説明

複数画像を切り替え表示させる方法と装置

【課題】従来の複数画像表示装置は、複雑で、厚い構造で、重量があり、高価な装置で、画像切り替えも瞬時に行うことはできなかった。また、床面、柱側面、車両外装面、窓ガラス面などには簡単に取り付けられなかった。
【解決手段】光源の点滅あるいは光源からの光の繰り返される遮蔽と開放によって、上側にあるいは前方に設置した複数の画像の高速切り替えを可能にし、機械的駆動部を省略あるいは簡素化し、装置を軽量、コンパクト化し、広い範囲の場所に取り付け可能にした。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の点滅によって2種類以上の画像が見えるようにした複数画像表示方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
切り替えた複数の画像を1つの面に表示することで、注目度を高めようとする装置としては、(商品名TRIVISION・トライビジョン)がある。これは、長尺の三角柱形表示ユニットの両端を回転可能に支持し、これを多数並列に配置して、表示ユニットの1つの面で連続する1つの静止画像を表示するようにしたもので、これらの三角柱を一斉に回転させて他の面を前面に出し、異なる静止画像が現れるようにしたものである。
【0003】
一方、裏面が黒色などの遮光色、表面が白色という基材に多数の穴を開けた、黒色裏面側から明るい方向は透けて見え、白色側から暗い反対方向が見え難くした一方向透視性フィルムは、「ワンウェイビジョンフィルム」として知られている。多数穴でなく、遮光層、白色層上に形成した画像を透明基材に縞状に並べたワンウェイビジョンフィルムもある。ワンウェイビジョンフィルムは、窓ガラスのような透明基材に貼り付けて、内部の人に外部の視界を与える一方、フィルム白色側に形成した画像を外部の人に見せて広告目的に使用されてきた。インテリア用途に使用される時は、上部から吊り下げて間仕切りとしても活用される。この時も、一方の人に透視性を与え、反対方向の人に広告や美しいデザインによる美観を提供するという目的は同じである。
【0004】
さらに、広告物を目立たせるため、あるいは暗くなってからも画像を認識できるためには、内照式広告表示盤が広く用いられてきた。光源には複数の蛍光灯を並べたものから、LED(発光ダイオード)から出射された光を導光して光出射面全体に広げる導光板を利用したもの、光ファイバを並べて平面発光面を形成したもの、EL発光フィルムなど様々な形態がある。これらは、主として透視性を必要としない床面、壁面、柱側面、車両外装面などに用いられる。特許文献1には、有機EL又はLEDのいずれかからなる薄い発光性敷物が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、周囲の明るさに応じて2つの画像層のいずれかの表示を外部に現出する表示体が提案されている。
【0006】
特許文献3には、等間隔に穿孔を空けられた表側パネルの穿孔部から見えるように、穿孔部と同じ間隔で島状に着色した半透明な板をモーターで動かし動くモアレを生じさせて興味を引く装置が提案されている。
【特許文献1】特開2006−305039号 公報
【特許文献2】特開2005−344441号 公報
【特許文献3】特開平8−6511号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ワンウェイビジョンフィルムは、1種類の広告画像を掲示するもので、画像が切り替わることで注目を集める効果を発揮することはできない。複数画像を表示させるための上記の三角柱を回転させる表示装置は、駆動モーター制御など複雑で高価な装置になる。又、駆動部を備えるため厚い構造で重量のある装置になってしまう。床面、柱側面、車両外装面、窓ガラス面などには簡単に取り付けられない。内照式広告表示盤も、1種類の広告画像を掲示するもので、画像を切り替えるためには、上記のような画像巻き取り装置を設けなければならない。厚い構造の複雑で高価な装置になる問題は、三角柱を回転させる表示装置と同様である。
【0007】
特許文献2の目的に従えば、昼間や照明を受ける明時と、夜間や照明の無い暗時の周囲の明るさに応じて2つの画像を交換させることはできるが、光源を点灯して一度切り替えた後は、通常の電飾看板と同一の存在感しか提供できない。光源例として挙げられている蓄光シートを用いた場合は、点滅自体ができない。この装置は、明時用のパネル看板と暗時用の電飾看板を同一場所に置きスペースを節約させる効果しか期待できない。同一照度下の環境で使用することは考えられていない。
【0008】
特許文献3は、同一照度下の環境で使用する装置だが、上側のパネルの穿孔から見える下側半透明板のドット模様の複雑な移動によって変化するモアレで興味を引くためのものであり、複数の画像を表示してより大きな意味を表現することはできない。
【0009】
従って、本発明の目的は、同一照度下の環境で使用でき、1つの面で複数の画像を切り替えられる簡易でコストの安い複数画像表示方法と装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は上記目的を達成するために、点滅できる面光源の上側にあるいは前方に画像を形成した半透明あるいは透明基材(以下透光性基材と言う)と、画像を形成した多数穴あるいは縞状透視基材を重ねてあるいは多列に設置し、面光源の点滅によって複数画像を切り替え表示させる方法である。
【0009】
請求項2に係る本発明は、縞状透視基材上に1種類の画像が縞状に形成され、透光性基材上には2種類あるいは3種類の画像が縞状に合成されており、2つの基材のいずれか一方を相対的に移動させて、縞状透視基材透視部から見える透光性基材上画像を切り替えることを特徴とする請求項1記載の複数画像表示方法である。
【0010】
請求項3に係る本発明は、点滅できる光源の外側に画像を形成した透光性基材と、画像を形成した多数穴あるいは縞状透視基材を重ねてあるいは多列に設置し、光源の点滅、あるいは継続点灯する光源から発せられる光を繰り返し遮蔽と開放することによって複数画像を切り替えさせる方法である。
【0011】
請求項4に係る本発明は、縞状透視基材上に1種類の画像が縞状に形成され、半透明あるいは透明基材上には2種類あるいは3種類の画像が縞状に合成されており、2つの基材のいずれか一方を相対的に移動させて、縞状透視基材透視部から見える半透明あるいは透明基材上画像を切り替えることを特徴とする請求項3記載の複数画像表示方法である。
【0012】
