要素と(例えば、脱着可能に)相互接続される能力を保有する。
【0011】
いくつかの特徴の改良および付加的特徴が、本発明の上述の第1、第2、および第3の側面のそれぞれに関して、別々に適用可能である。これらの特徴の改良および付加的特徴は、上述の第1、第2、および第3の側面のそれぞれに関して、個別に、または任意の組み合わせで使用されてもよい。すなわち、論議される以下の特徴はそれぞれ、別途記載がない限り、任意の他の特徴または特徴の組み合わせとともに使用される必要はない。
【0012】
バルク流体容器ホルダモジュールは、バルク流体容器加熱器を含んでもよい。本バルク流体容器加熱器は、任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類であってもよい。いくつかの実施形態では、別個のバルク流体容器加熱器が、バルク流体容器ホルダモジュールの各容器ホルダに対して提供されてもよい。他の実施形態では、単一バルク流体容器加熱器が、バルク流体容器ホルダモジュールの複数(例えば、全部)の容器ホルダに対して提供され得る。さらに他の実施形態では、第1のバルク流体容器加熱器が、バルク流体容器ホルダモジュールの一つ以上の容器ホルダに対して提供され、第2のバルク流体容器加熱器が、バルク流体容器ホルダモジュールの一つ以上の異なる容器ホルダに対して提供され得る。
【0013】
複数の容器ホルダを含む、複数用量注入システムでは、カセットは、容器ホルダのそれぞれに対して、別個のバルク流体容器流体インターフェースと、弁と、を含んでもよい。各弁は、カセットの筐体内に配置されてもよく、および/またはその対応するバルク流体容器流体インターフェースを管類一式から流体的に隔離するように動作可能であってもよい。
【0014】
カセットは、各含まれる容器ホルダに対して、バルク流体容器流体インターフェースと、弁とを含んでもよい。そのようなカセットでは、各バルク流体容器流体インターフェースは、任意の適切な設計を呈し得る、孔付きスパイクを含んでもよい。例えば、孔付きスパイクは、カセットの筐体の内部中へと延在してもよい。そのような実施形態では、管類一式は、筐体の内部の各孔付きスパイクに流体的に相互接続されてもよい。
【0015】
バルク流体容器ホルダモジュールは、カセットの各弁に対して、弁作動装置を含んでもよい。弁作動装置はそれぞれ、注入デバイスの一つ以上の構成要素の移動(例えば、注射器の筒内に位置し、それに対して移動可能な注射器のプランジャの移動)と同期して開閉するように動作可能であってもよい。弁作動装置のうちの一つ以上(例えば、それぞれ)の位置は、電子的に制御可能であってもよい。
【0016】
複数用量注入システムのいくつかの実施形態では、カセットおよび管類一式は、相互に恒久的に接続されてもよい。言い換えると、カセットおよび管類一式は、効果的に、単一の一体型構成要素であるような様式で提供されてもよい。この点において、カセットおよび管類一式は、単一ユニットとして、搭載および交換されることが意図されてもよい。他の実施形態では、カセットおよび管類一式は、相互に取外し可能に接続されるように設計されてもよい。言い換えると、カセットおよび管類一式は、それぞれ、所望に応じて、ユーザによって、他方と接続および切断される個別の構成要素であるような様式で提供されてもよい。この点において、カセットおよび管類一式のうちの所与の一方を使用、再使用、および/または交換の決定は、他方の使用、再使用、および/または交換の決定と実質的に無関係となるであろう。
【0017】
第1、第2、および第3の側面のいくつかの実施形態は、管類一式に流体的に相互接続され得る、患者固有管類一式を含んでもよい。本患者固有管類一式は、患者の脈管系内に挿入可能なように構成されるカテーテルに流体的に相互接続されるように設計される、一端(例えば、管類一式に流体的に相互接続される端の反対側)を含んでもよい。患者固有管類一式は、新しい患者が、複数用量注入システムから流体の注入を受ける度に交換されてもよい。
【0018】
第1、第2、および第3の側面の複数用量注入システムは、カセットのカセット識別部材を読取可能なカセット識別リーダを含んでもよい。そのようなリーダは、適切なデータタグからデータを電磁的に読み取る、および/またはそこにデータを書き込む(例えば、適切な無線周波数を介して、無線識別(RFID)タグを読み取る、および/またはそこにデータを書き込む)ことが可能な電磁デバイスであってもよい。故に、カセット識別部材は、RFIDタグであってもよい。加えて、または代替として、第1、第2、および第3の側面の複数用量注入システムは、一つ以上のバルク流体容器に接続される、一つ以上のバルク流体容器識別部材を読取可能な一つ以上のバルク流体容器識別リーダを含んでもよい。そのようなバルク流体容器識別リーダは、適切なデータタグからデータを電磁的に読み取る、および/またはそこへデータを書き込むことが可能な電磁デバイスであってもよい。故に、バルク流体容器識別部材は、RFIDタグであってもよい。カセット識別リーダおよび一つ以上のバルク流体容器識別リーダの両方が存在する実施形態では、リーダはそれぞれ、個別のリーダであってもよく、または単一リーダを利用して、カセット識別リーダおよびバルク流体容器識別リーダの両方の機能を果たしてもよい(すなわち、単一リーダは、カセット識別部材およびバルク流体容器識別部材の両方を読み取ることになるであろう)。
【0019】
本発明の第4の側面は、患者の脈管系(例えば、動脈、静脈等)に医療流体を送達する方法によって具現化される。本方法は、バルク流体容器ホルダモジュール上にカセットを装填するステップと、複数用途管類一式を注入デバイスに流体的に取り付けるステップと、第1の患者固有管類一式を複数用途管類一式に流体的に相互接続するステップと、第1のバルク流体容器をカセットの第1のバルク流体容器流体インターフェースに流体的に接続するステップと、を備えてもよい。本方法は、装填、流動的取着、流動的相互接続、および流動的接続ステップ後、カセットの第1の弁を作動させ、第1のバルク流体容器を複数用途管類一式と流体連通させるステップをさらに含んでもよい。本方法は、流体輸送シーケンスを行うステップをさらに含んでもよい。流体輸送シーケンスは、第1のバルク流体容器が複数用途管類一式と流体連通している間、注入デバイスのプランジャを後退させるステップと、第1のバルク流体容器から注入デバイスの注射器内への流体の移動をもたらすステップと、次いで、第1の弁を閉鎖するステップと、次いで、プランジャを前進させ、注射器から複数用量管類一式内へ、さらに第1の患者固有管類一式を通って、患者の脈管系内へと流体を排出するステップとを備えてもよい。
【0020】
いくつかの特徴の改良および付加的特徴が、本発明の上述の第4の側面に関して、別々に適用可能である。これらの特徴の改良および付加的特徴は、第4の側面に関して、個別に、または任意の組み合わせで使用されてもよい。すなわち、論議される以下の特徴はそれぞれ、別途記載がない限り、任意の他の特徴または特徴の組み合わせとともに使用される必要はない。
【0021】
ある実施形態では、患者の脈管系に薬剤を送達する方法は、第2のバルク流体容器をカセットの第2のバルク流体容器流体インターフェースに流体的に接続するステップを含んでもよい。ある実施形態では、本方法は、任意の適切な数のバルク流体容器をカセットの対応するバルク流体容器流体インターフェースに流体的に接続するステップを含んでもよい。ある例示的構成では、第1のバルク流体容器は、生理食塩水を備えてもよく、第2のバルク流体容器は、造影剤を備えてもよい。
【0022】
ある実施形態では、本方法は、第1のバルク流体容器内に含有される流体を加熱するステップ、および/または本方法の施行の際に使用される任意の他のバルク流体容器内の流体を加熱するステップをさらに含んでもよい。
【0023】
作動ステップに先立って、本方法の実施形態は、カセットに取着される識別部材を読み取るステップを備えてもよい。読取ステップは、RFIDタグリーダによって、カセットのRFIDタグを読み取るステップを備えてもよい。RFIDタグリーダは、バルク流体容器ホルダモジュールに統合されてもよい。RFIDタグを読み取るステップは、例えば、カセットの種類、カセットの製造番号、および/またはカセットに関する任意の他の適切な情報の識別を可能にしてもよい。
【0024】
作動ステップに先立って、本方法は、第1のバルク流体容器に取着される識別部材を読み取るステップを備えてもよい。読取ステップは、RFIDタグリーダによって、第1のバルク流体容器のRFIDタグを読み取るステップを備えてもよい。RFIDタグリーダは、バルク流体容器ホルダモジュールに統合されてもよい。RFIDタグを読み取るステップは、例えば、第1のバルク流体容器内の流体の種類、第1のバルク流体容器内の流体の体積、第1のバルク流体容器の製造番号、および/または第1のバルク流体容器に関する任意の他の適切な情報の識別を可能にしてもよい。RFIDタグリーダおよび/または付加的RFIDタグリーダは、バルク流体容器ホルダモジュールによって保持され得る、任意の付加的バルク流体容器を読み取るように動作可能であってもよい(例えば、所与のバルク流体容器とともに保管される造影剤の濃度を読み取るため)。
【0025】
本方法のある実施形態では、第1のバルク流体容器流体インターフェースは、カセットに載架される孔付きスパイクを備えてもよく、流動的接続ステップは、第1のバルク流体容器を孔付きスパイクに押圧するステップを備えてもよい。
【0026】
ある実施形態では、本方法は、ステップ施行後、第1の患者固有管類一式を複数用途管類一式から切り離すステップと、次いで、第2の患者固有管類一式を複数用途管類一式に流体的に結合するステップと、第2の患者の脈管系内に流体を送達するために、第2の患者固有管類一式を使用して、流体輸送シーケンスを施行するステップを繰り返すステップと、をさらに備えてもよい。さらに、本方法は、切断ステップと結合ステップとの間、プランジャの位置を維持するステップと、維持ステップの際、第1のバルク流体容器が、複数用途管類一式と流体連通し、それによって、注射器内に全く圧力が形成されないように防止し得るように、第1の弁を設置するステップとを備えてもよい。切断ステップは、複数用途管類一式のメス型ルアー式コネクタと第1の患者固有管類一式の第1のオス型ルアー式コネクタのインターフェースにおいて生じてもよく、結合ステップは、メス型ルアー式コネクタと第2の患者固有管類一式の第2のオス型ルアー式コネクタのインターフェースにおいて生じてもよい。本方法は、切断ステップ後、結合ステップに先立って、メス型ルアー式コネクタを清浄化するステップをさらに備えてもよい。そのような清浄化するステップは、メス型ルアー式コネクタを(例えば、アルコール綿棒によって)消毒するステップを含んでもよい。
【0027】
いくつかの特徴の改良および付加的特徴が、本発明の上述の第1、第2、第3、および第4の側面のそれぞれに、別々に適用可能である。これらの特徴の改良および付加的特徴は、上述の第1、第2、第3、および第4の側面のそれぞれに関して、個別に、または任意の組み合わせで使用されてもよい。「単数」の文脈または同等物に限定されることが意図される、本発明の任意の他の種々の側面の任意の特徴は、「唯一」、「単一」、「限定される」、または同等物等の用語によって、本明細書で明確に説明される。一般的に受け入れられている基礎的実践に従って特徴を単に導入することは、対応する特徴を単数に限定することにはならない(例えば、自動注入器が「一つの注射器」を含むことを示すだけでは、自動注入器が単一の注射器しか含まないことを意味することにはならない)。また、「少なくとも一つの」等の語句を使用しないことも、対応する特徴を単数に限定することにはならない(例えば、自動注入器が「一つの注射器」を含むことを示すだけでは、自動注入器が単一の注射器しか含まないことを意味することにはならない)。最後に、特定の特徴に関する「少なくとも概して」または同等物といった語句の使用は、対応する特性およびそのごくわずかな変形例も包含する(例えば、注射筒が少なくとも概して円筒形であると示すことで、円筒形である注射筒を包含する)。
【0028】
注入デバイスは、自動注入器の形態であってもよい。流体放出を提供するために利用され得る、任意の自動注入器は、任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類であってもよい。任意のそのような自動注入器は、任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類の一つ以上の注射器プランジャドライバを利用してもよく、その場合、それぞれのそのような注射器プランジャドライバは、少なくとも双方向運動(例えば、流体を放出するための第1の方向の運動、流体の装填および/または引き込みに適応するため、および/または後続の流体放出動作のための位置に戻るための第2の方向の運動)が可能であり、それぞれのそのような注射器プランジャドライバは、(例えば、流体を放出するように)少なくとも一つの方向に注射器プランジャを前進させることができるように、任意の適切な様式で(例えば、機械的接触によって、(機械的または別様の)適切な連結によって)、その対応する注射器プランジャと相互作用してもよい。各注射器プランジャドライバは、任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類の一つ以上の駆動源を利用してもよい。複数の駆動源出力が、所与のときに、単一の注射器プランジャを前進させるように任意の適切な様式で組み合わせられてもよい。一つ以上の駆動源が、単一の注射器プランジャドライバ固有であってもよく、一つ以上の駆動源が、複数の注射器プランジャドライバと関連してもよく(例えば、一つの注射器プランジャから別の注射器プランジャに出力を変更するように、ソートの変速を組み込む)、またはそれらの組み合わせである。代表的な駆動源の形態は、ブラシ付きまたはブラシレス電気モータ、油圧モータ、空気モータ、圧電モータ、またはステッピングモータを含む。
【0029】
任意のそのような自動注入器は、任意の適切な医療用途(例えば、コンピュータ断層撮影法またはCT撮像、磁気共鳴映像法またはMRI、単光子放射型コンピュータ断層撮影法またはSPECT撮像、陽電子放射型コンピュータ断層撮影法PET撮像、X線撮像、血管造影法、光学撮像、超音波撮像)を無制限に含む、一つ以上の医療流体の送達が所望される任意の適切な用途に使用されてもよい。任意のそのような自動注入器は、適切な撮像システム(例えば、CTスキャナ)等の、任意の構成要素または構成要素の組み合わせと併せて使用されてもよい。例えば、任意のそのような自動注入器と一つ以上の他の構成要素との間で、情報を伝えることができる(例えば、スキャン遅延情報、注入開始信号、注入速度)。
【0030】
任意の適切な数の注射器が、任意の適切な様式で(例えば、脱着可能に、前方装填式、後方装填式、側面装填式)、任意のそのような自動注入器とともに利用されてもよく、任意の適切な医療流体が、任意のそのような自動注入器の所与の注射器から放出されてもよく(例えば、造影剤、放射性医薬品、生理食塩水、およびそれらの任意の組み合わせ)、任意の適切な流体が、任意の適切な様式で(例えば、連続的に、同時に)多重注射器自動注入器構成から放出されてもよく、またはそれらの任意の組み合わせである。一実施形態では、自動注入器の動作によって注射器から放出される流体は、導管(例えば、医療管類一式)の中へ指向され、その場合、本導管は、任意の適切な様式で注射器と流体的に相互接続され、流体を所望の場所に(例えば、注入のために患者に挿入されるカテーテルに)指向する。複数の注射器が、(例えば、単一の注入部位に提供するために)共通導管の中へ放出してもよく、または一つの注射器が、(例えば、一つの注入部位に提供するために)一つの導管の中へ放出してもよい一方で、別の注射器は、(例えば、異なる注入部位に提供するために)異なる導管の中へ放出してもよい。一実施形態では、各注射器は、注射筒と、注射筒内に配置され、かつ注射器に対して移動可能であるプランジャと、を含む。本プランジャは、注射器プランジャ駆動アセンブリが、少なくとも一つの方向に、および可能性として、二つの異なる反対方向に、プランジャを前進させることができるように、自動注入器の注射器プランジャ駆動アセンブリと接合してもよい。
【0031】
任意の複数用量注入システムまたは注射が、流体の任意の数のバルク容器を含んでもよく/利用してもよい。そのような複数用量注入システムおよび注射は、バルク容器から複数の患者に流体を送達するために使用されてもよい。バルク容器は、任意の適切な種類の流体を含有してもよい。バルク容器は、各々、独自の種類の流体を含有してもよく、あるいはバルク容器の一部または全部が同じ種類の流体を含有してもよい。バルク容器は、任意の適切な数の弁を介して、複数用量注入システムと流体的に相互接続されてもよい。バルク容器は、任意の適切な数の注射器と流体的に相互接続されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、自動注入器の一実施形態の概略図である。
【図2A】図2Aは、携帯型スタンド載架式二重ヘッド自動注入器の一実施形態の斜視図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの自動注入器によって使用される、パワーヘッドの拡大部分分解斜視図である。
【図2C】図2Cは、図2Aの自動注入器によって使用される、注射器プランジャ駆動アセンブリの一実施形態の概略図である。
【図3A】図3Aは、複数用量注入システムの一実施形態の斜視図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの複数用量注入システムによって使用され得る、バルク流体容器ホルダモジュールの斜視図である。
【図4A】図4Aは、図3Aの複数用量注入システムによって使用され得る、複数用途管類一式の斜視図である。
【図4B】図4Bは、図3Aの複数用量注入システムによって使用され得る、患者固有管類一式の斜視図である。
【図5A】図5Aは、図3Aの複数用量注入システムによって使用される、カセットの上面斜視図である。
【図5B】図5Bは、図5Aのカセットの底面斜視図である。
【図6】図6は、複数用量注入システムから複数の患者に薬剤を送達する方法の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、パワーヘッド12を有する自動注入器10の形態にある、注入デバイス一実施形態の概略図を提示する。一つ以上のグラフィカルユーザインターフェースまたはGUI11が、パワーヘッド12と関連付けられてもよい。各GUI11は、(1)任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類であってもよい、(2)任意の適切な様式でパワーヘッド12と動作可能に相互接続されてもよい、(3)任意の適切な場所に配置されてもよい、(4)自動注入器10の動作の一つ以上の側面を制御する、自動注入器10の動作と関連する一つ以上のパラメータを入力/編集する、(例えば、自動注入器10の動作と関連する)適切な情報を表示するといった、機能のいずれかを提供するように構成されてもよく、または(5)先述の内容の任意の組み合わせである。任意の適切な数のGUI11が、利用されてもよい。一実施形態では、自動注入器10は、パワーヘッド12とは別であるが、パワーヘッド12と通信するコンソールによって組み込まれるGUI11を含む。別の実施形態では、自動注入器10は、パワーヘッド12の一部であるGUI11を含む。さらに別の実施形態では、自動注入器10は、パワーヘッド12と通信する別個のコンソール上で一つのGUI11を利用し、また、パワーヘッド12上にある別のGUI11も利用する。各GUI11は、同じ機能性または一式の機能性を提供することができ、または、GUI11は、それぞれの機能性に関して、少なくともある点で異なってもよい。
【0034】
注射器28は、パワーヘッド12上に搭載されてもよく、搭載されると、自動注入器10の一部と見なされてもよい。いくつかの注入手技は、注射器28内で生成される比較的高い圧力をもたらしてもよい。この点において、圧力ジャケット26内に注射器28を配置することが望ましくてもよい。圧力ジャケット26は、典型的には、パワーヘッド12上に注射器28を搭載するステップの一部として、またはそのステップの後に、注射器28がその中に配置されることを可能にする様式で、パワーヘッド12と関連付けられる。同圧力ジャケット26は、典型的には、種々の注射器28が、複数の注入手技のために、圧力ジャケット26内に設置され、そこから除去される際に、パワーヘッド12と関連付けられたままとなる。自動注入器10が、低圧注入のために構成/利用される場合、および/または自動注入器10とともに利用される注射器28が、圧力ジャケット26によって提供される付加的支持なしで、高圧注入に耐えるのに十分な耐久性である場合、自動注入器10は、圧力ジャケット26を排除してもよい。いずれの場合でも、注射器28から放出される流体は、任意の適切な様式で注射器28と流体的に相互接続されてもよく、流体を任意の適切な場所に(例えば、患者に)指向してもよい、任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類の導管38の中へ指向されてもよい。
【0035】
パワーヘッド12は、注射器28から流体を放出するように注射器28(例えば、そのプランジャ32)と相互作用する(例えば、接合する)、注射器プランジャ駆動アセンブリまたは注射器プランジャドライバ14を含む。本注射器プランジャ駆動アセンブリ14は、駆動出力18(例えば、回転可能な駆動ネジ)に電力供給する、駆動源16(例えば、任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類のモータ、オプションの歯車装置、および同等物)を含む。ラム20は、駆動出力18によって、適切な経路(例えば軸方向)に沿って前進させられてもよい。ラム20は、以下で論議される様式で、注射器28の対応する部分と相互作用または接合するための連結器22を含んでもよい。
【0036】
注射器28は、(例えば、双頭矢印Bと一致する軸に沿った軸方向の往復運動のために)注射筒30内で移動可能に配置される、プランジャまたはピストン32を含む。プランジャ32は、連結器34を含んでもよい。本注射器プランジャ連結器34は、注射器プランジャ駆動アセンブリ14が注射筒30内で注射器プランジャ32を後退させることを可能にするように、ラム連結器22と相互作用または接合してもよい。注射器プランジャ連結器34は、ヘッドまたはボタン36bとともに注射器プランジャ32の本体から延在する、シャフト36aの形態であってもよい。しかしながら、注射器プランジャ連結器34は、任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類であってもよい。
【0037】
概して、自動注入器10の注射器プランジャ駆動アセンブリ14は、(例えば、対応する注射器28から流体を放出するように)少なくとも一つの方向に(注射筒30に対して)注射器プランジャ32を移動または前進させることできるように、任意の適切な様式で(例えば、機械的接触によって、(機械的または別様の)適切な連結によって)注射器28の注射器プランジャ32と相互作用してもよい。すなわち、注射器プランジャ駆動アセンブリ14は、(例えば、同駆動源16の動作を介して)双方向運動が可能であってもよいが、自動注入器10は、注射器プランジャ駆動アセンブリ14の動作が、実際には、自動注入器10によって使用されている各注射器プランジャ32を一つの方向にしか移動させないように、構成されてもよい。しかしながら、注射器プランジャ駆動アセンブリ14は、二つの異なる方向のそれぞれに(例えば、共通軸方向経路に沿った異なる方向に)、それぞれのそのような注射器プランジャ32を移動させることができるように、自動注入器10によって使用されている各注射器プランジャ32と相互作用するように構成されてもよい。
【0038】
注射器プランジャ32の後退は、後続の注入または放出のために、注射筒30の中への流体の搭載に適応するために利用されてもよく、後続の注入または放出のために、または任意の他の適切な目的で、注射筒30の中へ流体を実際に引き込むために利用されてもよい。ある構成は、注射器プランジャ駆動アセンブリ14が注射器プランジャ32を後退させることができることを必要しなくてもよく、その場合、ラム連結器22および注射器プランジャ連結器34が所望されなくてもよい。この場合、注射器プランジャ駆動アセンブリ14は、(例えば、別の事前充填された注射器28が搭載された後に)別の流体送達動作を実行する目的で後退させられてもよい。ラム連結器22および注射器プランジャ連結器34が利用されるときでさえも、ラム20が注射器プランジャ32を前進させて、注射器28から流体を放出する(例えば、ラム20が、単純に注射器プランジャ連結器34、または注射器プランジャ32の近位端を直接「押し進め」てもよい)ときに、これらの構成要素は連結されても、またはされなくてもよい。ラム連結器22および注射器プランジャ連結器34を連結状態または条件で配置するため、ラム連結器22および注射器プランジャ連結器34を非連結状態または条件で配置するため、または両方のために、任意の適切な寸法または寸法の組み合わせで、任意の単一の運動または運動の組み合わせが利用されてもよい。
【0039】
注射器28は、任意の適切な様式でパワーヘッド12上に搭載されてもよい。例えば、注射器28は、パワーヘッド12上に直接搭載されるように構成することができる。図示された実施形態では、注射器28とパワーヘッド12との間にインターフェースを提供するように、筐体24がパワーヘッド12上に適切に載架される。本筐体24は、注射器28の一つ以上の構成が搭載され得る、アダプタの形態であってもよく、その場合、注射器28の少なくとも一つの構成は、任意のそのようなアダプタを使用することなく、パワーヘッド12上に直接搭載することができる。また、筐体24は、注射器28の一つ以上の構成が搭載され得る、面板の形態であってもよい。この場合、面板は、パワーヘッド12上に注射器28を搭載するために必要とされるようなものであってもよく、すなわち、面板なしで注射器28をパワーヘッド12上に搭載することはできない。圧力ジャケット26が使用されているときは、注射器28に関して本明細書で論議される種々の様式で、パワーヘッド12上に搭載されてもよく、次いで、注射器28は、その後、圧力ジャケット26内に搭載される。