請求項5に係る本発明は、縞状透視基材上に1種類の画像が縞状に形成され、透光性基材上には画像と穴あるいは透明部が縞状に合成されており、透光性基材が複数枚重ねられており、複数枚のうちの2枚を移動させ、移動させたうちの1枚の上に形成された縞状画像が縞状透視基材透視部から見えることを特徴とする請求項1あるいは請求項3記載の複数画像表示方法である。
【0013】
請求項6に係る本発明は、上下あるいは前後に配置されたワンセットの複数画像の間に、同一の部分画像、変化画像、あるいは関連画像があり、繰り返し表示画像を切り替えることでそれらに目の残像効果による動きを与え、ワンセットの複数画像全体で構成される意味を表現することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複数画像表示方法である。
【0014】
請求項7に係る本発明は、上下あるいは前後に配置された複数画像のセットが複数セットあって、各セットが異なる場所に並べられており、光源点滅タイミングをこれらのセット間でずらすことによって、複数画像セット間の関係で動きを表現することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複数画像表示方法である。
【0015】
請求項8に係る本発明は、画像の無いメッシュ基材あるいは半透明基材を画像を形成した透視基材と画像を形成した半透明あるいは透明基材の間に挿入したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の複数画像表示方法である。
【0016】
請求項9に係る本発明は、請求項8の画像の無い半透明基材が、透視度を落とすための網模様、点模様、あるいは線模様を形成した透明あるいは半透明フィルムであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の複数画像表示方法である。
【0017】
請求項10に係る本発明は、透視基材上画像の上あるいは前方に、周囲照度が高い場所でも光源点灯時に透光性基材上画像を明瞭に見せるための画像の無いメッシュ基材あるいは半透明基材を配置したことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の複数画像表示方法である。
【0018】
請求項11に係る本発明は、請求項8の画像の無いメッシュ基材あるいは半透明基材が、請求項9の透視度を落とすために形成された模様が、あるいは請求項10の画像の無いメッシュ基材あるいは半透明基材が、銀色を含む無彩色から成ることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の複数画像表示方法である。
【0019】
請求項12に係る本発明は、多数穴あるいは縞状透視基材上の画像の中で光源点灯時にも表示し続けたい部分画像の表側に遮光性のある穴の無い同一の部分画像を貼り付けた、あるいは裏側に遮光性のある穴の無い同一部分画像または遮光性のある黒色部分べた画像を貼り付けたことを特徴とする請求項1〜11記載の複数画像表示方法である。
【0020】
請求項13に係る本発明は、継続点灯する光源から発せられる光を遮蔽と開放することによって表示画像を切り替えさせる装置として、複数小片から成るシャッター装置を採用したことを特徴とする請求項3〜12のいずれかに記載の複数画像表示方法である。
【0021】
請求項14に係る本発明は、縞状透視基材と透光性基材、あるいは透光性基材と光源の間に、滑りやすくする樹脂をコーティングした透明フィルムを挿入するか、あるいは縞状透視基材、透光性基材、光源の少なくともいずれかひとつに直接滑りやすくする樹脂のコーティング、あるいは耐スクラッチ性のハードコート樹脂コーティングを施したことを特徴とする請求項2及び請求項4〜12のいずれかに記載の複数画像表示方法である。
【0022】
請求項15に係る本発明は、画像を形成した半透明あるいは透明基材と、画像を形成した多数穴あるいは縞状透視基材を光源の上側に、あるいは外側に重ねて収納して、光源を点滅させるか、継続点灯する面光源の光を繰り返し遮蔽と開放することで表示画像を切り替える複数画像表示装置である。
【0023】
請求項1に係る本発明による作用は次の通りである。すなわち、点滅できる面光源の上側にあるいは前方に、裏側を面光源側にした多数穴あるいは縞状透視基材を設置すると、下の面光源が点灯していない時には表側の画像が見える。面光源が点灯している時には、裏側から多数穴又は透明縞を通して光が出てくるので表側は影となり視覚には暗色としか認識されない。丁度、暗い室内から明るい屋外を透視した状況と同じになる。面光源と多数穴あるいは縞状透視基材との間に、光を十分透過させ得る透光性基材に形成した画像を挟むと、面光源点灯時には透視基材の多数穴あるいは透明縞を通してこの画像が見える。面光源を点滅させる度に、瞬時に視覚に異なった画像を投影させることができる。
【0024】
請求項1に係る本発明による作用が切り替えできる画像種類が2種類に限定されるのに対して、請求項2に係る本発明による作用は、切り替え表示できる画像数を3種類あるいは4種類に増やせることである。用いる縞状透視基材の透視部幅が、透光性基材上の2種類あるいは3種類の画像の幅と同じか狭ければ、透視部から覗く透光性基材上の画像は、2種類あるいは3種類を独立して見せることができる。例えば、縞状透視基材画像縞幅が7mm、透視部幅3mm、開口率が全体の30%の場合を考える。透光性基材上の2種類の画像はそれぞれ5mm幅で縞状に並べ、3種類の画像はそれぞれ3.3mm幅で縞状(3種類合わせた縞状基本ワンパターン幅は10mm以内)に並べて形成し、ステップ移動させる機構を附加して2つの基材のいずれか一方の位置を相対的に変え、透視部と透光性基材上の1つの縞画像の中央を合わせれば、面光源が発光して画像が停止している時間だけ、透光性基材上の画像を順次切り替えて見せられる。透光性基材上に3種類の画像があれば、縞状透視基材状の画像と合わせると4種類の画像を見せることができる。
【0025】
請求項3に係る本発明による作用は、請求項1に係る本発明による作用に加えて、面光源以外の光源の採用により立体的な画像表示物に本発明を適用できる。又、継続点灯する光源からの光の遮蔽と開放を繰り返して光源点滅と同じ効果を得ることで、点滅ができない蓄光材のような光源、さらには点滅反応の遅い、あるいは点滅による寿命短縮も著しい蛍光灯などにまで光源の選択幅を広げることができる。
【0026】
請求項4に係る本発明による作用は、請求項2に係る本発明による作用に加えて、面光源以外の光源の採用により立体的な画像表示物に本発明を適用できる。又、継続点灯する光源からの光の遮蔽と開放を繰り返して光源点滅と同じ効果を得ることで、点滅による寿命短縮の著しい蛍光灯などにまで光源の選択幅を広げることができる。