【0040】
筐体24は、注射器28を搭載するときに、パワーヘッド12上に載架され、パワーヘッド12に対して固定位置にとどまってもよい。別の選択肢は、注射器28の搭載に適応するように、筐体24およびパワーヘッド12を移動可能に相互接続することである。例えば、筐体24は、双頭矢印Aを含有する平面内で移動して、ラム連結器22と注射器プランジャ連結器34との間で、連結状態または条件および非連結状態または条件のうちの一つ以上を提供してもよい。
【0041】
一つの特定の自動注入器構成が、図2Aに図示され、参照数字40によって識別され、少なくとも概して図1の自動注入器10に従う。自動注入器40は、携帯型スタンド48上に載架されるパワーヘッド50を含む。自動注入器40用の一対の注射器86a、86bが、パワーヘッド50上に載架される。流体が、自動注入器40の動作中に、注射器86a、86b内に引き込まれる、および/またはそこから放出されてもよい。
【0042】
携帯型スタンド48は、任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類であってもよい。スタンド48を携帯型にするために、車輪、ローラ、キャスタ、または同等物が利用されてもよい。パワーヘッド50は、携帯型スタンド48に対して固定位置で維持することができる。しかしながら、少なくとも何らかの様式で、パワーヘッド50の位置が携帯型スタンド48に対して調整可能となることを可能にすることが望ましくてもよい。例えば、注射器86a、86bのうちの一つ以上の中へ流体を装填または引き込むときに、携帯型スタンド48に対して一つの位置でパワーヘッド50を有すること、および注入手技の実施のために携帯型スタンド48に対して異なる位置でパワーヘッド50を有することが望ましくてもよい。この点において、パワーヘッド50は、任意の適切な様式で(例えば、パワーヘッド50が少なくともある可動域を通して枢動させられ、その後、所望の位置で維持され得るように)携帯型スタンド48と移動可能に相互接続されてもよい。
【0043】
パワーヘッド50は、流体を提供するために任意の適切な様式で支持することができることを理解されたい。例えば、携帯型構造上に載架される代わりに、パワーヘッド50は、支持アセンブリと相互接続することができ、支持アセンブリは、順に、適切な構造(例えば、天井、壁、床)に載架される。パワーヘッド50用の任意の支持アセンブリが、(例えば、一つ以上の他の支持セクションに対して設置し直され得る、一つ以上の支持セクションを有することによって)少なくとも何らかの点で位置調整可能であってもよく、または、固定位置で維持されてもよい。また、パワーヘッド50は、固定位置で維持されるように、または支持アセンブリに対して調整可能となるように、任意のそのような支持アセンブリと一体化してもよい。
【0044】
パワーヘッド50は、グラフィカルユーザインターフェースまたはGUI52を含む。本GUI52は、自動注入器40の動作の一つ以上の側面を制御する、自動注入器40の動作と関連する一つ以上のパラメータを入力/編集する、および(例えば、自動注入器40の動作と関連する)適切な情報を表示する機能のうちの一つ、または任意の組み合わせを提供するように構成されてもよい。また、自動注入器40は、それぞれ任意の適切な様式で(例えば、一つ以上のケーブルを介して)パワーヘッド50と通信し得る、検査室の中または任意の他の適切な場所でテーブル上に配置されるか、または電子機器ラック上に載架されてもよい、あるいは両方であり得る、コンソール42および電力パック46を含んでもよい。電力パック46は、注入器40用の電力供給部、コンソール42とパワーヘッド50との間の通信を提供するためのインターフェース回路、遠隔コンソール、遠隔手動または足踏み制御スイッチ、あるいは他の相手先ブランド製造業者(OEM)の遠隔制御接続(例えば、自動注入器40の動作が撮像システムのX線被曝と同期化されることを可能にする)等の遠隔ユニットへの自動注入器40の接続を可能にするための回路、および任意の他の適切な構成要素のうちの一つ以上を、任意の適切な組み合わせで含んでもよい。コンソール42は、タッチスクリーンディスプレイ44を含んでもよく、それは順に、操作者が自動注入器40の動作の一つ以上の側面を遠隔制御することを可能にする、操作者が自動注入器40の動作と関連する一つ以上のパラメータを入力/編集することを可能にする、操作者が自動注入器40の自動化動作のためのプログラムを特定し、記憶することを可能にする(後に、操作者による開始時に自動注入器40によって自動的に実行することができる)、および自動注入器40の動作と関連し、その動作の任意の側面を含む、任意の適切な情報を表示する機能のうちの一つ以上を、任意の適切な組み合わせで提供してもよい。
【0045】
パワーヘッド50との注射器86a、86bの統合に関する種々の詳細を図2Bに提示する。注射器86a、86bはそれぞれ、同じ一般的構成要素を含む。注射器86aは、注射筒88a内で移動可能に配置される、プランジャまたはピストン90aを含む。パワーヘッド50の動作を介した、軸100a(図2A)に沿ったプランジャ90aの移動は、注射器86aのノズル89aを通して、注射筒88a内から流体を放出する。適切な導管(図示せず)が、典型的には、流体を所望の場所(例えば、患者)に指向するように、任意の適切な様式でノズル89aと流体的に相互接続される。同様に、注射器86bは、注射筒88b内で移動可能に配置される、プランジャまたはピストン90bを含む。パワーヘッド50の動作を介した、軸100b(図2A)に沿った第1の方向におけるプランジャ90bの移動は、注射器86bのノズル89bを通して注射筒88b内から流体を放出する。パワーヘッド50の動作(パワーヘッド50は、流体源と流体的に相互接続される)を介した、軸100b(図2A)に沿った第1の方向と反対の方向におけるプランジャ90bの移動によって、注射器86bのノズル89bを通して注射筒88b内へ流体を装填してもよい。適切な導管(図示せず)が、典型的には、流体を所望の場所(例えば、患者)に指向するように、および/または所望の場所(例えば、流体容器)から流体を装填するように、任意の適切な様式でノズル89bと流体的に相互接続される。
【0046】
注射器86aは、中間面板102aを介して、パワーヘッド50と相互接続される。本面板102aは、注射筒88aの少なくとも一部を支持し、任意の付加的機能性または機能性の組み合わせを提供/適応し得る、架台104を含む。載架部82aが、面板102aと接合するために、パワーヘッド50上に配置され、それに対して固定される。注射器86aに対する注射器プランジャ駆動アセンブリまたは注射器プランジャドライバ56(図2C)の各部分である、ラム74(図2C)のラム連結器76は、パワーヘッド50上に載架されると、面板102aに近接して設置される。注射器プランジャ駆動アセンブリ56に関する詳細を、図2Cに関して以下でより詳細に論議する。概して、ラム連結器76は、注射器86aの注射器プランジャ90aと連結されてもよく、次いで、ラム連結器76およびラム74(図2C)は、軸100a(図2A)に沿って注射器プランジャ90aを移動させるように、パワーヘッド50に対して移動させられてもよい。それは、注射器プランジャ90aを移動させ、注射器86aのノズル89aを通して流体を放出するときに、ラム連結器76が注射器プランジャ90aと係合されるが、実際には連結されないようなものであってもよい。
【0047】
面板102aは、パワーヘッド50上に面板102aを据付けるとともに、パワーヘッド50上の載架部82aから面板102aを除去するように、(それぞれ、注射器プランジャ90a、90bの運動と関連し、図2Aに図示される)軸100a、100bに対して直角である平面の少なくとも概して内側で移動させられてもよい。面板102aは、注射器プランジャ90aを、パワーヘッド50上の対応するラム連結器76と連結するために使用されてもよい。この点において、面板102aは、一対のハンドル106aを含む。概して、注射器86aが最初に面板102a内に設置されると、ハンドル106aは、順に、(それぞれ、注射器プランジャ90a、90bの運動と関連し、図2Aに図示される)軸100a、100bに対して直角である平面の少なくとも概して内側で注射器86aを移動/平行移動させるように、移動させられてもよい。ハンドル106aを一つの位置に移動させることにより、少なくとも概して下向きの方向に(面板102aに対して)注射器86aを移動/平行移動させて、注射器プランジャ90aを、その対応するラム連結器76と連結する。ハンドル106aを別の位置に移動させることにより、少なくとも概して上向きの方向に(面板102aに対して)注射器86aを移動/平行移動させて、注射器プランジャ90aを、その対応するラム連結器76から分断する。
【0048】
注射器86bは、中間面板102bを介して、パワーヘッド50と相互接続される。載架部82bが、面板102bと接合するために、パワーヘッド50上に配置され、それに対して固定される。注射器86bに対する注射器プランジャ駆動アセンブリ56の各部分である、ラム74(図2C)のラム連結器76は、パワーヘッド50に載架されると、面板102bに近接して設置される。注射器プランジャ駆動アセンブリ56に関する詳細を、再度、図2Cに関して以下でより詳細に論議する。概して、ラム連結器76は、注射器86bの注射器プランジャ90bと連結されてもよく、ラム連結器76およびラム74(図2C)は、軸100b(図2A)に沿って注射器プランジャ90bを移動させるように、パワーヘッド50に対して移動させられてもよい。それは、注射器プランジャ90bを移動させ、注射器86bのノズル89bを通して流体を放出するときに、ラム連結器76が注射器プランジャ90bと係合されるが、実際には連結されないようなものであってもよい。
【0049】
面板102bは、パワーヘッド50上に面板102bを据付けるとともに、パワーヘッド50上の載架部82bから面板102bを除去するように、(それぞれ、注射器プランジャ90a、90bの運動と関連し、図2Aに図示される)軸100a、100bに対して直角である平面の少なくとも概して内側で動かされてもよい。また、面板102bは、注射器プランジャ90bを、パワーヘッド50上の対応するラム連結器76と連結するために使用されてもよい。この点において、面板102bは、ハンドル106bを含んでもよい。概して、注射器86bが最初に面板102b内に設置されると、注射器86bは、その長軸100b(図2A)に沿って、面板102bに対して回転させられてもよい。本回転は、ハンドル106bを動かすことによって、注射器86bを把持して旋回させることによって、または両方によって実現されてもよい。いずれの場合でも、本回転は、(それぞれ、注射器プランジャ90a、90bの運動と関連し、図2Aに図示される)軸100a、100bに対して直角である平面の少なくとも概して内側で、注射器86bおよび面板102bの両方を移動/平行移動させる。注射器86bを一つの方向に回転させることにより、少なくとも概して下向きの方向に注射器86bおよび面板102bを移動/平行移動させて、注射器プランジャ90bを、その対応するラム連結器76と連結する。注射器86bを反対方向に回転させることにより、少なくとも概して上向きの方向に注射器86bおよび面板102bを移動/平行移動させて、注射器プランジャ90bを、その対応するラム連結器76から分断する。
【0050】
図2Bに図示されるように、注射器プランジャ90bは、プランジャ本体92と、注射器プランジャ連結器94と、を含む。本注射器プランジャ連結器94は、プランジャ本体92から離間したヘッド96とともに、プランジャ本体92から延在するシャフト98を含む。ラム連結器76はそれぞれ、ラム連結器76の面の上のより小型のスロットの後に設置される、より大型のスロットを含む。注射器プランジャ連結器94のヘッド96は、ラム連結器76のより大型のスロットの中に設置されてもよく、注射器プランジャ連結器94のシャフト98は、注射器プランジャ90bおよびその対応するラム連結器76が連結状態または条件であるときに、ラム連結器76の面の上のより小型のスロットを通って延在してもよい。注射器プランジャ90aは、その対応するラム連結器76と接合するために、同様の注射器プランジャ連結器94を含んでもよい。
【0051】
パワーヘッド50は、自動注入器40の場合では、注射器86a、86bから流体を放出するために利用される。すなわち、パワーヘッド50は、注射器86a、86bのそれぞれから流体を放出する原動力を提供する。注射器プランジャ駆動アセンブリまたは注射器プランジャドライバとして特徴付けられ得る一実施形態が、図2Cに図示され、参照数字56によって識別され、注射器86a、86bのそれぞれから流体を放出するために、パワーヘッド50によって利用されてもよい。別個の注射器プランジャ駆動アセンブリ56が、注射器86a、86bのそれぞれに対するパワーヘッド50に組み込まれてもよい。この点において、図2A−Bを再度参照すると、パワーヘッド50は、注射器プランジャ駆動アセンブリ56のそれぞれを別々に制御する際に使用するための手動ノブ80aおよび80bを含んでもよい。
【0052】
最初に、図2Cの注射器プランジャ駆動アセンブリ56に関して、その個々の構成要素のそれぞれは、任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類であってもよい。注射器プランジャ駆動アセンブリ56は、出力シャフト60を有するモータ58を含む。駆動歯車62が、モータ58の出力シャフト60上に載架され、それとともに回転する。駆動歯車62は、被駆動歯車64と係合されるか、または少なくとも係合可能である。この被駆動歯車64は、駆動ネジまたはシャフト66上に載架され、それとともに回転する。周囲で駆動ネジ66が回転する軸は、参照数字68によって識別される。一つ以上の軸受72が、駆動ネジ66を適切に支持する。
【0053】
往復台またはラム74が、駆動ネジ66上に移動可能に載架される。概して、一つの方向への駆動ネジ66の回転が、対応する注射器86a/bの方向へ駆動ネジ66に沿って(それにより、軸68に沿って)ラム74を軸方向に前進させる一方で、反対方向への駆動ネジ66の回転は、対応する注射器86a/bから離れて駆動ネジ66に沿って(それにより、軸68に沿って)ラム74を軸方向に前進させる。この点において、駆動ネジ66の少なくとも一部の周囲は、ラム74の少なくとも一部と接合する螺旋ネジ山70を含む。また、ラム74は、駆動ネジ66の回転中にラム74が回転することを可能にしない、適切なブッシング78内で移動可能に載架される。したがって、駆動ネジ66の回転は、駆動ネジ66の回転方向によって決定される方向で、ラム74の軸方向移動を提供する。
【0054】
ラム74は、対応する注射器86a/bの注射器プランジャ90a/bの注射器プランジャ連結器94と脱着可能に連結され得る、連結器76を含む。ラム連結器76および注射器プランジャ連結器94が適切に連結されると、注射器プランジャ90a/bは、ラム74とともに移動する。図2Cは、注射器86a/bが、ラム74に連結されることなく、その対応する軸100a/bとともに移動させられ得る、構成を図示する。その注射器プランジャ90a/bのヘッド96がラム連結器76と整合させられるが、軸68が依然として図2Cのオフ集合構成にある状態で、それに沿ってラム74が移動する軸68に対して直角である平面内で、注射器86a/bが平行移動させられ得るように、注射器86a/bは、その対応する軸100a/bとともに移動させられる。このことは、上述の様式でラム連結器76と注射器プランジャ連結器96との間で連結係合を確立する。
【0055】
図1および2A−Cの自動注入器10、40はそれぞれ、流体が対象(例えば、患者)に注入される医療画像用途を無制限に含む、任意の適切な用途に使用されてもよい。自動注入器10、40の代表的な医療画像用途は、CT撮像、MRI、SPECT撮像、PET撮像、X線撮像、血管造影法、光学撮像、超音波撮像を無制限に含む。自動注入器10、40はそれぞれ、単独で、または一つ以上の他の構成要素と組み合わせて使用することができる。自動注入器10、40はそれぞれ、例えば、情報が自動注入器10、40と一つ以上の他の構成要素との間で伝えられ得るように(例えば、スキャン遅延情報、注入開始信号、注入速度)、一つ以上の構成要素と動作可能に相互接続されてもよい。
【0056】
単一ヘッド構成(単一の注射器用)および二重ヘッド構成(二つの注射器用)を無制限に含む、任意の数の注射器が、自動注入器10、40のそれぞれによって利用されてもよい。多重注射器構成の場合、各自動注入器10、40は、任意の好適な様式で、任意のタイミングシーケンスに従って、種々の注射器から流体を放出してもよい(例えば、二つ以上の注射器からの連続放出、二つ以上の注射器からの同時放出、またはそれらの任意の組み合わせ)。複数の注射器が、(例えば、単一の注入部位に提供するために)共通導管の中へ放出してもよく、または一つの注射器が、(例えば、一つの注入部位に提供するために)一つの導管の中へ放出してもよい一方で、別の注射器は、(例えば、異なる注入部位に提供するために)異なる導管の中へ放出してもよい。自動注入器10、40のそれぞれによって利用される、それぞれのそのような注射器は、任意の適切な流体(例えば、医療流体)、例えば、造影剤、放射性医薬品、生理食塩水、およびそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。自動注入器10、40のそれぞれによって利用される、それぞれのそのような注射器は、任意の適切な様式で搭載されてもよい(例えば、後方装填構成が利用されてもよい、前方装填構成が利用されてもよい、側面搭載構成が利用されてもよい)。
【0057】
図3Aは、複数用量注入システム108の一実施形態の斜視図である。複数用量注入システム108は、自動注入器40を含んでもよい(自動注入器40のパワーヘッド50は、図3Aに例示されるが、自動注入器40の他の部分は、図3Aには例示されない)。複数用量注入システム108は、複数用途管類または管集合110(図4Aを参照して説明される)と、患者固有管類または管集合112(図4Bを参照して説明され、また、「患者別消耗品112」としても特徴付けられ得る)とを含んでもよい。さらに、複数用量注入システム108は、カセット114(図5Aおよび5Bを参照して説明される)と、バルク流体容器ホルダモジュール116とを含んでもよい。複数用量注入システム108では、流体は、バルク流体容器ホルダモジュール116から、複数用途管類一式110を通って、さらに患者固有管類一式112を通って、患者(例えば、カテーテルまたは同等物を通って、患者の脈管系)内へと輸送されてもよい。複数用量注入システム108は、一つ以上のバルク容器からの流体を輸送および/または混合するように動作可能であって、それを1人以上の患者に送達するために利用されてもよい。この点において、複数用量注入システム108は、バルク容器の安全かつ容易な使用、ならびに生理食塩水注射器126、造影剤注射器127、および複数用途管類一式110の複数の用途(例えば、複数の患者にわたって)を可能にし得る。
【0058】
複数用量注入システム108における使用の場合、注射器126、127は、空で提供されてもよい。さらに、各注射器126、127は、任意の適切な構成であってもよい。図3Aに示されるように、生理食塩水注射器126(生理食塩水ボトル118に流体的に接続される注射器)は、造影剤注射器127(造影剤ボトル120に流体的に接続される注射器)と同一構成であってもよい。故に、一般的空の注射器は、パワーヘッド50上の注射器載架場所のいずれかに搭載され、生理食塩水注射器126または造影剤注射器127のいずれかとして使用されるように動作可能に供給されてもよい。
【0059】
バルク流体容器ホルダモジュール116は、単一患者および/または複数の患者への生理食塩水ならびに/あるいは造影剤の送達のために、生理食塩水ボトル118および造影剤ボトル120を保持するように動作可能であってもよい。そのような構成は、例えば、MRIおよびCT撮像等の撮像手技と併せて、造影剤ならびに生理食塩水を送達する際に使用されてもよい。他の実施形態では、バルク流体容器ホルダモジュール116は、バルク容器の任意の適切な種類および数を保持するように構成されてもよい。バルク容器の数および/または種類は、特定の薬剤送達手技に対応してもよい。任意の適切な流体が、バルク流体容器ホルダモジュール116上に搭載された各個々のバルク容器内に含有されてもよい。
【0060】
バルク流体容器ホルダモジュール116は、支持体122によって支持されてもよい。支持体122は、バルク流体容器ホルダモジュール116の高さが調節され得るように、調節可能であってもよい。支持体122は、概して、バルク流体容器ホルダモジュール116が、パワーヘッド50より高いレベルに配置されるように調節されてもよい。そのような設置は、重力によって付与される、バルク流体容器ホルダモジュール116からパワーヘッド50への流動を可能にする。支持体122は、例えば、垂直ポールの形態であってもよい。支持体122は、独立ユニットであってもよく、またはパワーヘッド50のための携帯型スタンド48等、複数用量注入システム108の別の構成要素に取着され、それによって支持可能であってもよい。
【0061】
バルク流体容器ホルダモジュール116は、二つの容器ホルダ(生理食塩水容器ホルダ124および造影剤容器ホルダ125)を含んでもよい。図3Aに示されるように、容器ホルダ124、125は、それぞれ、生理食塩水ボトル118および造影剤ボトル120の形状に対応してもよい。例えば、図3Aに示されるように、容器ホルダ124、125は、それぞれ、ボトル118、120を収容するための陥凹を備えてもよく、陥凹は、ボトル118、120の形状に対応するように成形されてもよい。容器ホルダ124、125は、その中に配置される容器(例えば、生理食塩水ボトル118、造影剤ボトル120)を受け台に置いて(例えば、ボトル118、120の一部の形状に対応する、容器ホルダ124、125の部分と接触させることよって、ボトル118、120を支持して)もよい。生理食塩水ボトル118および造影剤ボトル120はそれぞれ、例えば、500ミリリットルボトルまたは任意の他の適切なサイズであってもよい。生理食塩水ボトル118および造影剤ボトル120は、ボトル118、120の開口部が下方を向くように保持されてもよい。開口部は、カセット114に流体的に接続されてもよい。
【0062】
他の実施形態では、容器ホルダ124、125は、異なる形状のボトル、流体バッグ、またはバルク流体容器の任意の他の適切な種類に対応するように成形されてもよい。そのような容器は、任意の適切な体積および/または形状であってもよい。各容器ホルダ124、125は、バルク容器の流体排出口が、下方に配置されるように、所定の位置にバルク容器を保持するように構成されてもよい。さらに、複数の容器ホルダを含むシステムでは、各容器ホルダは、特定のバルク容器固有に構成されてもよい(例えば、容器ホルダのうちの一つ以上は、特定の複数用量注入システム108内の一つ以上の他の容器ホルダとは異なるように構成されてもよい)。例えば、生理食塩水ボトル118は、造影剤容器ホルダ125内に搭載されるようには動作不可能となるように成形されてもよい。さらに、容器ホルダ124、125は、異なる種類のバルク容器を収容するように調節可能であってもよい。
【0063】
バルク流体容器ホルダモジュール116は、その中に配置される一つ以上のバルク容器を加温するように動作可能な構成要素を含んでもよい。バルク容器を加熱するための任意の適切な手段が、利用されてもよい。例えば、バルク流体容器ホルダモジュール116は、一つ以上の抵抗素子によって発生される熱が、バルク容器に伝導され、したがって、その中の流体を加熱し得るように、容器ホルダ124、125の一つ以上の表面に沿って配置される、一つ以上の抵抗素子を含んでもよい。この点において、容器ホルダ124、125は、その中に挿入されるボトル118、120を受け台に置き(例えば、容器ホルダ124、125の表面は、ボトル118、120の形状の一部に対応してもよい)、容器ホルダ124、125からボトル118、120への熱の伝導を補助し得る、接触面積をもたらしてもよい。バルク流体容器ホルダモジュール116は、例えば、バルク容器内に含有される流体および/または容器ホルダ124、125の表面等、種々の部材の温度を感知するように動作可能なセンサを含んでもよい。バルク容器が加熱され得る温度は、調節可能であってもよい。バルク流体容器ホルダモジュール116は、例えば、その中に配置されるバルク容器のうちの任意の一つ以上を体温またはその近傍温度レベルまで加温するように動作可能であってもよい。
【0064】
バルク流体容器ホルダモジュール116は、カセット114が、バルク流体容器ホルダモジュール116に取外し可能かつ交換可能に固定され得るように構成されてもよい。例えば、バルク流体容器ホルダモジュール116は、カセット114をバルク流体容器ホルダモジュール116内にスナップ嵌合可能にする特徴を含有してもよい。カセット114は、任意のツールの使用を伴わずに、バルク流体容器ホルダモジュール116に脱着可能に搭載され、そこから手動で除去可能であるようなものであってもよい。ネジ、バネ荷重ピン、磁石、または任意の他の適切な機構等の他の種類の機構を使用して、カセット114をバルク流体容器ホルダモジュール116に取外し可能かつ交換可能に固定されてもよい。
【0065】
バルク流体容器ホルダモジュール116は、RFIDタグを読取可能な一つ以上の無線識別(RFID)タグリーダを含んでもよい。一つ以上のRFIDタグリーダは、バルク流体容器ホルダモジュール116内に搭載された各容器(例えば、生理食塩水ボトル118および造影剤ボトル120の両方)上に配置される、ボトルRFIDタグ128を読み取るように動作可能であってもよい。ボトルRFIDタグ128から読み取られた情報は、例えば、正しいバルク容器の検証、バルク容器の変更の通知、およびバルク容器がバルク流体容器ホルダモジュール116に接続されている時間の長さの追跡を含む、複数の異なる方法で使用されてもよい。ボトルRFIDタグ128から読み取られた情報は、例えば、ロット番号、有効期限、および/または時間、内容物、濃度、および/または充填体積を含んでもよい。ボトルRFIDタグ128から読み取られた情報は、自動注入器40および/または複数用量注入システム108に相互接続される他のデバイスに転送されてもよい。一つ以上のRFIDタグリーダは、どのボトル118、120が容器ホルダ124、125内にあるかを区別するように動作可能であってもよい。この点において、一つ以上のRFIDタグリーダが、誤って配置されたボトル(例えば、造影剤容器ホルダ125内に配置された生理食塩水ボトル118)を検出するように動作可能であってもよい。