【0027】
請求項1あるいは請求項3に係る本発明による作用が切り替えできる画像種類が3種類あるいは4種類までに限定されるのに対して、請求項5に係る本発明による作用で、切り替え表示できる画像数をさらに増やすことができる。用いる縞状透視基材の透視部幅が、透光性基材上の2種類あるいは3種類の画像の幅と同じか狭ければ、透視部から覗く透光性基材上の画像は、2種類あるいは3種類を独立して見せることができるという原理を用いて、そのうちの1種類の縞画像部分をカット穴にするか透明にする。このように作成した透光性基材を複数枚用意し、縞状透視基材の後側に配置する。次に例えば、縞状透視基材画像縞幅が7mm、透視部幅3mm、開口率が全体の30%の場合を考える。透光性基材上に2つの縞を形成する場合は画像とカット穴あるは透明部それぞれ5mm幅で縞状に並べ、3つの縞を形成する場合は2種類の画像とカット穴あるは透明部それぞれ3.3mm幅で縞状(3種類合わせた縞状基本ワンパターン幅は10mm)に並べて形成する。ステップ移動させる機構は透光性基材側に連結し、画像を切り替える際は、透光性基材の2枚を縞状透視基材に対して相対的に移動させる。すなわち、1枚は縞状透視基材の透視部から縞画像をはずして透明部が来るようにして、他の1枚は縞状透視基材の透視部から透明部をはずして縞画像が来るように移動させる。光源が発光すると、縞状透視基材の透視部の後ろ側に停止している縞画像が見える。透光性基材上に2種類の画像とカット穴あるは透明部があれば、縞状透視基材状の画像と合わせると3種類の画像を見せることができる。2種類の画像とカット穴あるいは透明部を持つ透光性基材を2枚重ねれば、全部で5種類の画像を見せることができる。更に透光性基材枚数を増やし、表示画像を増やすこともできる。
【0028】
請求項6に係る本発明による作用は次の通りである。光源の点滅で、あるいは継続点灯する光源からの光の遮蔽と開放を繰り返して上下あるいは前後に配置されたワンセットの複数画像を切り替えることで人間の目には残像が残り、ワンセットの複数画像に同一の部分画像、変化画像、あるいは関連画像があれば、それらに動きを与えることができる。光源の点滅あるいは光の遮蔽と開放を残像効果の得られる時間範囲で繰り返せば、継続運動をしているように見せることができる。結果として、個々に独立した複数枚の画像を切り替えて表現できる以上の複雑な意味を表現できる。
【0029】
請求項7に係る本発明による作用は、配置された全ての複数画像セット間の点滅タイミング差の設定によって、ワンセットの複数画像の単純な画像切り替え表現を更に上回る、より一層複雑な意味を表現できる。又、光源を複数に分割できるので、画像配置が自由にでき、より大きな面積の表現が可能になる。
【0030】
請求項8に係る本発明による作用は、透光性基材上の画像が光源消灯時に、あるいは光が遮蔽された時に、多数穴あるいは縞状透視部から見えて透視基材上の画像と干渉して見苦しい場合に、画像を形成した透光性基材と透視基材の間に画像の無いメッシュ基材あるいは画像の無い半透明基材を挿入することで透光性基材上の画像を見えにくくして、上あるいは前に配置された透視基材上の画像をより鮮明に見えるようにする。
【0031】
請求項9に係る本発明による作用は、完全に不透明なメッシュ基材と同じ遮光性能で網模様、点模様、あるいは線模様を形成するのは困難だが、印刷インクや転写箔で網模様を形成すれば、透光性基材上の画像を消灯時にあるいは光の遮蔽時に見え難くするというメッシュ基材挿入目的に近い効果は得られる。画像の無いメッシュ基材あるいは画像の無い半透明基材挿入を上回る利点の1つは、網模様、点模様、あるいは線模様の濃度あるいは密集度を変えられることである。メッシュ基材や半透明基材は部分的に挿入すると、それらがある所と無い所の境界で基材端面が認識され易い。印刷インクで形成する網模様、点模様、あるいは線模様なら、0%か100%かの有無でなく、50%とかの中間濃度も容易に表現できるし、グラデーション表現を採れば模様の切れ目は視認できなくなる。印刷ほどの自由度は無いが、転写箔での模様の場合は、周囲をぼかした形や大きさの異なる版を用意しておけば同様な効果を得ることが可能である。利点の2つ目は、画像の中の色彩、濃度、形状に応じて、網模様、点模様、あるいは線模様の形状と濃度を変えられることである。透光性基材上の画像をより見え難くしたい部分は、模様の濃度を高めれば良い。色彩も変えた方が透光性基材上の画像をより見え難くする効果がある場合は、模様の色も変更できる。
【0032】
請求項10に係る本発明による作用は、透視基材上画像の上あるいは前方にメッシュ基材あるいは半透明基材を配置することで、光が当たっても周囲照度が高い場所では見え難い透光性基材上の画像を、より明瞭に視認せることができる。メッシュ基材あるいは半透明基材の配置によって画像に影が当たったようになり、電飾画像の認識が容易になるからである。一方で、光源消灯時あるいは光源からの光を遮蔽している時に見える透視基材上画像はわずかに見え難くなるが、メッシュ基材あるいは半透明基材を選べば全体として認識に問題無い範囲を得られる。
【0033】
請求項11に係る本発明による作用は、彩度のある色の請求項8の画像の無いメッシュ基材あるいは半透明基材、彩度のある色の請求項9の透視度を落とす目的の模様、あるいは彩度のある色の請求項10の画像の無いメッシュ基材あるいは半透明基材も使用可能だが、それらが複数画像の色相を変化させるのに対して、銀色を含む無彩色基材からなるメッシュ基材、半透明基材、透視度を落とす目的の模様を用いれば明度が下がるだけで色相は変化しない。
【0034】
請求項12に係る本発明による作用は、光源点灯時あるいは光源からの光を開放している時にも、部分画像を、半透明な電飾画像としてでなく不透明素材の上の画像として視認させる。多数穴あるいは縞状透視部の無い遮光性のある素材に透視基材上の部分画像と同一画像を印刷して切り取り、その前面に、あるいはその裏面に貼り付けて遮光することで、光源点灯時あるいは光源からの光を開放している時にも透視基材上の部分画像を表示し続けさせることができる。画像でなく、同一形状で同一サイズの暗色の切り取り遮光素材を貼り付けても同様な作用が得られる。
【0035】
請求項13に係る本発明による作用は、継続点灯する光源から発せられる光の繰り返し遮蔽・開放装置として複数小片から成るシャッター装置を採用することで、画像全体を覆う大型シャッターを移動するような装置に比較し、高速切り替えを可能にする。
【0036】
請求項14に係る本発明による作用は、滑り易くする樹脂コーティング層、あるいは耐スクラッチ性ハードコート層によって縞状透視基材、透光性基材、あるいは透光性基材が傷つき難くなる。基材間が滑りやすくなれば、接触面で発生する摩擦が小さくなる。
【0037】
請求項15に係る本発明による作用は、画像を形成した透光性基材と、画像を形成した多数穴あるいは縞状透視基材を光源の上側に、あるいは外側に重ねて収納して、光源を点滅させるか、継続点灯する面光源の光を繰り返し遮蔽と開放することで複数画像を素早く切り換えさせる表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0038】
請求項1、請求項3、請求項15に係る本発明によれば、光学的な処理だけで注目度を高める目的の頻繁な複数画像切り替えが繰り返しできるので、高価な機械的駆動装置を省略でき、3種基材の収納物は薄く、軽く、安く、コンパクトなものになる。大型画像1枚分のストローク移動をさせる従来の装置に比べて、高速な表示画像交換ができる。収納物の画像を脱着する交換作業も簡略化・短時間化できる。さらには、面光源としてELフィルムなど薄い面状発光体を採用すれば、透光性基材、透視基材、面光源の3種を重ねても厚みが非常に薄くなると同時に耐荷重性も高くなり、床広告用保護敷物に装着して高い注目度を集めるのにも最適である。湾曲もさせられる性質からは、円柱側面、車両外装面、窓ガラス面にも設置できることは言うまでも無い。また、請求項1及び請求項3に係る本発明によれば、収納物に入れずに3種基材を敷いたり、吊り下げての使用も可能になる。
【0039】
請求項3のさらなる効果は、光源として蛍光灯を採用できるので、既に市場に多く設置されている既存の蛍光灯光源式電飾盤に、本発明を適用できることである。また、光源として点滅できない蓄光材のような光源も使用できる。
【0040】
請求項2および請求項4に係る本発明によれば、3種類あるいは4種類の画像を切り替えるために設置する装置が、透光性基材を数ミリ程度移動させる簡易な機構で済み、光源、透視基材、透光性基材から成る3種の収納物は、従来の画像切り換え技術と比較して大掛かりで高価な機械的駆動部を省略した薄く、軽く、安く、コンパクトな装置になり、壁面、柱側面、車両外装面、窓ガラス面などにも容易に設置できる。さらには、4種類までの画像切り替えができるので、請求項1および請求項3に係る本発明より注目度をさらに高めることができる。装置の画像を脱着する交換作業が簡略化・短時間化されるのは同様である。
【0041】
請求項5に係る本発明によれば、3種類を超える多種類の画像を切り替えるために設置する装置が、透光性基材を数ミリ程度移動させる簡易な機構を複数台組み込めば済み、光源、透視基材、複数枚の透光性基材から成る3種の収納物は、従来の画像切り換え技術と比較して大掛かりで高価な機械的駆動部を省略した薄く、軽く、安く、コンパクトな装置になり、壁面、柱側面、車両外装面、窓ガラス面にも容易に設置できる。さらには、多種類の画像切り替えができるので、請求項2および請求項4に係る本発明より注目度をさらに高めることができる。装置の画像を脱着する交換作業が簡略化・短時間化されるのは同様である。
【0042】
請求項6に係る本発明の効果は次の通りである。例えば近くの異なった場所に同一部分画像を置いて人の目に残像効果のある時間内に光源の点滅あるいは継続点灯する光源から発せられる光の繰り返し遮蔽・開放を行うことで、人間の目には2つの場所を往復移動しているように見え、一方を傾けて置けば、倒れたり起き上がったりして見え、変化画像として形をゆがめたものを置けば変形したり修復したりして見え、注目度の高い表現が可能になる。ここで言う動きには、晴れていた空が雷の落ちる暗闇に反転するような動きも含まれる。本発明のさらなる効果は、画像を動かすためには一般的には、画像の形に応じた発光装置と複雑なプログラム制御が必要となり、商品は特注作成しなければならない。異なる画像には使用できない。本発明の場合はプログラム制御は発光と定寸法の画像の相対的移動のみであり、用意する画像は通常の画像に過ぎない。装置は繰り返し使用でき、画像は低価格で作成できる。
【0043】
請求項7に係る本発明の効果は次の通りである。例えばランナーが走る表現では、請求項6のワンセットの複数画像ではランニング動作を表現できるが一方向移動表現はできない。複数画像セットを複数セット並べて配置して順次点灯画像あるいは消灯画像を移動させて行けば、並べただけの枚数分の距離を一方向ランニング移動させることが可能になる。請求項2、請求項4、請求項5の縞状透視基材を用いた3種類以上の画像表現が可能な手法を用いれば、一方向ランニング移動させたあと、体を反転して逆方向へ戻すことも可能になる。
【0044】
請求項8に係る本発明の効果は、上下画像間に挿入された画像の無いメッシュ基材あるいは画像の無い半透明基材が下側画像の見え方を制限し、2つの画像の干渉を弱めるので、ワンセットの画像の色彩や濃淡組み合わせの自由度が広がり、複数画像の設置場所制約が小さくなり、穴または透視部開口率のより大きめな透視基材が使用できるようになる。
【0045】
請求項9に係る本発明の効果は、上下画像間に挿入された網模様、点模様、あるいは線模様を形成したフィルムが、下側画像の見え方を場所毎の部分画像に応じたレベルで制限して上下2つの画像の干渉を弱める働きをさせられる上に、模様を無くして光源の光を最大限に透視基材から出したい部分との境目を目立たなくでき、ワンセットの画像の色彩や濃淡組み合わせ自由度がさらに広がる。
【0046】
請求項10に係る本発明の効果は、周囲照度が高い場所に設置しても、光の当たった透光性基材上の画像を明瞭に見せることができるようになり、本発明の複数画像表示物の設置可能環境範囲を広げることができる。又、同じ作用によって昼間のような照度の高い時間帯にも使用できることになる。
【0047】
請求項11に係る本発明の効果は、色相を変化させずに複数画像の見え方を調整できる。
【0048】
請求項12に係る本発明の効果は、多数穴あるいは縞状透視部から出てくる光の影響で、表示し続けさせたい透視基材上の部分画像が光源点灯時にあるいは光源からの光の開放時に濃度が下がって薄く見えるのを防ぐことができる。設置場所周囲の光によって得られる部分画像の深い陰影の落ち着いた見え方が維持され、透光性基材上の電飾画像を背景にした濃度領域の広い全体画像表現が得られる。電飾画像を背景にした部分画像は、見る者に遠近感も与えることができる。また、部分画像部のみを穿孔していない特殊な素材を用意するのでなく、全面均一な穿孔済の市販の安価な透視基材を使用できる利点も出る。
【0049】