【0066】
一つ以上のRFIDタグリーダは、カセット114内に配置される、RFIDタグを読み取るように動作可能であってもよい。この点において、複数用量注入システム108は、カセット114が除去されたとき、および/または新しいカセット114が搭載されたときを決定するように動作可能であってもよい。また、複数用量注入システム108は、複数用量注入システム108のカセット114の変更が必要であるときを決定するように動作可能であってもよく、そのような状況(例えば、GUI52を介して、および/または可聴警告を介して)を操作者(例えば、医療従事者)に示してもよい。
【0067】
ボトル118、120および/またはカセット114識別ならびに情報処理の他の適切な方法が、単独で、または協働するように、複数用量注入システム108によって採用されてもよい。例えば、機械可読ラベル(例えば、バーコード)および/または人間可読ラベルを採用し、上述のRFIDタグおよびリーダの機能のうちのいくつかを行ってもよい。
【0068】
バルク流体容器ホルダモジュール116は、カラーコードおよび/または他の視覚的表示を含み、操作者が、複数用量注入システム108を設定する補助をしてもよい。例えば、生理食塩水ボトル118は、生理食塩水ボトル118が搭載されるべき生理食塩水容器ホルダ124内に配置される紫色部分と一致する、紫色部分(例えば、ボトルに貼付されるラベル上に)を含んでもよい。この点において、操作者は、生理食塩水ボトル118(紫色部分を含む)を生理食塩水容器ホルダ124(紫色部分を含む)に合致させてもよい。同様に、造影剤ボトル120および対応する造影剤容器ホルダ125は、例えば、黄色特徴によって、色分けされてもよい。当然ながら、視覚的表示として、任意の適切な色および/または記号を使用し、操作者が、複数用量注入システム108を設定する補助をしてもよい。
【0069】
簡単に図5Bを参照すると、カセット114は、生理食塩水弁176と、造影剤弁178と、を含んでもよい。バルク流体容器ホルダモジュール116は、カセット114の弁176、178を作動させるように動作可能な弁作動装置130、131(図3B)を含んでもよい。各弁176、178は、特定の弁176、178と関連付けられたメス型六角形部材を回転させることによって、作動可能であってもよい。弁176、178は、任意の適切な構成(例えば、栓式弁)であって、そこを通る流体の流動を制御するように動作可能であってもよい。この点において、弁176、178は、完全閉鎖位置から完全開放位置に継続的に調節可能であるように動作可能であってもよい。
【0070】
バルク流体容器ホルダモジュール116および/またはカセット114は、カセット114が、バルク流体容器ホルダモジュール116上に搭載された後、複数用量注入システム108が、弁176、178の位置を決定可能な特徴を含んでもよい。例えば、弁176、178は、メス型六角形部材が360度を通して自由に回転するのを防止する剛性停止部を特徴としてもよい。故に、弁176、178が、剛性停止部に衝突するまで(その時点で、弁176、178の位置は、明白である)、弁作動装置130、131は、弁176、178を駆動させてもよい。別の実施例では、カセット114は、弁176、178が、特定の位置(例えば、開放または閉鎖)に来ると作動され得る、スイッチ(および、関連付けられた電気接続)を含んでもよく、複数用量注入システム108は、作動されたスイッチを読み取り、弁176、178の位置を決定可能であってもよい。さらに別の実施例では、弁176、178は、その位置に関する表示(例えば、視覚的、磁気的)を含んでもよく、バルク流体容器ホルダモジュール116は、表示を感知するステップに基づいて、弁176、178の位置を決定するように動作可能なセンサを含んでもよい。
【0071】
図3Bは、カセット114、生理食塩水ボトル118、および造影剤ボトル120が除去された、バルク流体容器ホルダモジュール116の斜視図である。バルク流体容器ホルダモジュール116の生理食塩水弁作動装置130および造影剤弁作動装置131は、対応する弁176、178の対応するメス型六角形部材と接合するように動作可能な六角形オス型突起を備えてもよい。弁作動装置130、131はそれぞれ、モータまたは任意の他の適切な機構を含み、六角形オス型突起を回転させ、弁176、178を調節してもよい。図5Bおよび3Bでは、六角形にキー溝が設けられるように示されるが、バルク流体容器ホルダモジュール116の弁作動装置130、131をカセット114の弁176、178と機械的に接合する任意の適切な方法が、複数用量注入システム108に組み込まれてもよい。さらに、カセット114の弁176、178の作動の任意の他の適切な方法が、利用されてもよい。
【0072】
図3Aに戻ると、バルク流体容器ホルダモジュール116は、生理食塩水ボトル118および/または造影剤ボトル120内の流体レベルを検出するように動作可能な一つ以上のセンサを含んでもよい。例えば、光学センサが、生理食塩水ボトル118および/または造影剤ボトル120の開口部に近接して配置され、生理食塩水ボトル118および/または造影剤ボトル120が、空または空に近づいたときを検出してもよい。任意の適切な場所または複数の場所に配置される、任意の適切な種類のセンサあるいは複数のセンサが、バルク流体容器ホルダモジュール116によって利用されてもよい。センサは、概して、取着される生理食塩水ボトル118および/または造影剤ボトル120内の流体体積レベルを検出するように配置されてもよく、あるいはセンサは、生理食塩水ボトル118および/または造影剤ボトル120内の体積が、あるレベルに到達する(例えば、空に近づいた)ときを検出するように配置されてもよい。
【0073】
バルク流体容器ホルダモジュール116は、複数用量注入システム108の他の部分と通信するように動作可能であってもよい。この点において、本明細書で論じられるバルク流体容器ホルダモジュール116の種々の特徴は、複数用量注入システム108の他の部分内に位置する構成要素(例えば、パワーヘッド50および/またはパワーヘッド40のGUI52)によって制御および/または命令されてもよい。例えば、弁作動装置130、131の作動は、パワーヘッド50によって制御され、それと同期してもよい。バルク流体容器ホルダモジュール116のボトル加熱器は、パワーヘッド50によって制御されてもよい(例えば、ユーザは、GUI52から、ボトル加温機をオンおよびオフにし、ボトル加温機の設定温度を設定してもよい)。さらに、バルク流体容器ホルダモジュール116は、バルク流体容器ホルダモジュール116内に搭載されたボトル118、120および/またはカセット114から得られたRFIDタグ情報をパワーヘッド50または複数用量注入システム108の他の適切な構成要素に通信してもよい。バルク流体容器ホルダモジュール116は、流体レベル情報(例えば、上述のセンサから得られる)を通信してもよい。バルク流体容器ホルダモジュール116と複数用量注入システム108の他の構成要素との間の通信は、直接電気接続(例えば、有線)または無線接続を含む、任意の適切な方法または技術を介してであってもよい。
【0074】
図示されるバルク流体容器ホルダモジュール116およびバルク流体容器ホルダモジュール116に関する付随の議論は、生理食塩水ボトル118および造影剤ボトル120用に指定された容器ホルダ124、125について説明する。しかしながら、バルク流体容器ホルダモジュール116は、特定の用途または手技のための任意の適切な数の容器を保持するように構成されてもよい。例えば、複数用量注入システム108の実施形態は、単一流体源のみ必要とされる手技のために、単一容器ホルダを含んでもよい。さらなる実施例の場合、複数用量注入システム108の実施形態は、3つ以上の異なる流体源が必要とされ得る手技のために、3つ以上の容器ホルダを含んでもよい。さらなる実施例では、複数用量注入システム108の実施形態は、容器ホルダのうちのいくつかが、同一種類の流体を含有する別個のバルク容器を保持する、3つ以上の容器ホルダを含んでもよい。そのようなシステムを使用して、バルク容器の交換を補助する、および/またはバルク容器のうちの一つが、空または空に近づくと、流体を継続して送達するように動作可能であってもよい。
【0075】
バルク流体容器ホルダモジュール116は、パワーヘッド50と併せて、ボトル118、ボトル120、またはボトル118およびボトル120の両方から、流体を輸送するように動作可能であってもよい。そのような輸送は、連続して、または同時に行われてもよい。例えば、特定の患者のみが、特定の手技の際に造影剤を受けてもよく、その場合、造影剤ボトル120からの造影剤は、パワーヘッド50上に搭載された造影剤注射器127内に装填されるであろう。別の実施例では、患者は、最初に、ある用量の生理食塩水、その後に、ある用量の造影剤(または、その逆)を受けてもよく、その場合、造影剤ボトル120からの造影剤は、パワーヘッド50上に搭載された造影剤注射器127内に装填され、生理食塩水ボトル118からの生理食塩水は、パワーヘッド50上に搭載された生理食塩水注射器126内に装填されるであろう。別の実施例では、患者は、ある用量の生理食塩水を受け、同時に、ある用量の造影剤を受けてもよく、その場合、造影剤ボトル120からの造影剤は、パワーヘッド50上に搭載された造影剤注射器127内に装填され、生理食塩水ボトル118からの生理食塩水は、パワーヘッド50上に搭載された生理食塩水注射器126内に装填され得る。二つの流体は、複数用途管類一式110内でともに混合され、効果的に、希釈用量の造影剤を患者に送達してもよい。
【0076】
図4Aは、複数用途管類一式110の斜視図であって、図4Bは、患者固有管類一式112の斜視図である。複数用途管類一式110は、図4Aに図示されるように、カセット114に恒久的に相互接続されてもよい。この点において、複数用途管類一式110およびカセット114は、単一ユニットとして、ともにパッケージ化され、交換されてもよい。代替として、カセット114および複数用途管類一式110は、相互に相互接続される得る別個の要素であってもよい(例えば、ルアー式コネクタ、返しを使用して)。
【0077】
カセット114に流体的に相互接続されるのは、二つの流体管(生理食塩水管132および造影剤管134)である。管132、134は、種々の場所間における流体の流動を指向するための任意の適切な構造であってもよい。管132、134は、カセット114をパワーヘッド50上の注射器126、127の対応するノズルと流体的に接続してもよい。この点において、生理食塩水管132は、生理食塩水コネクタ142に流体的に相互接続されてもよい。生理食塩水コネクタ142は、パワーヘッド50上の生理食塩水注射器126のノズルに直接接続するように動作可能なルアー式コネクタの形態であってもよい。造影剤管134は、造影剤コネクタ144に流体的に相互接続されてもよい。造影剤コネクタ144は、パワーヘッド50上の造影剤注射器127のノズルに直接接続するように動作可能なルアー式コネクタの形態であってもよい。生理食塩水管132および造影剤管134とその対応するノズルとの間の接続のために、任意の適切な流体コネクタが、本明細書に説明されるルアー式コネクタに対して代用されてもよい。
【0078】
生理食塩水管132は、生理食塩水Yコネクタ138(または、任意の他の適切なコネクタ)を介して、生理食塩水コネクタ142に相互接続されてもよく、あるいは生理食塩水コネクタ142は、生理食塩水管132に通じる短延長管と単に関連付けられてもよい。また、生理食塩水Yコネクタ138は、生理食塩水および造影剤管Yコネクタ150に流体的に相互接続されてもよい。生理食塩水Yコネクタ138と生理食塩水および造影剤管Yコネクタ150との間に、生理食塩水管一方向逆止弁146が設置されてもよい。生理食塩水管一方向逆止弁146は、生理食塩水Yコネクタ138から生理食塩水および造影剤管Yコネクタ150への方向における流体流動のみ許容するように動作可能であってもよい。生理食塩水管一方向逆止弁146は、生理食塩水管一方向逆止弁146が開放し、流体を流動させる前に、生理食塩水管一方向逆止弁146の上流に、クラッキング圧(例えば、生理食塩水管一方向逆止弁146が動作する最小上流圧力)以上の圧力が存在することを必要としてもよい。同様に、造影剤管134は、造影剤Yコネクタ140(または、任意の他の適切なコネクタ)を介して、造影剤コネクタ144に相互接続されてもよく、あるいは造影剤コネクタ144は、造影剤管134内に通じる短延長管と単に関連付けられてもよい。また、造影剤Yコネクタ140は、生理食塩水および造影剤管Yコネクタ150に流体的に相互接続されてもよい。造影剤Yコネクタ140と生理食塩水および造影剤管Yコネクタ150との間に、造影剤管一方向逆止弁148が設置されてもよい。造影剤管一方向逆止弁148は、生理食塩水管一方向逆止弁146と同様に構成されてもよく、造影剤Yコネクタ140から生理食塩水および造影剤管Yコネクタ150への方向における流体流動のみ許容するように動作可能であってもよい。生理食塩水管一方向逆止弁146および造影剤管一方向逆止弁148はともに、パワーヘッド50の生理食塩水注射器126および造影剤注射器127から患者へと流体を流動させる一方、少なくとも反対方向における逆流を防止することを対象とする。