請求項13に係る本発明の効果は、継続点灯する光源から発せられる光の繰り返し遮蔽・開放を素早く行わせることができるので、素早い動きの画像表現にも対応させられ、遮蔽・開放ストロークが小さくなるのでシャッター寿命にも好影響を与える。
【0050】
請求項14に係る本発明の効果は、滑り易くする樹脂コーティング層、あるいは耐スクラッチ性ハードコート層の効果で、縞状透視基材、透光性基材、あるいは透光性基材の使用可能期間が延びる。接触面で発生する摩擦が小さくなれば、移動装置の負荷は小さくなって装置の小型化にも役立つ。画像はより大型化できる。
【0051】
請求項15に係る本発明の効果は、透光性基材、透視基材、および光源の3種を重ねて収納することでコンパクトに収納されるとともに、画像セットでの持ち運び移動を容易にさせ、画像の位置関係も維持される。請求項2、請求項4および請求項5に係る本発明のためには構成要素を一体化したこのような表示装置は有用である。
【0052】
さらに本発明は、部分的に数箇所にELフィルムを配置して発光タイミングをプログラム制御している遊技機などにも活用できる。すなわち、非発光時点と発光時点で異なった情報を提供できるので、より複雑な表現ができることも優れた効果である。例えば非発光時に戦闘体勢の敵をあらわす絵を見せておいて、発光時には破壊された敵の絵に変化させることができる。
【0053】
本発明の応用可能なさらなる分野は、装身具や電気機器、電子機器である。例えば、通常は表側の画像を見せておいて、内部の点灯時に下側の警告画像や解説文を見せるなどの利用が考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
次に、本発明の実施形態について図1〜図3を用いて詳細に説明する。
【0055】
図1〜図3は、本発明の実施の形態を示す図である。図1は複数画像表示装置の構成要素を分解して説明するための斜視図、図2は透光性基材に形成する縞状画像の作成方法を示すための画像分解図、図3は透光性基材を複数枚使用する場合の縞状画像の作成方法を示すための平面図である。
【0056】
まず、図1に基づいて、複数画像表示装置を説明する。1は表示装置のベースを含む枠であり、透明カバー5を装着して広告物と面光源を収納する。複数画像表示目的で収納される広告物は、透光性基材3と多数穴あるいは縞状透視基材4とから成り、それらの下に点滅できる面光源2が差し込まれる。表示する複数画像が2種類の場合、多数穴あるいは縞状透視基材と透光性基材の上に原稿画像1種類ずつをそのまま形成する。これで、面光源消灯時に多数穴あるいは縞状透視基材画像が見え、点灯時に透光性基材画像が見える。
【0057】
次に、透光性基材を1枚用いて3種類あるいは4種類の複数画像を表示する方法を説明する。図2は、3種類の場合の例である。3種類のうちの1種類は縞状透視基材に形成され、残り2種類分の縞状画像は透光性基材の上に合成する。合成画像を分かり易く分解して表せば、一方は分解縞状画像3a、他方の分解縞状画像は3bのようになる。3aの空白の部分に3bがはめ込まれて、2つを重ね合わせて形成されるものが合成画像である。合成画像は、縞状透視基材の透視部の間から見られる。従って、分解縞状画像3a、3bの画像縞上下幅はワンウェイビジョン基材透視部幅より大きければ切れ目無く見える。透視部幅3mm、縞間隔は10mm、開口率30%の縞状透視基材の例でなら、縞状画像3a、3bの画像縞上下幅の取り得る範囲は3mm〜5mmの範囲ということになる。光源消灯時にあるいは光源からの光を遮蔽時に縞状透視基材画像が見え、点灯時にあるいは光源からの光を開放時に透光性基材画像が見えるが、消灯時に3a、3bの画像縞中央が縞状透視基材透視部の中央に合うよう縞状透視基材かまたは透光性基材の一方を5mm移動させれば、点灯時に透光性基材画像の2種類の画像を交互に見せることができる。画像を数ミリ往復移動させるためには、安価な市販のリニア電磁ソレノイドなどを設置し、その動作と光源点滅あるいはシャッター開閉タイミングとの関係をプログラムすればよい。
【0058】
4種類の複数画像を表示する方法は、透光性基材上に2種類でなく3種類分の縞状画像を合成する他は、3種類の場合と同様である。すなわち、透視部幅3mm、縞間隔は10mm、開口率30%の縞状透視基材の例でなら、3種類の分解縞状画像の画像縞上下幅の取り得る範囲は3mm〜3.3mmの範囲となり、縞状透視基材かまたは透光性基材の一方を移動させる距離は10/3mm、または20/3mmとなる。面光源消灯時に縞状透視基材画像が見えるので、この間に相対的移動を完了すれば、点灯時に透光性基材画像の3種類の画像を順次に見せることができる。
【0059】
次に、透光性基材を複数枚用いて3種類以上の複数画像を表示する方法を説明する。図3は、4種類の場合の例である。4種類のうちの1種類は縞状透視基材に形成され、残り2種類分の縞状画像は2枚の透光性基材上に配置する。透光性基材上の画像3cは2種類の画像と透明部を合成したものだが、3dは1種類の画像と透明部を合成したものである。この例に捕らわれず、3c、3dとも1種類の画像と透明部を合成してもよく、それぞれ2種類の画像と透明部を合成してもよい。透光性基材の下あるいは後方に3c、3dの順で設置される。3cの例には、「1」と「2」の2つの数字があり、3dには数字「3」がある。これら合成画像の作成方法は、図2の例で示した。合成画像が、縞状透視基材の透視部から見られるのも図2の例と同様である。図3の例の縞状透視基材は、透視部幅3mm、縞間隔は10mm、開口率30%であり、3cの画像及び透明縞上下幅はそれぞれ10/3mm、3dの画像及び透明縞上下幅はそれぞれ5mmである。3d画像縞上下幅の取り得る範囲は3mm〜7mmの範囲ということになる。透視基材と3c、3dの透光性基材が密着していて、3cが十分薄ければ、斜めから見た時に透視部から3dの画像が見え難いことは無いので、3dには3c同様に2種類の画像と透明部を合成させておき、切り換え画像数を5種類とすることもできる。光源消灯時にあるいは光源からの光を遮蔽時に縞状透視基材画像が見え、点灯時にあるいは光源からの光を開放時に透光性基材画像が見える。
【0050】
消灯時或いは光遮蔽時に3dの透明縞部を縞状透視部に合わせて置き、3cの画像「1」あるいは「2」の画像縞中央が透視部の中央に合うよう透光性基材を10/3mm、あるいは20/3mm移動させれば、次の点灯時にあるいは光源からの光の開放時に透光性基材画像「1」あるいは「2」が見える。3dの画像「3」を見せる時は、消灯時或いは光遮蔽時に3cの透明縞部を透視部に合わせて置き、3dの画像「3」の画像縞中央が透視部の中央に合うよう透光性基材を5mm移動させれば、次の点灯時にあるいは光源からの光の開放時に透光性基材画像「3」が見える。