【0079】
図4Aに図示されるように、生理食塩水管132および造影剤管134は、結合管区分136内でともに結合されてもよい(但し、流体的には、ともに結合されない)。そのような配列は、生理食塩水管132および造影剤管134が、相互から完全に分離されている場合等に生じ得る、管の絡み合いを軽減するのに役立つ。生理食塩水管132および造影剤管134は、任意の適切な長さであってもよい。例えば、管132、134は、バルク流体容器ホルダモジュール116に取着される、カセット114が、重力が、バルク流体容器ホルダモジュール116からパワーヘッド50への生理食塩水および造影剤の流動を補助し得るように、パワーヘッド50の情報に設置され得る長さであってもよい。
【0080】
生理食塩水管132は、薬剤送達手技の際、生理食塩水の粘度およびその中で予測される流速と圧力に対して適切な内径で構成されてもよい。さらに、生理食塩水管132の壁厚および生理食塩水管132の材料は、とりわけ、流体送達手技の際に予測される圧力に基づいて、選択されてもよい。同様に、造影剤管134は、薬剤送達手技の際、使用される造影剤の粘度およびその中で予測される流速と圧力に適切な内径で構成されてもよい。造影剤管134壁厚および造影剤管134の材料は、とりわけ、流体送達手技の際に予測される圧力に基づいて、選択されてもよい。
【0081】
生理食塩水コネクタ142および造影剤コネクタ144は、複数用量注入システム108の設定を補助するように、色分けまたは別様にマーキングされてもよい。例えば、生理食塩水ボトル118のマーキングに関して、上述の配色を引き続き使用して、生理食塩水コネクタ142を紫色に色分けしてもよい。さらに、パワーヘッド50上の生理食塩水注射器126のノズルおよび/または他の部分もまた、紫色に色分けされてもよい。これらと同様に、造影剤コネクタ144とパワーヘッド50上の造影剤注射器127の対応するノズルおよび/または他の部分は、黄色に色分けされてもよい。さらに、生理食塩水コネクタ142および造影剤コネクタ144は、コネクタ142、144がそぞれ、対応する注射器126、127からのその対応するノズルにのみ取り付けるように動作可能なように、一意的に構成されてもよい(例えば、一意的にキー溝が設けられる、一意的に定寸される)。
【0082】
生理食塩水および造影剤管Yコネクタ150に、延長管152が相互接続されてもよい。延長管152は、延長管152の取り扱いを補助し、絡み合いを軽減するようにコイル状にしてもよい。延長管152は、任意の適切な長さであってもよい。例えば、延長管152は、複数用量注入システム108を利用する撮像手技の前、間、および後に見られ得るような、パワーヘッド50と患者固有管類一式112との間の典型的距離に対応する長さであってもよい。
【0083】
生理食塩水および造影剤管Yコネクタ150と反対の延長管152の一端には、無スパイク消毒可能メス型ルアー式コネクタ154があってもよい。患者内に挿入されるカテーテルは、典型的には、メス型ルアー式コネクタを有する。延長管152の一端にメス型ルアー式コネクタ154を有することによって、患者内に留置されたカテーテルへのメス型ルアー154の偶発的直接取着が、防止されるはずである(例えば、カテーテルに接続されるメス型ルアー式コネクタが、延長管152の一端のメス型ルアー式コネクタ154に直接接続不能のため)。したがって、患者流体による複数用途管類一式110の汚染の可能性は、低減されるはずである。この点において、後述の患者固有管類一式112等、各端にオス型ルアー式コネクタを伴う一意的管類一式が、延長管152を患者内のカテーテルに相互接続するために必要とされる。さらに、メス型ルアー式コネクタ154は、消毒可能であって、したがって、新しい患者固有管類一式112に流体的に相互接続される前に、清浄化されてもよい。
【0084】
上述のように、次に図4Bを参照すると、患者固有管類一式112は、二つのオス型ルアー式接続(メス型ルアー154(複数用途管類一式110から)に相互接続するように動作可能なオス型ルアー156と、例えば、患者内に挿入されるカテーテルに相互接続するように動作可能である、患者インターフェースオス型ルアー162)を含んでもよい。患者固有管類一式112は、アクセスルアー158等の代替アクセスポートを含んでもよい。アクセスルアー158を使用して、例えば、患者内に挿入され、患者インターフェースオス型ルアー162を介して接続される、カテーテルの開存性を確認してもよい。アクセスルアー158を使用して、例えば、患者に代替流体(例えば、生理食塩水または造影剤の代替)を送達してもよい。アクセスルアー158は、任意の他の適切な手技および/または流体送達のために使用されてもよい。流体アクセスデバイスの任意の他の適切な種類が、アクセスルアー158に追加される、またはその代用とされてもよい。
【0085】
また、患者固有管類一式112は、二重一方向逆止弁160を含んでもよい。二重一方向逆止弁160は、患者インターフェースオス型ルアー162からオス型ルアー156への方向における流体流動を防止してもよい。この点において、二重一方向逆止弁160は、患者からの流体による複数用途管類一式110の汚染の潜在性を低減してもよい。したがって、これは、特定の患者からの流体が、別の患者からの流体と混合する潜在性を低減することによって、複数用途管類一式110の使用により、数人の患者に流体を供給することを可能にするはずである。二重一方向逆止弁160は、二つの直列に配置された個々の一方向逆止弁を備えてもよい。そのような配列は、一方向逆止弁の一方が故障の場合、他方の一方向逆止弁が依然として機能し、患者から複数用途管類一式110への流体の逆流の潜在性を低減し得るという点において、あるレベルの冗長性を提供する。
【0086】
患者固有管類一式112の二重一方向逆止弁160は、Yコネクタ164の下流(例えば、患者固有管類一式112を通る流体の正常な流動に対して)に設置される。代替構成では、二重一方向逆止弁160は、Yコネクタ164とオス型ルアー156との間のYコネクタ164の上流に配置されてもよい。別の配列では、二重一方向逆止弁160の一方向弁が一つずつ、Yコネクタ164の両側に配置されてもよい。二重一方向逆止弁160の一方向逆止弁の任意の他の適切な構成が、患者固有管類一式112において利用されてもよい。
【0087】
図5Aは、複数用量注入システム108によって使用される、カセット114の斜視上面図である。図5Bは、図5Aのカセット114の斜視底面図である。カセット114は、バルク流体容器ホルダモジュール116に選択的に固着可能であってもよい。カセット114は、カセット114が、バルク流体容器ホルダモジュール116に固着され得るように、バルク流体容器ホルダモジュール116上の特徴に対応する特徴を含んでもよい。例えば、カセット114は、バルク流体容器ホルダモジュール116にスナップ嵌合してもよい。クリップ、ネジ、または同等物を使用して、カセット114を固着してもよい。カセット114をバルク流体容器ホルダモジュール116に選択的に固着する任意の他の適切な手段が、採用されてもよい。
【0088】
カセット114は、カセットRFIDタグ174等の識別特徴を含んでもよい。バルク流体容器ホルダモジュール116は、カセット114に貼付されるRFIDタグ174を読み取るように動作可能なRFIDタグリーダ(図示せず)を含んでもよい。この点において、バルク流体容器ホルダモジュール116は、カセット114に関する情報を決定するように動作可能であってもよい。そのような情報は、例えば、カセット114部品番号、カセット114製造番号、およびカセット114構成情報を含んでもよい。そのような情報は、複数用量注入システム108の他の構成要素に通信されてもよい。そのような情報は、例えば、操作、検証、または記録目的のために使用されてもよい。さらに、カセットRFIDタグ174を使用して、バルク流体容器ホルダモジュール116に取り付けられたカセット114の存在を追跡し、カセット114に相互接続されるバルク流体容器からの流体の流量を追跡して、カセット114の使用履歴を展開してもよい。そのような使用履歴を使用して、例えば、カセット114(また、随意に、カセット114に接続される複数用途管類一式110)の交換時期および/または生理食塩水ボトル118および/または造影剤ボトル120の交換時期を決定してもよい。さらに、RFIDタグリーダは、特定のカセット114が除去された、および/または異なるカセット114と交換された時検出するように動作可能であってもよい。
【0089】
カセットRFIDタグ174は、カセット114上の任意の適切な場所に配置されてもよい。RFIDタグリーダは、バルク流体容器ホルダモジュール116または複数用量注入システム108の任意の他の適切な構成要素上の任意の適切な場所に配置されてもよい。
【0090】
図示されるように、カセット114は、生理食塩水スパイク170および造影剤スパイク172の形態の二つのバルク流体容器流体インターフェースを含む。スパイク170、172は、流体がボトル118、120から流出するのに伴って、ボトル118、120内に空気を流入させるように孔をあけられてもよい。必要に応じて、例えば、バルク流体容器が折り畳み式である場合、スパイク170、172は、孔を含まなくてもよい。カセット114は、適切な数のバルク流体容器流体インターフェースを含んでもよい。スパイク170、172は、カセット114に固定して固着され、カセット114がバルク流体容器ホルダモジュール116に固着されると、カセット114から上方を指すように配置されてもよい。この点において、生理食塩水ボトル118(図3A)等の流体容器は、生理食塩水ボトル118を生理食塩水スパイク170上に押圧および/または降下させることによって、カセット114に流体的に相互接続されてもよい。流体相互接続は、生理食塩水ボトル118が生理食塩水スパイク170上に降下されることに伴って、生理食塩水スパイク170による生理食塩水ボトル118の隔壁または他の穿刺可能障壁の穿刺によって、達成されてもよい。生理食塩水ボトル118は、生理食塩水ボトル118を上方に揚上することによって、カセット114から除去されてもよい。加えて、生理食塩水スパイク170に流体的に接続される際に、クリップ、ツイストロック、スナップ、あるいは任意の他の適切な固着デバイスまたは複数のデバイス等、付加的固着特徴を使用して、生理食塩水ボトル118を生理食塩水スパイク170上にさらに固着してもよい。造影剤ボトル120も、同様に、造影剤スパイク172に固着されてもよい。
【0091】
生理食塩水スパイク170は、生理食塩水弁176に流体的に相互接続され、次に、生理食塩水管132に流体的に接続されてもよい。生理食塩水弁176は、完全開放(例えば、生理食塩水スパイク170と生理食塩水管132との間の流体流動に制限がない)と完全閉鎖(例えば、生理食塩水スパイク170と生理食塩水管132との間に流体流動がない)位置との間を変動するように動作可能な栓式弁であってもよい。また、生理食塩水弁176は、そこを通って、部分的流体流動を可能にする、中間位置に設置されるように動作可能であってもよい。生理食塩水弁176は、カセット114の筐体115内に配置されてもよい。また、筐体115は、生理食塩水スパイク170の一部と、生理食塩水管132を生理食塩水弁176に、および生理食塩水スパイク170を生理食塩水弁176に、流体的に接続する流体通路と、を含有してもよい。造影剤スパイク172および造影剤管134は、同様に構成される造影剤弁178に流体的に接続されてもよい。造影剤弁178は、生理食塩水弁176と同様に構成されてもよい。
【0092】
カセット114は、を含んでもよい生理食塩水印180を含み、ユーザが、生理食塩水ボトル118の搭載のための適切な場所を決定する補助をしてもよい。生理食塩水印180は、文字S等の記号の形態であってもよい。さらに、生理食塩水印180は、紫色(または任意の他の適切な色)に色分けされてもよい。カセット114は、文字C等の造影剤印182を含んでもよい。造影剤印182は、黄色(または任意の他の適切な色)に色分けされてもよい。
【0093】
次に、弁176、178の動作について、造影剤弁178が、パワーヘッド50上の造影剤注射器127に流体的に相互接続される、例示的構成において説明する。生理食塩水の流動も、同様に制御され、特定の流体源(例えば、生理食塩水ボトル118、造影剤ボトル120)が、パワーヘッド50上の任意の適切な注射器126、127に流体的に相互接続され得ることを理解されるであろう。造影剤弁178は、パワーヘッド50上の造影剤注射器127の移動に伴って使用され、造影剤ボトル120から、カセット114、複数用途管類一式110、患者固有管類一式112を通って、患者内へと、造影剤の輸送を達成してもよい。そのような流動を達成するために、造影剤弁178は、造影剤注射器127のプランジャの後退の際、開放位置に配置されてもよい。そのような後退の際、真空力が、造影剤注射器127内で発生し、取り付けられた造影剤管134に伝達され、それによって、造影剤ボトル120から造影剤注射器127内に流体を装填してもよい。造影剤管一方向逆止弁148は、造影剤管一方向逆止弁148の下流の複数用途管類一式110の一部からの流体が、造影剤注射器127内へと流入するのを防止してもよい。十分な量の流体が、造影剤注射器127内に装填されると、造影剤弁178が閉鎖され、造影剤注射器127のプランジャが前進させられてもよい。閉鎖された造影剤弁178は、造影剤が造影剤ボトル120内に逆流するのを防止してもよい。一方、造影剤管一方向逆止弁148は、造影剤注射器127から、延長管152、患者固有管類一式112、および患者内へと、そこを通る流動を許容してもよい。生理食塩水弁176およびパワーヘッド50の対応する生理食塩水注射器126の類似操作によって、生理食塩水ボトル118から患者内への生理食塩水の輸送を促進するように動作可能であってもよい。
【0094】
弁176、178は、バルク流体容器ホルダモジュール116によって、その動作を促進する特徴を含んでもよい。図5Bに図示されるように、弁176、178はそれぞれ、メス型六角形を含んでもよい。そのようなメス型六角形は、バルク流体容器ホルダモジュール116の対応するオス型六角形突起(図示せず)と接合するように動作可能であってもよい。オス型六角形突起は、カセット114が、バルク流体容器ホルダモジュール116内に挿入されるのに伴って、カセット114上のメス型六角形と係合してもよい。故に、バルク流体容器ホルダモジュール116は、弁176、178を作動(例えば、開放、閉鎖)するために、オス型六角形突起を駆動(例えば、回転)させるように動作可能な部材(例えば、モータ)を含んでもよい。弁176、178のそのような作動は、任意の適切な構成要素または複数用量注入システム108の構成要素の組み合わせとして配置される、制御部材(例えば、ハードウェアおよび/またはソフトウェア)によって制御されてもよい。例えば、制御部材は、パワーヘッド50内に配置されてもよい。したがって、パワーヘッド50上の注射器126、127のプランジャの移動と、弁176、178の位置との間の同期が、達成されてもよい。弁176、178を作動させる任意の他の適切な手段が、複数用量注入システム108によって利用されてもよい。例えば、六角形と異なる突起形状が、使用されてもよく、オス型およびメス型の突起の場所が逆であってもよい。磁気インターフェース等の他の種類のインターフェースが、使用されてもよい。または、カセット114は、弁位置駆動部材(例えば、モータ)を含んでもよく、バルク流体容器ホルダモジュール116と弁176、178との間の電子インターフェース(例えば、電気接触)を通して、制御されてもよい。
【0095】
図6は、複数用量注入システム108から、複数の患者に薬剤を送達する方法190の工程図である。方法190における第1のステップ192は、通信リンクを介して、バルク流体容器ホルダモジュール116を注入デバイス(例えば、パワーヘッド50)に通信可能に相互接続してもよい。通信リンクは、有線電気ケーブル、無線接続、または任意の他の適切な通信リンクであってもよい。本方法190の残りは、パワーヘッド50上の生理食塩水注射器126を使用して生理食塩水を、およびパワーヘッド50上の造影剤注射器127を使用して造影剤を送達するステップに照らして説明される。注射器126、127は、逆であってもよく、他の実施形態では、他の種類の流体が、送達されてもよいことを理解されるであろう。
【0096】
以下のステップ194は、新しい複数用途管類一式110をバルク流体容器ホルダモジュール116およびパワーヘッド50に取り付けることであってもよい。複数用途管類一式110は、カセット114に事前接続されてもよい。本取着は、カセット114をバルク流体容器ホルダモジュール116内の対応する受容場所に挿入するステップを含んでもよい。本ステップ194の次の部分は、生理食塩水コネクタ142をパワーヘッド50の生理食塩水注射器126上の対応するノズルに相互接続することであってもよい。この後、造影剤コネクタ144を造影剤注射器127のノズルに相互接続するステップが続いてもよい。また、本ステップ194は、RFIDタグリーダによって、カセットRFIDタグ174を読み取るステップを含んでもよい。複数用量注入システム108は、複数用量注入システム108によって行われる手技に対して、正しいカセット114が搭載されたことを検証してもよい。さらに、本ステップ194は、上述のバルク流体容器ホルダモジュール116および/またはカセット114の構成要素を使用する複数用量注入システム108によって、弁176、178の位置を決定するステップを含んでもよい。また、本ステップ194は、所定の構成にある(例えば、ボトル118、120と複数用途管類一式110との間の流動を防止するように閉鎖されている)ように、弁176、178を作動させるステップを含んでもよい。
【0097】
この後、生理食塩水ボトル118および造影剤ボトル120をカセット114に流体的に取り付けるステップ196が続いてもよい。ユーザは、本ステップ196では、ボトル118、120、容器ホルダ124、125、および/またはカセット114上の色分けによって、補助されてもよい。例えば、生理食塩水ボトル118、生理食塩水容器ホルダ124、カセット114上の生理食塩水印180はすべて、ユーザを補助するために、紫色に色分けされてもよい。同様に、造影剤関連構成要素は、黄色に色分けされてもよい。任意の他の適切な配色が、使用されてもよい。ボトル118、120を取り付けるステップは、ボトル118、120をカセット114の対応するスパイク170、172上に降下させるステップを備えてもよい。
【0098】
次のステップ198は、ボトル118、120内の流体を加温することであってもよい。これは、容器ホルダ124、125内に配置される抵抗加熱要素を励起することによって、達成されてもよい。ボトル118、120内の流体は、事前設定温度(例えば、流体を受ける患者の体内温度)に加熱されてもよい。代替として、ボトル118、120内の流体を加熱する任意の適切な方法が使用されてもよい。ボトル118、120は、任意の適切な標的温度に加熱されてもよい。ボトル118、120はそれぞれ、同一温度に加熱されてもよく、または各ボトル118、120は、異なる標的温度に加熱されてもよい。
【0099】
次のステップ、ステップ200は、患者固有管類一式112を複数用途管類一式110に取り付けるステップを含んでもよい。これは、(例えば、アルコール綿棒によって)複数用途管類一式110の消毒可能メス型ルアー式コネクタ154を消毒し、メス型ルアー式コネクタ154を清浄化および/または滅菌するステップを含んでもよい。この後、消毒可能メス型ルアー式コネクタ154をオス型ルアー156に相互接続するステップが続いてもよい。
【0100】
次のステップ202は、流体送達構成要素(例えば、注射器126、127、複数用途管類一式110の管類、および患者固有管類一式112)を初期化することであってもよい。本ステップ202は、上方を向く(例えば、注射器126、127のノズルが上方を向く)ように、パワーヘッド50を配向するステップを含んでもよい。次に、弁176、178が開放され、注射器126、127のプランジャが後退され、ボトル118、120から、複数用途管類一式110内、さらに注射器126、127内へと、流体を装填してもよい。注射器126、127内の空気は、注射器126、127の上部に形成してもよい。次に、弁176、178が閉鎖され、注射器126、127のプランジャが延出され、注射器126、127内の空気および流体が、一方向逆止弁146、148を通過し、延長管152および患者固有管類一式112を通って、付勢されてもよい。本プロセスは、少なくとも実質的に空気がすべて、管類から、患者インターフェースオス型ルアー162を通って、排出されるまで、繰り返されてもよい。生理食塩水管132および造影剤管134は、個々に、または同時に、そのようなプロセスを使用して、空気抜きされてもよい。さらに、複数用途管類一式110は、患者固有管類一式112(その後、空気抜きされる必要があるであろう)を取り付けるステップに先立って、空気抜きされ得る。複数用途管類一式110は、ボトル118、120が交換されるまで、または複数用途管類一式110が交換されるまで、再空気抜きされる必要はないが、患者固有管類一式112は、交換されるたびに空気抜きされるべきである。
【0101】
次のステップ204は、患者固有管類一式112の患者インターフェースオス型ルアー162を患者に挿入されたカテーテルに相互接続される対応するメス型ルアーに接続することであってもよい。次いで、カテーテルの開存性が、アクセスルアー158を通して、検証されてもよい。
【0102】
次のステップ206は、カテーテルを通して、複数用量注入システム108から患者に流体を注入することであってもよい。これは、下方を向いた位置にパワーヘッド50を設置するステップを含んでもよい。この点において、注射器126、127内の空気または注射器126、127に流入する空気はすべて、注射器126、127内に捕捉されてもよい。
【0103】
ステップ206の残りおよび方法190は、パワーヘッド50上の造影剤注射器127を使用して、患者に造影剤を注入するステップに照らして説明される。生理食塩水を注入するための手技は、類似し得ることを理解されたい。さらに、パワーヘッド50の注射器126、127のいずれかも、任意の適切な流体の注入のために使用されてもよい。
【0104】
ステップ206を継続して、造影剤弁178が開放され、造影剤注射器127のプランジャが後退され、造影剤ボトル120からの造影剤を造影剤注射器127内に装填してもよい。本ステップの際、造影剤管一方向逆止弁148は、造影剤管一方向逆止弁148の下流の流体が、造影剤注射器127に流入するのを防止するはずである。次に、造影剤弁178が閉鎖され、造影剤注射器127のプランジャが延出される。閉鎖された造影剤弁178は、流体が造影剤ボトル120内に流入するのを防止し、造影剤管一方向逆止弁148は、造影剤管134内の圧力が、造影剤注射器127のプランジャの移動によって上昇するのに伴って、そこを通る流動を許容するはずである。この点において、造影剤は、造影剤管一方向逆止弁148を通過し、延長管152内へ、さらに患者固有管類一式112およびカテーテルを通って、患者内へと流動してもよい。
【0105】
造影剤注射器127のプランジャの後退および延出と連結される、造影剤弁178開閉のシーケンスは、患者が所定の用量の造影剤を受けるまで、繰り返されてもよい。故に、次のステップ208は、所望の全用量の造影剤を受けたか否かを検査/決定することであってもよい。患者が、全用量を受けていない場合、造影剤を注入するステップ206が、継続されてもよい。患者が、全用量を受けている場合、次のステップ210は、注入プロセスを停止することであってもよい。特定の患者のための注入プロトコルは、任意の適切な数の段階を利用してもよく、各段階は、任意の適切な流体を使用してもよいことを理解されたい(例えば、注入プロトコルは、造影剤および生理食塩水の交互注入を伴ってもよい。注入プロトコルは、造影剤の少なくとも1回の注入および生理食塩水の少なくとも1回の注入を含んでもよい等である)。
【0106】
注入プロセスが停止されると、次のステップ212は、消毒可能メス型ルアー式コネクタ154をオス型ルアー156から切り離すことによって、複数用途管類一式110を患者固有管類一式112から切り離すことであってもよい。
【0107】
次のステップ214は、生理食塩水ボトル118および造影剤ボトル120が、後続患者への流体送達の施行のために、十分な流体を含有しているか否かを決定することであってもよい。生理食塩水ボトル118、造影剤ボトル120、または両方が、交換される必要があると決定される場合、次のステップ215は、交換されるべきボトル118および/または120内に含有される任意の流体を適切な注射器126および/または127内に装填することであってもよい。この点において、流体は、次の患者内への注入のために利用可能であってもよい。次のステップ216は、適切なボトルを除去し、ステップ196に進み、新しいボトルを流体的に取り付けることであってもよい。次いで、プロセス190は、新しい患者固有管類一式112を使用して、後続患者のために継続されることであってもよい。ボトル118、120が、交換される必要がないと決定される場合、プロセス190における次のステップは、ステップ200に進み、新しい患者固有管類一式112を使用して、後続患者にプロセスを継続することであってもよい。
【0108】
複数用途管類一式110が交換されるべきであると決定されると、プロセス190が停止され、複数用途管類一式110が交換されてもよい。次いで、使用済み複数用途管類一式110は、廃棄または一新(例えば、清浄化および/または滅菌)されてもよい。複数用途管類一式110が交換されるべきか否かの決定は、例えば、複数用途管類一式110が使用されていた時間の所定の長さ、そこを通って移動する流体の所定の体積、疑われる汚染および/または損傷、複数用途管類一式110を使用して実行されたいくつかの注入プロトコル、または任意の他の適切な基準に基づいてもよい。
【0109】