【0061】
6種類以上の複数画像を表示するには、透明部を含む縞状合成画像を配置した透光性基材の枚数を増やして行けばよい。表示させない透光性基材画像は透明部を、表示させたい透光性基材画像は画像縞部を透視部に合わせて置くという条件は変わらない。透光性基材枚数が多くなり、フィルム厚さが障害になって斜めから見た時に表示させたい画像が見えにくくならない範囲で表示画像数は増やせる。なお、透視部にすべての透光性基材透明部を合わせて停止させれば、消灯時に透視基材画像が他の画像と干渉する問題は無くなる。
【0062】
多数穴あるいは縞状透視基材は、ワンウェイビジョン基材と同種の遮光性ある透視基材だが、一方向透視性は不要なので裏側を黒色などの遮光暗色に限定する必要は無い。透視性は必要だが、基材に遮光性があれば裏側の色は限定されない。その材質は、紙、合成紙、樹脂フィルム、布、不織布などの中から、適宜選択すればよい。厚さは重要でないが、取り扱い易さや可撓性などを考慮して、採りうる範囲は概ね20〜500μm、望ましい範囲は25〜200μmである。透視基材の透視部は穿孔した多数穴の場合と、透明フィルムの画像の印刷していない多数透明穴または縞状の透視部の場合とがあるが、いずれの場合も採りうる開口率範囲は概ね25%〜70%である。望ましい範囲は30%〜50%である。裏側に接着性は必ずしも必要ではないが、複数画像切り替え数が2種類の場合は、多数穴あるいは縞状透視基材裏に接着性を持たせて透光性基材に貼り付けてもよい。
【0063】
透光性基材は、ポリエステルやビニールなどの半透明あるいは透明樹脂フィルムを選択すればよい。下側に配置する面光源の明るさが低いと透光性基材上の画像の見え方が弱まるので、透明樹脂フィルム採用が薦められる。十分に明るければ半透明樹脂フィルムも使用できる。採りうる厚み範囲の概ね20〜500μm、望ましい厚み範囲の25〜200μmは多数穴あるいは縞状透視基材と同様である。
【0064】
面光源は、複数の蛍光灯を並べたもの、LED光を出射面全体に広げる導光板、光ファイバを並べた平面発光面、プラズマディスプレイも使用可能だが、厚み、価格、重量、使用場所範囲などから考えると発光数値800〜3000ルクスのEL発光フィルムが好ましい。光源の点滅をさせずに光の遮蔽と開放をするシステムなら蓄光フィルムのような点滅のできないものも利用できる。面光源以外の光源には、蛍光灯や蓄光体光源のほか白熱電球、ハロゲン電球、水銀灯を含むアーク放電灯など、多様な光源が用いられる。
【0065】
多数穴あるいは縞状透視基材、透光性基材、面光源の3種は、複数画像切り替え数が2種類の場合は、必ずしも密着させる必要は無い。各基材間に空間があっても本発明の効果は得られるので、表示装置に収納せず、例えば近距離空間に垂れ下げてもよい。従って、各基材間に透明なガラス板や樹脂版が介在してもよい。複数画像切り替え数が3種類以上の場合は、透光性基材上の画像縞と縞状透視基材の透視部の位置合わせが重要になるので、磨耗防止目的の透明ガラス板や透明樹脂板を挿入するにしても、薄いものに限定すべきである。
【0066】
画像を形成した透視基材と画像を形成した半透明あるいは透明基材の間に挿入する透視度を落とすための網模様、点模様、あるいは線模様を形成した透明あるいは半透明フィルムについて説明する。透視度を落とすための模様のうちの網模様とは、上下左右に交差する線からなるメッシュ模様のことである。点模様をは、各種印刷方式の網点のようなドット模様であり、円形や4角形だけでなく形状は限定されない。線模様は印刷方式網点の中の砂目模様が一例として挙げられる。インクジェット印刷なら、誤差拡散方式による砂目模様がよく知られている。しかしこれら網点を通常の印刷における1インチ60線〜200線の細かさで印刷すると透明フィルムでも半透明フィルムに見えるほどで、本発明の目的には細か過ぎる。透視基材として一般のワンウェイビジョンフィルムを用いると、穴径は1.5mm〜2mm程度であり、この場合は各模様とも1インチ10線〜20線程度の細かさが推奨される。
【0067】
互いの磨耗防止目的で、縞状透視基材、透光性基材、面光源の間に挿入するフィルムに、縞状透視基材に、あるいは透光性基材に施す滑りやすくする目的のコーティングは、例えばシリコンなどを用いた離型用樹脂コーティングが挙げられる。縞状透視基材に、あるいは透光性基材に施す耐スクラッチ性のハードコートはアクリル系樹脂や紫外線硬化型樹脂を表面にコートしたものが知られており、磨耗防止のためには勧められる。これらのフィルムは挿入するだけでなく、接触する一方の基材の面にラミネートさせてもよい。
【0068】
光源からの光を遮蔽・開放する複数小片から成るシャッター装置の一例は、多数の細長い板(スラット)を備えた窓ブラインドのような装置である。複数小片から成るシャッターであれば、各々の小片が異なる場所で同じだけの小さなストローク量を動くだけで大きな面積の遮蔽と開放が高速でできるからである。複数小片形状は細長い板に限定されず、魚の鱗のような小片を前後左右に並べたようなものでも良い。
【実施例】
【0069】
次に、本発明の具体的な実施例を説明する。
【0070】
(実施例1)
1種類目の画像をインクジェットプリントした穴径1.5mm、開口率50%の紙質ワンウェイビジョンシート「PanoVision」(商標、ContinentalGrafix社製)の下に、2種類目の画像をインクジェットプリントした100μm厚みの透明ポリエステルフィルム「キモアートシリーズ・透明PET」(商標、きもと社製)を差込み、さらにその下に0.6mm厚みで明るさ1000ルクスのELシート「FlexLit」(商標、MASCOT TECHNOLOGY社製)を敷いて、床広告保護敷物「フロアウィンド」(商標、FloorWindo International社製)の中に収納した。ELシート消灯時にワンウェイビジョンシート上の1種類目画像が見え、点灯させると透明ポリエステルフィルム上の2種類目の画像が見えた
【0071】
(実施例2)