また、複数用量注入システム108は、生理食塩水ボトル118および/または造影剤ボトル120の変更に関連して、ある機能を果たすように動作可能であってもよい。例えば、造影剤ボトル120が空に近づくと、パワーヘッド50は、任意の残りの造影剤を造影剤注射器127内に装填してもよい。次いで、ユーザは、造影剤ボトル120を交換してもよい。次いで、造影剤注射器127のプランジャは、造影剤管134内の空気がすべて、新しい造影剤ボトル120内に付勢されるように、造影剤弁178を開放した状態で延出されてもよい。したがって、空気抜きステップ202が回避されてもよく、または必要とされる空気抜き量が減少させられてもよい。この点において、造影剤ボトル120は、拡張可能である空洞域を有するか、または任意の他の適切な特徴(例えば、通気口)を有し、造影剤注射器127から流体をその中に付勢させてもよい。
【0110】
加えて、患者内に流体を注入しないとき、生理食塩水弁176および造影剤弁178の一方または両方は、開放位置に留まってもよい。これによって、望ましくない圧力がパワーヘッド50の注射器126、127内に形成するのを防止してもよい。
【0111】
本発明の先述の説明は、例示および説明のために提示されている。さらに、本説明は、本発明を本明細書で開示される形態に限定することを目的としない。その結果として、変形例および修正は、上述の教示に相応であり、関連技術の技能および知識は、本発明の範囲内である。上述で説明される実施形態はさらに、本発明を実践する公知の最良のモードを説明すること、および、そのような実施形態または他の実施形態で、かつ本発明の特定の用途または使用法によって必要とされる種々の修正とともに、当業者が本発明を利用できるようにすることを目的とする。添付の請求項は、従来技術によって可能となる程度で、代替的実施形態を含むと解釈されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数用量注入システムであって、
注入デバイスと、
複数の容器ホルダを備えるバルク流体容器ホルダモジュールであって、該容器ホルダの各々は、別個のバルク流体容器を受容するように適合される、バルク流体容器ホルダモジュールと、
該バルク流体容器ホルダモジュールと脱着可能に相互接続され、複数のバルク流体容器流体インターフェースを備えるカセットであって、該バルク流体容器流体インターフェースの各々は、該容器ホルダの別個の一つと関連付けられる、カセットと、
該注入デバイスおよび該カセットの該バルク流体容器流体インターフェースに流体的に相互接続される管類一式と
を備える、システム。
【請求項2】
複数用量注入システムであって、
注入デバイスと、
バルク流体容器ホルダモジュールと、
バルク流体容器流体インターフェースおよび弁を備えるカセットであって、該バルク流体容器ホルダモジュールに脱着可能に相互接続されるカセットと、
該注入デバイスおよび該カセットに流体的に相互接続される管類一式であって、該弁は、該バルク流体容器流体インターフェースを該管類一式から流体的に隔離するように動作可能である、管類一式と
を備える、システム。
【請求項3】
複数用量注入システムであって、
注入デバイスと、
複数の容器ホルダを備えるバルク流体容器ホルダモジュールであって、該容器ホルダの各一つは、対応するバルク流体容器を受け台に置くように動作可能であり、該バルク流体容器ホルダモジュールは、加熱部材を備え、該加熱部材は、熱を発生させ、該バルク流体容器ホルダ内に配置されるバルク流体容器に該熱を移動させるように動作可能である、バルク流体容器ホルダモジュールと、
バルク流体容器流体インターフェースおよび弁を備えるカセットと、
該注入デバイスおよび該カセットに流体的に相互接続される管類一式と
を備える、システム。
【請求項4】
前記カセットは、前記バルク流体容器ホルダモジュールに脱着可能に相互接続される、請求項3に記載の複数用量注入システム。
【請求項5】
前記カセットは、前記容器ホルダの各一つに対して、別個のバルク流体容器流体インターフェースと、弁とを備える、請求項3および4のうちのいずれか一項に記載の複数用量注入システム。
【請求項6】
各弁は、対応するバルク流体容器流体インターフェースを前記管類一式から流体的に隔離するように動作可能である、請求項5に記載の複数用量注入システム。
【請求項7】
前記バルク流体容器ホルダモジュールは、複数の容器ホルダを備える、請求項2に記載の複数用量注入システム。
【請求項8】
前記バルク流体容器ホルダモジュールは、バルク流体容器加熱器をさらに備える、請求項1、2、および7のうちのいずれか一項に記載の複数用量注入システム。
【請求項9】
前記カセットは、各容器ホルダに対して、バルク流体容器流体インターフェースと、弁とを備える、請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の複数用量注入システム。
【請求項10】
各バルク流体容器流体インターフェースは、孔あきスパイクを備える、請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の複数用量注入システム。
【請求項11】
前記カセットは、筐体を備え、各孔あきスパイクは、該筐体の内部に延在し、前記管類一式は、該筐体の内部の各孔あきスパイクに流体的に相互接続される、請求項10に記載の複数用量注入システム。
【請求項12】
前記カセットは、筐体を備え、各バルク流体容器流体インターフェースは、孔あきスパイクを備え、各孔あきスパイクは、該筐体の内部に延在し、各弁は、該筐体の内部に配置され、前記管類一式は、該筐体の内部の各孔あきスパイクに流体的に相互接続される、請求項2〜7および9のうちのいずれか一項に記載の複数用量注入システム。
【請求項13】
前記バルク流体容器ホルダモジュールは、前記カセットの各弁に対して、弁作動装置を備える、請求項2〜7、9、および12のうちのいずれか一項に記載の複数用量注入システム。
【請求項14】
前記弁作動装置の各々は、前記注入デバイスのプランジャの移動と同期して開閉するように動作可能である、請求項13に記載の複数用量注入システム。
【請求項15】
前記弁作動装置の各々の位置は、電子的に制御可能である、請求項13および14のうちのいずれか一項に記載の複数用量注入システム。
【請求項16】
前記バルク流体容器ホルダモジュールは、前記カセットのカセット識別部材を読み取ることが可能なカセット識別リーダを備える、請求項1〜15のうちのいずれか一項に記載の複数用量注入システム。
【請求項17】
前記カセット識別リーダは、RFIDリーダであり、前記カセット識別部材は、RFIDタグである、請求項16に記載の複数用量注入システム。
【請求項18】
前記バルク流体容器ホルダモジュールは、バルク流体容器に接続されるバルク流体容器識別部材を読み取ることが可能であるバルク流体容器識別リーダを備える、請求項1〜17のうちのいずれか一項に記載の複数用量注入システム。
【請求項19】
前記バルク流体容器識別リーダは、RFIDリーダであり、前記バルク流体容器識別部材は、RFIDタグである、請求項18に記載の複数用量注入システム。
【請求項20】
前記バルク流体容器ホルダモジュールは、生理食塩水容器ホルダと、造影剤容器ホルダとを備える、請求項1〜19のうちのいずれか一項に記載の複数用量注入システム。
【請求項21】
前記カセットおよび前記管類一式は、相互に恒久的に接続される、請求項1〜20のうちのいずれか一項に記載の複数用量注入システム。
【請求項22】
前記カセットは、RFIDタグを備える、請求項1〜21のうちのいずれか一項に記載の複数用量注入システム。
【請求項23】
前記管類一式に流体的に接続される患者固有管類一式をさらに備える、請求項1〜22のうちのいずれか一項に記載の複数用量注入システム。
【請求項24】
前記注入デバイスは、パワーヘッドを備える、請求項1〜23のうちのいずれか一項に記載の複数用量注入システム。
【請求項25】
患者の脈管系に医療流体を送達する方法であって、該方法は、
a.バルク流体容器ホルダモジュール上にカセットを搭載することと、
b.複数用途管類一式を注入デバイスに流体的に取り付けることと、
c.第1の患者固有管類一式を該複数用途管類一式に流体的に相互接続することと、
d.第1のバルク流体容器を該カセットの第1のバルク流体容器流体インターフェースに流体的に接続することと、
e.該搭載するステップ、該流体的に取り付けるステップ、該流体的に相互接続するステップ、および流体的に接続するステップの後に、該カセットの第1の弁を作動させて、該第1のバルク流体容器を該複数用途管類一式と流体連通させることと、
f.流体輸送シーケンスを実行することであって、該流体輸送シーケンスは、
該第1のバルク流体容器が該複数用途管類一式と流体連通している間、該注入デバイスのプランジャを後退させることであって、それにより、該第1のバルク流体容器から該注入デバイスの注射器内への流体の移動をもたらす、ことと、
該後退させるステップの後に、該第1の弁を閉鎖することと、
該閉鎖するステップの後に、該プランジャを前進させて、流体を該注射器から該複数用途管類一式内へ、さらに該第1の患者固有管類一式を通って、該患者の脈管系内へと排出することと
を含む、ことと
を含む、方法。
【請求項26】
第2のバルク流体容器を前記カセットの第2のバルク流体容器流体インターフェースに流体的に接続することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のバルク流体容器は、生理食塩水を備え、前記第2のバルク流体容器は、造影剤を備える、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1のバルク流体容器内に含有される流体を加熱することをさらに含む、請求項25〜27のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記作動させるステップの前に、前記カセットに取り付けられた識別部材を読み取ることをさらに含む、請求項25〜28のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記カセットに取り付けられた前記識別部材を読み取ることは、RFIDタグを読み取ることを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記作動させるステップの前に、前記第1のバルク流体容器に取り付けられた識別部材を読み取ることをさらに含む、請求項25〜30のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のバルク流体容器に取り付けられた前記識別部材を読み取ることは、RFIDタグを読み取ることを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のバルク流体容器流体インターフェースは、前記カセットに据付けられた孔あきスパイクを備え、前記流体的に接続するステップは、前記第1のバルク流体容器を該孔あきスパイク上に押圧することを含む、請求項25〜32のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記実行するステップの後に、前記複数用途管類一式から前記第1の患者固有管類一式を切り離すことと、
該切り離すステップの後に、第2の患者固有管類一式を該複数用途管類一式に流体的に結合することと、
第2の患者の脈管系の中に流体を送達するために、該第2の患者固有管類一式を使用して、前記流体輸送シーケンスを実行することを繰り返すことと
をさらに含む、請求項25〜33のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記切り離すステップと前記結合するステップとの間において、前記プランジャの位置を維持することと、
該維持するステップの間、前記第1のバルク流体容器が、前記複数用途管類一式と流体連通し、それによって前記注射器内に圧力が形成されることを防止するように、前記第1の弁を設置することと
をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記切り離すことは、前記複数用途管類一式のメス型ルアー式コネクタと前記第1の患者固有管類一式の第1のオス型ルアー式コネクタとのインターフェースにおいて生じ、前記結合することは、該メス型ルアー式コネクタと前記第2の患者固有管類一式の第2のオス型ルアー式コネクタとのインターフェースにおいて生じ、前記方法は、該切り離すステップの後であって該結合するステップの前に、該メス型ルアー式コネクタを清浄化することをさらに含む、請求項34〜35のうちのいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−507357(P2012−507357A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534623(P2011−534623)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/061568
【国際公開番号】WO2010/051205
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(595181003)マリンクロッド エルエルシー (203)
【Fターム(参考)】