遮光性ある表側白色の接着層が裏面に付与されたビニルフィルム「DF903」(商標、ASLAN Schwarz社製)に1種類目の画像を溶剤インクジェットプリントし、この印刷済ビニルフィルムにカッティングプロッタで縞状に切り込みを入れ、縞状画像部幅7mmを残して3mm幅の画像をすべて除去する。残った縞状画像すべてをアプリケーションテープで一旦受け取り、これらを188μm厚みの透明ポリエステルフィルム「メリネックス」(商標、帝人デュポンフィルム社製)に移載貼り付けして縞状透視基材を得る。2種類目、3種類目の合成画像を昇華転写した100μm厚みの乳白ポリエステルフィルム「ルミラー」(商標、東レ社製)をその下に差込み、さらにその下に0.6mm厚みで明るさ1000ルクスのELシート「FlexLit」(商標、MASCOT TECHNOLOGY社製)を敷く。ELシート消灯時に縞状透視基材上の1種類目画像が見え、乳白ポリエステルフィルム上の2種類目縞画像が縞状透視基材透視部と合うような位置に置きELシートを点灯させると2種類目の画像が見えた。ELシートを消灯させ、縞状透視基材上の1種類目画像が再び見えるようにする。この間に、乳白ポリエステルフィルムを5mm移動させ3種類目縞画像と縞状透視基材透視部位置とを合わせると、ELシート再点灯時に3種類目の画像が見えた。
【0072】
(実施例3)
実施例1で用意した2枚の画像を用いて、ELシート消灯時のワンウェイビジョンシートの上側画像の見え方をチェックした。ワンウェイビジョンシート上画像の陰影の濃い部分では、透明ポリエステルフィルム上の下側画像がワンウェイビジョンシート穴部から透けて見え画像が干渉していたが、2枚の画像の間に、網目寸法80ミクロンで透視率60%程度の白色あるいは黒色のポリエステル高密度メッシュ布「クロスキャビン」(商標、帝人ネステックス社製)を差込むと、下側画像が見え難くなり、画像干渉が大幅に改善された。黒色メッシュ布は白色メッシュ布より下側画像を隠す効果がより大きいが、白色メッシュ布はELシート点灯時にその照度をほとんど落とさず、下側の透明ポリエステルフィルム上画像がより見やすかった。実施例では、メッシュ布を画像全面に挿入したが、効果の得られる部分だけに挿入してもよい。なお、半透明な黒色あるいは乳白色のフィルムあるいはガラス板の挿入はメッシュ布挿入と同様な効果が得られる。
【0073】
(実施例4)
次に、網目寸法のより大きなメッシュ、網目空隙600ミクロンの黒色ポリエステルメッシュ布「クロスキャビンVT」(商標、帝人ネステックス社製)に差し替えた。網目が大きい分だけ下側画像を隠す能力は下がるが、下側画像を隠す効果は得られた。さらに、メッシュ布に変えて、メッシュ24番(線径0.25mm、開口率58.6%)と、メッシュ40番(線径0.18mm、開口率51.3%)のステンレスメッシュ金網「ステンレス304平織り金網」(商標、網忠金網社製)を順次挿入して効果を確認した。メッシュ布に比較し、これらの金網の場合は、ワンウェイビジョンシート穴部から見える線の金属光沢で入光が反射するので、下側画像の隠蔽効果が最も大きかった。同時に光を吸収せず反射するので、ELシート点灯時には下側画像も明るく見えた。金網と同じような効果を得るために、蒸着やスパッタリングなどの手法で金属を被せたメッシュ布を用いることもできる。
【0074】
(実施例5)
実施例1で使用した各種材料で、以下のような画像を作成した。先ず、1種類目の上側画像にボディビルダーがダンベルを持って腕を下ろしているスポーツジム広告画像を、2種類目の下側画像に同じ広告画像の中でボディビルダーがダンベルを持ち上げている画像を配置した。ELシート光源の点滅を1秒間隔で繰り返すように設定すると、ボディビルダーがダンベルの上げ下げ運動を続けているように見えた。
【0075】
(実施例6)
実施例1で使用した各種材料で、以下のような画像を作成した。先ず、1種類目の上側画像に青空を住宅、2種類目の下側画像には同じ住宅の背後を暗転した空に雷が落ちる写真とした。1秒と2秒間隔でELシート光源の点滅を繰り返すとニ秒間の静かな風景の後に1秒間嵐が訪れたような物語性を感じさせられた。住宅と地面部分は同じものを下側透明ポリエステルフィルム画像に配置すれば電飾画像としてみることはできる。しかし、光る雷との間の濃度差は大きくなく、見る者に与えるインパクトは小さい。改善策として、同一形の黒べた印刷を下側画像に配置すると、この住宅と地面部分は、光源点灯時に上側ワンウェイビジョンシート画像が見えた。これは、電飾画像の濃度範囲を超えたもので、見る者に与えるインパクトは少し大きくなるが、黒色べた層を透過して出てくる光の影響があり本来より薄く見えた。最後に、住宅と地面部分と同じ形の遮光性ある暗色糊付きシートをワンウェイビジョンシート裏側に貼り付けると、光源点灯時に上側ワンウェイビジョンシート画像が本来の深い濃度で見えた。電飾画像を遠くの背景として、濃度感ある住宅と地面部分はより近距離に見えた。
【0076】
(実施例7)
実施例1で用意した複数画像とELシートを収納した床広告保護敷物「フロアウィンド」を窓の近くの床に置くと、付近の照度が高過ぎてELシート点灯時の下側画像が見え難かった。この条件で、上側画像の更に上に0.5mm厚のスモークカラー塩ビシート「ユニサンデー」(商標、光社製)を置いてみた。淡い茶色味掛かった半透明の板だが色相への影響は気にならず、上側画像の見え方も十分保たれ、同時にELシート点灯時の下側画像も見え易くなった。
【0077】
(実施例8)
蛍光灯を光源とする照度5000ルックスの内照パネルを壁面に取り付けた。その前面に高遮光機能を備えた横型ブラインド「セレーノ25高遮光タイプ(ヒカリスト)」(商標、ニチベイ社製)が被るようブラインド固定用ヘッドボックスを壁に取り付け、ブラインド両サイドと下部の三方枠を暗幕フレームで囲み、光が漏れないようにした。実施例1で用意した2枚の画像は、2種類目の画像を印刷した透明ポリエステルフィルムの上に1種類目の画像を印刷したワンウェイビジョンシートを合わせ、横型ブラインドの前に垂らした。次に、内照パネルを点灯させて置き、横型ブラインドのスラット羽根の開閉操作をした。25mm幅のスラット羽根を回転させるだけなので光源の点滅に近い低負荷で高速な繰り返し作動が容易にでき、画像全面に当たる光の遮蔽と開放が素早くできた。その度に、実施例1で用意した2枚の画像が切り替わって見えた。実施例では光のシャッター装置として一般住宅用の横型ブラインドを用いてスラット羽根開閉操作を紐を引いて手動で行ったが、実際の光のシャッター装置は電動にして、複数画像内容によって求められる照射タイミングに合わせた作動をさせればよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、床、壁面、柱側面、独立看板、間仕切り、天井、車両外装面、窓ガラス面、広告塔、遊技機盤面、装身具、電気・電子機器などに設置できる複数画像を切り替え表示させる方法と装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1はこの発明の第1の実施の形態による複数画像表示装置の構成要素を分解して説明するための斜視図である。
【図2】3種類の複数画像を切り替える例における、図1で示した透光性基材に形成する縞状合成画像の作成方法を示すための2種類の画像分解図である。
【図3】図3は、2枚の透光性基材を用いて4種類の複数画像を切り替える例における、2種類の画像縞と透明縞の合成画像を持つ透光性基材と、1種類の画像縞と透明縞の合成画像を持つ透光性基材を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0080】
1…複数画像表示装置のベースを含む枠
2…面光源
3…透光性基材
3a…透光性基材上の画像合成方法を説明する分解縞状画像の一方
3b…透光性基材上の画像合成方法を説明する分解縞状画像の他方
3c…透光性基材上に合成した2種類の画像縞と透明縞
3d…透光性基材上に合成した1種類の画像縞と透明縞
4…多数穴あるいは縞状透視基材
5…複数画像表示装置の透明カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点滅できる面光源の上側にあるいは前方に、画像を形成した半透明あるいは透明基材と、画像を形成した多数穴あるいは縞状透視基材を重ねてあるいは多列に設置し、面光源の点滅によって複数画像を切り替えさせる方法。
【請求項2】
縞状透視基材上に1種類の画像が縞状に形成され、半透明あるいは透明基材上には2種類あるいは3種類の画像が縞状に合成されており、2つの基材のいずれか一方を相対的に移動させて、縞状透視基材透視部から見える半透明あるいは透明基材上画像を切り替えることを特徴とする請求項1記載の複数画像表示方法。
【請求項3】
点滅できる光源の外側に、画像を形成した半透明あるいは透明基材と、画像を形成した多数穴あるいは縞状透視基材を重ねてあるいは多列に設置し、光源の点滅、あるいは継続点灯する光源から発せられる光を繰り返し遮蔽と開放することによって複数画像を切り替えさせる方法。
【請求項4】
縞状透視基材上に1種類の画像が縞状に形成され、半透明あるいは透明基材上には2種類あるいは3種類の画像が縞状に合成されており、2つの基材のいずれか一方を相対的に移動させて、縞状透視基材透視部から見える半透明あるいは透明基材上画像を切り替えることを特徴とする請求項3記載の複数画像表示方法。
【請求項5】
縞状透視基材上に1種類の画像が縞状に形成され、半透明あるいは透明基材上には画像と穴あるいは透明部が縞状に合成されており、半透明あるいは透明基材が複数枚重ねられており、複数枚のうちの2枚を移動させ、移動させたうちの1枚の上に形成された縞状画像が縞状透視基材透視部から見えることを特徴とする請求項1及び請求項3記載の複数画像表示方法。
【請求項6】
上下あるいは前後に配置されたワンセットの複数画像の間に、同一の部分画像、変化画像、あるいは関連画像があり、繰り返し表示画像を切り替えることでそれらに目の残像効果による動きを与え、ワンセットの複数画像全体で構成される意味を表現することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複数画像表示方法。
【請求項7】
上下あるいは前後に配置された複数画像のセットが複数セットあって、各セットが異なる場所に並べられており、光源点滅タイミングをこれらのセット間でずらすことによって、複数画像セット間の関係で動きを表現することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複数画像表示方法。
【請求項8】
画像の無いメッシュ基材あるいは半透明基材を画像を形成した透視基材と画像を形成した半透明あるいは透明基材の間に挿入したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の複数画像表示方法。
【請求項9】
請求項8の画像の無い半透明基材が、透視度を落とすための網模様、点模様、あるいは線模様を形成した透明あるいは半透明フィルムであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の複数画像表示方法。
【請求項10】
透視基材上画像の上あるいは前方に、周囲照度が高い場所でも光源点灯時に透光性基材上画像を明瞭に見せるための画像の無いメッシュ基材あるいは半透明基材を配置したことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の複数画像表示方法。
【請求項11】
請求項8の画像の無いメッシュ基材あるいは半透明基材が、請求項9の透視度を落とすために形成された模様が、あるいは請求項10の画像の無いメッシュ基材あるいは半透明基材が、銀色を含む無彩色から成ることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の複数画像表示方法。
【請求項12】
多数穴あるいは縞状透視基材上の画像の中で光源点灯時にも表示し続けたい部分画像の表側に遮光性のある穴の無い同一の部分画像を貼り付けた、あるいは裏側に遮光性のある穴の無い同一部分画像または遮光性のある黒色部分べた画像を貼り付けたことを特徴とする請求項1〜11記載の複数画像表示方法。
【請求項13】
継続点灯する光源から発せられる光を遮蔽と開放することによって表示画像を切り替えさせる装置として、複数小片から成るシャッター装置を採用したことを特徴とする請求項3〜12のいずれかに記載の複数画像表示方法。
【請求項14】
縞状透視基材と透光性基材、あるいは透光性基材と光源の間に、滑りやすくする樹脂をコーティングした透明フィルムを挿入するか、あるいは縞状透視基材、透光性基材、光源の少なくともいずれかひとつに直接滑りやすくする樹脂のコーティング、あるいは耐スクラッチ性のハードコート樹脂コーティングを施したことを特徴とする請求項2及び請求項4〜13のいずれかに記載の複数画像表示方法。
【請求項15】
画像を形成した半透明あるいは透明基材と、画像を形成した多数穴あるいは縞状透視基材を光源の上側にあるいは外側に重ねて収納して、光源を点滅させるか、継続点灯する面光源の光を繰り返し遮蔽と開放することで表示画像を切り替える複数画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−122243(P2010−122243A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341651(P2007−341651)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(502398492)株式会社サンリュウ (5)
【Fターム(参考)】